説明

呼処理装置、着信呼転送システム、着信履歴取り扱い方法

【課題】着信呼転送サービスを利用する場合における転送元の端末装置に残る着信履歴に起因して、転送元の端末装置からの無用なコールバックを誘発させてしまうおそれを払拭した、呼処理装置、着信呼転送システム、および、着信履歴取り扱い方法を提供する。
【解決手段】発信元UE110,220からの着信呼に対して、転送元UE160,260が既定時間内に応答を発信していないことを検知したときには、発信元UE110,220からの着信呼を転送先UE190,290に転送し、該転送された発信元からの着信呼に対する、転送先の応答状況(コールバック)を監視し、転送先の端末装置が接続可能の旨の応答をしたことが検知されたときには、転送された着信呼に係る着信履歴を、転送元UE160,260において削除させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着信呼転送サービスの転送元となる端末装置から発信元の端末装置へ無用なコールバックを行ってしまうことを予防する呼処理装置、着信呼転送システム、および、着信履歴取り扱い方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発信元の端末装置から或る電話回線を通して着信した通話(着信呼)を別の電話回線に転送する転送電話サービスは、携帯電話であるか固定電話であるかによらず、既によく普及している。
周知の通り、転送電話サービスの一つの利用の態様では、同一ユーザが、転送元とする端末装置と転送先とする端末装置との双方を保有し、或る発信元から転送元への着信呼に応答がない場合に、その着信呼を転送先に転送して、転送先の端末装置からコールバックする(折り返し電話をかける)ことを可能にする。
【0003】
一般に、転送電話サービスの機能によって、着信呼が別の電話回線に転送された場合には、転送先の端末装置で上記転送された着信呼に応答したか否かによらず、転送元の端末装置には一律に着信履歴が保持される。
このため、転送元の端末装置における着信履歴を見たユーザが、上記応答済みの用件に関しても、転送元の端末装置から発信元の端末装置にコールバックしてしまうといった無駄な行為を誘発させてしまうおそれがあった。
尚、転送元の端末装置では呼び出しを行わずに即座に転送してしまう無条件転送サービスの場合は、端末装置に着信履歴が残ることが無い。従って、着信履歴に起因する技術課題は本来的に発生しない技術である。このため、本願における技術とは趣きを異にするものである。
【0004】
一方、着信履歴に対するコールバックが遅延した場合には、その遅延期間のうちに、コールバックするまでもなく用件は既に解決済みになってしまうことは日常あり得ることである。このような場合、当然ながら、コールバックすることは無駄であり、寧ろ当事者にとって煩わしいだけである。
このような煩わしさに対処すべく、コールバック要請の実行条件を予め規定し、その実行条件を充足する場合に、転送先の端末装置の表示部に発信元の端末装置へのコールバックを要請するメッセージを表示させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1の技術は、着信呼の転送先の端末装置からの応答の状況を、応答監視部で監視し、この監視の結果、上記実行条件を充足する状況にあると判断された場合に、コールバックを要請するメッセージを着信履歴表示画面に表示させるものである。
しかしながら、特許文献1の技術では、着信呼転送サービスを利用するに際して、転送元に残る着信履歴に起因して、転送元の端末装置からの無用なコールバックを誘発させてしまうことは予防できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−160241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述のような状況に鑑みてなされたものであり、着信呼転送サービスを利用する場合における転送元の端末装置に残る着信履歴に起因して、転送元の端末装置からの無用なコールバックを誘発させてしまうおそれを払拭した、呼処理装置、着信呼転送システム、着信履歴取り扱い方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、ここに、次のような技術を提案する。
(1)発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、転送先の端末装置に転送する、着信呼転送システムに適用される呼処理装置であって、
前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信したか否かを監視する転送元応答状況監視部と、
前記転送元応答状況監視部が、前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信していないことを検知したときには、前記発信元の端末装置からの着信呼を前記転送先の端末装置に転送する着信呼転送処理部と、
前記着信呼転送処理部により転送された、前記発信元の端末装置からの着信呼に対する、前記転送先の端末装置の応答状況を監視する転送先応答状況監視部と、
前記転送先応答状況監視部が、前記着信呼転送処理部によって転送された前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送先の端末装置が接続可能の旨の応答をしたことを検知したときには、前記接続可能の旨の応答が検知された着信呼に係る着信履歴の削除を促す着信履歴削除要求を、前記転送元の端末装置に対して発する着信履歴削除要求部と、
を備えていることを特徴とする呼処理装置。
【0009】
上記(1)の呼処理装置では、転送された着信呼に対して、転送先の端末装置による応答が行われたことが検知されると、この転送された着信呼に係る着信履歴が削除される。このため、無用なコールバックの誘発を予防することができる。
【0010】
(2)前記転送元応答状況監視部は、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信していないことを検知し、かつ、前記転送元の端末装置が既定の着信呼転送サービスに加入していると判定したときには、着信呼の転送を行うことを表す既定の転送フラグをオンにして管理し、更に、前記着信呼転送処理部によって転送された前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送先の端末装置からの応答が接続不可の応答であるときには、前記オンにして管理していた前記転送フラグをオフにして管理し、
前記着信履歴削除要求部は、前記転送フラグがオフであるときには前記着信履歴削除要求を、前記転送元の端末装置に対して発しないことを特徴とする(1)の呼処理装置。
【0011】
上記(2)の呼処理装置では、上記(1)の呼処理装置において特に、転送フラグの状態に基づく判断によって、着信履歴が存在しない転送元の端末装置に対してまでも、着信履歴削除要求を発してしまうという無駄を無くすことができる。
【0012】
(3)前記着信履歴削除要求部は、前記転送元の端末装置における前記着信履歴の削除が完了したか否かを監視し、前記着信履歴の削除が完了していないことを認識したときには、前記転送元の端末装置に対し、前記着信履歴削除要求を繰り返し発することを特徴とする(1)または(2)の呼処理装置。
上記(3)の呼処理装置では、(1)または(2)の呼処理装置において特に、転送元の端末装置における、不要な着信履歴の削除を徹底することができる。
【0013】
(4)発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、呼処理装置によって、転送先の端末装置に転送する着信呼転送システムであって、
前記呼処理装置は、
前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信したか否かを監視する転送元応答状況監視部と、
前記転送元応答状況監視部が、前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信していないことを検知したときには、前記発信元の端末装置からの着信呼を前記転送先の端末装置に転送する着信呼転送処理部と、
前記着信呼転送処理部により転送された、前記発信元の端末装置からの着信呼に対する、前記転送先の端末装置の応答状況を監視する転送先応答状況監視部と、
前記転送先応答状況監視部が、前記着信呼転送処理部によって転送された前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送先の端末装置が接続可能の旨の応答をしたことを検知したときには、前記接続可能の旨の応答が検知された着信呼に係る着信履歴の削除を促す着信履歴削除要求を、前記転送元の端末装置に対して発する着信履歴削除要求部と、
を備えていることを特徴とする着信呼転送システム。
【0014】
上記(4)の着信呼転送システムでは、その呼処理装置において、転送された着信呼に対して、転送先の端末装置による応答が行われたことが検知されると、この転送された着信呼に係る着信履歴が削除される。このため、無用なコールバックの誘発を予防することができる。
【0015】
(5)発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、転送先の端末装置に転送する際に、前記転送元の端末装置に着信履歴が少なくとも一時的に保持される場合の、着信履歴取り扱い方法であって、
前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信したか否かを監視し、
前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信していないことを検知したときには、前記発信元の端末装置からの着信呼を前記転送先の端末装置に転送し、
前記着信呼転送処理部により転送された、前記発信元の端末装置からの着信呼に対する、前記転送先の端末装置の応答状況を監視し、
前記転送された前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送先の端末装置が接続可能の旨の応答をしたことを検知したときには、前記接続可能の旨の応答が検知された着信呼に係る着信履歴の削除を促す着信履歴削除要求を、前記転送元の端末装置に対して発することを特徴とする着信履歴取り扱い方法。
【0016】
上記(5)の着信履歴取り扱い方法では、転送された着信呼に対して、転送先の端末装置による応答が行われたことを検知したときには、この転送された着信呼に係る着信履歴を削除する。このため、無用なコールバックの誘発を予防することができる。
【発明の効果】
【0017】
着信呼転送サービスを利用する場合における転送元の端末装置に残る着信履歴に起因して、転送元の端末装置からの無用なコールバックを誘発させてしまうおそれを払拭した、呼処理装置、着信呼転送システム、および、着信履歴取り扱い方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明の一つの実施の形態としての呼処理装置を含む着信呼転送システムの構成および動作を表すシーケンスチャートである。
【図2】本願発明の他の実施の形態としての呼処理装置を含む着信呼転送システムの構成および動作を表すシーケンスチャートである。
【図3】本願発明の一つの実施の形態としての呼処理装置を表す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述することにより、本発明を明らかにする。
(着信呼転送システムの一例における構成および動作)
図1は、本願発明の一つの実施の形態としての呼処理装置を含む着信呼転送システムの構成および動作を表すシーケンスチャートである。
(一例における着信呼転送システムの構成)
図1の実施の形態における着信呼転送システムは、発信元ネットワーク11、転送元ネットワーク12、および、転送先ネットワーク13の各ネットワーク中の、下記の各要素を含んで構成されている。
【0020】
発信元ネットワーク11は、発信元の端末装置(図中UEと表記)110と、呼処理サーバ120とを含んでいる。
また、転送元ネットワーク12は、顧客管理サーバ130、本発明の実施の形態である呼処理装置としての呼処理サーバ140、音源サーバ150、および、転送元UE160を含んでいる。
さらに、転送先ネットワーク13は、顧客管理サーバ170、呼処理サーバ180、および、転送先UE190を含んでいる。
【0021】
(一例における着信呼転送システムの各要素の機能および動作)
次に、図1のシーケンスチャートを参照して、着信呼転送システムの各要素の機能および動作について説明する。
図1の例における着信呼転送システムでは、上述の転送元UE160および転送先UE190は、着信呼転送サービスに加入している同一のユーザが所有する端末装置である。
尚、上述において、転送元UE160および転送先UE190は、現実の使用時において、同一ユーザが用いることが必須とされるわけではない。即ち、転送元UE160のユーザであり、かつ、転送元UE160への着信呼の転送サービスに加入しているユーザに替えて、他の関連するユーザが転送先UE190の事実上のユーザであるという状況は許容される。
【0022】
今、他のユーザが発信元UE110から転送元UE160に電話をかけた場合を想定する。
上述の想定においては、先ず、発信元UE110から呼処理サーバ120に通話接続要求が送信される(ステップS101)。
ステップS101での通話接続要求を受けて、呼処理サーバ120は、顧客管理サーバ130に着信先情報の問い合わせを行う(ステップS102)。
ステップS102での問い合わせを受けて、顧客管理サーバ130は、呼処理サーバ120に着信先情報を返答する(ステップS103)。
ステップS103での着信先情報を受けて、呼処理サーバ120は、転送元ネットワーク12に設けられた本発明の実施の形態としての呼処理サーバ140に通話接続要求を送信する(ステップS104)。
【0023】
ステップS104での通話接続要求を受けて、呼処理サーバ140は、転送元UE160に通話接続要求を送信する(ステップS105)。
呼処理サーバ140は、また、ステップS104での通話接続要求を受けて、音源サーバ150にRBT(リングバックトーン)の送出指示を送る(ステップS106)。
ステップS106でのRBT送出指示を受けて、音源サーバ150は、発信元UE110にRBTを供給する(ステップS107)。
【0024】
ここで、先のステップS105での通話接続要求を受けた転送元UE160において、ユーザによる応答操作が無い状況にあるか、或いは、圏外にあって応答できない状況にあるものと想定する。このような状況にあるとき、転送元UE160は、自装置が無応答の状態にあることを認識している(ステップS108)。
【0025】
転送元UE160がステップS108におけるような無応答の状況にあるとき、呼処理サーバ140は、転送元UE160での無応答の継続時間を計時し、既定の時間を経過しても無応答の状態が継続している場合に、タイムアウトの状態に到ったことを検知する(ステップS109)。上述のようにタイムアウトの状態に到ったということは、転送元UE160への着信呼(ステップS105における通話接続要求)を既定の転送先に転送する契機が到来したことを意味する。
【0026】
一方、転送元UE160は、ステップS108において自装置が無応答の状況にあることを認識した後、無応答の継続時間を基準に判断する等の自己判断に基づいて、着信呼の転送が起こることを認識し、着信履歴を形成して保持する(ステップS110)。
呼処理サーバ140は、ステップS109でのタイムアウトの検知に次いで、転送元UE160が着信呼転送サービスの正規の加入者であるか否かを判定する(ステップS111)。ここでは、転送元UE160は正規の加入者であり、呼処理サーバ140はその旨を認識するものとする。
【0027】
ステップS111で、転送元UE160が正規の加入者であると認識した呼処理サーバ140は、次いで、転送先情報要求を顧客管理サーバ130に送信する(ステップS112)。
ステップS112での転送先情報要求を受けて、顧客管理サーバ130は、着信呼転送サービスの加入契約情報から、転送元UE160に係る転送先情報を検索し、この転送先情報を導出する(ステップS113)。
【0028】
ステップS113で転送元UE160に係る転送先情報を導出すると、顧客管理サーバ130は、その転送先情報を呼処理サーバ140に転送先情報応答として送信する(ステップS114)。
ステップS114での転送先情報を受けて、呼処理サーバ140は、転送先ネットワーク13の顧客管理サーバ170に、着信先情報を問い合せる(ステップS115)。
【0029】
ステップS115での着信先情報を問い合せを受けて、顧客管理サーバ170は、呼処理サーバ140に着信先情報を返答する(ステップS116)。
ステップS116での着信先情報の返答を受けて、呼処理サーバ140は、通話接続要求を、転送先ネットワーク13の呼処理サーバ180に送信する(ステップS117)。
ステップS117における通話接続要求は、即ち、転送先への通話接続要求である。そして、ステップS117での通話接続要求は、呼処理サーバ180を介して、転送先のUE190へと送信される(ステップS118)。
【0030】
ステップS118での通話接続要求を受けて、転送先のUE190は、ユーザによる応答操作を待機する(ステップS119)。そして、ユーザによる応答操作があった際に、転送先のUE190は、通話接続応答を、呼処理サーバ180を経て(ステップS120)、転送元ネットワーク12の呼処理サーバ140に送信する(ステップS121)。このステップS120およびステップS121での通話接続応答は、即ち、転送先から発信元UE110への通話接続の要求に対する応答である。
【0031】
ステップS121での通話接続応答を受けて、呼処理サーバ140は、既述のようにステップS110以降、転送元UE160に保持されている着信履歴を削除すべきと判断する(ステップS122)。
呼処理サーバ140は、また、ステップS121での通話接続応答を受けて、通信元ネットワーク11の呼処理サーバ120を介して(ステップS123)、発信元UE110へと通話接続応答を送信する(ステップS124)。
【0032】
一方、転送元ネットワーク12の呼処理サーバ140は、ステップS122での、着信履歴を削除すべき旨の判断に基づいて、転送元UE160に対し、保持されている着信履歴を削除することを促す着信履歴削除要求を送信する(ステップS125)。
ステップS125での着信履歴削除要求を受けて、転送元UE160は、それまで保持していた着信履歴を削除する(ステップS126)。
【0033】
ステップS126での着信履歴の削除処理が完了すると、転送元UE160は、呼処理サーバ140に対し、削除処理完了応答を返す(ステップS127)。
呼処理サーバ140では、転送元UE160における着信履歴の削除処理が完了したか否かを既定の期間継続的に監視し(ステップS128)、削除処理が未完了であると判断したときには、再度、着信履歴削除要求を転送元UE160に送信する(ステップS129)。
【0034】
一方、削除処理完了応答に替えて、着信履歴が元々存在しない旨の応答を受けた場合には、再度、着信履歴削除要求を転送元UE160に送信することなく、処理を終了する。
尚、上述においては、図を参照しての説明の便宜上、ステップS122の着信履歴削除判断以降、発信元UE110への通話接続応答(ステップS123〜ステップS124)と、ステップS125の着信履歴削除要求とがタイムシーケンシャルに実行されるが如くに説明した。しかしながら、実際には、上記通話接続応答(ステップS123〜ステップS124)と着信履歴削除要求(ステップS125)とは、それらが並行に実行される。
ステップS129以降は、この種の通話システムにおける一般的な通信手順の如く動作する。
【0035】
(着信呼転送システムの他の例における構成および動作)
図2は、本願発明の他の実施の形態としての呼処理装置を含む着信呼転送システムの構成および動作を表すシーケンスチャートである。
(他の例における着信呼転送システムの構成)
図2の実施の形態における着信呼転送システムは、発信元ネットワーク21、転送元ネットワーク22、および、転送先ネットワーク23の各ネットワーク中の、下記の各要素を含んで構成されている。
発信元ネットワーク21は、発信元の端末装置(図中UEと表記)210と、呼処理サーバ220とを含んでいる。
また、転送元ネットワーク22は、顧客管理サーバ230、本発明の実施の形態である呼処理装置としての呼処理サーバ240、音源サーバ250、および、転送元UE260を含んでいる。
さらに、転送先ネットワーク23は、顧客管理サーバ270、呼処理サーバ280、および、転送先UE290を含んでいる。
【0036】
(他の例における着信呼転送システムの各要素の機能および動作)
次に、図2のシーケンスチャートを参照して、着信呼転送システムの各要素の機能および動作について説明する。
図2の例における着信呼転送システムでは、上述の転送元UE260および転送先UE290は、着信呼転送サービスに加入している同一のユーザが所有する端末装置である。
尚、上述において、転送元UE260および転送先UE290は、現実の使用時において、同ユーザが用いることが必須とされるわけではない。即ち、転送元UE260のユーザであり、かつ、転送元UE260への着信呼の転送サービスに加入しているユーザに替えて、他の関連するユーザが転送先UE290の事実上のユーザであるという状況は許容される。
【0037】
今、他のユーザが発信元UE210から転送元UE260に電話をかけた場合を想定する。
上述の想定においては、先ず、発信元UE210から呼処理サーバ220に通話接続要求が送信される(ステップS201)。
ステップS201での通話接続要求を受けて、呼処理サーバ220は、顧客管理サーバ230に着信先情報の問い合わせを行う(ステップS202)。
ステップS202での問い合わせを受けて、顧客管理サーバ230は、呼処理サーバ220に着信先情報を返答する(ステップS203)。
ステップS203での着信先情報を受けて、呼処理サーバ220は、転送元ネットワーク22に設けられた本発明の実施の形態としての呼処理サーバ240に通話接続要求を送信する(ステップS204)。
【0038】
ステップS204での通話接続要求を受けて、呼処理サーバ240は、転送元UE260に通話接続要求を送信する(ステップS205)。
呼処理サーバ240は、また、ステップS204での通話接続要求を受けて、音源サーバ250にRBT(リングバックトーン)の送出指示を送る(ステップS206)。
ステップS206でのRBT送出指示を受けて、音源サーバ250は、発信元UE210にRBTを供給する(ステップS207)。
【0039】
ここで、先のステップS205での通話接続要求を受けた転送元UE260において、ユーザによる応答操作が無い状況にあるか、或いは、圏外にあって応答できない状況にあるものと想定する。このような状況にあるとき、転送元UE260は、自装置が無応答の状況にあることを認識する(ステップS208)。
転送元UE260がステップS208におけるような状況にあるとき、呼処理サーバ240は、転送元UE260での無応答の時間を計時し、既定の時間を経過しても無応答の状態が継続している場合に、タイムアウトの状態に到ったことを検知する(ステップS209)。上述のようにタイムアウトの状態に到ったということは、転送元UE260への着信呼(ステップS205における通話接続要求)を既定の転送先に転送する契機が到来したことを意味する。
【0040】
一方、転送元UE260は、ステップS208において自装置が無応答の状況にあることを認識した後、無応答の継続時間を基準に判断する等の自己判断に基づいて、着信呼の転送が起こることを認識し、着信履歴を形成して保持する(ステップS210)。
尚、転送元UE260において、電源をオフにしていることに起因して、結果的に無応答の状況にある場合には、転送元ネットワーク22側において、転送元UE260の電源がオフ状態にあることを認識している。本実施の形態においては、このようにユーザが転送元UE260の電源をオフにしている場合には、転送元ネットワーク22側における、電源オフの旨の認識を反映して、着信履歴を形成しないようにしている。
【0041】
呼処理サーバ240は、ステップS209でのタイムアウトの検知に次いで、転送元UE260が着信呼転送サービスの正規の加入者であるか否かを判定する(ステップS211)。ここでは、転送元UE260は正規の加入者であり、呼処理サーバ240はその旨を認識するものとする。
ステップS211で、転送元UE260が正規の加入者であると認識した呼処理サーバ240は、次いで、転送先情報要求を顧客管理サーバ230に送信する(ステップS212)。
【0042】
ステップS212での転送先情報要求を受けて、顧客管理サーバ230は、着信呼転送サービスの加入契約情報から、転送元UE260に係る転送先情報を検索し、この転送先情報を導出する(ステップS213)。
ステップS213で転送元UE260に係る転送先情報を導出すると、顧客管理サーバ230は、その転送先情報を呼処理サーバ240に転送先情報応答として送信する(ステップS214)。
【0043】
呼処理サーバ240が、ステップS214での転送先情報応答を受けた時点では、既に、転送元のUE260が既定時間内に応答を発信せずタイムアウトに到ったことが検知され(上記ステップS209での検知)、かつ、転送元のUE260が既定の着信呼転送サービスの正規の加入者であると判定されている(上記ステップS211での判定)。
呼処理サーバ240では、上述のようにタイムアウトに到ったことが検知され、かつ、転送元のUE260が既定の着信呼転送サービスの正規の加入者であると判定したときには、着信呼の転送を行うことを表す既定の転送フラグをオンにして管理する(ステップS215)。
【0044】
この転送フラグは、呼処理サーバ240における記憶部に保持されて、その状態が管理される。
ステップS215に次いで、呼処理サーバ240は、転送先ネットワーク23の顧客管理サーバ270に、着信先情報を問い合せる(ステップS216)。
ステップS216での着信先情報を問い合せを受けて、顧客管理サーバ270は、呼処理サーバ240に着信先情報を返答する(ステップS217)。
【0045】
ステップS217での着信先情報の返答を受けて、呼処理サーバ240は、通話接続要求を、転送先ネットワーク23の呼処理サーバ280に送信する(ステップS218)。
ステップS218における通話接続要求は、即ち、転送先への通話接続要求である。そして、ステップS218での通話接続要求は、呼処理サーバ280を介して、転送先のUE290へと送信される(ステップS219)。
【0046】
ステップS219での通話接続要求を受けて、転送先のUE290は、ユーザによる応答操作を待機する(ステップS220)。そして、ユーザによる応答操作があった際に、転送先のUE290は、通話接続応答を、呼処理サーバ280に送る(ステップS221)。
ステップS221での通話接続応答を受けて、呼処理サーバ280は、転送元ネットワーク22の呼処理サーバ240に、通話接続応答を送信する(ステップS222)。このステップS221およびステップS222での通話接続応答は、即ち、転送先から発信元UE210への通話接続の要求に対する応答である。
【0047】
このうちステップS222での通話接続応答の内容は、転送先のUE290からの通話接続が可能の旨の応答である場合もあるが、他方、転送先のUE290からの応答が無いままタイムアウトに到った場合などのように通話接続が不可能の旨の応答となる場合もある。
ステップS222での通話接続応答を受けて、呼処理サーバ240は、その通話接続応答があったことを認識する(ステップS223)。
【0048】
ステップS223で通話接続応答があったことを認識した呼処理サーバ240は、次いで、その通話接続応答の内容が接続可能の旨の応答であるか否かを判断する(ステップS224)。
ステップS224で、通話接続応答の内容が接続不可能の旨の応答であると判断されたときには(ステップS224:No)、ステップS215でオンにして管理していた転送フラグをオフにし(即ち、消去し)、発信元ネットワーク21の呼処理サーバ220に、接続不可能の旨通知する(ステップS225)。
【0049】
ステップS225での接続不可能の旨の通知を受けて、呼処理サーバ220は、発信元のUE210に接続不可能の旨の通知を行う(ステップS226)。
一方、ステップS224で、通話接続応答の内容が接続可能の旨の応答であると判断されたときには(ステップS224:Yes)、呼処理サーバ240は、発信元ネットワーク21に設置された呼処理サーバ220を介して(ステップS227)、発信元のUE210に接続可能の旨の応答を行う(ステップS228)。
【0050】
その後、呼処理サーバ240は、ステップS215でオンにして管理していた転送フラグが未だオン状態であるか否かを確認する(ステップS229)。この確認は、通話接続応答の内容が接続不可能の旨の応答であると判断された場合(ステップS224:No)の処理におけるように、転送フラグが既にオフにされている可能性があるため、転送フラグの現在時点の状態を再確認する趣旨である。
【0051】
ステップS229での確認の結果、転送フラグが未だオン状態を維持していることが確認されたときには(ステップS229:Yes)、転送元のUE260に対し、着信履歴の削除要求を送信する(ステップS230)。
ステップS230での着信履歴の削除要求を受けて、転送元のUE260では、着信履歴削除処理を実行する(ステップS231)。
【0052】
ステップS231の着信履歴削除処理を実行すると、転送元のUE260は、呼処理サーバ240に着信履歴削除完了の応答を返す(ステップS232)。
ステップS232での着信履歴削除完了の応答を受けて、呼処理サーバ240では、転送フラグを削除する。
尚、図1を参照して既述の例と同様に、呼処理サーバ240において、転送元UE260における着信履歴の削除処理が完了したか否かを既定の期間継続的に監視し、削除処理が未完了であると判断したときには、再度、着信履歴削除要求を転送元UE260に送信するように構成してもよい。
【0053】
(呼処理装置の構成)
図3は、本願発明の一つの実施の形態としての呼処理装置を表す機能ブロック図である。
図3の呼処理装置300は、図1における呼処理サーバ140、図2における呼処理サーバ240が、それぞれこれに該当する。
呼処理装置300は、転送元応答状況監視部310、着信呼転送処理部320、転送先応答状況監視部330、および、着信履歴削除要求部340を含んで構成されている。
転送元応答状況監視部310は、発信元の端末装置(図1の発信元のUE110;図2の発信元のUE210)からの着信呼に対して、転送元のUE(図1の転送元のUE160;図2の転送元のUE260)が既定時間内に応答を発信したか否かを監視する。
【0054】
図1のシーケンスチャートではステップS109のタイムアウトの監視処理が上記監視に該当する。また、図2のシーケンスチャートではステップS209のタイムアウトの監視処理が上記監視に該当する。
着信呼転送処理部320は、転送元応答状況監視部310が、発信元の端末装置(図1の発信元のUE110;図2の発信元のUE210)からの着信呼に対して、転送元の端末装置(図1の転送元のUE160;図2の転送元のUE260)が既定時間内に応答を発信していないことを検知したときには、発信元のUE(110;210)からの着信呼を転送先のUE(160;260)に転送する。
【0055】
この着信呼の転送処理は、図1のシーケンスチャートでは、ステップS112の転送情報要求から、ステップS121の通話接続応答(その応答の受信)までの間に行われる処理がこれに該当する。また、図2のシーケンスチャートでは、ステップS212の転送情報要求から、ステップS222の通話接続応答(その応答の受信)までの間に行われる処理がこれに該当する。
【0056】
転送先応答状況監視部330は、着信呼転送処理部320により転送された、発信元のUE(110;210)からの着信呼に対する、転送先の端末装置(図1の転送先のUE190;図2の転送先のUE290)の応答状況を監視する。
この応答状況の監視は、図1のシーケンスチャートでは、ステップ121の通話接続応答の受信の有無の監視がこれに該当する。また、図2のシーケンスチャートでは、ステップS223の通話接続応答の認識に係る処理がこれに該当する。
【0057】
着信履歴削除要求部340は、転送先応答状況監視部330が、着信呼転送処理部320によって転送された発信元のUE(110;210)からの着信呼に対して、転送先のUE(190;290)が接続可能の旨の応答をしたことを検知したときには、該接続可能の旨の応答が検知された着信呼に係る着信履歴の削除を促す着信履歴削除要求を、転送元のUE(160;260)に対して発する。
この着信履歴削除要求の発信処理は、図1のシーケンスチャートでは、ステップ125の着信履歴削除要求がこれに該当する。また、図2のシーケンスチャートでは、ステップS230の着信履歴削除要求がこれに該当する。
【0058】
図2のシーケンスチャートにおける呼処理サーバ(呼処理装置)240では、その転送元応答状況監視部310において、転送元のUE260が既定時間内に応答を発信していないことを検知し、かつ、転送元のUE260が既定の着信呼転送サービスに加入していると判定したときには、着信呼の転送を行うことを表す既定の転送フラグをオンにして管理する。更に、着信呼転送処理部320によって転送された発信元のUE210からの着信呼に対して、転送先のUE290からの応答が接続不可の応答であるときには、転送元応答状況監視部310は、上述のようにオンにして管理していた転送フラグをオフにして管理する。
【0059】
また、呼処理サーバ(呼処理装置)240では、その着信履歴削除要求部340は、上述の転送フラグがオフであるときには、着信履歴削除要求を、転送元の端末装置260に対して発しない。
一方、図1のシーケンスチャートにおける呼処理サーバ(呼処理装置)140では、その着信履歴削除要求部340において、転送元のUE160における着信履歴の削除が完了したか否かを監視し(ステップS128)、着信履歴の削除が完了していないことを認識したときには、転送元の端末装置160に対し、着信履歴削除要求を繰り返し発する(ステップS129)。この点は、図2のシーケンスチャートにおける呼処理サーバ(呼処理装置)240についても、同様に構成することができることは既述のとおりである。
【0060】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0061】
11…………………………………………………………発信元ネットワーク
12…………………………………………………………転送元ネットワーク
13…………………………………………………………転送先ネットワーク
110、210……………………………………………発信元端末装置
120、220……………………………………………呼処理サーバ
130、230……………………………………………顧客管理サーバ
140、240……………………………………………呼処理サーバ
150、250……………………………………………音源サーバ
160、260……………………………………………転送元サーバ
170、270……………………………………………顧客管理サーバ
180、280……………………………………………呼処理サーバ
190、290……………………………………………転送先サーバ
300………………………………………………………呼処理装置
310………………………………………………………着信元応答状況監視部
320………………………………………………………着信呼転送処理部
330………………………………………………………転送先応答状況監視部
340………………………………………………………着信履歴削除要求部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、転送先の端末装置に転送する、着信呼転送システムに適用される呼処理装置であって、
前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信したか否かを監視する転送元応答状況監視部と、
前記転送元応答状況監視部が、前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信していないことを検知したときには、前記発信元の端末装置からの着信呼を前記転送先の端末装置に転送する着信呼転送処理部と、
前記着信呼転送処理部により転送された、前記発信元の端末装置からの着信呼に対する、前記転送先の端末装置の応答状況を監視する転送先応答状況監視部と、
前記転送先応答状況監視部が、前記着信呼転送処理部によって転送された前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送先の端末装置が接続可能の旨の応答をしたことを検知したときには、前記接続可能の旨の応答が検知された着信呼に係る着信履歴の削除を促す着信履歴削除要求を、前記転送元の端末装置に対して発する着信履歴削除要求部と、
を備えていることを特徴とする呼処理装置。
【請求項2】
前記転送元応答状況監視部は、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信していないことを検知し、かつ、前記転送元の端末装置が既定の着信呼転送サービスに加入していると判定したときには、着信呼の転送を行うことを表す既定の転送フラグをオンにして管理し、更に、前記着信呼転送処理部によって転送された前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送先の端末装置からの応答が接続不可の応答であるときには、前記オンにして管理していた前記転送フラグをオフにして管理し、
前記着信履歴削除要求部は、前記転送フラグがオフであるときには前記着信履歴削除要求を、前記転送元の端末装置に対して発しないことを特徴とする請求項1に記載の呼処理装置。
【請求項3】
前記着信履歴削除要求部は、前記転送元の端末装置における前記着信履歴の削除が完了したか否かを監視し、前記着信履歴の削除が完了していないことを認識したときには、前記転送元の端末装置に対し、前記着信履歴削除要求を繰り返し発することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の呼処理装置。
【請求項4】
発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、呼処理装置によって、転送先の端末装置に転送する着信呼転送システムであって、
前記呼処理装置は、
前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信したか否かを監視する転送元応答状況監視部と、
前記転送元応答状況監視部が、前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信していないことを検知したときには、前記発信元の端末装置からの着信呼を前記転送先の端末装置に転送する着信呼転送処理部と、
前記着信呼転送処理部により転送された、前記発信元の端末装置からの着信呼に対する、前記転送先の端末装置の応答状況を監視する転送先応答状況監視部と、
前記転送先応答状況監視部が、前記着信呼転送処理部によって転送された前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送先の端末装置が接続可能の旨の応答をしたことを検知したときには、前記接続可能の旨の応答が検知された着信呼に係る着信履歴の削除を促す着信履歴削除要求を、前記転送元の端末装置に対して発する着信履歴削除要求部と、
を備えていることを特徴とする着信呼転送システム。
【請求項5】
発信元の端末装置から転送元の端末装置への着信呼を、転送先の端末装置に転送する際に、前記転送元の端末装置に着信履歴が少なくとも一時的に保持される場合の、着信履歴取り扱い方法であって、
前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信したか否かを監視し、
前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送元の端末装置が既定時間内に応答を発信していないことを検知したときには、前記発信元の端末装置からの着信呼を前記転送先の端末装置に転送し、
前記着信呼転送処理部により転送された、前記発信元の端末装置からの着信呼に対する、前記転送先の端末装置の応答状況を監視し、
前記転送された前記発信元の端末装置からの着信呼に対して、前記転送先の端末装置が接続可能の旨の応答をしたことを検知したときには、前記接続可能の旨の応答が検知された着信呼に係る着信履歴の削除を促す着信履歴削除要求を、前記転送元の端末装置に対して発することを特徴とする着信履歴取り扱い方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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