説明

呼吸可能な酸素を欠く環境中で酸素および/または水素を生成するための装置

【課題】呼吸可能な酸素を実質的に欠く雰囲気中で酸素を生成するための装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、薄くなった酸素環境中で呼吸可能な酸素を生成できる酸素生成装置に関する。過酸化水素および触媒から酸素を生成し、水を分解する。本発明の装置は、化学チャンバおよび交互繰り返しスクリーンを含む繰り返しユニットを含む触媒/フィルターチャンバを有する2つのチャンバシステムである。各々の繰り返しユニットは、水および過酸化水素から酸素の生成を最適化するように特定の配置で3つの異なる種類のスクリーンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2007年9月7日に出願された米国仮特許出願第60/967,756号(これは本明細書に参照として援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、酸素を欠く雰囲気中で使用される、水および空気から酸素を生成するためのフィルター材料に接続されるユニット内に酸素送達化学チャンバを備える酸素生成装置に関する。酸素を生成するために使用される水は、吐き出された水蒸気、尿の浄化により生成される水、および/または乗り物内の飲料供給物のいずれでもよい。
【背景技術】
【0003】
本発明は概して、化学ベースの酸素生成装置、特に、水から酸素を遊離するためのフィルター材料を含むカートリッジに接続された酸素生成化学チャンバを含む新規かつ有用な人工呼吸器に関する。化学チャンバは、その化学チャンバから生成される酸素が、本発明のフィルター材料に流れるように配置される。さらに、本発明のフィルター材料を含むカートリッジは、ヒトから排出される呼気の経路がフィルター材料を通り、そしてそのフィルター材料によって生成される酸素がヒトの吸入経路に戻るように、装置内に配置される。
【0004】
化学酸素発生器は、典型的に、減圧中の航空機などの緊急状態で酸素補給を必要とする状況で、例えば旅客機などにおける呼吸可能な酸素の緊急状態の供給源として長期間使用されているアルカリ金属塩素酸塩または過塩素酸塩の分解に基づいた酸素生成構成物において使用される。このような目的のための酸素は、安定で高純度でなければならない。例えば、SAE航空宇宙規格AS8010Cの条件が、航空用途における呼吸に使用される酸素に頻繁に適用される。
【0005】
今日、市場で利用可能な化学酸素発生器は一般に、酸素の供給源として塩化ナトリウム、過塩素酸カリウム、および過塩素酸リチウムを利用する。分解の際に、塩素酸塩または過塩素酸塩は酸素を放出する。典型的な化学酸素発生器において、塩素酸ナトリウムろうそくが、ステンレス鋼容器に入れられており、分解を維持するために付加的な加熱を与えるために、鉄粉などの一般に使用される燃料の存在下で、酸素が塩素酸ナトリウムの分解により発生される。しかしながら、これらの酸素発生器はまた、副反応および一部の有機汚染物質により、数百ppmまでの有毒な塩素ガスを放出する。酸素と一緒に生成される有毒な塩素ガスは、呼吸可能な酸素を生成するために除去されなければならない。
【0006】
しばしば、これらの酸素発生システムにおいて塩素ガスを吸収するために使用されるフィルター(例えば、鋳造フィルターまたはホップカライト(hopcalite)を含む粒状層フィルター)は、それら特有の問題を有する。例えば、粒状ホップカライト層フィルターは、振動により損傷を受けやすく、航空機における化学酸素発生器は頻繁に振動を受けるため、これは問題であり得る。振動の間、顆粒が互いに擦り減らされるので、顆粒の粒子サイズは徐々に減少し、濾過層がよりきつく詰まり、顆粒が濾過層の底に沈み、濾過できなくなるようにし得る溝が生成する。磨耗、沈殿および溝の形成の影響を避けるために、濾過床は、通常、ホップカライト層の間にセラミック線維またはガラス繊維床を有するホップカライト顆粒のいくつかの層として負荷される。しかしながら、ホップカライトの層をフィルター区画の内側に均一に充填することは難しく、その構築プロセスは典型的に遅く、時間がかかる。ホップカライトの間の濾過床は非常に重い。これにより個人用にほとんど使用されない。
【0007】
今日の市場で利用可能な他の化学酸素生成装置は過塩素酸塩を使用せず、それ故、塩素ガスを生成しない。しかしながら、これらにも問題がある。例えば、過酸化バリウム、過酸化リチウムおよび水酸化カルシウムは、酸素生成構成物における塩素酸ナトリウムの作用を抑えるための阻害剤として酸化コバルトと一緒に使用されている。しかしながら、過酸化バリウムは毒性であるので、使用され、廃棄される過酸化バリウムを含有する酸素発生器の処分には費用がかかる場合がある。過酸化リチウムおよび水酸化カルシウムは非常に強力な阻害剤であるので、例えば、酸素発生構成物における1パーセントの画分などの少量のみが使用され得、酸素発生構成物において阻害剤を均一に分配することは比較的難しい。過酸化リチウムはまた、水分および二酸化炭素を吸収する場合、固まる傾向があり、混合することはさらに難しい。触媒として酸化コバルトおよび添加剤として過酸化リチウムまたは水酸化カルシウムを含む調製物に関して、長時間でかつ完全な混合が、各ロット内、および各ロット間の変化を減少させるのに重要である。水酸化カルシウムの分解も、一部の用途に望ましくない水を生成する。水酸化カルシウムはまた、触媒以外に存在しない場合、最小量の触媒活性を有する。
【0008】
水酸化カルシウムは、酸化コバルトおよび水酸化カルシウムで調製された酸素生成構成物において比較的強力な阻害剤であるため、高い酸化コバルト濃度および低い水酸化カルシウム濃度を有する局所領域が、不完全な混合により生じ、低い酸化コバルトおよび高い水酸化カルシウム濃度を有する他の局所領域より非常に高い分解速度を有する。従って、水酸化リチウムおよび水酸化カルシウムに基づく酸素生成構成物の調製物は、典型的に、酸素生成構成物内の構成要素の不均一な分配に起因して、多くのロット内で性能の比較的高い変化を示す。
【0009】
従って、必要とされるものは、除去または困難な処分を必要としない装置において一貫して十分な量の酸素を生成できる酸素生成装置である。本発明は、従来技術の欠点を克服し、患者による呼吸に必要な適切な酸素レベルを維持できる実際に携帯可能な酸素生成システムである化学的に支援される酸素生成装置を提供する。本発明は以下の段落で考察される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、酸素を欠く雰囲気中で呼吸可能な酸素を生成できる呼吸装置を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、大きく、重い構成要素を必要としない呼吸可能な酸素を生成する携帯可能な呼吸装置を提供することであり、その装置は実際に携帯可能である。つまり、本発明は、水から酸素を生成できるフィルター材料に接続された化学チャンバを用いて、酸素ガスを欠く雰囲気中で酸素および/または水素ガスを生成するための装置を提供する。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、化学的に生成された酸素と併せて尿から精製される水を利用することによって、酸素を欠く雰囲気中で呼吸可能な酸素を生成できる呼吸装置を提供することである。このタイプの装置は、尿が宇宙服内に含まれる宇宙探査において使用され得、呼気の濃縮水蒸気として酸素生成のための水を容易に生成できる。
【0013】
本発明のなおさらに別の目的は、本発明の装置を用いて、酸素を欠く雰囲気中で酸素を生成するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態は、2つのチャンバ内に分離された筐体アセンブリを含む、酸素を実質的に欠く環境中で酸素ガスを生成するための装置を提供する。第1のチャンバは、管状および固体フレームと併せて、複数の繰り返しの触媒作用、限外濾過および過酸化水素生成のスクリーンを含む。その繰り返しユニットは交互パターンで配置され、通常、二分子の酸素および水素、二分子の酸素の限外濾過のためのゼオライト含有スクリーン、および過酸化水素生成のためのジルテニウム/ジルテニウム/ゼオライト含有スクリーンを含む。分離器によって第1のチャンバから分離された第2のチャンバは、過酸化水素などの液体反応物と相互作用する際に酸素を生成するMnOなどの触媒を含む。
【0015】
第1のチャンバの繰り返しユニットは、ジルテニウム/ジルテニウム分子および少なくとも1種類の陰イオンを含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜を含む。ジルテニウム/ジルテニウム分子および陰イオンは、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜と直接接触する。多孔性のホウ素でドープされた炭素膜はさらに、ナノカーボンチューブのメッシュ状の網およびジルテニウム/ジルテニウム分子が結合された多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の反対側に接続されたルテニウムイオンを捕捉するシデロフォアプレートまたは中空管を含む。シデロフォアプレート/中空管は、イオン的に帯電されているので、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜から除去される遊離ルテニウムイオンを捕捉する。
【0016】
ジルテニウム/ジルテニウムスクリーンに近接して、かつ、シデロフォアを有するスクリーンの表面に対して第2のスクリーンが存在し、3つのスクリーンが連続している。第2のスクリーンは、ナノカーボンチューブのメッシュ状の網を形成し、少なくとも1つのゼオライト結晶体がそのナノカーボンチューブと直接接触するために合成膜の表面に結合および/または埋め込まれた複数のナノカーボンチューブを含む合成膜である。その合成膜は、約0.1〜約3.0nmの直径を有する複数の孔を有し、ナノカーボンチューブに結合されたゼオライト結晶体は、合成膜の孔の少なくとも一部と重なる。
【0017】
ゼオライト結晶体を有する合成膜に近接するのは、ゼオライト結晶体およびジルテニウム/ジルテニウム錯体の両方を含む3つのスクリーンの繰り返しユニットの最後のスクリーンである。ジルテニウム/ジルテニウム錯体と一緒に合成膜/ゼオライトは、水素および酸素から過酸化水素を生成する。化学チャンバまたは第1および第2のスクリーンのいずれかから水素および酸素が生成され、さらなる酸素を生成するために埋め込まれた触媒と最終的に反応する過酸化水素が第2のチャンバに方向付けられ得る。
【0018】
繰り返しユニットの第3のスクリーンのゼオライト結晶体およびジルテニウム/ジルテニウム錯体は、スクリーンの小さな中央の一点に配置され得るか、または全体にわたって均一に分散され得る。さらに、繰り返しユニットの第3のスクリーンは、必要に応じて、遊離ルテニウムイオンがヒトと接触しないことを確実にするようにシデロフォアプレートを備えてもよい。
【0019】
複数の繰り返しユニットは、個々の酸素装置、宇宙服または規定された領域のいずれかで薄くなった雰囲気下で呼吸するための酸素を提供するように連続して配置されてもよい。本発明の一実施形態において、繰り返しユニットは、カートリッジ内に配置されてもよく、それによって、それらは、酸素を生成する効果がなくなったときは取り換えることができる。水から酸素を生成すること、ならびにMnOおよび過酸化水素の触媒反応から化学的に酸素を生成することを組み合わせることは、酸素を欠く規定された雰囲気を調整して、特別の装置を用いずに個々の呼吸を支持するのに十分である。
【0020】
本発明はまた、本発明の装置および水または水の供給源として尿を用いて、酸素を消費した環境または呼吸可能な酸素を欠く環境で酸素を生成するための方法に関する。
【0021】
本発明の装置は、添付の図面と併せて詳細な説明の段落でより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明のフィルター材料のジルテニウム/ジルテニウム分子を含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の前面の斜視図を示す。
【図2】図2は、ジルテニウム/ジルテニウム分子および本発明のフィルター材料のシデロフォアプレートを含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の裏面の斜視図を示す。
【図3】図3は、本発明のフィルター材料のゼオライト結晶体を含む第2のスクリーンの表面の斜視図を示す。
【図4】図4は、本発明のゼオライト結晶体およびジルテニウム/ジルテニウム分子を含む第3のスクリーンの表面の斜視図を示す。
【図5】図5は、フレームに設置されたゼオライト結晶体を含む第2のスクリーン膜の前面の斜視図を示す。
【図6】図6は、本発明のフィルター材料のフレームに接続されたフローチューブを備えるスクリーンの前面の斜視図を示す。
【図7】図7は、本発明のスクリーンのフレームに接続されたフローチューブを備えるカートリッジの断面図を示す。
【図8】図8は、本発明の筐体アセンブリの斜視図を示す。
【図9】図9は、本発明の筐体アセンブリの断面図を示す。
【図10】図10は、本発明の3つのスクリーンを含む1つの繰り返しユニットの分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、薄くなった酸素環境中で呼吸可能な酸素を生成できる酸素生成装置に関する。過酸化水素および触媒から酸素を生成し、水を分解する。本発明の装置は、化学チャンバおよび交互繰り返しスクリーンを含む繰り返しユニットを含む触媒/フィルターチャンバを有する2つのチャンバシステムである。
【0024】
各々の繰り返しユニットは、水および過酸化水素から酸素の生成を最適化するように特定の配置で3つの異なる種類のスクリーンを含む。第1のスクリーンおよび第2のスクリーンのフィルター材料は、水から二分子の酸素および水素を化学的に生成し、スクリーン上を通過する空気から酸素を効果的に濾過するように、互いに相補的に作用するように設計されている。つまり、繰り返しユニットの第1のスクリーンは、水を二分子の酸素および水素に触媒的に分解し、第2のスクリーンは、第1のスクリーンにおいて分解した水から生成される酸素を濾過する第1のスクリーンに近接する限外濾過スクリーンである。
【0025】
第3および最後のスクリーンは、連続して第2のスクリーンに近接して配置され、酸素および水素から過酸化水素を生成するように設計される。このスクリーンは、第2のスクリーンのゼオライト結晶体および単一のスクリーンに特異的に配置された第1のスクリーンのジルテニウム錯体の両方の組み合わせを含む。この配置において、ジルテニウム錯体および単一のスクリーンに配置されたゼオライト結晶体は、水素および酸素を過酸化水素に変換する触媒作用を提供するように互いに補完する。次いで、繰り返しユニットの第3のスクリーンによって生成された過酸化水素は、なおさらなる酸素を生成するために第2のチャンバによって使用され得る。
【0026】
再利用される過酸化水素は生成された水とともに抽出され、水溶液が精製され、再利用される過酸化水素の所望の濃度まで濃縮される。アントラキノン希釈標準溶液が、それらのサイクルおよび混合が完了するまで水素化反応器に戻される。
【0027】
交互ユニットにおけるスクリーンの特定の配置および設計は、酸素生成フィルターの分解を生じ得る酸素生成の間のラジカル中間体の増加、およびそのようなフィルターの機能を低下させることが知られている第2のスクリーンの限外濾過材料上の過剰な水の増加の両方を防ぐ。
【0028】
本発明の装置は、ヘルメットまたは宇宙服のいずれか内での水上または水中での携帯可能な呼吸装置として、あるいは生命を支持するように呼吸可能な酸素を含む空気を調整するために、酸素を欠く環境中に配置され得る独立型ユニットとして使用され得るように設計される。
【0029】
繰り返しユニットの各々のスクリーンは、カートリッジ内に適合するように、あるいはヘルメット、宇宙服または独立型ユニット内で直接スライドできるように構成され得る管状および固体のフレームを有する。使用される場合、カートリッジは、複数の繰り返しユニットを収容するように設計され得、それは、生成される酸素の場所および量に応じて、約1インチ(2.54cm)未満〜数フィート(1フィート=30.48cm)の範囲のサイズであり得る。つまり、宇宙船などの大きな船室の空調が、長さが数フィートである繰り返しユニットを有する1つ以上の独立型ユニットを必要とし得る。
【0030】
本発明の第2のチャンバは、そこに配置されるか、好ましくは第2のチャンバの壁内に埋め込まれる触媒を含む。第2のチャンバに供給されるのは、触媒と相互作用する際に酸素を生成する少なくとも1つの化合物である。本発明の一実施形態において、第2のチャンバに使用される触媒は、二酸化マンガン、銀またはそれらの混合物のいずれかである。過酸化水素と反応する他の触媒が、本発明の第2のチャンバに使用されてもよく、本発明の範囲内であるとみなされる。MnOが第2のチャンバの触媒として特に好ましい。
【0031】
輸送船上で排出される尿が、本発明における酸素の生成物に使用され得る水を含む。しかしながら、尿中の水はまた、本発明の第2のチャンバ内に使用され得る特定の触媒と接触される。MnOは、電極、水電界−酸素生成として機能する場合、塩化物イオンの存在下でさえ、塩素ガス、次亜塩素酸、またはTHMをほとんど生じないので、塩素ガスまたは次亜塩素酸の生成が抑制される。
【0032】
触媒として第2のチャンバ内に埋め込まれたMnOは、過酸化水素の分解速度を非常に増加させる。発生する場合、高濃度の過酸化物(高度過酸化物(high−test peroxide)、またはHTPともいわれる)は、容器の結果として生じる破裂を引き起こす圧力の増加を防ぐためにベント型容器内に保存されなければならない。好ましくは、本発明者らは、好ましくは6%〜45%、より好ましくは8%でのより低い濃度の過酸化水素を使用し、これにより、このような揮発性液体を保存するためのベント型で高圧の安全なシステムの必要性を排除する。過酸化水素の一般的な濃度は、「20容量」であり、これは、1容量の過酸化水素が分解された場合、20容量の酸素が生成することを意味する。過酸化水素の「20容量」の濃度は、1.67mol/dm(モル溶液)または約6%に等しい。
【0033】
上記のように、触媒は、第2のチャンバ全体にわたって均一に分配され得るか、または第2のチャンバの壁に埋め込まれ得る。過酸化水素はこのチャンバ内に滴下されるので、触媒と反応して酸素を生成する。過酸化水素に加えて、さらなる化合物が、使用される触媒に応じて使用されてもよく、それらもまた、本発明の範囲内であるとみなされる。過酸化水素は、ポンプによって制御される過酸化水素供給ラインを介して第2のチャンバに供給される。次いで、生成される酸素は、チャンバから吸い上げられ、(ヘルメット内で)呼吸するため、繰り返しユニットから生成された酸素と混合するため、および扱われる環境中に排出するため、または後の使用のために保存するためのいずれかで使用される。
【0034】
本発明の一実施形態において、装置は、本発明のユニットにおいて配置されるヒトから管状のフレームまで呼気が流れるマウスピースおよび/またはヘルメットを有する宇宙服であるように構成される。次いで、呼気および/または精製された尿からの水蒸気は、本発明のフィルター材料にわたって/それらを介して流れる場合、化学的に酸素および水素に分解される。次いで、酸素の流れは、直接呼吸するためにヒトに循環して戻ってくるか、または第2のチャンバによって生成された酸素と組み合わされ、後の使用のために保存されるか、または環境に排出されるかのいずれかである。
【0035】
第1のチャンバの繰り返しユニットの第1のスクリーンおよび第2のスクリーンはさらに、各々のスクリーンのフレームの中空部分および装置全体と連通する複数の吹き抜け加速器ノズルを含む。吹き抜け加速器ノズルは、周囲から第1のスクリーンおよび第2のスクリーンまで空気を提供するのに役立つ。吹き抜け加速器ノズルに加えて、装置はまた、フレームと連通し、複数の吹き抜け加速器ノズルの向かいに位置する複数の捕捉器ノズルも含む。複数の加速器ノズル(フィルターチャンバにおけるフィルター材料の表面に平行であり、その表面にわたって空気を流す)と複数の捕捉器ノズル(フィルター上の空気の流れから未反応の空気の流れ、副産物および過剰な荷電の増加を取り除く)との組み合わせは、フィルター材料の継続する操作のための空気の流れを提供し、使用および/または装置から排出するために、フレーム内の未反応の空気の流れ、副産物、酸素および水素を捕捉する。
【0036】
フィルター材料にわたる空気の流れを促進するために、吹き抜け加速器ノズルは、フレームに取り付けられる広い端部、およびフィルター材料上に少なくとも部分的に配置される狭い端部を有するように設計されてもよく、それによって、吹き抜け加速器ノズルからの空気がフィルター材料上に流れる。本発明の捕捉器ノズルは逆の設計を有する。つまり、捕捉器のポートは、フレームに取り付けられる狭い端部およびフィルター材料上に少なくとも部分的に配置される広い端部を有してもよく、それによって、吹き抜け加速器のポートからの未反応の空気の流れおよび副産物が、捕捉器のポートによって捕捉され、使用および/または装置から排出されるためにフレーム内に導かれる。
【0037】
第1のチャンバおよび第2のチャンバの両方から生成されると、保存容器に保存されてもよく、それによって、ガスが後の時間で使用されてもよい。ここで、いくつかのカートリッジが連続して使用されてもよく、それによって、空気のさらなる流れが完全に利用され得、過剰な二分子の酸素が生成され得る。なおさらに、上記のように、装置は、フィルターが、尿から精製された水から二分子の酸素を生成するように(すなわち、地球外環境などの水分がほとんどまたは全くない環境において)設計されてもよい。これらの構造の全ては、本発明の範囲内であるとみなされ、本発明の触媒および濾過スクリーンならびに化学チャンバを使用するように設計される。
【0038】
交互フィルター材料の第1のスクリーンは、炭素膜に直接結合されたジルテニウム/ジルテニウム分子および少なくとも1種類の陰イオンを含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜である。第1のスクリーンに近接して(連続して)配置される第2のスクリーンは、合成膜に結合/埋め込まれた同心円状に配置されたナノカーボンチューブと直接接触する少なくとも1つのゼオライト結晶体を含む合成膜から構成される。その合成膜は、約0.1nm〜約3.0nmの直径を有する複数の孔を含む。ゼオライト結晶体は、ナノカーボンチューブに結合され、孔の少なくとも一部と重なる。これは、単一の繰り返しユニットを構成し、所定の供給源から高生産量の酸素を発生させるために連続して配置され得る構造である。
【0039】
合成膜は、約0.1〜約3.0nmの直径を有する複数の孔を含む。ゼオライト結晶体はナノカーボンチューブに結合され、孔の少なくとも一部と重なる。これは、単一の繰り返しユニットを構成し、呼気または別の供給源からの水蒸気から高生産量の酸素を発生させるために連続して配置され得る構造である。
【0040】
第1のスクリーンに使用される特有のジルテニウム/ジルテニウム分子は、いくつかのルテニウム原子を含む。化学的に、「ルテニウム」は一般に、ウラル山脈ならびに北アメリカおよび南アメリカにおいて他の白金族金属とともに鉱石に見出される。少量だが、商業的に重要な量はまた、サドベリー、オンタリオ州から抽出される硫鉄ニッケル鉱、および南アフリカにおける輝岩堆積物にも見出される。市販のルテニウムは、複雑な化学プロセスを介して単離され、そこで水素が、粉末を生じる塩化アンモニウムルテニウムを減少させるために使用される。次いで、その粉末は粉末治金技術により固められる。歴史的に、ルテニウムは、天然のままの白金の溶解後に残った残渣からでると理解されていた。ルテニウムは遷移金属であり、ほとんどの遷移金属と同様に強力なルイス酸である。つまり、それらはルイス塩基として作用する多くの分子またはイオンから容易に電子を受容する。ルイス塩基がルイス酸とその電子対を示す場合、ルイス酸と配位するといわれ、配位共有結合を形成する。ルイス塩基が、ルイス酸として作用する金属と配位し、全体の構造単位を形成する場合、配位化合物が形成される。この種の化合物、または錯体において、ルイス塩基は配位子と呼ばれ、このような配位子は、カチオン性、アニオン性または電荷中性であってもよい。
【0041】
本発明のルテニウム錯体の別の部分は、ポリオキソメタレート、すなわち「POM」である。分類として、POMは、触媒として使用するために非常に機能的であり、酸化反応における試薬として酸素および/または過酸化水素の分子を活性化できる。しかしながら、触媒としてルテニウム含有分子を用いることに関する1つの主要な問題は、ルテニウム触媒の変性および触媒を除去/分解し得るイオンと接触するものに対するルテニウム有害作用の危険性である。本発明のフィルター材料の設計は、独自に設計したシデロフォアを用いることにより、そしてそのシデロフォアおよびそのシデロフォアと接触するナノカーボンチューブを電気的に荷電することにより部分的にそれらの問題を克服する。
【0042】
本発明の繰り返しユニットの第1のスクリーンは、ホウ素でドープされた合成炭素薄膜およびルテニウム錯体の他に合成炭素薄膜の反対側に結合した帯電したプレートを含む。ホウ素でドープされた合成炭素薄膜および帯電したプレートの両方は、シデロフォアとして相乗的に機能する。シデロフォアは、遊離荷電イオンを引き付け、結合する化合物である。つまり、イオンがフィルター材料を通り、フィルターから出てヒトの空気の流れに入り続ける前に、錯体は遊離荷電イオンを捕捉する。本発明のシデロフォアは、遊離ルテニウムイオンを含む正に荷電したイオンに特異的であるように負に帯電する。従って、本発明のジルテニウム/ジルテニウム錯体から除去され得る任意の正のルテニウムイオンを捕捉することは、酸素を発生させるための触媒としてルテニウムを用いることの欠点を克服し、従って、ルテニウム有害作用に対する安全策を提供する。
【0043】
本発明の一実施形態は、水供給源から酸素および/または水素ガスを分解するためのフィルター材料を提供し、それは、ジルテニウム/ジルテニウム分子および炭素膜に直接結合されるか、または必要に応じて、中間体化合物および/または構造を介して、少なくとも1種類の陰イオンを有する多孔性のホウ素でドープされた炭素膜を含む。本発明のジルテニウム/ジルテニウム分子が、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜と直接接触されるか、または中間体化合物および/もしくは構造を介して結合されるか否かに関わらず、それらはイオン結合、共有結合および/または配位錯体結合を介して結合される。
【0044】
本発明の一実施形態において、本発明のジルテニウム/ジルテニウム分子の各々のうちの1つのジルテニウム分子は、以下の式(I)[Ru(CO)(u−n2−CR)を有し、式中、uは、[Ru(EDTA)2−、(CO)、F、Co−2、NO(カチオン性)、水素結合芳香族/カルボン酸−(二重結合酸素またはその中の部位における重合としての複数の結合あるいは単一の結合のいずれかに関する)、エチレンジアミン、アニオン性配位子としてハロゲン化物、カルボン酸、不飽和炭化水素、直線状または曲線状のいずれかの金属中心に配位する硝酸、ブタジエン、カルボキシレート配位子、アニオン性(RO−およびRCO−2(ここでRはHまたはアルキル基である)または中性配位子(R、RS、CO、CN)、CHCN(アセトニトリル)、NH(アンモニアアミン)F、Cl、スコルピオナート配位子(3つのピラゾールに結合されたホウ素)としてトリス(ピラゾリル)ホウ酸塩;化合物の「挟み(pincer)」とは、金属に結合できる2つのピラゾール基(C)由来の窒素へテロ原子を指す)およびそれらの混合物、好ましくは[Ru(EDTA)2−からなる群より選択される架橋配位子であり;
式中、nは、少なくとも2であり、かつ分子の配位座数(denticity)に依存し(つまり、同じ中心原子に結合される所定の配位子からの供与基の数);
式中、Lは、[Ru(PhPCHCHPPh)(EDTA)]2+、C、RC=CR(ここでRはHまたはアルキルである)、1,1−ビスジフェニルホスフィノメタン、ジエチレントリアミン[ジエン]結合、好ましくは三座、トリアザシクロノナン[ジエン]結合、好ましくは三座、トリフェニルホスフィンおよびそれらの混合物からなる群より選択される配位子であり;
式中、CRは、カルボン酸、カルボキシレート配位子、アニオン性(ROおよびRCO(ここでRはアルキル基である))または中性配位子(R、RS、CO、CN(ここでRはアルキル基である))およびそれらの混合物であり;ならびにxは約1〜約30、好ましくは1〜約20、より好ましくは1〜約10である。
【0045】
本発明のジルテニウム/ジルテニウム分子の他の分子は、効果的な触媒においてRuZn(HO)(ZnW34−14に変換され得る以下の式(II)[WZnRuIII(OH)(HO)(ZnW34]を有するジルテニウム置換ポリオキソメタレートである。ジルテニウム分子における各ルテニウム間の距離は、約2.0オングストローム〜約3.0オングストローム、好ましくは約2.25オングストローム〜約3.0、そしてより好ましくは約2.50オングストローム〜約2.80オングストロームである。
【0046】
Shannonらによる米国特許第7,208,244号(その全体は本明細書に参照として援用される)に記載されているジルテニウム置換ポリオキソメタレートは、本発明のフィルター材料の利点を提供するように、上記のホウ素でドープされた炭素薄膜と関連して使用され得る。
【0047】
本発明のさらに別の実施形態において、フィルター材料は、ジルテニウム/ジルテニウム分子が結合される第1のスクリーンの反対面に結合されるルテニウムイオンを捕捉するシデロフォアプレートをさらに含む。シデロフォアプレートは、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜から除去される遊離ルテニウムイオンを捕捉するようにイオン的に帯電される。シデロフォアプレートは、負または正に帯電したイオン、および樹脂粘土からなる群より選択されてもよく、ここでその粘土は複数の孔を有する中空のチューブ状のプレートに成形される。特に、シデロフォアプレートは、ポリスルフォネートが含浸した樹脂プレート、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)含有プレート、およびそれらの混合物であってもよい。
【0048】
本発明の1つの実施形態において、シデロフォアプレートは、炭素のドープされた膜のナノチューブの一端に結合され、そのシデロフォアプレートの少なくとも一部は、薄膜に直接結合され、および/または薄膜に埋め込まれる。この設計は、シデロフォアプレートが遊離ルテニウムイオンを捕捉でき、かつイオン結合できることを可能にする。上記のように、このことは、フィルター材料が呼吸のための酸素を生成するために使用される場合、必須である。フィルター材料によって生成される酸素が呼吸のために使用されないが、代わりに工業用プロセスに使用される一実施形態においては、シデロフォアプレートはそれほど重要ではない。
【0049】
本発明のさらに別の実施形態において、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜は、ナノカーボンチューブのメッシュ状の網をさらに含んでもよい。そのナノカーボンチューブのメッシュ状の網のナノチューブは、約20ナノメートル〜約450ナノメートル、好ましくは20ナノメートル〜約250ナノメートル、そしてより好ましくは約20ナノメートル〜約100ナノメートルの直径を有する。ナノカーボンチューブのメッシュ状の網は、各チューブが、比較的少ない抵抗の流れにおいて流れを運搬できるように設計され、それは二分子の酸素および/または水素を生成するために水素結合を分裂しやすくするように、水の酸素−水素結合を不安定にするために使用される。従って、それらの結合を分裂するのに必要なエネルギーおよび時間は少なく、それ故、二分子の酸素を迅速に、かつ容易に生成できる。ナノチューブの網は、約0.2〜約5.0ミクロンまで支持POMマトリクスの上に延びる。
【0050】
炭素薄膜へのジルテニウムの結合は、炭素の基質への結合で開始する。本発明の一実施形態において、化学蒸着(CDV)からの炭素原子が四面体配位型のSp軌道ネットワークを開始する基質表面で核となることができるように、シリコン基質などが使用される。CDVは、前駆ガスとして水素およびメタンを使用し、「加熱方法」に用いる。例えば、加熱方法は、基質表面と相互作用し、炭素原子が表面によって吸着され得、生じる癒着が増加するように、反応種、主に「メチル基」の拡散を与えるためにフィラメントを使用してもよい。一旦完成すると、薄膜の表面は、主としてC−H単結合を有する第三炭素原子である。
【0051】
炭素薄膜のドーピングは、ホウ素、フッ素および/または窒素を用いて完成されてもよい。ドーピングレベルの濃度が増加するにつれて、ダイヤモンドの絶縁体の挙動は、半導体のものに変わり、さらに完全な金属的挙動に変わる。この電気化学効果を達成するために、ドーピングのレベルは、ダイヤモンドレベルにおいて低い抵抗降下を生じるのに十分でなければならないが、ドーピング合成の間にグラファイト相を誘導する結晶構造を変化させるか、または乱すほど低くなくてもよい。本発明の一実施形態において、炭素の陰性ドーピングは、陰イオンとしてフッ化物を用いて行われる。すなわち、F原子は余分な電子およびわずかに低いエネルギーレベル、0.35eVのホウ素と対照的に約0.28〜0.32eVを有する。
【0052】
典型的に、炭素−フッ化物結合は共有結合であり、非常に安定である。有機フッ素は、毒性のフッ化物の放出の危険性がなく、薬物などの用途において安全に使用され得る。しかしながら、芳香環におけるフッ化炭素の使用は有用であるが、安全性の問題:体内で酵素がそれらの一部を有害なエポキシドに代謝するという問題を提示する。パラ位がフッ化物に置換される場合、芳香環が保護され、エポキシドはもはや生成されない。有機化合物におけるフッ化物への水素の置換は、非常に多数の化合物を与える。医薬品のおよそ5分の1および30%の農薬がフッ化物を含む。−CFおよび−OCF部分、ならびにより最近では−SF基はさらなるバリエーションを与える。さらに、三フッ化ホウ素(BF)としてフッ素原子を用いてホウ素によるドープを利用する際に、三フッ化ホウ素(BF)は以下の反応に従って調製される。
+HF→2BF=3H
【0053】
さらに、BおよびHFガスは、使用されるフッ素含有化合物であるペルフルオロアルキル−アルコキシ物質などのメタンおよびフッ素含有化合物と相互作用するように揮発させてもよく、そのフッ素含有化合物は、1分子につき少なくとも1つの炭素−金属結合を有することが必要である。
【0054】
生成される薄膜は、本発明者らのホウ素でドープされた合成ダイヤモンド(炭素)のシェル化合物の場合と同じように半導体として機能する。その薄膜は、カチオン性種として木挽き台に結合される陰性物質部分を増幅する誘起効果を有する半導体として機能するジルテニウム木挽き台コア分子のフッ化物への固定として使用される。ダイヤモンドまたはグラファイト構造中の炭素はsp混成であるが、ホウ素(非炭素、すなわち、非ダイヤモンド)はsp混成である。本発明において、この構成は、酸素生成電極のためのヒドロキシルラジカルとして同時に機能しながら基板を固定するように、薄膜において電気伝導性を生じる。ホウ素原子によるドーピングの効果的な範囲は、スクリーンサイズの約2100ppm〜約6,800ppm/0.1cmである。
【0055】
つまり、本発明において、ホウ素のドーピング原子は、室温にて価電子帯端部上で約0.35eVで電子帯を形成する電子受容体として機能し、価電子帯電極の一部は、ホウ素受容体にドーパント電子帯およびフッ素イオンの価電子帯の空孔に遊離電子を残すことを促進される。このようなドーピングレベルを有さずに、ダイヤモンド(炭素膜)は、大きな価電子帯ギャップ、すなわち、電流が流れることを可能にする伝導帯に対する価電子帯を有するナノコンダクターまたは絶縁体である。金属において、価電子帯と伝導帯との間の帯ギャップは存在せず、従って、制御を欠き、近接するルテニウム原子の斥力によって配位子構造は非常に歪められる。しかしながら、ドーピングおよびBDDSTFドーピングを使用する際に、ホウ素/Fを有する炭素マトリクスシートは、歪みエネルギーの下でさえ伝導を可能にし、この歪みエネルギーは、ルテニウム原子間などの反発エネルギーを吸収すると本発明者らによって概念化される。さらに、BDDSTFは、最終生成物の生成された酸素ガスをわずかに反発させ、それによって、このシールドは、それ自体がイオンコンテナとして機能し、従来技術に見られる複数のものを使用する概念よりも酸素貯蔵として役立つ。
【0056】
生成される薄膜は半導体として機能する。その半導体効果に加えて、ホウ素でドープされた合成ダイヤモンド(炭素)薄膜からなるスクリーンは、20リットル/分より多い流量および/または4リットル/25秒より多い水量が本発明のフィルター材料を通過する場合、木挽き台配向におけるルテニウム錯体、およびPOMの配列が、過度に分離し、ねじれないように、アンカーとして使用される。従って、ホウ素でドープされた炭素薄膜は半導体の特性を与えるだけではなく、ジルテニウム分子が多流量下で歪められることを防ぐようにも機能する。さらに、フッ素と一緒にホウ素でドープされた炭素薄膜は、ルテニウム錯体および内圏配位子の両方に配向される木挽き台に結合される電気陰性部分を増幅する誘起効果を生じるが、外圏結合としてジルテニウム−POMから等しく伸びる。
【0057】
「木挽き台分子」は、共有結合、イオン結合、および/または配位錯体化のいずれかでPOM分子と錯体化/結合できる。特に、木挽き台分子とPOM分子との間の結合技術はイオン結合である。なぜなら、この錯体は、POMと錯体化するために、木挽き台分子に結合したFからの誘導作用を用いるからである。この化学的な誘導作用は、静電誘導による分子中の原子鎖を介した電荷の移動の実験的に観察可能な作用である(IUPACの定義)。置換基によって与えられる正味の極性効果は、この誘電作用とメソメリー効果との組み合わせである。2つの異なる原子間のs結合における電子雲は均一ではなく、2つの原子のより電気陰性の方へわずかに移る。これにより、より電気陰性原子である結合極性の永久状態が生じる(本発明者らの場合、Fはわずかに陰性の荷電(d−)を有し、他の原子はわずかに陽性の荷電(d+)を有する)。次いで電気陰性原子(F−)が原子鎖、通常、炭素(木挽き台の配位子の点におけるカルボン酸のORC誘導体)に結合される場合、陽性の荷電がその鎖において他の原子に中継される(−l効果としても公知である電子求引性誘起効果を与えるPOMに対する木挽き台にわたる)。
【0058】
純粋に「POM種にイオン結合した木挽き台」が本発明において使用される場合、ルテニウム木挽き台コアの間のさらに公知の架橋配位子は、アニオン性[Ru(EDTA)2−[Ru(EDTA)2−として与えられ、その架橋配位子は、次にトリエチレンジアミン、HNCHCHCHNHとアミドを形成することによって連結され得るカチオン性([Ru(PhPCHCHPPh)(EDTA)]2+)として使用される。これは、2つの分子コアおよびルテニウム置換ポリオキソメタレート(RPOM)、WZnRuIII(OH)(HO(ZnW3411を結合するために特定の配位子として両方に使用される。これは、a)木挽き台分子を破壊せず、そしてB)最終生成物として高純度の(97%より高い)酸素を生成するための電気生成能力に起因するように行われる。これは、金属炭化物中間体が使用される場合にはあてはまらない非常に反発する種の下でさえもさらなるルテニウム原子の近接によって達成され得る。
【0059】
ダイヤモンドまたはグラファイト構造中の炭素はsp混成であるが、ホウ素(非炭素、すなわち、非ダイヤモンド)はsp種である。上記で考察した炭素およびホウ素の特定の混成状態は、薄膜に電気伝導度を与えるのに重要であり、その結果、薄膜は、固定基板および酸素生成電極の両方として機能する。上記の目的について効果的であるように、薄膜は、その薄膜(スクリーン)サイズの約2100ppm〜約6,800ppm/0.1cmの範囲においてホウ素でドープされなければならない。
【0060】
本発明の繰り返しユニットの第2のスクリーンは、ナノカーボンチューブのメッシュ状の網を形成するために合成膜に結合および/または埋め込まれる複数のナノカーボンチューブを有する合成膜をさらに含む。本発明の合成膜は、SiO、AlO、およびそれらの混合物からなる群より選択される。ゼオライトの結晶構造は、典型的に、四面体構造において4つの酸素原子(−2価)に囲まれているシリコン原子(+4価)からなる繰り返しユニットに基づく。四面体の正味0の価数を与える2つのSi原子は、酸素分子を共有する。アルミニウム(+3の価数を有する)が四面体の配向において置換される場合、正味荷電−1が生じ、それ故、ゼオライトの陽イオン交換特性が生じる(さらに以下に記す)。合成膜は、シデロフォアが結合される多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の表面と近接するように配置される。本発明の合成膜は、それに結合および/または埋め込まれるナノカーボンチューブのメッシュ状の網と直接接触する少なくとも1つのゼオライト結晶体をさらに含む。合成膜は、約0.1〜約3.4nm、好ましくは約0.1nm〜約3.0nm、そしてより好ましくは約2.0nm〜約2.9nmの直径を有する複数の孔を有する。
【0061】
ゼオライトは典型的に、微孔構造を有する水和されたアルミノケイ酸塩鉱物である。従って、本発明の合成ゼオライトの合成膜は、ゼオライトの孔に入り得る分子またはイオン種の最大サイズが、通常、開口部の環の大きさによって規定される篩中の穴の直径によって制御される分子篩として動作する。例えば、8員環構造を有するゼオライト複合体は、8つの四面体配位のケイ素(またはアルミニウム)原子および8つの酸素原子から構築された閉ループであり、それ自体、複数の孔を含む。つまり、ゼオライト合成膜の内部細孔容積への特定のイオンの流入を制御するそのゼオライト合成膜の開口部のサイズは、環内のT原子(T=SiまたはAl)および酸素の数によって決定される。その開口部は、超大型(12員環より大きい)、大型(12)、中型(10)または小型(8)と分類される。開口部のサイズは、ゼオライトAなどの8員環構造について約0.4nm、ZSM−5などの10員環構造について約0.54nm、ならびにゼオライトXおよびZSM−12などの12員環構造について約7.4nmの範囲であり、それらの全ては本発明において使用されてもよい。
【0062】
合成膜自体は約0.1〜約3.0nmの直径を有する複数の孔を含み、酸素ふるい効果(O=2.96ÅおよびN=3.16Å)を与える。ナノカーボンチューブに結合されたゼオライト結晶体は、孔の少なくとも一部と重なる。結合されたカーボンナノチューブおよびそのナノカーボンチューブと直接接触するゼオライト結晶体を有する薄い合成膜とともにジルテニウム/ジルテニウム分子を含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜は、本発明のフィルター材料を構成するために使用され得る繰り返しユニットを形成する。
【0063】
本発明に使用されるゼオライトは、TO四面体構造から構成される結晶構造を有し、ここでTは、SiまたはAlのいずれかである。多数の天然のゼオライトに加えて、種々の合成ゼオライトも同様に存在する。上記のように、ゼオライトの結晶構造は、四面体構造において4つの酸素原子(−2価)により囲まれるシリコン原子(+4価)からなる繰り返しユニットに基づく。各酸素原子は2つのSi原子により共有され、ゼオライトを四面体構造にし、正味の荷電を0にする。アルミニウム(+3の価数を有する)が四面体構造において置換される場合、ゼオライトは−1の正味荷電を有する。この負の荷電はゼオライトの陽イオン交換特性を生じる。ゼオライトは、非常に均一の規定された孔のサイズおよび高い多孔率を有し、その結果としてそれら固有の結晶構造を生じる。この理由のために、ゼオライトは分子篩として有用である。
【0064】
本発明の一実施形態において、本発明の第2のスクリーンおよび第3のスクリーンに使用されるゼオライト結晶体は、ナノカーボンチューブのメッシュ状の網のナノカーボンチューブに直接結合され、それによって、そのゼオライト結晶体は、合成膜における孔の少なくとも一部と重なる。この構成により、水分子とゼオライト/ナノチューブ(および上記のジルテニウム錯体)との反応から生成される酸素および/または水素が、合成膜の孔を通して流れることを可能にし、所定の目的のために収集および使用される。ジルテニウム/ジルテニウムを含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜と、合成膜における孔の少なくとも一部と重なるナノカーボンチューブのメッシュ状の網に結合されたゼオライト結晶体を含む合成膜との組み合わせは、本発明のフィルター材料の繰り返しユニットを形成する。
【0065】
しかしながら、分裂していない水は、頻繁に特定のゼオライトの孔を遮断し、それによって、それらのゼオライトはしばしば不良になり、それらの分離特性を低下させる。本発明のフィルター材料の構造により、チューブのメッシュ状の網に結合されるゼオライトが「詰まらない」状態のままになり、長期間機能することを可能にする。なぜなら、本発明のフィルター材料のナノチューブは、水の水素/酸素結合を不安定化し、それにより、フィルター材料のジルテニウム分子が水を酸素および水素に分解することを容易にするからである。ジルテニウム分子により分解される水が多くなると、多くの酸素/水素が生成し、本発明の合成膜のナノチューブに結合されるゼオライトの孔を塞ぐことのできる水は少なくなる。一旦酸素および/または水素が生成されると、呼吸、保存または工業的用途のために捕捉され、使用されることができる。
【0066】
使用されるゼオライトの孔のサイズも重要である。孔が非常に大きいと、水がゼオライトフィルターを通過することができ、酸素および水素に分解されず、非常に小さいと、生成される酸素および/または水素が保持されて、フィルターから外側へ通過できず、それらを利用することができない。従って、サイズに基づいて他の分子は排除するが、特定の分子の吸着を可能にするように、ゼオライトの孔の開口を微調整できるようにすることが重要である。ゼオライトの孔のサイズを変化させる1つの方法は、ある陽イオンから別の陽イオンへ交換性陽イオンを変化させることである。例えば、ゼオライトAにおいてNa+イオンをCa++イオンに変えると、有効な開口サイズは増加する。これはまた、ゼオライトのAl/Si比を変化させることによっても達成され得る。Alに対するSiの割合の増加は、単位格子サイズをわずかに減少させ、交換性陽イオンの数を減少させ、それにより、チャネルを遊離し、ゼオライトの特性をより疎水性にする。
【0067】
本発明に使用される好適なゼオライトは主にケイ酸アルミニウムからなり、アルミナ基板は、選択された最終生成物を生成するように一部の原子を通過させることができるが、他のものを排除することを可能にする分子篩として機能するアルミナ孔を含む。この用途の目的のために、用語「分子篩」とは、サイズ排除プロセスに主に基づいて分子を選択的に分類する特定の性質を指す。本発明に使用され得るゼオライトは、含水ケイ酸アルミニウム無機物のファミリーのうちのいずれか1つ、典型的には、分子がナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウムあるいは対応する合成化合物のカチオンを囲む、アルカリ金属およびアルカリ土類金属を含む。
【0068】
合成膜の表面に埋め込まれるナノカーボンチューブのメッシュ状の網は、ゼオライトコーティング合成膜の表面上に約0.1〜約7ミリメートル、好ましくは約0.2〜約6ミリメートル、そしてより好ましくは約0.2〜約5ミリメートルまで延びる。ジルテニウムを含む炭素のドープされた膜に結合するナノチューブと同様に、ナノカーボンチューブは、約20ナノメートル〜約450ナノメートルの直径を有してもよい。ナノカーボンチューブのメッシュ状の網は、電子ビームリソグラフィー、原子間力顕微鏡、化学的に帯電した分子インク、結晶化自己集合、播種自己集合、および/またはそれらの組み合わせならびに埋め込まれる合成膜の孔に影響を与えない任意の他の手段を用いて合成膜の表面に埋め込まれてもよい。
【0069】
本発明のフィルター材料が適切な配置を有することを確実にするために使用され得る1つの方法は、高解像度SEMを備えるFIB(集束イオンビーム)を統合するFEI 830デュアルビームシステムを使用する「IBM Almaden’s Materials Characterization and Analysis Lab」による組み込みプロセスの間の直接可視化である。この方法は、粉砕または堆積手順を実施しながら、分析者が特定の部位の画像を捕捉することを可能にする。炭素薄膜を製造する際に、ホウ素でドープされた薄膜に埋め込まれるナノカーボンチューブについての最初の孔を掘るように、その薄膜は加速ガリウムイオンによって最初に粉砕される。一旦完了すると、炭素の金属酸化物は粉砕された領域内に堆積されて、パターンおよび望まれないカーボンチューブを形成するが、アルゴンなどの不活性ガスは、薄膜の表面に流される。付加的な炭素でドープされた原子は、ガリウムイオンによって薄膜内に以前に形成されたナノカーボンチューブの凹上のアルゴンガス表面に堆積される。堆積は、ALD(原子層堆積)またはCVDのいずれかにより完了されてもよく、それによって、炭素チューブが、最も内側の点から薄膜の外側へ広がる同心円状に配置される。一旦、カーボンナノチューブが完成すると、そのカーボンナノチューブの端部は開いたままになり、それによって、流れがカーボンナノチューブ内に付与され得る。次いで、ジルテニウム分子は、新規に調製された薄膜表面においてホウ素、フッ素と結合するように、調製された表面にエアロゾル化されるか、またはCVDを用いて付与される。
【0070】
代替として、炭素のホウ素でドープされたフッ化物膜を形成するために使用される方法は、Ar−Flガス混合物中のh−BNおよびグラファイトからなる複合ターゲットを用いて高周波マグネトロンスパッタリングによってなされ得、固体アルゴンマトリクス中のフッ化水素の光分解によって形成されるAr−Fガス混合物は、アルゴンフッ素水素化物(HArF)の形成を誘導する。形成後、炭素のドープされたフッ化物の薄膜は、X線回折、フーリエ変換赤外線分光法および/またはX線光電子分光法によって特徴付けられ得る。これらの手順の詳細は、Preparation of boron carbon nitride thin films by radio frequency magnetron sputtering,Applied Surface Science,Volume252,Issue12,2006年4月15日,4185−4189ページ,Lihua Liu,Yuxin Wang,Kecheng Feng,Yingai Li,Weiqing Li,Chunhong Zhao,Yongnian Zhao;およびA stable argon compound.Leonid Khriachtchev,Mika Pettersson,Nino Runeberg,Jan Lundell & Markku Rasanen.Department of Chemistry,PO Box55(A.I.Virtasen aukio1),FIN−00014 University of Helsinki,Finland.Nature406,874−876(2000年8月24日)に見出され得る。
【0071】
ジルテニウムの薄膜スクリーンおよびゼオライトの合成膜は、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜またはゼオライト合成膜のいずれかの中心領域から出発して外側へ同心円状に間隔をあけた円で配置され得る。
【0072】
本発明の第1のチャンバにおける繰り返しユニットの第1のスクリーンおよび第2のスクリーン全体は、ゼオライト合成膜のスクリーンが、ジルテニウムのホウ素でドープされた薄膜スクリーンに近接して配置されるように設計され、その結果、そのジルテニウムスクリーンは、空気の流れ付近に存在する。すなわち、空気の流れはまず、ジルテニウムスクリーンと接触する。このように、空気の流れに含まれる(および/または外部供給源から提供される)水分は、水の水素および酸素への分解を高めるように電気化学的に支援され、第2のスクリーンは、水の分解から生成される酸素/水素を濾過するように機能する。ゼオライトおよびジルテニウムスクリーンは直列で機能するが、第3のスクリーンは水素および酸素から過酸化水素を再生する。ジルテニウム壁に結合され、囲まれるゼオライト中心を挟むジルテニウム中心および外側の境界は、その精度および結合面についてFTIRおよび/またはX線結晶学によって生成後、解析される。
【0073】
本発明の具体的な実施形態は添付の図面と併せて記載され、これは、本発明をより詳細にするために与えられ、本発明を限定するものと決してみなされるべきではない。
【0074】
図1は、本発明のフィルター材料(10)のジルテニウム/ジルテニウム分子を含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の前面の斜視図を示す。上記および図1に示すように、スクリーンを構成するメッシュ状の材料は炭素であり、上部(55)、底部(60)、右側(45)および左側(50)を有するホウ素でドープされたスクリーン(15)である。円形、卵形、楕円形、平行四辺形、特に正方形、長方形および三角形などの代替の形状もまた、本発明の範囲内である。
【0075】
図1は、説明の目的のみのために長方形のスクリーンを示すが、他の形状が本発明の範囲内に含まれると想定される。ナノカーボンチューブ(20)が、炭素のホウ素でドープされたスクリーン(15)に配置されるか、または埋め込まれ、それは、スクリーンの中心点から始まり、放射状に外側に広がって、同心配置にゆるく充填されたコイル構造を形成する。ナノカーボンチューブは同心円状に配置されるが、代替的として、カーボンナノチューブが、炭素のホウ素でドープされたスクリーン(15)の設計および形状に依存して異なるパターンで配置されてもよい。スクリーンの異なる形状のように、ナノチューブの異なる配置もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0076】
炭素のホウ素でドープされたスクリーン(15)の全体にわたって分散されるのは、多数のホウ素原子(25)である。これらのホウ素原子(25)は、スクリーン全体にわたって均一に分散されてもよいか、またはナノカーボンチューブの領域内に集中されてもよい。ナノカーボンスクリーン(15)の中心領域付近に、少なくとも1つのジルテニウム置換ポリオキソメタレート(POM)錯体(40)が存在する。上記のように、本発明の一実施形態において、ジルテニウム置換ポリオキソメタレート(POM)錯体(40)は、POM(30)に結合されたジルテニウム木挽き台(sawhorse)分子(35)を含む。ジルテニウム木挽き台分子(35)は、スクリーンに最も近接して配置されるが、POM(30)はスクリーンの面から外側へ伸びる。この配置は、迅速で、かつ効果的な水の二分子の酸素および水素への分解を可能にする。この配置は、本発明のフィルター材料の繰り返しユニットの第1のスクリーンの構造的配置を構成する。
【0077】
図2は、ジルテニウム/ジルテニウム分子およびシデロフォア(115)を含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜(100)の裏面の斜視図を示す。本発明の炭素のホウ素でドープされたスクリーンは、上部(105)、底部(110)、左側(120)および右側(125)を有する。図2に示されるシデロフォア(115)は、スクリーンの底部(110)に配置されるが、シデロフォア(115)が、スクリーンの形状およびナノチューブの配置に依存してスクリーンの他の部分に配置されることは本発明の範囲内である。炭素のホウ素でドープされたスクリーン(15)は、図1および上記に示すようにホウ素原子(25)、ならびに炭素ナノチューブ(20)および少なくとも1つのジルテニウム置換ポリオキソメタレート(POM)錯体(40)を含む。
【0078】
シデロフォア(115)は、複数の孔を有する中空のチューブ状構造の形態であってもよく、そのシデロフォア(115)の少なくとも一端は、ナノカーボンチューブの少なくとも一端と直接つながる。代替的に、シデロフォア(115)はイオン的に帯電したプレートの形態であってもよい。いずれの構造も、フィルター材料によって生成される酸素を吸う患者が遊離ルテニウムイオンを吸収するのを防ぐように、フィルター材料から除去され得るルテニウムイオンなどの荷電イオンを捕捉するように設計される。プレートまたは中空のチューブのシデロフォア(115)のいずれも、含浸されたポリスルフォネート樹脂、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびそれらの混合物から構成され得る。
【0079】
図3は、本発明のゼオライト結晶体を含む合成膜(200)の表面の斜視図を示す。これは、フィルターの繰り返しユニットに隣接するスクリーンであり、図2に示すシデロフォアを有するホウ素でドープされた炭素膜の裏面に対して配置される。合成膜(200)は、上部(205)、底部(210)、右側(220)および左側(225)を有し、長方形の形状で示される。第1のスクリーンと同様に、合成スクリーンは、長方形の形状で示されるが、円形、卵形、楕円形、平行四辺形、特に正方形、長方形、および三角形などの代替の形状が、本発明の範囲内に含まれることは想定される。つまり、図3は、説明の目的のみのために長方形のスクリーンを示すが、他の形状も本発明の範囲内である。
【0080】
図1および図2のホウ素でドープされた炭素膜と同様に、図3の合成膜は、その合成膜に埋め込まれるか、または配置される炭素のナノチューブ(215)を有する。合成スクリーンはまた、ナノチューブ(215)、合成膜、またはその両方と直接接触するゼオライト結晶体(240)を有する。
【0081】
図4は、本発明のゼオライト結晶体およびジルテニウム/ジルテニウム分子を含む第3のスクリーン(300)の表面の斜視図を示す。これは、ジルテニウム/ジルテニウム錯体(図1の(40))および図3の合成スクリーンにドープ/埋め込まれたゼオライト(図3に示す(240))の組み合わせである。第3のスクリーン(300)は、必要に応じて、そのスクリーンから除去され得る任意の遊離ルテニウムイオンを捕捉するためにシデロフォアプレート(115)を含んでもよい。第3のスクリーン(300)は、水素および酸素から過酸化水素を生成するように設計される。
【0082】
図5は、フレーム(130)に設置されたゼオライト結晶体を含む第2のスクリーンの前面の斜視図を示す。本発明の繰り返しユニットの第2のスクリーン/フレーム(130)は、フィルタースクリーンの異なる領域までガスが通る中空の管状通路の構造であり、そのように機能するフレーム(135)を含む。このフレームは、広い端部(155)および狭い端部(140)を有するいくつかの吹き抜けノズル(145)を備える。吹き抜けノズルの広い端部(155)はフレーム(135)に接続され、狭い端部(140)は、ゼオライト結晶スクリーン(170)上に延びる。ゼオライト結晶スクリーン(170)上に配置される狭い端部(140)から出るように、吹き抜けノズル(155)の広い端部を通る空気通路の少なくとも一部において、患者から吐き出されるか、大気から得られるか、またはファン電動機(図6に示す)から生成されるかのいずれかである空気は、フレーム(135)内を通る。この空気によって、酸素がその空気に含まれる成分のガスから吸着されて、さらにその空気が酸素に加えられ、触媒スクリーンからの水から水素が分解する。
【0083】
フレーム(140)はまた、そのフレーム(140)に取り付けられた狭い端部(180)およびゼオライト結晶スクリーン(170)上に延在する広い端部(185)を有する捕捉器(175)を備える。上述のように、捕捉器(175)のこの特定の構成により、酸素、過剰な水、過剰なガス、増加した表面帯電、およびスクリーンを通過しない排ガスが、捕捉器(175)の広い端部(185)およびフレーム(135)に吸引され、フィルター材料から回収および/または排出させることができる。捕捉器の詳細な設計は、吹き抜けノズル(145)の向かい側のスクリーン上に配置された広い端部(185)、およびフレーム(140)に取り付けられた狭い端部(180)を有し、フレーム内のこの位置において、意図する圧縮により空気の流れを加速させ、これにより、上記のガスを吸引できる捕捉器ノズルへの吸引を促進する。
【0084】
吹き抜けノズル(145)はまた、特に、ノズル(145)からスクリーン(170)にわたって流入空気を進ませるように設計される。つまり、吹き抜けノズル(145)の広い端部(155)は、フレーム(140)に取り付けられ、それによって、吹き抜けノズル(145)に入る空気の経路は、狭い端部(140)に圧縮され、スクリーン(170)上に排出する。圧縮した経路は、スクリーン上に出る空気の流れが、入る場合よりも速い速度で出ていく。フレーム(130)はまた、上記および図6に示す分岐した加速器に接続するように設計される第1の接続部(150)および第2の接続部(190)を備える。図3に示すフィルターと同様に、合成膜(170)はそれに示されるものと同様の構成要素を有する。すなわち、ナノチューブ(165)は、その合成膜(170)に結合されるゼオライト原子(160)を有する同心配置に並べられる。(図6に示す)供給チューブは、点(150)および(190)でフレーム(135)に取り付けられてもよい。
【0085】
図1および図2に示すジルテニウム錯体(40)を有する繰り返しユニットのホウ素でドープされた炭素の第1のスクリーンもまた、上記の図5に示すようにフレームに配置される。つまり、図1および図2に示すホウ素でドープされた炭素スクリーンは、本発明のフィルター材料のように捕捉器および吹き抜けノズルを有するフレームに設置される。
【0086】
図6は、本発明のスクリーンのフレームに接続されたフローチューブ(305)を備えるスクリーンの前面の斜視図を示す。フローチューブ(305)は、第1の分岐部(310)および第2の分岐部(315)に分岐する主要供給チューブ(355)を有する。第1の分岐部(310)は、この第1の分岐部(310)から排出される空気/流体が、図5に示す捕捉器ノズルに流れるように構成されるフレーム取り付け点(335)に接続される。第2の分岐部(315)はフレーム接続点(330)に取り付けられ、これは、第2の分岐部(315)から排出する空気/流体の流れが、吹き抜けノズル(355)に流れるように構成される。吹き抜けノズル(355)は、空気の流れが合成膜の表面にわたって排出される場合、その空気の流れをさらに加速するように設計される。この同じ構成が、図1および図2に示す第1のスクリーンとともに使用される。
【0087】
図7は、本発明のスクリーンのフレームに接続されたフローチューブ(305)を備えるカートリッジの断面図を示す。フローチューブ(305)は、本発明の繰り返しユニットの第1および第2のスクリーンに接続するように設計される分岐部(310)および第2の分岐部(315)を供給する。スクリーン(410)は、カートリッジ筐体(405)内に最終的に適合するフレーム(415)全体に入れられてもよい。他の構造も可能であり、本発明の範囲内である。
【0088】
図8は、本発明の筐体アセンブリ(450)の斜視図である。
【0089】
図9は、分離器(515)によって分離される第1のチャンバ(505)および第2のチャンバ(510)を有する筐体アセンブリ(500)を示す。筐体アセンブリ(500)に取り付けられるのは、ファン(520)、第1のポンプ(545)および第2のポンプ(540)を操作するように構成される駆動モーター(525)である。ファンに取り付けられるのは、第1のチャンバ(505)内に延び、繰り返しユニット(585)内で空気をスクリーンの各々に与えるように設計される複数の伸長部を有するように構成される空気チューブ(560)である。1つの繰り返しユニット(585)は、実際にはいくつかの繰り返しユニットが連続して並べられるため、例示の目的のみのために第1のチャンバ(505)に示される。必要とされる酸素の量に依存して、1インチ(2.54cm)から数フィート(1フィート=30.48cm)である。
【0090】
図9に示すように、第1のポンプ(540)および第2のポンプ(545)は、ファン(520)を操作する同じ駆動モーター(525)によって駆動されるように構成される。代替として、別の駆動モーターが、ポンプ(540、545)の各々または両方を駆動するように与えられてもよい。第1のポンプ(540)は、第1のチャンバ(505)に延び、分離器(515)を通して、第2のチャンバ(510)に延びる排気管(535)と連通する。排気管(535)は、その排気管(535)内の各チャンバで生成されて、筐体アセンブリから出ていく酸素および/または水素を吸引するように、排気管(535)の長さ全体にわたって配置される複数の孔(565)を有して構成される。排気管(535)は、環境中、呼吸装置内、地球外スーツもしくは地球外呼吸装置、または将来の使用のための貯蔵容器に直接通気してもよい。
【0091】
本発明の一実施形態において、排気管(535)は、第1のポンプ(540)と直接連通する。ポンプが作動する場合、吸引が、第1および第2のチャンバから管内にガスを吸引する排気管(535)内に生じる。上記のように、これらのガスの取り込みを促進するために、排気管(535)が、排気管(550)の長さ全体にわたって分散される複数の孔(565)を備えて構成される。第1のポンプ(540)は、空気ポンプまたは遠心力ポンプであってもよい。
【0092】
筐体アセンブリはまた、その筐体アセンブリのチャンバ内に延びる過酸化水素供給管(556)および水供給管(555)を備えて構成される。過酸化水素供給管(556)は第1のチャンバ(505)を通り、分離器(515)を介して、第2のチャンバ(510)内に延びる。第2のチャンバ(510)において、過酸化水素供給管(556)は、過酸化水素分配供給部(570)で終端する。過酸化水素分配供給部(570)は、第2のチャンバ(510)のまわりに過酸化水素を噴霧する複数のスプレーノズル(630)を有するように構成される。
【0093】
水供給管(555)は第1のチャンバ(505)内に延び、水分配供給部(605)で終端する。その水分配供給部(605)は、繰り返しユニット(585)におけるスクリーン上で第1のチャンバ(505)のまわりに水を噴霧する複数のスプレーノズル(635)を有するように構成される。次いで、水は、第1のチャンバ(505)に放出され、筐体アセンブリ(500)から通気するガス排気管(535)に吸引される二分子の酸素および水素に分解する。
【0094】
過酸化水素供給管(556)および水供給管(555)の両方は、第2のポンプ(545)と直接連通する。第2のポンプが作動する場合、過酸化水素は、過酸化水素供給部から過酸化水素供給管(556)、次いで、第2のチャンバ(510)に放出される過酸化水素分配供給部(570)に送り込まれる。一旦、第2のチャンバ(510)に放出されると、過酸化水素は第2のチャンバ(510)の壁内に埋め込まれる触媒(580)と反応する。
【0095】
本発明の一実施形態において、第2のチャンバ(510)の壁に埋め込まれる触媒はMnOであり、過酸化水素と接触する際に酸素を生成する。酸素生成速度は、第2のチャンバの壁内の触媒の負荷量およびチャンバに加えた過酸化水素の量に比例する。
【0096】
同様に、第2のポンプ(または代替として別のポンプ)が作動する場合、水が、水供給部から水供給管(555)、次いで、第1のチャンバ(505)に放出される水分配供給部(635)に送り込まれる。一旦、第1のチャンバ(505)に放出されると、水は、上記のように繰り返しユニット(585)におけるスクリーンと反応する。水供給部は、大気、尿の浄化、または代替として水が副産物である化学反応から補充されてもよい。
【0097】
上記のように、繰り返しユニットの第3のスクリーンは、酸素および水素から過酸化水素を生成する。一旦、過酸化水素が生成されると、それは繰り返しユニットから出て、第1のチャンバの一端に蓄積され、繰り返しユニット(585)から出る過酸化水素は、分離器の表面の一端に蓄積される。第1のチャンバから第2のチャンバ内に開口する一方向フラップ弁(575)は、傾斜した分離器(515)の最も低い点付近で分離器内に配置される。過酸化水素は分離器の最も低い点で蓄積し、一方向フラップ弁(575)は、第2のチャンバ(510)に対して開口し、過酸化水素を第2のチャンバに滴下させる。一旦、第2のチャンバにおいて過酸化水素が触媒と反応すると、二分子の酸素および水素が反応する。生成される水素は、水素燃料電池を供給するために使用されて、駆動モーターまたは装置の他の部分にエネルギーを提供する。フラップ弁は、過酸化水素が第1のチャンバ内に流れて戻らないように、無重力状態か、容器が回転する場合、第2のチャンバ内に開口する一方向弁であることが必要である。
【0098】
図10は、3つのスクリーン(605、610および615)を含む繰り返しユニット(585)の分解図および本発明の繰り返しユニットにおけるそれらの配置を示す。
【0099】
本発明はまた、上記の本発明を用いて、薄い空気中に二分子の酸素および/または水素を生成するための方法にも関する。
【0100】
上記の説明は多くの具体例を含むが、これらの具体例は本発明の限定ではなく、単にその好ましい実施形態の例示であるとみなされるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲および趣旨内で多くの他の実施形態を想起するだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を実質的に欠く環境中で酸素を生成するための装置であって、
筐体を含み、
前記筐体は第1のチャンバと第2のチャンバに隔てられ、
前記第1のチャンバは、複数の繰り返しユニットを含む触媒フィルター材料を含み、
前記繰り返しユニットは、
ジルテニウム/ジルテニウム分子および少なくとも1種類の陰イオンを含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜を含む第1のスクリーンであって、前記ジルテニウム/ジルテニウム分子および前記陰イオンは、前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜と直接接触し、前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜は、ナノカーボンチューブのメッシュ状の網およびルテニウムイオンを捕捉するシデロフォアをさらに含む、第1のスクリーンと、
ナノカーボンチューブのメッシュ状の網を形成するために合成膜の表面に結合および/または埋め込まれた複数のナノカーボンチューブ、および前記ナノカーボンチューブと直接接触する少なくとも1つのゼオライト結晶体を含む合成膜を含む第2のスクリーンであって、前記合成膜は、約0.1〜約3.0nmの直径を有する複数の孔を含み、前記ナノカーボンチューブに結合された前記ゼオライト結晶体は、前記孔の少なくとも一部と重なる、第2のスクリーンと、
ナノカーボンチューブのメッシュ状の網を形成するために合成膜の表面に結合および/または埋め込まれた複数のナノカーボンチューブを含む合成膜を含む第3のスクリーンであって、ゼオライトおよびジルテニウム/ジルテニウム分子が、過酸化水素を発生するために前記合成膜の前記表面に近接して配置される第3のスクリーンと、
を含み、
前記第2のチャンバは、酸素生成液体と接触する際に酸素を生成するための触媒を含む、装置。
【請求項2】
前記第2のチャンバ内の前記触媒は、二酸化マンガン、銀およびそれらの混合物からなる群より選択され、前記酸素生成液体は、過酸化水素である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記触媒は、二酸化マンガンであり、前記第2のチャンバの内側面に埋め込まれる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のチャンバの繰り返しユニットの前記第1のスクリーン、前記第2のスクリーンおよび前記第3のスクリーンは、部分的に中空のフレームをさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記フレームと連通する複数の吹き抜け加速器ノズルであって、前記吹き抜けノズルから空気が前記表面上に流れるように前記吹き抜けノズルが構成される、複数の吹き抜け加速器ノズルと、
前記フレームと連通する複数の捕捉器ノズルであって、前記複数の捕捉器ノズルは、前記複数の吹き抜けノズルの向かい側に実質的に位置し、それによって、前記スクリーンの表面上に流れる前記吹き抜けノズルからの未反応の空気の流れおよび副産物の混合物が、前記捕捉器ノズルによって捕捉され、使用および/または前記装置から排出されるように前記フレーム内に導かれる、複数の捕捉器ノズルと、
をさらに含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記吹き抜け加速器のポートが、前記フレームに取り付けられた広い端部および前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜上に少なくとも部分的に配置された次第に狭くなっていく端部を有し、それによって、前記吹き抜け加速器のポートからの空気が、前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜上に流れる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記捕捉器のポートが、前記フレームに取り付けられた狭い端部および前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜上に少なくとも部分的に配置された広い端部を有し、それによって、前記吹き抜け加速器のポートからの未反応の空気の流れおよび副産物が、前記捕捉器のポートによって捕捉され、使用および/または前記装置から排出されるように前記フレーム内に導かれる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記繰り返しユニットの前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の前記ジルテニウム/ジルテニウム分子の各々のうちの1つのジルテニウム分子は、以下の式(I)
[Ru(CO)(u−n2−CR) (I)
を有し、
式中、uは、[Ru(EDTA)2−、(CO)、F、Co−2、NO(カチオン性)、水素結合芳香族/カルボン酸−(二重結合酸素またはその中の部位における重合としての複数の結合あるいは単一の結合のいずれか)、エチレンジアミン、アニオン性配位子としてハロゲン化物、カルボン酸、不飽和炭化水素、直線状または曲線状のいずれかの金属中心に配位する硝酸、ブタジエン、カルボキシレート配位子、アニオン性(RO−およびRCO−2(ここでRはHまたは炭化水素である))または中性配位子(R、RS、CO、CN)、CHCN(アセトニトリル)、NH(アンモニアアミン)F、Cl、トリス(ピラゾリル)ホウ酸塩およびそれらの混合物、好ましくは[Ru(EDTA)2−からなる群より選択される架橋配位子であり;
式中、nは、少なくとも2であり、かつ分子の配位座数(denticity)に依存し(つまり、同じ中心原子に結合される所定の配位子からの供与基の数);
式中、Lは、[Ru(PhPCHCHPPh)(EDTA)]2+、C、RC=CR(ここでRはHまたはアルキルである)、1,1−ビスジフェニルホスフィノメタン、ジエチレントリアミン[ジエン]結合、好ましくは三座、トリアザシクロノナン[ジエン]結合、好ましくは三座、トリフェニルホスフィンおよびそれらの混合物からなる群より選択される配位子であり;
式中、CRは、カルボン酸、カルボキシレート配位子、アニオン性(ROおよびRCO(ここでRはアルキル基である))または中性配位子(R、RS、CO、CN(ここでRはアルキル基である))およびそれらの混合物であり;ならびに
xは1〜約30の間である、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
式(I)の前記ジルテニウム/ジルテニウム分子のうちの1つのジルテニウムが、以下の式(II)
[WZnRuIII(OH)(HO)(ZnW34
を有するジルテニウム置換ポリオキソメタレートに結合される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記シデロフォアプレートが、ポリスルフォネート樹脂が含浸したプレート、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ジルテニウム/ジルテニウムにおける各ルテニウム間の距離は、約2.75オングストロームである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ナノカーボンチューブのメッシュ状の網の前記ナノチューブが、約20ナノメートル〜約450ナノメートルの直径を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記合成膜が、SiO、AlO、およびそれらの混合物である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記合成膜の前記表面に埋め込まれた前記ナノカーボンチューブのメッシュ状の網が、前記表面上に約0.2〜約5ミリメートル延びる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ナノカーボンチューブのメッシュ状の網が、前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の中心領域から出発して外側へ広がる、同心円状に間隔をあけた円で配置される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ゼオライトを含む合成膜の前記表面に埋め込まれたナノカーボンチューブが、前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の中心領域から出発して外側へ広がる、同心円状に間隔をあけた円で配置される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記カートリッジが前記装置から取り外し可能であり、取り外し可能なカートリッジケースのための挿入部をさらに含み、前記カートリッジケースは、前記カートリッジケースの一端から他端まで延びる複数のスロットおよび空間を有するように構成され、前記複数のスロットは、前記繰り返しユニットを収容するように構成され、前記空間は、前記供給源に曝露された前記フィルター材料の少なくとも一部から離れるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
式(II)の前記ジルテニウム置換ポリオキソメタレートが、Na14[RuZn(HO)(ZnW34]である、請求項8に記載の装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置を含む酸素を実質的に欠く雰囲気中で呼吸するための呼吸装置。
【請求項20】
哺乳動物の尿から水を生成するためのフィルターをさらに含み、前記フィルターは、前記フィルターチャンバと流体連通し、それによって、尿の精製から生成される水蒸気が、前記フィルター上に流れて、呼吸可能な酸素を生成する、請求項19に記載の呼吸装置。
【請求項21】
酸素を実質的に欠く雰囲気中で二分子の酸素を生成するための方法であって、
水の保存物、雰囲気および/または呼気からの水蒸気を前記第1のチャンバ内に流して、酸素および/または水素ガスを生成するように前記繰り返しユニットと反応させる、請求項19に記載の前記呼吸装置を利用する工程を含む、方法。
【請求項22】
尿から水を生成するための前記フィルターからの水蒸気もまた、前記第1のチャンバ内に流して、酸素および/または水素ガスを生成するように前記繰り返しユニットと反応させる、請求項21に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−537944(P2010−537944A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524030(P2010−524030)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/010389
【国際公開番号】WO2009/035526
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510061759)
【Fターム(参考)】