説明

周遊ルート生成装置、周遊ルート生成方法、及びプログラム

【課題】ユーザによる目的地の指定を必要とせず、出発地点からの周遊ルートを生成することのできる周遊ルート生成装置、周遊ルート生成方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】周遊ルート生成装置は、生成する周遊ルートの目標ルート距離を取得する距離取得部と、上記周遊ルートの出発地点とする基準点を取得する基準点取得部と、上記周遊ルートの経由地点を決定する経由地点決定部と、上記基準点から上記経由地点を経由し、再び上記基準点に戻るまでのルート距離が、上記目標ルート距離となる周遊ルートを生成する周遊ルート生成部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周遊ルート生成装置、周遊ルート生成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Global Positioning System)などにより取得される位置情報に基づいて、現在位置から目的地までのルートを案内するナビゲーション装置が広く普及している。ナビゲーション装置のユーザが、目的地を入力すると、ナビゲーション装置は、現在地から目的地までのルートを探索し、探索されたルートを案内する。
【0003】
ところで、ナビゲーション装置の提供する機能は、例えば携帯電話などの小型の電子機器の一機能として実現されるようになってきている。携帯できるナビゲーション装置も登場しており、ナビゲーション装置は、自動車に搭載されるものだけでなく、徒歩及び自転車に載置して利用されるようにもなってきた。そこで、ナビゲーション装置の多機能化及びエンターテインメント化が進んでいる。
【0004】
例えば、特許文献1には、入力された目的地及び移動時間に基づいて、目的地までにかかる移動時間が入力された時間となるルートを探索することのできるナビゲーション装置が開示されている。かかるナビゲーション装置によれば、空いた時間に目的地まで所望の時間で行くことのできるルートを探索して、ウォーキング又はランニングなどを行うことができる。
【0005】
また、特許文献2には、出発地から目的地を通って再び出発地に戻ってくるまでの消費カロリーが目標の消費カロリーとなるルートを探索することのできるナビゲーション装置が開示されている。かかるナビゲーション装置によれば、健康のために、消費カロリーに基づいてルートを決めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−241416号公報
【特許文献2】特開2004−109100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ルートを探索するためには、ユーザが目的地を指定しなければならない。このため、目的地が決まっていないユーザの要望には応えられないという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ユーザによる目的地の指定を必要とせず、出発地点からの周遊ルートを生成することが可能な、新規かつ改良された周遊ルート生成装置、周遊ルート生成方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、生成する周遊ルートの目標ルート距離を取得する距離取得部と、上記周遊ルートの出発地点とする基準点を取得する基準点取得部と、上記周遊ルートの経由地点を決定する経由地点決定部と、上記基準点から上記経由地点を経由し、再び上記基準点に戻るまでのルート距離が、上記目標ルート距離となる周遊ルートを生成する周遊ルート生成部と、を有する周遊ルート生成装置が提供される。
【0009】
かかる構成によれば、周遊ルート生成装置は、経由地点を決定し、基準点から経由地点を経由して再び基準点に戻る周遊ルートを生成することができる。このとき、基準点は例えば現在位置でもよいし、ユーザにより指定された地点であってもよい。ここで経由地点は、自動的に決定される。このため、ユーザは目的地を指定することなく、周遊ルートを取得することができる。
【0010】
また、上記経由地点決定部は、複数の上記経由地点を決定し、上記周遊ルート生成部は、上記基準点と上記経由地点との間のルート、及び上記複数の経由地点間のルートを探索することにより、上記周遊ルートを生成してもよい。
【0011】
また、上記経由地点決定部は、上記基準点からの方向を決定し、上記基準点から上記方向に位置する第1の経由地点と、上記基準点と上記第1の経由地点とを結ぶ線を挟んで互いに逆方向に位置する第2の経由地点及び第3の経由地点とを決定してもよい。
【0012】
また、上記経由地点決定部は、周遊ルートを生成する度に上記方向をランダムに決定してもよい。
【0013】
また、上記周遊ルートに対する要求を取得する要求取得部をさらに有し、上記周遊ルート生成部は、上記要求に基づいて上記基準点と上記経由地点との間のルート、及び上記複数の経由地点間のルートを探索してもよい。
【0014】
また、上記経由地点決定部は、上記要求に基づいて上記経由地点を決定してもよい。
【0015】
また、上記距離取得部は、入力されたカロリー又は移動時間の情報を、移動手段に応じた基準に基づいて距離に換算することにより上記目標ルート距離を取得してもよい。
【0016】
また、現在位置の情報を取得する位置取得部をさらに有し、上記基準点取得部は、上記現在位置を上記基準点として取得してもよい。
【0017】
また、上記経由地点決定部は、上記経由地点を決定した後、当該経由地点付近の地図データを用いて、上記経由地点が実際に経由することのできる地点となるよう補正してもよい。
【0018】
また、上記経由地点決定部は、上記基準点と上記経由地点とを直線で結んだ直線周遊距離が上記目標ルート距離より短くなるように経由地点を決定してもよい。
【0019】
また、上記周遊ルートを地図に重畳させた地図表示画面を表示部に表示させる表示制御部をさらに有してもよい。
【0020】
また、上記表示制御部は、上記周遊ルート周辺のPOI情報を上記地図表示画面上に表示させてもよい。
【0021】
また、上記周遊ルートに従って、道順を案内するナビゲーション部をさらに有してもよい。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、生成する周遊ルートの目標ルート距離を取得する距離取得ステップと、上記周遊ルートの出発地点とする基準点を取得する基準点取得ステップと、上記周遊ルートの経由地点を決定する経由地点決定ステップと、上記基準点から上記経由地点を経由し、再び上記基準点に戻るまでのルート距離が、上記目標ルート距離となる周遊ルートを生成する周遊ルート生成ステップと、を含む、周遊ルート生成方法が提供される。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、生成する周遊ルートの目標ルート距離を取得する距離取得部と、上記周遊ルートの出発地点とする基準点を取得する基準点取得部と、上記周遊ルートの経由地点を決定する経由地点決定部と、上記基準点から上記経由地点を経由し、再び上記基準点に戻るまでのルート距離が、上記目標ルート距離となる周遊ルートを生成する周遊ルート生成部と、を有する、周遊ルート生成装置として機能させるための、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明によれば、ユーザによる目的地の指定を必要とせず、出発地点からの周遊ルートを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るPNDの外観図である。
【図2】PNDの機能構成を示すブロック図である。
【図3】PND周りの座標系を示す説明図である。
【図4】PNDのナビゲーション部の詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図5】PNDのナビゲーション開始までの動作を示すシーケンス図である。
【図6】PNDの画面遷移を示す説明図である。
【図7】PNDの画面遷移を示す説明図である。
【図8】PNDの画面遷移を示す説明図である。
【図9】周遊ルート生成処理の概要についての説明図である。
【図10】周遊ルート生成処理の概要についての説明図である。
【図11】周遊ルート生成処理の全体の動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】経由地点Aの決定処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】経由地点B及びCを決定するためのパラメータ決定処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】ルート距離判断処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】経由地点Aの決定処理を説明するための説明図である。
【図16】周遊ルート生成処理を説明するための説明図である。
【図17】携帯電話の外観図の一例である。
【図18】携帯電話の機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.PNDの構成
2.PNDの動作と画面遷移
3.周遊ルート生成処理の概要
4.周遊ルート生成処理の詳細
5.携帯電話への適用例
【0028】
<1.PNDの構成>
まず初めに、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の一例であるPNDの構成について図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るPNDの外観図である。図2は、PNDの機能構成を示すブロック図である。図3は、PND周りの座標系を示す説明図である。図4は、PNDのナビゲーション部の詳細な機能構成を示すブロック図である。
【0029】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る周遊ルート生成装置の一例であるPND10の外観例が示される。PND10は、目的地までの経路を案内するナビゲーション機能を有し、位置情報に対応付けられた各種の情報をユーザに提供する機能を有する。PND10は、その前面に各種の情報を提供する情報提供画面を含む画像を表示する表示部12を有し、車両のダッシュボード上に吸盤16を介して取付けられたクレードル14によってその筐体が保持される。PND10は、クレードル14に容易に取付けることができるとともに、取り外しすることも可能である。
【0030】
このPND10は、PND10自身の現在の位置情報を取得する機能を有するとともに、地図データを記憶している。このため、PND10は、地図上に現在位置の情報を重畳して表示部12に表示させることができる。本実施形態において、PND10は、ユーザが目的地を指定することを必要とせず、出発地点である基準点から経由地点を通って再び基準点に戻ってくる周遊ルートを生成する。本実施形態において、出発地点は現在位置の場合について説明するが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ユーザにより指定された地点を出発地点としてもよい。
【0031】
このPND10の機能構成について、図2を参照しながら説明する。PND10は、表示部12と、記憶部102と、操作部104と、音声出力部106と、ナビゲーション機能ユニット110とを主に有する。
【0032】
ナビゲーション機能ユニット110は、GPSアンテナ112と、Z軸ジャイロセンサ114と、Y軸ジャイロセンサ116と、3軸加速度センサ118と、地磁気センサ120と、気圧センサ122と、GPS処理部132と、角度算出部134と、位置算出部136と、速度算出部138と、姿勢角検出部140と、方位算出部142と、高度算出部144と、ナビゲーション部150とを主に有する。
【0033】
表示部12は、例えば、地図データに現在位置を示す情報を重畳した画面を出力する表示装置である。また、本実施形態においては、表示部12は、生成した周遊ルートを地図データに重畳した画面を出力する。この表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置であってもよい。
【0034】
記憶部102は、PND10が動作するためのプログラムや、地図データなどを記憶する記憶媒体である。なお、この記憶部102は、例えば、Flash ROM(又はFlash Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの不揮発性メモリ、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスク、CD(Compact Disc)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu−Ray Disc(登録商標))などの光ディスク、並びに、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。
【0035】
操作部104は、ユーザによる操作指示を受付け、その操作内容をナビゲーション機能ユニット110に出力する。ユーザによる操作指示としては、例えば、目的地の設定、地図の拡大および縮小、音声案内設定、画面表示設定などが挙げられる。この操作部104は、表示部12と一体的に設けられるタッチスクリーンであってもよい。或いは、操作部104は、ボタン、スイッチ、およびレバーなど、表示部12と分離して設けられる物理的構成であってもよい。また、操作部104は、リモートコントローラから送信されたユーザによる操作指示を示す信号を検出する信号受信部であってもよい。
【0036】
音声出力部106は、音声データを出力する出力装置であり、例えば、スピーカなどであってよい。この音声出力部106は、例えば、ナビゲーションにかかる音声ガイダンスを出力する。ユーザは、この音声ガイダンスを聞くことにより表示部12を見なくても進むべき経路を知ることができる。
【0037】
GPSアンテナ112は、複数のGPS衛星からのGPS信号を受信することができ、受信したGPS信号をGPS処理部132に入力する。なお、ここで受信されるGPS信号には、GPS衛星の軌道を示す軌道データと、信号の送信時刻などの情報が含まれている。
【0038】
GPS処理部132は、GPSアンテナ112から入力された複数のGPS信号に基づいて当該PND10の現在位置を示す位置情報を算出し、算出した位置情報をナビゲーション部150に供給する。具体的には、GPS処理部132は、複数のGPS信号をそれぞれ復調することにより得られる軌道データから各GPS衛星の位置を算出し、GPS信号の送信時刻と受信時刻との差分から各GPS衛星から当該PND10との距離を算出する。そして、算出された各GPS衛星の位置と、各GPS衛星から当該PND10までの距離とに基づいて、現在の3次元位置を算出する。
【0039】
ナビゲーション機能ユニット110は、上記のGPSアンテナ112とGPS処理部132による絶対位置取得機能に加えて、各種のセンサを用いた相対位置取得機能を有する。この相対位置の情報は、絶対位置を取得することができない状況、即ち、GPS信号を受信することができない位置にPND10が存在している状況において用いられても良い。または、相対位置の情報は、絶対位置の情報と合わせて用いられても良い。
【0040】
Z軸ジャイロセンサ114は、PND10が旋回しているときのZ軸周りの回転角の変化する速度(角速度)であるヨーレートωを電圧値として検出する機能を有するセンサである。Z軸ジャイロセンサ114は、このヨーレートを例えば50Hzのサンプリング周波数で検出して、検出されたヨーレートを示すデータを角度算出部134に入力する。なお、図3に示したように、Z軸は鉛直方向に対応する。そして、X軸はPND10の進行方向に対応し、Y軸はX軸に直交する水平方向に対応する。
【0041】
角度算出部134は、Z軸ジャイロセンサ114から入力されたヨーレートωにサンプリング周期(例えば、ここでは0.02s)を積算することにより、PND10が旋回したときの角度θを算出し、その角度θが示された角度データを位置算出部136に入力する。
【0042】
Y軸ジャイロセンサ116は、Y軸周りの角速度であるピッチレートωyを電圧値として検出する機能を有するセンサである。Y軸ジャイロセンサ116は、このピッチレートを例えば50Hzのサンプリング周波数で検出して、検出されたピッチレートを示すデータを速度算出部138に入力する。
【0043】
3軸加速度センサ118は、X軸に沿った加速度αx、Y軸に沿った加速度αy、及びZ軸に沿った加速度αzをそれぞれ電圧値として検出する機能を有するセンサである。3軸加速度センサ118は、この加速度αx、加速度αy、および加速度αzを例えば50Hzのサンプリング周波数で検出して、検出された加速度を示すデータを速度算出部138および姿勢角検出部140に入力する。
【0044】
速度算出部138は、3軸加速度センサ118から入力されたZ軸に沿った加速度αzをY軸ジャイロセンサ116から入力されたピッチレートωyで除算することにより進行方向に対する速度Vを例えば1秒につき50回算出し、算出した速度Vを位置算出部136に入力する。
【0045】
位置算出部136は、速度算出部138により算出された速度Vおよび角度算出部134により算出された角度θに基づき、現在位置の位置情報を算出する機能を有する。具体的には、位置算出部136は、速度Vおよび角度θに基づいて前回算出時の位置から現在位置までの変化量を求める。そして、位置算出部136はこの変化量と前回の位置とから現在の位置情報を算出する。その後位置算出部136は、この現在位置の位置情報をナビゲーション部150に供給する。
【0046】
姿勢角検出部140は、まず3軸加速度センサ118から入力された加速度データαx、αyおよびαzに基づいて所定の姿勢角検出処理を行うことにより、PND10の姿勢角を示す姿勢角データを生成して方位算出部142に入力する。
【0047】
地磁気センサ120は、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向それぞれの地磁気Mx、MyおよびMzをそれぞれ電圧値として検出するセンサである。地磁気センサ120は、この検出した地磁気データMx、MyおよびMzを方位算出部142に入力する。
【0048】
方位算出部142は、地磁気センサ120から入力された地磁気データMx、MyおよびMzに対して所定の補正処理を施し、補正した地磁気データと姿勢角検出部140から入力された姿勢角データとに基づいてPND10の方位を示す方位データを生成する。方位算出部142は、生成した方位データをナビゲーション部150に供給する。
【0049】
すなわち地磁気センサ120、3軸加速度センサ118、姿勢角検出部140、および方位算出部142は、いわゆる電子コンパスとして機能し、方位データを生成する。ナビゲーション部150は、主にPND10がクレードル14から離脱されて使用されるとき(例えば徒歩にて使用される場合など)にこの方位データを利用してPND10の向きに合わせて表示した地図データをユーザに提供することができる。なお、PND10は、車載にて使用されるときには、自車位置の経路から地図データにある道路と自車位置との対応付けを行い、地図の方位に基づいてPND10の向きに合わせた地図データをユーザに提供することもできる。あるいは、取得したGPS方位からPND10の向きを算出してその向きに合わせた地図データをユーザに提供することもできる。
【0050】
気圧センサ122は、周囲の気圧を電圧値として検出する機能を有するセンサである。気圧センサ122は、気圧を例えば50Hzのサンプリング周波数で検出し、検出した気圧データを高度算出部144に入力する。
【0051】
高度算出部144は、気圧センサ122から入力された気圧データに基づいて、PND10の高度を算出し、算出された高度データをナビゲーション部150に供給する。
【0052】
以上の構成により、ナビゲーション部150は、GPS処理部132または位置算出部136から現在の位置情報を取得することができ、さらに方位算出部142からPND10の向いている方位を、高度算出部144からはPND10の高度を取得することができる。ここで、ナビゲーション部150は、取得した位置に関する情報をそのまま用いることもできるが、各種の補正を施すこともできる。例えば、補正処理の典型的な一例としては、マップマッチング処理が挙げられる。マップマッチング処理とは、位置情報の誤差を補正するために、地図情報を利用する手法である。マップマッチング処理によって、位置情報の変化から地図上の該当する道路を探索し、正しい位置情報が推定され、この推定に基づいて位置情報は補正される。
【0053】
ここで、ナビゲーション部150の主な機能について、図4を参照しながらより詳細に説明する。ナビゲーション部150は、表示制御部151と、ルート生成条件取得部152と、基準点取得部153と、経由地点決定部154と、ルート探索処理部155と、ナビゲーション処理部156とを主に有する。
【0054】
表示制御部151は、ユーザに提供する表示画面を生成し、表示部12に表示させる機能を有する。表示制御部151は、例えば、地図上にPND10の現在位置を示すアイコンを重畳した画面を表示させる。また、表示制御部151は、ナビゲーションに関するメニュー画面や各種の設定画面を表示させることもできる。特に、表示制御部151は、周遊ルートの生成に際して、周遊ルート生成のための条件(例えば、ユーザの移動手段、及びユーザの目的)を選択するための画面、及び、生成された周遊ルートを地図上に重畳させた画面を表示させることもできる。ここで、表示制御部151は、生成された周遊ルートを地図上に重畳させた画面において、周遊ルート周辺のPOI(Point Of Interest)情報をさらに地図に重畳して表示させてもよい。
【0055】
生成条件取得部152は、周遊ルートを生成するための生成条件を取得する。例えば、生成条件取得部152は、生成する周遊ルートの目標ルート距離を取得する距離取得部として機能する。この距離取得部は、ユーザが生成条件を選択するための画面において操作部104を用いて入力した距離を取得してもよい。或いは、距離取得部は、移動時間又はカロリー等の距離とは異なる基準に従って入力された生成条件を距離に換算することにより目標ルート距離を取得してもよい。このとき、距離取得部は、移動手段に応じた基準(例えば、速度)で移動時間又はカロリーの値を距離に換算することができる。また、距離取得部は、ユーザ毎に移動速度の値が予め分かっている場合には、この値を用いてもよい。この移動速度の値は、例えばPND10がユーザ毎に平均移動速度の統計を取っている場合には、この統計値であってもよい。或いは、移動速度の値は、ユーザが予め設定値として設定した値であってもよい。
【0056】
さらに、生成条件取得部152は、生成する周遊ルートに対するユーザの要求又は周遊ルートに従って行動するユーザの目的を取得する要求取得部又は目的取得部としても機能する。例えば、ユーザの要求又は目的としては、“サイクリング”、“ダイエット”、“気晴らし”、“寺社巡り”などが挙げられる。
【0057】
基準点取得部153は、生成する周遊ルートの出発地点とする基準点を取得する。基準点取得部153は、例えば、PND10の現在位置を基準点とすることができる。或いは、基準点取得部153は、ユーザが操作部104を用いて入力した地点を基準点とすることもできる。基準点を現在位置とした場合には、PND10を用いるユーザは、いつでも、そのとき居る場所からの周遊ルートを取得することができるようになる。或いは、基準点をユーザの指定地点とした場合には、未来の移動についてのスケジューリングに用いることができるかもしれない。例えば、旅先の宿泊地からの周遊ルートを生成することにより、旅行中の1日の行動計画を作成することができる。以下の説明中においては、基準点は現在位置である場合について説明する。
【0058】
経由地点決定部154は、周遊ルートが経由する経由地点を決定する機能を有する。経由地点決定部154は、まず、基準点と経由地点とを直線で結んだ周遊ルートである直線周遊ルートの直線周遊距離が、目標ルート距離より短くなるように経由地点を決定する。ここで決定された経由地点は、その地点の属性(海の上、道の上、施設、公園内など)が考慮されていない。このため、経由地点決定部154は、地図データを用いて、最寄探索又は近傍のリンクの探索処理により、経由地点を、施設及び道路上などの、実際に経由することのできる地点に補正してもよい。また、経由地点決定部154は、複数の経由地点を決定してもよい。ここで経由地点決定部154は、初めに決定する経由地点の位置が、周遊ルート生成の度に互いに異なる地点となるように決定してもよい。このようにすることで、生成するルートが毎回互いに異なるルートとなるため、ユーザは周遊ルート生成のたびに新たなルートを取得することができる。このとき、経由地点決定部154は、ユーザの目的に基づいて経由地点を決定してもよい。例えば、ユーザの目的が寺社巡りである場合には、経由地点を寺社としてもよい。また、ユーザの目的が気晴らしである場合には、経由地点を景色の良い丘などとしてもよい。経由地点決定部154が経由地点を決定する具体的な方法については、後に詳述される。
【0059】
ルート探索処理部155は、複数の地点間のルートを探索する機能を有する。ルート探索処理部155は、例えば現在地から目的地までのルートを探索することができる。また、本実施形態においては、ルート探索処理部155は、生成条件取得部152の取得する生成条件に従って、基準点取得部153の取得する基準点から、経由地点決定部154の決定する経由地点を経由して再び基準点に戻るまでのルート距離が目標ルート距離となる周遊ルートを生成する周遊ルート生成部としても機能する。ルート探索処理部155は、基準点と経由地点との間のルート、又は、経由地点と経由地点との間のルートを探索する。このとき、ルート探索処理部155は、周遊ルートのルート距離が、目標周遊ルートとなるように、各ルートを探索する。また、ルート探索処理部155は、ユーザの目的に合わせて各ルートを探索してもよい。例えば、ルート探索処理部155は、ユーザの目的がダイエットである場合には、坂道が多いルートを探索してもよい。或いは、ルート探索処理部155は、ユーザの目的が気晴らしである場合には、眺めの良い道を経由するルートを探索してもよい。
【0060】
ナビゲーション処理部156は、現在地から目的地までのルート、或いは、生成された周遊ルートに従って、ユーザを案内する機能を有する。例えば、ナビゲーション処理部156は、表示制御部151により表示部12に案内するルートが地図上に重畳された表示画面を表示させることにより、ユーザにルートを案内することができる。或いは、ナビゲーション処理部156は、音声出力部106によりルートを案内するための音声を出力させることにより、ユーザにルートを案内することができる。例えば、ナビゲーション処理部156は、交差点におけるユーザが進むべき道を示すために、右折又は左折を促すための音声を出力させることができる。
【0061】
以上、本実施形態に係るPND10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0062】
なお、上述のような本実施形態に係るPND10の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0063】
<2.PNDの動作と画面遷移>
次に、同実施形態に係るPND10の動作と画面遷移について図5〜図8を参照しながら説明する。図5は、PNDのナビゲーション開始までの動作を示すシーケンス図である。図6〜図8は、PNDの画面遷移を示す説明図である。
【0064】
例えば、図6の地図表示画面1201において、ユーザがメニュー画面を表示するための操作を行うと、表示制御部151は、メニュー画面1203を表示させる(S101)。ここで、ユーザが、メニュー画面1203の周遊コース生成モードのタブを選択すると(S103)、次に表示制御部151は、移動手段選択画面1205を表示させる(S105)。ここで、移動手段選択画面1205には、車で移動することを示すドライブモード、自転車で移動することを示すサイクリングモード、走って移動することを示すジョギングモード、及び歩いて移動することを示す徒歩モード、をそれぞれ示すアイコンが含まれる。
【0065】
ここで、ユーザは、移動手段を選択する(S107)。例えば、ユーザがサイクリングモードを示すアイコンを選択した場合には、表示制御部151は、サイクリングモードにおいて選択することのできる目的を示すアイコンを含む目的選択画面1207を表示させる(S109)。目的選択画面1207においてユーザが目的を選択すると(S111)、表示制御部151は、所要時間入力画面1209を表示させる(S113)。このとき、表示制御部151は、所要カロリー入力画面、又は目標ルート距離入力画面を表示させてもよい。
【0066】
ユーザは、所要時間入力画面1209において、周遊ルートを移動するのにかかる時間の目標値を入力する(S115)。例えば、ユーザは、その時点から1時間程度で戻ってこれるルートを知りたい場合には、所要時間入力画面1209において1時間と入力する。例えば、所要時間入力画面1209においては、上下の矢印を押下することにより、数字が変化し、所望の数字が表示されている状態で決定ボタンを押下すると入力が確定されるようにしてもよい。或いは、ユーザが所要時間入力画面1209のタッチパネルに触れたまま、上から下、又は下から上にスクロールする操作を行うことにより、枠内の数字が変化して、所望の数字が表示されている状態で決定ボタンを押下することにより入力が確定されるようにしてもよい。
【0067】
所要時間が確定されると、表示制御部151は、入力した生成条件の確認画面1211を表示させる(S117)。ここでは、入力した目的及び入力した所要時間を含む確認画面1211が表示され、ユーザは入力値が正しい場合にはOKボタンを押下して生成条件を確定することができる。或いは、入力値が間違っている場合、又は入力値を変更したい場合には、変更ボタンを押下することにより、各入力値を変更することもできる。つまり、ユーザは、OKボタンを押下することによりルート生成開始を入力する(S119)。
【0068】
ユーザによりルート生成開始が指示されると、PND10は、ルート生成処理を実行する(S121)。具体的には、ルート生成処理は、基準点取得部153による基準点の取得、経由地点決定部154による経由地点の決定、及びルート探索処理部155による各ルートの探索を含む。ルート生成処理が実行されている間、表示制御部151は、例えば図8に示す処理実行中画面1213を表示させてもよい。ルート生成処理が終了すると、表示制御部151は、地図上に生成した周遊ルートを重畳したルート表示画面1215を表示させる。このとき、表示制御部151は、基準点である現在位置と、決定された経由地点との位置を地図上に示してもよい。図8において、経由地点は、旗の形状をしたアイコンにより示される。
【0069】
なお、このルート表示画面1215において、ナビゲーション開始のための操作を行うと(S125)、ナビゲーション処理部156は、生成した周遊ルートに従ったナビゲーション処理を行うこともできる(S127)。或いは、PND10は、生成した周遊ルートの情報を記憶部102に記憶してもよい。例えば、ユーザが、ルート表示画面1215の保存ボタンを押下すると、ナビゲーション部150は、生成したルートを記憶部102に記憶させてもよい。
【0070】
また、例えばルート表示画面1215において、ユーザが中止ボタンを押下すると、表示制御部151は、確認画面1211を表示させてもよい。例えばこの確認画面において、ユーザが再びOKボタンを押下すると、経由地点決定部154は、前回周遊ルートを生成したときとは異なる地点を経由地点として決定してもよい。このように、毎回異なる経由地点が選択されることにより、前回とは異なるルートを生成することができる。このため、ユーザは、同じ生成条件であっても、操作を行う度に異なる周遊ルートを取得することができる。
【0071】
また、ルート表示画面1215には、生成された周遊ルート周辺のPOI情報を示すアイコンが表示されている。生成したルートの周辺に位置するお店や公園などの施設に関する情報が表示されれば、ユーザは、生成したルートに従って移動する際の行動を計画するときに表示されたPOI情報を参考にすることができる。例えば、ルート付近の飲食店の情報が表示されれば、ユーザは表示されたPOI情報の中から休憩地点を選択することができる。なお、表示制御部151は、表示するPOI情報を、生成したルートの目的に基づいて選択してもよい。例えば、
【0072】
<3.周遊ルート生成処理の概要>
次に、同実施形態に係るPND10の周遊ルート生成処理の概要について図9及び図10を参照しながら説明する。図9及び図10は、周遊ルート生成処理の概要についての説明図である。
【0073】
図9を参照すると、本実施形態において生成する周遊ルートの完成形の概要が示される。ここでは、基準点を現在地Sとして、3つの経由地点A,B,Cを決定し、この基準点Sと、経由地点A,B,Cとを通る周遊ルートS→B→A→C→Sが生成される。
【0074】
この周遊ルートを生成する方法の概要は、次の通りである。まず、基準点取得部153が現在地Sを基準点として取得すると、経由地点決定部154は、現在地Sを基準として、経由地点Aを決定する。このとき、経由地点決定部154は、基準点S→経由地点A→基準点Sのルート距離が、目標ルート距離よりも短くなるように経由地点Aを決定する(図10の符号11参照)。次に、経由地点決定部154は、直線SAを軸として、経由地点Bと経由地点Cとが互いに逆側となるように経由地点B及び経由地点Cを決定する(符号13参照)。
【0075】
次に、ルート探索処理部155がSB間、BA間、AC間、及びCS間のルートをそれぞれ探索する(符号15参照)。ここで、それぞれ探索されたルートのルート距離を加算して得られたS→B→A→C→Sのルート距離をzとし、目標ルート距離をDとする。このとき、経由地点決定部154は、zとDとの値を比較して、zがDよりも短ければ経由地点Bと経由地点Cとが互いに遠ざかるように経由地点B及び経由地点Cの位置を補正する(符号17a参照)。一方、経由地点決定部154は、zとDとの値を比較して、zがDよりも長い場合には、経由地点Bと経由地点Cとが互いに近づくように経由地点B及び経由地点Cの位置を補正する(符号17b参照)。経由地点決定部154は、zとDとの距離がほぼ等しくなるまでこの補正処理を繰り返す(符号19参照)。
【0076】
以上、周遊ルート生成処理について、その概要を説明した。ここでは、直感的に周遊ルート生成処理を理解するために、詳細な理論については省略して説明した。そこで、次にこの周遊ルート生成処理についてより具体的に説明する。
【0077】
<4.周遊ルート生成処理の詳細>
次に、PND10の周遊ルート生成処理について、図11〜図16を参照しながらより具体的に説明する。図11は、周遊ルート生成処理の全体の動作の一例を示すフローチャートである。図12は、経由地点Aの決定処理の一例を示すフローチャートである。図13は、経由地点B及びCを決定するためのパラメータ決定処理の一例を示すフローチャートである。図14は、ルート距離判断処理の一例を示すフローチャートである。図15は、経由地点Aの決定処理を説明するための説明図である。図16は、周遊ルート生成処理を説明するための説明図である。
【0078】
まず、生成条件取得部152は、入力された所要時間、消費カロリー、又は距離を取得する(S201)。そして、生成条件取得部152は、取得した生成条件が距離であるか否かを判断する(S203)。そして、入力が距離でない、即ち、所要時間又は消費カロリーである場合には、生成条件取得部152は、取得された所要時間又は消費カロリーを距離に換算する(S205)。一方、ステップS203の判断において、入力が距離であった場合には、ステップS205の処理は省略される。そして、生成条件取得部152は、入力された距離、若しくは、所要時間又は消費カロリーを換算して得られた距離を目標ルート距離Dに設定する(S207)。
【0079】
次に、経由地点決定部154は、基準点Sから東の方向を0度とする角度θA’をランダムに決定する。また、経由地点決定部154は、基準点Sから角度θA’の方向に距離d’離れた点A’を決定する(S209)(図15符号21参照)。ここで、d’は、D/6<d’<D/8の値となることが好ましい。
【0080】
そして、経由地点決定部154は、点A’を補正して経由地点Aを決定する(S211)。ここで、経由地点Aを決定する処理の詳細が図12に示される。まず、経由地点決定部154は、点A’を中心とした最寄検索又は近傍のリンクの探索処理をして、点Aを決定する(S301)(符号23参照)。そして、経由地点決定部154は、点Sから点Aまでの方向θ、及び、点Sと点Aとの間の直線距離dを算出する(S303)(符号25参照)。ここで、例えば点A’が海上の地点である場合などは、近傍のリンクの探索処理により、点Aが大幅に補正されることがある。このため、ここでdの値が所定の範囲D/8.5<d<D/5.5の値となっているか否か判断する(S305)。ここで、dが所定の範囲内の値でないと判断された場合には、経由地点決定部154は、θA’の値をπ/6増やして点A’を決定し直す(S313)。
【0081】
一方、ステップS305の判断において、dが所定の範囲内の値となっている場合には、次に、ルート探索処理部155は、点Sから点Aのルートを探索する(S307)。経由地点決定部154は、ステップS307において探索されたルートのルート距離xを取得する(S309)(符号27参照)。経由地点決定部154は、このルート距離xが所定の範囲(D/8<x<D/5)内であるか否かを判断する(S311)。ステップS311の判断において、xが所定の範囲内でないと判断された場合には、再びステップS313に戻り、経由地点決定部154は、θA’の値をπ/6増やして点A’を決定し直す。一方、ステップS311の判断においてxが所定の範囲内である場合には、点A決定処理を終了する。
【0082】
再び図11に戻ると、次に、経由地点決定部154は、θ、θ、及びyを決定する(S213)。ここで、ステップS213の詳細な動作について、図13及び図16を参照しながら説明する。まず、経由地点決定部154は、点Sと点Aとの中間点を点Mとする(S401)。そして、経由地点決定部154は、角度θ及びθ’を、−π/4からπ/4のうちランダムな値でそれぞれ決定する(S403)。そして、θ=θ−π/2+θ、θ=θ+π/2+θ’の式に従ってθ及びθが決定される(S405)。また、ここで、経由地点決定部154は、ステップS407に記載の式に従ってyを決定する。ここで、係数である0.2は経験則により求められた値であり、必ずしも0.2でなくてもよい。
【0083】
また図11に戻ると、次に、経由地点決定部154は、θ、θ、及びyに基づいて点B’及び点C’を決定する(S215)。即ち、経由地点決定部154は、点Mから方向θに向かって直線距離y離れた点B’と、点Mから方向θに向かって直線距離y離れた点C’とを決定する(符号31参照)。ここで、θ、及びθを上記の式に従って決定することにより、経由地点決定部154は、基準点と点Aとを結ぶ線を挟んで互いに逆方向に位置する点B’と点C’とを決定することができる。
【0084】
次に、経由地点決定部154は、決定した点B’及び点C’を中心とした最寄検索又は近傍のリンクの探索処理を実行することにより点B’及び点C’を補正し、点B及び点Cを決定する(S217)(符号33参照)。そして、ルート探索処理部155は、S→B、B→A、A→C、C→Sのルートをそれぞれ探索することにより、S→B→A→C→Sの周遊ルートを探索する(S219)。ここで、経由地点決定部154は、このルート距離の合計zが適切な範囲内にあるか否かの判断処理を実行する(S221)。ステップS221のルート距離判断処理を実行すると、実行結果としてルート距離が適切であるか否かの判断が出力される。経由地点決定部154は、この実行結果に基づいて、ルート距離zは適切であるか否かを判断する(S223)。ステップS223の判断により、ルート距離が適切でないと判断された場合には、ステップS215に戻り、経由地点B及び経由地点Cが再び決定される。一方、ステップS223の判断により、ルート距離が適切であると判断された場合には、周遊ルート生成処理は終了される。
【0085】
ここで、ステップS221に示したルート距離判断処理の詳細について、図14を参照しながら説明される。まず、探索したルートのルート距離をzとする(S501)。そして、このzの値が0.9D<z<1.1Dの範囲内であるか否かを判断する(S503)。即ち、zの値が上記範囲内である場合に、ルート距離は適切であるとする(S521)。ここで、zの値の範囲は、目標ルート距離Dからの誤差許容範囲をどの程度に設定するかに応じて決められる。
【0086】
一方、ステップS503の判断において、zが所定の範囲内でないと判断された場合には、ルート距離は適切でないと判断される。このとき、経由地点決定部154は、ステップS505からステップS519の処理を行って、経由地点B及び経由地点Cを決定し直すための準備を行う。
【0087】
まず、経由地点決定部154は、e=D−zの値を計算する(S505)。そして、経由地点決定部154は、かかるルート距離判断処理が1回目の処理であるか否かを判断する(S507)。ステップS507の判断において、1回目の処理であると判断された場合には、経由地点決定部154は、ステップS509に記載の式に従って、wの値を計算する(S509)。一方、ステップS507の判断において、1回目の処理ではないと判断された場合には、ステップS509の計算は省略される。そして、wを半分の値に設定する(S511)。
【0088】
次に、経由地点決定部154は、eの値が正の値であるか否かを判断する(S513)。そして、ステップS513の判断において、eが正の値であると判断された場合には、yにwの値を加えて新たなyとする(S515)。一方、ステップS513の判断において、eが負の値であると判断された場合には、yからwの値を減算して新たなyとする(S517)。そして、経由地点決定部154は、ルート距離は適切でないと判断して(S519)、ルート距離判断処理を終了する。
【0089】
以上、周遊ルート生成のためのアルゴリズムについて説明してきた。ここでは、3つの経由地点を決定し、基準点から3つの経由地点を経由して再び基準点に戻る周遊ルートを生成する周遊ルート生成装置について説明された。しかし、経由地点の数を変更することも可能である。経由地点の数が異なる場合には、ここで説明された数式中の各種パラメータを調整する必要がある。特に、経由地点の位置を決定する際に用いる数式中において、目標ルート距離Dの係数は、経験的に定められる値である。経由地点と基準点とを直線で結んだ直線周遊ルートのルート距離は、周遊ルートの中で最短距離を有する。即ち、実際のルート距離は、直線周遊ルートのルート距離よりも長い。このため、経由地点決定部154は、この直線周遊ルート距離を目標ルート距離よりも短くするように経由地点を決定する。
【0090】
<5.携帯電話への適用例>
次に、上記において説明してきた周遊ルート生成処理の携帯電話への適用例について図17及び図18を参照しながら説明する。図17は、携帯電話の外観図の一例である。図18は、携帯電話の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0091】
図17に示したように、携帯電話30は、表示部302と、操作部304と、スピーカ324とを有する。また、携帯電話30は、PND10と同様、クレードル303を介して、吸盤306により車両に取り付けるようになされていてもよい。
【0092】
図18に示したように、携帯電話30は、ナビゲーション機能ユニット110と、表示部302と、操作部304と、記憶部308と、携帯電話機能ユニット310と、統括制御部334とを主に有する。
【0093】
携帯電話機能ユニット110は、表示部302、操作部304、および記憶部308と接続されている。因みに、図18においては、簡略化して図示しているが、表示部302、操作部304、および記憶部308は、ナビゲーション機能ユニット110にもそれぞれ接続されている。なお、ナビゲーション機能ユニット110の詳細な構成については、図2及び図4を用いて詳述したためここでは説明を省略する。
【0094】
携帯電話機能ユニット110は、通話機能や電子メール機能などを実現するための構成であり、通信アンテナ312と、マイクロホン314と、エンコーダ316と、送受信部320と、スピーカ324と、デコーダ326と、携帯電話制御部330と、を有する。
【0095】
マイクロホン314は、音声を集音し、音声信号として出力する。エンコーダ316は、携帯電話制御部330による制御に従い、マイクロホン314から入力される音声信号のデジタル変換およびエンコードなどを行い、音声データを送受信部320に出力する。
【0096】
送受信部320は、エンコーダ316から入力される音声データを所定の方式に従って変調し、通信アンテナ312から無線で携帯電話30の基地局へ送信する。また、送受信部320は、通信アンテナ312により無線信号を復調して音声データを取得し、デコーダ326に出力する。
【0097】
デコーダ326は、携帯電話制御部330による制御に従い、送受信部320から入力される音声データのデコードおよびアナログ変換などを行い、音声信号をスピーカ324に出力する。スピーカ324は、デコーダ326から供給される音声信号に基づいて音声を出力する。
【0098】
また、携帯電話制御部330は、電子メールを受信する場合、送受信部320からデコーダ326に受信データを供給し、デコーダ326に受信データをデコードさせる。そして、携帯電話制御部330は、デコードにより得られた電子メールデータを表示部302に出力して表示部302に表示させる共に、記憶部308に電子メールデータを記録する。
【0099】
また、携帯電話制御部330は、電子メールを送信する場合、操作部304を介して入力された電子メールデータをエンコーダ316にエンコードさせ、送受信部320および通信アンテナ312を介して無線送信する。
【0100】
総括制御部334は、上述した携帯電話ユニット310およびナビゲーション機能ユニット110を制御する。例えば、総括制御部334は、ナビゲーション機能ユニット110によりナビゲーション機能を実行している間に電話がかかってきた場合、ナビゲーション機能を携帯電話ユニット310による通話機能に一時的に切替え、通話終了後、ナビゲーション機能ユニット110にナビゲーション機能を再開させてもよい。
【0101】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0102】
例えば、上記実施形態では、周遊ルート生成装置がPND10又は携帯電話30である場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、周遊ルート生成装置は、その他の携帯型電子機器であってもよい。また、上記実施形態においては、周遊ルート生成装置は、ナビゲーション装置の一機能として実現されたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、周遊ルート生成装置は、ナビゲーション機能を有さない端末装置において実現されてもよく、或いは、インターネットなどのネットワークに接続することのできるサーバ装置において実現されてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、GPSによる絶対位置測位機能と、センサによる相対位置測位機能とを有する周遊ルート生成装置について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、周遊ルート生成装置は、複数の基地局からのWiFi電波を受信する受信機と、受信したWiFi電波の受信強度から各基地局との距離を推定し、各基地局との距離および各基地局の位置を利用して三角測量の原理に基づいて現在位置を算出する現在位置算出部とを含む位置情報取得部を有するものであってもよい。また、測位衛星の一例として、GPSが挙げられたが、もちろん測位衛星はGPSに限られない。測位衛星は、ガリレオ、GLONASS、北斗、みちびきなど各種の測位衛星であってよい。このとき、測位衛星は、1つの種類の衛星が用いられてもよいし、複数の種類の衛星による測位信号が組合わせて用いられてもよい。実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、位置情報取得のために利用する構成を変更することが可能である。
【0104】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0105】
10 PND(周遊ルート生成装置)
30 携帯電話(周遊ルート生成装置)
102 記憶部
12 表示部
104 操作部
106 音声出力部
110 ナビゲーション機能ユニット
112 GPSアンテナ
114 Z軸ジャイロセンサ
116 Y軸ジャイロセンサ
118 3軸加速度センサ
120 地磁気センサ
122 気圧センサ
132 GPS処理部
134 角度算出部
136 位置算出部
138 速度算出部
140 姿勢角検出部
142 方位算出部
144 高度算出部
150 ナビゲーション部
151 表示制御部
152 生成条件取得部
153 基準点取得部
154 経由地点決定部
155 ルート探索処理部
156 ナビゲーション処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成する周遊ルートの目標ルート距離を取得する距離取得部と、
前記周遊ルートの出発地点とする基準点を取得する基準点取得部と、
前記周遊ルートの経由地点を決定する経由地点決定部と、
前記基準点から前記経由地点を経由し、再び前記基準点に戻るまでのルート距離が、前記目標ルート距離となる周遊ルートを生成する周遊ルート生成部と、
を備える、周遊ルート生成装置。
【請求項2】
前記経由地点決定部は、複数の前記経由地点を決定し、
前記周遊ルート生成部は、前記基準点と前記経由地点との間のルート、及び前記複数の経由地点間のルートを探索することにより、前記周遊ルートを生成する、
請求項1に記載の周遊ルート生成装置。
【請求項3】
前記経由地点決定部は、前記基準点からの方向を決定し、前記基準点から前記方向に位置する第1の経由地点と、前記基準点と前記第1の経由地点とを結ぶ線を挟んで互いに逆方向に位置する第2の経由地点及び第3の経由地点とを決定する、
請求項1又は2のいずれかに記載の周遊ルート生成装置。
【請求項4】
前記経由地点決定部は、周遊ルートを生成する度に前記方向をランダムに決定する、
請求項3に記載の周遊ルート生成装置。
【請求項5】
前記周遊ルートに対する要求を取得する要求取得部、
をさらに備え、
前記周遊ルート生成部は、前記要求に基づいて前記基準点と前記経由地点との間のルート、及び前記複数の経由地点間のルートを探索する、
請求項2〜4のいずれか1項に記載の周遊ルート生成装置。
【請求項6】
前記経由地点決定部は、前記要求に基づいて前記経由地点を決定する、請求項5に記載の周遊ルート生成装置。
【請求項7】
前記距離取得部は、入力されたカロリー又は移動時間の情報を、移動手段に応じた基準に基づいて距離に換算することにより前記目標ルート距離を取得する、請求項1に記載の周遊ルート生成装置。
【請求項8】
現在位置の情報を取得する位置取得部、
をさらに備え、
前記基準点取得部は、前記現在位置を前記基準点として取得する、請求項1に記載の周遊ルート生成装置。
【請求項9】
前記経由地点決定部は、前記経由地点を決定した後、当該経由地点付近の地図データを用いて、前記経由地点が実際に経由することのできる地点となるよう補正する、請求項1に記載の周遊ルート生成装置。
【請求項10】
前記経由地点決定部は、前記基準点と前記経由地点とを直線で結んだ直線周遊距離が前記目標ルート距離より短くなるように経由地点を決定する、請求項1に記載の周遊ルート生成装置。
【請求項11】
前記周遊ルートを地図に重畳させた地図表示画面を表示部に表示させる表示制御部をさらに備える、請求項1に記載の周遊ルート生成装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記周遊ルート周辺のPOI情報を前記地図表示画面上に表示させる、請求項11に記載の周遊ルート生成装置。
【請求項13】
前記周遊ルートに従って、道順を案内するナビゲーション部をさらに備える、請求項1に記載の周遊ルート生成装置。
【請求項14】
生成する周遊ルートの目標ルート距離を取得する距離取得ステップと、
前記周遊ルートの出発地点とする基準点を取得する基準点取得ステップと、
前記周遊ルートの経由地点を決定する経由地点決定ステップと、
前記基準点から前記経由地点を経由し、再び前記基準点に戻るまでのルート距離が、前記目標ルート距離となる周遊ルートを生成する周遊ルート生成ステップと、
を含む、周遊ルート生成方法。
【請求項15】
コンピュータを、
生成する周遊ルートの目標ルート距離を取得する距離取得部と、
前記周遊ルートの出発地点とする基準点を取得する基準点取得部と、
前記周遊ルートの経由地点を決定する経由地点決定部と、
前記基準点から前記経由地点を経由し、再び前記基準点に戻るまでのルート距離が、前記目標ルート距離となる周遊ルートを生成する周遊ルート生成部と、
を備える、周遊ルート生成装置として機能させるための、プログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−117848(P2012−117848A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265649(P2010−265649)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】