説明

呼出音管理装置

【課題】発信側端末から着信側端末への発信時に、発信者が着信者との位置関係を知ることが可能な呼出音管理装置を提供する。
【解決手段】発信側端末10aから着信側端末10bへの発信時に、呼出音管理装置50は、発信者IDと着信者IDとに対応付けて予め設定された呼出音パターンを取得し、当該呼出音パターンに距離が含まれる場合、発信側端末10aと着信側端末10bとの距離を演算し、当該距離に基づいて発信側端末10aに配信すべき音源データを決定し、当該決定された音源データを発信側端末10aへ配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信側端末から着信側端末への発信時に、発信側端末から出力する呼出音を管理する呼出音管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回線交換方式を利用した通信では、発信側端末から着信側端末への発信時に、着信側端末に呼出要求を送信中であることを発信側端末に知らせるために、交換機から発信側端末に対して固定の呼出音が配信されていた。
この呼出音に関して、着信者が発信側端末に対して任意の音源データを配信できるようにする技術として、例えば特許文献1から特許文献3に記載された技術が存在する。特許文献1には、着信者が予め呼出音となる音源データを設定し、当該音源データを発信側端末に配信する技術が記載されている。特許文献2には、着信者の置かれている状態(以下「プレゼンス情報」という)に応じた呼出音を発信側端末に送信する技術が記載されている。また、特許文献3には、着信側端末の存在する場所を通知するためのメッセージを発信側端末に送信する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2003−274016号公報
【特許文献2】特開2005−277450号公報
【特許文献3】特開2005−278078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来、発信側端末から出力される呼出音に関して様々な工夫がなされているが、発信者は着信側端末が存在する場所を通知されても、その場所を知らない場合には役立たないという問題がある。また、待ち合わせをしている時や緊急の用がある時などは、発信者は着信者のプレゼンス情報よりも着信者がどの程度近くにいるのか知りたい場合がある。
しかしながら、従来においては、発信者は通話前に着信者のプレゼンス情報や着信者が居る場所を確認することはできたが、着信者との位置関係を確認することはできなかった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、発信側端末から着信側端末への発信時に、発信者が着信者との位置関係を知ることが可能な呼出音管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、発信側端末から着信側端末への発信時に前記発信側端末から呼出音として出力すべき音源データを前記発信側端末に配信する呼出音管理装置であって、前記発信側端末と前記着信側端末との距離を演算する距離演算手段と、前記距離演算手段により演算された距離に基づいて、前記発信側端末から出力すべき音源データを決定する音源決定手段とを備えたことを特徴とする呼出音管理装置を提供する。
本発明によれば、呼出音管理装置は、発信側端末と着信側端末との距離に基づいて発信側端末から出力すべき音源データを決定し、該決定された音源データを発信側端末へ配信するため、発信側端末から着信側端末への発信時に発信者は着信者との位置関係を知ることが可能となる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の呼出音管理装置において、前記音源決定手段は、前記距離演算手段により演算された距離を通知するための音源データを、前記発信側端末から出力すべき音源データとして決定することを特徴とする。
本発明によれば、音源決定手段は、発信側端末から着信側端末への発信時に、発信者は着信者が自分からどのくらい離れた位置に居るのかを具体的に知ることが可能となる。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の呼出音管理装置において、前記発信側端末と前記着信側端末との距離が近いか否かの判断基準となる近距離判断用閾値を記憶する近距離判断用閾値記憶手段をさらに備え、前記音源決定手段は、前記距離演算手段により演算された距離が前記近距離判断用閾値記憶手段に記憶された近距離判断用閾値以下である場合に、前記着信側端末が近距離に存在することを通知するための音源データを、前記発信側端末から出力すべき音源データとして決定することを特徴とする。
本発明によれば、呼出音管理装置は、発信側端末と着信側端末との距離が近距離判断用閾値以下の場合に、着信側端末が近距離に存在することを通知するための音源データを、発信側端末から出力すべき音源データとして決定するため、発信者は着信者が近い距離に居る場合にのみ、その旨を知ることが可能となる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか1項に記載の呼出音管理装置において、前記発信側端末から前記着信側端末への発信時に前記発信側端末から出力すべき音源データの組合せを表す呼出音パターンを記憶する呼出音パターン記憶手段をさらに備え、前記呼出音パターンは、前記着信側端末と前記発信側端末との距離に基づいて決定すべき音源データを少なくとも含み、さらに、前記着信側端末の位置に関連する音源データと、前記着信側端末を利用する着信者が置かれている状態を表すプレゼンス情報に関連する音源データと、の少なくとも一方を含むことが可能であり、前記音源決定手段は、前記呼出音パターン記憶手段に記憶されている呼出音パターンに基づいて、前記発信側端末に配信すべき音源データを決定することを特徴とする。
本発明によれば、発信者は、発信側端末から着信側端末への発信時に、着信者との位置関係に加えて、着信者のプレゼンス情報や居場所を知ることが可能となる。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の呼出音管理装置において、前記近距離判断用閾値記憶手段と、前記呼出音パターン記憶手段と、の少なくとも一方に記憶されている情報の少なくとも一部を、前記着信側端末からの設定入力に基づいて変更する設定変更手段をさらに備えたことを特徴とする。
本発明によれば、着信者は発信者端末から出力される呼出音のパターンを自由に設定変更することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、呼出音管理装置は、発信側端末と着信側端末との距離に基づいて発信側端末から出力すべき音源データを決定し、該決定された音源データを発信側端末へ配信するため、発信側端末から着信側端末への発信時に、発信者は着信者との位置関係を知ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る移動通信ネットワークの全体構成を示す図である。図1に示す移動体通信ネットワークは、複数の移動通信端末10a、b、・・・、n、複数の基地局装置20a、・・・、n、複数の交換機30a、・・・、n、加入者情報管理装置40、呼出音管理装置50、及び、呼出音設定変更装置60を含んで構成されている。移動通信端末10a、b、・・・、n同士は、基地局装置20a、・・・、n、交換機30a、・・・、nを介して通信が可能である。
【0011】
それぞれの基地局装置20x(x=a、b、・・・、n)には、データの中継を行うための交換機30xが接続されている。また、それぞれの交換機30xには、様々な呼出音を管理する呼出音管理装置50が接続されている。さらに、それぞれの交換機30xは、加入者情報管理装置40とも接続されている。
加入者情報管理装置40は、移動体通信サービスに加入している契約者が利用する各移動通信端末10xが在圏している交換機30x及び基地局装置20xの情報を管理する。また、加入者情報管理装置40は、移動通信端末10x毎に、移動通信端末10xの利用者が設定可能なプレゼンス情報(例えば、運転中、ミーティング中、移動中、通信可能等)を移動通信端末10xから受信してデータベースに保存することにより、契約者の状態を管理する機能も具備している。
【0012】
呼出音管理装置50は、契約者毎の呼出音に関する設定情報を記憶するデータベースを具備している。そのデータベースに記憶される設定情報を契約者が自由にカスタマイズ可能とするため、呼出音管理装置50には、移動通信端末10xからの設定変更要求を受付ける呼出音設定変更装置60が接続されている。
なお、以下では、発信側の移動通信端末10xを「発信側端末10a」、着信側の移動通信端末10xを「着信側端末10b」という。
【0013】
(呼出音管理装置の構成)
次に、呼出音管理装置50の機能構成について説明する。図2は、呼出音管理装置50の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、呼出音管理装置50は、音源データベース509、加入者情報データベース508、基地局位置情報データベース507、呼出音パターン情報データベース506、通信制御部501、設定変更処理部502、ユーザ間距離演算部503、ユーザ状態判定部504、音源検索処理部505、音源決定部510等で構成される。
音源データベース509、加入者情報データベース508、基地局位置情報データベース507、及び、呼出音パターン情報データベース506は、呼出音管理装置50が備える記憶装置に設けられたデータベースである。
【0014】
図3には、音源データベース509のデータ構成の一例を示す。同図に示すように、音源データベース509には、音源データを識別するための「音源ID」と、音源データが記憶されている場所を示す「ディレクトリ/ファイル名」と、音源データの「内容」と、が対応付けられて記憶されている。音源データの種類としては、プレゼンス情報に関連する音源データ、発信側端末10aと着信側端末10bとの距離に関連する音源データ、着信側端末10bの位置に関連する音源データ等が存在する。距離に関連する音源データとしては、距離を通知するための音源データ(例えば、「接続先の端末は半径1km以内にいます」)、発信側端末10aが近距離に存在することを通知するための音源データ(例えば、「接続先の端末は近くにいます」)等が存在する。
【0015】
図4には、加入者情報データベース508のデータ構成の一例を示す。同図に示すように、加入者情報データベース508には、移動体通信サービスに加入している契約者を識別するための「契約者ID」と、発信側端末10aを利用している発信者を識別するための「発信者ID」と、契約者が置かれている状態を表す「プレゼンス情報」と、契約者が「プレゼンス情報」で示される状態に置かれている時に発信側端末10aから契約者が利用する着信側端末10bに着信があった場合に、発信側端末10aから呼出音として出力すべき音源データを特定するための「音源ID」と、が対応付けられて記憶されている。
【0016】
このように、加入者情報データベース508は、発信者毎に契約者(すなわち着信者、以下の説明では契約者が着信者となる場合を説明するため、「契約者」を適宜「着信者」ともいう)のプレゼンス情報に応じた音源データを設定可能な構成を有している。この構成により、着信者のプレゼンス情報に応じて発信側端末10aから出力すべき音源データを決定し、発信側端末10aを利用している発信者に着信者の状態を知らせる事を可能とする。
【0017】
さらに、加入者情報データベース508には、発信者ID毎に「近距離用判断閾値」が設けられており(「近距離用判断閾値記憶手段」に対応)、発信者毎に「近距離用判断閾値」を設定可能な構成を有している。
当該「近距離用判断閾値」は、発信側端末10aと着信側端末10bとの距離が近いか否かの判断基準として用いられる。発信側端末10aと着信側端末10bとの距離が当該近距離用判断閾値以下である場合に、着信側端末10bが近距離に居ることを通知するための音源データが発信側端末10aに配信される。この音源データが発信側端末10aから出力されることにより、着信者が近くにいることを音声でわかりやすく発信者に通知することができる。
【0018】
図5には、近距離用判断閾値を用いて決定される音源データの一例を示す。発信側端末10aが利用する基地局装置20aが存在する場所をL(A)、着信側端末10bが利用する基地局装置20bが存在する場所をL(B)とすると、発信側端末10aと着信側端末10bとの距離Dは、D=|L(A)−L(B)|で表される。近距離用判断閾値Xが5kmに設定されているとすると、発信側端末10aから着信側端末10bへの発信時に、距離Dの値が5km以内の場合に限り、音源データとしてガイダンス「接続先の端末は近くにいます」が決定され、当該ガイダンスが発信側端末10aに配信されて発信側端末10aから出力される(図5(a)参照)。一方、距離Dの値が5kmを超える場合は、音源データとして通常ガイダンスが決定され、当該通常ガイダンスが発信側端末10aに配信されて発信側端末10aから出力される(図5(b)参照)。これにより、発信者は、着信者が近い距離に居る場合にのみ、その旨を知ることができる。
【0019】
図6には、近距離用判断閾値を用いないで決定される距離に関連する音源データの一例を示す。例えば、着信者が近距離用判断閾値の設定入力を行っていないため、加入者情報データベース508の契約者ID(すなわち「着信者ID」、以下、適宜「着信者ID」ともいう)及び発信者IDに対応する「近距離用判断閾値」に値が設定されていない場合には、音源データとして発信側端末10aと着信側端末10bとの距離Dを通知するガイダンス「接続先の端末は半径Dkm以内にいます」が決定され、当該ガイダンスが発信側端末10aに配信されて発信側端末10aから出力される。これにより、発信者は、着信者が自分からどのくらい離れた位置に居るのかを具体的に知ることができる。
【0020】
なお、距離に関連する音源データ決定に関連する項目として、図5に示す「近距離用判断閾値」を用いて音源データを決定する方法と、図6に示す「近距離用判断閾値」を用いないで音源データを決定する方法と、の何れの方法をとるかを選択するための項目を加入者情報データベース508に設けてもよく、着信者が当該項目を設定入力できるようにしてもよい。
図7には、基地局位置情報データベース507のデータ構成の一例を示す。同図に示すように、基地局位置情報データベース507は、基地局装置20n毎の位置情報を管理している。この位置情報は、着信側端末10bが存在する場所を判定したり、発信側端末10aと着信側端末10bとの距離を算出するために用いられる。
【0021】
図8には、呼出音パターン情報データベース506のデータ構成の一例を示す。同図に示すように、呼出音パターン情報データベース506は、契約者IDと発信者IDとの組合せ毎に、発信側端末10aに配信する呼出音パターンを設定することが可能な構成を有している。呼出音パターンには、プレゼンス情報に関連する音源データと、発信側端末10aと着信側端末10bとの距離に関連する音源データと、着信側端末10bの位置に関連する音源データと、の1又は複数の組合せが含まれる。当該呼出音パターンは契約者の設定入力により設定可能であり、当該呼出音パターンにより、発信者が発信側端末10aから契約者が利用する着信側端末10bに発信した時に、契約者、すなわち着信者のプレゼンス情報に応じた音源データを発信側端末10aに配信するのか、或いは発信者と着信者との距離に関連する音源データを配信するのか、それとも、複数の音源データの組合せ(例えば、発信者と着信者との距離と、着信者のプレゼンス情報との組合せ)を配信するのかを指定することが可能となる。
【0022】
なお、当該呼出音パターン情報データベース506を用いて、発信側端末10aから出力される複数の音源データの出力順を設定できるようにしてもよい。
図2に戻り、設定変更処理部502、ユーザ間距離演算部503、ユーザ状態判定部504、音源検索処理部505、及び、音源決定部510は、呼出音管理装置50が備えるCPU(Central Processing Unit)が記憶装置に記憶されているプログラムを実行することにより実現される機能である。
【0023】
設定変更処理部502は、着信者の設定入力により着信側端末10bから送信された設定変更要求を呼出音設定変更装置60経由で受信し、当該設定変更要求の内容に応じて、加入者情報データベース508、呼出音パターン情報データベース506、或いは、音源データベース509に記憶されている情報の設定変更を行う。
加入者情報データベース508に記憶されている情報のうち設定変更が可能な情報には、発信者ID、プレゼンス情報、音源ID、近距離判断用閾値が存在する。呼出音パターン情報データベース506に記憶されている情報のうち設定可能な情報には、発信者ID、呼出音パターンが存在する。音源データベース509に記憶されている情報のうち設定変更が可能な情報には、音源ID、ディレクトリ/ファイル名が存在する。
【0024】
ユーザ間距離演算部503は、発信側端末10a及び着信側端末10b各々が在圏する基地局装置20a,20b各々の位置を、発信側端末10a及び着信側端末10b各々の位置情報として基地局位置情報データベース507から取得し、これらの位置情報に基づき発信側端末10aと着信側端末10bとの距離を演算する。
なお、発信側端末10a及び着信側端末10b各々の位置情報の取得方法は上記に限定されることはなく、例えば、発信側端末10a及び着信側端末10bにGPS(Global Positioning System)受信機を搭載することによって位置情報を取得してもよい。
【0025】
ユーザ状態判定部504は、発信側端末10aから着信側端末10bに発信があった時に、加入者情報管理装置40から着信者のプレゼンス情報を取得することにより、着信者の置かれている状態を判定する。
音源検索処理部505は、発信側端末10aから呼出音として出力すべき音源データを、音源データベース509から検索して取得する。
音源決定部510は、発信側端末10aから着信側端末10bに発信があった時に、発信側端末10aから呼出音として出力すべき音源データを決定する。
本実施形態では、音源決定部510は、発信側端末10aの発信者IDと着信側端末10bの着信者IDとに対応付けられて呼出音パターン情報データベース506に記憶されている呼出音パターンを、発信側端末10aから出力すべき音源データとして決定する。
【0026】
また、音源決定部510は、上記呼出音パターンに距離が含まれており、かつ、加入者情報データベース508の「近距離判断用閾値」に値が設定されている場合であって、かつ、ユーザ間距離演算部503により演算された距離が当該「近距離判断用閾値」以下である場合には、発信側端末10aが近距離に存在することを通知するための音源データ(本実施形態では、図3に示す音源ID「0x30000」の音源データ)を、発信側端末10aから出力すべき距離に関連する音源データとして決定する。一方、ユーザ間距離演算部503により演算された距離が加入者情報データベース508の「近距離判断用閾値」を超えており、かつ、呼出音パターンとして距離のみが指定されている場合は、通常ガイダンス(すなわち、通常呼出音)を、発信側端末10aから出力すべき音源データとして決定する。
【0027】
また、音源決定部510は、呼出音パターンに距離が含まれる場合であって、加入者情報データベース508の「近距離判断用閾値」に値が設定されていない場合には、ユーザ間距離演算部503により演算された距離を通知するための音源データ(本実施形態では、図3に示す音源ID「0x20000」、「0x20001」等の音源データ)を、発信側端末10aから出力すべき音源データとして決定する。
通信制御部501は、通信インターフェースを含んで構成され、外部装置との通信を制御する。例えば、通信制御部501は、発信側端末10aから着信側端末10bへの発信があった旨の通知を受けると、発信側端末10aから呼出音として出力するための音源データを発信側端末10aに配信する(「呼出音配信手段」に対応)。
【0028】
(動作)
次いで、上記構成の各装置の動作について、図9に示すシーケンス図を用いて説明する。
まず、発信者は発信側端末10aに着信側端末10bの電話番号を入力し、接続要求の入力を行う。これにより発信側端末10aは発信要求を送信する(ステップS1000)。
発信者側の交換機30aは、着信側端末10bが在圏している交換機30bの情報と、加入者情報管理装置40で管理されている着信者のプレゼンス情報とを加入者情報管理装置40に対して要求し、加入者情報管理装置40から取得する(ステップS1010)。
【0029】
発信者側の交換機30aは、着信側端末10bが在圏している交換機30bに対し、在圏情報の取得要求を行う(ステップS1020)。これは着信側端末10bが通話中か否か、電源が入っていない若しくは電波が届かないため通信圏外であるか否かを確認する事に加え、着信側端末10bが現在在圏している無線の基地局情報をリアルタイムに把握することを目的とする。
【0030】
着信者側の交換機30bは、発信者側の交換機30aから受けた在圏情報取得要求を着信側端末10bに対して送信し、在圏情報(基地局IDや、通話中、圏外、圏内等の通信可否状態に加え、どの基地局装置20bを利用しているのかという情報)を取得する(ステップS1030)。着信者側の交換機30bは、ステップS1030で取得した在圏情報を、発信者側の交換機30aに対し、ステップS1020の応答として返す(ステップS1040)。
【0031】
発信者側の交換機30aは、ステップS1040で通知された在圏情報に基づき、何らかの理由で着信側端末10bとの通話が行えない場合は、発信側端末10aに対し通話不可の情報を返す(ステップS1050:NO)。そして、その直後に、発信者側の交換機30aは、通話不可理由に該当する音源データを発信側端末10aに対して配信する(ステップS2000)。
一方、ステップS1050において着信側端末10bとの通話が可能と判断されると(ステップS1050:YES)、発信者側の交換機30aは、呼出音管理装置50に対し、ステップS1040で取得した着信側端末10bの在圏情報と、ステップS1010で取得した発信側端末10aの在圏情報及びプレゼンス情報とを通知する(ステップS1060)。
【0032】
呼出音管理装置50の音源決定部510は、発信側端末10aから出力すべき音源データの決定に当たり、ステップS1060において発信者側の交換機30aから通知された発信者と着信者との両者の在圏情報を利用する必要があるか、若しくは着信者のプレゼンス情報を利用する必要があるかを判断するため、どの呼出音パターンで音源データを配信する必要があるかを判定する。具体的には、音源決定部510は、発信側端末10aの発信者IDと着信側端末10bの着信者IDとに対応付けられて呼出音パターン情報データベース506に記憶されている呼出音パターンを検索し取得する。
【0033】
取得した呼出音パターンに距離が含まれている場合、ユーザ間距離演算部503は、ステップS1060において発信者側の交換機30aから通知された発信側端末10aと着信側端末10bとの在圏情報各々に含まれる基地局IDに対応する緯度及び経度(すなわち、位置情報)を、基地局位置情報データベース507から抽出し、これら2つの位置情報を基に2点間の距離を算出する。ここで、加入者情報データベース508の発信者IDと着信者IDとに対応する「近距離判断用閾値」に値が設定されている場合は、音源決定部510は、近距離判断用閾値を用いて、発信側端末10aから出力すべき音源データを決定する必要があると判断する。そして、音源決定部510は、ユーザ間距離演算部503が算出した距離が近距離判定用閾値以下である場合にのみ、ガイダンス「接続先の端末は近くにいます」を出力するための音源データに対応する音源ID「0x30000」を、距離に関連する音源IDとしてメモリに記憶する。一方、加入者情報データベース508の「近距離判断用閾値」に値が設定されていない場合は、音源決定部510は、ユーザ間距離演算部503により算出した距離を通知するためのガイダンスを発信側端末10aから出力すべきと判断し、算出した距離Dに応じて、「接続先の端末は半径Dm以内にいます」という音源データに対応する音源ID「0x20000」、「0x20001」、・・・等を、距離に関連する音源IDとしてメモリに記憶する。
【0034】
一方、呼出音パターンが着信者のプレゼンス情報を含んでいる場合、音源決定部510は、ステップS1060において通知された着信者のプレゼンス情報と発信者IDと着信者IDとに対応する音源IDを加入者情報データベース508から取得し、プレゼンス情報に関連する音源IDとしてメモリに記憶する(ステップS1070)。
ここで、ステップS1070において発信者IDが加入者情報データベース508に登録されていれば該当する音源IDを取得できるが、発信者IDもしくは着信者IDが加入者情報データベース508に未登録の場合、呼出音管理装置50の音源決定部510は、交換機が具備している通常の呼出音を配信するよう発信者側の交換機30aに要求する(ステップS1080:NO)。すると、発信者側の交換機30aは、発信側端末10aに対して発信準備が完了した旨を通知し(ステップS2100)、その直後に発信側端末10aに対して通常の呼出音の配信を行う(ステップS2110)。
【0035】
一方、加入者情報データベース508に発信者IDが登録されている場合は(ステップS1080:YES)、呼出音管理装置50は発信者側の交換機30aに対して呼出音配信準備が完了した旨を通知する(ステップS1090)。
これにより、発信者側の交換機30aは、発信側端末10aに対して発信準備が完了した旨を通知し(ステップS1100)、その直後に、呼出音管理装置50の音源検索処理部505は、ステップS1070でメモリに記憶しておいた1又は複数の音源IDに該当する音源データを、音源データベース509から検索により取得する。そして、通信制御部501は、発信者側交換機30aを経由して発信側端末10aに向けて、取得した音源データを配信する(ステップS1110)。
【0036】
ステップS1110で呼出音管理装置50から発信側端末10aに対して音源データが配信されている間、発信者側の交換機30aは着信者側の交換機30bに対し呼出要求を行う(ステップS1120)。
前述の呼出要求を受けた着信者側の交換機30bは、着信側端末10bに対し同様の呼出要求を行う。すると、着信側端末10bで呼出音が鳴り、オフフック待ち状態となる(ステップS1130)。
着信者がステップS1130で呼出中の着信側端末10bに対してオフフック操作を行うと、着信側端末10bから着信者側の交換機30bに対し、オフフック信号が送出される(ステップS1140)。
【0037】
すると、着信者側の交換機30bは発信者側の交換機30aに対し、接続が完了した旨を通知し(ステップS1150)、発信側端末10aと着信側端末10bとの間での通話が可能となる(ステップS1160)。
さらに、音源データ配信のために利用した着信者側の交換機30a及び呼出音管理装置50の回線リソースを開放するために、着信者側の交換機30aから呼出音管理装置50に対し接続完了通知を行う(ステップS1170)。以上で、移動通信ネットワークを構成する各装置の動作が終了する。
【0038】
以上のように、呼出音管理装置50は、発信側端末10aから着信側端末10bへの発信時に、発信側端末10aと着信側端末10bとの距離に基づいて、発信側端末10aから出力すべき音源データを決定し、当該決定された音源データを発信側端末10aへ配信するため、距離に関連する音源データを発信側端末10aから呼出音として出力することができる。これにより、発信者は、発信側端末10aと着信側端末10bとの通信が確立する以前の段階で、着信者との位置関係を知ることが可能となる。このように、回線交換方式による一般的な通話形態の中で利用されている呼出音を利用して、発信者は着信者との位置関係を確認することができ、さらに、呼出パターンの設定の仕方によっては、着信者のプレゼンス情報や居る場所を確認する事もできる。
【0039】
なお、上述した実施形態では、呼出音管理装置50と呼出音設定変更装置60とは別々の装置であるとして説明したが、呼出音管理装置50が呼出音設定変更装置60の機能を備えており、着信側端末10bからの設定変更要求が直接呼出音管理装置50に送信されるようにしてもよい。また、音源データは、通知メッセージに限らず、楽曲でもよい。また、上述した実施形態では、呼出音パターン情報データベース506を用いて発信側端末10aから出力すべき音源データを決定するとして説明したが、これに限定されることはなく、例えば、常に距離に基づいて決定された音源データのみを、発信側端末10aから出力すべき音源データとして決定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信ネットワークの全体構成を示す図である。
【図2】同実施形態に係る呼出音管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】同実施の形態に係る音源データベースのデータ構成の一例を示す図である。
【図4】同実施形態に係る加入者情報データベースのデータ構成の一例を示す図である。
【図5】同実施形態に係る近距離用判断閾値を用いて決定される音源データの一例を示す図である。
【図6】同実施形態に係る近距離用判断閾値を用いないで決定される距離に関連する音源データの一例を示す図である。
【図7】同実施形態に係る基地局位置情報データベースのデータ構成の一例を示す図である。
【図8】同実施形態に係る呼出音パターン情報データベースのデータ構成の一例を示す図である。
【図9】同実施形態に係る移動通信ネットワークを構成する各装置の動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0041】
10x 移動通信端末
10a 発信側端末
10b 着信側端末
20x 基地局装置
30x 交換機
40 加入者情報管理装置
50 呼出音管理装置
501 通信制御部
502 設定変更処理部
503 ユーザ間距離演算部
504 ユーザ状態判定部
505 音源検索処理部
510 音源決定部
506 呼出音パターン情報データベース
507 基地局位置情報データベース
508 加入者情報データベース
509 音源データベース
60 呼出音設定変更装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信側端末から着信側端末への発信時に前記発信側端末から呼出音として出力すべき音源データを前記発信側端末に配信する呼出音管理装置であって、
前記発信側端末と前記着信側端末との距離を演算する距離演算手段と、
前記距離演算手段により演算された距離に基づいて、前記発信側端末から出力すべき音源データを決定する音源決定手段と
を備えたことを特徴とする呼出音管理装置。
【請求項2】
前記音源決定手段は、前記距離演算手段により演算された距離を通知するための音源データを、前記発信側端末から出力すべき音源データとして決定することを特徴とする請求項1に記載の呼出音管理装置。
【請求項3】
前記発信側端末と前記着信側端末との距離が近いか否かの判断基準となる近距離判断用閾値を記憶する近距離判断用閾値記憶手段をさらに備え、
前記音源決定手段は、
前記距離演算手段により演算された距離が前記近距離判断用閾値記憶手段に記憶された近距離判断用閾値以下である場合に、前記着信側端末が近距離に存在することを通知するための音源データを、前記発信側端末から出力すべき音源データとして決定することを特徴とする請求項1に記載の呼出音管理装置。
【請求項4】
前記発信側端末から前記着信側端末への発信時に前記発信側端末から出力すべき音源データの組合せを表す呼出音パターンを記憶する呼出音パターン記憶手段をさらに備え、
前記呼出音パターンは、前記着信側端末と前記発信側端末との距離に基づいて決定すべき音源データを少なくとも含み、さらに、前記着信側端末の位置に関連する音源データと、前記着信側端末を利用する着信者が置かれている状態を表すプレゼンス情報に関連する音源データと、の少なくとも一方を含むことが可能であり、
前記音源決定手段は、前記呼出音パターン記憶手段に記憶されている呼出音パターンに基づいて、前記発信側端末に配信すべき音源データを決定することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の呼出音管理装置。
【請求項5】
前記近距離判断用閾値記憶手段と、前記呼出音パターン記憶手段と、の少なくとも一方に記憶されている情報の少なくとも一部を、前記着信側端末からの設定入力に基づいて変更する設定変更手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の呼出音管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−278458(P2009−278458A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128589(P2008−128589)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】