説明

呼吸による空気の汚れを表現する設備及び表現方法

【課題】呼吸による空気の汚れを短時間で理解してもらうことができる、呼吸による空気の汚れを表現する設備及び表現方法を提供する。
【解決手段】人を立ち姿勢で収容する縦長の閉じられた狭小室2が備えられ、該室2は内部の人4の存在を外から目視できるように形成されている。また、室2の内部の上半部の高さ範囲内のいずれかの高さ位置における二酸化炭素濃度を検知する検知器6が備えられると共に、該検知器6で検知された室2の内部の濃度情報を周囲の人5にリアルタイムで表示する表示パネル7が備えられている。かかる設備を用いて、人に室に入ってもらい、室の内部の二酸化炭素濃度を検知し、表示していく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸による空気の汚れを表現する設備及び表現方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、住宅に関する様々な体験や知識の習得を目的として体験展示場をつくるような場合に、テーマの一つとして呼吸による空気の汚れを採り上げ、集まった人たちにそれをわかりやすく理解してもらう方法として、閉じられた室内を用意し、そこに人に入ってもらい、室内の二酸化炭素濃度を測定し表示して、周囲の人達に二酸化炭素濃度の上昇をリアルタイムで見てもらうという方法が考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、人の呼吸は、普通、ゆっくりとしており、室内の二酸化炭素の上昇には時間を要し、集まった人達を退屈させ、中途にて離散させてしまうおそれがある。
【0004】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、呼吸による空気の汚れを短時間で理解してもらうことができる、呼吸による空気の汚れを表現する設備及び表現方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、人を立ち姿勢で収容する縦長の閉じられた狭小室が備えられ、
該室は内部の人の存在を外から目視できるように形成されており、
室の内部の上半部の高さ範囲内のいずれかの高さ位置における二酸化炭素濃度を検知する検知器が備えられると共に、
該検知器で検知された室の内部の濃度情報を周囲の人にリアルタイムで表示する表示手段が備えられていることを特徴とする呼吸による空気の汚れを表現する設備によって解決される。
【0006】
上記の設備及び方法では、室が、人を立ち姿勢で収容する縦長の閉じられた狭小室からなるので、そのような室に入ってもらうことで、室内の二酸化炭素の濃度を短時間で上昇させることができ、集まった人達に、呼吸による空気の汚れを短時間で理解してもらうことができる。特に、立ち姿勢では人の呼吸も荒くなり、室内の二酸化炭素を短時間で上昇させることができる。
【0007】
しかも、二酸化炭素濃度検知器は、室の内部の上半部の高さ範囲内のいずれかの高さ位置における二酸化炭素濃度を検知するように備えられているので、立ち姿勢で人の呼吸が行われ二酸化炭素が集中する室の内部の上半部の高さ範囲での検知を通じて、呼吸による空気の汚れを周囲の人に、より一層短時間で理解してもらうことができる。
【0008】
また、人を立ち姿勢で収容する縦長の閉じられた狭小室を用いて表現設備を構成することにより、上記のように、集まった人達への短時間理解を実現することができるのみならず、設備の平面サイズを小さくすることができて、設備の設置スペースの確保を容易にすることができる。
【0009】
更に、室は内部の人の存在を外から目視できるように形成されているので、室内の人の健康状態を外部からチェックすることができ、無理のない協力をしてもらうことができる。
【0010】
上記の設備において、狭小室がボックスで構成され、二酸化炭素濃度検知器がボックスの天面部に設置されている場合は、室内の二酸化炭素を検知する高さ位置との関係で、検知位置と検知器の位置との距離を短くすることができ、しかも、それを、設備の平面サイズを大きくすることなく実現することができる。
【0011】
また、上記の課題は、以上の設備を用い、人に室に入ってもらい、室の内部の二酸化炭素濃度を検知し、表示していくことを特徴とする呼吸による空気の汚れを表現する方法によって同様に解決される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のとおりのものであるから、呼吸による空気の汚れを短時間で理解してもらうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示す第1実施形態の設備は、換気がある場合とない場合とで、室内の二酸化炭素濃度にどれだけの差を生じるかを、集まった人達に理解してもらうためのもので、1はボックスであり、ボックス1は2つ備えられ、室2…は各ボックス1…内に形成されている。そして、各室2は、人を立ち姿勢で収容する縦長の閉じられた狭小室からなっていて、それに対応するようにボックス1も縦長のものに設計されている。ちなみに、ボックス1のサイズは、例えば、900mm四方で高さが2100mm程度の、平面サイズがコンパクトなものからなっている。
【0015】
また、該ボックス1には、正面側に出入り用の扉3が備えられ、該扉3は透明で、内部の人4の存在を外から目視することができると共に、内部の人4の様子も目視できるようになされている。
【0016】
更に、ボックス1の天面部には、二酸化炭素濃度検知器6が設置され、該検知器6から、採取管6aが延ばされ、該採取管6aの先端部は、室2の内部の上半部の高さ範囲内のいずれかの高さ位置に配置され、その高さ位置における室内の二酸化炭素濃度を検知するようになされている。
【0017】
そして、正面側の扉3のすぐ上には、二酸化炭素濃度を表示する表示手段としての表示パネル7が設けられ、検知器6で検知された二酸化炭素濃度をボックス1の周囲に集まった人達5…に対してリアルタイムで表示されるようになされている。
【0018】
また、本実施形態では、一方のボックス1に対して、下端側の側面部に換気扇8付き給気口9が設けられると共に、上端側の対向側面部に、換気扇8付きの排気口10が設けられ、そのボックス1の室2の内部を換気することができるようになされている。また、換気機能をもたされたボックス1には「換気あり」の標示11がなされ、換気機能のもたされていないもう一方のボックス1には「換気なし」の標示12がなされて、集まった人に各ボックス1…内の状況を容易に把握してもらうことができるようになされている。なお、いずれのボックス1…も同様の態様で室内の換気を行えるようになされていてもよい。
【0019】
上記の表現設備では、両ボックス1…のそれぞれに人4…に入ってもらい、室2…を閉じ、換気ありの標示11のなされているボックス1の換気扇8,8を駆動する。すると、時間の経過と共に、換気のなされていない方のボックス1の表示パネル7に表示される二酸化炭素濃度と、換気のなされている方のボックス1の表示パネル7に表示される二酸化炭素濃度との間に大きな差を生じていき、集まった人達5…に、換気をしなければ、室内の空気は、二酸化炭素によって汚れてしまうことを理解してもらうことができる。
【0020】
そして、上記の設備を構成している各ボックス1内の室2は、人4を立ち姿勢で収容する縦長の閉じられた狭小室からなるので、換気無しのボックス1の室内の二酸化炭素の濃度を短時間で上昇させることができ、集まった人達5…に、呼吸による空気の汚れを短時間で理解してもらうことができる。特に、立ち姿勢で室2の内部に入ってもらうことで、二酸化炭素の濃度上昇との相乗効果によって、その人4の呼吸を荒くして、ボックス1内の二酸化炭素を短時間で上昇させていくことができる。
【0021】
しかも、濃度検知器6の採取管6aの先端部は、室2の内部の上半部の高さ範囲内のいずれかの高さ位置に配置されているので、人4の呼吸で集中的に汚れるその高さ範囲の二酸化炭素濃度を検知することで、呼吸による空気の汚れを周囲の人5…により一層短時間で理解してもらうことができる。
【0022】
更に、各ボックス1…の室2の内部は、透明な扉3を透して外から目視できるようになされているので、室2の内部の人4の健康を外部からチェックすることができ、無理のない協力をしてもらうことができる。
【0023】
図2に示す第2実施形態は、いずれのボックス1…も換気無しの状態で、一方のボックス1には二人入ってもらい、もう一方のボックス1には一人入ってもらい、時間の経過に伴って、各ボックス1…の室内の二酸化炭素濃度にどれだけの差を生じるかを、集まった人達5…に理解してもらうようにしたものである。その他は第1実施形態と同様である。
【0024】
また、図3に示す第3実施形態は、いずれのボックス1…にも、換気扇8付き排気口10が設けられると共に、給気口9に換気用のガラリ13が設置されており、一方のボックス1ともう一方のボックス1とで給気口9の開度をガラリ13で異ならせ、各ボックス1…内に人4に入ってもらい、換気扇8…を駆動することで、時間の経過に伴って、各ボックス1…内の二酸化炭素濃度にどれだけの差を生じるかを、集まった人達5…に理解してもらうようにしたものである。その他は第1実施形態と同様である。
【0025】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、本発明の設備と方法では、表現しようとする内容の種類に制限はないし、二酸化炭素による空気の汚れを一つのボックスで表現する構成としてもよいし、室はボックスによらずに形成されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態を示すもので、設備を示す正面図である。
【図2】第2実施形態を示すもので、設備を示す正面図である。
【図3】第3実施形態を示すもので、設備を示す正面図である。
【符号の説明】
【0027】
1…ボックス
2…室
3…透明な扉
6…二酸化炭素濃度検知器
6a…採取管
7…表示パネル(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を立ち姿勢で収容する縦長の閉じられた狭小室が備えられ、
該室は内部の人の存在を外から目視できるように形成されており、
室の内部の上半部の高さ範囲内のいずれかの高さ位置における二酸化炭素濃度を検知する検知器が備えられると共に、
該検知器で検知された室の内部の濃度情報を周囲の人にリアルタイムで表示する表示手段が備えられていることを特徴とする、呼吸による空気の汚れを表現する設備。
【請求項2】
前記狭小室がボックスで構成され、二酸化炭素濃度検知器がボックスの天面部に設置されている請求項1に記載の、呼吸による空気の汚れを表現する設備。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の設備を用い、人に室に入ってもらい、室の内部の二酸化炭素濃度を検知し、表示していくことを特徴とする、呼吸による空気の汚れを表現する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−106093(P2006−106093A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288872(P2004−288872)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】