説明

呼吸用マスクアセンブリ用のヘッドギアアセンブリ

【課題】患者に一層の快適性を提供するが、機能性を犠牲にしないヘッドギアアセンブリを有するマスクアセンブリを提供する。
【解決手段】患者の頭部に呼吸用マスクアセンブリを安定状態で配置するためのヘッドギアアセンブリであって、サイドストラップの対と、少なくとも二つのリアストラップと、二つのリアストラップ間に配置された中間ストラップアレンジ部とを具備し、少なくとも二つのリアストラップの少なくとも一方は所定半径の湾曲部を有し、所定半径はヘッドギアアセンブリが平らに広げられた状態で測定されたものであり、中間ストラップアレンジ部は、リアストラップの上側のものに対して傾斜した上側ストラップの対と、リアストラップの下側のものに対して傾斜した下側ストラップの対とを含み、中間ストラップアレンジ部はリアストラップの上側および下側のものと相互連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の顔面の適所に呼吸用マスクアセンブリを保持するのに使用されるヘッドギアアセンブリに関し、このマスクアセンブリは、たとえば非侵襲性陽圧換気(NPPV)による睡眠障害性呼吸(SDB)の治療に用いられる。
【0002】
本願は、2002年11月8日付け提出の米国仮出願シリアルNo.60/424,694に対する優先権を主張する。この出願は、この引用によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
RedMed Ltd.によって製造されかつたとえば閉塞性睡眠無呼吸(OSA)のようなSDBの治療に使用される、たとえばMirage(登録商標)鼻マスクアセンブリのような呼吸用マスクアセンブリは、通常、ヘッドギアアセンブリによって患者の頭部の適所に保持される。ヘッドギアアセンブリは通常、サイド部の対およびリア部を具備する。サイド部は患者のマスクと係合するよう構成され、かつリア部は患者の頭の後部を掛止するよう構成される。
【0004】
ヘッドギアアセンブリは、良好な密閉状態を維持できるよう、たとえば鼻マスクのような患者インターフェースを患者の顔面に位置させかつ安定させるよう構成される。さらにヘッドギアアセンブリは、夜間睡眠中、患者がマスクアセンブリを装着できるよう着け心地がよくなければならない。多くの従来型ヘッドギアアセンブリは長期間にわたって装着するのが快適ではなかった。在庫を減らし、終極的にはコストを削減するため、ヘッドギアアセンブリの一つの形態が広範な患者に適することが望まれる。
【0005】
完全な剛体のヘッドギアアセンブリは公知であるが、それらは通常、長期間の装着が快適ではないという欠点を持つ。さらにその剛性ゆえに、それらは通常、広範な患者にフィットせず、ごく一部にだけ適するに過ぎない。
【0006】
コスト的理由から、ヘッドギアアセンブリを平らな布地片または複合材片から切り出し可能であることが好ましいが、使用時にはヘッドギアアセンブリは複雑な三次元形状に順応すべきである。ゆえに克服すべき問題は、裁断または打ち抜きによって容易に製造可能であるが使用時には広範な頭部形状およびサイズにフィット可能なヘッドギアアセンブリの設計を備えることである。
【0007】
公知の形態のヘッドギアアセンブリは、図11〜16に示すように、ResCap(商標)、ResCap(商標)IIおよびMIRAGE(登録商標)ヘッドギアを含む。これらヘッドギアアセンブリは布地または布地とネオプレンの複合層から構成される。ヘッドギアアセンブリにおけるストラップの軟らかいフレキシブル特性のため、特に夜間睡眠の間に、患者の頭部でヘッドギアアセンブリが動いてしまう可能性があった。ゆえに、最初はヘッドギアアセンブリを適切に患者の頭部に位置させることが可能であるが、その後、ヘッドギアアセンブリは正しくないポジションに動いてしまうことがある。
【0008】
ヘッドギアアセンブリを患者のマスクと係合可能にするコネクターの形態は、米国特許第6,374,826号(Gunaratnam他)から公知であり、その内容はこの引用によって本明細書に組み込まれる。
【0009】
米国特許第6,422,238号(Lithgow)は、迅速離脱機構を備えたヘッドギアアセンブリの一形態を開示する。このLithgow特許の内容はこの引用によって本明細書に組み込まれる。Lithgow提案のヘッドギアアセンブリは、各サイド部に、患者の顔面と患者の頭部の後方との間に延在する上部および下部ストラップを具備する。上部ストラップは患者の頭部上で耳の上に存在する。下部ストラップは患者の頭部上で耳の下に存在する。
【0010】
図11〜16に示されかつGunaratnamおよびLithgowが提案するマスクアセンブリのような従来型マスクアセンブリに付随して生じることがある問題は、使用中、マスクアセンブリの下部ストラップが患者の頭部にずり上がることがあり、そして患者の耳の下部を擦り(chafing)、刺激することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,374,826号明細書
【特許文献2】米国特許第6,422,238号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一つの態様は、患者に一層の快適性を提供するが、機能性を犠牲にしないヘッドギアアセンブリを有するマスクアセンブリを目的とする。
【0013】
本発明の他の態様は、患者に呼吸に適したガスを提供するための呼吸用マスクアセンブリを提供する。ある実施形態による呼吸用マスクアセンブリは、フレームおよびこのフレームに取り外し可能に取り付けることができるヘッドギアアセンブリを具備する。ヘッドギアアセンブリは、サイド部の対およびこのサイド部の対を相互接続するリア部を具備する。サイド部の対は少なくとも一つのストラップを具備する。リア部は少なくとも二つの素材の層から形成された少なくとも一つのストラップを有する。この素材の層の一つは他方の素材の層よりもさらに剛性の高い構成を有する。これは、第1の方向へのリア部の少なくとも一つのストラップの圧縮に抗し、これによって第1の方向へのサイドストラップの対のうちの少なくとも一つのストラップの移動に抗するためである。
【0014】
本発明の他の態様は、使用時、患者の頭部の正確な相対的ポジションにマスクアセンブリのフレキシブルなヘッドギアストラップを保持するための手段の提供である。
【0015】
本発明の他の態様は、広範な頭部形状およびサイズにフィットするマスクアセンブリ用の快適なヘッドギアアセンブリの提供である。
【0016】
本発明の他の態様は、広範な患者にフィットし、かつ平らな生地片から切り出すことができるマスクアセンブリの快適なヘッドギアアセンブリの提供である。
【0017】
本発明の他の態様、特徴および利点は、添付図面を斟酌した際、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。図面は本開示の一部であり、それは本発明の原理を例として示す。
【0018】
添付図面は本発明のさまざまな実施形態の理解を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】患者の頭部に装着された状態で、本発明の一実施形態にしたがって構成されたヘッドギアアセンブリを有するマスクアセンブリを示す側面図である。
【図2】患者の頭部に装着された状態で、図1のヘッドギアアセンブリを示す背面図である。
【図3】患者の頭部に装着された状態で、図1のヘッドギアアセンブリを示す後方斜視図である。
【図4】平らに置かれた、図1のヘッドギアアセンブリを示す平面図である。
【図5】図1のヘッドギアアセンブリの補強材の実施形態を示す拡大平面図である。
【図6】図1のヘッドギアアセンブリの補強材の実施形態を示す拡大詳細平面図である。
【図7】図1のヘッドギアアセンブリの補強材の実施形態を示す拡大詳細側面図である。
【図8】平らに置かれた図1のヘッドギアアセンブリを示す平面図であり、実施形態の代表的寸法を示す(R−半径)。
【図9】図1のヘッドギアアセンブリの補強材の実施形態を示す平面図であり、実施形態の代表的寸法を示す(R−半径)。
【図10】患者の頭部に装着された状態で、本発明の他の実施形態にしたがって構成されたヘッドギアアセンブリを示す背面図である。
【図11】従来型ResCap(商標)ヘッドギアアセンブリの側面図である。
【図12】従来型ResCap(商標)ヘッドギアアセンブリの背面図である。
【図13】従来型ResCap(商標)IIヘッドギアアセンブリの側面図である。
【図14】従来型ResCap(商標)IIヘッドギアアセンブリの背面図である。
【図15】従来型MIRAGE(登録商標)ヘッドギアアセンブリの側面図である。
【図16】従来型MIRAGE(登録商標)ヘッドギアアセンブリの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は呼吸用マスクアセンブリ10を示し、これはフレーム12およびクッション14を具備する。クッション14はフレーム12に恒久的にあるいは取り外し可能に取り付けることができる。ヘッドギアアセンブリ16は取り外し可能にフレーム12に取り付けられ、かつ、患者の顔の所望の調整されたポジションでフレーム12およびクッション14を保持するよう構成されている。図示の実施形態では、マスクアセンブリ10は、患者の鼻に、呼吸に適したガスを供給するよう構成された鼻マスクである。だが、マスクアセンブリ10は鼻口マスク(nasal and mouth mask)であってもよく、あるいはマスクアセンブリ10はフルフェイスマスクであってもよい。
【0021】
図1〜4に示すようにヘッドギアアセンブリ16は二つのサイド部18を具備し、これはサイド部18同士をつなぐリア部20を備える。各サイド部18は上部サイドストラップ22および下部サイドストラップ24を具備する。リア部20(これは二つのサイド部18を相互接続する)は、湾曲上部ストラップ26、下部ストラップ28、そして両者の間の中間ストラップアレンジ部30を具備する。中間ストラップアレンジ部30は概してH形であり、上部ストラップ32の対、下部ストラップ34の対、そしてクロスバーストラップ36を具備する。上部ストラップ32は湾曲上部ストラップ26に対してある角度をなしており、そして下部ストラップ34は下部ストラップ28に対してある角度をなしている。だが、ヘッドギアアセンブリ16のストラップは、患者の顔面の所望の調整されたポジションでフレーム12およびクッション14を保持するよう適当な形状を有していてもよい。たとえば、上部ストラップ26は上部ストラップ22に対して湾曲させられなくてもよく、そして中間ストラップアレンジ部30は適当な形状、すなわちH形ではない形状を有していてもよい。
【0022】
各上部サイドストラップ22はフレーム12の上部に取り外し可能に連結され、かつ各下部ストラップ24はフレーム12の下部に取り外し可能に連結されている。図4に示すように、各上部および下部ストラップ22,24の端部38,40はそれぞれ幅が狭くなっており、これによって、上部および下部ストラップ22,24それぞれを、フレーム12に設けられたそれぞれのクリップ構造体42(図1参照)の周りに巻くことが可能となる。上部および下部ストラップ22,24のフレーム12への固定は、たとえばVELCRO(登録商標)のような面ファスナー材を使用することにより助けることが可能である。図4に示すように、上部および下部ストラップ22,24それぞれの自由端は、たとえば縫い付けによってそこに取り付けられたフック材44の細片を具備する。上部および下部ストラップ22,24は、この上部および下部ストラップ22,24がフレーム12に連結された際にフック材44の細片に掛止するループ材からなる。
【0023】
だが、上部および下部ストラップ22,24は他の適当な手法でフレーム12に連結可能である。たとえば、上部および下部ストラップ22,24はそれに取り付けられたロッククリップを備えていてもよく、これはフレーム12と噛み合い係合(interlockingly engage)するよう構成される。これに代えて、上部および下部ストラップ22,24を、フレーム12とヘッドギアアセンブリ16とを相互接続するよう、磁力によってフレーム12に連結することもできる。さらにフレーム12は、その上部に取り外し可能に設けられた額サポートを備えていてもよい。そうした構造では上部ストラップ22は、額サポートに設けられたクリップ構造体に取り外し可能に連結可能である。
【0024】
ヘッドギアアセンブリ16のストラップは、たとえばAccumed Technologies, Inc.によって製造されたBreathe-O-Prene(商標)のような、軟らかいフレキシブルな複合素材から構成される。図7に示すように、ストラップは二つの素材の層A,Bを含み、この層の一方Aは、上部および下部ストラップ22,24の自由端部に設けられたフック材44の細片との接続を容易にするためループ材を有する。だが、ストラップは他の好適な柔軟でフレキシブルな素材から形成できる。
【0025】
図示の実施形態では、補強材46はヘッドギアアセンブリ16のリア部20に取り付けられる。図2および図4〜6に示すように補強材46は略C形であり、これは本体48およびアーム部材50の対を有する。補強材46はH形中間ストラップアレンジ部30に取り付けられており、補強材46の本体48がクロスバーストラップ36に沿って延在し、かつ補強材46のアーム部材50が下部ストラップ34それぞれに沿って延在する。本体48はアーム部材50の幅よりも大きな幅を有する。さらにアーム部材50の自由端は、アーム部材50の残りの部分よりも大きな幅を持つ。だが、補強材46は適当な構造および幅寸法を持つことができる。補強材46は熱可塑性物質のような半硬質皮膚適合素材、たとえばナイロンまたはポリエステルまたは熱可塑性エラストマー、たとえばsantopreneから構成される。補強材46は、0.8mmないし1.5mmの範囲の、好ましくは1mmの厚みを持つ。
【0026】
補強材46は、接着剤、縫い付け、または他の公知の取り付け方法を用いて、あるいはたとえばvelcro(登録商標)、ポケットスリーブ(pocket sleeve)などの半永久的手段によって、対応するストラップ34,36に取り付けられる。図5に示すように、補強材46は、その周縁を取り囲むように縫い付けることによりストラップ34,36に固定される。図6に示すように、補強材46はその中間部を縫い付けることによりストラップに固定される。図7は、縫い付けによってストラップに固定された補強材46を示す拡大図である。縫い目ラインは補強材46の縁部から2〜3mmの範囲内に、好ましくは2.5mmのところにある。
【0027】
補強材46はストラップ34,36よりも幅狭であり、この結果、補強材46がストラップ34,36に取り付けられた際、より軟らかい素材からなるストラップ34,36が、より硬質な補強材46を越えて延在する。これによって、患者と硬質素材の補強材46との間の接触(これは刺激または不快感のもとになることがある)が阻止されるか、あるいは少なくともその機会が低減される。
【0028】
補強材46は、ある面およびある方向におけるヘッドギアアセンブリ16の剛性を増大させる。これは使用中、患者の頭部でマスクアセンブリ10を安定させるのを助ける。別の面および方向については、ヘッドギアアセンブリ16は異なる剛性を有する。
【0029】
たとえば、補強材46は、図2に示すように、矢印Aの方向に沿って、あるいは矢印Aの反対方向に、患者の頭部の後方においてストラップ34,36の柔軟性を低下させる。補強材46の存在により、矢印Aの反対方向に沿ってストラップ34,36が圧縮されなくなる。この方法により、ストラップ34,36および補強材46は、患者の耳52の方を向く下部ストラップ24のずり上がりに抗することが可能となる。概して、ストラップ34,36および補強材46は、それがフレーム12に連結された際、患者の頭部に対してそのポジションを保持することが可能であるべきである。ゆえに、下部ストラップ24が患者の耳52の下部へとずり上がる可能性が低減される。
【0030】
さらに、ヘッドギアアセンブリ16は患者の耳52との干渉を避けるような形状となっている。特に上部サイドストラップ22は、患者の目および患者の耳52の上方でフレーム12に連結される。下部サイドストラップ24はフレーム12に連結されており、かつ患者の耳52の下方で延在する。上部ストラップ32および下部ストラップ34は、上部および下部ストラップ22,24を相互接続し、かつ患者の耳52から離れるのに十分な角度で曲がっている。また、上部および下部ストラップ32,34は、上部および下部ストラップ22,24を患者の耳52から離すのに十分な長さを持つ。補強材46によってもたらされた付加剛性に起因して、ヘッドギアアセンブリ16の全てのストラップは、さらに良好に所定の形状を維持することができる。補強材46の厚みは、フレキシブル特性を変更するため、その断面を横切って変更可能であり、たとえばより厚みの大きな部位はより剛性を高くできる。
【0031】
他方では、患者の生理機能(physiology)における変更をある程度受け容れることができるよう、ヘッドギアアセンブリ16にはある程度の柔軟性が付与される。たとえば、下部ストラップ28は矢印Bに沿ってあるいはその反対方向に、補強材46が取り付けられたストラップ34,36よりも比較的大きな柔軟性を持つ。
【0032】
ヘッドギアアセンブリ16のH形中間ストラップアレンジ部30はまた、ヘッドギアアセンブリ16を患者の所望の調整されたポジションで保持するのを助ける。図1に示すように、湾曲上部ストラップ26は患者の頭部の後方上部を横切って、そして下部ストラップ28およびクロスバーストラップ36は患者の首および頭部の後方下部を横切って、それぞれ延在する。さらに詳しくは、湾曲上部ストラップ26は、図2の矢印Aの方向と反対の、ヘッドギアアセンブリ16の下方への移動を抑止するため、患者の頭部の頭頂骨の後端を掛止するよう構成されている。クロスバーストラップ36は患者の頭部の後頭骨の下部を掛止するよう構成され、そして下部ストラップ28は患者の首の後方上部を掛止するよう構成される。この結果、クロスバーストラップ36および下部ストラップ28は、図2の矢印Aの方向にヘッドギアアセンブリ16が上方に移動するのを阻止する。さらに、補強材46は下部ストラップ34のずり上がりに、したがって下部ストラップ24が患者の耳52に向かうのに抗するよう構成される。だが中間ストラップアレンジ部30は、患者の顔面の所望の調整されたポジションで、フレーム12およびクッション14を保持するために適当な形状を有していてもよい。
【0033】
さらに、ストラップ28,34および36は、それら自身の間に開口54を形成し、この開口54は、それを経て伸びることが可能な患者の皮膚のひだを収容できる。特に、患者の頭部の動きは、患者の首に隣接した皮膚のひだをつくることがある。ストラップ28,34および36は、皮膚のひだが開口54を経て伸び、患者の頭部のヘッドギアアセンブリ16の位置決めに悪影響を及ぼさないよう構成されかつ患者の頭部に配置される。ストラップ28,34および36間に形成された開口54は、適当な形状、すなわち台形状または非台形状を有していてもよい。ストラップ28を幅狭としたので、それをより平らな首下部上で展張することが可能となる。すなわちストラップ36とストラップ28との展張状態は異なる。
【0034】
図8はヘッドギアアセンブリ16の一実施形態の寸法を示す。たとえば、ヘッドギアアセンブリ16の全長は640〜680mmの範囲にあり、好ましくは660mmであり、しかもヘッドギアアセンブリ16の全高は175〜215mmの範囲にあり、好ましくは196.1mmである。上部ストラップ32は上部ストラップ22に対して40〜50°の範囲で、好ましくは45°で折れ曲がっており、しかも16〜22mmの範囲の、好ましくは19mの幅を有する。湾曲上部ストラップ26は145〜170mmの範囲の、好ましくは166mmの曲率半径を有する。さらに下部ストラップ28は17〜23mmの範囲の、好ましくは20mmの幅を有し、しかも上部および下部ストラップ22,24の端部38,40は16〜23mmの範囲の、好ましくは19mmの幅を有する。ヘッドギアアセンブリ16の一実施形態では、図8に示す寸法は±10%変化する。
【0035】
図9は補強材46の一実施形態の寸法を示す。たとえば補強材46の全長は100〜140mmの範囲にあり、好ましくは120mmであり、かつ補強材46の全高は40〜80mmの範囲にあり、好ましくは62.8mmである。アーム部材50は、本体48に対して、110〜140°の範囲の角度で、好ましくは125°で折れ曲がっている。補強材46の一実施形態では、図9の寸法は±10%変化する。
【0036】
図10は補強材(246で指し示す)の他の実施形態を示す。この実施形態では、補強材は弓形補強材246の対の形態である。各補強材246は上部ストラップ32に沿い、クロスバーストラップ36を横切って、そして下部ストラップ34に沿って延在する。補強材46と同様、補強材246は、患者の頭部の後方において矢印Aの方向に沿って、あるいは矢印Aの反対方向に、ストラップ32,34および36の柔軟性を減じる。これは、患者の耳52に向かう下部ストラップ24のずり上がりに抗するためである。
【0037】
患者の快適性および適切な剛性/柔軟性が維持される限り、ヘッドギアアセンブリ16のストラップおよび補強材46,246は単一の素材から形成可能である。
【0038】
ゆえに本発明の態様が完全かつ効果的に実現されたことが理解できる。先の特定の実施形態は、本発明の構造的および機能的原理を示すために提供されたものであり、限定することを意図していない。反対に、本発明はその精神および範囲内の全ての変更、修正および置換を包含することを意図する。
【符号の説明】
【0039】
10 呼吸用マスクアセンブリ
12 フレーム
14 クッション
16 ヘッドギアアセンブリ
18 サイド部
20 リア部
22 上部サイドストラップ
24 下部サイドストラップ
26 湾曲上部ストラップ
28 下部ストラップ
30 中間ストラップアレンジ部
32 上部ストラップ
34 下部ストラップ
36 クロスバーストラップ
38 上部ストラップの端部
40 下部ストラップの端部
42 クリップ構造体
44 フック材
46,246 補強材
48 本体
50 アーム部材
52 患者の耳
54 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の頭部に呼吸用マスクアセンブリを安定状態で配置するためのヘッドギアアセンブリであって、
サイドストラップの対と、
少なくとも二つのリアストラップと、
前記二つのリアストラップ間に配置された中間ストラップアレンジ部と、を具備し、
前記少なくとも二つのリアストラップの少なくとも一方は所定半径の湾曲部を有し、前記所定半径は前記ヘッドギアアセンブリが平らに広げられた状態で測定されたものであり、
前記中間ストラップアレンジ部は、前記リアストラップの上側のものに対して傾斜した上側ストラップの対と、前記リアストラップの下側のものに対して傾斜した下側ストラップの対と、を含み、前記中間ストラップアレンジ部は前記リアストラップの前記上側および下側のものと相互連結されていることを特徴とするヘッドギアアセンブリ。
【請求項2】
患者の頭部に呼吸用マスクアセンブリを安定状態で配置するためのヘッドギアアセンブリであって、
サイドストラップの対と、
少なくとも二つのリアストラップと、
前記二つのリアストラップ間に配置された中間ストラップアレンジ部と、を具備し、
前記少なくとも二つのリアストラップの少なくとも一方は所定半径の湾曲部を有し、前記所定半径は前記ヘッドギアアセンブリが平らに広げられた状態で測定されたものであり、
前記中間ストラップアレンジ部は、前記リアストラップの上側のものに対して傾斜した上側ストラップの対と、前記リアストラップの下側のものに対して傾斜した下側ストラップの対と、を含み、
前記湾曲部は、前記中間ストラップアレンジ部の前記上側ストラップ間で延在しており、かつ、それにつながっており、前記中間ストラップアレンジ部は前記リアストラップの前記上側および下側のものと相互連結されていることを特徴とするヘッドギアアセンブリ。
【請求項3】
前記湾曲部は、使用時に、患者の頭部の頭頂骨の後部と係合するよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項4】
前記二つのリアストラップは互いに非平行状態であることを特徴とする請求項2に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項5】
前記中間ストラップアレンジ部は、前記ヘッドギアアセンブリが平らに広げられた状態において、略H形状を有することを特徴とする請求項2に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項6】
前記上側および下側ストラップの対は、クロスバーストラップに向かって収束し、かつ、このクロスバーストラップとつながっていることを特徴とする請求項2に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項7】
前記所定半径は、145〜170mmの範囲内のものであることを特徴とする請求項2に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項8】
前記中間ストラップアレンジ部の前記上側ストラップと、前記リアストラップの前記上側のものとは、少なくとも部分的に、第1の開口を形成していることを特徴とする請求項2に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項9】
前記リアストラップの前記ストラップの下側のものと、前記中間ストラップアレンジ部の前記下側ストラップの対とは、少なくとも部分的に、第2の開口を形成していることを特徴とする請求項8に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項10】
ヘッドギアアセンブリの全長は640〜680mmの範囲内のものであり、かつ、前記ヘッドギアアセンブリの全高は175〜215mmの範囲内のものであることを特徴とする請求項2に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項11】
ヘッドギアアセンブリの全長は660mmであり、かつ、前記ヘッドギアアセンブリの全高は196.1mmであることを特徴とする請求項10に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項12】
前記中間ストラップアレンジ部の前記上側ストラップの対は、40〜50°の範囲内で前記リア部の前記上側ストラップに対して傾斜しており、かつ、16〜22mmの範囲内の幅を有することを特徴とする請求項2に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項13】
前記中間ストラップアレンジ部の前記上側ストラップの対は、45°だけ、前記リア部の前記上側ストラップに対して傾斜しており、かつ、19mmの幅を有することを特徴とする請求項12に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項14】
前記リア部の前記上側ストラップは、166mmの曲率半径を有することを特徴とする請求項7に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項15】
前記リアストラップは、略平坦で、フレキシブルな複合素材からなることを特徴とする請求項2に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項16】
患者の頭部に呼吸用マスクアセンブリを安定状態で配置するためのヘッドギアアセンブリであって、
サイドストラップの対と、
少なくとも二つのリアストラップと、
前記二つのリアストラップ間に配置され、かつ、それにつながるかあるいは橋渡しする中間ストラップアレンジ部と、を具備し、
前記少なくとも二つのリアストラップの少なくとも一方は所定半径の湾曲部を有し、前記所定半径は、前記ヘッドギアアセンブリが平らに広げられた状態で測定されたものであり、
前記中間ストラップアレンジ部は、前記リアストラップの上側のものに対して傾斜した上側ストラップの対と、前記リアストラップの下側のものに対して傾斜した下側ストラップの対と、を含み、前記中間ストラップアレンジ部は前記リアストラップの前記上側および下側のものと相互連結されていることを特徴とするヘッドギアアセンブリ。
【請求項17】
前記湾曲部は、使用時に、患者の頭部の頭頂骨の後部と係合するよう構成されていることを特徴とする請求項16に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項18】
前記二つのリアストラップは互いに非平行状態であることを特徴とする請求項16に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項19】
前記中間ストラップアレンジ部は、前記ヘッドギアアセンブリが平らに広げられた状態において、略H形状を有することを特徴とする請求項16に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項20】
前記上側および下側ストラップの対は、クロスバーストラップに向かって収束し、かつ、このクロスバーストラップとつながっていることを特徴とする請求項16に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項21】
前記所定の半径は、145〜170mmの範囲内のものであることを特徴とする請求項16に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項22】
前記中間ストラップアレンジ部の前記上側ストラップと、前記リアストラップの前記上側のものとは、少なくとも部分的に、第1の開口を形成していることを特徴とする請求項16に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項23】
前記リアストラップの前記ストラップの下側のものと、前記中間ストラップアレンジ部の前記下側ストラップの対とは、少なくとも部分的に、第2の開口を形成していることを特徴とする請求項22に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項24】
ヘッドギアアセンブリの全長は640〜680mmの範囲内のものであり、かつ、前記ヘッドギアアセンブリの全高は175〜215mmの範囲内のものであることを特徴とする請求項16に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項25】
ヘッドギアアセンブリの全長は660mmであり、かつ、前記ヘッドギアアセンブリの全高は196.1mmであることを特徴とする請求項24に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項26】
前記中間ストラップアレンジ部の前記上側ストラップの対は、40〜50°の範囲内で前記リア部の前記上側ストラップに対して傾斜しており、かつ、16〜22mmの範囲内の幅を有することを特徴とする請求項16に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項27】
前記中間ストラップアレンジ部の前記上側ストラップの対は、45°だけ前記リア部の前記上側ストラップに対して傾斜しており、かつ、19mmの幅を有することを特徴とする請求項26に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項28】
前記リア部の前記上側ストラップは、166mmの曲率半径を有することを特徴とする請求項21に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項29】
前記リアストラップは、略平坦で、フレキシブルな複合素材からなることを特徴とする請求項16に記載のヘッドギアアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−17854(P2013−17854A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−238713(P2012−238713)
【出願日】平成24年10月30日(2012.10.30)
【分割の表示】特願2010−205442(P2010−205442)の分割
【原出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】ResMed Limited