呼吸デバイス及びその使用方法
【課題】 口や鼻の外鼻孔等の呼吸器のキャビティ内の空気の流れを変化するための方法、デバイス、及びキットを提供する。
【解決手段】 これらの方法及びデバイスは、医療の対象となる様々な疾患の患者に、特に「唇窄め呼吸」及び非侵襲的換気装置の利点を受ける、COPD、心不全、睡眠時無呼吸、及びその他の医療の対象となる障害の患者に生理学的な利点を提供する上で有用である。デバイスは、代表的には、呼吸器のキャビティ内の空気流に対する抵抗を増大するため、呼吸器のキャビティに被せて又はキャビティ内に配置されてもよい取り外し自在のデバイスである。呼息に対する抵抗は、吸息に対して選択的に増大されてもよい。取り外し自在の口腔用デバイス及び取り外し自在の鼻腔用デバイスを説明する。更に、吸い込んだ空気流からごみやアレルゲンをフィルタ作用で除去する口腔用デバイス及び鼻腔用デバイスを提供する。更に、外鼻孔の開存性向上する鼻腔用デバイスを提供する。
【解決手段】 これらの方法及びデバイスは、医療の対象となる様々な疾患の患者に、特に「唇窄め呼吸」及び非侵襲的換気装置の利点を受ける、COPD、心不全、睡眠時無呼吸、及びその他の医療の対象となる障害の患者に生理学的な利点を提供する上で有用である。デバイスは、代表的には、呼吸器のキャビティ内の空気流に対する抵抗を増大するため、呼吸器のキャビティに被せて又はキャビティ内に配置されてもよい取り外し自在のデバイスである。呼息に対する抵抗は、吸息に対して選択的に増大されてもよい。取り外し自在の口腔用デバイス及び取り外し自在の鼻腔用デバイスを説明する。更に、吸い込んだ空気流からごみやアレルゲンをフィルタ作用で除去する口腔用デバイス及び鼻腔用デバイスを提供する。更に、外鼻孔の開存性向上する鼻腔用デバイスを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2004年12月8日に出願された米国仮特許出願第60/634,715号と関連し、同特許出願の優先権を主張するものである。同特許出願に触れたことにより、この特許出願に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。
【0002】
本明細書中に記載したデバイス、方法、及びキットは、全体として、医薬品の分野に関し、更に詳細には、心血管薬、睡眠薬、肺学、胃腸病学、及び内科学の分野に関する。これに関し、ここに説明するデバイス、方法、及びキットは、とりわけ、心不全、高血圧、睡眠時無呼吸、及び他の睡眠障害、いびき、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、胃食道逆流疾患、及び様々な炎症性疾患を含む疾患の治療を行う上で有用である。
【背景技術】
【0003】
心不全、睡眠時無呼吸、及び他の睡眠障害、高血圧、いびき、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、喘息、及び多くの他の疾患を含む多くの疾患状態は、患者の呼吸を変化させることにより改善できる。
【0004】
心不全又は鬱血性心不全(CHF)は、多くの肺疾患及び心疾患の最終段階での一般的な臨床的症候群である。心不全は、心筋が弱くなり、心室がもはや通常通りに収縮しない場合に生じる変成状態である。その場合、心臓は、もはや、肺を含む身体に血液を適切に圧送できない。これにより、運動不耐性となるか或いは、流体が保持されることにより呼吸が短くなるか或いは足が浮腫む。米国だけでも、4百万人以上の人々が心不全であると診断されている。心不全の患者の罹患率及び死亡率は高い。
【0005】
睡眠時無呼吸は、就寝中に呼吸が一時的に欠如するか或いは停止することであると定義される。通常の呼吸間感覚よりも長い或る程度の期間に亘って空気流がなくなってしまう。この期間は、成人については10秒、幼児については8秒(又は通常の呼吸サイクル時間の2倍以上)と定義される。睡眠時無呼吸には、三つの一般的な種類がある。即ち、中枢性、閉塞性、及び混合型である。中枢性睡眠時無呼吸では、患者は呼吸しようとしない。閉塞性睡眠時無呼吸では、呼吸しようとするが状気道が閉鎖しているために空気流が発生しない。混合型睡眠時無呼吸では、最初は換気しようとしない(中枢性睡眠時無呼吸を示唆する)が、換気しようとするのが再開したときに閉塞性睡眠時無呼吸のパターンが明らかになる。最後に、呼吸低下は、個々の労力又は代謝の必要と比例しない、吸息空気流の一時的減少である。睡眠時無呼吸及び/又は睡眠障害呼吸という用語は、呼吸低下に関する。
【0006】
高血圧は、高い血圧に関し、非常に一般的な疾患である。高血圧は、心収縮期及び/又は心拡張期の血圧が高いことを特徴とする。高血圧の有病率及び高血圧と関連した合併症にも関わらず、この疾患に対するコントロールは適切とは言い難い。高血圧の人々の三分の一しか、彼等の血圧を適切にコントロールしていない。このことは、特に、治療が患者の生活の質を下げてしまう場合、及び治療の効果が患者に直ちには現れない場合に、通常は症状がない状態に対して治療を長期に亘って続行するという固有の問題点を反映している。
【0007】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、慢性気管支炎、肺気腫、及び喘息を含む。慢性気管支炎及び肺気腫は、両方とも、空気流が遮断されることにより、呼気中の患者の空気流を制限する。COPDは、基線量呼吸状態が数年の期間に亘って低下し、散発的に増悪し、多くの場合に入院を必要とすることを特徴とする、徐々に悪化する疾患である。早期症状には、喀痰の発生及び散在的急性増悪の増大が含まれる。散在的急性増悪は、咳、化膿性喀痰、喘鳴、呼吸困難、及び発熱の増大を特徴とする。疾患が進行するに従って、急性増悪が頻繁になる。この疾患の終わりには、患者は、高炭酸症、低酸素血症、溶血、右側の心不全を伴う肺性心、及び水腫を発生する。
【0008】
慢性気管支炎は、喀痰の発生を伴う慢性的な咳を特徴とし、これにより呼息が妨げられる。病理学的には、粘液水腫及び粘膜下水腫、及び炎症があり、粘液腺の大きさ及び数が増大する。肺気腫は、肺実質の破壊を特徴とし、これにより弾性反跳が失われ、気道に対する繋留(tethering) が低下し、呼息が遮断される。病理学的には、末端の気積が拡大する。
【0009】
喘息は、呼吸困難を特徴とする、別の慢性的な肺の状態である。喘息の患者は、気道が極めて敏感であり、過度に応答する。気道は、炎症を生じたり刺激が加わった場合、閉塞又は狭窄の反応を示す。これにより空気を気道に入れたり出したりするのが困難になり、呼吸窮迫をもたらす。閉塞又は狭窄により、咳、喘鳴、呼吸短縮、及び/又は胸の締め付けが生じる。場合によっては、喘鳴は寿命を脅かす。
【0010】
この他の疾患の全てにおいて、現在の内科的及び外科的治療は完全には効果的でなく、かなりの改善の余地がある。これらの疾患の治療に使用されている二つの治療は、肺リハビリ(唇窄め呼吸を含む)及び非侵襲的機械的換気である。
【0011】
肺リハビリは、医療の対象となる上述の様々な病気の患者の治療に頻繁に使用されている。例えば、COPD患者には、肺の過膨張を少なくし、呼息空気流の放出を妨げる新たな呼吸技術が教えられる。この訓練の目的の一つは、呼吸困難の程度を低下することである。代表的には、これらの新たな呼吸技術には、横隔膜呼吸及び唇窄め呼吸が含まれる。唇窄め呼吸は、鼻を通してゆっくりと息を吸い、窄めた唇(口笛を吹くようにした)を通して、息を吸うときの二倍乃至三倍の時間をかけて息を吐き出すことを必要とする。多くのCOPD患者は、彼等の呼吸困難を緩和するために唇窄め呼吸をどのように行ったらよいのかを直感的に学ぶ。更に、喘息及び他の呼吸器系の病気の患者、及び運動をしている一般的な人々は、特に労力を必要とする運動を行っているとき、唇窄め呼吸をしていることが示されてきた。
【0012】
近位部分に障害を設ける(例えば唇を窄める)と、所定の疾患状態で繋留を失った遠位気道が開放すると広く信じられている。換言すると、患者が窄めた唇を通して呼吸する場合、呼吸中に通常は虚脱する気道が開存した状態を保持するのである。更に、呼気時間を延ばすことによって、呼吸量を減少でき、幾つかの場合では、呼吸を更に規則的にする。
【0013】
DOPD患者での唇窄め呼吸の有用性は、医学文献で確認されている。特定的には、DOPD患者が唇窄め呼吸すると、呼吸量が減少し、一回換気容積が増大し、酸素飽和度が改善されるということが知られている。これらの効果は全て、患者の呼吸困難を軽減するのに寄与する。しかしながら、唇窄め呼吸は意識的努力を必要とする。かくして、患者は、就寝時には窄めた唇を通して呼吸することができない。その結果、患者は、夜間には低酸素症になり、肺高血圧及び他の続発症を発祥することになる。更に、患者は、彼自身の呼吸を常に調節しなければならない。これは他の活動を行う上で妨げとなる。これは、患者は唇窄め呼吸し続けるのに注意を払わなければならないためである。
【0014】
患者の呼吸を調節することにより利点が得られる別の疾患治療方法は、非侵襲的正圧換気(NPPV)である。NPPVは、鼻マスク、鼻プロング/ピロー、又は顔マスクによって送出される換気に関する。NPPVは、挿管や気管切開の必要をなくす。NPPVを送出する外来患者の方法には、バイレベル正気道圧力(BIPAP又はバイレベル)換気装置又は連続正気道圧力(CPAP)装置が含まれる。
【0015】
NPPVは、各呼吸サイクル中、設定された圧力を送出でき、バイレベル装置の場合には、追加の吸気圧力支援が得られる。NPPVは、睡眠時無呼吸、心不全、及びCOPD、等の疾患で非常に効験があることがわかっており、近年、ますます多く使用されるようになってきている。多くの患者は、彼等が就寝している夜間にCPAP又はBIPAPを使用する。
【0016】
しかしながら、多くの患者は、夜間NPPVを採用する上で困難を経験し、そのため、応諾する人が少ない。マスクの不快感は、初めてNPPVを行う患者で非常に一般的な問題である。これは、鼻、口、及び顔に高い圧力が作用するためであり、不快なきついストラップのためである。鼻の鬱血及び乾燥もまた、一般的な不平である。これは、季節によって変化する。マスクがきつすぎるため、鼻橋が赤くなったり潰瘍を起こしたりすることがある。目の刺激やアクネが生じる場合もある。腹の膨満や鼓腸を経験する患者もいる。最後に、鼻NPPVの患者では、口を通って空気が漏れることもまた、非常に一般的であり、睡眠から覚醒させてしまう。
【0017】
COPD、心不全、肺水腫、睡眠時無呼吸(中枢性及び閉塞性の両方)及び他の睡眠障害呼吸、嚢胞性線維症、心臓弁疾患、不整脈、不安、及びいびきを含むがこれらに限定されない医療の対象となる様々な病気の患者に対して大きな臨床上の利点を提供する、唇窄め呼吸及びNPPVの使用の両方を示した。呼息抵抗は、唇窄め呼吸及びNPPVを使用する場合に様々な生理学的機構によって臨床的改良の大部分を提供するものと考えられている。これとは対称的に、吸息支援は、多くの患者で臨床的利点を提供しないものと考えられている。例えば、COPDでは、呼息抵抗は、呼息を容易にし、一回換気容積を増大し、呼吸数を減少し、ガス交換を改善する。心不全の場合には、気道内の正圧(呼息抵抗による)が肺水腫を減少し、肺のコンプライアンスを向上し、前負荷及び後負荷を減少し、酸素分圧を上昇し、二酸化炭素分圧を減少する。多くの疾患状態において、呼息抵抗は、更に安定した呼吸数を維持するのを補助し、これにより絶大な臨床的効果を患者に提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、唇窄め呼吸と同様の効果及び/又は非侵襲的換気と同様の利点を、上述の欠点を伴わずに得ることができる医療用デバイス及び/又は手順を提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
医療の対象となる様々な疾患を治療するための呼吸デバイス及び呼吸方法を説明する。これらのデバイスの幾つかの態様は、唇窄め呼吸及び非侵襲的換気(正端呼息圧力即ちPEEPを持つ又は持たない)と同様の効果を得るため、呼息抵抗を使用する。
【0020】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、呼吸器のキャビティと連通した状態で取り外し自在に固定されるようになっている。呼吸器のキャビティは、鼻腔(例えば、外鼻孔又は鼻通路)又は口腔(例えば、口又は喉)を含んでもよい。呼吸デバイスは、通路と、通路と連通した空気流抵抗器と、呼吸デバイスを鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定するためのホールドファストとを含む。空気流抵抗器は、通路内を通過する空気の流れを変化する。詳細には、空気流抵抗器は、デバイスの使用者が適用したり取り外したりしてもよく、及びかくして医師又はヘルスケアを行うその他の人によって適用される必要はない。
【0021】
一つの態様では、呼吸デバイスは、鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定されるようになっている。呼吸デバイスは、更に、通路を支持するためのリムを含んでいてもよい。リムは、例えば、フレーム、フレームワーク、又はチューブであってもよく、使用中、特に吸気及び呼気の繰り返しサイクル中にデバイスを使用する場合に通路が虚脱しないようにする材料及び形状でできている。幾つかの態様では、リムは通路の壁の少なくとも一部を形成する。しかしながら、リムは、通路の内腔の全部又は一部を形成する別の材料()を持つ通路(又は通路の一部)を支持してもよい。
【0022】
一つの態様では、空気流抵抗器は、通路を通して吐き出される空気及び/又は吸い込まれる空気の抵抗を増大する。空気流抵抗器は、空気流に対する一方向での抵抗が、逆方向での抵抗よりも大きいように、所定の配向を備えていてもよい。例えば、空気流抵抗器は、呼吸デバイスの通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を、通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗を実質的に増大することなく、増大してもよい。空気流抵抗器は、呼吸デバイスの通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を、通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗を増大させる以上に増大してもよい。更に、呼吸デバイスは、一つの配向で、吸気中にデバイスを通る空気流に対する抵抗が、呼気中にデバイスを通る空気流に対する抵抗よりも高いように、逆にしてもよい。デバイスを逆にする(又はデバイスの空気流抵抗器部分を逆にする)ことによって、呼気中にデバイスを通る空気流に対する抵抗は、吸気中にデバイスを通る空気流に対する抵抗よりも高くなる。
【0023】
一つの態様では、空気流抵抗器は、空気流が空気流抵抗器を横切るとき又は空気流抵抗器の前後の圧力差が閾値レベルを越えた場合、通路を通して吐き出される空気及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を減少する。かくして、例えば、呼吸デバイスは、咳をしているとき、くしゃみをしているとき、鼻をかんでいるとき、又は他の空気流/圧力が高くなる場合に、通路内の空気流を妨げない(又は実質的に妨げない)。閾値は、特定の使用者についての計測又は概算に基づいて決定してもよい。例えば、閾値は、通常の呼息中の空気流又は圧力の通常のピークよりも高い値であってもよい。更に、閾値は、多くの患者から概算した代表的な値に基づいて決定してもよい。この閾値圧力は、例えば、0.1cmH2O乃至1000cmH2Oの圧力範囲内にあってもよく、更に好ましくは、0.5cmH2O乃至100cmH2Oの圧力範囲内にあってもよく、最も好ましくは、1.0cmH2O乃至50cmH2Oの圧力範囲内にあってもよい。一つの態様では、空気流抵抗器は、空気流が空気流抵抗器を横切るとき、又は空気流抵抗器の前後の空気圧力差が閾値レベルよりも下に低下した場合、通路を通る呼気及び/又は吸気に対する抵抗を増大する。かくして、呼吸デバイスは、例えば、息を吐き出し終えるときの圧力及び/又は空気流が、選択された閾値レベルよりも低い場合、デバイスに対して加えられた圧力に基づいて、息が完全には吐き出されないようにすることによって、PEEP(正端呼息圧力)の効果を発生する。閾値レベルは、個々の患者を計測した空気の圧力差、空気圧、又は空気流と対応してもよいし、患者のサンプルから計測した代表的な値等の代表的な値と対応してもよい。この閾値圧力は、例えば、0.1cmH2O乃至150cmH2Oの圧力範囲内にあってもよく、更に好ましくは、0.5cmH2O乃至30cmH2Oの圧力範囲内にあってもよく、最も好ましくは、1.0cmH2O乃至25cmH2Oの圧力範囲内にあってもよい。
【0024】
幾つかの態様では、空気流抵抗器は、入れ子式空気流抵抗器である。入れ子式空気流抵抗器は、様々な条件(例えば、様々な方向又は様々な流量又は抵抗器の前後の圧力差)で、通路内の空気の流れを変化するように形成された空気流抵抗器であってもよい。例えば、入れ子式空気流抵抗器は、様々な条件で通路内の空気の流れに影響を及ぼすように「入れ子」にした多数の空気流抵抗器の組み合わせであってもよい。かくして、第1方向の空気流に対する抵抗を増大する第1フラップバルブを、第1方向の空気流に対する抵抗が閾値よりも上である場合に開放する第2フラップバルブと組み合わせてもよい。一つの態様では、第2フラップバルブは、第1フラップバルブのフラップ部分と一体である。
【0025】
本明細書中に説明した呼吸デバイスには、実際上どのような種類の空気流抵抗器を使用してもよく、これには、フラップバルブ、膜バルブ、ヒンジ無しバルブ、バルーンバルブ、ストッパー型バルブ、ボールバルブ、等が含まれる。デバイスは、様々な「一方向バルブ構造」又は吸息に対して開放し、呼息に対して部分的に又は完全に開放する他の応答エレメントを含んでいてもよい。空気流抵抗器は、鼻腔の内部断面領域の幾つかの部分を遮る、鼻腔内に保持されたプレートであってもよい。空気流抵抗器は、吸息に対する流れ抵抗の増大を最小にしながら、呼息に対する抵抗を選択的に増大してもよい。呼息中に閉鎖した場合には、空気流抵抗器は、デバイスの設計に応じて、空気流を完全に阻止してもよいし、完全には阻止しなくてもよい。
【0026】
一つの態様では、空気流抵抗器は、呼吸デバイスを着用している使用者の吸息時間:呼息時間(I:E)比を、約3:1乃至約1:10であるように変化するように形成される。別の態様では、空気流抵抗器は、呼吸デバイスを着用している使用者の吸息時間:呼息時間比を、約1:1.5乃至約1:4であるように変化するように形成される。別の態様では、空気流抵抗器は、呼吸デバイスを着用している使用者の吸息時間:呼息時間比を、約1:3に変化するように形成される。
【0027】
呼吸デバイスの幾つかの態様では、鼻腔と使用者の外部環境との間で交換される空気の少なくとも幾分かが呼吸デバイスを通過するように、ホールドファストが、呼吸デバイスを使用者の鼻腔と連通した状態に移動自在に固定する。ホールドファストは、鼻腔と使用者の外部環境との間で交換される全ての空気が呼吸デバイスを通過するように、呼吸デバイスを使用者の鼻腔に取り外し自在に固定してもよい。呼吸デバイスは、鼻腔内に少なくとも部分的に固定されてもよいし、全体が鼻腔内に固定されてもよく、又は、全体が鼻腔の外に固定されているが鼻腔と連通していてもよい。デバイスは、外鼻孔内又はその近くに取り外し自在に固定することによって、鼻腔と連通するようになっていてもよい。
【0028】
呼吸デバイスは、呼吸デバイスの外面が鼻腔に圧力を及ぼすように、使用者の鼻腔に部分的に固定されていてもよい。例えば、外面(例えば、ホールドファスト)は、鼻腔に圧力を及ぼすように過大な大きさを備えていてもよい。
【0029】
呼吸デバイスの幾つかの態様では、ホールドファストが呼吸デバイスを使用者の両鼻腔(例えば、両外鼻孔又は鼻の両通路)と連通した状態で取り外し自在に固定する。幾つかの態様では、ホールドファストは、呼吸デバイスを使用者の両鼻腔(例えば、外鼻孔又は鼻の通路)内に取り外し自在に固定する。幾つかの態様では、ホールドファストは、呼吸デバイスを、使用者の口腔及び少なくとも一方の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する。
【0030】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、更に、有効物質を含む。幾つかの態様では、この有効物質は、薬物(例えば薬剤)である。幾つかの態様では、この有効物質は、香料等の臭気物質を含む。幾つかの態様では、有効物質は、メントール、ユーカリプタス、オイル、及び/又はフェノールを含む。
【0031】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、更に、フィルタを含む。このフィルタは、通路を通って一方の方向に流れる空気に対し、別の方向に流れる空気に対するよりも高いフィルタ作用を及ぼす(例えば、デバイスは、吸気中にはフィルタ作用を及ぼすが、呼気中にはフィルタ作用を及ぼさない)ような、移動自在のフィルタであってもよい。
【0032】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、呼吸ガス供給装置を含む。例えば、呼吸ガス(酸素、又は呼吸ガスの任意の混合物)供給装置は、呼吸デバイスと関連して使用されてもよい。幾つかの態様では、呼吸デバイスは、呼吸ガス供給装置に連結されるようになっている。
【0033】
幾つかの態様では、ホールドファストは、形態を一致できる材料で形成されている。例えば、デバイスは、ホールドファスト(又はホールドファストの一部)を圧縮することによって呼吸器のキャビティ内にぴったりと装着されてもよい。ホールドファストが拡がって呼吸器のキャビティ内に嵌まり、デバイスを所定位置に固定し、空気が呼吸デバイスを通過しない場合に呼吸器のキャビティと外部環境との間で空気の交換が行われないようにする。
【0034】
更に、鼻腔に取り外し自在に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、通路と、リムと、呼吸デバイスを少なくとも一つの鼻腔に固定するためのホールドファストとを含む、呼吸デバイスを本明細書中に説明する。リムは、デバイスを鼻腔に挿入したとき、通路を開放状態に支持するのに十分な強度を有する。呼吸デバイスの適用及び取り外しは、使用者が行うことができる。
【0035】
更に、鼻腔に取り外し自在に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、通路と、この通路内のフィルタと、呼吸デバイスを鼻腔内に固定するためのホールドファストとを含む、呼吸デバイスを本明細書中に説明する。呼吸デバイスの適用及び取り外しは、使用者が行うことができる。一つの態様では、フィルタは、吸気中(しかし呼気中ではない)又は呼気中(しかし吸気中ではない)のいずれかで、デバイスを通って流れる空気にフィルタ作用を及ぼす移動自在のフィルタである。例えば、移動自在のフィルタが、吸気中に空気にフィルタ作用を及ぼす場合には、フィルタは、呼気中、空気流の経路の外に少なくとも部分的に移動する。
【0036】
更に、患者の二酸化炭素分圧を調節する方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0037】
更に、患者の唇窄め呼吸をシミュレートする方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0038】
更に、睡眠障害の治療方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0039】
更に、慢性閉塞性肺疾患の治療方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0040】
更に、心血管系障害の治療方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0041】
更に、胃腸病障害(胃食道逆流疾患、又は裂孔ヘルニア)の治療方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0042】
更に、本明細書中に説明した呼吸デバイスと、呼吸デバイスの使用についての説明書とを含む、キットを本明細書中に説明する。
幾つかの態様では、デバイスは取り外し自在であり、患者の鼻及び/又は口内に配置される。
【0043】
呼吸デバイスの幾つかの態様では、デバイスは、実質的に口腔内に固定することによって、口腔と連通するようになっている。鼻腔と連通した状態で固定されてもよい、呼吸デバイスについて上文中に説明した実施例をこれらの態様に使用してもよい。デバイスは、デバイスの大部分(しかし、必ずしも全部ではない)が口腔内にある場合には、実質的に口腔内にあってもよい。例えば、デバイスの小さな部分が口腔から突出していてもよい。勿論、幾つかの態様では、実質的に口腔内にあるデバイスは、全体が口腔内に保持されたデバイスと呼んでもよい。
【0044】
これらのデバイスの幾つかは、可動部品がないことを特徴とするか或いは、呼息時に呼吸通路を部分的に塞ぐことができ、吸息時に呼吸通路の閉塞が最小である可動部品を備えていることを特徴とする。即ち、空気流の方向及びバルブの前後の圧力差が、閉塞の程度を決定してもよい。呼吸デバイスは、日中、夜間、又はこれらの両方で使用できる。例えば、これらのデバイスは、就寝中及び/又は仕事をしている時間中に着用してもよい。更に、デバイスは、数時間、数日、又は数週間といった長い持続時間に亘って所定位置に保持されていてもよい。
【0045】
本明細書中に説明したデバイス及び方法は、様々な疾患状態の治療に使用してもよく、必要に応じて挿入したり取り外したりできる。これらのデバイスは、更に、デバイスを鼻腔等の呼吸器のオリフィスと連通した状態で位置決めするのを補助するためのポジショナを含んでもよい。ポジショナは、例えばハンドルやグリップとしてデバイスに取り付けられていてもよい。ポジショナは、呼吸器のオリフィスと連通した状態で固定されるまで、呼吸デバイスが着座するデバイスであってもよく、ポジショナは、次いで取り外され、呼吸デバイスをその場に残す。
【0046】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、様々な疾患状態の治療で有用な鼻デバイスを含む。使用者は、便利には、デバイスを必要に応じて挿入したり取り外したりしてもよい。
医療の対象となる様々な病気の患者を、呼吸デバイスを使用して治療する方法は、口腔及び/又は鼻腔の中又はその周囲、代表的には、口又は外鼻孔の中又はその周囲の呼息流れに対する抵抗を発生する工程を含む。これらの方法は、上文中に説明したデバイスのうちの任意のデバイスを使用することを含む。例えば、固定流れ抵抗器、又は呼息に対する抵抗が吸息に対する抵抗よりも大きい可変流流れ抵抗器のいずれかの流れ抵抗器を配置することによって、空気流抵抗器を形成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
呼吸デバイス、キット、及び呼吸機能及び心血管機能を改善する上でのそれらの使用方法を本明細書中に説明する。一般的には、呼吸デバイスは、呼吸デバイス、又は単に「デバイス」と呼ばれる。本明細書中に説明したデバイス及び方法は、医療の対象となる様々な疾患状態を治療する上で有用であり、治療以外の目的でも有用である。本明細書中に説明したデバイス及び方法は、ここに説明した実施例に限定されない。特定の実施例を変更してもよく、これは、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれる。更に、説明した例及び特定の実施例は、限定を意図したものではないということは理解されるべきである。その代わり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【0048】
本明細書中に単数形で説明してあるものは、本明細書中に明らかに述べられていない限り、複数も含む。特段の記載がない限り、本明細書中で使用した全ての技術用語及び科学用語は、当業者が共通して理解するのと同じ意味を持っている。
デバイス
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、口及び/又は鼻の外鼻孔等の呼吸器のキャビティを通して肺に入ったり出たりする空気流を変化させる。呼吸デバイスは、代表的には、少なくとも部分的に空気流の妨げとなる空気流抵抗器を含む。この抵抗器は、特に、一方向の空気流(例えば呼息)に対し、逆方向(例えば吸気)よりも大きな抵抗を加える。詳細には、呼吸デバイスは、呼吸サイクルの呼息相中に呼息に対する抵抗を増大するのに使用してもよい。本明細書中に説明した多くの呼吸デバイスは、気道や空気流導管が虚脱しないようにし、薬物送出方法を提供し、望ましからぬ化学物質や作用物質を空気から除去する。
通路
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、一般的には、空気流通路及び空気流抵抗器を備えている。空気流通路(又は「通路」)は、全体として、空気を通過させることができるチャンネルを形成する。通路は、任意の適当な大きさ又は形状であってもよい。しかしながら、通路は、患者が呼吸デバイスを着用したとき、通路が患者の肺に向かって繋がる開口部を含む。患者の肺は、患者の肺から遠ざかる方向に繋がる開口部と流体連通するように形成される。「患者」という用語は、呼吸デバイスの任意の使用者を説明するのに使用され、これには呼吸デバイスを治療の目的で使用するのでない使用者が含まれる。空気流通路は、任意の適当な長さであってもよい。例えば、通路は、空気流抵抗器と同じくらい短くてもよい(例えば、空気流抵抗器を支持するのに十分なだけ延びていてもよい)。同様に、空気流通路は、空気流抵抗器を支持するのに必要な空間よりも長くてもよい。例えば、鼻腔に少なくとも部分的に挿入されるようになった呼吸デバイスの態様では、空気流通路は、外鼻孔の平均的な長さとほぼ同じであってもよい。幾つかの態様では、通路は、鼻腔の平均的な長さに亘って延びる。
【0049】
通路の中立直径(neutral diameter)は、任意の適当な大きさであってもよい。中立直径というのは、デバイスが、空気を、追加の抵抗(例えば空気流抵抗器による)なしに通路を通して流すことができる場合の通路の直径に関する。詳細には、通路の直径は、呼吸デバイスの形体に応じて変化してもよい。例えば、鼻腔に挿入されるように形成された呼吸デバイスの直径は、ほぼ鼻腔の狭幅部分の直径であってもよいし、これよりも僅かに狭幅であってもよい。口腔又は鼻腔に固定されるように形成された呼吸デバイスは、直径が比較的大きい通路を備えていてもよい。更に、通路の直径は、装置の長さに亘って変化してもよい。
【0050】
空気流通路は、空気流通路の内壁を形成する専用の構造を備えていてもよいし、デバイスの構造的構成要素であってもよい。例えば、通路は、リムが形成する通路壁を含んでいてもよい。このリムは、適当な厚さの材料でできたチューブ(即ちトンネル)であってもよい。リムは、更に、完全なチューブでなく、フレームであってもよい。リムは、通路を支持し且つ通路が使用中及び呼吸中に虚脱しないように、十分に剛性の材料でできていてもよい。幾つかの態様では、リムは、圧縮性材料で形成されており、圧縮により挿入及び取り出しを容易にできが、呼吸中に通路を支持する性能を維持し、通路が完全に虚脱しないようにする。更に、リムは、呼吸流中で、幾分圧縮性であってもよい。空気流通路(リム部分を含む)は、更に、空気流抵抗器、フィルタ、アンカー等の他の構成要素用の取り付け箇所としても役立つ。
【0051】
リムは、任意の適当な形状又は大きさであってもよい。例えば、リムは、リング形状であってもよいし、楕円形形状であってもよい。リムの内径は、通路の直径と同じであってもよい(又はこれよりも大きい)。幾つかの態様では、リムは、鼻腔に挿入した呼吸デバイスが虚脱しないようにするのに十分な強度を持つ材料で形成される。例えば、リムは、金属やポリマー(特に剛性のポリマー)等で形成されていてもよい。幾つかの態様では、リムは、軟質の材料即ち「弱い」材料で形成されていてもよい。こうした材料は、リムの最終的な形状が、呼吸デバイスが使用中に虚脱しないようにするのに十分な強度を持つように形成され、又は構成される。
【0052】
幾つかの態様では、空気流通路は、リム等の専用の構造を含まない。例えば、呼吸デバイスの空気流通路は、付着保持手段即ちホールドファスト(holdfast)等の、デバイスの別の構成要素を通過していてもよい。このような態様では、空気流通路は、ホールドファストを通る通路によって形成される。
空気流抵抗器
空気流抵抗器は、代表的には、通路を通って流れる空気の少なくとも幾分かが空気流抵抗器を通過するように、少なくとも一つの空気流通路と連通した状態に位置決めされる。かくして、空気流抵抗器は、抵抗量、空気流の程度、又はデバイスの前後の又はデバイスの通路を通る圧力差を調節し、変更し、変化し、又は一定に保持にする。幾つかの態様では、空気流抵抗器は、一方向の空気流を逆方向の空気流よりも大きく抑制する。かくして、空気流抵抗器は、肺への及び肺からの空気流を調節する。デバイスの幾つかの態様は、使用中、呼気に対する抵抗が吸気に対する抵抗よりも大きい。
【0053】
呼吸デバイスの幾つかの態様では、空気流抵抗器は、特定の方向の空気流(例えば吸息)をはっきりと感知できる程妨害せず、他方の方向の空気流(例えば呼息)を部分的に又は完全に遮断するバルブを備えている。幾つかの実施例では、このバルブにより、咳をしたり鼻を鳴らしたりする場合のように、デバイスの前後の空気流又は圧力差が所定程度に達したとき、呼息の閉塞状態を緩和できる。例えば、幾つかの実施例では、バルブは、形状記憶合金又は変形可能な材料(例えば弾性材料)で形成されたフラップを含み、バルブの前後の圧力差(呼息空気流圧力)が十分に大きい場合にフラップ自体を曲げ、これによって閉塞状態を緩和する。これは、咳をしているときに重要であり、咳をしているときに粘液及び他の物質をなくすのを容易にする。咳をした後、フラップはその元の曲がっていない形体に戻る。
【0054】
様々な種類の空気流抵抗器の例を以下に説明する。これらの例は、図6、図8、図9、図10、図11、及び図13乃至図19に示してある。空気通路を通過する空気(例えば吸息及び/又は呼息による)の抵抗を変化できる任意の空気流抵抗デバイス、特に、一方向に流れる空気の抵抗を、逆方向に流れる空気の抵抗よりも選択的に増大するデバイスを使用してもよい。バルブ型空気流抵抗器が特に適している。空気流抵抗器として使用してもよいバルブの例には、フラップバルブ(一つ又はそれ以上のフラップを備えている)、ヒンジ無しバルブ、ストッパー型バルブ、膜型バルブ、ボールバルブ、バルーン型バルブ、等が含まれる。このリストは、網羅的ではなく、この他の種類の選択的空気流抵抗器を使用してもよい。更に、マルチ空気流抵抗器を使用してもよい。これは、様々な種類の空気流抵抗器を組み合わせたものである。
ホールドファスト
呼吸デバイスは、更に、デバイスを鼻腔及び/又は口腔と連通状態に解法自在に固定するためのホールドファストを備えていてもよい。ホールドファストは、デバイスを、呼吸器系のオリフィス内(実質的に内部)又はこのようなオリフィス上等の所望の位置に位置決めし及び固定するのを容易にする。詳細には、ホールドファストにより、呼吸器のキャビティ等の呼吸空気流が加わる任意の位置にデバイスを固定し、位置決めし、及び/又は安定化できる。
【0055】
呼吸器のキャビティの例には、鼻腔及び口腔が含まれる。鼻腔は、外鼻孔(nostrils, nares) 又は鼻チャンバ、鼻限、前庭、大鼻翼軟骨、翼状線維脂肪組織、外側鼻軟骨、鼻堤、鼻腔床、鼻甲介、洞部(前頭洞、櫛骨洞、蝶形骨洞、及び上顎洞)、及び鼻中隔を含む。「鼻腔」という用語は、鼻窩の任意の副領域(例えば、一方の外鼻孔、又は鼻チャンバ)に関する。
【0056】
口腔は、口のキャビティ(例えば、前庭及び口の固有のキャビティ)、及びその任意の副領域を含む。これらの副領域には、上顎骨、下顎骨、歯肉、唇、歯、顎、舌、硬口蓋又は軟口蓋、及び歯/歯肉と唇との間の凹所又は隙間等の構造のうちの一つ以上が含まれる。
【0057】
幾つかの態様では、ホールドファストは、更に、患者の外側と気道との間で交換される空気の少なくとも幾分かが呼吸デバイスを通過しなければならないように、呼吸デバイスと気道との間にシールを固定してもよい。幾つかの態様では、ホールドファストは、全ての空気がデバイスを通して交換されなければならないように、デバイスを、呼吸器のキャビティと連通した状態で完全にシールする。幾つかの態様では、ホールドファストシールは、患者と外部環境との間で交換される空気の幾分かしかデバイスを通過しないように不完全である。本明細書中で使用したように、「空気」は、患者の外部の環境からの空気であってもよいし、任意の呼吸ガス(例えば、使用者に提供される、純酸素、混合酸素、二酸化炭素、ヘリオックス、又は他のガス混合物)であってもよい。
【0058】
幾つかの態様では、ホールドファストはアンカー又はアンカー領域を含んでもよい。
幾つかの実施例では、デバイスは、患者又はヘルスケア提供者によって、口腔と連通した状態で配置されなければならない。この場合、ホールドファストは、デバイスを口腔と連通した位置に固定するための任意の適当な機構を備えていてもよい。ホールドファストは、挿入式(例えばマウスピース型)であってもよいし、非挿入式であってもよい。非挿入式ホールドファストは、デバイスを固定するため、患者の顔の外面と一致するように形成された表面を備えていてもよい。例えば、ホールドファストは、デバイスを、使用者の呼吸器のキャビティと連通した状態で固定できる接着テープ、ストラップ、又は任意の他の構造であってもよい。ホールドファストは、使用者がデバイスを必要に応じて挿入したり取り外したりできるように、使用者の唇、歯肉、歯、舌及び/又は軟口蓋とインターフェースをなすような輪郭を持つ取り外し自在の領域を含んでいてもよい。別の態様では、デバイスは、歯肉及び歯又は唇の間の領域を使用することによって、所定位置に保持できる。
【0059】
他の実施例では、デバイスは、患者又はヘルスケア提供者によって、鼻腔内又は鼻腔の周囲に配置されるようになっている。鼻腔に適当なホールドファストでデバイスを鼻腔内の所定の位置に(外鼻孔の一方又は両方を通して)固定してもよいし、周囲構造に固定してもよい。ホールドファストは、デバイスを鼻腔と連通した状態で固定する所定の形状、表面、又は材料を含んでいてもよい。例えば、ホールドファストは円筒形形状を備えていてもよく、これによりデバイスを鼻孔内にぴったりと装着できる。デバイスの外面は、接着剤を含むホールドファストを備えていてもよい。デバイスを所定位置に保持することに加え、ホールドファストは、更に、デバイスを鼻腔と連通した状態に部分的に又は完全にシールしてもよい。ホールドファストは、挿入式機構を備えていてもよいし、非挿入式機構を備えていてもよい。幾つかの態様では、ホールドファストは、デバイスと使用者との間に、クリップやストランド等の機械的連結部を含む。
【0060】
ホールドファストは、軟質な又は柔軟な材料から形成されていてもよく、これによりシールが提供され、患者の快適性を向上する。更に、柔軟な材料は、デバイスが固定される呼吸器のキャビティ及び周囲領域(口又は鼻)の部分の血流を、デバイスが遮断する可能性を低くできる。この柔軟な材料は、プラスチック、ポリマー、布、フォーム材料、スポンジ、又は形状記憶材料を含むが、これらの材料に限定されない様々な材料のうちの一つの材料であってもよい。形状記憶材料は、好ましい同じ形状を持ち、変形又は他の態様で向きを変えたり形状を変化したりした後に、好ましい同じ形状に戻る傾向を持つ任意の材料を含む。軟質な形状記憶材料には、ウレタン、ポリウレタン、スポンジ、及び他の材料(これらの材料の「発泡」態様を含む)が含まれるが、これらに限定されない。別の態様では、ホールドファストは軟質でも柔軟でなくてもよく、その代わり、呼吸器のオリフィスと直接的にインターフェースをなす剛性構造であってもよい。例えば、少なくとも一部を鼻腔に入れて使用するように形成された呼吸デバイスの態様では、デバイスは、特定の実施例に応じて、鼻孔(又は両鼻孔)内に完全に入れてもよいし、鼻孔の外に突出していてもよい。幾つかの場合には、デバイスは、鼻孔内で見えないように、鼻腔内に十分高く配置されていてもよい。幾つかの実施例では、デバイスは完全に鼻の外側に配置されていてもよく、例えば、幾つかの態様では、ホールドファストは、鼻の外面と一致する形状を有する。かくして、ホールドファストは、適当に装着するため、及び/又はシールによりデバイスを鼻腔と連通した状態に維持するため、一つ又はそれ以上のストラップやバンド等を備えていてもよい。別の実施例では、ホールドファストは、外鼻孔に挿入した一つ又はそれ以上の突出部を備えていてもよい。幾つかの態様では、デバイスは、少なくとも一部が両外鼻孔に配置されていてもよく、ホールドファストが各外鼻孔を通して鼻腔と連通した状態で配置される二叉通路又は二つの通路を備えていてもよい。この場合、肺への吸息空気流及び肺からの呼息空気流を各外鼻孔を通して別々に又は一緒に調節してもよい。幾つかの態様では、別々のデバイスを各外鼻孔に少なくとも部分的に配置してもよく、これらのデバイスを、及び/又は患者がクリップ、テザー(繋紐)、ストラップ、バンド、チェーン、糸、等を使用して互いに連結してもよい。このようなシステムにより、デバイスを後に取り外すのが容易になり、デバイスが鼻腔内深くに移動する可能性が小さくなる。最後に、幾つかのデバイスでは、デバイスを鼻(外鼻孔を含む)の内側又は外側に、口腔に、首に、又は顔に取り付けるのを補助するため、接着剤フラップが設けられていてもよい。
材料
呼吸デバイスは、一つ又はそれ以上の任意の適当な材料で形成されていてもよい。特定の実施例では、一つ又はそれ以上の形状記憶エレメントを、ホールドファストの部分として空気流抵抗器に、又は通路に合わせた所与の形体で備えている。これらの実施例では、可撓性を提供し、加えられた力が取り除かれるに従って所定の形体をとる任意の便利な形状記憶材料を使用してもよい。例えば、形状記憶合金を使用してもよい。様々な形状記憶合金が周知であり、これらの形状記憶合金には、米国特許第5,876,434号、米国特許第5,797,920号、米国特許第5,782,896号、米国特許第5,763,979号、米国特許第5,562,641号、米国特許第5,459,544号、米国特許第5,415,660号、米国特許第5,092,781号、及び米国特許第4,984,581号、に開示された形状記憶合金が含まれる。これらの特許に触れたことにより、これらの特許に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。使用される形状記憶合金は、一般的に生体親和性合金でなければならない。生体親和性合金には、メムリ社(コネチカット州ブルックフィールド)がニチノール(ニチノール(Nitinol)は登録商標である)の名称で販売しているニッケル−チタニウム(NiTi)形状記憶合金が含まれる。この他の興味深い材料には、ばね鋼、及びポリプロピレンやポリエチレン等の形状記憶ポリマー又はプラスチック材料が含まれる。
【0061】
特にホールドファスト及び空気流抵抗器について、ゴム及びポリマー材料を使用してもよい。例えば、使用してもよい材料には、ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセテート、ポリアクリレート、スチレン−ブタジエンコポリマー、塩素化ポリエチレン、ポリ弗化ビニリデン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−ビニルアセテート−塩化ビニル−アクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアセテート−アクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアセテート−塩化ビニルコポリマー、ナイロン、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、熱可塑性ポリイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルヒド、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然ゴム、合成ゴム(クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーコポリマー、シリコーンゴム、フルオライドゴム、及びアクリルゴム等)、エラストマー(軟質ウレタン、ウォーターブロウン(water-blown) ポリウレタン等)、熱硬化性樹脂(硬質ウレタン、フェノール樹脂、及びメラミン樹脂等)が含まれる。
【0062】
デバイスの、特に使用者と接触する部分(例えばホールドファスト)に生体親和性材料を使用してもよい。上文中に説明した材料の幾つかに加え、生体親和性材料には、生体親和性ポリマー及び/又はエラストマーが含まれる。適当な生体親和性ポリマーには、ビニルアセテートのホモポリマー及びコポリマー(エチレンビニルアセテートコポリマー及びポリ塩化ビニルコポリマー等)、アクリレートのホモポリマー及びコポリマー(ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、及びヒドロキシメチルメタクリレート等)、ポリビニルピロリドン、2−ピロリドン、ポリアクリロニトリルブタジエン、ポリアミド、フルオロポリマー(ポリテトラフルオロエチレン及びポリビニルフルオライド等)、スチレンアクリロニトリルのホモポリマー及びコポリマー、セルロースアセテート、アクリロニトリルブタジエンスチレンのホモポリマー及びコポリマー、ポリメチルペンテン、ポルスルホンポリイミド、ポリイソブチレン、ポリメチルスチレン、及び当業者に周知の他の同様の化合物等の材料が含まれる。
【0063】
この他の興味深い材料には、アレルゲン、花粉、鱗屑、煙霧等に対するフィルタとして役立つ任意の材料が含まれる。フィルタをデバイス内に設けることによって、副鼻腔炎、睡眠時無呼吸、いびき、枯草熱、アレルギー性鼻炎、及び他のアレルギー性の呼吸器の状態を軽減し、又はなくす。このフィルタは、実際には、空気流抵抗器の一部であってもよいし、又はデバイスの別体の構成要素であってもよい。当業者に周知の任意の適当なフィルタ材料を、本明細書中に説明した呼吸デバイスで使用してもよい。このような材料には、活性炭チャコールフィルタ、中空糸フィルタ、等が含まれるが、これらの材料に限定されない。
【0064】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、使用中、吸気経路及び/又は呼気経路内にとどまる。幾つかの態様では、フィルタ材料は、吸息空気流及び呼息空気流の両方の経路内にとどまる。このフィルタ材料は、好ましくは、空気流に対する抵抗を、いずれの方向でも変化せず、又は両方向(吸気方向及び呼気方向)で空気流を実質的に同じ程度変化する。幾つかの態様では、フィルタは、空気流が実質的に妨げられないように、孔径が大きい材料でできている。
呼吸デバイスの作動
空気流抵抗器は、任意の方向に配置されていてもよい。例えば、デバイスの幾つかの実施例では、空気流抵抗器は、両フラップが、吸息中に閉鎖位置にあり、呼息中に開放位置にあるように配向されたバルブフラップを備えている。呼吸デバイスは、空気流抵抗器が呼息に対する抵抗を増大し、吸息に対する抵抗が比較的低いか或いは無視できるように配向されていてもよい。しかしながら、これらのデバイスは、吸息に対して大きな抵抗を提供し、呼息に対して小さな抵抗を提供するように、逆方向に配向できる。このような配向は、様々な、肺の障害、心臓の障害、炎症性障害、神経学的障害、又は他の障害に対して使用してもよく、このように抵抗を変化させることにより、胸内圧力及び気道圧力を変化させるという利点が得られる。デバイスのこの態様は、本明細書中の他の場所に記載した他の実施例と構造的に同じであってもよい。幾つかの態様では、呼吸デバイスは逆にすることができ、そのため、使用者はいずれの方向でも(例えば、一方の方向で吸息に対する抵抗を呼息に対する抵抗よりも増大するため、又は別の方向で呼息に対する抵抗を吸息に対する抵抗よりも増大するため)使用できる。幾つかの態様では、呼吸デバイスは、空気流抵抗器の方向が直ちに明らかであるように形成される。例えば、呼吸デバイスは、一方の端部の形状及び大きさが異なっていてもよく、又は視覚的表示が設けられていてもよい。一つの態様では、呼吸デバイスは、一方の方向でのみ、呼吸器のオリフィスに固定的に嵌着するように(例えば、空気流抵抗器が、呼息を、吸気を抑制するよりも大きく抑制するように)形成されていてもよい。例えば、フランジ又は他の機械的ストップを使用して適正な配向を確保すると同時に、デバイスが呼吸器のオリフィス内に更に入り込むことがないようにしてもよい。
【0065】
多くの実施例において、デバイスは、呼息に対して幾らかのレベルの抵抗を提供する。吸息に対する抵抗に影響をほとんど及ぼさないのが好ましいが、場合によっては、吸息に対する抵抗が或る程度あるのが有利である。デバイスの幾つかの態様では、吸息及び呼息の両方を空気流抵抗器によって抑制する。
【0066】
更に、デバイスは、快適であるようになっていてもよい。口腔内又はその周囲、又は鼻内又はその周囲のいずれかに配置したデバイスは、痛みを生じるものであってはならず、可能であれば、患者がほとんど気づかないものでなければならない。かくして、ホールドファストは、呼吸器のオリフィス内又はその周囲の取り付け箇所と形態が一致するように形成されていてもよい。幾つかの態様では、ホールドファストは、可撓性材料又は賦形可能な材料(例えばフォーム又は他の軟質の形状記憶材料)で形成されている。幾つかの態様では、呼吸デバイス全体が軟質材料で形成されている。
【0067】
更に、デバイスは、多かれ少なかれ他人に見えるようになっていてもよい。場合によっては、デバイスは、他人が見るのが困難であるように、外鼻孔内の十分高い場所に配置されるように形成されていてもよい。更に、デバイスは、デバイスをカムフラージュするのを補助する任意の色彩及び/又はパターンを備えていてもよい。他の態様では、夜間、又は周囲の光が少ない他の場合に見易くする蛍光色等の際立つ色彩及びパターンを含むのが有用である。
【0068】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、鼻/外鼻孔、口腔、歯、及び他の関連した解剖学的特徴の形状及び大きさが異なっているにも拘わらず、全ての患者に使用できるように、呼吸デバイスは、「一つの大きさで全ての人に装着する」ものであってもよい。一つの態様では、デバイスは、所定範囲の大きさ、例えば「大」、「中」、及び「小」(又は任意の他の適当な範囲、例えば数値範囲)に合わせて形態が定められてもよい。別の態様では、デバイスには、一つ又はそれ以上のデバイスを患者に合わせて注文製作で装着する必要がある場合がある。
【0069】
注文製作による装着により、患者の快適性が向上し、デバイスと、例えば患者の口腔、口、鼻腔、及び外鼻孔との間のシールが改良され、これによって性能が潜在的に向上する。幾つかの態様では、注文製作による装着は、デバイスを暖かい又は冷たい液体又は空気の中に置き、次いで患者の鼻や口の中に置く必要がある。このプロセスは、ホールドファストを患者に取り付けるとき、デバイスが患者の解剖学的形体の一部と対応する形状又は形体を永久的にとるように、装置の材料(例えば、特にホールドファストの材料)を「準備」しようとするプロセスである。
【0070】
本明細書中に説明したデバイスの幾つかの態様では、空気流抵抗器は、空気流の幾分かが、空気流抵抗器を通って、或いは空気流抵抗器の周囲を流れることが常に許容されるように、大きな構造(通路等)内に装着されてもよい。例えば、空気流抵抗器と、通路と連通した空気流フィルタを固定するアンカーとの間に一定の開口部が形成されていてもよい。これにより、呼息空気流及び/又は吸息空気流が完全に妨げられることが決してないようにできる。幾つかの態様では、空気流抵抗器は、「穴」又は開口部を含む。例えば、フラップバルブは、バルブが閉鎖している場合でも、空気流がフラップバルブを通って流れることができるように、フラップバルブを通る開口部を備えていてもよい。
【0071】
デバイスは、更に、一方向での空気流に対する抵抗を、デバイスに加えられた圧力に基づいて差圧に従って変化させることによって、PEEP効果を発生できる。例えば幾つかの設計では、呼息空気流には、所定の閾値圧力差又は空気流レベルに達するまで、空気流抵抗器(即ちバルブ)によって抵抗が加えられる。この閾値以下では、空気流抵抗器が更に完全に閉鎖する(潜在的には、デバイスを通る空気流を完全に遮る)。PEEPの所望のレベルは、約0.1cmH2O乃至約30cmH2Oであり、更に好ましくは、約1cmH2O乃至約15cmH2Oである。同様に、逆方向で差動抵抗が生じる場合がある。例えば、患者が咳をしたり、くしゃみをしたり、鼻をかんだ時などのように、特定の閾値よりも高い圧力レベル又は空気流レベルでは、空気流抵抗器(例えばバルブ)が開放し、空気流抵抗器による抵抗を減少する。
【0072】
デバイスが提供する呼息抵抗即ちPEEPの最適のレベルは、患者によって異なる。幾つかの態様では、適切な呼息抵抗即ちPEEPは、所望の利得を提供するために発生されるが、患者が口を通して優先的に呼吸を開始するように、過度に大きな呼息抵抗即ちPEEPを提供しない。幾つかの場合には、使用者は、ヘルスケア提供者、カメラ、ポリゾームノグラフ(polysomnograph)、又は本発明のデバイスが提供する抵抗の最適のレベル又は治療を評価するのを補助する任意の他のデバイスによる監視を受けながら、一つ又はそれ以上のデバイスを試験してもよい。
【0073】
更に、空気流抵抗器を使用することにより、吸息時間と呼息時間との比(I:E比)を変化してもよい。I:E比は、吸息時間の呼息時間に対する比であると定義される。所望のI:E比は、個々の患者の必要に応じて約3:1乃至約1:10であり、更に好ましくは、約1:1.5乃至約1:4である。幾つかの態様では、所望の比は、約1:3である。
【0074】
幾つかの態様では、デバイスは、挿入、調節、又は取り外し機構を備えている。幾つかの場合には、この機構は、デバイスの取り外し及び位置決めを容易にする任意の適当な剛性の又は非剛性のポジショナを含む。非剛性ポジショナには、チェーン、ワイヤ、糸、チェーン、縫糸、等が含まれるが、これらに限定されない。剛性ポジショナは、ノブ、ハンドル、突出部、タブ等を含む。使用者は、掴む等によりポジショナを操作し、デバイスの挿入、再調節、又は取り外しを行う。更に、様々なアプリケータ又は他の挿入デバイスを使用してもよい。例えば、鼻腔に挿入されるようになった呼吸デバイスを保持するチューブ状アプリケータを、呼吸器のオリフィスである鼻(例えば外鼻孔)内に前進させて呼吸デバイスを挿入してもよい。
【0075】
幾つかの場合には、デバイスは、過大であってもよい。デバイスを過大にすることにより、空気流の抵抗を一つ又はそれ以上の方向で低減してもよい。幾つかの態様では、デバイスを通る通路は過大であってもよい。幾つかの態様では、呼吸器のオリフィスと接触するデバイスの外部分は過大であってもよい。かくして、呼吸デバイスは、使用者の鼻腔に圧力を及ぼすことができる。閉塞性睡眠時無呼吸又はいびきの患者では、例えば、一つ又はそれ以上の外鼻孔に挿入されるように形成された呼吸デバイスの大きさにより、気道の更に末端の組織、舌、及び鼻咽腔が、吸息中に吸い込まれたり閉鎖されたりしないようにする。更に、過大な通路を通る空気流により、乱流分布を少なくし、その結果、例えばいびきの場合に騒音が発生する傾向を低減する。同様に、呼吸デバイスの通路は、空気流の乱流を減少するように形成されていてもよい。同様に、空気流抵抗器の形状及び作用を、乱流を最少にするように、及び従って、音響又は振動を最少にするように選択してもよい。
【0076】
幾つかの態様では、デバイスは、有効物質とともに使用される。幾つかの態様では、有効物質は薬物を含む。有効物質を、口、舌、硬口蓋及び軟口蓋、洞部、鼻、咽頭、声帯、喉頭、気道、肺、気管、気管支、細気管支、肺胞(alveoli, air sac)、又は吸息空気流又は呼息空気流に露呈される何らかの組織に送出するため、有効物質(例えば薬剤) 又は他の化合物をデバイスの内側又は外側に配置してもよい。幾つかの場合には、有効物質を、デバイス又はデバイスの構成要素に埋設してもよいし浸漬してもよい。幾つかの場合には、有効物質はコーティングである。有効物質は、患者にとって有用な又は望ましい任意の化合物を含む。例えば、有効物質は、メントール、フェノール、ユーカリプタスを含む臭気物質、又は吸息した空気に香りを提供する任意の作用物質であってもよい。別の態様では、有効物質は、脈管系に有効であるといった有用な効果を持つ薬物を含んでもよい。例えば、有効物質には、血管に効果がある薬物(オキシメタゾリン又は任意の他の血管作用性化合物)、鼻咽腔、気道、又は肺に効果がある薬物(アルブテロール、ステロイド、又は他の気管支収縮性化合物又は気管支拡張性化合物)が含まれる。有効物質には、例えば、抗菌剤やステロイドが含まれていてもよい。上掲の有効物質のリストは、限定を意味しない。
【0077】
有効物質は、デバイス内外の任意の部分に配置されていてもよい。更に、呼吸デバイス内の有効物質の位置により、有効物質の送出が特定的に案内される。例えば、呼吸器のキャビティの内側に配置されるように形成された呼吸デバイスの態様では、ホールドファストが有効物質を含む(例えば、コーティング、埋設、又は他の方法でホールドファストの部分に設けられている)場合、薬物は呼吸器のキャビティの粘膜を通して送出されてもよい。別の例では、有効物質は、粉体又は放出可能なコーティングとして含まれていてもよく、これはエーロゾルとなって呼吸器系内に送出される。かくして、有効物質はデバイスの表面上(例えば、通路、ホールドファスト、又は空気流抵抗器)に設けられていてもよいし、デバイスの任意の表面に埋設されていてもよい。別の薬物含有領域をデバイスに設けてもよい。有効物質の追加は、アレルギーや副鼻腔炎の治療で特に関心事である。従って、呼吸デバイス(空気流抵抗器の有無に関わらず)は、メントール又は他の香りのよい化合物等の有効物質を含んでいてもよい。
【0078】
デバイスの幾つかの態様では、空気流抵抗器が設けられていない。デバイスは、通路及びホールドファストを含んでいてもよく、リム等の追加の支持体を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。幾つかの場合には、ホールドファストは、デバイスを支持し、デバイスが移動しないようにする上で、及び呼吸サイクルの様々な相中にデバイスの通路が小さくならないように適切な半径方向支持を提供する適切な強度を備えていてもよい。この場合、デバイスの支柱が鼻腔又は口腔を開放し、吸息空気流及び/又は呼息空気流を助長する。これは、閉塞性睡眠時無呼吸及びいびきをなくす上で有用である。これは、これらの障害が、例えば外鼻孔の大きさを増大することによって治療できるためである。これは、一つには、外鼻孔及び鼻腔が負の吸息圧力により虚脱する傾向があるためである。かくして、これらの鼻の組織が虚脱しないようにすることにより、鼻咽腔の更に奥の組織が虚脱しないようにする。冒頭に記載したように、デバイスの大きさは、抵抗を小さくし且つ空気流を大きくするため、外鼻孔及び鼻腔の大きさに対して過大である。
【0079】
呼吸デバイスの製造及び組み立ては、任意の適当な方法を使用して行うことができる。使用してもよい例示の製造方法には、機械加工、押出、型打ち、等が含まれる。組み立て方法には、プレス嵌め、接着、溶接、熱成形、等が含まれる。
【0080】
次に、添付図面を参照すると、図1は、使用者の口腔に装着できる、呼吸デバイス1の一つの態様の斜視図を提供する。ホールドファスト5は、溝2及び3を備えており、そこに使用者の歯及び歯肉が優先的に着座し、かくしてデバイスを口腔に固定する。空気流抵抗器4は、上文中に説明したように、呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を変化させることができる任意の空気流抵抗器を表す。空気流抵抗器4は通路6内に着座する。
【0081】
図2は、口腔に装着できる呼吸デバイス1の別の実施例の斜視図である。この実施例では、デバイスを所定位置に固定するのを患者の歯及び/又は歯肉がホールドファストと接触することによって補助する。ホールドファストは、内フレーム10と、外フレーム12と、ポジショナ14を含む。内フレーム10は、患者の歯又は歯肉の内部分に配置される。外フレーム12は、患者の歯/歯肉の外側又は患者の唇の外側に位置決めされる。ポジショナ14は、上顎、下顎、歯、及び/又は歯肉の間に配置される。空気流抵抗器4は、呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を変化する。
【0082】
図3は、図2に示すデバイス1の図である。ここでは、デバイスは、患者の口腔内にあり、口腔から突出した状態で示してある。ホールドファストの外フレーム12は、患者の歯及び歯肉の外側にあるように示してある。通路6内の空気流調整器4は、口の呼吸通路を通した呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を調整する。この(又は任意の、例えば口腔用又は鼻腔用)呼吸デバイスで、一つ又はそれ以上の空気流抵抗器4及び/又は通路6を使用してもよい。
【0083】
図4は、呼吸デバイス1の別の実施例の斜視図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、患者の鼻腔16内に固定される。この実施例では、デバイスは、鼻の穴から突出している。デバイスの側部がホールドファストを形成する。これは、鼻通路内にぴったりと嵌まっており鼻通路から外に突出している。
【0084】
図5は、呼吸デバイス1の別の態様の斜視図である。この実施例では、デバイスは、完全に鼻通路16内に配置されている。呼吸デバイス1全体が鼻通路内にぴったりと嵌まっている。
【0085】
図6は、図4及び図5に示すデバイスと同様の呼吸デバイス1の断面図である。ホールドファスト28は、デバイスの外面を含み、鼻腔の内部分と接触する。かくして、デバイスを所定位置に固定するのに役立つ。これは、理想的には、部分的又は完全なシールを形成する。空気流が通過する通路6は、デバイスに追加の構造的支持を提供するリム30によって取り囲まれている。リム30は、特に通路の壁(例えば、ホールドファスト28によって形成されていてもよい)が十分な支持を提供する場合には必要とされない。空気流抵抗器24が通路内に設けられており、呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸引抵抗及び/又は呼息抵抗を変化させることができる。
【0086】
図7a及び図7bは、図4及び図5に示す空気流抵抗器の作動を更に詳細に示す図である。これらの断面図は、ホールドファスト28、随意のリム30、通路6、及びバルブ32として示す空気流抵抗器を示す。リム30は、ホールドファスト28とバルブ32とを分離し、バルブ32のフレームを構成し、装置全体に対して全体的な構造支持を提供する。図7aには、空気流に対する抵抗が小さい開放位置でバルブ32が示してある。図7bには、バルブを閉鎖することによって通路6の断面積を狭めたため、空気流に対する抵抗が更に大きな閉鎖位置でバルブ32が示してある。
【0087】
図8a及び図8bは、例えば図1乃至図5で説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の斜視図である。これらの図にはリム30が示してある。リム30は、デバイスを呼吸器の通路内に位置決めし固定するホールドファストの部分であってもよい。別の態様では、追加の材料(例えば柔軟な材料)をリムに取り付けてホールドファストを形成してもよい。図8a及び図8bでは、リムが空気流抵抗器24に対して支持を提供する。ここでは、空気流抵抗器は、接合部38を中心として枢動し且つ固定エレメント40に連結されたフラップ36を含むフラップバルブ機構として示してある。固定エレメント40は、この図においてリム30が形成する通路6の内領域に取り付けられている。幾つかの態様では、フラップバルブ及び通路6の内面(例えばリム30)は、単一の部品を形成してもよい。別の態様では、フラップ36、接合部38、及び固定エレメント40は、単一の部品として製造されてもよく、その場合、接合部38はヒンジであってもよい。かくして、接合部38は、ピンを備えたヒンジであってもよいし、ピンを備えていないヒンジであってもよい。別の態様では、リム30、フラップ36、接合部38、及び固定エレメント40は全て、単一の部品又は材料として形成されていてもよい。かくして、フラップ36は、患者の空気流及び空気流に対する抵抗の所望のレベルに応じて枢動できる。図8aは、呼息中にフラップ36が閉鎖位置にあり、かくして増大した抵抗を提供する空気流抵抗器を示す。幾つかの態様では、空気流抵抗器のフラップ部分は、図示のように、完全にシールする。これらの態様では、フラップ36の縁部が通路全体を(図示のように)閉鎖してもよいし、通路の一部だけを閉鎖してもよい。図8bは、フラップ36が開放位置にあり(例えば吸息中)、かくして減少した抵抗を提供する空気流抵抗器を示す。フラップ36は、吸息抵抗及び呼息抵抗の程度を調整するのを補助するため、穴又は他の開口部が設けられていてもよい(これらの穴又は開口部は、呼吸サイクルの全部又は一部中に開放したままであってもよい)。フラップ36は、好ましい開放位置又は閉鎖位置に戻ることができる。例えば、形状記憶材料、ばね(捩じりばね)、又はホールドファストがフラップ36に力を加え、その閉鎖位置に戻す。例えば、空気流抵抗器を取り囲むフォームやウレタンを使用することにより、適当な空気流がない場合にフラップ36を閉鎖するため、このような力を提供できる。更に、空気流抵抗器の2リーフ態様が考えられ、これは同様に機能する。これらの2リーフ態様には、フラップ36、接合部38、及び固定エレメント40からなる多数の組が含まれる。
【0088】
図9a及び図9bは、本明細書中に説明した任意の呼吸デバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の斜視図を示す。図示の通路の内面は、空気流抵抗器を支持するリム30を含む。この空気流抵抗器24は、更に、バルブ機構として示してある。移動自在のエレメント42a及び/又は42b(フラップ)は、互いに取り付けられておりているか或いは単一の部品から形成されている。移動自在のエレメント42a及び/又は42bは、取り付け点44a及び44bで通路(リム30として示す)の内面に取り付けられており、これらの取り付け点により、バルブは、空気流の方向及び大きさに応じてヒンジ43を中心として枢動できる。一つの態様では、取り付け点44a及び44bは、製造(例えば鋳造)プロセス中にリム30又はホールドファスト28に直接形成される。一つの態様では、ヒンジは通路の内領域に動かないように取り付けられており、フラップ42a及び42bはヒンジに移動自在(又は撓むように)に取り付けられている。図9aは、呼息中のように抵抗が高い(例えば、フラップバルブがほとんど閉鎖した)場合のこの空気流抵抗器を示し、図9bは、吸息中のように抵抗が低い(例えば、フラップバルブがほとんど開放した)場合の空気流抵抗器を示す。
【0089】
図10は、構造及び機能が図9a及び図9bに示すデバイスと同様の空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。しかしながら、図示の空気流抵抗器は、移動自在のエレメント42a及び42bが互いに対して枢動するところに内部開口部45が配置されている。内部開口部45が追加されたことにより、抵抗のレベルを変化することによって、空気流を調整する。この開口部を追加することにより、一方の方向での抵抗(例えば、フラップバルブが「閉鎖」した場合の呼息抵抗)を、逆方向での抵抗(例えば、フラップバルブが「開放」した場合の吸息抵抗)よりも大きく減少する。
【0090】
図11は、構造及び機能が図9a及び図9bに示すデバイスと同様の空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。周囲開口部46a及び46bが、完全に移動自在のエレメント42a及び42b内に、又はこれらのエレメントの周囲に配置されている。これらの周囲開口部46a及び46bもまた、吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を調整するものである。周囲開口部46a及び46bを追加することにより、抵抗のレベルを変化させ、吸息空気流及び呼息空気流を調整するのを補助する。更に、これらの周囲開口部46a及び46bを追加することにより、一方の方向での抵抗(例えば、フラップバルブが「閉鎖」した場合の呼息抵抗)を、逆方向での抵抗(例えば、フラップバルブが「開放」した場合の吸息抵抗)よりも大きく減少する。
【0091】
図12a及び図12bは、図9a及び図9b、図10、及び図11で説明したバルブ機構の作動を更に詳細に示す図である。この図では、空気流抵抗器は、呼息中の抵抗を吸息中の抵抗に対して増大するように配向してある(例えば、肺は、図12a、図12b、及び図12cで右側に配置される)。移動自在のエレメント42a及び42bは、ヒンジ43を介して互いに連結されている。図12aは、呼息中のバルブ機構を示し、この場合、移動自在のエレメント42a及び42bは、肺から外部環境への方向の呼息空気流により、閉鎖位置にある。図12bは、吸息中のバルブ機構を示し、この場合、移動自在のエレメント42a及び42bは、外部環境から肺への方向の吸息空気流により、開放位置にある。図12cは、図12a及び図12bに示すバルブ機構の変形例を示し、この場合、移動自在のエレメント42a及び42bの周囲内又は周囲上に一つ又はそれ以上の穴が設けられている。これらの穴により、呼息空気流に対する抵抗を減少し、呼息空気流の量を更に増大する。これらのバルブ機構及び形体は全て、逆の配向で配置されてもよく、その場合、吸息空気流によりバルブが閉鎖され、呼息空気流によりバルブが開放される。
【0092】
空気流抵抗器の移動自在のエレメント(フラップ)42a及び42bは、任意の適当な材料で形成されていてもよい。特定的には、材料は、呼吸プロセスによって加えられた力に耐えるのに十分な剛性を備えていてもよい。更に、丈夫な材料(呼吸器の通路の水分に耐えることができる)が望ましい。幾つかの態様では、デバイスは使い捨てであり、及びかくして丈夫さはそれ程重要ではない。更に、移動自在のエレメント42a及び42bは、空気流を過度に制限したり抵抗したりしないが、これと同時に、ごみ、花粉、アレルゲン、及び感染性の作用物質を除去できる、多孔質材料又はフィルタ等で形成されていてもよい。
【0093】
図13a及び図13bは、本明細書中に説明した任意のデバイスで使用できる別の空気流抵抗器の斜視図である。図13aは、呼息中に見られる、空気流に対する抵抗を増大する、閉鎖位置の空気流抵抗器(フラップバルブ)を示す。図13bは、吸息中に見られる、空気流に対する抵抗を開放位置に対して減少する、開放位置の空気流抵抗器を示す。引っ込められたフラップバルブの輪郭が小さいため、空気流抵抗器が「開放」しているときに空気流抵抗器によって加えられる抵抗は無視できる。移動自在のエレメント42a及び42bは、互いに取り付けられているか、単一の部品である。移動自在のエレメント42a及び42bは、固定エレメント54a及び54bによって、通路の壁(この例では、リム30によって形成される)に、リム30に、又はホールドファスト28に取り付けられる。固定エレメントは、タブ、接着剤、プレス嵌め、外部圧力(ホールドファスト28等からの)、又は当業者に周知の任意の他の方法を使用する。内部開口部45が中央に配置されており、呼息空気流(「閉鎖」状態)に対する抵抗を減少する。しかし、内部開口部45を周囲に配置することも考えられる。幾つかの態様では、バルブに設けられた開口部の大きさ及び数で、空気流抵抗器の抵抗が決まる。かくして開口部の大きさ及び数は、I:E比を決定するために選択できる。
【0094】
図14は、構造及び機能が図13a及び図13bに示す空気流抵抗器と同様の空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。図14では、移動自在のエレメント42a及び42bは、更に、強化支持体60a及び60bを備えている。これらの支持体は、移動自在のエレメント42a及び42bを部分的に又は完全に覆うように配置される。強化支持体60a及び60bは、これらの移動自在のエレメントに対し、追加の構造及び/又は支持を提供する。更に、強化支持体60a及び60bは、シールを更に確実にし、移動自在のエレメント42a及び42bの移動を標準化する。これにより、咳をした場合のように高い圧力や空気流に露呈された場合に、移動自在のエレメント42a及び42bが空気流の方向で引っ繰り返ったり座屈したりして損傷する可能性を小さくする。強化支持体60a及び60bを追加することにより、吸息又は呼息中にピューという音がしないようにする。移動自在のエレメント42a及び強化支持体60a、及び移動自在のエレメント42b及び強化支持体60bは、単一のユニットであってもよい(即ち、各「フラップ」が単一のユニットであってもよい)。別の態様では、両移動自在のエレメント42a及び42b及び両強化支持体60a及び60bが単一のユニットであってもよい。更に、図面には中央開口部45が示してある。
【0095】
図15a、図15b、及び図15cは、上文中に説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。この空気流抵抗器は、内部開口部45の代わりに別の空気流抵抗器64(「入れ子式空気流抵抗器」)を使用することを除くと、図13a及び図13bに示す空気流抵抗器と同様である。この入れ子式空気流抵抗器64は、バルブを通る流れ(又はバルブの前後の圧力差)が所定レベルよりも下に低下すると自動的に閉鎖する。これにより、空気流抵抗器(入れ子式空気流抵抗器を備えた)は、正端呼息圧力(PEEP)を提供する。図15aには、呼息中の空気流抵抗器が示してあり、空気流抵抗器の移動自在のエレメント42a及び42bは閉鎖位置にある。空気流抵抗器64の入れ子部分は、空気流抵抗器の前後の圧力差及び/又は空気流が所定レベルよりも高い限り、開放している。かくして、この図は、通路内の空気流及び圧力差が最大である場合の呼息の開始を示す。図15bは、呼息中の同じ空気流抵抗器を再び示し、空気流抵抗器の移動自在のエレメント42a及び42bは未だ閉鎖位置にある。しかしながら、入れ子式空気流抵抗器64は、この図では閉鎖位置にある。これは、空気流抵抗器の前後の圧力差及び通路を通る空気流が、もはや、閾値よりも上でないためである。この状況は、呼息の後の段階と対応しており、空気流及び圧力差が減少するか或いは低下する。かくして、呼息の終わりに、PEEPが発生する。例えば、入れ子式空気流抵抗器64は、呼吸器のオリフィス内の肺からの空気圧が5.0cmH2Oよりも低い場合には常に閉鎖するように設定されていてもよい。図15cは、吸息中のデバイスを示す。空気流抵抗器64の移動自在のエレメント42a及び42bは開放位置にあり、吸息空気流に対する抵抗を最小にできる。
【0096】
図16a及び図16bは、上文中に説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。図16aは、空気流に対する抵抗が増大する、呼息中に閉鎖位置にある無ヒンジバルブ76を示す。図16bは、空気流に対する抵抗が減少する、吸息中に開放位置にある無ヒンジバルブ76を示す。無ヒンジバルブ76は、更に、呼吸サイクルの様々な段階でいずれの方向の空気流も許容する一つ又はそれ以上の穴をその構造内に備えていてもよい。例えば、無ヒンジバルブ76は、閉鎖位置にあっても、或るレベルの呼息空気流を許容する。別の態様では、無ヒンジバルブ76は、決して完全には閉鎖しない。閉鎖状態にあっても、そのフラップは、全ての空気流を完全に遮断することはない。
【0097】
図17a及び図17bは、本明細書中に説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。図17a及び図17bに示す膜型空気流抵抗器は、コネクタ82によって空気流抵抗器の本体に取り付けられた膜80(これは、パタパタとはためくものであってもよいし、そうでなくてもよい)を含む。呼息中、図17aに示すように、膜80は、リム30及び/又は呼息中に膜80を支持するために通路の側部から(例えばリム30から)突出した並進支持体に着座する。図17bは、膜80が撓み位置にあり、これにより吸息空気流に対する抵抗を増大し、空気流抵抗器を通過する空気流を減少する吸息中の状況を示す。膜80は、吸息中及び呼息中の両方で開放したままの開口部86(又は複数の開口部)を備えていてもよい。空気流抵抗器の幾つかの態様では、膜80は、開口部を備えていない。更に別の態様では、膜80に幾つかの開口部が設けられている。
【0098】
図18a及び図18bは、本明細書中に説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の断面図である。図18aは、吸息中の空気流抵抗器を示す。吸息中、変形自在の部材90が拡がり、抵抗を減少し、空気流を増大する。図18bは、呼息中の空気流抵抗器を示す。呼息中、変形自在の部材90は、所定の配向即ち折り畳まれた形体をとり、これにより抵抗が増大し、空気流を減少する。変形自在の部材90は、好ましくは、このような空気流抵抗器がPEEP効果を提供できるようにする不参加位置(外部からの影響や圧力がない場合に好ましくい配向に対して参加しない傾向)を備えていてもよい。
【0099】
図19a及び図19bは、本明細書中に説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の断面図である。これは、ストッパー型空気流抵抗器である。図19aは、呼息時の空気流抵抗器を示し、空気流がほとんど又は全くなく、バルブの前後の圧力差が最小である。図19bは、更に強く呼息した場合の空気流抵抗器を示し、空気流が増大し、バルブの前後の圧力差が増大することを特徴とする。ストッパー92は、戻し機構94に連結される。ストッパー92には、更に、空気流を、常に又は呼吸サイクルの特定の部分で許容する開口部(吸息中に空気流を許容するが、呼息中には空気流を許容しない、例えば別の入れ子式空気流抵抗器等)が設けられていてもよく、これによって、気道と外部環境との間を流体連通する。別の態様では、ストッパー92は、吸息中に開放し且つ呼息中に閉鎖するか或いはその逆のバルブ部分を備えていてもよい。図19aでは、右から左への空気流は、戻し機構94が提供するばね力に打ち勝つには不十分であり、ストッパー92が着座支持体96a及び96bに当たってシールする。図19bでは、右から左への空気流は、戻し機構94が提供するばね力に打ち勝つのに十分であり、ストッパー92が左方に変位し、及びかくして呼息空気流が許容される。図19a及び図19bに示す機構は、一方向機構であり、デバイスはPEEPを発生できる。
【0100】
図20は、呼吸デバイスの別の実施例の斜視図であり、この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と連通した状態で配置されてもよい。図20では、ホールドファスト28が患者の鼻とデバイス1の空気流抵抗器との間に配置され、部分的な又は完全なシールを提供し、デバイスを固定し、患者に対して快適性を提供する。ホールドファスト28の断面はほぼ円形であり、患者の外鼻孔内に装着できる。
【0101】
図21は、呼吸デバイスの別の実施例の斜視図であり、この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻の開口部内に置かれてもよい。このデバイスは、ほぼ楕円形の断面を持つホールドファスト28を示す。配置、固定、シール、及び快適性を最適にするため、患者の鼻の開口部内に装着するように設計された様々な円錐形形状又は非対称形状を含む、多くのこのような断面形状が可能である。幾つかの場合には、リム30及び/又は任意の空気流抵抗器4もまた、任意の所望の断面形状をとってもよく、こうした形状には、楕円形形状又は任意の他の非円形配向が含まれる。幾つかの実施例では、ホールドファスト28は賦形可能であり、変形自在であり、又は患者がデバイスの配置の前後又は配置中のいずれかで調節できる。別の態様では、デバイスは、個々の患者に装着するように注文製作できる。これは、MRI、CT、X線、又は直接視認を含む画像様式を使用することによって、又は歯科学及び他の分野で一般的な成形技術を使用することにより行われる。
【0102】
図22は、呼吸デバイスの一実施例の断面図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と流体連通した状態で固定されてもよい。この態様では、空気流を変更する移動自在の構成要素が全く設けられていない。デバイスは、ホールドファスト28及びデバイスを支持するリム30を含む。デバイスは、抵抗を減少し且つ一つ又はそれ以上の方向で空気流を増大するため、過大になっている。幾つかの場合には、デバイスの任意の構成要素、例えばリム30に、薬物(有効成分又は非有効成分を含有する)が埋設されていてもよいし、配置されていてもよい。幾つかの場合には、デバイスの別の構成要素、例えばホールドファスト28が構造的支持を提供する限り、リム30が設けられていなくてもよいということは理解されよう。この場合、薬物は、ホールドファスト28上に又は通路内に装填されるか或いはコーティングされる。
【0103】
図23は、呼吸デバイスの別の実施例の断面図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と流体連通した状態で固定されてもよい。この図では、二つの空気流通路が設けられている。各通路は、空気流抵抗器24をその内部に備えているように示してある。ホールドファスト28が両通路を取り囲んでおり、各通路は(随意の)リム30を含む。空気流抵抗器24の各々は、空気流に対する抵抗を独立して増大し又は減少してもよいし、呼吸サイクル中に同時に又は異なる時期に作用してもよい。例えば、幾つかの場合には、吸息中、一方の空気流抵抗器24が空気流に対する抵抗を減少すると同時に第2空気流抵抗器24が空気流に対する抵抗を増大してもよい。呼息中、第1空気流抵抗器24が空気流に対する抵抗を増大し、これと同時に第2空気流抵抗器24が空気流に対する抵抗を減少してもよい。換言すると、吸息空気流は一方の位置を通って進行してもよく、呼息空気流は、同じデバイス内の第2の位置を通って進行してもよい。
【0104】
図24は、呼吸デバイスの別の実施例の断面図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と流体連通した状態で固定されてもよい。デバイスは、空気流の経路内にデバイスを横切るように配置された固定フィルタ98を備えているように図示してある。固定フィルタ98は、空気流から何らかの固体の又は液体の粒子、ごみ、臭気、アレルゲン、花粉、及び/又は感染性作用物質を除去するのに役立つ。このフィルタ98は、呼吸サイクルの全ての部分中に所定位置にほぼ固定されたままであってもよいが、或る程度移動できてもよい。患者に対して追加の利点を提供するため、薬剤がデバイスの一つ又はそれ以上の構成要素の表面内又は表面上に開始されていてもよい。固定フィルタ98を追加することによる抵抗の増大は、所望でない限り、いずれの方向でも生じない。固定フィルタ98は、当業者に周知の多くのフィルタ材料から製造できる。この固定フィルタ98は、本明細書中に説明した任意の呼吸デバイスで、空気流抵抗器4に加えて、又は空気流抵抗器4の代わりに使用できる。
【0105】
図25は、呼吸デバイスの別の実施例の断面図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と流体連通した状態で固定されてもよい。図25の呼吸デバイスは移動自在の浄化フィルタ100を備えている。このフィルタは、デバイス内に配置された状態で示してあり、空気流から何らかの固体の又は液体の粒子、ごみ、臭気、アレルゲン、花粉、及び/又は感染性作用物質を除去するのを補助する。幾つかの態様では、フィルタ100は、吸息中(又は呼息中)にだけフィルタ作用を行うように、空気流通路内の空気流(又は空気抵抗)が極めて大きい期間中(例えば、咳をしたり、鼻をかんだり、くしゃみをした期間)に通路から外れるように、移動するように形成されていてもよい。
【0106】
図26a及び図26bは、移動自在の浄化フィルタの一態様の斜視図である。移動自在の浄化フィルタは、吸息中及び呼息中の夫々で示してある。移動自在の浄化フィルタは、移動自在のフィルタ、スクラバー、又は何らかの固体の又は液体の粒子、ごみ、臭気、アレルゲン、花粉、及び/又は感染性作用物質を除去(特に選択的に除去)できる任意の他のデバイスであってもよい。この移動自在の浄化フィルタは、本明細書中に説明した任意の呼吸デバイスで、空気流抵抗器4に加えて、又は空気流抵抗器4の代わりに使用できる。図26aは、吸息中(この期間中、空気流は図の右から左に移動する)の移動自在の浄化フィルタ(移動自在のフィルタとして示してある)を示す。この場合、移動自在のフィルタエレメント102a及び102bは、互いから遠ざかるように変位する。図26bは、呼息中(この期間中、空気流は図の左から右に移動する)の移動自在の浄化フィルタを示す。この場合、移動自在のフィルタエレメント102a及び102bは、互いに向かって変位する。かくして、吸息時には、空気流は、移動自在のフィルタエレメント102a及び102bを通過し、空気から関連した物質が除去される。呼息時には、空気流は、移動自在のフィルタエレメント102a及び102b及びこれらのフィルタエレメントの周囲の両方を通過する。理想的には、移動自在のフィルタエレメント102a及び102bを追加しても、所望でない限り、いずれの方向でも抵抗は増大しない。移動自在のフィルタエレメント102a及び102bは、当業者に周知の多くのフィルタ材料から製造できる。吸息抵抗又は呼息抵抗を変化するため、移動自在のフィルタエレメント102a及び102b内に一つ又はそれ以上の開口部又は穴が配置されていてもよい。
【0107】
図27は、本発明のデバイスの別の実施例の立体図である。この図では、デバイスは取り外し自在であり、両鼻腔と連通して固定される。空気がデバイスの周囲から漏れる可能性を少なくするか或いはなくすため、鼻マスク108は、鼻及び顔に当てて固定的に位置決めされる。デバイスは、ストラップ110a及び110b(固定的に位置決めするのを容易にする)を含むホールドファスト28と、ストラップによって顔に当てて固定される鼻マスク108とを含む。マスクの空気流抵抗器116は、呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を調整する。デバイスには少なくとも一つの空気流抵抗器116が配置されているが、二つ又はそれ以上の空気流抵抗器116を使用してもよい(例えば、各外鼻孔と近接して一つづつ配置されていてもよい)。
【0108】
図28は、呼吸デバイスの別の実施例の断面図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と連通した状態で固定されていてもよい。図28では、呼吸デバイスは、更に、呼吸ガス供給装置を含む。純酸素又は混合酸素等のガスを通路に提供する呼吸ガス入口120が、呼吸デバイスに取り付けられた状態で示してある。呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を変更する空気流抵抗器24が通路内に設けられている。デバイスの幾つかの態様では、空気流抵抗器24は、呼息中、フラップ機構が呼吸ガス入口120を部分的に又は完全に閉塞し、これによって患者が吸息している場合にしかガスの放出が行われず、従って、空気流抵抗器24は或る程度開放する。呼吸ガスを提供するデバイスは、ホールドファスト28、リム30、空気流抵抗器24に、プレス嵌め、接着剤、又は何らかの他の態様によって、永久的に又は一時的に固定され、取り付けられ、又は他の態様で連結される。幾つかの場合には、呼吸ガス供給装置は、呼吸ガスを提供する、現在多数の製造者から入手できる既製品のデバイスであってもよい。
【0109】
上述のデバイス及びこれらのデバイスの使用方法は、気道の基端から先端への空気流(吸息)に対する第1空気流抵抗と、気道の先端から基端への空気流(呼息)に対する第2空気流抵抗とを提供してもよい。本明細書中に説明した呼吸デバイスのうちの幾つかでは、呼息空気流及び/又は呼息気道圧力が閾値よりも低い値(空気流抵抗器の機構を開放状態に保持するには低過ぎる圧力)まで低下した場合、呼息空気流が停止し、PEEPに至る。その結果、臨床上の利点を含む潜在的利点を患者に提供する際、通常の吸息、通常の呼息、及びPEEPが得られる。
呼吸デバイスの使用
本明細書中に説明した呼吸デバイス及び方法は、様々な治療上の目的及び治療以外の目的について使用してもよい。これらの使用の幾つかを以下に説明する。本明細書中に説明した呼吸デバイス及び方法は、他の方法で使用してもよく、これらは、網羅的であると考えられるものではない。
【0110】
一般的には、本明細書中に説明した呼吸デバイスは、デバイスを必要とする人(例えば患者)の呼吸機能及び心血管機能を改善できる。かくして、これらの呼吸デバイスは、治療で、例えば医療の対象となる様々な疾患の症状を治癒し、治療し、又は回復する上で使用してもよい。更に、呼吸デバイスは、一般的には、人の健康及び福祉を改善する上で有用である。
【0111】
本明細書中に説明したデバイス及び方法によって治療してもよい疾患状態には、心不全(右側及び/又は左側)、COPD、肺水腫、睡眠時無呼吸(閉塞性及び/又は中枢性)、睡眠時無呼吸、シェーン・ストークス呼吸、不眠症、いびき、及び他の睡眠障害、喘息、気管支軟化症、急性肺傷害、ARDS、嚢胞性線維症、低酸素呼吸不全、胃食道逆流疾患、裂孔ヘルニア、胸やけ、高血圧、心筋梗塞、不整脈、鬱血性心筋症、心臓弁疾患(僧坊弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁の狭窄又は逆流)、卒中、一過性虚血発作、脳圧上昇、様々な炎症性疾患、及び神経変成状態が含まれる。更に、デバイスは、機械式換気装置から引き離された患者並びに術後の患者にとって有用である。
【0112】
気道内の圧力が増大することにより、心不全の一般的な結果である肺水腫の量及び頻度を低減できる。更に、心臓に後負荷及び前負荷の悪影響が作用する場合があり、例えば、心不全の患者で後負荷及び前負荷を減少してもよい。充填圧力を増大してもよいし、減少してもよい。充填圧力を減少することは、心不全の患者にとって、潜在的に有利である。多くの場合でガス交換が改善され、酸素分圧(pO2)が上昇し、二酸化炭素分圧(pCO2)が低下する。幾つかの場合には、酸素分圧レベルが実際に上昇するか或いは更に安定し、変動し難くなる。この酸素分圧レベルの安定性の向上により、例えば中枢性睡眠時無呼吸の患者やシェーン・ストークス呼吸の患者の利点が大きくなる。
【0113】
呼吸空気流に晒される体内の任意の位置(上気道、気管、気管支、鼻咽腔、口腔咽頭、鼻腔、口腔、声帯、喉頭、扁桃、及び関連した構造、舌の裏、洞部、及び鼻甲介を含むが、これらに限定されない)は、増大した気道圧力及び呼息空気流の持続時間が長くなることによる利点を得る。幾つかの場合には、これらの位置での腫脹及び水腫を減少し、これにより、気道及び空気流が通過する導管の直径を増大する。これにより、これらの構造が吸息時に虚脱する傾向をなくす。更に、吸息時及び呼息時にこれらの構造が騒音を発生し難くなり、これによって、いびきの量及び/又は質を低減する。換言すると、気道の水腫を減少することにより、これらの構造を虚脱し難くし、いびき、無呼吸、又は呼吸低下の量及び頻度を減少する。更に、腫脹及び水腫の減少及びこれらの正圧によるリンパ流の改善により、例えば鼻の鬱血、炎症、及び副鼻腔炎が減少する。
【0114】
呼吸デバイスは、更に、肺のコンプライアンスを高める。例えば、呼吸デバイスを用いない場合に肺及び肺胞内にある流体を、増大した気道圧力によって出すことができる場合には、肺のコンプライアンスが部分的に向上する。肺のコンプライアンスの向上は、呼吸を容易にし、特定の一回換気容積を得るために横隔膜を所定距離変位させるのに患者が行う必要がある労力及び力を低減できる。更に、肺のコンプライアンスが向上することにより、肺胞と口との間の圧力差を減少できる。このように圧力差が減少するため、吸息を試みることによる上気道の虚脱が起こり難くなる。かくして、肺のコンプライアンスの向上により、閉塞性睡眠時無呼吸エピソード又は呼吸低下エピソードの頻度又は重篤性を低減する。同様に、いびきの頻度及び重篤性が、同様の理由で低減する。
【0115】
呼吸デバイスは、更に放出画分(ejectin fraction)を改良してもよい。この効果は、胸腔内圧の上昇及び経壁在性圧力の変化によって得られ、不全状態の心臓に前負荷及び後負荷の有用な効果をもたらす。心臓の左側に及ぼされた利点に加え、心臓の右側にも有利な効果がもたらされる。本明細書中に説明した呼吸デバイスで放出画分を改良することにより、心臓組織のエネルギ特性及び生物学的特性に、短期間及び長期間に亘って良好な変化が及ぼされる。これらの良好な変化の幾つかは、エーコン社(ミネソタ州セントポール)及びパラコー・メディカル社(カリフォルニア州サニベール)が開発した様々な複雑な心臓支援装置で治療した心臓で見られる良好な再建的変化と似ている。これらの呼息抵抗器は、患者自体の胸郭内圧を使用して患者の心臓を「支援」する。更に、本明細書中に説明した呼吸デバイスによって提供された支援が心室だけに限定されないため、心不全及び他の心臓又は肺の疾患による重篤な悪影響を受けていることのある心房も支援する。左心室及び左心房の大きさが、短期及び長期の両方で減少する。更に、交感神経による心臓の活動化が低下し、心臓の出力が、提供される抵抗の性質に応じて増大し、又は減少する。
【0116】
本明細書中に説明した呼吸デバイスにより呼息抵抗を高め、胸郭内圧を上昇することにより、様々な他の有利な効果が得られる。こうした効果の例には、心拍数及び血圧を下げることが含まれる。心房心室上及び心室の細動及び頻拍、心ブロック、及び他の一般的な不整脈を含むがこれらに限定されない多くの不整脈を低減できる。かくして、本明細書中に説明した呼吸デバイスもまた、心臓の突然死及び他の心臓の障害の発生を低減できる。更に、冠状灌流(coronary perfusion)の増大を期待してもよい。更に、呼息抵抗及び胸郭内圧の上昇により、胃食道逆流疾患(即ち胸やけ)、胃炎、バレー食道、食道癌、裂孔ヘルニア、及び他の横隔膜ヘルニアの原因が改善される。この効果は、胸郭内の食道が、胸郭内圧の上昇により圧縮されることによって得られる。その結果、食物及び他の胃内容物が、食道に逆流することはもはやない。食道への逆流は、患者が横たわっている場合に一般的に起こる。ヘルニア(主に裂孔ヘルニア)が低減され、胸郭内圧の上昇により腹部に押し戻される。これらの呼吸デバイスを使用すると、この他の胃腸病学的状況について、上文中に説明したよりも大きな有利な効果がもたらされる。
【0117】
僧坊弁、三尖弁、肺動脈弁、及び大動脈弁の逆流、及び僧坊弁、三尖弁、肺動脈弁、及び大動脈弁の狭窄を含むがこれらに限定されない心臓弁疾患もまた、本明細書中に説明した呼吸デバイスにより改善される。詳細には、呼吸デバイスは、僧坊弁の逆流に効果を及ぼし、環状拡張(心不全の副生物であり、一般的な心拡張である)が起こらないようにするのを補助する。
【0118】
本明細書中に説明した呼吸デバイスを使用することにより、呼吸数が減少する。これは、COPD、喘息、過呼吸、及びとりわけパニック障害を含む不安障害、等の疾患で非常に有用である。吸息時間の呼息時間に対する比(I:E比)は、本装置により減少する。一回換気容積は増大する。例えば、COPDの場合、抵抗の増大により、呼息機能の改善を促す。これにより、更に、患者は、大きな一回換気容積及び増大した1分間換気量の利点を受けることができる。呼吸デバイスがPEEP(正端呼息圧力)を発生する実施例では、PEEPの量(即ち装置が発生する抵抗)は、COPDの患者で一般的な内在性PEEPの幾つか又は全てよりも大きい。COPD又は他の肺障害の患者では、ガス交換が改善される。この場合、ガス交換は、身体からのCO2の除去及び吸息した空気から血流へのO2の追加に関する。特にCOPDの患者で、更に一般的には、本デバイスで治療した全ての患者で、酸素分圧が上昇し、二酸化炭素分圧が減少する。更に、酸素飽和度が上昇し、ヘモグロビンとの酸素の結合が向上することを反映する。
【0119】
呼吸デバイスが提供するこの他の利点には、横隔膜の疲労の低減、及び呼吸筋の効率の向上が含まれる。これにより、肺疾患、更に特定的にはCOPD、及び嚢胞性線維症の患者の呼吸をかなり容易にする。
【0120】
上述のように、本明細書中に説明した呼吸デバイスは、呼吸数を減少する。ゆっくりと呼吸する技術は、血圧を下げるということが示されてきた。かくして、本デバイスは、高血圧(全身性高血圧及び肺性高血圧)の患者を含む患者の血圧を減少する。血圧は、心収縮期及び/又は心拡張期で低下する。血圧の低下は、心収縮期又は心拡張期で1mmHg乃至70mmHgである。これにより、患者を通常レベル(<140/80mmHg)又は通常に近いレベル(<160/100mmHg)にする。高血圧の治療を受けている患者では、本デバイスは、薬物を投与するための補助的療法として、又は患者によっては独立型の療法として使用できる。幾つかの態様では、本明細書中に説明した呼吸デバイスは、治療中止後数週間又は数カ月長期間に亘る効力を提供するため、数日乃至数週間又は数カ月のスパンで、短期間(数分間、数時間、又はそれ以上)使用してもよい。治療は、15秒乃至24時間に亘って続けられ、例えば数時間乃至数日の単位で、規則的な又は不規則な間隔で繰り返されてもよい。デバイスは、呼吸数を減少するため、夜間又は日中に、起きているときでも寝ているときでも着用してよい。デバイスが所定位置にある場合、又はデバイスを取り外した後、血圧及び/又は心拍数の低下が見られる。これはホルモンの作用による。ホルモンの作用は、デバイスが所定位置にある期間よりも長い期間に亘って効果を持続する。更に詳細には、デバイスは、交換神経系又は副交感神経系のいずれかを通して作用する。
【0121】
呼息抵抗は、更に、呼息時間を長くする。これにより呼吸数が減少する。かくして、本明細書中に説明したデバイスは、呼吸数を減少するのに使用してもよい。これには、不眠症の治療を行う上で利点がある。これは、副交感神経の刺激を増大し、交換神経の刺激を減少することにより、及び/他のホルモン的効果及び非ホルモン的効果により、使用者にリラックスした感覚を生じるためである。更に、これにより、満足のいく状態にある感覚、即ちリラックスした感覚を生じ、使用者が容易に早く眠りに就くことができるようにし、睡眠の質及び量を高める。かくして、本明細書中に説明した呼吸デバイスは、新規な非薬理学的不眠症治療方法を提供し、リラックスした状態を促す。デバイスは、前記リラックス及び満足のいく状態を生じるため、日中及び/又は夜間に亘って使用してもよい。
【0122】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、更に、無効な吸息、非生産的吸息、又はその他の乱れた吸息(閉塞性睡眠時無呼吸又は限定的肺疾患)を特徴とする障害を治療し又は回復するのに使用してもよい。例えば、デバイスを所定位置に置いた状態で、患者は、呼気後の肺の容積が僅かに増大する。換言すると、本デバイスの幾つかの態様を使用した場合、呼気後、通常よりも多くの空気が肺の中に存在するのである。虚脱する肺胞の数が少なく、かくして吸息が更に容易になる。これは、続いて行われる呼吸中の肺胞を再開放するのに要する労力が少ないためである。更に、肺の鬱血及び肺水腫が減少し、そのためコンプライアンスが向上する。その結果、患者が吸気に要する労力が小さくなる。そのため、必要な圧力差(肺胞と口との間の圧力差)が小さくなる。圧力差が小さければ小さい程、空気を伝達する患者の気道(上気道及び咽頭組織)が虚脱する可能性が小さくなり、かくして、閉塞性睡眠時無呼吸、呼吸低下、及びいびきの可能性を小さくする。
【0123】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、感染性疾患にも有効である。このような疾患には、肺炎(コミュニティーや病院で感染した)、結核、気管支炎、HIV、及びSARSが含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
呼吸デバイスは、肺又は心臓のリハビリでも有用である。例えば、デバイスは、慢性気管支炎、肺気腫、喘息、肺線維症、嚢胞性線維症、及び肺高血圧が含まれるが、これらに限定されない慢性肺疾患の患者で使用してもよい。別の態様では、デバイスは、狭心症、心筋梗塞、右側又は左側の心不全、鬱血性心筋症、高血圧、弁疾患、肺塞栓、及び不整脈が含まれるが、これらに限定されない心疾患の患者で使用してもよい。
【0125】
肥満症の患者もまた、本明細書中に説明した呼吸デバイスを使用することにより利点を受ける。肥満症は、運動不耐性を招く。これは、部分的には、運動中の代謝要求を増大し、機能的残気量(FRC)の減少及び無気肺の発生により、換気機構を変化させてしまう。更に、肥満症は、身体の運動中に通常の心臓出力応答よりも高い心臓出力応答を必要とするため、心臓予備力を減少する。これにより全身性高血圧を生じ、左心室の後負荷を増大する。かくして、デバイスは、無気肺を復元し、FRC、心臓出力、及び血圧に有効な作用をもたらすことにより、肥満症の患者で有用である。
【0126】
呼吸デバイスは、更に、運動選手が有酸素運動及び無酸素運動の両方で使用してもよい。これは、部分的には、心臓及びガス交換に有利な効果が直接及ぼされるためである。幾つかの態様では、吸息空気流の量を増大し、ガス交換のために肺に伝達される酸素の量を増大するため、過大であってもよい。
【0127】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、更に、治療効果及び非治療効果を睡眠に及ぼすために使用してもよい。睡眠の質が改善され、睡眠の波が更にゆっくりとし、覚醒頻度が低く、REM睡眠が改善される。使用者は、生産性が高い睡眠をし、日中に疲れることが少なくなる。更に、デバイスを夜間(例えば使用者が就寝しているとき)しか使用しない場合でも、デバイスの有利な効果は、使用期間を越えて日中にも延びる。幾つかの場合には、交換神経系の興奮が減少し及び/又は副交感神経系の興奮が増大する。かくして、本デバイスは、自律神経系に良好な効果をもたらす。これは、全身的に並びに局所的に、上文中に説明したよい効果をもたらす。
【0128】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、鼻腔及び口腔以外の位置の、身体の任意の位置で使用してもよい。確かに、呼吸空気流の進入位置又は出口位置として役立つか或いは空気流用の気道又は導管として役立つ身体の任意の位置は、本明細書中に説明したデバイスを使用することにより恩恵を受ける。例えば、小口の場所(stoma site)内、その外表面、又はその近くで使用してもよい(例えば、気管切開後の患者で使用するため)。
【0129】
更に、上述の副交感神経系又は交換神経系による効果、及び/又は迷走神経及びその刺激の効果により、呼吸デバイスを使用して炎症(様々な疾患状態で存在する)を減少できる。炎症サイトカインカスケード(inflammatory cytokine cascade) による任意の状態の治療は、本明細書中に説明したデバイス及び方法の範囲内にある。幾つかの実施例では、マクロファージから前炎症サイトカインが放出されることにより炎症サイトカインカスケードに悪影響が及ぼされる状態を治療するため、に呼吸デバイスを使用する。この状態は、炎症サイトカインカスケードにより、敗血症性ショック等の全身反応を生じる状態であってもよい。別の態様では、慢性関節リウマチにおけるように、局所的炎症サイトカインカスケードにより、この状態が生じる。本明細書中に説明した呼吸デバイスを使用して有効に治療される状態の例には、虫垂炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、潰瘍、偽膜、急性又は一過性の大腸炎、憩室炎、喉頭蓋炎、弛緩不全、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、クローン病、腸炎、ウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、臓器の虚血、再灌流傷害、臓器の壊死、枯草熱、敗血症(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素ショック、悪液質、異常高温症、好酸球性肉芽腫、サルコイド症、敗血症性流産、副睾丸炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、間質性肺炎、超微小火山性珪素塵肺(pneumoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis) 、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、副鼻腔炎、インフルエンザ、呼吸器のシンシチウムウィルス、ヘルペス、散在性細菌、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア症、アメーバ症、嚢腫様水様液(hydatid cysts) 、火傷、皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、蕁麻疹、疣贅、膨疹、血管炎(vasulitis) 、血管炎(angiitis)、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心外膜炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、アルツハイマー病、腹腔病、鬱血性心不全、成人呼吸困難症候群、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓、ギラン−バレー症候群、神経炎、神経痛、脊髄傷害、麻痺、ぶどう膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、ページェット病、通風、歯根膜疾患、慢性関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、スロイヂチス(thryoiditis )、全身性エリスマトーデス、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植片拒絶反応、移植片−受容者病、糖尿病、剛直性脊椎炎、ベルジェロン病(Berger's disease)、レチエール症候群(Retier's syndrome) 、又はホジキン病(悪性リンパ腫)が含まれるが、これらに限定されない。
【0130】
更に、呼吸デバイス及びその使用方法は、種類が異なる様々な動物によって使用され、又はこれらの動物に適用される。こうした方法及びデバイスが使用される例示の動物には、犬類、猫類、馬類、牛類、羊類、霊長類、特に人類が含まれるが、これらの動物に限定されない。本明細書中に説明した呼吸デバイスは、使用のために包装してもよい。例えば、呼吸デバイスは個々に包装してもよいし、セットをなして(例えば、特に各外鼻孔で個々のデバイスを使用する態様では、対をなしたもののセットで)包装してもよい。更に、包装を殺菌してもよく、殺菌でき、即ち清浄である。
【0131】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、更に、これらのデバイスのうちの少なくとも一つを含むキットの部分として提供されてもよい。こうしたキットの例には、呼吸デバイス及びデバイスの使用方法についての説明書が含まれていてもよい。説明書は、一般的には、適当な記憶媒体に記録される。例えば、説明書は、紙やプラスチック等の基材に印刷してあってもよい。このように、説明書は、パッケージの挿入体としてキットに、キットの容器のラベル又はその構成要素(即ち、パッケージ又はサブパッケージと関連して)に設けられていてもよい。他の実施例では、説明書は、コンピュータが読み取ることができる記憶媒体、例えばCD−ROM、フロッピーディスク、等に記憶した電子的記録データファイルとして設けられる。説明書は、デバイスの使用方法についての完全な説明書、又は使用者を追加の説明書に導く参照記号(例えば、ワールドワイドウェブに投函された説明書についてのウェブサイトアドレス)を含むどのような形態をとってもよい。
例
以下の例は、単なる例であって限定ではない。
A.口腔での取り外し自在の適用
口腔で使用するようになった呼吸デバイス(図1、図2、及び図3に示すデバイスのうちの任意のデバイス)を、医療従事者又は対象者が、対象者の口の中に置く。呼吸デバイスを対象者の歯、歯肉、舌、唇、口蓋、又は口腔の形状、又は顎、鼻、頤(おとがい)、又は皮膚を含む周囲の解剖学的構造によって所定位置に固定してもよい。呼吸デバイスは、更に(別の態様では)、接着剤、固定ストラップ、又は他のホールドファストを使用して固定してもよい。接着剤を使用すると、デバイスと口腔との間のシールが更に改善される。デバイスは、患者が起きているとき又は就寝しているとき、夜間でも日中でも着用してもよい。幾つかの場合では、デバイスを長期間に亘って(例えば、数分間、数時間、数日)連続的に着用してもよい。これらのデバイスは、COPD、心不全、睡眠時無呼吸、不眠症、高血圧、胃食道逆流疾患、裂孔ヘルニア、及び上文中で言及した医療の対象となる他の状態を患っている対象者に利点を提供しようとするものである。
【0132】
幾つかの実施例では、デバイスは以下のように作用する。吸気中、空気流が外部環境から気道及び肺に進行するとき、バルブ機構は開放位置にとどまる。開放位置というのは、吸気中の空気流に対する抵抗が呼気中よりも小さい、任意の位置を意味する。これは、上文中に記載した任意の空気流抵抗器を使用することによって達成できる。呼気中、気道及び肺から外部環境への空気流が発生し、空気流抵抗器(例えばバルブ機構)がこの呼気空気流に吸気中よりも大きな抵抗を加える。かくして、吸気中の抵抗は、呼気抵抗よりも小さく、所望の効果を対象者に提供する。
B.鼻腔での取り外し自在の適用
鼻腔で使用するようになった呼吸デバイス(例えば、図4、図5、図20、及び図21に示す任意のデバイス)を、医療従事者又は対象者自身が、対象者の一つ又はそれ以上の外鼻孔の中に置く。呼吸デバイスは、鼻腔と、デバイスのホールドファストとの間の相互作用によって、図4及び図5に示すように、対象者の外鼻孔内の所定の場所に固定されてもよい。接着剤を使用すると、デバイスと鼻腔との間のシールが更に改善される。デバイスは、患者が起きているとき又は就寝しているとき、夜間でも日中でも着用してもよい。幾つかの場合では、デバイスを24時間ぶっとおしで着用してもよい。これらのデバイスは、COPD、心不全、睡眠時無呼吸、不眠症、高血圧、胃食道逆流疾患、裂孔ヘルニア、及び上文中で言及した医療の対象となる他の状態を患っている対象者に利点を提供しようとするものである。
【0133】
幾つかの実施例では、鼻腔に着用した呼吸デバイスは以下のように作用する。吸気中、空気流が外部環境から気道及び肺に進行するとき、バルブ機構は開放位置にとどまる。開放位置というのは、吸気中の空気流に対する抵抗が呼気中よりも小さい、任意の位置を意味する。これは、上文中に記載した任意の空気流抵抗器を使用することによって達成できる。呼気中、気道及び肺から外部環境への空気流が発生し、バルブ機構がこの呼気空気流に吸気中よりも大きな抵抗を加える。かくして、吸気中の抵抗は、呼気抵抗よりも小さく、所望の効果を対象者に提供する。幾つかの態様では、両外鼻孔の空気流を調節するのが好ましい。例えば、単一の呼吸デバイスで鼻腔内への空気流を調節するのが望ましく(図27参照)、両外鼻孔に対して空気流抵抗器を持つ一つの呼吸デバイスを提供するのが望ましく、又は一方の外鼻孔を通る全ての空気流を遮断し、他方の外鼻孔を通る空気流を調節するのに呼吸デバイスを使用するのが望ましい。
C.鼻腔での取り外し自在のフィルタの適用
呼吸デバイスの使用方法の一実施例では、図24又は図25のいずれかに示す呼吸デバイスを、医療従事者又は対象者が、対象者の一つ又はそれ以上の外鼻孔の中に置く。呼吸デバイスは対象者の外鼻孔に固定される(例えば、デバイスのホールドファストと対象者の外鼻孔との間の相互作用によって)。接着剤を使用すると、デバイスと鼻腔との間のシールが更に改善される。デバイスは、患者が起きているとき又は就寝しているとき、夜間でも日中でも着用してもよい。幾つかの場合では、デバイスを連続的に着用してもよい。これらのデバイスは、アレルギー、アレルギー関連疾患、副鼻腔炎、鼻後方漏、及び上文中に説明した医療の対象となる病気を患っている対象者に利点を提供するものである。
【0134】
幾つかの実施例では、デバイスは以下のように作用する。吸気中、固定浄化フィルタ98及び移動自在の浄化フィルタ100が、外部環境からの空気流に、気道及び肺に入る前にフィルタ作用を及ぼす。空気流が気道及び肺から外部環境へ進行する呼気中、固定浄化フィルタ98は空気流経路にとどまるが、移動自在の浄化フィルタ100は撓むか或いは移動し、この浄化フィルタ100を通過する空気流を少なくする(多くの空気流がその周囲を通過する)。いずれの場合でも、浄化フィルタが呼息空気流又は吸息空気流のいずれにも追加の提供を加えないのが好ましいが、場合によっては、呼息空気流及び/又は吸息空気流に提供を加えるのが望ましい。
D.外鼻孔の開口部への取り外し自在の適用
呼吸デバイスの使用方法の一実施例では、図22に示すデバイスを医療従事者又は対象者が、対象者の一つ又はそれ以上の外鼻孔の中に置く。この場合、呼吸デバイスは、患者の外鼻孔によって所定の場所に保持される。デバイスは、患者が起きているとき又は就寝しているとき、夜間でも日中でも着用してもよい。幾つかの場合では、デバイスを連続的に着用してもよい。このようにして、これらのデバイスは、睡眠時無呼吸、いびき、及び本明細書中に記載した、医療の対象となるその他の病気を患っている対象者、並びに運動者としてのパフォーマンスの向上を臨む対象者に利点を提供するものである。
【0135】
幾つかの態様では、デバイスは以下のように作用する。吸気中、デバイスは外鼻孔をぽんと開放し、空気流に対する抵抗を小さくし、鼻内の負圧によって外鼻孔が虚脱したり部分的に閉鎖したりしないようにする。呼気時には、デバイスは、外鼻孔をこの場合もぽんと開放し、空気流に利用できる内腔の大きさを増大することによって、呼気空気流を容易にする。
【0136】
本呼吸デバイスは、多くの患者が直感的に採用している唇窄め呼吸の効果をまねることによって、又は非侵襲的換気によって発生する呼息抵抗をまねることによって、患者の呼吸器系、心臓、及び全体としての健康を改善するものである。本明細書中に記載したデバイスは、生理学的には、唇窄め呼吸で経験するのと同じ有利な効果、特定的には、酸素飽和度の上昇、呼吸回数の減少、一回換気容積の増大を提供する。デバイスは、更に、血圧の低下、後負荷の減少、前負荷の減少、心拍数の低下、及び放出画分の改善を含む有利な効果を心臓に提供する。これにより、患者が、高血圧、肺水腫、睡眠時無呼吸、及び慢性閉塞性肺疾患又は心不全の他の続発症を発生する可能性を低下する。更に、デバイスは、患者が常に唇を窄めること、又は非侵襲的換気デバイスに呼吸チューブを介して連結しなければならないことから解放するという大きな利点を提供する。就寝中には行うことができない唇窄め呼吸や、主に夜間に使用される(日中の活動中には使用できない)非侵襲的換気デバイスとは異なり、これらのデバイスは、まる一日に亘り、増大した呼息抵抗を提供する。更に、吸息した空気を浄化し、外鼻孔をぽんと開放する呼吸デバイスを提供してもよい。これらのデバイスは、アレルギー、副鼻腔炎、睡眠時無呼吸、及び本明細書中に記載したその他の病気等の疾患の新規な非侵襲的治療方法を提供する。
【0137】
本明細書中で引用した全ての刊行物及び特許出願に触れたことにより、これらに開示された内容は、個々の刊行物及び特許出願の各々に開示された内容が特定的に及び個々に組み込まれたのと同様に、本明細書中に含まれたものとする。任意の刊行物の引用は、出願日以前のその開示について行われ、これは、本発明が、従来の発明によるこれらの刊行物の日付以前に権利を得たものではないと解釈されるべきではない。
【0138】
以上、理解を明瞭にするため、本発明を例として或る程度詳細に説明したが、本発明の教示により、特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に対して或る程度の変形及び変更を行うことができるということは、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】図1は、口腔用の呼吸デバイスの斜視図である。
【図2】図2は、口腔用の別の呼吸デバイスの斜視図である。
【図3】図3は、デバイスを患者の口腔内に位置決めした、図2に示すデバイスの斜視図である。
【図4】図4は、鼻腔用の呼吸デバイスを示す図である。
【図5】図5は、実質的に鼻腔内に装着されるようになった呼吸デバイスを示す図である。
【図6】図6は、空気流抵抗器がデバイス内に示してある、図4に示すデバイスの断面図である。
【図7】図7a及び図7bは、図4に示すデバイスの断面図であり、図7aは、吸気中のデバイスを示し、図7bは、呼気中のデバイスを示す。
【図8】図8a及び図8bは、呼気中の空気流抵抗器(図8a)及び吸気中の空気流抵抗器(図8b)を夫々示す、呼吸デバイスの斜視図である。
【図9】図9a及び図9bは、空気流抵抗器を、呼気中(図9a)及び吸気中(図9b)の夫々で示す、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図である。
【図10】図10は、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図であり、この図では、空気流抵抗器は呼気中の状態で示してある。
【図11】図11は、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図であり、この図では、空気流抵抗器は呼気中の状態で示してある。
【図12】図12a及び図12bは、図9a、図9b、図10、及び図11に示す呼吸デバイスの、呼気中(図12a)及び吸気中(図12b)の夫々での断面図である。
【図12c】図12cは、吸込み中の呼吸デバイスの態様の断面図である。
【図13】図13a及び図13bは、呼気中の空気流抵抗器(図13a)及び吸気中の空気流抵抗器(図13b)の夫々の、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図である。
【図14】図14は、空気流抵抗器が呼気中の状態で示してある、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図である。
【図15】図15a、図15b、及び図15cは、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図であり、図15aは、高レベルの呼気空気流及び/又は圧力中の空気流抵抗器を示し、図15bは、低レベルの呼気空気流及び/又は圧力中の空気流抵抗器を示し、及び図15cは、吸気中の空気流抵抗器を示す図である。
【図16】図16a及び図16bは、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図であり、空気流抵抗器は、呼気中(図16a)及び吸気中(図16b)の夫々で示してある。
【図17】図17a及び図17bは、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図であり、空気流抵抗器は、呼気中(図17a)及び吸気中(図17b)の夫々で示してある。
【図18】図18a及び図18bは、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの断面図であり、空気流抵抗器は、吸気中(図18a)及び呼気中(図18b)の夫々で示してある。
【図19】図19a及び図19bは、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの断面図であり、空気流抵抗器は、低圧及び/又は低空気流の呼気中(図19a)及び高圧及び/又は高空気流の呼気中(図19b)の夫々で示してある。
【図20】図20は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの斜視図である。
【図21】図21は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの斜視図である。
【図22】図22は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの断面図である。
【図23】図23は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの断面図である。
【図24】図24は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの断面図である。
【図25】図25は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの断面図である。
【図26】図26a及び図26bは、移動自在の空気フィルタを持つ呼吸デバイスの斜視図であり、移動自在の空気フィルタは、吸気中(図26a)及び呼気中(図26b)の夫々で示してある。
【図27】図27は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した別の呼吸デバイスの斜視図である。
【図28】図28は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した別の呼吸デバイスの斜視図である。
【符号の説明】
【0140】
1 呼吸デバイス
2、3 溝
4 空気流抵抗器
5 ホールドファスト
6 通路
10 内フレーム
12 外フレーム
14 ポジショナ
16 患者の鼻腔
28 ホールドファスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、2004年12月8日に出願された米国仮特許出願第60/634,715号と関連し、同特許出願の優先権を主張するものである。同特許出願に触れたことにより、この特許出願に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。
【0002】
本明細書中に記載したデバイス、方法、及びキットは、全体として、医薬品の分野に関し、更に詳細には、心血管薬、睡眠薬、肺学、胃腸病学、及び内科学の分野に関する。これに関し、ここに説明するデバイス、方法、及びキットは、とりわけ、心不全、高血圧、睡眠時無呼吸、及び他の睡眠障害、いびき、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、胃食道逆流疾患、及び様々な炎症性疾患を含む疾患の治療を行う上で有用である。
【背景技術】
【0003】
心不全、睡眠時無呼吸、及び他の睡眠障害、高血圧、いびき、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、喘息、及び多くの他の疾患を含む多くの疾患状態は、患者の呼吸を変化させることにより改善できる。
【0004】
心不全又は鬱血性心不全(CHF)は、多くの肺疾患及び心疾患の最終段階での一般的な臨床的症候群である。心不全は、心筋が弱くなり、心室がもはや通常通りに収縮しない場合に生じる変成状態である。その場合、心臓は、もはや、肺を含む身体に血液を適切に圧送できない。これにより、運動不耐性となるか或いは、流体が保持されることにより呼吸が短くなるか或いは足が浮腫む。米国だけでも、4百万人以上の人々が心不全であると診断されている。心不全の患者の罹患率及び死亡率は高い。
【0005】
睡眠時無呼吸は、就寝中に呼吸が一時的に欠如するか或いは停止することであると定義される。通常の呼吸間感覚よりも長い或る程度の期間に亘って空気流がなくなってしまう。この期間は、成人については10秒、幼児については8秒(又は通常の呼吸サイクル時間の2倍以上)と定義される。睡眠時無呼吸には、三つの一般的な種類がある。即ち、中枢性、閉塞性、及び混合型である。中枢性睡眠時無呼吸では、患者は呼吸しようとしない。閉塞性睡眠時無呼吸では、呼吸しようとするが状気道が閉鎖しているために空気流が発生しない。混合型睡眠時無呼吸では、最初は換気しようとしない(中枢性睡眠時無呼吸を示唆する)が、換気しようとするのが再開したときに閉塞性睡眠時無呼吸のパターンが明らかになる。最後に、呼吸低下は、個々の労力又は代謝の必要と比例しない、吸息空気流の一時的減少である。睡眠時無呼吸及び/又は睡眠障害呼吸という用語は、呼吸低下に関する。
【0006】
高血圧は、高い血圧に関し、非常に一般的な疾患である。高血圧は、心収縮期及び/又は心拡張期の血圧が高いことを特徴とする。高血圧の有病率及び高血圧と関連した合併症にも関わらず、この疾患に対するコントロールは適切とは言い難い。高血圧の人々の三分の一しか、彼等の血圧を適切にコントロールしていない。このことは、特に、治療が患者の生活の質を下げてしまう場合、及び治療の効果が患者に直ちには現れない場合に、通常は症状がない状態に対して治療を長期に亘って続行するという固有の問題点を反映している。
【0007】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、慢性気管支炎、肺気腫、及び喘息を含む。慢性気管支炎及び肺気腫は、両方とも、空気流が遮断されることにより、呼気中の患者の空気流を制限する。COPDは、基線量呼吸状態が数年の期間に亘って低下し、散発的に増悪し、多くの場合に入院を必要とすることを特徴とする、徐々に悪化する疾患である。早期症状には、喀痰の発生及び散在的急性増悪の増大が含まれる。散在的急性増悪は、咳、化膿性喀痰、喘鳴、呼吸困難、及び発熱の増大を特徴とする。疾患が進行するに従って、急性増悪が頻繁になる。この疾患の終わりには、患者は、高炭酸症、低酸素血症、溶血、右側の心不全を伴う肺性心、及び水腫を発生する。
【0008】
慢性気管支炎は、喀痰の発生を伴う慢性的な咳を特徴とし、これにより呼息が妨げられる。病理学的には、粘液水腫及び粘膜下水腫、及び炎症があり、粘液腺の大きさ及び数が増大する。肺気腫は、肺実質の破壊を特徴とし、これにより弾性反跳が失われ、気道に対する繋留(tethering) が低下し、呼息が遮断される。病理学的には、末端の気積が拡大する。
【0009】
喘息は、呼吸困難を特徴とする、別の慢性的な肺の状態である。喘息の患者は、気道が極めて敏感であり、過度に応答する。気道は、炎症を生じたり刺激が加わった場合、閉塞又は狭窄の反応を示す。これにより空気を気道に入れたり出したりするのが困難になり、呼吸窮迫をもたらす。閉塞又は狭窄により、咳、喘鳴、呼吸短縮、及び/又は胸の締め付けが生じる。場合によっては、喘鳴は寿命を脅かす。
【0010】
この他の疾患の全てにおいて、現在の内科的及び外科的治療は完全には効果的でなく、かなりの改善の余地がある。これらの疾患の治療に使用されている二つの治療は、肺リハビリ(唇窄め呼吸を含む)及び非侵襲的機械的換気である。
【0011】
肺リハビリは、医療の対象となる上述の様々な病気の患者の治療に頻繁に使用されている。例えば、COPD患者には、肺の過膨張を少なくし、呼息空気流の放出を妨げる新たな呼吸技術が教えられる。この訓練の目的の一つは、呼吸困難の程度を低下することである。代表的には、これらの新たな呼吸技術には、横隔膜呼吸及び唇窄め呼吸が含まれる。唇窄め呼吸は、鼻を通してゆっくりと息を吸い、窄めた唇(口笛を吹くようにした)を通して、息を吸うときの二倍乃至三倍の時間をかけて息を吐き出すことを必要とする。多くのCOPD患者は、彼等の呼吸困難を緩和するために唇窄め呼吸をどのように行ったらよいのかを直感的に学ぶ。更に、喘息及び他の呼吸器系の病気の患者、及び運動をしている一般的な人々は、特に労力を必要とする運動を行っているとき、唇窄め呼吸をしていることが示されてきた。
【0012】
近位部分に障害を設ける(例えば唇を窄める)と、所定の疾患状態で繋留を失った遠位気道が開放すると広く信じられている。換言すると、患者が窄めた唇を通して呼吸する場合、呼吸中に通常は虚脱する気道が開存した状態を保持するのである。更に、呼気時間を延ばすことによって、呼吸量を減少でき、幾つかの場合では、呼吸を更に規則的にする。
【0013】
DOPD患者での唇窄め呼吸の有用性は、医学文献で確認されている。特定的には、DOPD患者が唇窄め呼吸すると、呼吸量が減少し、一回換気容積が増大し、酸素飽和度が改善されるということが知られている。これらの効果は全て、患者の呼吸困難を軽減するのに寄与する。しかしながら、唇窄め呼吸は意識的努力を必要とする。かくして、患者は、就寝時には窄めた唇を通して呼吸することができない。その結果、患者は、夜間には低酸素症になり、肺高血圧及び他の続発症を発祥することになる。更に、患者は、彼自身の呼吸を常に調節しなければならない。これは他の活動を行う上で妨げとなる。これは、患者は唇窄め呼吸し続けるのに注意を払わなければならないためである。
【0014】
患者の呼吸を調節することにより利点が得られる別の疾患治療方法は、非侵襲的正圧換気(NPPV)である。NPPVは、鼻マスク、鼻プロング/ピロー、又は顔マスクによって送出される換気に関する。NPPVは、挿管や気管切開の必要をなくす。NPPVを送出する外来患者の方法には、バイレベル正気道圧力(BIPAP又はバイレベル)換気装置又は連続正気道圧力(CPAP)装置が含まれる。
【0015】
NPPVは、各呼吸サイクル中、設定された圧力を送出でき、バイレベル装置の場合には、追加の吸気圧力支援が得られる。NPPVは、睡眠時無呼吸、心不全、及びCOPD、等の疾患で非常に効験があることがわかっており、近年、ますます多く使用されるようになってきている。多くの患者は、彼等が就寝している夜間にCPAP又はBIPAPを使用する。
【0016】
しかしながら、多くの患者は、夜間NPPVを採用する上で困難を経験し、そのため、応諾する人が少ない。マスクの不快感は、初めてNPPVを行う患者で非常に一般的な問題である。これは、鼻、口、及び顔に高い圧力が作用するためであり、不快なきついストラップのためである。鼻の鬱血及び乾燥もまた、一般的な不平である。これは、季節によって変化する。マスクがきつすぎるため、鼻橋が赤くなったり潰瘍を起こしたりすることがある。目の刺激やアクネが生じる場合もある。腹の膨満や鼓腸を経験する患者もいる。最後に、鼻NPPVの患者では、口を通って空気が漏れることもまた、非常に一般的であり、睡眠から覚醒させてしまう。
【0017】
COPD、心不全、肺水腫、睡眠時無呼吸(中枢性及び閉塞性の両方)及び他の睡眠障害呼吸、嚢胞性線維症、心臓弁疾患、不整脈、不安、及びいびきを含むがこれらに限定されない医療の対象となる様々な病気の患者に対して大きな臨床上の利点を提供する、唇窄め呼吸及びNPPVの使用の両方を示した。呼息抵抗は、唇窄め呼吸及びNPPVを使用する場合に様々な生理学的機構によって臨床的改良の大部分を提供するものと考えられている。これとは対称的に、吸息支援は、多くの患者で臨床的利点を提供しないものと考えられている。例えば、COPDでは、呼息抵抗は、呼息を容易にし、一回換気容積を増大し、呼吸数を減少し、ガス交換を改善する。心不全の場合には、気道内の正圧(呼息抵抗による)が肺水腫を減少し、肺のコンプライアンスを向上し、前負荷及び後負荷を減少し、酸素分圧を上昇し、二酸化炭素分圧を減少する。多くの疾患状態において、呼息抵抗は、更に安定した呼吸数を維持するのを補助し、これにより絶大な臨床的効果を患者に提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、唇窄め呼吸と同様の効果及び/又は非侵襲的換気と同様の利点を、上述の欠点を伴わずに得ることができる医療用デバイス及び/又は手順を提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
医療の対象となる様々な疾患を治療するための呼吸デバイス及び呼吸方法を説明する。これらのデバイスの幾つかの態様は、唇窄め呼吸及び非侵襲的換気(正端呼息圧力即ちPEEPを持つ又は持たない)と同様の効果を得るため、呼息抵抗を使用する。
【0020】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、呼吸器のキャビティと連通した状態で取り外し自在に固定されるようになっている。呼吸器のキャビティは、鼻腔(例えば、外鼻孔又は鼻通路)又は口腔(例えば、口又は喉)を含んでもよい。呼吸デバイスは、通路と、通路と連通した空気流抵抗器と、呼吸デバイスを鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定するためのホールドファストとを含む。空気流抵抗器は、通路内を通過する空気の流れを変化する。詳細には、空気流抵抗器は、デバイスの使用者が適用したり取り外したりしてもよく、及びかくして医師又はヘルスケアを行うその他の人によって適用される必要はない。
【0021】
一つの態様では、呼吸デバイスは、鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定されるようになっている。呼吸デバイスは、更に、通路を支持するためのリムを含んでいてもよい。リムは、例えば、フレーム、フレームワーク、又はチューブであってもよく、使用中、特に吸気及び呼気の繰り返しサイクル中にデバイスを使用する場合に通路が虚脱しないようにする材料及び形状でできている。幾つかの態様では、リムは通路の壁の少なくとも一部を形成する。しかしながら、リムは、通路の内腔の全部又は一部を形成する別の材料()を持つ通路(又は通路の一部)を支持してもよい。
【0022】
一つの態様では、空気流抵抗器は、通路を通して吐き出される空気及び/又は吸い込まれる空気の抵抗を増大する。空気流抵抗器は、空気流に対する一方向での抵抗が、逆方向での抵抗よりも大きいように、所定の配向を備えていてもよい。例えば、空気流抵抗器は、呼吸デバイスの通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を、通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗を実質的に増大することなく、増大してもよい。空気流抵抗器は、呼吸デバイスの通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を、通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗を増大させる以上に増大してもよい。更に、呼吸デバイスは、一つの配向で、吸気中にデバイスを通る空気流に対する抵抗が、呼気中にデバイスを通る空気流に対する抵抗よりも高いように、逆にしてもよい。デバイスを逆にする(又はデバイスの空気流抵抗器部分を逆にする)ことによって、呼気中にデバイスを通る空気流に対する抵抗は、吸気中にデバイスを通る空気流に対する抵抗よりも高くなる。
【0023】
一つの態様では、空気流抵抗器は、空気流が空気流抵抗器を横切るとき又は空気流抵抗器の前後の圧力差が閾値レベルを越えた場合、通路を通して吐き出される空気及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を減少する。かくして、例えば、呼吸デバイスは、咳をしているとき、くしゃみをしているとき、鼻をかんでいるとき、又は他の空気流/圧力が高くなる場合に、通路内の空気流を妨げない(又は実質的に妨げない)。閾値は、特定の使用者についての計測又は概算に基づいて決定してもよい。例えば、閾値は、通常の呼息中の空気流又は圧力の通常のピークよりも高い値であってもよい。更に、閾値は、多くの患者から概算した代表的な値に基づいて決定してもよい。この閾値圧力は、例えば、0.1cmH2O乃至1000cmH2Oの圧力範囲内にあってもよく、更に好ましくは、0.5cmH2O乃至100cmH2Oの圧力範囲内にあってもよく、最も好ましくは、1.0cmH2O乃至50cmH2Oの圧力範囲内にあってもよい。一つの態様では、空気流抵抗器は、空気流が空気流抵抗器を横切るとき、又は空気流抵抗器の前後の空気圧力差が閾値レベルよりも下に低下した場合、通路を通る呼気及び/又は吸気に対する抵抗を増大する。かくして、呼吸デバイスは、例えば、息を吐き出し終えるときの圧力及び/又は空気流が、選択された閾値レベルよりも低い場合、デバイスに対して加えられた圧力に基づいて、息が完全には吐き出されないようにすることによって、PEEP(正端呼息圧力)の効果を発生する。閾値レベルは、個々の患者を計測した空気の圧力差、空気圧、又は空気流と対応してもよいし、患者のサンプルから計測した代表的な値等の代表的な値と対応してもよい。この閾値圧力は、例えば、0.1cmH2O乃至150cmH2Oの圧力範囲内にあってもよく、更に好ましくは、0.5cmH2O乃至30cmH2Oの圧力範囲内にあってもよく、最も好ましくは、1.0cmH2O乃至25cmH2Oの圧力範囲内にあってもよい。
【0024】
幾つかの態様では、空気流抵抗器は、入れ子式空気流抵抗器である。入れ子式空気流抵抗器は、様々な条件(例えば、様々な方向又は様々な流量又は抵抗器の前後の圧力差)で、通路内の空気の流れを変化するように形成された空気流抵抗器であってもよい。例えば、入れ子式空気流抵抗器は、様々な条件で通路内の空気の流れに影響を及ぼすように「入れ子」にした多数の空気流抵抗器の組み合わせであってもよい。かくして、第1方向の空気流に対する抵抗を増大する第1フラップバルブを、第1方向の空気流に対する抵抗が閾値よりも上である場合に開放する第2フラップバルブと組み合わせてもよい。一つの態様では、第2フラップバルブは、第1フラップバルブのフラップ部分と一体である。
【0025】
本明細書中に説明した呼吸デバイスには、実際上どのような種類の空気流抵抗器を使用してもよく、これには、フラップバルブ、膜バルブ、ヒンジ無しバルブ、バルーンバルブ、ストッパー型バルブ、ボールバルブ、等が含まれる。デバイスは、様々な「一方向バルブ構造」又は吸息に対して開放し、呼息に対して部分的に又は完全に開放する他の応答エレメントを含んでいてもよい。空気流抵抗器は、鼻腔の内部断面領域の幾つかの部分を遮る、鼻腔内に保持されたプレートであってもよい。空気流抵抗器は、吸息に対する流れ抵抗の増大を最小にしながら、呼息に対する抵抗を選択的に増大してもよい。呼息中に閉鎖した場合には、空気流抵抗器は、デバイスの設計に応じて、空気流を完全に阻止してもよいし、完全には阻止しなくてもよい。
【0026】
一つの態様では、空気流抵抗器は、呼吸デバイスを着用している使用者の吸息時間:呼息時間(I:E)比を、約3:1乃至約1:10であるように変化するように形成される。別の態様では、空気流抵抗器は、呼吸デバイスを着用している使用者の吸息時間:呼息時間比を、約1:1.5乃至約1:4であるように変化するように形成される。別の態様では、空気流抵抗器は、呼吸デバイスを着用している使用者の吸息時間:呼息時間比を、約1:3に変化するように形成される。
【0027】
呼吸デバイスの幾つかの態様では、鼻腔と使用者の外部環境との間で交換される空気の少なくとも幾分かが呼吸デバイスを通過するように、ホールドファストが、呼吸デバイスを使用者の鼻腔と連通した状態に移動自在に固定する。ホールドファストは、鼻腔と使用者の外部環境との間で交換される全ての空気が呼吸デバイスを通過するように、呼吸デバイスを使用者の鼻腔に取り外し自在に固定してもよい。呼吸デバイスは、鼻腔内に少なくとも部分的に固定されてもよいし、全体が鼻腔内に固定されてもよく、又は、全体が鼻腔の外に固定されているが鼻腔と連通していてもよい。デバイスは、外鼻孔内又はその近くに取り外し自在に固定することによって、鼻腔と連通するようになっていてもよい。
【0028】
呼吸デバイスは、呼吸デバイスの外面が鼻腔に圧力を及ぼすように、使用者の鼻腔に部分的に固定されていてもよい。例えば、外面(例えば、ホールドファスト)は、鼻腔に圧力を及ぼすように過大な大きさを備えていてもよい。
【0029】
呼吸デバイスの幾つかの態様では、ホールドファストが呼吸デバイスを使用者の両鼻腔(例えば、両外鼻孔又は鼻の両通路)と連通した状態で取り外し自在に固定する。幾つかの態様では、ホールドファストは、呼吸デバイスを使用者の両鼻腔(例えば、外鼻孔又は鼻の通路)内に取り外し自在に固定する。幾つかの態様では、ホールドファストは、呼吸デバイスを、使用者の口腔及び少なくとも一方の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する。
【0030】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、更に、有効物質を含む。幾つかの態様では、この有効物質は、薬物(例えば薬剤)である。幾つかの態様では、この有効物質は、香料等の臭気物質を含む。幾つかの態様では、有効物質は、メントール、ユーカリプタス、オイル、及び/又はフェノールを含む。
【0031】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、更に、フィルタを含む。このフィルタは、通路を通って一方の方向に流れる空気に対し、別の方向に流れる空気に対するよりも高いフィルタ作用を及ぼす(例えば、デバイスは、吸気中にはフィルタ作用を及ぼすが、呼気中にはフィルタ作用を及ぼさない)ような、移動自在のフィルタであってもよい。
【0032】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、呼吸ガス供給装置を含む。例えば、呼吸ガス(酸素、又は呼吸ガスの任意の混合物)供給装置は、呼吸デバイスと関連して使用されてもよい。幾つかの態様では、呼吸デバイスは、呼吸ガス供給装置に連結されるようになっている。
【0033】
幾つかの態様では、ホールドファストは、形態を一致できる材料で形成されている。例えば、デバイスは、ホールドファスト(又はホールドファストの一部)を圧縮することによって呼吸器のキャビティ内にぴったりと装着されてもよい。ホールドファストが拡がって呼吸器のキャビティ内に嵌まり、デバイスを所定位置に固定し、空気が呼吸デバイスを通過しない場合に呼吸器のキャビティと外部環境との間で空気の交換が行われないようにする。
【0034】
更に、鼻腔に取り外し自在に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、通路と、リムと、呼吸デバイスを少なくとも一つの鼻腔に固定するためのホールドファストとを含む、呼吸デバイスを本明細書中に説明する。リムは、デバイスを鼻腔に挿入したとき、通路を開放状態に支持するのに十分な強度を有する。呼吸デバイスの適用及び取り外しは、使用者が行うことができる。
【0035】
更に、鼻腔に取り外し自在に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、通路と、この通路内のフィルタと、呼吸デバイスを鼻腔内に固定するためのホールドファストとを含む、呼吸デバイスを本明細書中に説明する。呼吸デバイスの適用及び取り外しは、使用者が行うことができる。一つの態様では、フィルタは、吸気中(しかし呼気中ではない)又は呼気中(しかし吸気中ではない)のいずれかで、デバイスを通って流れる空気にフィルタ作用を及ぼす移動自在のフィルタである。例えば、移動自在のフィルタが、吸気中に空気にフィルタ作用を及ぼす場合には、フィルタは、呼気中、空気流の経路の外に少なくとも部分的に移動する。
【0036】
更に、患者の二酸化炭素分圧を調節する方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0037】
更に、患者の唇窄め呼吸をシミュレートする方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0038】
更に、睡眠障害の治療方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0039】
更に、慢性閉塞性肺疾患の治療方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0040】
更に、心血管系障害の治療方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0041】
更に、胃腸病障害(胃食道逆流疾患、又は裂孔ヘルニア)の治療方法において、呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する工程を含み、呼吸デバイスは、吸気を妨げるよりも大きく呼息を妨げる空気流抵抗器を含む、方法を本明細書中に説明する。
【0042】
更に、本明細書中に説明した呼吸デバイスと、呼吸デバイスの使用についての説明書とを含む、キットを本明細書中に説明する。
幾つかの態様では、デバイスは取り外し自在であり、患者の鼻及び/又は口内に配置される。
【0043】
呼吸デバイスの幾つかの態様では、デバイスは、実質的に口腔内に固定することによって、口腔と連通するようになっている。鼻腔と連通した状態で固定されてもよい、呼吸デバイスについて上文中に説明した実施例をこれらの態様に使用してもよい。デバイスは、デバイスの大部分(しかし、必ずしも全部ではない)が口腔内にある場合には、実質的に口腔内にあってもよい。例えば、デバイスの小さな部分が口腔から突出していてもよい。勿論、幾つかの態様では、実質的に口腔内にあるデバイスは、全体が口腔内に保持されたデバイスと呼んでもよい。
【0044】
これらのデバイスの幾つかは、可動部品がないことを特徴とするか或いは、呼息時に呼吸通路を部分的に塞ぐことができ、吸息時に呼吸通路の閉塞が最小である可動部品を備えていることを特徴とする。即ち、空気流の方向及びバルブの前後の圧力差が、閉塞の程度を決定してもよい。呼吸デバイスは、日中、夜間、又はこれらの両方で使用できる。例えば、これらのデバイスは、就寝中及び/又は仕事をしている時間中に着用してもよい。更に、デバイスは、数時間、数日、又は数週間といった長い持続時間に亘って所定位置に保持されていてもよい。
【0045】
本明細書中に説明したデバイス及び方法は、様々な疾患状態の治療に使用してもよく、必要に応じて挿入したり取り外したりできる。これらのデバイスは、更に、デバイスを鼻腔等の呼吸器のオリフィスと連通した状態で位置決めするのを補助するためのポジショナを含んでもよい。ポジショナは、例えばハンドルやグリップとしてデバイスに取り付けられていてもよい。ポジショナは、呼吸器のオリフィスと連通した状態で固定されるまで、呼吸デバイスが着座するデバイスであってもよく、ポジショナは、次いで取り外され、呼吸デバイスをその場に残す。
【0046】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、様々な疾患状態の治療で有用な鼻デバイスを含む。使用者は、便利には、デバイスを必要に応じて挿入したり取り外したりしてもよい。
医療の対象となる様々な病気の患者を、呼吸デバイスを使用して治療する方法は、口腔及び/又は鼻腔の中又はその周囲、代表的には、口又は外鼻孔の中又はその周囲の呼息流れに対する抵抗を発生する工程を含む。これらの方法は、上文中に説明したデバイスのうちの任意のデバイスを使用することを含む。例えば、固定流れ抵抗器、又は呼息に対する抵抗が吸息に対する抵抗よりも大きい可変流流れ抵抗器のいずれかの流れ抵抗器を配置することによって、空気流抵抗器を形成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
呼吸デバイス、キット、及び呼吸機能及び心血管機能を改善する上でのそれらの使用方法を本明細書中に説明する。一般的には、呼吸デバイスは、呼吸デバイス、又は単に「デバイス」と呼ばれる。本明細書中に説明したデバイス及び方法は、医療の対象となる様々な疾患状態を治療する上で有用であり、治療以外の目的でも有用である。本明細書中に説明したデバイス及び方法は、ここに説明した実施例に限定されない。特定の実施例を変更してもよく、これは、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれる。更に、説明した例及び特定の実施例は、限定を意図したものではないということは理解されるべきである。その代わり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【0048】
本明細書中に単数形で説明してあるものは、本明細書中に明らかに述べられていない限り、複数も含む。特段の記載がない限り、本明細書中で使用した全ての技術用語及び科学用語は、当業者が共通して理解するのと同じ意味を持っている。
デバイス
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、口及び/又は鼻の外鼻孔等の呼吸器のキャビティを通して肺に入ったり出たりする空気流を変化させる。呼吸デバイスは、代表的には、少なくとも部分的に空気流の妨げとなる空気流抵抗器を含む。この抵抗器は、特に、一方向の空気流(例えば呼息)に対し、逆方向(例えば吸気)よりも大きな抵抗を加える。詳細には、呼吸デバイスは、呼吸サイクルの呼息相中に呼息に対する抵抗を増大するのに使用してもよい。本明細書中に説明した多くの呼吸デバイスは、気道や空気流導管が虚脱しないようにし、薬物送出方法を提供し、望ましからぬ化学物質や作用物質を空気から除去する。
通路
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、一般的には、空気流通路及び空気流抵抗器を備えている。空気流通路(又は「通路」)は、全体として、空気を通過させることができるチャンネルを形成する。通路は、任意の適当な大きさ又は形状であってもよい。しかしながら、通路は、患者が呼吸デバイスを着用したとき、通路が患者の肺に向かって繋がる開口部を含む。患者の肺は、患者の肺から遠ざかる方向に繋がる開口部と流体連通するように形成される。「患者」という用語は、呼吸デバイスの任意の使用者を説明するのに使用され、これには呼吸デバイスを治療の目的で使用するのでない使用者が含まれる。空気流通路は、任意の適当な長さであってもよい。例えば、通路は、空気流抵抗器と同じくらい短くてもよい(例えば、空気流抵抗器を支持するのに十分なだけ延びていてもよい)。同様に、空気流通路は、空気流抵抗器を支持するのに必要な空間よりも長くてもよい。例えば、鼻腔に少なくとも部分的に挿入されるようになった呼吸デバイスの態様では、空気流通路は、外鼻孔の平均的な長さとほぼ同じであってもよい。幾つかの態様では、通路は、鼻腔の平均的な長さに亘って延びる。
【0049】
通路の中立直径(neutral diameter)は、任意の適当な大きさであってもよい。中立直径というのは、デバイスが、空気を、追加の抵抗(例えば空気流抵抗器による)なしに通路を通して流すことができる場合の通路の直径に関する。詳細には、通路の直径は、呼吸デバイスの形体に応じて変化してもよい。例えば、鼻腔に挿入されるように形成された呼吸デバイスの直径は、ほぼ鼻腔の狭幅部分の直径であってもよいし、これよりも僅かに狭幅であってもよい。口腔又は鼻腔に固定されるように形成された呼吸デバイスは、直径が比較的大きい通路を備えていてもよい。更に、通路の直径は、装置の長さに亘って変化してもよい。
【0050】
空気流通路は、空気流通路の内壁を形成する専用の構造を備えていてもよいし、デバイスの構造的構成要素であってもよい。例えば、通路は、リムが形成する通路壁を含んでいてもよい。このリムは、適当な厚さの材料でできたチューブ(即ちトンネル)であってもよい。リムは、更に、完全なチューブでなく、フレームであってもよい。リムは、通路を支持し且つ通路が使用中及び呼吸中に虚脱しないように、十分に剛性の材料でできていてもよい。幾つかの態様では、リムは、圧縮性材料で形成されており、圧縮により挿入及び取り出しを容易にできが、呼吸中に通路を支持する性能を維持し、通路が完全に虚脱しないようにする。更に、リムは、呼吸流中で、幾分圧縮性であってもよい。空気流通路(リム部分を含む)は、更に、空気流抵抗器、フィルタ、アンカー等の他の構成要素用の取り付け箇所としても役立つ。
【0051】
リムは、任意の適当な形状又は大きさであってもよい。例えば、リムは、リング形状であってもよいし、楕円形形状であってもよい。リムの内径は、通路の直径と同じであってもよい(又はこれよりも大きい)。幾つかの態様では、リムは、鼻腔に挿入した呼吸デバイスが虚脱しないようにするのに十分な強度を持つ材料で形成される。例えば、リムは、金属やポリマー(特に剛性のポリマー)等で形成されていてもよい。幾つかの態様では、リムは、軟質の材料即ち「弱い」材料で形成されていてもよい。こうした材料は、リムの最終的な形状が、呼吸デバイスが使用中に虚脱しないようにするのに十分な強度を持つように形成され、又は構成される。
【0052】
幾つかの態様では、空気流通路は、リム等の専用の構造を含まない。例えば、呼吸デバイスの空気流通路は、付着保持手段即ちホールドファスト(holdfast)等の、デバイスの別の構成要素を通過していてもよい。このような態様では、空気流通路は、ホールドファストを通る通路によって形成される。
空気流抵抗器
空気流抵抗器は、代表的には、通路を通って流れる空気の少なくとも幾分かが空気流抵抗器を通過するように、少なくとも一つの空気流通路と連通した状態に位置決めされる。かくして、空気流抵抗器は、抵抗量、空気流の程度、又はデバイスの前後の又はデバイスの通路を通る圧力差を調節し、変更し、変化し、又は一定に保持にする。幾つかの態様では、空気流抵抗器は、一方向の空気流を逆方向の空気流よりも大きく抑制する。かくして、空気流抵抗器は、肺への及び肺からの空気流を調節する。デバイスの幾つかの態様は、使用中、呼気に対する抵抗が吸気に対する抵抗よりも大きい。
【0053】
呼吸デバイスの幾つかの態様では、空気流抵抗器は、特定の方向の空気流(例えば吸息)をはっきりと感知できる程妨害せず、他方の方向の空気流(例えば呼息)を部分的に又は完全に遮断するバルブを備えている。幾つかの実施例では、このバルブにより、咳をしたり鼻を鳴らしたりする場合のように、デバイスの前後の空気流又は圧力差が所定程度に達したとき、呼息の閉塞状態を緩和できる。例えば、幾つかの実施例では、バルブは、形状記憶合金又は変形可能な材料(例えば弾性材料)で形成されたフラップを含み、バルブの前後の圧力差(呼息空気流圧力)が十分に大きい場合にフラップ自体を曲げ、これによって閉塞状態を緩和する。これは、咳をしているときに重要であり、咳をしているときに粘液及び他の物質をなくすのを容易にする。咳をした後、フラップはその元の曲がっていない形体に戻る。
【0054】
様々な種類の空気流抵抗器の例を以下に説明する。これらの例は、図6、図8、図9、図10、図11、及び図13乃至図19に示してある。空気通路を通過する空気(例えば吸息及び/又は呼息による)の抵抗を変化できる任意の空気流抵抗デバイス、特に、一方向に流れる空気の抵抗を、逆方向に流れる空気の抵抗よりも選択的に増大するデバイスを使用してもよい。バルブ型空気流抵抗器が特に適している。空気流抵抗器として使用してもよいバルブの例には、フラップバルブ(一つ又はそれ以上のフラップを備えている)、ヒンジ無しバルブ、ストッパー型バルブ、膜型バルブ、ボールバルブ、バルーン型バルブ、等が含まれる。このリストは、網羅的ではなく、この他の種類の選択的空気流抵抗器を使用してもよい。更に、マルチ空気流抵抗器を使用してもよい。これは、様々な種類の空気流抵抗器を組み合わせたものである。
ホールドファスト
呼吸デバイスは、更に、デバイスを鼻腔及び/又は口腔と連通状態に解法自在に固定するためのホールドファストを備えていてもよい。ホールドファストは、デバイスを、呼吸器系のオリフィス内(実質的に内部)又はこのようなオリフィス上等の所望の位置に位置決めし及び固定するのを容易にする。詳細には、ホールドファストにより、呼吸器のキャビティ等の呼吸空気流が加わる任意の位置にデバイスを固定し、位置決めし、及び/又は安定化できる。
【0055】
呼吸器のキャビティの例には、鼻腔及び口腔が含まれる。鼻腔は、外鼻孔(nostrils, nares) 又は鼻チャンバ、鼻限、前庭、大鼻翼軟骨、翼状線維脂肪組織、外側鼻軟骨、鼻堤、鼻腔床、鼻甲介、洞部(前頭洞、櫛骨洞、蝶形骨洞、及び上顎洞)、及び鼻中隔を含む。「鼻腔」という用語は、鼻窩の任意の副領域(例えば、一方の外鼻孔、又は鼻チャンバ)に関する。
【0056】
口腔は、口のキャビティ(例えば、前庭及び口の固有のキャビティ)、及びその任意の副領域を含む。これらの副領域には、上顎骨、下顎骨、歯肉、唇、歯、顎、舌、硬口蓋又は軟口蓋、及び歯/歯肉と唇との間の凹所又は隙間等の構造のうちの一つ以上が含まれる。
【0057】
幾つかの態様では、ホールドファストは、更に、患者の外側と気道との間で交換される空気の少なくとも幾分かが呼吸デバイスを通過しなければならないように、呼吸デバイスと気道との間にシールを固定してもよい。幾つかの態様では、ホールドファストは、全ての空気がデバイスを通して交換されなければならないように、デバイスを、呼吸器のキャビティと連通した状態で完全にシールする。幾つかの態様では、ホールドファストシールは、患者と外部環境との間で交換される空気の幾分かしかデバイスを通過しないように不完全である。本明細書中で使用したように、「空気」は、患者の外部の環境からの空気であってもよいし、任意の呼吸ガス(例えば、使用者に提供される、純酸素、混合酸素、二酸化炭素、ヘリオックス、又は他のガス混合物)であってもよい。
【0058】
幾つかの態様では、ホールドファストはアンカー又はアンカー領域を含んでもよい。
幾つかの実施例では、デバイスは、患者又はヘルスケア提供者によって、口腔と連通した状態で配置されなければならない。この場合、ホールドファストは、デバイスを口腔と連通した位置に固定するための任意の適当な機構を備えていてもよい。ホールドファストは、挿入式(例えばマウスピース型)であってもよいし、非挿入式であってもよい。非挿入式ホールドファストは、デバイスを固定するため、患者の顔の外面と一致するように形成された表面を備えていてもよい。例えば、ホールドファストは、デバイスを、使用者の呼吸器のキャビティと連通した状態で固定できる接着テープ、ストラップ、又は任意の他の構造であってもよい。ホールドファストは、使用者がデバイスを必要に応じて挿入したり取り外したりできるように、使用者の唇、歯肉、歯、舌及び/又は軟口蓋とインターフェースをなすような輪郭を持つ取り外し自在の領域を含んでいてもよい。別の態様では、デバイスは、歯肉及び歯又は唇の間の領域を使用することによって、所定位置に保持できる。
【0059】
他の実施例では、デバイスは、患者又はヘルスケア提供者によって、鼻腔内又は鼻腔の周囲に配置されるようになっている。鼻腔に適当なホールドファストでデバイスを鼻腔内の所定の位置に(外鼻孔の一方又は両方を通して)固定してもよいし、周囲構造に固定してもよい。ホールドファストは、デバイスを鼻腔と連通した状態で固定する所定の形状、表面、又は材料を含んでいてもよい。例えば、ホールドファストは円筒形形状を備えていてもよく、これによりデバイスを鼻孔内にぴったりと装着できる。デバイスの外面は、接着剤を含むホールドファストを備えていてもよい。デバイスを所定位置に保持することに加え、ホールドファストは、更に、デバイスを鼻腔と連通した状態に部分的に又は完全にシールしてもよい。ホールドファストは、挿入式機構を備えていてもよいし、非挿入式機構を備えていてもよい。幾つかの態様では、ホールドファストは、デバイスと使用者との間に、クリップやストランド等の機械的連結部を含む。
【0060】
ホールドファストは、軟質な又は柔軟な材料から形成されていてもよく、これによりシールが提供され、患者の快適性を向上する。更に、柔軟な材料は、デバイスが固定される呼吸器のキャビティ及び周囲領域(口又は鼻)の部分の血流を、デバイスが遮断する可能性を低くできる。この柔軟な材料は、プラスチック、ポリマー、布、フォーム材料、スポンジ、又は形状記憶材料を含むが、これらの材料に限定されない様々な材料のうちの一つの材料であってもよい。形状記憶材料は、好ましい同じ形状を持ち、変形又は他の態様で向きを変えたり形状を変化したりした後に、好ましい同じ形状に戻る傾向を持つ任意の材料を含む。軟質な形状記憶材料には、ウレタン、ポリウレタン、スポンジ、及び他の材料(これらの材料の「発泡」態様を含む)が含まれるが、これらに限定されない。別の態様では、ホールドファストは軟質でも柔軟でなくてもよく、その代わり、呼吸器のオリフィスと直接的にインターフェースをなす剛性構造であってもよい。例えば、少なくとも一部を鼻腔に入れて使用するように形成された呼吸デバイスの態様では、デバイスは、特定の実施例に応じて、鼻孔(又は両鼻孔)内に完全に入れてもよいし、鼻孔の外に突出していてもよい。幾つかの場合には、デバイスは、鼻孔内で見えないように、鼻腔内に十分高く配置されていてもよい。幾つかの実施例では、デバイスは完全に鼻の外側に配置されていてもよく、例えば、幾つかの態様では、ホールドファストは、鼻の外面と一致する形状を有する。かくして、ホールドファストは、適当に装着するため、及び/又はシールによりデバイスを鼻腔と連通した状態に維持するため、一つ又はそれ以上のストラップやバンド等を備えていてもよい。別の実施例では、ホールドファストは、外鼻孔に挿入した一つ又はそれ以上の突出部を備えていてもよい。幾つかの態様では、デバイスは、少なくとも一部が両外鼻孔に配置されていてもよく、ホールドファストが各外鼻孔を通して鼻腔と連通した状態で配置される二叉通路又は二つの通路を備えていてもよい。この場合、肺への吸息空気流及び肺からの呼息空気流を各外鼻孔を通して別々に又は一緒に調節してもよい。幾つかの態様では、別々のデバイスを各外鼻孔に少なくとも部分的に配置してもよく、これらのデバイスを、及び/又は患者がクリップ、テザー(繋紐)、ストラップ、バンド、チェーン、糸、等を使用して互いに連結してもよい。このようなシステムにより、デバイスを後に取り外すのが容易になり、デバイスが鼻腔内深くに移動する可能性が小さくなる。最後に、幾つかのデバイスでは、デバイスを鼻(外鼻孔を含む)の内側又は外側に、口腔に、首に、又は顔に取り付けるのを補助するため、接着剤フラップが設けられていてもよい。
材料
呼吸デバイスは、一つ又はそれ以上の任意の適当な材料で形成されていてもよい。特定の実施例では、一つ又はそれ以上の形状記憶エレメントを、ホールドファストの部分として空気流抵抗器に、又は通路に合わせた所与の形体で備えている。これらの実施例では、可撓性を提供し、加えられた力が取り除かれるに従って所定の形体をとる任意の便利な形状記憶材料を使用してもよい。例えば、形状記憶合金を使用してもよい。様々な形状記憶合金が周知であり、これらの形状記憶合金には、米国特許第5,876,434号、米国特許第5,797,920号、米国特許第5,782,896号、米国特許第5,763,979号、米国特許第5,562,641号、米国特許第5,459,544号、米国特許第5,415,660号、米国特許第5,092,781号、及び米国特許第4,984,581号、に開示された形状記憶合金が含まれる。これらの特許に触れたことにより、これらの特許に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。使用される形状記憶合金は、一般的に生体親和性合金でなければならない。生体親和性合金には、メムリ社(コネチカット州ブルックフィールド)がニチノール(ニチノール(Nitinol)は登録商標である)の名称で販売しているニッケル−チタニウム(NiTi)形状記憶合金が含まれる。この他の興味深い材料には、ばね鋼、及びポリプロピレンやポリエチレン等の形状記憶ポリマー又はプラスチック材料が含まれる。
【0061】
特にホールドファスト及び空気流抵抗器について、ゴム及びポリマー材料を使用してもよい。例えば、使用してもよい材料には、ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセテート、ポリアクリレート、スチレン−ブタジエンコポリマー、塩素化ポリエチレン、ポリ弗化ビニリデン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−ビニルアセテート−塩化ビニル−アクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアセテート−アクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアセテート−塩化ビニルコポリマー、ナイロン、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、熱可塑性ポリイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルヒド、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然ゴム、合成ゴム(クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーコポリマー、シリコーンゴム、フルオライドゴム、及びアクリルゴム等)、エラストマー(軟質ウレタン、ウォーターブロウン(water-blown) ポリウレタン等)、熱硬化性樹脂(硬質ウレタン、フェノール樹脂、及びメラミン樹脂等)が含まれる。
【0062】
デバイスの、特に使用者と接触する部分(例えばホールドファスト)に生体親和性材料を使用してもよい。上文中に説明した材料の幾つかに加え、生体親和性材料には、生体親和性ポリマー及び/又はエラストマーが含まれる。適当な生体親和性ポリマーには、ビニルアセテートのホモポリマー及びコポリマー(エチレンビニルアセテートコポリマー及びポリ塩化ビニルコポリマー等)、アクリレートのホモポリマー及びコポリマー(ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、及びヒドロキシメチルメタクリレート等)、ポリビニルピロリドン、2−ピロリドン、ポリアクリロニトリルブタジエン、ポリアミド、フルオロポリマー(ポリテトラフルオロエチレン及びポリビニルフルオライド等)、スチレンアクリロニトリルのホモポリマー及びコポリマー、セルロースアセテート、アクリロニトリルブタジエンスチレンのホモポリマー及びコポリマー、ポリメチルペンテン、ポルスルホンポリイミド、ポリイソブチレン、ポリメチルスチレン、及び当業者に周知の他の同様の化合物等の材料が含まれる。
【0063】
この他の興味深い材料には、アレルゲン、花粉、鱗屑、煙霧等に対するフィルタとして役立つ任意の材料が含まれる。フィルタをデバイス内に設けることによって、副鼻腔炎、睡眠時無呼吸、いびき、枯草熱、アレルギー性鼻炎、及び他のアレルギー性の呼吸器の状態を軽減し、又はなくす。このフィルタは、実際には、空気流抵抗器の一部であってもよいし、又はデバイスの別体の構成要素であってもよい。当業者に周知の任意の適当なフィルタ材料を、本明細書中に説明した呼吸デバイスで使用してもよい。このような材料には、活性炭チャコールフィルタ、中空糸フィルタ、等が含まれるが、これらの材料に限定されない。
【0064】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、使用中、吸気経路及び/又は呼気経路内にとどまる。幾つかの態様では、フィルタ材料は、吸息空気流及び呼息空気流の両方の経路内にとどまる。このフィルタ材料は、好ましくは、空気流に対する抵抗を、いずれの方向でも変化せず、又は両方向(吸気方向及び呼気方向)で空気流を実質的に同じ程度変化する。幾つかの態様では、フィルタは、空気流が実質的に妨げられないように、孔径が大きい材料でできている。
呼吸デバイスの作動
空気流抵抗器は、任意の方向に配置されていてもよい。例えば、デバイスの幾つかの実施例では、空気流抵抗器は、両フラップが、吸息中に閉鎖位置にあり、呼息中に開放位置にあるように配向されたバルブフラップを備えている。呼吸デバイスは、空気流抵抗器が呼息に対する抵抗を増大し、吸息に対する抵抗が比較的低いか或いは無視できるように配向されていてもよい。しかしながら、これらのデバイスは、吸息に対して大きな抵抗を提供し、呼息に対して小さな抵抗を提供するように、逆方向に配向できる。このような配向は、様々な、肺の障害、心臓の障害、炎症性障害、神経学的障害、又は他の障害に対して使用してもよく、このように抵抗を変化させることにより、胸内圧力及び気道圧力を変化させるという利点が得られる。デバイスのこの態様は、本明細書中の他の場所に記載した他の実施例と構造的に同じであってもよい。幾つかの態様では、呼吸デバイスは逆にすることができ、そのため、使用者はいずれの方向でも(例えば、一方の方向で吸息に対する抵抗を呼息に対する抵抗よりも増大するため、又は別の方向で呼息に対する抵抗を吸息に対する抵抗よりも増大するため)使用できる。幾つかの態様では、呼吸デバイスは、空気流抵抗器の方向が直ちに明らかであるように形成される。例えば、呼吸デバイスは、一方の端部の形状及び大きさが異なっていてもよく、又は視覚的表示が設けられていてもよい。一つの態様では、呼吸デバイスは、一方の方向でのみ、呼吸器のオリフィスに固定的に嵌着するように(例えば、空気流抵抗器が、呼息を、吸気を抑制するよりも大きく抑制するように)形成されていてもよい。例えば、フランジ又は他の機械的ストップを使用して適正な配向を確保すると同時に、デバイスが呼吸器のオリフィス内に更に入り込むことがないようにしてもよい。
【0065】
多くの実施例において、デバイスは、呼息に対して幾らかのレベルの抵抗を提供する。吸息に対する抵抗に影響をほとんど及ぼさないのが好ましいが、場合によっては、吸息に対する抵抗が或る程度あるのが有利である。デバイスの幾つかの態様では、吸息及び呼息の両方を空気流抵抗器によって抑制する。
【0066】
更に、デバイスは、快適であるようになっていてもよい。口腔内又はその周囲、又は鼻内又はその周囲のいずれかに配置したデバイスは、痛みを生じるものであってはならず、可能であれば、患者がほとんど気づかないものでなければならない。かくして、ホールドファストは、呼吸器のオリフィス内又はその周囲の取り付け箇所と形態が一致するように形成されていてもよい。幾つかの態様では、ホールドファストは、可撓性材料又は賦形可能な材料(例えばフォーム又は他の軟質の形状記憶材料)で形成されている。幾つかの態様では、呼吸デバイス全体が軟質材料で形成されている。
【0067】
更に、デバイスは、多かれ少なかれ他人に見えるようになっていてもよい。場合によっては、デバイスは、他人が見るのが困難であるように、外鼻孔内の十分高い場所に配置されるように形成されていてもよい。更に、デバイスは、デバイスをカムフラージュするのを補助する任意の色彩及び/又はパターンを備えていてもよい。他の態様では、夜間、又は周囲の光が少ない他の場合に見易くする蛍光色等の際立つ色彩及びパターンを含むのが有用である。
【0068】
幾つかの態様では、呼吸デバイスは、鼻/外鼻孔、口腔、歯、及び他の関連した解剖学的特徴の形状及び大きさが異なっているにも拘わらず、全ての患者に使用できるように、呼吸デバイスは、「一つの大きさで全ての人に装着する」ものであってもよい。一つの態様では、デバイスは、所定範囲の大きさ、例えば「大」、「中」、及び「小」(又は任意の他の適当な範囲、例えば数値範囲)に合わせて形態が定められてもよい。別の態様では、デバイスには、一つ又はそれ以上のデバイスを患者に合わせて注文製作で装着する必要がある場合がある。
【0069】
注文製作による装着により、患者の快適性が向上し、デバイスと、例えば患者の口腔、口、鼻腔、及び外鼻孔との間のシールが改良され、これによって性能が潜在的に向上する。幾つかの態様では、注文製作による装着は、デバイスを暖かい又は冷たい液体又は空気の中に置き、次いで患者の鼻や口の中に置く必要がある。このプロセスは、ホールドファストを患者に取り付けるとき、デバイスが患者の解剖学的形体の一部と対応する形状又は形体を永久的にとるように、装置の材料(例えば、特にホールドファストの材料)を「準備」しようとするプロセスである。
【0070】
本明細書中に説明したデバイスの幾つかの態様では、空気流抵抗器は、空気流の幾分かが、空気流抵抗器を通って、或いは空気流抵抗器の周囲を流れることが常に許容されるように、大きな構造(通路等)内に装着されてもよい。例えば、空気流抵抗器と、通路と連通した空気流フィルタを固定するアンカーとの間に一定の開口部が形成されていてもよい。これにより、呼息空気流及び/又は吸息空気流が完全に妨げられることが決してないようにできる。幾つかの態様では、空気流抵抗器は、「穴」又は開口部を含む。例えば、フラップバルブは、バルブが閉鎖している場合でも、空気流がフラップバルブを通って流れることができるように、フラップバルブを通る開口部を備えていてもよい。
【0071】
デバイスは、更に、一方向での空気流に対する抵抗を、デバイスに加えられた圧力に基づいて差圧に従って変化させることによって、PEEP効果を発生できる。例えば幾つかの設計では、呼息空気流には、所定の閾値圧力差又は空気流レベルに達するまで、空気流抵抗器(即ちバルブ)によって抵抗が加えられる。この閾値以下では、空気流抵抗器が更に完全に閉鎖する(潜在的には、デバイスを通る空気流を完全に遮る)。PEEPの所望のレベルは、約0.1cmH2O乃至約30cmH2Oであり、更に好ましくは、約1cmH2O乃至約15cmH2Oである。同様に、逆方向で差動抵抗が生じる場合がある。例えば、患者が咳をしたり、くしゃみをしたり、鼻をかんだ時などのように、特定の閾値よりも高い圧力レベル又は空気流レベルでは、空気流抵抗器(例えばバルブ)が開放し、空気流抵抗器による抵抗を減少する。
【0072】
デバイスが提供する呼息抵抗即ちPEEPの最適のレベルは、患者によって異なる。幾つかの態様では、適切な呼息抵抗即ちPEEPは、所望の利得を提供するために発生されるが、患者が口を通して優先的に呼吸を開始するように、過度に大きな呼息抵抗即ちPEEPを提供しない。幾つかの場合には、使用者は、ヘルスケア提供者、カメラ、ポリゾームノグラフ(polysomnograph)、又は本発明のデバイスが提供する抵抗の最適のレベル又は治療を評価するのを補助する任意の他のデバイスによる監視を受けながら、一つ又はそれ以上のデバイスを試験してもよい。
【0073】
更に、空気流抵抗器を使用することにより、吸息時間と呼息時間との比(I:E比)を変化してもよい。I:E比は、吸息時間の呼息時間に対する比であると定義される。所望のI:E比は、個々の患者の必要に応じて約3:1乃至約1:10であり、更に好ましくは、約1:1.5乃至約1:4である。幾つかの態様では、所望の比は、約1:3である。
【0074】
幾つかの態様では、デバイスは、挿入、調節、又は取り外し機構を備えている。幾つかの場合には、この機構は、デバイスの取り外し及び位置決めを容易にする任意の適当な剛性の又は非剛性のポジショナを含む。非剛性ポジショナには、チェーン、ワイヤ、糸、チェーン、縫糸、等が含まれるが、これらに限定されない。剛性ポジショナは、ノブ、ハンドル、突出部、タブ等を含む。使用者は、掴む等によりポジショナを操作し、デバイスの挿入、再調節、又は取り外しを行う。更に、様々なアプリケータ又は他の挿入デバイスを使用してもよい。例えば、鼻腔に挿入されるようになった呼吸デバイスを保持するチューブ状アプリケータを、呼吸器のオリフィスである鼻(例えば外鼻孔)内に前進させて呼吸デバイスを挿入してもよい。
【0075】
幾つかの場合には、デバイスは、過大であってもよい。デバイスを過大にすることにより、空気流の抵抗を一つ又はそれ以上の方向で低減してもよい。幾つかの態様では、デバイスを通る通路は過大であってもよい。幾つかの態様では、呼吸器のオリフィスと接触するデバイスの外部分は過大であってもよい。かくして、呼吸デバイスは、使用者の鼻腔に圧力を及ぼすことができる。閉塞性睡眠時無呼吸又はいびきの患者では、例えば、一つ又はそれ以上の外鼻孔に挿入されるように形成された呼吸デバイスの大きさにより、気道の更に末端の組織、舌、及び鼻咽腔が、吸息中に吸い込まれたり閉鎖されたりしないようにする。更に、過大な通路を通る空気流により、乱流分布を少なくし、その結果、例えばいびきの場合に騒音が発生する傾向を低減する。同様に、呼吸デバイスの通路は、空気流の乱流を減少するように形成されていてもよい。同様に、空気流抵抗器の形状及び作用を、乱流を最少にするように、及び従って、音響又は振動を最少にするように選択してもよい。
【0076】
幾つかの態様では、デバイスは、有効物質とともに使用される。幾つかの態様では、有効物質は薬物を含む。有効物質を、口、舌、硬口蓋及び軟口蓋、洞部、鼻、咽頭、声帯、喉頭、気道、肺、気管、気管支、細気管支、肺胞(alveoli, air sac)、又は吸息空気流又は呼息空気流に露呈される何らかの組織に送出するため、有効物質(例えば薬剤) 又は他の化合物をデバイスの内側又は外側に配置してもよい。幾つかの場合には、有効物質を、デバイス又はデバイスの構成要素に埋設してもよいし浸漬してもよい。幾つかの場合には、有効物質はコーティングである。有効物質は、患者にとって有用な又は望ましい任意の化合物を含む。例えば、有効物質は、メントール、フェノール、ユーカリプタスを含む臭気物質、又は吸息した空気に香りを提供する任意の作用物質であってもよい。別の態様では、有効物質は、脈管系に有効であるといった有用な効果を持つ薬物を含んでもよい。例えば、有効物質には、血管に効果がある薬物(オキシメタゾリン又は任意の他の血管作用性化合物)、鼻咽腔、気道、又は肺に効果がある薬物(アルブテロール、ステロイド、又は他の気管支収縮性化合物又は気管支拡張性化合物)が含まれる。有効物質には、例えば、抗菌剤やステロイドが含まれていてもよい。上掲の有効物質のリストは、限定を意味しない。
【0077】
有効物質は、デバイス内外の任意の部分に配置されていてもよい。更に、呼吸デバイス内の有効物質の位置により、有効物質の送出が特定的に案内される。例えば、呼吸器のキャビティの内側に配置されるように形成された呼吸デバイスの態様では、ホールドファストが有効物質を含む(例えば、コーティング、埋設、又は他の方法でホールドファストの部分に設けられている)場合、薬物は呼吸器のキャビティの粘膜を通して送出されてもよい。別の例では、有効物質は、粉体又は放出可能なコーティングとして含まれていてもよく、これはエーロゾルとなって呼吸器系内に送出される。かくして、有効物質はデバイスの表面上(例えば、通路、ホールドファスト、又は空気流抵抗器)に設けられていてもよいし、デバイスの任意の表面に埋設されていてもよい。別の薬物含有領域をデバイスに設けてもよい。有効物質の追加は、アレルギーや副鼻腔炎の治療で特に関心事である。従って、呼吸デバイス(空気流抵抗器の有無に関わらず)は、メントール又は他の香りのよい化合物等の有効物質を含んでいてもよい。
【0078】
デバイスの幾つかの態様では、空気流抵抗器が設けられていない。デバイスは、通路及びホールドファストを含んでいてもよく、リム等の追加の支持体を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。幾つかの場合には、ホールドファストは、デバイスを支持し、デバイスが移動しないようにする上で、及び呼吸サイクルの様々な相中にデバイスの通路が小さくならないように適切な半径方向支持を提供する適切な強度を備えていてもよい。この場合、デバイスの支柱が鼻腔又は口腔を開放し、吸息空気流及び/又は呼息空気流を助長する。これは、閉塞性睡眠時無呼吸及びいびきをなくす上で有用である。これは、これらの障害が、例えば外鼻孔の大きさを増大することによって治療できるためである。これは、一つには、外鼻孔及び鼻腔が負の吸息圧力により虚脱する傾向があるためである。かくして、これらの鼻の組織が虚脱しないようにすることにより、鼻咽腔の更に奥の組織が虚脱しないようにする。冒頭に記載したように、デバイスの大きさは、抵抗を小さくし且つ空気流を大きくするため、外鼻孔及び鼻腔の大きさに対して過大である。
【0079】
呼吸デバイスの製造及び組み立ては、任意の適当な方法を使用して行うことができる。使用してもよい例示の製造方法には、機械加工、押出、型打ち、等が含まれる。組み立て方法には、プレス嵌め、接着、溶接、熱成形、等が含まれる。
【0080】
次に、添付図面を参照すると、図1は、使用者の口腔に装着できる、呼吸デバイス1の一つの態様の斜視図を提供する。ホールドファスト5は、溝2及び3を備えており、そこに使用者の歯及び歯肉が優先的に着座し、かくしてデバイスを口腔に固定する。空気流抵抗器4は、上文中に説明したように、呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を変化させることができる任意の空気流抵抗器を表す。空気流抵抗器4は通路6内に着座する。
【0081】
図2は、口腔に装着できる呼吸デバイス1の別の実施例の斜視図である。この実施例では、デバイスを所定位置に固定するのを患者の歯及び/又は歯肉がホールドファストと接触することによって補助する。ホールドファストは、内フレーム10と、外フレーム12と、ポジショナ14を含む。内フレーム10は、患者の歯又は歯肉の内部分に配置される。外フレーム12は、患者の歯/歯肉の外側又は患者の唇の外側に位置決めされる。ポジショナ14は、上顎、下顎、歯、及び/又は歯肉の間に配置される。空気流抵抗器4は、呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を変化する。
【0082】
図3は、図2に示すデバイス1の図である。ここでは、デバイスは、患者の口腔内にあり、口腔から突出した状態で示してある。ホールドファストの外フレーム12は、患者の歯及び歯肉の外側にあるように示してある。通路6内の空気流調整器4は、口の呼吸通路を通した呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を調整する。この(又は任意の、例えば口腔用又は鼻腔用)呼吸デバイスで、一つ又はそれ以上の空気流抵抗器4及び/又は通路6を使用してもよい。
【0083】
図4は、呼吸デバイス1の別の実施例の斜視図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、患者の鼻腔16内に固定される。この実施例では、デバイスは、鼻の穴から突出している。デバイスの側部がホールドファストを形成する。これは、鼻通路内にぴったりと嵌まっており鼻通路から外に突出している。
【0084】
図5は、呼吸デバイス1の別の態様の斜視図である。この実施例では、デバイスは、完全に鼻通路16内に配置されている。呼吸デバイス1全体が鼻通路内にぴったりと嵌まっている。
【0085】
図6は、図4及び図5に示すデバイスと同様の呼吸デバイス1の断面図である。ホールドファスト28は、デバイスの外面を含み、鼻腔の内部分と接触する。かくして、デバイスを所定位置に固定するのに役立つ。これは、理想的には、部分的又は完全なシールを形成する。空気流が通過する通路6は、デバイスに追加の構造的支持を提供するリム30によって取り囲まれている。リム30は、特に通路の壁(例えば、ホールドファスト28によって形成されていてもよい)が十分な支持を提供する場合には必要とされない。空気流抵抗器24が通路内に設けられており、呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸引抵抗及び/又は呼息抵抗を変化させることができる。
【0086】
図7a及び図7bは、図4及び図5に示す空気流抵抗器の作動を更に詳細に示す図である。これらの断面図は、ホールドファスト28、随意のリム30、通路6、及びバルブ32として示す空気流抵抗器を示す。リム30は、ホールドファスト28とバルブ32とを分離し、バルブ32のフレームを構成し、装置全体に対して全体的な構造支持を提供する。図7aには、空気流に対する抵抗が小さい開放位置でバルブ32が示してある。図7bには、バルブを閉鎖することによって通路6の断面積を狭めたため、空気流に対する抵抗が更に大きな閉鎖位置でバルブ32が示してある。
【0087】
図8a及び図8bは、例えば図1乃至図5で説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の斜視図である。これらの図にはリム30が示してある。リム30は、デバイスを呼吸器の通路内に位置決めし固定するホールドファストの部分であってもよい。別の態様では、追加の材料(例えば柔軟な材料)をリムに取り付けてホールドファストを形成してもよい。図8a及び図8bでは、リムが空気流抵抗器24に対して支持を提供する。ここでは、空気流抵抗器は、接合部38を中心として枢動し且つ固定エレメント40に連結されたフラップ36を含むフラップバルブ機構として示してある。固定エレメント40は、この図においてリム30が形成する通路6の内領域に取り付けられている。幾つかの態様では、フラップバルブ及び通路6の内面(例えばリム30)は、単一の部品を形成してもよい。別の態様では、フラップ36、接合部38、及び固定エレメント40は、単一の部品として製造されてもよく、その場合、接合部38はヒンジであってもよい。かくして、接合部38は、ピンを備えたヒンジであってもよいし、ピンを備えていないヒンジであってもよい。別の態様では、リム30、フラップ36、接合部38、及び固定エレメント40は全て、単一の部品又は材料として形成されていてもよい。かくして、フラップ36は、患者の空気流及び空気流に対する抵抗の所望のレベルに応じて枢動できる。図8aは、呼息中にフラップ36が閉鎖位置にあり、かくして増大した抵抗を提供する空気流抵抗器を示す。幾つかの態様では、空気流抵抗器のフラップ部分は、図示のように、完全にシールする。これらの態様では、フラップ36の縁部が通路全体を(図示のように)閉鎖してもよいし、通路の一部だけを閉鎖してもよい。図8bは、フラップ36が開放位置にあり(例えば吸息中)、かくして減少した抵抗を提供する空気流抵抗器を示す。フラップ36は、吸息抵抗及び呼息抵抗の程度を調整するのを補助するため、穴又は他の開口部が設けられていてもよい(これらの穴又は開口部は、呼吸サイクルの全部又は一部中に開放したままであってもよい)。フラップ36は、好ましい開放位置又は閉鎖位置に戻ることができる。例えば、形状記憶材料、ばね(捩じりばね)、又はホールドファストがフラップ36に力を加え、その閉鎖位置に戻す。例えば、空気流抵抗器を取り囲むフォームやウレタンを使用することにより、適当な空気流がない場合にフラップ36を閉鎖するため、このような力を提供できる。更に、空気流抵抗器の2リーフ態様が考えられ、これは同様に機能する。これらの2リーフ態様には、フラップ36、接合部38、及び固定エレメント40からなる多数の組が含まれる。
【0088】
図9a及び図9bは、本明細書中に説明した任意の呼吸デバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の斜視図を示す。図示の通路の内面は、空気流抵抗器を支持するリム30を含む。この空気流抵抗器24は、更に、バルブ機構として示してある。移動自在のエレメント42a及び/又は42b(フラップ)は、互いに取り付けられておりているか或いは単一の部品から形成されている。移動自在のエレメント42a及び/又は42bは、取り付け点44a及び44bで通路(リム30として示す)の内面に取り付けられており、これらの取り付け点により、バルブは、空気流の方向及び大きさに応じてヒンジ43を中心として枢動できる。一つの態様では、取り付け点44a及び44bは、製造(例えば鋳造)プロセス中にリム30又はホールドファスト28に直接形成される。一つの態様では、ヒンジは通路の内領域に動かないように取り付けられており、フラップ42a及び42bはヒンジに移動自在(又は撓むように)に取り付けられている。図9aは、呼息中のように抵抗が高い(例えば、フラップバルブがほとんど閉鎖した)場合のこの空気流抵抗器を示し、図9bは、吸息中のように抵抗が低い(例えば、フラップバルブがほとんど開放した)場合の空気流抵抗器を示す。
【0089】
図10は、構造及び機能が図9a及び図9bに示すデバイスと同様の空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。しかしながら、図示の空気流抵抗器は、移動自在のエレメント42a及び42bが互いに対して枢動するところに内部開口部45が配置されている。内部開口部45が追加されたことにより、抵抗のレベルを変化することによって、空気流を調整する。この開口部を追加することにより、一方の方向での抵抗(例えば、フラップバルブが「閉鎖」した場合の呼息抵抗)を、逆方向での抵抗(例えば、フラップバルブが「開放」した場合の吸息抵抗)よりも大きく減少する。
【0090】
図11は、構造及び機能が図9a及び図9bに示すデバイスと同様の空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。周囲開口部46a及び46bが、完全に移動自在のエレメント42a及び42b内に、又はこれらのエレメントの周囲に配置されている。これらの周囲開口部46a及び46bもまた、吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を調整するものである。周囲開口部46a及び46bを追加することにより、抵抗のレベルを変化させ、吸息空気流及び呼息空気流を調整するのを補助する。更に、これらの周囲開口部46a及び46bを追加することにより、一方の方向での抵抗(例えば、フラップバルブが「閉鎖」した場合の呼息抵抗)を、逆方向での抵抗(例えば、フラップバルブが「開放」した場合の吸息抵抗)よりも大きく減少する。
【0091】
図12a及び図12bは、図9a及び図9b、図10、及び図11で説明したバルブ機構の作動を更に詳細に示す図である。この図では、空気流抵抗器は、呼息中の抵抗を吸息中の抵抗に対して増大するように配向してある(例えば、肺は、図12a、図12b、及び図12cで右側に配置される)。移動自在のエレメント42a及び42bは、ヒンジ43を介して互いに連結されている。図12aは、呼息中のバルブ機構を示し、この場合、移動自在のエレメント42a及び42bは、肺から外部環境への方向の呼息空気流により、閉鎖位置にある。図12bは、吸息中のバルブ機構を示し、この場合、移動自在のエレメント42a及び42bは、外部環境から肺への方向の吸息空気流により、開放位置にある。図12cは、図12a及び図12bに示すバルブ機構の変形例を示し、この場合、移動自在のエレメント42a及び42bの周囲内又は周囲上に一つ又はそれ以上の穴が設けられている。これらの穴により、呼息空気流に対する抵抗を減少し、呼息空気流の量を更に増大する。これらのバルブ機構及び形体は全て、逆の配向で配置されてもよく、その場合、吸息空気流によりバルブが閉鎖され、呼息空気流によりバルブが開放される。
【0092】
空気流抵抗器の移動自在のエレメント(フラップ)42a及び42bは、任意の適当な材料で形成されていてもよい。特定的には、材料は、呼吸プロセスによって加えられた力に耐えるのに十分な剛性を備えていてもよい。更に、丈夫な材料(呼吸器の通路の水分に耐えることができる)が望ましい。幾つかの態様では、デバイスは使い捨てであり、及びかくして丈夫さはそれ程重要ではない。更に、移動自在のエレメント42a及び42bは、空気流を過度に制限したり抵抗したりしないが、これと同時に、ごみ、花粉、アレルゲン、及び感染性の作用物質を除去できる、多孔質材料又はフィルタ等で形成されていてもよい。
【0093】
図13a及び図13bは、本明細書中に説明した任意のデバイスで使用できる別の空気流抵抗器の斜視図である。図13aは、呼息中に見られる、空気流に対する抵抗を増大する、閉鎖位置の空気流抵抗器(フラップバルブ)を示す。図13bは、吸息中に見られる、空気流に対する抵抗を開放位置に対して減少する、開放位置の空気流抵抗器を示す。引っ込められたフラップバルブの輪郭が小さいため、空気流抵抗器が「開放」しているときに空気流抵抗器によって加えられる抵抗は無視できる。移動自在のエレメント42a及び42bは、互いに取り付けられているか、単一の部品である。移動自在のエレメント42a及び42bは、固定エレメント54a及び54bによって、通路の壁(この例では、リム30によって形成される)に、リム30に、又はホールドファスト28に取り付けられる。固定エレメントは、タブ、接着剤、プレス嵌め、外部圧力(ホールドファスト28等からの)、又は当業者に周知の任意の他の方法を使用する。内部開口部45が中央に配置されており、呼息空気流(「閉鎖」状態)に対する抵抗を減少する。しかし、内部開口部45を周囲に配置することも考えられる。幾つかの態様では、バルブに設けられた開口部の大きさ及び数で、空気流抵抗器の抵抗が決まる。かくして開口部の大きさ及び数は、I:E比を決定するために選択できる。
【0094】
図14は、構造及び機能が図13a及び図13bに示す空気流抵抗器と同様の空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。図14では、移動自在のエレメント42a及び42bは、更に、強化支持体60a及び60bを備えている。これらの支持体は、移動自在のエレメント42a及び42bを部分的に又は完全に覆うように配置される。強化支持体60a及び60bは、これらの移動自在のエレメントに対し、追加の構造及び/又は支持を提供する。更に、強化支持体60a及び60bは、シールを更に確実にし、移動自在のエレメント42a及び42bの移動を標準化する。これにより、咳をした場合のように高い圧力や空気流に露呈された場合に、移動自在のエレメント42a及び42bが空気流の方向で引っ繰り返ったり座屈したりして損傷する可能性を小さくする。強化支持体60a及び60bを追加することにより、吸息又は呼息中にピューという音がしないようにする。移動自在のエレメント42a及び強化支持体60a、及び移動自在のエレメント42b及び強化支持体60bは、単一のユニットであってもよい(即ち、各「フラップ」が単一のユニットであってもよい)。別の態様では、両移動自在のエレメント42a及び42b及び両強化支持体60a及び60bが単一のユニットであってもよい。更に、図面には中央開口部45が示してある。
【0095】
図15a、図15b、及び図15cは、上文中に説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。この空気流抵抗器は、内部開口部45の代わりに別の空気流抵抗器64(「入れ子式空気流抵抗器」)を使用することを除くと、図13a及び図13bに示す空気流抵抗器と同様である。この入れ子式空気流抵抗器64は、バルブを通る流れ(又はバルブの前後の圧力差)が所定レベルよりも下に低下すると自動的に閉鎖する。これにより、空気流抵抗器(入れ子式空気流抵抗器を備えた)は、正端呼息圧力(PEEP)を提供する。図15aには、呼息中の空気流抵抗器が示してあり、空気流抵抗器の移動自在のエレメント42a及び42bは閉鎖位置にある。空気流抵抗器64の入れ子部分は、空気流抵抗器の前後の圧力差及び/又は空気流が所定レベルよりも高い限り、開放している。かくして、この図は、通路内の空気流及び圧力差が最大である場合の呼息の開始を示す。図15bは、呼息中の同じ空気流抵抗器を再び示し、空気流抵抗器の移動自在のエレメント42a及び42bは未だ閉鎖位置にある。しかしながら、入れ子式空気流抵抗器64は、この図では閉鎖位置にある。これは、空気流抵抗器の前後の圧力差及び通路を通る空気流が、もはや、閾値よりも上でないためである。この状況は、呼息の後の段階と対応しており、空気流及び圧力差が減少するか或いは低下する。かくして、呼息の終わりに、PEEPが発生する。例えば、入れ子式空気流抵抗器64は、呼吸器のオリフィス内の肺からの空気圧が5.0cmH2Oよりも低い場合には常に閉鎖するように設定されていてもよい。図15cは、吸息中のデバイスを示す。空気流抵抗器64の移動自在のエレメント42a及び42bは開放位置にあり、吸息空気流に対する抵抗を最小にできる。
【0096】
図16a及び図16bは、上文中に説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。図16aは、空気流に対する抵抗が増大する、呼息中に閉鎖位置にある無ヒンジバルブ76を示す。図16bは、空気流に対する抵抗が減少する、吸息中に開放位置にある無ヒンジバルブ76を示す。無ヒンジバルブ76は、更に、呼吸サイクルの様々な段階でいずれの方向の空気流も許容する一つ又はそれ以上の穴をその構造内に備えていてもよい。例えば、無ヒンジバルブ76は、閉鎖位置にあっても、或るレベルの呼息空気流を許容する。別の態様では、無ヒンジバルブ76は、決して完全には閉鎖しない。閉鎖状態にあっても、そのフラップは、全ての空気流を完全に遮断することはない。
【0097】
図17a及び図17bは、本明細書中に説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の斜視図である。図17a及び図17bに示す膜型空気流抵抗器は、コネクタ82によって空気流抵抗器の本体に取り付けられた膜80(これは、パタパタとはためくものであってもよいし、そうでなくてもよい)を含む。呼息中、図17aに示すように、膜80は、リム30及び/又は呼息中に膜80を支持するために通路の側部から(例えばリム30から)突出した並進支持体に着座する。図17bは、膜80が撓み位置にあり、これにより吸息空気流に対する抵抗を増大し、空気流抵抗器を通過する空気流を減少する吸息中の状況を示す。膜80は、吸息中及び呼息中の両方で開放したままの開口部86(又は複数の開口部)を備えていてもよい。空気流抵抗器の幾つかの態様では、膜80は、開口部を備えていない。更に別の態様では、膜80に幾つかの開口部が設けられている。
【0098】
図18a及び図18bは、本明細書中に説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の断面図である。図18aは、吸息中の空気流抵抗器を示す。吸息中、変形自在の部材90が拡がり、抵抗を減少し、空気流を増大する。図18bは、呼息中の空気流抵抗器を示す。呼息中、変形自在の部材90は、所定の配向即ち折り畳まれた形体をとり、これにより抵抗が増大し、空気流を減少する。変形自在の部材90は、好ましくは、このような空気流抵抗器がPEEP効果を提供できるようにする不参加位置(外部からの影響や圧力がない場合に好ましくい配向に対して参加しない傾向)を備えていてもよい。
【0099】
図19a及び図19bは、本明細書中に説明した任意のデバイスで使用できる空気流抵抗器の別の実施例の断面図である。これは、ストッパー型空気流抵抗器である。図19aは、呼息時の空気流抵抗器を示し、空気流がほとんど又は全くなく、バルブの前後の圧力差が最小である。図19bは、更に強く呼息した場合の空気流抵抗器を示し、空気流が増大し、バルブの前後の圧力差が増大することを特徴とする。ストッパー92は、戻し機構94に連結される。ストッパー92には、更に、空気流を、常に又は呼吸サイクルの特定の部分で許容する開口部(吸息中に空気流を許容するが、呼息中には空気流を許容しない、例えば別の入れ子式空気流抵抗器等)が設けられていてもよく、これによって、気道と外部環境との間を流体連通する。別の態様では、ストッパー92は、吸息中に開放し且つ呼息中に閉鎖するか或いはその逆のバルブ部分を備えていてもよい。図19aでは、右から左への空気流は、戻し機構94が提供するばね力に打ち勝つには不十分であり、ストッパー92が着座支持体96a及び96bに当たってシールする。図19bでは、右から左への空気流は、戻し機構94が提供するばね力に打ち勝つのに十分であり、ストッパー92が左方に変位し、及びかくして呼息空気流が許容される。図19a及び図19bに示す機構は、一方向機構であり、デバイスはPEEPを発生できる。
【0100】
図20は、呼吸デバイスの別の実施例の斜視図であり、この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と連通した状態で配置されてもよい。図20では、ホールドファスト28が患者の鼻とデバイス1の空気流抵抗器との間に配置され、部分的な又は完全なシールを提供し、デバイスを固定し、患者に対して快適性を提供する。ホールドファスト28の断面はほぼ円形であり、患者の外鼻孔内に装着できる。
【0101】
図21は、呼吸デバイスの別の実施例の斜視図であり、この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻の開口部内に置かれてもよい。このデバイスは、ほぼ楕円形の断面を持つホールドファスト28を示す。配置、固定、シール、及び快適性を最適にするため、患者の鼻の開口部内に装着するように設計された様々な円錐形形状又は非対称形状を含む、多くのこのような断面形状が可能である。幾つかの場合には、リム30及び/又は任意の空気流抵抗器4もまた、任意の所望の断面形状をとってもよく、こうした形状には、楕円形形状又は任意の他の非円形配向が含まれる。幾つかの実施例では、ホールドファスト28は賦形可能であり、変形自在であり、又は患者がデバイスの配置の前後又は配置中のいずれかで調節できる。別の態様では、デバイスは、個々の患者に装着するように注文製作できる。これは、MRI、CT、X線、又は直接視認を含む画像様式を使用することによって、又は歯科学及び他の分野で一般的な成形技術を使用することにより行われる。
【0102】
図22は、呼吸デバイスの一実施例の断面図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と流体連通した状態で固定されてもよい。この態様では、空気流を変更する移動自在の構成要素が全く設けられていない。デバイスは、ホールドファスト28及びデバイスを支持するリム30を含む。デバイスは、抵抗を減少し且つ一つ又はそれ以上の方向で空気流を増大するため、過大になっている。幾つかの場合には、デバイスの任意の構成要素、例えばリム30に、薬物(有効成分又は非有効成分を含有する)が埋設されていてもよいし、配置されていてもよい。幾つかの場合には、デバイスの別の構成要素、例えばホールドファスト28が構造的支持を提供する限り、リム30が設けられていなくてもよいということは理解されよう。この場合、薬物は、ホールドファスト28上に又は通路内に装填されるか或いはコーティングされる。
【0103】
図23は、呼吸デバイスの別の実施例の断面図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と流体連通した状態で固定されてもよい。この図では、二つの空気流通路が設けられている。各通路は、空気流抵抗器24をその内部に備えているように示してある。ホールドファスト28が両通路を取り囲んでおり、各通路は(随意の)リム30を含む。空気流抵抗器24の各々は、空気流に対する抵抗を独立して増大し又は減少してもよいし、呼吸サイクル中に同時に又は異なる時期に作用してもよい。例えば、幾つかの場合には、吸息中、一方の空気流抵抗器24が空気流に対する抵抗を減少すると同時に第2空気流抵抗器24が空気流に対する抵抗を増大してもよい。呼息中、第1空気流抵抗器24が空気流に対する抵抗を増大し、これと同時に第2空気流抵抗器24が空気流に対する抵抗を減少してもよい。換言すると、吸息空気流は一方の位置を通って進行してもよく、呼息空気流は、同じデバイス内の第2の位置を通って進行してもよい。
【0104】
図24は、呼吸デバイスの別の実施例の断面図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と流体連通した状態で固定されてもよい。デバイスは、空気流の経路内にデバイスを横切るように配置された固定フィルタ98を備えているように図示してある。固定フィルタ98は、空気流から何らかの固体の又は液体の粒子、ごみ、臭気、アレルゲン、花粉、及び/又は感染性作用物質を除去するのに役立つ。このフィルタ98は、呼吸サイクルの全ての部分中に所定位置にほぼ固定されたままであってもよいが、或る程度移動できてもよい。患者に対して追加の利点を提供するため、薬剤がデバイスの一つ又はそれ以上の構成要素の表面内又は表面上に開始されていてもよい。固定フィルタ98を追加することによる抵抗の増大は、所望でない限り、いずれの方向でも生じない。固定フィルタ98は、当業者に周知の多くのフィルタ材料から製造できる。この固定フィルタ98は、本明細書中に説明した任意の呼吸デバイスで、空気流抵抗器4に加えて、又は空気流抵抗器4の代わりに使用できる。
【0105】
図25は、呼吸デバイスの別の実施例の断面図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と流体連通した状態で固定されてもよい。図25の呼吸デバイスは移動自在の浄化フィルタ100を備えている。このフィルタは、デバイス内に配置された状態で示してあり、空気流から何らかの固体の又は液体の粒子、ごみ、臭気、アレルゲン、花粉、及び/又は感染性作用物質を除去するのを補助する。幾つかの態様では、フィルタ100は、吸息中(又は呼息中)にだけフィルタ作用を行うように、空気流通路内の空気流(又は空気抵抗)が極めて大きい期間中(例えば、咳をしたり、鼻をかんだり、くしゃみをした期間)に通路から外れるように、移動するように形成されていてもよい。
【0106】
図26a及び図26bは、移動自在の浄化フィルタの一態様の斜視図である。移動自在の浄化フィルタは、吸息中及び呼息中の夫々で示してある。移動自在の浄化フィルタは、移動自在のフィルタ、スクラバー、又は何らかの固体の又は液体の粒子、ごみ、臭気、アレルゲン、花粉、及び/又は感染性作用物質を除去(特に選択的に除去)できる任意の他のデバイスであってもよい。この移動自在の浄化フィルタは、本明細書中に説明した任意の呼吸デバイスで、空気流抵抗器4に加えて、又は空気流抵抗器4の代わりに使用できる。図26aは、吸息中(この期間中、空気流は図の右から左に移動する)の移動自在の浄化フィルタ(移動自在のフィルタとして示してある)を示す。この場合、移動自在のフィルタエレメント102a及び102bは、互いから遠ざかるように変位する。図26bは、呼息中(この期間中、空気流は図の左から右に移動する)の移動自在の浄化フィルタを示す。この場合、移動自在のフィルタエレメント102a及び102bは、互いに向かって変位する。かくして、吸息時には、空気流は、移動自在のフィルタエレメント102a及び102bを通過し、空気から関連した物質が除去される。呼息時には、空気流は、移動自在のフィルタエレメント102a及び102b及びこれらのフィルタエレメントの周囲の両方を通過する。理想的には、移動自在のフィルタエレメント102a及び102bを追加しても、所望でない限り、いずれの方向でも抵抗は増大しない。移動自在のフィルタエレメント102a及び102bは、当業者に周知の多くのフィルタ材料から製造できる。吸息抵抗又は呼息抵抗を変化するため、移動自在のフィルタエレメント102a及び102b内に一つ又はそれ以上の開口部又は穴が配置されていてもよい。
【0107】
図27は、本発明のデバイスの別の実施例の立体図である。この図では、デバイスは取り外し自在であり、両鼻腔と連通して固定される。空気がデバイスの周囲から漏れる可能性を少なくするか或いはなくすため、鼻マスク108は、鼻及び顔に当てて固定的に位置決めされる。デバイスは、ストラップ110a及び110b(固定的に位置決めするのを容易にする)を含むホールドファスト28と、ストラップによって顔に当てて固定される鼻マスク108とを含む。マスクの空気流抵抗器116は、呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を調整する。デバイスには少なくとも一つの空気流抵抗器116が配置されているが、二つ又はそれ以上の空気流抵抗器116を使用してもよい(例えば、各外鼻孔と近接して一つづつ配置されていてもよい)。
【0108】
図28は、呼吸デバイスの別の実施例の断面図である。この実施例では、デバイスは取り外し自在であり、鼻腔と連通した状態で固定されていてもよい。図28では、呼吸デバイスは、更に、呼吸ガス供給装置を含む。純酸素又は混合酸素等のガスを通路に提供する呼吸ガス入口120が、呼吸デバイスに取り付けられた状態で示してある。呼吸サイクルの任意の部分又は全ての部分中に吸息抵抗及び/又は呼息抵抗を変更する空気流抵抗器24が通路内に設けられている。デバイスの幾つかの態様では、空気流抵抗器24は、呼息中、フラップ機構が呼吸ガス入口120を部分的に又は完全に閉塞し、これによって患者が吸息している場合にしかガスの放出が行われず、従って、空気流抵抗器24は或る程度開放する。呼吸ガスを提供するデバイスは、ホールドファスト28、リム30、空気流抵抗器24に、プレス嵌め、接着剤、又は何らかの他の態様によって、永久的に又は一時的に固定され、取り付けられ、又は他の態様で連結される。幾つかの場合には、呼吸ガス供給装置は、呼吸ガスを提供する、現在多数の製造者から入手できる既製品のデバイスであってもよい。
【0109】
上述のデバイス及びこれらのデバイスの使用方法は、気道の基端から先端への空気流(吸息)に対する第1空気流抵抗と、気道の先端から基端への空気流(呼息)に対する第2空気流抵抗とを提供してもよい。本明細書中に説明した呼吸デバイスのうちの幾つかでは、呼息空気流及び/又は呼息気道圧力が閾値よりも低い値(空気流抵抗器の機構を開放状態に保持するには低過ぎる圧力)まで低下した場合、呼息空気流が停止し、PEEPに至る。その結果、臨床上の利点を含む潜在的利点を患者に提供する際、通常の吸息、通常の呼息、及びPEEPが得られる。
呼吸デバイスの使用
本明細書中に説明した呼吸デバイス及び方法は、様々な治療上の目的及び治療以外の目的について使用してもよい。これらの使用の幾つかを以下に説明する。本明細書中に説明した呼吸デバイス及び方法は、他の方法で使用してもよく、これらは、網羅的であると考えられるものではない。
【0110】
一般的には、本明細書中に説明した呼吸デバイスは、デバイスを必要とする人(例えば患者)の呼吸機能及び心血管機能を改善できる。かくして、これらの呼吸デバイスは、治療で、例えば医療の対象となる様々な疾患の症状を治癒し、治療し、又は回復する上で使用してもよい。更に、呼吸デバイスは、一般的には、人の健康及び福祉を改善する上で有用である。
【0111】
本明細書中に説明したデバイス及び方法によって治療してもよい疾患状態には、心不全(右側及び/又は左側)、COPD、肺水腫、睡眠時無呼吸(閉塞性及び/又は中枢性)、睡眠時無呼吸、シェーン・ストークス呼吸、不眠症、いびき、及び他の睡眠障害、喘息、気管支軟化症、急性肺傷害、ARDS、嚢胞性線維症、低酸素呼吸不全、胃食道逆流疾患、裂孔ヘルニア、胸やけ、高血圧、心筋梗塞、不整脈、鬱血性心筋症、心臓弁疾患(僧坊弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁の狭窄又は逆流)、卒中、一過性虚血発作、脳圧上昇、様々な炎症性疾患、及び神経変成状態が含まれる。更に、デバイスは、機械式換気装置から引き離された患者並びに術後の患者にとって有用である。
【0112】
気道内の圧力が増大することにより、心不全の一般的な結果である肺水腫の量及び頻度を低減できる。更に、心臓に後負荷及び前負荷の悪影響が作用する場合があり、例えば、心不全の患者で後負荷及び前負荷を減少してもよい。充填圧力を増大してもよいし、減少してもよい。充填圧力を減少することは、心不全の患者にとって、潜在的に有利である。多くの場合でガス交換が改善され、酸素分圧(pO2)が上昇し、二酸化炭素分圧(pCO2)が低下する。幾つかの場合には、酸素分圧レベルが実際に上昇するか或いは更に安定し、変動し難くなる。この酸素分圧レベルの安定性の向上により、例えば中枢性睡眠時無呼吸の患者やシェーン・ストークス呼吸の患者の利点が大きくなる。
【0113】
呼吸空気流に晒される体内の任意の位置(上気道、気管、気管支、鼻咽腔、口腔咽頭、鼻腔、口腔、声帯、喉頭、扁桃、及び関連した構造、舌の裏、洞部、及び鼻甲介を含むが、これらに限定されない)は、増大した気道圧力及び呼息空気流の持続時間が長くなることによる利点を得る。幾つかの場合には、これらの位置での腫脹及び水腫を減少し、これにより、気道及び空気流が通過する導管の直径を増大する。これにより、これらの構造が吸息時に虚脱する傾向をなくす。更に、吸息時及び呼息時にこれらの構造が騒音を発生し難くなり、これによって、いびきの量及び/又は質を低減する。換言すると、気道の水腫を減少することにより、これらの構造を虚脱し難くし、いびき、無呼吸、又は呼吸低下の量及び頻度を減少する。更に、腫脹及び水腫の減少及びこれらの正圧によるリンパ流の改善により、例えば鼻の鬱血、炎症、及び副鼻腔炎が減少する。
【0114】
呼吸デバイスは、更に、肺のコンプライアンスを高める。例えば、呼吸デバイスを用いない場合に肺及び肺胞内にある流体を、増大した気道圧力によって出すことができる場合には、肺のコンプライアンスが部分的に向上する。肺のコンプライアンスの向上は、呼吸を容易にし、特定の一回換気容積を得るために横隔膜を所定距離変位させるのに患者が行う必要がある労力及び力を低減できる。更に、肺のコンプライアンスが向上することにより、肺胞と口との間の圧力差を減少できる。このように圧力差が減少するため、吸息を試みることによる上気道の虚脱が起こり難くなる。かくして、肺のコンプライアンスの向上により、閉塞性睡眠時無呼吸エピソード又は呼吸低下エピソードの頻度又は重篤性を低減する。同様に、いびきの頻度及び重篤性が、同様の理由で低減する。
【0115】
呼吸デバイスは、更に放出画分(ejectin fraction)を改良してもよい。この効果は、胸腔内圧の上昇及び経壁在性圧力の変化によって得られ、不全状態の心臓に前負荷及び後負荷の有用な効果をもたらす。心臓の左側に及ぼされた利点に加え、心臓の右側にも有利な効果がもたらされる。本明細書中に説明した呼吸デバイスで放出画分を改良することにより、心臓組織のエネルギ特性及び生物学的特性に、短期間及び長期間に亘って良好な変化が及ぼされる。これらの良好な変化の幾つかは、エーコン社(ミネソタ州セントポール)及びパラコー・メディカル社(カリフォルニア州サニベール)が開発した様々な複雑な心臓支援装置で治療した心臓で見られる良好な再建的変化と似ている。これらの呼息抵抗器は、患者自体の胸郭内圧を使用して患者の心臓を「支援」する。更に、本明細書中に説明した呼吸デバイスによって提供された支援が心室だけに限定されないため、心不全及び他の心臓又は肺の疾患による重篤な悪影響を受けていることのある心房も支援する。左心室及び左心房の大きさが、短期及び長期の両方で減少する。更に、交感神経による心臓の活動化が低下し、心臓の出力が、提供される抵抗の性質に応じて増大し、又は減少する。
【0116】
本明細書中に説明した呼吸デバイスにより呼息抵抗を高め、胸郭内圧を上昇することにより、様々な他の有利な効果が得られる。こうした効果の例には、心拍数及び血圧を下げることが含まれる。心房心室上及び心室の細動及び頻拍、心ブロック、及び他の一般的な不整脈を含むがこれらに限定されない多くの不整脈を低減できる。かくして、本明細書中に説明した呼吸デバイスもまた、心臓の突然死及び他の心臓の障害の発生を低減できる。更に、冠状灌流(coronary perfusion)の増大を期待してもよい。更に、呼息抵抗及び胸郭内圧の上昇により、胃食道逆流疾患(即ち胸やけ)、胃炎、バレー食道、食道癌、裂孔ヘルニア、及び他の横隔膜ヘルニアの原因が改善される。この効果は、胸郭内の食道が、胸郭内圧の上昇により圧縮されることによって得られる。その結果、食物及び他の胃内容物が、食道に逆流することはもはやない。食道への逆流は、患者が横たわっている場合に一般的に起こる。ヘルニア(主に裂孔ヘルニア)が低減され、胸郭内圧の上昇により腹部に押し戻される。これらの呼吸デバイスを使用すると、この他の胃腸病学的状況について、上文中に説明したよりも大きな有利な効果がもたらされる。
【0117】
僧坊弁、三尖弁、肺動脈弁、及び大動脈弁の逆流、及び僧坊弁、三尖弁、肺動脈弁、及び大動脈弁の狭窄を含むがこれらに限定されない心臓弁疾患もまた、本明細書中に説明した呼吸デバイスにより改善される。詳細には、呼吸デバイスは、僧坊弁の逆流に効果を及ぼし、環状拡張(心不全の副生物であり、一般的な心拡張である)が起こらないようにするのを補助する。
【0118】
本明細書中に説明した呼吸デバイスを使用することにより、呼吸数が減少する。これは、COPD、喘息、過呼吸、及びとりわけパニック障害を含む不安障害、等の疾患で非常に有用である。吸息時間の呼息時間に対する比(I:E比)は、本装置により減少する。一回換気容積は増大する。例えば、COPDの場合、抵抗の増大により、呼息機能の改善を促す。これにより、更に、患者は、大きな一回換気容積及び増大した1分間換気量の利点を受けることができる。呼吸デバイスがPEEP(正端呼息圧力)を発生する実施例では、PEEPの量(即ち装置が発生する抵抗)は、COPDの患者で一般的な内在性PEEPの幾つか又は全てよりも大きい。COPD又は他の肺障害の患者では、ガス交換が改善される。この場合、ガス交換は、身体からのCO2の除去及び吸息した空気から血流へのO2の追加に関する。特にCOPDの患者で、更に一般的には、本デバイスで治療した全ての患者で、酸素分圧が上昇し、二酸化炭素分圧が減少する。更に、酸素飽和度が上昇し、ヘモグロビンとの酸素の結合が向上することを反映する。
【0119】
呼吸デバイスが提供するこの他の利点には、横隔膜の疲労の低減、及び呼吸筋の効率の向上が含まれる。これにより、肺疾患、更に特定的にはCOPD、及び嚢胞性線維症の患者の呼吸をかなり容易にする。
【0120】
上述のように、本明細書中に説明した呼吸デバイスは、呼吸数を減少する。ゆっくりと呼吸する技術は、血圧を下げるということが示されてきた。かくして、本デバイスは、高血圧(全身性高血圧及び肺性高血圧)の患者を含む患者の血圧を減少する。血圧は、心収縮期及び/又は心拡張期で低下する。血圧の低下は、心収縮期又は心拡張期で1mmHg乃至70mmHgである。これにより、患者を通常レベル(<140/80mmHg)又は通常に近いレベル(<160/100mmHg)にする。高血圧の治療を受けている患者では、本デバイスは、薬物を投与するための補助的療法として、又は患者によっては独立型の療法として使用できる。幾つかの態様では、本明細書中に説明した呼吸デバイスは、治療中止後数週間又は数カ月長期間に亘る効力を提供するため、数日乃至数週間又は数カ月のスパンで、短期間(数分間、数時間、又はそれ以上)使用してもよい。治療は、15秒乃至24時間に亘って続けられ、例えば数時間乃至数日の単位で、規則的な又は不規則な間隔で繰り返されてもよい。デバイスは、呼吸数を減少するため、夜間又は日中に、起きているときでも寝ているときでも着用してよい。デバイスが所定位置にある場合、又はデバイスを取り外した後、血圧及び/又は心拍数の低下が見られる。これはホルモンの作用による。ホルモンの作用は、デバイスが所定位置にある期間よりも長い期間に亘って効果を持続する。更に詳細には、デバイスは、交換神経系又は副交感神経系のいずれかを通して作用する。
【0121】
呼息抵抗は、更に、呼息時間を長くする。これにより呼吸数が減少する。かくして、本明細書中に説明したデバイスは、呼吸数を減少するのに使用してもよい。これには、不眠症の治療を行う上で利点がある。これは、副交感神経の刺激を増大し、交換神経の刺激を減少することにより、及び/他のホルモン的効果及び非ホルモン的効果により、使用者にリラックスした感覚を生じるためである。更に、これにより、満足のいく状態にある感覚、即ちリラックスした感覚を生じ、使用者が容易に早く眠りに就くことができるようにし、睡眠の質及び量を高める。かくして、本明細書中に説明した呼吸デバイスは、新規な非薬理学的不眠症治療方法を提供し、リラックスした状態を促す。デバイスは、前記リラックス及び満足のいく状態を生じるため、日中及び/又は夜間に亘って使用してもよい。
【0122】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、更に、無効な吸息、非生産的吸息、又はその他の乱れた吸息(閉塞性睡眠時無呼吸又は限定的肺疾患)を特徴とする障害を治療し又は回復するのに使用してもよい。例えば、デバイスを所定位置に置いた状態で、患者は、呼気後の肺の容積が僅かに増大する。換言すると、本デバイスの幾つかの態様を使用した場合、呼気後、通常よりも多くの空気が肺の中に存在するのである。虚脱する肺胞の数が少なく、かくして吸息が更に容易になる。これは、続いて行われる呼吸中の肺胞を再開放するのに要する労力が少ないためである。更に、肺の鬱血及び肺水腫が減少し、そのためコンプライアンスが向上する。その結果、患者が吸気に要する労力が小さくなる。そのため、必要な圧力差(肺胞と口との間の圧力差)が小さくなる。圧力差が小さければ小さい程、空気を伝達する患者の気道(上気道及び咽頭組織)が虚脱する可能性が小さくなり、かくして、閉塞性睡眠時無呼吸、呼吸低下、及びいびきの可能性を小さくする。
【0123】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、感染性疾患にも有効である。このような疾患には、肺炎(コミュニティーや病院で感染した)、結核、気管支炎、HIV、及びSARSが含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
呼吸デバイスは、肺又は心臓のリハビリでも有用である。例えば、デバイスは、慢性気管支炎、肺気腫、喘息、肺線維症、嚢胞性線維症、及び肺高血圧が含まれるが、これらに限定されない慢性肺疾患の患者で使用してもよい。別の態様では、デバイスは、狭心症、心筋梗塞、右側又は左側の心不全、鬱血性心筋症、高血圧、弁疾患、肺塞栓、及び不整脈が含まれるが、これらに限定されない心疾患の患者で使用してもよい。
【0125】
肥満症の患者もまた、本明細書中に説明した呼吸デバイスを使用することにより利点を受ける。肥満症は、運動不耐性を招く。これは、部分的には、運動中の代謝要求を増大し、機能的残気量(FRC)の減少及び無気肺の発生により、換気機構を変化させてしまう。更に、肥満症は、身体の運動中に通常の心臓出力応答よりも高い心臓出力応答を必要とするため、心臓予備力を減少する。これにより全身性高血圧を生じ、左心室の後負荷を増大する。かくして、デバイスは、無気肺を復元し、FRC、心臓出力、及び血圧に有効な作用をもたらすことにより、肥満症の患者で有用である。
【0126】
呼吸デバイスは、更に、運動選手が有酸素運動及び無酸素運動の両方で使用してもよい。これは、部分的には、心臓及びガス交換に有利な効果が直接及ぼされるためである。幾つかの態様では、吸息空気流の量を増大し、ガス交換のために肺に伝達される酸素の量を増大するため、過大であってもよい。
【0127】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、更に、治療効果及び非治療効果を睡眠に及ぼすために使用してもよい。睡眠の質が改善され、睡眠の波が更にゆっくりとし、覚醒頻度が低く、REM睡眠が改善される。使用者は、生産性が高い睡眠をし、日中に疲れることが少なくなる。更に、デバイスを夜間(例えば使用者が就寝しているとき)しか使用しない場合でも、デバイスの有利な効果は、使用期間を越えて日中にも延びる。幾つかの場合には、交換神経系の興奮が減少し及び/又は副交感神経系の興奮が増大する。かくして、本デバイスは、自律神経系に良好な効果をもたらす。これは、全身的に並びに局所的に、上文中に説明したよい効果をもたらす。
【0128】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、鼻腔及び口腔以外の位置の、身体の任意の位置で使用してもよい。確かに、呼吸空気流の進入位置又は出口位置として役立つか或いは空気流用の気道又は導管として役立つ身体の任意の位置は、本明細書中に説明したデバイスを使用することにより恩恵を受ける。例えば、小口の場所(stoma site)内、その外表面、又はその近くで使用してもよい(例えば、気管切開後の患者で使用するため)。
【0129】
更に、上述の副交感神経系又は交換神経系による効果、及び/又は迷走神経及びその刺激の効果により、呼吸デバイスを使用して炎症(様々な疾患状態で存在する)を減少できる。炎症サイトカインカスケード(inflammatory cytokine cascade) による任意の状態の治療は、本明細書中に説明したデバイス及び方法の範囲内にある。幾つかの実施例では、マクロファージから前炎症サイトカインが放出されることにより炎症サイトカインカスケードに悪影響が及ぼされる状態を治療するため、に呼吸デバイスを使用する。この状態は、炎症サイトカインカスケードにより、敗血症性ショック等の全身反応を生じる状態であってもよい。別の態様では、慢性関節リウマチにおけるように、局所的炎症サイトカインカスケードにより、この状態が生じる。本明細書中に説明した呼吸デバイスを使用して有効に治療される状態の例には、虫垂炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、潰瘍、偽膜、急性又は一過性の大腸炎、憩室炎、喉頭蓋炎、弛緩不全、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、クローン病、腸炎、ウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、臓器の虚血、再灌流傷害、臓器の壊死、枯草熱、敗血症(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素ショック、悪液質、異常高温症、好酸球性肉芽腫、サルコイド症、敗血症性流産、副睾丸炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、間質性肺炎、超微小火山性珪素塵肺(pneumoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis) 、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、副鼻腔炎、インフルエンザ、呼吸器のシンシチウムウィルス、ヘルペス、散在性細菌、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア症、アメーバ症、嚢腫様水様液(hydatid cysts) 、火傷、皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、蕁麻疹、疣贅、膨疹、血管炎(vasulitis) 、血管炎(angiitis)、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心外膜炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、アルツハイマー病、腹腔病、鬱血性心不全、成人呼吸困難症候群、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓、ギラン−バレー症候群、神経炎、神経痛、脊髄傷害、麻痺、ぶどう膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、ページェット病、通風、歯根膜疾患、慢性関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、スロイヂチス(thryoiditis )、全身性エリスマトーデス、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植片拒絶反応、移植片−受容者病、糖尿病、剛直性脊椎炎、ベルジェロン病(Berger's disease)、レチエール症候群(Retier's syndrome) 、又はホジキン病(悪性リンパ腫)が含まれるが、これらに限定されない。
【0130】
更に、呼吸デバイス及びその使用方法は、種類が異なる様々な動物によって使用され、又はこれらの動物に適用される。こうした方法及びデバイスが使用される例示の動物には、犬類、猫類、馬類、牛類、羊類、霊長類、特に人類が含まれるが、これらの動物に限定されない。本明細書中に説明した呼吸デバイスは、使用のために包装してもよい。例えば、呼吸デバイスは個々に包装してもよいし、セットをなして(例えば、特に各外鼻孔で個々のデバイスを使用する態様では、対をなしたもののセットで)包装してもよい。更に、包装を殺菌してもよく、殺菌でき、即ち清浄である。
【0131】
本明細書中に説明した呼吸デバイスは、更に、これらのデバイスのうちの少なくとも一つを含むキットの部分として提供されてもよい。こうしたキットの例には、呼吸デバイス及びデバイスの使用方法についての説明書が含まれていてもよい。説明書は、一般的には、適当な記憶媒体に記録される。例えば、説明書は、紙やプラスチック等の基材に印刷してあってもよい。このように、説明書は、パッケージの挿入体としてキットに、キットの容器のラベル又はその構成要素(即ち、パッケージ又はサブパッケージと関連して)に設けられていてもよい。他の実施例では、説明書は、コンピュータが読み取ることができる記憶媒体、例えばCD−ROM、フロッピーディスク、等に記憶した電子的記録データファイルとして設けられる。説明書は、デバイスの使用方法についての完全な説明書、又は使用者を追加の説明書に導く参照記号(例えば、ワールドワイドウェブに投函された説明書についてのウェブサイトアドレス)を含むどのような形態をとってもよい。
例
以下の例は、単なる例であって限定ではない。
A.口腔での取り外し自在の適用
口腔で使用するようになった呼吸デバイス(図1、図2、及び図3に示すデバイスのうちの任意のデバイス)を、医療従事者又は対象者が、対象者の口の中に置く。呼吸デバイスを対象者の歯、歯肉、舌、唇、口蓋、又は口腔の形状、又は顎、鼻、頤(おとがい)、又は皮膚を含む周囲の解剖学的構造によって所定位置に固定してもよい。呼吸デバイスは、更に(別の態様では)、接着剤、固定ストラップ、又は他のホールドファストを使用して固定してもよい。接着剤を使用すると、デバイスと口腔との間のシールが更に改善される。デバイスは、患者が起きているとき又は就寝しているとき、夜間でも日中でも着用してもよい。幾つかの場合では、デバイスを長期間に亘って(例えば、数分間、数時間、数日)連続的に着用してもよい。これらのデバイスは、COPD、心不全、睡眠時無呼吸、不眠症、高血圧、胃食道逆流疾患、裂孔ヘルニア、及び上文中で言及した医療の対象となる他の状態を患っている対象者に利点を提供しようとするものである。
【0132】
幾つかの実施例では、デバイスは以下のように作用する。吸気中、空気流が外部環境から気道及び肺に進行するとき、バルブ機構は開放位置にとどまる。開放位置というのは、吸気中の空気流に対する抵抗が呼気中よりも小さい、任意の位置を意味する。これは、上文中に記載した任意の空気流抵抗器を使用することによって達成できる。呼気中、気道及び肺から外部環境への空気流が発生し、空気流抵抗器(例えばバルブ機構)がこの呼気空気流に吸気中よりも大きな抵抗を加える。かくして、吸気中の抵抗は、呼気抵抗よりも小さく、所望の効果を対象者に提供する。
B.鼻腔での取り外し自在の適用
鼻腔で使用するようになった呼吸デバイス(例えば、図4、図5、図20、及び図21に示す任意のデバイス)を、医療従事者又は対象者自身が、対象者の一つ又はそれ以上の外鼻孔の中に置く。呼吸デバイスは、鼻腔と、デバイスのホールドファストとの間の相互作用によって、図4及び図5に示すように、対象者の外鼻孔内の所定の場所に固定されてもよい。接着剤を使用すると、デバイスと鼻腔との間のシールが更に改善される。デバイスは、患者が起きているとき又は就寝しているとき、夜間でも日中でも着用してもよい。幾つかの場合では、デバイスを24時間ぶっとおしで着用してもよい。これらのデバイスは、COPD、心不全、睡眠時無呼吸、不眠症、高血圧、胃食道逆流疾患、裂孔ヘルニア、及び上文中で言及した医療の対象となる他の状態を患っている対象者に利点を提供しようとするものである。
【0133】
幾つかの実施例では、鼻腔に着用した呼吸デバイスは以下のように作用する。吸気中、空気流が外部環境から気道及び肺に進行するとき、バルブ機構は開放位置にとどまる。開放位置というのは、吸気中の空気流に対する抵抗が呼気中よりも小さい、任意の位置を意味する。これは、上文中に記載した任意の空気流抵抗器を使用することによって達成できる。呼気中、気道及び肺から外部環境への空気流が発生し、バルブ機構がこの呼気空気流に吸気中よりも大きな抵抗を加える。かくして、吸気中の抵抗は、呼気抵抗よりも小さく、所望の効果を対象者に提供する。幾つかの態様では、両外鼻孔の空気流を調節するのが好ましい。例えば、単一の呼吸デバイスで鼻腔内への空気流を調節するのが望ましく(図27参照)、両外鼻孔に対して空気流抵抗器を持つ一つの呼吸デバイスを提供するのが望ましく、又は一方の外鼻孔を通る全ての空気流を遮断し、他方の外鼻孔を通る空気流を調節するのに呼吸デバイスを使用するのが望ましい。
C.鼻腔での取り外し自在のフィルタの適用
呼吸デバイスの使用方法の一実施例では、図24又は図25のいずれかに示す呼吸デバイスを、医療従事者又は対象者が、対象者の一つ又はそれ以上の外鼻孔の中に置く。呼吸デバイスは対象者の外鼻孔に固定される(例えば、デバイスのホールドファストと対象者の外鼻孔との間の相互作用によって)。接着剤を使用すると、デバイスと鼻腔との間のシールが更に改善される。デバイスは、患者が起きているとき又は就寝しているとき、夜間でも日中でも着用してもよい。幾つかの場合では、デバイスを連続的に着用してもよい。これらのデバイスは、アレルギー、アレルギー関連疾患、副鼻腔炎、鼻後方漏、及び上文中に説明した医療の対象となる病気を患っている対象者に利点を提供するものである。
【0134】
幾つかの実施例では、デバイスは以下のように作用する。吸気中、固定浄化フィルタ98及び移動自在の浄化フィルタ100が、外部環境からの空気流に、気道及び肺に入る前にフィルタ作用を及ぼす。空気流が気道及び肺から外部環境へ進行する呼気中、固定浄化フィルタ98は空気流経路にとどまるが、移動自在の浄化フィルタ100は撓むか或いは移動し、この浄化フィルタ100を通過する空気流を少なくする(多くの空気流がその周囲を通過する)。いずれの場合でも、浄化フィルタが呼息空気流又は吸息空気流のいずれにも追加の提供を加えないのが好ましいが、場合によっては、呼息空気流及び/又は吸息空気流に提供を加えるのが望ましい。
D.外鼻孔の開口部への取り外し自在の適用
呼吸デバイスの使用方法の一実施例では、図22に示すデバイスを医療従事者又は対象者が、対象者の一つ又はそれ以上の外鼻孔の中に置く。この場合、呼吸デバイスは、患者の外鼻孔によって所定の場所に保持される。デバイスは、患者が起きているとき又は就寝しているとき、夜間でも日中でも着用してもよい。幾つかの場合では、デバイスを連続的に着用してもよい。このようにして、これらのデバイスは、睡眠時無呼吸、いびき、及び本明細書中に記載した、医療の対象となるその他の病気を患っている対象者、並びに運動者としてのパフォーマンスの向上を臨む対象者に利点を提供するものである。
【0135】
幾つかの態様では、デバイスは以下のように作用する。吸気中、デバイスは外鼻孔をぽんと開放し、空気流に対する抵抗を小さくし、鼻内の負圧によって外鼻孔が虚脱したり部分的に閉鎖したりしないようにする。呼気時には、デバイスは、外鼻孔をこの場合もぽんと開放し、空気流に利用できる内腔の大きさを増大することによって、呼気空気流を容易にする。
【0136】
本呼吸デバイスは、多くの患者が直感的に採用している唇窄め呼吸の効果をまねることによって、又は非侵襲的換気によって発生する呼息抵抗をまねることによって、患者の呼吸器系、心臓、及び全体としての健康を改善するものである。本明細書中に記載したデバイスは、生理学的には、唇窄め呼吸で経験するのと同じ有利な効果、特定的には、酸素飽和度の上昇、呼吸回数の減少、一回換気容積の増大を提供する。デバイスは、更に、血圧の低下、後負荷の減少、前負荷の減少、心拍数の低下、及び放出画分の改善を含む有利な効果を心臓に提供する。これにより、患者が、高血圧、肺水腫、睡眠時無呼吸、及び慢性閉塞性肺疾患又は心不全の他の続発症を発生する可能性を低下する。更に、デバイスは、患者が常に唇を窄めること、又は非侵襲的換気デバイスに呼吸チューブを介して連結しなければならないことから解放するという大きな利点を提供する。就寝中には行うことができない唇窄め呼吸や、主に夜間に使用される(日中の活動中には使用できない)非侵襲的換気デバイスとは異なり、これらのデバイスは、まる一日に亘り、増大した呼息抵抗を提供する。更に、吸息した空気を浄化し、外鼻孔をぽんと開放する呼吸デバイスを提供してもよい。これらのデバイスは、アレルギー、副鼻腔炎、睡眠時無呼吸、及び本明細書中に記載したその他の病気等の疾患の新規な非侵襲的治療方法を提供する。
【0137】
本明細書中で引用した全ての刊行物及び特許出願に触れたことにより、これらに開示された内容は、個々の刊行物及び特許出願の各々に開示された内容が特定的に及び個々に組み込まれたのと同様に、本明細書中に含まれたものとする。任意の刊行物の引用は、出願日以前のその開示について行われ、これは、本発明が、従来の発明によるこれらの刊行物の日付以前に権利を得たものではないと解釈されるべきではない。
【0138】
以上、理解を明瞭にするため、本発明を例として或る程度詳細に説明したが、本発明の教示により、特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に対して或る程度の変形及び変更を行うことができるということは、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】図1は、口腔用の呼吸デバイスの斜視図である。
【図2】図2は、口腔用の別の呼吸デバイスの斜視図である。
【図3】図3は、デバイスを患者の口腔内に位置決めした、図2に示すデバイスの斜視図である。
【図4】図4は、鼻腔用の呼吸デバイスを示す図である。
【図5】図5は、実質的に鼻腔内に装着されるようになった呼吸デバイスを示す図である。
【図6】図6は、空気流抵抗器がデバイス内に示してある、図4に示すデバイスの断面図である。
【図7】図7a及び図7bは、図4に示すデバイスの断面図であり、図7aは、吸気中のデバイスを示し、図7bは、呼気中のデバイスを示す。
【図8】図8a及び図8bは、呼気中の空気流抵抗器(図8a)及び吸気中の空気流抵抗器(図8b)を夫々示す、呼吸デバイスの斜視図である。
【図9】図9a及び図9bは、空気流抵抗器を、呼気中(図9a)及び吸気中(図9b)の夫々で示す、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図である。
【図10】図10は、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図であり、この図では、空気流抵抗器は呼気中の状態で示してある。
【図11】図11は、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図であり、この図では、空気流抵抗器は呼気中の状態で示してある。
【図12】図12a及び図12bは、図9a、図9b、図10、及び図11に示す呼吸デバイスの、呼気中(図12a)及び吸気中(図12b)の夫々での断面図である。
【図12c】図12cは、吸込み中の呼吸デバイスの態様の断面図である。
【図13】図13a及び図13bは、呼気中の空気流抵抗器(図13a)及び吸気中の空気流抵抗器(図13b)の夫々の、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図である。
【図14】図14は、空気流抵抗器が呼気中の状態で示してある、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図である。
【図15】図15a、図15b、及び図15cは、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図であり、図15aは、高レベルの呼気空気流及び/又は圧力中の空気流抵抗器を示し、図15bは、低レベルの呼気空気流及び/又は圧力中の空気流抵抗器を示し、及び図15cは、吸気中の空気流抵抗器を示す図である。
【図16】図16a及び図16bは、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図であり、空気流抵抗器は、呼気中(図16a)及び吸気中(図16b)の夫々で示してある。
【図17】図17a及び図17bは、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの斜視図であり、空気流抵抗器は、呼気中(図17a)及び吸気中(図17b)の夫々で示してある。
【図18】図18a及び図18bは、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの断面図であり、空気流抵抗器は、吸気中(図18a)及び呼気中(図18b)の夫々で示してある。
【図19】図19a及び図19bは、空気流抵抗器を持つ呼吸デバイスの断面図であり、空気流抵抗器は、低圧及び/又は低空気流の呼気中(図19a)及び高圧及び/又は高空気流の呼気中(図19b)の夫々で示してある。
【図20】図20は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの斜視図である。
【図21】図21は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの斜視図である。
【図22】図22は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの断面図である。
【図23】図23は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの断面図である。
【図24】図24は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの断面図である。
【図25】図25は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した呼吸デバイスの断面図である。
【図26】図26a及び図26bは、移動自在の空気フィルタを持つ呼吸デバイスの斜視図であり、移動自在の空気フィルタは、吸気中(図26a)及び呼気中(図26b)の夫々で示してある。
【図27】図27は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した別の呼吸デバイスの斜視図である。
【図28】図28は、取り外し自在であり且つ鼻腔に適合した別の呼吸デバイスの斜視図である。
【符号の説明】
【0140】
1 呼吸デバイス
2、3 溝
4 空気流抵抗器
5 ホールドファスト
6 通路
10 内フレーム
12 外フレーム
14 ポジショナ
16 患者の鼻腔
28 ホールドファスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、
通路と、
前記通路と連通した空気流抵抗器と、
前記呼吸デバイスを前記鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定するためのホールドファストとを含む、呼吸デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
前記通路を支持するためのリムを含む、呼吸デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を増大する、呼吸デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を増大するが、前記通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗を大幅には増大しない、呼吸デバイス。
【請求項5】
請求項3に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を、前記通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗の増大よりも大きく増大する、呼吸デバイス。
【請求項6】
請求項3に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記空気流抵抗器を横切る空気流又は前記空気流抵抗器の前後の圧力差が閾値レベルを越えたとき、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を減少する、呼吸デバイス。
【請求項7】
請求項3に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記空気流抵抗器を横切る空気流又は前記空気流抵抗器の前後の圧力差が閾値レベルよりも下に低下したとき、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を増大する、呼吸デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は入れ子式空気流抵抗器である、呼吸デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器はフラップバルブである、呼吸デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約3:1乃至1:10であるように変化する、呼吸デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約1:1.5乃至1:4であるように変化する、呼吸デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約1:3に変化する、呼吸デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の鼻腔と外部環境との間で交換される空気の少なくとも幾分かが前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の鼻腔と外部環境との間で交換される空気の全てが前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項15】
請求項13に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記呼吸デバイスの外領域が使用者の鼻腔に圧力を及ぼす、呼吸デバイス。
【請求項17】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、両鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項18】
請求項17に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、使用者の両鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項19】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、使用者の口腔及び鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項20】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
有効物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項21】
請求項20に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、薬物を含む、呼吸デバイス。
【請求項22】
請求項20に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、臭気物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項23】
請求項20に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、メントールを含む、呼吸デバイス。
【請求項24】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
フィルタを含む、呼吸デバイス。
【請求項25】
請求項24に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記フィルタは、移動可能のフィルタを含む、呼吸デバイス。
【請求項26】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、形態を一致できる材料を含む、呼吸デバイス。
【請求項27】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
呼吸ガス供給装置を含む、呼吸デバイス。
【請求項28】
鼻腔に取り外し可能に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、
通路と、
鼻腔に挿入されたとき、前記通路を開放状態に支持するのに十分な強度を持つリムと、
前記呼吸デバイスを少なくとも一つの鼻腔に固定するためのホールドファストとを含み、
前記呼吸デバイスは、使用者によって装着され又は取り外される、呼吸デバイス。
【請求項29】
請求項1に記載の呼吸デバイスと、
前記呼吸デバイスの使用についての説明書とを含む、キット。
【請求項30】
鼻腔に取り外し可能に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、
通路と、
前記通路内のフィルタと、
前記呼吸デバイスを少なくとも部分的に鼻腔内に取り外し可能に固定するためのホールドファストとを含む、呼吸デバイス。
【請求項31】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
前記通路を支持するためのリムを含む、呼吸デバイス。
【請求項32】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記フィルタは、前記デバイスを通って第1方向に流れる空気に対し、前記デバイスを通って前記第1方向とは逆方向に流れる空気に対するよりも高いフィルタ作用を及ぼすための移動可能のフィルタを含む、呼吸デバイス。
【請求項33】
請求項32に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記フィルタは、前記通路を通して吸い込まれる空気にフィルタ作用を及ぼすが、前記通路を通して吐き出される空呼息気には実質的にフィルタ作用を及ぼさない、呼吸デバイス。
【請求項34】
請求項32に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記フィルタは、前記通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を、前記通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗よりも大きく増大する、呼吸デバイス。
【請求項35】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の鼻腔と外部環境との間で交換される空気の少なくとも幾分かが前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項36】
請求項35に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の鼻腔と外部環境との間で交換される空気の全てが前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項37】
請求項35に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項38】
請求項37に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記呼吸デバイスの外領域が使用者の鼻腔に圧力を及ぼす、呼吸デバイス。
【請求項39】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、両鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項40】
請求項39に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、使用者の両鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項41】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、使用者の口腔及び鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項42】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
有効物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項43】
請求項42に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、薬物を含む、呼吸デバイス。
【請求項44】
請求項42に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、臭気物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項45】
請求項42に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、メントールを含む、呼吸デバイス。
【請求項46】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、形態を一致できる材料を含む、呼吸デバイス。
【請求項47】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
呼吸ガス供給装置を含む、呼吸デバイス。
【請求項48】
鼻腔に取り外し可能に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、
通路と、
前記通路内のフィルタと、
鼻腔に挿入した場合に通路を開放状態に支持するのに十分な強度を持つリムと、
前記呼吸デバイスを少なくとも一つの鼻腔に固定するためのホールドファストとを含み、
前記呼吸デバイスは、使用者によって装着され又は取り外される、呼吸デバイス。
【請求項49】
請求項30に記載の呼吸デバイスと、
前記呼吸デバイスの使用についての説明書とを含む、キット。
【請求項50】
口腔と連通した状態で取り外し可能に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、
通路と、
前記通路と連通した空気流抵抗器と、
前記呼吸デバイスを実質的に前記口腔の一部内に取り外し可能に固定するためのホールドファストとを含む、呼吸デバイス。
【請求項51】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を増大する、呼吸デバイス。
【請求項52】
請求項51に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を増大するが、前記通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗を大幅には増大しない、呼吸デバイス。
【請求項53】
請求項51に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を、前記通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗の増大よりも大きく増大する、呼吸デバイス。
【請求項54】
請求項51に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記空気流抵抗器を横切る空気流又は前記空気流抵抗器の前後の圧力差が閾値レベルを越えたとき、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を減少する、呼吸デバイス。
【請求項55】
請求項51に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記空気流抵抗器を横切る空気流又は前記空気流抵抗器の前後の圧力差が閾値レベルよりも下に低下したとき、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を増大する、呼吸デバイス。
【請求項56】
請求項51に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は入れ子式空気流抵抗器である、呼吸デバイス。
【請求項57】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器はフラップバルブである、呼吸デバイス。
【請求項58】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約3:1乃至1:10であるように変化する、呼吸デバイス。
【請求項59】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約1:1.5乃至1:4であるように変化する、呼吸デバイス。
【請求項60】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約1:3に変化する、呼吸デバイス。
【請求項61】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の口腔と外部環境との間で交換される空気の少なくとも幾分かが前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを実質的に使用者の口腔内に取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項62】
請求項61に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の口腔と外部環境との間で交換される全ての空気が前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを実質的に使用者の口腔内に取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項63】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
有効物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項64】
請求項63に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、臭気物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項65】
請求項63に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、メントールを含む、呼吸デバイス。
【請求項66】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
フィルタを含む、呼吸デバイス。
【請求項67】
請求項66に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記フィルタは、移動可能のフィルタを含む、呼吸デバイス。
【請求項68】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、形態を一致できる材料を含む、呼吸デバイス。
【請求項69】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
呼吸ガス供給装置を含む、呼吸デバイス。
【請求項70】
呼吸障害を治療する方法において、
呼吸デバイスを、患者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する工程であって、前記呼吸デバイスは、呼気を、吸気が妨げられるよりも大きく妨げる空気流抵抗器と、前記呼吸デバイスを鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定するように形成されたホールドファストとを含む、工程と、
患者が前記呼吸デバイスを通して呼吸を行うことができるようにする工程とを含む、方法。
【請求項71】
請求項70に記載の方法において、
治療される障害は、慢性閉塞性肺疾患、睡眠障害、胃腸病障害、及び心血管障害からなる群から選択される、方法。
【請求項72】
請求項70に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前記工程は、前記呼吸デバイスを対象者の外鼻孔に挿入する工程を含む、方法。
【請求項73】
請求項70に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前記工程は、前記呼吸デバイスを対象者の両外鼻孔に挿入する工程を含む、方法。
【請求項74】
請求項70に記載の方法において、更に、
対象者の外鼻孔内に装着できるように、前記呼吸デバイスの少なくとも一部を圧縮する工程を含む、方法。
【請求項75】
請求項70に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する前記工程は、前記呼吸デバイスのホールドファスト領域を対象者の鼻腔の少なくとも一部と係合する工程を含む、方法。
【請求項76】
請求項70に記載の方法において、
前記呼吸デバイスは、接着剤を使用して、患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定される、方法。
【請求項77】
請求項70に記載の方法において、
前記呼吸デバイスは、摩擦嵌めによって、患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定される、方法。
【請求項78】
請求項70に記載の方法において、更に、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前に、前記呼吸デバイスを殺菌パッケージから取り出す工程を含む、方法。
【請求項79】
請求項70に記載の方法において、更に、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前に、前記呼吸デバイスを清浄なパッケージから取り出す工程を含む、方法。
【請求項80】
患者の二酸化炭素分圧を調節する方法において、
呼吸デバイスの少なくとも一部を対象者の鼻腔に挿入する工程と、
前記呼吸デバイスを患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定する工程であって、前記呼吸デバイスは、呼気を、吸気が妨げられるよりも大きく妨げる空気流抵抗器と、前記呼吸デバイスを少なくとも部分的に鼻腔内に取り外し可能に固定するように形成されたホールドファストとを含む、工程と、
患者が前記呼吸デバイスを通して呼吸を行うことができるようにする工程とを含む、方法。
【請求項81】
請求項80に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを対象者の鼻腔に挿入する前記工程は、前記呼吸デバイスを対象者の外鼻孔の両方に挿入する工程を含む、方法。
【請求項82】
請求項80に記載の方法において、更に、
対象者の外鼻孔内に装着できるように、前記呼吸デバイスの少なくとも一部を圧縮する工程を含む、方法。
【請求項83】
請求項80に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する前記工程は、前記呼吸デバイスのホールドファスト領域を対象者の鼻腔の少なくとも一部と係合する工程を含む、方法。
【請求項84】
請求項83に記載の方法において、
前記呼吸デバイスは、接着剤を使用して、患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定される、方法。
【請求項85】
請求項83に記載の方法において、
前記呼吸デバイスは、摩擦嵌めによって、患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定される、方法。
【請求項86】
請求項80に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前に、前記呼吸デバイスを殺菌パッケージから取り出す工程を含む、方法。
【請求項87】
請求項80に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前に、前記呼吸デバイスを清浄なパッケージから取り出す工程を含む、方法。
【請求項88】
睡眠障害を治療する方法において、
呼吸デバイスの少なくとも一部を対象者の鼻腔に挿入する工程と、
前記呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する工程とを有し、
前記呼吸デバイスは、呼気を、吸気が妨げられるよりも大きく妨げる空気流抵抗器を含む、方法。
【請求項89】
請求項88に記載の方法において、
前記睡眠障害は、いびきである、方法。
【請求項90】
請求項88に記載の方法において、
前記睡眠障害は、睡眠時無呼吸である、方法。
【請求項91】
請求項88に記載の方法において、
前記呼吸デバイスの少なくとも一部を対象者の鼻腔に挿入する前記工程は、前記呼吸デバイスを対象者の外鼻孔の各々に挿入する工程を含む、方法。
【請求項92】
請求項88に記載の方法において、
前記呼吸デバイスは、前記呼吸デバイスの少なくとも一部と対象者の外鼻孔との間の摩擦嵌めによって患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定される、方法。
【請求項93】
呼吸傷害を治療する方法において、
前記呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する工程であって、前記呼吸デバイスは、呼気を、吸気が妨げられるよりも大きく妨げる空気流抵抗器と、前記呼吸デバイスを前記鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定するように形成されたホールドファストとを含む、工程と、
患者が前記呼吸デバイスを通して呼吸できるようにする工程とを含む、方法。
【請求項94】
請求項93に記載の方法において、
治療される障害は、慢性閉塞性肺疾患、睡眠障害、胃腸病障害、及び心血管障害からなる群から選択される、方法。
【請求項1】
鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、
通路と、
前記通路と連通した空気流抵抗器と、
前記呼吸デバイスを前記鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定するためのホールドファストとを含む、呼吸デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
前記通路を支持するためのリムを含む、呼吸デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を増大する、呼吸デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を増大するが、前記通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗を大幅には増大しない、呼吸デバイス。
【請求項5】
請求項3に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を、前記通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗の増大よりも大きく増大する、呼吸デバイス。
【請求項6】
請求項3に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記空気流抵抗器を横切る空気流又は前記空気流抵抗器の前後の圧力差が閾値レベルを越えたとき、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を減少する、呼吸デバイス。
【請求項7】
請求項3に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記空気流抵抗器を横切る空気流又は前記空気流抵抗器の前後の圧力差が閾値レベルよりも下に低下したとき、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を増大する、呼吸デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は入れ子式空気流抵抗器である、呼吸デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器はフラップバルブである、呼吸デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約3:1乃至1:10であるように変化する、呼吸デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約1:1.5乃至1:4であるように変化する、呼吸デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約1:3に変化する、呼吸デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の鼻腔と外部環境との間で交換される空気の少なくとも幾分かが前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の鼻腔と外部環境との間で交換される空気の全てが前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項15】
請求項13に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記呼吸デバイスの外領域が使用者の鼻腔に圧力を及ぼす、呼吸デバイス。
【請求項17】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、両鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項18】
請求項17に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、使用者の両鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項19】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、使用者の口腔及び鼻腔と連通した状態で取り外し自在に固定する、呼吸デバイス。
【請求項20】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
有効物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項21】
請求項20に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、薬物を含む、呼吸デバイス。
【請求項22】
請求項20に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、臭気物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項23】
請求項20に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、メントールを含む、呼吸デバイス。
【請求項24】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
フィルタを含む、呼吸デバイス。
【請求項25】
請求項24に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記フィルタは、移動可能のフィルタを含む、呼吸デバイス。
【請求項26】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、形態を一致できる材料を含む、呼吸デバイス。
【請求項27】
請求項1に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
呼吸ガス供給装置を含む、呼吸デバイス。
【請求項28】
鼻腔に取り外し可能に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、
通路と、
鼻腔に挿入されたとき、前記通路を開放状態に支持するのに十分な強度を持つリムと、
前記呼吸デバイスを少なくとも一つの鼻腔に固定するためのホールドファストとを含み、
前記呼吸デバイスは、使用者によって装着され又は取り外される、呼吸デバイス。
【請求項29】
請求項1に記載の呼吸デバイスと、
前記呼吸デバイスの使用についての説明書とを含む、キット。
【請求項30】
鼻腔に取り外し可能に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、
通路と、
前記通路内のフィルタと、
前記呼吸デバイスを少なくとも部分的に鼻腔内に取り外し可能に固定するためのホールドファストとを含む、呼吸デバイス。
【請求項31】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
前記通路を支持するためのリムを含む、呼吸デバイス。
【請求項32】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記フィルタは、前記デバイスを通って第1方向に流れる空気に対し、前記デバイスを通って前記第1方向とは逆方向に流れる空気に対するよりも高いフィルタ作用を及ぼすための移動可能のフィルタを含む、呼吸デバイス。
【請求項33】
請求項32に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記フィルタは、前記通路を通して吸い込まれる空気にフィルタ作用を及ぼすが、前記通路を通して吐き出される空呼息気には実質的にフィルタ作用を及ぼさない、呼吸デバイス。
【請求項34】
請求項32に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記フィルタは、前記通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を、前記通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗よりも大きく増大する、呼吸デバイス。
【請求項35】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の鼻腔と外部環境との間で交換される空気の少なくとも幾分かが前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項36】
請求項35に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の鼻腔と外部環境との間で交換される空気の全てが前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項37】
請求項35に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを使用者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項38】
請求項37に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記呼吸デバイスの外領域が使用者の鼻腔に圧力を及ぼす、呼吸デバイス。
【請求項39】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、両鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項40】
請求項39に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、使用者の両鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項41】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、前記呼吸デバイスを、使用者の口腔及び鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項42】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
有効物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項43】
請求項42に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、薬物を含む、呼吸デバイス。
【請求項44】
請求項42に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、臭気物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項45】
請求項42に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、メントールを含む、呼吸デバイス。
【請求項46】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、形態を一致できる材料を含む、呼吸デバイス。
【請求項47】
請求項30に記載の呼吸デバイスにおいて、
呼吸ガス供給装置を含む、呼吸デバイス。
【請求項48】
鼻腔に取り外し可能に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、
通路と、
前記通路内のフィルタと、
鼻腔に挿入した場合に通路を開放状態に支持するのに十分な強度を持つリムと、
前記呼吸デバイスを少なくとも一つの鼻腔に固定するためのホールドファストとを含み、
前記呼吸デバイスは、使用者によって装着され又は取り外される、呼吸デバイス。
【請求項49】
請求項30に記載の呼吸デバイスと、
前記呼吸デバイスの使用についての説明書とを含む、キット。
【請求項50】
口腔と連通した状態で取り外し可能に固定されるようになった呼吸デバイスにおいて、
通路と、
前記通路と連通した空気流抵抗器と、
前記呼吸デバイスを実質的に前記口腔の一部内に取り外し可能に固定するためのホールドファストとを含む、呼吸デバイス。
【請求項51】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を増大する、呼吸デバイス。
【請求項52】
請求項51に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を増大するが、前記通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗を大幅には増大しない、呼吸デバイス。
【請求項53】
請求項51に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記通路を通して吐き出される空気に対する抵抗を、前記通路を通して吸い込まれる空気に対する抵抗の増大よりも大きく増大する、呼吸デバイス。
【請求項54】
請求項51に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記空気流抵抗器を横切る空気流又は前記空気流抵抗器の前後の圧力差が閾値レベルを越えたとき、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を減少する、呼吸デバイス。
【請求項55】
請求項51に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記空気流抵抗器を横切る空気流又は前記空気流抵抗器の前後の圧力差が閾値レベルよりも下に低下したとき、前記通路を通して吐き出され及び/又は吸い込まれる空気に対する抵抗を増大する、呼吸デバイス。
【請求項56】
請求項51に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は入れ子式空気流抵抗器である、呼吸デバイス。
【請求項57】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器はフラップバルブである、呼吸デバイス。
【請求項58】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約3:1乃至1:10であるように変化する、呼吸デバイス。
【請求項59】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約1:1.5乃至1:4であるように変化する、呼吸デバイス。
【請求項60】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記空気流抵抗器は、前記呼吸デバイスを着用している使用者の吸息:呼息比を、約1:3に変化する、呼吸デバイス。
【請求項61】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の口腔と外部環境との間で交換される空気の少なくとも幾分かが前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを実質的に使用者の口腔内に取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項62】
請求項61に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、使用者の口腔と外部環境との間で交換される全ての空気が前記呼吸デバイスを通過するように、前記呼吸デバイスを実質的に使用者の口腔内に取り外し可能に固定する、呼吸デバイス。
【請求項63】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
有効物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項64】
請求項63に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、臭気物質を含む、呼吸デバイス。
【請求項65】
請求項63に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記有効物質は、メントールを含む、呼吸デバイス。
【請求項66】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
フィルタを含む、呼吸デバイス。
【請求項67】
請求項66に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記フィルタは、移動可能のフィルタを含む、呼吸デバイス。
【請求項68】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、
前記ホールドファストは、形態を一致できる材料を含む、呼吸デバイス。
【請求項69】
請求項50に記載の呼吸デバイスにおいて、更に、
呼吸ガス供給装置を含む、呼吸デバイス。
【請求項70】
呼吸障害を治療する方法において、
呼吸デバイスを、患者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する工程であって、前記呼吸デバイスは、呼気を、吸気が妨げられるよりも大きく妨げる空気流抵抗器と、前記呼吸デバイスを鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定するように形成されたホールドファストとを含む、工程と、
患者が前記呼吸デバイスを通して呼吸を行うことができるようにする工程とを含む、方法。
【請求項71】
請求項70に記載の方法において、
治療される障害は、慢性閉塞性肺疾患、睡眠障害、胃腸病障害、及び心血管障害からなる群から選択される、方法。
【請求項72】
請求項70に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前記工程は、前記呼吸デバイスを対象者の外鼻孔に挿入する工程を含む、方法。
【請求項73】
請求項70に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前記工程は、前記呼吸デバイスを対象者の両外鼻孔に挿入する工程を含む、方法。
【請求項74】
請求項70に記載の方法において、更に、
対象者の外鼻孔内に装着できるように、前記呼吸デバイスの少なくとも一部を圧縮する工程を含む、方法。
【請求項75】
請求項70に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する前記工程は、前記呼吸デバイスのホールドファスト領域を対象者の鼻腔の少なくとも一部と係合する工程を含む、方法。
【請求項76】
請求項70に記載の方法において、
前記呼吸デバイスは、接着剤を使用して、患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定される、方法。
【請求項77】
請求項70に記載の方法において、
前記呼吸デバイスは、摩擦嵌めによって、患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定される、方法。
【請求項78】
請求項70に記載の方法において、更に、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前に、前記呼吸デバイスを殺菌パッケージから取り出す工程を含む、方法。
【請求項79】
請求項70に記載の方法において、更に、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前に、前記呼吸デバイスを清浄なパッケージから取り出す工程を含む、方法。
【請求項80】
患者の二酸化炭素分圧を調節する方法において、
呼吸デバイスの少なくとも一部を対象者の鼻腔に挿入する工程と、
前記呼吸デバイスを患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定する工程であって、前記呼吸デバイスは、呼気を、吸気が妨げられるよりも大きく妨げる空気流抵抗器と、前記呼吸デバイスを少なくとも部分的に鼻腔内に取り外し可能に固定するように形成されたホールドファストとを含む、工程と、
患者が前記呼吸デバイスを通して呼吸を行うことができるようにする工程とを含む、方法。
【請求項81】
請求項80に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを対象者の鼻腔に挿入する前記工程は、前記呼吸デバイスを対象者の外鼻孔の両方に挿入する工程を含む、方法。
【請求項82】
請求項80に記載の方法において、更に、
対象者の外鼻孔内に装着できるように、前記呼吸デバイスの少なくとも一部を圧縮する工程を含む、方法。
【請求項83】
請求項80に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する前記工程は、前記呼吸デバイスのホールドファスト領域を対象者の鼻腔の少なくとも一部と係合する工程を含む、方法。
【請求項84】
請求項83に記載の方法において、
前記呼吸デバイスは、接着剤を使用して、患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定される、方法。
【請求項85】
請求項83に記載の方法において、
前記呼吸デバイスは、摩擦嵌めによって、患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定される、方法。
【請求項86】
請求項80に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前に、前記呼吸デバイスを殺菌パッケージから取り出す工程を含む、方法。
【請求項87】
請求項80に記載の方法において、
前記呼吸デバイスを取り外し可能に固定する前に、前記呼吸デバイスを清浄なパッケージから取り出す工程を含む、方法。
【請求項88】
睡眠障害を治療する方法において、
呼吸デバイスの少なくとも一部を対象者の鼻腔に挿入する工程と、
前記呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する工程とを有し、
前記呼吸デバイスは、呼気を、吸気が妨げられるよりも大きく妨げる空気流抵抗器を含む、方法。
【請求項89】
請求項88に記載の方法において、
前記睡眠障害は、いびきである、方法。
【請求項90】
請求項88に記載の方法において、
前記睡眠障害は、睡眠時無呼吸である、方法。
【請求項91】
請求項88に記載の方法において、
前記呼吸デバイスの少なくとも一部を対象者の鼻腔に挿入する前記工程は、前記呼吸デバイスを対象者の外鼻孔の各々に挿入する工程を含む、方法。
【請求項92】
請求項88に記載の方法において、
前記呼吸デバイスは、前記呼吸デバイスの少なくとも一部と対象者の外鼻孔との間の摩擦嵌めによって患者の鼻腔内に少なくとも部分的に取り外し可能に固定される、方法。
【請求項93】
呼吸傷害を治療する方法において、
前記呼吸デバイスを患者の鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定する工程であって、前記呼吸デバイスは、呼気を、吸気が妨げられるよりも大きく妨げる空気流抵抗器と、前記呼吸デバイスを前記鼻腔と連通した状態で取り外し可能に固定するように形成されたホールドファストとを含む、工程と、
患者が前記呼吸デバイスを通して呼吸できるようにする工程とを含む、方法。
【請求項94】
請求項93に記載の方法において、
治療される障害は、慢性閉塞性肺疾患、睡眠障害、胃腸病障害、及び心血管障害からなる群から選択される、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12c】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12c】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2008−522763(P2008−522763A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545707(P2007−545707)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/044888
【国際公開番号】WO2006/063339
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(507189769)ヴェンタス・メディカル・インコーポレーテッド (5)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/044888
【国際公開番号】WO2006/063339
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(507189769)ヴェンタス・メディカル・インコーポレーテッド (5)
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