説明

呼吸器合胞体ウイルス感染の処置のための多環式薬剤

【課題】 ニューモウイルス亜科(Pneumovirinae)のウイルス(RSV)が関与する感染の処置又は予防に有効な化合物及びそれを含むニューモウイルス亜科(Pneumovirinae)のウイルス(RSV)が関与する感染の処置又は予防のための医薬組成物の提供。
【解決手段】 式(I)の化合物、及びそれらを含む医薬組成物とする。式中、環(A)はフェニルなどであり、(B−C)はCH−CHなどであり、(R)はフェニル及びその置換された形態であり、(R)は多彩な置換基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス化合物、それらの調製のための方法、それらを含有する組成物、並びにウイルス感染の処置におけるその化合物及び組成物の使用に関する。本発明は、呼吸器合胞体ウイルス感染の処置のための式Iの化合物の使用に特に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、成人及び幼児での下気道感染の主な原因である。西側世界では、ほぼ全ての小児が2歳までに感染した経験を有する。たいていの場合で、RSV感染はよくある風邪に似た症状を有する上気道の軽い疾病を起こすだけである。しかし、このウイルスの重症感染は、入院や死亡を招きうる細気管支炎又は肺炎を招くおそれがある。早産で生まれた乳児、又は、既存の肺疾患がある乳児は、重症の感染及び合併症のリスクが高い。
【0003】
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、モノネガウイルス目(Mononegalirales)のメンバーであり、その目はパラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)及びフィロウイルス科(Filoviridae)の非分節型負鎖RNAウイルスから成る。(RSV又はHRSVと呼ばれることの多い)ヒトのRSVは、パラミクソウイルス科ニューモウイルス亜科(Pneumovirinae)ニューモウイルス属(Pneumovirus)のメンバーである。ニューモウイルス属の他のメンバーには、とりわけウシRSV(BRSV)、ヒツジRSV(ORSV)及びマウス肺炎ウイルス(MPV)のようなウイルスがある。ニューモウイルス亜科には、メタニューモウイルス属(Metapneumovirus)もあり、その属は近年同定された重大なヒト病原体であるヒトメタニューモウイルスを含んでいる。
【0004】
上記のゲノムの特性に追加して、科の性質には、宿主細胞への付着及び侵入に関連するとみなされている1つ又は複数の糖タンパク質種を含有する脂質エンベロープがある。侵入は、宿主細胞の膜にウイルスのエンベロープが融合する過程を必要とするとみなされている。感染細胞が例えば隣接細胞と融合することによって、時には合胞体として知られている融合多核細胞の形成も生じうる。融合過程は糖タンパク質介在性であると考えられ、これは他の分類群の多様なエンベロープウイルスに共通の特性である。パラミクソウイルス科の場合には、全ての属のウイルスは膜融合を仲介する融合糖タンパク質(F)を特徴的に発現する。
【0005】
重症RSVの処置に現在承認されている唯一の薬物は、リバビリンとしても知られる抗ウイルス薬Virazoleである。この薬剤は、ウイルス抑止効果を伴う広域スペクトル抗ウイルス効果を有し、RSVの複製を阻害することによって作用する。これは、動脈血の酸素化も促進する。残念ながら、この薬剤は有毒であるため、その投与は病院環境に限られる。この薬剤を投与するときは、ある有害作用の尤度を最少にするために厳密な手順の過程に従う必要があることから、その投与はさらに複雑である。この薬剤は、呼吸機能の突然の悪化(気管支けいれん)を含めた多数の有害作用を有する。この薬剤の有効性は依然として論議されており、よってRSV感染の処置のための代替薬剤を見出す実際の必要性が存在する。
【0006】
多数の薬剤がRSVを阻害することは、公知である。内容が相互参照により組み込まれている公表された特許出願WO01/95910及びWO02/26228(Bristol Myers Squib Company)は、背景技術の説明に抗RSV活性を示す多数の様々な種類の化合物を記載している。さらに、これらの出願は、RSVに対して抗ウイルス活性を有する式
【化1】


の化合物を記載している。
【0007】
RSVを処置する以外の使用のためにイミダゾ−[2,1−a]−イソインドール誘導体を開示している多数の特許明細書も存在する。米国特許第3507863号は、抗炎症及び抗けいれん活性を有する多数の多環式化合物を記載している。これらの化合物は、以下の一般構造
【化2】


[式中、Aは−NH−、−O−又は−S−であり、nは1〜3である]を有する。
【0008】
米国特許第3770766号は、抗うつ活性を有し、以下の一般構造
【化3】


[式中、Rは多様な芳香族置換基から選択される]を有する多環式化合物を記載している。
【0009】
米国特許第4058529号は、一般式Aの抗炎症及び抗けいれん活性の多環式化合物を開示し、その特許には式B
【化4】


[式中、Rは水素又は(アミノ置換基を含めた)低級アルキル基であり、nは1〜3である]の化合物が包含される。
【0010】
CH482697(Graf)は、Rが−CO−CHR−Nであり、Rが水素又はアルキルである上記一般式Bの多数の化合物及びRが−CO−CHR−NH、−CO−CHR−OH又は水素である中間体を開示している。同様に、米国特許第3590043号(Graf)は、Rが−CO−CHR−NR’R”である式Bの化合物に関する。この文書では、nは1から3であり、RはH又は低級アルキルであり、R’及びR”は低級アルキル若しくはベンジルでありうるし、又は、一緒になってピペリジニル又はモルホリニル環を形成しうる。Grafの化合物は、抗炎症性使用を有しうる。
【0011】
WO02/066479(万有製薬)は、Rが低級アルキル、−CO−C及び選択された他の部分である一般式Bのいくつかの化合物を挙げている。これは、縮合フェニル環がピリジルで置き換えられ、Rがメチルである式Bの化合物も示唆しているとみられる。これらの化合物の全てが作成されたかどうかは明らかではない。これらの化合物は、高血圧及び糖尿病の処置に使用するためのものである。
【0012】
GB1038735は、nが1から3であり、Rが低級アルキル又は例えばジメチルアミノエチル基である一般式Bの抗炎症性化合物を開示している。
カナダ特許出願第2108899号(ファミリーメンバーであるWO92/16207も参照のこと)は、抗ウイルス薬に使用するための、特にAIDS及びHIVの処置に使用するための様々なオキサゾロ−[2,3−a]−イソインドール及びイミダゾ−[2,1−a]−イソインドール誘導体を開示している。HIV及びRSVウイルス、それらが関連する疾患、並びに開示された化合物のそれぞれの作用様式の間には顕著な差がある。その明細書は、RがC〜Cアルキル基又はC〜Cアシル基である下記構造の化合物を一般に記載し、Rが−COCH又は−CHである化合物を具体的に開示している。
【化5】

【0013】
多数の文書が、上式の化合物又はRが水素であるその置換形態を開示している。例えば、米国特許第4726838号及び第4846876号に開示されている除草化合物を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第01/95910号
【特許文献2】国際公開第02/26228号
【特許文献3】米国特許第3507863号明細書
【特許文献4】米国特許第3770766号明細書
【特許文献5】米国特許第4058529号明細書
【特許文献6】スイス特許第482697号明細書
【特許文献7】米国特許第3590043号明細書
【特許文献8】国際公開02/066479号
【特許文献9】英国特許第1038735号明細書
【特許文献10】国際公開92/16207号
【特許文献11】米国特許第4726838号明細書
【特許文献12】米国特許第4846876号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ある化合物がRSVウイルスに不可欠の融合過程を阻害することによって好都合な抗RSV活性を示すという発見に関する。
【0016】
本発明は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染の処置における、式I
【化6】


[式中、Rは、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され;nは0〜6であり;前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール及びヘテロシクリル基は場合によって置換されており;
は、−CH、−C(Y)R、−C(Y)OR、−C(Y)N(R)R、−C(Y)CHN(R)R、−C(Y)CHSR及び−S(O)から選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CH、アリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され;Rが−CH又は−C(Y)Rである場合は、Rは−S−R及び−O−Rから選択することもでき;mは0から6であり;Rは、水素又はC1〜6アルキルであり;Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり;wは0、1又は2であり;そのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール及びヘテロシクリル基は場合によって置換されており;
X及びYは、O、S及びNRから独立して選択され、ここで、Rは水素、低級アルキル、ヒドロキシ及び低級アルコキシから独立して選択され;
Aは、それが結合している原子と一緒になって場合によって置換された芳香環を形成し;
B−Cは、それらが結合している原子と一緒になって、場合によって置換された、5から8個の環原子を有する複素環を形成する]
の化合物、その塩、及び薬学的に許容されるそれらの誘導体の使用を提供する。
【0017】
本発明は、ウイルスの融合過程の阻害によるRSV感染の処置における式Iの化合物、その塩、及び薬学的に許容されるそれらの誘導体の使用も提供する。
【0018】
本発明は、式Iの新規な化合物、それらの塩、及び薬学的に許容されるそれらの誘導体も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に使用する用語「芳香族」は、アリール環又は環系と、ヘテロアリール環又はヘテロ芳香環として公知のような芳香族複素環又は環系とを指す。
【0020】
本明細書に使用する用語「アリール」は、炭素環式(非複素環式)芳香環又は環系を指す。芳香環は単環系又は二環系でありうる。芳香環又は環系は、5から10個の炭素原子から一般に構成される。適当なアリール基の例には、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルなどがあるが、それらに限定されない。
【0021】
好ましいアリール基には、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル又はアントラセニルがある。
【0022】
本明細書に使用する用語「複素環式」又は「ヘテロシクリル」は、N、S及びOから選択される1つ又は複数の複素原子を含む単環若しくは二環又は単環系若しくは二環系を指す。それらの環又は環系は、複素原子(類)に追加して1から9個の炭素原子を一般に含み、飽和、不飽和又は(疑似芳香族を含めた)芳香族でありうる。用語「疑似芳香族」は、厳密には芳香族ではないが、電子の非局在化により安定化して芳香環に類似した挙動をする環系を指す。芳香族には、フリル、チエニル及びピロリル環のような疑似芳香族環系がある。
【0023】
5員単環式複素環の例には、フリル、チエニル、ピロリル、H−ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリル、(1,2,3−及び1,2,4−オキサジアゾリルを含めた)オキサジアゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、フラザニル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、(1,2,3−及び1,3、4−トリアゾリルを含めた)トリアゾリル、テトラゾリル、(1,2,3−及び1,3,4−チアジアゾリルを含めた)チアジアゾリルがある。6員単環式複素環の例には、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラニル、ピラジニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、1,3,5−トリチアニル及びトリアジニルがある。複素環は、広範囲の置換基で、好ましくはC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、アミノ、シアノ又はモノ若しくはジ(C1〜6アルキル)アミノで場合によって置換されうる。
【0024】
複素環は、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル及びアントラセニルのような炭素環に縮合しうる。
【0025】
8員、9員及び10員二環式複素環の例には、1H−チエノ[2,3−c]ピラゾリル、チエノ[2,3−b]フリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、イソキノリニル、キノリニル、キノキサリニル、ウリジニル、プリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾトリアジニル、ナフチリジニル、プテリジニルなどがある。これらの複素環は、例えばC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、アミノ、シアノ又はモノ若しくはジ(C1〜6アルキル)アミノで場合によって置換されうる。
【0026】
好ましい複素環式ラジカルの例には、(場合によって置換された)イソキサゾール、イソチアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソキサゾール、ベンズイソチアゾール、キノリン及びキノキサリンがある。これらの複素環は、例としてC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、アミノ、シアノ又はモノ若しくはジ(C1〜6アルキル)アミノで場合によって置換されうる。
【0027】
特に好ましい複素環式ラジカルの例には、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル及びベンゾイソキサゾリルがある。
【0028】
不飽和5員複素環の例には、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、フラン、チオフェン及びピロールがある。不飽和6員複素環の例には、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン及び1,2,4−トリアジンがある。
【0029】
好ましい実施形態では、複素環は芳香環である。ヘテロアリール及びヘテロ芳香族は、本明細書において複素環のこのサブセットを指すために使用される。ヘテロアリール環には、フリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−5−オン、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1H−チエノ[2,3−c]ピラゾリル、チエノ[2,3−b]フリル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、テトラゾリル、ウリジニル及びシトシニルがある。
【0030】
さらに好ましいヘテロアリール又はヘテロ芳香族は、イソキサゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、フリル、ピラゾリル、ピリダジニル、チエニル並びにベンズフラニル、ベンゾチオフェニル及びベンゾイソキサゾリルのようなアリール縮合ヘテロ芳香環から選択される。
【0031】
別の好ましい実施形態では、複素環はピロリジン、イミダゾリン、2−イミダゾリドン、2−ピロリドン、ピロリン−2−オン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、オキサゾリン、1,3−ジオキサン、1,4−ピペラジン、モルホリン及びチオモルホリンから成る群から選択される非芳香環である。
【0032】
リンカー基B−Cを含む複素環は少なくとも2個の窒素原子を含むという必要条件をその環が満たし、芳香環系が除外される場合、上記の複素環から選択されうる。
【0033】
別に定義しない限り、本明細書に使用する用語「場合によって置換された」は、ある基が式Iの化合物の結合活性を妨害しない1つ又は複数の置換基を含みうることを意味する。ある場合には、その置換基は結合を向上するために選択されうる。その基は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHヘテロシクリル、−CS(O)1〜6アルキル、−C(Ph)、−(CHZ、−COZ、−CN、−OR、−O−(CH1〜6−R、−O−(CH1〜6−OR、−OCOR、−COR、−COOR、−OCONR’R”、−NR’R”、−NRCOR’、−NRCONR’R”、−NRC(S)NR’R”、−NRSOR’、−NRCOOR’、−C(NR)NR’R”、−CRNOR’、−C(=NOH)NR’R”、−CONR’R”、−C(=NCN)−NR’R”、−C(=NR)NR’R”、−C(=NR’)SR”、−NR’C(=NCN)SR”、−CONRSOR’、−C(S)NR’R”、−S(O)R、−SONR’R”、−SONRCOR’、−OS(O)R、−PO(OR)及び−NOから選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、ここで、pは0〜6であり、tは0〜2であり、Zはアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ピペコリン酸、α−アミノ酪酸、α−アミノプロパン酸及びイミノジ酢酸から成る群から選択されるN−連結アミノ酸であり、Zは前記N−連結アミノ酸の窒素原子を介して炭素原子に連結し、R、R’及びR”のそれぞれは、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール及びC1〜6アルキルヘテロシクリルから独立して選択され、ここで、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール又はC1〜6アルキルヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、−COH、CF、CN、フェニル、NH及び−NOから選択される1から6つの同一物若しくは異なるもので場合によって置換されうるか、又はR’及びR”が同一の窒素原子に結合している場合は、R’及びR”はそれらが結合している原子と一緒になって5員から7員の窒素含有複素環を形成しうる。
【0034】
場合による置換基がアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール若しくはヘテロシクリル基であるか、又はそれを含む場合は、その基は、それ自体で1つから6つの同一又は異なるハロゲン原子、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、(−CFを含めた)ハロ−C1〜6アルキル、フェニル、ベンジル、−CN、−C(O)−C1〜6アルキル、メルカプト、−NH、モノ若しくはジ(低級アルキル)アミノ又は−NOで場合によって置換されうる。
【0035】
別に定義しない限り、窒素含有複素環に関係して、場合によって置換されたものにはピリジニウム塩及び適当な環窒素のN−オキシド形態がある。
【0036】
別に定義しない限り、非芳香族炭素環式又は複素環式化合物に関係して、そのような化合物は上記の場合による置換基の代わりに、又はそれに追加して、1つ又は2つの=O基でも場合によって置換されうる。
【0037】
場合による置換基の例には、ハロゲン、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルキル、−CF、−OH、フェニル、−NH、−NHC1〜4アルキル、−N(C1〜4、−CN、メルカプト、C1〜4アルキルカルボニル及びC1〜4アルコキシカルボニルがある。
【0038】
本明細書に使用する用語「C1〜12アルキル」は、1から12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐した飽和炭化水素基を指す。そのようなアルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルがある。同様に、「C1〜6アルキル」又は「低級アルキル」は、1から6個の炭素原子を有する基を指す。
【0039】
本明細書に使用する用語「C3〜7シクロアルキル」は、3から7個の炭素原子を有する非芳香族飽和環式基を指す。例には、シクロペンチル及びシクロヘキシルがある。
【0040】
本明細書に使用する用語「アルコキシ」は、O連結を介して共有結合している直鎖又は分岐したアルキル基を指し、用語「C1〜6アルコキシ」及び「低級アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシなどのような、1から6個の炭素原子を含む基を指す。
【0041】
本明細書に使用する用語「C2〜12アルケニル」は、1つ又は複数の二重結合を含むC2〜12の直鎖又は分岐した非環式炭化水素から形成された基を指す。C2〜12アルケニルの例には、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソブテニル、1,3−ブタジエニル、3−メチル−2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル及び1,3,5−ヘキサトリエニルがある。
【0042】
本明細書に使用する用語「C4〜7シクロアルケニル」は、4から7個の炭素原子と1つ又は複数の炭素二重結合とを有する非芳香族炭素環を指す。例には、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、シクロヘキセニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル及び1,4−シクロヘキサジエニルがある。
【0043】
本明細書に使用する用語「C2〜12アルキニル」は、1つ又は複数の三重結合、好ましくは1つ又は2つの三重結合を含むC2〜12の直鎖又は分岐した非環式炭化水素を指す。例には、2−プロピニルと、2−ブチニル又は3−ブチニルとがある。
【0044】
用語「アリールC1〜12アルキル」は、先に記載したような炭素環式芳香環又は環系が、これも先に記載したようなC1〜12アルキル基で置換されたものを指す。同様に、用語「アリールC2〜12アルケニル」及び「アリールC2〜12アルキニル」は、先に記載したような炭素環式芳香環又は環系が、先に記載したようなC2〜12アルケニル基又はC2〜12アルキニル基で置換されたものを指す。
【0045】
そのアリール基と、アルキル、アルケニル又はアルキニル基とは、場合によって置換されうる。アリール基は場合によって置換されていないのが好ましい。
【0046】
好ましくは、そのアルキル、アルケニル又はアルキニル基は、場合によって置換されており、さらに好ましくはハロゲン、−CN、−NR’R”、−COR、−COOR又は−CONR’R”から選択される置換基で場合によって置換されている。好ましくは、R、R’及びR”は、水素又は低級アルキルから独立して選択される。
【0047】
本明細書に使用する用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基を指す。
【0048】
本明細書に使用する「ハロアルキル」基は、アルキル基上の1つ又は複数の水素原子がハロゲンで置き換えられたものを有する。例には−CFがある。
【0049】
特に好ましい本発明の化合物には、AがC、N、O及びSから選択される3又は4個の原子の二価連結である化合物がある。その配置では、AとAが結合している原子とが一緒になって5又は6個の環原子を有する芳香環を形成する。連結している原子が全て炭素である場合は、形成した環は炭素環式芳香環又は環系である。連結している原子が1つ又は複数のN、O又はSを含む場合は、形成した環は芳香族複素環である。例には、部分構造
【化7】


が、
【化8】


であるものがある。
【0050】
好ましくは、環Aは場合によって置換されたアリール又はヘテロアリール環であり、さらに好ましくはフェニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル又はピラジニル環であり、最も好ましくはフェニル又はピリジル環である。場合による置換基には、その環窒素原子のN−オキシドがある。
【0051】
芳香環は、好ましくは3つを超えない置換基で場合によって置換されうる。場合による置換基のうち、ハロ、低級アルキル、低級アルキルのハロゲン化形態、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、低級アルキルアミノ、カルボキシ、カルボキサミド、フェニル及びベンジルから選択される1から3個の置換基を使用することが特に好ましい。窒素含有環の窒素原子のN−オキシド形態も好ましい。Aがピリジル環である場合は、環窒素はN−オキシド形態でありうるし、又その環はピリジニウム塩の形態でありうる。
【0052】
B−Cによって形成した複素環に関して、B−Cが結合している原子が原因となって、その用語の意味に関係して先に論じた複素環の全てからこの環を選択できるわけではないことは言うまでもない。この環は、少なくとも2個の窒素原子を含む単環式非芳香族複素環に限られる。この環は追加の複素原子を含む場合があり、部分的に不飽和でありうる。
【0053】
B−Cが1から3個の原子の二価連結を表す化合物が特に好ましい。連結B−Cは、それが結合する原子と一緒になって非芳香族複素環を形成する。例には、部分構造
【化9】


が、
【化10】


であるものが含まれる。
【0054】
本発明の好ましい形態では、B−Cは−CH−(CH)z−を表し、ここで、zは1〜4、さらに好ましくは1,2又は3、さらに好ましくは1又は2であり、最も好ましくはzは1である。
【0055】
連結B−Cを形成している原子は、好ましくは3つを超えない置換基で場合によって置換されうる。広範囲の置換基が可能であり、それらの置換基にはハロ、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、フェニル及びベンジルがある。
【0056】
本発明の好ましい形態には、B−Cが−CHCH−を表す化合物がある。
【0057】
好ましくは、Xは酸素又は硫黄、さらに好ましくはXは酸素である。
【0058】
本発明の実施形態では、縮合環A及び二価の連結B−Cを含む環は、ハロゲン及びC1〜6アルキルから独立して選択される1つ又は2つの置換基で場合によって置換されている。好ましくは、縮合環A及び二価の連結B−Cを含む環は置換されていない。
【0059】
は、場合によって置換されたアリール、アルキル又はヘテロシクリルでありうる。好ましくは、Rは場合によって置換されたアリール又はヘテロシクリル基、さらに好ましくはフェニル、チエニル、ピロリル又はピリジル環である。Rは、−C1〜6アルキルフェニル基でもありうる。Rの環は、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、−NR’R”(ここで、R’及びR”は水素、低級アルキル及び−C(O)Rから独立して選択され、ここで、RはC1〜6アルキル、フェニル又はヘテロシクリルである)、C1〜12アルキル、フェニル及び−O−Rで場合によって置換されていてもよく、ここで、Rは−C1〜12アルキル、−C3〜7シクロアルキル、−C1〜12アルキルC3〜7シクロアルキル、フェニル又は−C1〜12アルキルフェニルであり、そのC1〜12アルキル、フェニル又はR基は、ハロ、−CN、−NR’R”、−COR又は−CONR’R”で場合によって置換されていてもよく、ここで、R、R’及びR”は水素又は低級アルキルから独立して選択される。好ましくは、その環はフェニルであり、パラ位又は4−位で場合によって置換されている。
【0060】
は、C1〜10アルキル鎖で置換された−フェニルでありうる。ここで、そのアルキル鎖はハロ、−CN、−NR’R”、−COR又は−CONR’R”で置換されており、ここで、R、R’及びR”は水素又は低級アルキルから独立して選択される。さらに好ましくは、そのアルキル鎖はフェニル環の4−位にあり、置換基はそのアルキル基の自由端の炭素に結合している。
【0061】
は、ハロ、−C1〜6アルキル、−C1〜6アルキルハロ、−C1〜6アルキルCN、−OC1〜6アルキル、−OC1〜6アルキルハロ、−OC1〜6アルキルCONH、−OC1〜6アルキルCN、−OC1〜6アルキルC3〜7シクロアルキル、−OC1〜6アルキルC、−OC1〜6アルキルOCH、−OC、−OCハロ、−CF、−OCF、−NR’R”(ここで、R’及びR”は水素、−C(O)C1〜6アルキル、−C(O)C、−C(O)CH=CHCOH、−C(O)C1〜6アルキルCOH、−C(O)C1〜6アルキルCOCH、−C(O)C1〜6アルキルC、−C(O)C1〜6アルキルCCH、−C(O)C1〜6アルキルCOCH及び−C(O)C1〜6アルキルCハロから独立して選択される)、−COH、−CO1〜6アルキル、−NO、−OH、−C、−C1〜6アルキル、−Cハロ及び−OC(O)C1〜6アルキルから選択される置換基で場合によって置換されたフェニルでありうる。
【0062】
好ましくは、Rはハロフェニル、最も好ましくは4−クロロフェニルである。
【0063】
が水素である化合物は、本発明の一部を形成しない。これらの化合物は、Rが水素ではない本発明の化合物の製造のための中間体として有用である。
【0064】
好ましくは、Rは非置換−C1〜6アルキルではなく、非置換−C(O)−C1〜6アルキルでもない。
【0065】
が−CH−Rである場合は、Rが−(CHアリール又は−(CHヘテロシクリル(ここで、mは0から3)であることが好ましい。Rはベンジル(m=1)でありうる。その環原子は、広範囲の置換基で場合によって置換されうる。好ましい置換基は、ハロ、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ及びフェニルから選択される。
【0066】
が−C(Y)−Rである場合は、YがOであることが好ましい。Rが−(CHアリール又は−(CHヘテロアリール(ここで、mは0から3)であることも好ましい。Rは、アリール又はヘテロアリール(m=0)であることが特に好ましく、さらに好ましくは5員若しくは6員単環式複素環又は9員若しくは10員二環式複素環又はアリール基である。
【0067】
が−C(Y)CHN(R)R又は−C(Y)CHSRである場合は、Rは好ましくは−(CHアリール又は−(CHヘテロシクリル(mは0から3)である。そのヘテロシクリルは、オキソ基、ヒドロキシ又は低級アルキルでそれ自体置換されうる。
【0068】
さらに好ましくは、Rは、フェニル、ナフチル、フリル、チエニル、ピロリル、H−ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリル、(1,2,3−及び1,2,4−オキサジアゾリルを含めた)オキサジアゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、フラザニル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、(1,2,3−及び1,3,4−トリアゾリルを含めた)トリアゾリル、テトラゾリル、(1,2,3−及び1,3,4−チアジアゾリルを含めた)チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラニル、ピラジニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、1,3,5−トリチアニル、トリアジニル、1H−チエノ[2,3−c]ピラゾリル、チエノ[2,3−b]フリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、イソキノリニル、キノリニル、キノキサリニル、ウリジニル、プリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾトリアジニル、ナフチリジニル又はプテリジニルである。
【0069】
複素環は、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル及びアントラセニルのような炭素環に縮合している場合がある。
【0070】
そのアリール又は複素環式は、広範囲の置換基で、好ましくはC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、シアノ及びモノ又はジ(C1〜6アルキル)アミノで場合によって置換されうる。置換基には、フェニル、ベンジル及びヘテロシクリルもある。
【0071】
最も好ましくは、Rは、フェニル、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル及びベンゾイソキサゾリルから選択される。
【0072】
が−CORである場合は、Rが−フェニルC1〜10アルキルであることも好ましく、ここで、そのアルキルは、ハロ、−CN、−NR’R”、−COR又は−CONR’R”で置換されており、ここで、R、R’及びR”は水素又は低級アルキルから独立して選択される。さらに好ましくは、アルキル鎖はフェニル環の4−位にあり、置換基はアルキル基の自由端の炭素に結合している。
【0073】
が−CON(R)Rである場合は、Rが水素であり、Rが−(CHアリール又は−(CHヘテロアリールであることが好ましい。好ましくは、mは0から2であり、さらに好ましくは0から1である。そのアリール及びヘテロアリールの環原子は、広範囲の置換基で場合によって置換されうる。好ましい置換基には、ハロ、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ及びフェニルがある。
【0074】
本発明の別の好ましい実施形態は、Rが−CORであり、縮合環Aが少なくとも1個の環窒素原子を含む化合物である。
【0075】
本発明が本質的に式Iの化合物に関するとき、Rが非置換フェニルであり、XがOであり、Aがそれの結合する原子と一緒になって非置換フェニル環を形成し、B−Cが−CHCH−である場合は、Rは非置換C1〜6アルキルでも、−C(O)C1〜6アルキルでもないことが好ましい。
【0076】
式Iの化合物及びそのいくつかの誘導体は、少なくとも1つの不斉中心を有することができ、よって1つを超える立体異性形態で存在可能であることが認識されるであろう。本発明は、これらの形態のそれぞれに個別に、及びラセミ体を含めたそれらの混合物に及ぶ。異性体は、クロマトグラフィー法によって、又は分割剤を使用して通常通り分離されうる。或いは、キラル中間体を使用した不斉合成によってその個別の異性体を調製できる。その化合物が少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する場合は、それはZ体及びE体で存在することができ、その化合物の全ての異性体形態は本発明に含まれる。
【0077】
式Iの化合物の塩は、好ましくは薬学的に許容可能であるが、薬学的に許容不能の塩は薬学的に許容される塩の調製での中間体として有用であることから、これらの塩も本発明の範囲内に入ることが認識されるであろう。
【0078】
用語「薬学的に許容される誘導体」には、薬学的に許容されるエステル、プロドラッグ、溶媒和物及び水和物、並びにそれらの化合物又は誘導体の薬学的に許容される付加塩がある。薬学的に許容される誘導体には、薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物又は他の任意の化合物若しくはプロドラッグがありえ、それらは対象に投与した際に式Iの化合物又はその抗ウイルス活性代謝物若しくは残基を(直接又は間接的に)提供可能である。
【0079】
薬学的に許容される塩には、酸付加塩、塩基付加塩、薬学的に許容されるエステルの塩並びに第四級アミン及びピリジニウムの塩がある。酸付加塩は、本発明の化合物と、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、クエン酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、サリチル酸、スルファミン酸又は酒石酸を含めるがそれらに限定されない薬学的に許容される無機酸又は有機酸とから形成される。第四級アミン及びピリジニウムの対イオンには、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、クエン酸、酢酸、マロン酸、フマル酸、スルファミン酸及び酒石酸イオンがある。塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、アンモニウム及びアルキルアンモニウムのような塩があるが、それらに限定されない。また、塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピル及びブチルの塩化物、臭化物、ヨウ化物のような低級アルキルハライド;硫酸ジメチル及び硫酸ジエチルのような硫酸ジアルキルなどのような薬剤で四級化されうる。これらの塩を公知の方法、例えば適当な溶媒の存在下で化合物を適当な酸又は塩基で処理することによって作成できる。
【0080】
本発明の化合物は、結晶形態又は溶媒和物(例えば水和物)でありうるし、両形態は本発明の範囲内であることが意図されている。用語「溶媒和物」は、溶質(本発明では本発明の化合物)及び溶媒によって形成される多様な化学量論の複合体である。そのような溶媒は、溶質の生物学的活性を妨害してはならない。溶媒は、例として水、エタノール又は酢酸でありうる。溶媒和の方法は当技術分野で一般に公知である。
【0081】
用語「プロドラッグ」は、その最も広い意味で使用され、本発明の化合物にin vivoで転換された誘導体を包含する。そのような誘導体は、当業者に容易に思い浮かぶであろうし、その誘導体には、例えば遊離ヒドロキシ基がエステル誘導体に転換されたか、又は環窒素原子がN−オキシドに転換された化合物がある。エステル誘導体の例には、アルキルエステル、リン酸エステル及びアミノ酸、好ましくはバリンから形成されたエステルがある。本発明の化合物のプロドラッグである任意の化合物は、本発明の範囲内及び精神内である。本発明による適当なプロドラッグの調製のための通常の手順は、「プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)」H.Bundgaard編、Elsevier、1985のようなテキストに記載されている。
【0082】
用語「薬学的に許容されるエステル」は、スルホン酸、ホスホン酸及びカルボン酸誘導体のような、本発明の化合物の生物学的に許容されるエステルがある。
【0083】
このように本発明の別の態様では、式Iの化合物のプロドラッグ又は薬学的に許容されるエステルが提供される。
【0084】
本発明の別の態様では、治療有効量の1つ又は複数の前記式Iの抗RSV化合物を、その薬学的誘導体、場合により薬学的に許容される担体又は希釈剤を含めて含む医薬組成物を提供する。
【0085】
別に詳記しない限り、本発明の方法又は使用に関連して用語「処置」又は「処置すること」は、治療上及び予防上の処置の両方を含む。
【0086】
本発明のさらなる態様では、RSV感染の(治療又は予防上の)処置のための薬の調製への式Iの化合物、その塩又は薬学的に許容されるそれらの誘導体の使用が提供される。
【0087】
本発明の別の態様では、処置を必要とする患者に、式Iの薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグのような誘導体、又は少なくとも1つの式Iの化合物を含有する組成物の投与を含めた式Iの化合物の投与によりRSVを処置する方法が提供される。
【0088】
本発明の別の態様では、RSVに感染した哺乳動物及び処置を必要とする哺乳動物を処置するための方法を提供し、その方法は、前記哺乳動物に治療有効量の1つ又は複数の式Iの前記化合物又は薬学的に許容されるそれらの誘導体を投与することを含む。
【0089】
本発明の別の態様では、哺乳動物のRSV感染を予防するための方法を提供し、その方法は、前記哺乳動物に治療有効量の1つ又は複数の式Iの前記化合物又は薬学的に許容されるそれらの誘導体を投与することを含む。
【0090】
RSV、特にヒトRSVを処置することに関連して本発明を説明したが、本発明はニューモウイルス亜科、さらに詳細にはニューモウイルス属及びメタニューモウイルス属の他のウイルス、さらに詳細にはRSV及びメタニューモウイルスの動物及びヒト株の処置にも有用でありうることが認識されるであろう。
【0091】
本発明のさらなる形態では、式Iの化合物の製造のための工程が提供される。これらの化合物は、以下の方法に概説される手順を使用して調製されうる。
【0092】
スキーム1に式IIIの化合物の製造のための一般工程を示す。式IIIの化合物は式Iに類似しているが、RがHである中間体である。
【0093】
式IIIの化合物は、式IIの適当な出発物質を経由して調製されうる。式IIの2−(アロイル)安息香酸及び3−(アロイル)ピリジン−2−カルボン酸の調製のための一般法は、Yamaguchi、M.ら、J.Med.Chem.1993、36、4052〜4060及びNatsugari、H.ら、J.Med.Chem.1995、38、3106〜3120に記載されている。
(スキーム1)
【化11】

【0094】
一般に、式IIの適当なケト酸1当量を一般式HN−B−C−NHの適当なジアミン約3当量と反応させる。得られた混合物をディーンスターク装置を用いてトルエン又はキシレンのような不活性溶媒中で3〜10時間還流しながら加熱する。酸トシラートのような触媒を使用できる。この後に反応物を冷却させ、生成物をろ過し、適当な溶媒で再結晶させる。沈殿が形成しない場合、溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた残渣を再結晶させるか、又はフラッシュクロマトグラフィー若しくは分取用HPLCを使用して精製する。
【0095】
式IIIの化合物を、US4058529、Sulkowski、T.S.ら、J.Org.Chem.1967、32、2180〜2184及びHoulihan、W.J.ら、J.Med.Chem.1975、18、182〜185に記載された方法によっても製造できる。式Iの他の(新規な)化合物を、スキーム2に記載するように式IIIの化合物をアシル化することによって得ることができる。
(スキーム2)
【化12】

【0096】
一方法では、THF中でジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミン2当量を0℃で式IIIの化合物1当量に添加する。酸クロリド又は他のアシル化剤をその混合物に添加し、反応をHPLCによってモニターする。反応が完了したときにその反応を水で止めて、生成物を適当な有機溶媒に抽出し、標準法により作業する。式IIIの化合物1当量を適当な酸クロリド1当量とキシレン中で120℃で1〜24時間反応させることによって類似のアシル化も実施できる。次に、反応物を冷却させて、生成物を単離する。或いは、式IIIの化合物を適当な酸クロリド又は酸無水物約2.2当量とピリジン中で約−5℃で処理してもよい。得られた混合物を室温まで加温させ、2〜24時間撹拌した後に生成物を標準法によって単離する。適当な式IIIの化合物を、適当なカルボン酸(3当量)、TFFH(3.3当量)及びDIEA(3.3当量)でDMF中で処理して45℃で約14日間加熱することによってもアシル化を実現できる。この後に、生成物を標準法で単離する。
【0097】
N−アルキル化及びN−スルホニル化された式Iの化合物は、適当なN−置換ジアミンを使用して最適に得られる。これらを、例えばKruse L.I.ら、J.Med.Chem.1990、33、781〜789に記載された公知の方法によって調製できる。
【化13】


[本発明の概要で先に定義したように、式中、Rは−CHR又は−S(O)である。]
【0098】
よって、クロロベンゼン、トルエン又はキシレンに入れた適当なケト酸(2当量)及びN−置換ジアミン(1当量)を、撹拌装置及びディーンスターク水分離装置を備えるフラスコに入れ、還流しながらさらなる水が分離するのをもはや認めなくなるまで加熱する(1〜8時間)。次に溶媒を蒸留によって除き、残渣を冷却する。得られた残渣を標準法を使用して精製できる。
【0099】
が尿素又はチオ尿素である式Iの化合物を以下の方法を使用して調製する。
【0100】
適当な式IIIの化合物1当量を、適当なイソシアネート又はイソチオシアネート1当量とTHF又はキシレン中で20〜120℃の範囲の温度で1〜24時間反応させる。次に、反応物を冷却させ、生成物をろ過し、洗浄して、適当な溶媒から一般には再結晶させる。沈殿が形成しない場合は、標準的なクロマトグラフィー法を使用して生成物を精製できる。
【0101】
式Iの他の化合物を、存在する置換基の付加、除去又は修飾によって調製できる。Larock R C、ニューヨーク、VCH Publishers、Inc.1989による「総合有機変換:官能基調製の手引き(Comprehensive organic transformations:a guide to functional group preparations)」に記載されているような、当産業で周知である官能基相互転換のための標準技法を使用してこれを実現できるであろう。
【0102】
官能基の相互転換の例には、CHOH中で触媒金属シアニド、例えばNaCN及びHNR’R”の存在下又は非存在下で加熱することによる−COCHからの−C(O)NR’R”;ピリジン中での例えばClC(O)Rを用いた−OHからの−OC(O)R;アルキルイソチオシアネート又はチオシアン酸を用いた−NHRからの−NC(S)NR’R”;クロロギ酸アルキルを用いた−NHRからの−NRC(O)OR’;イソシアネート、例えばHN=C=O又はRN=C=Oを用いた処理による−NHRからの−NRC(O)NRR”;ピリジン中でClC(O)R’で処理することによる−NHRからの−NRC(O)R’;アルコール中で加熱することによるHNROAcを用いた−C(NR’R”)SRからの−C(=NR)NR’R”;不活性溶媒、例えばアセトン中でR−Iを用いた−C(S)NR’R”からの−C(NR’R”)SR;HNR’R”を用いた−C(S)NHからの−C(S)NR’R”(ここで、R’又はR”は水素ではない);無水アルコール中で加熱することによるNHCNを用いた−C(=NR’R”)−SRからの、或いはEtOH中でBrCN及びNaOEtで処理することによる−C(=NH)−NR’R”からの−C(=NCN)−NR’R”;(RS)C=NCNで処理することによる−NHR’からの−NR−C(=NCN)SR;ピリジン中で加熱することによるCISORで処理することによる−NHR’からの−NR”SOR;ローソン試薬[2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフィド]で処理することによる−NR’C(O)Rからの−NR’C(S)R;無水トリフル酸及び塩基を用いた−NHRからの−NRSOCF;Na(Hg)及びHCl/EtOHを用いた−CH(NH)C(O)OR’からの−CH(NH)CHO;SOClの次にCHの次にHO/AgOで処理することによる−C(O)OHからの−CHC(O)OH;PhMgX/HXの次に無水酢酸の次にCrOで処理することによる−CHC(O)OCHからの−C(O)OH;R”COHによるRC(O)R’からのR−OC(O)R’;Na/R’OHを用いた−C(O)OR’からの−CCHOH;Chugaev反応による−CHCHOHからの−CHCH;Curtius反応による−C(O)OHからの−NH;TsCl/塩基の次にHOを用いた−C(O)NHOHからの−NH;Dess−Martinペルヨージナン試薬又はCrO/水性HSO/アセトンを使用することによる−CHCHOHCHRからの−CHC(O)CHR;CrOClを用いた−CCHからの−CCHO;SnCl/HClを用いた−CNからの−CHO;PClを用いた−C(O)NHRからの−CN;N/KOHを用いた−C(O)Rからの−CHRである。
【0103】
反応中に、多数の部分を保護する必要がありうる。適当な保護基は当産業で周知であり、「有機合成における保護基(Protecting Groups in Organic Synthesis)」、Greene T W、Wiley−Interscience、ニューヨーク、1981のような多数の参照に記載されている。
【0104】
スキームI〜II及び実験の部を含めた本明細書に使用されうる略語は、別に述べない限り以下の通りである。
DCM:ジクロロメタン
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMF:ジメチルホルムアミド
Et:エチル
EtOAc:酢酸エチル
Me:メチル
MeOH:メチルアルコール
MS:質量分析
NMR:核磁気共鳴
Ph:フェニル
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
TEA:トリエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
TFFH:フルオロ−N,N,N”,N”−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート
THF:テトラヒドロフラン
TsCl:トシルクロリド
TsOH:トルエンスルホン酸
【0105】
本発明は、薬学的に許容される塩又はプロドラッグを含めて少なくとも1つの式Iの化合物を含有する治療組成物にも関する。
【0106】
その組成物は、VirazoleのようにRSVに関して抗ウイルス活性を有する1つ若しくは複数の他の化合物又はRespiGam若しくはシナジスのような他の薬剤をさらに含有しうる。
【0107】
その組成物は、その疾患の症状を処置するための例えば抗炎症薬のような他の薬剤をさらに含有しうるし、又、それらと組み合わせて投与されうる。
【0108】
用語「組成物」は、通常の担体及び賦形剤を有し、かつ(他の担体を有するか又は有さない)有効成分が封入担体に囲まれているカプセルを得るための担体のような封入物質も有する、有効成分の処方物を包含することを意図する。
【0109】
当業者に容易に分かるように、投与経路及び薬学的に許容される担体の性質は、その状態の性質及び処置される動物に依存するであろう。当業者は、特定の担体又は送達系と投与経路との選択は当業者が容易に決定できると考えられる。その化合物を含有する任意の処方物の調製では、その化合物の活性が工程中に破壊されず、かつその化合物は破壊されることなく作用部位に達することが可能であることを確実にするように注意すべきである。状況によっては、例えばマイクロカプセル形成のように当業界で公知の手段によってその化合物を保護することが必要でありうる。同様に、選択した投与経路は、その化合物が作用部位に達することとなるべきである。
【0110】
医薬組成物又は処方物は、経口、直腸、経鼻、(口腔内及び舌下を含めた)局所、経膣若しくは(筋肉内、皮下及び静脈内を含めた)非経口投与に適したもの又は吸入若しくは吹入による投与に適した形態のものがある。その組成物は、経口若しくは経鼻投与又は吸入若しくは吹入による投与に適した形態で提供されるべきであると想定されている。
【0111】
本発明の化合物は、通常の佐剤、担体又は希釈剤と一緒になって、このように医薬組成物及びその単位投薬の形態にされうるし、錠剤若しくは充填されたカプセル剤のような固形剤又は水剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤若しくはそれを充填されたカプセル剤のような液剤のような全て経口使用のための形態、直腸投与用の坐剤の形態、或いは(皮下を含めた)非経口使用のための注射可能な滅菌水剤の形態が採用されうる。
【0112】
そのような医薬組成物及びその単位投薬形態は、追加の活性化合物又は主薬の存在下又は非存在下で通常の比率で通常の成分を有することができ、そのような単位投薬形態は、採用される目的とする一日投薬範囲に相応の任意の適当な有効量の有効成分を含有しうる。1錠あたり有効成分十(10)ミリグラム又はさらに広く0.1から百(100)ミリグラムを含有する処方物は、したがって適当な代表的な単位投薬形態である。
【0113】
本発明の化合物を、広範囲の経口及び経口投薬形態で投与できる。以下の投薬形態は、活性構成要素として本発明の化合物又は本発明の化合物の薬学的に許容される塩のいずれかを有しうることが当業者に明らかであろう。
【0114】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は固形又は液体のいずれかでありうる。固形調製物には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤及び可欠顆粒剤がある。固形担体は、希釈剤、着香料、溶解補助剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤又は封入物質としても作用しうる1つ又は複数の物質でありうる。
【0115】
散剤では、担体は微粉化された活性構成要素と混合している微粉化された固体である。
【0116】
錠剤では、活性構成要素は適当な比率で必要な結合能を有する担体と混合され、所望の形状及びサイズに圧縮されている。
【0117】
散剤及び錠剤は、5又は10から約70パーセントの活性化合物を好ましくは含有する。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ろう、カカオ脂などである。用語「調製」は、担体を有するか又は有さない活性化合物が担体に囲まれており、よってその活性化合物が担体に関連しているカプセルを提供している、担体のような封入物質との活性化合物の処方物を包含することを意図する。同様に、カシェ剤及びトローチ剤も含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びトローチ剤を、経口投与に適した固形形態として使用できる。
【0118】
坐剤の調製のために、脂肪酸グリセリド又はカカオ脂との混合のような低融点ろうをまず融解し、撹拌によるように活性構成要素をその中に均一に分散させる。次に、融解した均一混合物を好都合なサイズの型に注ぎ、冷却させることによって固化させる。
【0119】
経膣投与に適した処方物は、適していることが当業界で公知であるような担体を有効成分に追加して含有するペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、パスタ剤、泡沫剤又は噴霧剤として提示されうる。
【0120】
液体形態の調製物には、水剤、懸濁剤及び乳剤、例えば水溶液又は水−プロピレングリコール溶液がある。例えば非経口注射用液体調製物を水性ポリエチレングリコール溶液に溶かした溶液として処方できる。
【0121】
滅菌液体形態組成物には、滅菌した水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤及びエリキシル剤がある。有効成分を、滅菌水、滅菌有機溶媒又はそれら両方の混合物のような薬学的に許容される担体に溶解又は懸濁できる。
【0122】
このように、本発明による組成物を(例えば注射、例としてボーラス注射又は連続点滴による)非経口投与用に処方することができ、これらの組成物はアンプル、プレフィルドシリンジ、少量点滴に入った単位量形態又は保存料を添加した多用量容器で提示されうる。これらの組成物は、油性又は水性ビヒクルに入った懸濁剤、水剤又は乳剤のような形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤のような処方化用の薬剤を含有しうる。或いは、有効成分は、滅菌した固体の無菌的単離又は溶液からの凍結乾燥により得られた、適当なビヒクル、例えば滅菌した無発熱物質の水で使用前に構成するための粉末形態でありうる。
【0123】
注射可能な使用に適した医薬形態には、滅菌した注射可能な溶液又は分散物、及び注射可能な滅菌溶液の即時調製用の滅菌粉末がある。それらの形態は、製造及び保存条件で安定でなければならず、酸化及び、細菌又は真菌のような微生物の汚染作用から保護されうる。
【0124】
当業者は、通常の手順を使用して本発明の化合物に適した処方物を容易に決定できる。好ましいpH範囲及び適当な賦形剤、例えば抗酸化剤の同定は当業界で日常的である(例えばClelandら、1993を参照のこと)。緩衝系は所望の範囲のpH値をもたらすために日常的に使用され、緩衝系にはカルボン酸緩衝液、例えば酢酸、クエン酸、乳酸及びコハク酸緩衝液がある。BHTのようなフェノール化合物又はビタミンEを含めた多様な抗酸化剤、メチオニン又は亜硫酸塩のような還元剤及びEDTAのような金属キレート剤がそのような処方物に利用可能である。
【0125】
注射可能な溶液又は分散物のための溶媒又は分散媒は、その化合物のための任意の通常の溶媒系又は担体系を含有しうるし、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液状ポリエチレングリコールなど)、それらの適当な混合物及び植物油を含有しうる。例えばレシチンのようなコーティング剤の使用、分散物の場合は必要な粒子径の維持、及び界面活性剤の使用により、妥当な流動性を維持できる。多様な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの包含により微生物の作用の予防を必要に応じて引き起こすことができる。多くの場合で、浸透圧を調整するための薬剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを包含させることが好ましいであろう。好ましくは、注射用の処方物は血液と等張であろう。注射可能な組成物の吸収延長は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンをその組成物に使用することによって引き起こすことができる。注射可能な使用に適した医薬形態を、静脈内、筋肉内、脳内、髄腔内、硬膜外注射又は点滴を含めた任意の適当な経路によって送達できる。
【0126】
注射可能な滅菌溶液は、適当な溶媒に必要量の活性化合物を、必要に応じて上に列挙したものなどの種々の他の成分と共に混和し、その後、ろ過滅菌を行うことによって調製される。一般に、分散物は基本分散媒と、上に列挙したものからの必要となる他の成分とを含有する滅菌したビヒクルに、多様な滅菌した有効成分を混和することによって調製される。注射可能な滅菌溶液の調製用の滅菌粉末の場合は、好ましい調製方法は、有効成分と任意の追加の所望の成分との溶液を予めろ過滅菌したものの減圧乾燥又は凍結乾燥である。
【0127】
有効成分が適当に保護された場合は、それらの有効成分を例えば不活性希釈剤又は同化性可食担体と共に経口投与できるし、又、それをゼラチン硬カプセル又は軟カプセルで被包することができ、又、圧縮して錠剤にでき、又、食事の食物に直接混和できる。治療用の経口投与のために、活性化合物を賦形剤と混和して、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、オブラートなどの形態で使用できる。そのような組成物及び調製物は、活性化合物の少なくとも1重量%を好ましくは含有する。組成物及び調製物の百分率は、もちろん多様でありうるし、好都合には単位の重量の約5から約80%の間でありうる。治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、適当な投薬量を得るのに十分であるべきである。
【0128】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは、以下に挙げるような構成要素も含有しうる。ゴム、アラビアゴム、トウモロコシデンプン又はゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルギン酸などのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;及びショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味料又はペパーミント、ウインターグリーン油若しくはサクランボ香料のような着香料を添加できる。投薬単位形態がカプセルである場合は、それは上記の種類の物質に追加して液体担体を含有しうる。
【0129】
多様な他の物質がコーティングとして、又はさもなければ投薬単位の物理的形態を変更するために存在しうる。例えば、錠剤、丸剤又はカプセル剤をシェラック、糖又はそれら両方で被覆できる。シロップ剤又はエリキシル剤は、活性化合物、甘味料としてショ糖、保存料としてメチル及びプロピルパラベン、色素及びサクランボ又はオレンジ香料のような着香料を含有しうる。もちろん、任意の投薬単位剤形の調製に使用する任意の物質は薬学的に純粋であり、採用した量で実質的に無毒であるべきである。さらに、腸管の特異的領域に活性ペプチドを特異的に送達可能にするものを含めた持続放出調製物及び処方物に、活性化合物(類)を混和できる。
【0130】
水に活性構成要素を溶解させて、所望により適当な着色料、着香料、安定化剤及び粘稠化剤を添加することによって、経口使用に適した水溶液を調製できる。
【0131】
天然若しくは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又は他の周知の懸濁化剤のような粘性物質を有する水に微粉化した活性構成要素を分散することによって経口使用に適した水性懸濁剤を作成できる。
【0132】
薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤には、任意及び全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤などがある。医薬活性物質に対するそのような媒質及び薬剤の使用は、当業界で周知である。任意の通常の媒質又は薬剤が有効成分と不適合性である場合を除き、治療用組成物へのそれらの使用が考えられている。補足の有効成分もその組成物に混和できる。
【0133】
使用直前に経口投与用の液体形態の調製物に転換することを意図した固形調製物も含まれる。そのような液体形態には、水剤、懸濁剤及び乳剤がある。これらの調製物は、活性構成要素に追加して着色料、着香料、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、粘稠化剤、可溶化剤などを含有しうる。
【0134】
表皮への局所投与のために、本発明に記載の化合物を軟膏剤、クリーム剤若しくはローション剤として、又は経皮貼付剤として処方できる。軟膏剤及びクリーム剤は、適当な粘稠化剤及び/又はゲル化剤の添加を伴う水性又は油性基剤を用いて例えば処方されうる。ローション剤は、水性又は油性基剤を用いて処方されうるし、1つ又は複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、粘稠化剤又は着色料も一般に含有するであろう。
【0135】
口内局所投与に適した処方物には、普通はショ糖とアラビアゴム又はトラガカントとである香味を有する基剤中に活性薬剤を有するトローチ剤;ゼラチンとグリセリン又はショ糖とアラビアゴムとのような不活性基剤中に有効成分を有するパステル剤;並びに適当な液体担体に有効成分を有する洗口剤がある。
【0136】
水剤又は懸濁剤は、通常の手段により、例えばスポイト、ピペット又はスプレーを用いて鼻腔に直接適用される。その処方物は、単回量又は多回量形態で用意されうる。後者の場合のスポイト又はピペットでは、患者が適当な所定体積の水剤又は懸濁剤を投与することによってこれを実現できる。スプレーの場合は、例えば計量噴霧スプレーポンプによってこれを実現できる。経鼻送達及び鼻での保持を改善するために、本発明に記載の化合物をシクロデキストリンで封入でき、又、鼻粘膜での送達及び保持を増大すると予想される他の薬剤と共に処方できる。
【0137】
呼吸器への投与は、有効成分が例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン若しくはジクロロテトラフルオロエタンのようなクロロフルオロカーボン(CFC)、二酸化炭素又は他の適当な気体のような適当な噴霧剤を有する加圧パックの中に用意されるエーロゾル処方によっても達成されうる。エーロゾルは、レシチンのような界面活性剤も通常は含有しうる。薬物の用量は、計量バルブの提供により制御されうる。
【0138】
或いは、有効成分は乾燥した粉末、例えば乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなデンプン誘導体及びポリビニルピロリドン(PVP)のような適当な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形態で用意されうる。通常は、その粉末担体は鼻腔内でゲルを形成するであろう。その粉末組成物は、例えばゼラチンの例えばカプセル若しくはカートリッジに入った、又はインヘラーにより粉末が投与されうるブリスターパックに入った単位量形態で提示されうる。
【0139】
鼻腔内処方物を含めた呼吸器への投与を意図した処方物では、その化合物は例えば5から10ミクロン以下のオーダの小さな粒子径を一般に有するであろう。そのような粒子径を、当業界で公知の手段、例えば微粒子化によって得ることができる。
【0140】
所望により、有効成分の持続放出を得るために適合した処方物を採用できる。
【0141】
医薬製剤は、好ましくは単位投薬量形態である。そのような形態では、その製剤は適量の活性構成要素を含有する単位量に再分割される。単位投薬形態はパッケージされた調製物でありえ、そのパッケージは、バイアル又はアンプルに入ったパッケージされた錠剤、カプセル剤及び散剤のような別個の量の調製物を含有する。また、単位投薬形態は、それ自体カプセル剤、錠剤、カシェ剤又はトローチ剤でありえるし、又、その形態はパッケージされた形態の適当な数の任意のこれらでありうる。
【0142】
投与の容易さ及び投薬の均一性のために投薬単位形態に非経口組成物を処方することは特に有利である。本明細書に使用する投薬単位形態は、処置される対象に関する単位投薬量として適する物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる薬学的担体に関連して所望の治療効果を生むと計算された所定量の活性物質を含有する。本発明の新規な投薬単位形態の明細は、(a)活性物質の独特の性質及び達成される特定の治療効果並びに(b)本明細書に詳細に開示するように身体健康が損なわれている疾患状態を有する生きた対象での疾患を処置するためにそのような活性物質を調合するという、当業界で固有の限界によって指令され、それらに直接依存する。
【0143】
本発明は、担体の不在下でのそれらの化合物も含み、ここで、その化合物は単位投薬形態である。
【0144】
投与される式Iの化合物の量は、化合物の活性及び処置される疾患に応じて1日あたり約10mgから2000mgの範囲でありうる。
【0145】
鼻腔内投与用の液剤又は散剤、経口投与用の錠剤又はカプセル剤、及び静脈内投与用の液剤は、好ましい組成物である。
【0146】
実験データ
Bruker Avance DRX400、AC200又はAM300スペクトロメータのいずれかでH NMRスペクトルを記録した。残留した溶媒ピークを参照として使用してCDCl、d−アセトン、CDOD又はd−DMSOでスペクトルを記録した。多重度を割り当てるために、s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、m(多重項)及び接頭辞b(ブロード)という変換を使用して化学シフトを百万分率(ppm)で表したδスケールで報告する。Micromass Platform QMS又はFinnigan LCQ Advantageスペクトロメータのいずれかでマススペクトル(ESI)を記録した。40〜63μmのシリカゲル60(Merck9385番)でフラッシュクロマトグラフィーを行った。Waters600ポンプ、Waters717オートサンプラー及びWaters490E UV検出器を用いて分析用HPLCを実施した。Gilson215リキッドハンドラー及びHP1100PDA検出器を備えるGilson322ポンプを用いて分取用HPLCを実施した。両HPLCシステムは、アセトニトリル又は0.06%TFA水溶液を含有するアセトニトリル又は0.1%TFAを含有する水のいずれかを使用したPhenomonexC8(2)カラムを採用した。
【0147】
方法A
式IIの適当なケト酸1当量を一般式HN−B−C−NHの適当なジアミン約3当量と反応させる。得られた混合物をトルエン又はキシレンのような不活性溶媒中で還流下で3〜10時間ディーンスターク装置を用いて加熱する。酸トシレートのような触媒を使用できる。この後で反応物を冷却させて、生成物をろ過して適当な溶媒で再結晶させる。沈殿が形成しない場合、溶媒を減圧蒸発させ、残渣を再結晶させるか、又はフラッシュクロマトグラフィー若しくは分取用HPLCを使用して精製する。
【0148】
化合物1
【化14】


2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸及びエチレンジアミンを採用して方法Aを用いて化合物1を調製した。
【化15】

【0149】
化合物2
【化16】


2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸及び1,3−ジアミノプロパンから方法Aを用いて化合物2を調製した。
【化17】

【0150】
化合物7
【化18】


2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸及び1,4−ジアミノブタンから方法Aを用いて化合物7を調製した。
【化19】

【0151】
式IIIの化合物を形成させるための方法は、US4058529;Sulkowski、T.S.ら、J.Org.Chem.1967、32、2180〜2184及びHoulihan、W.J.ら、J.Med.Chem.1975、18、182〜185に記載された方法に基づく。
【0152】
方法B
THF中でジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミン2当量を式IIIの化合物1当量に0℃で添加する。酸クロリド又は他のアシル化剤をその混合物に加え、反応をHPLCでモニターする。反応が完了したときにその反応を水で止めて、生成物をEtOAcに抽出する。そのEtOAcを次に水性飽和NHCl:水の1:1溶液、飽和水性NaCO:水の1:1溶液及び飽和水性NaCOで洗う。そのEtOAcを脱水し(NaSO)、溶媒を減圧蒸発させて、残渣を結晶化するか、又はEtOAc/ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィー若しくは分取用HPLCによって精製するかのいずれかとする。
【0153】
方法C
キシレン中で適当な式IIIの化合物1当量を適当な酸クロリド1当量と120℃で1〜24時間反応させる。次に、反応物を冷却させて、生成物をろ過し、適当な溶媒で再結晶させる。沈殿が形成しない場合、その反応物をフラッシュクロマトグラフィー又は分取用HPLCを使用して精製する。
【0154】
方法D
Kruse L.I.ら、J.Med.Chem.1990、33、781〜789に概説された手順によりN−アルキル化ジアミンを調製できる。
【0155】
クロロベンゼン、トルエン又はキシレンに溶かした適当なケト酸(2当量)及びN−置換ジアミン(1当量)を、スターラー及びディーンスターク水分離装置を備えるフラスコに入れる。それ以上水の分離が見られなくなるまで(1〜8時間)得られた混合物を還流し、それから溶媒を蒸留して除き、残渣を冷却した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー又は分取用HPLCを使用して精製する。
【0156】
方法E
THF又はキシレン中で適当な式IIIの化合物1当量を適当なイソシアネート又はイソチオシアネート1当量と20〜120℃の範囲の温度で1〜24時間反応させる。次に、反応物を冷却させて生成物をろ過し、洗浄し、適当な溶媒で再結晶させる。沈殿が形成しなかった場合、得られた反応物をフラッシュクロマトグラフィー又は分取用HPLCを使用して精製した。
【0157】
化合物12
【化20】


化合物1及び4−フルオロベンゾイルクロリドを使用して方法Cを使用して化合物12を調製した。
【化21】

【0158】
化合物13
【化22】


化合物1及びベンゾイルクロリドを使用して方法Cを使用して化合物13を調製した。
【化23】

【0159】
化合物23
【化24】


2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸及びN−ベンジルエチレンジアミンから方法Dを使用して化合物23を調製した。
【化25】

【0160】
化合物24
【化26】


2−ベンゾイル安息香酸及びN−ベンジルエチレンジアミンから方法Dを使用して化合物24を調製した。
【化27】

【0161】
化合物25
【化28】


2−(4−トルオイル)安息香酸及びN−ベンジルエチレンジアミンから方法Dを使用して化合物25を調製した。
【化29】

【0162】
化合物106
3−ブロモ−(4−クロロベンゾイル)安息香酸及びエチレンジアミンを採用して方法Aを使用して化合物106を調製した。
【化30】

【0163】
化合物107
4−ブロモ−(4−クロロベンゾイル)安息香酸及びエチレンジアミンを採用して方法Aを使用して化合物107を調製した。
【化31】

【0164】
方法F
DME/H2O(93:7)中でボロン酸又はボロン酸エステル2当量と、NaCO5当量と、パラジウム炭素(触媒)又は[PdCl(dppf)](ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物)0.1当量とを、適当なブロモ置換した式IIIの化合物に加える。反応物を50℃に1〜4時間加熱する。次に、反応物を冷却し、ろ過して、減圧蒸発させて固形又は油状残渣を得る。次に、その残渣を再結晶させるか、又はEtOAc/ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィー若しくは分取用HPLCにより精製するかのいずれかとする。
【0165】
方法G
トルエン中でボロン酸又はボロン酸エステル3当量と、KCO6当量と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.3当量とを適当なブロモ置換した式IIIの化合物に加える。反応物を100℃に1〜24h加熱する。次に、反応をCHClで止めて、水で洗浄する。CHCl層を脱水して(NaSO)、減圧蒸発させて固形又は油状残渣を得る。次に、その残渣を再結晶させるか、又はEtOAc/ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィー若しくは分取用HPLCにより精製するかのいずれかとする。
【0166】
方法H
酸クロリド若しくは酸無水物又はイソシアネート若しくはイソチオシアネート(2.2当量)を液体については直接、固体についてはピリジン溶液(約1M)として、適当な式IIIの化合物のピリジン溶液(0.1mmol)(500μL)に−5℃で加える。得られた反応物を撹拌し、出発物質が消滅してしまう2〜24時間の間に室温まで加温させる。その後に反応物を水で希釈してCHCl(3×)で抽出する。合わせたCHCl抽出物を1N NaOH(3×)及び10%HCl(3×)で洗浄する。塩基性生成物の場合は酸洗浄液を省き、酸性生成物の場合は塩基洗浄液を省く。中性又は塩基性生成物に関して、カーボネート樹脂(MP−カーボネート約3当量)の存在下で合わせたCHCl抽出物を0.5〜12時間撹拌することによって、粗生成物の純度は顕著に向上する。CHCl抽出物を脱水し(MgSO)、溶媒を減圧蒸発させる。その後、EtOAc/ヘキサン溶媒系を使用したフラッシュクロマトグラフィーによって粗生成物を精製する。
【0167】
化合物120
化合物107及び4−トリルボロン酸を採用して方法Fを使用して化合物120を調製した。
【化32】

【0168】
化合物132
化合物107及びn−ブチルボロン酸を採用して方法Gを使用して化合物132を調製した。
【化33】

【0169】
方法I
適当なカルボン酸(3当量)及びTFFH(3.3当量)の混合物を窒素下で無水DMF(0.25M)及びDIEA(3.3当量)に懸濁した。得られた混合物を45℃で30分間加熱した。この溶液を窒素下で適当な式IIIの化合物(1当量)に加えて45℃で14日間加熱した。反応混合物を10mL容試験管に移し、CHCl(2mL)で希釈した。有機相を10%クエン酸(2mL)、飽和水性NaHCO(2mL)で洗浄して、蒸発乾固させた。得られた残渣を、溶離液として0.4%メタノール/CHClを用いてシリカによるフラッシュクロマトグラフィーで精製して所望の生成物を単離した。
【0170】
方法J
本方法は、Coperet、C.ら、J.Org.Chem.、1998、63、1740〜1741に記載された方法を適応したものである。室温でCHCl(過酸化水素溶液の用量の4倍)に溶かした適当な式I又は式IIIの化合物のいずれか(1当量)と、2.5mol%三酸化レニウムとの溶液に30%過酸化水素(10当量)を加えた。得られた混合物を一晩撹拌し、その後その混合物を水で希釈してさらに30分間撹拌した。この後に、CHClを分離して水層をCHCl(2×)でさらに抽出した。合わせた抽出物を脱水し、溶媒を減圧蒸発させて所望の生成物を得、その生成物を必要に応じ結晶化又はクロマトグラフィーによって精製した。
【0171】
方法K
方法Hを使用して、適当な式Iの基質(ここで、R=6−フルオロニコチノイル又は6−クロロニコチノイル)を製造した。この基質に過剰の適当なアミンを加えた。密封容器に入れたTHF又はエタノールのような適当な溶媒中でその混合物を約150℃で1〜5時間(又は求核剤がヒドラジンの場合は60℃で72時間)加熱した。この後に溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー又は分取用HPLCを使用して精製した。
【0172】
方法L
適当な式IIIのフェノール化合物を方法Hによりアシル化した。次に、最少量のメタノールに生成物を溶解させ過剰の水性1M NaOHで周囲温度で処理することによってエステルの加水分解を行った。次に、反応混合物を酸性にして、ジクロロメタンで抽出してフラッシュクロマトグラフィーで精製して式Iのフェノール化合物を得た。
【0173】
所望により、B.S.Furnissらによる「Vogelの実用有機化学テキスト(Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry)」、Harlow、Longman Scientific & Technical、1989又はMitsunobu、O.Synthesis 1981、1に記載されている技法のような当産業で公知の標準的な技法を使用して、このフェノールからフェニルエーテルへの転換が行われた。その後、フラッシュクロマトグラフィー又は分取用HPLCを使用して粗生成物を精製した。
【0174】
化合物239
【化34】


方法Lを使用して9b−(4−ヒドロキシフェニル)−1,2,3,9b−テトラヒドロイミダゾ[2,1−a]イソインドール−5−オンから化合物239を調製した。方法Hにより4−フルオロベンゾイルクロリドを用いてテトラヒドロイミダゾイソインドロンをビス−アシル化して、結果として生じたフェノールエステルの官能基を塩基性加水分解によりフェノールに転換した。次に得られた生成物をアセトン中でクロロアセトニトリル及びKCOで処理して、30時間加熱還流してフェニルエーテルである化合物239を得た。
【化35】

【0175】
方法M
本方法は、Rが2−ハロエタノイルを表す場合にRの求核置換を伴う。適当な式Iの化合物(R2=COCH2Br)(1当量)及び適当なアミン(3当量)の溶液又は懸濁液を室温で3日間放置した。その混合物を蒸発乾固させ、残渣を30%アセトニトリル/水で凍結乾燥して、結果として生じた粗生成物を分取用HPLCで精製した。
【0176】
方法N
化合物153を調製するために本方法を使用した。
【化36】


クロロベンゼン(1.2l)に入れた3,4−ピリジン無水物(1.31mol)の懸濁液を撹拌したものに塩化アルミニウム(2.88mol)をRTで加えて橙色懸濁液を得て、110℃で5時間加熱した。得られた混合物を冷却して水(2l)で慎重に加水分解して、1時間加熱還流し、熱いうちにろ過し、乾燥させて褐色固体を得た。得られた固体を水(3.5l)に懸濁して、10%NaOH溶液(350ml)で塩基性にした。得られた溶液をろ過し、2N HClでpH=3.1に酸性化した。形成した沈殿をろ過してエタノール(2l)で還流して白色固体(67g)を得た。この物質を10%NaOH(400ml)に溶かし、2N HClでpH6.3に酸性化してろ過し、白色固体として3−(4−クロロ−ベンゾイル)−イソニコチン酸(53g)を得た。
【化37】

【0177】
3−(4−クロロ−ベンゾイル)−イソニコチン酸(53g)及びエチレンジアミン(67.7ml)をキシレン(1.8l)中で4時間還流した。得られた溶液を熱いうちにろ過し、ろ液を減圧下で蒸発させて黄色固体(58g)を得た。この物質をエタノールで再結晶させて白色固体として化合物153(46.4g)を得た。
【化38】

【0178】
上記の方法を使用して下記の表1から3に記載した化合物を製造した。表に示した全ての化合物が得られた。これらの表は、化合物の参照番号、構造、(計算値ではない)観測された質量数及びその化合物を製造するために使用した(対応する多様な出発物質に基づく)方法を表示している。*の印を付けた2つの化合物については観測した質量数を記載していない。
【0179】
表1:式IIIの化合物(中間体)
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】


【表1−4】


【表1−5】


【表1−6】

【0180】
表2:本発明の(Aがアリールである式Iの)化合物
【表2−1】


【表2−2】


【表2−3】


【表2−4】


【表2−5】


【表2−6】


【表2−7】


【表2−8】


【表2−9】


【表2−10】


【表2−11】


【表2−12】


【表2−13】


【表2−14】


【表2−15】


【表2−16】


【表2−17】


【表2−18】


【表2−19】


【表2−20】


【表2−21】


【表2−22】


【表2−23】


【表2−24】


【表2−25】


【表2−26】


【表2−27】


【表2−28】

【0181】
表3:本発明の(Aがヘテロアリールである式Iの)化合物
【表3−1】


【表3−2】


【表3−3】


【表3−4】


【表3−5】


【表3−6】


【表3−7】


【表3−8】


【表3−9】


【表3−10】


【表3−11】


【表3−12】


【表3−13】


【表3−14】


【表3−15】


【表3−16】


【表3−17】


【表3−18】


【表3−19】

【0182】
方法O:キラルクロマトグラフィーによる立体異性体の分離
キラル固定相を有するクロマトグラフィー用カラムを使用したHPLCで、選択された本発明の化合物を単一の立体異性体に分離できる。例えば下記のラセミ化合物を、下記に詳記した条件でエナンチオマーに分離した。
カラム:Chirex3014(Chirex(S)−VAL及び(R)−NEA))250×10.0mm
検出波長:220nm
【0183】
化合物12の分離
移動相A:ヘキサン
移動相B:イソプロパノール
流速:4mL/分
均一濃度溶離:93%移動相A、7%移動相B
測定時間:20分
カラム温度:35℃
注入容量:20μl
【0184】
化合物188の分離
移動相A:ヘキサン
移動相B:イソプロパノール
流速:4mL/分
均一濃度溶離:93%移動相A、7%移動相B
測定時間:26分
カラム温度:35℃
注入容量:15μ1
【0185】
化合物306の分離
移動相A:ヘキサン
移動相B:エタノール
流速:4mL/分
カラム温度:25℃
注入容量:20μl
【0186】
勾配の時間の表:
【表4】

【0187】
化合物336の分離
移動相A:ヘキサン
移動相B:イソプロパノール
流速:4mL/分
均一濃度溶離:93%移動相A、7%移動相B
測定時間:50分
カラム温度:35℃
注入容量:25μl
【0188】
化合物352の分離
移動相A:ヘキサン
移動相B:エタノール
流速:4mL/分
カラム温度:25℃
注入容量:15μl
【0189】
勾配の時間の表:
【表5】

【0190】
化合物363の分離
移動相A:ヘキサン
移動相B:イソプロパノール
流速:4mL/分
カラム温度:50℃
注入容量:15μl
【0191】
勾配時間の表:
【表6】

【0192】
化合物368の分離
移動相A:ヘキサン
移動相B:エタノール
流速:4mL/分
カラム温度:25℃
注入容量:15μl
【0193】
勾配時間の表:
【表7】

【0194】
化合物381の分離
移動相A:ヘキサン
移動相B:エタノール
流速:4mL/分
カラム温度:30℃
注入容量:20μl
【0195】
勾配時間の表:
【表8】

【0196】
化合物414の分離
移動相A:ヘキサン
移動相B:エタノール
流速:4mL/分
均一濃度溶離:92%移動相A、8%移動相B
測定時間:25分
カラム温度:40℃
注入容量:20μl
【0197】
表4:Chirex3014カラムを用いたエナンチオマーの分離
【表9】


カラム:Chiracel OD−H(250mm×4.6mm)
均一濃度溶離:ヘキサン:エタノール(70:30)
検出波長:254nm
流速:0.7m1/分
注入容量:20μl
カラム温度:25℃
【0198】
表5:Chiracel OD−Hカラムを用いたエナンチオマーの分離
【表10】

【0199】
方法P:ジアステレオマー塩の形成によるIII型の化合物の分割
エタノール(90ml)中の化合物153(1.0g、3.5mmol)及び(R)−(−)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイルリン酸水素(0.85g、2.44mmol、0.7当量)の混合物を透明な溶液が形成するまで還流した。15分後に、得られた混合物を室温まで1時間かけて冷却させてから、氷冷しながら1.5時間撹拌し続けた。得られた白色結晶の塩をろ過し、エタノール(5ml)ですすぎ、吸引しながら30分間乾燥させて塩1.09gを得た。
【0200】
得られた白色の塩を水(25ml)に懸濁して10%NaOH溶液(0.7ml)でpH11まで塩基性にした。その水相を酢酸エチル(100mlの次に2×75ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaCl溶液で洗浄して、脱水(MgSO)して、濃縮して白色粉末として化合物153B(0.49g)を得た。
【0201】
(R)−(−)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイルリン酸水素を酸性化した水層(pH2)から酢酸エチル(2×100ml)で抽出することによって回収した。合わせた有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、脱水し(MgSO)、濃縮して白色粉末(0.54g)をもたらした。
【0202】
抗RSVウイルスアッセイ
方法Q:抗RSVウイルスアッセイのプロトコル
呼吸器合胞体ウイルスに対する抗ウイルス活性について本発明の化合物を検査した。細胞変性効果(CPE)アッセイは、本質的に文献(例えばWatanabeら、J.Virological Methods、1994、48、257)に記載されているように行った。アッセイ培地で被験化合物の系列希釈を行った。HEp2細胞(細胞1.0×10個/ウェル)に低感染多重度(例えばRSV A2ではmoi0.01)でRSVを感染させて、抗ウイルス活性を評価する培養物に100μLを加え、ウイルスを有さない細胞を化合物の細胞毒性を評価する培養物に加えた。アッセイ物を5%CO雰囲気中で37℃で約5日間インキュベートした。CPEの程度を、生存測定用色素3−(4,5−ジメチルチアキソール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)の代謝により決定した。MTTの3mg/mlの保存液をアッセイ培地で作成して、100μLを各ウェルに加え、MTTの終濃度を1mg/mlにした。37℃で2時間インキュベートした後に、培地−MTT溶液を除去し、イソプロパノール200μLを加えて生存測定用色素の結晶を溶かした。プレートを振盪して、540nmで吸光度を読み取った。CPEを50%阻害した化合物濃度(EC50)及び50%に細胞毒性を発現した化合物濃度(CC50)をExcelの曲線あてはめプログラムを使って計算した。
【0203】
RSV A2に対する本発明の化合物の代表的なデータを表6〜8に示す。表中、EC50値は、A:<100ng/ml、B:100〜250ng/ml及びC:250〜1000ng/mlの範囲にある。
【0204】
表6:表2の化合物に関する抗RSV A2ウイルスデータ
【表11−1】


【表11−2】

【0205】
表7:表3の化合物に関する抗RSV A2ウイルスデータ
【表12−1】


【表12−2】

【0206】
表8:表4及び5の化合物(Bエナンチオマー)に関する抗RSV A2ウイルスデータ
化合物番号 活性の範囲
12B A
188B B
306B A
336B A
352B A
363B A
368B A
381B A
414B A
【0207】
方法R:RSVの融合アッセイ
選択された本発明の化合物が呼吸器合胞体ウイルスの必須の融合過程を阻害する能力についてそれらの化合物を検査した。
【0208】
RSV−F構築体の産出
最適なコドンを組み込み、潜在的なポリ(A)付加もスプライス部位も有さないRSV A2のF糖タンパク質の部分をコードする一本鎖合成DNAオリゴヌクレオチドを合成的に産出した(Masonら、WO0242326)。その特許及びMortonら、Virology、2003、311、275に記載された方法に本質的にしたがって、膜アンカー型完全長Fを産出した。
【0209】
合胞体形成アッセイ
Mortonら、Virology、2003、311、275に記載されている方法に本質的にしたがって、RSV−F構築体の融合活性を293細胞を用いて測定した。例えば、CaPO溶液中に対象となる構築体を保有するプラスミドDNA(2μg/ウェル)を4時間添加することによって、6ウェルプレートに入った集密度約80%の細胞にトランスフェクトした。グリセロールショック及び洗浄の後で、トランスフェクトした細胞をトリプシン処理して、細胞1.5×10個/ウェルを、被験化合物の対数半目盛りの系列希釈を含有する96ウェルプレートに加えた。目視観察で合胞体の形成を評価し、CellTiter96One溶液(Promega)20μLを添加してから37℃で4時間インキュベートすることによりトランスフェクションの48時間後に定量した。次に、各ウェルに10%SDS25μLを添加することにより、発色反応を停止させ、吸光度を492nmで測定した。未処理対照培養物に対して吸光度を50%減少させる化合物濃度(EC50)をExcelの曲線あてはめプログラムを使って計算した。
【0210】
本発明の化合物についての代表的なデータを表9に示す。表中、EC50値はA:<750ng/ml、B:750〜1500ng/ml及びC:1500〜2250ng/mlの範囲にある。
【0211】
表9:RSV融合アッセイのデータ
【表13】

【0212】
方法S:RSVのコットンラットモデル
文献(Wydeら、Antiviral Res.2003、60、221)に本質的に記載されているようにコットンラットモデルを行った。簡潔には、体重50〜100gのコットンラットをイソフルランで軽く麻酔し、化合物100mg/kg/日又はビヒクル対照を経口投薬した。その後、処置2時間後に同様に麻酔したラットで1匹あたり約1000TCID50のRSV A2を点鼻によりウイルス感染を行った。ウイルス接種の4日後に各コットンラットを屠殺して肺を取り出し、RSV力価をプラークアッセイで決定した。
【0213】
表10:RSVのコットンラットモデルのデータ
【表14】

【0214】
方法T:RSV Balb/cマウスモデル
本質的にCianciら(Antimicrobial Agents and Chemotherapy.2004、48、413)に記載されたようにマウスモデルを行った。簡潔には8週齢の雌性Balb/cマウスの体重を測定し、Avertin(商標)で腹腔内麻酔して、感染6時間前に化合物又はビヒクルを経口投与した。マウスに1匹あたり約10000TCID50のRSV A2を鼻腔内接種した。ウイルス接種の3日後に各マウスを屠殺して肺を取り出し、RSV力価をプラークアッセイで決定した。
【0215】
表11:RSVのBalb/cマウスモデルのデータ
【表15】

【0216】
広く記載した本発明の精神又は範囲から逸脱することなしに、特定の実施形態を示した本発明に多数の変形及び/又は変更を加えうることは、当業者に認識されているであろう。よって、本実施形態を全ての点で限定ではなく例示とみなすべきである。
【0217】
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲にわたり、情況が他のものを必要としない限り用語「含む(comprise)」並びに「comprises」及び「comprising」のような変形は、述べられた完全体若しくは段階又は完全体若しくは段階の群の包含を意味するが、他の任意の完全体若しくは段階又は完全体若しくは段階の群の除外を意味しないものとする。
【0218】
本明細書における任意の従来技術に対する参照は、承認又は任意の形態又はその従来技術がオーストラリアにおける一般常識の一部を形成しているという示唆として受け取ってはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下に示す12番から503番に示す化学構造の何れか1つを有する化合物、又は薬学的に許容されるその塩、溶媒和物又は水和物。
【化1−1】


【化1−2】


【化1−3】


【化1−4】


【化1−5】


【化1−6】


【化1−7】


【化1−8】


【化1−9】


【化1−10】


【化1−11】


【化1−12】


【化1−13】


【化1−14】


【化1−15】


【化1−16】


【化1−17】


【化1−18】


【化1−19】


【化1−20】


【化1−21】


【化1−22】


【化1−23】


【化1−24】


【化1−25】


【化1−26】

【請求項2】
純粋な光学活性形態であり、該純粋な光学活性形態は、立体異性体の形態であるか、エナンチオマーの形態である、請求項1に記載の化合物、又は薬学的に許容されるその塩、溶媒和物又は水和物。
【請求項3】
ニューモウイルス亜科(Pneumovirinae)のウイルスが関与する感染の処置又は予防のための医薬を製造する際の、式Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩、溶媒和物又は水和物の使用:
【化2】


[式中、
環Aは、ハロ、−NH、NO、C1〜6アルキル、ハロ置換C1〜6アルキル、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシアミノ、アリール、ベンジル及びヘテロシクリルから独立して選択される1つから3つの置換基で場合によって置換されたフェニル環であり、前記アリール及びヘテロシクリル基は、ハロ、C1〜6アルキル又はハロ置換C1〜6アルキルで場合によって置換されており、
連結−B−C−は、式−CH−(CH−により表わされ、場合によってハロ、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、フェニル及びベンジルから選択される3つ以下の置換基で置換された連結であり、ここで、zは1〜4であり、
は、フェニル、チエニル、ピロリル若しくはピリジル環又は−C1〜6アルキルフェニル基を表し、前記環は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHヘテロシクリル、−CS(O)1〜6アルキル、−C(Ph)、−(CHZ、−COZ、−CN、−OR、−O−(CH1〜6−R、−O−(CH1〜6−OR、−OCOR、−COR、−COOR、−OCONR’R”、−NR’R”、−NRCOR’、−NRCONR’R”、−NRC(S)NR’R”、−NRSOR’、−NRCOOR’、−C(NR)NR’R”、−CRNOR’、−C(=NOH)NR’R”、−CONR’R”、−C(=NCN)−NR’R”、−C(=NR)NR’R”、−C(=NR’)SR”、−NR’C(=NCN)SR”、−CONRSOR’、−C(S)NR’R”、−S(O)R、−SONR’R”、−SONRCOR’、−OS(O)R、−PO(OR)及び−NOから選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、ここで、pは0〜6であり、tは0〜2であり、Zはアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ピペコリン酸、α−アミノ酪酸、α−アミノプロパン酸及びイミノジ酢酸から成る群から選択されるN−連結アミノ酸であり、Zは前記N−連結アミノ酸の窒素原子を介して炭素原子に連結し、R、R’及びR”のそれぞれは、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール及びC1〜6アルキルヘテロシクリルから独立して選択され、ここで、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール又はC1〜6アルキルヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、−COH、CF、CN、フェニル、NH及び−NOから選択される1から6つの同一物若しくは異なるもので場合によって置換されうるか、又はR’及びR”が同一の窒素原子に結合している場合は、R’及びR”はそれらが結合している原子と一緒になって5員から7員の窒素含有複素環を形成し得;
は、−CH、−C(Y)R、−C(Y)N(R)R、−C(Y)CHN(R)R、及び−C(Y)CHSRから選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、Rが−CH又は−C(Y)Rである場合は、Rはさらに−S−R及び−O−Rから選択され、mは0〜6であり、Rは水素又はC1〜6アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール及びヘテロシクリル基は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHヘテロシクリル、−CS(O)1〜6アルキル、−C(Ph)、−(CHZ、−COZ、−CN、−OR、−O−(CH1〜6−R、−O−(CH1〜6−OR、−OCOR、−COR、−COOR、−OCONR’R”、−NR’R”、−NRCOR’、−NRCONR’R”、−NRC(S)NR’R”、−NRSOR’、−NRCOOR’、−C(NR)NR’R”、−CRNOR’、−C(=NOH)NR’R”、−CONR’R”、−C(=NCN)−NR’R”、−C(=NR)NR’R”、−C(=NR’)SR”、−NR’C(=NCN)SR”、−CONRSOR’、−C(S)NR’R”、−S(O)R、−SONR’R”、−SONRCOR’、−OS(O)R、−PO(OR)及び−NOから選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、ここで、pは0〜6であり、tは0〜2であり、Zはアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ピペコリン酸、α−アミノ酪酸、α−アミノプロパン酸及びイミノジ酢酸から成る群から選択されるN−連結アミノ酸であり、Zは前記N−連結アミノ酸の窒素原子を介して炭素原子に連結し、R、R’及びR”のそれぞれは、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール及びC1〜6アルキルヘテロシクリルから独立して選択され、ここで、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール又はC1〜6アルキルヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、−COH、CF、CN、フェニル、NH及び−NOから選択される1から6つの同一物若しくは異なるもので場合によって置換されうるか、又はR’及びR”が同一の窒素原子に結合している場合は、R’及びR”はそれらが結合している原子と一緒になって5員から7員の窒素含有複素環を形成し得;
Xは、Oであり;
Yは、O及びSから独立して選択される]。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の化合物、又はその塩、溶媒和物又は水和物の、ニューモウイルス亜科(Pneumovirinae)のウイルスが関与する感染の処置又は予防のための医薬の製造における使用。
【請求項5】
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)が関与する感染の処置又は予防のための医薬の製造における請求項4に記載の使用。
【請求項6】
ニューモウイルス亜科(Pneumovirinae)のウイルスが関与する感染の処置又は予防のための医薬組成物であって、
式I:
【化3】


[式中、
環Aは、ハロ、−NH、NO、C1〜6アルキル、ハロ置換C1〜6アルキル、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシアミノ、アリール、ベンジル及びヘテロシクリルから独立して選択される1つから3つの置換基で場合によって置換されたフェニル環であり、前記アリール及びヘテロシクリル基は、ハロ、C1〜6アルキル又はハロ置換C1〜6アルキルで場合によって置換されており、
連結−B−C−は、式−CH−(CH−により表わされ、場合によってハロ、C1〜6アルキル、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、フェニル及びベンジルから選択される3つ以下の置換基で置換された連結であり、ここで、zは1〜4であり、
は、フェニル、チエニル、ピロリル若しくはピリジル環又は−C1〜6アルキルフェニル基を表し、前記環は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHヘテロシクリル、−CS(O)1〜6アルキル、−C(Ph)、−(CHZ、−COZ、−CN、−OR、−O−(CH1〜6−R、−O−(CH1〜6−OR、−OCOR、−COR、−COOR、−OCONR’R”、−NR’R”、−NRCOR’、−NRCONR’R”、−NRC(S)NR’R”、−NRSOR’、−NRCOOR’、−C(NR)NR’R”、−CRNOR’、−C(=NOH)NR’R”、−CONR’R”、−C(=NCN)−NR’R”、−C(=NR)NR’R”、−C(=NR’)SR”、−NR’C(=NCN)SR”、−CONRSOR’、−C(S)NR’R”、−S(O)R、−SONR’R”、−SONRCOR’、−OS(O)R、−PO(OR)及び−NOから選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、ここで、pは0〜6であり、tは0〜2であり、Zはアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ピペコリン酸、α−アミノ酪酸、α−アミノプロパン酸及びイミノジ酢酸から成る群から選択されるN−連結アミノ酸であり、Zは前記N−連結アミノ酸の窒素原子を介して炭素原子に連結し、R、R’及びR”のそれぞれは、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール及びC1〜6アルキルヘテロシクリルから独立して選択され、ここで、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール又はC1〜6アルキルヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、−COH、CF、CN、フェニル、NH及び−NOから選択される1から6つの同一物若しくは異なるもので場合によって置換されうるか、又はR’及びR”が同一の窒素原子に結合している場合は、R’及びR”はそれらが結合している原子と一緒になって5員から7員の窒素含有複素環を形成し得;
は、−CH、−C(Y)R、−C(Y)N(R)R、−C(Y)CHN(R)R、及び−C(Y)CHSRから選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、Rが−CH又は−C(Y)Rである場合は、Rはさらに−S−R及び−O−Rから選択され、mは0〜6であり、Rは水素又はC1〜6アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール及びヘテロシクリル基は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHヘテロシクリル、−CS(O)1〜6アルキル、−C(Ph)、−(CHZ、−COZ、−CN、−OR、−O−(CH1〜6−R、−O−(CH1〜6−OR、−OCOR、−COR、−COOR、−OCONR’R”、−NR’R”、−NRCOR’、−NRCONR’R”、−NRC(S)NR’R”、−NRSOR’、−NRCOOR’、−C(NR)NR’R”、−CRNOR’、−C(=NOH)NR’R”、−CONR’R”、−C(=NCN)−NR’R”、−C(=NR)NR’R”、−C(=NR’)SR”、−NR’C(=NCN)SR”、−CONRSOR’、−C(S)NR’R”、−S(O)R、−SONR’R”、−SONRCOR’、−OS(O)R、−PO(OR)及び−NOから選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、ここで、pは0〜6であり、tは0〜2であり、Zはアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ピペコリン酸、α−アミノ酪酸、α−アミノプロパン酸及びイミノジ酢酸から成る群から選択されるN−連結アミノ酸であり、Zは前記N−連結アミノ酸の窒素原子を介して炭素原子に連結し、R、R’及びR”のそれぞれは、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール及びC1〜6アルキルヘテロシクリルから独立して選択され、ここで、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール又はC1〜6アルキルヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、−COH、CF、CN、フェニル、NH及び−NOから選択される1から6つの同一物若しくは異なるもので場合によって置換されうるか、又はR’及びR”が同一の窒素原子に結合している場合は、R’及びR”はそれらが結合している原子と一緒になって5員から7員の窒素含有複素環を形成し得;
Xは、Oであり;
Yは、O及びSから独立して選択される]。
の化合物、又は薬学的に許容されるその塩、溶媒和物又は水和物を含む、医薬組成物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の化合物、又はその塩、溶媒和物又は水和物を含む、ニューモウイルス亜科(Pneumovirinae)のウイルスが関与する感染の処置又は予防のための医薬組成物。
【請求項8】
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)が関与する感染の処置又は予防のための、請求項6又は7に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2012−246318(P2012−246318A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204388(P2012−204388)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2006−545846(P2006−545846)の分割
【原出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(501488000)バイオウタ サイエンティフィック マネジメント プロプライエタリー リミテッド (8)
【Fターム(参考)】