説明

呼吸ガスの供給装置、共有システムおよび方法

1人または複数の患者からベンチレータを分離するための装置、システムおよび方法を提供する。ベンチレータから分離装置に供給されるガスは、同一または異なった供給状態で、1人または複数の患者に供給される。分離装置はハウジングと運動可能な隔壁とを備える。運動可能な隔壁はハウジングに連結され、当該隔壁の第1の側の患者側部分と、当該隔壁の第2の側の作動側部分とを備える。分離装置は、作動側部分の吸気圧レギュレータと、患者側部分の排気圧レギュレータを備える。これらのレギュレータは、患者に供給される呼吸ガスの供給状態(圧力および量を含み、これに限定されるものではない)を変えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に関する言及]
本出願は、2007年8月22日付けでなされた米国仮特許出願60/957,383号および2007年12月17日付けでなされた米国仮特許出願61/014,312号に基づく優先権主張を伴っている。これらを参照文献として本明細書に組み込む。
【0002】
[技術分野]
本発明は、患者のベンチレータに関する。本発明は、患者のベンチレータと関連する1つまたは複数の分離装置を含む。これらは1人または複数の患者に呼吸ガスを供給するために使用される。
【背景技術】
【0003】
ここに用いられる用語「ベンチレータ」は、人工呼吸器、および、様々な高周波ベンチレータを含むベンチレータを集合的に意味するものである。病院内では、患者は、自分で呼吸ができないときにベンチレータの補助を必要とする。ベンチレータは高価な装置であるため、病院は予備用のベンチレータを多く備えていない。パンデミックは、あまり起こらないが、多数の犠牲者を出す出来事である。前世紀に3度のインフルエンザのパンデミックが起こり、過去400年の間には推定32度のパンデミックが起こっている。アジアにおける野鳥および家禽の特有のインフルエンザH5N1の突然変異型によって起こるパンデミックでは、ベンチレータを必要とする患者数は、入手可能なベンチレータの供給数を上回る。パンデミック時のベンチレータの不足率を推定するに、30%〜200%のベンチレータが必要になる。このような不足の状況下においては、医師は、ある患者に対してはベンチレータの使用を止めて、他の患者にベンチレータを使用するか、または、新たな患者に対するベンチレータの使用を控えるという苦渋の決断を迫られる。このような状況下でベンチレータの使用を止めたり控えたりすることは、たとえ一時的であったとしても、患者の回復が長期に及んだり、患者が害を受けたり、患者の生命が奪われたりすることにつながる。
【0004】
1つのベンチレータが同時に何人もの患者を救うために使用され、これによって治療を受けられる患者数は増える。しかしながら、既存技術では、相互汚染の問題を防止することはできない。すなわち、複数の患者が既存技術を用いたベンチレータを共有する場合、ある患者が保有する病原菌、バクテリアおよびウイルスによって、別の患者のベンチレータの使用時に周囲環境や設備が汚染され、他の患者が直接感染してしまう。さらに、ベンチレータを共有した既存技術においては、個々の患者に対応した呼吸補助を行うことができない。例えば、一回呼吸量(tidal volume)、ピーク圧力、酸素濃度および呼気最終陽圧(PEEP:positive end-expiratory pressure)のような患者に固有の呼吸必要値を独立して与えるメカニズムが存在しないからである。
【0005】
2人あるいはそれ以上の患者間の無菌状態での共有が可能な再呼吸回路を使用する従来技術は存在しない。米国特許6,675,799(以下、「’799特許文献」という)には、ベンチレータ、介護者および周囲環境と、患者とを分離した再呼吸装置が開示されている。しかしながら、’799特許文献には、1つのベンチレータを使用して同時に1人以上の患者に人工呼吸を行う方法は開示されていない。また、’799特許文献には、以下の(1)〜(5)も全く開示されていない。すなわち、
(1)患者の一回呼吸量を、共有されるベンチレータへの供給量以下に減らす方法、
(2)ピーク気道内圧を、共有されるベンチレータの設定値以下に制限する方法、
(3)ベンチレータを共有する個々の患者の酸素濃度を決定する方法、
(4)PEEPを、共有されるベンチレータの設定値以上に増加させる方法、および
(5)複数の患者が1つのベンチレータを共有する場合の酸素の節約方法である。これらはいずれも、共有されるベンチレータにおいて個々の患者の設定を行う上で必要になる。これらと比較して、本発明に係る分離装置は、呼吸ガスの供給状態を変えることができ、複数の患者間で共有される1つのベンチレータを使用して患者が受ける呼吸ガスの特性を個々に設定することが可能になる。これは、使い捨ての装置を使用する患者に対する呼吸ガスの供給状態を変えるものであり、高機能を有さない安価なベンチレータを使用して、より明確な圧力、量、酸素濃度の特性を有する呼吸ガスを患者に供給することができる。
【0006】
さらに、ベンチレータは、患者の気道内の圧力を増加させることによって、患者の肺に機械的な換気を行う圧縮ガスを供給するように動作する。一般的に、ベンチレータには、圧縮空気および圧縮酸素が用いられる。それらの混合比は患者に応じて変わる。パンデミック用に備蓄された安価なベンチレータでは、供給されるガスの使用効率が低くなる。この効率の低さは、圧縮空気に関しては問題とならない。なぜなら、病院において、機械的なコンプレッサーが現場での加圧ガスの連続的な供給を受けて使用されているように、圧縮空気の不足はパンデミック時でも予想されるものではないからである。しかしながら、圧縮酸素は、一般的に、現場から離れた場所に位置するガス供給源によって生成され、タンク内の圧縮酸素または液状の酸素の状態で病院内に供給される。パンデミック時において、圧縮酸素および液状の酸素の両方が不足することは予想され得る。酸素収集装置(oxygen concentrator)は、患者の自発的な呼吸を促すための酸素を生成するために使用されるが、一般的なベンチレータとともに使用することはできない。なぜなら、一般的なベンチレータは、通常の酸素収集装置によって生成された圧力よりもより高い圧力で、加圧ガスを流入させる必要があるからである。このため、圧縮空気のみを使用して、肺を膨張させ、かつ、患者に酸素を供給する高効率な再呼吸装置に動力を供給することによって、機械的な換気を行うために必要となる酸素の量を減らしたシステムを提供することは、利点となる。予想された圧縮酸素の不足問題を解決するために安価なベンチレータが使用されるとき、または、より高度なベンチレータが不足しているときに、利用可能な酸素を節約する手段が開示されていないことは前述した通りである。酸素を節約するために、再呼吸装置を使用することが必要になる。
【0007】
多数の犠牲者が出るような出来事において、使い捨ての分離装置を、酸素を節約できる装置に変えるとともに、安価で単純で酸素を浪費するベンチレータを、手頃な値段であるが高度で酸素を節約できる分離装置に変えることは、人命を救うことにつながる。’799特許文献には、このことは開示されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1人または複数の患者から1つのベンチレータを分離する装置を構成したものである。この装置は、ハウジングと、運動可能な隔壁とを備える。運動可能な隔壁は、ハウジングに連結され、当該隔壁の患者側部分と、当該隔壁の作動側部分とを有する。ベンチレータは、隔壁の作動側部分のハウジングに接続され、隔壁を動かすことができる。分離装置は、作動側部分の吸気圧レギュレータおよび/または患者側部分の排気圧レギュレータを備える。これらのレギュレータは、患者に供給される呼吸ガスの供給状態(圧力および量を含む。ただし、これらに限定されるものではない。)を変えることができる。
【0009】
本発明は、1つのベンチレータと、2つまたはそれ以上の分離装置とを備えたシステムを構成したものである。ベンチレータおよび分離装置は上述したものと同様のものである。このシステムは、1つのベンチレータを使用する1人の患者の場合よりも多くの呼吸ガスを供給するために使用される。この実施例のシステムにおいて、吸気圧レギュレータおよび/または排気圧レギュレータは、それぞれの患者の必要量に応じて、患者に供給される呼吸ガスの供給状態を決定するために使用される。
【0010】
本発明は、1つのベンチレータと、少なくとも2つの分離装置とを経由して、少なくとも2人の患者に呼吸ガスを供給するために1つのベンチレータを使用する方法を構成したものである。分離装置は、上述のものと同様のものであり、吸気圧レギュレータおよび/または排気圧レギュレータを備える。これらのレギュレータは、それぞれの患者の必要量に応じて、患者に供給される呼吸ガスの供給状態を決定するために使用される。
【0011】
本発明は、ベンチレータの動作を向上させる方法を構成したものである。この実施例の方法によれば、上述のものと同一のベンチレータおよび分離装置を使用する。分離装置は、患者に供給される呼吸ガスの供給状態(圧力および量を含む。ただし、これらに限定されるものではない。)を変えることができる吸気圧レギュレータおよび/または排気圧レギュレータを備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る装置を示す略図である。
【図2】本発明の一実施例によるシステムの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の他の実施例によるシステムの概略構成を示す図である。
【図4】図2の実施例の詳細な概略構成を示す図である。
【図5】吸気圧レギュレータの一例を示す略図である。
【図6】本発明の一実施例による装置の圧力測定点を示す略図である。
【図7A】閉じた(閉塞された)構造のスターリングレジスタ(Starling resistor)の概略構成を示す図である。
【図7B】開いた構造のスターリングレジスタの概略構成を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例による呼吸速度計(pneumotachometer)を有する装置の概略構成を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例によるベローズ(bellows)を使用した装置の概略構成を示す図である。
【図10】PEEPバルブの選択的な位置を示した本発明の他の実施例によるハウジングの換気通路および換気部分の詳細を示す図である。
【図11】本発明による方法を示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施例による方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
本発明は、1人または複数の患者から1つのベンチレータを分離するための装置を提供するものである。図1は、本発明による分離装置10を示している。分離装置10はハウジング13を備える。ハウジング13は、運動可能な隔壁16を取り巻いて配置されている。運動可能な隔壁16は、ハウジング13に連結され、運動可能な隔壁16の患者側部分22と、運動可能な隔壁16の作動側部分とを有している。運動可能な隔壁16は、フレキシブルなバッグの構成を有している。分離装置10は、作動側部分25とガスが通過可能に連絡する吸気圧レギュレータ82を含んでいる。吸気圧レギュレータ82は、作動側部分25で許容される呼吸ガスの圧力を調節する。吸気圧レギュレータ82は、作動側部分25の圧力を所望の最大圧力(「ピーク圧力」という)に制限する。分離装置10は、運動可能な隔壁16の患者側部分22とガスが通過可能に連絡する排気圧レギュレータ84を含んでいる。排気圧レギュレータ84は、呼気動作の間、患者側部分22のハウジング13の圧力を調整し、例えば、患者側部分22のハウジング13からのガスの流出を制限することによって、ベンチレータのPEEPと異なる患者側22のPEEPを生成するために使用される。これによって、ベンチレータの設定圧力よりも、高い呼気最終圧が維持される。
【0014】
ハウジング13はまた、ベンチレータオリフィス28を備える。ベンチレータオリフィス28は、作動側部分25とガスが通過可能に連絡する。作動側部分25は、ベンチレータ29と空気が通過可能に連絡する。ハウジング13はまた、患者吸気オリフィス31を備える。患者吸気オリフィス31は、患者側部分22とガスが通過可能に連絡する。患者側部分22は、患者と空気が通過可能に連絡する。ハウジング13は、バイアス流入オリフィス33を備える。バイアス流入オリフィス33は、患者側部分22とガスが通過可能に連絡する。患者側部分22は、新鮮な吸気ガス源80と空気が通過可能に連絡する。ハウジング13はさらに、呼気戻しオリフィス36を備える。呼気戻しオリフィス36は、患者側部分22とガスが通過可能に連絡する。分離装置10はまた、CO洗浄機55を備える。CO洗浄機55は、患者側部分22とガスが通過可能に連絡し、再呼吸動作の間、患者に戻すガスのCOの量を減らす。このような洗浄機55は、ハウジング13からの呼吸ガスが吸気動作の間に洗浄機55を通って患者に流れ、および/または、患者からの呼吸ガスが呼気動作の間に洗浄機55を通ってハウジング13に流れるように、配置される。図4は、呼気ライン96を経由して患者1に接続された洗浄機55と、吸気ライン98を経由して患者2に接続された別の洗浄機55とを示している。
【0015】
図2は、本発明を呼吸ガスの共有システムとして具体化したものを示している。このようなシステム15は、1つのベンチレータ29と、少なくとも2つの分離装置12とを備える。ベンチレータ29は、換気通路42を経由して、分離装置12のそれぞれの吸気口16に接続される。分離装置12は、例えば、’799特許文献に開示されているタイプ、または上述のタイプのような、公知の様々なタイプのものである。図3は、4つの分離装置12を備えた再呼吸ガス共有システムの別の実施例を示したものである。それぞれの分離装置12に1人の患者が対応付けられている。
【0016】
図4は、本発明による他の実施例の呼吸ガス供給システム20を示している。この図のシステム20によれば、単一のベンチレータ29と、上述したような機能を有する2つの分離装置40とを使用することによって、2人の患者が人工呼吸される。それぞれのハウジング13は、1つ以上のピースからなる。例えば、患者側部分22のハウジング13の部分は1つのピースからなり、作動側部分25の部分は別のピースからなる。患者側部分22のハウジング13の部分は、新鮮ガス源80からの新鮮ガスが入るようになっている。新鮮ガスは、新鮮ガスコントローラ78によって制御され、コンディショナー99によって変更される。コンディショナー99は、例えば、ベーパライザ(vaporizer)、ネブライザ(nebulizer)、ブレンダ(blender)、ミキサー(mixer)、ヒューミディフィア(humidifier)またはこれらの装置の組み合わせからなる。図4は、複数の患者が再呼吸回路に接続され、再呼吸回路が逆止弁66、63と、CO洗浄機とを備えた状態を示している。
【0017】
ベンチレータ29は、その動作中に、以下(1)および(2)のいずれかに設定される。すなわち、(1)ピーク圧力、および、所望の呼気最終圧(「プレッシャーモード」という)、(2)所望の1回呼吸量、および、呼気最終圧(「ボリュームモード」という)である。分離装置40は、プレッシャーモードの動作中に、ベンチレータ29のピーク圧力、および、呼気最終圧の入力を受ける。これにより、患者は、肺に対応する大きさに決定された1回呼吸量の供給を受ける。1つ以上の分離装置40(すなわち1人以上の患者)が、プレッシャーモードの状態でベンチレータ29と接続されると、特定の患者は、患者の肺に対応する大きさに決定された1回呼吸量の供給を受ける。しかしながら、このような場合、患者に供給された1回呼吸量は、次のような場合の患者にはふさわしくない。例えば、ピーク圧力が特定の患者に対してかなり低い1回呼吸量を生じさせる場合である。この場合、十分な酸素を当該患者に供給できなくなるか、または、当該患者から十分な二酸化炭素を除去することができなくなる。このような状況を避けるため、ピーク圧力は、安全とされる上限制限値(例えば、水の35〜50cm)を超えないように与えられて、人工呼吸の間、硬くなった肺に対して適切な人工呼吸を行うことが可能な圧力として選択される。
【0018】
特定の分離装置10に供給されるピーク圧力は、吸気圧レギュレータ82(図1)の使用によってベンチレータ29のピーク圧力以下に下げられる。吸気圧レギュレータ82は、換気通路42を部分的または完全に閉じることができる。換気通路42は、ベンチレータ29と分離装置10とを接続する経路である。図5は、フレキシブルなチューブ88に対して動作する換気通路閉鎖キャリパー(ventilator path occlusion caliper)86を使用した吸気圧レギュレータ82を図示している。大きさ調整可能な信号が、例えば圧力トランスデューサによって吸気圧レギュレータ82に入力される。例えば、分離装置10の圧力よりも低いベンチレータ29の圧力の低下に対応した信号によって、吸気圧レギュレータ82が再び開かれる。この圧力の低下は、例えば、下流の圧力トランスデューサ45によって測定される。ベンチレータ29の圧力(分離装置の圧力よりも低い圧力)の低下は、吸気圧レギュレータ82がチューブ88を閉じたときに、予め設定されたベンチレータ29の呼吸サイクルの開始時に生じる。
【0019】
本発明のシステム20によれば、ベンチレータ29は、呼吸サイクルの設定を行うとともに、1つまたは複数の分離装置40を介して1人または複数の患者の肺の換気を機械的に行うタイミング装置として機能する。この理由により、ベンチレータ29は、高価で高度な装置である必要はない。なぜなら、分離装置40は、例えば、患者の1回呼吸量、ピーク気道圧力およびPEEPのような患者特有のパラメータを制御するからである。それ故、ベンチレータ29が、機械的なベンチレータ、アンビューバッグ(ambu bag)のような手動式のベンチレータ、または、一定の正(陽)の気道圧力を連続的に供給する持続気道陽圧(「CPAP」という)装置であってもよい。
【0020】
特に高価でないモデルのベンチレータ29は、人工呼吸機能を行うのに大量のガスを使用する。そして、これらの装置はガス漏れが生じ易い。ベンチレータに与えられるガスの一部はリークまたは他の効率の悪さによって失われる。それ故、ベンチレータに与えられるガスは患者に十分に供給されない。ベンチレータが酸素補充されたガスの供給を受けるとき、そのリークはこの補充酸素の使用効率を悪化させ、酸素源は不足する。本発明のシステム20では、ベンチレータ29は、1つまたは複数の分離装置40内の隔壁16を動かすために、コンプレッサーからの室内空気を使用する。これにより、1つまたは複数の分離装置40を使用せずに患者に直接人工呼吸を行う元来非効率なベンチレータ29を使用するときに必要となる圧縮空気および圧縮酸素の両方を、当該ベンチレータ29に供給する必要がなくなる。1つまたは複数の分離装置40内の隔壁16を動かすために、ベンチレータ29内の加圧空気を使用する場合、それぞれの患者に必要な酸素の量は、酸素が効率的に使用される分離装置40のそれぞれに補充酸素を直接に供給することによって、まかなわれる。新鮮ガス源80は、液状酸素タンク、圧縮ガスシリンダーまたは酸素収集装置からの酸素を供給するシステムを含んでいる。新鮮ガスの流速は、それぞれの分離装置40に対して独立に選ばれる。新鮮ガスの流速が選ばれた後、換気通路閉鎖キャリパー86が閉じられ、肺の中が最適なピーク圧力になる。このため、閉鎖キャリパー86は、ベンチレータ29が吸気ガスを患者に供給している間、開かれたままとなる。ベンチレータ29が例えばピーク圧力のような所定の圧力に達したときに、閉鎖キャリパー86は閉じられる。そして、新鮮ガス流は、1回呼吸量がベンチレータ29によって設定された量以上になるように増やされる。
【0021】
コンディショナー99は、例えばブレンダからなる。ブレンダは、酸素および空気を混合し、患者側部分22の分離装置40の部分に供給されるガスの酸素濃度を与える。再呼吸回路は、患者側部分22の分離装置40の部分に入る新鮮ガスをより効率よく利用するために使用される。再呼吸回路を使用したシステム20では、新鮮ガス流速を遅くすることによって、他に必要とされるわずかな酸素の使用を減らすことができる。
【0022】
呼気最終圧を制御するために、吸気圧レギュレータ82に対する信号は、排気圧レギュレータ84(図1および図6を参照)を制御してガス排気ライン72(図1および図2を参照)を閉じるために使用され、また、吸気動作の間、排気ガスが患者側部分22の分離装置10、40の部分から放出されるのを防止するために使用される。あるいは、患者側部分22の分離装置10、40の部分からのガスの放出を制限するために、スターリングレジスタが使用される。このスターリングレジスタは、分離装置10、40内部の圧力がベンチレータ回路の圧力を超えるように接続される。これにより、排気を患者側部分22の分離装置10、40の部分から分離することができる。図7Aおよび7Bは、それぞれ、閉じられた構造、および、開かれた構造のスターリングレジスタ46を示している。レジスタ入口47からレジスタ出口48に流れるガス流は、制御ライン49の圧力によって制御される。スターリングレジスタ46のレジスタ入口47は、使用時に、患者側部分22の分離装置10、40の部分に接続される。レジスタ出口48は、ガス排出ライン72に接続される。制御ライン49は、人工呼吸通路42に接続される。人工呼吸経路42は、ハウジング13と吸気圧レギュレータの間に形成されている。手動調整可能なPEEPバルブ89は、スターリングレジスタまたはキャリパーの前後のいずれかに位置している。PEEPバルブ89は、患者のPEEPをベンチレータ29の設定値以上に変更する必要があるとき、ベンチレータ29の設定値を越えるようにPEEPを増加させるために使用される。これは、さらに、次の吸気動作前に、作動側部分25の分離装置10、40の部分の排出を促進し、供給された1回呼吸量の整合性を確実なものにすることができるという利点を有する。
【0023】
図6に示すような実施例では、隔壁16の患者側部分22の圧力P3と、隔壁16の作動側部分25の圧力P2の間の特定の圧力差が測定される。換気通路42を閉じることによって、ベンチレータ29から分離装置50に流入するガスを減少させるために、閾値が使用される。これによって、患者の1回呼吸量および吸気最終圧が設定される。例えば2つの端部を有するロープ34のような位置付勢手段(position biaser)によって、この圧力差が生じる。2つの端部のうちの第1端部は、運動可能な隔壁16に接続され、2つの端部のうちの第2端部は、ハウジング13に接続される。隔壁の両側で圧力差を生じさせることに加えて、位置付勢手段は、運動可能な隔壁16を元の形状および位置に戻す復元力を生じる。別の例としては、運動可能な隔壁16の両側の圧力差および復元力は、運動可能な隔壁16またはその取り付け時の弾性特性によって決定される。例えば、運動可能な隔壁16がラテックスのような弾性材料からなるような場合である。運動可能な隔壁16の両側の圧力差は、新鮮ガスコントローラ78または吸気圧レギュレータ82を制御するために使用される。このような復元力によって生成された圧力差は、一般的に、運動可能な隔壁16の変位量に比例する。したがって、圧力差は1回呼吸量に対応した測定量となる。ベンチレータ29におけるその後の圧力減少(P1)は、ベンチレータの流出サイクルの開始に伴って起こる。そして、圧力減少(P1)は、吸気圧レギュレータ82の両側で圧力差を生じさせる。吸気圧レギュレータ82は、当該レギュレータ82を再び開くための信号を伝えるために使用される。
【0024】
空気のリークは、患者内で起こるか、または、例えば気管内チューブの周りの気道接続部分で起こる。患者側部分22の圧力P3は、換気通路42が閉じられている間、患者側部分22または患者側部分との接続部分周辺での空気のリークに応じて変化するので、リーク検出のために使用される。再呼吸回路を使用しているときに、空気のリークによる患者側部分22の圧力損失を防止するために、補償用の新鮮ガスの流入が必要となる。患者側部分22の圧力P3は、検出されて所望の値を比較される。換気通路42が閉じられて圧力P3が所望の値よりも低い場合、空気のリークは起こっている。このとき、新鮮ガス流は、新鮮ガス流入コントローラ78の信号によって増加する。このメカニズムは、機械的な人工呼吸の新たなモードを生成する。そのモードは、「リーク補償、圧力調整、流量制御」がベストであるモードを意味する。
【0025】
隔壁16の患者側部分22の圧力P3は、検出されてベンチレータ29の圧力P1と比較される。これにより、例えば、スターリングレジスタを構成する排気圧レギュレータ84を経由する排気経路の閉鎖および再開の時間が制御される。例えば、排気圧レギュレータ84が閉じられると、圧力P3が圧力P1以下または圧力P1と等しくなった後、圧力P1よりも大きくなるような変化が測定される。その後、ベンチレータの呼気動作のサイクルが起こり、作動信号が排気圧レギュレータ84に送られ、排気圧レギュレータ84が開口する。
【0026】
他の機能として、新鮮ガス流入機能、および/または、ベンチレータ遮断アラーム機能がある。これらの機能は、圧力P1、P2およびP3に応じて、あるいはこれらの圧力の他の関連付けられた圧力に応じて実現される。例えば、P1、P2およびP3のうちのいずれかの圧力が0psig(1psig=703.07 kgf/m2)を下回るか上回るべき期間に0psigのままであったら、アラームが鳴って、ベンチレータは遮断されるか切断される。位置付勢手段34を使用する時、歪みゲージが使用される。歪みゲージは、圧力差よりもむしろ位置付勢手段34のロープの張力に基づいてこれらの機能を生じさせる。図10は、換気通路42およびハウジング13を図示したものであり、圧力トランスデューサ87、43、41がそれぞれ、P1、P3、および、P2とP3の間の圧力差を測定するために配置されている一例を図示したものである。
【0027】
図8は、呼吸速度計85を備えた本発明の分離装置90を図示したものである。呼吸速度計85は、作動側領域25と空気が通過可能に連絡しており、吸気圧レギュレータ82とベンチレータ29の間に接続される。このような実施例において、呼吸速度計85は、吸気動作の間に1回呼吸量を測定する。また、所望の1回呼吸量が供給されたときに、呼吸速度計85によって、吸気圧レギュレータが通路を閉鎖するように制御される。コントローラ回路44は、呼吸速度計85および吸気圧レギュレータ82に接続される。コントローラ回路44は、呼吸速度計25からの信号を受けて、吸気圧レギュレータ82の調整量を制御する。呼吸速度計85は、患者吸気オリフィス31と患者側部分22の間、または、患者とCO洗浄機の間の、患者の吸気ライン内に配置される。この呼吸速度計85は、患者の吸気動作および呼気動作における1回呼吸量を測定するために使用される。吸気動作および呼気動作における1回呼吸量の差は、システムにおいてリークが生じていることを意味し、および/または、新鮮ガスの流入を調節するために新鮮ガスコントローラ78が制御されることを意味する。
【0028】
図9において、本発明の別の実施例が示されている。この実施例による分離装置30では、運動可能な隔壁16は、ダイヤフラム(diaphragm)23およびベローズ24から構成される。位置測定器26は、ダイヤフラム23上に配置される。位置測定器26は、吸気圧レギュレータ82、排気圧レギュレータ84、新鮮ガス流入を行う新鮮ガスコントローラ78、および/またはベンチレータ遮断アラームを開いたり閉じたりするためのトリガー信号を生成するために使用される。位置測定器26は歪みゲージからなる。歪みゲージは、ロープに取り付けられ、または、運動可能な隔壁16とハウジング13の間に取り付けられている。あるいは、図9に示すように、位置測定器26は光学的または磁気的な装置からなり、エミッター92とレシーバ94とを有する。エミッター92は、運動可能な隔壁16に取り付けられる。レシーバ94は、エミッター92の位置を検出することができる。
【0029】
本発明は、少なくとも2人の患者間で1つのベンチレータを共有する方法を構成したものである。図11は、方法の一例を示している。本発明の方法によれば、ベンチレータを準備するステップ100と、第1の分離装置を準備するステップ110と、第2の分離装置を準備するステップ120と、ベンチレータを使用して第1および第2の分離装置のそれぞれに呼吸サイクルを生じさせるステップ130と、第1の分離装置を使用して第1の患者の肺に機械的な人工呼吸を行わせるとともに、第2の分離装置を使用して第2の患者の肺に機械的な人工呼吸を行わせるステップ140とを備える。第1および第2の分離装置は、例えば’799特許文献に開示されたタイプや、上述したタイプのような、公知の様々なタイプからなる。第1および第2の分離装置は、それぞれ、吸気圧レギュレータおよび/または呼気圧レギュレータを備えていてもよいし備えていなくてもよい。吸気口および/または排気圧レギュレータは、供給状態を変更するために使用される。供給状態としては、例えば、呼吸サイクルを生じさせるベンチレータから供給されたガスの特性に応じて、機械的な人工呼吸によって患者の肺に供給される、ガスの圧力および量の状態を意味する。
【0030】
図12は、本発明に係る実施例に対応したベンチレータの動作状態を変更した方法を示したものである。本発明の方法によれば、ベンチレータを準備するステップ200と、吸気圧レギュレータおよび排気圧レギュレータを含む分離装置を準備するステップ210と、分離装置を使用してベンチレータを作動させるステップ220と、分離装置を使用して、患者の肺に機械的な人工呼吸を行うステップ230とを備える。吸気圧レギュレータおよび/または排気圧レギュレータは、供給状態を変化させるように動作する。供給状態とは、例えば、呼吸サイクルを生じさせるベンチレータから供給されたガスの特性から、機械的な人工呼吸によって患者の肺に供給されたガスの圧力および量の状態を意味する。
【0031】
本発明のシステムおよび方法によれば、1つのベンチレータを1人または複数の患者に無菌状態で人工呼吸を行うために使用してもよい。さらに、1回呼吸量、酸素濃度およびPEEPを個々に調節することができる分離装置を準備して、高価でないベンチレータを1人または複数の患者に無菌状態で人工呼吸を行うために使用してもよい。本システムによれば、感染者からベンチレータを分離することができるとともに、ベンチレータを取り外したり取り付けたりする呼吸療法士への感染の危険性を減らすことができる。このシステムによれば、使用される酸素量を減らすことが可能になり、例えば、大量の感染者を出すような酸素供給不足の場合においても、有益となる。
【0032】
本発明を、1つまたはそれ以上の特定の実施例に基づいて説明してきたが、本発明の構成はこれらの実施例に限定されるものではなく、本願明細書の範囲に記載された構成の範囲内でそれら以外の実施例を案出することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の呼吸動作を行う分離装置であって、
運動可能な隔壁と、
前記運動可能な隔壁の周りに配置されたハウジングと、を備え、
前記運動可能な隔壁が、当該運動可能な隔壁の第1の側の作動側部分と、当該運動可能な隔壁の第2の側の患者側部分とを有し、前記ハウジングが、ベンチレータと空気が通過可能に連絡しうるベンチレータオリフィスを有しており、さらに、
前記運動可能な隔壁の前記作動側部分とガスが通過可能に連絡する吸気圧レギュレータと、
前記運動可能な隔壁の前記患者側部分とガスが通過可能に連絡し、呼気の最終陽圧を制御可能な排気圧レギュレータと、を備えたことを特徴とする分離装置。
【請求項2】
前記運動可能な隔壁の前記患者側部分とガスが通過可能に連絡するCO洗浄機をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記運動可能な隔壁は、フレキシブルなバッグであることを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項4】
前記運動可能な隔壁は、弾性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項5】
前記運動可能な隔壁は、ベローズおよびダイヤフラムを備えたことを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項6】
前記運動可能な隔壁の位置を検出可能な位置センサーをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、新鮮ガス源からの新鮮ガスを供給する新鮮ガスオリフィスを有し、
前記新鮮ガスオリフィスは、前記運動可能な隔壁の前記患者側部分とガスが通過可能に連絡することを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項8】
前記ハウジングからのびる排気ラインをさらに備え、
前記排気ラインは、前記運動可能な隔壁の前記患者側部分とガスが通過可能に連絡することを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項9】
前記吸気圧レギュレータは、フレキシブルなチューブおよびキャリパーを備えたことを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項10】
前記排気圧レギュレータは、フレキシブルなチューブおよびキャリパーを備えたことを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項11】
前記排気圧レギュレータは、スターリングレジスタを備えたことを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項12】
第1の端部および第2の端部を有するロープをさらに備え、
前記第1の端部が前記運動可能な隔壁に接続され、前記第2の端部が前記ハウジングに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項13】
前記ベンチレータオリフィスに接続された呼吸速度計をさらに備え、
前記呼吸速度計が、前記ハウジングに流入、および/または、前記ハウジングから流出するガスの量を測定するものであることを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項14】
前記ハウジングは、患者オリフィスをさらに備え、
前記患者オリフィスが、前記運動可能な隔壁の前記患者側部分とガスが通過可能に連絡し、前記患者とガスが通過可能に連絡していることを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項15】
前記患者オリフィスに接続された呼吸速度計をさらに備え、
前記呼吸速度計は、前記ハウジングに流入、および/または、前記ハウジングから流出するガスの量を測定するものであることを特徴とする請求項14に記載の分離装置。
【請求項16】
ベンチレータの共有システムであって、
1つのベンチレータと、
少なくとも2つの分離装置と、を備え、
前記分離装置は、少なくとも2人の患者にガスを供給するとともに、前記患者からのガスが前記ベンチレータに到達するのを防止し、
前記分離装置のそれぞれは、前記ベンチレータと空気が通過可能に連絡していることを特徴とするシステム。
【請求項17】
前記少なくとも2つの分離装置のそれぞれは、さらに、
運動可能な隔壁と、
前記運動可能な隔壁の周りに配置されたハウジングと、を備え、
前記運動可能な隔壁が、当該運動可能な隔壁の第1の側の患者側部分と、当該運動可能な隔壁の第2の側の作動側部分とを有し、前記ハウジングが、前記ベンチレータに接続された入口を有し、前記ハウジングの前記入口は前記運動可能な隔壁の前記作動側部分とガスが通過可能に連絡していることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも2つの分離装置のそれぞれは、さらに、
前記運動可能な隔壁の前記作動側部分とガスが通過可能に連絡する吸気圧レギュレータと、
前記運動可能な隔壁の前記患者側部分とガスが通過可能に連絡し、呼気の最終陽圧を制御可能な排気圧レギュレータと、を備えたことを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記分離装置の少なくとも1つは、前記運動可能な隔壁の前記患者側部分とガスが通過可能に連絡するCO洗浄機をさらに備えたことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記運動可能な隔壁は、フレキシブルなバッグであることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記運動可能な隔壁は、弾性材料からなることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記運動可能な隔壁は、ベローズおよびダイヤフラムを備えたことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記分離装置の少なくとも1つは、前記運動可能な隔壁の位置を検出可能な位置センサーをさらに備えたことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
呼吸ガスのガス量を測定する呼吸速度計をさらに備え、
前記呼吸速度計は、前記ハウジングの前記入口と前記ベンチレータとの間に接続されていることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
コントローラ回路をさらに備え、
前記コントローラ回路は、前記呼吸速度計と連絡するとともに、前記吸気圧レギュレータと連絡し、前記呼吸速度計のガス量の測定に使用可能で、前記吸気圧レギュレータの特性を制限する圧力を制御するものであることを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記吸気圧レギュレータは、
前記呼吸速度計と前記ハウジングの前記入口との間に接続されたフレキシブルなチューブと、
前記フレキシブルなチューブを異なる閉鎖状態で閉じることが可能なキャリパーと、を備え、
前記コントローラ回路は、前記呼吸速度計のガス量測定を行うために使用されるとともに、前記キャリパーによって前記フレキシブルなチューブの閉じる度合いを制御するものであることを特徴とする請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記ハウジングは、新鮮ガス源からの新鮮ガスが導入されるオリフィスを有し、
前記新鮮ガスが導入される前記オリフィスは、前記運動可能な隔壁の前記患者側部分とガスが通過可能に連絡していることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
前記ハウジングの前記患者側部分からのびる排気ラインをさらに備えたことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項29】
前記吸気圧レギュレータは、フレキシブルなチューブおよびキャリパーを備えたことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項30】
前記排気圧レギュレータは、フレキシブルなチューブおよびキャリパーを備えたことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項31】
前記排気圧レギュレータは、スターリングレジスタを備えたことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項32】
前記分離装置の少なくとも1つは、第1の端部および第2の端部を有するロープをさらに備え、
前記第1の端部が前記運動可能な隔壁に接続され、前記第2の端部が前記ハウジングに接続されていることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項33】
前記分離装置の少なくとも1つは、調整可能なPEEPバルブをさらに備えたことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項34】
前記分離装置の少なくとも1つの前記ハウジングは、患者オリフィスをさらに備え、
前記患者オリフィスが、前記運動可能な隔壁の前記患者側部分とガスが通過可能に連絡し、前記患者とガスが通過可能に連絡していることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項35】
前記分離装置の少なくとも1つは、前記患者オリフィスに接続された呼吸速度計をさらに備え、
前記呼吸速度計は、前記ハウジングに流入、および/または、前記ハウジングから流出するガスの量を測定するものであることを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
少なくとも2人の患者間で単一のベンチレータを共有する方法であって、
ベンチレータを準備し、
前記ベンチレータに接続された入口を有する第1の分離装置を準備し、
前記ベンチレータに接続された入口を有する第2の分離装置を準備し、
前記ベンチレータを使用して前記第1の分離装置および前記第2の分離装置のそれぞれに呼吸サイクルを生じさせ、
前記第1の分離装置を使用して第1の患者の肺に機械的な人工呼吸を行わせるとともに、前記第2の分離装置を使用して第2の患者の肺に機械的な人工呼吸を行わせることを特徴とする方法。
【請求項37】
前記第1の分離装置および前記第2の分離装置のそれぞれは、運動可能な隔壁をさらに備え、
前記運動可能な隔壁は、前記分離装置の作動側部分内のガスと前記分離装置の患者側部分内のガスを分離するためのものであり、
前記分離装置の前記作動側部分は吸気圧レギュレータを備えていることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の分離装置および前記第2の分離装置のそれぞれは、前記作動側部分に吸気圧レギュレータをさらに備えたことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の分離装置および前記第2の分離装置のそれぞれは、前記患者側部分に排気圧レギュレータをさらに備えたことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項40】
ベンチレータの動作を向上させる方法であって、
ベンチレータを準備し、
分離装置を準備し、
前記ベンチレータを使用して前記分離装置の呼吸サイクルを生じさせ、
前記分離装置を使用して患者の肺に機械的な人工呼吸を行い、
前記分離装置が、運動可能な隔壁を備え、
前記運動可能な隔壁が、前記分離装置の作動側部分内のガスと前記分離装置の患者側部分内のガスを分離するためのものであり、前記分離装置が前記ベンチレータに接続された前記作動側部分に入口を有し、前記作動側部分の吸気圧レギュレータを有し、前記患者側部分に排気圧レギュレータを有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−536503(P2010−536503A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522087(P2010−522087)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/074103
【国際公開番号】WO2009/026562
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(506194117)ザ リサーチ ファウンデイション オブ ステイト ユニバーシティー オブ ニューヨーク (11)