説明

呼吸用マスクアセンブリのためのヘッドギア連結アセンブリ

【課題】偶発的に外れず、位置決めが簡単で、迅速に着脱できるような、ヘッドギア連結アセンブリを具備した呼吸用マスクアセンブリを提供すること。
【解決手段】患者に対して呼吸可能ガスを供給するための呼吸用マスクアセンブリ(10)においてフレーム(12)とヘッドギアアセンブリとを着脱可能に連結するためのロッククリップ(28)であって、前方部分(34)が、スプリングアーム(36)を備え、スプリングアームの基端部が、第1ギャップの分だけ本体ボディ(30)から離間しているとともに、スプリングアームの中央部分が、第2ギャップの分だけ後方部分(32)から離間しており、第1ギャップおよび第2ギャップが、L字形をなす全体形状を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の特許文献の記載内容は、参考のため、ここに組み込まれる。すなわち、2004年1月16日付けで出願された特許文献1、2003年9月5日付けで出願された特許文献2、2002年11月8日付けで出願された特許文献3、2003年5月5日付けで出願された特許文献4、2002年9月6日付けで出願された特許文献5。この特許文献5は、2001年9月7日付けで出願された特許文献6、および、2001年12月28日付けで出願された特許文献7、の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、呼吸用マスクアセンブリのフレームに対してヘッドギアアセンブリを着脱可能に取り付けるためのヘッドギア連結アセンブリに関するものである。マスクアセンブリは、例えば睡眠呼吸障害(SDB)の治療のための非侵襲性気道陽圧(NPPV)といったような治療において使用される。
【背景技術】
【0003】
SDBの治療において使用される呼吸用マスクアセンブリは、患者の鼻に対して適合し得るよう構成された鼻のマスクや、あるいは、患者の鼻と口とに対して適合し得るよう構成されたすることを目指したフルフェイスマスク、を備えることができる。空気あるいは他の呼吸可能なガスが、ブロワによって供給され、マスクアセンブリに対して、柔軟な導管を通して案内される。
【0004】
マスクアセンブリは、一般に、比較的剛直なシェル、すなわち、フレーム、を備えている。このフレームは、患者の鼻および/または口をカバーする後方開口キャップを形成する。マスクアセンブリは、さらに、ソフトな部分、すなわち、クッションを備えている。このクッションは、快適な接触をもたらし得るよう、フレームと患者の顔とを離間させる。
【0005】
マスクアセンブリは、通常、ヘッドギアアセンブリを使用して、所定位置に保持される。フレームとヘッドギアアセンブリとは、いくつかのコネクタを使用した連結される。
【0006】
公知のコネクタの1つが、米国特許第6,374,826号明細書(Gunaratnam氏他による)に開示されている。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許予備出願シリアル番号第60/536,735号明細書
【特許文献2】米国特許非予備出願シリアル番号第10/655,603号明細書
【特許文献3】米国特許予備出願シリアル番号第60/424,698号明細書
【特許文献4】米国特許予備出願シリアル番号第60/467,571号明細書
【特許文献5】米国特許非予備出願シリアル番号第10/235,846号明細書
【特許文献6】米国特許予備出願シリアル番号第60/317,486号明細書
【特許文献7】米国特許予備出願シリアル番号第60/342,854号明細書
【特許文献8】米国特許第6,374,826号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
患者の多くは、敏感であり、ある種のコネクタ構成を不快と感じ、使用が困難である。例えば、患者によっては、コネクタによってフレームとヘッドギアアセンブリとの適切な連結に際して、苦労する。その結果、コネクタが、使用中に外れてしまうかもしれず、また、患者がフレームとヘッドギアアセンブリとを分離することが困難となってしまうように固着してしまうかもしれない。
【0009】
さらに、コネクタによっては、マスクアセンブリのフレーム上に配置される。この場合には、コネクタが目に対して非常に近いことのためにまたコネクタが患者の視野の範囲外に位置することのために、使用者は、コネクタを見ることを困難となってしまう。このため、容易に使用し得るとともに、患者の視野の範囲外に位置していたとしても容易にかつ正確に組み立て得るような、コネクタが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの見地は、偶発的に外れてしまわないとともに、患者が簡単にかつ直観的に位置決めすることができて、患者によって迅速に着脱され得るような、フレームとヘッドギアアセンブリとの間の配置されるヘッドギア連結アセンブリを具備した呼吸用マスクアセンブリを提供することである。
【0011】
本発明の他の見地は、患者に対して呼吸可能ガスを供給するための呼吸用マスクアセンブリを提供することである。本発明の一実施形態による呼吸用マスクアセンブリは、フレームと、少なくとも1つのロッククリップと、を具備している。フレームは、本体ボディと、この本体ボディの両側方に配置されたフレーム側部部材と、を備えて構成されている。フレーム側部部材の少なくとも一方は、一体的に形成されたロッククリップ受領アセンブリを有している。少なくとも1つのロッククリップは、本体ボディを備えて構成されており、本体ボディは、前方部分および後方部分を有している。前方部分は、少なくとも1つのロッククリップ受領アセンブリに対して着脱可能に連結され得るよう構成されており、後方部分は、ヘッドギアアセンブリに対して着脱可能に連結され得るよう構成されている。ロッククリップの後方部分は、クロスバーを備えている。このクロスバーは、開口を形成している。この開口を通して、ヘッドギアアセンブリのストラップを通過させることができ、そのストラップを、クロスバーに対して着脱可能に連結し得るようになっている。ロッククリップの前方部分は、少なくとも1つの弾性的かつフレキシブルなスプリングアームを備え、この少なくとも1つのスプリングアームは、ロッククリップの本体ボディがなす平面内において撓み得るものとされている。
【0012】
本発明の他の見地は、旋回可能なエルボーコネクタを備えてなるマスクフレーム内に容易に成型し得るようなヘッドギア連結アセンブリを提供することである。
【0013】
本発明の他の見地は、コンパクトなサイズを維持しつつ、スプリング/クリップの弾性復元力を低減することなく、実効的な長さが増大された屈曲スプリングアームを備えているような、ロッククリップを提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の他の見地や特徴点や利点は、添付図面を参照しつつ、本発明を何ら限定するものではなく単なる例示としての好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】マスクアセンブリを示す正面から見た斜視図であり、マスクアセンブリは、本発明の一実施形態に基づいて構成されたヘッドギア連結アセンブリを備えている。
【図2】図1のマスクアセンブリを示す正面図である。
【図3】図1におけるヘッドギア連結アセンブリの中のロッククリップを示す平面図である。
【図4】図1におけるヘッドギア連結アセンブリの中のロッククリップを示す斜視図である。
【図5】図1におけるヘッドギア連結アセンブリの中のロッククリップ受領アセンブリを示す斜視図である。
【図6】図1におけるヘッドギア連結アセンブリの中のロッククリップ受領アセンブリを示す正面図である。
【図7】図1におけるヘッドギア連結アセンブリの中のロッククリップ受領アセンブリを示す断面図である。
【図8】図1におけるヘッドギア連結アセンブリに関し、ロッククリップとロッククリップ受領アセンブリとの間の係合を示す断面図である。
【図9】図1におけるヘッドギア連結アセンブリに関し、ロッククリップとロッククリップ受領アセンブリとの間の係合を示す断面図である。
【図10】図1のマスクアセンブリを示す斜視図であって、図1におけるヘッドギア連結アセンブリを使用して患者の顔に対して固定した様子を示している。
【図11】図1におけるヘッドギア連結アセンブリを示す平面図であって、マスクアセンブリのフレームに対して第1不適正状態とされた様子を示している。
【図12】図1におけるヘッドギア連結アセンブリを示す平面図であって、マスクアセンブリのフレームに対して第2不適正状態とされた様子を示している。
【図13】図1におけるヘッドギア連結アセンブリの中のロッククリップを示す正面から見た斜視図である。
【図14】図13のロッククリップを示す底面から見た斜視図である。
【図15】図13のロッククリップを示す平面図である。
【図16】図15における16−16線に沿った矢視断面図である。
【図17】図13のロッククリップを示す正面図である。
【図18】図13のロッククリップを示す背面図である。
【図19】図13のロッククリップを示す側面図である。
【図20】図13のロッククリップを示す底面図である。
【図21】ロッククリップの他の実施形態を示す正面から見た斜視図である。
【図22】図21のロッククリップを示す底面から見た斜視図である。
【図23】図21のロッククリップを示す平面図である。
【図24】図23における24−24線に沿った矢視断面図である。
【図25】図21のロッククリップを示す正面図である。
【図26】図21のロッククリップを示す背面図である。
【図27】図21のロッククリップを示す側面図である。
【図28】図21のロッククリップを示す底面図である。
【図29】フルフェイス型のマスクアセンブリのフレームの一実施形態を示す正面から見た斜視図であり、フレームは、図21のロッククリップに対して協働し得るよう構成されたロッククリップ受領アセンブリを備えている。
【図30】図29と同様の正面から見た斜視図であるものの、この図においては、図29とは、見る角度が相違している。
【図31】図29のフレームを示す背面から見た斜視図である。
【図32】図29のフレームを示す正面図である。
【図33】図29のフレームを示す側面図である。
【図34】図29のフレームを示す平面図である。
【図35】図29のフレームの上部に対して着脱可能に取り付け得るよう構成された額支持部材の一実施形態を示す正面から見た斜視図であって、この額支持部材は、図21のロッククリップに対して協働し得るよう構成されたロッククリップ受領アセンブリを備えている。
【図36】図35の額支持部材を示す背面から見た斜視図である。
【図37】図35の額支持部材を示す正面から見た斜視図である。
【図38】図35の額支持部材を示す正面図である。
【図39】図35の額支持部材を示す側面図である。
【図40】図35の額支持部材を示す平面図である。
【図41】本発明の他の実施形態によるロッククリップを示す正面図である。
【図42】図41のロッククリップを示す背面図である。
【図43】図41のロッククリップを示す正面から見た斜視図である。
【図44】本発明の他の実施形態によるロッククリップを示す正面図である。
【図45】図44のロッククリップを示す背面図である。
【図46】図44のロッククリップを示す正面から見た斜視図である。
【図47】本発明の他の実施形態によるロッククリップを示す正面図である。
【図48】図47のロッククリップを示す背面図である。
【図49】図47のロッククリップを示す正面から見た斜視図である。
【図50】図47のロッククリップを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面は、本発明の様々な実施形態の理解を容易とするためのものである。
【0017】
図1および図2は、呼吸用マスクアセンブリ(10)を示している。この呼吸用マスクアセンブリ(10)は、フレーム(12)と、このフレーム(12)に対して恒久的にまたは着脱可能に取り付けられ得るクッション(14)と、を備えている。例えば、当該技術分野においては公知なように、クッション(14)は、クッションクリップやストラップや摩擦係合や相互噛み合い係合やタンググルーブ構成を使用することにより、フレーム(12)に対して着脱可能に取り付けることができる。しかしながら、クッション(14)は、例えば接着剤や機械的固定手段を使用することによって、フレーム(12)に対して恒久的に取り付けることができる。
【0018】
額支持部材(16)が、フレーム(12)の上部に対して着脱可能に取り付けられている。ヘッドギアアセンブリ(図示せず)を、フレーム(12)に対して着脱可能に取り付けることができ、これにより、フレーム(12)とクッション(14)とを、患者の顔に対して、所望に調整されたに維持することができる。例えば、ヘッドギアアセンブリは、一対をなす上ストラップおよび下ストラップを備えることができる。この場合、後述するように、上ストラップは、額支持部材(16)上に設けられたクリップ構造(18)に対して着脱可能に連結され、一方、下ストラップは、ヘッドギア連結アセンブリ(20)を使用して、フレーム(12)に対して着脱可能に連結される。
【0019】
図示の実施形態においては、マスクアセンブリ(10)は、患者の鼻に対して、呼吸可能なガスを供給するための鼻用のマスク構造である。しかしながら、マスクアセンブリ(10)は、鼻と口とに対するマスクすることができる、すなわち、フルフェイス型のマスクとすることができる。
【0020】
旋回可能なエルボーアセンブリ(22)が、フレーム(12)の前方部分に対して着脱可能に取り付けられている。このエルボーアセンブリ(22)は、加圧供給源に対して連結された導管に対して連結可能であるように、構成されている。加圧供給源は、導管およびエルボーアセンブリ(22)を介してクッション(14)内へと、呼吸可能なガスを供給し、これにより、患者は、呼吸を行うことができる。
【0021】
図示の実施形態においては、ヘッドギアアセンブリの下ストラップは、ヘッドギア連結アセンブリ(20)によって、フレーム(12)に対して着脱可能に取り付けられる。ヘッドギア連結アセンブリ(20)は、フレーム(12)によって形成された第1コネクタ部分(24)と、第1コネクタ部分(24)に対して着脱可能に連結され得るよう構成された第2コネクタ部分(26)と、を備えている。第2コネクタ部分(26)は、ヘッドギアアセンブリの下ストラップに対して着脱可能に連結される。
【0022】
図1および図2に示すように、第2コネクタ部分(26)は、一対をなすロッククリップ(28)を備えている。好ましい実施形態においては、ロッククリップ(28)は、射出成型によって形成された単一プラスチック部材である。図3および図4に示すように、各ロッククリップ(28)は、本体ボディ(30)を備えている。本体ボディ(30)は、後方部分(32)と、前方部分(34)と、を有している。後方部分(32)は、ヘッドギアアセンブリの下ストラップに対して着脱可能に連結される。一方、前方部分(34)は、フレーム(12)上に設けられた第1コネクタ部分(24)に対して着脱可能に連結される。
【0023】
特に、前方部分(34)は、少なくとも1つの、好ましくは2つの、弾性的かつフレキシブルなスプリングアーム(36)を備えている。これらスプリングアーム(36)は、本体ボディ(30)の両サイドに設けられており、本体ボディ(30)に対して離間しつつも全体的に平行に延在している。しかしながら、前方部分(34)は、1つのスプリングアーム(36)を備えることができる。スプリングアーム(36)は、上下に撓むことができる。例えば、図3に示されている矢印Aの向きに、あるいは、矢印Aとは逆向きに、撓むことができる。ロックタブ(38)が、各スプリングアーム(36)の自由端に対して取り付けられている。さらに、各スプリングアーム(36)は、ショルダ部分(40)を形成し得るよう構成されている。ショルダ部分(40)とロックタブ(38)とは、使用時には、第1コネクタ部分(24)の対応部分に対して係合し得るよう構成されている。これにより、第1コネクタ部分(24)と第2コネクタ部分(26)とが、互いに連結されることとなる。例えば、ロックタブ(38)は、後述するように、矢印B(図3)によって示す向きの力が第2コネクタ部分(26)に印加された場合でも、第1コネクタ部分(24)から第2コネクタ部分(26)が偶発的に係合解除されてしまうことを防止し得るように、構成されている。
【0024】
前方部分(32)は、さらに、一対をなすスプリングアーム(36)の間に配置された中央支持タブ(42)を備えている。図示の実施形態においては、中央支持タブ(42)の長さは、各スプリングアーム(36)の長さよりも、長いものとされている。後述するように、中央支持タブ(42)は、第1コネクタ部分(24)の相補的形状部分内へとスライド的に挿入することができる。
【0025】
図4に示すように、中央支持タブ(42)は、グルーブ(44)を備えている。中央支持タブ(42)は、h2という高さを有している。また、各スプリングアーム(36)の前方部分は、h1という高さを有している。図示の実施形態においては、高さ(h2)の方が、高さ(h1)よりも大きいものとされている。代替可能な実施形態においては、高さ(h2)を、高さ(h1)よりも小さなものとすることができる。
【0026】
第2コネクタ部分(26)の後方部分(32)は、クロスバー(46)を備えている。クロスバー(46)は、開口(48)を形成しており、この開口(48)を通して、ヘッドギアアセンブリの下ストラップを通過させて着脱可能に連結することができる。特に、ヘッドギアアセンブリの下ストラップの端部を、クロスバー(46)の周囲に巻き付けることができる。クロスバー(46)に対する下ストラップの固定は、例えばVelcro(登録商標)といったような、フックとループとからなる材料を使用することによって、補助することができる。したがって、下ストラップは、適切な適合のために、ロッククリップ(28)に対して調節することができる。ロッククリップ(28)は、ヘッドギアアセンブリに対して、回転可能に調節することができる。これに関しては、例えば、2002年8月12日付けで出願された米国特許予備出願シリアル番号第60/402,509号明細書を参照されたい。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。
【0027】
図1、図2、および図5に示すように、フレーム(12)は、本体ボディ(50)を備えている。この本体ボディ(50)は、クッション(14)と、本体ボディ(50)の各側面上に設けられるフレーム側部部材(52)と、を備えている。各フレーム側部部材(52)は、このフレーム側部部材(52)と一体的に形成される第1コネクタ部分(24)を備えている。図5〜図7に示すように、第1コネクタ部分(24)は、ロッククリップ受領アセンブリ(54)を備えている。ロッククリップ(28)は、ロッククリップ受領アセンブリ(54)に対して相互ロックされ得るように構成されている。これにより、ロッククリップ(28)をフレーム(12)に対して着脱可能に連結することができ、よって、ヘッドギアアセンブリをフレーム(12)に対して着脱可能に連結することができる。
【0028】
各ロッククリップ受領アセンブリ(54)は、スロット(56)を備えている。スロット(56)は、中央部分(58)と、この中央部分の両サイドに配置された2つのロック部分(60)と、を有している。スロット(56)の中央部分(58)は、ロック部分(60)の各々の上面(64)に対して連続的なものとされた上面(62)を有している。しかしながら、中央部分(58)の下面(66)と2つのロック部分(60)の下面(68)とは、段付きの形状を有している。特に、図5および図6に示すように、中央部分(58)は、上面(62)と下面(66)と間にわたって、高さ(h2)を有している。2つのロック部分(60)は、上面(64)と下面(68)との間にわたって、高さ(h1)を有している。図示の実施形態においては、高さ(h2)の方が、高さ(h1)よりも大きなものとされている。さらに、中央部分(58)の高さ(h2)は、中央支持タブ(42)の高さ(h2)とほぼ等しい。また、2つのロック部分(60)の高さ(h1)は、各スプリングアーム(36)の前方部分の高さ(h1)とほぼ等しい。後述するように、この構成は、ロッククリップ(28)とロッククリップ受領アセンブリ(54)との間の連結を容易なものとする。
【0029】
図7に示すように、ロック部分(60)の各々は、外壁上に配置されたロックフランジ(70)を備えている。このロックフランジ(70)は、ロッククリップ(28)のロックタブ(38)に対して係合することができる。
【0030】
中央部分(58)は、下面(66)から上面(62)に向けて延在する壁(72)を備えている。図示の実施形態においては、壁(72)は、上面(62)に向けておよそ半分の高さにまで延出されている。
【0031】
図示の実施形態においては、第1コネクタ部分(24)は、フレーム(12)に対して一体的に成型されている。図5および図10に示すように、フレーム(12)は、さらに、旋回可能なエルボー(22)を受領し得るよう、オリフィス(80)とカラー(82)とを備えている。カラー(82)は、オリフィス(80)から水平方向にかつ径方向に延出されたリム(84)を有している。カラー(82)を形成し得るよう、型を水平方向に引き抜き得ることが有利である。しかしながら、所望によっては、ヘッドギアは、フレーム(12)に対して角度を有することができる。第1コネクタ部分(24)は、水平方向に対しておよそ5%という角度(θ)でもって、下向きに位置合わせされている。フレーム(12)が成型される場合、型をなす構成部材は、カラー(82)を形成し得るよう、水平方向に引き抜かれるべきである。図7に示すように、中央部分(58)の下面(66)とロック部分(60)の下面(68)との間の接合は、型の側面どうしを水平方向に引き抜き得るよう十分に広いものであるような角度(α)を形成するものとされている。また、角度付きの接合は、ロッククリップ(28)とロッククリップ受領アセンブリ(54)との間の連結を容易なものとする。
【0032】
図9に示すように、ロッククリップ(28)の前方部分(34)および後方部分(32)は、互いに対して角度(β)を形成するようにして、配置されている。図示の実施形態においては、後方部分(32)は、水平方向に対して下向きの角度を有している。一方、前方部分(34)は、一般に水平方向に位置したものとされている。この角度の使用によって、ロッククリップ(28)は、マスクから突出することがない。さらに、ヘッドギアストラップが、顔の輪郭に対して自然的に沿うような角度でもって、ロッククリップ(28)に対して連結される。本発明の代替可能な形態においては、前方部分(34)および後方部分(32)は、互いの間に角度差を形成するようにして、湾曲させることができる。このようなアプローチの利点は、第2コネクタ部分(26)の前方部分(34)内への第1コネクタ部分(24)のスロット(56)のスライド的な挿入を、全体的に水平なものとし得ることである。このことは、型の側部部材を水平方向に引き抜くことができてカラー(82)の形成を補助し得ることのために、製造時において有利である。
【0033】
図8および図9に示すように、スロット(56)のロック部分(60)は、一対をなすスプリングアーム(36)のうちのそれぞれの対応するものを受領し得るよう構成されている。各スプリングアーム(36)のロックタブ(38)は、各ロック部分(60)に設けられたロックフランジ(70)に対して相互ロックされる。これにより、ロッククリップ(28)がフレーム(12)に対して着脱可能に連結される。したがって、ヘッドギアアセンブリがフレーム(12)に対して着脱可能に連結される。ロッククリップ(28)がロッククリップ受領アセンブリ(54)内に挿入されたときには、各ロッククリップ(28)のショルダ部分(40)は、フレーム(12)上に設けられた係合面(74)に対して係合し、これにより、ロッククリップ(28)に対しての付加的な支持がもたらされる。ロックタブ(38)は、ロック部分(60)に設けられたアンダーカットに対して相互ロックすることができ、これにより、ロッククリップ(28)をフレーム(12)に対して着脱可能に取り付けることができる。さらに、各ロックタブ(38)は、ロック部分(60)の外壁に設けられたスロットを通って延出することができる。このスロットは、ロック部分(60)の外壁を通って延在することは、必須ではない。
【0034】
ロッククリップ(28)とロッククリップ受領アセンブリ(54)とが係合する際には、中央支持タブ(42)が、スロット(56)の中央部分(58)内に挿入される。これにより、ロッククリップ(28)とロッククリップ受領アセンブリ(54)との間の相対移動を防止することができる。
【0035】
特に、ロッククリップ(28)がロッククリップ受領アセンブリ(54)内に挿入される際には、両スプリングアーム(36)は、ロックタブ(38)がスロット(56)のそれぞれのロック部分(60)内へと挿入されるにつれて、ロックフランジ(70)上へと乗り上げるにつれて、互いに接近する向き(図3に示された矢印Aの向き)に移動する。ロックタブ(38)がそれぞれのロックフランジ(70)を通過した後には、両スプリングアーム(36)は、外向きに(図3に示された矢印Aとは逆の向きに)弾性復帰移動することができる。これにより、ロックタブ(38)とロックフランジ(70)との間のロック係合がもたらされる。十分なクリアランスが、スロット(56)のロック部分(60)に設けられている。これにより、ロックタブ(38)は、ロックフランジ(70)を乗り超え得るに必要な移動を行うことができる。
【0036】
中央支持タブ(42)は、スロット(56)の中央部分(58)に対して緊密に係合し得るよう構成されている。これにより、中央支持タブ(42)が中央部分(58)内に挿入された場合には、ロッククリップ(28)とロッククリップ受領アセンブリ(54)との間においては、回転移動とか揺動移動とか側方移動とかは、ごくわずかしか許容されていない。中央支持タブ(42)は、スプリングアーム(36)よりも、長いものとされている。これにより、スロット(56)に対する位置合わせが補助されている。さらに、中央支持タブ(42)のグルーブ(44)は、スロット(56)の中央部分(58)に設けられた壁(72)に対して係合する。これにより、スロット(56)の中央部分(58)内への中央支持タブ(42)の進入を容易なものとすることができる。これに代えて、中央支持タブ(42)は、突起を有することができ、この突起が、スロット(56)の中央部分(58)に設けられたグルーブに対して係合することができる。また、中央支持タブ(42)は、スロット(56)の中央部分(58)の形状を規定している角度(α)に対して、相補的な形状を有している。
【0037】
中央部分(58)の高さ(h2)が中央支持タブ(42)の高さ(h2)とほぼ同じであることにより、かつ、2つのロック部分(60)の高さ(h1)が各スプリングアーム(36)の前方部分の高さ(h1)とほぼ同じであることにより、スロット(56)のロック部分(60)は、各スプリングアーム(36)の前方部分を受領し得るだけの十分な高さを有しているとともに、中央支持タブ(42)を受領するには不十分な高さを有している。すなわち、中央支持タブ(42)が厚すぎることにより、中央支持タブ(42)は、スロット(56)のロック部分(60)内には進入することができない。この構成のために、患者は、ロッククリップ(28)がロッククリップ受領アセンブリ(54)に対して適切に係合されたかどうかを、明瞭に知ることができる。したがって、患者は、ロッククリップ(28)とロッククリップ受領アセンブリ(54)とが偶発的に外れてしまいやすいような態様でもって、それらを不適切に部分的に組み立てることができない。例えば、図11は、ロッククリップ受領アセンブリ(54)に対してのロッククリップ(28)の第1の不適切な状況を図示している。また、図12は、ロッククリップ受領アセンブリ(54)に対してのロッククリップ(28)の第2の不適切な状況を図示している。両方の例において、患者は、スロット(56)のより薄いロック部分(60)内へと、より厚い中央支持タブ(42)を挿入することができない。
【0038】
ロッククリップ受領アセンブリ(54)からロッククリップ(28)を取り外すには、患者は、単にスプリングアーム(36)どうしを接近移動させるだけで良い。これにより、それぞれ対応するロックフランジ(70)から、ロックタブ(38)が取り外される。その後、患者は、ロッククリップ(28)を、フレーム(12)から遠ざけるようにして引っ張る。これにより、ロッククリップ受領アセンブリ(54)からロッククリップ(28)が取り外される。
【0039】
図8に示すように、ロックタブ(38)と中央支持タブ(42)とは、丸められたエッジあるいは曲線状のエッジを有している。これにより、スロット(56)内への進入が容易なものとされている。また、ロッククリップ(28)の外表面と、フレーム(12)の外表面とは、好ましくは、全体的に面一な連続的な表面を形成する。これにより、連結状態において、段差が形成されることがない。好ましくは、ロッククリップ(28)の幅は、フレーム側部部材(52)の幅と同じものとされている。これにより、患者は、ロッククリップ(28)の位置決めを触感的に容易に行うことができる。
【0040】
スプリングアーム(36)は、ロッククリップの本体ボディ(30)がなす平面内において、撓み得るように構成されている。このことは、ロッククリップ(28)の着脱に関する容易さを、さらに改良する。この位置決めは、スプリングアームを上下に撓ませる作業姿勢を改善する。図10に示すように、患者の親指および対向する指によって、容易にロッククリップ(28)を見つけて操作することができる。スプリングアーム(36)の外表面は、一連をなす複数の突起(76)を備えることができる(図8参照)。これにより、患者は、ロッククリップ(28)を容易に把持することができる。さらに、ロッククリップ(28)は、ヘッドギアアセンブリのストラップに連結されている。これにより、長さ調節を行うことができる。
【0041】
ヘッドギア連結アセンブリ(20)の利点は、1つのロッククリップ(28)を、各フレーム側部部材(52)上に設けられたロッククリップ受領アセンブリ(54)に対して使用し得ることであり、これにより、製造コストを低減し得るとともに、在庫の必要性を低減することができる。
【0042】
図13〜図20は、ヘッドギア連結アセンブリ(20)におけるロッククリップ(28)の一実施形態に関して、様々な寸法に関する詳細を示している。例えば、ロッククリップ(28)は、20〜40mmという範囲の長さを有し、好ましくは29mmという長さを有し、20〜40mmという範囲の幅を有し、好ましくは27.8mmという幅を有し、さらに、4〜8mmという範囲の高さを有し、好ましくは6.7mmという高さを有している。ロッククリップ(28)の一実施形態においては、図13〜図20に示された寸法は、±10%にわたって変更することができる。
【0043】
図示の実施形態においては、ロッククリップ(28)の後方部分(32)は、クロスバー(46)を備えており、このクロスバー(46)は、開口(48)を形成している。この開口(48)を通すことによって、ヘッドギアアセンブリのストラップを、クロスバー(46)に対して着脱可能に連結することができる。本発明の他の態様においては、ヘッドギアアセンブリのストラップは、他の機構を使用して連結される。例えば、ストラップは、フックを有することができ、このフックを、ロッククリップに形成された対応穴に対して係合させることができる。他の態様においては、ストラップは、所定位置に縫い付けられ、着脱可能とはされない。他の態様においては、ストラップは、着脱可能とされ、摩擦係合によって所定位置に保持される。
【0044】
図示の実施形態においては、本発明によるロッククリップは、口の領域内に位置した旋回可能エルボーに隣接して、マスクフレーム上においてのみ使用されている。マスクアセンブリの額支持部材に対する連結用のストラップは、フックループ材料によってのみ、所定位置に保持されている。したがって、2個のロッククリップが、1つのマスク上で使用されている。本発明の他の実施形態においては、4個のロッククリップが使用される。その場合、2つのロッククリップは、図示されたようにして使用され、残りの2つのロッククリップは、額支持部材の構成部材として使用される。
【0045】
図21〜図28は、符号(228)によって、ロッククリップの他の実施形態を示している。図29〜図40に示すように、ロッククリップ(228)は、フレーム(212)(図29〜図34参照)と額支持部材(216)(図35〜図40参照)とを備えたフルフェイス型マスクアセンブリにおいて使用し得るよう構成されている。特に、図29〜図34に示すように、フレーム(212)は、一対をなすロッククリップ(228)と相互ロックし得るよう構成された一対をなすロッククリップ受領アセンブリ(254)を備えている。図35〜図40に示すように、額支持部材(216)は、一対をなすロッククリップ(228)と相互ロックし得るよう構成された一対をなすロッククリップ受領アセンブリ(254)を備えている。しかしながら、図示のように、ロッククリップ(228)およびロッククリップ受領アセンブリ(254)は、例えば、鼻のマスクにおける使用のために、あるいは、鼻と口とのマスクにおける使用のために、構成することができる。
【0046】
図21〜図28に示すように、ロッククリップ(228)は、実質的に、上記ロッククリップ(28)と同様のものである。しかしながら、後述するように、クリップ(228)内に設けられるグルーブ(244)の長さは、クリップ(28)内に設けられるグルーブ(44)の長さよりも、長いものとされている。ロッククリップ(228)の残りの構成要素は、ロッククリップ(28)の構成要素と同様であり、同じ参照符号によって示されている。
【0047】
先の実施形態と同様に、ロッククリップ(228)は、本体ボディ(230)を備えており、本体ボディ(230)は、後方部分(232)と前方部分(234)とを有している。後方部分(232)は、ヘッドギアアセンブリのストラップに対して着脱可能に連結されている。また、前方部分(234)は、フレーム(212)上に設けられたあるいは額支持部材(216)上に設けられたそれぞれ対応するロッククリップ受領アセンブリ(254)に対して着脱可能に連結されている。前方部分(234)は、本体ボディ(230)の両サイドに配置された2つの弾性的かつフレキシブルなスプリングアーム(236)を備えている。フレキシブルなスプリングアーム(236)は、本体ボディ(230)がなす平面内において撓むことができる。
【0048】
さらに、各スプリングアーム(236)は、ロックタブ(238)と、ショルダ部分(240)と、を備えている。各スプリングアーム(236)は、フレーム(212)上に設けられたあるいは額支持部材(216)上に設けられたそれぞれ対応するロッククリップ受領アセンブリ(254)に対して係合し得るように構成されている。図22および図28に明瞭に示すように、前方部分(234)は、さらに、グルーブ(244)付きの中央支持タブ(242)を備えている。
【0049】
クリップ(228)内に設けられたグルーブ(244)は、クリップ(28)内に設けられたグルーブ(44)と比較して、より深いもの、あるいは、より長尺のもの、とされている(図14および図22において、明瞭に示されている)。図示の実施形態においては、グルーブ(244)は、中央支持タブ(242)の長さと比較して、半分以上の長さを有している。ロッククリップ(228)のグルーブを長くすることにより、フレーム(212)に対してのあるいは額支持部材(216)に対してのロッククリップ(228)の位置決めを容易なものとすることができる。さらに、後述するように、グルーブ(244)が長尺であれば、ロッククリップ(228)と、フレーム(212)上に設けられたあるいは額支持部材(216)上に設けられたそれぞれ対応するロッククリップ受領アセンブリ(254)と、の間の相対移動を防止するのに、効果的である。
【0050】
図29〜図34は、フルフェイス型のマスクアセンブリのためのフレーム(212)の一実施形態を示している。フレーム(212)は、任意の適切な方法で、クッション(図示せず)に対して恒久的にあるいは着脱可能に連結することができる。さらに、フレーム(212)の前方部分に対しては、旋回可能なエルボーアセンブリ(図示せず)を、着脱可能に取り付けることができる。
【0051】
フレーム(212)の各側面には、ロッククリップ(228)と相互ロックし得るよう構成されたロッククリップ受領アセンブリ(254)が設けられている。ロッククリップ受領アセンブリ(54)の場合と同様に、ロッククリップ受領アセンブリ(254)は、スロット(256)を備えている。スロット(256)は、中央部分(258)と、2つのロック部分(260)と、を有している。ロック部分(260)は、外壁上に配置されたロックフランジ(270)を備えている(図32参照)。このロックフランジ(270)は、ロッククリップ(228)のロックタブ(238)に対して係合することができる。図示の実施形態においては、スロット(256)の上壁(261)は、一対の開口(263)を有しており、これら開口は、ロックフランジ(270)と位置合わせされている。これにより、患者は、ロッククリップ(228)のロックタブ(238)が、使用中のロックフランジ(270)に対して相互ロックされることを、視覚的に確認することができる。
【0052】
また、中央部分(258)は、壁(272)を備えている。図29、図30、および、図32に示すように、ロッククリップ受領アセンブリ(254)の内部に設けられた壁(272)は、スロット(256)から、外向きに突出している。ロッククリップ受領アセンブリ(54)の実施形態においては、壁(72)は、全体的にスロット(56)内に配置されているものであった(図5、図7、図11、および、図12参照)。ロッククリップ受領アセンブリ(254)の壁(272)は、それぞれ対応するロッククリップ受領アセンブリ(254)に対しての、ロッククリップ(228)の位置合わせを容易なものとする。特に、クリップ(228)のグルーブ(244)は、長尺壁(272)と係合することができる。これにより、スロット(256)内へとクリップ(228)を案内することができる。
【0053】
さらに、クリップ(228)が、それぞれ対応するロッククリップ受領アセンブリ(254)と係合する場合、クリップ(228)の長尺グルーブ(244)と、ロッククリップ受領アセンブリ(254)の壁(272)と、の間の係合が、クリップ(228)とロッククリップ受領アセンブリ(254)との間の揺動移動や側方移動を防止する。さらに、クリップ(228)のスプリングアーム(236)のうちの一方に対して印加されるいかなる力も、クリップ(228)がロッククリップ受領アセンブリ(254)と係合している場合には、クリップ(228)の他方のスプリングアーム(236)に転送されることがない。したがって、クリップ(228)は、使用時には、それぞれ対応するロッククリップ受領アセンブリ(254)から不注意に外れてしまうことがない。ロッククリップ受領アセンブリ(254)からロッククリップ(228)を係合解除するには、両方のスプリングアーム(236)を互いに接近する向きに移動させ、これにより、ロックタブ(238)を、それぞれ対応するロックフランジ(270)を超えて移動させなければならない。
【0054】
図35〜図40は、フレーム(212)の上部に対して着脱可能に連結し得るよう構成された額支持部材(216)の一実施形態を示している。額支持部材(216)は、任意の適切な手法によって、額パッド(図示せず)に対して、恒久的にあるいは着脱可能に連結することができる。
【0055】
額支持部材(216)の各側面には、ロッククリップ(228)と相互ロックし得るよう構成されたロッククリップ受領アセンブリ(254)が設けられている。額支持部材(216)上に設けられたロッククリップ受領アセンブリ(254)は、フレーム(212)上に設けられたロッククリップ受領アセンブリと実質的に同様である。そのため、同じ参照符号が付されている。その結果、1つのロッククリップ(228)を、フレーム(212)上に設けられたあるいは額支持部材(216)上に設けられたそれぞれ対応するロッククリップ受領アセンブリ(254)に対して使用することができる。これにより、製造コストを低減し得るとともに、在庫の必要性を低減することができる。よって、4個のロッククリップ(228)が使用され、2つのロッククリップ(228)は、フランジ(212)に対して使用され、残りの2つのロッククリップ(228)は、額支持部材(216)に対して使用される。使用時には、ヘッドギアアセンブリの上ストラップは、額支持部材(216)用のロッククリップ(228)に対して着脱可能に連結され、かつ、ヘッドギアアセンブリの下ストラップは、フレーム(212)用のロッククリップ(228)に対して着脱可能に連結されることとなる。
【0056】
図41〜図50は、本発明のさらなる実施形態を示している。図41〜図43は、図21〜図23に示すロッククリップ(228)と同様のロッククリップ(300)を示している。ロッククリップ(300)は、上述の場合と同様に、ロッククリップ受領アセンブリとヘッドギヤとを備えた鼻用のまたはフルフェイス型のマスクにおいて使用し得るよう構成されている。しかしながら、ロッククリップ(300)は、例えば図22に示す把持部分と比較して、より大きいものとされたような、指用の隆起した把持部分(302)を備えている。各把持部分は、1つまたは複数のグルーブ(303)を有することができる。図41〜図43に示すような、より大きなものとされた指用把持部分(302)は、指に対して、より大きな把持力をもたらす。なぜなら、それら把持部分(302)が、突出しているからである。そのため、取付時や取外し時に、クリップを、より容易に挟み付けることができる。さらに、指用把持表面がより大きいことのために、クリップを挟み付ける際に、使用者の不快さ(指の痛み)を軽減することができる。図44〜図46は、図41〜図43の実施形態と同様であるような、さらに他の実施形態を示している。この場合、ロッククリップ(304)は、指用把持部分(306)とグルーブ(307)とを備えている。ここで、指用把持部分(306)およびグルーブ(307)は、図41〜図43に示す指用把持部分(302)およびグルーブ(303)と比較して、さらに大きなものとされている。図44〜図46に示すような、より大きなものとされた指用把持部分も、また、取付および取外しを容易なものとすることができる。指用把持部分(306)は、指に対して、より大きな把持力をもたらす。なぜなら、それら把持部分(306)が、突出しているからである。そのため、取外し時に、クリップを、より容易に挟み付けることができる。例示するならば、把持部分(302)は、スプリングアームから、約1〜3mmにわたって突出することができる。一方、把持部分(306)は、スプリングアームから、2〜6mmにわたって突出することができる。
【0057】
図47〜図49は、本発明のさらに他の実施形態を示している。ロッククリップ(310)は、ボディの構成およびアームの構成が修正されている。ロッククリップは、一対をなすフレキシブルなスプリングアーム(312)を備えている。各アーム(312)は、ロックタブ(316)を有した第1端部(314)と、本体ボディ(320)に対してに対して連結されておりかつクリップ(304)の前方部分(319)の近傍に位置した第2端部(318)と、を備えている。各アーム(312)は、中央部分(324)を備えている。この中央部分は、アーム(312)の基端部(326)に対して、角度を有している。中央部分(324)は、後方部分(330)に対して、ギャップ(328)の分だけ、離間している。ギャップ(322,328)は、“L”字形をなす全体形状を形成することができる。例えばスプリングループといったようなこのようなアーム(312)の構成により、アームを、コンパクトな態様で効果的に長いものとすることができる。これにより、取付時および/または取外し時におけるクリップの挟み付けに必要な力を低減することができる。これにより、使用者に対して、よりソフトなかつより改良された感触をもたらすことができる。なぜなら、ループ状構成のために、スプリング/クリップの弾性復元力を低減させることなく、より大きな実効長さにわたってアームを撓ませることができる。
【0058】
図47〜図49は、図21〜図28における指用把持部分と同様の、指用把持部分を備えている。しかしながら、図41〜図46に示すような指用把持部分を使用することもできる。図50は、クリップ(310)を示す側面図である。図47〜図50においては、クリップ(310)の寸法が例示されている。しかしながら、各寸法は、特定の用途に応じて適切に変更することができる。この実施形態においては、各寸法は、図示された値に対して、最大で±20%にわたって変更することができ、好ましくは、最大で±10%にわたって変更することができる。
【0059】
クリップ(310)は、例えば POCAN B1501(登録商標)といったような、ポリエステル材料から形成することができる。しかしながら、他の材料を使用することもできる。
【0060】
以上により、本発明の様々な見地が、完全にかつ効果的に達成されることは、理解されるであろう。上記のいくつかの特定の実施形態は、本発明の構造的原理および機能的原理を例示するためのものであって、本発明を何ら制限することを意図したものではない。それとは逆に、本発明においては、本発明の精神および範囲を逸脱していないすべての修正や変形や代替をも包含することが意図されている。
【符号の説明】
【0061】
10 呼吸用マスクアセンブリ
12 フレーム
14 クッション
16 額支持部材
20 ヘッドギア連結アセンブリ
22 旋回可能なエルボーアセンブリ
28 ロッククリップ
30 本体ボディ
32 後方部分
34 前方部分
36 スプリングアーム
38 ロックタブ
42 中央支持タブ
44 グルーブ
46 クロスバー
48 開口
50 本体ボディ
52 フレーム側部部材
54 ロッククリップ受領アセンブリ
56 スロット
58 中央部分
60 ロック部分
70 ロックフランジ
80 オリフィス
82 カラー
84 リム
212 フレーム
216 額支持部材
228 ロッククリップ
230 本体ボディ
232 後方部分
234 前方部分
236 スプリングアーム
238 ロックタブ
242 中央支持タブ
244 グルーブ
254 ロッククリップ受領アセンブリ
256 スロット
258 中央部分
260 ロック部分
270 ロックフランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対して呼吸可能ガスを供給するための呼吸用マスクアセンブリにおいてフレームとヘッドギアアセンブリとを着脱可能に連結するためのロッククリップであって、
本体ボディを具備し、
この本体ボディが、前方部分および後方部分を備え、
前記前方部分が、前記フレームに対して着脱可能に連結され得るよう構成され、
前記後方部分が、前記ヘッドギアアセンブリに対して着脱可能に連結され得るよう構成され、
前記後方部分が、クロスバーを備え、
このクロスバーが、開口を形成しており、
この開口を通して、前記ヘッドギアアセンブリのストラップを通過させることができ、そのストラップを、前記クロスバーに対して着脱可能に連結し得るようになっており、
前記前方部分が、少なくとも1つの弾性的かつフレキシブルなスプリングアームを備え、
前記各スプリングアームが、その自由端のところに位置したロックタブを有した第1端部と、前記本体ボディに対して取り付けられた第2端部と、この第2端部から延出された基端部と、この基端部から延出されているとともにこの基端部に対して角度を有している中央部分と、を備え、
前記基端部が、第1ギャップの分だけ前記本体ボディから離間しているとともに、前記中央部分が、第2ギャップの分だけ前記後方部分から離間しており、
前記第1ギャップおよび前記第2ギャップが、L字形をなす全体形状を形成していることを特徴とするロッククリップ。
【請求項2】
請求項1記載のロッククリップにおいて、
前記第2ギャップが、前記ロッククリップの側方から延在していることを特徴とするロッククリップ。
【請求項3】
請求項1記載のロッククリップにおいて、
前記少なくとも1つのスプリングアームが、前記本体ボディがなす平面内において撓み得るものとされていることを特徴とするロッククリップ。
【請求項4】
請求項1記載のロッククリップにおいて、
前記ロッククリップが、一対のスプリングアームを備えていることを特徴とするロッククリップ。
【請求項5】
請求項4記載のロッククリップにおいて、
前記ロッククリップが、前記一対のスプリングアームの間に、中央支持タブを備え、
前記ロッククリップと前記フレームとの着脱可能な連結に際しては、前記中央支持タブが、前記フレームのスロット内に挿入されることを特徴とするロッククリップ。
【請求項6】
請求項5記載のロッククリップにおいて、
前記中央支持タブが、前記各スプリングアームよりも前方側へと延在していることを特徴とするロッククリップ。
【請求項7】
請求項6記載のロッククリップにおいて、
前記中央支持タブが、グルーブを備え、
前記ロッククリップと前記フレームとの着脱可能な連結に際しては、前記中央支持タブの前記グルーブが、前記フレームの前記スロット内に設けられた突起を受領し得るものとされていることを特徴とするロッククリップ。
【請求項8】
請求項7記載のロッククリップにおいて、
前記グルーブの長さが、前記中央支持タブの長さと比較して、半分以上という長さとされていることを特徴とするロッククリップ。
【請求項9】
請求項8記載のロッククリップにおいて、
前記前方部分と前記後方部分とが、互いに対して角度を形成して配置されていることを特徴とするロッククリップ。
【請求項10】
請求項9記載のロッククリップにおいて、
前記スプリングアームの外表面が、前記ロッククリップを患者が指どうしの間に把持し得るものとして構成されていることを特徴とするロッククリップ。
【請求項11】
請求項10記載のロッククリップにおいて、
前記スプリングアームの外表面が、一連をなす複数の突起を有していることを特徴とするロッククリップ。
【請求項12】
請求項11記載のロッククリップにおいて、
前記ロッククリップが、このロッククリップを患者が親指と対向指との間に把持し得るものとして、構成されていることを特徴とするロッククリップ。
【請求項13】
請求項12記載のロッククリップにおいて、
前記第1ギャップおよび前記第2ギャップが、前記各スプリングアームに対して、撓みスペースを提供していることを特徴とするロッククリップ。
【請求項14】
請求項13記載のロッククリップにおいて、
前記各スプリングアームが、スプリングループ構成を有していることを特徴とするロッククリップ。
【請求項15】
請求項14記載のロッククリップにおいて、
前記ロッククリップが、ポリエステル材料から形成されていることを特徴とするロッククリップ。
【請求項16】
ヘッドギアアセンブリであって、
少なくとも1つのストラップと;
請求項1記載のロッククリップと;
を具備していることを特徴とするヘッドギアアセンブリ。
【請求項17】
患者に対して呼吸可能ガスを供給するための呼吸用マスクアセンブリであって、
本体ボディと、この本体ボディの両側方に配置されたフレーム側部部材と、を備えて構成されたフレームであるとともに、前記フレーム側部部材の少なくとも一方が、一体的に形成されたロッククリップ受領アセンブリを有しているような、フレームと;
請求項1記載の少なくとも1つのロッククリップと;
を具備し、
前記少なくとも1つのロッククリップの前記前方部分が、前記フレームの前記少なくとも1つのロッククリップ受領アセンブリに対して着脱可能に連結され得るよう構成されていることを特徴とする呼吸用マスクアセンブリ。
【請求項18】
請求項17記載の呼吸用マスクアセンブリにおいて、
前記マスクアセンブリが、鼻マスクとされていることを特徴とする呼吸用マスクアセンブリ。
【請求項19】
患者に対して呼吸可能ガスを供給するための呼吸用マスクアセンブリにおいてフレームとヘッドギアアセンブリとを着脱可能に連結するためのロッククリップであって、
本体ボディを具備し、
この本体ボディが、前方部分および後方部分を備え、
前記前方部分が、前記フレームに対して着脱可能に連結され得るよう構成され、
前記後方部分が、前記ヘッドギアアセンブリに対して着脱可能に連結され得るよう構成され、
前記前方部分が、一対をなす弾性的かつフレキシブルなスプリングアームと、これらスプリングアームの間に配置された中央支持タブと、を備え、
前記ロッククリップと前記フレームとの着脱可能な連結に際しては、前記中央支持タブが、前記フレームのスロット内に挿入され、
前記中央支持タブが、グルーブを備え、
前記ロッククリップと前記フレームとの着脱可能な連結に際しては、前記中央支持タブの前記グルーブが、前記フレームの前記スロット内に設けられた突起を受領し得るものとされ、
前記グルーブの長さが、前記中央支持タブの長さと比較して、半分以上という長さとされていることを特徴とするロッククリップ。
【請求項20】
請求項19記載のロッククリップにおいて、
前記各スプリングアームが、前記本体ボディがなす平面内において撓み得るものとされていることを特徴とするロッククリップ。
【請求項21】
請求項19記載のロッククリップにおいて、
前記中央支持タブが、前記各スプリングアームよりも前方側へと延在していることを特徴とするロッククリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公開番号】特開2011−62549(P2011−62549A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279326(P2010−279326)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【分割の表示】特願2006−548034(P2006−548034)の分割
【原出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD
【Fターム(参考)】