説明

呼吸処置システムにおける湿度決定のためのシステムおよび方法

患者回路と、患者回路内に配置された加圧流れモジュールと、患者回路内に配置された加湿器と、モニタと、患者回路内のセンサーと、プロセッサとを有する患者処置システムおよび方法。患者回路は、ガスの流れを、ガス源から患者の気道に送達する。加圧流れモジュールは、患者回路内のガスの圧力を上げる。加湿器は、患者回路内のガスの湿度を、ある回路湿度レベルに上げる。モニタは、ガス源からのガスの少なくとも一つのパラメータをモニタリングする。センサーは、患者回路中のガスに蒸気が加えられるレートを推定するために処理されることのできる対応する信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸処置システム(respiratory treatment system)に関し、詳細には、環境条件に基づく、呼吸処置システム内のガスに加湿するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加湿器は、患者回路(patient circuit)を介して患者に供給されるガスに湿気を加えるために、人工呼吸器〔ベンチレータ〕(ventilator)、圧支持システム(pressure support system)および他の呼吸装置とともに一般的に使われる。従来式の人工呼吸器または圧支持システムによって患者に供給されるガスに加えられる水分は、典型的には一貫した湿度レベルを与えるためにフィードバック・ループにおいてモニタリングおよび/または制御される。典型的には、人工呼吸器中の空気の湿度をモニタリングするために、人工呼吸器自身の中に、または患者回路内に温度および/または湿度センサーを配置することによって湿度がモニタリングされてきた。そのような従来式のフィードバック加湿システムの例が公開された米国特許出願第09/808,567号(公開番号2001/0050080)に記載されている。
【0003】
しかしながら、そのようなシステムは、患者に適切なレベルの湿度を与えないことがありうる。本発明者によって発見された一つの理由は、従来式のフィードバック加湿システムは、患者および人工呼吸器/圧支持システムが位置している周囲の環境の条件を考慮に入れないということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の一つの目的は、従来式の加湿検知方法および装置の欠点を克服する、ユーザーに送達されるガスの湿度を決定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明のある実施形態によれば、ユーザーに送達されるガスの湿度を決定する方法を提供することによって達成される。本発明の方法は、ガスの流れをユーザーの気道に送達するために使われる患者回路の外部にある周囲のガスの湿度レベルを決定することを含む。ガスは患者回路中に引き込まれ、該回路中に引き込まれたガスに蒸気が加えられる。患者回路中に引き込まれたガスの湿度レベルは、回路の外部の周囲ガスの湿度および回路中に引き込まれるガスに蒸気が加えられるレートに基づいて決定される。
【0006】
本発明のもう一つの側面は、患者回路と、患者回路内に配置された加圧流れモジュールと、ガス回路内に配置された加湿器と、モニタと、回路内のセンサーと、プロセッサとを含む患者処置システムに関する。患者回路は、ガスの流れを、ガス源から患者の気道に送達する。加圧流れモジュール(pressurizing flow module)は、ガス源からの圧力が治療レベルを下回る場合に患者回路内のガスの圧力を上げ、あるいはガス源からの圧力が治療レベル以上である場合にユーザーに送達されるガスの流れの圧力を制御する。加湿器は、患者回路内のガスの湿度を、回路湿度レベルに上げる。モニタは、ガス源からのガスの少なくとも一つのパラメータをモニタリングする。センサーは、回路中のガスに上記が加えられるレートを推定するために処理されることのできる対応する信号を生成する。プロセッサは、センサーによって生成された信号およびガス源におけるガスの前記少なくとも一つのパラメータに基づいて、加湿器より下流の回路におけるガスの湿度レベルを決定する。
【0007】
本発明のもう一つの側面は、患者回路内のガスの湿度を決定する方法に関する。本発明のこの側面に基づく方法は、患者回路の外部の周囲ガスの湿度を決定し、周囲ガスを患者回路中に引き込み、患者回路内のガスに加圧し、患者回路内のガスに湿気を加え、ガスに湿気が加えられた後の患者回路内のガスの湿度レベルを決定することを含む。患者回路内のガスの湿度レベルを決定することは、回路外部の周囲ガスの湿度および当該ガスの少なくとも一つのパラメータ(回路内の湿度以外の)に基づいて達成される。
【0008】
本発明のもう一つの側面は、ガス源から患者に、患者回路に沿ってガスを送達する方法に関する。患者回路内のガスの圧力は加圧流れモジュールによって上げられ、患者回路内のガスの湿度レベルは加湿器によって上げられる。ある実施形態では、本方法は、患者回路内のガスの圧力を決定し、患者回路内のガスのフロー・レート(flow rate)を決定し、ガス源内のガスの少なくとも一つのパラメータを決定し、加湿器の動作の少なくとも一つのパラメータを決定し、加湿器より下流の患者回路内のガスの湿度レベルを、少なくとも部分的には、患者回路内のガスのフロー・レート、患者回路内のガスの圧力、ガス源内のガスの前記少なくとも一つのパラメータおよび加湿器の動作の前記少なくとも一つのパラメータに基づいて、決定することを含む。
【0009】
本発明のもう一つの側面は、ガス源から患者に、患者回路に沿ってガスを送達する方法であって、患者回路内のガスの圧力は加圧流れモジュールによって上げられ、回路内のガスの湿度レベルは加湿器によって上げられる、方法に関する。本方法は、患者回路内のガスの圧力を決定し、患者回路内のガスのフロー・レート(flow rate)を決定し、ガス源内のガスの湿度を決定し、加湿器に関連する温度を決定し、加湿器より下流の患者回路内のガスの湿度レベルを、少なくとも部分的には、患者回路内のガスのフロー・レート、患者回路内のガスの圧力、ガス源内のガスの湿度レベルおよび加湿器に関連する温度に基づいて、決定することを含む。
【0010】
本発明のこれらおよびその他の目的、機能および特徴ならびに関係する要素の動作方法および機能ならびに諸部分の組み合わせや製造の経済性は、以下の記述および付属の請求項を付属の図面を参照しつつ考察すれば一層明白となるであろう。これらはみな本明細書の一部をなす。同様の参照符号はさまざまな図において対応する部分を示す。しかしながら、図面はあくまでも例示および説明のためであり、本発明の限界を定義するものとしては意図されていないことは、はっきりと理解しておくべきである。明細書および請求項において使用されるところでは、特に断りのない限り、単数形の表現は複数の言及をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のある実施形態に基づく加湿器を含む患者処置システムを示す図である。
【図2】本発明のある実施形態に基づく加圧流れモジュールの例示的な実施形態を示す図である。
【図3】本発明のある実施形態に基づく加圧流れモジュールの代替的な例示的構成を示す図である。
【図4】本発明のある実施形態に基づく回路湿度レベルを予測する方法を示す図である。
【図5】本発明のある実施形態に基づく最大湿度レベルを決定する方法を示す図である。
【図6】本発明のある実施形態に基づく患者処置システムの動作方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の原理に基づく、患者処置システム10のある例示的な実施形態を概略的に示している。患者処置システム10は、所定の換気〔ベンチレーション〕モードに従って呼吸可能なガスの圧力を自動的に制御しながら、該呼吸可能なガスを患者に与えることができる。患者処置システム10は、呼吸可能なガスをガス源から患者に与える患者回路(patient circuit)12を含む。
【0013】
ある実施形態では、ガス源は周囲の空気であるが、他の源であってもよい。これについては後述する。呼吸可能なガスは、ガス源から取入口〔インテイク〕14において回路12中に導入される。取入口14はポート、ベントまたは開口を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、取入口14は、回路12中に導入される際に呼吸可能なガスをフィルタリングするフィルタを含んでいてもよい。図1に示されるように、加圧流れモジュール(pressurizing flow module)16は、取入口14から患者インターフェース17への回路12中のガスの圧力(pressure)および流れ(flow)を制御する。患者インターフェース17において呼吸可能なガスが患者の気道に送達される。回路12は、回路12中のガスの湿度を、選択的に制御可能な回路湿度レベルまで上げるよう動作する加湿器18をも含む。
【0014】
やはり図1に示されるように、患者処置システム10はさらに、制御インターフェース30、メモリ32およびモニタ50とのインターフェースをもつ制御モジュール28を含む。これについてはのちに詳述する。
【0015】
図2を参照すると、本発明のある例示的な実施形態に基づく加圧流れモジュール16が示されている。図2に示される実施形態では、加圧流れモジュール16は、患者回路12内の呼吸可能なガスを受領して、患者の気道への送達のためにそのガスの圧力を高める圧力生成器19を含む。圧力生成器19は、ポンプ、送風機〔ブロワー〕、ピストンまたはベローズといった、受け取った呼吸可能なガスの圧力を患者への送達のために高めることのできる任意の装置である。上述したように、本発明は、周囲の大気の空気以外のガスが患者への送達のために回路12中に導入されてもよいことも考えている。そのような実施形態では、空気、酸素または他の呼吸可能なガス混合物を含むガスの加圧されたキャニスター(canister)またはタンクが圧力生成器19への取入口14に供給できる。別の実施形態では、圧力生成器19を設ける必要はなく、代わりに呼吸可能なガスは、加圧されたガスのキャニスターまたはタンク自身の圧力によって加圧されることができ、その場合、患者に送達される圧力は圧力調整器〔レギュレータ〕によって制御される。ある実施形態では、圧力生成器19は、回路12中のガスに実質的に一定の高められた圧力および/またはフロー・レートを与えるために、圧支持処置の期間中、実質的に一定スピードで駆動される送風機である。
【0016】
図2に示されるように、加圧流れモジュール16中の呼吸可能なガスは、圧力生成器19から制御弁20に向けられる。後述するように、制御弁20は、単独でまたは圧力生成器19と組み合わさって、加圧流れモジュール16より下流の回路12中のガスの、回路圧力および/または回路フロー・レートを制御する。制御弁20の例としては、回路12中の回路圧力および回路フロー・レートを制御する方法のように回路12からガスを排気する、スリーブ弁またはポペット弁のような少なくとも一つの弁が含まれる。ここに参照によってその内容を組み込む米国特許第5,694,923号は、ガスを大気に排気し、圧力生成器19から患者へのガスの流れを制約する制御弁20としての使用に好適な双ポペット弁システムを教示している。さらに、ここに参照によってその内容を組み込む米国特許第6,615,831号は、本発明の制御弁としての使用に好適なスリーブ弁を教示している。
【0017】
圧力生成器19が一つのスピードだけで動作する送風機である実施形態については、弁要素の位置のような制御弁20の一つまたは複数の制御設定を調整して、回路12内の呼吸可能なガスについての回路圧力および回路フロー・レートに対する制御を提供できる。しかしながら、本発明は、回路12に沿って患者に送達される呼吸可能なガスについての回路圧力および回路フロー・レートを制御するために、圧力生成器19の動作に関係する、送風機スピードのような一つまたは複数の制御設定が単独でまたは制御弁20の制御設定と組み合わさって調整される実施形態をも考えている。たとえば、所望の回路圧力および回路フロー・レートに近い回路圧力および回路フロー・レートを設定することは、圧力生成器19について適切な動作スピードを調整することによってできる(マクロ制御)。その際、回路圧力および回路フロー・レートの微調整(ミクロ制御)は、制御弁20に関連する一つまたは複数の制御設定を調整することによって提供できる。それにより一緒に動作するそれら二者が、加圧流れモジュール16より下流の回路12内の呼吸可能なガスについて最終的な回路圧力を決定する。圧力生成器の動作だけが患者回路中のガスの圧力または流れを制御するために使われる場合には、図3に示すように、制御弁20は省略できる。
【0018】
再び図2を参照すると、加圧流れモジュール16は圧力/フロー・センサー22を含む。圧力/フロー・センサー22は、患者回路内のガスに関連する圧力、フローまたは両方を示す信号を出力することができる、デバイス、組立体、システムまたはそれらの組み合わせである。ある例示的な実施形態では、患者回路12内のガスの圧力は、従来式の圧力センサーを使ってモニタリングされる。
【0019】
フロー・センサーとしては、制御弁20から出力される呼吸可能なガスの流れが圧力/フロー・センサー22に送達され、該センサーが導路(conduit)24内のガスの流れのレートを示す信号を出力する。この信号は、患者に送達されるガスの瞬間体積(V)、そのようなガスの患者への瞬間フロー・レート(V')または両方を決定するために使用できる。圧力/フロー・センサー22は、これらのパラメータを測定するのに好適な任意のデバイスであり、たとえば肺活量計(spirometer)、ニューモタック(pneumotach)、可変オリフィス・トランスデューサ(variable orifice transducer)、差圧トランスデューサ(differential pressure transducer)または他の従来式のフロー・トランスデューサなどである。
【0020】
図示した実施形態では、圧力/フロー・センサー22は、加圧流れモジュール16内に、患者インターフェース17から比較的遠隔な位置に設けられる。しかしながら、本発明は、回路12に沿った任意の位置に、また患者インターフェース17のところに圧力/フロー・センサー22を位置させることを考えている。たとえば、ここに参照によってその内容を組み込む米国特許第6,017,315号は、患者インターフェース17のところに位置される定量的なフロー部材を教示している。
【0021】
上記したように、本発明は、圧力/フロー・センサーが患者回路内のガスの流れを示すパラメータを測定することのできる任意のデバイスであることを考えている。ガスの流れは、送風機に与えられる電圧、電流または電力、その動作スピードなどといった圧力生成器19の動作をモニタリングすることによって決定できることは理解しておくべきである。前記の例はみな、患者回路中の圧力またはフローとともに変わる。本発明はまた、患者回路中のガスの流れを決定する手段として、弁の位置などといった制御弁20の動作をモニタリングすることも考えている。フィードバック制御された圧力生成モジュール中の弁の位置が患者回路中のガスのフローに対応することが知られているからである。このように、圧力/フロー・センサー22は、圧力生成器19、制御弁20またはその両方の中に組み込むことができる。
【0022】
加圧流れモジュールの代替的な実施形態16’が図3に示されている。回路圧力および回路フロー・レートが単独でまたは圧力生成器19との組み合わせで制御弁20によって制御される図2と違って、図3の実施形態は、患者に送達される呼吸可能なガスの圧力を、圧力生成器19の出力のみに基づいて制御する。たとえば、制御モジュール28は、患者に送達される呼吸可能なガスの圧力を、圧力生成器19に関連する送風機のモーター・スピードだけを制御することによって、制御しうる。本発明の実施形態は、望むなら、加圧流れモジュール16の動作を制御するために制御モジュール28にフィードバック・データを提供する回路12中の圧力モニタ、モーター・スピード・モニタ、弁モニタまたは圧力生成器出力モニタといった補助的フィードバック・システムを設けることを考えている。
【0023】
図1に示される患者処置システム10に戻ると、呼吸可能なガスの流れは、回路12中のさまざまな構成要素の間を導路24の諸セクションを介して運ばれる。ある実施形態では、導路24のさまざまなセクションの一部または全部が柔軟な管材、剛性の管材によって、または呼吸可能なガスが通る導路を提供する他の部材によって提供されてもよい。よって、導路24は、患者の気道とガスを交換する患者回路の全部または一部をなす。
【0024】
患者インターフェース17は、患者の気道に呼吸可能なガスの供給を伝えるのに好適な、侵襲的または非侵襲的な任意の機器であり、たとえば鼻マスク、鼻/口マスク、フルフェイス・マスク、鼻カニューレ、気管内チューブまたは気管チューブである。図示した実施形態では、患者インターフェース17および/または導路24は、これらの構成要素から周囲の大気にガスを排出するための好適な排気ポート26を含む。排気ポート26は好ましくは、患者インターフェース17内のガスの圧力の制御を許容するために排気ガスに対して流れ制約を課す、連続的に開放されているポートの形の受動的な排気ポートである。しかしながら、排気ポート26が、排気レートを制御するために種々の配位を取る能動的な排気ポートであることもできることは理解しておくべきである。好適な排気ポートの例は、たとえばここに参照によってその内容を組み込む米国特許第5,725,296号および第5,937,855号において教示されている。
【0025】
制御モジュール28は、加圧流れモジュール16および加湿器18に動作上リンクされている。たとえば、図2および図3の実施形態では、センサー22の出力が制御モジュール28に与えられる。制御モジュール28は、プロセッサと、患者に送達されるガスの瞬間体積(V)または患者へのそのようなガスの瞬間フロー・レート(V')またはその両方をセンサー22からの信号に基づいて決定するための好適なプログラミングとを有する。たとえば、瞬間体積は、測定されたフロー・レート(flow rate)〔流量〕を積分することによって決定できる。フロー・センサー22は患者インターフェース17から比較的遠隔に位置されているので、患者へのガスの実際のフロー・レートまたは負の流れと考えられる患者からのガスのアクチュエーション(actuation)・フロー・レートを決定するために、制御モジュール28はセンサー22からの出力を、推定されたフローとして受け取る。制御モジュール28はこの推定された流れの情報を、たとえば漏れ〔リーク〕推定を実行することによって、処理し、患者の気道における実際のフローを決定する。これは当業者には知られている。
【0026】
図1から理解できるように、制御インターフェース30はデータおよびコマンドを制御モジュール28に与え、人間が知覚できる形で、関心のある何らかの情報を出力する。たとえば、患者処置システムに関連する一つまたは複数の制御設定を調整するために、コマンドが、制御インターフェース30において制御モジュール28に与えられてもよい。制御インターフェース30は、動作上のリンクを介して制御モジュールに情報および/またはコマンドを与え、患者または別のユーザーに対して、人間に知覚できる形式で情報を呈示するのに好適な任意のデバイスである。好適な入出力装置の例は、キーパッド、キーボード、タッチパッド、マウス、視覚的ディスプレイ(たとえばLCDまたはLED画面)、マイクロホン、スピーカー、スイッチ、ボタン、ダイヤル、ランプ、あるいはユーザーが処置システム10に情報を入力したり処置システム10から情報を受け取ったりできるようにする他の任意のデバイスを含む。インターフェース30は、プロセッサ40と情報および/またはコマンドを通信するための結線によるまたは無線の技術をも含むことができる。たとえば、シリアル・ポート、パラレル・ポート、USBポート、RS-232ポート、スマートカード端末、モデム・ポートなどといったものである。
【0027】
図1に示した実施形態では、患者回路12は単一肢の回路である。しかしながら、本発明は、患者回路12が、通常の人工呼吸器において一般的な二肢回路であってもよいことをも考えている。二肢回路における第一の肢は、排気ポートを欠く点を除いて諸図に示す患者回路12と同様であり、ガスの、該ガスの源から患者への流れを運ぶ。二肢回路における第二の肢は、患者から周囲の大気への排気ガスを運ぶ。典型的には、第二の肢においては、制御モジュール28の制御下にある能動的な排気ポートまたは排気弁が設けられる。患者における終末呼気陽圧(PEEP: positive end expiratory pressure)の所望されるレベルを維持するためである。さらに、患者回路12および関係する構成要素は、ヒーター、バクテリア・フィルタ、温度センサー、圧力センサーおよびガス・センサー(たとえば患者へのまたは患者からのガスの流れを測定、モニタリング、解析などするカプノメーター)といった他の通常の装置を含むことができる。
【0028】
制御モジュール28は、加圧流れモジュール16に関連する制御弁(たとえば図2の制御弁20)のアクチュエーション〔作動〕を、一つまたは複数の制御設定を調整することによって制御し、それにより回路12中の呼吸可能なガスの回路圧力、回路フロー・レートまたはその両方を制御する。本発明の原理によれば、呼吸可能なガスの圧力は、換気または圧支持のCPAP、バイレベル(Bi-level)、自動タイトレーション(auto-titrating)、PAV、C-フレックス(C-Flex)、バイフレックス(Bi-Flex)またはPPAPモードに従って、患者に与えられる。こうして、制御モジュール28は、これらの換気モードに従って患者に加えられるべき回路圧力および回路フロー・レートを計算するための必要なアルゴリズム(単数または複数)によって好適にプログラムされる。上記のアルゴリズムまたはプログラムやシステム10に関連する他のデータの記憶を提供するため、メモリ32が任意的に設けられ、制御モジュール28とリンクされることができる。
【0029】
図1に示されるように、加湿器18は、流体40の貯留を保持するチャンバ38を含む。流体は、主としてまたは完全に水からなっていてもよい。流体40の貯留は、加熱要素42によって加熱され、貯留流体40は蒸発させられる。それにより、チャンバ38内に蒸気圧が生成される。患者回路12内のガスがチャンバ入口44からチャンバ出口46へとチャンバ38を通過するにつれ、チャンバ38内の蒸気がガスに付与される。それにより、加湿器18より下流の患者回路12内のガスの湿度を上げる。
【0030】
加湿器18によってガスの湿度レベルが上げられる量は、加湿器18を通る際にガスに付与される蒸気の量に依存する。これは、とりわけ、チャンバ38内の蒸気の密度の関数であり、この密度は、部分的には、流体40の貯留が蒸発させられるレートに依存する。この関係に基づいて、加湿器18を通るガスの回路湿度レベルの上昇の度合いは、制御モジュール28によって、流体40の貯留の蒸発レートに影響する一つまたは複数の加湿器パラメータを調整することによって、制御できる。そうしたパラメータは、たとえば、加熱要素42の温度、チャンバ入口44のサイズ、チャンバ出口46のサイズ、流体40の貯留中の流体の量、流体40の貯留の表面積、流体40の貯留の温度または他の加湿器パラメータといったものである。前記一つまたは複数の湿度パラメータは、動作上のリンクを介して制御モジュール28によって調整される。
【0031】
加湿器18が、好適な仕方で回路12中のガスの湿度レベルを上げるために該ガスに蒸気を付与するための任意の好適なデバイスを含みうることは理解されるであろう。たとえば、ここに参照によってその内容を組み込む米国特許第5,655,542号は、PAPデバイスと一緒に使うための、ある実施形態において加湿器18として実装されてもよい受動的な加湿器を教示している。
【0032】
図1に示されるように、加湿器18は、加湿器パラメータをモニタリングするセンサー48を含む。図示した実施形態では、センサー48は加熱要素42に付随し、加熱要素42の温度をモニタリングする。しかしながら、他の実施形態では、センサー48はその代わりチャンバ38内に配置され、流体40の貯留の温度をモニタリングするために使われてもよい。センサー48は、モニタリングされる加湿器パラメータに関連する情報を、制御モジュール28に、動作上のリンクを介して伝える。加湿器18が回路12において加圧流れモジュール16の下流に配置されるものとして図示されているが、他の実施形態では加湿器18は加圧流れモジュール16より上流の位置に配置されてもよいことは理解されるであろう。
【0033】
患者処置システム10は、患者回路12の外部に配置されているモニタ50を含む。モニタ50は、呼吸可能なガスが取入口14において患者回路中に導入されるのに先立って、呼吸可能なガスの一つまたは複数の周辺条件パラメータをモニタリングする。たとえば、モニタ50によってモニタリングされる周辺条件パラメータは、周囲の湿度レベル(たとえば、相対湿度センサー、容量性湿度センサー、抵抗性湿度センサーなどを介して)および/または周囲の温度(たとえば温度計、サーモスタット、熱電対、サーミスタなどを介して)を含む。他の周囲条件パラメータ、たとえば気圧(たとえば、ピエゾ抵抗性気圧センサー、水銀気圧センサーなどを介して)またはその他のパラメータ、がモニタリングされてもよいことは理解しておくべきである。モニタ50は、制御モジュール28に動作上リンクされており、モニタリングされる周囲条件パラメータに関連する情報を制御モジュール28に動作上のリンクを介して伝える。
【0034】
図4は、本発明の動作の方法52を示している。具体的には、本方法は、回路湿度レベルを予測することを内含する。動作54において、一つまたは複数の周囲条件パラメータの決定がなされる。周囲条件パラメータは、制御モジュール28によって、モニタ50から制御モジュール28が受け取る情報に基づいて、決定される。上記のように、周囲条件パラメータは、環境湿度レベル、環境温度および/または環境気圧を含んでいてもよい。本稿での用法では、湿度レベルは、絶対湿度レベル、相対湿度レベルまたは露点のうちの任意の一つに関してなされるモニタリングおよび/または決定を含みうる。
【0035】
方法52は、動作56を含む。ここでは、回路12内のガスの回路フロー・レートが制御モジュール28によって決定される。図3に示した患者処置システム10の実施形態では、制御モジュール28は、回路フロー・レートを、圧力/フロー・センサー22によって生成される信号を処理することによって決定する。もう一つの例では、回路フロー・レートの決定は、センサーで回路12中のガスをモニタリングすることなく行われてもよく、送風機スピード、弁制御設定または他の制御設定といった一つまたは複数の制御設定に基づいてであってもよい。
【0036】
動作58では、回路12中のガスの回路圧力が制御モジュール28によって決定される。図3に示したシステム10の実施形態では、回路圧力は、たとえば、患者回路12に動作上結合された圧力/フロー・センサー22によって生成される信号に基づいて決定される。あるいはまた、回路圧力は、上述したような制御設定に基づく回路フロー・レートの決定と同様に、患者に送達されるべき圧力設定のような一つまたは複数の制御設定に基づいて決定されてもよい。
【0037】
方法52は動作60を含む。ここでは、患者回路12内のガスの一つまたは複数の回路パラメータが制御モジュール28によって決定される。示される実施形態では、回路パラメータは、加湿器18より上流の回路温度および回路湿度レベルを含む。加湿器18にはいる前の温度および湿度レベルを含むガスのパラメータが決定されるのは、加圧流れモジュール16がガスのフロー・レートおよび圧力を上げ、ガスの温度および湿度レベルが圧力の変化のために間接的に変更されるからである。回路パラメータは、動作54においてモニタ50を介して制御モジュール28によってなされた周囲条件パラメータの決定、ならびに、動作56、58においてなされた回路圧力および/または回路フロー・レートの決定に基づいて決定されてもよい。あるいはまた、温度など、回路パラメータの一つまたは複数は、回路内に配置された一つまたは複数のセンサーを介して直接測定されてもよい。
【0038】
動作62では、一つまたは複数の加湿器パラメータが制御モジュール28によって決定される。加湿器パラメータは、加湿器18を通る際に回路12中のガスに加えられる回路湿度レベルの上昇に関係している。図示した実施形態では、制御モジュール28は加湿器パラメータを、センサー48によって与えられる加熱要素42の温度に関係する情報に基づいて決定する。加熱要素42の温度は、チャンバ38に保持される流体40の貯留の温度に関連し、この温度は貯留流体40の蒸発レートに対応する。他の実施形態では、加熱要素42の温度は、加熱要素42の温度を制御する制御設定に基づいてモニタリングされてもよい。あるいはまた、流体40の貯留の温度は、温度センサー(たとえば熱電対、温度計または他の温度検知デバイス)によって直接モニタリングされてもよい。
【0039】
方法52は動作64を含む。ここでは、回路湿度レベルが制御モジュール28によって予測される。この決定は、加湿器18を通過する結果としてのガスの湿度の予測される上昇に基づく。上で概観したように、湿度レベルのこの上昇は、動作56において決定された回路フロー・レート、動作60において決定された回路パラメータおよび動作62によって決定された加湿器パラメータに依存する。ある実施形態では、湿度レベルはルックアップ・テーブル〔探索表〕に基づいて決定されてもよい。ルックアップ・テーブル中の値は、アルゴリズムを介して導出されても、あるいは実験的に決定されてもよい。
【0040】
図5を参照するに、本発明のある実施形態に基づく、最大湿度レベルを決定する方法66が示されている。最大湿度レベルは、回路12内に結露を形成することなく回路湿度レベルを上げられる最高のレベルである。方法66は、動作68、70、72および74を含み、これらは方法52のそれぞれ動作54、56、58および60に対応し、動作54、56、58および60に関して上述したようにして制御モジュール28によって周辺条件パラメータ、回路フロー・レート、回路圧力および回路パラメータの決定を生成する。よって、動作68、70、72および74の詳細は簡潔のため省略する。
【0041】
動作76において、最大湿度レベルが決定される。最大湿度レベルの決定は、動作70において決定された回路フロー・レート、動作68において決定された周辺条件パラメータおよび動作74において決定された回路パラメータに基づく。ある実施形態では、最大湿度レベルはルックアップ・テーブルに基づいて決定されてもよい。ルックアップ・テーブル中の値は、アルゴリズムを介して導出されても、あるいは実験的に決定されてもよい。
【0042】
図6に目を転じると、患者処置システム10を動作させる方法78のある実施形態が示されている。方法78は、システム10が作動させられる動作80を含む。ある例示的な実施形態では、システム10は、制御インターフェース30を介してシステム10が受け取る入力に応答して作動させられ、加圧流れモジュール16および加湿器18を作動させることを含む。本発明はまた、患者処置システムが、たとえばシステムが患者が患者インターフェース17中に呼吸していることを検出するときに自動的に作動させられる(または作動停止させられる)ことができることも考えている。自動オン/オフ・システムの例は米国特許第6,629,527号に記載されている。
【0043】
方法78は動作82を含む。ここでは、目標湿度レベルが決定される。ある実施形態では、目標湿度レベルは自動的に最大湿度レベルに設定される。最大湿度レベルは、方法66に従って動作82において制御モジュール28によって決定される。別の実施形態では、目標湿度レベルの決定は、制御インターフェース30においてシステム10への選択された湿度レベル入力を受け取ることを含んでいてもよい。動作84では、加湿器18の下流の現在の回路湿度レベルが予測される。たとえば、ある実施形態では、回路湿度レベルは制御モジュール28によって方法52に従って予測される。次いで動作86において、制御モジュール28によって、現在の回路湿度レベルの予測が目標湿度レベルと比較される。この比較は、現在の湿度レベルが目標湿度レベルに実質的に等しいかどうかを決定することを含む。たとえば、回路湿度レベルが、目標湿度レベルに基づいて決定される所定の範囲内にはいれば、回路湿度レベルおよび目標湿度レベルは実質的に同等であると判定されうる。ある実施形態では、所定の範囲は、目標湿度レベルから所定量だけ上下にオフセットされた範囲境界内の回路湿度レベルを含む。もう一つの実施形態では、所定の範囲は単に、範囲境界の一方は目標湿度レベルまたはその近くに設定し、他方の範囲境界は目標湿度レベルより所定のオフセットだけ上または下に設定されるようにして、それらの範囲境界内の回路湿度レベルを含むのでもよい。
【0044】
目標湿度レベルおよび回路湿度レベルが実質的に等しい場合、方法78は動作82および84に戻る。しかしながら、目標湿度レベルおよび回路湿度レベルが実質的に等しくない場合、本方法は動作88に進む。動作88では、制御モジュール28は一つまたは複数の加湿器パラメータを調整する。ある実施形態では、調整される加湿器パラメータは、加熱要素42の温度である。加熱要素42の温度は、適切な方向に(たとえばより高温またはより低温に)所定の量だけ調整されてもよいし、あるいは調整の量は目標湿度レベルと回路湿度レベルの値の差の度合いに基づいていてもよい。
【0045】
動作90では、システム10が作動停止させられるべきかどうかについての判定がなされる。ある例示的な実施形態では、動作90においてなされる判定は、制御インターフェース30において作動停止コマンドがシステム10に入力されたかどうかを判定することを含んでいてもよい。もちろん、本発明は、たとえば患者インターフェース17に向かって呼吸していた患者が検出されなくなった場合に自動的にシステムを作動停止させるまたは作動停止信号を発することも考えている。作動停止コマンドがシステム10によって受領されなかった場合、方法78は動作82および84に戻る。作動停止コマンドがシステム10によって受領された場合、システム10は動作92において作動停止させられる。システム10の作動停止は、加圧流れモジュール16および加湿器18を作動停止させることを含む。ある実施形態では、システム10の作動停止は、加圧流れモジュール16および加湿器18のうちの一方または他方だけを作動停止させることを含んでいてもよい。
【0046】
本発明のある側面によれば、回路中のガスの湿度レベルは、回路中の湿度センサーを使うことなく決定できる。回路中の決定された湿度レベルは、次いで、閉ループにおいてプロセッサにフィードバックされることができる。それにより、患者は、快適さを増すために、また任意的にはシステム中に過度の結露を生じることなく、湿度レベルを設定および/または制御することができる。
【0047】
本発明について、現在のところ最も実際的で好ましい実施形態であると考えられているものに基づいて例解の目的で詳細に記述してきた。しかしながら、そのような詳細はあくまでもその目的のためであり、本発明が開示されている実施形態に限定されるものではなく、それどころかむしろ付属の請求項の精神および範囲内にはいる修正および等価な構成をカバーすることが意図されていることは理解しておくべきである。たとえば、本開示を通じて言及される動作上のリンク(operative link)は、若干の例を挙げると、ハードワイヤ、光ファイバーまたは無線通信システムであってよい。さらに、本発明は、可能な限り、任意の実施形態の一つまたは複数の特徴を任意の他の実施形態の一つまたは複数の特徴と組み合わせることができることを考えていることを理解しておくべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーに送達されるガスの湿度を決定する方法であって:
ガスの流れをユーザーの気道に送達する患者回路の外部にある周囲ガスの湿度レベルを決定する段階と;
周囲ガスを前記患者回路中に引き込む段階と;
前記患者回路中に引き込まれたガスに蒸気を加える段階と;
前記患者回路中に引き込まれたガスの湿度レベルを、(a)前記患者回路の外部の周囲ガスの湿度および(b)前記患者回路中に引き込まれるガスに前記蒸気が加えられるレートに基づいて決定する段階とを含む、
方法。
【請求項2】
前記レートが加湿器ヒーターの温度、加湿器内の流体の温度、前記患者回路内のガスのフロー・レートまたはそれらの任意の組み合わせに基づいて推定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記患者回路中に引き込まれたガスに前記蒸気が加えられるレートを、前記患者回路中に引き込まれたガスの湿度レベルの前記決定に基づいて、フィードバック式に調整する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
患者処置システムであって;
呼吸可能なガスをガス源から患者に送達する患者回路と;
前記患者回路内のガスの圧力を上げる、前記患者回路中に配置された加圧流れモジュールと;
前記患者回路中のガスの湿度をある回路湿度レベルまで上げる、前記患者回路中に配置された加湿器と;
前記ガス源中のガスの少なくとも一つのパラメータをモニタリングするモニタと;
前記患者回路中のガスに蒸気が加えられるレートを推定するために処理されることのできる対応する信号を生成する、前記患者回路内のセンサーと;
前記センサーによって生成された信号および前記ガス源中のガスの前記少なくとも一つのパラメータに基づいて、前記加湿器より下流の前記患者回路におけるガスの湿度レベルを決定するプロセッサとを有する、
システム。
【請求項5】
インターフェースをさらに有する請求項4記載のシステムであって、前記インターフェースを介して、前記患者回路中のガスのフロー・レート、前記患者回路内の圧力、前記患者回路中のガスの湿度レベルまたはそれらの任意の組み合わせが選択可能に制御される、システム。
【請求項6】
前記加湿器が水の貯留部および該水の貯留部を加熱する加熱要素を有しており、前記少なくとも一つの加湿器パラメータが前記水の貯留部の温度、前記加熱要素の温度またはそれらの組み合わせを含む、請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記加熱要素の温度が、該加熱要素の温度を検出する温度センサー、前記加湿器の制御設定またはそれらの組み合わせによって決定される、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記センサーが、温度センサー、フロー・センサーおよび圧力センサーを含む、請求項4記載のシステム。
【請求項9】
前記ガス源中のガスの前記少なくとも一つのパラメータが、前記ガス源中のガスの湿度を含む、請求項4記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記患者回路内で結露を形成することなく前記患者回路内のガスの湿度レベルを上げることができる最大湿度レベルを決定し、前記最大湿度レベルの決定が、前記患者回路中のガスのフロー・レート、前記患者回路内の圧力、前記ガス源中のガスの前記少なくとも一つのパラメータに基づく、請求項4記載のシステム。
【請求項11】
前記加湿器より下流の前記患者回路におけるガスの湿度レベルの前記決定が、前記湿度レベルが前記最大湿度レベルに実質的に等しく維持されるよう前記少なくとも一つの加湿器パラメータを自動的に制御するフィードバック・ループにおいて実装される、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
患者回路内のガスの湿度を決定する方法であって:
前記患者回路の外部の周囲ガスの湿度レベルを決定する段階と;
周囲ガスを前記患者回路中に引き込む段階と;
前記患者回路中に引き込まれたガスに加圧する段階と;
前記患者回路内のガスに湿気を加える段階と;
前記ガスに湿気が加えられた後の前記患者回路内のガスの湿度レベルを、(a)前記患者回路外部の周囲ガスの湿度レベルおよび(b)前記患者回路内の湿度レベル以外の前記ガスの少なくとも一つのパラメータに基づいて決定する段階とを含む、
方法。
【請求項13】
前記ガスの前記少なくとも一つのパラメータが、前記患者回路中のガスのフロー・レートおよび前記患者回路中のガスの圧力を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ガスの湿度レベルが、(c)前記ガスに湿気が加えられるレートにも基づいて決定される、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記レートが、加湿器ヒーターの温度、前記加湿器内の流体の温度またはそれらの組み合わせに基づいて推定される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ガス源から患者に、患者回路に沿ってガスを送達する方法であって、前記患者回路内のガスの圧力は加圧流れモジュールによって上げられ、前記患者回路内のガスの湿度レベルは加湿器によって上げられ、当該方法は:
前記患者回路内のガスの圧力を決定する段階と;
前記患者回路内のガスのフロー・レートを決定する段階と;
前記ガス源中のガスの少なくとも一つのパラメータを決定する段階と;
前記加湿器の動作の少なくとも一つのパラメータを決定する段階と;
前記加湿器より下流の前記患者回路内のガスの湿度レベルを、少なくとも部分的には、前記患者回路内のガスのフロー・レート、前記患者回路内のガスの圧力、前記ガス源中のガスの前記少なくとも一つのパラメータおよび前記加湿器の動作の前記少なくとも一つのパラメータに基づいて、決定する段階とを含む、
方法。
【請求項17】
前記加湿器の動作の前記少なくとも一つのパラメータが、加熱要素の温度、貯留流体の温度またはそれらの組み合わせを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記ガス源中のガスの前記少なくとも一つのパラメータが湿度レベルを含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記患者回路内で結露を形成することなく前記患者回路内のガスの湿度レベルを上げることができる最大湿度レベルを、(a)前記患者回路内のガスのフロー・レート、(b)前記患者回路内のガスの圧力、(c)前記加湿器の動作の前記少なくとも一つのパラメータ、(c)前記ガス源中のガスの前記少なくとも一つのパラメータまたは(d)それらの任意の組み合わせに基づいて決定する段階をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記加湿器より下流の前記患者回路におけるガスの決定された湿度レベルを、前記湿度レベルが前記最大湿度レベルに実質的に等しく維持されるよう前記加湿器の動作の前記少なくとも一つのパラメータを自動的に制御するフィードバック・ループにおいて実現する段階をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項21】
選択された湿度レベルを受け取る段階と;
前記加湿器より下流の前記患者回路におけるガスの決定された湿度レベルを、前記湿度レベルが前記選択された湿度レベルに実質的に等しく維持されるよう前記加湿器の動作の前記少なくとも一つのパラメータを自動的に制御するフィードバック・ループにおいて実現する段階をさらに含む、
請求項20記載の方法。
【請求項22】
ガス源から患者に、患者回路に沿ってガスを送達する方法であって、前記患者回路内のガスの圧力は加圧流れモジュールによって上げられ、前記患者回路内のガスの湿度レベルは加湿器によって上げられる、方法であって:
前記患者回路内のガスの圧力を決定する段階と;
前記患者回路内のガスのフロー・レートを決定する段階と;
前記ガス源中のガスの湿度レベルを決定する段階と;
前記加湿器に関連する温度を決定する段階と;
前記加湿器より下流の前記患者回路内のガスの湿度レベルを、少なくとも部分的には、前記患者回路内のガスのフロー・レート、前記患者回路内のガスの圧力、前記ガス源中のガスの湿度レベルおよび前記加湿器に関連する温度に基づいて、決定する段階とを含む、
方法。
【請求項23】
前記加湿器に関連する温度が、前記加湿器に付随するヒーター要素の温度、前記加湿器に付随する貯留流体の温度、前記加湿器によって生成される蒸気の温度、前記加湿器を通る際の前記ガスの温度、またはそれらの組み合わせを含む、請求項22記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−530323(P2011−530323A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522041(P2011−522041)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/072388
【国際公開番号】WO2010/016838
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)