説明

味マスキング組成物を含む迅速溶解剤形用の均一フィルム

【課題】本発明は、補助薬の含有量が低く、味がマスクされた薬剤活性材料の含有量が高く、可撓性、構造的完全性および均一性が強化されたフィルムを得ることを追求する。本発明はさらに、その成分がフィルム全体にわたって均一に分布した本発明の組成物を生成する新規の方法を提供する。
【解決手段】(i)流動可能な少なくとも部分的に水溶性または少なくとも部分的に水膨潤性の湿潤フィルム形成マトリックスと、(ii)前記湿潤マトリックス内及び/または上に均一に配置された微粒子状の生体効果作用材料と、(iii)前記微粒子状の生体効果作用材料でコーティングされ、または前記微粒子状の生体効果作用材料と密接に結合した味マスキング剤と、を含むキャスト湿潤フィルムデリバリーシステムであって、結合した前記微粒子状の生体効果作用材料と前記味マスキング剤の平均粒径が、前記湿潤フィルムマトリックスの厚みである500-1500μm(20-60ミル)未満である、キャスト湿潤フィルムシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、薬剤として活性な作用材料(pharmaceutically active agent)または生体効果作用材料(bioeffecting agent)と、薬剤として活性な作用材料の味をマスクする味マスキング剤(taste-masking agent)とを含む、迅速に溶解するフィルムの形態の均一な剤形の調製および使用のための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製剤などの有効成分は、錠剤または同種の形態に含めて、正確かつ一貫した用量を提供することとができるが、このような剤形に薬物を含めることには、薬物の投与と調製の両面でいくつかの欠点がある。さらに、錠剤、乳剤などのような経口剤形では、制御放出または味のマスキングを提供するため、薬剤がコーティングされている。このような剤形では微粒子状薬剤の粒径は重要ではなく、一般に大径、すなわち200ミクロンを超える微粒子状薬剤が使用されている。
【0003】
薬剤活性材料を含むフィルムなどの代替の剤形を提供するいくつかの試みが実施された。しかしこのような試みは、正確な投薬を提供するのに十分な均一性を有する薬物を含んだフィルムを提供することにまだ成功していない。
【0004】
薬剤として活性な成分を含むフィルムはFuchs他の期限切れの米国特許第4,136,145号(「Fuchs」)に開示されている。これらのフィルムはシート状に成形し乾燥し、次いで個々の用量にカットすることができる。Fuchsの開示する特許は、均一なフィルムの製造を主張し、そのフィルムは水溶性ポリマー、界面活性剤、香味剤、甘味剤、可塑剤および薬物の組合せを含む。可撓性であると主張するこれらのフィルムは、経口、局所、または腸内の使用に有用として開示されている。Fuchsが開示した特定の用途の例には、口、直腸、膣、鼻および耳の領域を含めた身体の粘膜領域へのフィルムの適用が含まれる。
【0005】
しかし、Fuchsの開示した方法に従って製造したフィルムを検討すると、フィルムを本質的に不均一なものにする粒子の凝集または凝塊化、すなわち、自己凝集という欠点がこのようなフィルムに伴うことが判明する。この結果はFuchsのプロセスパラメータに帰することができ、具体的に開示されてはいないが、比較的に長い乾燥時間の利用を含み、これによって分子間引力、対流力、空気流などが促進され、このような凝集が形成される可能性が高い。
【0006】
凝集の形成によってフィルム成分、および存在するどんな活性材料も無秩序に分配される。大用量が関与する場合、フィルムサイズの小さな変化によってもフィルム当たりの活性材料の量に大きな相違が生じるはずである。このようなフィルムに活性材料が低用量で含まれることになれば、フィルム片には実質上いかなる活性材料も含まれないこともあり得る。フィルムシートは、通常単位用量にカットされるので、したがって指示された処置の活性材料がある投薬には含まれていなかったり、不十分な量である恐れがある。フィルム片中の有効成分の量に関して高度の精度を実現できないことは患者に害を及ぼす恐れがある。この理由のため、Fuchsの方法などにより形成された剤形は、剤形中の活性材料の変動に関連する国または当局の厳格な基準を満たさない可能性がある。現在、法によれば、剤形中に存在する活性材料の量が10%を超えて変動してはならない。フィルムに基づく単位用量に当てはめた場合、この基準はフィルム中に均一性が存在することを事実上命じている。
【0007】
さらに、フィルムが不快な味の薬剤を含むとき、フィルムの不均一性につながる自己凝集の問題は、不快な味のするフィルムに帰結する可能性がある。香味剤や甘味剤をフィルムに単純に混入するだけでは、不快な味のする薬剤の凝集を十分にマスクすることはできない。凝集の不均一性の結果、不快な味の作用材料と香味剤や甘味剤が分離してしまうからである。Fuchsは単に、フィルム形成用混合物に香味剤や甘味剤を混入することしかしておらず、これらの材料の凝集または分離の問題に取り組んでいない。
【0008】
同様に、WO00/42,992は、フィルム剤形中での味変更剤の使用を開示している。この国際出願も、単にフィルム形成用混合物に味変更剤を混入しているだけであり、不快な味のする薬剤から味変更剤が分離し、または凝集する問題を認識していない。
【0009】
さらに、WO01/70,194は、薬剤をそれに共有結合させるためのイオン交換樹脂の使用を開示している。これらの樹脂は、20ミクロンから200ミクロンの粒径を有し、味マスキング剤であると説明されている。これらのイオン交換樹脂を薬剤と結合させ、厚さ7ミルから11ミル、すなわち180ミクロンから280ミクロンの消費可能フィルムに混入すると記載されている。しかしこのようなイオン交換樹脂には、薬剤のイオン交換樹脂への結合に関して限界があり、味がマスクされた消費可能なフィルムを生成するプロセスが複雑かつ費用のかかるものになる。さらに、水に溶けないイオン交換樹脂の使用は、水溶性フィルム中の有用な薬剤の選択を、イオン樹脂に共有結合することができるある種の水溶性薬剤だけに限定する。
【0010】
したがって、フィルム内での粒子の凝集または分離、フィルムの不快な味がする効果などのフィルム内の薬物の不均一性に関連した問題に対処し、これを是正する、均一なフィルムとして提示される迅速溶解剤形が求められている。さらに、このような均一なフィルムの中に適当に含まれる味がマスクされた薬剤として活性な作用材料も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,136,145号(Fuchs他)
【特許文献2】WO00/42,992
【特許文献3】WO01/70,194
【特許文献4】米国特許出願第10/074,272号「Thin Film with Non-Self-Aggregating Uniform Heterogeneity and Drug Delivery Systems Made Therefrom」
【特許文献5】米国特許第5,028,632号
【特許文献6】米国特許第4,631,837号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、補助薬の含有量が低く、味がマスクされた薬剤活性材料の含有量が高く、可撓性、構造的完全性および均一性が強化されたフィルムを得ることを追求する。本発明はさらに、その成分がフィルム全体にわたって均一に分布した本発明の組成物を生成する新規の方法を提供する。この方法は、「Thin Film with Non-Self-Aggregating Uniform Heterogeneity and Drug Delivery Systems Made Therefrom」という名称の同時係属の米国特許出願第10/074,272号に詳細に記載されている。この出願の内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様では、薬物送達組成物が、(i)流動可能水溶性フィルム形成マトリックスと、(ii)その中に均一に配置された微粒子状の生体効果作用材料と、(iii)この微粒子でコーティングされ、または微粒子と密接に結合して、生体効果作用材料の味をマスクする味マスキング剤とを含む。結合した微粒子と味マスキング剤の粒径は200ミクロン以下であり、流動可能水溶性フィルム形成マトリックスは、自体の中での微粒子状生体効果作用材料の配置の均一性を失うことなく乾燥することができる。このような粒径の重要性について、従来技術、特に錠剤、乳剤などの従来技術の剤形では認識されてこなかった。さらに、粒径の重要性は、経口摂取可能な薄いフィルムにおいてさらに高まる。さらに均一性も特に重要であり、従来技術は、このようなきわめて重要な特徴を認識してこなかった。
結合した微粒子と味マスキング剤の粒径は150ミクロン以下、例えば100ミクロン以下であることが望ましい。さらに、流動可能水溶性フィルム形成マトリックスは、厚さ約380ミクロン未満、例えば厚さ約250ミクロン未満の乾燥フィルムに形成可能である。このような粒径はこれらの乾燥フィルムの中に包含されていることが望ましい。言い換えると、本発明の乾燥フィルムは、活性材料のじゃりじゃり感または不均一分布を与える可能性がある露出した作用材料のないなめらかな表面を有することが望ましい。したがって本発明の一態様では、乾燥したときにフィルムの表面に蓄積する粒子がない、本明細書に定義したように均一に分布した活性材料を含むフィルム媒体が提供される。
【0014】
味マスキング剤は、生体効果作用材料の部分を覆う薄膜であることが望ましい。有用な味マスキング剤はポリマー材料を含む。水溶性ポリマーも有用である。水溶性ポリマーの平均分子量は約40,000以上であることが望ましい。さらに、水溶性ポリマーは、アクリルポリマー、セルロースポリマーおよびこれらの組合せとすることができる。さらに、味マスキング剤として、ビニルポリマー、クラウンエーテル、水素添加油およびろう、ならびにこれらの組合せを使用することができる。
【0015】
マトリックスは、セルロース材料;ガム;タンパク質;デンプン;グルカンおよびこれらの組合せ;例えば、カルボキシメチルセルロース;メチルセルロース;ヒドロキシルメチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシメチルプロピルセルロース;アラビアゴム;キサンタンガム;トラガカント;アカシア;カラゲナン;グアーガム;ローカストビーンガム;ペクチン;アルギン酸塩;タピオカデンプン、米デンプン、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンおよび小麦デンプンを含むゼラチン化デンプン、変性デンプンまたは非変性デンプン;ポリビニルアルコール;ポリアクリル酸;ポリビニルピロリドン;ポリアクリラート(ポリメタクリラート);ポリ(メト)コポリマー;デキストリン;デキストラン;ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質、大豆タンパク質アイソレート(isolate)、ホエータンパク質などのタンパク質;ホエータンパク質アイソレート;カゼイン;レビン;コラーゲン;キチン;キトシン;ポリデキストロースおよびこれらの組合せとすることができるが、それだけには限らない。
【0016】
生体効果作用材料は、組成物全体の約0.1%から約60重量%までの量で存在することができる。有用な生体効果作用材料には、抗菌剤、非ステロイド性抗炎症剤、咳止め薬、鬱血除去剤、抗ヒスタミン剤、去痰薬、抗下痢剤、H2-拮抗材料、プロトンポンプ阻害剤、全身性非選択的CNS抑制薬、全身性非選択的CNS興奮薬、選択的CNS機能調節剤、抗パーキンソン剤、麻酔薬、鎮痛剤、抗発熱薬、精神薬およびこれらの組合せが含まれるが、それだけには限らない。送達媒体組成物はさらに感覚刺激剤を含むことができる。
【0017】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、(i)水溶性フィルムマトリックスと、(ii)マトリックスに均一に懸濁し、自体と結合した味マスキング剤を有する微粒子状生体効果作用材料とを含む。この均一性は、マトリックスの全体にわたって薬物の分散が10重量%未満しか存在しないことによって判定される。薬物分散は5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満または0.5重量%未満であることが望ましい。さらに、微粒子の粒径は200ミクロン以下である。さらに、フィルムマトリックスの厚さは約380ミクロン未満であることが望ましい。有用な味マスキング剤は水溶性ポリマー材料を含む。水溶性ポリマーの平均分子量は約40,000以上であることが望ましい。水溶性ポリマーにはアクリルポリマー、セルロースポリマーおよびこれらの組合せが含まれる。ただしそれだけには限らない。味マスキング剤はさらに、ビニルポリマー、クラウンエーテル、水素添加油およびろう、ならびにこれらの組合せを含むことができる。請求の薬物送達媒体はさらに、生体効果作用材料とともに感覚刺激剤を含むことができる。
【0018】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)平均分子量約25,000以上の水溶性ポリマーでコーティングまたはカプセル化された薬剤として活性な作用材料を含む薬剤として活性な粒子とを含む。平均分子量が約40,000以上の水溶性ポリマーも有用である。有用な水溶性ポリマーにはアクリルポリマー、セルロースポリマーおよびこれらの組合せが含まれる。薬剤として活性な粒子はフィルムの中に埋め込まれていることが望ましい。さらに、このフィルムは、実質的に等しいサイズの複数の区画を含み、粒子は、区画間で約10%未満しか変化しない量で分布している。粒子の粒径は約200ミクロン以下であることが望ましい。フィルムの厚さは約380ミクロン未満であることが望ましい。さらに、この薬物送達媒体はさらに、水溶性ポリマーとともに感覚刺激剤を含むことができる。
【0019】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)薬剤として活性な作用材料および味マスキング剤を含む薬剤として活性な粒子とを含み、味マスキング剤が粒子の約15〜80重量%の量で存在する。味マスキング剤は粒子の約20〜60重量%の量で存在することが望ましい。味マスキング剤は粒子の約25〜35重量%の量で存在するとさらに望ましい。薬剤として活性な粒子はフィルムの中に埋め込まれており、フィルムは、実質的に等しいサイズの複数の区画を含み、粒子は、区画間で約10%未満しか変化しない量で分布していることが望ましい。薬剤として活性の粒子の有用な粒径は200ミクロン以下の粒径を含む。フィルムの厚さは約380ミクロン未満であることが望ましい。この薬物送達媒体はさらに、味マスキング剤とともに感覚刺激剤を含む。
【0020】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)薬剤として活性な作用材料および味マスキング剤を含む薬剤として活性な粒子とを含む。活性な粒子の粒径は約200ミクロン未満である。フィルムの厚さは約380ミクロン未満であることが望ましい。
【0021】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)薬剤として活性な作用材料および味マスキング剤を含む薬剤として活性な粒子とを含む。この粒子の粒径は約200ミクロン未満であり、味マスキング剤は粒子の約15〜80重量%の量で存在することが望ましい。約150ミクロン以下の粒径も有効である。粒子の粒径は約100ミクロン以下であることが望ましい。フィルムの厚さは約380ミクロン未満、例えば約250ミクロン未満であることが望ましい。さらに、味マスキング剤は粒子の約20〜60重量%の量で存在することができる。味マスキング剤は粒子の約25〜35重量%の量で存在することが望ましい。
【0022】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)薬剤として活性な作用材料および感覚刺激剤を含む薬剤として活性な粒子とを含む。この活性な粒子の味は味マスキング剤でマスクされている。有用な感覚刺激剤には香味剤、甘味剤およびこれらの組合せが含まれる。
【0023】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)水溶性ポリマーと、香味剤または甘味剤の少なくとも一方とを含む味マスキング組成物で味がマスクされた薬剤として活性な作用材料を含む薬剤として活性な粒子とを含む。
【0024】
本発明の他の態様では、薄フィルム薬物送達媒体を調製する方法が提供される。この方法は、(a)薬剤として活性な作用材料/味マスキング剤複合体を用意するステップと、(b)この複合体を、水溶性ポリマーおよび溶媒と一緒にして、その中に複合体が均一に分布した混合物を形成するステップと、(c)混合物を平らな担体表面にキャスティングして、担体表面に薄いフィルムを形成するステップと、(d)薄いフィルムを制御可能に乾燥させて、薄いフィルムの所与の任意の領域の全体にわたって分散が約10%未満である複合体の分布の分散を形成するステップとを含む。味マスキング剤を有する薬剤として活性な作用材料を用意するステップが、薬剤として活性な作用材料の部分上に味マスキング剤をコーティングする処理を含む。乾燥は、担体表面の下面に熱を適用することを含む。さらに、乾燥は、フィルムにマイクロ波エネルギーを当てることを含む。味マスキング剤を有する薬剤として活性な作用材料を用意する有用な方法には、薬剤として活性な作用材料の部分上への味マスキング剤の流動床コーティング、吹付け凝固コーティング、凝集または造粒コーティング、包括コーティング、;コアセルベーションコーティング、注入コーティング、スピンコーティング、イオン交換コーティングが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の単位用量フィルムを含む包装の側面図である。
【図2】本発明の個々の単位剤形を含み、ミシン目によって分離された2つの隣接して結合された包装の上面図である。
【図3】積層配置された図2の隣接して結合された包装の側面図である。
【図4】包装された単位剤形を分配するためのディスペンサの透視図である。このディスペンサは、包装された複数の単位剤形を積層配置で含んでいる。
【図5】本発明の結合された単位用量包装のロールの略図である。
【図6】プリミックスの調製、活性材料の添加、およびその後のフィルム形成に適した装置の略図である。
【図7】本発明のフィルムの乾燥に適した装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、フィルムの形態の外用または局所投与用の薬剤組成物を提供する。この薬剤組成物は、ポリマー、極性溶媒、および味がマスクされた薬剤として活性な作用材料または生体効果作用材料の均一に分布した組合せを有する組成物を含む。フィルムの制御された下面乾燥を適用することによって、乾燥後のフィルムの形態の組成物は、成分の均一な分布を維持している。
本発明に有用な水溶性ポリマーには、セルロース材料、ガム、タンパク質、デンプンおよびこれらの組合せが含まれる。
【0027】
本明細書では用語「水溶性ポリマー」およびその異形表現は、少なくとも部分的に水に溶解するポリマー、望ましくは完全にまたは大部分が水に溶解するポリマー、あるいは水を吸収するポリマーを指す。水を吸収するポリマーはしばしば水膨張性ポリマーと称される。本発明に有用な水溶性ポリマーは、室温、および室温より高い温度などの他の温度で水溶性または水膨張性であることができる。さらに、本発明に有用な水溶性ポリマーは、大気圧よりも低い圧力で水溶性または水膨張性であることができる。これらの水溶性ポリマーは、少なくとも20重量%の水を取り込んだ水溶性または水膨張性ポリマーであることが望ましい。25重量%以上の水を取り込んだ水膨張性ポリマーも有用である。このような水溶性ポリマーから形成された本発明のフィルムまたは剤形は、体液と接触すると溶解することができる十分な水溶性をもつものであることが望ましい。
【0028】
セルロース材料の例には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、およびこれらの組合せが含まれるが、それだけには限らない。
【0029】
水溶性ガムの例には、アラビアゴム、キサンタンガム、トラガカント、アカシア、カラゲナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸塩、およびこれらの組合せが含まれる。
【0030】
含めることができる他のポリマー材料の例には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリアクリラート(ポリメタクリラート)、ポリ(メト)コポリマー、およびこれらの組合せが含まれる。
【0031】
有用なデンプンには、ゼラチン化デンプン、変性デンプンまたは非変性デンプンが含まれる。これらのデンプンの原料にはさまざまなものを使用することができ、これにはプルラン(pullulan)、タピオカ、米、トウモロコシ、ジャガイモ、小麦およびこれらの組合せが含まれる。
【0032】
有用な水溶性タンパク質ポリマーには、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質、大豆タンパク質アイソレート(isolate)、ホエータンパク質、ホエータンパク質アイソレート、カゼイン、レビン、コラーゲンおよびこれらの組合せが含まれる。追加の水溶性ポリマーには、デキストリン、デキストランおよびこれらの組合せ、キチン、キトシンおよびこれらの組合せ、ならびにポリデキストロース、フルクトースオリゴマーが含まれる。
【0033】
異なるさまざまなポリマーを使用することができるが、乾燥前の混合物に所望の粘度を与えるポリマーを選択することが望ましい。ポリマーは、フィルムの粘度に作用することにおいて重要な役割を果たす。粘度は、エマルジョン、コロイドまたは懸濁液中の活性材料の安定性を制御する液体の一特性である。マトリックスの粘度は一般に約400cpsから約100,000cps、好ましくは約800cpsから約60,000cps、最も好ましくは約1,000cpsから約40,000cpsである。フィルム形成マトリックスの粘度は、乾燥プロセスの開始と同時に急速に増大することが望ましい。
【0034】
本発明の可食水溶性送達系(edible water-soluble delivery system)はさらに、プルラン、エルシナン(elsinan)などのグルカンを含む。グルカンと水溶性ポリマーの比は約40:1から約0.1:5である。水に対する溶解度が大きく、迅速に溶解し、口中での感触に優れるため、グルカンは一般に可食フィルム用に望ましい材料である。
【0035】
本発明の可食水溶性送達系はさらに、ポリメチルシロキサンと二酸化ケイ素との配合物であるシメチコンなどの発泡防止剤または消泡剤を含む。シメチコンは、フィルム組成物の空気を減らし、またはフィルム組成物から空気を除去する発泡防止剤または消泡剤の働きをする。発泡防止剤は組成物に空気が入らないようにするのに役立ち、消泡剤は組成物から空気を除去するのに役立つ。
【0036】
本発明の可食水溶性送達系はさらに、美容剤、薬剤、生体活性剤およびこれらの組合せから選択された有効成分を含む。有効成分は、意図する治療に対して有効な量で存在することができる。有効成分を高負荷で含めることができることが特に望ましく、また、そうできることが本発明の利点である。例えば、有効成分は、組成物全体の約60重量%までの量、望ましくは組成物全体の0.01重量%から約50重量%の量で存在することができる。
【0037】
本発明のフィルムに含めることができる薬剤としてまたは生体効果有効成分には、多種多様な薬物および薬剤組成物が含まれる。有用な薬物の例には、ace-阻害剤、抗狭心症薬、抗不整脈剤、抗喘息剤、抗コレステロール血症剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗痙攣剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗下痢調剤、解毒剤、抗ヒスタミン剤、抗高血圧薬、抗炎症剤、抗脂質剤、抗躁病剤、抗悪心薬、抗脳梗塞剤、抗甲状腺調剤、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、ざ瘡薬物、アルカロイド剤、アミノ酸調剤、咳止め薬、抗尿酸血症薬、抗ウイルス薬、同化作用調剤、全身性および非全身性抗感染症薬、抗新生物薬、抗パーキンソン剤、抗リウマチ薬、食欲増進剤、生体応答調整剤、血液調整剤、骨代謝調節剤、心血管薬、中枢神経系刺激剤、コリンエステラーゼ阻害剤、避妊薬、鬱血除去剤、栄養補助食品、ドーパミン受容体作用薬、子宮内膜症薬、酵素、勃起機能障害治療剤、妊娠薬、胃腸薬、ホメオパシー療法剤、ホルモン、高カルシウム血症剤および低カルシウム剤、免疫調節剤、免疫抑制剤、片頭痛調剤、乗り物酔予防薬、筋肉弛緩剤、肥満治療剤、骨粗鬆症調剤、子宮収縮剤、副交感神経遮断薬、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、精神治療薬、呼吸薬、鎮静薬、禁煙補助剤、交感神経遮断剤、振戦薬、尿路薬、血管拡張剤、緩下薬、制酸剤、イオン交換樹脂、抗発熱薬、食欲抑制剤、去痰薬、抗不安薬、抗腫瘍薬、抗炎症材料、冠血管拡張剤、大脳拡張剤、末梢血管拡張剤、向精神薬、興奮剤、抗高血圧薬、血管収縮神経薬、片頭痛治療剤、抗生材料、精神安定剤、抗精神病薬、抗腫瘍薬、抗凝血剤、抗血栓薬、催眠薬、抗吐薬、抗悪心薬、抗痙攣薬、神経筋薬、高および低血糖薬、甲状腺および抗甲状腺調剤、利尿薬、抗痙攣、子宮弛緩薬、高肥満薬、赤血球生成薬物、抗喘息、咳抑制剤、粘液溶解薬、DNAおよび遺伝子調整薬、ならびにこれらの組合せが含まれる。
【0038】
勃起機能障害治療には、ペニスへの血流を促進するための薬物、および副交感(コリン作動性)活性を増大させ、交感(アドレナリン作動性)活性を減少させるなど自律神経の神経活性をもたらす薬物が含まれる。ただし、含まれるのはそれだけには限らない。使用可能な薬物にはViagra(登録商標)などのシルデナフィル、Cialis(登録商標)などのタダラフィル、バルデナフィル、Uprima(登録商標)などのアポモルフィン、Aphrodyne(登録商標)などの塩酸ヨヒンビン、およびCaverject(登録商標)などのアルプロスタジルが含まれるが、それだけには限らない。
【0039】
本発明での使用に企図される薬物有効成分の例には制酸剤、H2-拮抗材料および鎮痛薬が含まれる。例えば制酸剤は、炭酸カルシウムを単独で使用して、あるいは水酸化マグネシウムおよび/または水酸化アルミニウムと組み合わせて使用して調製することができる。さらに制酸剤をH2-拮抗材料と組み合わせて使用することもできる。
【0040】
鎮痛薬には、オキシコドン(Oxycontin(登録商標)として市販)、イブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェンおよびこれらの組合せなどのアヘン剤およびアヘン誘導体が含まれ、任意選択でこれにカフェインを含めることができる。
【0041】
本発明で使用される他の好ましい有効成分の他の好ましい薬物には、イモジウムADなどの抗下痢剤、抗ヒスタミン剤、咳止め薬、鬱血除去剤、ビタミン、および口内清涼剤などが含まれる。風邪、痛み、発熱、咳、充血、鼻みずおよびアレルギーに対して単独でまたは組み合わせて使用されるアセトアミノフェン、マレイン酸クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、プソイドエフェドリンHCl、ジフェンヒドラミンなどの普通薬を、本発明のフィルム組成物に含めることができる。
【0042】
さらに、本明細書で使用が企図される薬物は、アルプラゾラム(Xanax(登録商標)として市販)などの抗不安薬;クロゾピン(Clozaril(登録商標)として市販)、ハロペリドール(Haldol(登録商標)として市販)などの抗精神病薬;ジシクロフェナク(Voltaren(登録商標)として市販)、エトドラク(Lodine(登録商標)として市販)などの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、ロラタジン(Claritin(登録商標)として市販);アステミゾール(Hismanal(商標)として市販)、ナブメトン(Relafen(登録商標)として市販)、クレマスチン(Tavist(登録商標)として市販)などの抗ヒスタミン剤;塩酸グラニセトロン(Kytril(登録商標)として市販)、ナビロン(Cesamet(商標)として市販)などの抗吐薬;Benotlin(登録商標)、硫酸アルブテロール(Proventil(登録商標)として市販)などの気管支拡張薬;塩酸フルオキセチン(Prozac(登録商標)として市販)、塩酸セルトラリン(Zoloft(登録商標)として市販)、塩酸パロクスチン(Paxil(登録商標)として市販)などの抗うつ剤;Imigra(登録商標)などの抗偏頭痛薬;エナラプリラト(Vasotec(登録商標)として市販)、カプトプリル(Capoten(登録商標)として市販)、リシノプリル(Zestril(登録商標)として市販)などのACE-阻害剤;ニセルゴリンなどの抗アルツハイマー剤;ならびにニフェジピン(Procardia(登録商標)、Adalat(登録商標)として市販)、塩酸ベラパミル(Calan(登録商標)として市販)などのCaH-拮抗材料である。
【0043】
本発明での使用が企図される一般に普及したH2-拮抗材料には、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ニザチジエン、エブロチジン(ebrotidine)、ミフェンチジン(mifentidine)、ロキサチジン、ピサチジン(pisatidine)およびアセロキサチジン(aceroxatidine)が含まれる。
【0044】
活性制酸成分には以下のものが含まれる:水酸化アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノ酢酸塩、アミノ酢酸、リン酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムナトリウムカルボナート、炭酸水素塩、ビスマスアルミン酸塩、炭酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス、ビスマスサブシリシラート(subsilysilate)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸イオン(酸または塩)、アミノ酢酸、マグネシウムアルミン酸塩硫酸塩水和物、マガルドラート(magaldrate)、マグネシウムアルミノケイ酸塩、炭酸マグネシウム、マグネシウムグリシン、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、乳固形分、アルミニウムモノ-オリジバシック(ordibasic)カルシウムリン酸塩、リン酸トリカルシウム、カリウム炭酸水素塩、ナトリウム酒石酸塩、炭酸水素ナトリウム、マグネシウムアルミノケイ酸塩、酒石酸および塩。ただしそれだけには限らない。
【0045】
本発明で使用される薬剤として活性な作用材料は、草、樹木またはブタクサに由来する植物花粉;ネコおよび他の毛皮動物の皮膚および毛から振り落ちる微小な鱗屑である動物のフケ;イエダニ、ミツバチ、スズメバチなどの昆虫類;ペニシリンなどの薬物、などのアレルゲンまたは抗原を含むことができる。ただし、アレルゲンまたは抗原はそれだけには限らない。
【0046】
本発明で使用される薬剤として活性な作用材料は、本発明のフィルム組成物に、味がマスクされた形態で組み込むことができる。例えば、薬物粒子を、味マスキング剤、例えばポリマー、油およびろうでコーティングすることができる。さらに、甘味剤および/または香味剤などの感覚刺激剤を、味マスキング剤のコーティング層中を含む、このような味がマスクされた組成物の中で使用することができる。ただし、感覚刺激剤はそれだけには限らない。
【0047】
適当な甘味剤には天然および人工甘味剤が含まれる。適当な甘味剤の例には例えば、
a.単糖、二糖および多糖などの水溶性甘味剤、例えばキシロース、リボース、グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(レブロース)、スクロース(ショ糖)、マルトース、転化糖(スクロース由来のフルクトースとグルコースの混合物)、部分加水分解デンプン、固形コーンシロップ、ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、グリシリジン;
b.水溶性人工甘味剤、例えば溶性サッカリン塩、すなわちナトリウムまたはカルシウムサッカリン、シクラミン酸塩、3,4-ジヒドロ-6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシドのナトリウム、アンモニウムまたはカルシウム塩、3,4-ジヒドロ-6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシドのカリウム塩(アセスルファーム-K)、遊離酸の形のサッカリンなど;
c.ジペプチドをベースとした甘味剤、例えばL-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、L-α-アスパルチル-N-(2,2,4,4-テトラメチル-3-チエタニル)-D-アラニンアミドヒドラート、L-アスパルチル-L-フェニルグリセリンおよびL-アスパルチル-L-2,5-ジヒドロフェニルグリシンのメチルエステル、L-アスパルチル-2,5-ジヒドロ-L-フェニルアラニン、L-アスパルチル-L-(1-シクロヘキシエン)-アラニンなどのL-アスパラギン酸誘導体甘味剤;
d.天然水溶性甘味剤から誘導された、例えばスクラロース(sucralose)の製品名で知られている普通糖(スクロース)の塩素化誘導体などの水溶性甘味剤;
e.thaurnatoccous danielli(Thaurnatin IおよびII)などのタンパク質ベースの甘味剤
が含まれるが、それだけには限らない。
【0048】
一般に、特定の組成物に対して望ましい甘さのレベルを提供するために有効量の補助甘味剤が利用されるが、その量は選択する甘味剤によって異なる。この量は通常、組成物の0.01重量%から約10重量%である。これらの量を使用して、任意選択で使用される香味油によって達成される香味レベルとは独立に、所望の甘さレベルを達成することができる。当然ながら、非経口投与用のフィルムに甘味剤を加える必要はない。
【0049】
有用な香味剤には天然および人工香味剤が含まれる。これらの香味剤は、合成香味油および香味芳香剤、ならびに/または植物、葉、花、果実などから得た油、含油樹脂および抽出物、ならびにこれらの組合せから選択することができる。香味油には、スペアミント油、シナモン油、ペパーミント油、チョウジ油、ベイ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、セージ油およびビターアーモンド油が含まれる。ただしそれだけには限らない。バニラ、チョコレート、コーヒー、ココア;レモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツ油を含む柑橘油;リンゴ、洋ナシ、桃、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含むフルーツエッセンスなどの人工、天然または合成果実香味剤も有用である。これらの香味剤は別々に、または組み合わせて使用することができる。別々にまたは組み合わせて使用されるかどうかは別にして、一般的に使用される香味剤には、ペパーミントなどのミント類、人工バニラ、シナモン派生物、およびさまざまな果実香味剤が含まれる。シンナミルアセタート(cinnamylacetate)、シンナムアルデヒド(cinnamaldehyde)、シトラール、ジエチルアセタール、ジヒドロカルビルアセタート(dihydrocarvyl acetate)、エウゲニルホルマート(eugenyl formate)、p-メチルアニソールなどを含むアルデヒド、エステルなどの香味剤を使用することもできる。他のアルデヒド香味剤の例には、アセトアルデヒド(リンゴ);ベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド);シンナムアルデヒド(シナモン);シトラール、すなわちαシトラール(レモン、ライム);ネラール、すなわちβシトラール(レモン、ライム);デカナール(オレンジ、レモン);エチルバニリン(バニラ、クリーム);ヘリオトロピン、すなわちピペロナール(バニラ、クリーム);バニリン(バニラ、クリーム);α-アミルシンナムアルデヒド(スパイシーかつフルーティな香味剤);ブチルアルデヒド(バター、チーズ);バレルアルデヒド(バター、チーズ);シトロネラール(多くのタイプに改質される);デカナール(柑橘類);アルデヒドC-8(柑橘類);アルデヒドC-9(柑橘類);アルデヒドC-12(柑橘類);2-エチルブチルアルデヒド(ベリー類);ヘキセナール(hexenal)、すなわちトランス-2(ベリー類);トリルアルデヒド(サクランボ、アーモンド);ベラトルムアルデヒド(veratraldehyde)(バニラ);12,6-ジメチル-5-ヘプテナール、すなわちメロナール(melonal)(メロン);2-ジメチルオクタナール(緑の果実);および2-ドデセナール(柑橘類、ミカン);サクランボ;ブドウ;これらの混合物などが含まれるが、それだけには限らない。
【0050】
使用される香味剤の量は通常は好みの問題であり、香味剤のタイプ、個々の香味、所望の強さなどの因子によって決まる。この量を変化させて、最終製品で所望の結果を得ることができる。このような変更は、当業者なら、それほど多くの実験を必要しなくても決定することができる。一般に、本発明の実施では約0.1から約30重量%の量が有効である。
【0051】
味をマスクする薬剤として活性な作用材料に対してはさまざまなポリマーおよび非ポリマー材料を使用することができる。ポリマーの例には、アクリルポリマー、セルロースポリマーまたはビニルポリマーが含まれるが、それだけには限らない。非ポリマー材料の例は、クラウンエーテル、水素を添加して十分に硬化させた油およびろうが含まれる。ただしそれだけには限らない。さらに、味マスキング剤は水溶性、水不溶性または部分水溶性とすることができる。
【0052】
有用なアクリルポリマーには、Rohm America, LLC社からEudragit(登録商標)の商品名で販売されている、例えばEudragit E(登録商標)、Eudragit L(登録商標)、Eudragit RD(登録商標)およびEudragit S(登録商標)の商品名で販売されているメタクリル酸共重合体、Eudragit NE(登録商標)の商品名で販売されているポリアクリル酸エチル-メタアクリル酸メチルなどのポリマーが含まれるが、それだけには限らない。これらのアクリルポリマーは一般に水溶性材料である。
【0053】
有用なセルロースポリマーには、メチルセルロース、エチルセルロースなどのアルキルセルロース;ヒドロキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース;およびこれらの組合せが含まれるが、それだけには限らない。有用なアルキルセルロースには、Dow Chemicals社によってMethocel E(商標)の商品名で販売されているセルロースが含まれる。さらに、有用なエチルセルロースが、FMC Corporation社からAquacoat ECDの商標名で市販されている。これらのアクリルポリマーは一般に水溶性材料である。
【0054】
さらに、人間が消費しても安全と考えられる十分に硬化させた油またはろうを、薬剤として活性な作用材料に吹き付け、これを凝固させることができ、薬剤として活性な作用材料は比較的に安定である。薬剤として許容される有用な油には、鉱油、落花生油、大豆油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、オリーブ油、硬質パーム油およびナタネ油が含まれるが、それだけには限らない。
【0055】
さらに、シクロデキストリンなどのクラウンエーテル化合物も、薬剤として活性な作用材料をコーティングするのに有用である。包括法(entrapment method)またはコアセルベーション法(coacervation method)によって、薬剤として活性な作用材料の味をクラウンエーテルでマスクする。有用なシクロデキストリンは、CTD, Inc.社からTrappsol(登録商標)の商品名で市販されている。
【0056】
上記の味マスキング剤を用いた薬剤として活性な作用材料の味マスキングは、さまざまな技法によって実施することができる。これらの技法は、薬剤として活性な作用材料またはその部分を味マスキング剤でコーティングして、薬剤として活性な作用材料または薬物にしばしば随伴する苦味などの不快な味の効果を回避する。有用なコーティング技法には、流動床コーティング(fluidized bed coating)、吹付け凝固コーティング(spray congealing coating)、凝集(agglomeration)または造粒(granulation)コーティング、包括コーティング(entrapment coating)、コアセルベーションコーティング(coacervation coating)、注入コーティング(infusion coating)、スピンコーティング、イオン交換コーティングなどが含まれるが、それだけには限らない。
【0057】
流動床コーティング法は、薬剤として活性な作用材料の味をマスキングするために製薬業界で一般的に使用されている方法である。連続プロセスガス流をチャンバに導入することによって、流動床コータが、薬剤として活性な作用材料の流動化を達成する。浮遊した作用材料がコーティング材料の吹付け経路を通過するときに、その表面にコーティング材料を付着させる。コーティングした作用材料を乾燥させる。活性粒子表面のコーティングには一般に、比較的に低水溶性のポリマーを使用する。粒径の下限は約100から120ミクロンである。プロセスの限界および生成物の損失のために、これよりも小さな粒径を得ることは難しい。この方法では、薬剤として活性な水不溶性の作用材料を、水溶性味マスキング剤で適当にコーティングすることができる。
【0058】
吹付け凝固法では、薬剤として活性な作用材料とコーティング材料とを、プロセスガスが供給されたチャンバに同時に吹き付けて、均一にコーティングされた活性材料を生み出す。この方法は一般に、合理的な温度で融解することができる材料、例えばある種のEudragit(登録商標)ポリマーなどの脂肪性材料またはポリマーを用いた活性材料のコーティングを含む。材料の混合物を細いノズルを通して吹き付け、温度制御された空気流の中で、または低温の表面で冷やす。混合物の温度を考慮することが重要である。選択するコーティング剤の融解温度は、薬剤として活性な作用材料の分解温度を超えてはならない。
【0059】
凝集または造粒法では、機械的手段または噴霧乾燥によって、薬剤として活性な作用材料を味マスキング作用材料および溶媒と混合する。この溶媒を、減圧または加熱、あるいはその両方によって徐々に除去する。次いで粒子を凝集させる。凝集した粒子は一般に味マスキング剤によって完全には覆われておらず、したがって多少の苦味が残ることがある。しかし、コーティングされたこのような粒子を本発明のフィルムに組み込むことによって、苦味をさらに低減させることができる。
【0060】
一般的な包括コーティング法では、まず最初に、薬剤として活性な作用材料をその分子ケージに捕捉することができる特定の特性を有するある種の化合物を選択しなければならない。ある種の特に作られたシクロデキストリン、ゼオライトなどのデンプンおよびクラウンエーテル型の分子などの化合物がこの方法には有用である。これらの化合物および作用材料がイオン引力によって包括される。次いで、包括された作用材料を溶液から沈殿させる。
【0061】
コアセルベーションコーティング法は、溶液中で極性が反対の電荷を有する2種類のポリマーを使用する。溶液が中和されると、不溶性マトリックスが溶液から沈殿し、薬剤として活性な作用材料をその中に捕捉する。その例には、アラビアゴムとゼラチン溶液の相互作用、およびシクロデキストリンとタンパク質溶液との相互作用が含まれる。
【0062】
注入法では、薬剤として活性な作用材料および香味剤または甘味剤を溶解し、ポリマーマトリックスに注入して、乾燥粉末を形成する。スピンコーティング法では、薬剤として活性な作用材料を糖または脂肪と一緒にし、スピンコーティングしてコーティングされた粒子とする。この方法の詳細は、米国特許第5,028,632号に開示されている。この特許の内容は参照によって本明細書に組み込まれる。イオン交換コーティングでは、薬剤として活性な作用材料がイオン交換樹脂にイオン結合することによって作用材料の味をマスクする。
【0063】
薬剤として活性な微粒子の味をマスクする押出しおよび球状化法も使用することができる。活性材料とポリマー(例えばデンプン、セルロース、ガムおよび/またはこれらの組合せ)との比をまず最初に混合し、少量の水を加えることによって濃密にする。次いで、この濃密な混合物を単一または二重ノズルスクリューを通して押し出す。球形小粒子は、Marumerization(登録商標)プロセスによって形成する。プロセス制御および微粒子のふるい分けによって望ましい粒径を得る。
【0064】
本発明の実施で凍結乾燥法を使用することもできる。ポリマー(デンプン、ガム、セルロースおよび/またはこれらの組合せなど)と活性材料との組合せを混合し、これを水性媒質に溶解する(または分散させる)。次いでこの混合物をプリフォーム基板上で凍結乾燥させる。望ましい粒子粒径は、プロセス制御および生成物のふるい分けによって得ることができる。
【0065】
いくつかの場合には、味マスキングが、どちらも味にとって特に快いものでない2つの成分の加算になる。それらの化学構造のために、それらは互いに打ち消しあい、または第3の材料を生み、または味のよさを低減することなく1つの材料を追加する。
【0066】
本発明の可食水溶性送達系はさらに、発泡防止剤、可塑剤、界面活性剤、乳化剤、増粘剤、結合剤、冷却剤、唾液分泌刺激剤、甘味剤、抗菌剤、抗原およびこれらの組合せから選択された1種または数種の成分を含む。
【0067】
本発明の一態様では、薬物送達組成物が、(i)流動可能水溶性フィルム形成マトリックスと、(ii)その中に均一に配置された微粒子状の生体効果作用材料と、(iii)この微粒子でコーティングされ、または微粒子と密接に結合して、生体効果作用材料の味をマスクする味マスキング剤とを含む。結合した微粒子と味マスキング剤の粒径は200ミクロン以下であり、流動可能水溶性フィルム形成マトリックスは、自体の中での微粒子状生体効果作用材料の配置の均一性を失うことなく乾燥することができる。
【0068】
結合した微粒子と味マスキング剤の粒径は150ミクロン以下、例えば100ミクロン以下であることが望ましい。さらに、このような粒子は球形、実質的に球形、または不規則形粒子、楕円形粒子などの非球形とすることができる。楕円形粒子ないし楕円体が望ましい。これは、これらの粒子が、球形粒子に比べてより小さい程度で沈降する傾向があり、フィルム形成マトリックス中で均一性を維持することができるためである。さらに、流動可能水溶性フィルム形成マトリックスは、厚さ約380ミクロン未満、例えば厚さ約250ミクロン未満の乾燥フィルムに形成可能である。
【0069】
味マスキング剤は、生体効果作用材料の部分を覆う薄膜であることが望ましい。有用な味マスキング剤はポリマー材料を含む。水溶性ポリマーも有用である。水溶性ポリマーの平均分子量は約40,000以上であることが望ましい。さらに、水溶性ポリマーは、アクリルポリマー、セルロースポリマーおよびこれらの組合せとすることができる。さらに、味マスキング剤として、ビニルポリマー、クラウンエーテル、水素添加油およびろう、ならびにこれらの組合せを使用することができる。
【0070】
マトリックスは、セルロース材料;ガム;タンパク質;デンプン;グルカンおよびこれらの組合せ;例えば、カルボキシメチルセルロース;メチルセルロース;ヒドロキシルメチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシメチルプロピルセルロース;アラビアゴム;キサンタンガム;トラガカント;アカシア;カラゲナン;グアーガム;ローカストビーンガム;ペクチン;アルギン酸塩;タピオカデンプン、米デンプン、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンおよび小麦デンプンを含むゼラチン化デンプン、変性デンプンまたは非変性デンプン;ポリビニルアルコール;ポリアクリル酸;ポリビニルピロリドン;ポリアクリラート(ポリメタクリラート);ポリ(メト)コポリマー;デキストリン;デキストラン;ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質、大豆タンパク質アイソレート(isolate)、ホエータンパク質などのタンパク質;ホエータンパク質アイソレート;カゼイン;レビン;コラーゲン;キチン;キトシン;ポリデキストロースおよびこれらの組合せとすることができるが、それだけには限らない。
【0071】
生体効果作用材料は、組成物全体の約0.1%から約60重量%までの量で存在することができる。有用な生体効果作用材料には、抗菌剤、非ステロイド性抗炎症剤、咳止め薬、鬱血除去剤、抗ヒスタミン剤、去痰薬、抗下痢剤、H2-拮抗材料、プロトンポンプ阻害剤、全身性非選択的CNS抑制薬、全身性非選択的CNS興奮薬、選択的CNS機能調節剤、抗パーキンソン剤、麻酔薬、鎮痛剤、勃起機能障害治療剤、抗発熱薬、精神薬およびこれらの組合せが含まれるが、それだけには限らない。送達媒体組成物はさらに感覚刺激剤を含むことができる。
【0072】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、(i)水溶性フィルムマトリックスと、(ii)マトリックスに均一に懸濁し、自体と結合した味マスキング剤を有する微粒子状生体効果作用材料とを含む。この均一性は、マトリックスの全体にわたって薬物の分散が10重量%未満しか存在しないことによって判定される。薬物分散は5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満または0.5重量%未満であることが望ましい。さらに、微粒子の粒径は200ミクロン以下である。さらに、フィルムマトリックスの厚さは約380ミクロン未満であることが望ましい。
【0073】
有用な味マスキング剤は水溶性ポリマー材料を含む。水溶性ポリマーの平均分子量は約40,000以上であることが望ましい。水溶性ポリマーにはアクリルポリマー、セルロースポリマーおよびこれらの組合せが含まれる。ただしそれだけには限らない。味マスキング剤はさらに、ビニルポリマー、クラウンエーテル、水素添加油およびろう、ならびにこれらの組合せを含むことができる。請求の薬物送達媒体はさらに、生体効果作用材料とともに感覚刺激剤を含むことができる。
【0074】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)平均分子量約25,000以上の水溶性ポリマーでコーティングまたはカプセル化された薬剤として活性な作用材料を含む薬剤として活性な粒子とを含む。平均分子量が約40,000以上の水溶性ポリマーも有用である。有用な水溶性ポリマーにはアクリルポリマー、セルロースポリマーおよびこれらの組合せが含まれる。薬剤として活性な粒子はフィルムの中に埋め込まれていることが望ましい。さらに、このフィルムは、実質的に等しいサイズの複数の区画を含み、粒子は、区画間で約10%未満しか変化しない量で分布している。粒子の粒径は約200ミクロン以下であることが望ましい。フィルムの厚さは約380ミクロン未満であることが望ましい。さらに、この薬物送達媒体はさらに、水溶性ポリマーとともに感覚刺激剤を含むことができる。
【0075】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)薬剤として活性な作用材料および味マスキング剤を含む薬剤として活性な粒子とを含み、味マスキング剤が粒子の約15〜80重量%の量で存在する。味マスキング剤は粒子の約20〜60重量%の量で存在することが望ましい。味マスキング剤は粒子の約25〜35重量%の量で存在するとさらに望ましい。薬剤として活性な粒子はフィルムの中に埋め込まれており、フィルムは、実質的に等しいサイズの複数の区画を含み、粒子は、区画間で約10%未満しか変化しない量で分布していることが望ましい。薬剤として活性の粒子の有用な粒径は200ミクロン以下の粒径を含む。フィルムの厚さは約380ミクロン未満であることが望ましい。この薬物送達媒体はさらに、味マスキング剤とともに感覚刺激剤を含む。
【0076】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)薬剤として活性な作用材料および味マスキング剤を含む薬剤として活性な粒子とを含む。活性な粒子の粒径は約200ミクロン未満である。フィルムの厚さは約380ミクロン未満であることが望ましい。
【0077】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)薬剤として活性な作用材料および味マスキング剤を含む薬剤として活性な粒子とを含む。この粒子の粒径は約200ミクロン未満であり、味マスキング剤は粒子の約15〜80重量%の量で存在することが望ましい。約150ミクロン以下の粒径も有効である。粒子の粒径は約100ミクロン以下であることが望ましい。フィルムの厚さは約380ミクロン未満、例えば約250ミクロン未満であることが望ましい。さらに、味マスキング剤は粒子の約20〜60重量%の量で存在することができる。味マスキング剤は粒子の約25〜35重量%の量で存在することが望ましい。
【0078】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)薬剤として活性な作用材料および感覚刺激剤を含む薬剤として活性な粒子とを含む。この活性な粒子の味は味マスキング剤でマスクされている。有用な感覚刺激剤には香味剤、甘味剤およびこれらの組合せが含まれる。
【0079】
本発明の他の態様では、薬物送達媒体が、互いに反対側を向いた表面によって画定された厚さを有する粘膜付着性乾燥フィルムを含む。このフィルムは、(i)水溶性ポリマーと、(ii)水溶性ポリマーと、香味剤または甘味剤の少なくとも一方とを含む味マスキング組成物で味がマスクされた薬剤として活性な作用材料を含む薬剤として活性な粒子とを含む。
【0080】
本発明の他の態様では、薄フィルム薬物送達媒体を調製する方法が提供される。この方法は、(a)薬剤として活性な作用材料/味マスキング剤複合体を用意するステップと、(b)この複合体を、水溶性ポリマーおよび溶媒と一緒にして、その中に複合体が均一に分布した混合物を形成するステップと、(c)混合物を平らな担体表面にキャスティングして、担体表面に薄いフィルムを形成するステップと、(d)薄いフィルムを制御可能に乾燥させて、薄いフィルムの所与の任意の領域の全体にわたって分散が約10%未満である複合体の分布の分散を形成するステップとを含む。味マスキング剤を有する薬剤として活性な作用材料を用意するステップは、薬剤として活性な作用材料の部分上に味マスキング剤をコーティングする処理を含む。
【0081】
乾燥は、担体表面の下面に熱を適用することを含む。さらに、乾燥は、フィルムにマイクロ波エネルギーを当てることを含む。このようなマイクロ波乾燥が有効なのは、フィルムの中央部分から乾燥が始まるからである。しかし本発明はこれらの乾燥方法に限定されない。キャスティングされた混合物の上面から乾燥が始まらない限り、任意の乾燥方法を適当に使用することができる。このような上面乾燥は一般に、望ましいフィルム均一性を提供しない。
【0082】
味マスキング剤を有する薬剤として活性な作用材料を用意する有用な方法には、薬剤として活性な作用材料の部分上への味マスキング剤の流動床コーティング、吹付け凝固コーティング、凝集または造粒コーティング、包括コーティング、;コアセルベーションコーティング、注入コーティング、スピンコーティング、イオン交換コーティングが含まれる。
【0083】
薄いフィルムの使用
本発明の薄いフィルムは多くの用途によく適している。フィルムの諸成分の高度の均一性によって、フィルムは、薬剤の組み込みに極めて相応しいものになっている。さらに、フィルムの構築に使用するポリマーを選択して、フィルムの崩壊時間の範囲を考慮することができる。フィルムが崩壊する時間を変更または延長することによって、活性材料が放出される速度の制御が達成でき、これによって持続放出送達系が実行できるようになる。さらに、数種の体表面、特に、口腔、肛門、膣、眼、創傷表面などの粘膜、皮膚表面または手術中など体内、および同様の表面を含む体表面の幾箇所にでも活性材料の投与にフィルムを使用することができる。
【0084】
このフィルムを使用して活性材料を経口投与することができる。これは、先に説明したフィルムを調製し、これを哺乳動物の口腔に導入することによって実施される。このフィルムを調製し、第2の層または支持層に接着しておき、使用する前、すなわち口腔に導入する前にこの層からフィルムを剥がして使用することができる。接着剤を使用して、当技術分野で知られている任意の支持体または基材にフィルムを装着することができる。接着剤は水溶性でないものが好ましい。接着剤を使用する場合には、摂取可能で、かつ活性材料の特性を変化させない食品等級の接着剤が好ましい。粘膜付着性組成物が特に有用である。多くの場合、フィルム組成物はそれ自体が粘膜付着剤として働く。
【0085】
フィルムは哺乳動物の舌下または舌に適用することができる。これが望ましい場合には、舌の形状に対応した特定のフィルム形状が好ましい。したがってフィルムは、舌の奥に対応するフィルムの辺が、舌先に対応する辺よりも長くなるような形状にカットすることができる。具体的には、所望の形状は例えば三角形または台形である。フィルムを口腔に接着させて口腔から飛び出さないようにし、フィルムが溶解するにつれてより多くの活性材料が口腔に導入されるようにすることが望ましい。
【0086】
本発明のフィルムの別の用途は、液体に導入したときに迅速に溶解するフィルムの傾向を利用する。本発明に従ってフィルムを調製し、これを液体に導入し、溶解させることによって、活性材料を液体に導入することができる。これを、活性材料の液体剤形の調製、または飲料の香味づけに使用することができる。
【0087】
本発明のフィルムは、密封された気密、耐湿包装に包んで、酸化、加水分解、揮発、および環境との相互作用への暴露から活性材料を保護することが望ましい。図1を参照すると、包装された薬剤単位用量10はそれぞれ、パウチの中に、または箔および/またはプラスチックラミネートシート14の間に個別に包み込まれた1枚のフィルム12を含む。図2に示すようにパウチ10、10'は、引き裂くことができる継目またはミシン目16で連結することができる。パウチ10、10'は、図5に示すようにロール状に、または図3に示すように積み重ねて包装し、図4に示すようにディスペンサ18に入れて販売することができる。このディスペンサには、意図する治療のために一般に処方される投薬の完全な供給を含めることができるが、フィルムおよび包装が薄いことから、錠剤、カプセル剤および液体に使用される従来のボトルよりも小さく便利である。さらに、本発明のフィルムは唾液または粘膜領域と接触すると瞬時に溶解し、水で飲み込む必要性を排除する。
【0088】
このような一連の単位用量を、特定の療法に応じて処方された例えば10〜90日投与のレジメンまたは処置に従って、一緒に包装することが望ましい。個々の複数のフィルムを1枚の支持体の上に包装し、これを剥がして使用することもできる。
【0089】
レオロジーおよびフィルム特性
本発明において、自己凝集しない均一な異種性(non-self-aggregating uniform heterogeneity)という用語は、乾燥炉、乾燥トンネル、真空乾燥器または他の乾燥装置を使用した高温空気浴などの従来の乾燥法によってフィルムを形成するときに通常経験するフィルム内での成分の凝集または凝塊化を大幅に低減させる、すなわちこれらをほとんど、または全く発生させない本発明のフィルムの能力を指す。本発明のフィルムは1種または数種の成分および極性溶媒から形成される。本発明で使用される異種性の語は、ポリマーなど単一の成分を含むフィルム、ならびにポリマーと活性材料など複数の成分の組合せを含むフィルムを包含する。均一な異種性の語は、フィルムの形成に使用される従来の混合および加熱乾燥方法でよく見られる凝集または凝塊が実質的に見られないことを包含する。
【0090】
さらに、本発明のフィルムの厚さは実質的に均一であり、このことも、水性ポリマー系を乾燥するのに使用される従来の乾燥方法を使用しては得られないことである。厚さが均一でないことは、所与のフィルムの領域全体にわたる成分分布の均一性に不利な影響を与える。
【0091】
本発明のフィルム生成物は、適切に選択したポリマーと極性溶媒との組合せによって生成される。この組合せには任意選択で、有効成分および当技術分野で周知の他の充填剤が含まれる。これらのフィルムは、選択したキャスティングまたは堆積法、および制御された乾燥プロセスを使用することによって、フィルム内の成分の自己凝集しない均一な異種性を提供する。制御された乾燥プロセスの例には、参照によって本明細書に組み込まれるMagoonの米国特許第4,631,837号(「Magoon」)に開示されている装置の使用、および底部基板および底部加熱プレートを横切る熱空気の作用が含まれる。ただしそれだけには限らない。本発明のフィルムを得るための他の乾燥技術は、無制御の空気流が存在しない条件での、赤外放射、高周波放射(すなわちマイクロ波)などの制御された放射乾燥である。
【0092】
乾燥プロセスの目的は、フィルムの上面が初めに乾燥し内部に水分が閉じ込められる、従来の乾燥方法に伴う有名な「波紋」効果(rippling effect)などの弊害の無い乾燥方法を提供することにある。従来の炉乾燥法では内部に閉じ込められた水分が後に蒸発するので、フィルムの上面は、裂開し再び形成されることによって変形する。これらの弊害は本発明によって防止され、初めにフィルムの下面を乾燥させ、または他の方法でフィルムの深部が乾燥する前にフィルムの上面にポリマーの膜(スキン)が形成されることを防ぐことによって、均一なフィルムが提供される。これは、上面に実質的に気流を発生させないでフィルムの下面を加熱することによって、あるいは、やはり上面に実質的に気流を発生させずに、制御されたマイクロ波を導入してフィルム内の水または他の極性溶媒を蒸発させることによって、達成することができる。乾燥はあるいは、均一なフィルムが得られるように下面および上面の気流が制御されたバランスのとれた気流などのバランスのとれた流体流を使用することによって達成することができる。その場合、フィルムの上面に導かれる空気流は、自体が生み出す力によって、湿ったフィルムの中に存在する粒子が移動するような条件を作り出してはならない。加えて、フィルムの下面に導かれる気流は、空気の力によってフィルムが持ち上げられないように制御されることが望ましい。フィルムの上下の制御されない気流はいずれも、最終フィルム生成物に不均一性をもたらし得る。上面の周囲の領域の湿度を適切に調節して、ポリマー表面の早期の閉鎖またはスキン化を防止することもできる。
【0093】
この方式のフィルム乾燥にはいくつかの利点がある。例えば、乾燥時間が短いこと、フィルム表面がより均一なこと、フィルム中の任意の所与の領域で成分が均一に分布していることなどである。さらに、乾燥時間が短いほど、フィルム内の粘度が急速に増大して成分の均一な分布がさらに促進され、最終フィルム生成物中の成分の凝集が低減する。フィルムの乾燥は約10分以内に完了することが望ましく、約5分以内であるとより望ましい。
【0094】
成分の凝集を低減させることに注意を向けたとき、本発明は格段に均一なフィルム生成物を提供する。混合プロセス中の過剰な空気の導入を防ぎ、過剰な空気を除去し、制御可能な粘度を与えるポリマーおよび溶媒を選択し、下面から上方へフィルムを迅速に乾燥させることによって、このようなフィルムが得られる。
【0095】
フィルム内の成分の自己凝集を実質的に低減させるフィルムを提供するために、本発明の生成物およびプロセスは、さまざまなフィルム生成ステップ間の相互作用に依存している。具体的には、これらのステップは、フィルムを形成するために使用する特定の方法、気泡の封入を防止する組成混合物を製造するステップ、フィルム形成組成物の粘度およびフィルムの乾燥方法を制御するステップを含む。さらに詳しくは、選択した極性溶媒に活性材料が可溶でない場合、活性材料の沈降を防止するためには混合物中の成分の粘度が高いことが特に有用である。しかし、粘度は、選択したキャスティング法を遅延させ、または妨げるほど高すぎてはならない。キャスティング法は、実質的に一貫した厚さのフィルムを提供することができるリバースロールコーティングを含むことが望ましい。
【0096】
望ましいフィルム均一性を達成するため、本発明は、フィルムあるいはフィルム形成成分またはマトリックスの粘度の他にいくつかの事項を考慮する。例えば、非コロイド応用において固形物(薬物粒子など)の沈降を妨げる安定な懸濁液を得る。本発明が提供する1つの方法は、微粒子の密度(ρp)と液相の密度(ρl)とを釣り合わせ、液相の粘度(μ)を増大させる方法である。分離した粒子では、粘性流体中での半径(r)の剛球体の終端沈降速度(Vo)が、ストークスの法則によって下式のように記述される。
Vo=(2grr)(ρpl)/9μ
【0097】
しかし、高粒子濃度では、局所的な粒子の濃度が、局所的な粘度および密度に影響する。懸濁液の粘度は、固形分の体積分率と強い相関関係にあり、粒子-粒子間および粒子-液体間の相互作用がさらに沈降速度を低下させる。
【0098】
ストークスの分析から、第3の相、例えば分散させた空気または窒素の組込みは懸濁液の安定性を促進することが分かっている。さらに、粒子数の増加が固形分体積分率に基づく沈降作用の阻害を招く。希薄な粒子懸濁液では、沈降速度vは下式で表すことができる。
v/Vo=1/(1+κψ)
【0099】
式中、κ=定数、ψは分散相の体積分率である。液相中に懸濁している粒子が多いほど沈降速度は低下する。粒子の寸法は粒子-粒子間の流れの相互作用に影響するので、粒子の幾何形状も重要な因子である。
【0100】
同様に、懸濁液の粘度は分散固形分の体積分率に依存する。相互作用しない球形粒子の希薄懸濁液に対しては、懸濁液の粘度が以下のように表される。
μ/μo=1+2.5Φ
【0101】
式中、μoは連続相の粘度、Φは固形分の体積分率である。高い体積分率では、分散体の粘度を以下のように表すことができる。
μ/μo=1+2.5ψ+C1ψ2+C2ψ3+...
【0102】
式中、Cは定数である。
【0103】
液相の粘度は重要であり、この粘度は、低降伏応力値を有する粘弾性非ニュートン流体になるように液体組成物を調整することによって変更することが望ましい。これは、静止した高粘度連続相を生成することと等価である。粘弾性流体相または高度に構築された流体相の形成は、粒子に沈降に対する追加の抵抗力を提供する。さらに、フロキュレーションまたは凝集を制御して、粒子-粒子間相互作用を最小限に抑えることができる。ネット効果は均一な分散相の保存に働くはずである。
【0104】
懸濁液の水相への親水コロイドの添加は、粘度を増大させ、粘弾性を生み出すことができ、親水コロイドのタイプ、濃度および粒子組成、幾何形状、サイズおよび体積分率に応じた安定性を与えることができる。分散相の粒子の粒径分布は、高粘性媒質中の現実的な最も小さい粒径、すなわち<500μmを選択することによって制御する必要がある。低剪断速度での軽微な降伏応力または弾性体の存在も見かけの粘度に関わらず永久的な安定性を誘発することができる。限界粒径は降伏応力値から計算することができる。分離された球形粒子の場合、所与の粘度の媒質中での沈降の際に生じる最大剪断応力は以下のように表すことができる。
τmax=3Vμ/2r
【0105】
偽塑性流体に対してこの剪断応力型の粘度は、ニュートンプラトーで十分にゼロ剪断速度粘度とるなることができる。
【0106】
安定した懸濁液は、フィルムキャスティング機にフィードするプリミックス組成物の製造、ならびに十分に乾燥されて、粒子およびマトリックスが十分に固体の形態に固定され、均一性が維持されるまでのフィルムが湿った段階でのこの安定性の維持にとって重要な特徴である。粘弾性流体系では、24時間など長時間にわたって安定懸濁液を提供するレオロジーは、高速フィルムキャスティング操作の要件と均衡が取れていなければならない。フィルムの望ましい特性は、剪断薄層性(shear thinning)または偽塑性であり、それにより剪断速度の上昇につれて粘性は減少する。チキソトロピーなどの時間依存性剪断効果も有利である。形成される際にフィルムは自己水平化することができるので、構造自己支持性および剪断薄層化の挙動も重要な特性である。
【0107】
本発明の組成物およびフィルムのレオロジー要件は極めて厳格である。
これは、粒子安定懸濁液を生成するために必要なためで、例えば粘弾性流体マトリックスの許容粘度値は広範な剪断速度範囲全体にわたって30〜60重量%である。混合、ポンプ輸送、およびフィルムキャスティング中、10〜105/秒-1の範囲の剪断速度を経験してもよく、偽塑性は好ましい実施形態である。
【0108】
フィルムキャスティングまたはコーティングでも、レオロジーは所望の均一性を有するフィルムが形成できるかどうかに関する決定要因である。剪断粘度、伸張粘度、粘弾性、構造自己支持性はフィルムの質に作用する。例として、剪断薄層化偽塑性流動体のレベリングは次式のように導かれる。
α(n-1/n)o(n-1/n)-((n-1)/(2n-1))(τ/K)1/n(2π/λ)(3+n)/nh(2n+1)/nt
【0109】
式中、αは表面波振幅、αoは初期振幅、λは粗表面(surface roughness)の波長、ならびに「n」および「K」は粘性指数法則の指標である。この例では、レベリング挙動は粘性と関連付けられ、nが減少するにつれて上昇し、Kが上昇するにつれて減少する。
【0110】
本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、非常に迅速な構造自己支持性を有すること、すなわち加工中、フィルムが形成するにつれて、崩壊したり、またはその構造および組成の均一性が不連続なものにならないことが望ましい。このような非常に迅速な構造自己支持性が粒子の沈降および沈殿を遅らせる。さらに、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、剪断薄層化偽塑性流動体であることが望ましい。粘性や弾性などの考察の特性を有する、このような流動体が薄膜形成および均一性を促進する。
【0111】
したがって、成分混合物の均一性は多数の変数に依存する。本明細書に記載した通り、成分の粘性、混合技術、得られた混合組成物および湿潤キャストフィルムのレオロジー特性は本発明の重要な態様である。加えて、粒径および粒形の制御をさらに配慮する。微粒子は粒径150ミクロン以下、例えば100ミクロン以下であることが望ましい。さらに、このような粒子は、球形、実質的に球形、あるいは不規則形、楕円形などの非球形とすることができる。楕円形粒子または楕円体が望ましいのは、フィルム形成マトリックス中の均一性を維持する能力を有するからであり、これは、球形粒子に比べて沈降しにくいためである。
【0112】
さまざまな異なるポリマーを使用することができるが、乾燥前に混合物の所望の粘度を提供するポリマーを選択することが望ましい。例えば、有効成分または他の成分が選択した溶媒に溶解しない場合には、均一性の維持に資するために、より大きな粘度を提供するポリマーが望ましい。一方、有効成分または他の成分が溶媒に溶解する場合には、より低い粘度を提供するポリマーのほうが好ましい。
【0113】
このポリマーは、フィルムの粘度に影響を及ぼす際に重要な役割を果たす。粘度は、乳濁液、コロイドまたは懸濁液中での活性材料の安定性を制御する液体の一特性である。一般に、マトリックスの粘度は、約400cps(「cps」または「センチポアズ」)から約100,000cps、好ましくは約800cpsから約60,000cps、最も好ましくは約1,000cpsから約40,000cpsである。フィルム形成マトリックスの粘度は乾燥プロセスの開始と同時に急速に増大することが望ましい。
【0114】
粘度は、選択した活性材料に基づいて、マトリックスの中の他の成分に応じて、調整することができる。例えば、その成分が選択した溶媒に溶解しない場合には、適当な粘度を選択して、得られるフィルムの均一性に不利な影響を及ぼすその成分の沈降を防ぐことができる。粘度はさまざまな方法で調整することができる。フィルムマトリックスの粘度を増大させるためには例えば、より高い分子量のポリマーを選択し、またはカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などの架橋剤を添加する。粘度は、温度を調整することによって、または粘度を増大させる成分を添加することによって調整することもできる。粘度を増大させ、または乳濁液/懸濁液を安定化する成分には、高分子量ポリマー、多糖類およびガムが含まれ、これには、アルギン酸塩、カラゲナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム、デキストラン、アラビアゴム、ゲランガムおよびこれらの組合せが含まれる。ただしそれだけには限らない。
【0115】
フィルム成分の混合:
混合段階中にいくつかの技術を利用して、最終的なフィルムに気泡が入るのを防ぐことができる。最終生成物中に実質的に全く気泡が形成されていない組成物混合物を得るために、発泡防止剤または表面張力低減剤を利用する。さらに、混合速度を制御して、混合物が空気を引き込む形での混合物の空洞化を防ぐことが望ましい。最後に、フィルムを乾燥させる前に、混合物を十分な時間静置して気泡を逃がしてやることによって、気泡の減少をさらに実現することができる。本発明のプロセスではまず最初に、薬物粒子などの有効成分または香味油などの揮発性材料を含まないフィルム形成成分の主バッチを形成することが望ましい。活性材料は、キャスティングの直前に主バッチの少量混合物に添加する。これによって、薬物または他の成分の不安定さを心配することなく主バッチのプリミックスを長時間放置しておくことができる。
【0116】
フィルム形成ポリマーおよび極性溶媒、ならびに任意の添加剤および有効成分を含むマトリックスを形成するときには、いくつかのステップで行うことができる。例えば、全ての成分を一度に加えることもできるし、またはプリミックスを調製することもできる。プリミックスの利点は、活性材料を除く全ての成分を事前に一緒にしておき、活性材料はフィルム形成の直前に添加することができる点である。このことは、水、空気または他の極性溶媒に対する長期の暴露によって分解する可能性がある活性材料にとって特に重要である。
【0117】
図6に、プリミックスの調製、活性材料の添加、およびその後のフィルム形成に適した装置20を示す。薬剤活性材料を除く添加剤、フィルム形成ポリマーおよび極性溶媒を含むプリミックスまたは主バッチ22を、主バッチ供給タンク24に加える。プリミックスまたは主バッチ22の成分は、主バッチ供給タンク24に加える前にミキサ(図示せず)の中で形成することが望ましい。次いで、所定の量の主バッチを、第1の定量ポンプ26および制御バルブ28を経由して、第1および第2のミキサ30、30'の一方または両方に制御可能に供給する。ただし、本発明は、2つのミキサ30、30'の使用だけに限定されず、任意の数のミキサを適当に使用することができる。さらに、本発明は、図6に示すような並列配列などの特定の配列のミキサ30、30'に限定されず、直列、並列と直列の組合せなど、他のミキサ配列または配置も適当に利用することができる。必要な量の薬物または香味剤などの他の成分を、それぞれのミキサ30、30'の開口部32、32'を通して所望のミキサに加える。プリミックスまたは主バッチ22のミキサ30、30'内の滞留時間は最小限に抑えることが望ましい。プリミックスまたは主バッチ22の中へ薬物を完全に分散させることが望ましいが、過大な滞留時間の結果、特に可溶性薬物の場合に、薬物が浸出または溶解する可能性がある。したがって、ミキサ30、30'は、プリミックスまたは主バッチ22の形成に使用する主ミキサ(図示せず)に比べてたいてい小型であり、すなわち滞留時間が短い。薬物と主バッチプリミックスを十分な時間混合して均一なマトリックスを得た後、特定の量の均一なマトリックスを、第2の定量ポンプ34、34'を通してパン36に供給する。計量ローラ38がフィルム42の厚さを決定し、塗布ローラに適用する。最後にフィルム42が基板44上に形成され、支持ローラ46によって運搬される。
【0118】
フィルムの形成
本発明のフィルムは、乾燥させる前に、シートの形状に形成しておかなければならない。所望の成分を一緒にして、ポリマー、水、および希望に応じた活性材料または他の成分を含む多成分マトリックスを形成した後、押出し、コーティング、スプレッディング(spreading)、キャスティング、延伸などの当技術分野で周知の任意の方法によって、この多成分マトリックスをシートまたはフィルムの形状に形成する。多層フィルムを希望する場合には、2つ以上の成分の組合せの共押出しによってこれを実施することができる。組成は同じでも、または異なっていてもよい。多層フィルムは、既に形成されているフィルム層の上に成分の組合せをコーティング、スプレッディングまたはキャストすることによっても達成することができる。
【0119】
異なるさまざまなフィルム形成技法を使用することができるが、可撓性のフィルムを提供する、リバースロールコーティングなどの方法を選択することが望ましい。フィルムが可撓性であると、保管のため、または個々の剤形にカットする前に、フィルムシートを丸め、輸送することができる。フィルムはさらに自己支持型であること、言い換えると別個の支持体がなくても自体の完全性および構造を維持しうることが望ましい。さらに、本発明のフィルムは、可食材料または摂取可能な材料でできたものを選択することができる。
【0120】
コーティング法またはキャスティング法は本発明のフィルムを形成する目的に特に有用である。具体的な例には、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、浸漬コーティング、計量棒またはmeyerバーコーティング、スロットダイまたは押出しコーティング、ギャップまたはナイフオーバーロールコーティング、空気ナイフコーティング、カーテンコーティング、または多層フィルムが所望のときには特にこれらの組合せが含まれる。
【0121】
本発明に基づくフィルムを形成するときには、ロールコーティング、具体的にはリバースロールコーティングが特に望ましい。この手法は、優れた制御および得られるフィルムの優れた均一性を提供し、このことは本発明において望ましい。この手法では、上部計量ローラとその下の塗布ローラの間のギャップの精密セッティングによって、コーティング材料がアプリケータローラ上へ計量される。このコーティング材料は、塗布ローラに隣接した支持ローラに沿って基板が通過するときに、塗布ローラから基板へ転写される。3ローラプロセスおよび4ローラプロセスが一般的である。
【0122】
グラビアコーティングプロセスは、コーティング浴の中を走る彫刻されたローラに依存する。コーティング浴では、ローラの彫刻された点または線にコーティング材料が充てんされる。ローラ上の過剰なコーティングは、ドクターブレードによって拭き取られ、次いで、彫刻されたローラとプレッシャローラの間を基板が通過するときに、コーティングが基板に付着する。
【0123】
中間ローラにコーティングを付着させた後にコーティングを基板に転写するオフセットグラビアが一般的である。
【0124】
単純な浸漬コーティングプロセスでは、コーティング浴の中に基板を浸す。基板を浴から取り出したときにコーティングが再び浴に戻ることができるように、通常は低粘度のコーティングが使用される。
【0125】
計量棒コーティングプロセスでは、浴ローラの上を基板が通過するときに、過剰のコーティングを基板に付着させる。マイヤーバー(Meyer Bar)としても知られているワイヤが巻かれた計量棒では、所望の量のコーティングを基板に残すことができる。この量は、棒の表面に使用するワイヤの直径によって決まる。
【0126】
スロットダイプロセスでは、スロットを通してコーティングを、重力によってまたは圧力をかけて基板上へ絞り出す。コーティングが100%固体である場合、このプロセスは「押出し」と呼ばれ、この場合、ライン速度がしばしば押出しの速度よりもずっと速い。これによって、コーティングの厚さを、スロットの幅よりもかなり薄くすることができる。
【0127】
ギャップまたはナイフオーバーロールプロセスは、コーティングを基板に適用し、次いでこれを「ナイフ」と支持ローラの間の「ギャップ」に通すことに依存する。コーティングおよび基板が通過するときに過剰の材料がこすぎとられる。
【0128】
空気ナイフコーティングでは、基板にコーティングが適用され、空気ナイフからの強力なジェットによって過剰の材料が「吹き飛ばされる」。この手法は水性コーティングに対して有効である。
【0129】
カーテンコーティングプロセスでは、基部にスロットの付いた浴によって、連続したカーテン状のコーティングが2つのコンベヤ間のギャップに落ちる。コーティング対象は、制御された速度でコンベヤに沿って進み、その上面にコーティングを受け取る。
【0130】
フィルムの乾燥
フィルムを形成する初期のステップでは、均一性を促進するために、適切な粘度、混合物の均一性、粒子の安定な懸濁液およびキャスティング法が重要だが、湿ったフィルムの乾燥方法も重要である。これらのパラメータおよび特性は初期の均一性を促進するが、制御された急速乾燥プロセスは、フィルムが乾燥するまで均一性が維持されることを保証する。制御された乾燥プロセスが特に重要なのは、粘度増大組成物、または例えばポリマーの選択によって粘度が制御された組成物がなく、フィルムの中の成分が凝集または凝塊化しやすいときである。正確な用量を有するフィルムを形成する方法であって、制御された乾燥プロセスを必要としない代替の方法としては、所定のウェルの上にフィルムをキャスティングする方法が考えられる。この方法では、成分が凝集する可能性はあるものの、それぞれのウェル自体が用量単位を画定することができるので、隣接する剤形へ活性材料は移動しない。
【0131】
制御された乾燥プロセスまたは急速乾燥プロセスが望ましいときにはさまざまな方法によって実施することができる。熱の適用を必要とする方法を含むさまざまな方法を使用することができる。液体キャリアは、濡れたフィルムでは達成されている均一性、詳細には自己凝集しない均一な異種性が維持される方法でフィルムから除去する。
【0132】
フィルムは、フィルムの下面からフィルムの上面へ向かって乾燥させることが望ましい。固体の粘弾性構造が形成されるその初期の硬化期間の間、フィルムの上面を横切る気流を実質的に存在させない。これは、乾燥プロセスの最初の数分の間、例えば最初の約0.5分から約4分の間実施することができる。このように乾燥プロセスを制御すると、従来の乾燥方法では生じるフィルムの上面の破壊および再形成を防ぐことができる。これは、フィルムを形成し、上面および下面を有する表面の上面にフィルムを配置することによって達成される。次いで、初めにフィルムの下面に熱を適用して、液体キャリアを蒸発させまたは他の方法で除去するのに必要なエネルギーを供給する。この方法で乾燥させたフィルムは、空気乾燥させたフィルム、または従来の乾燥手段によって乾燥させたフィルムに比べてより急速かつ均一に乾燥する。まず最初に上面と縁が乾燥する空気乾燥フィルムとは対照的に、下面に熱を適用することによって乾燥させたフィルムは、中心と縁が同時に乾燥する。この方法はさらに、従来の手段によって乾燥させたフィルムでは生じる成分の沈降を防ぐ。
【0133】
フィルムを乾燥させる温度は約100℃以下、望ましくは約90℃以下、最も望ましくは約80℃以下である。
【0134】
単独で、またはこれまでに開示した他の制御された方法と組み合わせて使用することができる、他の乾燥プロセス制御方法には、フィルムを乾燥している乾燥装置の中の湿度を制御し変化させる方法が含まれる。この方法では、フィルムの上面が早期に乾燥してしまうことが回避される。
【0135】
適当な乾燥方法の具体例はMagoonが開示している方法である。Magoonは特に、果肉を乾燥させる方法を対象としている。しかし、本発明の発明者はこのプロセスを、薄いフィルムの調製に適合させた。
【0136】
Magoonの方法および装置は水の興味深い特性に基づいている。水は、伝導および対流によって水の中およびその周囲にエネルギーを伝えるが、エネルギーを放射するのは水の中だけである。Magoonの装置は赤外放射に対して透明な表面を含み、その上に果肉が置かれる。この表面の下面は、温度制御された水浴と接触している。水浴の温度は、水の沸騰温度よりもわずかに低い温度に制御されることが望ましい。濡れた果肉を装置のこの表面に置くと、これが「レフラクタンス窓(refractance window)」を生み出す。このことは、この表面を通して、この表面の果肉が占有している領域だけに、果肉が乾燥するまでの間だけ赤外エネルギーが放射されることを意味する。Magoonの装置は、フィルム成分の凝集を低減する効率的な乾燥時間で本発明のフィルムを提供する。
【0137】
このフィルムは初め、約500μmから約1,500μm、すなわち約20ミルから約60ミルの厚さを有することができ、乾燥すると、約3μmから約250μm、すなわち約0.1ミルから約10ミルの厚さを有することができる。乾燥したフィルムは約2ミルから約8ミルの厚さを有することが望ましく、約3ミルから約6ミルの厚さを有するとより望ましい。
【0138】
次いで、制御された下面乾燥または制御されたマイクロ波乾燥を使用して湿ったフィルムを乾燥させる。このとき、本明細書に記載のフィルム48の(露出した)上面には外部空気流または熱が存在しないことが望ましい。制御された下面乾燥または制御されたマイクロ波乾燥はフィルムから蒸気を有利に放出させ、従来技術の欠点を示さない。従来の上面からの対流式の空気乾燥は使用しない。この乾燥方法では、フィルムの最上部から乾燥が始まり、これにより蒸気などの流体の流れ、および乾燥のための熱エネルギーなどの熱の流れに対する障壁が形成されるからである。このような乾燥した上部は、その下の部分が乾燥するときのさらなる蒸気放出の障壁の働きをし、その結果、フィルムが不均一になる。以前にも述べたことだが、上面空気流を使用して、本発明のフィルムの乾燥に役立てることもできるが、フィルム中での粒子移動または波紋効果を引き起こす条件を作り出してはならない。これらはともに不均一性をもたらす。上面空気流を使用する場合には、下面空気乾燥とバランスをとって、不均一性を回避し運搬ベルト上でのフィルムの持ち上がりを防ぐ。下面空気流が主たる乾燥源として機能し、上面空気流が副次的な乾燥源である上面空気流と下面空気流のバランスが適当であると考えられる。上面空気流の利点は、排出される蒸気をフィルムから遠ざけることであり、それによって乾燥プロセス全体が促進される。しかし、上面空気流または上面乾燥の使用は、組成物のレオロジー特性および加工の力学的側面を含むいくつかの要因によってバランスがとられなければなければならない。さらに、空気などの上面流体流は、フィルム形成組成物の固有粘度に打ち勝つものであってはならない。すなわち、上面空気流は組成物表面を破壊し、ひずませ、または他の方法で物理的にかき乱してはならない。さらに空気速度は、フィルムの降伏値よりも小さいことが望ましい。すなわちフィルム形成組成物中の液体を移動させることができる力のレベルよりも低いことが望ましい。薄い組成物すなわち低粘度の組成物では、低い空気速度を使用しなければならない。厚い組成物すなわち高粘度組成物では、より大きな空気速度を使用することができる。さらに、組成物から形成されたフィルムが持ち上がったり、または他の方法で移動したりしないように、空気速度は小さいことが望ましい。
【0139】
さらに、本発明のフィルムは、揮発性の香味剤、分解温度が低い薬物など、温度に敏感な粒子を含むことができる。このような場合には、乾燥温度を下げ、乾燥時間を延長して、本発明の均一なフィルムを適切に乾燥する。さらに、上面乾燥と比較すると下面乾燥では、フィルムの内部温度が低くなる傾向がある。下面乾燥では、上面乾燥に比べ、蒸発した蒸気がフィルムから熱をより迅速に奪い去り、そのためフィルムの内部温度が低下する。このような低いフィルム内部温度はしばしば、薬物の分解、および香味剤などのある種の揮発性材料の損失を低減させる。
【0140】
さらに、組成物またはマトリックスをフィルムの形状にキャスティングした後に、フィルム形成組成物またはマトリックスに粒子または微粒子を添加することができる。例えば、フィルム42を乾燥する前に、フィルム42に粒子を添加することができる。粒子をフィルムに対して制御して計量し、この粒子を、ドクターブレード(図示せず)を使用するなどの適当な技法によってフィルム上に配置することができる。ドクターブレードは、フィルムの表面にわずかに、またはソフトに触れて、フィルム表面に粒子を制御可能に配置する装置である。他の適当な技法には、追加のローラを使用して粒子をフィルムの表面に配置すること、フィルム表面に粒子を吹き付けることなどが含まれる。ただしそれだけには限らない。粒子は、互いに反対側にある一方または両方のフィルム表面、すなわちフィルムの上面および/または下面に配置することができる。粒子は、フィルムに埋め込むなど、フィルム上にしっかりと配置することが望ましい。さらに、このような粒子は、フィルムの中に完全に包み込まれたり、または完全に埋め込まれたりするのではなく、粒子が部分的に埋め込まれ、または部分的に包み込まれている状況などのように、フィルム表面に露出していることが望ましい。
【0141】
この粒子は、有用な感覚刺激剤、美容剤、薬剤、またはこれらの組合せとすることができる。薬剤は、味がマスクされた薬剤または制御放出性の薬剤であることが望ましい。有用な感覚刺激剤には香味剤および甘味剤が含まれる。有用な美容剤には、メントール結晶を含むメントールなどの口臭清涼剤または充血除去剤が含まれる。
【0142】
本発明のプロセスは、上記の望ましい乾燥のためのどの特定の装置にも限定されないが、有用な1つの乾燥装置50を図7に示す。乾燥装置50は、熱空気などの熱流体を、基板44上に配置されたフィルム42の下面に導くためのノズル配置である。熱空気は乾燥装置の入口端52から進入し、進路54によって示されているように空気デフレクタ56に向かって垂直に上昇する。空気デフレクタ56は、空気が移動する方向を変えて、フィルム42にかかる上向きの力を最小限に抑える。図7に示すように、空気は、空気デフレクタ56を通り過ぎると、進路60および60'によって示されるように接線方向に進み、乾燥装置50のチャンバ部58および58'に入り、その中を進む。熱空気流は実質的にフィルム42の接線方向に流れ、これによってフィルムが乾燥するときのフィルムの持ち上がりは最小限に抑えられる。空気デフレクタ56はローラとして示されているが、空気または熱流体を偏向させる他の装置および幾何配置も適当に使用することができる。さらに、乾燥装置50の出口端62および62'は下に向かって広がっている。このような下向きのフレアは、進路64および64'によって示されるように下向力または下向進行速度を提供し、この力がフィルム42に引張効果を与え、フィルム42の持ち上がりを防止する傾向がある。フィルム42の持ち上がりは、フィルムに不均一性をもたらすだけでなく、そうでない場合は、加工装置からフィルム42および/または基材44が持ち上げ離されるので、フィルム42に制御されない加工がもたらされ得る。
【0143】
フィルムの厚さのモニタリングおよび制御もまた、均一な厚みのフィルムを提供することにより、均一なフィルムの生成に役立つ。フィルムの厚さは、ベータ計測器などの計測器を用いてモニタすることができる。計測器を、乾燥装置、すなわち乾燥炉または乾燥トンネルの端部の計測器に結合し、フィードバックループを介して通信し、コーティング装置の開口を制御、調整して、均一なフィルムの厚さを制御することができる。
【0144】
一般に、フィルム生成物は、適切に選択したポリマーおよび極性溶媒、ならびに所望の有効成分または充填材を一緒にすることによって形成される。この合剤の溶媒含有量は、合剤全体の少なくとも約30重量%であることが望ましい。この合剤によって形成されたマトリックスを望ましくはロールコーティングによってフィルムに形成し、次いで望ましくはフィルムの均一性、より詳しくは自己凝集しない均一な異種性を維持するために迅速で制御された乾燥プロセスによって乾燥する。得られたフィルムは、約10重量%未満の溶媒、より望ましくは約8重量%未満の溶媒、さらにより望ましくは約6重量%未満の溶媒、最も望ましくは約2%未満の溶媒を含むことがが望ましい。溶媒は、水、ならびにエタノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレンまたはこれらの組合せを含む極性有機溶媒とすることができる。ただしそれだけには限らない。
【0145】
さらに、高温脂肪材料、例えば融点が55℃以上の脂肪材料を使用して、腸溶コーティングの前または後に乾燥粒子をカプセル化することができることが意外にも発見された。この乾燥プロセスの温度は十分に急速かつ低く、水蒸気損失の結果としての蒸発冷却効果は、脂肪があまり融解しない程度に十分に高い。
【0146】
レオロジー特性、粘度、混合法、キャスティング法および乾燥法などの上記のパラメータの考察も、本発明のさまざまな成分の選択に影響を与える。さらに、適切な選択に伴うこのような考察が、単位面積当たりの薬剤および/または美容活性材料の分散がわずか10%に過ぎない、薬剤および/または美容剤形、あるいはフィルム生成物を含む本発明の組成物を提供する。すなわち、本発明の均一性は、マトリックス全体にわたって薬剤および/または美容剤のわずか10重量%に過ぎない分散の存在によってによって決定される。分散は5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、または0.5重量%未満が望ましい。
【0147】
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに説明することを意図したものである。
【実施例】
【0148】
味がマスクされた薬剤として活性な作用材料の調製
以下の薬物を味マスキング成分でコーティングし、本発明のフィルムで使用した。
【0149】
a.流動床コーティング:ノルチンドロン(northindrone)(Norlutin(登録商標))からなるコア材料を有する味がマスクされた粒子を調製した。まず初めに、ノルチンドロンを、ふるい目の開きが250ミクロンの60メッシュのふるいにかけた。得られた粒子、すなわち粒径250ミクロン未満の粒子を次いで、ウースターカラム(Wurster Column)を使用したバースグラット流動床(Verse Glatt Fluidized Bed)中での流動床コーティング手法によってコーティングした。これに応じて、5%メチルセルロース/0.5%Acesulfame(登録商標) K(ノンカロリー甘味剤)溶液625グラムを調製した。次いでこの溶液を、ふるいにかけた先のノルチンドロン粉末500グラムに、グスタフシュリックノズル941型(Gustav Schlick nozzle model 941)によって空気圧40psiで適用した。流動床の温度を上昇させ、吹付けプロセスの間、115°Fに維持した。コーティングの最後に、得られた粒子をその中で3分間、乾燥させた。味がマスクされたノルチンドロン合計530グラムを得た。
【0150】
b.凝集プロセス:2.5%ナトリウムサッカリン/2.5%Acesulfame(登録商標) K甘味剤溶液94グラムを調整した。ポリチアジド(Renese(登録商標))20グラムを含む、ヒドロキシプロピルメチルセルロース60グラムと二酸化シリカ40グラムのドライブレンドを調製した。次いで、低剪断混合しながら、先の甘味剤溶液を、ドライブレンド粉末上へ1度に少しずつ吹き付けた。この時点で乾燥粉末は造粒/吸収プロセスによって凝集していた。次いでこの湿った混合物を、105°Fの対流オーブンの中で17時間、乾燥させた。得られた乾燥生成物を、フィッツハンマーミル粉砕機(Fitz Hammer Mill grinder)で粉砕し、ふるい目の開きが149ミクロンの100メッシュのふるいに通した。
【0151】
c.造粒プロセス:モデルRV02ミックスペレタイザ(RV02 Mix Pelletizer)(Eirich Machines Ltd.社製)を最大混合速度で使用して以下の生成物を調製した。ミキサの中のLoratidine(登録商標)40グラム、Aspartame(登録商標)40グラム、ヒドロキシプロピルセルロース10グラムおよびアラビアゴム5グラムの粉末ミックスに、少量の粉砕氷を漏斗を使用してゆっくりと加え、同時に、低い設定のパン回転および混合モータで混合した。氷は1分から2分かけて加えた。氷を追え終えたら、パンおよびロータミックスを高速に切り替えて球形粒子を形成した。終点は、低パワーの顕微鏡を使用して粒子を調べることによって判定した。2分間激しく混合しても終点に達しないときには、氷をさらに追加し、または追加しないで1分から2分、さらに混合する。この手順を終点に達するまで、すなわち球形の粒子が形成されるまで繰り返す。この得られた湿った試料を、55℃の箱形乾燥器中で約5時間乾燥させた。得られた粒子の粒径は20メッシュから200メッシュであった。次いでこれらの粒子をふるいにかけ、所望の粒径の粒子を得た。
【0152】
d.注入法:Sucralose(登録商標)3.7グラム、フルオキセチンHCl(Prozac(登録商標))10グラムおよびポリビニルピロリドン1.25グラムからなるドライブレンドを均一に混合した。次いで、水5.0グラムおよびプロピレングリコール2.74グラムをこの混合物に加え、十分に混合した。この混合物に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース22グラムを加え、高剪断ステファンミキサ(Stephan Mixer)の下で少なくとも3分間混合した。得られた粒子を100メッシュのふるいにかけ、フィルムマトリックス溶液中で使用する準備が整った粒子を得た。
【0153】
e.スピニング/凝固粒子生成プロセスによって、Southwest Research Institute社のTriglyceride Reduction Formula(商標)マイクロスフェアをエチルセルロースでコーティングした。コーティング後の粒子の粒径は100ミクロン未満であった。このポリマーは薬物粒子の表面に凝縮し、これにより味がマスクされた薬剤として活性な作用材料を与えた。
【0154】
f.Eudragit(登録商標) E100(ジメチルアミノエチルアンモニウム基を有するカチオン性メタクリラート)の粒径50から100ミクロンの粒子をスプレーコーティングすることよって、タモキシフェンを生成した。流動床コーティングの間に、粒径150ミクロン未満の粒子を保証するフラクション分離装置を使用して、コーティングした粒子を分離した。コーティングの推定レベルは約15%であった。このポリマーは薬物粒子の表面に凝縮し、これにより味がマスクされた薬剤として活性な作用材料を与えた。
【0155】
g.ポリエチレングリコール(分子量400)にトルセミドを溶解し、これを、音波スプレーノズルを使用して超臨界CO2流に加える臨界流体プロセスによって、トルセミド(Torsemide)をコーティングした。得られる小滴の粒径を制御して、粒径約150ミクロンの球形粒子を生成した。次いでこれらの粒子を、ポリマーコーティングを吹き付けるために使用する装置へ移した。このポリマーは薬物粒子の表面に凝縮し、これにより味がマスクされた薬剤として活性な作用材料を与えた。使用したポリマーコーティングは、固形物15%となるようにエタノールに溶解したEudragit(登録商標) E100であった。圧力を下げ、CO2およびエタノールを除去することによって、コーティングされた生成物を分離した。
【0156】
h.アクリル酸/メタクリル酸共重合体(Eudragit(登録商標) RLまたはEudragit(登録商標) POおよびEudragit(登録商標) RSまたはEudragit(登録商標) PO)をコーティング材料として使用したエマルジョン溶媒蒸発法によってフェロジピンをコーティングした。平均球径は12ミクロン、薬物負荷は約50%であった。
【0157】
i.Trappsol(登録商標)シクロデキストリンでジゴキシンをコーティングした。室温の水と混合することによって、変性されたシクロデキストリン50%(wt/vol)溶液を生成した。細かく粉砕したジゴキスチン(15ミクロン未満)をこの溶液に入れ、緩やかに攪拌して懸濁させた。この混合物を60分間撹拌し、0.45ミクロン膜による遠心法によって未溶解の薬物を除去した。この溶液の噴霧乾燥によって、薬物負荷10%の乾燥粉末を得た。
【0158】
フィルム形成組成物の調製:
フィルム形成組成物である表1の組成物Aを調製し、減圧下で混合して気泡を除去した。詳細には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel(商標) E15)、ポリビニルピロリドン、デンプンおよびキサンタンのポリマーミックスを水に加え、約15分間撹拌した。攪拌は、軸方向インペラを使用し、350から1500rpmに設定した。撹拌は、これらの成分を一緒にしてから45分間続け、粘性の均一な混合物を形成した。
【0159】
この粘性混合可塑剤(プロピレングリコール)に、香味剤、発泡防止剤および甘味剤を順番に加えた。味がマスクされた薬物を添加する前に、この混合物を500rpmでさらに10分間攪拌した。
【0160】
【表1】

【0161】
味がマスクされた薬物をこの混合物に約5分かけて加えた。薬物を添加した後、この混合物を、約0.1トルから約0.7トルの減圧下に約45分間置いた。
【0162】
味がマスクされた薬剤として活性な作用材料を含むフィルム組成物:
減圧を解除した後、生成した混合物をコーティングパンに加え、3ロールコータを使用してフィルム化した。懸濁液は、シリコーン処理した紙基板上に250ミクロンでコーティングし、90℃に加熱した乾燥炉を通した。この組成物は、同時係属の米国特許出願番号10/074,272に記載の方法に従って乾燥させた。
【0163】
乾燥した生成物の物理的な外観、口腔内での溶解および苦味を調べた。
【0164】
味がマスクされた上記の薬物を有する本発明の組成物Aのカットされていないフィルムは、特に、味がマスクされた薬物、ならびにフィルムから切り取った3/4"×1"×5〜6ミルの単位用量に関して内容の均一性を示した。本発明の組成物はさらに、気泡のないなめらかな表面を有することが観察された。摂取したときこのフィルムは最小限の味しかしなかった。全てのフィルムは口の中で15秒以内に溶解した。
【0165】
粒径100ミクロン未満の味がマスクされたトリグリセリドを含む生成されたフィルムは、25mm2のフィルム片あたり20mgの負荷を有していた。粒径150ミクロン未満の味がマスクされたタモキシフェンを含む生成されたフィルムは、20mm2のフィルム片あたり10mgの負荷を有していた(85%活性を仮定)。粒径150ミクロン未満の味がマスクされたトルセミドを含む生成されたフィルムは、25mm2のフィルム片あたり10mgの負荷を有していた(90%活性を仮定)。味がマスクされたジゴキシンを含む生成されたフィルムは、15mm2のフィルム片あたり0.5mgの負荷を有していた(90%活性を仮定)。
【0166】
界面活性剤および/または可塑剤を含まないフィルム組成物
本発明の以下の実施例は、界面活性剤としてエトキシル化ヒマシ油を使用したフィルムおよびフィルム形成組成物、あるいは界面活性剤、可塑剤および/またはポリアルコールを含まないフィルムおよびフィルム形成組成物について記述したものである。本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は事実上、界面活性剤を含まないことが望ましい。さらに、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、界面活性剤を事実上含まないように製剤することが好ましい。さらに、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、可塑剤を事実上含まないように製剤することが望ましい。さらに、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、ポリアルコールを事実上含まないように製剤することが望ましい。さらに、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、界面活性剤および可塑剤を事実上含まないように製剤することが望ましい。さらに、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、界面活性剤、可塑剤および多価アルコールを事実上含まないように製剤することが望ましい。
【0167】
【表2】

【0168】
上記成分を30%から70%の水に加え、ポリマーが完全に水和するまで攪拌した。これには45分かかった。次いで、この混合物を減圧下に置いて捕捉された空気を除去した。減圧は、500mmから出発して760mmまで45分間かけて安定的に実施した。
【0169】
減圧を解放後、200ミクロンのスパイラル型巻線ロッド(spiral wound rod)およびKコントロールコーターモデル101(RK Print Coat Inst. Ltd.)を使用して、この液体6グラムをコーティング紙に加えた。コーティングを加えた紙基板はシリコーンコート紙であった。次いで、水分が約5%になるまでこのコート紙を90℃で乾燥した。この処方物をコーティングし、乾燥してフィルムの厚さを約60ミクロンにした。口の中で迅速に溶解した。
【0170】
【表3】

【0171】
上記成分を40%の水に加え、均一な懸濁液を得た。減圧は、500mmHgから出発して660mmHgまで20分間かけて実施し、懸濁液から全ての空気を除去した。先の実験で説明したとおりにフィルムを製作した。この液体はシリコーン放出基板を覆い、乾燥して均一な可撓性フィルムとなった。このフィルムを180°曲げ試験にかけたが亀裂は生じなかった。口の中で溶解した。
【0172】
【表4】

【0173】
上記成分を30%から70%の水に加え、ポリマーが完全に水和するまで攪拌した。これには20分かかった。次いで、この混合物を減圧下に置いて捕捉された空気を除去した。減圧は、760mmまで35分間かけて安定的に実施した。
【0174】
減圧を解放後、350ミクロンのスムーズバーおよびKコントロールコーターモデル101(RK Print Coat Inst.Ltd.)を使用してこの液体をコーティング紙に加えた。コーティングを加えた紙基板はシリコーンコート紙であった。次いで、水分が約4%になるまでこのコート紙を90℃で乾燥した。処方物をコーティングし乾燥してフィルムにした。フィルムは許容できる味であり、口の中で迅速に溶解した。味マスキング香味剤は、味覚受容体に作用して、受容体が異なる通常の望ましくない味を記録するのをマスクする成分である。このフィルムを180°曲げ試験にかけたが亀裂は生じなかった。口の中で溶解した。
【0175】
現在、本発明の好ましい実施形態と考えられるものを記載したが、当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなしに、これらに変更および修正を加えることができることは理解され、このような変更および修正は全て真の本発明の範囲内に属するものとして含むものとする。
【符号の説明】
【0176】
10、10' パウチ
12 フィルム
14 プラスチックラミネートシート
16 ミシン目
18 ディスペンサ
20 装置
22 主バッチ
24 主バッチ供給タンク
26 第1の定量ポンプ
28 制御バルブ
30、30' ミキサ
32、32' 開口部
34、34' 定量ポンプ
36 パン
38 計量ローラ
42 フィルム
44 基材
46 支持ローラ
48 フィルムの上面
50 乾燥装置
52 入口端
54 進路
56 空気デフレクタ
58、58' チャンバ部
60、60'、64、64' 進路
62 出口端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 流動可能な少なくとも部分的に水溶性または少なくとも部分的に水膨潤性の湿潤フィルム形成マトリックスと、
(ii) 前記湿潤マトリックス内及び/または上に均一に配置された微粒子状の生体効果作用材料と、
(iii) 前記微粒子状の生体効果作用材料でコーティングされた、または前記微粒子状の生体効果作用材料と密接に結合した味マスキング剤と
を含むキャスト湿潤フィルムデリバリーシステムであって、
結合した前記微粒子状の生体効果作用材料と前記味マスキング剤の平均粒径が、前記湿潤フィルムマトリックスの厚みである500-1500μm(20-60ミル)未満である、キャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項2】
前記フィルムマトリックスが自己支持性であり、実質的に同じサイズの前記フィルムマトリックスの単位容量中の活性材料の10%未満の分散を提供する、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項3】
前記フィルムマトリックスが10%以下の含水量を有する、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項4】
前記生体効果作用材料が、組成物全体の0.1%から60重量%までの量で存在する、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項5】
前記味マスキング剤が、平均分子量が40,000以上である水溶性ポリマーである、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項6】
前記水溶性ポリマーが、アクリルポリマー、セルロースポリマー、ビニルポリマー、およびこれらの組合せからなるグループから選択される、請求項5に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項7】
前記マトリックスが、セルロース材料、ガム、タンパク質、デンプン、グルカン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、アラビアゴム、キサンタンガム、トラガカント、アカシア、カラゲナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリアクリラート(ポリメタクリラート)、ポリ(メト)コポリマー、デキストリン、デキストラン、キチン、キトシン、ポリデキストロース、フルクトースオリゴマーまたはこれらの組合せである、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項8】
前記デンプンが、ゼラチン化デンプン、変性デンプンまたは非変性デンプンである、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項9】
前記マトリックスが、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質、大豆タンパク質アイソレート(isolate)、ホエータンパク質、ホエータンパク質アイソレート、カゼイン、レビン、コラーゲンおよびこれらの組合せからなるグループから選択されるタンパク質である、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項10】
前記マトリックスが一つ以上の平均分子量のポリエチレンオキシドポリマーを含み、前記一つ以上のポリエチレンオキシドポリマーが一つ以上のさらなるポリマーと任意に組み合わされる、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項11】
前記生体効果作用材料が、抗菌剤、非ステロイド性抗炎症剤、咳止め薬、鬱血除去剤、抗ヒスタミン剤、去痰薬、抗下痢剤、H2-拮抗材料、プロトンポンプ阻害剤、全身性非選択的CNS抑制薬、全身性非選択的CNS興奮薬、選択的CNS機能調節剤、抗パーキンソン剤、麻酔薬、鎮痛剤、勃起機能障害治療剤、抗発熱薬、精神薬、ace-阻害剤、抗狭心症薬、抗不整脈剤、抗喘息剤、抗コレステロール血症剤、鎮痛剤、抗痙攣剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗下痢調剤、解毒剤、抗高血圧薬、抗脂質剤、抗躁病剤、抗悪心薬、抗脳梗塞剤、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、ざ瘡薬物、アルカロイド剤、アミノ酸調剤、咳止め薬、抗尿酸血症薬、同化作用調剤、全身性および非全身性抗感染症薬、抗新生物薬、抗リウマチ薬、食欲増進剤、生体応答調整剤、血液調整剤、骨代謝調節剤、心血管薬、中枢神経系刺激剤、コリンエステラーゼ阻害剤、避妊薬、栄養補助食品、ドーパミン受容体作用薬、子宮内膜症薬、酵素、妊娠薬、胃腸薬、ホメオパシー療法剤、ホルモン、高カルシウム血症剤および低カルシウム剤、免疫調節剤、免疫抑制剤、片頭痛調剤、乗り物酔予防薬、筋肉弛緩剤、肥満治療剤、骨粗鬆症調剤、子宮収縮剤、副交感神経遮断薬、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、精神治療薬、呼吸薬、鎮静薬、禁煙補助剤、交感神経遮断剤、振戦薬、尿路薬、血管拡張剤、緩下薬、制酸剤、イオン交換樹脂、食欲抑制剤、抗不安薬、抗炎症材料、冠血管拡張剤、大脳拡張剤、末梢血管拡張剤、向精神薬、興奮剤、血管収縮神経薬、片頭痛治療剤、精神安定剤、抗精神病薬、抗凝血剤、抗血栓薬、催眠薬、抗吐薬、神経筋薬、高および低血糖薬、甲状腺および抗甲状腺調剤、利尿薬、抗痙攣、子宮弛緩薬、赤血球生成薬物、咳抑制剤、粘液溶解薬、DNAおよび遺伝子調整薬、ならびにこれらの組合せからなるグループから選択される、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項12】
溶媒を含む少なくとも一つの液体キャリアを更に含む、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項13】
前記生体効果作用材料が、鎮痛剤、抗吐薬、オピエート誘導体、及びインスリンからなるグループから選択される、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項14】
前記フィルム製品が約1,000cpsから約40,000cpsの粘度を有する、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。
【請求項15】
前記フィルム製品が約3ミルから約6ミルの厚さを有する、請求項1に記載のキャスト湿潤フィルムシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−140507(P2011−140507A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51478(P2011−51478)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【分割の表示】特願2003−533915(P2003−533915)の分割
【原出願日】平成14年10月11日(2002.10.11)
【出願人】(504322976)モノソル・アールエックス・エルエルシー (12)
【Fターム(参考)】