説明

呼吸マスクの内部から呼吸ガスの流れを変えるための装置、及び該装置を含むことにより形成された呼吸マスク配置

呼吸マスクを備えて、周囲圧力を超える圧力レベルで呼吸ガスを供給するために使用される配置の過圧領域からCO2を多く含む呼吸ガスの流れを変えるため装置が開示されている。迂回装置は、ホース側の入口断面2とマスク側の出口断面3との間に延在する呼吸ガスダクト1を形成するノズルスタブ構造を備える。ノズルスタブ構造は、入口断面2と出口断面3との間に位置する領域に排出ポート部4を備える。排気されるべき呼吸ガスは、排出ポート部4を経由して環境に放出される。呼吸ガスダクト1を囲む二重壁構造5は、呼吸ガス導管1を迂回するようにマスク30の内部から排出される呼吸ガスをサンプリングするために、マスクに面する呼吸ガス導管1の流出オリフィス部4と出口断面3との間に位置する領域で具現化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸ガス供給システムから、呼気ガスつまりCO2を多く含む呼吸ガスの流れを変えるための装置に関する。本発明は、また、かかる装置の包含物(inclusion)が形成された呼吸マスク配置に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、睡眠に関係した呼吸問題を処置(treating)するために、少なくともいくつかの相において周囲圧力を越えたある圧力レベルで患者に、周囲空気のような呼吸可能なガスを供出することが知られている。その結果、この領域でのいかなる障害物も防ぐことができる手段によって、上部の気道の領域で空気の固定(splinting)として知られている効果をもたらすことができる。周囲圧力を越えるレベルでの呼吸可能なガスの供出は、睡眠に関係した呼吸問題の処置の他に、さらに他の面でも治療上有利になりえる。
【0003】
既知のシステムにおいて、呼吸ガス供出は、柔軟な呼吸ガスのライン、及び患者に装着される呼吸マスクを用いることにより行われる。患者が治療を必要とする時において、呼吸ガス供出のかかるシステムは、特別の監督なしで、完全に眠っている相の間に典型的に着用される。呼気ガスにおいて含まれたCO2の流れを確実に変えることは、特に重要である。
【0004】
本出願人の米国特許第6,112,745号から、呼吸マスク及び呼吸ガス・ホースの間に配置するために提供されるアダプターが知られている。それは、アダプターの縦方向軸を中心に互いに回転可能な二つの着脱可能な共連結されたチューブ・セグメントを含んでいる。チューブ・セグメントは、ジョイントの領域において、環状ギャップが作成されるように測定される。それによって、使用された呼吸ガスの流れを連続的に変えることができる。このように、永続的な呼吸ガス交換を呼吸マスクの領域で行うことができる。
【0005】
本出願人のPCT国際公開WO03-059427号から、マスク内部から部分的に使用された呼吸ガスの流れを変えることが流出開口を通してなされる呼吸マスクが知られている。流出開口は、呼吸マスクの装着位置においてユーザの鼻孔の正反対である、呼吸マスクの壁領域に位置する。
【0006】
呼吸ガスの流れを変えるための既知のコネクタは、小さな雑音で、及び患者と患者の隣りに位置するかもしれない人との両方の最小限の妨害で、呼吸ガスの適切な流出を可能にすることを目的とする。
【発明の開示】
【0007】
本発明の目的は、呼吸ガス送出システムの過剰圧力領域から使用された呼吸ガスの流れを変える(迂回させる)ことにおいてさらに長所を提供する実施形態を示すことである。
【0008】
呼吸マスクを含み、周囲圧力を越えている圧力レベルで呼吸ガスを届けることに役立つ配置の加圧領域から、CO2を多く含んだ呼吸ガスの流れを変えるための迂回装置によって、本発明の第一の態様の中で、この目的が得られる。当該迂回装置は、ホース側の入口断面(cross section)とマスク側の出口断面との間に延在する呼吸ガス導管(conduit)を形成し、入口断面と出口断面との間に位置する領域で、運ばれる呼吸ガスが環境に達する流出オリフィス部を備える管状のスタブ(stub)構造を持っている。呼吸ガス導管のマスク側の流出オリフィス部と出口断面との間に位置する領域で、呼吸ガス導管を囲む二重壁構造は、大部分は呼吸ガス導管を迂回しているが、マスク内部から運び去られる呼吸ガスをサンプリングするために具体化される。
【0009】
その結果、好ましくは、低い呼吸ガス圧力でさえも、マスク内部において主流である(prevail)流れのプロファイルの点から有利な方法で適切な交換効果を得ることができる。特に好ましくは、必要なものを越えてマスク内部に導入されたあらゆる呼吸ガスも、ドラフトをもたらさないことが得られる。さらに、低減されたクリアランスの観点から利点が得られる。
【0010】
好ましくは、二重壁構造は、主洗浄要素ボディの中に挿入されるかその上に配置されるスリーブ要素によって形成される。主洗浄要素ボディ及びスリーブ要素は、滅菌されたプラスチック材料から好ましくは作られる。主洗浄要素ボディ及びスリーブ要素は、好ましくは分離可能にともに連結される。主洗浄要素ボディ及びスリーブ要素を連結するために、プラグタイプ又は戻り止め(detent)の構造を設けることができる。それによって適当な位置で二つの構造体を連結することができる。
【0011】
本発明の特に好ましい実施形態において、主洗浄要素ボディ及びスリーブ要素は、マスク側出口断面の領域で主洗浄要素ボディを過ぎて(past)スリーブ要素が突出するようなものが具体化される。その結果、呼吸マスクの内部から運ばれるガスに対して、マスク内部に入り込む端部の下流に位置した供給導管の領域でサンプリングされ、したがって内部の特に好適な洗浄(rinse)を達成することができる。
【0012】
必要な空気抵抗を生成する二重壁構造の領域に空気ガイド構造を形成することは可能である。これらの空気ガイド構造は、リブによって、具体化されることができる。当該リブは、スリーブ要素及び/又は主洗浄要素ボディにおける又はその上に迷路構造を特に形成する。主洗浄要素ボディに対してスリーブ要素を配置することによって、流れ抵抗及びこのような流出空気量は調節可能であるようにこれらの空気ガイド構造を具体化することは可能である。それらによって、二重壁構造に形成された気道のギャップ間隔が形成されるように、これらのリブ又は突部を配置することができる。
【0013】
好ましくは、主ボディは、回転により回転スタブ要素を回転可能に支持するための、回転アダプター構造又は回転スタブ構造を備えている。回転アダプター構造は、好ましくは、複数の屈曲可能な脚部を持っている。当該脚部は、主洗浄要素ボディと、戻り止め(detent)取っ手(lug)と一体的に具体化されている。脚部は、好ましくは呼吸ガス導管壁の一部を形成する。
【0014】
好ましくは、二重壁構造は、0.3乃至3.2mmの径方向(radial)のギャップ高さを備えたギャップを形成するように、具体化される。
【0015】
呼吸マスク配置に関して、上記目的も、基本マスクボディ、及びシール・リップ装置によって囲まれたマスク内部を持った呼吸マスク配置によって得られる。ここで、基本マスクボディは、ホース側の入口断面とマスク側の出口断面との間に延在する呼吸ガス導管を画定するとともに、入口断面と出口断面の間に位置する領域において、運ばれる呼吸ガスが環境に達する流出オリフィス部を備える、管状スタブ構造を受け入れるための接続部分を持っている。呼吸ガス導管のマスク側の流出オリフィス部と出口断面との間に位置する領域において、呼吸ガス導管を囲む二重壁構造は、管状のスタブ構造の、呼吸ガスを蓄える役目をする、導管領域からのサンプリングされた気流を十分又は広範囲に分離した状態で、運び去られる呼吸ガスのサンプリングのために具体化される。
【0016】
好ましくは、管状のスタブ構造は、基本マスクボディの接続部分にある二重壁構造の領域に配置されている。
【0017】
「呼吸ガス導管を大きく回避すること(circumvent)」という定義は、サンプリング・コネクタを特に意味すると理解される。運び去られるガスが、二重壁構造のおかげで導管(参照符号12)に流れる入口領域は、主導管の外に位置する。しかしながら、本発明の二重壁構造を用いることによって、入口ギャップが、主導管のオリフィスのマスク側のエッジ部から、高々10%又はおよそ8mmで主導管に内部にオフセットされるとしても、利点は依然として得られる。
【0018】
本発明のさらなる細部及び特徴は、図面とともに詳細な説明から明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1に示された装置は、マルチ部分の管状スタブ構造である。それは、呼吸マスクに呼吸可能なガスを提供することを意図した呼吸ガス導管1を規定する。呼吸ガス導管は、ホース側の入口断面2とマスク側の出口断面3との間に延在する。この管状スタブ構造は、流出オリフィス部4を備えている。運び去られるガスの呼吸が、それによって環境(environment)に達する。流出オリフィス部4とマスク側出口断面3との間に延在する領域において、呼吸ガス導管1を囲む二重壁構造5は具体化される。それは、呼吸マスク配置の領域から運び去られる呼吸ガスをサンプリングする役目をする。二重壁構造は、マスク側出口断面3の領域で、又はマスク側出口断面3の軸方向に上流の領域で、このサンプリングが行われるように、具体化される。
【0020】
この典型的な実施形態において、二重壁構造5は、管状スタブ部6及びスリーブ要素7から形成される。管状のスタブ部分6は、主洗浄要素ボディ66の一部分を形成する。それは熱可塑性材料から成型される。そして、その中には、流出オリフィスを備えるために必要な壁4が設けられる。
【0021】
スリーブ要素7は、この典型的な実施形態において、マスク側出口領域3と洗浄オリフィス部4との間で延在する導管領域に前述の二重壁構造5が形成されるように、主洗浄要素ボディに挿入される。スリーブ要素7の外側周辺領域と管状スタブ部6の内側周辺壁との間で、呼吸マスクの内部から流れが変えられる空気が出口オリフィス部4に向かって進むことのできる導管として機能する隙間が残存するように、スリーブ要素7及び管状スタブ部6が寸法構成される。
【0022】
この典型的な実施形態において、主洗浄要素ボディ66に分離可能に挿入することができるように、スリーブ要素7が具体化される。この典型的な実施形態におけるスリーブ要素7は、その軸方向の長さの点から寸法構成される。マスク内部に突出するその終端(terminal)の周面8は、管状スタブ部6の終端の周面又は末端(end)面9を過ぎて軸方向に突出する。その結果、軸方向のオフセットは、呼吸ガス導管1のマスク側オリフィスと二重壁構造5の入口ギャップ領域10との間で得られる。
【0023】
終端の周面8の領域において、スリーブ要素7は周辺の玉縁(bead)11を備えている。それによって、マスク内部の洗浄に関するさらに改善された流れ条件が作成される。
【0024】
出口オリフィス部4の方へ流れが変えられる呼吸ガスの流出を過度にではなく十分に高く調節する流れ抵抗を持つように、二重壁構造5の領域で形成されたギャップが寸法構成される。主洗浄要素ボディ66の管状スタブ部6の内部壁の領域で、及び/又は、主洗浄要素ボディ66に挿入されたスリーブ要素7の外側周辺の壁の上で、バンプ(bunmp)又は小さな個々の突出部のような構造体が設けられる。それによって、二重壁構造5に形成された導管12の最低条件ギャップ・サイズが保証される。
【0025】
流出オリフィス部4の領域において、流出傾斜路(ramp)44は、好ましくは具体化される。それによって、導管12経由で流出オリフィス部4に流れる呼吸ガスはそらされる。好ましくは、新たに生起する呼吸ガスは、およそ7cmの移動距離にわたって、主洗浄要素ボディ66の周辺の壁に、又はそれに回転可能に配置された回転カフ(cuff)14に、及び、順に回転カフに隣接する呼吸ガス・ホース(本願では不図示)に適合するように、流出傾斜路(ramp)が具体化される。
【0026】
主洗浄要素ボディ66は、軸方向のくぼみ15,16によって互いから分離された、複数のバネ脚部17,18,19を有する。これらのバネ脚部は、主洗浄要素ボディ66の回転ベアリング部分20の一部を形成する。回転カフが主洗浄要素ボディ66の縦方向の軸線Xに関して回転可能なであるように、回転カフ14はその上に分離可能に配置される。戻り止め(detent)脚部21,22は、ばね脚部17,18,19上に具体化される。また、回転カフ14における取っ手(lug)に相補的に具体化された内部周溝部にスナップ止め(snap)することができる。
【0027】
わずかに円すい形に具体化され、その上に柔軟な呼吸ガス・ホースを配置するために意図されるホース取付スタブ23と、ばね脚部17,18,19又は主洗浄要素ボディ66の対応する部分の上に配置するために意図される回転カフ部分24を有するように、回転カフ14が具体化される。回転カフ部分24は、その外側周面25の領域でわずかに円すい形に具体化され、流出傾斜路44に隣接する(border)周辺の壁26から、ホース取付スタブ23の上に配置されるホースの外径まで広がる。
【0028】
この図でそれを見ることができないが、本発明の装置は、流出オリフィス部4の領域で具体化されることができる。そのようなもの、使用された呼吸ガスの流れを環境に変えることは、主洗浄要素ボディ66の全周面上に起こるのではなく、例えば270度の選択された角度範囲上にだけ起こる。その結果、流れの変えられた呼吸ガスに、マスク・ユーザの鼻、額、又はヘッドの領域のブリッジの露出が回避される。したがって、空気の流出は、導管12の主洗浄要素ボディ66又は局所的な閉塞(blockage)に取付られた構造の遮蔽によって影響を受ける場合がある。
【0029】
部分的に使用された呼吸ガスの流れを変えるつもりの洗浄経路が同時に設けられている一方、呼吸マスクに呼吸ガス・ホースを連結するための本発明に係る装置は、この図において拡大して示されている。好ましくは、この装置は、呼吸ガス導管の内径がおよそ14乃至22mmになり、回転カフの取付スタフ23を含むこの装置の全体長さが好ましくはおよそ5.5乃至10cmになるように寸法構成される。
【0030】
特に、主洗浄要素ボディ66や他の構造によって、圧力測定導管、あるいは酸素を提供するか、空気の酸素含有量を測定するための導管のようなさらなる導管によって、詳細な図と共に下に説明されるそれらのうちのいくつかが設けられる。
【0031】
図2は、本発明に係る装置(上に説明されたように本質的に具体化されている)がどのようにして呼吸マスク内部30を規定する基本マスクボディ31に結合可能であるかを単純化された断面図の形で示している。この典型的な実施形態において、基本マスクボディ31は、エラストマ材料、特にシリコーンゴムから作られる。また半径方向に弾力的に広げることのできる接続部32を含んでいる。そして、十分に堅固に据え付けられるように、図1の装置は挿入することができる。好ましくは、接続部32の領域での基本マスクボディ31の幾何形状及び主洗浄要素ボディ66の管状スタブ部6の外部幾何形状は、結果として、密閉及び耐荷重性(load bearing)の許容性の点から適切である二つの構成要素の連結は得られるように、互いに適応される。
【0032】
本願に示された配置で、呼吸ガス導管1経由で流れ込む呼吸ガスは、矢印P2で表わされるように、呼吸マスク内部30に、スリーブ要素7によって本願で形成されたマスク側出口断面3経由で流れることができる。呼吸マスク内部30への呼吸ガスの流入は、空気ガイド構造33によって、本願に示されるように、変えることができる。
【0033】
この典型的な実施形態において、呼気相の間に、ユーザの鼻孔34を経由して呼吸マスク内部30に達するCO2を多く含む空気は、終端の周面8の下流に位置したギャップ領域10を経由して、二重壁構造5によって形成された導管12に流出することができる。スリーブ要素7を用いることで鼻孔34の方へオフセットされる呼吸ガス導管1のマスク側の出口断面と、この前方にシフトされたマスク側の出口断面3から軸方向に凹んだ入口ギャップ領域10とを通して、呼吸マスク内部30の特に有利な洗浄と、呼吸マスク内部30から、呼気相において鼻孔34から出現するCO2を多く含む呼吸ガスの付随する有利な流れの変化とが得られる。
【0034】
図3aにおいて、本発明に係る装置の変形例が斜視図で示される。図3aにおいて、二重壁構造5によって、軸のオフセットは、CO2を多く含む呼吸ガスの流れを変えることを意図したサンプリング場所(入口ギャップ領域10)とスリーブ要素7の終端の周面8との間で得られる。この典型的な実施形態において、主洗浄要素ボディ66は、ホース接続スタブ41,42が設けられた空気ガイド導管を形成するさらなる構造体40を備えている。それによって、呼吸ガス圧力測定又は呼吸マスクの内部の領域へのガスの供出、あるいは、呼吸マスク(図2を参照)の内部の領域からのガスの流れを変えることは達成される。この典型的な実施形態においても、流出傾斜路(ramp)44が、流出オリフィス部4の領域に設けられている。そして、好ましくは、この傾斜路によって、流出呼吸ガスが、外方にそらされることができる。
【0035】
図3bにおいて、図3aの装置の軸方向の断面図が示される。この図から分かるように、スリーブ要素7は、主洗浄要素ボディ66の一部を形成する管状スタブ部6に挿入される。スリーブ要素7の内部壁6aと外側の周面7aとの間で、既に上に説明されたような導管12が形成される。それは、この典型的な実施形態において、軸方向のリブ50,51,52によって縦方向に分割される。主洗浄要素ボディ66で一体的に具体化された構造体40の領域において、洗い流す目的に役立つ導管12と同様に、呼吸マスクの内部領域と通じて、図3aと共に説明されたホース接続スタブ41,42に放出する導管12a、12bが形成される。この二重壁構造5によってこの点で形成された隙間は、導管システムを提供する。それによって、CO2を多く含む呼吸ガスの流れを変えること、圧力測定、及び酸素のさらなる供出、あるいは例えば呼吸ガスの分析のための空気サンプリングを達成することができる。
【0036】
図4aにおいて、この二重壁構造5の変形例が示されている。図4aにおいて、隙間又は壁6a、7aの間に設けられた中間の導管12は、複数の縦方向のリブ50,51,52,53によって複数の縦方向の導管へ細分される。スリーブ要素7は管状スタブ部6に挿入される。この典型的な実施形態において、前述のリブ50,53は、管状スタブ部6と一体的に具体化される。
【0037】
図4bは、スリーブ要素7が遮断リブ7dを備えている変形例を示している。遮断リブ7dによって、CO2を多く含む呼吸ガスの流れを変えることを意図される導管12の断面が縮小される。呼吸ガス流出を形成するために、スリーブ要素7が導管の複数部分を阻止するようにスリーブ要素7を具体化することは可能である。また、迷路(labyrinth)を形成するとともに、管状スタブ部6の内部壁6aと共同して、規定された流れ抵抗を備えた流路を形成する、スリーブ要素の上にリブを形成することは可能である。
【0038】
図5において、本発明に係る装置のさらなる実施形態が非常に単純化されて示されている。その装置において、二重壁構造5を用いて、軸方向のオフセットは、入口ギャップ領域10と出口オリフィス部4との間で得られる。そして、更に、入口ギャップ領域10は、呼吸ガス導管1を形成する管状スタブ構造の終端の周面8のレベルに位置する。この典型的な実施形態においても、主洗浄要素ボディ66は、連結構造67,68を備えている。連結構造67,68によって、ガスの供出又はガスの流れを変えること、及び特に圧力測定を達成することができる。この目的に用いられ、周囲圧力と比較して、高い圧力レベルにある呼吸ガス送出システムの領域で提供される導管は、主洗浄要素ボディ66の内側の周辺の壁と共同してスリーブ要素7の使用によって、この典型的な実施形態においても、形成される。
【0039】
本発明は、上述された典型的な実施形態に限定されない。例えば、呼吸マスクの硬質のシェルの一部として主洗浄要素ボディ66を具体化することも可能である。その結果、主洗浄要素ボディ66、そして特に、回転カフ14を受け入れるために意図されたその回転・ベアリング部20は、固い呼吸マスク・シェルの一体的構成要素を形成する。スリーブ要素7は、マスクのシェル・ボディの内部から、又は好ましくはホース側端部から主洗浄要素ボディ66の中にスラスト(thrust)することができる。例えば、スリーブ要素7及び回転カフ14を単一の部分に組み合わせるために、回転カフ14と一体化されたスリーブ要素7を具体化することも可能である。
【0040】
流出部4の領域において、空気ガイド構造、特にリブ、層板(lamellae)又は空洞(それらは上述された典型的な実施形態から外れている)が設けられていてもよい。また、流出部4の領域において、あらゆる流れ雑音の発生がさらに防止されるエラストマ構造を設けることができる。スリーブ要素7は多孔性材料から作られてもよい。その結果、特に、入口ギャップ領域10(図1)経由で流れの変えられる空気の流入に加えて、流出部分、又は導管12の領域への空気の領域への流入は、スリーブ要素7の壁を通って達成される。
【0041】
回転カフ装置の代わりに、又は回転カフ装置と組み合わせて、本発明に係る装置は、ヒンジ装置を備えている。ヒンジ装置によって、主洗浄要素ボディ66に対するホースの傾斜運動は、主洗浄要素ボディの縦方向の軸Xに実質的に垂直に指向している軸を中心になされることが可能になる。本発明に係る装置の個々の構成要素は、特に、比較的硬質な熱可塑性樹脂材料から製造されてもよい。また、特に、硬質な弾性材料から、主洗浄要素ボディ66を製造することも可能である。
【0042】
したがって、上記の説明が、図6及び7の呼吸マスクならびに図8のライン要素に適用する。図1乃至5と共にそれ自身既に取り扱われた(addressed)呼吸マスク及びライン要素の詳細及び構成要素に対して、部分的にこれらの構成要素を再び取り扱う(address)ことなく同じ参照数字が用いられる。
【0043】
図6及び7の呼吸マスクにおいて、主洗浄要素ボディ66は、雁首型(gooseneck)の方法で具体化される。屈曲の角度は、25度乃至60度であり、好適には、およそ30度である。
【0044】
流出オリフィス部4の領域において、四つの縦方向のリブ71,72,73がある(この図では、四番目を見ることができない)。主洗浄要素ボディ66は、適用位置のユーザから離れて対面する側に、接近する流れ方向の点に関して浅い傾斜路ゾーン75を形成する。この典型的な実施形態における傾斜路ゾーン75は、縦方向のリブ70で分割され、リブ71及び正反対にあるリブ73(図7)によって囲まれる。好適な空気のガイダンスは、リブ71,73によるこの包囲によって達成される。
【0045】
主洗浄要素ボディ66は、呼吸マスクの適用位置のユーザに対面している主洗浄要素ボディの側に、より急勾配の傾斜路ゾーン76を備えている。傾斜路ゾーン75経由よりもこの傾斜路ゾーン経由でより少ない気流が流れるような予防措置を講ずることは可能である。また、ここで十分な遮断を達成することは可能である。
【0046】
既に上述されたホース取付スタブ23は、その管軸に関して回転可能に且つ移動可能に支持されで主洗浄要素ボディ66に据え付けられている。
【0047】
本願に示された呼吸マスクは、適用位置において、ほぼユーザの鼻のブリッジのレベルに位置するマスクの領域で、又は少なくとも患者の額(例えば、額パッド80によって)の上でマスクが固定される領域より下で、CO2を多く含む呼吸ガスの流れの変化が起こるという事実によって特に区別される。
【0048】
主洗浄要素ボディ66の特別な設計及びスリーブ要素7の使用のために(図1)、非常にわずかなクリアランスで空気を運び去ることが可能となる。
【0049】
図8は、取り付けられたホース接続スタブ23及びスリーブ要素7で主洗浄要素ボディ66を斜視図で示している。主洗浄要素ボディ66は、固定(securing)構造81を備えている。それによって、それは、呼吸マスクのフレーム部82(図6)に連結することができる。固定(securing)構造81は、フレーム部82における相補的対応構造との係合にもたらすことのできる二つのバヨネット側面(flank)を含む。
【0050】
取り付けられた状態において、主洗浄要素ボディ66は、図2に示したのと同様に、フレーム部82を過ぎて突出するその部分で、特にスリーブ要素7で、マスク内部に突出する。空気の分流(diversion)(矢印P1)は、スリーブ要素7の外側周面と、主洗浄要素ボディ66の内側の表面との間で形成されたギャップ領域を経由して達成される。その領域は、実際の空気吐出口経路からそういうものとして保護される。ギャップに入る空気は、傾斜路ゾーン75(矢印P2)を経由して環境に流れる。
【0051】
その外側を向いた膝領域において、主洗浄要素ボディ66は、連結構造83を備えている。それは測定ホース接続スタブとして本願で具体化される。この構造によって、圧力又はガスの測定がなされる。そして/又は、酸素又は他のガスの活発な送り込み(infeed)がなされる。図6及び7において、この構造はキャップで覆われている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るCO2を多く含む呼吸ガスの流れを変えるための装置の断面図である。
【図2】図1に従って具体化された呼吸マスク配置の使用を説明するための断面図である。
【図3a】本発明に係る装置のさらなる変形例の斜視図である。
【図3b】図3aの変形例において提供される導管断面を説明するための径方向の断面図である。
【図4a】二重壁構造を備えた流れ導管の原理を説明するための別の径方向の断面図である。
【図4b】流れ断面の減らすために部分的に塞がった導管セグメントを備えた変形例を説明するための径方向の断面図である。
【図5】本発明に係る、CO2を多く含む呼吸ガスの流れを変えるための配置のさらに典型的な実施例の軸方向の断面図である。
【図6】本発明に係る、CO2を多く含む呼吸ガスの流れを変える統合された経路を備える雁首型(gooseneck)の(ホース接続スタブ)ライン要素を持った呼吸マスクの斜視図である。
【図7】特に雁首型(gooseneck)のライン要素に関して、呼吸マスクの構造上の特徴をさらに図示するための図6の呼吸マスク上の平面図である。
【図8】図6及び7の呼吸マスクの、複数の部品で具体化された、ライン要素の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸マスクを含んでおり、周囲圧力を越える圧力レベルで呼吸ガスを送出する役目をする配置の過剰圧力領域からCO2を多く含む呼吸ガスの流れを変えるための迂回装置であって、
ホース側の入口断面(2)とマスク側の出口断面(3)との間に延在する呼吸ガス導管(1)を形成する管状のスタブ構造を有して、
それは、入口断面(2)と出口断面(3)の間に配置された領域で、運ばれる呼吸ガスが環境に達する流出オリフィス部(4)を備え、
流出オリフィス部(4)と呼吸ガス導管(1)のマスク側の出口断面(3)との間に配置された領域で、呼吸ガス導管(1)を囲む二重壁構造(5)は、大部分は呼吸ガス導管(1)に迂回する間に、マスク内部(30)から運び去られる呼吸ガスをサンプリングするために具体化されることを特徴とする迂回装置。
【請求項2】
前記二重壁構造(5)が、スリーブ要素(7)の包含物で形成されていることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記スリーブ要素(7)が、主洗浄要素ボディ(66)の管状スタブ部(6)に挿入されることを特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記スリーブ要素(7)が、主洗浄要素ボディ(66)上に配置されることを特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項5】
前記スリーブ要素(7)及び主洗浄要素ボディ(66)は、マスク側出口断面(3)の領域で主洗浄要素ボディ(66)を過ぎて軸方向に突出するように具体化されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
前記二重壁構造(5)において、必要な流れ抵抗を生成する空気ガイド構造は具体化されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
前記空気ガイド構造は、迷路構造として具体化されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記スリーブ要素(7)及び主洗浄要素ボディ(66)は、互いに分離可能に連結されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
前記主洗浄要素ボディ(66)は、回転カフ(14)を回転可能で移動可能に支持するための回転アダプター構造を備えていることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
前記二重壁構造(5)は、0.3乃至3.2mmの範囲で径方向ギャップ高さを備えた導管(12)を形成することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
前記二重壁構造(5)と協力して、流れ抵抗を調節するための調節装置が達成されることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一つに記載の装置。
【請求項12】
基本マスクボディ(31)によって規定されるマスク内部(30)とシール・リップ装置とを有する呼吸マスク配置であって、
前記基本マスクボディ(31)は、ホース側の入口断面(2)とマスク側の出口断面(3)との間に延在する呼吸ガス導管(1)を規定し、入口断面(2)と出口断面(3)との間に位置する領域において、運ばれる呼吸ガスが環境に達する流出オリフィス部(4)を備える管状スタブ構造を受け入れるための接続部(32)を有し、
流出オリフィス部(4)とマスク側の出口断面(3)との間に位置する領域において、呼吸ガス導管(1)を囲む二重壁構造(5)は、呼吸ガスを蓄える役目をする呼吸ガス導管(1)に迂回させる間、運び去られるCO2を多く含む呼吸ガスをサンプリングするために具体化されることを特徴とする呼吸マスク配置。
【請求項13】
前記管状スタブ構造は、基本マスクボディ(31)の接続部の中にある二重壁構造(5)の領域に置かれていることを特徴とする、請求項12記載の呼吸マスク配置。
【請求項14】
請求項12又は13記載の呼吸マスク配置用の呼吸マスク。
【請求項15】
呼吸マスクを含んでおり、人に周囲圧力を越える圧力レベルで呼吸ガスを送出する役目をする配置の過剰圧力領域からCO2を多く含む呼吸ガスの流れを変えるための迂回装置であって、
ホース側の入口断面(2)とマスク側の出口断面(3)との間に延在する呼吸ガス導管(1)を形成する管状スタブ構造を有して、
それは入口断面(2)と出口断面(3)の間に位置する領域において、運ばれる呼吸ガスが環境に達する流出オリフィス部(4)を備えて、
呼吸ガス導管(1)のマスク側の流出オリフィス部(4)と出口部分(3)との間に位置する領域において、呼吸ガス導管(1)を囲むスリーブ要素(7)は、配置され、出口部分(3)と協力して、出口部分(3)のマスク側の端部領域に隣接している入口領域(10)を経由してマスクの内部(30)から運び去られる呼吸ガスをサンプリングするための二重壁構造(5)を形成することを特徴とする迂回装置。
【請求項16】
基本マスクボディ(31)及びシール・リップ装置によって形成されるマスク内部(30)と、マスク内部に空気を送出するための供出管路手段とを有する呼吸マスク手段であって、
供出管路手段は、マスク内部に延在してオリフィスエッジで終端するスタブを含み、
オリフィスエッジに関して凹んだ場所のマスクの内部から呼吸ガスの流れを変えるためのオリフィスエッジに関して凹んだ供出管路手段の周囲の領域に、迂回開口が設けられていることを特徴とする呼吸マスク手段。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−508069(P2008−508069A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524266(P2007−524266)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008372
【国際公開番号】WO2006/015772
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(506153697)エムアーペー・メディツィーン−テヒノロギー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (10)
【氏名又は名称原語表記】MAP Medizin−Technologie GmbH