説明

呼を終了する方法及びボイスオーバーIP端末

呼を終了する本発明の方法は、IPネットワークコア(2)に登録されたボイスオーバーIP端末(3A、3B)によって使用されると共に、前記呼の間に前記端末(3A、3B)がハングアップすることを検出するステップと、前記IPネットワークコア(2)の装置に対して、前記呼に割り当てられた資源を解放するためのメッセージを送信するステップと、前記検出ステップの後に、前記資源解放メッセージを送信する前に所定時間待機するステップとを含む。本発明によれば、もし前記端末(3A、3B)がピックアップされることが前記所定時間の間に検出されないならば、前記資源解放メッセージが、前記待機ステップの終わりに送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信の一般的な分野、そして特にインターネット経由の通信に関係する。それは、例えば、セッション確立プロトコル(Session Initiation Protocol:SIP)を実行する電話機のような端末によって、送信されるか、または受信される、ボイスオーバーIP(Internet Protocol:インターネットプロトコル)呼を終了するための手順に更に特に関係する。そのような端末は、同様に、ボイスオーバーIP端末またはVoIP(voice over IP)端末として知られている。
【背景技術】
【0002】
現在の技術水準において、ボイスオーバーIP端末がハングアップする(hang up:呼を切断する)とき、端末レベルで、そしてより一般的にはネットワークにおいて、呼に割り当てられた資源は、即座に解放されると共に、2つの当事者間の呼は、決定的に終了する。
【0003】
従って、もしハングアップする(呼を切断する、電話を切る、送受話器を置く)ことがVoIP端末の誤った操作、例えば端末の呼切断キーを偶然に押すこと、または端末の送受話器を、それをピックアップ(pick up)した後で、偶然その基部に落とすこと、に関連するならば、会話を再開するために、VoIP端末のユーザには、再び相手方に発呼する意外に解決方法はない。
【0004】
公衆交換電話網(PSTN)における標準の時分割交換には、他の相手との呼を中断することなく、被呼者が彼らの電話送受話器をハングアップ(呼を切断)し、その後いくらかの所定の時間間隔のうちに同じ送受話器または別の送受話器をピックアップする(送受話器を取って呼に応答する)ことを可能にするハングアップ/再ピックアップ手順が存在する。PSTNにおけるそのような手順の使用は、加入者接続ユニットとそれが接続されるオートスイッチ(autoswitch)との間で交換される呼保留メッセージ(call suspension message)に頼っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】TISPAN文書“ES 282 007 IP Multimedia Subsystem (IMS): Functional architecture NGN IMS Architecture”、ETSI、技術報告書、2006年
【非特許文献2】IETF文書“RFC 3261 - SIP: Session Initiation Protocol”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボイスオーバーIPネットワークの構造及び設計により、ボイスオーバーIPプロトコルは、そのような交換機を備えない。従って、呼の間のボイスオーバーIP端末の送受話器のあらゆる誤った操作は、今のところ、必然的に、呼と関連付けられた資源の解放を招く。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、IPネットワークコアに登録されたボイスオーバーIP端末によって使用される呼を終了する方法であって、前記方法が、・前記呼の間に前記端末がハングアップすること(hanging up)を検出するステップと、・前記IPネットワークコアの装置に対して、前記呼に割り当てられた資源を解放するためのメッセージを送信するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0008】
本発明によれば、前記終了方法は、更に、前記検出ステップの後に、前記資源解放メッセージを送信する前に所定時間待機する待機ステップを含み、もし前記端末がピックアップされること(the terminal being picked up)が前記所定時間の間に検出されなかったならば、前記資源解放メッセージが、前記待機ステップの終わりに送信されることを特徴とする。
【0009】
単純化及び明瞭化のために、本発明の方法の所定時間は、以下では“遅延時間”と呼ばれる。
【0010】
従って、本発明は、新しい資源を呼に割り当てることなく、例えば偶然に端末をハングアップすることにより中断された呼を瞬時に再開するための、発呼VoIP端末または着呼VoIP端末に実装される単純な手順を提案する。
【0011】
本発明は、前記呼に割り当てられた資源を解放するためのメッセージの送信を所定時間遅延させる。1つのそのようなメッセージは、例えばSIPにおける“BYE”方法を使用するメッセージである。
【0012】
端末による資源解放メッセージの送信及びIPネットワークコアによる資源解放メッセージの受信は、それぞれ、通常は呼を終了すると共に、呼に関与するネットワーク及び端末は、その場合に、呼に割り当てられた資源を解放する。本発明には、この資源解放メッセージが遅延時間の間送信されないので、呼に割り当てられた全ての資源がハングアップすることの後で保持されるという利点がある。このような方法で、遅延時間の間に端末をピックアップ(pick up)する(より正確には、再度端末をピックアップする)ことに応えて、その呼は、呼に参加するネットワーク及びユーザに対して透過的な方法で再開し得る。
【0013】
更に、上述のように、本発明の終了方法は、端末において実施されると共に、VoIP端末による(例えば端末のSIPユーザエージェントによる)それ自身の状態(ハングアップすること、ピックアップすることの検出等)の特定の管理において、VoIP端末の能力を有利に使用する。従って、本発明は、資源解放メッセージの送信を遅延させるために、VoIP端末における内部タイマの実装だけを必要とする。それは、従って、呼の間にVoIP端末とIPネットワークコアとの間で既に使用されているメッセージ以外に、信号伝達メッセージの交換を使用する必要がない。
【0014】
本発明は、更に、例えば資源に関して特に欲張りであり、多くの場合、ボイスオーバーIPネットワークを管理することを、難しく、そして疑わしくする、SIPの“SUBSCRIBE”メッセージ及び“NOTIFY”メッセージのような、端末とネットワークコアとの間の複雑な方法の使用を必要としない利点を有する。
【0015】
本発明の1つの特定の実施例において、終了方法において使用される前記所定時間(すなわち遅延時間)は、前記IPネットワークコアの装置から前記端末によって受信されたメッセージにおいて定められる。
【0016】
従って、ボイスオーバーIPネットワークコアは、ハングアップすることの後で資源解放メッセージを送信する前に端末によって印加される前記遅延時間を定めることが可能である。従って、ネットワークオペレータは、様々な端末と関連付けられたサービスを一定の状態にするために、ネットワークオペレータに登録された全ての端末に同様の遅延時間を定めることができる。
【0017】
その代りに、及び対照的に、ネットワークのオペレータは、端末の種類に応じて、遅延時間を適合させ得る。例えば、もしその端末が偶然のハングアップに特に影響を受けやすいと考えられるならば、それは、平均遅延時間より長い遅延時間を端末に有利に送信し得ると共に、その逆もまた同様である。
【0018】
例えば、前記端末が前記呼のための着呼端末である場合に、前記所定時間を定める前記受信されたメッセージは、前記呼の開始メッセージであり得る。
【0019】
その代りに、前記端末が前記呼のための発呼端末である場合に、前記所定の遅延時間を定める前記受信されたメッセージは、呼が進行中であることを通知するメッセージか、または前記呼のための着呼端末がピックアップされたことを通知するメッセージであり得る。
【0020】
更なる代替として、前記所定の遅延時間を定める前記受信されたメッセージは、前記端末を前記ネットワークコアに登録するための要求に対する応答メッセージであり得る。
【0021】
前記遅延時間は、特に、前記メッセージの内の1つのヘッダに含まれる。従って、非常に有利である本発明の終了方法との関連で印加されるべき遅延時間を端末に通知するために、新しいメッセージを作成すること(すなわち新しいSIP方法を作成すること)は、必要ではない。
【0022】
本発明の別の実施例において、前記所定時間は、前記端末内に設定可能であり得る。
【0023】
その結果、端末ユーザは、本発明の方法によって彼の/彼女の要求及び予測の関数として印加されるべき遅延時間を修正し得る。これは、例えば端末のキーパッドを介してアクセスされた端末において、適切なメニューを提供することによって、特に達成され得る。
【0024】
本発明の別の実施例において、前記所定時間は、前記端末内に事前に定義される。例えば、それは、端末の製造業者によって事前に定義されると共に、VoIP端末の不揮発性の書き替え不可能なメモリか、または読み出し専用メモリに保存され得る。
【0025】
相関性がある方法において、本発明は、更に、IPネットワークコアに登録されたボイスオーバーIP端末であって、前記端末が、・前記呼の間に前記端末がハングアップすることを検出するための手段と、・前記IPネットワークコアの装置に対して、前記呼に割り当てられた資源を解放するためのメッセージを送信するための手段とを備えることを特徴とする端末を提供する。
【0026】
本発明によれば、ボイスオーバーIP端末は、更に、・前記検出手段によりハングアップすることを検出した後で、前記資源解放メッセージの前記送信を所定時間遅延させるための手段と、・前記端末がピックアップすることを検出するための手段とを備え、前記資源解放メッセージを送信するための手段が、もし、前記所定時間の間に、ピックアップすることを検出するための前記手段によって前記端末がピックアップされることが検出されないならば、前記所定時間の後、前記ネットワークコアの前記装置に対して前記資源解放メッセージを送信するように構成されることを特徴とする。
【0027】
1つの特定の実施例において、前記ボイスオーバーIP端末は、ボイスオーバーIPプロトコルアダプタ/コンバータに接続されたアナログ電話機を備える。
【0028】
1つの特定の実施例において、呼を終了する本発明の方法のステップは、コンピュータプログラム命令によって決定される。
【0029】
従って、本発明は、更に、データ媒体上のコンピュータプログラムを提供すると共に、前記プログラムは、本発明のボイスオーバーIP端末、またはより一般的にはコンピュータにおいて使用できると共に、上述のような呼を終了する方法のステップを実施するように構成された命令を含む。
【0030】
そのプログラムは、あらゆるプログラミング言語を使用すると共に、ソースコード、オブジェクトコード、または、部分的にコンパイルされた形式または他の適当な形式のようなソースコードとオブジェクトコードとの間の中間のコードの形式を取り得る。
【0031】
本発明は、更に、上述のコンピュータプログラムの命令を含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【0032】
データ媒体は、プログラムを記憶することが可能である、あらゆる実体(entity:エンティティ)または装置であり得る。例えば、その媒体は、ROM、例えばCD−ROMまたはマイクロ電子回路ROMのような記憶手段、あるいは、磁気記憶手段、例えばフロッピー(登録商標)ディスクまたはハードディスクを含み得る。
【0033】
データ媒体は、無線もしくは他の手段により電気ケーブルもしくは光学ケーブルを介して送られ得る、電気信号もしくは光学信号のような伝送可能な媒体であり得る。本発明のプログラムは、特に、インターネットタイプのネットワークを介してダウンロードされ得る。
【0034】
その代りに、データ媒体は、プログラムを組み込んだ集積回路であり得ると共に、前記回路は、問題の方法を実行するように、またはその実行において使用されるように構成される。
【0035】
本発明の第2の特徴は、上述のようなボイスオーバーIP端末を備える通信システムであって、・前記端末が、前記呼の間に前記端末がハングアップすることを検出した後で、呼と関連する資源を解放するためのメッセージを送信する前に所定時間待機すると共に、もし、前記所定時間の間に、ピックアップすることが検出されなかったならば、前記所定時間の後、前記資源解放メッセージを送信するように構成されるという指示を含むメッセージを前記端末から受信するための手段と、・前記所定時間を獲得するための手段と、・前記所定時間をメッセージを使用して前記端末に対して送信するための手段とを備え、これらの手段が、前記システムのIP通信ネットワークコアの1つ以上の装置に分割されることを特徴とする通信システムを提供する。
【0036】
本発明の第3の特徴は、メッセージを含むと共に、ボイスオーバーIP端末によってIP通信ネットワークのコアの装置に対して送信される信号であって、前記端末が、前記呼の間に前記端末がハングアップすることを検出した後で、呼と関連する資源を解放するためのメッセージを送信する前に所定時間待機すると共に、もし、前記所定時間の間に、ピックアップすることが検出されなかったならば、前記所定時間の終わりに、前記資源解放メッセージを送信するように構成されるという指示を含むヘッダを、前記メッセージが有することを特徴とする信号を提供する。
【0037】
1つの特定の実施例において、前記信号は、更に、この所定時間に関する値を含む別のヘッダを有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】その環境における本発明の1つの特定の実施例のボイスオーバーIP端末を示す図である。
【図2】図1に示されたボイスオーバーIP端末において使用される場合の本発明の終了方法の主要なステップを示すフローチャートである。
【図3】IPネットワークコアの制御下で、終了方法を使用している場合にボイスオーバーIP端末によって印加される遅延時間を設定するように作用する、本発明の第1の実施例において実行される主要なステップを示す図である。
【図4】IPネットワークコアの制御下で、終了方法を使用している場合にボイスオーバーIP端末によって印加される遅延時間を設定するように作用する、本発明の第2の実施例において実行される主要なステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の他の特徴及び利点は、添付された図面及び付録を参照して与えられた、本発明の制限しない実施例に関連する以下の説明から明らかになる。
【0040】
明細書の末尾の付録は、本発明の信号に含まれ得るメッセージの一例、及びネットワークコア装置がSIPプロトコルを使用して本発明の実施例における遅延時間を定めることを可能にするメッセージの一例を提供する。
【0041】
図1は、ボイスオーバーIP通信ネットワークを表す。
【0042】
ここで考察された例において、特に3GPP標準、及びTISPAN標準において指定されたように、通信ネットワーク1は、IMS(IP Multimedia Subsystem:IPマルチメディアサブシステム)構造に基づいている。当該技術において知られているように、そのようなネットワークは、セッション確立プロトコル(Session Initiation Protocol:SIP)に基づいて、ボイスオーバーIPサービスを提供する。本発明は、当然ながら、ボイスオーバーIPをサポートする他の種類の構造、例えば(一般に“ソフトスイッチ”構造と言われる)ソフトウェアスイッチ構造か、または、“プロキシレジスタ(proxy registrar)”構造に適用され得る。
【0043】
通信ネットワーク1は、IMSネットワークコア2と、様々なアクセスネットワークを介してIMSネットワーク1に登録した後でIMSネットワーク1に接続することができる複数の端末3(例えば端末3A及び3B)とを備える。
【0044】
ここで考察された2つの端末3A及び3Bは、本発明のボイスオーバーIP端末、例えばセッション確立プロトコルを使用するボイスオーバーIP電話機である。その代りに、他の端末、例えば、ホームゲートウェイまたはETSI技術仕様書“TS 183043”において定義されたSIPゲートウェイ(“SIP DSLAM”)のようなボイスオーバーIPプロトコルアダプタ/コンバータに接続された、マイクロホン及びラウドスピーカ、またはアナログ電話機を提供されたラップトップコンピュータが構想され得る。当該技術において知られているように、ボイスオーバーIP端末3A及び3Bは、セッション確立プロトコルを使用してネットワークコア2と通信するように構成されると共に、それらの各々は、端末の状態を検出することができる、図1において示されなかったSIP呼処理オートマトン(ユーザエージェント)を含む。
【0045】
端末3A及び3Bは、コンピュータのハードウェア構造を備えていると共に、特に、動作の時間を計り、そして所定時間を測定するためのクロック(図示せず)と一緒に、アクセスネットワーク(それぞれアクセスネットワーク4及びアクセスネットワーク5)を介して通信するための手段31と、プロセッサ32と、ランダムアクセスメモリ33と、読み出し専用メモリ34とを備える。
【0046】
ここで説明された端末3A及び端末3Bのそれぞれの読み出し専用メモリ34は、図2において示されると共に、以下で説明された、呼を終了する本発明の方法の主要なステップを実行するように構成されたコンピュータプログラムを含む。更に、端末3A及び端末3Bのそれぞれのメモリに保存されているのは、端末3A及び端末3Bのそれぞれにおいて事前に定義されたデフォルトの遅延時間Tdefである。ここで説明された例において、デフォルトの遅延時間は、端末3A及び3Bの両方に関して同じであり、例えばTdef=10[s]である。
【0047】
ここで構想された、端末3A及び端末3Bのそれぞれのアクセスネットワーク4及びアクセスネットワーク5は、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称型デジタル加入者回線)ネットワークである。その代りに、VoIP端末3A及び/またはVoIP端末3BをIMSネットワーク1と接続するための、例えば、特にUMTS(Universal Mobile Telecommunications System:ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム)ネットワーク、WLAN(Wireless Local Area Network:無線LAN)、またはWiFi(Wireless Fidelityワイヤレスフィディリティー)ネットワークのような、他のアクセスネットワークが考察され得る。
【0048】
更に、例えば、もし端末3A及び3Bの内の1つだけが本発明のボイスオーバーIP端末であり、もう一方の端末がアナログPSTNアクセスネットワークと接続されているならば、本発明は、等しい利点によって適用される。
【0049】
当該技術において知られているように、IMSネットワークコア2は、CSCF(Call Session Control Function:呼セッション制御機能)エンティティ、MRFC(Multimedia Resource Function Controller:マルチメディアリソース機能制御部)エンティティ、BGCF(Breakout Gateway Control Function:ブレークアウトゲートウェイ制御機能)エンティティ、及びMGCF(Media Gateway Controller Function:メディアゲートウェイ制御機能)エンティティを含む、様々な機能エンティティ(図1には示されない)を備える。これらのエンティティは、更に詳細に、例えばTISPAN文書“ES 282 007 IP Multimedia Subsystem (IMS): Functional architecture NGN IMS Architecture”、ETSI、技術報告書、2006年において説明される。
【0050】
CSCFエンティティは、IMSネットワーク1におけるマルチメディアセッション、そして、従って特にボイスオーバーIPセッションの開設、監視、及び終話に関与する。それは、ユーザ端末との対話を特に管理する。当該技術において知られているように、CSCFエンティティは、・IMS通信ネットワーク1に対する端末のエントリポイントであるプロキシCSCF(Proxy-CSCF:P−CSCF)と、・特にIMSネットワークに対する端末の登録を管理するIMSネットワークにおける中央信号伝達ノードであるサービングCSCF(Serving-CSCF:S−CSCF)と、・IMSネットワークにおける端末間の接続を管理するように構成されたインテロゲーティングCSCF(Interrogating-CSCF:I−CSCF)とを含む。
【0051】
IMSネットワーク1の2つの端末間の呼は、P−CSCF、S−CSCF、及びI−CSCF機能エンティティを通過する。
【0052】
ここで説明された実施例において、ネットワークコア2のS−CSCFエンティティは、本発明の終了方法を実施するIMSネットワーク1の全ての端末に均一的に定められる遅延時間““Tdelay””を保存するメモリを備える。その代りに、この遅延時間は、IMSネットワーク1における端末に応じて変化し得る。
【0053】
簡単化のために、ここでは、端末3A及び3Bが、同じP−CSCFサーバ、及び同じS−CSCFサーバを使用すると見なされている。本発明は、当然ながら、端末3A及び3Bが、異なるP−CSCFサーバ及びS−CSCFサーバと関連付けられている状況に置き換えることが容易である。
【0054】
IMS通信ネットワーク1における本発明の端末(発呼端末、着呼端末)によって実施される場合に呼を終了する本発明の方法の主要なステップは、図2を参照して、以下で説明される。
【0055】
この目的を達成するために、これが本発明を制限することなく、発呼端末3Aから着呼端末3Bまでの呼が考察される。上述のように、本発明は、等しく発呼端末及び/または着呼端末に適用されると共に、端末は、当然ながら、暫くの間発呼端末になり、暫くの間着呼端末になる。
【0056】
当該技術において知られているように、IMSネットワーク1を介して通信することができるように、VoIP端末は、IMSネットワークコア2に登録されなければならない。
【0057】
この目的を達成するために、端末3Aは、SIP登録要求“REGISTER”をネットワークコア2に送信する(ステップE10)。当業者に知られているように、P−CSCFサーバは、この要求を受信すると共に、それをI−CSCFを介してS−CSCFサーバに送信する。
【0058】
このメッセージを受信すると、ネットワークコア2のS−CSCFサーバは、端末3Aの登録項目を保存すると共に、登録時間(例えば1時間)を端末3Aに割り当てる。S−CSCFサーバは、要求メッセージに応答して、この登録時間を端末3Aに送信する。
【0059】
端末3Bは、同様の方法でネットワークコア2に登録される。
【0060】
ここで、端末3Bを呼び出すために端末3Aのユーザが送受話器をピックアップする(pick up)と仮定する。これは、端末3AのSIPユーザエージェントによって検出される。端末3Aは、その場合に、端末3Bとの呼を開設するために、SIP呼開始メッセージ(SIP call initiation message)“INVITE”をネットワークコア2に送信する(ステップE20A)。
【0061】
この呼開始メッセージは、ネットワークコア2のP−CSCFサーバを通って、それが処理されるS−CSCFサーバに進む。S−CSCFサーバは、アプリケーションサーバを呼び出した後、必要に応じて、呼開始メッセージを着呼端末3Bに送信する。
【0062】
この呼開始メッセージを受信すると、着呼端末3Bのユーザは、端末3Aとの呼を開設するために、彼らの端末をピックアップする(pick up)と仮定する(ステップE20B)。これは、端末3BのSIPユーザエージェントによって検出されると共に、ネットワークコア2のS−CSCFサーバに合図され、S−CSCFサーバは、同様に端末3Aに通知する。
【0063】
端末3Bがピックアップすることに応えて、呼に対する資源が、ネットワークコア2において、そしてVoIP端末3A及び3Bにおいて、当該技術において知られている方法で割り当てられる(ステップE30)。そのような資源は、例えば、ネットワークコア2のレベルにおいて、信号伝達(例えばその呼が通過するネットワークの各ノードにおいて作業場所(context)を予約すること)と関連していると共に、メディアストリーム(例えば通過する呼と関連付けられたメディアストリームの許可)と関連している。各VoIP端末において、割り当てられた資源は、メディアストリームを再生することと関連している資源、及び端末のSIPユーザエージェントによる呼の信号伝達を処理することと関連している資源を含む。
【0064】
ここで、このように開設された呼の間に、端末3Bは、そのユーザによってハングアップされる(is hung up)ということが予見される。当該技術において知られている方法において、これは、端末3Bの呼処理SIPユーザエージェントによって即座に検出される(ステップE40)。
【0065】
ハングアップすることを検出すると、端末3Bの内部タイマが、例えば端末3Bのクロックを使用して、遅延時間“Tdelay”に等しい所定時間に設定される(ステップE50)。このタイマを設定すると、通常はハングアップすることを検出した後でボイスオーバーIP端末のSIPユーザエージェントによって送信される資源解放メッセージ(SIPメッセージ“BYE”)の送信は、遅延時間“Tdelay”に等しい期間の間延期される。
【0066】
この遅延時間“Tdelay”は、準備のステップの間に、端末3B内に有利に設定される。この目的を達成するために、様々な設定オプションが実行され得る。
【0067】
例えば、本発明の終了方法において印加された遅延時間“Tdelay”は、ボイスオーバーIPネットワークコア2の装置(例えばS−CSCFサーバ)によって定められ得ると共に、適切なメッセージによって端末に送信され得る。この設定オプションを実施する2つの実施例は、図3及び図4を参照して以下で更に詳細に説明される。
【0068】
しかしながら、遅延時間を設定するための他のオプションが使用され得るので、この前提は、決して本発明を制限しない。特に、遅延“Tdelay”は、VoIP端末内に事前に定義されると共に、例えば端末の不揮発性の書き替え不可能なメモリにハードコード(hard-code)され得る。このようにハードコードされた遅延は、特に、標準の時分割交換ネットワークにおいて現在のところ印加される標準の遅延(例えばフランスの“Orange”ネットワークにおける4秒)に等しくなり得る。
【0069】
その代りに、時間“Tdelay”は、端末のウェブインタフェース及びキーパッドを介して、あるいはユーザと端末との間のあらゆる他のインタフェースを介して、適切なメニューを閲覧する例えば端末ユーザによって、VoIP端末内に設定され得る。
【0070】
更なる実施例は、VoIP端末において、遅延“Tdelay”を設定するための上述の3つのオプションすなわち、・ネットワークによって定められると共に、ネットワークコア2によって送信されたメッセージにおいて受け取られる遅延(オプション1)、・端末内に事前に定義される遅延(オプション2)、そして、・端末内に設定される遅延(オプション3)、を同時に実施する。
【0071】
この状況において、例えばオプション1、オプション3、そしてオプション2の順のような、これらのオプションの相対的な優先順位が、好ましくは、端末において印加されるべき遅延“Tdelay”を選択するために実装される。
【0072】
従って、本発明によれば、遅延ステップE50の間、ネットワークコア2、そして端末3A及び3Bによって呼に割り当てられた資源が保持されると共に、端末3BによるSIP資源解放メッセージ(BYE)の送信が遅延される。特に、端末3Bによるメディアストリームの再生のための資源、及び端末3Bの呼処理SIPユーザエージェントによる呼の信号伝達の処理に関連している資源のような、端末3Bにおいて呼に割り当てられた資源は保持される。すなわち、遅延ステップE50の間、端末3Bは、ピックアップすることを検出する(ステップE60)か、または遅延時間の満了を検出するための待機の状態になる。
【0073】
もし端末3BのSIPユーザエージェントが、遅延時間“Tdelay”が満了する前に、端末3Bがピックアップする(picking up)こと(すなわち再度ピックアップすること)を検出するならば、端末3Aとの呼が、ネットワークコア2と、端末3A及び3Bのユーザとに透過的な方法で再開する(ステップE70)。タイマは解除されると共に、この時点で、資源解放メッセージ“BYE”の送信が取り消される。
【0074】
もしそうでなければ、例えば、呼の終わりにおける端末3Bの意図的なハングアップの後で、すなわち、もし遅延時間が満了になると共に、端末3BのSIPユーザエージェントが、端末3Bがピックアップすること(すなわち再度ピックアップすること)を検出しなかったならば、SIPメッセージ“BYE”を使用する資源解放メッセージが、端末3Bによってネットワークコア2に対して送信される(ステップE80)と共に、端末3Bによって割り当てられた資源が解放される(ステップE90)。
【0075】
資源解放メッセージ“BYE”を受信すると、ネットワークコア2は、呼に割り当てられたネットワークにおける資源を解放すると共に、メッセージを端末3Aに対して転送する。このメッセージを受信すると、端末3Aによって呼に割り当てられた資源は即座に解放される。更に、もしタイマが本発明に従って設定されたならば、このタイマは、同様に、(例えば、端末3Bがハングアップすることに対して僅かにオフセットを有する、すなわち遅れた方法によって、)端末3Aがハングアップした後で、解除される。
【0076】
別の実施例において、端末3A及び/または3Bは、更に、活性化された場合に遅延時間が満了するのを待つことなく即時に資源解放メッセージ“BYE”の送信を引き起こす“即時ハングアップ(immediate hang-up)”ボタンを供える。このボタンは、特に、呼を発信する場合にのみ、活性化され得る(例えば、ボタンにおける点滅するLEDは、発呼端末のユーザに、“即時ハングアップ”ボタンと関連付けられた機能の起動を表示するであろう)と共に、発呼端末のユーザが、例えば遅延時間に関する請求書を送られることを回避するために、即座に彼らが開始した呼を解放することを可能にする。
【0077】
本発明の終了方法を使用する場合にIMSネットワークコア2の制御下でボイスオーバーIP端末によって(例えば端末3Aまたは端末3Bによって)使用される遅延時間“Tdelay”を設定することを目標とする2つの実施例が、図3及び図4を参照して以下で説明される。
【0078】
図3を参照して説明された第1の実施例において、遅延時間“Tdelay”は、IMSネットワーク1にこの端末を登録する場合、ネットワークコア2の制御下にある端末内に設定される。
【0079】
上述のように、ネットワークに登録されるために、VoIP端末3Aは、SIPメッセージ“REGISTER”を使用して、登録を要求するメッセージ“M1”を、ネットワークコア2に対して送信する(ステップF10)。このメッセージは、ネットワークを介して、本発明に従う信号によって運ばれる。
【0080】
SIPメッセージ“REGISTER M1”は、様々なヘッダ、特に、IANA(Internet Assigned Number Authority:アイアナ)によって事前に定義されるオプションタグとして同様に知られている特定の識別子を使用して、一般的な方法で端末3Aによってサポートされたサービスを示すヘッダ“Supported”を含む。IANAによって既に定義された、交換されるSIPメッセージに含まれ得るヘッダ及びオプションタグの記述は、IETF文書“RFC 3261 - SIP: Session Initiation Protocol”において発見され得る。
【0081】
ここで説明される第1の実施例において、メッセージ“M1”の“Supported”ヘッダは、IANAによって適切に前もって定義されると共に、端末3Aが本発明の呼終了方法を実施する(すなわち、サポートする)ことをネットワークコア2に対して通知する、オプションタグ、例えば“rd”を含む。
【0082】
ここで、メッセージ“M1”は、更に、例えばIANAによって適切に前もって定義された別のメッセージのヘッダ“Racdec”で、端末3A内に事前に定義されるデフォルトの遅延時間“Tdelay”を運ぶ。
【0083】
明細書の末尾の付録は、メッセージ“M1”の内容の一例を示す。
【0084】
ネットワークコア2のS−CSCFサーバによってメッセージ“M1”が受信されると、メッセージ“M1”のヘッダが、読まれて分析される。この分析は、サーバが、“Supported”ヘッダ、及びオプションタグ“rd”を読むことによって、端末3Aが本発明の呼終了方法をサポートすることを検出することを可能にする(ステップF20)。これの後で、ネットワークコア2のS−CSCFサーバは、この情報を保存すると共に、端末3Aに送信するべき遅延時間“Tdelay”を獲得するために、そのメモリを調べる。
【0085】
その代りに、IMSネットワークのアプリケーションサーバは、遅延時間を獲得するために、メッセージ“M1”を分析し得る。
【0086】
S−CSCFサーバは、その場合に、メッセージ“M1”に応答して、・端末3Aが本発明の終了方法をサポートするということをサーバが検出したということを端末3Aに確認するためのオプションタグ“rd”を、サーバがその中に配置する“Require”ヘッダと、・ネットワークコア2によって与えられると共に、本発明の呼終了方法を使用する場合に端末3Aが印加しなければならない遅延時間“Tdelay”を、サーバがその中に配置するRacdecヘッダと、を含む“200 OK”メッセージ“M2”を送信する(ステップF30)。
【0087】
上述のように、この応答メッセージ“M2”は、更に、端末3Aがネットワークコア2によって登録されていると考えられる時間(例えばここでは1時間、すなわち、3600[s])を包含する。当該技術において知られているように、この時間は、応答メッセージ“M2”の“Contact”ヘッダの“有効期限”パラメータに含まれる。
【0088】
明細書の末尾の付録は、メッセージ“M2”の内容の一例を示す。
【0089】
メッセージ“M2”を受信すると、端末3Aは、“Racdec”ヘッダ内の遅延時間“Tdelay”を抽出すると共に、それを例えば端末3Aのランダムアクセスメモリ33に保存する(ステップF40)。
【0090】
同様の方法で、端末3Bは、本発明に従うと共に、端末3Bが本発明の呼終了方法をサポートすることをネットワークコア2に対して示すオプションタグ“rd”を“Supported”ヘッダに含み、“Racdec”ヘッダが端末3B内に事前に定義されるデフォルト値Tdefを含む信号によりネットワーク内を運ばれる“SIP REGISTER(SIP登録)”メッセージ“M3”を送信することによって、ネットワークコア2に登録される(ステップF50)。
【0091】
以下のステップは、端末3Aに関して上述された、それぞれのステップF20、F30、及びF40と類似している。・ネットワークコア2のS−CSCFサーバが、登録メッセージM3を分析する(ステップF60)。・ネットワークコア2によって与えられると共に、本発明の呼終了方法を使用する場合に端末3Bが印加しなければならない遅延時間“Tdelay”を含む、端末3BのメッセージM3に対する応答メッセージM4を送信する(ステップF70)。そして、・端末3Bが値“Tdelay”を抽出して保存する(ステップF80)。
【0092】
従って、ステップF40及びF80の後では、端末3A及び3Bは、本発明の呼終了方法を使用する場合に印加されるべき遅延時間“Tdelay”、すなわち、それらが呼の間にハングアップすることを検出した後で呼に割り当てられた資源を解放するためのメッセージを送信する前に待たなければならない所定時間を、知っている。
【0093】
ここで説明された第1の実施例において、ネットワークコアは、本発明の方法を実施するボイスオーバーIP端末に、端末がネットワークに登録されている場合、遅延時間“Tdelay”を送信する。ネットワークコアに対するボイスオーバーIP端末の登録は、一般的に一時的である(例えばここでは1時間の間)。従って、遅延時間“Tdelay”は、登録が新しくされるたびに、ネットワークコアにより送信され得ると共に、ボイスオーバーIP端末に保存され得る。
【0094】
第2の実施例において、ネットワークコア2の制御下にあるVoIP端末内に遅延時間“Tdelay”を設定することが、図4を参照して以下で説明される。この第2の実施例において、遅延時間“Tdelay”は、ネットワークコア2により、・着呼端末3Bに送信される呼開始メッセージを使用して、そして、・発呼端末3Aに送信される呼進行またはピックアップメッセージ(call in progress or picking up message)を使用して、送信される。
【0095】
ここでは、SIPメッセージ“INVITE”を使用して端末3Bとの呼を開設するために、端末3Aが、ネットワークコア2に対して呼開始メッセージ“M5”を送信すると仮定される(ステップG10)。このメッセージ“M5”は、ネットワークを介して、本発明に従う信号によって運ばれる。
【0096】
ここで説明された第2の実施例において、“INVITE”メッセージ“M5”は、第1の実施例におけるSIPメッセージ“REGISTER”に対するのと同じ方法で、端末3Aがネットワークコア2に対して端末3Aが本発明の呼終了方法をサポートすることを示すために有利にオプションタグ“rd”をその中に配置した“Supported”ヘッダを含む。
【0097】
更に、メッセージ“M5”は、同様に、端末内に事前に定義されるデフォルトの遅延時間“Tdelay”を、例えばIANAによって適切に前もって定義された“Racdecヘッダ”に含む。
【0098】
メッセージ“M5”を受信すると、そのヘッダが、ネットワークコア2のS−CSCFサーバによって読まれて分析される。S−CSCFサーバは、その場合に、呼メッセージ“M5”に応答して、続いて、本発明の方法を使用する場合に印加されるべき遅延時間を端末3Aに対して送信するために、端末3Aが本発明の終了方法をサポートするという情報を保存する(ステップG20)。
【0099】
S−CSCFサーバは、次に、呼開始メッセージ“INVITE M5”を、呼開始メッセージ“INVITE M6”の形式で、着呼端末3Bに転送する(ステップG30)。このメッセージ“M6”において、もし端末3Bが本発明の終了方法をサポートするならば、端末3Bが本発明の終了方法の間に印加しなければならない遅延時間“Tdelay”が更に指定される。この段階で、ネットワークコア2のS−CSCFサーバは、端末3Bが本発明の方法をサポートするかどうかを知らない。遅延時間“Tdelay”は、S−CSCFサーバのメモリに対する問い合わせの後で獲得された。その代りに、遅延時間“Tdelay”は、IMSネットワーク1のアプリケーションサーバに対する問い合わせの後で獲得され得る。
【0100】
遅延時間“Tdelay”は、端末3Aによって送信されたメッセージ“M5”における時間Tdefに置き換えて、メッセージ“M6”の“Racdec”ヘッダを使用して送信される。その代りに、それは、IANAによって適切に以前に定義された、メッセージ“M6”の別のエンティティに配置され得る。
【0101】
メッセージ“M6”を受信すると、端末3Bは、遅延時間“Tdelay”を抽出すると共に、本発明の終了方法の間に、(端末3Bのメモリ34内の事前に定義されたデフォルトの時間Tdefの代りに)遅延時間“Tdelay”を使用するために、それを例えば端末3Bのランダムアクセスメモリ33に保存する(ステップG40)。
【0102】
端末3Bは、次に、その呼が進行中であることを確認すると共に、例えば呼び出し音の形で端末のユーザによって気付かれるメッセージ“M6”に対する“180 RINGING”応答メッセージ“M7”を、P−CSCFサーバを介して、ネットワークコア2のS−SCSFサーバに送信する(ステップG50)。このメッセージ“M7”は、ネットワークを介して、本発明に従う信号によって運ばれる。ここで、応答メッセージ“M7”は、“Require”ヘッダにオプションタグ“rd”を含み、従って、ネットワークコア2に対して、端末3Bが本発明の呼終了方法をサポートするということ、そして本発明の呼終了方法は、端末がハングアップすると使用されるということを示す。更に、端末3Bは、応答メッセージ“M7”において、例えばメッセージのヘッダ“Racdec”において、本発明の終了方法の間に端末3Bによって印加されることになる遅延時間、すなわちここではネットワークコア2によって送信された時間“Tdelay”を示す。
【0103】
メッセージ“M7”を受信すると、S−CSCFサーバは、そのメモリを調べることによって、発呼端末3Aに送信されるべき遅延時間を決定する(ステップG60)。ここで説明された例において、この遅延時間は、端末3Bに関して以前に獲得された遅延時間“Tdelay”である。従って、同種の遅延時間が、IMSネットワーク1における各ボイスオーバーIP端末に関して決定され、それは有利である。その代りに、異なる遅延時間が、端末3A及び3Bに関して獲得され得る。
【0104】
この遅延時間“Tdelay”は、“180 RINGING”メッセージ“M8”において、このメッセージの“Racdec”ヘッダで、端末3Aに送信される(ステップG70)。ハングアップする際に端末3Aによって本発明の終了方法が使用されなければならないということを明示するオプションタグ“rd”は、“Require”ヘッダを使用して端末3Aに送信される。メッセージ“M8”は、端末3Bに対する呼が進行中であることを端末3Aに通知すると共に、そのメッセージは、例えば呼び出し音の形で端末3Aのユーザによって気付かれる。
【0105】
メッセージ“M8”を受信すると、端末3Aは、本発明の終了方法の間に、端末3Aのメモリ34に保存された、事前に定義されたデフォルトの時間“Tdef”の代わりに使用するために、遅延時間“Tdelay”を抽出すると共に、それを例えば端末3Aのランダムアクセスメモリ33に保存する(ステップG80)。
【0106】
ここでは、端末3Aからの呼び出しの後で、端末3Bのユーザが端末をピックアップすると仮定される(ステップG90)。これは、当業者によって知られた方法で、端末3BのSIPユーザエージェントによって検出されると共に、結果として、専用の資源が端末3Bにおいてこの呼に割り当てられる。
【0107】
端末3Bは、その場合に、ネットワークコア2に対して、ピックアップ通知(200 OK)メッセージ“M9”によってピックアップすることを合図する(ステップG100)。ピックアップメッセージ“M9”は、“Racdec”ヘッダに、端末3Bによって印加される遅延時間“Tdelay”を含む。
【0108】
メッセージ“M9”は、ネットワークコア2による、その呼のために設けられた資源の割り当て後に、ネットワークコア2によって、ピックアップ通知(200 OK)メッセージ“M10”の形式で、端末3Aに対して転送される(ステップG110)。メッセージ“M10”は、“Racdec”ヘッダに、端末3Aが印加しなければならない遅延時間“Tdelay”を含む。
【0109】
メッセージ“M10”を受信すると、端末3Aは、必要な資源を呼に割り当てる。
【0110】
ここで説明された両方の実施例において、本発明の信号によって運ばれる、端末3A及び3Bのそれぞれが本発明の終了方法をサポートするという旨の、SIPメッセージ“M1”及び“M5”と、SIPメッセージ“M3”及び“M7”とにそれぞれ含まれる情報は、“Supported”ヘッダまたは“Require”ヘッダに含まれる。これらの前提は、決して本発明を制限しない。
【0111】
その代りに、この指示は、本発明の信号によって運ばれるメッセージの別のヘッダ内に存在し得る。例えば、メッセージそれ自身は、“Racdec”ヘッダに、この指示を含み得る。特に、端末によって送信されたメッセージにおけるこのヘッダの存在または欠如は、本質的に、端末が本発明の終了方法をサポートするという指示を構成する。更に、例えばそのネットワークがその手順を実施することを望むかどうかを指定するために、“Racdec”ヘッダに追加のパラメータが導入されるであろう。
【0112】
『付録』
【表1】

【表2】

【符号の説明】
【0113】
1 通信ネットワーク
2 IMSネットワークコア
3A、3B 端末
4 アクセスネットワーク
5 アクセスネットワーク
31 通信するための手段
32 プロセッサ
33 ランダムアクセスメモリ
34 読み出し専用メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPネットワークコア(2)に登録されたボイスオーバーIP端末(3A、3B)によって使用される呼を終了する方法であって、
前記方法が、
・前記呼の間に前記端末(3A、3B)がハングアップすることを検出するステップ(E40)と、
・前記IPネットワークコア(2)の装置に対して、前記呼に割り当てられた資源を解放するためのメッセージを送信するステップ(E80)とを含み、
前記方法が、更に、
前記検出ステップ(E40)の後に、前記資源解放メッセージを送信する前に所定時間待機する待機ステップ(E50)を含み、
もし前記端末(3A、3B)がピックアップされることが前記所定時間の間に検出されないならば、前記資源解放メッセージが、前記待機ステップの終わりに送信される(E80)
ことを特徴とする終了方法。
【請求項2】
前記所定時間が、前記IPネットワークコア(2)の装置から前記端末(3A、3B)によって受信されたメッセージ(M2、M4、M6、M8、M10)において定められる(F30、F70、G30、G70)
ことを特徴とする請求項1に記載の終了方法。
【請求項3】
前記端末が、前記呼のための着呼端末(3B)であり、
前記所定時間を定める前記受信されたメッセージ(G30)が、前記呼の開始メッセージ(M6)である
ことを特徴とする請求項2に記載の終了方法。
【請求項4】
前記端末が前記呼のための発呼端末(3A)であり、
前記所定時間を定める前記受信されたメッセージ(G70)が、呼が進行中であることを通知するメッセージ(M8)か、または前記呼のための着呼端末(3B)がピックアップされたことを通知するメッセージ(M10)である
ことを特徴とする請求項2に記載の終了方法。
【請求項5】
前記所定時間を定める前記受信されたメッセージ(F30、F70)が、前記端末(3A、3B)を前記ネットワークコア(2)に登録するステップ(F10、F50)に対する応答メッセージである
ことを特徴とする請求項2に記載の終了方法。
【請求項6】
前記所定時間が、前記受信されたメッセージのヘッダに含まれる
ことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の終了方法。
【請求項7】
前記所定時間が、前記端末内に設定可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の終了方法。
【請求項8】
前記所定時間が、前記端末内に事前に定義される
ことを特徴とする請求項1に記載の終了方法。
【請求項9】
コンピュータプログラムであって、
前記プログラムがコンピュータによって実行される場合に、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の終了方法のステップを実行するための命令を含む
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の終了方法のステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラムを記憶する
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
IPネットワークコア(2)に登録されたボイスオーバーIP端末(3A、3B)であって、
・前記呼の間に前記端末(3A、3B)がハングアップすることを検出するための手段と、
・前記IPネットワークコア(2)の装置に対して、前記呼に割り当てられた資源を解放するためのメッセージを送信するための送信手段とを備え、
前記端末が、更に、
・ハングアップすることを検出した後で、前記送信を所定時間遅延させるための手段と、
・前記端末がピックアップすることを検出するための手段とを備え、
前記送信手段が、もし、前記所定時間の間に、ピックアップすることを検出するための前記手段によってピックアップすることが検出されなかったならば、前記所定時間の後、前記ネットワークコア(2)の前記装置に対して前記資源解放メッセージを送信するように構成される
ことを特徴とするボイスオーバーIP端末(3A、3B)。
【請求項12】
ボイスオーバーIPプロトコルアダプタ/コンバータに接続されたアナログ電話機を備える
ことを特徴とする請求項11に記載のボイスオーバーIP端末(3A、3B)。
【請求項13】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のボイスオーバーIP端末(3A、3B)を備える通信システムであって、
・前記端末(3A、3B)が、前記呼の間に前記端末がハングアップすることを検出した後で、呼と関連する資源を解放するためのメッセージを送信する前に所定時間待機すると共に、もし、前記所定時間の間に、ピックアップすることが検出されなかったならば、前記所定時間の後、前記資源解放メッセージを送信するように構成される、という指示を含むメッセージ(M1、M3、M5、M7)を前記端末から受信するための手段と、
・前記所定時間を獲得するための手段と、
・前記所定時間をメッセージ(M2、M4、M6、M8、M10)を使用して前記端末に対して送信するための手段とを備え、
前記手段が、前記システムのIP通信ネットワークコア(2)の1つ以上の装置に分割される
ことを特徴とする通信システム。
【請求項14】
メッセージ(M1、M3、M5、M7)を含むと共に、ボイスオーバーIP端末によってIP通信ネットワークのコアの装置に対して送信される信号であって、
前記端末が、前記呼の間に前記端末がハングアップすることを検出した後で、呼と関連する資源を解放するためのメッセージを送信する前に所定時間待機すると共に、もし、前記所定時間の間に、ピックアップすることが検出されなかったならば、前記所定時間の終わりに、前記資源解放メッセージを送信するように構成される、という指示を含むヘッダを、前記メッセージが有する
ことを特徴とする信号。
【請求項15】
更に、前記所定時間に関する値を含む別のヘッダを有する
ことを特徴とする請求項14に記載の信号。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−515976(P2011−515976A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501281(P2011−501281)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050531
【国際公開番号】WO2009/125149
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(591034154)フランス・テレコム (290)
【Fターム(参考)】