呼吸マスク用のヘッドバンド手段及び該ヘッドバンド手段を製造する方法
本発明は、ユーザの顔面領域に呼吸マスク(2)を装着するヘッドバンド手段(1)に関連する。前記ヘッドバンド手段(1)は、上下バンド部分(3、4)を備え、呼吸マスクに適用されることを要するマスク保持力を伝達するために使用される、しなやかなバンド本体を含んでいる。バンド本体の少なくとも若干部分は発泡プラスチック材料で製造されている。本発明は、さらに、ユーザの後頭部の周りに延びるヘッドバンド手段を含む、呼吸マスクのための適用装置(102)に関連する。このヘッドバンド手段は、少なくとも一度は一時的に、ヘッドバンド手段を、個々のユーザの後頭部の形状に少なくとも部分的に調整可能な状態にできる材料で製造された支持構造(S)を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの顔面領域に呼吸マスクを取り付ける(apply)ためのヘッドバンド手段に関するものである。また、本発明は、この種のヘッドバンド手段を製造する方法に関するものでもある。さらに、本発明は、ヘッドバンド手段を含む呼吸マスク用の取り付け手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
呼吸マスクは、特に医療と治療の部門で、睡眠時の呼吸器疾患を治療するのに使用される。この種の呼吸マスクにより、周囲圧力より大きな圧力で、環境大気を特定フィルターにかけて、呼吸可能ガスをユーザへ供給可能となる。この呼吸ガスの供給(圧力増加させて実行される)により、上部気道領域での空気のスプリンティング(splinting)を達成し、その結果、これらの気道領域で起こり得る障害の防止が可能となる。こうした方法で、睡眠時の呼吸器疾患を治療するために用いられる呼吸マスクは、休息時間および睡眠時間の全体にわたってユーザに装着されている。呼吸マスクは、通常、ヘッドバンド装置によりユーザの頭部へ固定されている。これらのヘッドバンド装置は、下部ヘッドバンド部分のみならず上部ヘッドバンド部分を含むこともあり、その場合、上部ヘッドバンド部分が、対応する保持力を呼吸マスクの額支持手段へ与える。呼吸マスクは、下部ヘッドバンド部分により、鼻を囲む領域(上唇部分だけでなく鼻梁部分)に向かって力を加えることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、生産技術の見地から有利に製造可能であり、さらに、装着感や使用感の良さで際立っているヘッドバンド手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の試みに従い、この目的は、ユーザへ呼吸マスクを提供し、さらに、バンド本体の少なくとも一部が発泡プラスチック材料で製造され、呼吸マスクに供給されることを要するマスク保持力を伝達する上下バンド部分を有する、可撓性を有するバンド本体を含むヘッドバンド手段により達成される。
【0005】
結果として、大量生産される物品として、さほどのカッティングロスもなく、クッション特性に起因して際立っているヘッドバンド手段を生産することができるという有利な効果を奏する。
【0006】
本発明の特に好適な実施例によると、バンド本体形成用のプラスチック材料は、そのプラスチック材料を対応する成形型の空間部へ射出成形されることにより、バンド本体となる。バンド本体は、その外部表面領域に表皮を有するよう、都合よく構成されている。この表皮効果は、対応する内部空間に、コーティングで成形することによって実現可能である。このコーティングは、特に、粉体塗装処理、または薄膜の挿入により実行される。
【0007】
本発明の特に好適な実施例によると、バンド本体には、引張剛性(耐張力性)のあるインサート(挿入物)が設けられる。この引張剛性のあるインサートは、熱可塑性材料、特に、ナイロン、またはポリアミド材料で製造されているのが好ましい。それは、バンド本体に含まれたインサートの少なくとも若干部分は、部分的に大きさ的に安定したインサートを形成するように構成可能である。クッション特性、特に、バンド本体のクッションの厚みは、特に接触圧力が増加するバンド領域でクッションを厚くするなど、変更可能である。
【0008】
本発明の特に好適な実施例によると、バンド本体は、調整可能な形で、バンドストラップ、またはブラケット部分、またはマスク固定要素と結合する閉鎖手段を含んでいる。これにより、ヘッドバンド手段による、マスク接触圧力の正確な調整が可能となる。閉鎖手段は、ヘッドバンド手段と一体的に形成された、ロック構造を有しているのが好ましい。このロック構造は、ロック効果が、対応する反対構造と、力による嵌合接続および/またはぴったり合う接続ベースで達成可能となるよう構成可能である。ロック構造は、特に、張力を受けたり、引張剛性のあるそと一体的に形成された構成にすることができる。耐張力インサートは、特定の曲げ動作を示す形で構成可能である。この特定の曲げ動作は、特に、耐張力インサートの厚みを調整することによるのみならず、耐張力インサート内に凹みを形成することにより達成可能である。
【0009】
本発明の特に好適な実施例によると、閉鎖手段は、ヘッドバンド手段上の異なる閉鎖位置でロック可能なスライド手段を含んでいる。このスライド手段は、ロック構造上でスライド手段をロック可能な、ロック機構を含んでいてもよい。
【0010】
本発明のさらなる態様によると、上記の目的は、まず、引張剛性のあるインサートを形成する第1プラスチック射出ステップにおいて、対応するプラスチック材料がインサートを形成する成形ツール空間へ射出され、さらに、それに続くプラスチック射出ステップにおいて、クッション部分を形成する増孔材料が耐張力インサートを少なくとも部分的に覆う形となるよう、増孔プラスチック材料が拡大された型空間へ射出される、というヘッドバンド手段の生産プロセスによっても達成される。
【0011】
さらに、本発明は、呼吸マスクのための適用装置、特に、睡眠時の呼吸器疾患を治療する呼吸マスクに関連している。
【0012】
この点では、本発明の目的は、呼吸マスクの信頼できる固定を可能にし、使用感の良さで際立つ呼吸マスクのための適用装置を提供することである。
【0013】
本発明によると、この目的は、ユーザの後頭部の周りの適用位置内に伸びるヘッドバンド手段を含み、そのヘッドバンド手段が支持構造を備えており、さらにこの支持構造が、ヘッドバンド装置を、少なくとも一度は一時的に、ユーザの後頭部の形状に少なくとも部分的に個々に適合可能な状態にできる材料で製造されている、呼吸マスクのための適用装置で達成される。
【0014】
その結果、呼吸マスクに向かって伸びるヘッドバンド部分の進路が、マスクユーザの個々の頭の形に都合よく適合されるのを保証するような、ヘッドバンド装置の提供は有利に可能となる。さらに、また、特に、ヘッドバンド部分を通して、マスクユーザの後頭部領域へ、低い表面圧で適用される張力を導入するのも有利に可能である。
【0015】
ヘッドバンド装置は、支持構造が、耳の高さあるいは頚椎の終端領域で、ユーザの後頭部へ留まるような形で、構成されるのが好ましい。
【0016】
本発明の特に好適な実施例によると、支持構造は、好ましくは少なくとも30℃の温度まで加熱された後に、柔軟に変形可能な材料で製造されている。支持構造は、例えば、水槽中で、または熱空気により加熱可能である。
【0017】
支持構造は、プラスチック材料、特に熱可塑性材料で製造されているのが好ましい。支持構造は、まだ完全には回復していない状態で、例えば、ユーザの後頭部の湾曲に適合可能な補強層を形成するよう、構成可能である。支持構造は、適用位置でユーザを向く側に、クッションを含むことができる。このクッションは、発泡材料および/または不織布材料で形成可能である。
【0018】
特に、支持構造が曲面プレート要素として構成される場合は、支持構造には開口部があるのが好ましい。これにより、蒸気に対する支持構造の透過率を増加させ、ヘッドバンド手段が湿気を含みすぎるのを回避する。支持構造は、ヘッドバンド手段へ解放可能に結合する形で構成可能である。その結果、支持構造からヘッドバンド手段を分離可能であり、都合よくヘッドバンド手段と別々に掃除可能である。
【0019】
本発明の特に好適な実施例によると、支持構造は、ヘッドバンド部分に沿う主要支持表面部分から延びるアーム部分を含むよう構成される。
【0020】
支持構造は、頬骨に向かう適用位置に延びる2本の下部脚を有し、および/または、ヘッドバンド装置の下部バンド部分を誘導するよう、対応する耳たぶの下にある領域内にある下部縁部分を含む形で、構成可能である。したがって、下部ヘッドバンド部分の進路は、都合よく個々の頭の形にユーザの頬領域を横切り、有利に調整可能である。
【0021】
本発明のさらなる態様によると、支持構造は、耳の領域を横切る方向へ首領域の開始ゾーンから延びる、2本の上部脚を有する上部縁部分を含むよう好適に構成されている。
【0022】
本発明のさらなる細部および機構は、図面と組み合わせた、以下の説明から理解可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1に示した呼吸マスクユーザは、本発明に従うヘッドバンド手段1を用いて、鼻にかけて適用される呼吸マスク2を装着している。呼吸マスク2は、下部ヘッドバンド部分3と上部ヘッドバンド部分4により固定されている。ヘッドバンド手段1は、プラスチック射出ステップ中に、発泡プラスチック材料を対応するプラスチック成形スペース部分内に注入することにより、発泡プラスチック材料で製造されている。
【0024】
ヘッドバンド手段1は、調整可能な方法で、それぞれのヘッドバンド部分3、4へ固定手段7、8を取り付ける、ロック手段5、6を含んでいる。固定手段7、8は、それぞれのブラケットあるいはストラップ部分7a、8aを有しており、これらのブラケットあるいはストラップ部分7a、8aを、呼吸マスク2に向かって延びるさらなるバンド部分11、12が通り抜ける。
【0025】
ヘッドバンド手段1は、下部ヘッドバンド部分3が、首領域から耳の下の頬領域を横切って、呼吸マスクへ向かって延びるよう構成されている。上部ヘッドバンド部分4は、後頭部上部領域からマスクユーザの額領域へ延びている。下部ヘッドバンド部分3と上部ヘッドバンド部分4は、呼吸マスク2の装着に必要な保持力を提供する。
【0026】
下部ヘッドバンド部分3は、本質的に、呼吸マスク2とマスクユーザの鼻を囲む領域との間の接触圧力を決定する。上部ヘッドバンド部分4にわたる張力は、本質的に、額支持手段14とマスクユーザの額との間の接触圧力を決定する。
【0027】
図1bは、平面に広げられたヘッドバンド手段1を概略的に示している。このヘッドバンド手段は、前述の下部ヘッドバンド部分3のみならず、上部ヘッドバンド部分4を含んでいる。ヘッドバンド手段1は、発泡材料で製造され、耐張力インサートを含んでいる。鎖線によりマークされる領域Bでは、引張剛性インサートあるいは耐張力インサートが、その支持領域に対して本質的に垂直方向へ延びる軸の周りに、特に高い捻り剛性を有する形で構成されている。結果として、下部ヘッドバンド部分3領域内でバンドを曲げるか、あるいは、この領域内でオフセットを実現することが可能であり、それにより、下部ヘッドバンド部分3が、ユーザの耳領域の下を頬領域に向かって都合よく通過可能となる。示されたように、ヘッドバンド手段1は、以下でより詳細に考察される、そこへ一体的に形成されたロック構造5、6が設けられている。
【0028】
図2は、完全に増孔プラスチック材料で製造された、本発明に従うヘッドバンド手段の実施例を示している。
【0029】
図3は、引張剛性のあるインサートEを含む、バンド本体の異形を説明する断面略図Q/Qを示している。引張剛性のあるインサートは、例えば、ナイロンやポリアミドなどの熱可塑性材料で製造されている。引張剛性のあるインサートEは、発泡材料M内に埋め込まれている。発泡材料Mは、耐張力インサートEへ射出成形される。
【0030】
図4は、本発明の特に好適な実施例に従う、引張剛性のあるインサート、あるいは耐張力インサートEと一体的に形成された、ロック構造16を説明する略図を示している。ロック構造16は横切って連動するウェブ部分として実現され、特に図5aに示した断面を有することができる。ロック構造16のウェブ本体は、スライド要素に対するガイド手段を形成するよう構成される。ウェブ手段上のスライド要素のロック位置は、調整可能である。
【0031】
図5bは、図5aあるいは図4に従う、ウェブ手段上に配置されるスライド要素の可能な異形を概略的に示す略図である。スライド要素は、ロック構造16へ選択的に係合可能なロック機構17(詳細には図示せず)を含んでいる。スライド要素は、図1aに示したように、バンド部分11、12を受けるブラケットあるいはストラップ部分18を含んでいる。
【0032】
図6aは、ロック手段領域における、本発明に従うヘッドバンド手段のさらなる断面の異形を示している。ここでも、ヘッドバンド本体は、そこに埋め込まれた耐張力インサートEと同様に、発泡材料で製造されたクッション層Mを含んでいる。また、ここでも、耐張力インサートEは、図5aに従う異形とは対照的に、ほとんど埋没する方法でバンド本体内において受けられる、ロック手段の部分を形成する。スライド要素はバンド本体に埋没したウェブ手段へ挿入可能であり、このスライド手段は、やはり詳細には示されていないロック機構により、案内機構へ調整可能な形で取付可能である。
【0033】
図7は、発泡材料で製造されており、かつ耐張力層あるいは引張剛性層Eが埋め込まれている、クッション本体Mを含むヘッドバンドの異形を示している。耐張力層Eは、ロック歯20を備える案内ウェブを形成するロック手段16を含んでいる。スライド要素21は、この案内ウェブ上に配置される。スライド要素21は、詳細に示されていない、ロック機構をアンロックすることになるプッシュボタン22を作動させることにより、矢印Pにより示された方向へ移動可能である。スライド要素21は、ヘッドバンド手段のバンド部分11、12が通り抜けられる、ブラケットあるいはストラップ部分18を有している。バンド部分11、12は、対応するヘッドバンド部分3、4の有効長を、およそ、かつ事前に調整する、フックおよびループファスナ24が提供される。
【0034】
ヘッドバンド部分11、12のパケット部分18への図示された取付けの代わりに、図18に概略的に示したように、スライド要素21を呼吸マスク2と結合させることも可能であり、すなわち、しっかり縫われたバンドブラケット25内にブラケット部分18が埋め込まれていて、バンドブラケット27を呼吸マスク2の取付ブラケット26に通すことで、呼吸マスク2への取付けが実現することになるもので、ここでは、バンドブラケット27は、着脱可能なフックおよびループファスナ28により実現されている。スライド要素21は、ロック手段16に沿って可動である。ロック手段16は、バンド本体(図6a)に埋没しているウェブ手段によっても実現可能である。
【0035】
図9は、本実施例において、ヘッドバンド装置として実現された適用装置102により、さらなる呼吸マスク装置101が固定された呼吸マスクユーザを示している。呼吸マスク装置101は、ユーザの鼻領域に配置され、シーリングリップ105によりシールされるマスクベース本体103を含んでいる。マスクベース本体103は、フレーム構造と、それに結合された額支持手段106によってユーザに固定されている。呼吸ガスは、マスクベース本体103により形作られたマスク内部へ、概略的にのみ示されている接続手段107を通して供給可能ある。
【0036】
適用装置102は、額支持手段106領域内の後頭部H領域から延びる上部ヘッドバンド部分108を含んでいる。さらに、適用装置は、また、ユーザの首領域から頬骨を横切り、マスクベース本体103領域内へ延びる、下部ヘッドバンド部分109を含んでいる。この実施例では、対応するヘッドバンド部分108、109は、図11に関連して以下で説明されるフックおよびループファスナ構造を用いて呼吸マスク装置101へ結合されている。適用装置は、本実施例では、大きさが安定したプレート材料により形成された支持構造Sが設けられている。大きさが安定したプレート材料は、一定条件の下で柔軟に変形可能な材料で製造されており、したがって、個々のユーザの後頭部の形に適合可能である。この実施例では、適応性は、支持構造の形成材料が、熱変形可能プラスチック材料であることにより達成される。このプラスチック材料の材料特性は、およそ50℃からの範囲で可塑的に変形可能であるように調整される。本発明に従う、個々の後頭部の形に適合する支持構造を使用することにより、生理学の見地で有利な方法で、呼吸マスク装置101を適用するのに要する保持力が適用可能となる。支持構造Sを個々のユーザの頭の形に適合させることにより、特に、下部ヘッドバンド装置109のコースを都合よく決定可能となり、さらに、滑りと捻じれに対する大きな抵抗を実現することができる。
【0037】
図10は、上で説明した適用装置の背面図である。この図から、上部ヘッドバンド部分8が、ユーザの後頭部領域を横切るのは明白である。後頭部領域に橋を架ける上部ヘッドバンド部分の一部分8aは、対角線のウェブ110、111によるのと同様に、垂直方向のウェブ9により、ユーザの後頭部領域内に延びる適用装置102の下部バンド装置と結合している。ヘッドバンド手段は、前記支持構造Sを患者の後頭部領域内に含んでいる。この支持構造Sは、個々のユーザの後頭部の形に適合される。支持構造Sには、蒸気の透過率を増大させるよう開口部がある。
【0038】
支持構造Sは、マスクユーザの頬領域を横切る有利な形で伸びるよう対応して割り当てられたバンド部分109を案内する形に配置された、脚部分S1、S2を有する下部縁部分URを含んでいることは、図11から明白である。この実施例では、支持構造は、ヘッドバンド手段の上部バンド部分108を案内するさらなる2つの脚部分S3、S4を含んでいる。
【0039】
ヘッドバンド部分108、109は、ヘッドバンド部分8、9が呼吸マスク装置101の対応するブラケットあるいはストラップ部分と分離可能な形で結合する、フックおよびループファスナ112、113を備えている。
【0040】
図12は、支持構造S領域内の適用装置の好適な実施例を示す、簡略化断面略図である。支持構造Sは、クッション本体PKを備えている。この実施例では、クッション本体PKは、織物層TLに埋め込まれた発泡材料で形成されている。織物層TLは、フックおよびループファスナにより、ヘッドバンド手段108、109へ着脱可能となるよう構成されたクッション支持構造手段へ結合できる、カップリング表面114を備えるよう構成することができる。支持構造Sは、蒸気の透過率を増大させる開口部Dを有している。
【0041】
本発明は、上に説明した実施例には限定されない。代替的に、熱変形可能材料により支持構造Sを実現するには、異なる方法でユーザの後頭部の形状に適合可能な材料により、さらに、この個々の形状を十分な寸法的に安定した方法で維持する材料により、支持構造を製造することも可能である。特に、これは、例えば樹脂などの硬化材料を用いて達成可能である。支持構造Sは、ことによるとさらなる適合の必要がないような、後頭部の最もありえそうな形状を考慮に入れた曲がりを有するように、前もって形成可能である。
【0042】
一時的に、柔らかくて、寸法的に安定した構造を用いる概念は、発泡射出成形でバンド本体を形成する概念と組み合わせて有利に使用可能であり、後者の概念も本発明に従うものである。特に、例えば、熱の影響を受けて、一時的に柔らかい材料の少なくとも後頭部領域における、発泡射出成形概念の見地から言及され、あるいは少なくとも十分に型成形可能な耐張力構造を製造することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1a】本発明に係るヘッドバンド手段により適用される、呼吸マスクを装着したユーザの側面図である。
【図1b】本発明に係るヘッドバンド手段を説明する略図である。
【図2】引張剛性のあるインサートを持たないバンド本体の断面図である。
【図3】引張剛性のあるインサートを有する異形を説明する、バンド本体の断面図である。
【図4】本発明に係る、ヘッドバンドに形成されるロック部分を説明する略図である。
【図5a】ロック手段が一体的に形成されているバンド本体の断面プロフィールを説明する側面図である。
【図5b】図5aに係る構造に割当てられたスライド手段を示す図である。
【図6a】耐張力インサートと一体的に形成されるロック手段と同様に、そこへ形成された引張剛性のあるインサートを有する、バンド本体の異形の断面図である。
【図6b】図6aに係るロック手段に割当てられたスライド手段を説明する略図である。
【図7】ヘッドバンドが発泡材料で形成され、そこへ一体的に形成された、引張剛性のあるインサートとロック手段を含む、呼吸マスクのためのヘッドバンドのさらなる細部を説明する斜視略図である。
【図8】図7に係るヘッドバンド手段の機能をさらに説明する略図である。
【図9】ヘッドバンド装置によりユーザに適用された呼吸マスクを有する、呼吸マスクユーザの側面図である。
【図10】この領域のヘッドバンド装置の好適な形を説明する、マスクユーザの後頭部領域を示す図である。
【図11】呼吸マスク装置から分離した、本発明に係る適用装置の構成を説明する略図である。
【図12】支持構造領域にある適用装置の、好適な断面形状を説明する略図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ヘッドバンド手段、2 呼吸マスク、3 下部ヘッドバンド部分、4 上部ヘッドバンド部分、5 ロック手段、6 ロック手段、7 固定手段、8 固定手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの顔面領域に呼吸マスクを取り付ける(apply)ためのヘッドバンド手段に関するものである。また、本発明は、この種のヘッドバンド手段を製造する方法に関するものでもある。さらに、本発明は、ヘッドバンド手段を含む呼吸マスク用の取り付け手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
呼吸マスクは、特に医療と治療の部門で、睡眠時の呼吸器疾患を治療するのに使用される。この種の呼吸マスクにより、周囲圧力より大きな圧力で、環境大気を特定フィルターにかけて、呼吸可能ガスをユーザへ供給可能となる。この呼吸ガスの供給(圧力増加させて実行される)により、上部気道領域での空気のスプリンティング(splinting)を達成し、その結果、これらの気道領域で起こり得る障害の防止が可能となる。こうした方法で、睡眠時の呼吸器疾患を治療するために用いられる呼吸マスクは、休息時間および睡眠時間の全体にわたってユーザに装着されている。呼吸マスクは、通常、ヘッドバンド装置によりユーザの頭部へ固定されている。これらのヘッドバンド装置は、下部ヘッドバンド部分のみならず上部ヘッドバンド部分を含むこともあり、その場合、上部ヘッドバンド部分が、対応する保持力を呼吸マスクの額支持手段へ与える。呼吸マスクは、下部ヘッドバンド部分により、鼻を囲む領域(上唇部分だけでなく鼻梁部分)に向かって力を加えることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、生産技術の見地から有利に製造可能であり、さらに、装着感や使用感の良さで際立っているヘッドバンド手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の試みに従い、この目的は、ユーザへ呼吸マスクを提供し、さらに、バンド本体の少なくとも一部が発泡プラスチック材料で製造され、呼吸マスクに供給されることを要するマスク保持力を伝達する上下バンド部分を有する、可撓性を有するバンド本体を含むヘッドバンド手段により達成される。
【0005】
結果として、大量生産される物品として、さほどのカッティングロスもなく、クッション特性に起因して際立っているヘッドバンド手段を生産することができるという有利な効果を奏する。
【0006】
本発明の特に好適な実施例によると、バンド本体形成用のプラスチック材料は、そのプラスチック材料を対応する成形型の空間部へ射出成形されることにより、バンド本体となる。バンド本体は、その外部表面領域に表皮を有するよう、都合よく構成されている。この表皮効果は、対応する内部空間に、コーティングで成形することによって実現可能である。このコーティングは、特に、粉体塗装処理、または薄膜の挿入により実行される。
【0007】
本発明の特に好適な実施例によると、バンド本体には、引張剛性(耐張力性)のあるインサート(挿入物)が設けられる。この引張剛性のあるインサートは、熱可塑性材料、特に、ナイロン、またはポリアミド材料で製造されているのが好ましい。それは、バンド本体に含まれたインサートの少なくとも若干部分は、部分的に大きさ的に安定したインサートを形成するように構成可能である。クッション特性、特に、バンド本体のクッションの厚みは、特に接触圧力が増加するバンド領域でクッションを厚くするなど、変更可能である。
【0008】
本発明の特に好適な実施例によると、バンド本体は、調整可能な形で、バンドストラップ、またはブラケット部分、またはマスク固定要素と結合する閉鎖手段を含んでいる。これにより、ヘッドバンド手段による、マスク接触圧力の正確な調整が可能となる。閉鎖手段は、ヘッドバンド手段と一体的に形成された、ロック構造を有しているのが好ましい。このロック構造は、ロック効果が、対応する反対構造と、力による嵌合接続および/またはぴったり合う接続ベースで達成可能となるよう構成可能である。ロック構造は、特に、張力を受けたり、引張剛性のあるそと一体的に形成された構成にすることができる。耐張力インサートは、特定の曲げ動作を示す形で構成可能である。この特定の曲げ動作は、特に、耐張力インサートの厚みを調整することによるのみならず、耐張力インサート内に凹みを形成することにより達成可能である。
【0009】
本発明の特に好適な実施例によると、閉鎖手段は、ヘッドバンド手段上の異なる閉鎖位置でロック可能なスライド手段を含んでいる。このスライド手段は、ロック構造上でスライド手段をロック可能な、ロック機構を含んでいてもよい。
【0010】
本発明のさらなる態様によると、上記の目的は、まず、引張剛性のあるインサートを形成する第1プラスチック射出ステップにおいて、対応するプラスチック材料がインサートを形成する成形ツール空間へ射出され、さらに、それに続くプラスチック射出ステップにおいて、クッション部分を形成する増孔材料が耐張力インサートを少なくとも部分的に覆う形となるよう、増孔プラスチック材料が拡大された型空間へ射出される、というヘッドバンド手段の生産プロセスによっても達成される。
【0011】
さらに、本発明は、呼吸マスクのための適用装置、特に、睡眠時の呼吸器疾患を治療する呼吸マスクに関連している。
【0012】
この点では、本発明の目的は、呼吸マスクの信頼できる固定を可能にし、使用感の良さで際立つ呼吸マスクのための適用装置を提供することである。
【0013】
本発明によると、この目的は、ユーザの後頭部の周りの適用位置内に伸びるヘッドバンド手段を含み、そのヘッドバンド手段が支持構造を備えており、さらにこの支持構造が、ヘッドバンド装置を、少なくとも一度は一時的に、ユーザの後頭部の形状に少なくとも部分的に個々に適合可能な状態にできる材料で製造されている、呼吸マスクのための適用装置で達成される。
【0014】
その結果、呼吸マスクに向かって伸びるヘッドバンド部分の進路が、マスクユーザの個々の頭の形に都合よく適合されるのを保証するような、ヘッドバンド装置の提供は有利に可能となる。さらに、また、特に、ヘッドバンド部分を通して、マスクユーザの後頭部領域へ、低い表面圧で適用される張力を導入するのも有利に可能である。
【0015】
ヘッドバンド装置は、支持構造が、耳の高さあるいは頚椎の終端領域で、ユーザの後頭部へ留まるような形で、構成されるのが好ましい。
【0016】
本発明の特に好適な実施例によると、支持構造は、好ましくは少なくとも30℃の温度まで加熱された後に、柔軟に変形可能な材料で製造されている。支持構造は、例えば、水槽中で、または熱空気により加熱可能である。
【0017】
支持構造は、プラスチック材料、特に熱可塑性材料で製造されているのが好ましい。支持構造は、まだ完全には回復していない状態で、例えば、ユーザの後頭部の湾曲に適合可能な補強層を形成するよう、構成可能である。支持構造は、適用位置でユーザを向く側に、クッションを含むことができる。このクッションは、発泡材料および/または不織布材料で形成可能である。
【0018】
特に、支持構造が曲面プレート要素として構成される場合は、支持構造には開口部があるのが好ましい。これにより、蒸気に対する支持構造の透過率を増加させ、ヘッドバンド手段が湿気を含みすぎるのを回避する。支持構造は、ヘッドバンド手段へ解放可能に結合する形で構成可能である。その結果、支持構造からヘッドバンド手段を分離可能であり、都合よくヘッドバンド手段と別々に掃除可能である。
【0019】
本発明の特に好適な実施例によると、支持構造は、ヘッドバンド部分に沿う主要支持表面部分から延びるアーム部分を含むよう構成される。
【0020】
支持構造は、頬骨に向かう適用位置に延びる2本の下部脚を有し、および/または、ヘッドバンド装置の下部バンド部分を誘導するよう、対応する耳たぶの下にある領域内にある下部縁部分を含む形で、構成可能である。したがって、下部ヘッドバンド部分の進路は、都合よく個々の頭の形にユーザの頬領域を横切り、有利に調整可能である。
【0021】
本発明のさらなる態様によると、支持構造は、耳の領域を横切る方向へ首領域の開始ゾーンから延びる、2本の上部脚を有する上部縁部分を含むよう好適に構成されている。
【0022】
本発明のさらなる細部および機構は、図面と組み合わせた、以下の説明から理解可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1に示した呼吸マスクユーザは、本発明に従うヘッドバンド手段1を用いて、鼻にかけて適用される呼吸マスク2を装着している。呼吸マスク2は、下部ヘッドバンド部分3と上部ヘッドバンド部分4により固定されている。ヘッドバンド手段1は、プラスチック射出ステップ中に、発泡プラスチック材料を対応するプラスチック成形スペース部分内に注入することにより、発泡プラスチック材料で製造されている。
【0024】
ヘッドバンド手段1は、調整可能な方法で、それぞれのヘッドバンド部分3、4へ固定手段7、8を取り付ける、ロック手段5、6を含んでいる。固定手段7、8は、それぞれのブラケットあるいはストラップ部分7a、8aを有しており、これらのブラケットあるいはストラップ部分7a、8aを、呼吸マスク2に向かって延びるさらなるバンド部分11、12が通り抜ける。
【0025】
ヘッドバンド手段1は、下部ヘッドバンド部分3が、首領域から耳の下の頬領域を横切って、呼吸マスクへ向かって延びるよう構成されている。上部ヘッドバンド部分4は、後頭部上部領域からマスクユーザの額領域へ延びている。下部ヘッドバンド部分3と上部ヘッドバンド部分4は、呼吸マスク2の装着に必要な保持力を提供する。
【0026】
下部ヘッドバンド部分3は、本質的に、呼吸マスク2とマスクユーザの鼻を囲む領域との間の接触圧力を決定する。上部ヘッドバンド部分4にわたる張力は、本質的に、額支持手段14とマスクユーザの額との間の接触圧力を決定する。
【0027】
図1bは、平面に広げられたヘッドバンド手段1を概略的に示している。このヘッドバンド手段は、前述の下部ヘッドバンド部分3のみならず、上部ヘッドバンド部分4を含んでいる。ヘッドバンド手段1は、発泡材料で製造され、耐張力インサートを含んでいる。鎖線によりマークされる領域Bでは、引張剛性インサートあるいは耐張力インサートが、その支持領域に対して本質的に垂直方向へ延びる軸の周りに、特に高い捻り剛性を有する形で構成されている。結果として、下部ヘッドバンド部分3領域内でバンドを曲げるか、あるいは、この領域内でオフセットを実現することが可能であり、それにより、下部ヘッドバンド部分3が、ユーザの耳領域の下を頬領域に向かって都合よく通過可能となる。示されたように、ヘッドバンド手段1は、以下でより詳細に考察される、そこへ一体的に形成されたロック構造5、6が設けられている。
【0028】
図2は、完全に増孔プラスチック材料で製造された、本発明に従うヘッドバンド手段の実施例を示している。
【0029】
図3は、引張剛性のあるインサートEを含む、バンド本体の異形を説明する断面略図Q/Qを示している。引張剛性のあるインサートは、例えば、ナイロンやポリアミドなどの熱可塑性材料で製造されている。引張剛性のあるインサートEは、発泡材料M内に埋め込まれている。発泡材料Mは、耐張力インサートEへ射出成形される。
【0030】
図4は、本発明の特に好適な実施例に従う、引張剛性のあるインサート、あるいは耐張力インサートEと一体的に形成された、ロック構造16を説明する略図を示している。ロック構造16は横切って連動するウェブ部分として実現され、特に図5aに示した断面を有することができる。ロック構造16のウェブ本体は、スライド要素に対するガイド手段を形成するよう構成される。ウェブ手段上のスライド要素のロック位置は、調整可能である。
【0031】
図5bは、図5aあるいは図4に従う、ウェブ手段上に配置されるスライド要素の可能な異形を概略的に示す略図である。スライド要素は、ロック構造16へ選択的に係合可能なロック機構17(詳細には図示せず)を含んでいる。スライド要素は、図1aに示したように、バンド部分11、12を受けるブラケットあるいはストラップ部分18を含んでいる。
【0032】
図6aは、ロック手段領域における、本発明に従うヘッドバンド手段のさらなる断面の異形を示している。ここでも、ヘッドバンド本体は、そこに埋め込まれた耐張力インサートEと同様に、発泡材料で製造されたクッション層Mを含んでいる。また、ここでも、耐張力インサートEは、図5aに従う異形とは対照的に、ほとんど埋没する方法でバンド本体内において受けられる、ロック手段の部分を形成する。スライド要素はバンド本体に埋没したウェブ手段へ挿入可能であり、このスライド手段は、やはり詳細には示されていないロック機構により、案内機構へ調整可能な形で取付可能である。
【0033】
図7は、発泡材料で製造されており、かつ耐張力層あるいは引張剛性層Eが埋め込まれている、クッション本体Mを含むヘッドバンドの異形を示している。耐張力層Eは、ロック歯20を備える案内ウェブを形成するロック手段16を含んでいる。スライド要素21は、この案内ウェブ上に配置される。スライド要素21は、詳細に示されていない、ロック機構をアンロックすることになるプッシュボタン22を作動させることにより、矢印Pにより示された方向へ移動可能である。スライド要素21は、ヘッドバンド手段のバンド部分11、12が通り抜けられる、ブラケットあるいはストラップ部分18を有している。バンド部分11、12は、対応するヘッドバンド部分3、4の有効長を、およそ、かつ事前に調整する、フックおよびループファスナ24が提供される。
【0034】
ヘッドバンド部分11、12のパケット部分18への図示された取付けの代わりに、図18に概略的に示したように、スライド要素21を呼吸マスク2と結合させることも可能であり、すなわち、しっかり縫われたバンドブラケット25内にブラケット部分18が埋め込まれていて、バンドブラケット27を呼吸マスク2の取付ブラケット26に通すことで、呼吸マスク2への取付けが実現することになるもので、ここでは、バンドブラケット27は、着脱可能なフックおよびループファスナ28により実現されている。スライド要素21は、ロック手段16に沿って可動である。ロック手段16は、バンド本体(図6a)に埋没しているウェブ手段によっても実現可能である。
【0035】
図9は、本実施例において、ヘッドバンド装置として実現された適用装置102により、さらなる呼吸マスク装置101が固定された呼吸マスクユーザを示している。呼吸マスク装置101は、ユーザの鼻領域に配置され、シーリングリップ105によりシールされるマスクベース本体103を含んでいる。マスクベース本体103は、フレーム構造と、それに結合された額支持手段106によってユーザに固定されている。呼吸ガスは、マスクベース本体103により形作られたマスク内部へ、概略的にのみ示されている接続手段107を通して供給可能ある。
【0036】
適用装置102は、額支持手段106領域内の後頭部H領域から延びる上部ヘッドバンド部分108を含んでいる。さらに、適用装置は、また、ユーザの首領域から頬骨を横切り、マスクベース本体103領域内へ延びる、下部ヘッドバンド部分109を含んでいる。この実施例では、対応するヘッドバンド部分108、109は、図11に関連して以下で説明されるフックおよびループファスナ構造を用いて呼吸マスク装置101へ結合されている。適用装置は、本実施例では、大きさが安定したプレート材料により形成された支持構造Sが設けられている。大きさが安定したプレート材料は、一定条件の下で柔軟に変形可能な材料で製造されており、したがって、個々のユーザの後頭部の形に適合可能である。この実施例では、適応性は、支持構造の形成材料が、熱変形可能プラスチック材料であることにより達成される。このプラスチック材料の材料特性は、およそ50℃からの範囲で可塑的に変形可能であるように調整される。本発明に従う、個々の後頭部の形に適合する支持構造を使用することにより、生理学の見地で有利な方法で、呼吸マスク装置101を適用するのに要する保持力が適用可能となる。支持構造Sを個々のユーザの頭の形に適合させることにより、特に、下部ヘッドバンド装置109のコースを都合よく決定可能となり、さらに、滑りと捻じれに対する大きな抵抗を実現することができる。
【0037】
図10は、上で説明した適用装置の背面図である。この図から、上部ヘッドバンド部分8が、ユーザの後頭部領域を横切るのは明白である。後頭部領域に橋を架ける上部ヘッドバンド部分の一部分8aは、対角線のウェブ110、111によるのと同様に、垂直方向のウェブ9により、ユーザの後頭部領域内に延びる適用装置102の下部バンド装置と結合している。ヘッドバンド手段は、前記支持構造Sを患者の後頭部領域内に含んでいる。この支持構造Sは、個々のユーザの後頭部の形に適合される。支持構造Sには、蒸気の透過率を増大させるよう開口部がある。
【0038】
支持構造Sは、マスクユーザの頬領域を横切る有利な形で伸びるよう対応して割り当てられたバンド部分109を案内する形に配置された、脚部分S1、S2を有する下部縁部分URを含んでいることは、図11から明白である。この実施例では、支持構造は、ヘッドバンド手段の上部バンド部分108を案内するさらなる2つの脚部分S3、S4を含んでいる。
【0039】
ヘッドバンド部分108、109は、ヘッドバンド部分8、9が呼吸マスク装置101の対応するブラケットあるいはストラップ部分と分離可能な形で結合する、フックおよびループファスナ112、113を備えている。
【0040】
図12は、支持構造S領域内の適用装置の好適な実施例を示す、簡略化断面略図である。支持構造Sは、クッション本体PKを備えている。この実施例では、クッション本体PKは、織物層TLに埋め込まれた発泡材料で形成されている。織物層TLは、フックおよびループファスナにより、ヘッドバンド手段108、109へ着脱可能となるよう構成されたクッション支持構造手段へ結合できる、カップリング表面114を備えるよう構成することができる。支持構造Sは、蒸気の透過率を増大させる開口部Dを有している。
【0041】
本発明は、上に説明した実施例には限定されない。代替的に、熱変形可能材料により支持構造Sを実現するには、異なる方法でユーザの後頭部の形状に適合可能な材料により、さらに、この個々の形状を十分な寸法的に安定した方法で維持する材料により、支持構造を製造することも可能である。特に、これは、例えば樹脂などの硬化材料を用いて達成可能である。支持構造Sは、ことによるとさらなる適合の必要がないような、後頭部の最もありえそうな形状を考慮に入れた曲がりを有するように、前もって形成可能である。
【0042】
一時的に、柔らかくて、寸法的に安定した構造を用いる概念は、発泡射出成形でバンド本体を形成する概念と組み合わせて有利に使用可能であり、後者の概念も本発明に従うものである。特に、例えば、熱の影響を受けて、一時的に柔らかい材料の少なくとも後頭部領域における、発泡射出成形概念の見地から言及され、あるいは少なくとも十分に型成形可能な耐張力構造を製造することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1a】本発明に係るヘッドバンド手段により適用される、呼吸マスクを装着したユーザの側面図である。
【図1b】本発明に係るヘッドバンド手段を説明する略図である。
【図2】引張剛性のあるインサートを持たないバンド本体の断面図である。
【図3】引張剛性のあるインサートを有する異形を説明する、バンド本体の断面図である。
【図4】本発明に係る、ヘッドバンドに形成されるロック部分を説明する略図である。
【図5a】ロック手段が一体的に形成されているバンド本体の断面プロフィールを説明する側面図である。
【図5b】図5aに係る構造に割当てられたスライド手段を示す図である。
【図6a】耐張力インサートと一体的に形成されるロック手段と同様に、そこへ形成された引張剛性のあるインサートを有する、バンド本体の異形の断面図である。
【図6b】図6aに係るロック手段に割当てられたスライド手段を説明する略図である。
【図7】ヘッドバンドが発泡材料で形成され、そこへ一体的に形成された、引張剛性のあるインサートとロック手段を含む、呼吸マスクのためのヘッドバンドのさらなる細部を説明する斜視略図である。
【図8】図7に係るヘッドバンド手段の機能をさらに説明する略図である。
【図9】ヘッドバンド装置によりユーザに適用された呼吸マスクを有する、呼吸マスクユーザの側面図である。
【図10】この領域のヘッドバンド装置の好適な形を説明する、マスクユーザの後頭部領域を示す図である。
【図11】呼吸マスク装置から分離した、本発明に係る適用装置の構成を説明する略図である。
【図12】支持構造領域にある適用装置の、好適な断面形状を説明する略図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ヘッドバンド手段、2 呼吸マスク、3 下部ヘッドバンド部分、4 上部ヘッドバンド部分、5 ロック手段、6 ロック手段、7 固定手段、8 固定手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに呼吸マスクを取り付けるためのヘッドバンド手段であって、
上記呼吸マスクを取り付けるのに必要なマスク保持力を伝達するための、上下のバンド部分(3、4)を含み可撓性を備えているバンド本体を有していて、
上記バンド本体の少なくとも一部が発泡プラスチック材料でつくられていることを特徴とするヘッドバンド手段。
【請求項2】
上記バンド本体が、孔形成性のプラスチック材料を成形型の成形空間に射出することにより形成されたものであることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドバンド手段。
【請求項3】
上記プラスチック材料が、その外部表面領域に表皮を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のヘッドバンド手段。
【請求項4】
上記バンド本体が、引張力に耐えるインサートを備えていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項5】
上記バンド本体が寸法的に安定したインサートを備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項6】
上記バンド本体が、バンドブラケット部分と調整可能な方法で結合する閉鎖手段を備えていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項7】
上記閉鎖手段が、ヘッドバンド手段と一体的に形成されたロック構造を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項8】
上記閉鎖手段が、該ヘッドバンド手段上の異なる閉鎖位置にもたらされるスライド手段を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項9】
上記スライド手段が、上記ロック構造上で該スライド手段をロックするロック機構を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項10】
第1のプラスチック射出ステップの範囲内において、引張力に耐えるインサートを形成するためのプラスチック材料を成形型の空間部に射出し、
上記ステップの後のプラスチック射出ステップの範囲内において、孔形成性のプラスチック材料を、引張力に耐えるインサートを少なくとも部分的に覆う形態となるように孔形成性のプラスチック材料を成形型内に導入し、これによりクッション部を形成することを特徴とするヘッドバンド手段を製造する方法。
【請求項11】
ユーザの後頭部領域の周囲の取り付け位置内で伸びるヘッドバンド手段を含んでいる呼吸マスクのための取り付け装置であって、
上記ヘッドバンド手段に支持構造が設けられ、
上記支持構造が、少なくとも一度は一時的に、上記ヘッドバンド手段の少なくとも一部が個々のユーザの後頭部の形状に順応することが可能な状態にすることができる材料でつくられていることを特徴とする取り付け装置。
【請求項12】
上記支持構造が、300℃を超える温度まで加熱された後で弾性的に変形することが可能な材料でつくられていることを特徴とする、請求項11に記載の取り付け装置。
【請求項13】
上記支持構造が熱可塑性材料でつくられていることを特徴とする、請求項11又は12に記載の取り付け装置。
【請求項14】
上記支持構造が補強層を形成していることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項15】
上記支持構造の経路が後頭部の湾曲に順応することを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項16】
上記支持構造が、その取り付け位置でユーザに対向するその内部表面にクッション部を備えていることを特徴とする、請求項11〜15の1つに記載の取り付け装置。
【請求項17】
上記支持構造が開口部を含むことを特徴とする、請求項11〜16のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項18】
上記支持構造が、着脱可能な形態でヘッドバンド手段に結合していることを特徴とする、請求項11〜17のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項19】
上記支持構造が、主表面部からヘッドバンド部分の方向に伸びるアーム部を含むことを特徴とする、請求項11〜18のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項20】
上記支持構造が2つの下部脚(S1、S2)を有する下縁部分を含み、上記2つの下部脚が、ヘッドバンド手段の下部バンド部分(9)を案内するために、その取り付け位置でユーザの頬骨に向かって伸びていることを特徴とする、請求項11〜19のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項21】
上記支持構造が2つの上部脚(S3、S4)を有する上縁部分を含み、上記2つの上部脚が、首領域にあるスタート領域から耳領域を横切って伸びる方向に伸びていることを特徴とする、請求項11〜20のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項1】
ユーザに呼吸マスクを取り付けるためのヘッドバンド手段であって、
上記呼吸マスクを取り付けるのに必要なマスク保持力を伝達するための、上下のバンド部分(3、4)を含み可撓性を備えているバンド本体を有していて、
上記バンド本体の少なくとも一部が発泡プラスチック材料でつくられていることを特徴とするヘッドバンド手段。
【請求項2】
上記バンド本体が、孔形成性のプラスチック材料を成形型の成形空間に射出することにより形成されたものであることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドバンド手段。
【請求項3】
上記プラスチック材料が、その外部表面領域に表皮を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のヘッドバンド手段。
【請求項4】
上記バンド本体が、引張力に耐えるインサートを備えていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項5】
上記バンド本体が寸法的に安定したインサートを備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項6】
上記バンド本体が、バンドブラケット部分と調整可能な方法で結合する閉鎖手段を備えていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項7】
上記閉鎖手段が、ヘッドバンド手段と一体的に形成されたロック構造を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項8】
上記閉鎖手段が、該ヘッドバンド手段上の異なる閉鎖位置にもたらされるスライド手段を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項9】
上記スライド手段が、上記ロック構造上で該スライド手段をロックするロック機構を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1つに記載のヘッドバンド手段。
【請求項10】
第1のプラスチック射出ステップの範囲内において、引張力に耐えるインサートを形成するためのプラスチック材料を成形型の空間部に射出し、
上記ステップの後のプラスチック射出ステップの範囲内において、孔形成性のプラスチック材料を、引張力に耐えるインサートを少なくとも部分的に覆う形態となるように孔形成性のプラスチック材料を成形型内に導入し、これによりクッション部を形成することを特徴とするヘッドバンド手段を製造する方法。
【請求項11】
ユーザの後頭部領域の周囲の取り付け位置内で伸びるヘッドバンド手段を含んでいる呼吸マスクのための取り付け装置であって、
上記ヘッドバンド手段に支持構造が設けられ、
上記支持構造が、少なくとも一度は一時的に、上記ヘッドバンド手段の少なくとも一部が個々のユーザの後頭部の形状に順応することが可能な状態にすることができる材料でつくられていることを特徴とする取り付け装置。
【請求項12】
上記支持構造が、300℃を超える温度まで加熱された後で弾性的に変形することが可能な材料でつくられていることを特徴とする、請求項11に記載の取り付け装置。
【請求項13】
上記支持構造が熱可塑性材料でつくられていることを特徴とする、請求項11又は12に記載の取り付け装置。
【請求項14】
上記支持構造が補強層を形成していることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項15】
上記支持構造の経路が後頭部の湾曲に順応することを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項16】
上記支持構造が、その取り付け位置でユーザに対向するその内部表面にクッション部を備えていることを特徴とする、請求項11〜15の1つに記載の取り付け装置。
【請求項17】
上記支持構造が開口部を含むことを特徴とする、請求項11〜16のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項18】
上記支持構造が、着脱可能な形態でヘッドバンド手段に結合していることを特徴とする、請求項11〜17のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項19】
上記支持構造が、主表面部からヘッドバンド部分の方向に伸びるアーム部を含むことを特徴とする、請求項11〜18のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項20】
上記支持構造が2つの下部脚(S1、S2)を有する下縁部分を含み、上記2つの下部脚が、ヘッドバンド手段の下部バンド部分(9)を案内するために、その取り付け位置でユーザの頬骨に向かって伸びていることを特徴とする、請求項11〜19のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【請求項21】
上記支持構造が2つの上部脚(S3、S4)を有する上縁部分を含み、上記2つの上部脚が、首領域にあるスタート領域から耳領域を横切って伸びる方向に伸びていることを特徴とする、請求項11〜20のいずれか1つに記載の取り付け装置。
【図1a】


【図1b】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5a】


【図5b】


【図6a】


【図6b】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】




【図1b】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5a】


【図5b】


【図6a】


【図6b】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【公表番号】特表2007−510486(P2007−510486A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538801(P2006−538801)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012811
【国際公開番号】WO2005/046776
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(506153697)エムアーペー・メディツィーン−テヒノロギー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (10)
【氏名又は名称原語表記】MAP Medizin−Technologie GmbH
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012811
【国際公開番号】WO2005/046776
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(506153697)エムアーペー・メディツィーン−テヒノロギー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (10)
【氏名又は名称原語表記】MAP Medizin−Technologie GmbH
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