呼吸器疾患を診断する方法
対象における疾患状態を診断する方法を提供し、前記方法は:(a)対象から得られた生物サンプルの核磁気共鳴データを取得すること;(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;(c)前記統計分析に基づき生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;(d)前記対象プロファイルと所定のプロファイルとを比較し:(i)疾患状態および非疾患状態;(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態;または(iii)第一の疾患状態、第二の疾患状態、および非疾患状態、を識別するものである疾患状態の診断の提供、を含み、ここで、前記比較は生物サンプル成分の同定を含まない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2008年8月18日出願の米国特許仮出願第61/136,198号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、対象の疾患を診断するための方法に関する。特に、本発明は、対象の呼吸器疾患を診断するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸器系の疾患は、高い死亡率の要因ではないものの、社会への影響という点における主要な疾患の1つであり続けている。1998/99の国民健康調査(National Population Health Survey)によると、約2,474,400人のカナダ人が喘息と診断され、498,900人がCOPDと診断されていた。これらの疾患による死亡者数は、それぞれ454人および9,398人であった。COPDは、カナダにおける死因の第5位であり、罹患率が上昇している唯一の疾患である。喘息の罹患率は世界的に上昇しており、これは最も一般的な小児の慢性疾患である。このような状況は、医療システムに著しい負荷をかけており、直接および間接的なコストは年間40億ドル超に相当する。市中感染性肺炎(CAP)は、年間におよそ400,000人のカナダ人が罹患しており、入院患者の8%が死亡している。カナダの医療システムがCAPにかけるコストは、年間に10億ドルと推定される。感染性疾患の治療の進歩にもかかわらず、肺炎に関連する死亡率はこの20年間で増加している。細気管支炎は、社会の幼児および高齢者が罹患する傾向にある。これは、小児科において入院を要する最も一般的な疾患であり、1987年から1997年にかけて入院率が45〜55%上昇した。その結果、細気管支炎はカナダの主要な医療関連支出の1つであり、年間2300万ドルである。
【0004】
呼吸器系の疾患のほとんどに共通する特徴は、何らかの形の肺の炎症である。肺の炎症は、特定の炎症細胞、および細胞活動によって産生された副生成物から成る。従って、特定の肺疾患の診断は、その臨床症状だけでなく、測定された炎症の型によっても行われることが多い。炎症細胞は、気道中で酵素およびその他のタンパク質を放出し、これらは測定可能であり、細胞型に特異的なものである(すなわち、マスト細胞トリプターゼまたは好酸球カチオン性タンパク質)。各々の疾患に対する治療は、この炎症に対処するように設計される(すなわち、副腎皮質ステロイド 対 抗生物質)。例えば、喘息患者は、喀痰サンプルが好酸球と称される細胞について陽性を示す場合が多く、COPDまたは肺炎の患者は、喀痰の好中球が増加する1。乳児は痰を作り出さないが、気管支鏡検査のサンプルから、喘息増悪の過程で好中球および好酸球が見られる2。
【0005】
炎症と治療とのつながりが確立されている肺疾患の良い例が喘息である。喘息は、患者の症状、肺機能、および治療に対する反応に基づいて多くの臨床的分類を有する混成症候群(heterogeneous syndrome)である。臨床医が治療法の指針として用いる症状および肺機能の客観的測定の大部分は、アレルギー性気道炎症によるものである(すなわち、好酸球およびマスト細胞)3。従って、国際的ガイドラインでは、炎症を制御するように治療法を調節することを目的として管理することが望ましいと提案されている45。
【0006】
臨床医にとって残念なことに、個々の患者においてこの炎症を検出することは困難であることが多い。そうする代わりに、臨床医は、生理的(すなわち、肺活量測定、ピークフロー、気道過敏性(AHR))または機能的(すなわち、症状またはクオリティオブライフ)測定によって治療に対する反応を評価することに依存している。これらの検査は有用ではあるが、後に臨床的重要性を持つことになる炎症状態の変化に対して比較的感度が悪いと思われる67。例えば、Green et al.は、気道炎症、誘発痰、および/または呼気一酸化炭素(eNO)の客観的測定を治療法の指針として用い、自分たちの喘息患者に対する優れた臨床結果を実証した7。上記の従来からの測定と比較して、気道炎症を直接測定することで、肺機能または症状の測定が変化する前に、喘息増悪が検出された。従って、患者には、従来の治療を受けているグループよりも早く投薬治療の増減の調節が行われた。全体として、用いられた副腎皮質ステロイドの量は、炎症測定を行ったグループの方が少なかった。
【0007】
気管支鏡検査から精密な炎症測定は可能であるが、この検査は侵襲的であり、日常的な臨床現場で利用可能なものではない。従って、誘発痰、eNO、および体液中の種々の炎症マーカーなど、非侵襲的な炎症測定に焦点を当てて研究が行われてきた。喀痰による実績は価値のある結果を示してきたが、ほとんどのセンターでその利用可能性が限られていること、ならびに小児および成人の多くでさえ喀痰ができないことなど、その臨床的利用には依然として大きな障害が存在する。呼気NOは、これらの障害の一部を克服するものではあるが、しかし、eNOは喘息炎症および転機との相関を経験的に示すものの、時間、協力、4歳超の年齢が必要であり、非常に注意深く行わない限り、気道ではなく鼻腔の値を測定してしまう可能性がある8。結局のところ、eNOは依然として誘発痰の感度および特異性を有してはいない。血液または尿における喘息炎症に対するその他の検査、すなわち尿ロイコトリエンまたは好酸球タンパク質X、が研究されてきたが、これらは臨床上での実施に必要とされる感度を持たない。全体として、気道炎症を有する患者に対する簡便で非侵襲的、容易に利用可能であり感度の高い検査は、現在のところ広く利用可能であるとは言えない。
【0008】
バイオマーカー、すなわち、尿などの生体液中の代謝物、の同定に用いることができる技術がいくつか公知である。多くの公知技術は、元のサンプルを破壊する可能性のある高度のサンプル調製を含んでいる。さらに、これらの技術のいくつかでは、バイオマーカーの検出が制限され得る。
【0009】
疾患状態の識別に単一のバイオマーカーを用いる他の非侵襲的技術も使用されている。このような技術では、呼吸器系の疾患など、単一の因子に依存するものではない疾患状態の検出が制限され得る。
【発明の概要】
【0010】
1つの態様では、
(a)対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データを取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、
(i)疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)第一の疾患状態、第二の疾患状態、および非疾患状態、
を識別するための所定のプロファイルと、を比較して、疾患状態の診断を提供すること、
を含み、前記比較は前記生物サンプルの成分の同定を含まない、対象における疾患状態を診断する方法が提供される。
【0011】
別の態様では、
(a)対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データをxyトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、
(i)疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)第一の疾患状態、第二の疾患状態、および非疾患状態、
を識別するための所定のプロファイルと、を比較して、疾患状態の診断を提供すること、
を含み、前記比較は生物サンプルの成分の同定を含まない、対象における疾患状態を診断する方法が提供される。
【0012】
別の態様では、
(a)疾患状態および非疾患状態の対象から得られた複数の生物サンプルに対して核磁気共鳴データをxyトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行って:
(i)疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)第一の疾患状態、第二の疾患状態、および非疾患状態、
を識別することができるxyトレースのスペクトル領域の組み合わせを選択すること、
を含む、疾患状態を診断するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。
【0013】
さらに別の態様では、
(a)対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データを取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、各々が:
(i)疾患状態と非疾患状態、または
(ii)第一の疾患状態と第二の疾患状態、
をそれぞれ識別するものである2つの所定のプロファイルと、を比較し、疾患状態の診断を提供すること、
を含む、対象における疾患状態を診断する方法が提供される。
【0014】
1つの態様では、
(a)対象から得られた生物サンプルに対して核磁気共鳴データをxyトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、各々が:
(i)疾患状態と非疾患状態、または
(ii)第一の疾患状態と第二の疾患状態、
をそれぞれ識別する2つの所定のプロファイルと、を比較して、疾患状態の診断を提供すること、
を含み、前記比較は生物サンプル成分の同定を含まない、対象における疾患状態を診断する方法が提供される。
【0015】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断する方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1(yellow‐7.1)、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0016】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき、前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および増悪喘息を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0017】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき、前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、増悪喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0018】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて、前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息、増悪喘息、および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0019】
別の態様では、対象における慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態との間の違いを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態と非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0020】
別の態様では、対象における慢性安定喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態との間の違いを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者および増悪喘息患者から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態と増悪喘息状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0021】
別の態様では、対象における増悪喘息の疾患状態と非疾患状態との間の違いを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)増悪喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定すること;
(b)増悪喘息状態と非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0022】
別の局面では、慢性安定喘息の疾患状態、増悪喘息の疾患状態、および非疾患状態の間の違いを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態、増悪喘息状態、および非疾患状態を識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0023】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を、複数の生物サンプル濃度値であって、各々が生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度値である、複数の生物サンプル濃度値が提供されるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0024】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が提供されるように測定すること;
(c)増悪喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0025】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が提供されるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0026】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を、各々前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が提供されるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態、増悪疾患状態、および非疾患状態を識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0027】
本明細書で開示する方法について、以下の図を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】図1Aは、ヒプラートの共鳴シグネチャの標準トレースの上にモルモット尿サンプルの600MHz 1D 1H‐NMRスペクトルを示す図である。
【図1B】図1Bは、全代謝物についての、誘発モルモット 対 感作モルモット間の変動係数プロットを示す図である。
【図1C】図1Cは、誘発モルモット 対 感作モルモットに対する重要度変数プロットを示す図である。
【図2A】図2Aは、モルモットのPpiの上昇によって測定した、ヒスタミン誘発(1〜20μg/kg i.v.)用量依存的気管支収縮を示すグラフである。
【図2B】図2Bは、誘発モルモットの肺洗浄液中の全細胞を示すグラフである。
【図2C】図2Cは、別々のモルモット群における気道中の好酸球数を示すグラフである。
【図3A】図3Aは、コントロール 対 感作 モルモット群間を分離する最終モデル化におけるPLS‐DAにおいて用いられた、NMRから得られた尿中代謝物濃度についての変動係数プロットを示す図である(バーは95%信頼区間を表す)。
【図3B】図3Bは、コントロール 対 誘発 モルモット群間を分離する最終モデル化におけるPLS‐DAにおいて用いられた、NMRから得られた尿中代謝物濃度についての変動係数プロットを示す図である(バーは95%信頼区間を表す)。
【図3C】図3Cは、感作 対 誘発 モルモット群間を分離する最終モデル化におけるPLS‐DAにおいて用いられた、NMRから得られた尿中代謝物濃度についての変動係数プロットを示す図である(バーは95%信頼区間を表す)。
【図4A】図4Aは、NMRから得られた尿中代謝物濃度に基づいたコントロール(丸) 対 感作(四角)モルモット群のPLS‐DA分離を示す3次元プロットの図である(R2=0.53、Q2=0.29)。
【図4B】図4Bは、NMRから得られた尿中代謝物濃度に基づいたコントロール 対 誘発(三角)モルモット群のPLS‐DA分離を示す3次元プロットの図である(R2=0.74、Q2=0.59)。
【図4C】図4Cは、NMRから得られた尿中代謝物濃度に基づいた感作 対 誘発モルモット群のPLS‐DA分離を示す3次元プロットの図である(R2=0.63、Q2=0.50)。
【図4D】図4Dは、NMRから得られた尿中代謝物濃度に基づいた全動物グループの三元解析のPLS‐DA分離を示す3次元プロットの図である(R2=0.54、Q2=0.25)。
【図5A】図5Aは、誘発モルモットグループおよび誘発に加えてデキサメタゾン処理したモルモットグループの分離に用いた、NMRから得られた尿中代謝物濃度の変動係数プロットを示す図である(バーは95%信頼区間を表す)。
【図5B】図5Bは、誘発グループと誘発デキサ(challengeddex)グループとの間の分離のPLS−DAを視覚化した図である。
【図6】図6(A)は、健常コントロール小児 対 外来クリニックにおける喘息を持つ小児のPLS‐DAによる分離を示す3次元プロットの図である。前記プロットは、変動係数プロット(B)として示されPLS‐DAによって分析された既知の代謝物濃度から作製される。用いた代謝物は、重要度変数プロット(C)で示されるように、モデルでのその重要性に関して順位付けすることができる。
【図7】図7(A)は、健常コントロール小児 対 救急部における喘息を持つ小児のPLS‐DAによる分離を示す3次元プロットの図である。前記プロットは、変動係数プロット(B)として示されPLS‐DAによって分析された既知の代謝物濃度から作製される。用いた代謝物は、重要度変数プロット(C)で示されるように、モデルでのその重要性に関して順位付けすることができる。
【図8】図8(A)は、外来クリニックにおける安定喘息を持つ小児 対 救急部における喘息を持つ小児のPLS‐DAによる分離を示す3次元プロットの図である。前記プロットは、変動係数プロット(B)として示されPLS‐DAによって分析された既知の代謝物濃度から作製される。用いた代謝物は、モデルでのその重要性に関して順位付けすることができる。
【図9】図9は、健常小児(白四角) 対 外来クリニックにおける安定喘息を持つ小児(白丸) 対 救急部における喘息を持つ小児(黒丸)の小児3グループすべてのPLS‐DAによる分離を示す3次元プロットの図である。前記プロットは、PLS‐DAによって解析された既知の代謝物濃度から作製される。上位30の代謝物を用いることで、R2=0.74、Q2=0.61のモデルを得た。
【図10A】図10Aは、いくつかの誘発モルモット(I)およびコントロールモルモット(II)からの1D1H‐NMRスペクトルのプロットを、6つの個別の結果を重ねて示す図である。
【図10B】図10Bは、コントロール 対 誘発 のモルモットグループについて、xy‐トレースデータのRDPマッピングを示す図である。
【図10C】図10Cは、感作 対 誘発 のモルモットグループについて、xy‐トレースデータのRDPマッピングを示す図である。
【図10D】図10Dは、誘発 対 誘発‐デキサメタゾン(「誘発デキサ」とも称する)のモルモットグループについて、xy‐トレースデータのRDPマッピングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
喘息は、可逆的気道閉塞および種々の刺激に対する気道の異常な反応性に起因する呼吸困難を特徴とする。喘息患者で見られる気道の病態は、異常な構造細胞9、10および炎症細胞3が独特に混在していることであり、これらは他の気道疾患では一般的には報告されない。喘息の重症度および気道過敏性(AHR)の度合いは、気道内における気道炎症の存在および大きさと相関する11。従って、喘息の管理は、炎症の制御に依存してきた5。気道の機能障害および炎症を非侵襲的手段で正確にモニタリングする能力を向上することが、喘息治療の管理における重要な目標である。
【0030】
メタボロミクスとは、代謝経路の研究、および生体系で産生される独特な生化学分子の測定である12。代謝物は、分子量が1kDa未満の小さい非ペプチド分子であり13、細胞活動による最終産物である。代謝物濃度の変化を検出することにより、疾患状態またはその治療介入によって引き起こされる様々な生化学的影響が明らかとなる。1H‐核磁気共鳴分光法(NMR)は、生体液中のこれらの代謝物の同定および定量を可能とするものである。NMRを用いることによる主たる利点は、最小限のサンプル前処理にて正確な代謝像が迅速に得られるその能力である14、15。尿の利点は、それが非侵襲的に採取され広く利用可能であること、タンパク質および細胞のレベルが低いこと、ならびに代謝物が豊富に含まれていることなどである。
【0031】
モルモットは、その気道の生理機能が他に類がないほどヒトのそれと類似していることから、信頼性の高い喘息の動物モデルである16、17。アレルゲンで感作し、次にアレルゲンのエアロゾル化で誘発したモルモットは、気道炎症、呼吸仕事量増加、低酸素期間、続いて気道過敏性(数日間続く)を起こす。これは、アレルギーを持つヒトに類似している。アレルギー性喘息のこの動物モデルの使用を本明細書で説明し、尿中に排出される体内における代謝物の独特のパターンを作製することにより気道炎症細胞の気道への影響を示す。これらの尿中代謝物は、NMR分光法を用いて測定することができ、バイオマーカーパネルとして用いて動物のサブタイプを判別することができる。この方法のヒト疾患における妥当性についても説明する。(i)健常小児、および(ii)喘息を持つ小児からの尿サンプルについて研究した。喘息患者の集団には、外来クリニックにおける安定な小児患者、および救急部における病状が非常に悪い小児患者が含まれる。
【0032】
呼吸器疾患などの疾患状態の診断、および対象におけるその状態のモニタリングを行う方法を提供する。
【0033】
そのような方法は、慢性閉塞性肺疾患、喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、細気管支炎、肺炎、間質性肺疾患、閉塞性睡眠時無呼吸、嚢胞性線維症、および結核などの疾患に適用される。
【0034】
本明細書で述べる方法は、生物試験サンプルが対象から得られることを必要とする。前記生物試験サンプルは、血液、血漿、血清、唾液、胸水、鼻腔液、細胞内液、細胞間液、リンパ液、脳脊髄液、胆汁酸、滑液、囲心腔液、腹水、糞便、眼内液、組織、喀痰、および尿から成る群より選択することができる。1つの態様では、生物試験サンプルは尿である。
【0035】
前記サンプルから、液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、キャピラリー電気泳動、質量分析、液体クロマトグラフィ‐質量分析、ガスクロマトグラフィ‐質量分析、高速液体クロマトグラフィ‐質量分析、キャピラリー電気泳動‐質量分析、ラマン分光法、近赤外線分光法、および核磁気共鳴分光法を含む群から選択される分光測定および分光法技術の1つ、もしくは2つ以上、もしくは組み合わせを用いて少なくとも1つの代謝物の濃度を測定することができる。
【0036】
さらに、前記サンプルから、NMRスペクトルのxy‐トレースデータからの値を得ることができる。
【0037】
生物試験サンプルの最終プロファイルは、データ(すなわち、いくつかの代謝物の濃度またはxy‐トレースデータ)に対して統計分析を行うことで決定される。用いても良い統計分析の種類としては、多変量統計分析が挙げられ、その例としては、これらに限定されないが、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析が挙げられる。
【0038】
各疾患状態に対して関連する代謝物の濃度または組み合わせにより、疾患の診断および/または既知の疾患の重症度が決定される。1つの態様では、生物試験サンプルのプロファイル(対象プロファイル)および所定のプロファイルは、多変量統計分析から決定されるスコアプロットとして示される。例えば、表1に、喘息モデル内のアレルゲン感作およびアレルゲン誘発のモルモットを異なるグループに分離する、関連する代謝物の濃度を挙げる。モルモットによる研究に基づき、同じ技術を実施して、喘息を持つヒトからの尿を用いて健常コントロールと比較した(表2)。表3には、喘息を持つ小児を、喘息を持たない小児または喘息増悪を持つ病状のより悪い小児から識別する、関連する代謝物およびその濃度を挙げる。従って、これらの代謝物は、喘息の診断に用いることができるだけでなく、喘息を持つ小児をモニタリングして、尿のNMRプロファイルが切迫する喘息発作を示唆するときを決定することにも用いることができる。
【0039】
1つの態様では、疾患は喘息である。ある態様では、前記方法は、疾患状態の重症度の違いを表す第一および第二の疾患状態を診断することができる。例えば、本明細書で述べる方法を用いて、安定な慢性喘息および増悪喘息を診断することができる。
【0040】
他の態様では、対象プロファイルを2つの所定のプロファイルと比較することができ、ここで、2つの所定のプロファイルの各々は:
(i)疾患状態と非疾患状態との間、および、
(ii)第一の疾患状態と第二の疾患状態との間、
をそれぞれ識別するものであり、それによって疾患状態の診断が提供される。そのような診断には、疾患状態の存在、非存在、または重症度の判定を含んでもよい。
【0041】
「濃度」および「濃度値」という用語の各々は、濃度、または濃度と関連するもしくは濃度から得られる数値であり、濃度、または濃度と関連するもしくは濃度から得られる数値の統計分析の結果である数値を含む。
【0042】
さらなる態様では、NMRスペクトル(すなわち、表4)からのxy‐トレースデータに基づく対象において疾患を診断する方法を実施するための説明書を含むコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。NMRスペクトルのxy‐トレースデータからの値の組み合わせは、モデル内の異なる集団を分離することができるNMRスペクトルの領域を含む。別の態様では、コンピュータ読み取り可能な媒体は、所定のプロファイルをさらに含む。
【0043】
添付の図面および以下で述べる実施例を参照して、本方法を詳細に説明する。
【0044】
動物およびヒトに用いられる方法
(A)動物(モルモット)対象の試験
動物の特徴およびそのプレコンディショニング:
メスのダンキン‐ハートレイモルモット(GP)(特定病原不在、180〜450g、チャールズリバーラボラトリーズ(Charles River Laboratories)、セントコンスタント(Saint-Constant),カナダ)を、アルバータ大学健康科学動物政策福祉委員会(University of Alberta Health Sciences Animal Policy and Welfare Committee)によって確立された基準およびカナダ動物管理協会(Canadian Council on Animal Care)のガイドラインに従って用いた。生理学的研究を行う前に、モルモットはすべて新しい環境に少なくとも1週間適応させた。この喘息増悪モデルでの過去の研究に基づいて17‐19、モルモットを以下の5つのグループに分けた:1)未処理、非感作コントロール(コントロール、n=18);2)水溶性デキサメタゾン(シグマ‐アルドリッチ、オンタリオ,カナダ)を6.5μg/kgにて毎日3日間にわたって腹腔内投与したコントロールGP(コントロールデキサ(controldex)、n=4);3)第1日および第3日に10mg/kgの腹腔内投与にて卵白アルブミン(OVA)のみ(シグマ‐アルドリッチ)で感作し、そのまま21日間経過させたモルモット(感作、n=18)、4)21日後の感作GPを0.9%生理食塩水中の0.5%卵白アルブミンをエアロゾル化して10〜20秒間誘発したもの(誘発、n=29)、および最後に5)誘発モルモットのうち、誘発の1時間後、そして次の2日間にわたって毎日6.5μg/kgにてデキサメタゾンの腹腔内投与で治療したもの(誘発デキサ、n=12)。OVA誘発の4日後、または感作のみの21日後に気道の機能および炎症を評価した。
【0045】
動物対象における気道過敏性(AHR)の評価:
モルモットをウレタン(1.5g/kg i.p.)で麻酔し、気管開口し、スクシニルコリンクロリド(シグマ‐アルドリッチ)(10μg/kg/分、i.v.)による麻痺の後、人工呼吸を行った。過去の報告に従い17、(パワーラブ(Powerlab)、アドインスツルメント(AdInstruments),コロラドスプリングス,米国)を用いて肺膨張圧(Ppi)を測定した。気道反応性を評価するために、ヒスタミン(シグマ‐アルドリッチ)を6分間隔で投与した(1〜20μg/kg i.v.)。得られた気管支収縮を、Ppiの増加として記録した。
【0046】
動物対象における気道炎症の評価:
動物をウレタンの過剰投与(3gm/kg i.v.)で屠殺した。肺洗浄液の細胞スメアの総細胞数および細胞別数をカウントした(Diff‐Quik(登録商標)、バクスターヘルスケアコーポレーション(Baxter Healthcare Corp))17。肺を取り出し、膨張させ、3.7%ホルムアルデヒド中にて24時間固定した。気道セクションを2%クロモトロープ2Rで染色し、過去の報告に従って20、10強拡大視野(#/hpf)あたりの好酸球の平均数を測定した。
【0047】
動物対象における気道反応性および炎症の統計分析:
気管支反応性測定(ヒスタミン反応)を、2元配置分散分析(ANOVA for repeated measures)を用い、組織学的な測定値および肺洗浄液データを、ANOVA(スタットビュー4.5;アバクスコンセプツ(Abacus Concepts, Inc.),バークレー,カリフォルニア州)を用いて解析した。結果は、平均値および平均値の標準誤差(SEM)および標準偏差(SD)でそれぞれ表す。0.05のP値を有意と見なした。
【0048】
(B)ヒト対象の試験
本研究で用いたヒト対象の特徴:
ストラリー小児病院(Stollery Children's Hospital)の喘息クリニックおよび救急部(ED)から小児をリクルートした(表2)。外来喘息患者の小児は、まず小児科の肺またはアレルギーの専門家を紹介され、少なくとも1回の診察の後、カナダコンセンサスガイドライン(Canadian Consensus guidelines)21に記載の喘息の診断基準に該当した場合に登録された。急性喘息を有するEDの小児は、以下の1もしくは2つ以上に基づいて診断された:a)評価を要する症状の増加(咳、喘鳴、息切れ、胸部絞扼感)および類似の憎悪現象(episode)の病歴;b)吸入気管支拡張薬治療に対する臨床的または症候的反応;および/またはc)過去の医師の診断による喘息の病歴。患者は、最初は急性喘息を起こしている必要があり(単なる処方箋の再調剤ではなく)、急性肺炎の場合、直ちに蘇生術を必要とする場合(喘息発作重積状態)、認知障害の場合、または免疫不全を有することが分かっている場合は、除外された。健常な年齢および性別がマッチしたコントロールを、一般小児外来クリニックおよび地域からリクルートした。何らかの基礎肺疾患(すなわち、慢性の咳もしくは喘鳴、CF、喘息、免疫不全、または経口ステロイドの服用)を有する場合、悪性腫瘍が判明している場合、慢性炎症性/感染性疾患の場合、心疾患の場合、および早産に関連する新生児肺疾患の場合は、健常コントロールから除外された。患者は、アルバータ大学医療研究倫理委員会(University of Alberta Health Research Ethics Board)に承認され、ヘルシンキ宣言および適正臨床基準ガイドライン(Good Clinical Practice guidelines)に従った文書によるインフォームドコンセントが得られた後に、研究に登録された。
【0049】
(C)動物およびヒトのデータ分析に用いた方法
1次元1H‐NMRスペクトル測定のためのヒトおよび動物の尿サンプル採取:
動物尿データについて:麻酔下にて、しかし気道炎症測定を行う前に、尿サンプル(1.0〜2.0cc)を経腹膀胱穿刺で得られた。ヒト尿データについて:中間尿サンプルを、標準的な50ml検体容器に採取し、直ちに外来クリニックの冷凍庫で保存した(−20℃)。3時間以内に各尿サンプルを、アルバータ大学、NANUC(カナダ高磁場NMRセンター(National High Field NMR Centre))の−80℃の冷凍庫へ移した。NMRスペクトルの測定のために、バイオセイフティードラフト内でサンプルを解凍し、630μlのアリコートを取り出して1.5mlのエッペンドルフ管に入れ、続いて70μlの参照緩衝液(D2O中において4.9mM DSS(2,2‐ジメチル‐2‐シラペンタン‐5‐スルホン酸二ナトリウム)および100mM イミダゾール、シグマ‐アルドリッチ)を添加した。HClおよびNaOHを用いて各サンプルを7.0±0.1のpHとした。未遠心分離のアリコート600μlを取り、標準的な5mmガラスNMR管(ウィルマッド(Wilmad),ニュージャージー州)に移した。1H‐NMRスペクトルを、z軸勾配コイルを有する5mm三重共鳴(HCN)プローブを備えた600MHz Inova分析器(バリアン(Varian Inc),パロアルト,カリフォルニア州)で得た。1次元1H‐NMRスペクトルは、tnnoesyパルス配列(1次元、3パルスNOESY、予備取得遅延中の水抑制のためのトランスミッター予備飽和遅延900msおよび混合時間100ms)、およびスペクトル幅7200Hzにより、25℃で得た。タイムドメインデータ点は64k複合点、取得時間は4s、90°パルスは6.8μs、繰り返し時間は5sであり、定常状態スキャンが4回、FID(自由誘導減衰(Free Induction Decay))あたり32の取得スキャンであった。データは、0.5Hzの線幅拡大に対応する指数窓関数でアポダイズし、128kの複合点にゼロ充填し(zero-filled)、フーリエ変換した22。
【0050】
既知代謝物の定量:
種々の関連する代謝経路に関与する容易に識別可能な50〜70の代謝物の定量を、Chenomx NMR スイートプロフェッショナルソフトウェアパッケージ バージョン3.1(ケノミクス(Chenomx Inc.),エドモントン,AB)を用いて行った23。このソフトウェアは、参照スペクトルの共鳴周波数またはシグネチャが付属する既知代謝物のデータベースを有する。このソフトウェアは、これらの既知の共鳴周波数と得られたスペクトルの観測された共鳴周波数とのマッチングが可能であり、それによって、尿のNMRスペクトルにおける代謝物の定性的および定量的分析が可能となる(図1A)。DSSのメチル基から共鳴一重項が得られ、これを、スペクトルのケミカルシフト(0ppmに設定)および定量化の内標準として用いた。この内部DSSシグナルはまた、濃度レファレンス(0.49mM)としても用いた。希釈を補正するために、代謝物濃度を、尿中クレアチニンに対して標準化した24。この方法により、90%を超える代謝物濃度の精度を得ることができる23、25。代謝物の排出は日によって変動するが、ヒトの食事に起因するものに限定すると、変動は見られなかった24、26。
【0051】
既知代謝物に基づくグループの分離:
動物または患者のグループを尿中代謝物濃度に基づいて分離するために、各動物/小児について50〜70の代謝物濃度の値を対数変換し、SIMCAソフトウェア(SIMCA‐P 11、ユーメトリックス(Umetrics),米国)へインポートした。ヒトデータで見られるように24、濃度(μM)は、測定した代謝物に応じて大きく変動した。例えば、尿中の尿素の量は、ラクタートよりも対数のオーダーで多い。モデル中の濃度がより低い代謝物の影響を、豊富に存在する代謝物の変化と同等に評価するために、方法は、濃度の相対的変化を検出する必要がある。従って、代謝物濃度を中央平均化し、続いて単位分散スケーリング(unit variance scaling)(またはz‐スコアリング(z-scoring))を行った。その後、部分最小二乗法判別分析(partial least squares discriminant analysis)(PLS‐DA)を行った(SIMCA‐P 11)。PLS‐DAは、反応ベクトルY(すなわち、対象グループ)とマトリックスX(各代謝物の濃度)との間の関係を、YおよびX空間を平面へ同時に射影することにより決定するものである。次に、データを7個の部分に分けることで7重の内部クロス確認を行い(初期設定による)、各1/7番目を順に除去した。最終モデルは、新しいモデルに残された6/7番目の代謝物データに基づいて選択した。このプロセスにより、動物または患者のグループ間で濃度が大きく異なった代謝物が識別され、これは変動係数プロットとして示される(図1B)。最初は、変数すべてを有するモデルを作製した。グループ間の代謝物濃度の一貫した相違が大きいほど、モデルを作製する上でその代謝物の重要度が高くなり、これは重要度変数プロット(VOI、図1C)として示される。代謝物値についてノンパラメトリック検定も行い、SIMCAによって作製された代謝物の重要度とクロスチェックした(マンホイットニー検定、スタットビュー(Statview)4.5)。結果のセクションに示す代謝物の最終リストは、VOIおよびノンパラメトリック分析による統計的有意性の確認に基づいて選択した。この手順により、相関係数(R2)および予測特性(prediction properties)(Q2)のいずれについても最も正確であるモデルが得られた。
【0052】
NMRスペクトルデータのXY‐トレースに基づく動物グループの分離:
各動物サンプルに対する1D 1H‐NMRスペクトル(32kデータ点)を、バリアンマクロxy‐トレース(Varian macro xy-trace)(ASCIIフォーマット)を用いてエクスポートし、多変量統計分析を行った。このプログラムは、1‐Dスペクトルラインの視覚表示を、XおよびY軸上の位置についての一連の値に変換するものである。例えば、X軸上の各位置について、NMRトレーシングに見られるピークおよび谷の部分を表すYの値が存在する。所定の点XにおけるYの値は、尿中代謝物の異なる種類および濃度によって決定される。従って、xy‐トレースデータからはまた、代謝物の同定および定量も行われるが、xy‐データ上の位置についてのみであって;代謝物が同定されるとは限らない27、28。分類の6つのペアを以下のように作製した:コントロール 対 誘発、感作 対 誘発、コントロール 対 感作、コントロール 対 誘発デキサ、誘発 対 誘発デキサ、および感作 対 誘発デキサ(表4参照)。各分類ペアを分離するために、x軸上の幅0.04セクションの各々に対するYの値を算出し、遺伝アルゴリズムに基づく特徴選択手法(genetic-algorithm-based feature selection approach)を用いて比較した29。この特徴選択はラッパーに基づくものであり(wrapper-based):すなわち分類法、この場合はリーブワンアウト(LOO)内部クロス確認を行う線形判別分析(LDA)を用いて最適な特徴を識別した。分類ペアを分離することができるスペクトル内の領域の独特の組み合わせを特徴選択とした。各分類ペアについて最適な特徴セットを得た後に、外部クロス確認(EXCV)を行って、より実際的な誤り率を算出した。各データセットを、トレーニングセットおよびモニタリングテストセットにランダムに分割した(50:50)。この分割は層状に行った(すなわち、2つの分類におけるサンプルの相対比率を分割後も維持した)。各データセットについて10の分割を行い、平均および標準偏差を算出した。小サンプルサイズによる経験に基づき、この手法を用いることで、データセット全体を用いるよりもより実際的な結果が得られた27、28。
【0053】
前記方法は、代謝物を直接同定するものではない。代謝物の同定には、上記の分析で関連することが示唆された対象の領域を調べ、次にxy値を作ることができる妥当な代謝物を同定する必要がある。この欠点にも関わらず、xy‐トレース法は利点を有する。この方法は、まだ未同定の代謝物さえも、NMRで測定されたすべての値を組み込むことから、既知代謝物データを増加させる。従って、代謝物を直接同定する取り組みが行われる場合、NMRスペクトルの識別においては大きな効果を有し得ると今までには考えられなかった代謝物が同定され得る。さらに、コンピュータを用いることで、位置XにおけるこのようなYの値の扱いがより容易となるであろう。代謝物の同定が必要ではないことから、公知の代謝物の方法のような作業者による値の測定の必要がない。例えば、喘息と非喘息との間の違いの識別に関連するx軸上の5つの領域が存在する場合、コンピュータプログラムであれば、これらの領域におけるYの値に素早く着目し、モデルに基づいて、そのNMRデータが疾患もしくは非疾患を反映するものである可能性を示唆することができる。前記xy‐トレースデータは、従って、そのスピードおよび作業者不要という点で大きな利点を有する。
【0054】
結果
喘息増悪の動物モデル: 感作GPにおけるヒスタミンに対する反応はコントロール動物と類似していたが、誘発グループは反応性が高まり、コントロールと比較して著しく高い気管支収縮反応を示した(P<0.0001)。誘発デキサは、誘発単独と比較して反応の減少を示した(p<0.05)。図2Bに示すように、コントロール、感作、またはコントロールデキサのグループ間で全細胞カウントに有意差はなかったが、誘発の肺洗浄液中の総細胞数は増加した(各々p<0.0001)。総細胞カウントおよび細胞別白血球カウントを、コントロール(白色バー)、感作(線影バー)、誘発(黒色バー)、誘発デキサ(灰色バー)、およびコントロールデキサ(クロスバー)の動物の肺洗浄液について行った(各々n=9、B)。増加したのは主にリンパ球、好酸球、および好中球であった。マクロファージの値は、コントロールと比較して高かったコントロールデキサのグループ(p=0.03)以外はすべてのグループ間で類似していた。誘発デキサの総細胞数は、誘発と同様に高い状態が維持されていたが、ただし、リンパ球は有意に低かった(p<0.05)。図2Cに示すように、感作動物は、コントロールよりも高い好酸球数を示した(P<0.0001)。好酸球は、コントロール(白色バー)、感作(線影バー)、誘発(黒色バー)、および誘発デキサ(灰色バー)の軟骨気道(cartilaginous airways)中でカウントした(各々n=12、C)。感作動物の誘発は、さらに、コントロール(P<0.0006)および感作動物(P<0.0001)と比較して好酸球カウントを増加させた。誘発デキサのグループの好酸球は、誘発と類似のレベルのままであった。
【0055】
既知の代謝物値を用いた動物モデルの分析: 標的化NMR代謝物プロファイリングにより、動物のグループの違いを識別することができる:既知の代謝物標準のライブラリーを用い(ケノミクス)、図1Aに示すように、すべての動物の尿中の50の代謝物濃度を測定し、各グループをPLS‐DAを用いて比較した。グループの分離にはすべての代謝物が必要であるわけではなく、代謝物の追加によってモデルの精度が悪化する場合もあった。各分離モデルに用いた代謝物(およびその濃度)の最終リストは、PLS‐DA VOIランキングおよびノンパラメトリック分析を基にした(表1)。グループ間の代謝物濃度の違いを、図3A〜Cの変動係数プロットとして示す。動物グループの各ペアの分離、およびグループの3元比較を、図4に示す(A:コントロール(丸) 対 感作(四角)、R2=0.53、Q2=0.29);B:コントロール 対 誘発(三角)、R2=0.74、Q2=0.59;C:感作 対 誘発、R2=0.63、Q2=0.50;およびD:動物グループの三元分析(R2=0.54、Q2=0.25)。予想された通り、図5AおよびBに示すように、デキサメタゾンは、PLS‐DA分析で決定された尿中代謝物プロファイルの変化を引き起こし、誘発 対 誘発デキサ:R2=0.76、Q2=0.44;コントロール 対 コントロールデキサ:R2=0.83、Q2=0.69(データ示さず)、であった。小サンプルサイズにも関わらず、PLS‐DA作製モデルを用いて正確な測定が行われた。元のPLS‐DAモデリングの一部ではない動物からの尿サンプル15個をブラインド分析にかけた(感作 n=4、誘発 n=7、誘発デキサ n=4)。PLS‐DAによって作製されたモデルは、誘発動物では21試験中19(精度90%);感作では8試験中5(精度62%)、および誘発デキサでは4個中3個(精度75%)で、正しく分類を行った。
【0056】
既知の代謝値を用いた喘息小児の分析: 外来診断クリニックを訪れた小児科の患者(慢性安定喘息患者)を尿のサンプリングにリクルートした。さらに、喘息の急性増悪を有する救急部の小児(増悪喘息患者)が、NMR分光分析のための尿サンプルを提供した。これらを、慢性もしくは急性疾患をまったく持たない年齢および性別がマッチしたコントロールと比較した(表2)。既知の代謝物を用いた尿のPLS‐DA分析により、グループ間で有意に濃度の異なる代謝物が明らかとなった。グラフによる患者の分離を図6〜9に示す。この分離は、変動係数プロットとして示されるグループ間の代謝物濃度の違いに基づいている。各ペアの分離に用いた代謝物の最終リスト、または3元比較は(表3に示す)、モデル内のPLS‐DA重要度変数(VOI)ランキングを基にした。重要性の最も低い代謝物を除き、喘息外来患者(すなわち、慢性安定喘息患者) 対 健常コントロールを分離する最適モデルに、上位23種類の代謝物を用いることを決定した(図6(c))。このモデルでは、相関係数がR2=0.72、予測指標がQ2=0.67であった。健常コントロール 対 救急部喘息患者(すなわち、増悪喘息患者)の最適な分離モデル(R2=0.78、Q2=0.72)は、VOIリストの上位20種類の代謝物を用いて決定された(図7(c))。図8Aおよび8Bは、外来クリニックの喘息患者(すなわち、慢性安定喘息患者) 対 救急部喘息患者(増悪喘息患者)のデータを示しており(R2=0.84、Q2=0.74)、このVOIリスト中の上位28種類の代謝物を用いて分離モデルを得た。最後に、図9は3つすべてのグループを比較するものであり(R2=0.74、Q2=0.61)、それぞれのVOIリスト中の上位30種類の代謝物が必要であった。少なくとも1つの分離モデルにおいて最も重要であると見なされたこれらの代謝物を、その濃度と共に表3に示す。
【0057】
前記モデルの実際の精度およびその外来クリニックにおける喘息の診断ツールとしての適用性を判定するために、前記モデル化の元々の一部ではない外来の喘息小児(n=33)からの代謝物の濃度をモデルへ入力した。これらの値は診断を行わずにコンピュータへ入力し、従って、コンピュータを、外来喘息患者 対 コントロールのPLS‐DAによるモデルに対して盲検の状態とした。前記モデルは、盲検の喘息サンプルを94%の精度で診断することができた(33サンプル中31の正しい診断)。前記モデルで評価した健常コントロール小児の盲検サンプルは、19/20サンプルで正しく分類された。従って、前記モデルの健常コントロール小児に対する誤分類率または偽陽性率は、5%(1/20)であった。
【0058】
喘息外来患者 対 EDの喘息患者の分離のためには、これらの代謝物の多くは外来喘息患者 対 コントロールのモデルの一部でもあったが、EDの喘息患者の分離には新たな代謝物が必要であったことに注意することが重要である。前記モデルの実際の精度および外来クリニックにおける間近に迫った喘息増悪の診断ツールとしてのその適用性を判定するために、前記モデル化の元々の一部ではない外来の喘息小児(n=33)からの代謝物の濃度をモデルへ入力した。これらの値は診断を行わずにコンピュータへ入力し、従って、コンピュータを、外来喘息患者 対 コントロールのPLS‐DAによるモデルに対して盲検の状態とした。前記モデルは、盲検の喘息サンプルを91%の精度で診断することができた(33サンプル中30の正しい診断)。これまでのところ、盲検分析を行うのに十分な数の喘息増悪小児の対象は集まらなかった。
【0059】
予測され得たように、特に集団サイズが小さい場合、3元モデルでは、2元モデルと比較して同程度の精度を得ることができなかった。外来喘息患者の盲検サンプルでは、33サンプル中正しく診断されたのは僅かに22であり(66%の精度)、健常コントロールでは、正しい診断は20中13であった(35%の偽陽性率)。
【0060】
xy‐トレースデータを用いた動物の分析: NMRスペクトルのxy‐トレースもまた、モルモットモデルを識別することができる:xy‐トレースとしてエクスポートしたNMRスペクトルを、統計分類法(Statistical Classification Strategy)の特徴選択成分(feature selection component)(LDA/LOO内部クロス確認を含む)を用いて分析した(54)。これらから、図10Aに示すように、異なる動物集団を識別することができるスペクトル領域の特徴を決定した。これらの領域を用いる分離の精度の推定値を決定するために、10の50:50のランダム分割を用いて外部クロス確認(EXCV)を行った。EXCVは、xy‐トレースデータ分析による動物の異なるグループのペアごとの分離が、表4に示す平均精度および標準偏差(SD)で可能であることを確認した。例えば、コントロール 対 誘発グループの判別は、トレーニングセット(TR)で80.4±5.9%の、モニタリングセット(MO)で82.6±6.9%の最小精度で可能であった。グループを分離する能力を、図10B〜Dに示す相対距離プランマッピング(Relative Distance Plan mapping)を用いて図示する。全体として、xy‐トレースデータに基づくと、NMRスペクトル領域によって80%の最小精度で集団間を判別することが可能であり、中には90%超の精度で判別されるものもあった。
【0061】
【表1】
表1: 異なるモルモットグループの判別に用いた代謝物の濃度(mmol/mmol クレアチニン);平均値(STD)で示す
【0062】
表2 研究に登録された小児の特徴
【表2】
注)FEV1:強制呼気1秒量;ICS:吸入コルチコステロイド;N/A:該当なし/データなし
【0063】
【表3】
ICS:Inha
表3. 小児の異なるグループの判別に用いた各代謝物の濃度。(α)‐外来喘息患者 対 コントロールの識別に必要;(β)‐外来喘息患者 対 ED喘息患者の識別に必要;(γ)‐外来喘息患者 対 ED喘息患者 対 コントロールの識別に必要。メジアン値および四分値間範囲(IQR)をクレアチニン1mmolあたりの代謝物のmmol数で示す。
【0064】
【表4】
モルモット集団の分離のための最適NMRスペクトル領域は、線形判別分析およびリーブワンアウト内部クロス確認によって決定した。トレーニングセットは、データを10にランダム分割したものを用い、外部クロス確認後の分類の平均および標準偏差を示す。テストセットは、元のトレーニングセットの一部ではない動物からのNMRデータに前記モデルを使って盲検を行った後に決定されたこれらの領域に対する予測判別精度を示す。Ac(1)、Ac(2)、およびAc(O)は、クラス1、クラス2、および全体の分類精度パーセントを意味する。
【0065】
結果の分析および考察
ほとんどの喘息クリニックで患者の追跡に用いられる現行の方法(すなわち、病歴、身体状態、肺活量測定を用いる)が、治療介入を必要とする気道の病態生理学的変化を信頼性を持って識別する能力においてあまり感度が良くないことが明らかとなってきている6、30。さらに、大部分の医師が利用可能である最も一般的な客観的測定である肺活量測定は、年齢が6歳未満の小児のほとんどに適していない。コクラン分析(Cochrane analysis)は、炎症変化の測定によって臨床結果が改善されることを示唆した31。喀痰分析または呼気NOなどの非侵襲的試験が臨床的に有用であることが示されているが、それぞれいくつかの欠点を有する32。喀痰は、特に非常に幼い小児など、すべての患者にとって実用的であるわけではない。呼気NOは、実施がより容易であるが、その診断上の有用性は喀痰分析よりも低いと考えられる。さらに、両試験共、喘息の異質性の表現型を説明するのに実質的に1つのバイオマーカー(すなわち、それぞれ好酸球増加症またはNO)に依存している。嚢胞性線維症患者の喀痰のNMR分析の経験が、発明者らが尿をNMR分析用の別の生体液として考慮するきっかけとなった33。
【0066】
本明細書で述べる動物モデルは、アレルギー性気道機能障害の確立された動物モデルであり、これは、部分的に、ヒトの喘息増悪の過程で発生する状況を反映している。気道の反応性は、一般に、ヒスタミンなどの種々の因子に反応する気管支収縮の度合いとして測定される18。予想されるように、抗原誘発動物はAHRを発症し、これは、肺液中および組織分析で測定した気道炎症の増加と相関していた。気道炎症は、炎症細胞の代謝だけでなく、上皮、平滑筋、神経、および結合組織などの炎症の影響を受けた細胞の代謝も関与する、複合的な生理学的状態である。さらに、喘息が、骨髄からの血液を介する肺組織への細胞動員を伴う全身疾患であると見なすことが重要である34。さらに、気道機能障害のストレスは、肺以外の臓器に影響を与え得る(すなわち、低酸素血脳損傷)。従って、本明細書で述べる方法は、代表的な気道炎症と関連するものだけではなく、より広範囲のバイオマーカーを考慮するように設計される。それがヒト対象で機能するという証拠もまた、説得力のあるものである。
【0067】
代謝物濃度またはxy‐トレースとしてエクスポートされたスペクトルデータを用いたNMRスペクトルの多変量統計分析は、モデル内で喘息増悪のスペクトルを表す種々のグループを判別することができた。xy‐トレースデータから決定された領域のほとんどは、主として今のところは未知である代謝物を表しているが、これらの方法の間には交差する部分が存在することには留意することが重要である。例えば、図10Aに示す領域において、オキサルアセタート、グルコース、およびチロシンなどの代謝物は、これらの領域に共鳴ピークを有しており、xy‐トレース/統計的方法によって検出される代謝物の1つであり得る。従って、スペクトルおよびメタボロミクス分析のための2つの方法は、NMRスペクトル中の予想される、および予想されない代謝物を識別することによって相補的となる。現在進行中の研究では、xy‐トレースデータおよび多変量解析で特徴付けされた関連する新しい代謝物の同定を行っている。
【0068】
本研究は、ヒトの慢性安定喘息と非疾患状態(喘息を持たない)との間、ヒトの慢性安定喘息と増悪喘息との間、ならびにヒトの慢性安定喘息、増悪喘息、および非疾患状態の間、を識別するマーカー代謝物として有用である代謝物の群を同定した。
【0069】
この点において、対象における喘息の疾患状態を診断する方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0070】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および増悪喘息を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0071】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルに対する喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、増悪喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0072】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息、増悪喘息、および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0073】
別の態様では、対象における慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態と非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0074】
別の態様では、対象における慢性安定喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者および増悪喘息患者から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態と増悪喘息状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0075】
別の態様では、対象における増悪喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)増悪喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定すること;
(b)増悪喘息状態と非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0076】
別の態様では、慢性安定喘息の疾患状態、増悪喘息の疾患状態、および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態、増悪喘息状態、および非疾患状態を識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0077】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値を与えるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0078】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値、が与えられるように測定すること;
(c)増悪喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0079】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0080】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を、各々が生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定し、;
(c)慢性安定喘息の疾患状態、増悪疾患状態、および非疾患状態を識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0081】
本研究は、気道機能障害に起因する特定の代謝経路の重要性を確認するために設計されたものではなかった。しかし、データに基づくと、関連する可能性のある経路に関していくつかの推測が立てられ、これらは今後の研究の設計に影響を与えうるものである。例えば、2‐ヒドロキシイソブチラート、3‐ヒドロキシブチラート、および3‐メチルアジパートが重要であった。後者の2つの代謝物は、その大部分がβ酸化の過程で肝臓によって産生される35。その減少は、尿中グルコースの減少とも相関していた。誘発モルモットで観察された違いは、脂肪酸酸化から解糖へのスイッチを反映するものであり得る。これらの代謝物はまた、喘息を有する小児に関連するものでもあった。
【0082】
モルモットおよびヒトの研究を簡単に振り返ると、本明細書で開示する方法の格別な強みは、一般的に低酸素症のマーカーとして分類することができる代謝物を同定する能力であることが明らかである。ヒトの場合、喘息増悪は、重度の呼吸困難を引き起こす。このような呼吸困難は、人体組織に低酸素ストレスをもたらす。外来患者の状態においてさえ、喘息患者はある程度の気道閉塞を起こしており、これは理論的には、より軽いものであったとしても、ある程度の低酸素症ストレスを人体組織に引き起こし得るものである。誘発動物から示唆された代謝物はまた、クリニックの喘息患者または健常コントロールと比較するEDの喘息増悪小児のモデルとも関連するとわかった。本明細書で提示する方法によって上記で識別された代謝物の多くは、平行して行った研究において、低酸素傷害を示すことと関連付けられた。例えば、クエン酸サイクルと関連する代謝物が生ずると思われる。2‐オキサログルタラートは、分離を行うモデルのすべてにおいて重要であり、オキサロアセタートは、EDの小児のマーカーとして考えられた。どちらも、低酸素誘導因子(HIF)に影響を与えるものであり36、この因子は、エネルギー代謝、細胞成長、血管新生、および赤血球生成に関与する遺伝子の大きなファミリーを構成している37。2‐オキサログルタラートはまた、ジオキシゲナーゼの機能にとっても必要なものであった38。本発明の焦点を呼吸器疾患に絞ると、低酸素症の複数のマーカーのこの相関は、開示する方法の独特の特徴である。
【0083】
本研究は、健常コントロールと比較して外来喘息患者におけるスクシナートレベルが高いことを示すが、これは、EDの喘息患者においてさらに上昇する。乳児の呼吸促迫症候群は、尿中のスクシナートレベルに影響を与えることが報告された39、40。フマラートは、スクシナートの酸化によって形成され41、これもまた、EDのサンプルで上昇を見せた。EDのサンプルで上昇した別の代謝物である3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラートは、スクシナートの生成において重要であり41、酸化的損傷に寄与している42。クエン酸サイクルに関与する必須アミノ酸であるスレオニンは、外来喘息患者 対 コントロールの重要なマーカーであった。最後に、シス‐およびトランス‐アコニタートは、EDに登録された喘息患者と比較した外来喘息患者の重要なマーカーであった。シス‐およびトランス‐アコニタート以外については、出願者らは、類似のクエン酸サイクル代謝物が喘息の動物モデルを用いて既に報告されていることを過去に報告した43。
【0084】
クエン酸への影響と同様に、多くの代謝物をグルコースおよび脂質代謝の変化と関連付けることができた。2‐ヒドロキシイソブチラート、3‐ヒドロキシブチラート、3‐メチルアジパート、およびグルコースは、すべて分離モデルと関連していた35。O‐アセチルカルニチンおよびカルニチンは、分離モデルすべてと関連しており、これらは、ミトコンドリアでの酸化代謝における役割が知られている41。どちらも低酸素症ストレスと関連付けられている44、45。アデニンは、アデノシンの生成に必要である41。アデノシンは、細胞エネルギー代謝において重要な内在性プリンヌクレオシドである。細胞の損傷に反応して、アデノシンのレベルは一般的に上昇する。喘息では、アデノシンは、マスト細胞刺激に対する炎症誘発性であり得るが、同時に、その他の細胞型に対しては抗炎症性でもあり得る46。
【0085】
安定喘息 対 EDの不安定喘息の違いを識別するモデルでのみ見られる代謝物のいくつかは、長時間にわたる労作およびグルコース産生に対するストレスと関連付けられ得る。例えば、ラクタートは無酸素運動の間に上昇する41。アセトンは、ケトン体の産生後に形成され、通常は、グルコースの貯蔵が少なすぎる場合、および貯蔵されたオキサロアセタートが使い尽くされた場合である41。さらに、ラクタートが産生されている時、アラニンのレベルが上昇すると考えられる。アラニンは、貯蔵が少ない場合にグルコースを産生しようとする活動である糖新生作用(gluconeogensesis)の一部である41。細胞レベルでのエネルギー制御に重要である別の代謝物は、クレアチンである。本研究では、クレアチンは、悪化する喘息のマーカーであった。クレアチンは、内在的に合成され、筋肉内でリン酸化されてクレアチンリン酸となるものであり、濃度の上昇は、エネルギーが欠乏した生理状態を示唆するものであり得る47、48。最後に、グリコラートもまた、中間体の形成を通して、ミトコンドリアのエネルギー合成において重要である49。
【0086】
タンパク質およびアミノ酸代謝もまた、疾患の過程で変化し得る。代謝物ニコチンアミドの誘導体である1‐メチルニコチンアミドが重要であった。ニコチンアミドが喘息増悪に対する保護因子であることを示唆する報告がある50。フェニルアラニンは、チロシンおよびエピネフリンなどのカテコールアミンの産生において不可欠である必須アミノ酸である41。カテコールアミンは、気道狭窄51、ならびに物理的および生理的ストレスの間の恒常性維持52、53に対するその効果を考慮すると、喘息患者にとって重要である。ホモバニラートの尿中レベルは、カテコールアミン分泌腫瘍の診断に用いられる54。別の考察事項としては、組織内における好酸球活性による遊離チロシン残基の修飾が考えられる55。修飾チロシン残基である3‐クロロチロシンおよび3‐ブロモチロシンは、それぞれ嚢胞性線維症(CF)および喘息の患者から採取した喀痰サンプル中で過去に同定されている33。理論に束縛されることは望まないが、尿中チロシンもまた、好酸球および/または好中球の代謝活性の増加と関連し得る。残念ながら、3‐クロロおよび3‐ブロモチロシンのレベルは、NMRの検出限界よりも低い。
【0087】
代謝物の多くは、炎症反応の誘発すること、または進行中の損傷を抑制しようとすることのいずれかに関与することが知られている。1‐メチルヒスタミンは、すべてのモデルにおいて重要であった。これは、ヒスタミンから下流の代謝物であり、報告によると、喘息患者では1‐メチルヒスタミンの血清中レベルが高くなっており、喘息発作に続いて急激に上昇し、抗アレルギー薬治療によって低下する56、57、58。本研究では、より侵襲性の低い尿検査を用いてこれらの研究を確認した。キヌレニンは、酵素インドールアミン 2,3,ジオキシゲナーゼ(IDO)によるトリプトファン代謝の産物である59。IDO活性は、健常な状態およびアレルギーを含む疾患状態における免疫制御にとって重要である60。ビタミンB6(ピリドキシン)の異化産物である4‐ピリドキシン酸は41、研究した喘息患者において、コントロールと比較して減少した。ビタミンB6の活性型(リン酸ピリドキサール)のレベルが同様に低下することが、喘息を有する成人で報告されている61、62。
【0088】
メチルアミンおよびその誘導体ジメチルアミンは、水処理プラントで見られる単純な有機化合物であり、工業的に用いられている63。NSAIDの過用による胃の損傷のラットモデルにおける血清レベルの上昇も報告された64。トリメチルアミンN‐オキシドは、トリメチルアミンの酸化産物である。トリメチルアミンN‐オキシドおよびジメチルアミンはいずれも、糖尿病65、および腎損傷の動物モデル66において、その量が増加することが報告されている。やはり有機化合物であるホルマートは、細菌による発酵に関与している67。4‐アミノヒプラートおよびその誘導体ヒプラートは、喘息のグループで増加した。アミノヒプラートは、医薬品工業ではナトリウム塩として用いられることが多い。全体として、モデルにおいてこれらの代謝物が健常コントロールと比較して増加した理由は明らかではないが、1つのさらなる可能性は医薬品製造でのこれらの使用と関係があるかもしれない68。可能性として、このデータは、EDへの来診を防ごうとする小児における薬物の使用の予想される増加を反映するものであり得る。切迫する喘息発作を予測しようとする場合、患者が救急薬物の服用量を正しく伝えない場合が多いことから、薬物の使用に関するそのような正確なデータは有用であり得る。
【0089】
ミオ‐イノシトールは、炎症細胞などの細胞機能における二次メッセンジャーである69、70。多くの炎症カスケードがイノシトールを二次メッセンジャーとして利用しており、進行中の研究では、種々のサイトカインの相互作用および細胞内代謝への影響の理解を目的としている。呼吸促迫症候群を有する早産児では、ミオ‐イノシトールの減少は肺の成熟化および肺疾患の治癒にとって有害であった。喘息のモルモットモデルでは、ミオ‐イノシトールは誘発動物で最低であり、誘発デキサ動物で最高であった。ED小児ではこれが選択的に上昇したと考えられた。このことは、脂肪酸代謝の改善、炎症シグナル伝達の変化、またはステロイド治療に続く肺の治癒プロセスを示唆するものかもしれない。
【0090】
フェニルアセチルグリシンは、感作の後に減少し、誘発の後はさらに低下した。げっ歯類モデルでのフェニルアセチルグリシンのヒトでの同等物は、フェニルアセチルグルタミンである71。フェニルアセチルグルタミンのレベルは、リン脂質代謝異常の症候群72〜74、アミノ酸吸収障害、およびフェニルアセタートの胃吸収の増加状態72を有するヒトおよびげっ歯類で上昇する。ヒトの場合、胃の透過性およびミクロフローラが、アトピーおよび喘息の発症に影響し得る75。感作および誘発モルモットのフェニルアセチルグリシンの尿中濃度の減少は、喘息増悪モデルの胃腸機能についての全般的な全身的影響を意味するものかもしれない。
【0091】
サルコシンは、コリンのグリシンへの代謝における中間体であり、筋肉およびその他の身体組織中に見られる。サルコシンとコリン(神経伝達物質アセチルコリンの重要な成分)の間の関連は、ある程度の期間にわたって研究されて来ているが、より最近では、サルコシンは、特に統合失調症患者における神経伝達の調節での役割について研究されている。NMDA受容体を間接的に活性化する1型グリシン輸送体インヒビターとして、サルコシンはシナプス可塑性における役割を担うかもしれない。誘発モルモットで見られたサルコシン濃度の上昇は、増加した神経伝達、筋肉活性、または変化した神経機能と相関し得る。誘発モルモットのサルコシンレベルは、ステロイド処理後に低下しており、これもやはり、AHRと変化した神経および筋肉機能との関連の可能性を示唆するものである。
【0092】
予想されるように、デキサメタゾンの投与により、コントロールおよび誘発モルモットの両方において代謝の尿測定値が変化した。デキサメタゾン治療コントロールは、コントロールよりも著しく低いレベルのフェニルアセチルグリシンを示した。しかし、誘発動物はさらに低いフェニルアセチルグリシンレベルを持つと考えられ、これは、デキサメタゾン治療後にコントロールのレベルへ戻った。このことは、デキサメタゾンは、コントロール動物の正常なアミノ酸およびリン脂質恒常性維持を撹乱し得るが、誘発動物では病態経路を中和する働きをし得ることを示唆している72、74。デキサメタゾンは、誘発デキサ動物においてレベルが上昇したことから、2‐ヒドロキシイソブチラートおよびグルコースの尿中排泄への誘発による影響を逆転させたと考えられる。
【0093】
しかし、本方法は、種々の呼吸器疾患を分類することができることから、特有の病態生理的プロセスを示す重要な代謝物を明らかに同定できるだけでなく、特定の各肺疾患の診断を可能とする全体的な病態プロファイルを取得することもできる。この方法は、動物およびヒト対象の基本的な生理的反応と相関する代謝物およびバイオマーカープロファイルを、診断および予後分析の基礎となる病態生理的経路によって作られる独特のプロファイルおよび代謝物へと返すものである。
【0094】
本明細書で開示する方法の非常に大きな強みは、疾患および回復の状態を示す特有の生理的移行の過程において、これらの代謝物を検出、定量、および追跡する能力である。本研究は、喘息の動物モデルにおける気道機能障害が、尿のNMR代謝物プロファイルの変化と相関することを示している。本研究は、喘息の動物モデルにおける尿の1H‐NMR分光分析により、気道炎症および気道過敏性(AHR)を持つ動物と持たない動物を識別することができることを示している。バイオマーカーの「パネル(panel)」またはプロファイルを例とする2つ以上の代謝物の組み合わせに基づいて動物の違いを識別するための方法を提供する。これらのデータは、喘息を持つヒトへとうまく広げることができた。
【0095】
ヒト疾患にメタボロミクスに基づく技術を用いることに対する関心が高まりつつある76。喘息の分野では、複数のグループが尿などの様々な生体液中の単一の代謝物について研究を行っており、臨床的実践における成功の度合いは様々であった77〜80。本明細書では、喘息の分野では新規である、尿中因子の組み合わせに対して多変量統計分析を用いる方法を提供する。本明細書では、尿NMR分析を用いて、喘息を持つヒト、特に気道機能のほとんどの客観的測定が困難である場合が多い小児におけるモニタリングを行うための診断方法およびツールを提供する。
【0096】
本発明を、説明のための実施形態および実施例を参照して説明したが、その説明は限定する意味で解釈されることを意図するものではない。従って、当業者であれば、本説明を参照することで、その説明のための実施形態、ならびに本発明のその他の実施形態の種々の変形が明らかであろう。従って、添付の請求項が、そのようないかなる変形または実施形態をも含むことを意図している。さらに、請求項はすべて、参照することで好ましい実施形態の説明に組み入れられる。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
【表7】
【0100】
【表8】
【0101】
【表9】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2008年8月18日出願の米国特許仮出願第61/136,198号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、対象の疾患を診断するための方法に関する。特に、本発明は、対象の呼吸器疾患を診断するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸器系の疾患は、高い死亡率の要因ではないものの、社会への影響という点における主要な疾患の1つであり続けている。1998/99の国民健康調査(National Population Health Survey)によると、約2,474,400人のカナダ人が喘息と診断され、498,900人がCOPDと診断されていた。これらの疾患による死亡者数は、それぞれ454人および9,398人であった。COPDは、カナダにおける死因の第5位であり、罹患率が上昇している唯一の疾患である。喘息の罹患率は世界的に上昇しており、これは最も一般的な小児の慢性疾患である。このような状況は、医療システムに著しい負荷をかけており、直接および間接的なコストは年間40億ドル超に相当する。市中感染性肺炎(CAP)は、年間におよそ400,000人のカナダ人が罹患しており、入院患者の8%が死亡している。カナダの医療システムがCAPにかけるコストは、年間に10億ドルと推定される。感染性疾患の治療の進歩にもかかわらず、肺炎に関連する死亡率はこの20年間で増加している。細気管支炎は、社会の幼児および高齢者が罹患する傾向にある。これは、小児科において入院を要する最も一般的な疾患であり、1987年から1997年にかけて入院率が45〜55%上昇した。その結果、細気管支炎はカナダの主要な医療関連支出の1つであり、年間2300万ドルである。
【0004】
呼吸器系の疾患のほとんどに共通する特徴は、何らかの形の肺の炎症である。肺の炎症は、特定の炎症細胞、および細胞活動によって産生された副生成物から成る。従って、特定の肺疾患の診断は、その臨床症状だけでなく、測定された炎症の型によっても行われることが多い。炎症細胞は、気道中で酵素およびその他のタンパク質を放出し、これらは測定可能であり、細胞型に特異的なものである(すなわち、マスト細胞トリプターゼまたは好酸球カチオン性タンパク質)。各々の疾患に対する治療は、この炎症に対処するように設計される(すなわち、副腎皮質ステロイド 対 抗生物質)。例えば、喘息患者は、喀痰サンプルが好酸球と称される細胞について陽性を示す場合が多く、COPDまたは肺炎の患者は、喀痰の好中球が増加する1。乳児は痰を作り出さないが、気管支鏡検査のサンプルから、喘息増悪の過程で好中球および好酸球が見られる2。
【0005】
炎症と治療とのつながりが確立されている肺疾患の良い例が喘息である。喘息は、患者の症状、肺機能、および治療に対する反応に基づいて多くの臨床的分類を有する混成症候群(heterogeneous syndrome)である。臨床医が治療法の指針として用いる症状および肺機能の客観的測定の大部分は、アレルギー性気道炎症によるものである(すなわち、好酸球およびマスト細胞)3。従って、国際的ガイドラインでは、炎症を制御するように治療法を調節することを目的として管理することが望ましいと提案されている45。
【0006】
臨床医にとって残念なことに、個々の患者においてこの炎症を検出することは困難であることが多い。そうする代わりに、臨床医は、生理的(すなわち、肺活量測定、ピークフロー、気道過敏性(AHR))または機能的(すなわち、症状またはクオリティオブライフ)測定によって治療に対する反応を評価することに依存している。これらの検査は有用ではあるが、後に臨床的重要性を持つことになる炎症状態の変化に対して比較的感度が悪いと思われる67。例えば、Green et al.は、気道炎症、誘発痰、および/または呼気一酸化炭素(eNO)の客観的測定を治療法の指針として用い、自分たちの喘息患者に対する優れた臨床結果を実証した7。上記の従来からの測定と比較して、気道炎症を直接測定することで、肺機能または症状の測定が変化する前に、喘息増悪が検出された。従って、患者には、従来の治療を受けているグループよりも早く投薬治療の増減の調節が行われた。全体として、用いられた副腎皮質ステロイドの量は、炎症測定を行ったグループの方が少なかった。
【0007】
気管支鏡検査から精密な炎症測定は可能であるが、この検査は侵襲的であり、日常的な臨床現場で利用可能なものではない。従って、誘発痰、eNO、および体液中の種々の炎症マーカーなど、非侵襲的な炎症測定に焦点を当てて研究が行われてきた。喀痰による実績は価値のある結果を示してきたが、ほとんどのセンターでその利用可能性が限られていること、ならびに小児および成人の多くでさえ喀痰ができないことなど、その臨床的利用には依然として大きな障害が存在する。呼気NOは、これらの障害の一部を克服するものではあるが、しかし、eNOは喘息炎症および転機との相関を経験的に示すものの、時間、協力、4歳超の年齢が必要であり、非常に注意深く行わない限り、気道ではなく鼻腔の値を測定してしまう可能性がある8。結局のところ、eNOは依然として誘発痰の感度および特異性を有してはいない。血液または尿における喘息炎症に対するその他の検査、すなわち尿ロイコトリエンまたは好酸球タンパク質X、が研究されてきたが、これらは臨床上での実施に必要とされる感度を持たない。全体として、気道炎症を有する患者に対する簡便で非侵襲的、容易に利用可能であり感度の高い検査は、現在のところ広く利用可能であるとは言えない。
【0008】
バイオマーカー、すなわち、尿などの生体液中の代謝物、の同定に用いることができる技術がいくつか公知である。多くの公知技術は、元のサンプルを破壊する可能性のある高度のサンプル調製を含んでいる。さらに、これらの技術のいくつかでは、バイオマーカーの検出が制限され得る。
【0009】
疾患状態の識別に単一のバイオマーカーを用いる他の非侵襲的技術も使用されている。このような技術では、呼吸器系の疾患など、単一の因子に依存するものではない疾患状態の検出が制限され得る。
【発明の概要】
【0010】
1つの態様では、
(a)対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データを取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、
(i)疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)第一の疾患状態、第二の疾患状態、および非疾患状態、
を識別するための所定のプロファイルと、を比較して、疾患状態の診断を提供すること、
を含み、前記比較は前記生物サンプルの成分の同定を含まない、対象における疾患状態を診断する方法が提供される。
【0011】
別の態様では、
(a)対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データをxyトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、
(i)疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)第一の疾患状態、第二の疾患状態、および非疾患状態、
を識別するための所定のプロファイルと、を比較して、疾患状態の診断を提供すること、
を含み、前記比較は生物サンプルの成分の同定を含まない、対象における疾患状態を診断する方法が提供される。
【0012】
別の態様では、
(a)疾患状態および非疾患状態の対象から得られた複数の生物サンプルに対して核磁気共鳴データをxyトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行って:
(i)疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)第一の疾患状態、第二の疾患状態、および非疾患状態、
を識別することができるxyトレースのスペクトル領域の組み合わせを選択すること、
を含む、疾患状態を診断するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。
【0013】
さらに別の態様では、
(a)対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データを取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、各々が:
(i)疾患状態と非疾患状態、または
(ii)第一の疾患状態と第二の疾患状態、
をそれぞれ識別するものである2つの所定のプロファイルと、を比較し、疾患状態の診断を提供すること、
を含む、対象における疾患状態を診断する方法が提供される。
【0014】
1つの態様では、
(a)対象から得られた生物サンプルに対して核磁気共鳴データをxyトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、各々が:
(i)疾患状態と非疾患状態、または
(ii)第一の疾患状態と第二の疾患状態、
をそれぞれ識別する2つの所定のプロファイルと、を比較して、疾患状態の診断を提供すること、
を含み、前記比較は生物サンプル成分の同定を含まない、対象における疾患状態を診断する方法が提供される。
【0015】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断する方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1(yellow‐7.1)、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0016】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき、前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および増悪喘息を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0017】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき、前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、増悪喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0018】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて、前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息、増悪喘息、および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0019】
別の態様では、対象における慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態との間の違いを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態と非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0020】
別の態様では、対象における慢性安定喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態との間の違いを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者および増悪喘息患者から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態と増悪喘息状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0021】
別の態様では、対象における増悪喘息の疾患状態と非疾患状態との間の違いを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)増悪喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定すること;
(b)増悪喘息状態と非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0022】
別の局面では、慢性安定喘息の疾患状態、増悪喘息の疾患状態、および非疾患状態の間の違いを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態、増悪喘息状態、および非疾患状態を識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0023】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を、複数の生物サンプル濃度値であって、各々が生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度値である、複数の生物サンプル濃度値が提供されるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0024】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が提供されるように測定すること;
(c)増悪喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0025】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が提供されるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0026】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を、各々前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が提供されるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態、増悪疾患状態、および非疾患状態を識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0027】
本明細書で開示する方法について、以下の図を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】図1Aは、ヒプラートの共鳴シグネチャの標準トレースの上にモルモット尿サンプルの600MHz 1D 1H‐NMRスペクトルを示す図である。
【図1B】図1Bは、全代謝物についての、誘発モルモット 対 感作モルモット間の変動係数プロットを示す図である。
【図1C】図1Cは、誘発モルモット 対 感作モルモットに対する重要度変数プロットを示す図である。
【図2A】図2Aは、モルモットのPpiの上昇によって測定した、ヒスタミン誘発(1〜20μg/kg i.v.)用量依存的気管支収縮を示すグラフである。
【図2B】図2Bは、誘発モルモットの肺洗浄液中の全細胞を示すグラフである。
【図2C】図2Cは、別々のモルモット群における気道中の好酸球数を示すグラフである。
【図3A】図3Aは、コントロール 対 感作 モルモット群間を分離する最終モデル化におけるPLS‐DAにおいて用いられた、NMRから得られた尿中代謝物濃度についての変動係数プロットを示す図である(バーは95%信頼区間を表す)。
【図3B】図3Bは、コントロール 対 誘発 モルモット群間を分離する最終モデル化におけるPLS‐DAにおいて用いられた、NMRから得られた尿中代謝物濃度についての変動係数プロットを示す図である(バーは95%信頼区間を表す)。
【図3C】図3Cは、感作 対 誘発 モルモット群間を分離する最終モデル化におけるPLS‐DAにおいて用いられた、NMRから得られた尿中代謝物濃度についての変動係数プロットを示す図である(バーは95%信頼区間を表す)。
【図4A】図4Aは、NMRから得られた尿中代謝物濃度に基づいたコントロール(丸) 対 感作(四角)モルモット群のPLS‐DA分離を示す3次元プロットの図である(R2=0.53、Q2=0.29)。
【図4B】図4Bは、NMRから得られた尿中代謝物濃度に基づいたコントロール 対 誘発(三角)モルモット群のPLS‐DA分離を示す3次元プロットの図である(R2=0.74、Q2=0.59)。
【図4C】図4Cは、NMRから得られた尿中代謝物濃度に基づいた感作 対 誘発モルモット群のPLS‐DA分離を示す3次元プロットの図である(R2=0.63、Q2=0.50)。
【図4D】図4Dは、NMRから得られた尿中代謝物濃度に基づいた全動物グループの三元解析のPLS‐DA分離を示す3次元プロットの図である(R2=0.54、Q2=0.25)。
【図5A】図5Aは、誘発モルモットグループおよび誘発に加えてデキサメタゾン処理したモルモットグループの分離に用いた、NMRから得られた尿中代謝物濃度の変動係数プロットを示す図である(バーは95%信頼区間を表す)。
【図5B】図5Bは、誘発グループと誘発デキサ(challengeddex)グループとの間の分離のPLS−DAを視覚化した図である。
【図6】図6(A)は、健常コントロール小児 対 外来クリニックにおける喘息を持つ小児のPLS‐DAによる分離を示す3次元プロットの図である。前記プロットは、変動係数プロット(B)として示されPLS‐DAによって分析された既知の代謝物濃度から作製される。用いた代謝物は、重要度変数プロット(C)で示されるように、モデルでのその重要性に関して順位付けすることができる。
【図7】図7(A)は、健常コントロール小児 対 救急部における喘息を持つ小児のPLS‐DAによる分離を示す3次元プロットの図である。前記プロットは、変動係数プロット(B)として示されPLS‐DAによって分析された既知の代謝物濃度から作製される。用いた代謝物は、重要度変数プロット(C)で示されるように、モデルでのその重要性に関して順位付けすることができる。
【図8】図8(A)は、外来クリニックにおける安定喘息を持つ小児 対 救急部における喘息を持つ小児のPLS‐DAによる分離を示す3次元プロットの図である。前記プロットは、変動係数プロット(B)として示されPLS‐DAによって分析された既知の代謝物濃度から作製される。用いた代謝物は、モデルでのその重要性に関して順位付けすることができる。
【図9】図9は、健常小児(白四角) 対 外来クリニックにおける安定喘息を持つ小児(白丸) 対 救急部における喘息を持つ小児(黒丸)の小児3グループすべてのPLS‐DAによる分離を示す3次元プロットの図である。前記プロットは、PLS‐DAによって解析された既知の代謝物濃度から作製される。上位30の代謝物を用いることで、R2=0.74、Q2=0.61のモデルを得た。
【図10A】図10Aは、いくつかの誘発モルモット(I)およびコントロールモルモット(II)からの1D1H‐NMRスペクトルのプロットを、6つの個別の結果を重ねて示す図である。
【図10B】図10Bは、コントロール 対 誘発 のモルモットグループについて、xy‐トレースデータのRDPマッピングを示す図である。
【図10C】図10Cは、感作 対 誘発 のモルモットグループについて、xy‐トレースデータのRDPマッピングを示す図である。
【図10D】図10Dは、誘発 対 誘発‐デキサメタゾン(「誘発デキサ」とも称する)のモルモットグループについて、xy‐トレースデータのRDPマッピングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
喘息は、可逆的気道閉塞および種々の刺激に対する気道の異常な反応性に起因する呼吸困難を特徴とする。喘息患者で見られる気道の病態は、異常な構造細胞9、10および炎症細胞3が独特に混在していることであり、これらは他の気道疾患では一般的には報告されない。喘息の重症度および気道過敏性(AHR)の度合いは、気道内における気道炎症の存在および大きさと相関する11。従って、喘息の管理は、炎症の制御に依存してきた5。気道の機能障害および炎症を非侵襲的手段で正確にモニタリングする能力を向上することが、喘息治療の管理における重要な目標である。
【0030】
メタボロミクスとは、代謝経路の研究、および生体系で産生される独特な生化学分子の測定である12。代謝物は、分子量が1kDa未満の小さい非ペプチド分子であり13、細胞活動による最終産物である。代謝物濃度の変化を検出することにより、疾患状態またはその治療介入によって引き起こされる様々な生化学的影響が明らかとなる。1H‐核磁気共鳴分光法(NMR)は、生体液中のこれらの代謝物の同定および定量を可能とするものである。NMRを用いることによる主たる利点は、最小限のサンプル前処理にて正確な代謝像が迅速に得られるその能力である14、15。尿の利点は、それが非侵襲的に採取され広く利用可能であること、タンパク質および細胞のレベルが低いこと、ならびに代謝物が豊富に含まれていることなどである。
【0031】
モルモットは、その気道の生理機能が他に類がないほどヒトのそれと類似していることから、信頼性の高い喘息の動物モデルである16、17。アレルゲンで感作し、次にアレルゲンのエアロゾル化で誘発したモルモットは、気道炎症、呼吸仕事量増加、低酸素期間、続いて気道過敏性(数日間続く)を起こす。これは、アレルギーを持つヒトに類似している。アレルギー性喘息のこの動物モデルの使用を本明細書で説明し、尿中に排出される体内における代謝物の独特のパターンを作製することにより気道炎症細胞の気道への影響を示す。これらの尿中代謝物は、NMR分光法を用いて測定することができ、バイオマーカーパネルとして用いて動物のサブタイプを判別することができる。この方法のヒト疾患における妥当性についても説明する。(i)健常小児、および(ii)喘息を持つ小児からの尿サンプルについて研究した。喘息患者の集団には、外来クリニックにおける安定な小児患者、および救急部における病状が非常に悪い小児患者が含まれる。
【0032】
呼吸器疾患などの疾患状態の診断、および対象におけるその状態のモニタリングを行う方法を提供する。
【0033】
そのような方法は、慢性閉塞性肺疾患、喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、細気管支炎、肺炎、間質性肺疾患、閉塞性睡眠時無呼吸、嚢胞性線維症、および結核などの疾患に適用される。
【0034】
本明細書で述べる方法は、生物試験サンプルが対象から得られることを必要とする。前記生物試験サンプルは、血液、血漿、血清、唾液、胸水、鼻腔液、細胞内液、細胞間液、リンパ液、脳脊髄液、胆汁酸、滑液、囲心腔液、腹水、糞便、眼内液、組織、喀痰、および尿から成る群より選択することができる。1つの態様では、生物試験サンプルは尿である。
【0035】
前記サンプルから、液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、キャピラリー電気泳動、質量分析、液体クロマトグラフィ‐質量分析、ガスクロマトグラフィ‐質量分析、高速液体クロマトグラフィ‐質量分析、キャピラリー電気泳動‐質量分析、ラマン分光法、近赤外線分光法、および核磁気共鳴分光法を含む群から選択される分光測定および分光法技術の1つ、もしくは2つ以上、もしくは組み合わせを用いて少なくとも1つの代謝物の濃度を測定することができる。
【0036】
さらに、前記サンプルから、NMRスペクトルのxy‐トレースデータからの値を得ることができる。
【0037】
生物試験サンプルの最終プロファイルは、データ(すなわち、いくつかの代謝物の濃度またはxy‐トレースデータ)に対して統計分析を行うことで決定される。用いても良い統計分析の種類としては、多変量統計分析が挙げられ、その例としては、これらに限定されないが、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析が挙げられる。
【0038】
各疾患状態に対して関連する代謝物の濃度または組み合わせにより、疾患の診断および/または既知の疾患の重症度が決定される。1つの態様では、生物試験サンプルのプロファイル(対象プロファイル)および所定のプロファイルは、多変量統計分析から決定されるスコアプロットとして示される。例えば、表1に、喘息モデル内のアレルゲン感作およびアレルゲン誘発のモルモットを異なるグループに分離する、関連する代謝物の濃度を挙げる。モルモットによる研究に基づき、同じ技術を実施して、喘息を持つヒトからの尿を用いて健常コントロールと比較した(表2)。表3には、喘息を持つ小児を、喘息を持たない小児または喘息増悪を持つ病状のより悪い小児から識別する、関連する代謝物およびその濃度を挙げる。従って、これらの代謝物は、喘息の診断に用いることができるだけでなく、喘息を持つ小児をモニタリングして、尿のNMRプロファイルが切迫する喘息発作を示唆するときを決定することにも用いることができる。
【0039】
1つの態様では、疾患は喘息である。ある態様では、前記方法は、疾患状態の重症度の違いを表す第一および第二の疾患状態を診断することができる。例えば、本明細書で述べる方法を用いて、安定な慢性喘息および増悪喘息を診断することができる。
【0040】
他の態様では、対象プロファイルを2つの所定のプロファイルと比較することができ、ここで、2つの所定のプロファイルの各々は:
(i)疾患状態と非疾患状態との間、および、
(ii)第一の疾患状態と第二の疾患状態との間、
をそれぞれ識別するものであり、それによって疾患状態の診断が提供される。そのような診断には、疾患状態の存在、非存在、または重症度の判定を含んでもよい。
【0041】
「濃度」および「濃度値」という用語の各々は、濃度、または濃度と関連するもしくは濃度から得られる数値であり、濃度、または濃度と関連するもしくは濃度から得られる数値の統計分析の結果である数値を含む。
【0042】
さらなる態様では、NMRスペクトル(すなわち、表4)からのxy‐トレースデータに基づく対象において疾患を診断する方法を実施するための説明書を含むコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。NMRスペクトルのxy‐トレースデータからの値の組み合わせは、モデル内の異なる集団を分離することができるNMRスペクトルの領域を含む。別の態様では、コンピュータ読み取り可能な媒体は、所定のプロファイルをさらに含む。
【0043】
添付の図面および以下で述べる実施例を参照して、本方法を詳細に説明する。
【0044】
動物およびヒトに用いられる方法
(A)動物(モルモット)対象の試験
動物の特徴およびそのプレコンディショニング:
メスのダンキン‐ハートレイモルモット(GP)(特定病原不在、180〜450g、チャールズリバーラボラトリーズ(Charles River Laboratories)、セントコンスタント(Saint-Constant),カナダ)を、アルバータ大学健康科学動物政策福祉委員会(University of Alberta Health Sciences Animal Policy and Welfare Committee)によって確立された基準およびカナダ動物管理協会(Canadian Council on Animal Care)のガイドラインに従って用いた。生理学的研究を行う前に、モルモットはすべて新しい環境に少なくとも1週間適応させた。この喘息増悪モデルでの過去の研究に基づいて17‐19、モルモットを以下の5つのグループに分けた:1)未処理、非感作コントロール(コントロール、n=18);2)水溶性デキサメタゾン(シグマ‐アルドリッチ、オンタリオ,カナダ)を6.5μg/kgにて毎日3日間にわたって腹腔内投与したコントロールGP(コントロールデキサ(controldex)、n=4);3)第1日および第3日に10mg/kgの腹腔内投与にて卵白アルブミン(OVA)のみ(シグマ‐アルドリッチ)で感作し、そのまま21日間経過させたモルモット(感作、n=18)、4)21日後の感作GPを0.9%生理食塩水中の0.5%卵白アルブミンをエアロゾル化して10〜20秒間誘発したもの(誘発、n=29)、および最後に5)誘発モルモットのうち、誘発の1時間後、そして次の2日間にわたって毎日6.5μg/kgにてデキサメタゾンの腹腔内投与で治療したもの(誘発デキサ、n=12)。OVA誘発の4日後、または感作のみの21日後に気道の機能および炎症を評価した。
【0045】
動物対象における気道過敏性(AHR)の評価:
モルモットをウレタン(1.5g/kg i.p.)で麻酔し、気管開口し、スクシニルコリンクロリド(シグマ‐アルドリッチ)(10μg/kg/分、i.v.)による麻痺の後、人工呼吸を行った。過去の報告に従い17、(パワーラブ(Powerlab)、アドインスツルメント(AdInstruments),コロラドスプリングス,米国)を用いて肺膨張圧(Ppi)を測定した。気道反応性を評価するために、ヒスタミン(シグマ‐アルドリッチ)を6分間隔で投与した(1〜20μg/kg i.v.)。得られた気管支収縮を、Ppiの増加として記録した。
【0046】
動物対象における気道炎症の評価:
動物をウレタンの過剰投与(3gm/kg i.v.)で屠殺した。肺洗浄液の細胞スメアの総細胞数および細胞別数をカウントした(Diff‐Quik(登録商標)、バクスターヘルスケアコーポレーション(Baxter Healthcare Corp))17。肺を取り出し、膨張させ、3.7%ホルムアルデヒド中にて24時間固定した。気道セクションを2%クロモトロープ2Rで染色し、過去の報告に従って20、10強拡大視野(#/hpf)あたりの好酸球の平均数を測定した。
【0047】
動物対象における気道反応性および炎症の統計分析:
気管支反応性測定(ヒスタミン反応)を、2元配置分散分析(ANOVA for repeated measures)を用い、組織学的な測定値および肺洗浄液データを、ANOVA(スタットビュー4.5;アバクスコンセプツ(Abacus Concepts, Inc.),バークレー,カリフォルニア州)を用いて解析した。結果は、平均値および平均値の標準誤差(SEM)および標準偏差(SD)でそれぞれ表す。0.05のP値を有意と見なした。
【0048】
(B)ヒト対象の試験
本研究で用いたヒト対象の特徴:
ストラリー小児病院(Stollery Children's Hospital)の喘息クリニックおよび救急部(ED)から小児をリクルートした(表2)。外来喘息患者の小児は、まず小児科の肺またはアレルギーの専門家を紹介され、少なくとも1回の診察の後、カナダコンセンサスガイドライン(Canadian Consensus guidelines)21に記載の喘息の診断基準に該当した場合に登録された。急性喘息を有するEDの小児は、以下の1もしくは2つ以上に基づいて診断された:a)評価を要する症状の増加(咳、喘鳴、息切れ、胸部絞扼感)および類似の憎悪現象(episode)の病歴;b)吸入気管支拡張薬治療に対する臨床的または症候的反応;および/またはc)過去の医師の診断による喘息の病歴。患者は、最初は急性喘息を起こしている必要があり(単なる処方箋の再調剤ではなく)、急性肺炎の場合、直ちに蘇生術を必要とする場合(喘息発作重積状態)、認知障害の場合、または免疫不全を有することが分かっている場合は、除外された。健常な年齢および性別がマッチしたコントロールを、一般小児外来クリニックおよび地域からリクルートした。何らかの基礎肺疾患(すなわち、慢性の咳もしくは喘鳴、CF、喘息、免疫不全、または経口ステロイドの服用)を有する場合、悪性腫瘍が判明している場合、慢性炎症性/感染性疾患の場合、心疾患の場合、および早産に関連する新生児肺疾患の場合は、健常コントロールから除外された。患者は、アルバータ大学医療研究倫理委員会(University of Alberta Health Research Ethics Board)に承認され、ヘルシンキ宣言および適正臨床基準ガイドライン(Good Clinical Practice guidelines)に従った文書によるインフォームドコンセントが得られた後に、研究に登録された。
【0049】
(C)動物およびヒトのデータ分析に用いた方法
1次元1H‐NMRスペクトル測定のためのヒトおよび動物の尿サンプル採取:
動物尿データについて:麻酔下にて、しかし気道炎症測定を行う前に、尿サンプル(1.0〜2.0cc)を経腹膀胱穿刺で得られた。ヒト尿データについて:中間尿サンプルを、標準的な50ml検体容器に採取し、直ちに外来クリニックの冷凍庫で保存した(−20℃)。3時間以内に各尿サンプルを、アルバータ大学、NANUC(カナダ高磁場NMRセンター(National High Field NMR Centre))の−80℃の冷凍庫へ移した。NMRスペクトルの測定のために、バイオセイフティードラフト内でサンプルを解凍し、630μlのアリコートを取り出して1.5mlのエッペンドルフ管に入れ、続いて70μlの参照緩衝液(D2O中において4.9mM DSS(2,2‐ジメチル‐2‐シラペンタン‐5‐スルホン酸二ナトリウム)および100mM イミダゾール、シグマ‐アルドリッチ)を添加した。HClおよびNaOHを用いて各サンプルを7.0±0.1のpHとした。未遠心分離のアリコート600μlを取り、標準的な5mmガラスNMR管(ウィルマッド(Wilmad),ニュージャージー州)に移した。1H‐NMRスペクトルを、z軸勾配コイルを有する5mm三重共鳴(HCN)プローブを備えた600MHz Inova分析器(バリアン(Varian Inc),パロアルト,カリフォルニア州)で得た。1次元1H‐NMRスペクトルは、tnnoesyパルス配列(1次元、3パルスNOESY、予備取得遅延中の水抑制のためのトランスミッター予備飽和遅延900msおよび混合時間100ms)、およびスペクトル幅7200Hzにより、25℃で得た。タイムドメインデータ点は64k複合点、取得時間は4s、90°パルスは6.8μs、繰り返し時間は5sであり、定常状態スキャンが4回、FID(自由誘導減衰(Free Induction Decay))あたり32の取得スキャンであった。データは、0.5Hzの線幅拡大に対応する指数窓関数でアポダイズし、128kの複合点にゼロ充填し(zero-filled)、フーリエ変換した22。
【0050】
既知代謝物の定量:
種々の関連する代謝経路に関与する容易に識別可能な50〜70の代謝物の定量を、Chenomx NMR スイートプロフェッショナルソフトウェアパッケージ バージョン3.1(ケノミクス(Chenomx Inc.),エドモントン,AB)を用いて行った23。このソフトウェアは、参照スペクトルの共鳴周波数またはシグネチャが付属する既知代謝物のデータベースを有する。このソフトウェアは、これらの既知の共鳴周波数と得られたスペクトルの観測された共鳴周波数とのマッチングが可能であり、それによって、尿のNMRスペクトルにおける代謝物の定性的および定量的分析が可能となる(図1A)。DSSのメチル基から共鳴一重項が得られ、これを、スペクトルのケミカルシフト(0ppmに設定)および定量化の内標準として用いた。この内部DSSシグナルはまた、濃度レファレンス(0.49mM)としても用いた。希釈を補正するために、代謝物濃度を、尿中クレアチニンに対して標準化した24。この方法により、90%を超える代謝物濃度の精度を得ることができる23、25。代謝物の排出は日によって変動するが、ヒトの食事に起因するものに限定すると、変動は見られなかった24、26。
【0051】
既知代謝物に基づくグループの分離:
動物または患者のグループを尿中代謝物濃度に基づいて分離するために、各動物/小児について50〜70の代謝物濃度の値を対数変換し、SIMCAソフトウェア(SIMCA‐P 11、ユーメトリックス(Umetrics),米国)へインポートした。ヒトデータで見られるように24、濃度(μM)は、測定した代謝物に応じて大きく変動した。例えば、尿中の尿素の量は、ラクタートよりも対数のオーダーで多い。モデル中の濃度がより低い代謝物の影響を、豊富に存在する代謝物の変化と同等に評価するために、方法は、濃度の相対的変化を検出する必要がある。従って、代謝物濃度を中央平均化し、続いて単位分散スケーリング(unit variance scaling)(またはz‐スコアリング(z-scoring))を行った。その後、部分最小二乗法判別分析(partial least squares discriminant analysis)(PLS‐DA)を行った(SIMCA‐P 11)。PLS‐DAは、反応ベクトルY(すなわち、対象グループ)とマトリックスX(各代謝物の濃度)との間の関係を、YおよびX空間を平面へ同時に射影することにより決定するものである。次に、データを7個の部分に分けることで7重の内部クロス確認を行い(初期設定による)、各1/7番目を順に除去した。最終モデルは、新しいモデルに残された6/7番目の代謝物データに基づいて選択した。このプロセスにより、動物または患者のグループ間で濃度が大きく異なった代謝物が識別され、これは変動係数プロットとして示される(図1B)。最初は、変数すべてを有するモデルを作製した。グループ間の代謝物濃度の一貫した相違が大きいほど、モデルを作製する上でその代謝物の重要度が高くなり、これは重要度変数プロット(VOI、図1C)として示される。代謝物値についてノンパラメトリック検定も行い、SIMCAによって作製された代謝物の重要度とクロスチェックした(マンホイットニー検定、スタットビュー(Statview)4.5)。結果のセクションに示す代謝物の最終リストは、VOIおよびノンパラメトリック分析による統計的有意性の確認に基づいて選択した。この手順により、相関係数(R2)および予測特性(prediction properties)(Q2)のいずれについても最も正確であるモデルが得られた。
【0052】
NMRスペクトルデータのXY‐トレースに基づく動物グループの分離:
各動物サンプルに対する1D 1H‐NMRスペクトル(32kデータ点)を、バリアンマクロxy‐トレース(Varian macro xy-trace)(ASCIIフォーマット)を用いてエクスポートし、多変量統計分析を行った。このプログラムは、1‐Dスペクトルラインの視覚表示を、XおよびY軸上の位置についての一連の値に変換するものである。例えば、X軸上の各位置について、NMRトレーシングに見られるピークおよび谷の部分を表すYの値が存在する。所定の点XにおけるYの値は、尿中代謝物の異なる種類および濃度によって決定される。従って、xy‐トレースデータからはまた、代謝物の同定および定量も行われるが、xy‐データ上の位置についてのみであって;代謝物が同定されるとは限らない27、28。分類の6つのペアを以下のように作製した:コントロール 対 誘発、感作 対 誘発、コントロール 対 感作、コントロール 対 誘発デキサ、誘発 対 誘発デキサ、および感作 対 誘発デキサ(表4参照)。各分類ペアを分離するために、x軸上の幅0.04セクションの各々に対するYの値を算出し、遺伝アルゴリズムに基づく特徴選択手法(genetic-algorithm-based feature selection approach)を用いて比較した29。この特徴選択はラッパーに基づくものであり(wrapper-based):すなわち分類法、この場合はリーブワンアウト(LOO)内部クロス確認を行う線形判別分析(LDA)を用いて最適な特徴を識別した。分類ペアを分離することができるスペクトル内の領域の独特の組み合わせを特徴選択とした。各分類ペアについて最適な特徴セットを得た後に、外部クロス確認(EXCV)を行って、より実際的な誤り率を算出した。各データセットを、トレーニングセットおよびモニタリングテストセットにランダムに分割した(50:50)。この分割は層状に行った(すなわち、2つの分類におけるサンプルの相対比率を分割後も維持した)。各データセットについて10の分割を行い、平均および標準偏差を算出した。小サンプルサイズによる経験に基づき、この手法を用いることで、データセット全体を用いるよりもより実際的な結果が得られた27、28。
【0053】
前記方法は、代謝物を直接同定するものではない。代謝物の同定には、上記の分析で関連することが示唆された対象の領域を調べ、次にxy値を作ることができる妥当な代謝物を同定する必要がある。この欠点にも関わらず、xy‐トレース法は利点を有する。この方法は、まだ未同定の代謝物さえも、NMRで測定されたすべての値を組み込むことから、既知代謝物データを増加させる。従って、代謝物を直接同定する取り組みが行われる場合、NMRスペクトルの識別においては大きな効果を有し得ると今までには考えられなかった代謝物が同定され得る。さらに、コンピュータを用いることで、位置XにおけるこのようなYの値の扱いがより容易となるであろう。代謝物の同定が必要ではないことから、公知の代謝物の方法のような作業者による値の測定の必要がない。例えば、喘息と非喘息との間の違いの識別に関連するx軸上の5つの領域が存在する場合、コンピュータプログラムであれば、これらの領域におけるYの値に素早く着目し、モデルに基づいて、そのNMRデータが疾患もしくは非疾患を反映するものである可能性を示唆することができる。前記xy‐トレースデータは、従って、そのスピードおよび作業者不要という点で大きな利点を有する。
【0054】
結果
喘息増悪の動物モデル: 感作GPにおけるヒスタミンに対する反応はコントロール動物と類似していたが、誘発グループは反応性が高まり、コントロールと比較して著しく高い気管支収縮反応を示した(P<0.0001)。誘発デキサは、誘発単独と比較して反応の減少を示した(p<0.05)。図2Bに示すように、コントロール、感作、またはコントロールデキサのグループ間で全細胞カウントに有意差はなかったが、誘発の肺洗浄液中の総細胞数は増加した(各々p<0.0001)。総細胞カウントおよび細胞別白血球カウントを、コントロール(白色バー)、感作(線影バー)、誘発(黒色バー)、誘発デキサ(灰色バー)、およびコントロールデキサ(クロスバー)の動物の肺洗浄液について行った(各々n=9、B)。増加したのは主にリンパ球、好酸球、および好中球であった。マクロファージの値は、コントロールと比較して高かったコントロールデキサのグループ(p=0.03)以外はすべてのグループ間で類似していた。誘発デキサの総細胞数は、誘発と同様に高い状態が維持されていたが、ただし、リンパ球は有意に低かった(p<0.05)。図2Cに示すように、感作動物は、コントロールよりも高い好酸球数を示した(P<0.0001)。好酸球は、コントロール(白色バー)、感作(線影バー)、誘発(黒色バー)、および誘発デキサ(灰色バー)の軟骨気道(cartilaginous airways)中でカウントした(各々n=12、C)。感作動物の誘発は、さらに、コントロール(P<0.0006)および感作動物(P<0.0001)と比較して好酸球カウントを増加させた。誘発デキサのグループの好酸球は、誘発と類似のレベルのままであった。
【0055】
既知の代謝物値を用いた動物モデルの分析: 標的化NMR代謝物プロファイリングにより、動物のグループの違いを識別することができる:既知の代謝物標準のライブラリーを用い(ケノミクス)、図1Aに示すように、すべての動物の尿中の50の代謝物濃度を測定し、各グループをPLS‐DAを用いて比較した。グループの分離にはすべての代謝物が必要であるわけではなく、代謝物の追加によってモデルの精度が悪化する場合もあった。各分離モデルに用いた代謝物(およびその濃度)の最終リストは、PLS‐DA VOIランキングおよびノンパラメトリック分析を基にした(表1)。グループ間の代謝物濃度の違いを、図3A〜Cの変動係数プロットとして示す。動物グループの各ペアの分離、およびグループの3元比較を、図4に示す(A:コントロール(丸) 対 感作(四角)、R2=0.53、Q2=0.29);B:コントロール 対 誘発(三角)、R2=0.74、Q2=0.59;C:感作 対 誘発、R2=0.63、Q2=0.50;およびD:動物グループの三元分析(R2=0.54、Q2=0.25)。予想された通り、図5AおよびBに示すように、デキサメタゾンは、PLS‐DA分析で決定された尿中代謝物プロファイルの変化を引き起こし、誘発 対 誘発デキサ:R2=0.76、Q2=0.44;コントロール 対 コントロールデキサ:R2=0.83、Q2=0.69(データ示さず)、であった。小サンプルサイズにも関わらず、PLS‐DA作製モデルを用いて正確な測定が行われた。元のPLS‐DAモデリングの一部ではない動物からの尿サンプル15個をブラインド分析にかけた(感作 n=4、誘発 n=7、誘発デキサ n=4)。PLS‐DAによって作製されたモデルは、誘発動物では21試験中19(精度90%);感作では8試験中5(精度62%)、および誘発デキサでは4個中3個(精度75%)で、正しく分類を行った。
【0056】
既知の代謝値を用いた喘息小児の分析: 外来診断クリニックを訪れた小児科の患者(慢性安定喘息患者)を尿のサンプリングにリクルートした。さらに、喘息の急性増悪を有する救急部の小児(増悪喘息患者)が、NMR分光分析のための尿サンプルを提供した。これらを、慢性もしくは急性疾患をまったく持たない年齢および性別がマッチしたコントロールと比較した(表2)。既知の代謝物を用いた尿のPLS‐DA分析により、グループ間で有意に濃度の異なる代謝物が明らかとなった。グラフによる患者の分離を図6〜9に示す。この分離は、変動係数プロットとして示されるグループ間の代謝物濃度の違いに基づいている。各ペアの分離に用いた代謝物の最終リスト、または3元比較は(表3に示す)、モデル内のPLS‐DA重要度変数(VOI)ランキングを基にした。重要性の最も低い代謝物を除き、喘息外来患者(すなわち、慢性安定喘息患者) 対 健常コントロールを分離する最適モデルに、上位23種類の代謝物を用いることを決定した(図6(c))。このモデルでは、相関係数がR2=0.72、予測指標がQ2=0.67であった。健常コントロール 対 救急部喘息患者(すなわち、増悪喘息患者)の最適な分離モデル(R2=0.78、Q2=0.72)は、VOIリストの上位20種類の代謝物を用いて決定された(図7(c))。図8Aおよび8Bは、外来クリニックの喘息患者(すなわち、慢性安定喘息患者) 対 救急部喘息患者(増悪喘息患者)のデータを示しており(R2=0.84、Q2=0.74)、このVOIリスト中の上位28種類の代謝物を用いて分離モデルを得た。最後に、図9は3つすべてのグループを比較するものであり(R2=0.74、Q2=0.61)、それぞれのVOIリスト中の上位30種類の代謝物が必要であった。少なくとも1つの分離モデルにおいて最も重要であると見なされたこれらの代謝物を、その濃度と共に表3に示す。
【0057】
前記モデルの実際の精度およびその外来クリニックにおける喘息の診断ツールとしての適用性を判定するために、前記モデル化の元々の一部ではない外来の喘息小児(n=33)からの代謝物の濃度をモデルへ入力した。これらの値は診断を行わずにコンピュータへ入力し、従って、コンピュータを、外来喘息患者 対 コントロールのPLS‐DAによるモデルに対して盲検の状態とした。前記モデルは、盲検の喘息サンプルを94%の精度で診断することができた(33サンプル中31の正しい診断)。前記モデルで評価した健常コントロール小児の盲検サンプルは、19/20サンプルで正しく分類された。従って、前記モデルの健常コントロール小児に対する誤分類率または偽陽性率は、5%(1/20)であった。
【0058】
喘息外来患者 対 EDの喘息患者の分離のためには、これらの代謝物の多くは外来喘息患者 対 コントロールのモデルの一部でもあったが、EDの喘息患者の分離には新たな代謝物が必要であったことに注意することが重要である。前記モデルの実際の精度および外来クリニックにおける間近に迫った喘息増悪の診断ツールとしてのその適用性を判定するために、前記モデル化の元々の一部ではない外来の喘息小児(n=33)からの代謝物の濃度をモデルへ入力した。これらの値は診断を行わずにコンピュータへ入力し、従って、コンピュータを、外来喘息患者 対 コントロールのPLS‐DAによるモデルに対して盲検の状態とした。前記モデルは、盲検の喘息サンプルを91%の精度で診断することができた(33サンプル中30の正しい診断)。これまでのところ、盲検分析を行うのに十分な数の喘息増悪小児の対象は集まらなかった。
【0059】
予測され得たように、特に集団サイズが小さい場合、3元モデルでは、2元モデルと比較して同程度の精度を得ることができなかった。外来喘息患者の盲検サンプルでは、33サンプル中正しく診断されたのは僅かに22であり(66%の精度)、健常コントロールでは、正しい診断は20中13であった(35%の偽陽性率)。
【0060】
xy‐トレースデータを用いた動物の分析: NMRスペクトルのxy‐トレースもまた、モルモットモデルを識別することができる:xy‐トレースとしてエクスポートしたNMRスペクトルを、統計分類法(Statistical Classification Strategy)の特徴選択成分(feature selection component)(LDA/LOO内部クロス確認を含む)を用いて分析した(54)。これらから、図10Aに示すように、異なる動物集団を識別することができるスペクトル領域の特徴を決定した。これらの領域を用いる分離の精度の推定値を決定するために、10の50:50のランダム分割を用いて外部クロス確認(EXCV)を行った。EXCVは、xy‐トレースデータ分析による動物の異なるグループのペアごとの分離が、表4に示す平均精度および標準偏差(SD)で可能であることを確認した。例えば、コントロール 対 誘発グループの判別は、トレーニングセット(TR)で80.4±5.9%の、モニタリングセット(MO)で82.6±6.9%の最小精度で可能であった。グループを分離する能力を、図10B〜Dに示す相対距離プランマッピング(Relative Distance Plan mapping)を用いて図示する。全体として、xy‐トレースデータに基づくと、NMRスペクトル領域によって80%の最小精度で集団間を判別することが可能であり、中には90%超の精度で判別されるものもあった。
【0061】
【表1】
表1: 異なるモルモットグループの判別に用いた代謝物の濃度(mmol/mmol クレアチニン);平均値(STD)で示す
【0062】
表2 研究に登録された小児の特徴
【表2】
注)FEV1:強制呼気1秒量;ICS:吸入コルチコステロイド;N/A:該当なし/データなし
【0063】
【表3】
ICS:Inha
表3. 小児の異なるグループの判別に用いた各代謝物の濃度。(α)‐外来喘息患者 対 コントロールの識別に必要;(β)‐外来喘息患者 対 ED喘息患者の識別に必要;(γ)‐外来喘息患者 対 ED喘息患者 対 コントロールの識別に必要。メジアン値および四分値間範囲(IQR)をクレアチニン1mmolあたりの代謝物のmmol数で示す。
【0064】
【表4】
モルモット集団の分離のための最適NMRスペクトル領域は、線形判別分析およびリーブワンアウト内部クロス確認によって決定した。トレーニングセットは、データを10にランダム分割したものを用い、外部クロス確認後の分類の平均および標準偏差を示す。テストセットは、元のトレーニングセットの一部ではない動物からのNMRデータに前記モデルを使って盲検を行った後に決定されたこれらの領域に対する予測判別精度を示す。Ac(1)、Ac(2)、およびAc(O)は、クラス1、クラス2、および全体の分類精度パーセントを意味する。
【0065】
結果の分析および考察
ほとんどの喘息クリニックで患者の追跡に用いられる現行の方法(すなわち、病歴、身体状態、肺活量測定を用いる)が、治療介入を必要とする気道の病態生理学的変化を信頼性を持って識別する能力においてあまり感度が良くないことが明らかとなってきている6、30。さらに、大部分の医師が利用可能である最も一般的な客観的測定である肺活量測定は、年齢が6歳未満の小児のほとんどに適していない。コクラン分析(Cochrane analysis)は、炎症変化の測定によって臨床結果が改善されることを示唆した31。喀痰分析または呼気NOなどの非侵襲的試験が臨床的に有用であることが示されているが、それぞれいくつかの欠点を有する32。喀痰は、特に非常に幼い小児など、すべての患者にとって実用的であるわけではない。呼気NOは、実施がより容易であるが、その診断上の有用性は喀痰分析よりも低いと考えられる。さらに、両試験共、喘息の異質性の表現型を説明するのに実質的に1つのバイオマーカー(すなわち、それぞれ好酸球増加症またはNO)に依存している。嚢胞性線維症患者の喀痰のNMR分析の経験が、発明者らが尿をNMR分析用の別の生体液として考慮するきっかけとなった33。
【0066】
本明細書で述べる動物モデルは、アレルギー性気道機能障害の確立された動物モデルであり、これは、部分的に、ヒトの喘息増悪の過程で発生する状況を反映している。気道の反応性は、一般に、ヒスタミンなどの種々の因子に反応する気管支収縮の度合いとして測定される18。予想されるように、抗原誘発動物はAHRを発症し、これは、肺液中および組織分析で測定した気道炎症の増加と相関していた。気道炎症は、炎症細胞の代謝だけでなく、上皮、平滑筋、神経、および結合組織などの炎症の影響を受けた細胞の代謝も関与する、複合的な生理学的状態である。さらに、喘息が、骨髄からの血液を介する肺組織への細胞動員を伴う全身疾患であると見なすことが重要である34。さらに、気道機能障害のストレスは、肺以外の臓器に影響を与え得る(すなわち、低酸素血脳損傷)。従って、本明細書で述べる方法は、代表的な気道炎症と関連するものだけではなく、より広範囲のバイオマーカーを考慮するように設計される。それがヒト対象で機能するという証拠もまた、説得力のあるものである。
【0067】
代謝物濃度またはxy‐トレースとしてエクスポートされたスペクトルデータを用いたNMRスペクトルの多変量統計分析は、モデル内で喘息増悪のスペクトルを表す種々のグループを判別することができた。xy‐トレースデータから決定された領域のほとんどは、主として今のところは未知である代謝物を表しているが、これらの方法の間には交差する部分が存在することには留意することが重要である。例えば、図10Aに示す領域において、オキサルアセタート、グルコース、およびチロシンなどの代謝物は、これらの領域に共鳴ピークを有しており、xy‐トレース/統計的方法によって検出される代謝物の1つであり得る。従って、スペクトルおよびメタボロミクス分析のための2つの方法は、NMRスペクトル中の予想される、および予想されない代謝物を識別することによって相補的となる。現在進行中の研究では、xy‐トレースデータおよび多変量解析で特徴付けされた関連する新しい代謝物の同定を行っている。
【0068】
本研究は、ヒトの慢性安定喘息と非疾患状態(喘息を持たない)との間、ヒトの慢性安定喘息と増悪喘息との間、ならびにヒトの慢性安定喘息、増悪喘息、および非疾患状態の間、を識別するマーカー代謝物として有用である代謝物の群を同定した。
【0069】
この点において、対象における喘息の疾患状態を診断する方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0070】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および増悪喘息を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0071】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルに対する喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、増悪喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0072】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断するさらなる方法が提供される。前記方法は:
(a)対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息、増悪喘息、および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む。
【0073】
別の態様では、対象における慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態と非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0074】
別の態様では、対象における慢性安定喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者および増悪喘息患者から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態と増悪喘息状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0075】
別の態様では、対象における増悪喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)増悪喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定すること;
(b)増悪喘息状態と非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0076】
別の態様では、慢性安定喘息の疾患状態、増悪喘息の疾患状態、および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルを作製する方法が提供される。前記方法は:
(a)慢性安定喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)慢性安定喘息状態、増悪喘息状態、および非疾患状態を識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む。
【0077】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値を与えるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0078】
別の態様では、対象における喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値、が与えられるように測定すること;
(c)増悪喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0079】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0080】
別の態様では、喘息の疾患状態を診断する別の方法が提供される。前記方法は:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を、各々が生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定し、;
(c)慢性安定喘息の疾患状態、増悪疾患状態、および非疾患状態を識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々について、関連する生物サンプル濃度値と関連する濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む。
【0081】
本研究は、気道機能障害に起因する特定の代謝経路の重要性を確認するために設計されたものではなかった。しかし、データに基づくと、関連する可能性のある経路に関していくつかの推測が立てられ、これらは今後の研究の設計に影響を与えうるものである。例えば、2‐ヒドロキシイソブチラート、3‐ヒドロキシブチラート、および3‐メチルアジパートが重要であった。後者の2つの代謝物は、その大部分がβ酸化の過程で肝臓によって産生される35。その減少は、尿中グルコースの減少とも相関していた。誘発モルモットで観察された違いは、脂肪酸酸化から解糖へのスイッチを反映するものであり得る。これらの代謝物はまた、喘息を有する小児に関連するものでもあった。
【0082】
モルモットおよびヒトの研究を簡単に振り返ると、本明細書で開示する方法の格別な強みは、一般的に低酸素症のマーカーとして分類することができる代謝物を同定する能力であることが明らかである。ヒトの場合、喘息増悪は、重度の呼吸困難を引き起こす。このような呼吸困難は、人体組織に低酸素ストレスをもたらす。外来患者の状態においてさえ、喘息患者はある程度の気道閉塞を起こしており、これは理論的には、より軽いものであったとしても、ある程度の低酸素症ストレスを人体組織に引き起こし得るものである。誘発動物から示唆された代謝物はまた、クリニックの喘息患者または健常コントロールと比較するEDの喘息増悪小児のモデルとも関連するとわかった。本明細書で提示する方法によって上記で識別された代謝物の多くは、平行して行った研究において、低酸素傷害を示すことと関連付けられた。例えば、クエン酸サイクルと関連する代謝物が生ずると思われる。2‐オキサログルタラートは、分離を行うモデルのすべてにおいて重要であり、オキサロアセタートは、EDの小児のマーカーとして考えられた。どちらも、低酸素誘導因子(HIF)に影響を与えるものであり36、この因子は、エネルギー代謝、細胞成長、血管新生、および赤血球生成に関与する遺伝子の大きなファミリーを構成している37。2‐オキサログルタラートはまた、ジオキシゲナーゼの機能にとっても必要なものであった38。本発明の焦点を呼吸器疾患に絞ると、低酸素症の複数のマーカーのこの相関は、開示する方法の独特の特徴である。
【0083】
本研究は、健常コントロールと比較して外来喘息患者におけるスクシナートレベルが高いことを示すが、これは、EDの喘息患者においてさらに上昇する。乳児の呼吸促迫症候群は、尿中のスクシナートレベルに影響を与えることが報告された39、40。フマラートは、スクシナートの酸化によって形成され41、これもまた、EDのサンプルで上昇を見せた。EDのサンプルで上昇した別の代謝物である3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラートは、スクシナートの生成において重要であり41、酸化的損傷に寄与している42。クエン酸サイクルに関与する必須アミノ酸であるスレオニンは、外来喘息患者 対 コントロールの重要なマーカーであった。最後に、シス‐およびトランス‐アコニタートは、EDに登録された喘息患者と比較した外来喘息患者の重要なマーカーであった。シス‐およびトランス‐アコニタート以外については、出願者らは、類似のクエン酸サイクル代謝物が喘息の動物モデルを用いて既に報告されていることを過去に報告した43。
【0084】
クエン酸への影響と同様に、多くの代謝物をグルコースおよび脂質代謝の変化と関連付けることができた。2‐ヒドロキシイソブチラート、3‐ヒドロキシブチラート、3‐メチルアジパート、およびグルコースは、すべて分離モデルと関連していた35。O‐アセチルカルニチンおよびカルニチンは、分離モデルすべてと関連しており、これらは、ミトコンドリアでの酸化代謝における役割が知られている41。どちらも低酸素症ストレスと関連付けられている44、45。アデニンは、アデノシンの生成に必要である41。アデノシンは、細胞エネルギー代謝において重要な内在性プリンヌクレオシドである。細胞の損傷に反応して、アデノシンのレベルは一般的に上昇する。喘息では、アデノシンは、マスト細胞刺激に対する炎症誘発性であり得るが、同時に、その他の細胞型に対しては抗炎症性でもあり得る46。
【0085】
安定喘息 対 EDの不安定喘息の違いを識別するモデルでのみ見られる代謝物のいくつかは、長時間にわたる労作およびグルコース産生に対するストレスと関連付けられ得る。例えば、ラクタートは無酸素運動の間に上昇する41。アセトンは、ケトン体の産生後に形成され、通常は、グルコースの貯蔵が少なすぎる場合、および貯蔵されたオキサロアセタートが使い尽くされた場合である41。さらに、ラクタートが産生されている時、アラニンのレベルが上昇すると考えられる。アラニンは、貯蔵が少ない場合にグルコースを産生しようとする活動である糖新生作用(gluconeogensesis)の一部である41。細胞レベルでのエネルギー制御に重要である別の代謝物は、クレアチンである。本研究では、クレアチンは、悪化する喘息のマーカーであった。クレアチンは、内在的に合成され、筋肉内でリン酸化されてクレアチンリン酸となるものであり、濃度の上昇は、エネルギーが欠乏した生理状態を示唆するものであり得る47、48。最後に、グリコラートもまた、中間体の形成を通して、ミトコンドリアのエネルギー合成において重要である49。
【0086】
タンパク質およびアミノ酸代謝もまた、疾患の過程で変化し得る。代謝物ニコチンアミドの誘導体である1‐メチルニコチンアミドが重要であった。ニコチンアミドが喘息増悪に対する保護因子であることを示唆する報告がある50。フェニルアラニンは、チロシンおよびエピネフリンなどのカテコールアミンの産生において不可欠である必須アミノ酸である41。カテコールアミンは、気道狭窄51、ならびに物理的および生理的ストレスの間の恒常性維持52、53に対するその効果を考慮すると、喘息患者にとって重要である。ホモバニラートの尿中レベルは、カテコールアミン分泌腫瘍の診断に用いられる54。別の考察事項としては、組織内における好酸球活性による遊離チロシン残基の修飾が考えられる55。修飾チロシン残基である3‐クロロチロシンおよび3‐ブロモチロシンは、それぞれ嚢胞性線維症(CF)および喘息の患者から採取した喀痰サンプル中で過去に同定されている33。理論に束縛されることは望まないが、尿中チロシンもまた、好酸球および/または好中球の代謝活性の増加と関連し得る。残念ながら、3‐クロロおよび3‐ブロモチロシンのレベルは、NMRの検出限界よりも低い。
【0087】
代謝物の多くは、炎症反応の誘発すること、または進行中の損傷を抑制しようとすることのいずれかに関与することが知られている。1‐メチルヒスタミンは、すべてのモデルにおいて重要であった。これは、ヒスタミンから下流の代謝物であり、報告によると、喘息患者では1‐メチルヒスタミンの血清中レベルが高くなっており、喘息発作に続いて急激に上昇し、抗アレルギー薬治療によって低下する56、57、58。本研究では、より侵襲性の低い尿検査を用いてこれらの研究を確認した。キヌレニンは、酵素インドールアミン 2,3,ジオキシゲナーゼ(IDO)によるトリプトファン代謝の産物である59。IDO活性は、健常な状態およびアレルギーを含む疾患状態における免疫制御にとって重要である60。ビタミンB6(ピリドキシン)の異化産物である4‐ピリドキシン酸は41、研究した喘息患者において、コントロールと比較して減少した。ビタミンB6の活性型(リン酸ピリドキサール)のレベルが同様に低下することが、喘息を有する成人で報告されている61、62。
【0088】
メチルアミンおよびその誘導体ジメチルアミンは、水処理プラントで見られる単純な有機化合物であり、工業的に用いられている63。NSAIDの過用による胃の損傷のラットモデルにおける血清レベルの上昇も報告された64。トリメチルアミンN‐オキシドは、トリメチルアミンの酸化産物である。トリメチルアミンN‐オキシドおよびジメチルアミンはいずれも、糖尿病65、および腎損傷の動物モデル66において、その量が増加することが報告されている。やはり有機化合物であるホルマートは、細菌による発酵に関与している67。4‐アミノヒプラートおよびその誘導体ヒプラートは、喘息のグループで増加した。アミノヒプラートは、医薬品工業ではナトリウム塩として用いられることが多い。全体として、モデルにおいてこれらの代謝物が健常コントロールと比較して増加した理由は明らかではないが、1つのさらなる可能性は医薬品製造でのこれらの使用と関係があるかもしれない68。可能性として、このデータは、EDへの来診を防ごうとする小児における薬物の使用の予想される増加を反映するものであり得る。切迫する喘息発作を予測しようとする場合、患者が救急薬物の服用量を正しく伝えない場合が多いことから、薬物の使用に関するそのような正確なデータは有用であり得る。
【0089】
ミオ‐イノシトールは、炎症細胞などの細胞機能における二次メッセンジャーである69、70。多くの炎症カスケードがイノシトールを二次メッセンジャーとして利用しており、進行中の研究では、種々のサイトカインの相互作用および細胞内代謝への影響の理解を目的としている。呼吸促迫症候群を有する早産児では、ミオ‐イノシトールの減少は肺の成熟化および肺疾患の治癒にとって有害であった。喘息のモルモットモデルでは、ミオ‐イノシトールは誘発動物で最低であり、誘発デキサ動物で最高であった。ED小児ではこれが選択的に上昇したと考えられた。このことは、脂肪酸代謝の改善、炎症シグナル伝達の変化、またはステロイド治療に続く肺の治癒プロセスを示唆するものかもしれない。
【0090】
フェニルアセチルグリシンは、感作の後に減少し、誘発の後はさらに低下した。げっ歯類モデルでのフェニルアセチルグリシンのヒトでの同等物は、フェニルアセチルグルタミンである71。フェニルアセチルグルタミンのレベルは、リン脂質代謝異常の症候群72〜74、アミノ酸吸収障害、およびフェニルアセタートの胃吸収の増加状態72を有するヒトおよびげっ歯類で上昇する。ヒトの場合、胃の透過性およびミクロフローラが、アトピーおよび喘息の発症に影響し得る75。感作および誘発モルモットのフェニルアセチルグリシンの尿中濃度の減少は、喘息増悪モデルの胃腸機能についての全般的な全身的影響を意味するものかもしれない。
【0091】
サルコシンは、コリンのグリシンへの代謝における中間体であり、筋肉およびその他の身体組織中に見られる。サルコシンとコリン(神経伝達物質アセチルコリンの重要な成分)の間の関連は、ある程度の期間にわたって研究されて来ているが、より最近では、サルコシンは、特に統合失調症患者における神経伝達の調節での役割について研究されている。NMDA受容体を間接的に活性化する1型グリシン輸送体インヒビターとして、サルコシンはシナプス可塑性における役割を担うかもしれない。誘発モルモットで見られたサルコシン濃度の上昇は、増加した神経伝達、筋肉活性、または変化した神経機能と相関し得る。誘発モルモットのサルコシンレベルは、ステロイド処理後に低下しており、これもやはり、AHRと変化した神経および筋肉機能との関連の可能性を示唆するものである。
【0092】
予想されるように、デキサメタゾンの投与により、コントロールおよび誘発モルモットの両方において代謝の尿測定値が変化した。デキサメタゾン治療コントロールは、コントロールよりも著しく低いレベルのフェニルアセチルグリシンを示した。しかし、誘発動物はさらに低いフェニルアセチルグリシンレベルを持つと考えられ、これは、デキサメタゾン治療後にコントロールのレベルへ戻った。このことは、デキサメタゾンは、コントロール動物の正常なアミノ酸およびリン脂質恒常性維持を撹乱し得るが、誘発動物では病態経路を中和する働きをし得ることを示唆している72、74。デキサメタゾンは、誘発デキサ動物においてレベルが上昇したことから、2‐ヒドロキシイソブチラートおよびグルコースの尿中排泄への誘発による影響を逆転させたと考えられる。
【0093】
しかし、本方法は、種々の呼吸器疾患を分類することができることから、特有の病態生理的プロセスを示す重要な代謝物を明らかに同定できるだけでなく、特定の各肺疾患の診断を可能とする全体的な病態プロファイルを取得することもできる。この方法は、動物およびヒト対象の基本的な生理的反応と相関する代謝物およびバイオマーカープロファイルを、診断および予後分析の基礎となる病態生理的経路によって作られる独特のプロファイルおよび代謝物へと返すものである。
【0094】
本明細書で開示する方法の非常に大きな強みは、疾患および回復の状態を示す特有の生理的移行の過程において、これらの代謝物を検出、定量、および追跡する能力である。本研究は、喘息の動物モデルにおける気道機能障害が、尿のNMR代謝物プロファイルの変化と相関することを示している。本研究は、喘息の動物モデルにおける尿の1H‐NMR分光分析により、気道炎症および気道過敏性(AHR)を持つ動物と持たない動物を識別することができることを示している。バイオマーカーの「パネル(panel)」またはプロファイルを例とする2つ以上の代謝物の組み合わせに基づいて動物の違いを識別するための方法を提供する。これらのデータは、喘息を持つヒトへとうまく広げることができた。
【0095】
ヒト疾患にメタボロミクスに基づく技術を用いることに対する関心が高まりつつある76。喘息の分野では、複数のグループが尿などの様々な生体液中の単一の代謝物について研究を行っており、臨床的実践における成功の度合いは様々であった77〜80。本明細書では、喘息の分野では新規である、尿中因子の組み合わせに対して多変量統計分析を用いる方法を提供する。本明細書では、尿NMR分析を用いて、喘息を持つヒト、特に気道機能のほとんどの客観的測定が困難である場合が多い小児におけるモニタリングを行うための診断方法およびツールを提供する。
【0096】
本発明を、説明のための実施形態および実施例を参照して説明したが、その説明は限定する意味で解釈されることを意図するものではない。従って、当業者であれば、本説明を参照することで、その説明のための実施形態、ならびに本発明のその他の実施形態の種々の変形が明らかであろう。従って、添付の請求項が、そのようないかなる変形または実施形態をも含むことを意図している。さらに、請求項はすべて、参照することで好ましい実施形態の説明に組み入れられる。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
【表7】
【0100】
【表8】
【0101】
【表9】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データを取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、
(i)疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)前記第一の疾患状態、前記第二の疾患状態、および前記非疾患状態、
を識別するための所定のプロファイルと、を比較して、疾患状態の診断を提供すること、
を含み、前記比較は前記生物サンプルの成分の同定を含まない、前記方法。
【請求項2】
前記核磁気共鳴データが、x,y‐トレース(x,y-trace)の形式である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定のプロファイルが、疾患対象および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの前記x,y‐トレースの統計分析に基づくものであり、xおよびyの値が、
(i)前記疾患状態および前記非疾患状態
(ii)前記第一の疾患状態および前記第二の疾患状態、または、
(iii)前記第一の疾患状態、前記第二の疾患状態、および前記非疾患状態、
を識別することができる前記x,y‐トレースのスペクトル領域の組み合わせの範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
疾患対象および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルのx,y‐トレースの前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに疾患対象および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記疾患状態が、呼吸器疾患である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記呼吸器疾患が、慢性閉塞性肺疾患、喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、および細気管支炎から成る群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記呼吸器疾患が喘息である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第一の疾患状態が慢性安定喘息であり、前記第二の疾患状態が増悪喘息である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項13】
対象における疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データをx,yトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、
(i)前記疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)前記第一の疾患状態、前記第二の疾患状態、および前記非疾患状態、
を識別するための所定のプロファイルと、を比較して、前記疾患状態の診断を提供すること、
を含み、前記比較は前記生物サンプルの成分の同定を含まない、前記方法。
【請求項14】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定のプロファイルが、疾患対象および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの前記x,y‐トレースの統計分析に基づくものであり、xおよびyの値が、
(i)前記疾患状態および前記非疾患状態、
(ii)前記第一の疾患状態および前記第二の疾患状態、または、
(iii)前記第一の疾患状態、前記第二の疾患状態、および前記非疾患状態、
を識別することができる前記x,y‐トレースのスペクトル領域の組み合わせの範囲内である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
疾患対象および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルのx,y‐トレースの前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに疾患対象および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患状態が、呼吸器疾患である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記呼吸器疾患が、慢性閉塞性肺疾患、喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、および細気管支炎から成る群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記呼吸器疾患が喘息である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第一の疾患状態が慢性安定喘息であり、前記第二の疾患状態が増悪喘息である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
請求項13から22のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項24】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1(yellow‐7.1)、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルにについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む、方法。
【請求項25】
前記所定のプロファイルが、慢性安定喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々におけるフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度値の統計分析に基づくものである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記慢性安定喘息患者および前記非疾患対象の各々から得られた前記複数の生物サンプルの各々におけるフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の前記濃度値の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに慢性安定喘息患者および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記喘息状態プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
請求項24から29のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項31】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および増悪喘息を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む、方法。
【請求項32】
前記所定のプロファイルが、慢性安定喘息患者および増悪喘息患者から得られた複数の生物サンプルの各々における1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度値の統計分析に基づくものである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記慢性安定喘息患者および前記増悪喘息患者の各々から得られた前記複数の生物サンプルの各々における1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の前記濃度値の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに慢性安定喘息患者および増悪喘息患者から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記喘息状態プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
請求項31から36のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項38】
対象における喘息状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、増悪喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む、方法。
【請求項39】
前記所定のプロファイルが、増悪喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々におけるフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度値の統計分析に基づくものである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
増悪喘息患者および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルの各々におけるフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の前記濃度値の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに増悪喘息患者および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記喘息状態プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
請求項38から43のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項45】
対象における疾患状態を診断するための所定のプロファイルを作製する方法であって:
(a)疾患状態および非疾患状態の対象から得られた複数の生物サンプルについての核磁気共鳴データをx,yトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を実施し:
(i)前記疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)前記第一の疾患状態、前記第二の疾患状態、および前記非疾患状態、
を識別することができる前記x,yトレースのスペクトル領域の組み合わせを選択すること、
を含む、方法。
【請求項46】
前記複数の生物サンプルが尿サンプルである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記疾患状態が、呼吸器疾患である、請求項45から47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記呼吸器疾患が、慢性閉塞性肺疾患、喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、および細気管支炎から成る群より選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記呼吸器疾患が喘息である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第一の疾患状態が慢性安定喘息であり、前記第二の疾患状態が増悪喘息である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記所定のプロファイルが、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
請求項45から52のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項54】
対象における慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法であって:
(a)慢性安定喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)前記慢性安定喘息状態と前記非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む、方法。
【請求項55】
前記複数の生物サンプルが尿サンプルである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記所定のプロファイルが、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
請求項54から57のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項59】
対象において慢性喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法であって:
(a)慢性安定喘息患者および増悪喘息患者から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)前記慢性安定喘息状態と前記増悪喘息状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む、方法。
【請求項60】
前記複数の生物サンプルが尿サンプルである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記所定のプロファイルが、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
請求項59から62のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項64】
増悪喘息状態と非疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法であって:
(a)増悪喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定し;
(b)前記増悪喘息状態と前記非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む、方法。
【請求項65】
前記複数の生物サンプルが尿サンプルである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記所定のプロファイルが、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
請求項64から67のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項69】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々について、関連する前記生物サンプル濃度値と関連する前記濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む、方法。
【請求項70】
前記生物サンプルが尿サンプルである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
対象における疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データを取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルにおいて対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、各々がそれぞれ:
(i)前記疾患状態と非疾患状態、および
(ii)第一の疾患状態と第二の疾患状態、
のうちの一方を識別するものである2つの所定のプロファイルと、を比較して、前記疾患状態の診断を提供すること、
を含む、方法。
【請求項72】
前記比較が、前記生物サンプル中の成分の同定を含まない、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
対象における疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データをxyトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルにおいて対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、各々が、それぞれ:
(i)前記疾患状態と非疾患状態、および
(ii)第一の疾患状態と第二の疾患状態、
のうちの一方を識別する2つの所定のプロファイルと、を比較して、前記疾患状態の診断を提供すること、
を含み、ここで、前記比較は前記生物サンプルの成分の同定を含まない、方法。
【請求項74】
前記生物サンプルが尿サンプルである、請求項71から73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記疾患状態が呼吸器疾患である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記呼吸器疾患が、慢性閉塞性肺疾患、喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、および細気管支炎から成る群より選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記呼吸器疾患が喘息である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記第一の疾患状態が慢性安定喘息であり、前記第二の疾患状態が増悪喘息である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定すること;
(c)増悪喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々について、関連する前記生物サンプル濃度値と関連する前記濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む、方法。
【請求項80】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々について、関連する前記生物サンプル濃度値と関連する前記濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む、方法。
【請求項81】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態、増悪疾患状態、および非疾患状態を識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む濃度プロファイル、を提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々について、関連する前記生物サンプル濃度値と関連する前記濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む、方法。
【請求項82】
前記生物サンプルが尿サンプルである、請求項79から81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息、増悪喘息、および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む、方法。
【請求項84】
前記所定のプロファイルが、慢性喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度値の統計分析に基づくものである、請求項24に記載の方法。
【請求項85】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項24または25に記載の方法。
【請求項86】
前記慢性安定喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象の各々から得られた前記複数の生物サンプルの各々における1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の前記濃度値の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項26に記載の方法。
【請求項87】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに慢性安定喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項27に記載の方法。
【請求項88】
前記喘息状態プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項24に記載の方法。
【請求項89】
請求項24から29のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項90】
対象における慢性安定喘息の疾患状態、増悪喘息の疾患状態、および非疾患状態の間の違いを識別するための所定のプロファイルを作製する方法であって:
(a)慢性喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)前記慢性安定喘息状態、増悪喘息状態、および非疾患状態を識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む、方法。
【請求項91】
前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項54に記載の方法。
【請求項92】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項55に記載の方法。
【請求項93】
前記所定のプロファイルが、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項54に記載の方法。
【請求項94】
請求項54から57のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項1】
対象における疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データを取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、
(i)疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)前記第一の疾患状態、前記第二の疾患状態、および前記非疾患状態、
を識別するための所定のプロファイルと、を比較して、疾患状態の診断を提供すること、
を含み、前記比較は前記生物サンプルの成分の同定を含まない、前記方法。
【請求項2】
前記核磁気共鳴データが、x,y‐トレース(x,y-trace)の形式である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定のプロファイルが、疾患対象および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの前記x,y‐トレースの統計分析に基づくものであり、xおよびyの値が、
(i)前記疾患状態および前記非疾患状態
(ii)前記第一の疾患状態および前記第二の疾患状態、または、
(iii)前記第一の疾患状態、前記第二の疾患状態、および前記非疾患状態、
を識別することができる前記x,y‐トレースのスペクトル領域の組み合わせの範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
疾患対象および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルのx,y‐トレースの前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに疾患対象および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記疾患状態が、呼吸器疾患である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記呼吸器疾患が、慢性閉塞性肺疾患、喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、および細気管支炎から成る群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記呼吸器疾患が喘息である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第一の疾患状態が慢性安定喘息であり、前記第二の疾患状態が増悪喘息である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項13】
対象における疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データをx,yトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、
(i)前記疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)前記第一の疾患状態、前記第二の疾患状態、および前記非疾患状態、
を識別するための所定のプロファイルと、を比較して、前記疾患状態の診断を提供すること、
を含み、前記比較は前記生物サンプルの成分の同定を含まない、前記方法。
【請求項14】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定のプロファイルが、疾患対象および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの前記x,y‐トレースの統計分析に基づくものであり、xおよびyの値が、
(i)前記疾患状態および前記非疾患状態、
(ii)前記第一の疾患状態および前記第二の疾患状態、または、
(iii)前記第一の疾患状態、前記第二の疾患状態、および前記非疾患状態、
を識別することができる前記x,y‐トレースのスペクトル領域の組み合わせの範囲内である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
疾患対象および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルのx,y‐トレースの前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに疾患対象および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患状態が、呼吸器疾患である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記呼吸器疾患が、慢性閉塞性肺疾患、喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、および細気管支炎から成る群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記呼吸器疾患が喘息である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第一の疾患状態が慢性安定喘息であり、前記第二の疾患状態が増悪喘息である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
請求項13から22のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項24】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1(yellow‐7.1)、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルにについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む、方法。
【請求項25】
前記所定のプロファイルが、慢性安定喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々におけるフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度値の統計分析に基づくものである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記慢性安定喘息患者および前記非疾患対象の各々から得られた前記複数の生物サンプルの各々におけるフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の前記濃度値の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに慢性安定喘息患者および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記喘息状態プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
請求項24から29のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項31】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息および増悪喘息を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む、方法。
【請求項32】
前記所定のプロファイルが、慢性安定喘息患者および増悪喘息患者から得られた複数の生物サンプルの各々における1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度値の統計分析に基づくものである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記慢性安定喘息患者および前記増悪喘息患者の各々から得られた前記複数の生物サンプルの各々における1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の前記濃度値の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに慢性安定喘息患者および増悪喘息患者から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記喘息状態プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
請求項31から36のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項38】
対象における喘息状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプル中の、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、増悪喘息および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む、方法。
【請求項39】
前記所定のプロファイルが、増悪喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々におけるフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度値の統計分析に基づくものである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
増悪喘息患者および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルの各々におけるフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の前記濃度値の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに増悪喘息患者および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記喘息状態プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
請求項38から43のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項45】
対象における疾患状態を診断するための所定のプロファイルを作製する方法であって:
(a)疾患状態および非疾患状態の対象から得られた複数の生物サンプルについての核磁気共鳴データをx,yトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を実施し:
(i)前記疾患状態および非疾患状態、
(ii)第一の疾患状態および第二の疾患状態、または、
(iii)前記第一の疾患状態、前記第二の疾患状態、および前記非疾患状態、
を識別することができる前記x,yトレースのスペクトル領域の組み合わせを選択すること、
を含む、方法。
【請求項46】
前記複数の生物サンプルが尿サンプルである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記疾患状態が、呼吸器疾患である、請求項45から47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記呼吸器疾患が、慢性閉塞性肺疾患、喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、および細気管支炎から成る群より選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記呼吸器疾患が喘息である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第一の疾患状態が慢性安定喘息であり、前記第二の疾患状態が増悪喘息である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記所定のプロファイルが、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
請求項45から52のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項54】
対象における慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法であって:
(a)慢性安定喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を測定すること;
(b)前記慢性安定喘息状態と前記非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む、方法。
【請求項55】
前記複数の生物サンプルが尿サンプルである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記所定のプロファイルが、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
請求項54から57のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項59】
対象において慢性喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法であって:
(a)慢性安定喘息患者および増悪喘息患者から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)前記慢性安定喘息状態と前記増悪喘息状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む、方法。
【請求項60】
前記複数の生物サンプルが尿サンプルである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記所定のプロファイルが、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
請求項59から62のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項64】
増悪喘息状態と非疾患状態とを識別するための所定のプロファイルを作製する方法であって:
(a)増悪喘息患者および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を測定し;
(b)前記増悪喘息状態と前記非疾患状態とを識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む、方法。
【請求項65】
前記複数の生物サンプルが尿サンプルである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記所定のプロファイルが、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
請求項64から67のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項69】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中のフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、1‐メチルヒスタミン、スクシナート、2‐ヒドロキシイソブチラート、キヌレニン、トリメチルアミンn‐オキシド、トリプトファン、イエロー‐7.1、ホモバニラート、アデノシン、メチルアミン、4‐アミノヒプラート、カルニチン、アデニン、3‐メチルアジパート、ヒプラート、4‐ピリドキサート、トリゴネリン、およびチロシンの各々について、関連する前記生物サンプル濃度値と関連する前記濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む、方法。
【請求項70】
前記生物サンプルが尿サンプルである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
対象における疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データを取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルにおいて対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、各々がそれぞれ:
(i)前記疾患状態と非疾患状態、および
(ii)第一の疾患状態と第二の疾患状態、
のうちの一方を識別するものである2つの所定のプロファイルと、を比較して、前記疾患状態の診断を提供すること、
を含む、方法。
【請求項72】
前記比較が、前記生物サンプル中の成分の同定を含まない、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
対象における疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプルについての核磁気共鳴データをxyトレースの形式で取得すること;
(b)前記核磁気共鳴データに対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づき前記生物サンプルにおいて対象プロファイルを決定すること;
(d)前記対象プロファイルと、各々が、それぞれ:
(i)前記疾患状態と非疾患状態、および
(ii)第一の疾患状態と第二の疾患状態、
のうちの一方を識別する2つの所定のプロファイルと、を比較して、前記疾患状態の診断を提供すること、
を含み、ここで、前記比較は前記生物サンプルの成分の同定を含まない、方法。
【請求項74】
前記生物サンプルが尿サンプルである、請求項71から73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記疾患状態が呼吸器疾患である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記呼吸器疾患が、慢性閉塞性肺疾患、喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、および細気管支炎から成る群より選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記呼吸器疾患が喘息である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記第一の疾患状態が慢性安定喘息であり、前記第二の疾患状態が増悪喘息である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中のフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定すること;
(c)増悪喘息の疾患状態と非疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々がフェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む、濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)フェニルアラニン、2‐オキソグルタラート、1‐メチルニコチンアミド、スレオニン、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、イソブチラート、ジメチルアミン、フマラート、2‐メチルグルタラート、スレオニン、2‐ヒドロキシイソブチラート、スクシナート、2‐ヒドロキシブチラート、グルコース、アラニン、3‐メチルアジパート、カルニチン、O‐アセチルカルニチン、ミオ‐イノシトール、フコース、4‐アミノヒプラート、3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタラート、アセトン、およびアセタートの各々について、関連する前記生物サンプル濃度値と関連する前記濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む、方法。
【請求項80】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態と増悪喘息の疾患状態とを識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む濃度プロファイルを提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデニン、アラニン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、イミダゾール、ラクタート、メチルアミン、O‐アセチルカルニチン、オキサルアセタート、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シス‐アコニタート、ミオ‐イノシトール、およびトランス‐アコニタートの各々について、関連する前記生物サンプル濃度値と関連する前記濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む、方法。
【請求項81】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートを含む、対象からの生物サンプルを準備すること;
(b)前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を、各々が前記生物サンプル中の1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度値である複数の生物サンプル濃度値が与えられるように測定すること;
(c)慢性安定喘息の疾患状態、増悪疾患状態、および非疾患状態を識別する濃度プロファイルであって、各々が1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートにそれぞれ関連する濃度プロファイル濃度値である複数の濃度プロファイル濃度値を含む濃度プロファイル、を提供すること;ならびに、
(d)1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々について、関連する前記生物サンプル濃度値と関連する前記濃度プロファイル濃度値とを比較すること、
を含む、方法。
【請求項82】
前記生物サンプルが尿サンプルである、請求項79から81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
対象における喘息の疾患状態を診断する方法であって:
(a)前記対象から得られた生物サンプル中の、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)(a)で得られた濃度値に対して統計分析を行うこと;
(c)前記統計分析に基づいて前記生物サンプルについての喘息状態プロファイルを決定すること;
(d)前記喘息状態プロファイルと、慢性安定喘息、増悪喘息、および非疾患状態を識別するための所定のプロファイルと、を比較すること、
を含む、方法。
【請求項84】
前記所定のプロファイルが、慢性喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度値の統計分析に基づくものである、請求項24に記載の方法。
【請求項85】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項24または25に記載の方法。
【請求項86】
前記慢性安定喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象の各々から得られた前記複数の生物サンプルの各々における1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の前記濃度値の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項26に記載の方法。
【請求項87】
前記対象からの前記生物サンプル、ならびに慢性安定喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象から得られた前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項27に記載の方法。
【請求項88】
前記喘息状態プロファイルおよび前記所定のプロファイルの各々が、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項24に記載の方法。
【請求項89】
請求項24から29のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項90】
対象における慢性安定喘息の疾患状態、増悪喘息の疾患状態、および非疾患状態の間の違いを識別するための所定のプロファイルを作製する方法であって:
(a)慢性喘息患者、増悪喘息患者、および非疾患対象から得られた複数の生物サンプルの各々における、1‐メチルヒスタミン、1‐メチルニコチンアミド、2‐メチルグルタラート、2‐オキソグルタラート、3‐OH‐3‐メチルグルタラート、3‐メチルアジパート、4‐アミノヒプラート、アセトン、アデノシン、アラニン、カルニチン、クレアチン、ジメチルアミン、ホルマート、フマラート、グルコース、グリコラート、ヒスチジン、ホモバニラート、キヌレニン、ミオ‐イノシトール、O‐アセチルカルニチン、フェニルアセチルグリシン、フェニルアラニン、スクシナート、タウリン、スレオニン、トリメチルアミンN‐オキシド、トリプトファン、およびシス‐アコニタートの各々の濃度を測定すること;
(b)前記慢性安定喘息状態、増悪喘息状態、および非疾患状態を識別するために、(a)の濃度値に対して統計分析を行うこと、
を含む、方法。
【請求項91】
前記複数の生物サンプルが、尿サンプルである、請求項54に記載の方法。
【請求項92】
工程(b)の前記統計分析が、主成分分析、判別分析、判別分析を伴う主成分分析、部分最小二乗法、判別分析を伴う部分最小二乗法、正準相関、カーネル主成分分析、非線形主成分分析、因子分析、多次元尺度構成法、およびクラスター分析から成る群より選択される多変量統計分析である、請求項55に記載の方法。
【請求項93】
前記所定のプロファイルが、多変量統計分析を用いて決定されたスコアプロットである、請求項54に記載の方法。
【請求項94】
請求項54から57のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【図1A】
【図1B1】
【図1B2】
【図1C1】
【図1C2】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B1】
【図7B2】
【図7C1】
【図7C2】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図1B1】
【図1B2】
【図1C1】
【図1C2】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B1】
【図7B2】
【図7C1】
【図7C2】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【公表番号】特表2012−500391(P2012−500391A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523282(P2011−523282)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001314
【国際公開番号】WO2010/020058
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(511044113)ザ ガバナーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アルバータ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001314
【国際公開番号】WO2010/020058
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(511044113)ザ ガバナーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アルバータ (1)
【Fターム(参考)】
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