呼吸装置に用いるための導管
【課題】本発明は呼吸可能な気体を患者に送る呼吸装置を提供する。
【解決手段】上記呼吸装置は、患者に送られる供給量の加圧気体を発生する流量発生器と、水を蒸発させ水蒸気を送出して気体を加湿する加湿器と、流量発生器から加湿器に及び加湿器から患者インターフェイスに至る気体流路と、テープ形態の加熱用フィラメントを含んで気体及び/又は水と熱接触する加熱器とを含む。呼吸装置の加湿器は、流量発生器から気体を受ける第1呼吸用気体通路と、加湿器室と、加湿気体を患者インターフェイスに送る第2呼吸用気体通路と、第1及び第2呼吸用気体通路双方の少なくとも一部に沿って延在する細長い加熱用フィラメントを含んで気体及び/又は水と熱接触する加熱器とを含む。呼吸可能な気体を患者に送る呼吸装置に用いる導管は、チューブと、チューブ外面上にある螺旋状リブと、チューブ外面に接する螺旋状リブによって支持された複数の配線とを含む。
【解決手段】上記呼吸装置は、患者に送られる供給量の加圧気体を発生する流量発生器と、水を蒸発させ水蒸気を送出して気体を加湿する加湿器と、流量発生器から加湿器に及び加湿器から患者インターフェイスに至る気体流路と、テープ形態の加熱用フィラメントを含んで気体及び/又は水と熱接触する加熱器とを含む。呼吸装置の加湿器は、流量発生器から気体を受ける第1呼吸用気体通路と、加湿器室と、加湿気体を患者インターフェイスに送る第2呼吸用気体通路と、第1及び第2呼吸用気体通路双方の少なくとも一部に沿って延在する細長い加熱用フィラメントを含んで気体及び/又は水と熱接触する加熱器とを含む。呼吸可能な気体を患者に送る呼吸装置に用いる導管は、チューブと、チューブ外面上にある螺旋状リブと、チューブ外面に接する螺旋状リブによって支持された複数の配線とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年8月10日に出願された米国出願第60/955,222号、及び2006年11月8日に出願された豪州仮出願第2006906224号に対する優先権を主張し、双方の全内容を本明細書に引用・参照する。
【0002】
発明の分野
本発明は、あらゆる形態の呼吸装置換気システムに用いる呼吸可能な気体の湿度制御に使用される加湿及び加熱器構成に関するが、これらのシステムには、侵襲性及び非侵襲性の換気、持続的気道内陽圧(CPAP)、二相性療法、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)等の睡眠呼吸障害(SDB)状態に対する治療、並びに他の様々な呼吸障害及び疾患に対する治療が含まれる。
【背景技術】
【0003】
呼吸装置は、患者の気道の乾燥並びにそれに伴う患者の不快感及び合併症を低減するために、通常、呼吸可能な気体の湿度を変更する能力を有する。流量発生器と患者マスクとの間に置かれた加湿器を用いると、鼻粘膜の乾燥を最小限に抑え、また、患者の気道の快適さを増す加湿気体が生成される。更に、寒い気候では、漏れて意図せずして発生し得る一般的にマスク内及びマスク周辺の顔領域にかかる暖かい空気は、冷たい空気より快適である。
【0004】
多くの種類の加湿器が、入手可能である。しかしながら、最も便利な形態は、適切な呼吸装置と一体化しているか又は結合するよう構成されているかの何れかである。パッシブ加湿器は何らかの苦痛の緩和を提供し得るが、一般的に、加熱式加湿器は、患者が快適になるように、充分な湿度及び温度を空気に提供することが要求される。通常、加湿器には、数百ミリリットルの容量を有する水槽と、水槽内の水を加熱するための加熱素子と、加湿レベルを変更可能にする制御手段と、流量発生器から気体を受け取るための気体入口と、加湿・加圧気体を患者のマスクに送出する患者導管に接続された気体出口と、が含まれる。
【0005】
通常、加熱素子は、加熱板に内蔵され、この加熱板は、水槽の下に位置し、また、水槽に熱接触する。
【0006】
加湿した空気は、加湿器から患者までの導管に沿った経路上で冷え、“雨滴降下”現象、即ち、導管の内側に形成される結露を発生させる。これを阻止するために、加湿気体を加湿器から患者のマスクに供給する患者導管に加熱式配線回路を挿入することによって、患者に供給される気体を再加熱することが知られている。そのようなシステムが、「モスビー(Mosby)の呼吸管理装置」(第7版)、97ページに示されている。
【0007】
そのような患者導管用の加熱方法では、配線が主気体流中よりもむしろ導管壁に沿って配置されるため、伝熱が不十分になることがある。更に、配線は、その高さが低いため、乱流混合も不十分になる。その結果、伝熱が不十分になり、水蒸気と気体の混合もまた不十分になることがある。
【0008】
他の選択肢として、電熱線回路は、患者導管壁内に配置し得る。そのようなシステムが、特許文献1に記載されている。
【0009】
特許文献1には、低相対湿度の高温加湿気体を患者に供給するための多数の加湿器構成が述べられている。これらの構成には、気体の事前又は事後加熱を行って、相対湿度を低減するものも含まれる。
【0010】
これら従来技術の装置はいずれも、患者への快適で呼吸可能な加湿気体の供給に対しても、また、組立ての容易さ及び衛生上の要件並びに起動時のエネルギ及び患者の快適さに関する要件に対しても充分満足な解決策を提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,918,389号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の例は、従来技術の不利な点を克服・改良するか、又は少なくとも有用な選択肢を提供する代替えの加湿器構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態例において、呼吸装置用の、加湿器及び/又は温度等検出装置又は制御装置には、気体及び/又は水と熱接触した加熱用フィラメントが含まれるが、ここで、フィラメントは、細長いテープの形態である。このテープは、可撓性であってよく、また一実施形態例では、患者の流体導管の穴に沿って通過させるか又は導管壁に内蔵し得る。
【0014】
他の実施形態例において、呼吸装置に用いるための加湿器には、加湿器の水槽内の水に接する加熱器が含まれ、これは、加湿器槽内において、浮くか、もしくは水位の変化と共に上下に動く。
【0015】
更なる形態において、本発明は、呼吸装置用の加湿器構成を提供するが、これには、加湿室前後の領域内の空気経路に接触する細長いフィラメント加熱器が含まれる。このフィラメント加熱器は、更に加湿室内の水体にも接触し得る。
【0016】
フィラメントの加熱は、2つ以上の別々に制御可能な領域に分割し得る。
【0017】
更に本発明の実施形態例は、加湿開始時、患者の快適さを向上させる方法を提供する。本方法には、気体流路に沿って患者に提供されている呼吸可能な気体に熱接触するための又加湿装置内の水に熱接触するための加熱素子を提供する段階が含まれる。また、気体流路内の気体を加熱し、また加湿装置内の水を加熱するように加熱素子を構成する段階が含まれる。こうして、患者には、加湿装置内の水温が動作温度まで上昇する間、加熱された気体が最初に提供される。
【0018】
気体流路内の気体の加熱には、加熱気体が加湿装置を通過して初期段階の加湿を行うように、加湿室の上流にある気体流路の一部を加熱する段階を含み得る。
【0019】
本発明の実施形態例によると、呼吸可能な気体を患者に送出するための呼吸装置に用いる導管には、チューブと、チューブ外面上にある螺旋状のリブと、チューブ外面に接触する螺旋状リブによって支持された複数の配線と、が含まれる。
【0020】
本発明の他の実施形態例によれば、導管には、更に、導管の端に接続されたコネクタブロックを含み得るが、この場合、コネクタブロックは、流量発生器又は呼吸装置の患者インターフェイスに接続するように構成される。
【0021】
本発明の更なる実施形態例によれば、患者に呼吸可能な気体を送出するための呼吸装置には、患者に送出される或る供給量の加圧気体を生成するための流量発生器と、水を蒸発させて、水蒸気を送出し、気体を加湿するための加湿器と、流量発生器から加湿器に至る第1気体流路と、加湿器から患者インターフェイスに至る第2気体流路と、が含まれる。ここで、第1気体流路には、流量発生器に接続するよう構成された第1コネクタブロックを有する第1導管が含まれ、第2気体流路には、患者インターフェイスに接続するよう構成された第2コネクタブロックを有する第2導管が含まれる。
【0022】
更に他の本発明の実施形態例によれば、呼吸可能な気体を患者に送出する方法には、加湿された呼吸可能な気体流を導管経由で患者インターフェイスへ送出する段階と、所定のデューティーサイクルで、導管によって支持された複数の配線にDC電流を供給することによって導管を加熱する段階と、所定のデューティーサイクルのオフサイクル中における導管内の温度を検知する段階と、DC電流を制御して、選択した温度に導管内温度を維持する段階と、が含まれる。
【0023】
次に、本発明の実施形態について、以下の添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1−A】本発明の一実施形態における可撓性テープ型加熱器を有する患者導管の概略側断面図である。
【図1−B】可撓性テープ型加熱器が螺旋状に構成されている図1−Aの代替実施形態を示す図である。
【図1−C】可撓性テープ型加熱器が、その長手方向の軸を中心にして撚り合わせられた図1−Aの代替実施形態を示す図である。
【図2】可撓性テープ型加熱器の他の実施形態の概略斜視図である。
【図3】一実施形態の浮遊式加熱器を有する加湿室の概略側断面図である。
【図4−A】浮遊式加熱器が加湿室内に有し得る多数の実施形態の1つを概略的に示す図であり、浮遊式加熱器の一実施形態、即ち、浮遊式プラスチック支持格子の下に固定されている円形浮遊式加熱板の側面斜視図である。
【図4−B】浮遊式加熱器が加湿室内に有し得る多数の実施形態の1つを概略的に示す図であり、浮遊式加熱器の他の実施形態の側面斜視図である。
【図4−C】浮遊式加熱器が加湿室内に有し得る多数の実施形態の1つを概略的に示す図であり、浮遊式螺旋状可撓性テープ型加熱器の他の実施形態の透視側面図である。
【図4−D】浮遊式加熱器が加湿室内に有し得る多数の実施形態の1つを概略的に示す図であり、水平の螺旋形に巻かれた可撓性テープ型加熱器の他の実施形態の平面図である。
【図5】多数の領域が含まれる加湿加熱器構成を示す概略図である。
【図6−A】導管壁に接続された可撓性テープ型加熱器を示す患者導管の横断面図である。
【図6−B】コネクタが外れた図6−Aのコネクタの実施形態の他の図である。
【図7】浅い槽に配置された浮遊式加熱板であって、この槽自体も水体の水面に浮く浮遊式加熱板を示す図である。
【図8】本発明の実施形態例に基づく、コネクタによって吸気導管に接続された電源/制御器を示す図である。
【図9】流量発生器に接続された図8の吸気導管を示す図である。
【図10】患者インターフェイスに接続された本発明の実施形態例による患者導管即ちホースを示す図である。
【図11】本発明の実施形態例によるコネクタに接続された、流量発生器コネクタ接続部を含む、吸気導管を示す図である。
【図12】コネクタから切り離された図11の吸気導管を示す図である。
【図13】図11の吸気導管及びコネクタの断面図である。
【図14】吸気導管と、端子留め具が接続された流量発生器コネクタ接続部の一部の背面斜視図である。
【図15】図14の吸気導管、流量発生器コネクタ接続部、及び端子留め具の前面斜視図である。
【図16】端子留め具が無い状態の吸気導管及び流量発生器コネクタ接続部の上面斜視図である。
【図17】本発明の実施形態例による端子留め具の斜視図である。
【図18】本発明の実施形態例による流量発生器コネクタ接続部のコネクタブロックの斜視図である。
【図19】本発明の例によるコネクタの斜視図である。
【図20】図19のコネクタの接点の斜視図である。
【図21】図20の接点及びコネクタの断面図である。
【図22】本発明の実施形態例による患者導管即ちホースと、マスクカフ即ちコネクタの一部とを示す斜視図である。
【図23】図22の患者導管と、接続部の一部が除去されたマスクカフとを示す断面図である。
【図24】図10の患者導管及びマスクカフの断面図である。
【図25】本発明の実施形態例によるマスクカフのコネクタブロックの上面斜視図である。
【図26】図25のコネクタブロックの底面斜視図である。
【図27】患者導管に接続され、本発明の実施形態例によるマスクカフのプリント回路基板を含むマスクカフのコネクタブロックの上面斜視図である。
【図28】患者導管から切り離されている図27のコネクタブロックの側面斜視図である。
【図29】図27の患者導管及びコネクタブロックの断面図である。
【図30】本発明の実施形態例による患者導管と、マスクカフのコネクタブロックとを示す斜視図である。
【図31】本発明の実施形態例による患者導管及びマスクカフの斜視図である。
【図32】図31の患者導管及びマスクカフの断面図である。
【図33】本発明の実施形態例によるマスクカフの回路の温度センサ及び温度ヒューズの概略説明図である。
【図34】マスクカフのコネクタブロック上に設けられたマスクカフの回路を概略的に示す図である。
【図35】本発明の実施形態例による電源/制御器を概略的に示す図である。
【図36】本発明の実施形態例による三線加熱式チューブを概略的に示す図である。
【図37a】電源/制御器回路の実施形態例を概略的に示す図である。
【図37b−1】図37aの回路の実施形態例を概略的に示す図である。
【図37b−2】図37aの回路の実施形態例を概略的に示す図である。
【図37b−3】図37aの回路の実施形態例を概略的に示す図である。
【図37b−4】図37aの回路の実施形態例を概略的に示す図である。
【図38】流量発生器カフ及び/又はマスクカフ用のオーバーモールド成形されたグリップ部の斜視図である。
【図39】流量発生器カフ及び/又はマスクカフ用のオーバーモールド成形されたグリップ部の斜視図である。
【図40】流量発生器カフ及び/又はマスクカフ用のオーバーモールド成形されたグリップ部の斜視図である。
【図41】本発明の実施形態例による導管を示す図である。
【図42】本発明の実施形態例による導管を示す図である。
【図43】本発明の実施形態例による患者導管及びマスクカフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
可撓性テープ型加熱器
【0026】
図1−A乃至1−Cは、呼吸装置の患者導管4内における可撓性テープ型加熱器3の使用方法を示す。患者導管4は、加湿室1と患者インターフェイス、例えば、マスク5との間に配置される。患者導管4は、呼吸装置において、加湿室1から患者マスク5まで気体の流れを伝達する。次に、加湿室1は、流量発生器20(図5)、即ち、送風機から加圧気体を受け取る。
【0027】
患者導管4内の可撓性テープ型加熱器3は、患者導管4内の気体流を加熱するために用いられる。気体の加熱により、呼吸装置によって送出される気体に対して、温度及び湿度という気体快適性を得て維持できる。
【0028】
可撓性テープ型加熱器3は、患者導管コネクタ端2によって、加熱器制御器21(図5)に電気的に結合される。加熱器制御器21は、加湿器や流量発生器20や基底ユニット22に内蔵するか、又は例えば、0.1乃至24VのDC電圧を供給する別のユニット21でよい。
【0029】
患者導管コネクタ端2は、他の可撓性テープ型加熱器(図1の左側に部分的に示す)を介して加熱器制御器21に接続するか、又は図6−A及び6−Bに示したコネクタ23、24を介して患者導管4の導管壁25に接続し得る。コネクタには、雄型コネクタ要素23及び雌型コネクタ要素24を含み得るが、これらは、可撓性テープ型加熱器3と導管壁25との間の電気的通信及び/又は機械的接続を行い得る。雄型コネクタ要素23及び雌型コネクタ要素24は、位置互換可能である。コネクタ23、24は、可撓性テープ型加熱器3を導管壁25上の所定の位置に固定するが、分離もまた可能である。コネクタ23、24は、導管壁25に沿う又はその周辺の任意の位置で用い得る。
【0030】
患者導管4は、患者導管4内において、熱損失を低減し、また、それに伴う水の結露即ち“雨滴降下”を最小にするために、断熱するか又は従来技術のような加熱式導管であってよい。断熱部は、患者導管4周りの外部袖即ちラッピング材であってよい。外部袖即ちラッピング材は、発泡樹脂、織物、又は二重壁導管の場合、空隙であってよい。
【0031】
他の実施形態において、可撓性テープ型加熱器3は、壁に熱を加えて結露を防止するために、患者導管4の壁と合体してよいが、この間、オプションとして、患者導管4内の追加の可撓性テープ型加熱器3が、気体流を加熱する。
【0032】
更なる実施形態では、患者導管4の形成は、可撓性テープ型加熱器3を螺旋状にし、可撓性テープ型加熱器3の端を結合して、患者導管4を形成することによって行う。
【0033】
可撓性テープ型加熱器3は、使用時、患者導管4の可撓性が制限されないように、充分な可撓性を有すべきである。また、可撓性テープ型加熱器3の可撓性は、患者導管4内で可撓性テープ型加熱器3の挿入や取り外しが可能な程に充分であるべきであり、また、可撓性テープ型加熱器3は、患者導管4に挿入できるように、また、望ましい位置にそれ自体を支持し、患者導管4の壁や端に対してくずれないように、充分な剛性を有すべきである。更に、その剛性は、可撓性テープ型加熱器3が気体流中でばたついて望ましくない可聴雑音を生成しないように、充分であるべきである。
【0034】
可撓性テープ型加熱器3の薄く平らに伸展される性質は、気体流による伝熱を強化し、一方では、気体流に低インピーダンスを与える。可撓性テープ型加熱器3は、螺旋状の構成(図1−B)を有するように患者導管4内に配置することが可能であり、及び/又は可撓性テープ型加熱器3は、1つ又は複数の可撓性テープ型加熱器3の軸を中心にして捻ったり曲げたりできる。長手方向軸捻り構成は、図1−Cに示す。
【0035】
可撓性加熱テープに対する代替のプロファイル即ち幾何学的構造には、以下のものを含み得る。
【0036】
可撓性テープ型加熱器の横断面は、矩形、楕円又は任意の形であってよい。
【0037】
可撓性テープ型加熱器3の表面は、粗い、又は円滑、又はくぼみがあってよい。及び/又は、
【0038】
可撓性テープ型加熱器3の1つ又は複数の表面は、波形であってよい。
【0039】
厚さ及び幅の寸法は、可撓性テープ型加熱器の長さに沿って変わってよい。例えば、患者導管4内の可撓性テープ型加熱器3のより厚い部分は、気体の流量を増加させるベンチュリ効果を与えるために設けることができ、これにより、流量検出が、可撓性テープ型加熱器3の長さに沿う圧力センサによって可能になる。
【0040】
これら捻った螺旋状の又は他の上記構成を用いると、患者導管4内の可撓性テープ型加熱器3が長くなり、従って、気体流と可撓性テープ型加熱器3の表面との間の伝熱に利用可能な表面積が大きくなる。更に、これらの構成は、加湿室1で生成された水蒸気と気体流との乱流混合を強化するために用い得る。
【0041】
また、様々な構成を用いて、例えば、図5に示すように、患者導管4に沿って又は装置全体として、異なる流れ、音響、湿度又は温度特性の領域を設けてよい。
【0042】
可撓性テープ型加熱器3を用いて、患者導管4の音響インピーダンス特性を修正することは、望ましい。例えば、
【0043】
白色雑音(広範囲の周波数スペクトル雑音)の生成又は低減。
【0044】
特定の音響雑音周波数成分(1つ又は複数)を減衰又はフィルタ処理、例えば、固体伝搬又は空気伝搬流量発生器の音響雑音。及び/又は、
【0045】
監視及び診断のための、患者導管4を通り基底ユニット22(図5)に至る患者の呼吸に関する音響信号の伝搬の強化。
【0046】
可撓性テープ型加熱器3を用いた音響インピーダンス特性の変更は、可撓性テープ型加熱器3を構成する材料、並びに患者導管4内のテープ型加熱器3について上述した及び図1−A乃至1−Cに更に示す構成の選択によって、達成し得る。
【0047】
図2は、可撓性テープ型加熱器3の一実施形態を示し、この場合、加熱は、加熱素子6による。
【0048】
一実施形態において、加熱素子6は、KAPTON(R)、シリコーンゴム、全層ポリイミド、PTFE等の可撓性の基板の表面に適用されるプリント回路技法によって形成される。使用し得るプリント回路技法には、被エッチング箔、印刷、及び真空蒸着法が含まれる。
【0049】
そして、基板材料の他のシートが、底基板上に置かれ、この場合、加熱素子と2枚の基板材料とが互いに融着され、加熱素子が封止される。アメリカ合衆国ミネアポリスのMinco社製のこの種の可撓性加熱器のサーモフォイル(Thermofoil(TM))レンジは、www.minco.comに記載されているが、変更して本発明に用い得る市販の帯状加熱器の例である。
【0050】
可撓性テープ型加熱器3を生成するための代替の実施形態は、ツインシリコンローラ・ラミネータなどのラミネータを用いて、配線又はリボンの形状の加熱素子6を、2枚のテープ状ポリカーボネート膜内に封入することである。結果的に生じるテープは、例えば、1乃至10ミリの幅及び0.1乃至1ミリの厚さの範囲の寸法を有し得る。約0.2乃至0.5ミリの厚さ及び約5ミリの幅の寸法が、患者導管4には、使用可能である。
【0051】
加熱素子6の配線又はリボンは、任意の適切な横断面、例えば、円形、細長い又は矩形の横断面を有し得る。加熱素子6は、例えば、抵抗性の導線を含み得る。
【0052】
積層膜間の加熱素子6の構成は、整然とした又は無秩序な任意の構成であってよく、この構成は、気体であれ液体であれ、周辺の媒体への可撓性テープ型加熱器の伝熱を改善する。また、加熱素子6は、抵抗に対して正の熱係数(PTC)を有し得るため、温度が所望の温度に向かって上昇するにつれて、加熱は低下する。
【0053】
他の選択肢として、加熱素子6は、加熱素子6又は周辺の媒体の温度を検知できる負の熱係数(NTC)を有し得る。
【0054】
他の実施形態では、可撓性テープ型加熱器3内には、多数の加熱素子回路があり得る。多数の加熱素子は、直列又は並列に接続し得る。可撓性テープ型加熱器3内のこれらの多数の加熱回路を用いると、呼吸装置の動作において、必要に応じて適用される追加の加熱が可能になる。
【0055】
他の実施形態では、積層膜は、ポリエステル、ポリプロピレン、又は呼吸医療用途用の任意の適切な承認済みの物質であってよい。他の選択肢として、多積層膜を用いると、呼吸医療用途用の外膜の所望の適合性を保持しつつ、所望の特性を有する複合帯を生成し得る。また、例えば、テープ型加熱器の長手方向に複数の加熱領域を許容するなど、多数の加熱回路を形成するように、他の導体が、これら複数の各層間に存在してよい。
【0056】
他の実施形態では、空気温度用のセンサ7、例えば、熱電対、白金抵抗温度計、又はその付帯信号線9を有するサーミスタ等は、2枚のポリカーボネート膜間に含み得る。センサ先端は、平らであってよく、厚さは約2ミリ未満であってよく、また、1ミリ未満であってもよい。表面実装回路構成要素等の他の回路構成要素は、検知及び/又は制御のために基板膜上に、従って、可撓性テープに実装し得る。また、加熱素子6及び他の回路構成要素は、上述したように、基板膜によって分離された多数の層に存在し得る。
【0057】
可撓性テープ型加熱器3の場合、他の回路構成要素は、充分に寸法が小さく、可撓性テープ型加熱器3の全体外形内に収容され、加熱素子6と一緒に配置できるという全て共通の物理的特徴を有する。
【0058】
代替の一実施形態では、可撓性テープは、加熱要素6を有さないこともあるが、その代わり、検知及び制御のための1つ又は複数の他の回路構成要素を内蔵し得る。従って、呼吸装置には、2つ以上の可撓性テープを含んでよく、1つ又は複数が、加熱機能を担当し、1つ又は複数が、検知及び/又は制御機能を担当し得る。
【0059】
使用し得る他の回路構成要素の範囲を、一例として以下に示す。
【0060】
相対及び絶対湿度センサ7a
【0061】
サーミスタの形態での正温度係数(PTC)又は負温度係数(NTC)を有する温度センサ7a、又は他の選択肢として、可撓性テープ型加熱器3が自動的に制限するように、PTC特性は、加熱素子6に固有のものであってよい。
【0062】
熱電対、白金抵抗温度計等は、制御及び監視のために、実温度値信号を生成するために用い得る。
【0063】
気体の指向性流れ検知は、可撓性テープ型加熱器に沿って離間配置され、各々温度センサ(例えば、サーミスタ)を含む少なくとも2つの独立制御される加熱部位を用いることによって実現し得る。これら2つ以上の加熱部位を制御し、また、温度を検知して、気体流の方向を検出する。
【0064】
気体流検知のための熱線測風7a
【0065】
周囲圧力検知7a、例えば、吸気対呼気圧力
【0066】
センサ7aからの温度等の出力を利用して、例えば、加熱要素(1つ又は複数)用の加熱素子6に印加される電流を調整するトランジスタを制御する制御器7b。
【0067】
呼吸装置内における基底ユニット22、他のヒータ、及び構成要素に対して、可撓性テープ型加熱器3の動作パラメータの識別及び通信を可能にする識別・通信・メモリチップ8。例えば、可撓性テープ型加熱器3は、それ自体に関する通信を行い、また、患者マスク5タイプ又は患者導管4タイプ等の呼吸装置や能動換気システムに取り付けられた他の構成要素の検出及びそれらに関する報告も行い得る。そして、このように可撓性テープ型加熱器3によって収集された情報は、基底ユニット22に送り得る。識別・通信・メモリシステムは、部分的に、無線周波数識別チップ(RFID)で構成して、加熱器6及びセンサ7aの識別及び動作パラメータを記憶し得る。基底ユニット22は、RFIDチップと通信を行い、それに応じてその動作を調整する能力を有し得る。そのようなシステムは、豪州特許出願第2005907200号、表題「マスク及び換気装置構成要素のための識別システム及び方法」に記載されており、その全内容を本明細書に引用・参照する。この通信は、能動換気システムを制御するためにも用い得る。
【0068】
小型のアンテナ及び受信機を介した電磁波通信プロトコル、例えば、「ブルートゥース」。情報を送受信するためのアンテナは、例えば、可撓性テープ型加熱器3内、患者導管4の壁内、もしくは能動換気システム内、又は図5に示す呼吸装置の他の構成要素内に配置し得る。他の実施形態において、アンテナは、可撓性テープ型加熱器3又は患者導管4によって認められる寸法であってよい。
【0069】
可撓性テープヒータへの電源は、上述の電磁波通信に対するものと同様であってよい。本実施形態では、アンテナ即ち誘導コイルは、送電用に構成し得る。
【0070】
これらの構成要素は、それらの機能に合わせて、適宜、可撓性テープ型加熱器3に沿う任意の箇所に配置し得る。例えば、熱電対は、可撓性テープ型加熱器3上で患者マスク5に隣接する端に配置して、患者マスク5に送出される気体の温度に基づく閉ループ温度制御を可能にし得る。
【0071】
代替の一実施形態において、温度センサは、患者マスク5の中又は付近に配置し得るが、可撓性テープ型加熱器3からは離間し得る。しかしながら、温度センサは、上述した方法の内の1つで可撓性テープ型加熱器3と通信を行い、患者に送出される気体の温度の閉ループ制御を可能にし得る。
【0072】
可撓性テープ型加熱器3には、更に、細管26(図2)を含み、これによって、流量発生器及び/又は加湿室1から離れた遠隔検知が可能になる。細管は、例えば、圧力、雑音/いびき、及び/又は心臓の信号検知を行う。例えば、細管は、上述した方法の内の1つで、可撓性テープ型加熱器3の側面に取り付けられ、再度、流量発生器20に接続し得る。細管26を用いると、患者導管4及び呼吸装置内の他の領域内において、流れ雑音を回避する恩典が提供される。
【0073】
上述した検知及び制御方法によって、閉ループ制御が可能になるが、この制御は、気体が所望の温度や湿度であるように、患者マスク5への気体送出を改善するために用いられる。他の選択肢として、単純な開ループシステムを用いてもよく、この場合、加熱素子用の電圧又は電流は、例えば、直流0.1から24V、又は交流の場合、例えば、0.1から50Wの等価電力であってよい。また、この検知及び制御は、能動換気システムからの意図的な気体漏れのレベルを供給圧力の量に応じて制御し得る。例えば、換気装置の圧が増加するにつれて、能動換気システムを制御して、その意図的な漏れのレベルを許容可能なレベルまで低減し得る。
【0074】
更に、センサ7aは、コンプライアンス又は統計データ収集のために用い得る。
【0075】
更に、本明細書に述べた加熱器及び/又は検知/制御システムの異なる構成要素は、加湿器を用いない呼吸装置では、単独の構成要素として用いてよく、また、そのような構成は、本発明の範囲内である。
【0076】
このように説明した可撓性テープ型加熱器3は、患者導管4から容易に取り外し可能であり、これによって、洗浄、保守、又は交換が可能になる。また、可撓性テープ型加熱器3は、効率的な加熱を提供するが、この場合、検知及び制御構成要素7は、可撓性テープ型加熱器3に容易に内蔵される。
【0077】
浮遊式加熱器
【0078】
図3において、浮遊式加熱器12を利用する加湿器構成を示す。浮遊式加熱器12は、加湿器室槽1内の水体13に浮かび、これにより、浮遊式加熱器12のかなりの部分が浸漬されるが、まだ水面14に隣接し、水面14付近のその水の部分を加熱する。
【0079】
浮遊式加熱器12には、図1−A乃至1−C及び2を参照して上述したものと同様な構造の1本の可撓性テープ型加熱器を含み得る。流量発生器20から延在する吸気導管10内に配置された加熱器の端には、コネクタ11を設け得るが、コネクタ11によって、浮遊式加熱器12に可撓性テープ型加熱器を接続することが可能になり、この場合、可撓性テープ型加熱器は、呼吸装置の基底ユニット22(図5)に接続される。浮遊式加熱器12は、上流端コネクタ11を介して、その電気供給を受ける。浮遊式加熱器12への又はそこからのあらゆる検知又は制御信号もまた上流端コネクタ11を介して受信される。
【0080】
浮遊式加熱器の下流端2は、患者インターフェイスに至る患者導管4内に配置されるが、更に、患者導管4に配置された可撓性テープ型加熱器の更なる部分との、電力供給用及び任意の通信用の更なるコネクタを有し得る(図1−A、1−B、1−C及び2参照)。
【0081】
加熱器12は、加熱器それ自体の自然浮力もしくは表面張力効果によって浮かぶように構成したり、又は水位の変化にかかわらず加熱器を水面付近に保持する方法によって支持したりしてよい。
【0082】
図4−A乃至Eは、浮遊式加熱器3、12、16、17が、加湿室1内において有し得る複数の実施形態を示す。各実施形態における浮遊式加熱器3、12、16、17は、上記種類の可撓性テープ型加熱器から、又は板形状の可撓性テープ型加熱器3つまり浮遊式加熱板16から形成される。
【0083】
浮遊式可撓性テープ型加熱器3及び浮遊式加熱板16の構造及び使用方法は、可撓性テープ型加熱器3について上述したものと同じであるが、例外は、それが、水に適用されることである。これには、両用途用の加熱器が、気体又は水の浸漬に対して堅牢であるという大きな利点がある。その理由は、浮遊式可撓性テープ型加熱器3又は浮遊式加熱板16は、呼吸装置の動作中、部分的に水中に浸漬可能であり、この場合、浸漬は、水体の体積が増加したり減少したりするにつれて、もしくは装置が傾くことによって、無作為に行われたり、又は加湿室1の気体内において水蒸気の温度を維持するように作為的に行われるためである。
【0084】
図4−Aは、円形の浮遊式加熱板16を示し、これは、例えば、浮力を示すプラスチック材料の浮遊式支持格子又は板15の下に固定される。支持格子15は、水に充分に接触して蒸発が起こるように、水面14の真下にある加熱素子と間隔をあけて配置される浮遊式加熱板16に浮遊式位置決め機構を提供する。図7に示す代替の一実施形態において、浮遊式加熱板は、浅い槽に配置され、この槽自体も水体13の水面14に浮いている。本実施形態において、浮遊式加熱板には、少なくとも1つの開口が含まれ、この開口により、水が槽を満たして加熱板16を覆うことができる。槽内の少量の水は、急速に加熱されて蒸気を生成する。
【0085】
図4−Bは、他の実施形態を示し、ここでは、板形状が、規則正しく又は不規則に波打っているか又はくぼんでいる。波形の形成及び/又はくぼみの形成により谷が設けられ、これらの谷によって、水のポケットが、浮遊式加熱板16の上面に蓄積し得る。本実施形態において、浮遊式加熱板16は、当然ながら、浮力があり、従って、支持格子又は他の浮力装置を必要とせずに浮かぶことができる。
【0086】
図4−Cは、螺旋状に巻かれた可撓性テープ型加熱器3を示す。本実施形態では、浮遊式螺旋状可撓性テープ型加熱器17の充分な部分が水体13に浸漬するように、浮遊式螺旋状可撓性テープ型加熱器17は、本来浮くことができる。他の実施形態において、可撓性テープ型加熱器3は、水平の渦状に巻いてよい(図4−D)。図4−C及び4−D双方の実施形態の場合、図4−Aで用いた支持格子15は、可撓性テープ型加熱器3、12、17を位置決めするために用い得る。
【0087】
浮遊式加熱器3、12、16、17の上記実施形態は、多数の確定した構成を表し、一方、使用時、浮遊式加熱器は、確定又は未確定の構成の組合せを取り得る。例えば、図4−C及び4−Dを組み合わせると、渦として連続する長い螺旋になる。
【0088】
浮遊式加熱器3、12、16、17の上記実施形態において、加熱器は、加熱器周辺の水に効果的な伝熱を行う。更に、加熱器が水体13の底部に配置される場合のように、水体全体を底部から上に向かって加熱するよりもむしろ、水面付近の水が加熱され蒸発する。
【0089】
更に、可撓性テープ型加熱器の形成は、渦巻状にするか、そうでなければ、水体13に部分的に浸漬されるように形成して、空気付近の水及び水付近の空気双方を熱して、熱の層状領域を生成し、水の取り込みを改善して加湿を行い得る。従って、浮遊式加熱器3、12、16、17は、水蒸気生成の電力効率が改善され、また、装置起動時の加湿の場合、所望の水面温度への迅速な到達に効果的であり得る。
【0090】
複数領域の加熱
【0091】
図5は、上記可撓性テープ型加熱器3と浮遊式加熱板12、16、17について述べたものと同じ全体構造及び使用方法の3つの加熱器を利用する呼吸装置を示す。
【0092】
これらの加熱器には、複数の加熱回路を含んでよく、これにより、3つの各加熱器領域が、独立に動作し得る。
【0093】
流量発生器20即ち送風機は、周囲温度供給源から提供される気体を供給するが、この供給源は、部屋の空気であってよく、又は酸素等の特定の気体供給源によって強化したり、置き換えたりしてよい。前置加熱器18は、送風機連結器10内に配置され加湿器1に至る。送風機連結器は、剛性や可撓性を有してよく、あるいは、送風機連結器10の動作又は送風機連結器10内に配置された前置加熱器18の動作に必要な導管であってよい。前置加熱器18は、基底ユニット22の制御器/電源21に接続されるが、これは、可撓性テープ型加熱器3の実施形態のごとく、前置加熱器18の任意の検知又は制御構成要素との電力及び通信の提供を行う。前置加熱器18は、送風機導管コネクタ端11において、加湿室1の浮遊式加熱器12、16、17に接続する。浮遊式加熱器12、16、17は、前置加熱器18を介して、制御器/電源21の電力供給を受電し、また、浮遊式加熱器12、16、17の検知又は制御用構成要素との任意の通信を受信する。
【0094】
他の選択肢として、浮遊式加熱器12、16、17は、更に、患者導管4を記載する図6−A及び6−Bに関連して述べたように、送風機連結器10の壁を介して、制御器/電源21に接続し得る。
【0095】
後置加熱器19は、患者導管4に配置される。患者導管コネクタ端2は、制御器/電源21の電力及び通信を後置加熱器19の検知及び制御構成要素7に提供する。患者導管コネクタ端2は、図5に示すように、浮遊式加熱器12、16、17を介して、又は図6−A及び6−Bに示すように、導管壁25を介して、制御器/電源21に接続してよく、そして、加湿室1を介して基底ユニット22の制御器/電源21に接続してよい。
【0096】
代替の一実施形態において、加熱器の1つ又は複数は、上述した種類のものではなく、他の適切な加熱素子であってよい。例えば、前置加熱器18は、本明細書に述べた種類の可撓性テープ型加熱器ではなく、簡易な配線加熱器又は他の従来の加熱器の種類として形成し得る。
【0097】
そのような構成を用いると、以下の利点を得る。
【0098】
送風機連結器10、加湿室1、及び患者導管4の内部にある単一の相互接続加熱システム。
【0099】
加熱器、センサ及び制御システム全体を簡単に取り外して、洗浄、保守又は交換できる。
【0100】
相互接続によって、患者に送出される気体の温度及び湿度に対する高水準の閉ループ制御が簡単になる。
【0101】
患者導管4の様々な部位の結露を制御するために、患者導管4の異なる部位の温度及び湿度を検知する能力。
【0102】
加熱器及び/又は検知/制御システムの異なる構成要素は、従来の加湿器において組合せて又は別々に用い得る。例えば、可撓性加熱テープ3は、加熱底板を有する従来の加湿器と共に患者導管4の加熱にも用い得る。他の選択肢として、浮遊式加熱器12、16、17又は可撓性テープ型加熱器3は、上述したように、加熱式又は断熱式壁患者導管4と共に加湿室1の水体13の加熱に用い得る。
【0103】
呼吸装置の任意の位置に複数の加熱器を並列及び直列に設置する能力。これによって、例えば、水体13が所望の温度に達するために時間を必要とする場合、呼吸装置の開始動作時の“過熱”が可能になる。複数の加熱回路による空気の一時的特別加熱によって、冷たい水を吸収する空気の容量が増加する。これを、水体14の水温に応じて、制御又は分布測定して、適切なレベルの湿度を提供し得る。
【0104】
呼吸装置の場合、3つの加熱器の配置並びにそれらを使用するタイミング及び順序により、温度及び湿度という気体の快適性は、以下を別々に時差生成させることによって管理可能になる。
【0105】
絶対湿度が低い周囲気体の加熱
【0106】
水の蒸発。及び/又は、
【0107】
絶対湿度が高くなった気体の加熱(加湿室1の後)
【0108】
以下の使用例は、本明細書に述べた実施形態例の動作の利点を示す。
【0109】
患者の呼吸気体には、特に、冬場及び寒い気候では、温度及び湿度という快適性に対する注意が必要である。実施形態では、コールドスタートからのシステムの目的は、最初に、暖かな気体を迅速に送出し、そして、時間と共に加湿器が温まるにつれて湿度を高めることである。この方法によって、患者は、低湿度呼吸支援の悪い症状が始まる前に、直ぐに相対湿度が上がる快適な暖かい空気を受ける。
【0110】
冬の気候でのコールドスタートの場合、三加熱器システムは、従って、以下のように動作し得る。まず、流量発生器20からの冷たい周囲温度の気体を、恐らく患者導管4内の後置加熱器19から支援を受けて、送風機連結器10内の前置加熱器18を用いることによって暖める。これにより、最初に、暖かく乾燥した空気を患者に提供する。
【0111】
暖められた気体流が、加湿室1の加熱されていない水からかなりの水蒸気を吸収し始めると、患者導管4の後置加熱器19は、患者導管4の“雨滴降下”結露を防止するために、その加熱を始める又は強める。前置加熱器18により空気を最初に暖めると、浮遊式加熱器12、16、17が、まだ水を温めている間に、単なる“パスオーバー”動作として、ある程度の加湿を直ちに始められるという利点がある。単なる“パスオーバー”動作における気化熱は、加熱気体によって供給される。
【0112】
浮遊式加熱器12、16、17が水面を暖め始めて、加湿室を通過する気体の絶対湿度が急速に上昇して、所望の加湿のレベルに到達すると、患者導管4の後置加熱器19は、その加熱を調整して、患者導管4の結露を防止することによって、絶対湿度を維持する。後置加熱器19は、更に、患者導管4において所望の気体温度を維持する役割も果たし得る。前置加熱器18は、加湿室1の水体13の加熱レベルに基づく加熱プロファイルを有することができ、その加熱プロファイルは、前置加熱器18への電力又は前置加熱器18の構造的な構成を変更することによって提供し得る単位時間当たりの気体流の加熱の割合である。水の加熱とは反対に、空気温度を制御することによって、もっと効果的な湿度の制御が存在すると思われる。
【0113】
この実施形態例の追加の利点は、呼吸装置が直流電源又は携帯電源によって動作できるように、加湿開始時に、消費電力を低減し得ることである。更に、2つ以上の加熱器が多重化され、一度に1つの加熱器が動作するが、2つ以上の加熱器の間に動作の繰返しがある場合、それでもなお満足な動作を得ることができる。
【0114】
給気導管接続
【0115】
図8において、電源/制御器21は、コネクタ52によって、給気導管/送風機連結器10に接続し得る。コネクタ52は、電源/制御器21に接続された第1コネクタ52aと、給気導管10に接続された第2コネクタ端52bと、を有する。給気導管10は、流量発生器カフ、即ち、コネクタ54を有する。流量発生器カフ54は、流量発生器20との接続のために構成された端54aを有する。流量発生器カフ54は、更に、端子留め具54cを画成するオーバーモールド成形のグリップ即ちカフ54bを有する。
【0116】
図9に示すように、給気導管10は、流量発生器カフ54によって、流量発生器20に接続される。コネクタ52は、端子留め具54cにおいて、流量発生器カフ54に接続される。図9には図示しないが、コネクタ52の第1端52aは、電源/制御器21に接続されることを認識されたい。電源/制御器21は、コネクタ52を介して流量発生器カフ54に電流及び信号を提供する。
【0117】
患者導管接続
【0118】
患者導管/空気送出ホース4は、図10に示すように、マスクコネクタ、即ち、カフ56によって患者インターフェイス5に接続される。患者導管4には、例えば、熱可塑性エラストマ製のチューブ4a、及び極低密度のポリエチレン製螺旋状リブ4bが含まれる。配線4c、4d、4eは、チューブ4aの外面に接触するように、螺旋状リブ4bに支持されている。配線4c、4d、4eは、チューブ4aを加熱し、電源/制御器21に対して、また、そこから信号を搬送するために用い得る。給気導管10は、チューブ10a、螺旋状リブ10b、チューブ上の螺旋状リブによって支持された配線10c乃至10eを含み、患者導管4と同様な構造を有し得ることを認識されたい。
【0119】
給気導管及び流量発生器カフ
【0120】
図11において、流量発生器カフ54には、コネクタブロック54aが含まれる。グリップ即ちカフ54bは、コネクタブロック54a上にオーバーモールド成形され、コネクタブロック54aを給気導管10に接続する。オーバーモールド成形グリップ即ちカフ54bには、オーバーモールド成形グリップ即ちカフ54bの外面に、ユーザの指用の窪み等のグリップ形状54dが含まれ、コネクタカフ54の握り方が改善される。
【0121】
図8、12及び13に示すように、流量発生器カフ54には、コネクタ52の第2コネクタ端52bを収容する端子留め具54cが含まれる。図13に示すように、端子留め具54cは、コネクタ52の導入部52eに収容されるリブ54nが含まれる。リブ54nは、導入部52eと噛み合って、コネクタ52を端子留め具54cに固定する。
【0122】
また、端子留め具54cには、給気導管10の配線10c、10d、10eを位置決めする歯54eを含む。配線10c、10d、10eは、熱可塑性エラストマチューブ10aの外面に置かれ、そして、螺旋状リブ10bによって外面の所定の位置に保持される。
【0123】
チャネル54jは、コネクタブロック54a内に設けられ、これによって、オーバーモールド成形材54bが、動いてチューブ10aの内側に接合し、コネクタブロック54aと給気導管10との間を接続し得る。コネクタブロック54、チューブ10a、及びオーバーモールド成形材54bは、化学結合する材料で形成し得る。
【0124】
図14において、端子留め具54cには、端子留め具ピン54hが含まれ、端子留め具ピン54hは、端子留め具蝶番54fの蝶番スロット54gに収容される。端子留め具蝶番54fは、コネクタブロック54a上に設けられる。端子留め具54cは、端子留め具蝶番54fにカチッと嵌め込まれ、歯54eと給気導管10の配線10c、10d、10eとの接続を確保する。図15に示すように、端子留め具54cは、コネクタブロック54aへの給気導管10の取り付け前に、コネクタブロック54aに取り付けてよい。端子留め具ピン54hは、蝶番スロット54gに取り付けられ、端子留め具54cは、前方に傾く又は回転する。次に、給気導管10は、コネクタブロック54aに取り付けられ、そして、端子留め具54cは、歯54eが給気導管10の配線10c、10d、10eに接触するように、後方に回転又は旋回する。図16及び17に示すように、コネクタブロック54aには、給気導管10の螺旋状リブ10bが、歯54eによる接触のために、配線10c、10d、及び10eを位置決めするためのガイド溝54pを含む。
【0125】
図17において、端子留め具54cには、アーチ部54kが含まれ、アーチ部54kは、端子留め具54cが端子留め具蝶番54fに挿入された時、ガイド溝54p(図16)とチャネルを画成する。溝54i(図18)は、コネクタブロック54内に設けられ、螺旋状リブ10b及び給気導管10の配線10c、10d、10eを収容する。溝54iは、円滑な表面と広い接触面積とを有し、配線10c、10d、10eに対する損傷を防止又は最小にする。更に、図18に示すように、間隙54mが、チャネル54jの隣に設けられ、グリップ、即ち、カフ54bのオーバーモールド成形中、コネクタブロック54aへのあらゆる空気の通過を可能にする。
【0126】
図19乃至21において、第2コネクタ端52bは、第2コネクタ端52bの握り易さを向上させるグリップ形状52cを有する。また、歪解放形状52dが、可撓性を向上するために、第2コネクタ端52bに形成される。グリップ及び歪解放形状は、コネクタ52の第1コネクタ端52aにも設けられる。
【0127】
接点52f、52g、52hは、給気導管10の配線10c、10d、10eからの信号を送受信するために設けられる。給気導管10は、3本の配線を含むものとして示され、また、端子留め具54cは、第2コネクタ端52aの3接点を収容するための3端子を有するものとして示しているが、任意の数の配線、端子、及び接点を用いて、電源/制御器21と給気導管10との間で信号を送受信し得ることを認識されたい。
【0128】
患者導管及びマスク・コネクタ・カフ
【0129】
図22乃至34において、マスクコネクタ即ちカフ56は、患者インターフェイス5への患者導管/空気送出ホース4の接続のために設けられる。マスクコネクタ即ちカフ56には、コネクタブロック56aが含まれ、コネクタブロック56aは、オーバーモールド成形グリップ即ちカフ56bによって患者導管4に接続される。コネクタブロック56a、チューブ4a及びオーバーモールド成形カフ56bは、化学結合する材料で形成し得る。
【0130】
図24に示すように、コネクタブロック56aは、患者インターフェイス5の入口5aに接続される。入口5aは、例えば、マスクの回転台肘であってよい。
【0131】
プリント回路基板(PCB)56cは、コネクタブロック56aの外面周辺に設けられる。患者導管4の配線4c、4d、4eは、PCB56cに取り付ける。図25、27及び28に示すように、コネクタブロック56aには、留め金又はピン56iが含まれ、これらは、PCB56cの孔又は開口56uに結合する。PCB56cは、このように、コネクタブロック56aの外面に巻き付けられ、所定の位置に保持される。温度ヒューズ56d及び温度センサ56e、例えば、サーミスタは、PCB56c上に設ける。図23及び26に示すように、1つ又は複数の窓56jが、コネクタブロック56aの外面に設けられるが、ここでは、温度ヒューズ56d及び温度センサ56eが設けられる。窓56jは、図24に示すように、PCB56cによって覆われる。更に詳細に後述するように、PCB56cには、PCB56cを窓56jに沿う空気流に晒すことによって冷却される加熱器トラックが含まれる。
【0132】
螺旋状リブ56fは、図22乃至26に示すように、患者導管4を設置するために、コネクタブロック56aの外面に設けられる。図25に示すように、コネクタブロック56aの外面には、階段状のくぼみ56hが含まれ、これによって、オーバーモールド材は、動いて可撓性PCB56cの下面に接合し得る。図29に示すように、コネクタブロック56aには、更に、チャネル56tが含まれ、これによって、オーバーモールド材は、患者導管4のチューブ4aの内側に接合し得る。図25に戻ると、間隙56gは、チャネル56tに隣接して設けられ、これによって、オーバーモールド成形中に空気を逃がすことができる。図28及び29にも示すように、コネクタブロック56aの端には、ごみが溜まる容量を最小にし、また、ごみが溜まれば洗浄される形材56nが含まれる。形材56nの端は、更に、オーバーモールド成形材の流れインピーダンスを最小にする。
【0133】
図25及び27に示すように、アクセスチャネル56mは、螺旋状リブ56fと端チャネル56tの間に設けられ、これによって、オーバーモールド材は、チューブ4aをコネクタブロック56aに接合し得る。図30に示すように、チューブ4aは、コネクタブロック56aへ捻り込まれ、患者導管4の配線4c、4d、4eは、56pに示すように、可撓性PCB56cに半田付けされる。
【0134】
図31において、オーバーモールド成形グリップ即ちカフ56bには、マスクカフ即ちコネクタ56の把持能力を改善するために、ユーザの指を収容するためのくぼみ等の成形グリップ形状56qを含んでよい。コネクタブロック56aは、剛性ポリマで形成してよく、また、オーバーモールド成形グリップ即ちカフ56は、熱可塑性エラストマで形成し得る。図32に示すように、コネクタブロック56aは、患者インターフェイスへの接続のための標準の22mmISOテーパを有し得る。図32に示すように、オーバーモールド成形材は、温度ヒューズ56d領域内の56sでは、ブランクにしてよい。
【0135】
図33及び34において、可撓性PCB56cの回路には、温度ヒューズ又はスイッチ56d及び熱センサ56eが含まれる。配線の内の1つ、例えば、4cは、電源/制御器21に温度信号を送るための温度検知用配線として用い得る。他の配線、例えば、4d、4eは、患者導管4のチューブ4aを加熱するための加熱配線として用い得る。温度が或る値を超えた場合、温度ヒューズ56dは、加熱配線4d、4eへの電流を遮断するように構成されている。
【0136】
可撓性PCB56c並びに温度センサ56e及び温度ヒューズ56dは、患者インターフェイス5の入口5a、及び患者導管4を通る空気経路にできるだけ近く、コネクタブロック56a上に設けるべきである。マスクコネクタ即ちカフ56は、更に、既存の呼吸装置に用い得るように、できる限り小さく形成すべきである。更に、オーバーモールド成形グリップ即ちカフ56bを用いると、患者導管4をコネクタブロック56aに固定するのに役立ち、また、温度センサ56e及び温度ヒューズ56dを含み、可撓性PCB56cを所定の位置に固定するのに有用である。また、オーバーモールド成形材を用いると、バクテリアが成長する可能性があるあらゆる場所を減らす又は除去するのに役立つ。
【0137】
本明細書に述べたマスクコネクタ即ちカフ56は、生体適合材で形成される。コネクタブロック56aには、また、端56r(図32)が含まれ、これは、既存の患者インターフェイスに用いるための標準の22mm雌型ISOテーパを含む。更に、オーバーモールド成形材を用いると、マスクコネクタ即ちカフの製造が容易になり、また、信頼性が改善される。
【0138】
電源/制御器
【0139】
図35において、電源/制御器21には、スイッチモード電源21aと、スイッチ21bと、制御ユニット21cと、複数のLED21dと、が含まれる。電源/制御器21は、AC電源入力21eと、DC電源出力21fと、流量発生器20へのバイパスAC電源リード21gと、を有する。AC電源入力21eは、例えば、AC110乃至240V共通入力であってよい。スイッチ21bは、制御ユニット21cによって制御される加熱素子と直列のMOSFETスイッチであってよい。DC電源出力21fは、例えば、500mA制御のDC5V、又は1.3AのDC24V出力であってよい。24Vでは、電力出力は、30Wである。
【0140】
電源入力21eは、スイッチモード電源21aに接続され、また、バイパス21gは、流量発生器20のAC電源ソケットに接続される。電源/制御器21は、給気導管10に電力を供給し、患者インターフェイス5において所定の温度レベルを調節し、また、オン/オフ制御器としての役割を果たすように構成されている。
【0141】
制御ユニット21cは、閉ループ温度制御システムである。マスクカフ56に配置された温度センサ56eは、患者導管4の配線4cを介して、フィードバック信号を制御ユニット21cに供給する。しかしながら、本制御は、温度信号のフィードバックに依拠し得ないことを認識されたい。その代わり、制御ユニット21cは、温度センサ信号に依拠又は依存することなく、所定量の電力を出力21fに供給するように構成し得る。
【0142】
DC電源出力21fは、給気導管10に電力を供給し、また、スイッチ21bは、電源出力21fと直列に設けられ、制御ユニット21cによって制御される。電力調節は、オンオフ制御手法に基づく。電力調節は、約95乃至99%の割合で固定されたデューティーサイクルを有する。例えば、約1乃至5%の割合のオフサイクルは、温度検知のために用いる。
【0143】
LED21dには、電源がオンであって給気導管10に供給されていることを示す緑色LEDを含み得る。黄色LEDは、電源出力21fはオンであるが給気導管10に供給されないことを示すために設け得る。赤色LEDは、故障を示すために設け得る。また、更なるLEDを設けて、温度を示したり及び/又は制御したりしてよい。手動操作可能ボタン(図示せず)は、電源/制御器に設けて、これにより、患者又は臨床医が、LEDの温度表示に応じて温度の制御を行い得る。
【0144】
制御ユニット21cは、固定電源切り替え周波数及びデューティーサイクルを生成して、電源出力21fが給気導管10を加熱するように構成される。更に、制御ユニット21cは、配線4cを通って温度センサ56eによって送られる信号を介して、温度を検知するように構成される。検知された温度に基づき、制御ユニット21cは、周囲温度が変わった場合、温度を所定の温度に調整するように構成される。制御ユニット21cは、更に、電源制御器/供給器21がオフになった場合、所定の温度を記録するように構成されている。
【0145】
更に、制御ユニット21cは、故障が検出された場合、故障状態をラッチし、電力を動作初期状態に戻すことによって、故障をクリアし得る。故障が起こった場合、故障検出回路は、故障状態に固定され、ドライバブロック(図37a)に故障信号を送る。故障は、電源がオフになり、そして、再度オンになるまで続く。制御ユニット21cは、故障を検出するように構成してよく、これらの故障には、配線4c乃至4e及び10c乃至1Oeの断線、アーキング、及び/又は流量発生器カフ54及び/又はマスクカフ56の接続不良を含む。制御ユニット21cは、更に、低電圧を検出し得る。
【0146】
電源出力21fは、故障が検出されると、制御ユニット21cによって、オフ状態に維持され、そして電源が再循環され故障状態がクリアされるまで、オフ状態に維持される。
【0147】
電源/制御器21の状態は、LED21dを通して表示し得る。
【0148】
例えば、図5及び8に示すように、電源/制御器21は、流量発生器20及び加湿器と分離してよい。流量発生器20と加湿器との間に情報交換は無く、また、閉ループ制御には、例えば、空気流量、湿度レベル、及び加湿器出口温度に基づく制御は含まない。しかしながら、例えば、検知用配線4cを通して、情報は交換し得ることを認識されたい。上述の制御は、患者導管4の“雨滴降下”を防止し、また、加湿空気を患者インターフェイス5に送出する。
【0149】
電源/制御器21は、流量発生器20又は加湿制御システムと一体化し得ることを認識されたい。情報は、流量発生器、加湿器、及び周囲の空気の動作に関して、一体化された電源/制御器に提供し得る。電源/制御器を流量発生器20又は加湿器と一体化することによって、システムは、患者インターフェイス5の温度、湿度レベル、及びより広い範囲の周囲温度及び湿度における“雨滴降下”を更に制御できるようになる。
【0150】
図36には、本発明の実施形態例に基づく、三線加熱式チューブ即ち導管を示す。配線4d、4eは、例えば、長さ25メートル、直径0.23ミリメートルの配線から形成してもよく、また、例えば、銅で形成してもよい。配線4d、4eを形成する配線のほぼ中央にあり、配線を2つの抵抗Ra、Rbに分割する接続点4fにおいて、検知用配線4cは、加熱配線4d、4eに接続してよい。全抵抗値Ra+Rbは、一例として、20乃至26℃において、例えば、約23℃において、約15乃至21Ω、例えば、約18Ωであってよい。全抵抗値Ra+Rbは、配線抵抗器が、約30Wの電力でDC24V電源を用いて、約33℃まで加熱される場合、約18Ω及び約21Ωである。上述したように、DC電圧V+は、例えば、約95乃至99%のデューティーサイクルでJ1、J3間に供給される。抵抗Ra、Rbは、配線4d、4eに電流が流れる間、熱を生成し、導管4を加熱する。検知用電圧Vsenは、1乃至5%のオフサイクル中に決定し得る。オフサイクル中、スイッチ21bは、制御ユニット21cによって作動され、システムを検知状態に切換え、そして、J1からの検知電流は、温度センサの抵抗Ra及び抵抗RT1を通って、J2に戻る。温度センサ56eの抵抗RT1は、約1乃至50kΩ、また、抵抗Rbは、Ra+Rbの約半分であるか、又は約5乃至15Ω、例えば、約10Ωであり、そのためRbは省略される。
【0151】
検知用配線4cは、温度センサ56eに接続されているものとして開示しているが、例えば、制御が、検出温度に基づくフィードバック制御ではない場合、検知用配線は、圧力センサ等の異なるセンサに接続し得ることを認識されたい。
【0152】
熱回路56dのヒューズF2は、PCB56cの加熱器軌道に熱的に結合される。PCB56cは、厚さが、例えば、約0.05乃至.15ミリメートル、例えば、約0.1ミリメートルであり、抵抗が、約0.05乃至.15Ω、例えば、約0.1Ωであり、また、出力電力が、約0.12乃至0.24W、例えば、0.18Wである。上述したように、PCB56cの片面は、開いた窓56jに面しており、そのためPCB56cは、患者導管4の空気に接触する。従って、導管の空気流は、導管内の空気のちょうど上の温度にPCB56cを冷却する。流量発生器が停止した場合、又は導管内の空気流が遮られた場合、PCB56cの温度が、上昇し、ヒューズF2を遮断して、患者導管4を損傷から保護する。温度センサ56e及び熱回路56dのヒューズF2は、このように、空気過熱防止、チューブ過熱防止、及び低気流防止を行う。熱回路56dには、サーモスタット、例えば、バイメタル板をヒューズの代わりに含んでよく、サーモスタットのインピーダンスが増加すると、電流の増加を抑制又は停止するように作用する。
【0153】
患者導管4が、患者インターフェイス5に加湿空気を送出する際、電源/制御器21、マスクカフ56及びその構成要素、並びに患者導管4は、温度調整の安全基準、例えば、ISO8185に準拠すべきである。通常の動作条件下では、患者又は臨床医は、患者インターフェイス5に送出される空気の温度を、周囲温度から約30℃まで設定できるべきである。警報システム又は表示器が、システムに設けられていない場合、ISO8185、セクション51.61乃至51.8に基づき、通常状態及び一つの故障が発生している状態では、患者インターフェイス5に送出される空気の温度は、約40°乃至42°C、例えば、約41℃を超過すべきでない。この最大温度(例えば、41°C)は、相対湿度100%において、43℃の最大エネルギレベル未満である。熱回路56dのヒューズF2は、最大温度で遮断するように選択し得る。
【0154】
図36に戻ると、患者導管4の3線(4c−4e)電気回路には、PCB56cの加熱器軌道及びヒューズF2に直列な加熱素子Ra、Rbと、検知用電圧Vsenを供給するための配線4cと、加熱配線4d、4eの中央に取り付けられた熱抵抗器TR1を含む熱センサ56eと、が含まれる。電気回路には、2つの状態、即ち、オンとオフがある。加熱状態とも称するオン状態では、配線4dは、J1において電圧V+、例えば、電源出力21fからのDC24Vに接続される。加熱電流は、J3、配線4d、4e、J4、及びスイッチ21bを流れ、接地GNDに達する。オン状態では、J2における検知用電圧Vsenは、空気温度を検知しないが、電圧V+の約半分、例えば、約12Vを検知する。
【0155】
オフ状態において、スイッチ21bは、オフに切り替えられ、そして、加熱配線4d、4eは、V+、例えば、約24Vだけ引き上げられ、検知用電流は、J1、Ra、RT1を通過し、J2に戻る。
【0156】
電源/制御器21には、数多くの機能を実施するための回路を含み得る。これらの回路には、1)電源切り替え制御回路、2)チューブインターフェイス及びゲートドライブ回路(ドライバブロック)、3)故障検出及びラッチ回路(故障検出ラッチ)、4)温度事前設定/制御回路、5)起動及び表示回路を含み得る。
【0157】
電源/制御器回路
【0158】
電源/制御器21の回路の実施形態例を、図37aに示す。この回路には、加熱式導管(1つ又は複数)の温度を制御するように構成された温度制御回路と、故障検出ラッチと、検知用回路と、ドライバブロックと、が含まれる。ドライバブロックは、スイッチ21bに接続されるが、スイッチ21bは、MOSFETであってよい。
【0159】
図37b−1乃至37b−4において、図37aの回路の実施形態例は、例えば、テキサスインスツルメンツより入手可能なUC2843制御ICに基づき得る。他の制御回路も用い得ることを認識されたい。電源切り替え制御回路は、エラー処理のために用い得るチップ過電流及び過電圧保護を有する。電源切り替え制御回路は、更に、RCクロック及び不足電圧保持器、並びにプッシュプル出力ドライバを有し得る。R12=22,000Ω及びC5=330nFとなるように、発振RCクロックを設定することによって、切り替え周波数を138Hzに設定し得る。そのような周波数の時間期間は、T=R12xC15(22,000x.00000033)=7.26mSによって求められる。R12とC5の比によって、電源切り替え制御回路は、100μSのオフ期間を提供し、従って、デューティーサイクルは、100μS/7.26mS=1.38%である。
【0160】
通常の加熱条件において、図37b−1乃至37b−4の電源切り替え制御回路は、約98.62%のデューティーサイクルで、スイッチ21bのトランジスタゲートを駆動する。回路のオン状態は、Vfb信号によって割り込むことができない。Vfbの臨界点において、ゲート信号は、50%、69Hz出力として示し得る。
【0161】
電源切り替え制御回路は、Vfbピンを通るイネーブル入力を有する。D3及びD4を通る任意の信号がローになった場合、スイッチ21cの出力は、ディスエーブル状態になる。検知用電流Isenは、R10及びR20が検知用電圧Vsenを1V以下に設定するため、この用途には用いられない。
【0162】
図37a及び37b−1及び37b−4に戻ると、検知用電圧Vsenは、2つの機能を有する。即ち、1)加熱器電源がオンである場合、検知用電圧Vsenは、中央の電圧V+を検知することによって、加熱配線の連続性もしくは何らかのアーキング又は接続不良を検出する。また、2)加熱器電源がオフである場合、検知用電圧Vsenは、RT1及びR13の分圧電圧を介して空気温度を検知する。Q2、Q3ネットワークは、検知動作のための正しい論理を提供し、また、MOSFETのQ3は、温度検知のための低インピーダンス(Rdson)を提供する。Q4のMOSFETゲートは、ネットワークR23、R25を駆動し、最大ゲート電圧を制限し、R24及びD5は、R23と共に、Q4オフ切り替え速度を制御する。
【0163】
故障検出回路は、加熱器電源がオンの場合に動作する。Vsen信号は、窓比較器、例えば、ナショナル・セミコンダクタから入手可能なLP339AM等のウルトラパワーカッド比較器に供給される。U6B、U6D、並びにR31、R36及びR43分周器は、12ボルトで+/−2Vの窓電圧を供給し、窓比較器信号の出力は、比較器U6Cの第2段に供給される。
【0164】
比較器の第2段は、Q4ゲート信号を基準としてサンプリングし、また、窓比較器出力からエラー信号を検出する。システムに故障が検出されない場合、窓比較器が高インピーダンスとして出力し、R34及びR40分周器がより高い電圧を出力し、そして、比較器入力R33及びR42分周器回路網を反転し、U6Cが、ハイを出力する。
【0165】
システムに故障が検出された場合、窓比較器が、ローを出力し、R34及びR40//R35分周器が、より低い電圧を有し、そして、比較器入力R33及びR42分周器回路網を反転し、U6Cが、U2AラッチCLRピンにローを出力する。
【0166】
ラッチCLRピン1が、ロー信号を受け取ると、Qピン5は、ラッチされた故障信号を出力し、U3出力切り替え信号を無効にする。ラッチは、例えば、フェアチャイルド・セミコンダクタ社の74HCT74DU2Aであってよい。
【0167】
温度検知動作は、電源オフ期間中だけ実行される。空気温度センサRT1及び分周器ベース抵抗器R13は、温度情報Vsenを提供するが、それは比較器U6A反転入力に直接供給され、分圧計及びその回路網は、温度事前設定機能を実施する。この比較器の出力は、D4を駆動し、また、U3切り替え出力を制御する。
【0168】
起動回路は、システムの起動時、140mSの遅延を行い、また、ラッチをリセットする。リセット後、システムは、オン状態になる。起動回路は、例えば、テレコム(TelCom)セミコンダクタ社から入手可能なICU4TCM809であってよい。
【0169】
温度測定の精度は、2つの部分に基づく。即ち、1)検知精度、2)基準精度。検知精度は、NTCサーミスタRT1及び直列の抵抗器R13に依存する。例えば、良いNTCセンサRT1は、1乃至5%までの精度許容誤差、例えば、約3%の精度許容誤差を有し得る。直列抵抗器R13は、0.5乃至1.5%までの許容誤差、例えば、約1%の許容誤差を有し得る。温度事前設定回路の精度は、ポートが最高設定値(30℃)である時、求められる。ポート抵抗器は、0Ωであり、また精度は、1%の抵抗器回路網に依存する。しかしながら、ポートが最低設定値に設定される場合、20%のポート抵抗器許容誤差が、付け加えられる。
【0170】
導管4及び10は、チューブに気体流がない場合、過熱する。熱は、チューブに蓄積する可能性があり、例えば、チューブがキルトで覆われた場合、加熱素子の温度は、120乃至150℃まで上昇し得る。熱は、熱スイッチが冷たい空気にさらされているが、チューブの一部が、例えば、キルトで覆われた場合、生じることがある。この理由により、流量発生器からの無流量又は低流量信号は、加熱式チューブの電源を遮断できるべきである。
【0171】
3方向コネクタは、サーミスタセンサRT1と制御ユニット21cとの間に設ける。接点の如何なる接続不良も、検知用回路のインピーダンス増加の原因となる。NTCサーミスタRT1の場合、それは、温度表示値を低下させ、また、空気温度の上昇の原因となり、更に、チューブの熱スイッチ21bを遮断することがある。
【0172】
温度検知における故障状態を解決するには、2つの方法がある。第1の方法は、分圧器の論理回路を、接点抵抗が高いと空気温度が低くなるように、変更することである。検知用接点を保護する他の方法は、R6及びR31を8.2kΩに変更することによって、検知用配線をオフセットすることである。このオフセット基準電圧は、高インピーダンスコネクタを検出し得る。
【0173】
カフ構成
【0174】
図38乃至40に示すように、給気導管コネクタカフ及び/又は患者導管及びマスク・コネクタ・カフの構成は、様々な形態をとり得る。本明細書に図示及び記載した各マスクコネクタ又はカフ構成には、グリップ形状と、コネクタ又はカフの可撓性を改善するのに充分な歪解放の特徴と、を含み得る。
【0175】
チューブ構成
【0176】
図41において、給気導管10及び/又は患者導管4には、内側チューブ4a、10aと、螺旋状リブ4b、10bと、外側チューブ4f、10fと、を含み得る。外側チューブ4f、10fは、内側チューブ4a、10aと同じ材料で形成し得る。外側チューブ4f、10fには、更に、フリース又はフロック加工材を設けて、導管の感触及び/又は握り心地を改善し、及び/又はチューブの断熱特性及び/又は見栄えを改善し得る。外側チューブ4f、10fが設けられない場合、内側チューブ4a、10の外面及び螺旋状リブ4b、10bに、同様の理由で、フリース又はフロック加工材を設け得る。
【0177】
図42において、給気導管10及び/又は患者導管4には、波形4g、10gによって離間された内側チューブ4a、10a、及び外側チューブ4f、10fを含んでよい。波形4g、10gは、導管4、10の軸方向に延在してよく、又は、導管4、10に沿って螺旋状に延在してよい。配線は、内側チューブ4a、10aと外側チューブ4f、10fとの間の波形4g、10g内に設けてよい。波形を用いて、導管4、10に沿って予備の気体流を提供するか、又は液体の流れ、例えば水を供給して、導管4、10内の気体流の温度を調整してよい。また、波形は、患者インターフェイスから、例えば、患者の呼気からの気体を排気するためにも用い得る。外側チューブ4f、10fは、フリース又はフロック加工材で覆ってよい。
【0178】
患者導管、マスク・コネクタ・カフ、及び可撓性回路
【0179】
図43において、他の実施形態例による患者導管400、マスク・コネクタ・カフ560、及び可撓性回路570を示す。患者導管400は、可撓性回路570を包含するオーバーモールド材580によって、マスクカフ560に接続される。オーバーモールド材580は、患者導管400及びマスクカフ560上にオーバーモールド成形される。可撓性回路570には、チューブ配線、センサ、ヒューズ及び他の実施形態例に関連して上述した他の構成要素を含み得る。
【0180】
マスクカフ560は、オーバーモールド材580を通して患者導管400に接続される別個の部位として形成し得る。他の選択肢として、マスクカフ560は、オーバーモールド材580との単一部品として形成し得る。
【0181】
本発明は、最も実用的且つ好適な実施形態であると考えられる形で、本明細書に示し説明したが、認識されたいことは、本明細書に述べた細部に限定されず、あらゆる等価な組立体、機器、及び装置を包含する本発明の範囲内において逸脱してもよいことである。例えば、加熱配線は、導管(1つ又は複数)内の配線及び/又は空気の温度を制限するための電圧調節機能を有するPTC素子であってよい。他の例として、1つ又は複数のPTC又はNTC配線を抵抗器と共に用いて、配線及び空気の温度を制限してもよい。更なる例として、NTC配線を電流レギュレータ又は測温抵抗体に用いて、加熱配線の温度を制限してもよい。温度検知及び加熱は、2本の配線だけを用いて行ってもよい。
【0182】
本明細書では、語「“comprising”(含まれている)」は、“オープン”な意味、即ち、「“including”(含んでいる)」の意味で解釈するものとし、従って、“クローズド”な意味、即ち、「“consisting_only_of”(だけで構成されている)」の意味に限定しない。類似の意味は、類似の語「“comprise”(を含む)」、「“comprised”(を含んだ)」、及び「“comprises”(を含む)」が出現した場合、それらに属する。
【0183】
更に、本明細書における公知の従来技術への如何なる参照も、それに反する指摘が明示されていない限り、本発明が関連する当業者によって、該従来技術が共通に知られていることを容認するものではない。
【符号の説明】
【0184】
56a コネクタブロック
56c プリント回路基板
56d 温度ヒューズ
56e 温度センサ
56f 螺旋状リブ
4 患者導管
4a チューブ
4b 螺旋状リブ
4c、4d、4e 配線
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年8月10日に出願された米国出願第60/955,222号、及び2006年11月8日に出願された豪州仮出願第2006906224号に対する優先権を主張し、双方の全内容を本明細書に引用・参照する。
【0002】
発明の分野
本発明は、あらゆる形態の呼吸装置換気システムに用いる呼吸可能な気体の湿度制御に使用される加湿及び加熱器構成に関するが、これらのシステムには、侵襲性及び非侵襲性の換気、持続的気道内陽圧(CPAP)、二相性療法、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)等の睡眠呼吸障害(SDB)状態に対する治療、並びに他の様々な呼吸障害及び疾患に対する治療が含まれる。
【背景技術】
【0003】
呼吸装置は、患者の気道の乾燥並びにそれに伴う患者の不快感及び合併症を低減するために、通常、呼吸可能な気体の湿度を変更する能力を有する。流量発生器と患者マスクとの間に置かれた加湿器を用いると、鼻粘膜の乾燥を最小限に抑え、また、患者の気道の快適さを増す加湿気体が生成される。更に、寒い気候では、漏れて意図せずして発生し得る一般的にマスク内及びマスク周辺の顔領域にかかる暖かい空気は、冷たい空気より快適である。
【0004】
多くの種類の加湿器が、入手可能である。しかしながら、最も便利な形態は、適切な呼吸装置と一体化しているか又は結合するよう構成されているかの何れかである。パッシブ加湿器は何らかの苦痛の緩和を提供し得るが、一般的に、加熱式加湿器は、患者が快適になるように、充分な湿度及び温度を空気に提供することが要求される。通常、加湿器には、数百ミリリットルの容量を有する水槽と、水槽内の水を加熱するための加熱素子と、加湿レベルを変更可能にする制御手段と、流量発生器から気体を受け取るための気体入口と、加湿・加圧気体を患者のマスクに送出する患者導管に接続された気体出口と、が含まれる。
【0005】
通常、加熱素子は、加熱板に内蔵され、この加熱板は、水槽の下に位置し、また、水槽に熱接触する。
【0006】
加湿した空気は、加湿器から患者までの導管に沿った経路上で冷え、“雨滴降下”現象、即ち、導管の内側に形成される結露を発生させる。これを阻止するために、加湿気体を加湿器から患者のマスクに供給する患者導管に加熱式配線回路を挿入することによって、患者に供給される気体を再加熱することが知られている。そのようなシステムが、「モスビー(Mosby)の呼吸管理装置」(第7版)、97ページに示されている。
【0007】
そのような患者導管用の加熱方法では、配線が主気体流中よりもむしろ導管壁に沿って配置されるため、伝熱が不十分になることがある。更に、配線は、その高さが低いため、乱流混合も不十分になる。その結果、伝熱が不十分になり、水蒸気と気体の混合もまた不十分になることがある。
【0008】
他の選択肢として、電熱線回路は、患者導管壁内に配置し得る。そのようなシステムが、特許文献1に記載されている。
【0009】
特許文献1には、低相対湿度の高温加湿気体を患者に供給するための多数の加湿器構成が述べられている。これらの構成には、気体の事前又は事後加熱を行って、相対湿度を低減するものも含まれる。
【0010】
これら従来技術の装置はいずれも、患者への快適で呼吸可能な加湿気体の供給に対しても、また、組立ての容易さ及び衛生上の要件並びに起動時のエネルギ及び患者の快適さに関する要件に対しても充分満足な解決策を提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,918,389号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の例は、従来技術の不利な点を克服・改良するか、又は少なくとも有用な選択肢を提供する代替えの加湿器構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態例において、呼吸装置用の、加湿器及び/又は温度等検出装置又は制御装置には、気体及び/又は水と熱接触した加熱用フィラメントが含まれるが、ここで、フィラメントは、細長いテープの形態である。このテープは、可撓性であってよく、また一実施形態例では、患者の流体導管の穴に沿って通過させるか又は導管壁に内蔵し得る。
【0014】
他の実施形態例において、呼吸装置に用いるための加湿器には、加湿器の水槽内の水に接する加熱器が含まれ、これは、加湿器槽内において、浮くか、もしくは水位の変化と共に上下に動く。
【0015】
更なる形態において、本発明は、呼吸装置用の加湿器構成を提供するが、これには、加湿室前後の領域内の空気経路に接触する細長いフィラメント加熱器が含まれる。このフィラメント加熱器は、更に加湿室内の水体にも接触し得る。
【0016】
フィラメントの加熱は、2つ以上の別々に制御可能な領域に分割し得る。
【0017】
更に本発明の実施形態例は、加湿開始時、患者の快適さを向上させる方法を提供する。本方法には、気体流路に沿って患者に提供されている呼吸可能な気体に熱接触するための又加湿装置内の水に熱接触するための加熱素子を提供する段階が含まれる。また、気体流路内の気体を加熱し、また加湿装置内の水を加熱するように加熱素子を構成する段階が含まれる。こうして、患者には、加湿装置内の水温が動作温度まで上昇する間、加熱された気体が最初に提供される。
【0018】
気体流路内の気体の加熱には、加熱気体が加湿装置を通過して初期段階の加湿を行うように、加湿室の上流にある気体流路の一部を加熱する段階を含み得る。
【0019】
本発明の実施形態例によると、呼吸可能な気体を患者に送出するための呼吸装置に用いる導管には、チューブと、チューブ外面上にある螺旋状のリブと、チューブ外面に接触する螺旋状リブによって支持された複数の配線と、が含まれる。
【0020】
本発明の他の実施形態例によれば、導管には、更に、導管の端に接続されたコネクタブロックを含み得るが、この場合、コネクタブロックは、流量発生器又は呼吸装置の患者インターフェイスに接続するように構成される。
【0021】
本発明の更なる実施形態例によれば、患者に呼吸可能な気体を送出するための呼吸装置には、患者に送出される或る供給量の加圧気体を生成するための流量発生器と、水を蒸発させて、水蒸気を送出し、気体を加湿するための加湿器と、流量発生器から加湿器に至る第1気体流路と、加湿器から患者インターフェイスに至る第2気体流路と、が含まれる。ここで、第1気体流路には、流量発生器に接続するよう構成された第1コネクタブロックを有する第1導管が含まれ、第2気体流路には、患者インターフェイスに接続するよう構成された第2コネクタブロックを有する第2導管が含まれる。
【0022】
更に他の本発明の実施形態例によれば、呼吸可能な気体を患者に送出する方法には、加湿された呼吸可能な気体流を導管経由で患者インターフェイスへ送出する段階と、所定のデューティーサイクルで、導管によって支持された複数の配線にDC電流を供給することによって導管を加熱する段階と、所定のデューティーサイクルのオフサイクル中における導管内の温度を検知する段階と、DC電流を制御して、選択した温度に導管内温度を維持する段階と、が含まれる。
【0023】
次に、本発明の実施形態について、以下の添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1−A】本発明の一実施形態における可撓性テープ型加熱器を有する患者導管の概略側断面図である。
【図1−B】可撓性テープ型加熱器が螺旋状に構成されている図1−Aの代替実施形態を示す図である。
【図1−C】可撓性テープ型加熱器が、その長手方向の軸を中心にして撚り合わせられた図1−Aの代替実施形態を示す図である。
【図2】可撓性テープ型加熱器の他の実施形態の概略斜視図である。
【図3】一実施形態の浮遊式加熱器を有する加湿室の概略側断面図である。
【図4−A】浮遊式加熱器が加湿室内に有し得る多数の実施形態の1つを概略的に示す図であり、浮遊式加熱器の一実施形態、即ち、浮遊式プラスチック支持格子の下に固定されている円形浮遊式加熱板の側面斜視図である。
【図4−B】浮遊式加熱器が加湿室内に有し得る多数の実施形態の1つを概略的に示す図であり、浮遊式加熱器の他の実施形態の側面斜視図である。
【図4−C】浮遊式加熱器が加湿室内に有し得る多数の実施形態の1つを概略的に示す図であり、浮遊式螺旋状可撓性テープ型加熱器の他の実施形態の透視側面図である。
【図4−D】浮遊式加熱器が加湿室内に有し得る多数の実施形態の1つを概略的に示す図であり、水平の螺旋形に巻かれた可撓性テープ型加熱器の他の実施形態の平面図である。
【図5】多数の領域が含まれる加湿加熱器構成を示す概略図である。
【図6−A】導管壁に接続された可撓性テープ型加熱器を示す患者導管の横断面図である。
【図6−B】コネクタが外れた図6−Aのコネクタの実施形態の他の図である。
【図7】浅い槽に配置された浮遊式加熱板であって、この槽自体も水体の水面に浮く浮遊式加熱板を示す図である。
【図8】本発明の実施形態例に基づく、コネクタによって吸気導管に接続された電源/制御器を示す図である。
【図9】流量発生器に接続された図8の吸気導管を示す図である。
【図10】患者インターフェイスに接続された本発明の実施形態例による患者導管即ちホースを示す図である。
【図11】本発明の実施形態例によるコネクタに接続された、流量発生器コネクタ接続部を含む、吸気導管を示す図である。
【図12】コネクタから切り離された図11の吸気導管を示す図である。
【図13】図11の吸気導管及びコネクタの断面図である。
【図14】吸気導管と、端子留め具が接続された流量発生器コネクタ接続部の一部の背面斜視図である。
【図15】図14の吸気導管、流量発生器コネクタ接続部、及び端子留め具の前面斜視図である。
【図16】端子留め具が無い状態の吸気導管及び流量発生器コネクタ接続部の上面斜視図である。
【図17】本発明の実施形態例による端子留め具の斜視図である。
【図18】本発明の実施形態例による流量発生器コネクタ接続部のコネクタブロックの斜視図である。
【図19】本発明の例によるコネクタの斜視図である。
【図20】図19のコネクタの接点の斜視図である。
【図21】図20の接点及びコネクタの断面図である。
【図22】本発明の実施形態例による患者導管即ちホースと、マスクカフ即ちコネクタの一部とを示す斜視図である。
【図23】図22の患者導管と、接続部の一部が除去されたマスクカフとを示す断面図である。
【図24】図10の患者導管及びマスクカフの断面図である。
【図25】本発明の実施形態例によるマスクカフのコネクタブロックの上面斜視図である。
【図26】図25のコネクタブロックの底面斜視図である。
【図27】患者導管に接続され、本発明の実施形態例によるマスクカフのプリント回路基板を含むマスクカフのコネクタブロックの上面斜視図である。
【図28】患者導管から切り離されている図27のコネクタブロックの側面斜視図である。
【図29】図27の患者導管及びコネクタブロックの断面図である。
【図30】本発明の実施形態例による患者導管と、マスクカフのコネクタブロックとを示す斜視図である。
【図31】本発明の実施形態例による患者導管及びマスクカフの斜視図である。
【図32】図31の患者導管及びマスクカフの断面図である。
【図33】本発明の実施形態例によるマスクカフの回路の温度センサ及び温度ヒューズの概略説明図である。
【図34】マスクカフのコネクタブロック上に設けられたマスクカフの回路を概略的に示す図である。
【図35】本発明の実施形態例による電源/制御器を概略的に示す図である。
【図36】本発明の実施形態例による三線加熱式チューブを概略的に示す図である。
【図37a】電源/制御器回路の実施形態例を概略的に示す図である。
【図37b−1】図37aの回路の実施形態例を概略的に示す図である。
【図37b−2】図37aの回路の実施形態例を概略的に示す図である。
【図37b−3】図37aの回路の実施形態例を概略的に示す図である。
【図37b−4】図37aの回路の実施形態例を概略的に示す図である。
【図38】流量発生器カフ及び/又はマスクカフ用のオーバーモールド成形されたグリップ部の斜視図である。
【図39】流量発生器カフ及び/又はマスクカフ用のオーバーモールド成形されたグリップ部の斜視図である。
【図40】流量発生器カフ及び/又はマスクカフ用のオーバーモールド成形されたグリップ部の斜視図である。
【図41】本発明の実施形態例による導管を示す図である。
【図42】本発明の実施形態例による導管を示す図である。
【図43】本発明の実施形態例による患者導管及びマスクカフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
可撓性テープ型加熱器
【0026】
図1−A乃至1−Cは、呼吸装置の患者導管4内における可撓性テープ型加熱器3の使用方法を示す。患者導管4は、加湿室1と患者インターフェイス、例えば、マスク5との間に配置される。患者導管4は、呼吸装置において、加湿室1から患者マスク5まで気体の流れを伝達する。次に、加湿室1は、流量発生器20(図5)、即ち、送風機から加圧気体を受け取る。
【0027】
患者導管4内の可撓性テープ型加熱器3は、患者導管4内の気体流を加熱するために用いられる。気体の加熱により、呼吸装置によって送出される気体に対して、温度及び湿度という気体快適性を得て維持できる。
【0028】
可撓性テープ型加熱器3は、患者導管コネクタ端2によって、加熱器制御器21(図5)に電気的に結合される。加熱器制御器21は、加湿器や流量発生器20や基底ユニット22に内蔵するか、又は例えば、0.1乃至24VのDC電圧を供給する別のユニット21でよい。
【0029】
患者導管コネクタ端2は、他の可撓性テープ型加熱器(図1の左側に部分的に示す)を介して加熱器制御器21に接続するか、又は図6−A及び6−Bに示したコネクタ23、24を介して患者導管4の導管壁25に接続し得る。コネクタには、雄型コネクタ要素23及び雌型コネクタ要素24を含み得るが、これらは、可撓性テープ型加熱器3と導管壁25との間の電気的通信及び/又は機械的接続を行い得る。雄型コネクタ要素23及び雌型コネクタ要素24は、位置互換可能である。コネクタ23、24は、可撓性テープ型加熱器3を導管壁25上の所定の位置に固定するが、分離もまた可能である。コネクタ23、24は、導管壁25に沿う又はその周辺の任意の位置で用い得る。
【0030】
患者導管4は、患者導管4内において、熱損失を低減し、また、それに伴う水の結露即ち“雨滴降下”を最小にするために、断熱するか又は従来技術のような加熱式導管であってよい。断熱部は、患者導管4周りの外部袖即ちラッピング材であってよい。外部袖即ちラッピング材は、発泡樹脂、織物、又は二重壁導管の場合、空隙であってよい。
【0031】
他の実施形態において、可撓性テープ型加熱器3は、壁に熱を加えて結露を防止するために、患者導管4の壁と合体してよいが、この間、オプションとして、患者導管4内の追加の可撓性テープ型加熱器3が、気体流を加熱する。
【0032】
更なる実施形態では、患者導管4の形成は、可撓性テープ型加熱器3を螺旋状にし、可撓性テープ型加熱器3の端を結合して、患者導管4を形成することによって行う。
【0033】
可撓性テープ型加熱器3は、使用時、患者導管4の可撓性が制限されないように、充分な可撓性を有すべきである。また、可撓性テープ型加熱器3の可撓性は、患者導管4内で可撓性テープ型加熱器3の挿入や取り外しが可能な程に充分であるべきであり、また、可撓性テープ型加熱器3は、患者導管4に挿入できるように、また、望ましい位置にそれ自体を支持し、患者導管4の壁や端に対してくずれないように、充分な剛性を有すべきである。更に、その剛性は、可撓性テープ型加熱器3が気体流中でばたついて望ましくない可聴雑音を生成しないように、充分であるべきである。
【0034】
可撓性テープ型加熱器3の薄く平らに伸展される性質は、気体流による伝熱を強化し、一方では、気体流に低インピーダンスを与える。可撓性テープ型加熱器3は、螺旋状の構成(図1−B)を有するように患者導管4内に配置することが可能であり、及び/又は可撓性テープ型加熱器3は、1つ又は複数の可撓性テープ型加熱器3の軸を中心にして捻ったり曲げたりできる。長手方向軸捻り構成は、図1−Cに示す。
【0035】
可撓性加熱テープに対する代替のプロファイル即ち幾何学的構造には、以下のものを含み得る。
【0036】
可撓性テープ型加熱器の横断面は、矩形、楕円又は任意の形であってよい。
【0037】
可撓性テープ型加熱器3の表面は、粗い、又は円滑、又はくぼみがあってよい。及び/又は、
【0038】
可撓性テープ型加熱器3の1つ又は複数の表面は、波形であってよい。
【0039】
厚さ及び幅の寸法は、可撓性テープ型加熱器の長さに沿って変わってよい。例えば、患者導管4内の可撓性テープ型加熱器3のより厚い部分は、気体の流量を増加させるベンチュリ効果を与えるために設けることができ、これにより、流量検出が、可撓性テープ型加熱器3の長さに沿う圧力センサによって可能になる。
【0040】
これら捻った螺旋状の又は他の上記構成を用いると、患者導管4内の可撓性テープ型加熱器3が長くなり、従って、気体流と可撓性テープ型加熱器3の表面との間の伝熱に利用可能な表面積が大きくなる。更に、これらの構成は、加湿室1で生成された水蒸気と気体流との乱流混合を強化するために用い得る。
【0041】
また、様々な構成を用いて、例えば、図5に示すように、患者導管4に沿って又は装置全体として、異なる流れ、音響、湿度又は温度特性の領域を設けてよい。
【0042】
可撓性テープ型加熱器3を用いて、患者導管4の音響インピーダンス特性を修正することは、望ましい。例えば、
【0043】
白色雑音(広範囲の周波数スペクトル雑音)の生成又は低減。
【0044】
特定の音響雑音周波数成分(1つ又は複数)を減衰又はフィルタ処理、例えば、固体伝搬又は空気伝搬流量発生器の音響雑音。及び/又は、
【0045】
監視及び診断のための、患者導管4を通り基底ユニット22(図5)に至る患者の呼吸に関する音響信号の伝搬の強化。
【0046】
可撓性テープ型加熱器3を用いた音響インピーダンス特性の変更は、可撓性テープ型加熱器3を構成する材料、並びに患者導管4内のテープ型加熱器3について上述した及び図1−A乃至1−Cに更に示す構成の選択によって、達成し得る。
【0047】
図2は、可撓性テープ型加熱器3の一実施形態を示し、この場合、加熱は、加熱素子6による。
【0048】
一実施形態において、加熱素子6は、KAPTON(R)、シリコーンゴム、全層ポリイミド、PTFE等の可撓性の基板の表面に適用されるプリント回路技法によって形成される。使用し得るプリント回路技法には、被エッチング箔、印刷、及び真空蒸着法が含まれる。
【0049】
そして、基板材料の他のシートが、底基板上に置かれ、この場合、加熱素子と2枚の基板材料とが互いに融着され、加熱素子が封止される。アメリカ合衆国ミネアポリスのMinco社製のこの種の可撓性加熱器のサーモフォイル(Thermofoil(TM))レンジは、www.minco.comに記載されているが、変更して本発明に用い得る市販の帯状加熱器の例である。
【0050】
可撓性テープ型加熱器3を生成するための代替の実施形態は、ツインシリコンローラ・ラミネータなどのラミネータを用いて、配線又はリボンの形状の加熱素子6を、2枚のテープ状ポリカーボネート膜内に封入することである。結果的に生じるテープは、例えば、1乃至10ミリの幅及び0.1乃至1ミリの厚さの範囲の寸法を有し得る。約0.2乃至0.5ミリの厚さ及び約5ミリの幅の寸法が、患者導管4には、使用可能である。
【0051】
加熱素子6の配線又はリボンは、任意の適切な横断面、例えば、円形、細長い又は矩形の横断面を有し得る。加熱素子6は、例えば、抵抗性の導線を含み得る。
【0052】
積層膜間の加熱素子6の構成は、整然とした又は無秩序な任意の構成であってよく、この構成は、気体であれ液体であれ、周辺の媒体への可撓性テープ型加熱器の伝熱を改善する。また、加熱素子6は、抵抗に対して正の熱係数(PTC)を有し得るため、温度が所望の温度に向かって上昇するにつれて、加熱は低下する。
【0053】
他の選択肢として、加熱素子6は、加熱素子6又は周辺の媒体の温度を検知できる負の熱係数(NTC)を有し得る。
【0054】
他の実施形態では、可撓性テープ型加熱器3内には、多数の加熱素子回路があり得る。多数の加熱素子は、直列又は並列に接続し得る。可撓性テープ型加熱器3内のこれらの多数の加熱回路を用いると、呼吸装置の動作において、必要に応じて適用される追加の加熱が可能になる。
【0055】
他の実施形態では、積層膜は、ポリエステル、ポリプロピレン、又は呼吸医療用途用の任意の適切な承認済みの物質であってよい。他の選択肢として、多積層膜を用いると、呼吸医療用途用の外膜の所望の適合性を保持しつつ、所望の特性を有する複合帯を生成し得る。また、例えば、テープ型加熱器の長手方向に複数の加熱領域を許容するなど、多数の加熱回路を形成するように、他の導体が、これら複数の各層間に存在してよい。
【0056】
他の実施形態では、空気温度用のセンサ7、例えば、熱電対、白金抵抗温度計、又はその付帯信号線9を有するサーミスタ等は、2枚のポリカーボネート膜間に含み得る。センサ先端は、平らであってよく、厚さは約2ミリ未満であってよく、また、1ミリ未満であってもよい。表面実装回路構成要素等の他の回路構成要素は、検知及び/又は制御のために基板膜上に、従って、可撓性テープに実装し得る。また、加熱素子6及び他の回路構成要素は、上述したように、基板膜によって分離された多数の層に存在し得る。
【0057】
可撓性テープ型加熱器3の場合、他の回路構成要素は、充分に寸法が小さく、可撓性テープ型加熱器3の全体外形内に収容され、加熱素子6と一緒に配置できるという全て共通の物理的特徴を有する。
【0058】
代替の一実施形態では、可撓性テープは、加熱要素6を有さないこともあるが、その代わり、検知及び制御のための1つ又は複数の他の回路構成要素を内蔵し得る。従って、呼吸装置には、2つ以上の可撓性テープを含んでよく、1つ又は複数が、加熱機能を担当し、1つ又は複数が、検知及び/又は制御機能を担当し得る。
【0059】
使用し得る他の回路構成要素の範囲を、一例として以下に示す。
【0060】
相対及び絶対湿度センサ7a
【0061】
サーミスタの形態での正温度係数(PTC)又は負温度係数(NTC)を有する温度センサ7a、又は他の選択肢として、可撓性テープ型加熱器3が自動的に制限するように、PTC特性は、加熱素子6に固有のものであってよい。
【0062】
熱電対、白金抵抗温度計等は、制御及び監視のために、実温度値信号を生成するために用い得る。
【0063】
気体の指向性流れ検知は、可撓性テープ型加熱器に沿って離間配置され、各々温度センサ(例えば、サーミスタ)を含む少なくとも2つの独立制御される加熱部位を用いることによって実現し得る。これら2つ以上の加熱部位を制御し、また、温度を検知して、気体流の方向を検出する。
【0064】
気体流検知のための熱線測風7a
【0065】
周囲圧力検知7a、例えば、吸気対呼気圧力
【0066】
センサ7aからの温度等の出力を利用して、例えば、加熱要素(1つ又は複数)用の加熱素子6に印加される電流を調整するトランジスタを制御する制御器7b。
【0067】
呼吸装置内における基底ユニット22、他のヒータ、及び構成要素に対して、可撓性テープ型加熱器3の動作パラメータの識別及び通信を可能にする識別・通信・メモリチップ8。例えば、可撓性テープ型加熱器3は、それ自体に関する通信を行い、また、患者マスク5タイプ又は患者導管4タイプ等の呼吸装置や能動換気システムに取り付けられた他の構成要素の検出及びそれらに関する報告も行い得る。そして、このように可撓性テープ型加熱器3によって収集された情報は、基底ユニット22に送り得る。識別・通信・メモリシステムは、部分的に、無線周波数識別チップ(RFID)で構成して、加熱器6及びセンサ7aの識別及び動作パラメータを記憶し得る。基底ユニット22は、RFIDチップと通信を行い、それに応じてその動作を調整する能力を有し得る。そのようなシステムは、豪州特許出願第2005907200号、表題「マスク及び換気装置構成要素のための識別システム及び方法」に記載されており、その全内容を本明細書に引用・参照する。この通信は、能動換気システムを制御するためにも用い得る。
【0068】
小型のアンテナ及び受信機を介した電磁波通信プロトコル、例えば、「ブルートゥース」。情報を送受信するためのアンテナは、例えば、可撓性テープ型加熱器3内、患者導管4の壁内、もしくは能動換気システム内、又は図5に示す呼吸装置の他の構成要素内に配置し得る。他の実施形態において、アンテナは、可撓性テープ型加熱器3又は患者導管4によって認められる寸法であってよい。
【0069】
可撓性テープヒータへの電源は、上述の電磁波通信に対するものと同様であってよい。本実施形態では、アンテナ即ち誘導コイルは、送電用に構成し得る。
【0070】
これらの構成要素は、それらの機能に合わせて、適宜、可撓性テープ型加熱器3に沿う任意の箇所に配置し得る。例えば、熱電対は、可撓性テープ型加熱器3上で患者マスク5に隣接する端に配置して、患者マスク5に送出される気体の温度に基づく閉ループ温度制御を可能にし得る。
【0071】
代替の一実施形態において、温度センサは、患者マスク5の中又は付近に配置し得るが、可撓性テープ型加熱器3からは離間し得る。しかしながら、温度センサは、上述した方法の内の1つで可撓性テープ型加熱器3と通信を行い、患者に送出される気体の温度の閉ループ制御を可能にし得る。
【0072】
可撓性テープ型加熱器3には、更に、細管26(図2)を含み、これによって、流量発生器及び/又は加湿室1から離れた遠隔検知が可能になる。細管は、例えば、圧力、雑音/いびき、及び/又は心臓の信号検知を行う。例えば、細管は、上述した方法の内の1つで、可撓性テープ型加熱器3の側面に取り付けられ、再度、流量発生器20に接続し得る。細管26を用いると、患者導管4及び呼吸装置内の他の領域内において、流れ雑音を回避する恩典が提供される。
【0073】
上述した検知及び制御方法によって、閉ループ制御が可能になるが、この制御は、気体が所望の温度や湿度であるように、患者マスク5への気体送出を改善するために用いられる。他の選択肢として、単純な開ループシステムを用いてもよく、この場合、加熱素子用の電圧又は電流は、例えば、直流0.1から24V、又は交流の場合、例えば、0.1から50Wの等価電力であってよい。また、この検知及び制御は、能動換気システムからの意図的な気体漏れのレベルを供給圧力の量に応じて制御し得る。例えば、換気装置の圧が増加するにつれて、能動換気システムを制御して、その意図的な漏れのレベルを許容可能なレベルまで低減し得る。
【0074】
更に、センサ7aは、コンプライアンス又は統計データ収集のために用い得る。
【0075】
更に、本明細書に述べた加熱器及び/又は検知/制御システムの異なる構成要素は、加湿器を用いない呼吸装置では、単独の構成要素として用いてよく、また、そのような構成は、本発明の範囲内である。
【0076】
このように説明した可撓性テープ型加熱器3は、患者導管4から容易に取り外し可能であり、これによって、洗浄、保守、又は交換が可能になる。また、可撓性テープ型加熱器3は、効率的な加熱を提供するが、この場合、検知及び制御構成要素7は、可撓性テープ型加熱器3に容易に内蔵される。
【0077】
浮遊式加熱器
【0078】
図3において、浮遊式加熱器12を利用する加湿器構成を示す。浮遊式加熱器12は、加湿器室槽1内の水体13に浮かび、これにより、浮遊式加熱器12のかなりの部分が浸漬されるが、まだ水面14に隣接し、水面14付近のその水の部分を加熱する。
【0079】
浮遊式加熱器12には、図1−A乃至1−C及び2を参照して上述したものと同様な構造の1本の可撓性テープ型加熱器を含み得る。流量発生器20から延在する吸気導管10内に配置された加熱器の端には、コネクタ11を設け得るが、コネクタ11によって、浮遊式加熱器12に可撓性テープ型加熱器を接続することが可能になり、この場合、可撓性テープ型加熱器は、呼吸装置の基底ユニット22(図5)に接続される。浮遊式加熱器12は、上流端コネクタ11を介して、その電気供給を受ける。浮遊式加熱器12への又はそこからのあらゆる検知又は制御信号もまた上流端コネクタ11を介して受信される。
【0080】
浮遊式加熱器の下流端2は、患者インターフェイスに至る患者導管4内に配置されるが、更に、患者導管4に配置された可撓性テープ型加熱器の更なる部分との、電力供給用及び任意の通信用の更なるコネクタを有し得る(図1−A、1−B、1−C及び2参照)。
【0081】
加熱器12は、加熱器それ自体の自然浮力もしくは表面張力効果によって浮かぶように構成したり、又は水位の変化にかかわらず加熱器を水面付近に保持する方法によって支持したりしてよい。
【0082】
図4−A乃至Eは、浮遊式加熱器3、12、16、17が、加湿室1内において有し得る複数の実施形態を示す。各実施形態における浮遊式加熱器3、12、16、17は、上記種類の可撓性テープ型加熱器から、又は板形状の可撓性テープ型加熱器3つまり浮遊式加熱板16から形成される。
【0083】
浮遊式可撓性テープ型加熱器3及び浮遊式加熱板16の構造及び使用方法は、可撓性テープ型加熱器3について上述したものと同じであるが、例外は、それが、水に適用されることである。これには、両用途用の加熱器が、気体又は水の浸漬に対して堅牢であるという大きな利点がある。その理由は、浮遊式可撓性テープ型加熱器3又は浮遊式加熱板16は、呼吸装置の動作中、部分的に水中に浸漬可能であり、この場合、浸漬は、水体の体積が増加したり減少したりするにつれて、もしくは装置が傾くことによって、無作為に行われたり、又は加湿室1の気体内において水蒸気の温度を維持するように作為的に行われるためである。
【0084】
図4−Aは、円形の浮遊式加熱板16を示し、これは、例えば、浮力を示すプラスチック材料の浮遊式支持格子又は板15の下に固定される。支持格子15は、水に充分に接触して蒸発が起こるように、水面14の真下にある加熱素子と間隔をあけて配置される浮遊式加熱板16に浮遊式位置決め機構を提供する。図7に示す代替の一実施形態において、浮遊式加熱板は、浅い槽に配置され、この槽自体も水体13の水面14に浮いている。本実施形態において、浮遊式加熱板には、少なくとも1つの開口が含まれ、この開口により、水が槽を満たして加熱板16を覆うことができる。槽内の少量の水は、急速に加熱されて蒸気を生成する。
【0085】
図4−Bは、他の実施形態を示し、ここでは、板形状が、規則正しく又は不規則に波打っているか又はくぼんでいる。波形の形成及び/又はくぼみの形成により谷が設けられ、これらの谷によって、水のポケットが、浮遊式加熱板16の上面に蓄積し得る。本実施形態において、浮遊式加熱板16は、当然ながら、浮力があり、従って、支持格子又は他の浮力装置を必要とせずに浮かぶことができる。
【0086】
図4−Cは、螺旋状に巻かれた可撓性テープ型加熱器3を示す。本実施形態では、浮遊式螺旋状可撓性テープ型加熱器17の充分な部分が水体13に浸漬するように、浮遊式螺旋状可撓性テープ型加熱器17は、本来浮くことができる。他の実施形態において、可撓性テープ型加熱器3は、水平の渦状に巻いてよい(図4−D)。図4−C及び4−D双方の実施形態の場合、図4−Aで用いた支持格子15は、可撓性テープ型加熱器3、12、17を位置決めするために用い得る。
【0087】
浮遊式加熱器3、12、16、17の上記実施形態は、多数の確定した構成を表し、一方、使用時、浮遊式加熱器は、確定又は未確定の構成の組合せを取り得る。例えば、図4−C及び4−Dを組み合わせると、渦として連続する長い螺旋になる。
【0088】
浮遊式加熱器3、12、16、17の上記実施形態において、加熱器は、加熱器周辺の水に効果的な伝熱を行う。更に、加熱器が水体13の底部に配置される場合のように、水体全体を底部から上に向かって加熱するよりもむしろ、水面付近の水が加熱され蒸発する。
【0089】
更に、可撓性テープ型加熱器の形成は、渦巻状にするか、そうでなければ、水体13に部分的に浸漬されるように形成して、空気付近の水及び水付近の空気双方を熱して、熱の層状領域を生成し、水の取り込みを改善して加湿を行い得る。従って、浮遊式加熱器3、12、16、17は、水蒸気生成の電力効率が改善され、また、装置起動時の加湿の場合、所望の水面温度への迅速な到達に効果的であり得る。
【0090】
複数領域の加熱
【0091】
図5は、上記可撓性テープ型加熱器3と浮遊式加熱板12、16、17について述べたものと同じ全体構造及び使用方法の3つの加熱器を利用する呼吸装置を示す。
【0092】
これらの加熱器には、複数の加熱回路を含んでよく、これにより、3つの各加熱器領域が、独立に動作し得る。
【0093】
流量発生器20即ち送風機は、周囲温度供給源から提供される気体を供給するが、この供給源は、部屋の空気であってよく、又は酸素等の特定の気体供給源によって強化したり、置き換えたりしてよい。前置加熱器18は、送風機連結器10内に配置され加湿器1に至る。送風機連結器は、剛性や可撓性を有してよく、あるいは、送風機連結器10の動作又は送風機連結器10内に配置された前置加熱器18の動作に必要な導管であってよい。前置加熱器18は、基底ユニット22の制御器/電源21に接続されるが、これは、可撓性テープ型加熱器3の実施形態のごとく、前置加熱器18の任意の検知又は制御構成要素との電力及び通信の提供を行う。前置加熱器18は、送風機導管コネクタ端11において、加湿室1の浮遊式加熱器12、16、17に接続する。浮遊式加熱器12、16、17は、前置加熱器18を介して、制御器/電源21の電力供給を受電し、また、浮遊式加熱器12、16、17の検知又は制御用構成要素との任意の通信を受信する。
【0094】
他の選択肢として、浮遊式加熱器12、16、17は、更に、患者導管4を記載する図6−A及び6−Bに関連して述べたように、送風機連結器10の壁を介して、制御器/電源21に接続し得る。
【0095】
後置加熱器19は、患者導管4に配置される。患者導管コネクタ端2は、制御器/電源21の電力及び通信を後置加熱器19の検知及び制御構成要素7に提供する。患者導管コネクタ端2は、図5に示すように、浮遊式加熱器12、16、17を介して、又は図6−A及び6−Bに示すように、導管壁25を介して、制御器/電源21に接続してよく、そして、加湿室1を介して基底ユニット22の制御器/電源21に接続してよい。
【0096】
代替の一実施形態において、加熱器の1つ又は複数は、上述した種類のものではなく、他の適切な加熱素子であってよい。例えば、前置加熱器18は、本明細書に述べた種類の可撓性テープ型加熱器ではなく、簡易な配線加熱器又は他の従来の加熱器の種類として形成し得る。
【0097】
そのような構成を用いると、以下の利点を得る。
【0098】
送風機連結器10、加湿室1、及び患者導管4の内部にある単一の相互接続加熱システム。
【0099】
加熱器、センサ及び制御システム全体を簡単に取り外して、洗浄、保守又は交換できる。
【0100】
相互接続によって、患者に送出される気体の温度及び湿度に対する高水準の閉ループ制御が簡単になる。
【0101】
患者導管4の様々な部位の結露を制御するために、患者導管4の異なる部位の温度及び湿度を検知する能力。
【0102】
加熱器及び/又は検知/制御システムの異なる構成要素は、従来の加湿器において組合せて又は別々に用い得る。例えば、可撓性加熱テープ3は、加熱底板を有する従来の加湿器と共に患者導管4の加熱にも用い得る。他の選択肢として、浮遊式加熱器12、16、17又は可撓性テープ型加熱器3は、上述したように、加熱式又は断熱式壁患者導管4と共に加湿室1の水体13の加熱に用い得る。
【0103】
呼吸装置の任意の位置に複数の加熱器を並列及び直列に設置する能力。これによって、例えば、水体13が所望の温度に達するために時間を必要とする場合、呼吸装置の開始動作時の“過熱”が可能になる。複数の加熱回路による空気の一時的特別加熱によって、冷たい水を吸収する空気の容量が増加する。これを、水体14の水温に応じて、制御又は分布測定して、適切なレベルの湿度を提供し得る。
【0104】
呼吸装置の場合、3つの加熱器の配置並びにそれらを使用するタイミング及び順序により、温度及び湿度という気体の快適性は、以下を別々に時差生成させることによって管理可能になる。
【0105】
絶対湿度が低い周囲気体の加熱
【0106】
水の蒸発。及び/又は、
【0107】
絶対湿度が高くなった気体の加熱(加湿室1の後)
【0108】
以下の使用例は、本明細書に述べた実施形態例の動作の利点を示す。
【0109】
患者の呼吸気体には、特に、冬場及び寒い気候では、温度及び湿度という快適性に対する注意が必要である。実施形態では、コールドスタートからのシステムの目的は、最初に、暖かな気体を迅速に送出し、そして、時間と共に加湿器が温まるにつれて湿度を高めることである。この方法によって、患者は、低湿度呼吸支援の悪い症状が始まる前に、直ぐに相対湿度が上がる快適な暖かい空気を受ける。
【0110】
冬の気候でのコールドスタートの場合、三加熱器システムは、従って、以下のように動作し得る。まず、流量発生器20からの冷たい周囲温度の気体を、恐らく患者導管4内の後置加熱器19から支援を受けて、送風機連結器10内の前置加熱器18を用いることによって暖める。これにより、最初に、暖かく乾燥した空気を患者に提供する。
【0111】
暖められた気体流が、加湿室1の加熱されていない水からかなりの水蒸気を吸収し始めると、患者導管4の後置加熱器19は、患者導管4の“雨滴降下”結露を防止するために、その加熱を始める又は強める。前置加熱器18により空気を最初に暖めると、浮遊式加熱器12、16、17が、まだ水を温めている間に、単なる“パスオーバー”動作として、ある程度の加湿を直ちに始められるという利点がある。単なる“パスオーバー”動作における気化熱は、加熱気体によって供給される。
【0112】
浮遊式加熱器12、16、17が水面を暖め始めて、加湿室を通過する気体の絶対湿度が急速に上昇して、所望の加湿のレベルに到達すると、患者導管4の後置加熱器19は、その加熱を調整して、患者導管4の結露を防止することによって、絶対湿度を維持する。後置加熱器19は、更に、患者導管4において所望の気体温度を維持する役割も果たし得る。前置加熱器18は、加湿室1の水体13の加熱レベルに基づく加熱プロファイルを有することができ、その加熱プロファイルは、前置加熱器18への電力又は前置加熱器18の構造的な構成を変更することによって提供し得る単位時間当たりの気体流の加熱の割合である。水の加熱とは反対に、空気温度を制御することによって、もっと効果的な湿度の制御が存在すると思われる。
【0113】
この実施形態例の追加の利点は、呼吸装置が直流電源又は携帯電源によって動作できるように、加湿開始時に、消費電力を低減し得ることである。更に、2つ以上の加熱器が多重化され、一度に1つの加熱器が動作するが、2つ以上の加熱器の間に動作の繰返しがある場合、それでもなお満足な動作を得ることができる。
【0114】
給気導管接続
【0115】
図8において、電源/制御器21は、コネクタ52によって、給気導管/送風機連結器10に接続し得る。コネクタ52は、電源/制御器21に接続された第1コネクタ52aと、給気導管10に接続された第2コネクタ端52bと、を有する。給気導管10は、流量発生器カフ、即ち、コネクタ54を有する。流量発生器カフ54は、流量発生器20との接続のために構成された端54aを有する。流量発生器カフ54は、更に、端子留め具54cを画成するオーバーモールド成形のグリップ即ちカフ54bを有する。
【0116】
図9に示すように、給気導管10は、流量発生器カフ54によって、流量発生器20に接続される。コネクタ52は、端子留め具54cにおいて、流量発生器カフ54に接続される。図9には図示しないが、コネクタ52の第1端52aは、電源/制御器21に接続されることを認識されたい。電源/制御器21は、コネクタ52を介して流量発生器カフ54に電流及び信号を提供する。
【0117】
患者導管接続
【0118】
患者導管/空気送出ホース4は、図10に示すように、マスクコネクタ、即ち、カフ56によって患者インターフェイス5に接続される。患者導管4には、例えば、熱可塑性エラストマ製のチューブ4a、及び極低密度のポリエチレン製螺旋状リブ4bが含まれる。配線4c、4d、4eは、チューブ4aの外面に接触するように、螺旋状リブ4bに支持されている。配線4c、4d、4eは、チューブ4aを加熱し、電源/制御器21に対して、また、そこから信号を搬送するために用い得る。給気導管10は、チューブ10a、螺旋状リブ10b、チューブ上の螺旋状リブによって支持された配線10c乃至10eを含み、患者導管4と同様な構造を有し得ることを認識されたい。
【0119】
給気導管及び流量発生器カフ
【0120】
図11において、流量発生器カフ54には、コネクタブロック54aが含まれる。グリップ即ちカフ54bは、コネクタブロック54a上にオーバーモールド成形され、コネクタブロック54aを給気導管10に接続する。オーバーモールド成形グリップ即ちカフ54bには、オーバーモールド成形グリップ即ちカフ54bの外面に、ユーザの指用の窪み等のグリップ形状54dが含まれ、コネクタカフ54の握り方が改善される。
【0121】
図8、12及び13に示すように、流量発生器カフ54には、コネクタ52の第2コネクタ端52bを収容する端子留め具54cが含まれる。図13に示すように、端子留め具54cは、コネクタ52の導入部52eに収容されるリブ54nが含まれる。リブ54nは、導入部52eと噛み合って、コネクタ52を端子留め具54cに固定する。
【0122】
また、端子留め具54cには、給気導管10の配線10c、10d、10eを位置決めする歯54eを含む。配線10c、10d、10eは、熱可塑性エラストマチューブ10aの外面に置かれ、そして、螺旋状リブ10bによって外面の所定の位置に保持される。
【0123】
チャネル54jは、コネクタブロック54a内に設けられ、これによって、オーバーモールド成形材54bが、動いてチューブ10aの内側に接合し、コネクタブロック54aと給気導管10との間を接続し得る。コネクタブロック54、チューブ10a、及びオーバーモールド成形材54bは、化学結合する材料で形成し得る。
【0124】
図14において、端子留め具54cには、端子留め具ピン54hが含まれ、端子留め具ピン54hは、端子留め具蝶番54fの蝶番スロット54gに収容される。端子留め具蝶番54fは、コネクタブロック54a上に設けられる。端子留め具54cは、端子留め具蝶番54fにカチッと嵌め込まれ、歯54eと給気導管10の配線10c、10d、10eとの接続を確保する。図15に示すように、端子留め具54cは、コネクタブロック54aへの給気導管10の取り付け前に、コネクタブロック54aに取り付けてよい。端子留め具ピン54hは、蝶番スロット54gに取り付けられ、端子留め具54cは、前方に傾く又は回転する。次に、給気導管10は、コネクタブロック54aに取り付けられ、そして、端子留め具54cは、歯54eが給気導管10の配線10c、10d、10eに接触するように、後方に回転又は旋回する。図16及び17に示すように、コネクタブロック54aには、給気導管10の螺旋状リブ10bが、歯54eによる接触のために、配線10c、10d、及び10eを位置決めするためのガイド溝54pを含む。
【0125】
図17において、端子留め具54cには、アーチ部54kが含まれ、アーチ部54kは、端子留め具54cが端子留め具蝶番54fに挿入された時、ガイド溝54p(図16)とチャネルを画成する。溝54i(図18)は、コネクタブロック54内に設けられ、螺旋状リブ10b及び給気導管10の配線10c、10d、10eを収容する。溝54iは、円滑な表面と広い接触面積とを有し、配線10c、10d、10eに対する損傷を防止又は最小にする。更に、図18に示すように、間隙54mが、チャネル54jの隣に設けられ、グリップ、即ち、カフ54bのオーバーモールド成形中、コネクタブロック54aへのあらゆる空気の通過を可能にする。
【0126】
図19乃至21において、第2コネクタ端52bは、第2コネクタ端52bの握り易さを向上させるグリップ形状52cを有する。また、歪解放形状52dが、可撓性を向上するために、第2コネクタ端52bに形成される。グリップ及び歪解放形状は、コネクタ52の第1コネクタ端52aにも設けられる。
【0127】
接点52f、52g、52hは、給気導管10の配線10c、10d、10eからの信号を送受信するために設けられる。給気導管10は、3本の配線を含むものとして示され、また、端子留め具54cは、第2コネクタ端52aの3接点を収容するための3端子を有するものとして示しているが、任意の数の配線、端子、及び接点を用いて、電源/制御器21と給気導管10との間で信号を送受信し得ることを認識されたい。
【0128】
患者導管及びマスク・コネクタ・カフ
【0129】
図22乃至34において、マスクコネクタ即ちカフ56は、患者インターフェイス5への患者導管/空気送出ホース4の接続のために設けられる。マスクコネクタ即ちカフ56には、コネクタブロック56aが含まれ、コネクタブロック56aは、オーバーモールド成形グリップ即ちカフ56bによって患者導管4に接続される。コネクタブロック56a、チューブ4a及びオーバーモールド成形カフ56bは、化学結合する材料で形成し得る。
【0130】
図24に示すように、コネクタブロック56aは、患者インターフェイス5の入口5aに接続される。入口5aは、例えば、マスクの回転台肘であってよい。
【0131】
プリント回路基板(PCB)56cは、コネクタブロック56aの外面周辺に設けられる。患者導管4の配線4c、4d、4eは、PCB56cに取り付ける。図25、27及び28に示すように、コネクタブロック56aには、留め金又はピン56iが含まれ、これらは、PCB56cの孔又は開口56uに結合する。PCB56cは、このように、コネクタブロック56aの外面に巻き付けられ、所定の位置に保持される。温度ヒューズ56d及び温度センサ56e、例えば、サーミスタは、PCB56c上に設ける。図23及び26に示すように、1つ又は複数の窓56jが、コネクタブロック56aの外面に設けられるが、ここでは、温度ヒューズ56d及び温度センサ56eが設けられる。窓56jは、図24に示すように、PCB56cによって覆われる。更に詳細に後述するように、PCB56cには、PCB56cを窓56jに沿う空気流に晒すことによって冷却される加熱器トラックが含まれる。
【0132】
螺旋状リブ56fは、図22乃至26に示すように、患者導管4を設置するために、コネクタブロック56aの外面に設けられる。図25に示すように、コネクタブロック56aの外面には、階段状のくぼみ56hが含まれ、これによって、オーバーモールド材は、動いて可撓性PCB56cの下面に接合し得る。図29に示すように、コネクタブロック56aには、更に、チャネル56tが含まれ、これによって、オーバーモールド材は、患者導管4のチューブ4aの内側に接合し得る。図25に戻ると、間隙56gは、チャネル56tに隣接して設けられ、これによって、オーバーモールド成形中に空気を逃がすことができる。図28及び29にも示すように、コネクタブロック56aの端には、ごみが溜まる容量を最小にし、また、ごみが溜まれば洗浄される形材56nが含まれる。形材56nの端は、更に、オーバーモールド成形材の流れインピーダンスを最小にする。
【0133】
図25及び27に示すように、アクセスチャネル56mは、螺旋状リブ56fと端チャネル56tの間に設けられ、これによって、オーバーモールド材は、チューブ4aをコネクタブロック56aに接合し得る。図30に示すように、チューブ4aは、コネクタブロック56aへ捻り込まれ、患者導管4の配線4c、4d、4eは、56pに示すように、可撓性PCB56cに半田付けされる。
【0134】
図31において、オーバーモールド成形グリップ即ちカフ56bには、マスクカフ即ちコネクタ56の把持能力を改善するために、ユーザの指を収容するためのくぼみ等の成形グリップ形状56qを含んでよい。コネクタブロック56aは、剛性ポリマで形成してよく、また、オーバーモールド成形グリップ即ちカフ56は、熱可塑性エラストマで形成し得る。図32に示すように、コネクタブロック56aは、患者インターフェイスへの接続のための標準の22mmISOテーパを有し得る。図32に示すように、オーバーモールド成形材は、温度ヒューズ56d領域内の56sでは、ブランクにしてよい。
【0135】
図33及び34において、可撓性PCB56cの回路には、温度ヒューズ又はスイッチ56d及び熱センサ56eが含まれる。配線の内の1つ、例えば、4cは、電源/制御器21に温度信号を送るための温度検知用配線として用い得る。他の配線、例えば、4d、4eは、患者導管4のチューブ4aを加熱するための加熱配線として用い得る。温度が或る値を超えた場合、温度ヒューズ56dは、加熱配線4d、4eへの電流を遮断するように構成されている。
【0136】
可撓性PCB56c並びに温度センサ56e及び温度ヒューズ56dは、患者インターフェイス5の入口5a、及び患者導管4を通る空気経路にできるだけ近く、コネクタブロック56a上に設けるべきである。マスクコネクタ即ちカフ56は、更に、既存の呼吸装置に用い得るように、できる限り小さく形成すべきである。更に、オーバーモールド成形グリップ即ちカフ56bを用いると、患者導管4をコネクタブロック56aに固定するのに役立ち、また、温度センサ56e及び温度ヒューズ56dを含み、可撓性PCB56cを所定の位置に固定するのに有用である。また、オーバーモールド成形材を用いると、バクテリアが成長する可能性があるあらゆる場所を減らす又は除去するのに役立つ。
【0137】
本明細書に述べたマスクコネクタ即ちカフ56は、生体適合材で形成される。コネクタブロック56aには、また、端56r(図32)が含まれ、これは、既存の患者インターフェイスに用いるための標準の22mm雌型ISOテーパを含む。更に、オーバーモールド成形材を用いると、マスクコネクタ即ちカフの製造が容易になり、また、信頼性が改善される。
【0138】
電源/制御器
【0139】
図35において、電源/制御器21には、スイッチモード電源21aと、スイッチ21bと、制御ユニット21cと、複数のLED21dと、が含まれる。電源/制御器21は、AC電源入力21eと、DC電源出力21fと、流量発生器20へのバイパスAC電源リード21gと、を有する。AC電源入力21eは、例えば、AC110乃至240V共通入力であってよい。スイッチ21bは、制御ユニット21cによって制御される加熱素子と直列のMOSFETスイッチであってよい。DC電源出力21fは、例えば、500mA制御のDC5V、又は1.3AのDC24V出力であってよい。24Vでは、電力出力は、30Wである。
【0140】
電源入力21eは、スイッチモード電源21aに接続され、また、バイパス21gは、流量発生器20のAC電源ソケットに接続される。電源/制御器21は、給気導管10に電力を供給し、患者インターフェイス5において所定の温度レベルを調節し、また、オン/オフ制御器としての役割を果たすように構成されている。
【0141】
制御ユニット21cは、閉ループ温度制御システムである。マスクカフ56に配置された温度センサ56eは、患者導管4の配線4cを介して、フィードバック信号を制御ユニット21cに供給する。しかしながら、本制御は、温度信号のフィードバックに依拠し得ないことを認識されたい。その代わり、制御ユニット21cは、温度センサ信号に依拠又は依存することなく、所定量の電力を出力21fに供給するように構成し得る。
【0142】
DC電源出力21fは、給気導管10に電力を供給し、また、スイッチ21bは、電源出力21fと直列に設けられ、制御ユニット21cによって制御される。電力調節は、オンオフ制御手法に基づく。電力調節は、約95乃至99%の割合で固定されたデューティーサイクルを有する。例えば、約1乃至5%の割合のオフサイクルは、温度検知のために用いる。
【0143】
LED21dには、電源がオンであって給気導管10に供給されていることを示す緑色LEDを含み得る。黄色LEDは、電源出力21fはオンであるが給気導管10に供給されないことを示すために設け得る。赤色LEDは、故障を示すために設け得る。また、更なるLEDを設けて、温度を示したり及び/又は制御したりしてよい。手動操作可能ボタン(図示せず)は、電源/制御器に設けて、これにより、患者又は臨床医が、LEDの温度表示に応じて温度の制御を行い得る。
【0144】
制御ユニット21cは、固定電源切り替え周波数及びデューティーサイクルを生成して、電源出力21fが給気導管10を加熱するように構成される。更に、制御ユニット21cは、配線4cを通って温度センサ56eによって送られる信号を介して、温度を検知するように構成される。検知された温度に基づき、制御ユニット21cは、周囲温度が変わった場合、温度を所定の温度に調整するように構成される。制御ユニット21cは、更に、電源制御器/供給器21がオフになった場合、所定の温度を記録するように構成されている。
【0145】
更に、制御ユニット21cは、故障が検出された場合、故障状態をラッチし、電力を動作初期状態に戻すことによって、故障をクリアし得る。故障が起こった場合、故障検出回路は、故障状態に固定され、ドライバブロック(図37a)に故障信号を送る。故障は、電源がオフになり、そして、再度オンになるまで続く。制御ユニット21cは、故障を検出するように構成してよく、これらの故障には、配線4c乃至4e及び10c乃至1Oeの断線、アーキング、及び/又は流量発生器カフ54及び/又はマスクカフ56の接続不良を含む。制御ユニット21cは、更に、低電圧を検出し得る。
【0146】
電源出力21fは、故障が検出されると、制御ユニット21cによって、オフ状態に維持され、そして電源が再循環され故障状態がクリアされるまで、オフ状態に維持される。
【0147】
電源/制御器21の状態は、LED21dを通して表示し得る。
【0148】
例えば、図5及び8に示すように、電源/制御器21は、流量発生器20及び加湿器と分離してよい。流量発生器20と加湿器との間に情報交換は無く、また、閉ループ制御には、例えば、空気流量、湿度レベル、及び加湿器出口温度に基づく制御は含まない。しかしながら、例えば、検知用配線4cを通して、情報は交換し得ることを認識されたい。上述の制御は、患者導管4の“雨滴降下”を防止し、また、加湿空気を患者インターフェイス5に送出する。
【0149】
電源/制御器21は、流量発生器20又は加湿制御システムと一体化し得ることを認識されたい。情報は、流量発生器、加湿器、及び周囲の空気の動作に関して、一体化された電源/制御器に提供し得る。電源/制御器を流量発生器20又は加湿器と一体化することによって、システムは、患者インターフェイス5の温度、湿度レベル、及びより広い範囲の周囲温度及び湿度における“雨滴降下”を更に制御できるようになる。
【0150】
図36には、本発明の実施形態例に基づく、三線加熱式チューブ即ち導管を示す。配線4d、4eは、例えば、長さ25メートル、直径0.23ミリメートルの配線から形成してもよく、また、例えば、銅で形成してもよい。配線4d、4eを形成する配線のほぼ中央にあり、配線を2つの抵抗Ra、Rbに分割する接続点4fにおいて、検知用配線4cは、加熱配線4d、4eに接続してよい。全抵抗値Ra+Rbは、一例として、20乃至26℃において、例えば、約23℃において、約15乃至21Ω、例えば、約18Ωであってよい。全抵抗値Ra+Rbは、配線抵抗器が、約30Wの電力でDC24V電源を用いて、約33℃まで加熱される場合、約18Ω及び約21Ωである。上述したように、DC電圧V+は、例えば、約95乃至99%のデューティーサイクルでJ1、J3間に供給される。抵抗Ra、Rbは、配線4d、4eに電流が流れる間、熱を生成し、導管4を加熱する。検知用電圧Vsenは、1乃至5%のオフサイクル中に決定し得る。オフサイクル中、スイッチ21bは、制御ユニット21cによって作動され、システムを検知状態に切換え、そして、J1からの検知電流は、温度センサの抵抗Ra及び抵抗RT1を通って、J2に戻る。温度センサ56eの抵抗RT1は、約1乃至50kΩ、また、抵抗Rbは、Ra+Rbの約半分であるか、又は約5乃至15Ω、例えば、約10Ωであり、そのためRbは省略される。
【0151】
検知用配線4cは、温度センサ56eに接続されているものとして開示しているが、例えば、制御が、検出温度に基づくフィードバック制御ではない場合、検知用配線は、圧力センサ等の異なるセンサに接続し得ることを認識されたい。
【0152】
熱回路56dのヒューズF2は、PCB56cの加熱器軌道に熱的に結合される。PCB56cは、厚さが、例えば、約0.05乃至.15ミリメートル、例えば、約0.1ミリメートルであり、抵抗が、約0.05乃至.15Ω、例えば、約0.1Ωであり、また、出力電力が、約0.12乃至0.24W、例えば、0.18Wである。上述したように、PCB56cの片面は、開いた窓56jに面しており、そのためPCB56cは、患者導管4の空気に接触する。従って、導管の空気流は、導管内の空気のちょうど上の温度にPCB56cを冷却する。流量発生器が停止した場合、又は導管内の空気流が遮られた場合、PCB56cの温度が、上昇し、ヒューズF2を遮断して、患者導管4を損傷から保護する。温度センサ56e及び熱回路56dのヒューズF2は、このように、空気過熱防止、チューブ過熱防止、及び低気流防止を行う。熱回路56dには、サーモスタット、例えば、バイメタル板をヒューズの代わりに含んでよく、サーモスタットのインピーダンスが増加すると、電流の増加を抑制又は停止するように作用する。
【0153】
患者導管4が、患者インターフェイス5に加湿空気を送出する際、電源/制御器21、マスクカフ56及びその構成要素、並びに患者導管4は、温度調整の安全基準、例えば、ISO8185に準拠すべきである。通常の動作条件下では、患者又は臨床医は、患者インターフェイス5に送出される空気の温度を、周囲温度から約30℃まで設定できるべきである。警報システム又は表示器が、システムに設けられていない場合、ISO8185、セクション51.61乃至51.8に基づき、通常状態及び一つの故障が発生している状態では、患者インターフェイス5に送出される空気の温度は、約40°乃至42°C、例えば、約41℃を超過すべきでない。この最大温度(例えば、41°C)は、相対湿度100%において、43℃の最大エネルギレベル未満である。熱回路56dのヒューズF2は、最大温度で遮断するように選択し得る。
【0154】
図36に戻ると、患者導管4の3線(4c−4e)電気回路には、PCB56cの加熱器軌道及びヒューズF2に直列な加熱素子Ra、Rbと、検知用電圧Vsenを供給するための配線4cと、加熱配線4d、4eの中央に取り付けられた熱抵抗器TR1を含む熱センサ56eと、が含まれる。電気回路には、2つの状態、即ち、オンとオフがある。加熱状態とも称するオン状態では、配線4dは、J1において電圧V+、例えば、電源出力21fからのDC24Vに接続される。加熱電流は、J3、配線4d、4e、J4、及びスイッチ21bを流れ、接地GNDに達する。オン状態では、J2における検知用電圧Vsenは、空気温度を検知しないが、電圧V+の約半分、例えば、約12Vを検知する。
【0155】
オフ状態において、スイッチ21bは、オフに切り替えられ、そして、加熱配線4d、4eは、V+、例えば、約24Vだけ引き上げられ、検知用電流は、J1、Ra、RT1を通過し、J2に戻る。
【0156】
電源/制御器21には、数多くの機能を実施するための回路を含み得る。これらの回路には、1)電源切り替え制御回路、2)チューブインターフェイス及びゲートドライブ回路(ドライバブロック)、3)故障検出及びラッチ回路(故障検出ラッチ)、4)温度事前設定/制御回路、5)起動及び表示回路を含み得る。
【0157】
電源/制御器回路
【0158】
電源/制御器21の回路の実施形態例を、図37aに示す。この回路には、加熱式導管(1つ又は複数)の温度を制御するように構成された温度制御回路と、故障検出ラッチと、検知用回路と、ドライバブロックと、が含まれる。ドライバブロックは、スイッチ21bに接続されるが、スイッチ21bは、MOSFETであってよい。
【0159】
図37b−1乃至37b−4において、図37aの回路の実施形態例は、例えば、テキサスインスツルメンツより入手可能なUC2843制御ICに基づき得る。他の制御回路も用い得ることを認識されたい。電源切り替え制御回路は、エラー処理のために用い得るチップ過電流及び過電圧保護を有する。電源切り替え制御回路は、更に、RCクロック及び不足電圧保持器、並びにプッシュプル出力ドライバを有し得る。R12=22,000Ω及びC5=330nFとなるように、発振RCクロックを設定することによって、切り替え周波数を138Hzに設定し得る。そのような周波数の時間期間は、T=R12xC15(22,000x.00000033)=7.26mSによって求められる。R12とC5の比によって、電源切り替え制御回路は、100μSのオフ期間を提供し、従って、デューティーサイクルは、100μS/7.26mS=1.38%である。
【0160】
通常の加熱条件において、図37b−1乃至37b−4の電源切り替え制御回路は、約98.62%のデューティーサイクルで、スイッチ21bのトランジスタゲートを駆動する。回路のオン状態は、Vfb信号によって割り込むことができない。Vfbの臨界点において、ゲート信号は、50%、69Hz出力として示し得る。
【0161】
電源切り替え制御回路は、Vfbピンを通るイネーブル入力を有する。D3及びD4を通る任意の信号がローになった場合、スイッチ21cの出力は、ディスエーブル状態になる。検知用電流Isenは、R10及びR20が検知用電圧Vsenを1V以下に設定するため、この用途には用いられない。
【0162】
図37a及び37b−1及び37b−4に戻ると、検知用電圧Vsenは、2つの機能を有する。即ち、1)加熱器電源がオンである場合、検知用電圧Vsenは、中央の電圧V+を検知することによって、加熱配線の連続性もしくは何らかのアーキング又は接続不良を検出する。また、2)加熱器電源がオフである場合、検知用電圧Vsenは、RT1及びR13の分圧電圧を介して空気温度を検知する。Q2、Q3ネットワークは、検知動作のための正しい論理を提供し、また、MOSFETのQ3は、温度検知のための低インピーダンス(Rdson)を提供する。Q4のMOSFETゲートは、ネットワークR23、R25を駆動し、最大ゲート電圧を制限し、R24及びD5は、R23と共に、Q4オフ切り替え速度を制御する。
【0163】
故障検出回路は、加熱器電源がオンの場合に動作する。Vsen信号は、窓比較器、例えば、ナショナル・セミコンダクタから入手可能なLP339AM等のウルトラパワーカッド比較器に供給される。U6B、U6D、並びにR31、R36及びR43分周器は、12ボルトで+/−2Vの窓電圧を供給し、窓比較器信号の出力は、比較器U6Cの第2段に供給される。
【0164】
比較器の第2段は、Q4ゲート信号を基準としてサンプリングし、また、窓比較器出力からエラー信号を検出する。システムに故障が検出されない場合、窓比較器が高インピーダンスとして出力し、R34及びR40分周器がより高い電圧を出力し、そして、比較器入力R33及びR42分周器回路網を反転し、U6Cが、ハイを出力する。
【0165】
システムに故障が検出された場合、窓比較器が、ローを出力し、R34及びR40//R35分周器が、より低い電圧を有し、そして、比較器入力R33及びR42分周器回路網を反転し、U6Cが、U2AラッチCLRピンにローを出力する。
【0166】
ラッチCLRピン1が、ロー信号を受け取ると、Qピン5は、ラッチされた故障信号を出力し、U3出力切り替え信号を無効にする。ラッチは、例えば、フェアチャイルド・セミコンダクタ社の74HCT74DU2Aであってよい。
【0167】
温度検知動作は、電源オフ期間中だけ実行される。空気温度センサRT1及び分周器ベース抵抗器R13は、温度情報Vsenを提供するが、それは比較器U6A反転入力に直接供給され、分圧計及びその回路網は、温度事前設定機能を実施する。この比較器の出力は、D4を駆動し、また、U3切り替え出力を制御する。
【0168】
起動回路は、システムの起動時、140mSの遅延を行い、また、ラッチをリセットする。リセット後、システムは、オン状態になる。起動回路は、例えば、テレコム(TelCom)セミコンダクタ社から入手可能なICU4TCM809であってよい。
【0169】
温度測定の精度は、2つの部分に基づく。即ち、1)検知精度、2)基準精度。検知精度は、NTCサーミスタRT1及び直列の抵抗器R13に依存する。例えば、良いNTCセンサRT1は、1乃至5%までの精度許容誤差、例えば、約3%の精度許容誤差を有し得る。直列抵抗器R13は、0.5乃至1.5%までの許容誤差、例えば、約1%の許容誤差を有し得る。温度事前設定回路の精度は、ポートが最高設定値(30℃)である時、求められる。ポート抵抗器は、0Ωであり、また精度は、1%の抵抗器回路網に依存する。しかしながら、ポートが最低設定値に設定される場合、20%のポート抵抗器許容誤差が、付け加えられる。
【0170】
導管4及び10は、チューブに気体流がない場合、過熱する。熱は、チューブに蓄積する可能性があり、例えば、チューブがキルトで覆われた場合、加熱素子の温度は、120乃至150℃まで上昇し得る。熱は、熱スイッチが冷たい空気にさらされているが、チューブの一部が、例えば、キルトで覆われた場合、生じることがある。この理由により、流量発生器からの無流量又は低流量信号は、加熱式チューブの電源を遮断できるべきである。
【0171】
3方向コネクタは、サーミスタセンサRT1と制御ユニット21cとの間に設ける。接点の如何なる接続不良も、検知用回路のインピーダンス増加の原因となる。NTCサーミスタRT1の場合、それは、温度表示値を低下させ、また、空気温度の上昇の原因となり、更に、チューブの熱スイッチ21bを遮断することがある。
【0172】
温度検知における故障状態を解決するには、2つの方法がある。第1の方法は、分圧器の論理回路を、接点抵抗が高いと空気温度が低くなるように、変更することである。検知用接点を保護する他の方法は、R6及びR31を8.2kΩに変更することによって、検知用配線をオフセットすることである。このオフセット基準電圧は、高インピーダンスコネクタを検出し得る。
【0173】
カフ構成
【0174】
図38乃至40に示すように、給気導管コネクタカフ及び/又は患者導管及びマスク・コネクタ・カフの構成は、様々な形態をとり得る。本明細書に図示及び記載した各マスクコネクタ又はカフ構成には、グリップ形状と、コネクタ又はカフの可撓性を改善するのに充分な歪解放の特徴と、を含み得る。
【0175】
チューブ構成
【0176】
図41において、給気導管10及び/又は患者導管4には、内側チューブ4a、10aと、螺旋状リブ4b、10bと、外側チューブ4f、10fと、を含み得る。外側チューブ4f、10fは、内側チューブ4a、10aと同じ材料で形成し得る。外側チューブ4f、10fには、更に、フリース又はフロック加工材を設けて、導管の感触及び/又は握り心地を改善し、及び/又はチューブの断熱特性及び/又は見栄えを改善し得る。外側チューブ4f、10fが設けられない場合、内側チューブ4a、10の外面及び螺旋状リブ4b、10bに、同様の理由で、フリース又はフロック加工材を設け得る。
【0177】
図42において、給気導管10及び/又は患者導管4には、波形4g、10gによって離間された内側チューブ4a、10a、及び外側チューブ4f、10fを含んでよい。波形4g、10gは、導管4、10の軸方向に延在してよく、又は、導管4、10に沿って螺旋状に延在してよい。配線は、内側チューブ4a、10aと外側チューブ4f、10fとの間の波形4g、10g内に設けてよい。波形を用いて、導管4、10に沿って予備の気体流を提供するか、又は液体の流れ、例えば水を供給して、導管4、10内の気体流の温度を調整してよい。また、波形は、患者インターフェイスから、例えば、患者の呼気からの気体を排気するためにも用い得る。外側チューブ4f、10fは、フリース又はフロック加工材で覆ってよい。
【0178】
患者導管、マスク・コネクタ・カフ、及び可撓性回路
【0179】
図43において、他の実施形態例による患者導管400、マスク・コネクタ・カフ560、及び可撓性回路570を示す。患者導管400は、可撓性回路570を包含するオーバーモールド材580によって、マスクカフ560に接続される。オーバーモールド材580は、患者導管400及びマスクカフ560上にオーバーモールド成形される。可撓性回路570には、チューブ配線、センサ、ヒューズ及び他の実施形態例に関連して上述した他の構成要素を含み得る。
【0180】
マスクカフ560は、オーバーモールド材580を通して患者導管400に接続される別個の部位として形成し得る。他の選択肢として、マスクカフ560は、オーバーモールド材580との単一部品として形成し得る。
【0181】
本発明は、最も実用的且つ好適な実施形態であると考えられる形で、本明細書に示し説明したが、認識されたいことは、本明細書に述べた細部に限定されず、あらゆる等価な組立体、機器、及び装置を包含する本発明の範囲内において逸脱してもよいことである。例えば、加熱配線は、導管(1つ又は複数)内の配線及び/又は空気の温度を制限するための電圧調節機能を有するPTC素子であってよい。他の例として、1つ又は複数のPTC又はNTC配線を抵抗器と共に用いて、配線及び空気の温度を制限してもよい。更なる例として、NTC配線を電流レギュレータ又は測温抵抗体に用いて、加熱配線の温度を制限してもよい。温度検知及び加熱は、2本の配線だけを用いて行ってもよい。
【0182】
本明細書では、語「“comprising”(含まれている)」は、“オープン”な意味、即ち、「“including”(含んでいる)」の意味で解釈するものとし、従って、“クローズド”な意味、即ち、「“consisting_only_of”(だけで構成されている)」の意味に限定しない。類似の意味は、類似の語「“comprise”(を含む)」、「“comprised”(を含んだ)」、及び「“comprises”(を含む)」が出現した場合、それらに属する。
【0183】
更に、本明細書における公知の従来技術への如何なる参照も、それに反する指摘が明示されていない限り、本発明が関連する当業者によって、該従来技術が共通に知られていることを容認するものではない。
【符号の説明】
【0184】
56a コネクタブロック
56c プリント回路基板
56d 温度ヒューズ
56e 温度センサ
56f 螺旋状リブ
4 患者導管
4a チューブ
4b 螺旋状リブ
4c、4d、4e 配線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸可能な気体を患者に送出する呼吸装置であって、
前記患者に送出される或る供給量の加圧気体を生成する流量発生器と、
水を蒸発させ、水蒸気を送出して、前記気体を加湿する加湿器と、
前記流量発生器から前記加湿器に及び前記加湿器から患者インターフェイスに至る気体流路と、
前記気体流路内の前記気体及び/又は前記水に熱接触する加熱器とを具備し、前記加熱器は、テープ状の細長い加熱用フィラメントを有する、呼吸装置。
【請求項2】
前記気体流路には、前記流量発生器と前記加湿器との間に第1部位が、また、前記加湿器と前記患者インターフェイスとの間に第2部位が、含まれ、前記加熱用フィラメントは、前記気体流路の前記第1及び第2部位双方の少なくとも一部に沿って延在する、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項3】
前記加熱用フィラメントは、前記気体流路内の前記気体及び前記加湿器内の前記水双方と熱接触している、請求項1または2に記載の呼吸装置。
【請求項4】
前記加熱用フィラメントは、前記加湿器内の水に接触する中間部を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項5】
前記加湿器は、水体を含んでおり、前記加熱用フィラメントは、前記水体中に少なくとも部分的に浸漬される、請求項1〜4のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項6】
前記加湿器は、水体を含んでおり、前記加熱用フィラメントは、前記水体の表面に接触する、請求項1〜5のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項7】
前記加湿器は、水体を含んでおり、前記加熱用フィラメントは、前記加湿器内の水位の変化と共に上昇したり下降したりするように支持されている、請求項1〜6のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項8】
前記加熱用フィラメントには、可撓性のテープが含まれる、請求項1〜7のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項9】
前記加熱用フィラメントは、患者気体送出導管の孔に沿って挿入される、請求項1〜8のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項10】
前記加熱用フィラメントは、患者気体送出導管の壁に組み込まれる、請求項1〜9のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項11】
前記加熱用フィラメントには、可撓性のテープに封止された加熱素子が含まれる、請求項1〜10のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項12】
前記加熱素子は、前記可撓性のテープ内に積層される、請求項11に記載の呼吸装置。
【請求項13】
前記可撓性のテープには、ポリカーボネート、ポリエステル、又はポリプロピレン材料の内の1つ又は複数が含まれる、請求項11に記載の呼吸装置。
【請求項14】
前記可撓性のテープには、シリコーンゴム、全層ポリイミド、PTFE、又はマイカ材料の内の1つ又は複数が含まれる、請求項11に記載の呼吸装置。
【請求項15】
前記加熱素子は、配線又はリボンである、請求項11に記載の呼吸装置。
【請求項16】
前記加熱素子は、前記可撓性のテープの少なくとも1つの面上に、印刷もしくはエッチングによって又は真空蒸着法によって形成される、請求項11に記載の呼吸装置。
【請求項17】
前記加熱用フィラメントは、更に、1つ又は複数のセンサを内蔵する、請求項1〜16のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項18】
前記加熱用フィラメントは、更に、1つ又は複数の制御器を内蔵する、請求項1〜17のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項19】
前記加熱用フィラメントは、検知又は制御用の1つ又は複数の回路構成要素を収容するように構成されている、請求項1〜18のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項20】
前記加熱用フィラメントは、識別回路、通信回路、及び/又はメモリを内蔵して、複数のフィラメントが互いに、また基底ユニットと相互作用できるようにする、請求項1〜19のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項21】
前記加熱用フィラメントは、患者導管内に配置され、前記フィラメントの長手方向軸を中心にして捻られる、請求項1〜20のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項22】
前記加熱用フィラメントは、患者導管内において螺旋を形成する、請求項1〜21のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項23】
呼吸装置のための加湿器であって、
流量発生器から気体を受け取るための第1呼吸気体通路と、
或る供給量の水を含むための加湿室と、
患者インターフェイスに加湿気体を送出するための第2呼吸気体通路と、
前記第1及び第2呼吸気体通路の内の少なくとも1つにおける前記気体及び/又は前記水と熱接触している加熱器とを具備し、前記加熱器は、テープ形状の細長い加熱用フィラメントを含む、加湿器。
【請求項24】
前記加熱用フィラメントは、前記第1及び第2呼吸気体通路双方の少なくとも一部に沿って延在する、請求項23に記載の加湿器。
【請求項25】
前記加熱用フィラメントは、前記加湿室内の水と熱接触している、請求項23に記載の加湿器。
【請求項26】
呼吸可能な気体を患者に送出する呼吸装置であって、
前記患者に送出される或る供給量の加圧された呼吸可能な気体を生成する流量発生器と、
前記流量発生器から患者インターフェイスに至る気体流路と、
前記気体流路内の前記気体に熱的に接触する加熱器とを具備し、前記加熱器は、テープ形状の細長い加熱用フィラメントを含む、呼吸装置。
【請求項27】
複数の前記加熱用フィラメントをさらに具備する、請求項26に記載の呼吸装置。
【請求項28】
前記加熱用フィラメントには、複数の加熱回路が含まれる、請求項26に記載の呼吸装置。
【請求項29】
センサ及び/又は制御器を担持する1つ又は複数の細長いテープをさらに具備する、請求項26に記載の呼吸装置。
【請求項30】
呼吸可能な気体を患者に送出する呼吸装置であって、
前記患者に送出される或る供給量の加圧された呼吸可能な気体を生成する流量発生器と、
前記流量発生器から患者インターフェイスに至る気体流路と、
前記気体の特性を検知及び/又は制御する1つ又は複数のセンサ又は制御器とを具備し、前記前記センサ又は制御器は、前記気体流路内の前記気体と熱接触するテープ状の細長いフィラメントに沿って配置される、呼吸装置。
【請求項31】
呼吸装置のための加湿器であって、
水体を保持するための容器と、
前記水の表面上に呼吸気体流を通して、前記気体流を加湿する流量発生器と、
前記表面に隣接する前記水を加熱するように支持された水加熱器とを具備する、加湿器。
【請求項32】
前記加熱器は、前記水面に隣接して浮遊するように支持される、請求項31に記載の加湿器。
【請求項33】
前記加熱器は、浮力のある支持体によって支持される、請求項32に記載の加湿器。
【請求項34】
前記加熱器には、可撓性のテープが含まれる、請求項31〜33のいずれかに記載の加湿器。
【請求項35】
前記加熱器には、可撓性の加熱板が含まれる、請求項31〜34のいずれかに記載の加湿器。
【請求項36】
呼吸装置用の加湿器であって、
流量発生器から気体を受け取る第1呼吸気体通路と、
或る供給量の水を含む加湿室と、
患者インターフェイスに加湿気体を送出する第2呼吸気体通路と、
前記気体及び/又は前記水に熱的に接触する加熱器とを具備し、前記加熱器は、前記第1及び第2呼吸気体通路双方の少なくとも一部に沿って延在する細長い加熱用フィラメントを含む、加湿器。
【請求項37】
前記加熱用フィラメントは、前記加湿室内の水と熱接触している、請求項36に記載の加湿器。
【請求項38】
前記加熱用フィラメントには、2つ以上の別々に制御可能な加熱領域が含まれる、請求項36に記載の加湿器。
【請求項39】
呼吸可能な気体を患者に送出するように構成された呼吸装置の起動時、患者の快適さを向上する方法であって、
呼吸可能な気体を加熱する段階を含み、前記呼吸可能な気体は、気体流路に沿って前記患者に供給され、また、加湿器装置内の水に接触し、
前記方法は、
前記加湿器装置内の前記水を加熱する段階を含み、最初に、前記加湿装置の前記水の温度が上昇しつつある間、前記患者には、加熱された気体が供給される、方法。
【請求項40】
前記気体流路内の前記気体を加熱する段階には、前記加熱された気体が前記加湿器装置を通過すると、初期レベルの加湿が行われるように、前記加湿器装置の上流にある前記気体流路の一部を加熱する段階が含まれる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記気体流路内の前記気体を加熱する段階には、加湿の初期起動段階時、前記気体のより高いレベルの加熱を一時的に提供する段階が含まれる、請求項39に記載の方法。
【請求項1】
呼吸可能な気体を患者に送出する呼吸装置であって、
前記患者に送出される或る供給量の加圧気体を生成する流量発生器と、
水を蒸発させ、水蒸気を送出して、前記気体を加湿する加湿器と、
前記流量発生器から前記加湿器に及び前記加湿器から患者インターフェイスに至る気体流路と、
前記気体流路内の前記気体及び/又は前記水に熱接触する加熱器とを具備し、前記加熱器は、テープ状の細長い加熱用フィラメントを有する、呼吸装置。
【請求項2】
前記気体流路には、前記流量発生器と前記加湿器との間に第1部位が、また、前記加湿器と前記患者インターフェイスとの間に第2部位が、含まれ、前記加熱用フィラメントは、前記気体流路の前記第1及び第2部位双方の少なくとも一部に沿って延在する、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項3】
前記加熱用フィラメントは、前記気体流路内の前記気体及び前記加湿器内の前記水双方と熱接触している、請求項1または2に記載の呼吸装置。
【請求項4】
前記加熱用フィラメントは、前記加湿器内の水に接触する中間部を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項5】
前記加湿器は、水体を含んでおり、前記加熱用フィラメントは、前記水体中に少なくとも部分的に浸漬される、請求項1〜4のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項6】
前記加湿器は、水体を含んでおり、前記加熱用フィラメントは、前記水体の表面に接触する、請求項1〜5のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項7】
前記加湿器は、水体を含んでおり、前記加熱用フィラメントは、前記加湿器内の水位の変化と共に上昇したり下降したりするように支持されている、請求項1〜6のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項8】
前記加熱用フィラメントには、可撓性のテープが含まれる、請求項1〜7のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項9】
前記加熱用フィラメントは、患者気体送出導管の孔に沿って挿入される、請求項1〜8のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項10】
前記加熱用フィラメントは、患者気体送出導管の壁に組み込まれる、請求項1〜9のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項11】
前記加熱用フィラメントには、可撓性のテープに封止された加熱素子が含まれる、請求項1〜10のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項12】
前記加熱素子は、前記可撓性のテープ内に積層される、請求項11に記載の呼吸装置。
【請求項13】
前記可撓性のテープには、ポリカーボネート、ポリエステル、又はポリプロピレン材料の内の1つ又は複数が含まれる、請求項11に記載の呼吸装置。
【請求項14】
前記可撓性のテープには、シリコーンゴム、全層ポリイミド、PTFE、又はマイカ材料の内の1つ又は複数が含まれる、請求項11に記載の呼吸装置。
【請求項15】
前記加熱素子は、配線又はリボンである、請求項11に記載の呼吸装置。
【請求項16】
前記加熱素子は、前記可撓性のテープの少なくとも1つの面上に、印刷もしくはエッチングによって又は真空蒸着法によって形成される、請求項11に記載の呼吸装置。
【請求項17】
前記加熱用フィラメントは、更に、1つ又は複数のセンサを内蔵する、請求項1〜16のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項18】
前記加熱用フィラメントは、更に、1つ又は複数の制御器を内蔵する、請求項1〜17のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項19】
前記加熱用フィラメントは、検知又は制御用の1つ又は複数の回路構成要素を収容するように構成されている、請求項1〜18のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項20】
前記加熱用フィラメントは、識別回路、通信回路、及び/又はメモリを内蔵して、複数のフィラメントが互いに、また基底ユニットと相互作用できるようにする、請求項1〜19のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項21】
前記加熱用フィラメントは、患者導管内に配置され、前記フィラメントの長手方向軸を中心にして捻られる、請求項1〜20のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項22】
前記加熱用フィラメントは、患者導管内において螺旋を形成する、請求項1〜21のいずれかに記載の呼吸装置。
【請求項23】
呼吸装置のための加湿器であって、
流量発生器から気体を受け取るための第1呼吸気体通路と、
或る供給量の水を含むための加湿室と、
患者インターフェイスに加湿気体を送出するための第2呼吸気体通路と、
前記第1及び第2呼吸気体通路の内の少なくとも1つにおける前記気体及び/又は前記水と熱接触している加熱器とを具備し、前記加熱器は、テープ形状の細長い加熱用フィラメントを含む、加湿器。
【請求項24】
前記加熱用フィラメントは、前記第1及び第2呼吸気体通路双方の少なくとも一部に沿って延在する、請求項23に記載の加湿器。
【請求項25】
前記加熱用フィラメントは、前記加湿室内の水と熱接触している、請求項23に記載の加湿器。
【請求項26】
呼吸可能な気体を患者に送出する呼吸装置であって、
前記患者に送出される或る供給量の加圧された呼吸可能な気体を生成する流量発生器と、
前記流量発生器から患者インターフェイスに至る気体流路と、
前記気体流路内の前記気体に熱的に接触する加熱器とを具備し、前記加熱器は、テープ形状の細長い加熱用フィラメントを含む、呼吸装置。
【請求項27】
複数の前記加熱用フィラメントをさらに具備する、請求項26に記載の呼吸装置。
【請求項28】
前記加熱用フィラメントには、複数の加熱回路が含まれる、請求項26に記載の呼吸装置。
【請求項29】
センサ及び/又は制御器を担持する1つ又は複数の細長いテープをさらに具備する、請求項26に記載の呼吸装置。
【請求項30】
呼吸可能な気体を患者に送出する呼吸装置であって、
前記患者に送出される或る供給量の加圧された呼吸可能な気体を生成する流量発生器と、
前記流量発生器から患者インターフェイスに至る気体流路と、
前記気体の特性を検知及び/又は制御する1つ又は複数のセンサ又は制御器とを具備し、前記前記センサ又は制御器は、前記気体流路内の前記気体と熱接触するテープ状の細長いフィラメントに沿って配置される、呼吸装置。
【請求項31】
呼吸装置のための加湿器であって、
水体を保持するための容器と、
前記水の表面上に呼吸気体流を通して、前記気体流を加湿する流量発生器と、
前記表面に隣接する前記水を加熱するように支持された水加熱器とを具備する、加湿器。
【請求項32】
前記加熱器は、前記水面に隣接して浮遊するように支持される、請求項31に記載の加湿器。
【請求項33】
前記加熱器は、浮力のある支持体によって支持される、請求項32に記載の加湿器。
【請求項34】
前記加熱器には、可撓性のテープが含まれる、請求項31〜33のいずれかに記載の加湿器。
【請求項35】
前記加熱器には、可撓性の加熱板が含まれる、請求項31〜34のいずれかに記載の加湿器。
【請求項36】
呼吸装置用の加湿器であって、
流量発生器から気体を受け取る第1呼吸気体通路と、
或る供給量の水を含む加湿室と、
患者インターフェイスに加湿気体を送出する第2呼吸気体通路と、
前記気体及び/又は前記水に熱的に接触する加熱器とを具備し、前記加熱器は、前記第1及び第2呼吸気体通路双方の少なくとも一部に沿って延在する細長い加熱用フィラメントを含む、加湿器。
【請求項37】
前記加熱用フィラメントは、前記加湿室内の水と熱接触している、請求項36に記載の加湿器。
【請求項38】
前記加熱用フィラメントには、2つ以上の別々に制御可能な加熱領域が含まれる、請求項36に記載の加湿器。
【請求項39】
呼吸可能な気体を患者に送出するように構成された呼吸装置の起動時、患者の快適さを向上する方法であって、
呼吸可能な気体を加熱する段階を含み、前記呼吸可能な気体は、気体流路に沿って前記患者に供給され、また、加湿器装置内の水に接触し、
前記方法は、
前記加湿器装置内の前記水を加熱する段階を含み、最初に、前記加湿装置の前記水の温度が上昇しつつある間、前記患者には、加熱された気体が供給される、方法。
【請求項40】
前記気体流路内の前記気体を加熱する段階には、前記加熱された気体が前記加湿器装置を通過すると、初期レベルの加湿が行われるように、前記加湿器装置の上流にある前記気体流路の一部を加熱する段階が含まれる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記気体流路内の前記気体を加熱する段階には、加湿の初期起動段階時、前記気体のより高いレベルの加熱を一時的に提供する段階が含まれる、請求項39に記載の方法。
【図1−A】
【図1−B】
【図1−C】
【図2】
【図3】
【図4−A】
【図4−B】
【図4−C】
【図4−D】
【図5】
【図6−A】
【図6−B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37a】
【図37b−1】
【図37b−2】
【図37b−3】
【図37b−4】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図1−B】
【図1−C】
【図2】
【図3】
【図4−A】
【図4−B】
【図4−C】
【図4−D】
【図5】
【図6−A】
【図6−B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図24】
【図25】
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【図31】
【図32】
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【図36】
【図37a】
【図37b−1】
【図37b−2】
【図37b−3】
【図37b−4】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【公開番号】特開2012−228608(P2012−228608A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188354(P2012−188354)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【分割の表示】特願2009−534963(P2009−534963)の分割
【原出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】ResMed Limited
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【分割の表示】特願2009−534963(P2009−534963)の分割
【原出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】ResMed Limited
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