説明

呼センタ

【課題】ネットワークを経由して多数の端末へ接続される呼センタにおいて、自動呼分配(ACD)の処理の少なくとも一部分がその端末において実行される方法を提供する。
【解決手段】自動呼分配処理の少なくとも一部分、すなわち呼をエージェントの特定の1つへ割当てる処理を、呼センタから顧客端末へ変え、a)ACD(自動呼分配)データを顧客端末へ通信するステップと、b)ACDデータを使用して、顧客端末においてエージェントグループを選択するステップと、c)次に、顧客端末から呼センタを経由してステップ(b)で選択されたグループ内のエージェントへ呼を設定するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼センタ(コールセンタ)、およびこのような呼センタを使用する通信ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
呼センタは、到来呼の処理または顧客への呼の開始、あるいはその両者のために民間機関によって広く使用されている。一般に、呼センタは1つの電話番号と関係付けられている多数の回線を有している。呼は顧客から受取られ、待ち行列内に保持されてから、次の使用可能なエージェントへ導かれる。顧客は、呼が待ち行列内に置かれる前に、例えばDTMF(デュアルトーンマルチフレケンシイ)トーンを使用して、顧客が行っている呼のタイプを示すことができ、呼のタイプに依存して呼を特定のグループのエージェント用の待ち行列内に置いてもよい。
【0003】
ワールドワイドウエブが顧客と呼センタとの間の通信を向上する手段を提供することが認められている。顧客が呼センタからウエブページを介して呼を開始できるようにすることが提案されている。例えば、WO97/50235号明細書では、顧客がHTTPページ内のフォーム上に電話番号を入力し、“サブミット”ボタンをクリックして、呼センタから呼を要求するシステムを開示している。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様にしたがって、呼センタ、および通信ネットワークを介して呼センタへ接続された複数の顧客端末を含む通信システムを動作する方法であって、自動呼分配(ACD)処理の少なくとも一部が顧客端末において実行されることを特徴とする方法を提供する。
【0005】
本明細書で使用されている“呼センタ”という用語は、従来のPSTN呼センタに加えて、H323のようなデータプロトコルを使用する呼を分配する呼センタと、PSTN、ボイスオーバーIP(Voice over IP)、およびデータ呼を取扱うハイブリッドセンタを含む。
【0006】
本発明は、呼センタおよび関係するネットワークのキャパシティの使用効率を相当に向上する呼センタを動作する方法を提供する。これは自動呼分配処理の少なくとも一部分、すなわち呼をエージェントの特定の1つへ割当てる処理を、呼センタから顧客端末へ変えることによって達成される。次に回線を待ち行列内の顧客と接続する代わりに、エージェントが使用可能になるまで、呼の設定を遅延してもよい。
【0007】
好ましくは、この方法は、
a)ACD(自動呼分配)データを顧客端末へ通信するステップと;
b)ACDデータを使用して、顧客端末においてエージェントグループを選択するステップと;
c)次に、顧客端末から呼センタを経由してステップ(b)で選択されたグループ内のエージェントへ呼を設定するステップとを含む。
【0008】
自動呼分配データは、明示的にまたは暗黙的に異なるグループの呼エージェントを識別するデータであり、従来の呼センタではこのデータを呼センタで処理して、選択されたグループ内の次の使用されていないエージェントを割当てる。本発明では、代わりに顧客端末においてこのデータを使用して、該顧客端末が呼センタと帯域内接続を設定する前に、エージェントグループ、好ましくは特定のエージェントを選択することができる。
【0009】
ステップ(b)で顧客端末において行われた選択結果は、通信ネットワークを介して呼センタへ通信されることが好ましい。通信ネットワークはパケットベースのインターネットワーキングプロトコルを支援するデータネットワークであることが好ましい。後述の実施形態において、データネットワークはインターネットである。ステップ(c)において設定された呼も前記データネットワークを経由して設定されることが好ましい。その代わりに呼はPSTN(公衆交換電話ネットワーク)のような別のネットワークを介して設定してもよい。
【0010】
ステップ(c)は、各エージェントが使用されていないフリー状態のときのみ実行されることが好ましい。この方法は、顧客端末において呼処理アプリケーションを実行するステップと、呼センタから顧客端末へ呼処理アプリケーションにおける制御データを通信するステップとを含むことが好ましい。
【0011】
ステップ(c)において設定される呼は、呼センタから顧客端末へ設定されることが好ましい。顧客端末において実行するクライアントアプリケーションは、データネットワーク上の顧客端末のネットワークアドレスを呼センタに戻し、呼センタはデータネットワークを介して前記アドレスへ呼を設定する。
【0012】
本発明の発明者は、例えば顧客端末のIPアドレスを使用して、呼センタから、例えばインターネットを経由して、顧客端末へ呼を設定することがとくに効果的であることを発見した。一般的にネットワークアドレスは、顧客端末上で実行されるクライアントアプリケーションには分かっており、したがって顧客による介入を要求せずに、呼センタに利用可能にすることができる。さらにこの方法を実行することにより、例えば、顧客端末上のJava(登録商標) ACDアプレットと顧客端末上のインターネット電話アプリケーションとの間の直接的な対話は不要となり、それによってこれらのアプリケーション間における相互動作の問題がなくなる。
【0013】
この方法は、顧客端末とエージェントとの間で呼を設定するステップと;前記エージェントを識別するデータを記憶するステップと;顧客端末から、前記記憶されたデータ内で識別された前記エージェントへ次の呼を導くステップとを含むことが好ましい。
【0014】
本発明のこの好ましい特徴は、通常の呼センタを使用するときに顧客によって経験される非個人性(あるいは非人格性、impersonality)の克服を可能にした。従来は、顧客が照会に関して呼センタに電話をかけ、少し時間を置いて再び電話をかけると、顧客は毎回異なるエージェントに接続されることになるが、本発明を使用すると、顧客が再び電話をかけるとき、顧客が同じエージェントへ接続されることを保証することができる。これは、最初の呼を受けたエージェントの識別子を記録するデータを記憶することによって達成される。都合よいことには、これはクッキー(cookie)、すなわち顧客端末上に記憶された規定のフォーマット内のデータアイテムを使用して達成される。このクッキーは、後で顧客が呼センタのウエブページにアクセスするときに自動的に呼センタへ戻される。
【0015】
本発明の第2の態様にしたがって、呼センタと、通信ネットワークを経由して呼センタへ接続された複数の顧客端末とを含む通信システムを動作する方法であって、呼が設定される前に自動呼分配が実行される方法を提供する。
【0016】
本発明はさらに、第1の態様の方法にしたがって動作するように構成された呼センタまたは顧客端末を含む。
【0017】
ここで本発明を実現するシステムを例示的に添付の図面を参照してさらに詳しく記載することにする。
【詳細な説明】
【0018】
図1に示したように、通信システムにおいて呼センタ1は第1および第2の通信ネットワーク2、3に接続されている。この例では、第1のネットワーク2はPSTN(公衆交換電話ネットワーク)であり、呼センタ1を、電話を含む顧客端末4へ接続している。第2のネットワーク3はインターネットであり、顧客端末5に接続し、該顧客端末5は、例えばマイクロソフトのネットミーティング(NetMeeting)(商標名)のようなインターネット電話クライアントを実行するパーソナルコンピュータを含む。図に示したように、例えば顧客がそれぞれ音声およびデータ用の2つの電話回線を同時に使用するとき、電話の1つはパーソナルコンピュータの1つと一緒に置くことができる。
【0019】
呼センタ1における第1のプラットフォーム101、すなわち電話プラットフォームは呼センタアプリケーションを実行する。呼センタアプリケーションは、エージェントセッションコンポーネント(ASC)モジュールおよび呼管理モジュールを含むより低いレベルのモジュールによって与えられる資源を使用する。第1のプラットフォームは第2のプラットフォーム102に接続され、第2のプラットフォーム102はIP(インターネットプロトコル)電話スイッチとして機能し、顧客端末から、多数の中から選択した1つのエージェントへ呼を接続する。各エージェントはデータ端末および各インターネット電話クライアントを使用して構成される。エージェントは呼センタまたは各遠隔のサイトに位置付けてもよい。PABXはPSTN2から、例えばISDNを使用してPABXへ、およびインターフェイス上のCTIプロトコルを使用して電話プラットフォームへ呼を接続する。PSTNからのトラヒックはパケット化されて、H323ゲートウエイおよびIP電話スイッチを介してエージェントへ送られる。H323プロトコルは、インターネット接続上のマルチメディア会議に使用される周知のプロトコルであり、さらにエージェントをIP電話スイッチに接続するのに使用される。
【0020】
呼センタ内のCTI(コンピュータ電話インターフェイス)は、1998年1月14日に出願された我々の審査中の英国特許出願第9800803.0号(代理人リファレンス番号第A25559号)に記載され、権利を主張されているように、第1の当事者と第3の当事者との両方の呼構成要素を使用するインターフェイスであってもよく、その内容を参考文献として本明細書に取入れる。
【0021】
図2に示したように、顧客端末5のユーザはウエブブラウザを使用して、ウエブブラウザは適切なURLを使用して呼センタをアドレス指定し、例えばジャバ(登録商標)アプレットをダウンロードして、電話プラットフォーム内のエージェントセッションコンポーネントに対するデータインターフェイスを提供する。ACD(自動呼分配)データは、エージェントセッションコンポーネントからこのデータインターフェイスを経由して顧客端末へ通信される。呼センタからウエブブラウザへ通信されるACDデータは、多数のエージェントグループ(例えば、“技術”、“マーケティング”、“販売”)の識別子、および対応する待ち行列の状態を含んでもよい。状態情報は、例えば待ち行列の長さおよび待ち行列における予測待機時間を含んでもよい。エージェントグループ識別子は、HTTPデータとして戻され、ウエブページ上に明示的に表示されてもよい。状態データは変数としてジャバアプレットへ戻され、アプレットによって適切に処理されることができる。状態データはウエブページ上に直接に表示されてもよいが、好ましい実施において状態データはジャバアプレットによって使用されて、オーディオアナウンスメントおよび音声クリップの出力を制御する。
【0022】
選択肢として、ACDデータを拡張して、個々のエージェントを識別することができる。例えば、ボタンをエージェントグループと関係付け、このボタンをクリックすると、エージェント名のリストが表示され、このリストと一緒に、顧客によって特定のエージェントを選択するための別のボタンも表示される。次に顧客が“コールミー(call me)”ボタンをクリックすると、名前を呼ばれたエージェントが使用されていないときのみ呼が設定される。その代わりに、明示されたエージェントの識別子データは顧客に示すことはできないが、呼が設定されるとき、エージェント識別子は、顧客端末上に、またはその代わりに呼センタのキャッシュ内に、例えばクッキーとして記憶され、例えば同じ日の規定期間内の次の呼は同じエージェントに接続するために待ち行列に入れてもよい。
【0023】
その代わりに他のクライアントアプリケーションを使用して、例えば専用プラグインクライアントを使って、呼センタと対話してもよいが、ジャバアプレットはウエブブラウザ上で実行でき、顧客端末の安全を脅かさないので、ジャバアプレットを使用することが好ましい。
【0024】
ユーザは、関連するウエブページ上の“コールミー”ボタンを押すことによって呼センタへ呼を開始してもよい。別個の“コールミー”ボタンが各エージェントグループに対してウエブページ上に表示されるか、またはウエブページ上に単一のコールミーボタンがあってもよく、例えば各エージェントグループの側に顧客の選択を示すラジオボタンがあってもよい。顧客が“コールミー”ボタンをクリックするとき、ジャバアプレットは、呼センタと後で行われるIP電話呼によって使用するために、顧客端末の固有のIPアドレスを戻す。ボタンが押される前であっても、例えばユーザのマウスがボタン上にあるときであっても、またはユーザが最初に関連するウエブページを選択するときはいつでも、ジャバアプレットはデータを呼センタに戻すことができる。この情報は、テレマーケティングキャンペーンに後に使用され、特定のウエブサイトに関心を示した全てのユーザを呼んでもよい。このようにして、呼センタは呼前段階(pre-call phase)にあるときに、すなわち呼が設定される前に、有益な統計を与えられ、この情報は、呼センタエージェントへの待ち行列を制御するときとか、呼センタで実施される他の論理関数内で使用することができる。この情報は、他のエージェントの統計と一緒にエージェントのスーパーバイザへ送ってもよい。例えばディスプレイでは、ビジーなエージェント、使用されていないエージェント、待ち行列内に保持されている顧客、マウスを使用して呼を指示している顧客、および会社のウエブページを検索している顧客の番号を示す。このような情報はシステムアドミニストレータに有益である。
【0025】
顧客が“コールミー”ボタン上でマウスをクリックするとき、アプレットはACDから使用されていないエージェントを要求する。
【0026】
顧客が、直ちに呼を行う代わりに呼センタを呼ぶと決めると、発呼者は、ブラウザを経由して呼センタにおいてIVR(インテリジェント音声応答)をシミュレートする音声クリップを受取ることができる。(例えば、CGIスクリプトおよびカスタムページか、またはアプレットを使用することによって)ブラウザは、例えば待ち行列の長さ、などに関して呼センタの状態が分かるので、音声クリップは、呼センタへの呼が既に設定されていたときに、このような環境においてIVRシステムが再生することを反映する。既に記載したように、従来の“販売に関しては1を;マーケティングに関しては2を;…3を押してください、など”のダイアログが、ポイントおよびクリックボタンをもつGUI(グラフィックユーザインターフェイス)形式のオプションメニューと置換される。発呼者には、待機中に、製品/会社のオーディオおよびビジュアル画像を与えることができる。エージェントが使用可能なとき、最終的に呼が設定される。呼の設定は何れかの指示で行うことができる。関連するウエブページが最初に訪問されるときに、オーディオデータをクライアントアプリケーションにダウンロードしてもよい。これは、例えばエージェントを待っている間にユーザに対して再生されるバックグラウンドミュージック、および呼が開始されたときに、顧客に対して再生される呼出音に適している。その代わりにまたはそれに加えて、呼が開始されるときに、他のオーディオデータが呼出音の最初のバースト中にダウンロードされ:これは‘発展’形アナウンスメントにより適している。オーディオクリップには、例えばxが待ち行列内の位置を示すときに、“あなたは待ち行列内でx番目です”というアナウンスメントを含んでもよい。アプレットは、ASCからの制御入力に応答して、適切な音声クリップの再生をトリガすることができる。ユーザ入力を要求するメニューを含む他のオーディオまたはビジュアル情報は、呼前、呼中、および呼後に呼センタからASC/IP接続を経由してユーザに送ってもよい。例えば呼出音および次のアナウンスメントのオーディオクリップを再生することによって、顧客端末上のアプリケーションでは、実際には呼が設定される前に呼の存在をシミュレートする。
【0027】
呼センタのみがインターネットから呼を実行/受信するときは、呼センタが従来のIVR(インテリジェント音声応答)システムをもつ必要はない。さらにエージェントと話すのを待っている発呼者の従来の待ち行列をもつ必要もない。さらに後で記載するように、発呼者の待ち行列は呼の前に作られる。所望すれば、発呼者がコールバックを望むか否かを質問され、イエスのときは、ウエブフォーム上で、例えば好ましい時刻、などを指定することができる。呼が行われるときは、2本の電話回線をもつ顧客の場合は、インターネット電話を使用するか、またはPSTNを使用して呼が行われる。
【0028】
図2に示した構成は次のコンポーネントを含む:
ACDi 自動呼分配インテリジェンス(Automatic Call Distribution Intelligence)
ASC エージェントセッションコンポーネント(Agent Session Component)
JTAPI ジャバ電話アプリケーションプログラミングインターフェイス(Java Telephony Application Programming Interface)
NM ネットミーティング(NetMeeting)
NMCC ネットミーティングコール(呼)コンポーネント(NetMeetingCallComponet)
主なコンポーネント、すなわちACDi、エージェントセッション(ASC)、およびエージェントグループ間の関係は、図5のOOD(オブジェクト指向設計)規約を使用して示した。図6は、特定のセッション中にどのようにこれらのクラスがインスタンス化されるかを示し、図7のaないしcはこれらのクラスの定義を示す。ACDiオブジェクトは制御の中心として働き、全てのエージェントセッション(AgentSession)およびACDグループ(ACDGroup)のオブジェクトのリストを維持する。ACDiオブジェクトはCORBAインターフェイスをエクスポートして、機能の管理および使用を許可する。自動呼分配グループ(Automatic Call Distribution Group)(ACDグループ)は呼センタ内の呼のグループを表わす。ACDグループはそれ自体、エージェントがメンバになり、それによってそのグループに適用可能な呼要求を処理できるようにする。例えば異なるグループは販売または技術支援に関係していてもよい。各ACDグループは登録されたエージェントセッションオブジェクト(AgentSession object)のリストを維持し、グループのメンバであるエージェントを表わす。エージェントセッションオブジェクトは、呼センタにログインしたエージェントを表わす。エージェントセッションオブジェクトは、エージェントがログインするときに生成され、このエージェントがログアウトするときに取除かれ、オブジェクトに、エージェントのログイン状態に対応する寿命を与える。各エージェントセッションオブジェクトは、これがメンバとして登録されているACDグループのオブジェクトのリストを維持する。
【0029】
図6に示した例において、Daveと呼ばれるエージェントはシステムにログインされ、Daveを表わすエージェントセッションオブジェクトをもつ。Daveは、マーケティングおよび販売のACDグループのメンバとして登録される。
【0030】
ASCはエージェントの使用可能性を確認する。ASCは、エージェントの使用可能性が変化するとき、非同期通知を受取る。上述のように、ウエブユーザは呼を開始するか、または適切な呼グループ内のエージェントからコールバックを受取ることができる。例えば顧客は販売、注文処理、および送り状(インボイス)の送付に対応するグループから選択してもよい。この選択メニューは、呼センタのウエブページ上でユーザに表示することができる。“ASCENT”アプレットと呼ばれるアプレットは顧客端末において、呼要求状態を視覚的に反映し、特定のビジネス情報を表わし、一方で使用されていないエージェントがユーザにリターンコールを行うことによって呼が設定されるのを待つ。ASCENTアプレットは、ローカルIP電話、例えばネットミーティングクライアントと通信することができる。アプレットは、例えば呼出音および状態メッセージを再生することによって、呼び要求状態を聞き取れるように反映することができる。このやり方では、アプレットは呼センタへの呼をシミュレートするが、エージェントが使用されていない(free)ときのみ、呼は現実になる。このやり方では、呼はセンタで待ち行列に入れられて、使用されていないエージェントを待つ訳ではないので、呼センタへのメディアストリームのバンド幅を低減する。呼センタの音声処理およびダイヤログ処理をクライアントの機械へ移して、呼センタの所有者に対するコストを低減する。
【0031】
ここで本発明を構成するソフトウエア設計をさらに詳しく記載することにする。アプリケーションに登録したエージェントの使用可能性は、アプリケーション上の追加のAvailabilityObserverを経由してASCに知らされる。エージェントの使用可能性が変化するとき、方法availabilityChanged(…)がAvailabilityObserverに対して呼出されて、ASCおよびACDインテリジェンス(ACDi)に知らせる。ASCはCORBAを経由してアプリケーションにアクセスすることができ、したがってこの方法ではネットワークを横切って遠隔のオブジェクトを呼出すことができる。アプリケーションは、本発明を実施するのに使用されるとき、次に指定する方法を与える:
・boolean addAvailabilityObserver(AvailabilityObserver ao)
ASCがアプリケーションにオブザーバを加えて、エージェントの使用可能性の変化の非同期の通知を受取ることができるようにする。
【0032】
・boolean removeAvailabilityObserver(AvailabilityObserver ao)
ASCが、前もって加えられるオブザーバを取除くことができるようにする。
【0033】
・ Agents[] getAgents()
ASCが、アプリケーションに現在ログインしているエージェントのリストを、その使用可能性およびACDグループを含めて得ることができるようにする。
【0034】
・String[] getACDGroup()
ASCが、アプリケーション内の使用可能なACDグループのリストを得ることができるようにする。
【0035】
・boolean makeCall (Agent agent, String nmIP)
ASCが、指定されたエージェントの代わりに、指定されたNetMeeting IPアドレスへの呼を開始することができるようにする。
【0036】
エージェントセッションコンポーネント(ASC)
エージェントセッションコンポーネント(ASC)はケースインセンシティブなテキスト応用メッセージ(case-insensitive text-based message)から構成されるAPI(アプリケーションプログラマインターフェイス)を提供する。これらはASCと各呼アプレットとの間のソケット接続を経由して送られる。メッセージは次に示すように記載される。次に示す< >部分は、指定されたコマンドに適したパラメータを示している。
【0037】
呼アプレットからASC
・[register, <nmIP>]
呼アプレットをASCに登録するのに使用され、呼アプレットが実行される機械のIPアドレスを送って、次に全ての通信においてそれ自身を明白に識別するのに使用される。
【0038】
・[deregister, <nmIP>]
呼アプレットをASCから登録を取り消すのに使用される。
【0039】
・[callrequest, <nmIP>, <ACD group>]
呼アプレットが指定されたACDグループ内のエージェントから呼を受取りたいときに使用される。
【0040】
・[getacdinfo, <nmIp>]
ACDグループ、エージェント数、ビジー/フリー状態、などの現在の状態を戻す。
【0041】
ASCから呼アプレット
・[requestqueued, <eturc>]
特定の呼を処理する意図されたエージェントがビジーであるが、estimated time until return call <eturc>(呼を戻すまでの推定時間)(秒)の後に使用可能になるときに使用される。
【0042】
・[freeagent]
適切なエージェントの状態が使用可能に変わったときに送られる。
【0043】
ここで上述の設計を使用するシナリオを図4を参照して記載することにする。この説明の中の数字は、図中に示したステップを表わす。
【0044】
電話プラットフォーム上では、ASC、ACDi、およびJTAPIが実行されている。ASCはAvailabilityObserverをACDiへ加えることによって開始し(1)、現在登録されているエージェントのリストを得る(2)。WWWをブラウズする一方で、ウエブユーザはジャバASCENTアプレットを含むHTMLページを指示するURLを入れる。初期設定中、ASCENTアプレットはそれ自身をASCに登録し(3)、ACDグループのリストおよび関係するエージェントの状態を得るために処理を進める(4)。この情報は、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を経由して送られ、ウエブユーザは、呼要求を行うACDグループを選択する。
【0045】
図4に示したシナリオにおいて、ウエブユーザが呼を行うために選択したACDグループには、このときに使用可能なエージェントはない。呼要求はASCにおいて待ち行列に入れられ、したがってメッセージはestimated time until return call(eturc)と一緒にアプレットへ送られる(6)。この点で、アプレットに組み入れられたインテリジェンスは状況を処理して、オーディオの状態メッセージを再生して、会社の歴史および製品情報のようなビジュアル情報を与える。availabilityChanged()の呼出しは、AvailabilityObserverを経由してASCによって受取られ、エージェントの状態が変更したことを示す(7)。使用可能になったエージェントは、アプレットが呼要求を行ったACDグループの一部であり、したがってアプレットはエージェントが現在使用されていないことを知らされる(8)。次にASCは、使用されていないエージェントの代わりに呼を行い(9)、次にJTAPI(Java Telephony Application Programmers Interface)(ジャバ電話アプリケーションプログラマインターフェイス)を使用してIP電話呼を開始する(10)。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明を実現する通信システムの模式図。
【図2】図1のシステムの主なコンポーネントのアーキテクチャを示す図。
【図3】エージェントセッションコンポーネントを構成するのに使用されるソフトウエアオブジェクトを示す図。
【図4】エージェントがビジーのとき、本発明を実現するシステムにおける情報の流れを示す図。
【図5】本発明を実施するのに使用されるオブジェクトを示すダイヤグラム。
【図6】図5のオブジェクトのインスタンスを示す図。
【図7】図5および図6のオブジェクトの定義を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼センタと、通信ネットワークを経由して呼センタに接続された複数の顧客端末とを含む通信システムを動作する方法であって、自動呼分配(ACD)のプロセスの少なくとも一部分が顧客端末において実行される方法。
【請求項2】
a)自動呼分配(ACD)データを顧客端末へ通信するステップと;
b)ACDデータを使用して、顧客端末においてエージェントグループまたはエージェント、あるいはその両者を選択するステップと;
c)次に、顧客端末と、ステップ(b)で選択されたグループ内のエージェントとの間で呼センタを経由して呼を設定するステップとを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
通信ネットワークが、パケットベースのインターネットワーキングプロトコルを支援するデータネットワークである請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ステップ(b)で顧客端末において行われた選択結果が通信ネットワークを経由して呼センタへ通信される請求項1ないし3の何れか1項記載の方法。
【請求項5】
ステップ(c)において設定された呼もまた前記データネットワークを経由して設定される請求項4記載の方法。
【請求項6】
自動呼分配プロセスによって選択されたエージェントが使用されていないときのみ、顧客端末と呼センタとの間で呼が設定される請求項1ないし5の何れか1項記載の方法。
【請求項7】
呼が設定されるとき、その呼が呼センタから顧客端末へ設定される請求項1ないし6の何れか1項記載の方法。
【請求項8】
請求項3に直接的または間接的に従属するとき、顧客端末上で実行されるクライアントアプリケーションが、データネットワーク上の顧客端末のネットワークアドレスを呼センタへ戻し、呼センタがデータネットワークを経由して前記アドレスへ呼を設定する請求項7記載の方法。
【請求項9】
呼センタと、通信ネットワークを経由して呼センタへ接続される複数の顧客端末とを含む通信システムを動作する方法であって、呼が設定される前に自動呼分配が行われる方法。
【請求項10】
呼が顧客端末と呼センタとの間で設定される前に、顧客端末からデータチャンネルを経由して呼前段階のデータを送るステップを含む請求項1ないし9の何れか1項記載の方法。
【請求項11】
呼センタと、通信ネットワークを経由して呼センタへ接続される複数の顧客端末とを含む通信システムを動作する方法であって、呼が各顧客端末と呼センタとの間で設定される前に、呼前段階のデータが顧客端末からデータチャンネルを経由して呼センタへ送られる方法。
【請求項12】
前記呼前段階のデータが、ウエブページの顧客による選択に応答して呼センタへ自動的に戻される請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記呼前段階のデータが、顧客端末上のクライアントアプリケーションによって生成されるグラフィック表示の所定の領域内におけるユーザ制御ポインタの存在に応答して呼センタに戻される請求項10ないし12の何れか1項記載の方法。
【請求項14】
前記所定の領域が、選択されたときに呼の開始を要求するボタンである請求項13記載の方法。
【請求項15】
呼センタからデータとして受取られたオーディオアナウンスメントを顧客端末において出力するステップを含み、オーディオアナウンスメントを顧客端末において出力するステップが:
a)呼センタから受取られる状態データ;および、
b)顧客端末において登録されるユーザ入力の一方または両方に応答してトリガされる請求項1ないし14の何れか1項記載の方法。
【請求項16】
前記オーディオアナウンスメントを使用して、実際に呼が設定される前に、顧客端末と呼センタとの間の呼の設定を顧客端末においてシミュレートするステップを含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
呼センタから顧客端末へクライアントアプリケーションを通信するステップを含む方法であって、クライアントアプリケーションが顧客端末のネットワークアドレスを獲得して、呼センタへ戻す請求項1ないし16の何れか1項記載の方法。
【請求項18】
クライアントアプリケーションがジャバアプレットである請求項17記載の方法。
【請求項19】
顧客端末へ通信されるACDデータが、個々のエージェントを識別するデータを含む請求項1ないし18の何れか1項記載の方法。
【請求項20】
顧客端末とエージェントとの間で呼を設定するステップと、前記エージェントを識別するデータを記憶するステップと、顧客端末から、前記記憶されたデータ内で識別された前記エージェントへ次の呼を自動的に方向付けるステップとを含む請求項1ないし19の何れか1項記載の方法。
【請求項21】
前記データが顧客端末に記憶される請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記データがクッキーとして記憶され、顧客端末が次に呼センタウエブへアクセスするときに前記データがACDアプリケーションへ自動的に戻される請求項22記載の方法。
【請求項23】
呼センタは、
a)通信ネットワークへ接続するためのネットワークインターフェイスと;
b)ネットワークインターフェイスを経由して、自動呼分配(ACD)データを出力するように構成されているデータ出力と;
c)前記ACDデータに応答してユーザによって行われた選択に応答して、顧客端末と選択されたエージェントとの間で呼を設定する手段とを含む請求項1ないし22の何れか1項記載の方法で使用する呼センタ。
【請求項24】
顧客端末は、
a)通信ネットワークへ接続するためのネットワークインターフェイスと;
b)ネットワークインターフェイスを経由して受取られるACDデータに応答してユーザによるエージェント選択を登録するように構成されているクライアントアプリケーションと;
c)ネットワークインターフェイスを経由して選択データを出力するように構成されている出力手段とを含み、使用のときに選択データは呼センタにおいて受取られる請求項1ないし22の何れか1項記載の方法で使用する顧客端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−44748(P2009−44748A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−236190(P2008−236190)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【分割の表示】特願2000−531004(P2000−531004)の分割
【原出願日】平成11年1月8日(1999.1.8)
【出願人】(390028587)ブリティッシュ・テレコミュニケーションズ・パブリック・リミテッド・カンパニー (104)
【氏名又は名称原語表記】BRITISH TELECOMMUNICATIONS PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】