説明

味覚変容物質としての水分散性カロテノイドナノ粒子の使用、水分散性カロテノイドナノ粒子を含む味覚変容物質、および味覚変容方法

本発明は、組成物における味覚変容物質としての少なくとも1つのタイプの水分散性カロテノイドナノ粒子の使用;少なくとも1つのタイプの水分散性カロテノイドナノ粒子を組成物に添加することを含んでなる組成物の味覚変容方法;ならびに(A)少なくとも1つのタイプの水分散性カロテノイドナノ粒子と、(B)少なくとも1個のアゾ基を有する少なくとも1種のアゾ化合物とを含む、組成物のための味覚変容物質に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味覚変容物質(taste modulator)としての水分散性カロテノイドナノ粒子の新規な用途に関し、特に、組成物における、好ましくは食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料および化粧品における、さらに好ましくは少なくとも1種の高甘味度甘味料(High Intensity Sweetener:HIS)を含む食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品における、苦味と苦い後味を抑えるための上記用途に関する。
【0002】
さらに、本発明は、少なくとも1つのタイプの水分散性カロテノイドナノ粒子を味覚変容物質として用いることを含んでなる新規な味覚変容方法に関し、特に、組成物における、好ましくは食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料および化粧品における、さらに好ましくは少なくとも1種のHISを含む食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品における、苦味と苦い後味を抑制するための上記方法に関する。
【0003】
特に、本発明は、少なくとも1つのタイプの水分散性カロテノイドナノ粒子を含む新規な味覚変容物質に関する。
【背景技術】
【0004】
食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品のような組成物は多くの場合、味物質を含んでおり、かかる味物質はそれらの存在する強度がおおむね望ましくないか、あまりに強すぎるか、またはあまりに弱すぎるきらいがある。甘味料の分野では、甘味の印象に加えて、例えば金属の、化学薬品の、苦い、または人工的な味もしくは後味といった更なる味の印象が生じ、このことは甘味を付与すべき組成物の全体的な味の印象に悪影響を及ぼす。本発明との関係において、味とは、組成物が口の中にある間にその場で形成される味の印象を意味すると解釈される。後味とは、飲み込んだ後の、特に約30秒の待ち時間後の、味覚認識を意味すると解釈される。
【0005】
例えば、茶やコーヒーに含まれるカフェイン、そしてまたビールに含まれるホップ抽出物は天然の苦味物質であるが、あまりに高濃度であると、味の印象を悪くする。例えばトニックウォーターやビターレモンのような特殊な苦味飲料では、添加物キニンによって生じる特徴的な苦味がある特定の程度まで望まれる。
【0006】
フルーツジュース、特にオレンジジュースは、苦味のある例えばフラボノイド配糖体によって、味が損なわれるという弱点がある。
【0007】
甘味料と混合される無糖飲料も同様に、望ましくない味の属性、とりわけ苦味や苦い後味を示す。各種の甘味料との混合は不利な味の印象を抑えるとともに、好ましい属性を最適化することができる。しかし、糖の味を完全にまねることは不可能である。さらに、アスパルテーム(ASP)のような個々の甘味料によっては、適合性がなかったり、化学的に不安定であったりする場合がある。甘味料ACKは、その好ましい特性のため、より高い投与量が試される。ところが、この高い投与量は、この甘味料の比較的高濃度での苦味のために、無制限に可能であるわけではない。その理由は、特に、甘味料サッカリンおよびACKが、とりわけ高濃度において、苦味という属性を有するからである。
【0008】
多くの医薬活性化合物、特にイブプロフェンもまた、強い苦味があり、この苦味がこの活性化合物の摂取を受け入れにくくしている。
【0009】
天然の苦味、例えば茶、コーヒーまたはオレンジジュースの苦味を抑えるために、こうした食品および嗜好品は、苦味物質を分解する目的で酵素的に処理されるか、または茶やコーヒーに含まれるカフェインの場合には脱カフェイン法により苦味物質が取り除かれる。
【0010】
味の印象を変えるための更なる可能性は、希望する食品、飲料、嗜好品、飼料、甘味剤、化粧品および医薬品に味覚変容物質を添加することである。
【0011】
したがって、不快な味の印象を抑制または軽減し、さらに標的を定めたやり方で所望の味の印象を増幅できる物質を見い出すことが望まれる。
【0012】
特に医薬活性化合物の分野では、特に苦味を変容する物質が数多く知られている。こうして、例えば、イブプロフェンの苦味は、患者による摂取を容易にする目的で、ポリリシンおよびポリアルギニン(国際特許出願WO 2003/086293参照)により、メグルミン塩(米国特許US 5,028,625参照)により、塩化ナトリウムもしくはサッカリンナトリウム(国際特許出願WO 2003/0475550参照)により、またはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンもしくはチュアブルタイプのメタクリル酸コポリマー(Modifying Bitterness, Mechanism, Ingredients And Applications, Glenn Roy, 1997参照)により、マスキングされる。カフェインの苦味も多様な味覚変容物質、例えばグルタミン酸、ジサリチル酸ジカルシウム、デンプン、ラクトース、マンニトールなどにより、そしてまたホスファチジン酸およびβ-ラクトグロブリン(Glenn Roy, 1997参照)により、さらにヒドロキシベンズアミド、特にヒドロキシ安息香酸バニリルアミド(Ley et al., Journal of Agricultural & Food Chemistry, 2006参照)により、抑制することができる。
【0013】
一般的に、特に医薬品と食品における、苦味を抑制するために使用されている更なる物質は、レシチン、アスコルビン酸塩およびクエン酸塩(日本特許出願JP 2001226293参照)、モノ-もしくはジグリセリドのエステル(例えば、グリセロールモノステアレート)およびポリカルボン酸(例えば、コハク酸)(ヨーロッパ特許出願EP 0 732 064 A1参照)、ヒドロキシフラバノン(ヨーロッパ特許出願EP 1 258 200 A1参照)、2-フェニル-4-クロマノン誘導体(ドイツ特許出願DE 101 22 898参照)、硫酸ナトリウム水和物(日本特許出願JP 02025428参照)である。さらに、米国特許US 5,637,618は、飲料における苦味、そしてまた甘味剤および塩化カリウムの苦味をも、抑制するための安息香酸誘導体の使用を開示している。塩化カリウムの苦味はまた、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、カラギーナンおよびタウマチンを用いても抑制される(Glenn Roy, 1997; 米国特許US 5,637,618、さらに日本特許出願JP 04262758およびJP 07083684参照)。
【0014】
しかしながら、公知の味覚変容物質は十分に満足のゆくものではなく、特に、少なくとも1種のHIS(特にACK)を含む、例えば食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品のような組成物(特にHIS含有ソフトドリンク)の苦味を抑えるためにそれらの変容物質を使用することが目的である場合にはなおのこと、そうである。その場合には、それらの苦味抑制活性がしばしば不十分である。そうした理由のため、十分な活性を得ようとして公知の味覚変容物質の濃度を高めようならば、それぞれの組成物の他の成分との望ましくない物理的および/または化学的相互作用および/または有害作用(特に、その特徴的な味の印象が損なわれたり、完全にゆがめられたりする)が起こりかねない。
【0015】
水分散性カロテノイドナノ粒子、その製造方法、ならびにその使用はそれら自体公知である。
【0016】
例えば、水分散性カロテノイドナノ粒子は以下の文献から得られる:ヨーロッパ特許出願EP 0 832 569 A2;Dieter HornおよびJens Riegerによる論文“Organische Nanopartikel in waessriger Phase - Theorie, Experiment und Anwendung”[水相中の有機ナノ粒子 - 理論、実験および応用], Angewandte Chemie, 2001, 113巻, 4460-4492頁;またはJ. C. Bauernfeindによる参考書“Carotenoids as Colorants and Vitamin A Precursors. Technological and Nutritional Applications”[着色剤およびビタミンA前駆物質としてのカロテノイド、技術上および栄養上の応用], 2章, J.C. Bauernfeind and H. Klaeui,“Carotenoids as Food Color”, 92-95頁, Academic Press, ISBN 0-12-082850-2, 1981。カロテノイドナノ粒子は、好ましくは電子顕微鏡像に基づいて測定して、粒子サイズが1μm未満の球形または回転楕円形の粒子であることが好ましい。水分散性カロテノイドナノ粒子は、オイル、保護コロイド、安定剤または乳化剤のような添加剤をさらに含む製剤または懸濁液中に存在する。その場合に、カロテノイドは結晶質であっても非晶質であってもよい。
【0017】
こうした水分散性カロテノイドナノ粒子およびそれらを含むカロテノイド含有製剤は、食品(例えば、ベーキングミックスまたはプディングパウダー)用の添加物として、またはヒトや動物の食品へのビタミン補給用の製剤を調製するための、さらにまた医薬製剤を調製するための乾燥粉末として、使用することができる。それらの良好な冷水分散性のため、それらは特に食用色素として、とりわけソフトドリンク用の色素として適している。こうした水分散性カロテノイドナノ粒子およびそれらを含むカロテノイド含有製剤の味覚変容物質としての用途は記載されていない。
【0018】
しかしながら、カロテノイドナノ粒子はまた、O/W型マイクロエマルジョン(水中油型マイクロエマルジョン;Roempp Online 2007, “Mikroemulsionen”[マイクロエマルジョン] 参照)からなるカロテノイド含有製剤中に存在することも可能である。これらのO/W型マイクロエマルジョンは直径<1μmの油滴を含み、そうした油滴にカロテノイドが分子分散状態で溶解している。このような水分散性カロテノイドナノ粒子またはそれらを含むO/W型マイクロエマルジョンの味覚変容物質としての用途は知られていない。
【0019】
カロテノイドナノ粒子はまた、例えばドイツ特許出願DE 10 2005 030 952 A1に記載されるように、カロテノイド、加工デンプン、およびショ糖のような糖を含む水性懸濁液をミリングし、次いで乾燥させることによっても製造することができる。このようなカロテノイドナノ粒子は、食品への添加物(例えば、飲料などの食品を着色するためのもの)として、医薬品や化粧品を製造するための手段として、そしてまた食品補助製剤(例えば、ヒトおよび動物用のマルチビタミン剤)を製造するための手段としても適している。味覚変容物質としての用途は記載されていない。
【0020】
さらに、カロテノイドナノ粒子は、ミセルサイズ<100nmの混合ミセル中の水性ソルビリゼート(solubilizate)として使用することもできる(Roempp Online 2007, “Solubilisation”および“Micellen”[ミセル] 参照)。そのような水性ソルビリゼートの例は、ヨーロッパ特許出願EP 0 800 825 A1およびEP 0 848 913 A2に記載されている。こうしたカロテノイドナノ粒子またはそれらの水性ソルビリゼートは、非経口投与のための注射目的で、また、食品や医薬品の着色(特に、視覚的に澄んだままでなければならない飲料の着色)に用いられる。味覚変容物質としての用途は記載されていない。
【0021】
低カロリーのソフトドリンク(ASP、ACKなどの甘味料を含む)中での色素としてのβ-カロテンの使用は公知である。その種のソフトドリンクの一例は、ブラッドオレンジの味がするコカコーラ・ライト・サンゴ(Coca-Cola light Sango(登録商標))である。このソフトドリンクにβ-カロテンがどのような形で加えられているかは不明である。
【0022】
HISとしてACKを含むソフトドリンクを着色するためのイエロー6およびレッド40のようなアゾ色素の共同使用も同様に知られている。そのような製品の一例はダイエット・サンキスト(Sunkist(登録商標))オレンジソーダである。用いるアゾ色素がACKの苦味と苦い後味をも軽減させるのかどうかは不明である。アゾ色素とカロテノイドの共同使用によって、味覚変容作用(存在する可能性がある)が増幅され得るのかは、今でもあまり知られていない。
【0023】
さらに、E110およびE129のようなアゾ色素をβ-カロテンと一緒に、パン製品や菓子などの食品中で、さらにはインスタント粉末飲料中で、使用することも知られているが、ACKやASPのような甘味料と、菓子やインスタント粉末飲料の場合には糖との、また、パン製品の場合にはデンプンとの、組み合わせが常に用いられる。
【0024】
したがって、市場で入手可能な製品を含めて、上記した従来技術は、上記した問題点をどのようにして解決できるのかに関して根拠や指標を一切与えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】WO 2003/086293
【特許文献2】US 5,028,625
【特許文献3】WO 2003/0475550
【特許文献4】JP 2001226293
【特許文献5】EP 0 732 064 A1
【特許文献6】EP 1 258 200 A1
【特許文献7】DE 101 22 898
【特許文献8】JP 02025428
【特許文献9】US 5,637,618
【特許文献10】JP 04262758
【特許文献11】JP 07083684
【特許文献12】EP 0 832 569 A2
【特許文献13】DE 10 2005 030 952 A1
【特許文献14】EP 0 800 825 A1
【特許文献15】EP 0 848 913 A2
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】Modifying Bitterness, Mechanism, Ingredients And Applications, Glenn Roy, 1997
【非特許文献2】Ley et al., Journal of Agricultural & Food Chemistry, 2006
【非特許文献3】Dieter HornおよびJens Riegerによる論文「Organische Nanopartikel in waessriger Phase - Theorie, Experiment und Anwendung」[水相中の有機ナノ粒子 - 理論、実験および応用], Angewandte Chemie, 2001, 113巻, 4460-4492頁
【非特許文献4】J. C. Bauernfeindによる参考書「Carotenoids as Colorants and Vitamin A Precursors. Technological and Nutritional Applications」[着色剤およびビタミンA前駆物質としてのカロテノイド、技術上および栄養上の応用], 2章, J.C. Bauernfeind and H. Klaeui,「Carotenoids as Food Color」, 92-95頁, Academic Press, ISBN 0-12-082850-2, 1981
【非特許文献5】Roempp Online 2007, “Mikroemulsionen”[マイクロエマルジョン]
【非特許文献6】Roempp Online 2007, “Solubilisation”および“Micellen”[ミセル]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
したがって、本発明の目的は、組成物における、好ましくは食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品における、さらに好ましくは少なくとも1種のHIS(高甘味度甘味料)、特にACK、を含む食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品における、特に苦味と苦い後味を抑制するための、味覚変容物質として格別良好に用いることができる物質を提供することである。
【0028】
その場合、こうした物質は、味覚変容物質としてのその新規な用途において、それぞれの組成物の、特に食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品の、残りの他の成分との望ましくない物理的および/または化学的相互作用を引き起こしてはならない。さらに、それらはその特徴的な味の印象に悪影響を及ぼしてはならず、特にそれを損なったり完全にゆがめたりしてはならない。
【0029】
その上、これらの物質は、味覚変容物質としての新規な用途のために、それ自体公知の、容易に入手可能な、安価な材料から製造可能でなければならない。
【0030】
さらにまた、本発明の目的は、特に組成物の苦味と苦い後味を抑制するための、好ましくは食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品の、さらに好ましくは少なくとも1種のHIS(高甘味度甘味料)、特にACK、を含む食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品の苦味と苦い後味を抑制するための、新規な味覚変容方法を見い出すことである。
【0031】
新規な味覚変容方法は、用いる味覚変容物質が、それぞれの組成物の、特に食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品の、残りの他の成分との望ましくない物理的および/または化学的相互作用を引き起こさず、かつ特徴的な味の印象が悪影響を受けない、特に損なわれたり完全にゆがめられたりしない、という効果を奏する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
こうして、組成物における味覚変容物質としての水分散性カロテノイドナノ粒子の新規な使用が見い出された。
【0033】
以後、この水分散性カロテノイドナノ粒子の新規な使用を「本発明による使用」と称する。
【0034】
さらに、少なくとも1つのタイプの水分散性カロテノイドナノ粒子を組成物に添加することを含んでなる、組成物の味覚変容のための新規な方法が見い出された。
【0035】
以後、組成物の味覚変容のための新規な方法を「本発明による方法」と称する。
【0036】
特に、組成物のための新規な味覚変容物質が見い出され、それは以下を含んでなる:
(A) 少なくとも1つのタイプの水分散性カロテノイドナノ粒子、および
(B) 少なくとも1個のアゾ基を有する、少なくとも1種のアゾ化合物。
【0037】
以後、組成物のための新規な味覚変容物質を「本発明による味覚変容物質」と称する。
【発明の効果】
【0038】
従来技術との関連において、本発明の目的が本発明による使用、本発明による方法、および本発明による味覚変容物質によって解決され得るということは驚くべきことであり、当業者には予測できないことであった。
【0039】
特に、本発明に従って用いられる水分散性カロテノイドナノ粒子、とりわけ本発明による味覚変容物質が、組成物における、好ましくは食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品における、さらに好ましくは少なくとも1種のHIS(高甘味度甘味料)、特にACK、を含む食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品における、特に苦味と苦い後味を抑制するための、味覚変容物質として格別良好に使用できるということは予想外のことであった。
【0040】
本発明に従って用いられる水分散性カロテノイドナノ粒子、とりわけ本発明による味覚変容物質は、それぞれの組成物の、特に食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品の、残りの他の成分との望ましくない物理的および/または化学的相互作用をまったく示さなかった。その上、それらはその特徴的な味の印象に悪影響を及ぼさず、特にそれを損なったり、完全にゆがめたりしなかった。
【0041】
さらに、本発明に従って用いられる水分散性カロテノイドナノ粒子、とりわけ本発明による味覚変容物質は、それ自体公知の、容易に入手可能な、安価な材料から簡便な方法で製造することができた。
【0042】
加えて、本発明による方法は、用いる味覚変容物質が、それぞれの組成物の、特に食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品の、残りの他の成分との望ましくない物理的および/または化学的相互作用を引き起こさず、かつ特徴的な味の印象が悪影響を受けず、特に損なわれたり完全にゆがめられたりしない、という効果を有していた。
【0043】
とりわけ、本発明による使用、本発明による方法および本発明による味覚変容物質による所与の組成物の味の変容が見事に再現可能であるということは驚くべきことであり、このことは、まさに食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品のような大量生産品に関して、格別有利である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明による使用、本発明による方法および本発明による味覚変容物質において、本発明に従って用いられる水分散性カロテノイドナノ粒子はきわめて重要である。
【0045】
カロテノイドナノ粒子は任意の三次元形状、例えば、ピラミッド、立方体、八面体、二十面体、血小板様、針状、円筒形、球形または回転楕円形の形状でありうる。好ましくは、それらは球形または回転楕円形である。さらに好ましくは、ボールの形をした球形である。
【0046】
カロテノイドナノ粒子の粒子サイズは1μm未満、好ましくは10〜900nm、より好ましくは20〜700nm、さらに好ましくは20〜600nm、さらに一層好ましくは20〜500nm、特に20〜300nmである。好ましくは、粒子サイズは電子顕微鏡像から測定される。
【0047】
その場合に、回転楕円形の粒子は好ましくは長軸方向に扁長しており、さらに好ましくは長さ200〜300nmおよび厚さ100〜150nmを有する。好ましくは、カロテノイドナノ粒子の中央粒子サイズは、準弾性光散乱法で測定して、10〜900nm、好ましくは20〜700nm、さらに好ましくは20〜500nm、特に20〜300nmである。
【0048】
カロテノイドナノ粒子の必須成分は少なくとも1種の、特に1種の、カロテノイドである。「カロテノイド」とは、高度不飽和脂肪族および脂環式炭化水素のグループであるカロテン類とそれらのマニホールド修飾誘導体との集合名である。大多数は8個のイソプレン単位からなるテトラテルペンである。カロテノイドの色(黄色から赤色)は多数の共役二重結合をもつそれらのポリエン構造によるものである。炭素原子数40の基本骨格から誘導されるカロテノイドとしては、ヒドロキシルもしくはオキソ基で置換されたキサントフィル、ならびに短縮された鎖または開環を有するアポ-、ノル-もしくはセコ-カロテノイド、さらに二重結合がシフトされたレトロカロテノイドがある。しかし、カロテノイドがカルボキシル基を保有していてもよい。
【0049】
適当なカロテノイドの例は、α-、β-およびγ-カロテン、リコペン、β-アポ-4'-カロテナール、β-アポ-8'-カロテナール、β-アポ-12'-カロテナール、β-アポ-8'-カロテン酸、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ビオラキサンチン、カンタキサンチン、シトラナキサンチン、クリプトキサンチン、フラボキサンチン、ロドキサンチン、ルビキサンチン、フルコキサンチン、ムタトキサンチン、ルトキサンチン(lutoxanthin)、アウロキサンチン、カプサンチン、ルテイン、クロセチン(crocetin)、ニューロスポレン(neurosporene)、エキネノン(echinenone)、アドニルビン(adonirubin)、トルレン(torulene)、トルラロジン(torularhodin)、ビキシン(bixin)、ペリジニンおよびペリジノールであり、ここで、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含むカロテノイドはエステル化されていてもよい。特に、β-カロテン(プロビタミンA)が用いられる。
【0050】
カロテノイドはさまざまな物質の状態でカロテノイドナノ粒子中に存在することができる。
【0051】
例えば、カロテノイドナノ粒子は固体でありうる。その場合に、カロテノイドナノ粒子中のカロテノイドは結晶質形態および/またはX線非晶質形態で存在することができ、X線非晶質形態での存在が好ましい。「X線非晶質」とは、結晶質画分が10%以下であることを意味する。好ましくは、その場合のカロテノイドは、オール・トランス型を高い比率(好ましくは50%以上、特に60%以上)で含有する。固体のカロテノイドナノ粒子を少なくとも1種の添加剤と組み合わせて用いる場合には、好ましくは、カロテノイドナノ粒子がこの添加剤のマトリックスに内包される。
【0052】
さらに、カロテノイドナノ粒子中のカロテノイドは液体状態で存在することもできる。特に、カロテノイドが液体(好ましくは無極性)媒体中に、例えばオイル中に、溶解されている場合、または可溶化された混合ミセルの状態で存在している場合がそうである。
【0053】
カロテノイドナノ粒子はさまざまな方法で製造することができる。
【0054】
好ましくは、そうした方法は結果的にカロテノイドナノ粒子を含む液体または固体製剤をもたらすものである。好ましくは、それらは固体製剤(A1)および(A3)であり、特に(A1)であり、また、それらは液体製剤(A2)および(A4)であり、特に(A2)である。
【0055】
固体製剤(A1)は、例えば、以下の文献に記載されるような、従来の沈殿法を用いて製造することができる:ヨーロッパ特許出願EP 0 832 569 A2;Dieter HornおよびJens Riegerによる論文“Organische Nanopartikel in waessriger Phase - Theorie, Experiment und Anwendung”[水相中の有機ナノ粒子 - 理論、実験および応用], Angewandte Chemie, 2001, 113巻, 4460-4492頁;またはJ. C. Bauernfeindによる参考書“Carotenoids as Colorants and Vitamin A Precursors. Technological and Nutritional Applications”[着色剤およびビタミンA前駆物質としてのカロテノイド、技術上および栄養上の応用], 2章, J.C. Bauernfeind and H. Klaeui,“Carotenoids as Food Color”, 92-95頁, Academic Press, ISBN 0-12-082850-2, 1981。得られるナノ粒子の懸濁液を適当な方法を用いて、例えば噴霧乾燥により、乾燥させて、粉末(A1)の形態で用いる。固体製剤(A1)は少なくとも1種の添加剤を含むことが好ましい。固体製剤(A1)において、好ましくは、カロテノイドナノ粒子は少なくとも1種の添加剤のマトリックスに内包される。カロテノイドは当該カロテノイドナノ粒子中に非晶質形態で存在することが好ましい。
【0056】
液体製剤(A2)はO/W型マイクロエマルジョン、すなわち水中油型マイクロエマルジョンである(Roempp Online 2007, “Mikroemulsionen”[マイクロエマルジョン]参照)。分散相の粒子サイズおよび油滴の直径は<1μmである。好ましくは、油滴の直径は10〜900nm、さらに好ましくは20〜700nm、特に20〜500nmである。
【0057】
液体製剤(A2)においては、カロテノイドが油滴中に分子分散状態で溶解している。
【0058】
好ましくは、液体製剤(A2)は、O/W型マイクロエマルジョンを安定化する少なくとも1種の添加剤、特に少なくとも1種のポリオールをさらに含有する。
【0059】
固体製剤(A3)は、例えば、水性懸濁液中のカロテノイド粒子をミリングし、続いて乾燥させることにより製造することができる。適当な方法は、例えばドイツ特許出願DE 10 2005 030 952 A1、4頁 [0032]段落から5頁 [0043]段落に記載されている。
【0060】
好ましくは、固体製剤(A3)は少なくとも1種の添加剤を含有する。製剤(A3)において、好ましくは、カロテノイドナノ粒子が少なくとも1種の添加剤のマトリックスに内包される。当該カロテノイドナノ粒子中のカロテノイドは結晶質であることが好ましい。
【0061】
液体製剤(A4)は水性ソルビリゼートであり、ここではカロテノイドがミセルサイズ<100nmの混合ミセル中に存在する(Roempp Online 2007, “Solubilisation”[可溶化]および“Micellen”[ミセル]参照)。
【0062】
好ましくは、液体製剤(A4)は少なくとも1種の添加剤、特に混合ミセルを安定化する少なくとも1種の添加剤、特に少なくとも1種の乳化剤を含有する。
【0063】
適当な液体製剤(A4)およびその製造方法の例は、ヨーロッパ特許出願EP 0 800 825 A1(2頁52行から3頁36行)およびEP 0 848 913 A2(2頁42行から3頁58行)に開示されている。
【0064】
好ましくは、固体または液体製剤(A1)〜(A4)、特に固体製剤(A1)および液体製剤(A2)の製造に用いる少なくとも1種の添加剤は、食品法規および/または医薬品法規により認可されている添加剤である。好ましくは、添加剤は保護コロイド、酸化的分解を防止する安定剤、乳化剤、オイル、可塑剤、および固化(caking)を防止する組成物からなる群より選択される。
【0065】
適当な保護コロイドの例は、ゼラチン、魚ゼラチン、デンプン、化学的もしくは酵素的に改質された加工デンプン、デキストリン、植物タンパク質、ペクチン、アラビアガム、カゼイン、カゼイネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびアルギン酸塩である(R.A. Morton, Fat Soluble Vitamins, International Encyclopedia of Food and Nutrition, 9巻, Pergamon Press, 1970, 128-131頁参照)。好ましくは、それらは製剤に基づいて10〜80重量%の量で製剤中に存在する。
【0066】
適当な安定剤の例は、α-トコフェロール、t-ブチル化ヒドロキシトルエン、t-ブチル化ヒドロキシルアニソール、アスコルビン酸、またはエトキシキン (6-エトキシ-1,2-ジヒドロキシ-2,2,4-トリメチルキノリン)である。
【0067】
適当な乳化剤の例は、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のポリプロピレングリコールエステル、およびレシチンである。それらは、それぞれの場合にカロテノイドに基づいて、200重量%まで、好ましくは10〜150重量%、特に20〜80重量%の量で用いることが好ましい。
【0068】
適当なオイルの例は、ゴマ油、トウモロコシ胚芽油、綿実油、ダイズ油、落花生油、さらに中鎖植物脂肪酸のエステルである。それらは、それぞれの場合にカロテノイドに基づいて、500重量%まで、好ましくは10〜300重量%、特に20〜100重量%の量で用いることが好ましい。
【0069】
適当なポリオールの一例はグリセロールである。
【0070】
適当な可塑剤の例は、糖および糖アルコール、例えば、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、転化糖、ソルビトール、マンニトール、およびグリセロールである。好ましくは、それらは製剤に基づいて20〜70重量%の量でカロテノイドナノ粒子中に存在する。
【0071】
適当な固化防止剤の一例はリン酸三カルシウムである。
【0072】
本製剤、特に上記の固体または液体製剤(A1)〜(A4)、のカロテノイド含有量は広範囲に変化させることができ、したがって、個々のケースの要件に非常によく合致させることが可能である。本製剤は、その全量に基づいて、0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、特に5〜15重量%のカロテノイドを含有する。
【0073】
その本発明による使用において、上記カロテノイドナノ粒子、好ましくは上記製剤(A1)〜(A4)、特に(A1)および(A2)、中に存在するカロテノイドナノ粒子は、組成物の味覚を変容するのに役立つ。特に、それらは組成物の苦味と苦い後味を抑えるのに役立つ。
【0074】
カロテノイドナノ粒子またはその製剤の量、好ましくは製剤(A1)〜(A4)の量、特に製剤(A1)および(A2)の量は、この場合、広範囲に変化させることができ、したがって、個々のケースの要件に非常によく適合させることが可能である。
【0075】
好ましくは、それらは、固体の組成物中に、それぞれの場合に組成物の全量に基づいて、カロテノイドの濃度が0.1〜100ppm、好ましくは1〜50ppm、特に2〜30ppmとなるような量で用いられる。
【0076】
組成物が液体の場合には、それらは、液体組成物中に、カロテノイドの濃度が0.1〜100mg/l、好ましくは1〜50mg/l、特に2〜30mg/lとなるような量で用いられる。
【0077】
好ましくは、組成物は食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料および化粧品、さらに好ましくは食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品である。飲料は好ましくはソフトドリンク、さらに好ましくはカフェインを含むソフトドリンク、特にコーラ飲料である。
【0078】
組成物は甘味剤または甘味料として少なくとも1種の高甘味度甘味料(High Intensity Sweetener: HIS)を含有することが好ましい。HISは、合成または天然起源の化合物であって、甘味力に対して生理的カロリー価がゼロであるかまたはわずかばかりのカロリー価しかない(非栄養性甘味料)が、ショ糖より何倍も高い甘味力を有する化合物を意味すると解釈される。化合物の甘味力は、その化合物がショ糖溶液(等甘味(isosweet)溶液;0.1M=4%)とほぼ同じ甘さになる希釈率により与えられ、すなわち、ある甘味料が甘味力500を有する場合には、500倍に希釈されたその甘味料の溶液がショ糖溶液と同様の等甘味(isosweet taste)を有している。
【0079】
適当なHISの例は、Roempp Online 2007“Suessstoffe”[甘味料]から公知である。好ましくは、HISはアセスルファム-カリウムACK、アスパルテームASP、サッカリンおよびその塩、シクラメートおよびその塩、アスパルテーム-アセスルファム塩、スクラロース、タウマチン、ステビア、ステビオシド、ならびにネオヘスペリジンジヒドロカルコンからなる群より選択され、好ましくはACK、ASP、サッカリンおよびスクラロース、さらに好ましくはACKおよびASP、特にACKから選択される。特に好ましくは、ACKが飲料中で用いられる。
【0080】
組成物は、組成物1リットルまたは1kgあたり10g未満、好ましくは1g未満の糖を含有する低糖組成物、特に無糖組成物であることが好ましい。糖とは、本明細書中では、特に単糖類と二糖類(しかし、これらに限らない)を意味すると解釈される。
【0081】
組成物は、組成物1リットルまたは1kgあたり1g未満の炭水化物を含有する低炭水化物組成物、特に無炭水化物組成物であることが好ましい。
【0082】
有利には、組成物は、組成物1リットルまたは1kgあたり100kJ未満、好ましくは10kJ未満の組成物である。組成物は、組成物1リットルまたは1kgあたり1g未満の脂肪を含有する低脂肪組成物、特に無脂肪組成物であることが好ましい。
【0083】
低糖、低炭水化物および/または低脂肪の、特に無糖の組成物は、ACKを添加した組成物、特にACKを添加した飲料であることが好ましい。
【0084】
本発明による使用および本発明による方法との関連において、本組成物には、苦味と苦い後味を抑える、少なくとも1個のアゾ基を有するアゾ化合物の少なくとも1種を、カロテノイドナノ粒子のほかに、さらに加えることができる。好ましくは、少なくとも2種、特に2種のアゾ化合物を用いる。
【0085】
少なくとも1つのタイプのカロテノイドナノ粒子と少なくとも1種のアゾ化合物の混合物が本発明による味覚変容物質である。これを水性分散体または粉末の形で最終混合物として組成物に添加することができる。あるいは、本発明による味覚変容物質の個々の成分を組成物に同時にまたは逐次添加してもよい。
【0086】
アゾ化合物の量は広範囲に変化させることができ、したがって、個々のケースの要件に非常によく適合させることが可能である。好ましくは、それらを、それぞれの場合に組成物の全量に基づいて、0.1〜100ppm、さらに好ましくは0.5〜50ppm、特に1〜20ppmの量で用いる。組成物が液体の場合には、カロテノイドナノ粒子を好ましくは0.1〜100mg/l、さらに好ましくは1〜50mg/l、特に2〜30mg/lの濃度で用いる。
【0087】
その場合に、カロテノイドナノ粒子とアゾ化合物の重量比も同様に広範囲に変化させることができ、個々のケースの要件に非常によく合致させることが可能である。好ましくは、カロテノイドナノ粒子とアゾ化合物の重量比は10:1から1:20、さらに好ましくは5:1から1:10、特に4:1から1:4である。
【0088】
2種類のアゾ化合物を用いる場合(本発明によると特に有利である)、それらの重量比は広範囲に変化させることができ、個々のケースの要件に非常によく合致させることが可能である。好ましくは、それらの重量比は10:1から1:10、さらに好ましくは5:1から1:5、特に2:1から1:2である。
【0089】
好ましくは、アゾ化合物のアゾ基はアリール基および/またはへテロ原子を含むアリール基に連結されるが、さらに好ましくはアリール基、特にフェニル基および/またはナフチル基に連結される。その場合、1個以上のアゾ基が1つのアゾ化合物に存在してもよい。これらのアゾ基は、互いに独立して、アリール基および/またはへテロ原子を含むアリール基、好ましくはアリール基、特にフェニル基およびナフチル基に連結され得る。
【0090】
少なくとも1個のアリール基は少なくともモノ置換されていることが好ましい。その場合に、アゾ基の一方のアリール基は無置換でもよいが、他方はポリ置換されている。
【0091】
適当な置換基の例は、スルホン酸基、ニトロ基、アルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、一級および二級アミノ基、アミド基、ニトリル基、ならびにハロゲン原子であり、好ましくはスルホン酸基、ヒドロキシル基およびニトロ基、特にスルホン酸基およびヒドロキシル基である。
【0092】
好ましくは、アゾ化合物は以下に挙げた化合物1〜112からなる群より選択される。アゾ化合物はイオン性でも非イオン性でもよく、また、荷電形態で存在しても非荷電形態で存在してもよい。
【化1】









































【0093】
好ましくは、アゾ化合物はアゾ化合物1、3、5、6、30、78、59および112からなる群より選択され、特に1 (=E123)、3 (=E110)、5 (=E128)および6 (=E129)から選択される:
E123、アマランス(Amaranth):
【化2】

【0094】
E110、オレンジイエローS、サンセットイエロー:
【化3】

【0095】
E128、レッド2G:
【化4】

【0096】
E129、アルラレッドAC(Allura Red AC):
【化5】

【0097】
その場合、以下の2つの好適なアゾ化合物の組合せが特に有利である:E110/E128、E110/E129、E128/E129、E123/E110、E123/E128およびE123/E129、特にE110/E129。
【0098】
好ましくは、それらはACKを添加した飲料、好ましくはカフェイン入りの飲料であり、かかる飲料は、カロテノイド粒子に加えて、アゾ化合物E110およびE129を含む。これらは更なるHISを含んでいてもよく、無糖および無炭水化物であることが特に好ましい。
【実施例】
【0099】
実施例および比較実験
実施例1〜18
甘味料の味覚変容のための水分散性カロテノイドナノ粒子の使用
実施例1〜17では、以下の物質を使用した:
甘味料:
アセスルファムK (ACK)、Fluca Bio Chemika社製;
アスパルテーム(ASP)、Fluca Bio Chemika社製。
【0100】
製剤(A1)〜(A3):
製剤(A11):
成分:粒子サイズ100〜300nm(電子顕微鏡像により測定)の水分散性ナノ粒子であって、DL-α-トコフェロール(E 307)により安定化され、食品用加工デンプン(E 1450)とブドウ糖シロップのマトリックスに内包された、植物油滴中のβ-カロテンナノ粒子10重量%(製剤(A11)に基づく)と、さらに固化防止剤としてのリン酸三カルシウム(E 341)を含む;
製造:例えば、Dieter HornおよびJens Riegerによる“Organische Nanopartikel in waessriger Phase - Theorie, Experiment und Anwendung”[水相中の有機ナノ粒子 - 理論、実験および応用], Angewandte Chemie, 2001, 113巻, 4477頁右欄最終段落から4478頁右欄第1段落、ならびにセクション“4.1.2. Water-insoluble active components”, 4481-4483頁に記載される連続混合チャンバー法を使用し、次いで噴霧乾燥する。
【0101】
製剤(A12):
成分:粒子サイズ100〜300nm(電子顕微鏡像により測定)の水分散性ナノ粒子であって、DL-α-トコフェロール(E 307)およびアスコルビン酸パルミチン酸エステル(E 304)により安定化され、魚ゼラチン(保護コロイド)とブドウ糖シロップのマトリックスに内包された、植物油滴中のβ-カロテンナノ粒子10重量%(製剤(A12)に基づく)と、さらに固化防止剤としてのリン酸三カルシウム(E 341)を含む;
製造:例えば、Dieter HornおよびJens Riegerによる“Organische Nanopartikel in waessriger Phase - Theorie, Experiment und Anwendung”[水相中の有機ナノ粒子 - 理論、実験および応用], Angewandte Chemie, 2001, 113巻, 4477頁右欄最終段落から4478頁右欄第1段落、ならびにセクション“4.1.2. Water-insoluble active components”, 4481-4483頁に記載される連続混合チャンバー法を使用し、次いで噴霧乾燥する。
【0102】
製剤(A13):
成分:中央粒子サイズ100〜300nm(電子顕微鏡像により測定)の水分散性ナノ粒子であって、DL-α-トコフェロール(E 307)により安定化され、食品用加工デンプン(E 1450)とブドウ糖シロップのマトリックスに内包された、植物油滴中のリコペンナノ粒子10重量%(製剤(A13)に基づく)と、さらに固化防止剤としてのリン酸三カルシウム(E 341)を含む;
製造:例えば、Dieter HornおよびJens Riegerによる“Organische Nanopartikel in waessriger Phase - Theorie, Experiment und Anwendung”[水相中の有機ナノ粒子 - 理論、実験および応用], Angewandte Chemie, 2001, 113巻, 4477頁右欄最終段落から4478頁右欄第1段落、ならびにセクション“4.1.2. Water-insoluble active components”, 4481-4483頁に記載される連続混合チャンバー法を使用し、次いで噴霧乾燥する。
【0103】
製剤(A14):
成分:粒子サイズ200〜300nm(電子顕微鏡像により測定)の水分散性ナノ粒子;食品用加工デンプンのマトリックスに内包された、トウモロコシ胚芽油滴中のβ-カロテンナノ粒子10重量%(製剤(A14)に基づく)を含む;
製造:例えば、J.C. Bauernfeindによる参考書“Carotenoids as Colorants and Vitamin A Precursors. Technological and Nutritional Applications”[着色剤およびビタミンA前駆物質としてのカロテノイド、技術上および栄養上の応用], 2章, J.C. Bauernfeind and H. Klaeui,“Carotenoids as Food Color”, 92-95頁, Academic Press, ISBN 0-12-082850-2, 1981に記載される方法を使用し、次いで噴霧乾燥する。
【0104】
製剤(A2):
液滴サイズ200nm(準弾性光散乱法により測定)のO/W型マイクロエマルジョンであって、DL-α-トコフェロール(E 307)およびアスコルビン酸パルミチン酸エステル(E 304)により安定化され、グリセロール/水混合物中で乳化された、植物油と中鎖脂肪酸のトリグリセリド中に溶解したβ-カロテン10重量%(製剤(A2)に基づく)を含む。
【0105】
製剤(A3):
成分:粒子サイズ150〜850μmの水分散性粒子;製剤(A3)に基づいて10重量%のβ-カロテンナノ粒子、加工デンプン、ショ糖、DL-α-トコフェロール(E 307)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、およびリン酸三カルシウム(E 341)を含む;
製造:例えば、懸濁状態で粉砕し、次いで得られた粒子を噴霧乾燥する。
【0106】
アゾ化合物:
3号: E110、サンセットイエロー、Sigma社製;
6号: E129、アルラレッド、Sigma社製。
【0107】
コーラ飲料:
甘味料を含まない「ゼロコーラ」(zero cola)と呼ばれるものを次のように製造した:
− 36gのコーラフレーバー(コーラベース、Doehler社、Darmstadt、製品番号200380)
− 7.7gのオルトリン酸、85%超高純度(Karl Roth GmbH + Co KG社、Karlsruhe、製品番号9079.1)
− 3.6gのクエン酸、99.5%p.a.(Karl Roth GmbH + Co KG社、Karlsruhe、製品番号3958.2)
− 2.4gの安息香酸ナトリウム(Fluka, Sigma-Aldrich社、Steindrunn)、および
− 1.2gのカフェイン、無水物、99%(Fluka, Sigma-Aldrich社、Steindrunn)
を600mlの水道水に溶解した。この濃縮液の50ml部を希釈して、それぞれの場合に1リットルの「ゼロコーラ」とした。
【0108】
定量的官能検査 - 一般的プロトコール:
実施例1〜18のサンプル1〜18の、さらに対照サンプル1〜6の、コンセンサスプロファイルをDIN 10967-2/ISO 11035に従って作成した。そのために、DIN/ISO規格に従って選んでおいた8人の熟練検査員は、予め決定した特性を定義づけて訓練することにより、製品を熟知させた。その後、検査員は与えられた特性に基づいて味、後味および口あたりを評価するためにサンプル1〜17を試飲した。それぞれのコンセンサスプロファイルを、検査リーダーが表とスパイダー・ウェブ・ダイヤグラムの形にまとめた。その後、明確さを期すために、表のみを再現させる。
【0109】
サンプル1〜18および対照サンプル1〜5 - 組成:
サンプル1〜18および対照サンプル1〜5は下記の組成を有していた。以下の表で用いるそれぞれの略語を括弧内に示す。
【0110】
対照サンプル1:
水 + 500mg/lのACK (略語: 水/ACK)
対照サンプル2:
水 + 350mg/lのASP (略語: 水/ASP)
対照サンプル3:
水 + 140mg/lのACK + 350mg/lのASP (略語: 水/ACK/ASP)
対照サンプル4:
ゼロコーラ + 500mg/lのACK (略語: コーラ/ACK)
対照サンプル5:
ゼロコーラ + 140mg/lのACK + 350mg/lのASP (略語: コーラ/ACK/ASP)
【0111】
サンプル1 - 実施例1:
水 + 500mg/lのACK + 製剤(A11) (1ppmのβ-カロテンに相当する)
(略語: 水/ACK/A11)
サンプル2 - 実施例2:
水 + 500mg/lのACK + 製剤(A13) (1ppmのリコペンに相当する)
(略語: 水/ACK/A13)
サンプル3 - 実施例3:
水 + 500mg/lのACK + 製剤(A12) (1ppmのβ-カロテンに相当する)
(略語: 水/ACK/A12)
サンプル4 - 実施例4:
水 + 500mg/lのACK + 製剤(A11) (1ppmのβ-カロテンに相当する) + 2.3mg/lのアゾ化合物E110 + 2.5mg/lのアゾ化合物E129
(略語: 水/ACK/A11/E110/E129)
サンプル5 - 実施例5:
水 + 140mg/lのACK + 350mg/lのASP + 製剤(A11) (1ppmのβ-カロテンに相当する)
(略語: 水/ACK/ASP/A11)
サンプル6 - 実施例6:
水 + 350mg/lのASP + 製剤(A11) (1ppmのβ-カロテンに相当する)
(略語: 水/ASP/A11)
サンプル7 - 実施例7:
水 + 140mg/lのACK + 350mg/lのASP + 製剤(A12) (1ppmのβ-カロテンに相当する)
(略語: 水/ACK/ASP/A12)
サンプル8 - 実施例8:
ゼロコーラ + 500mg/lのACK + 製剤(A11) (1ppmのβ-カロテンに相当する)
(略語: コーラ/ACK/A11)
サンプル9 - 実施例9:
ゼロコーラ + 140mg/lのACK + 350mg/lのASP + 製剤(A11) (1ppmのβ-カロテンに相当する)
(略語: コーラ/ACK/ASP/A11)
サンプル10 - 実施例10:
ゼロコーラ + 140mg/lのACK + 350mg/lのASP + 製剤(A12) (1ppmのβ-カロテンに相当する)
(略語: コーラ/ACK/ASP/A12)
サンプル11 - 実施例11:
ゼロコーラ + 500mg/lのACK + 製剤(A11) (1ppmのβ-カロテンに相当する) + 2.5mg/lのアゾ化合物E129
(略語: コーラ/ACK/A11/E129)
サンプル12 - 実施例12:
ゼロコーラ + 500mg/lのACK + 製剤(A11) (1ppmのβ-カロテンに相当する) + 2.3mg/lのアゾ化合物E110
(略語: コーラ/ACK/A11/E110)
サンプル13 - 実施例13:
ゼロコーラ + 500mg/lのACK + 製剤(A11) (1ppmのβ-カロテンに相当する) + 2.3mg/lのアゾ化合物E110 + 2.5mg/lのアゾ化合物E129
(略語: コーラ/ACK/A11/E110)
サンプル14 - 実施例14:
ゼロコーラ + 140mg/lのACK + 350mg/lのASP + 製剤(A11) (1ppmのβ-カロテンに相当する) + 2.3mg/lのアゾ化合物E110
(略語: コーラ/ACK/ASP/A11/E110)
サンプル15 - 実施例15:
ゼロコーラ + 140mg/lのACK + 350mg/lのASP + 製剤(A11) (1ppmのβ-カロテンに相当する) + 2.3mg/lのアゾ化合物E110 + 2.5mg/lのアゾ化合物E129
(略語: コーラ/ACK/ASP/A11/E110/E129)
サンプル16 - 実施例16:
水 + 500mg/lのACK + 製剤(A14) (1ppmのβ-カロテンに相当する)
(略語: 水/ACK/A14)
サンプル17 - 実施例17:
水 + 500mg/lのACK + 製剤(A2) (1ppmのβ-カロテンに相当する)
(略語: 水/ACK/A2)
サンプル18 - 実施例18:
水 + 500mg/lのACK + 製剤(A3) (1ppmのβ-カロテンに相当する)
(略語: 水/ACK/A3)
【0112】
サンプル1〜7および16〜18、ならびに対照サンプル1〜3 - 実験結果:
サンプル1〜7および16〜18の、さらに対照サンプル1〜3の、定量的官能検査の結果を表1にまとめてある。測定値0は、関連する知覚特性が存在しなかったことを意味し、測定値10は、関連する知覚特性が強く存在したことを意味する。
【表1】


【0113】
表1の結果から、サンプル1〜7については次の味覚変容効果が詳細に判明した:
サンプル1:
製剤(A11)は、水に含まれるACKの苦味を抑えて、その苦い後味を完全に抑制した。
【0114】
サンプル2:
製剤(A13)は、水に含まれるACKの苦い後味を抑えた。
【0115】
サンプル3:
製剤(A12)は、水に含まれるACKの苦い後味を完全に抑制した;苦味は少し抑えられた。しかし、サンプル3はサンプル1よりもやや強く被覆性であり、また、やや甘味が少ないと感じられた。
【0116】
サンプル4:
3種混合製剤(A11)/E110/E129は、苦味と苦い後味の変容において相乗効果を示した。苦味だけでなく苦い後味も完全に抑えられた。
【0117】
サンプル5:
製剤(A11)は、水に含まれるACK/ASPの味および後味にごくわずかに影響を及ぼしたにすぎなかった。
【0118】
サンプル6:
製剤(A11)は、水に含まれるASPの味の変化をほとんど生じさせなかった。しかし、水に含まれるASPのわずかな苦味がもはや感じられなかった。
【0119】
サンプル7:
製剤(A12)は、水に含まれるACK/ASPの味および後味にごくわずかな程度に影響を及ぼしたにすぎなかった。
【0120】
サンプル16:
製剤(A14)は、水に含まれるACKの苦味を抑え、その苦い後味を完全に抑制した。さらに、サンプル16は対照サンプル1よりも被覆性が少なかった。
【0121】
サンプル17:
製剤(A2)は、水に含まれるACKの苦味を抑え、その苦い後味を完全に抑制した。さらに、サンプル17は対照サンプル1よりも被覆性がかなり少なかった。
【0122】
サンプル18:
製剤(A3)は、水に含まれるACKの苦い後味をいくぶんか抑えた。さらに、サンプル18は対照サンプル1よりも化学薬品味がかなり少なく、被覆性も非常に少なかった。
【0123】
全体的に、製剤(A11)〜(A14)、さらにまた(A2)および(A3)を用いると、特にこれらの製剤をアゾ化合物E110およびE129と併用すると、水に含まれるACKの苦味と苦い後味がかなり抑えられた。
【0124】
サンプル8〜15ならびに対照サンプル4および5 - 実験結果:
サンプル8〜15ならびに対照サンプル4および5の定量的官能検査の結果を表2にまとめてある。測定値0は、関連する知覚特性が存在しなかったことを意味し、測定値10は、関連する知覚特性が強く存在したことを意味する。
【表2】


【0125】
表2の結果から、サンプル8〜15については次の味覚変容効果が詳細に判明した:
サンプル8:
製剤(A11)は、苦味の変容に対して有益な効果を及ぼした。しかし、コーラの風味がわずかに低下し、このサンプルはひりひりする後味が残る。
【0126】
サンプル9:
製剤(A11)は、コーラに含まれるACK/ASPの味にごくわずかに影響を及ぼしたにすぎなかった。サンプル9はやや酸味が少なく、苦くなかった。コーラの風味がやや低下したものの、甘味は若干高まった。
【0127】
サンプル10:
製剤(A12)は、コーラに含まれるACK/ASPの味にごくわずかに影響を及ぼしたにすぎなかった。しかし、苦味はもうなかった。
【0128】
サンプル11:
製剤(A11)およびE129は、コーラに含まれるACKの苦味と苦い後味を完全に抑制した。甘味と甘い後味がいくぶんか低下した。
【0129】
サンプル12:
製剤(A11)およびE110は、コーラに含まれるACKの苦味と苦い後味を完全に抑制した。サンプル12はさらに、非収斂性であることがわかった。コーラの風味はほんの少し低下しただけであった。
【0130】
サンプル13:
製剤(A11)、E110およびE129は、コーラに含まれるACKの苦味と苦い後味を完全に抑制した。その他の味覚上の不利な属性(酸味、人工的/化学薬品味、金属味、収斂性、被覆性、乾燥性)が抑制された一方で、味覚上の有利な属性(甘さ、コーラ味)は改善された。
【0131】
サンプル14:
製剤(A11)およびE110は、コーラに含まれるACK/ASPの酸味、苦味、人工的/化学薬品味、および金属味をいくぶんか抑制し、また、ひりひりする後味も抑えた。甘さはもはや対照サンプル6ほど強く感じられなかった。
【0132】
サンプル15:
製剤(A11)、E110およびE129は、コーラに含まれるACK/ASPの酸味、苦味、人工的/化学薬品味、および金属味をいくぶんか抑制し、また、ひりひりする後味も抑えた。さらに、サンプル15は対照サンプル6よりも乾燥性が少なかった。苦い後味は抑えられなかった。一方、味覚上の有利な属性(甘さ、コーラ味)は影響されなかった。
【0133】
比較実験C1およびC2
甘味料の味覚変容のためのカロテノイド不含プラセボC2およびC1の使用
実施例1を繰り返したが、製剤(A11)の代わりに、以下のプラセボを使用した:
- 比較実験C1では、Dieter HornおよびJens Riegerによる“Organische Nanopartikel in waessriger Phase - Theorie, Experiment und Anwendung”[水相中の有機ナノ粒子 - 理論、実験および応用], Angewandte Chemie, 2001, 113巻, 4477頁右欄最終段落から4478頁右欄第1段落、ならびにセクション“4.1.2. In Wasser unloesliche Wirkstoffe”[水不溶性活性化合物], 4481-4483頁に記載される連続混合チャンバー法および噴霧乾燥により、加工デンプン、トコフェロール、植物油、およびグルコースから製造した、カロテノイド不含プラセボC1 (略語: 水/ACK/C1);
- 比較実験C2では、加工デンプン、トコフェロール、植物油、およびグルコースを混合し、得られた混合物を噴霧乾燥することにより製造した、カロテノイド不含プラセボC2 (略語: 水/ACK/C2)。
【0134】
比較実験C1およびC2のサンプルC1およびC2の定量的官能検査の結果を、対照サンプル1で得られた結果と比較して、表3に示す。測定値は表1および2について先に記載したとおりの意味を有する。
【表3】

【0135】
比較実験C1およびC2から、β-カロテンを含まないプラセボC1およびC2は水に含まれるACKの苦味をいくぶん増した一方で、苦い後味を抑えたことが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物における味覚変容物質としての水分散性カロテノイドナノ粒子の使用。
【請求項2】
カロテノイドナノ粒子の粒子サイズが<1μmである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
カロテノイドナノ粒子が液体または固体である、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
固体のカロテノイドナノ粒子中のカロテノイドがX線非晶質である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
液体のカロテノイドナノ粒子中のカロテノイドが液体媒体中に溶解しているか、または可溶化された混合ミセルの形で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
カロテノイドナノ粒子が、食品法規および/または医薬品法規により認可されている少なくとも1種の添加剤を含む液体または固体製剤中に存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
添加剤が保護コロイド、酸化的分解を防止する安定剤、乳化剤、オイル、可塑剤、固化を防止する組成物、およびポリオールからなる群より選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
固体製剤のカロテノイドナノ粒子が少なくとも1種の添加剤のマトリックスに内包されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
カロテノイドナノ粒子の製剤が、その全量に基づいて、0.5〜30重量%の1種以上のカロテノイドを含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
カロテノイドナノ粒子の製剤が、その全量に基づいて、10〜80重量%の1種以上の保護コロイドを含む、請求項6〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
カロテノイドナノ粒子の製剤が、その全量に基づいて、20〜70重量%の可塑剤を含む、請求項6〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
水分散性カロテノイドナノ粒子が組成物の苦味と苦い後味を抑制する働きをする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
組成物が食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
組成物が、組成物1リットルまたは1kgあたり10g未満の糖を含有する低糖組成物であり、特に無糖組成物である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
組成物が甘味剤として少なくとも1種の高甘味度甘味料HISを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
固体組成物中のカロテノイドナノ粒子またはその製剤が、0.1〜100ppmのカロテノイド濃度をもたらすような量で存在する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
液体組成物中のカロテノイドナノ粒子またはその製剤が、0.1〜100mg/lのカロテノイド濃度をもたらすような量で存在する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
組成物が少なくとも1種のアゾ化合物を含み、該アゾ化合物が少なくとも1個のアゾ基を有しかつ苦味と苦い後味を抑制する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
組成物が、その全量に基づいて、0.1〜100ppmの1種以上のアゾ化合物を含む、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
アゾ化合物がE110、E123、E128およびE129:
【化1】


からなる群より選択される、請求項18または19に記載の使用。
【請求項21】
1種以上のHISがアセスルファム-カリウム、アスパルテーム、サッカリンおよびその塩、シクラメートおよびその塩、アスパルテーム-アセスルファム塩、スクラロース、タウマチン、ステビア、ステビオシド、ならびにネオヘスペリジンジヒドロカルコンからなる群より選択される、請求項15〜20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
少なくとも1つのタイプの水分散性カロテノイドナノ粒子を組成物に添加することを含む、組成物の味覚変容方法。
【請求項23】
水分散性カロテノイドナノ粒子が、固体組成物では0.1〜100ppmのカロテノイド濃度をもたらすような量で、また、液体組成物では0.1〜100mg/lのカロテノイド濃度をもたらすような量で、使用される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
組成物が食品、飲料、嗜好品、甘味剤、飼料、化粧品および医薬品である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
組成物が、1リットルまたは1kgあたり10g未満の糖を含有する低糖組成物、特に無糖組成物である、請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
組成物が甘味剤として少なくとも1種の高甘味度甘味料HISを含む、請求項22〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
苦味と苦い後味を抑制しかつ少なくとも1個のアゾ基を有する、少なくとも1種のアゾ化合物を組成物にさらに添加する、請求項22〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
組成物の全量に基づいて、0.1〜100ppmの1種以上のアゾ化合物を組成物に添加する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
アゾ化合物がE110、E123、E128およびE129:
【化2】


からなる群より選択される、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
1種以上のHISがアセスルファム-カリウム、アスパルテーム、サッカリンおよびその塩、シクラメートおよびその塩、アスパルテーム-アセスルファム塩、スクラロース、タウマチン、ならびにネオヘスペリジンジヒドロカルコンからなる群より選択される、請求項26〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
味覚変容において、組成物の苦味と苦い後味が抑制される、請求項22〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
(A)少なくとも1つのタイプの水分散性カロテノイドナノ粒子、
(B)少なくとも1個のアゾ基を有する、少なくとも1種のアゾ化合物、
を含有する、組成物のための味覚変容物質。
【請求項33】
(A)と(B)の重量比が10:1から1:20である、請求項32に記載の味覚変容物質。
【請求項34】
カロテノイドナノ粒子の粒子サイズが<1μmである、請求項32または33に記載の味覚変容物質。
【請求項35】
カロテノイドナノ粒子が液体または固体である、請求項32〜34のいずれか1項に記載の味覚変容物質。
【請求項36】
固体のカロテノイドナノ粒子中のカロテノイドがX線非晶質である、請求項32〜35のいずれか1項に記載の味覚変容物質。
【請求項37】
液体のカロテノイドナノ粒子中のカロテノイドが液体媒体中に溶解しているか、または可溶化された混合ミセルの形で存在する、請求項32〜36のいずれか1項に記載の味覚変容物質。
【請求項38】
カロテノイドナノ粒子が、食品法規および/または医薬品法規により認可されている少なくとも1種の添加剤を含む液体または固体製剤中に存在する、請求項32〜37のいずれか1項に記載の味覚変容物質。
【請求項39】
添加剤が保護コロイド、酸化的分解を防止する安定剤、乳化剤、オイル、可塑剤、固化を防止する組成物、およびポリオールからなる群より選択される、請求項38に記載の味覚変容物質。
【請求項40】
固体製剤のカロテノイドナノ粒子が少なくとも1種の添加剤のマトリックスに内包されている、請求項38または39に記載の味覚変容物質。
【請求項41】
カロテノイドナノ粒子の製剤が、その全量に基づいて、0.5〜30重量%の1種以上のカロテノイドを含む、請求項38〜40のいずれか1項に記載の味覚変容物質。
【請求項42】
カロテノイドナノ粒子の製剤が、その全量に基づいて、10〜80重量%の1種以上の保護コロイドを含む、請求項38〜41のいずれか1項に記載の味覚変容物質。
【請求項43】
カロテノイドナノ粒子の製剤が、その全量に基づいて、20〜70重量%の1種以上の可塑剤を含む、請求項38〜42のいずれか1項に記載の味覚変容物質。
【請求項44】
アゾ化合物(B)のアゾ基がアリール基に連結されている、請求項32〜43のいずれか1項に記載の味覚変容物質。
【請求項45】
アリール基がフェニル基および/またはナフチル基である、請求項44に記載の味覚変容物質。
【請求項46】
少なくとも1個のアリール基が少なくとも1個のスルホン酸基および/または少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されている、請求項44または45に記載の味覚変容物質。
【請求項47】
アゾ化合物(B)がE110、E123、E128およびE129:
【化3】


からなる群より選択される、請求項44〜46のいずれか1項に記載の味覚変容物質。
【請求項48】
それが低炭水化物組成物、特に無炭水化物組成物である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項49】
組成物が、特にカフェインを含む、ACK甘味飲料である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項50】
それが低炭水化物組成物、特に無炭水化物組成物である、請求項22〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
組成物が、特にカフェインを含む、ACK甘味飲料である、請求項22〜31のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−518829(P2010−518829A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550296(P2009−550296)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052273
【国際公開番号】WO2008/102019
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】