呼吸補助装置
【課題】持続的気道内陽圧法を必要とするユーザに加湿ガスを送出する改良型呼吸補助装置を提供する。
【解決手段】ガスを実質的に正の平均圧力で提供するようになったガス送出装置(106)を有する呼吸補助装置(100)。ガス送出装置は、外部装置と通信するようになった通信ポートを有し、又、ガス送出装置は、少なくとも2つの形体に構成可能である。第1の形体は、ガス送出装置が第1の状態で所定の機能を有する場合である。第2の形体は、ガス送出装置が第2の状態で所定の機能を有する場合である。第2の形体は、外部装置によって動作状態になる。外部装置は、機械的キー又はソフトウェアキーであるのがよい。
【解決手段】ガスを実質的に正の平均圧力で提供するようになったガス送出装置(106)を有する呼吸補助装置(100)。ガス送出装置は、外部装置と通信するようになった通信ポートを有し、又、ガス送出装置は、少なくとも2つの形体に構成可能である。第1の形体は、ガス送出装置が第1の状態で所定の機能を有する場合である。第2の形体は、ガス送出装置が第2の状態で所定の機能を有する場合である。第2の形体は、外部装置によって動作状態になる。外部装置は、機械的キー又はソフトウェアキーであるのがよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持続的気道内陽圧法(CPAP)を必要とするユーザへのガスを加湿するための加湿手段に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
この技術分野においては、例えば、米国特許第6,050,260号明細書のように、湿度と関連したCPAP治療を施すことが知られている。加湿は通常、以下の手段のいずれかによって行われる。
【0003】
1.米国特許第6,050,260号明細書に記載されているような一体形CPAPブロワ及び加湿器。この装置では、充填及びクリーニングのために加湿チャンバが取り外される場合を除き、CPAPと加熱型加湿器は、互いに分離されない。
2.可撓性気道管により加熱型加湿器に連結されたスタンドアロン型CPAP装置。この機器は、一般に、安定性が得られるようトレイ上に置かれる。
3.スタンドアロン型であるのがよいが、モジュール式加熱型加湿器にも取付け可能であるCPAP装置。かかる装置では、可撓性気道管も設置用トレイも不要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CPAP装置により供給されるガスを加湿するよう容易にアップグレード又は更新できるCPAP装置を提供することが望ましい。
【0005】
アップグレード可能なガス装置の一例が、レスピロニクス・インコーポレイテッド(Respironics, Inc.)に譲渡された米国特許出願公開第2002/0077856号明細書に記載されている。
【0006】
本発明の目的は、アップグレードでき又は少なくとも健康管理業界に有用な選択肢を提供する呼吸補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、第1の特徴では、本発明は、呼吸補助装置であって、
ガスを実質的に正の平均圧力で提供するようになったガス送出装置と、
外部装置と通信するようになった通信ポートとを有し、
前記ガス送出装置は、少なくとも2つの形体、即ち、前記ガス送出装置が第1の状態で所定の機能を有する第1の形体と、前記ガス送出装置が第2の状態で所定の機能を有する第2の形体とに構成でき、前記第2の形体は、前記外部装置によって動作状態になる呼吸補助装置である。
【0008】
好ましくは、前記外部装置は、前記第2の形体を動作状態にした場合、不作動状態になる。
【0009】
好ましくは、前記ガス送出装置は、前記ガスを加湿する加湿器を含む。
【0010】
好ましくは、前記所定の機能は、前記ガスの積極的な加湿である。
【0011】
好ましくは、前記呼吸補助装置の一部は、前記第1の形体では使用状態から外され、前記呼吸補助装置への前記一部の使用組み込みは、前記第2の形体に対応している。
【0012】
好ましくは、前記第2の形体は、ソフトウェア又はハードウェアアップグレードキーを前記呼吸補助装置に結合することにより使用可能になる。
【0013】
好ましくは、前記アップグレードキーは、受け取った所定の要求データストリームに対して所定の応答データストリームを出すよう構成された電子回路又はコントローラを含む。
【0014】
好ましくは、前記電子回路又はコントローラは、前記電子回路又はコントローラが使用されたかどうか及びもし使用されていれば前記電子回路又はコントローラが次に前記第2の形体を動作状態にするために不作動状態になっているかどうかを指示する少なくとも1つのレジスタを含む。
【0015】
好ましくは、前記レジスタは、前記電子回路又はコントローラが用いられた前記呼吸補助装置のシリアルナンバーを含む。
【0016】
好ましくは、前記呼吸補助装置は、前記ガス送出装置と患者との間の導管を更に有し、前記所定の機能は、積極的な加湿及びヒータを前記導管内に設けること、又はヒータを前記導管と一体化することである。
【0017】
好ましくは、前記所定の機能は、前記ガスを加熱することに関連し、前記第2の形体は、前記導管を加熱すると共に(或いは)前記ガスを直接加熱するために前記ヒータに通電することに関する。
【0018】
好ましくは、前記所定の機能は、前記呼吸補助装置の使用に関するデータのストレージ又は表示に関し、前記第2の形体は、前記使用を指示するためにディスプレイに通電することに関する。
【0019】
好ましくは、前記所定の機能は、前記患者に送出された前記ガスの圧力レベルに関し、前記第2の形体は、前記圧力レベルの連続的修正又は段階的修正をもたらすことに関する。
【0020】
第2の特徴では、本発明の要旨は、呼吸ガスを患者に送出する方法であって、
ガス供給装置からガスを実質的に正の平均圧力で提供するステップを有し、
前記ガス供給装置は、少なくとも2つの形体相互間での前記ガス供給装置の切り換えを可能にする外部装置と通信し、
前記少なくとも2つの形体は、第1の状態で所定の機能を有する第1の形体及び第2の状態で前記所定の機能を有し、前記外部装置によって使用可能状態になることができる第2の形体である方法にある。
【0021】
好ましくは、前記方法は、前記第2の形体が使用可能状態になった場合、前記外部装置を不作動状態にするステップを有する。
【0022】
本発明は、上記構成からなり、更に、以下の実施形態の構成をも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の好ましい形態を添付の図面を参照して説明する。
【0024】
ガスを実質的に正の平均圧力で提供するように構成されたガス送出装置を有する呼吸補助装置について以下に説明する。ガス送出装置は、外部装置と通信するようになった通信ポートを有し、又、ガス送出装置は、少なくとも2つの形体に構成可能である。第1の形体は、ガス送出装置が第1の状態で所定の機能を有する場合である。第2の形体は、ガス送出装置が第2の状態で所定の機能を有する場合である。第2の形体は、外部装置によって動作状態になる。外部装置は、機械的キー又はソフトウェアキーであるのがよい。
【0025】
本発明は、選択的に不作動状態と作動状態をとることができる一体形、分離可能又は別体の加湿器を含む。加湿器を用いる使用と加湿器を用いない使用との切り換えは、加湿器を作動させる(後述する)作動ツールへのアクセス手段を有するユーザ又は販売業者の意思で決まる。
【0026】
代表的な一体形CPAP加湿器は、米国特許第6,050,260号明細書に記載されている。この米国特許を引用し、その内容を本明細書の一部とする。
【0027】
図1を参照すると、CPAP装置100は、当初、スタンドアロン型CPAPとして使用可能な状態で入手できる。ヒータプレートは、覆いシュラウド102によって隔離され、このシュラウドは又、CPAP装置出口104の結合ポートとなる。この形体では、加熱型加湿ハードウェア及び制御装置は、使用不能状態にある。
【0028】
CPAP装置に対するアップグレード(更新)及び加熱型加湿を含むハードウェアの制御装置の起動は、作動ツールの取付けにより行われる。図3に示すシュラウド102を隔離するヒータプレートの取外し及び(又は)作動ツールの取付けにより、加熱型加湿器の動作が行われるようソフトウェア制御式加熱型加湿ハードウェア106が使用可能になる。
【0029】
作動ツールの種々の形態の例としては、以下のものが挙げられる。
1.シリアルデータポート経由のソフトウェアキー
CPAP装置を、RS232シリアル接続方式を介してコンピュータに又は直接TCP/IP又は電話線を介してインターネットに接続して追加のソフトウェアかコード化作動データかのいずれかを受け取るのがよい。
【0030】
2.機械的キー
ヒータプレートの入口は、シュラウド102によって覆われている。機械的キー(110、図2A)が、シュラウドを取り外すために用いられる。ヒータプレート操作ノブ108が、図2Aに示すようにシュラウド102によってオフ状態にロックされている。アップグレードキーは、ヒータプレートをオンするノブを有するのがよい。図2A及び図2Bに示す一実施形態では、キー110に係合することにより、2つのスナップ嵌めフランジ112を押し、それによりシュラウド102を取り外すことができる。
【0031】
3.磁気キー
機械的キーと同様に、磁気キーを用いて図2に示すようにシュラウドを取り外すことができる。このキーは好ましくは、所定のパターンに配置された磁石を有する。このキーは、CPAP装置の場合、キャビティ内に滑り込まされる。ケース内部には、磁石のパターンを検出するホール効果センサが設けられている。キーが検出された場合、ヒータプレートが作動される。
【0032】
4.コード番号の確認
a)この確認は、図2を用いて説明できる。コード番号をCPAP装置に入力するのがよい。具体的に説明すると、CPAP装置のディーラ又はユーザは、フリーフォン番号で電話してCPAP装置のシリアルナンバーを知らせ、アップグレードのための代金の支払いを行う。すると、フリーダイヤルサービスは、ディーラ又はユーザにCPAP装置のシリアルナンバーに固有のコード番号を付与する。次に、このコード番号をキーパッド(図示せず)に入力してCPAP装置の加湿器部分を作動させる。変形例として、フリーダイヤルサービスは、インターネットを利用したサービスであってもよい。
【0033】
b)別の代替手段は、アップグレードキーが、CPAP装置の包装材の内部に隠れた状態で表示されている番号付きのカードを有することである。この番号は、ユーザがアップグレードキットの代金の支払いを済ませたことをフリーダイヤルサービスに知らせることができ、電話又はインターネットで金融取引を行う必要はない。これと同様に、詐欺行為防止のため、番号をストアして番号が2度用いられた場合に警報が出されるようにしてもよい。市販された加湿器シリアルナンバー及びコードのデータベースも又必要な場合がある。また、アップグレードのために用いられた番号も又、ディーラ又はユーザが番号を作り出すのを阻止するためにストアするのがよい。
【0034】
c)別の代替手段は、ディーラ又はユーザが加湿器シリアルナンバーを提示し、パックシリアルナンバーをアップグレードすることである。両方が有効な場合、加湿器シリアルナンバーを用いるアルゴリズムによってPIN(暗証番号)を作成することができる。中央データベースは、各加湿器に関してどのアップグレードが使用されたかについての記録を保持する。アップグレードキットのシリアルナンバーは、幾つかのあらかじめ設定されたパターンに従うのがよく、例えば、13で割り切れる番号だけを用いるのがよい。これが意味することは、市販されたシリアルナンバーのデータベースを維持することは必要ではないということである。この例においてディーラ又はユーザが有効な番号を作れる可能性は、1/13であり、これは、特に不正な試みの記録が含まれる場合、ディーラ又はユーザを抑止するのに十分のはずである。
【0035】
変形例として、アルゴリズムは、シリアルナンバーをPIN番号である4桁の番号に変換してもよい。
【0036】
5.ドングル
CPAP装置による問合せに対して所定の仕方で応答するよう設計された電子回路を有するプラグインパック又は「ドングル」(スレーブ装置)又はCPAP装置に問い合わせしてこれを制御するよう設計された電子回路を有するプラグインパック(マスター装置)をCPAP装置と共に提供するのがよい。プラグインパックは、CPAP装置の専用ソケット又は既存のシリアルポート接続ポイントにプラグ接続できる。これと同様に、公知のタイプのスマートカードをCPAP装置とインタフェースして加湿器を作動させてもよい。
【0037】
さらに、かかるドングルは、CPAP装置の加湿器部分のヒータプレートを動作させるのに必要な電子回路のうちの何割かを含むのがよい。この場合も又、図1及び図2に見えるシュラウドが必要な場合がある。
【0038】
図10に示すように、CPAP装置の加湿器部分に設けられたシリアルポートにプラグ接続される電子アップグレードキー又はドングルの別の例が提供されている。
【0039】
このキー又はドングルは、図10に示されており、プラグ1002、電子回路1000、下側ハウジング1006及び上側ハウジング1004を有している。この場合、図11に示すようにユニット1102全体をソケット1100にプラグ接続する。
【0040】
5.1 機能
使用にあたり、CPAP装置をアップグレードしてガスの加湿及び加熱を可能にするため、CPAP装置をオンに切り換えてこれが動作している状態で、マスター装置のアップグレードキー又はドングル(マスター装置)を好ましくはCPAP装置にプラグ接続する。接続時、アップグレードキー又はドングルは、固有のシリアル指令をCPAP装置に出して加湿器の機能を使用可能にする。この指令がCPAP装置によっていったん処理されると、加湿器をCPAP装置上で永続的に使用可能な状態になる。その結果、アップグレードキー又はドングルの存在は、もはや不要である。この設計の利点は、CPAP装置の既存のシリアルポートを他の用途から奪うことなく、かかる既存のシリアルポートにアップグレードキー又はドングルを使用できるということにある。
【0041】
変形例として、CPAP装置のスイッチをオンにする前に、先ず最初に、スレーブ装置のアップグレードキー又はドングルをCPAP装置にプラグ接続してもよい。CPAP装置は、電源投入中、スレーブアップグレードキーがあるかどうかを1度チェックするだけのために設計されたものであってよい。この設計の利点は、CPAP装置の既存のシリアルポートを他の用途から奪うことなく、この既存のシリアルポートにかかるアップグレードキーを使用できるということにある。当然のことながら、CPAP装置にスレーブアップグレードキーのための専用シリアルポートを設け、したがって、CPAP装置がアップグレードキーの存否についてそのポートを常時チェックするように改造できる。
【0042】
更に、アップグレードキーがプラグ接続されている状態で、CPAP装置をいったんオンに切り換えると、ユーザは、ユーザがアップグレードしたいということを指示できるようボタンの組合せを押し下げたままにするのがよい。アップグレードキーがCPAP装置によっていったん検出されて確認されると、CPAP装置又はアップグレードキーは、所要の形体変更を開始させる。
【0043】
好ましい形態では、アップグレードキー又はドングルは好ましくは、2つの動作モードを有する。第1の動作モードは、キーがCPAP装置に接続されたときに作動される(「ノーマルモード」)。第2の動作モードは、キーがコンピュータ処理装置に接続されたときに作動される(「ファクトリモード」)。ノーマルモードでは、キーは、マスターとして働き、この場合、キーは、CPAPスレーブ装置への指令を出してCPAPスレーブ装置から戻って来たデータをモニタする。ファクトリ(工場)モードでは、キーは、スレーブとして働き、この場合、キーは、コンピュータ処理装置上の或る特定のソフトウェアにより出された要求のために働く。これにより、キーの構成を製造中及び(又は)点検整備中、コンピュータ処理装置により問い合わせて修正することができる。
【0044】
上述したように、アップグレードキーを用いると、CPAP装置の加湿器を作動させることによりCPAP装置をアップグレードすることができる。変形例として、アップグレードキーを用いると、「リモート構成」とも呼ばれているCPAP装置のパラメータをカスタマイズしてコンフィグすることができる。例えば、CPAP製造業者は、CPAP装置に対する標準のデフォルト設定状態でCPAP装置を製造することができる。CPAP装置を或る特定の消費者の要求に合わせて製造するために、製造業者は、消費者の要求によりプログラムしたアップグレードキーを製造するのがよい。プログラムできる例示のパラメータとしては、ガス圧力設定値、標高設定値、湿度快適さレベル及びガス送出管設定値が挙げられる。
【0045】
アップグレードキーの別の好ましい特徴は、「ファクトリリセット」と呼ばれている方法で元々のファクトリ(工場)設定値を復元することによりレンタル又は中古のCPAP装置を一新できることにある。これは、アップグレードキーをCPAP装置に接続し、このキーがCPAP装置を再プログラムし又はリセットできるようにすることにより実施できる。このキーがファクトリ設定値へのリセットを行うに過ぎないので、このキーを非動作状態にしないで再使用できる。かかるキーは、CPAP装置の点検整備をするディーラ及びディストリビュータ向けである。
【0046】
5.2 構成
一形態では、アップグレードキーは、ループバック(折り返し)インバータ設計のものであるのがよい。この設計は、アップグレードキーをCPAP装置に接続したとき、送信線と受信線との間に配置される単純な反転回路を採用する。CPAP装置がコードシーケンスを伝送するとき、反転エコーがアップグレードキーから生じてCPAP装置に送り戻される。この反転エコーは、CPAP装置によって確認され、CPAP形態が、確認結果に応じて変更される。
【0047】
この単純な設計により、ループバックインバータアップグレードキーの費用は、比較的安価である。しかしながら、この設計は、単純であることにより、ユーザによってその抜け道を見つけられやすい。さらに、アップグレードキーがいったん読み取られると、このキーを非動作状態にすることができない。これは、キーをCPAP装置に永続的に取り付けなければならないか、キーが潜在的に多数のCPAP装置をロック解除するよう使用できなければならないことを意味し、後者は、或る特定のアップグレード特徴には望ましくない。
【0048】
好ましい形態では、アップグレードキーは、マイクロコントローラを有する。アップグレードキーをCPAP装置に接続すると、特定のシリアル指令信号が、CPAP装置に伝送されて所望のアップグレード操作を開始させる。指令信号は、CPAP装置によって受信されて確認される。正しい信号が受信されていれば、CPAP装置は、例えば内部で所望の形体変更を行ってアップグレード特徴をCPAP装置に加えることができる。
【0049】
マイクロコントローラ形態のアップグレードキーの場合、マイクロコントローラ及びその関連回路に関する要件が原因となって、製造費が比較的高くなる。しかしながら、これは、ユーザによる抜け道発見を阻止する安全レベルの向上により相殺される。マイクロコントローラキーも又、同一キーを他のCPAP装置をコンフィグするために使用されるのを阻止するよう非動作状態にできる。例えば、所望のアップグレード操作をいったん確認して完了すると、マイクロコントローラは、専用の不揮発性メモリフラグを設定して、それ以上のアップグレードを行うべきでないことを指示し、これについては後で説明する。
【0050】
図6は、マイクロコントローラ形態のキーについての例示の接続性を示している。最も好ましい形態では、マイクロコントローラ600は、PIC12F629であり、これは、8ビットの4MHzプロセッサである。マイクロコントローラ600は、単純なシリアルポートインタフェース602に接続され、このインタフェースは、このキーのための外部通信ポートを構成する。シリアルポートインタフェースの仕様は、1つのスタートビット、1つのストップビット及び8つのデータビットを備え、パリティの無い9600ボー(又は、ビット数/秒)として定められる共通のものである。マイクロコントローラ600を動作させる電力は、寄生電源604から得られる。この電源がこのように呼ばれている理由は、この電源が、必要な電力を通信のために用いられる同一のシリアルポートインタフェースから取り出しているからである。特に、電力は、伝送線606から取り出される。伝送線606及び受信線608は、全体として符号610で示されたCPAPシリアルポートに接続されている。
【0051】
好ましい形態では、アップグレードキーは、内部256バイトの不揮発性メモリアレイを更に有するのがよく、このメモリアレイは、キーに関する構成及び状態情報をストアするために用いられる。不揮発性メモリアレイの例示の構造が、図7に示されている。メモリアレイの詳細については以下に説明する。かかる詳細は、例示に過ぎず、メモリアレイを提供できる唯一の仕方ではない。
【0052】
このメモリアレイは好ましくは、2つの別々の領域、即ち、制御ブロック700とユーザブロック702に分割される。制御ブロック700は、メモリ空間の最初の8バイトを占め、固定読み取り専用部分である。このブロックのバイトの各々は、以下に説明するように特定の用途に割り当てられる。キータイプのコード704は、キーのタイプ又はこのキーが何をするためにプログラムされているかを識別する単一バイトの値を有する。キーのタイプの例は、加湿器アップグレード、リモート構成及びファクトリリセットとして上述した。
【0053】
制御ブロック700の次のフィールド(欄)は、キー中に含まれたファームウェアに関するバージョン情報をストアするための2つの場所を占める。このフィールド中の最初のバイト、即ち、大バージョンコード706は、大分類キーバージョン番号を2進整数としてストアする。これは、ソフトウェアに対する大規模の変更が行われるたびに増分される。第2のバイト、即ち、小バージョンコード708は、これまた2進整数としてマイナーバージョン番号を有し、これは、小規模の変更だけが行われるときにはいつでも増分される。
【0054】
制御ブロックメモリ空間内の残りの場所は、符号710で示された保存場所としてマーク付けされ、アップグレードキーファームウェアかキー読み取り装置、例えばパーソナルコンピュータシステムかのいずれによっても使用できない。
【0055】
ユーザブロック702は、各キータイプの状態及び構成情報をストアするために使用できる汎用領域である。その結果、このスペース内でのバイトの特定の割り当ては、インストールされたキーのタイプで決まる。例えば、湿度アップグレードタイプのキーの場合、ブロック702中の最初の8つの場所は、アップグレードすることが最後に試みられたCPAP装置のシリアルナンバーをストアするために用いられる。この次に、機能の単一使用状態をストアする単一バイト場所が設けられる。この場所が値ゼロを有する場合、キーは、非動作状態にされており、もはやアップグレードを実行しない。
【0056】
5.3 作用
5.3.1 指令構造
好ましいアップグレードキーがどのように動作するかどうかについて理解するために、加湿器の機能を実行可能にするために、まず最初に、アップグレードキーからCPAP装置に送られた例示の指令について説明する。このシステムは、これを行うために単純なASCII準拠指令構造を用いている。全ての指令が、アップグレードキーマスターによって開始され、CPAP装置スレーブによって処理される。例示の指令は、以下のように示される。
E013\r\n
【0057】
指令は、4文字ストリングに続き1組の“\r\n”終了文字から成る場合がある。この文字列を2つの部分、即ち、単一文字固有識別子コードを含む第1の部分と3文字数値パラメータの第2の部分に分離できる。これら2種類の情報は、CPAPソフトウェアによって用いられて指令を処理し、所望の操作を開始させる。
【0058】
“E”として示された固有指令識別子は、実行されるのが望ましい操作を特定する。第2のパラメータは、指令により必要とされる追加の情報を特定する。ここでは、“E”は、ファクトリリセット操作を実行するための指令であるのがよい。
【0059】
5.3.2 アップグレードキー指令の送出
CPAPユニットに接続されたときのアップグレードキー装置の作用が、図8に示されている。接続時、アップグレードキーは、CPAP装置から電力を受け取る。これは、装置のマイクロコントローラシステムを起動し、このマイクロコントローラシステムが、任意の所要の起動初期化(800)を実行することができる。これに続き、アップグレードキーは、不揮発性メモリ内にストアされているその内部ACTIVEフラグに問い合わせする(801)。これは、CPAP装置の単一使用機能を実行するために用いられる。
【0060】
このフラグを消去した場合、アップグレードキーは、非動作状態になったと称され、即座に、シャットダウンモード(804)を入力する。これにより、このキーが単一CPAP装置をアップグレードできる唯一のものであるようになる。変形例として、このフラグをセットした場合、アップグレードキーは、動作(アクティブ)状態になったと称され、ステップ802に進む。これには、CPAP装置へのシリアル指令の送出が必要である。すると、CPAPは、この指令を認識し、湿度制御装置を内部的に使用可能にする。
【0061】
指令をいったん送ると、アップグレードキー装置は、次に進んで“ACTIVE”フラグを消去する(803)。この装置は今や、非動作状態であり、CPAP装置をそれ以上アップグレードするために使用することはできない。
【0062】
これら出来事の終わりに、アップグレードキー装置は、シャットダウンモード(804)を入力する。このモードでは、システムマイクロコントローラは、もはや動作状態にはなく、それ以上の操作は行われない。
【0063】
5.3.3 CPAP指令処理
アップグレードキーに接続されたときのCPAP装置の作用が、図9に示されている。アップグレードキーから正しいシリアル指令を受け取ると(900)、CPAP装置は、不揮発性メモリにストアされている“FEATURE”フラグ中に適当なフラグ(901)をセットする。これらフラグは、CPAP装置についてどの装置特徴を使用可能にするかを制御する。フラグのうちの1つをセットすることにより、関連の特徴、例えば加湿器操作を使用可能にすることができる。これがいったん完了すると、CPAP装置は、新たに使用可能になった特徴で再スタートする(902)。
【0064】
5.3.4 プロセスの流れ
非加湿型からコールドパスオーバー(cold passover)型へのアップグレードのためには、機械的キーによりシュラウドを取り外すことが必要である。
【0065】
コールド型からヒート(heat)型にアップグレードするためには、真正な電子キーをシリアルポートに挿入するのがよい。
【0066】
ユニットをオンにしたときに電子キーが存在している場合、ユニットは、ヒータを動作状態にし、次に、キーを非動作状態にする。電子キーがいったん非動作状態にされると、これを別のユニットで再び使用することはできない。
【0067】
次に、電子キーを取り外し、ヒータは、動作状態のままになる。
【0068】
電子キーは、汎用キーであってもよく、固有の内部及び外部アクセスキーであってもよい。
【0069】
セキュリティも又、キー中の回路構成によって維持でき、かかる回路構成は、複雑過ぎて複製できない。
【0070】
キーがこのユニットに一意的にマッチしない例では、データベースは必要とされない。
【0071】
6.取外し可能なヒータプレート
CPAP装置は好ましくは、プラスチック製クレードルと一緒に供給され、この場合、ヒータプレートはその時点では、図3の水チャンバ106の下に位置するものである。プラスチック製クレードルは、現行のヒータプレートが備えている取付け及びはね出し構造の全てを有している。クレードルは、電気コネクタ及びクリップを更に有している。次に、上述の要素、サーミスタ及び熱電開閉器が結合されたプレス加工金属ヒータプレート頂面から成る第2の部分をアップグレードキットに入れた状態で供給する。すると、ディーラは、シュラウドを取り外し、ヒータプレートをクレードル内にプラグ接続するのがよい。プラスチック製クレードルを使用するということは、固定具及びばね機構をユニット内部であらかじめ組み立てることができ、従ってヒータプレートを工具無しでしかもユニットを分解する必要なく取り付けることができるということを意味している。
【0072】
好ましい実施形態では、非加湿CPAP形体はヒータプレート上にシュラウドを利用しているが、これは不要であることは理解されよう。ヒータプレートを上述した方法のうちの任意のものにより不作動状態にすることができるが、水チャンバ又は加湿器(図3の符号106参照)は、両方の形態において定位置に位置している。
【0073】
7.コールドパスオーバー(cold passover)
図3のシステムは、加湿モードと非加湿モードの両方で動作できる水チャンバ106を有している。例えば、ヒータプレートを当初付けておく必要はなく、又はヒータプレートを付けておいてもよいが作動させないようにすることかできる。
【0074】
ヒータプレートを動作状態にするのは、例えば次の場合に行うのがよい。
1.ヒータプレートが回転式電位差計108によって制御される場合。電位差計108が回転するのを物理的に阻止するロックにより電位差計108を非動作状態にするのがよい。積極的な加湿へのアップグレードでは、第2のキーが電位差計のロックを取り外し、ヒータを動作状態にする必要がある。
2.ヒータプレートが、CPAP装置のボタンによりアクセスされるメニュー中の設定値によって制御される場合。この場合、積極的な加湿へのアップグレードでは、PIN番号がヒータプレートを作動させることが必要な場合がある。図5を参照すると、かかるキーパッド500が示されている。
【0075】
8.加熱型管
CPAP装置及びこれに付随するシステムは、ガスを患者に送出し、送出管中の加湿ガスの凝縮を最小限に抑えるよう加熱型ガス送出管を有するのがよい。この場合も又、これは、最初に非動作状態にされる場合がある。
【0076】
加熱型管制御装置を回転式電位差計で動作状態にするのがよく、この回転式電位差計は、この回転式電位差計が回転するのを物理的に阻止するようロックされる。アップグレードでは、第3のキーが加熱型管電位差計ロックを外し、加熱型管を動作状態にすることが必要である。
【0077】
変形例として、加熱型管制御装置をCPAP装置のフロントのボタンによりアクセスされるメニュー中の設定値によって動作状態にしてもよい。この場合も又、積極的な加湿へのアップグレードでは、PIN番号がヒータプレートを作動させることが必要な場合がある。
【0078】
例示のアップグレードキットは、次のものである場合がある。
1.コールドパスオーバーキット。これは、チャンバ、カバーを取り外すためのキー#1を有する。
2.加熱型加湿キット。これは、チャンバ、カバーを取り外すためのキー#1及び電位差計ロックを取り外すためのキー#2又はヒータを作動させるためのPIN番号を有する。
3.加熱型管キット。これは、チャンバ、カバーを取り外すためのキー#1、電位差計ロックを取り外すためのキー#2又はヒータを作動させるためのPIN番号、及び加熱状態の管電位差計ロックを取り外すためのキー#3又は第2のPIN番号を有する。
【0079】
9.他の機能アップグレード
電子又は機械的キーも又、他の機能のアップグレードのために使用するのがよい。例えば、患者のコンプライアンス又は患者による治療用CPAP装置の使用に関するデータをストアすると共に(或いは)表示することが望ましい場合がある。
【0080】
図5を参照すると、かかるコンプライアンスデータの表示のためのスクリーン502が見える。用いられるキーに応じて、機能の例示のレベルが以下に与えられている。
オプション1:装置は、なんら情報を表示せず。
オプション2:装置は、装置の稼働時間のみを表示する。
オプション3:装置は、ディスプレイ上に一覧表データを表示する。例えば、一晩当たり守られる平均使用時間。
オプション4:全コンプライアンスデータのダウンロード。1日中、装置にストアされたデータを分析のためにPCにダウンロードするのがよい。一覧表データも又、表示される。
【0081】
例えば上述した適当なPIN番号を入力することにより又は任意他の方法によりこれらオプションのうちどれでも起動させることができる。
【0082】
この方法は、装置の任意の機能、例えば吸息と呼息の関係について種々のレベルの送出圧力をアップグレードすること及び患者の示す症状に応じた圧力レベルを自動的に較正することにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の呼吸補助装置をCPAPのみの形態で示す斜視図である。
【図2A】図1のCPAPのみの形態の分解組立て図である。
【図2B】図2Aの逆の角度から見た図である。
【図3】制御パネルの第1の形態を有する加湿CPAP形体の第1の形態の本発明の呼吸補助装置の斜視図である。
【図4】制御パネルの第2の形態を有する加湿CPAP形体で呼吸補助装置を示す正面図である。
【図5】制御パネルの第3の形態を有する加湿CPAP形体にある呼吸補助装置の正面図である。
【図6】ドングルハードウェアのブロック図である。
【図7】ドングル用のメモリアレイを示す図である。
【図8】ドングルの動作に関する流れ図である。
【図9】CPAP装置の動作に関する流れ図である。
【図10】加湿器のシリアルポートにプラグ接続できる電子アップグレードキー又はドングルの一例の分解組立て図である。
【図11】加湿器にプラグ接続された図10のキー又はドングルの斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
100 持続的気道内陽圧(CPAP)装置
102 覆いシュラウド
104 出口
106 水チャンバ
108 ヒータパネル操作ノブ
1000 電子回路
1002 プラグ
1006 下側ハウジング
1004 上側ハウジング
1100 ソケット
【技術分野】
【0001】
本発明は、持続的気道内陽圧法(CPAP)を必要とするユーザへのガスを加湿するための加湿手段に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
この技術分野においては、例えば、米国特許第6,050,260号明細書のように、湿度と関連したCPAP治療を施すことが知られている。加湿は通常、以下の手段のいずれかによって行われる。
【0003】
1.米国特許第6,050,260号明細書に記載されているような一体形CPAPブロワ及び加湿器。この装置では、充填及びクリーニングのために加湿チャンバが取り外される場合を除き、CPAPと加熱型加湿器は、互いに分離されない。
2.可撓性気道管により加熱型加湿器に連結されたスタンドアロン型CPAP装置。この機器は、一般に、安定性が得られるようトレイ上に置かれる。
3.スタンドアロン型であるのがよいが、モジュール式加熱型加湿器にも取付け可能であるCPAP装置。かかる装置では、可撓性気道管も設置用トレイも不要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CPAP装置により供給されるガスを加湿するよう容易にアップグレード又は更新できるCPAP装置を提供することが望ましい。
【0005】
アップグレード可能なガス装置の一例が、レスピロニクス・インコーポレイテッド(Respironics, Inc.)に譲渡された米国特許出願公開第2002/0077856号明細書に記載されている。
【0006】
本発明の目的は、アップグレードでき又は少なくとも健康管理業界に有用な選択肢を提供する呼吸補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、第1の特徴では、本発明は、呼吸補助装置であって、
ガスを実質的に正の平均圧力で提供するようになったガス送出装置と、
外部装置と通信するようになった通信ポートとを有し、
前記ガス送出装置は、少なくとも2つの形体、即ち、前記ガス送出装置が第1の状態で所定の機能を有する第1の形体と、前記ガス送出装置が第2の状態で所定の機能を有する第2の形体とに構成でき、前記第2の形体は、前記外部装置によって動作状態になる呼吸補助装置である。
【0008】
好ましくは、前記外部装置は、前記第2の形体を動作状態にした場合、不作動状態になる。
【0009】
好ましくは、前記ガス送出装置は、前記ガスを加湿する加湿器を含む。
【0010】
好ましくは、前記所定の機能は、前記ガスの積極的な加湿である。
【0011】
好ましくは、前記呼吸補助装置の一部は、前記第1の形体では使用状態から外され、前記呼吸補助装置への前記一部の使用組み込みは、前記第2の形体に対応している。
【0012】
好ましくは、前記第2の形体は、ソフトウェア又はハードウェアアップグレードキーを前記呼吸補助装置に結合することにより使用可能になる。
【0013】
好ましくは、前記アップグレードキーは、受け取った所定の要求データストリームに対して所定の応答データストリームを出すよう構成された電子回路又はコントローラを含む。
【0014】
好ましくは、前記電子回路又はコントローラは、前記電子回路又はコントローラが使用されたかどうか及びもし使用されていれば前記電子回路又はコントローラが次に前記第2の形体を動作状態にするために不作動状態になっているかどうかを指示する少なくとも1つのレジスタを含む。
【0015】
好ましくは、前記レジスタは、前記電子回路又はコントローラが用いられた前記呼吸補助装置のシリアルナンバーを含む。
【0016】
好ましくは、前記呼吸補助装置は、前記ガス送出装置と患者との間の導管を更に有し、前記所定の機能は、積極的な加湿及びヒータを前記導管内に設けること、又はヒータを前記導管と一体化することである。
【0017】
好ましくは、前記所定の機能は、前記ガスを加熱することに関連し、前記第2の形体は、前記導管を加熱すると共に(或いは)前記ガスを直接加熱するために前記ヒータに通電することに関する。
【0018】
好ましくは、前記所定の機能は、前記呼吸補助装置の使用に関するデータのストレージ又は表示に関し、前記第2の形体は、前記使用を指示するためにディスプレイに通電することに関する。
【0019】
好ましくは、前記所定の機能は、前記患者に送出された前記ガスの圧力レベルに関し、前記第2の形体は、前記圧力レベルの連続的修正又は段階的修正をもたらすことに関する。
【0020】
第2の特徴では、本発明の要旨は、呼吸ガスを患者に送出する方法であって、
ガス供給装置からガスを実質的に正の平均圧力で提供するステップを有し、
前記ガス供給装置は、少なくとも2つの形体相互間での前記ガス供給装置の切り換えを可能にする外部装置と通信し、
前記少なくとも2つの形体は、第1の状態で所定の機能を有する第1の形体及び第2の状態で前記所定の機能を有し、前記外部装置によって使用可能状態になることができる第2の形体である方法にある。
【0021】
好ましくは、前記方法は、前記第2の形体が使用可能状態になった場合、前記外部装置を不作動状態にするステップを有する。
【0022】
本発明は、上記構成からなり、更に、以下の実施形態の構成をも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の好ましい形態を添付の図面を参照して説明する。
【0024】
ガスを実質的に正の平均圧力で提供するように構成されたガス送出装置を有する呼吸補助装置について以下に説明する。ガス送出装置は、外部装置と通信するようになった通信ポートを有し、又、ガス送出装置は、少なくとも2つの形体に構成可能である。第1の形体は、ガス送出装置が第1の状態で所定の機能を有する場合である。第2の形体は、ガス送出装置が第2の状態で所定の機能を有する場合である。第2の形体は、外部装置によって動作状態になる。外部装置は、機械的キー又はソフトウェアキーであるのがよい。
【0025】
本発明は、選択的に不作動状態と作動状態をとることができる一体形、分離可能又は別体の加湿器を含む。加湿器を用いる使用と加湿器を用いない使用との切り換えは、加湿器を作動させる(後述する)作動ツールへのアクセス手段を有するユーザ又は販売業者の意思で決まる。
【0026】
代表的な一体形CPAP加湿器は、米国特許第6,050,260号明細書に記載されている。この米国特許を引用し、その内容を本明細書の一部とする。
【0027】
図1を参照すると、CPAP装置100は、当初、スタンドアロン型CPAPとして使用可能な状態で入手できる。ヒータプレートは、覆いシュラウド102によって隔離され、このシュラウドは又、CPAP装置出口104の結合ポートとなる。この形体では、加熱型加湿ハードウェア及び制御装置は、使用不能状態にある。
【0028】
CPAP装置に対するアップグレード(更新)及び加熱型加湿を含むハードウェアの制御装置の起動は、作動ツールの取付けにより行われる。図3に示すシュラウド102を隔離するヒータプレートの取外し及び(又は)作動ツールの取付けにより、加熱型加湿器の動作が行われるようソフトウェア制御式加熱型加湿ハードウェア106が使用可能になる。
【0029】
作動ツールの種々の形態の例としては、以下のものが挙げられる。
1.シリアルデータポート経由のソフトウェアキー
CPAP装置を、RS232シリアル接続方式を介してコンピュータに又は直接TCP/IP又は電話線を介してインターネットに接続して追加のソフトウェアかコード化作動データかのいずれかを受け取るのがよい。
【0030】
2.機械的キー
ヒータプレートの入口は、シュラウド102によって覆われている。機械的キー(110、図2A)が、シュラウドを取り外すために用いられる。ヒータプレート操作ノブ108が、図2Aに示すようにシュラウド102によってオフ状態にロックされている。アップグレードキーは、ヒータプレートをオンするノブを有するのがよい。図2A及び図2Bに示す一実施形態では、キー110に係合することにより、2つのスナップ嵌めフランジ112を押し、それによりシュラウド102を取り外すことができる。
【0031】
3.磁気キー
機械的キーと同様に、磁気キーを用いて図2に示すようにシュラウドを取り外すことができる。このキーは好ましくは、所定のパターンに配置された磁石を有する。このキーは、CPAP装置の場合、キャビティ内に滑り込まされる。ケース内部には、磁石のパターンを検出するホール効果センサが設けられている。キーが検出された場合、ヒータプレートが作動される。
【0032】
4.コード番号の確認
a)この確認は、図2を用いて説明できる。コード番号をCPAP装置に入力するのがよい。具体的に説明すると、CPAP装置のディーラ又はユーザは、フリーフォン番号で電話してCPAP装置のシリアルナンバーを知らせ、アップグレードのための代金の支払いを行う。すると、フリーダイヤルサービスは、ディーラ又はユーザにCPAP装置のシリアルナンバーに固有のコード番号を付与する。次に、このコード番号をキーパッド(図示せず)に入力してCPAP装置の加湿器部分を作動させる。変形例として、フリーダイヤルサービスは、インターネットを利用したサービスであってもよい。
【0033】
b)別の代替手段は、アップグレードキーが、CPAP装置の包装材の内部に隠れた状態で表示されている番号付きのカードを有することである。この番号は、ユーザがアップグレードキットの代金の支払いを済ませたことをフリーダイヤルサービスに知らせることができ、電話又はインターネットで金融取引を行う必要はない。これと同様に、詐欺行為防止のため、番号をストアして番号が2度用いられた場合に警報が出されるようにしてもよい。市販された加湿器シリアルナンバー及びコードのデータベースも又必要な場合がある。また、アップグレードのために用いられた番号も又、ディーラ又はユーザが番号を作り出すのを阻止するためにストアするのがよい。
【0034】
c)別の代替手段は、ディーラ又はユーザが加湿器シリアルナンバーを提示し、パックシリアルナンバーをアップグレードすることである。両方が有効な場合、加湿器シリアルナンバーを用いるアルゴリズムによってPIN(暗証番号)を作成することができる。中央データベースは、各加湿器に関してどのアップグレードが使用されたかについての記録を保持する。アップグレードキットのシリアルナンバーは、幾つかのあらかじめ設定されたパターンに従うのがよく、例えば、13で割り切れる番号だけを用いるのがよい。これが意味することは、市販されたシリアルナンバーのデータベースを維持することは必要ではないということである。この例においてディーラ又はユーザが有効な番号を作れる可能性は、1/13であり、これは、特に不正な試みの記録が含まれる場合、ディーラ又はユーザを抑止するのに十分のはずである。
【0035】
変形例として、アルゴリズムは、シリアルナンバーをPIN番号である4桁の番号に変換してもよい。
【0036】
5.ドングル
CPAP装置による問合せに対して所定の仕方で応答するよう設計された電子回路を有するプラグインパック又は「ドングル」(スレーブ装置)又はCPAP装置に問い合わせしてこれを制御するよう設計された電子回路を有するプラグインパック(マスター装置)をCPAP装置と共に提供するのがよい。プラグインパックは、CPAP装置の専用ソケット又は既存のシリアルポート接続ポイントにプラグ接続できる。これと同様に、公知のタイプのスマートカードをCPAP装置とインタフェースして加湿器を作動させてもよい。
【0037】
さらに、かかるドングルは、CPAP装置の加湿器部分のヒータプレートを動作させるのに必要な電子回路のうちの何割かを含むのがよい。この場合も又、図1及び図2に見えるシュラウドが必要な場合がある。
【0038】
図10に示すように、CPAP装置の加湿器部分に設けられたシリアルポートにプラグ接続される電子アップグレードキー又はドングルの別の例が提供されている。
【0039】
このキー又はドングルは、図10に示されており、プラグ1002、電子回路1000、下側ハウジング1006及び上側ハウジング1004を有している。この場合、図11に示すようにユニット1102全体をソケット1100にプラグ接続する。
【0040】
5.1 機能
使用にあたり、CPAP装置をアップグレードしてガスの加湿及び加熱を可能にするため、CPAP装置をオンに切り換えてこれが動作している状態で、マスター装置のアップグレードキー又はドングル(マスター装置)を好ましくはCPAP装置にプラグ接続する。接続時、アップグレードキー又はドングルは、固有のシリアル指令をCPAP装置に出して加湿器の機能を使用可能にする。この指令がCPAP装置によっていったん処理されると、加湿器をCPAP装置上で永続的に使用可能な状態になる。その結果、アップグレードキー又はドングルの存在は、もはや不要である。この設計の利点は、CPAP装置の既存のシリアルポートを他の用途から奪うことなく、かかる既存のシリアルポートにアップグレードキー又はドングルを使用できるということにある。
【0041】
変形例として、CPAP装置のスイッチをオンにする前に、先ず最初に、スレーブ装置のアップグレードキー又はドングルをCPAP装置にプラグ接続してもよい。CPAP装置は、電源投入中、スレーブアップグレードキーがあるかどうかを1度チェックするだけのために設計されたものであってよい。この設計の利点は、CPAP装置の既存のシリアルポートを他の用途から奪うことなく、この既存のシリアルポートにかかるアップグレードキーを使用できるということにある。当然のことながら、CPAP装置にスレーブアップグレードキーのための専用シリアルポートを設け、したがって、CPAP装置がアップグレードキーの存否についてそのポートを常時チェックするように改造できる。
【0042】
更に、アップグレードキーがプラグ接続されている状態で、CPAP装置をいったんオンに切り換えると、ユーザは、ユーザがアップグレードしたいということを指示できるようボタンの組合せを押し下げたままにするのがよい。アップグレードキーがCPAP装置によっていったん検出されて確認されると、CPAP装置又はアップグレードキーは、所要の形体変更を開始させる。
【0043】
好ましい形態では、アップグレードキー又はドングルは好ましくは、2つの動作モードを有する。第1の動作モードは、キーがCPAP装置に接続されたときに作動される(「ノーマルモード」)。第2の動作モードは、キーがコンピュータ処理装置に接続されたときに作動される(「ファクトリモード」)。ノーマルモードでは、キーは、マスターとして働き、この場合、キーは、CPAPスレーブ装置への指令を出してCPAPスレーブ装置から戻って来たデータをモニタする。ファクトリ(工場)モードでは、キーは、スレーブとして働き、この場合、キーは、コンピュータ処理装置上の或る特定のソフトウェアにより出された要求のために働く。これにより、キーの構成を製造中及び(又は)点検整備中、コンピュータ処理装置により問い合わせて修正することができる。
【0044】
上述したように、アップグレードキーを用いると、CPAP装置の加湿器を作動させることによりCPAP装置をアップグレードすることができる。変形例として、アップグレードキーを用いると、「リモート構成」とも呼ばれているCPAP装置のパラメータをカスタマイズしてコンフィグすることができる。例えば、CPAP製造業者は、CPAP装置に対する標準のデフォルト設定状態でCPAP装置を製造することができる。CPAP装置を或る特定の消費者の要求に合わせて製造するために、製造業者は、消費者の要求によりプログラムしたアップグレードキーを製造するのがよい。プログラムできる例示のパラメータとしては、ガス圧力設定値、標高設定値、湿度快適さレベル及びガス送出管設定値が挙げられる。
【0045】
アップグレードキーの別の好ましい特徴は、「ファクトリリセット」と呼ばれている方法で元々のファクトリ(工場)設定値を復元することによりレンタル又は中古のCPAP装置を一新できることにある。これは、アップグレードキーをCPAP装置に接続し、このキーがCPAP装置を再プログラムし又はリセットできるようにすることにより実施できる。このキーがファクトリ設定値へのリセットを行うに過ぎないので、このキーを非動作状態にしないで再使用できる。かかるキーは、CPAP装置の点検整備をするディーラ及びディストリビュータ向けである。
【0046】
5.2 構成
一形態では、アップグレードキーは、ループバック(折り返し)インバータ設計のものであるのがよい。この設計は、アップグレードキーをCPAP装置に接続したとき、送信線と受信線との間に配置される単純な反転回路を採用する。CPAP装置がコードシーケンスを伝送するとき、反転エコーがアップグレードキーから生じてCPAP装置に送り戻される。この反転エコーは、CPAP装置によって確認され、CPAP形態が、確認結果に応じて変更される。
【0047】
この単純な設計により、ループバックインバータアップグレードキーの費用は、比較的安価である。しかしながら、この設計は、単純であることにより、ユーザによってその抜け道を見つけられやすい。さらに、アップグレードキーがいったん読み取られると、このキーを非動作状態にすることができない。これは、キーをCPAP装置に永続的に取り付けなければならないか、キーが潜在的に多数のCPAP装置をロック解除するよう使用できなければならないことを意味し、後者は、或る特定のアップグレード特徴には望ましくない。
【0048】
好ましい形態では、アップグレードキーは、マイクロコントローラを有する。アップグレードキーをCPAP装置に接続すると、特定のシリアル指令信号が、CPAP装置に伝送されて所望のアップグレード操作を開始させる。指令信号は、CPAP装置によって受信されて確認される。正しい信号が受信されていれば、CPAP装置は、例えば内部で所望の形体変更を行ってアップグレード特徴をCPAP装置に加えることができる。
【0049】
マイクロコントローラ形態のアップグレードキーの場合、マイクロコントローラ及びその関連回路に関する要件が原因となって、製造費が比較的高くなる。しかしながら、これは、ユーザによる抜け道発見を阻止する安全レベルの向上により相殺される。マイクロコントローラキーも又、同一キーを他のCPAP装置をコンフィグするために使用されるのを阻止するよう非動作状態にできる。例えば、所望のアップグレード操作をいったん確認して完了すると、マイクロコントローラは、専用の不揮発性メモリフラグを設定して、それ以上のアップグレードを行うべきでないことを指示し、これについては後で説明する。
【0050】
図6は、マイクロコントローラ形態のキーについての例示の接続性を示している。最も好ましい形態では、マイクロコントローラ600は、PIC12F629であり、これは、8ビットの4MHzプロセッサである。マイクロコントローラ600は、単純なシリアルポートインタフェース602に接続され、このインタフェースは、このキーのための外部通信ポートを構成する。シリアルポートインタフェースの仕様は、1つのスタートビット、1つのストップビット及び8つのデータビットを備え、パリティの無い9600ボー(又は、ビット数/秒)として定められる共通のものである。マイクロコントローラ600を動作させる電力は、寄生電源604から得られる。この電源がこのように呼ばれている理由は、この電源が、必要な電力を通信のために用いられる同一のシリアルポートインタフェースから取り出しているからである。特に、電力は、伝送線606から取り出される。伝送線606及び受信線608は、全体として符号610で示されたCPAPシリアルポートに接続されている。
【0051】
好ましい形態では、アップグレードキーは、内部256バイトの不揮発性メモリアレイを更に有するのがよく、このメモリアレイは、キーに関する構成及び状態情報をストアするために用いられる。不揮発性メモリアレイの例示の構造が、図7に示されている。メモリアレイの詳細については以下に説明する。かかる詳細は、例示に過ぎず、メモリアレイを提供できる唯一の仕方ではない。
【0052】
このメモリアレイは好ましくは、2つの別々の領域、即ち、制御ブロック700とユーザブロック702に分割される。制御ブロック700は、メモリ空間の最初の8バイトを占め、固定読み取り専用部分である。このブロックのバイトの各々は、以下に説明するように特定の用途に割り当てられる。キータイプのコード704は、キーのタイプ又はこのキーが何をするためにプログラムされているかを識別する単一バイトの値を有する。キーのタイプの例は、加湿器アップグレード、リモート構成及びファクトリリセットとして上述した。
【0053】
制御ブロック700の次のフィールド(欄)は、キー中に含まれたファームウェアに関するバージョン情報をストアするための2つの場所を占める。このフィールド中の最初のバイト、即ち、大バージョンコード706は、大分類キーバージョン番号を2進整数としてストアする。これは、ソフトウェアに対する大規模の変更が行われるたびに増分される。第2のバイト、即ち、小バージョンコード708は、これまた2進整数としてマイナーバージョン番号を有し、これは、小規模の変更だけが行われるときにはいつでも増分される。
【0054】
制御ブロックメモリ空間内の残りの場所は、符号710で示された保存場所としてマーク付けされ、アップグレードキーファームウェアかキー読み取り装置、例えばパーソナルコンピュータシステムかのいずれによっても使用できない。
【0055】
ユーザブロック702は、各キータイプの状態及び構成情報をストアするために使用できる汎用領域である。その結果、このスペース内でのバイトの特定の割り当ては、インストールされたキーのタイプで決まる。例えば、湿度アップグレードタイプのキーの場合、ブロック702中の最初の8つの場所は、アップグレードすることが最後に試みられたCPAP装置のシリアルナンバーをストアするために用いられる。この次に、機能の単一使用状態をストアする単一バイト場所が設けられる。この場所が値ゼロを有する場合、キーは、非動作状態にされており、もはやアップグレードを実行しない。
【0056】
5.3 作用
5.3.1 指令構造
好ましいアップグレードキーがどのように動作するかどうかについて理解するために、加湿器の機能を実行可能にするために、まず最初に、アップグレードキーからCPAP装置に送られた例示の指令について説明する。このシステムは、これを行うために単純なASCII準拠指令構造を用いている。全ての指令が、アップグレードキーマスターによって開始され、CPAP装置スレーブによって処理される。例示の指令は、以下のように示される。
E013\r\n
【0057】
指令は、4文字ストリングに続き1組の“\r\n”終了文字から成る場合がある。この文字列を2つの部分、即ち、単一文字固有識別子コードを含む第1の部分と3文字数値パラメータの第2の部分に分離できる。これら2種類の情報は、CPAPソフトウェアによって用いられて指令を処理し、所望の操作を開始させる。
【0058】
“E”として示された固有指令識別子は、実行されるのが望ましい操作を特定する。第2のパラメータは、指令により必要とされる追加の情報を特定する。ここでは、“E”は、ファクトリリセット操作を実行するための指令であるのがよい。
【0059】
5.3.2 アップグレードキー指令の送出
CPAPユニットに接続されたときのアップグレードキー装置の作用が、図8に示されている。接続時、アップグレードキーは、CPAP装置から電力を受け取る。これは、装置のマイクロコントローラシステムを起動し、このマイクロコントローラシステムが、任意の所要の起動初期化(800)を実行することができる。これに続き、アップグレードキーは、不揮発性メモリ内にストアされているその内部ACTIVEフラグに問い合わせする(801)。これは、CPAP装置の単一使用機能を実行するために用いられる。
【0060】
このフラグを消去した場合、アップグレードキーは、非動作状態になったと称され、即座に、シャットダウンモード(804)を入力する。これにより、このキーが単一CPAP装置をアップグレードできる唯一のものであるようになる。変形例として、このフラグをセットした場合、アップグレードキーは、動作(アクティブ)状態になったと称され、ステップ802に進む。これには、CPAP装置へのシリアル指令の送出が必要である。すると、CPAPは、この指令を認識し、湿度制御装置を内部的に使用可能にする。
【0061】
指令をいったん送ると、アップグレードキー装置は、次に進んで“ACTIVE”フラグを消去する(803)。この装置は今や、非動作状態であり、CPAP装置をそれ以上アップグレードするために使用することはできない。
【0062】
これら出来事の終わりに、アップグレードキー装置は、シャットダウンモード(804)を入力する。このモードでは、システムマイクロコントローラは、もはや動作状態にはなく、それ以上の操作は行われない。
【0063】
5.3.3 CPAP指令処理
アップグレードキーに接続されたときのCPAP装置の作用が、図9に示されている。アップグレードキーから正しいシリアル指令を受け取ると(900)、CPAP装置は、不揮発性メモリにストアされている“FEATURE”フラグ中に適当なフラグ(901)をセットする。これらフラグは、CPAP装置についてどの装置特徴を使用可能にするかを制御する。フラグのうちの1つをセットすることにより、関連の特徴、例えば加湿器操作を使用可能にすることができる。これがいったん完了すると、CPAP装置は、新たに使用可能になった特徴で再スタートする(902)。
【0064】
5.3.4 プロセスの流れ
非加湿型からコールドパスオーバー(cold passover)型へのアップグレードのためには、機械的キーによりシュラウドを取り外すことが必要である。
【0065】
コールド型からヒート(heat)型にアップグレードするためには、真正な電子キーをシリアルポートに挿入するのがよい。
【0066】
ユニットをオンにしたときに電子キーが存在している場合、ユニットは、ヒータを動作状態にし、次に、キーを非動作状態にする。電子キーがいったん非動作状態にされると、これを別のユニットで再び使用することはできない。
【0067】
次に、電子キーを取り外し、ヒータは、動作状態のままになる。
【0068】
電子キーは、汎用キーであってもよく、固有の内部及び外部アクセスキーであってもよい。
【0069】
セキュリティも又、キー中の回路構成によって維持でき、かかる回路構成は、複雑過ぎて複製できない。
【0070】
キーがこのユニットに一意的にマッチしない例では、データベースは必要とされない。
【0071】
6.取外し可能なヒータプレート
CPAP装置は好ましくは、プラスチック製クレードルと一緒に供給され、この場合、ヒータプレートはその時点では、図3の水チャンバ106の下に位置するものである。プラスチック製クレードルは、現行のヒータプレートが備えている取付け及びはね出し構造の全てを有している。クレードルは、電気コネクタ及びクリップを更に有している。次に、上述の要素、サーミスタ及び熱電開閉器が結合されたプレス加工金属ヒータプレート頂面から成る第2の部分をアップグレードキットに入れた状態で供給する。すると、ディーラは、シュラウドを取り外し、ヒータプレートをクレードル内にプラグ接続するのがよい。プラスチック製クレードルを使用するということは、固定具及びばね機構をユニット内部であらかじめ組み立てることができ、従ってヒータプレートを工具無しでしかもユニットを分解する必要なく取り付けることができるということを意味している。
【0072】
好ましい実施形態では、非加湿CPAP形体はヒータプレート上にシュラウドを利用しているが、これは不要であることは理解されよう。ヒータプレートを上述した方法のうちの任意のものにより不作動状態にすることができるが、水チャンバ又は加湿器(図3の符号106参照)は、両方の形態において定位置に位置している。
【0073】
7.コールドパスオーバー(cold passover)
図3のシステムは、加湿モードと非加湿モードの両方で動作できる水チャンバ106を有している。例えば、ヒータプレートを当初付けておく必要はなく、又はヒータプレートを付けておいてもよいが作動させないようにすることかできる。
【0074】
ヒータプレートを動作状態にするのは、例えば次の場合に行うのがよい。
1.ヒータプレートが回転式電位差計108によって制御される場合。電位差計108が回転するのを物理的に阻止するロックにより電位差計108を非動作状態にするのがよい。積極的な加湿へのアップグレードでは、第2のキーが電位差計のロックを取り外し、ヒータを動作状態にする必要がある。
2.ヒータプレートが、CPAP装置のボタンによりアクセスされるメニュー中の設定値によって制御される場合。この場合、積極的な加湿へのアップグレードでは、PIN番号がヒータプレートを作動させることが必要な場合がある。図5を参照すると、かかるキーパッド500が示されている。
【0075】
8.加熱型管
CPAP装置及びこれに付随するシステムは、ガスを患者に送出し、送出管中の加湿ガスの凝縮を最小限に抑えるよう加熱型ガス送出管を有するのがよい。この場合も又、これは、最初に非動作状態にされる場合がある。
【0076】
加熱型管制御装置を回転式電位差計で動作状態にするのがよく、この回転式電位差計は、この回転式電位差計が回転するのを物理的に阻止するようロックされる。アップグレードでは、第3のキーが加熱型管電位差計ロックを外し、加熱型管を動作状態にすることが必要である。
【0077】
変形例として、加熱型管制御装置をCPAP装置のフロントのボタンによりアクセスされるメニュー中の設定値によって動作状態にしてもよい。この場合も又、積極的な加湿へのアップグレードでは、PIN番号がヒータプレートを作動させることが必要な場合がある。
【0078】
例示のアップグレードキットは、次のものである場合がある。
1.コールドパスオーバーキット。これは、チャンバ、カバーを取り外すためのキー#1を有する。
2.加熱型加湿キット。これは、チャンバ、カバーを取り外すためのキー#1及び電位差計ロックを取り外すためのキー#2又はヒータを作動させるためのPIN番号を有する。
3.加熱型管キット。これは、チャンバ、カバーを取り外すためのキー#1、電位差計ロックを取り外すためのキー#2又はヒータを作動させるためのPIN番号、及び加熱状態の管電位差計ロックを取り外すためのキー#3又は第2のPIN番号を有する。
【0079】
9.他の機能アップグレード
電子又は機械的キーも又、他の機能のアップグレードのために使用するのがよい。例えば、患者のコンプライアンス又は患者による治療用CPAP装置の使用に関するデータをストアすると共に(或いは)表示することが望ましい場合がある。
【0080】
図5を参照すると、かかるコンプライアンスデータの表示のためのスクリーン502が見える。用いられるキーに応じて、機能の例示のレベルが以下に与えられている。
オプション1:装置は、なんら情報を表示せず。
オプション2:装置は、装置の稼働時間のみを表示する。
オプション3:装置は、ディスプレイ上に一覧表データを表示する。例えば、一晩当たり守られる平均使用時間。
オプション4:全コンプライアンスデータのダウンロード。1日中、装置にストアされたデータを分析のためにPCにダウンロードするのがよい。一覧表データも又、表示される。
【0081】
例えば上述した適当なPIN番号を入力することにより又は任意他の方法によりこれらオプションのうちどれでも起動させることができる。
【0082】
この方法は、装置の任意の機能、例えば吸息と呼息の関係について種々のレベルの送出圧力をアップグレードすること及び患者の示す症状に応じた圧力レベルを自動的に較正することにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の呼吸補助装置をCPAPのみの形態で示す斜視図である。
【図2A】図1のCPAPのみの形態の分解組立て図である。
【図2B】図2Aの逆の角度から見た図である。
【図3】制御パネルの第1の形態を有する加湿CPAP形体の第1の形態の本発明の呼吸補助装置の斜視図である。
【図4】制御パネルの第2の形態を有する加湿CPAP形体で呼吸補助装置を示す正面図である。
【図5】制御パネルの第3の形態を有する加湿CPAP形体にある呼吸補助装置の正面図である。
【図6】ドングルハードウェアのブロック図である。
【図7】ドングル用のメモリアレイを示す図である。
【図8】ドングルの動作に関する流れ図である。
【図9】CPAP装置の動作に関する流れ図である。
【図10】加湿器のシリアルポートにプラグ接続できる電子アップグレードキー又はドングルの一例の分解組立て図である。
【図11】加湿器にプラグ接続された図10のキー又はドングルの斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
100 持続的気道内陽圧(CPAP)装置
102 覆いシュラウド
104 出口
106 水チャンバ
108 ヒータパネル操作ノブ
1000 電子回路
1002 プラグ
1006 下側ハウジング
1004 上側ハウジング
1100 ソケット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸補助装置であって、
ガスを実質的に正の平均圧力で提供するようになったガス送出装置と、
外部装置と通信するようになった通信ポートとを有し、
前記ガス送出装置は、少なくとも2つの形体、即ち、前記ガス送出装置が第1の状態で所定の機能を有する第1の形体と、前記ガス送出装置が第2の状態で所定の機能を有する第2の形体とに構成でき、前記第2の形体は、前記外部装置によって動作状態になる、
ことを特徴とする呼吸補助装置。
【請求項2】
前記外部装置は、前記第2の形体を動作状態にした場合、不作動状態になる、
請求項1に記載の呼吸補助装置。
【請求項3】
前記ガス送出装置は、前記ガスを加湿する加湿器を含む、
請求項1または2に記載の呼吸補助装置。
【請求項4】
前記所定の機能は、前記ガスの積極的な加湿である、
請求項1ないし3の1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項5】
前記呼吸補助装置の一部は、前記第1の形体では使用状態から外され、前記呼吸補助装置への前記一部の組込み使用状態は、前記第2の形体に対応している、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項6】
前記第2の形体は、ソフトウェア又はハードウェアアップグレードキーを前記呼吸補助装置に結合することにより使用可能になる、
請求項4に記載の呼吸補助装置。
【請求項7】
前記アップグレードキーは、受け取った所定の要求データストリームに対して所定の応答データストリームを出すよう構成された電子回路又はコントローラを含む、
請求項6に記載の呼吸補助装置。
【請求項8】
前記電子回路又はコントローラは、前記電子回路又はコントローラが使用されたかどうか、及びもし使用されていれば前記電子回路又はコントローラがその後に前記第2の形体を動作状態にするために不作動状態になっているかどうかを指示する少なくとも1つのレジスタを含む、
請求項7に記載の呼吸補助装置。
【請求項9】
前記レジスタは、前記電子回路又はコントローラが用いられた前記呼吸補助装置のシリアルナンバーを含む、
請求項8に記載の呼吸補助装置。
【請求項10】
前記呼吸補助装置は、前記ガス送出装置と患者との間の導管を更に有し、
前記所定の機能は、積極的な加湿及びヒータを前記導管内に設けること又はヒータを前記導管と一体化することである、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項11】
前記所定の機能は、前記ガスを加熱することに関連し、
前記第2の形体は、前記導管を加熱すると共に(或いは)前記ガスを直接加熱するために前記ヒータに通電することに関する、
請求項9に記載の呼吸補助装置。
【請求項12】
前記所定の機能は、前記呼吸補助装置の使用状態に関するデータのストレージ又は表示に関し、
前記第2の形体は、前記使用状態を指示するためにディスプレイに通電することに関する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項13】
前記所定の機能は、前記患者に送出される前記ガスの圧力レベルに関し、
前記第2の形体は、前記圧力レベルの連続的修正又は段階的修正をもたらすことに関する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項14】
呼吸ガスを患者に送出する方法であって、
ガス供給装置からガスを実質的に正の平均圧力で提供するステップを有し、
前記ガス供給装置は、少なくとも2つの形体相互間での前記ガス供給装置の切り換えを可能にする外部装置と通信し、
前記少なくとも2つの形体は、第1の状態で所定の機能を有する第1の形体及び第2の状態で前記所定の機能を有し、前記外部装置によって使用可能状態になることができる第2の形体である、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記方法は、前記第2の形体が使用可能状態になった場合、前記外部装置を不作動状態にするステップを有する、
請求項14に記載の患者への呼吸ガスの送出方法。
【請求項1】
呼吸補助装置であって、
ガスを実質的に正の平均圧力で提供するようになったガス送出装置と、
外部装置と通信するようになった通信ポートとを有し、
前記ガス送出装置は、少なくとも2つの形体、即ち、前記ガス送出装置が第1の状態で所定の機能を有する第1の形体と、前記ガス送出装置が第2の状態で所定の機能を有する第2の形体とに構成でき、前記第2の形体は、前記外部装置によって動作状態になる、
ことを特徴とする呼吸補助装置。
【請求項2】
前記外部装置は、前記第2の形体を動作状態にした場合、不作動状態になる、
請求項1に記載の呼吸補助装置。
【請求項3】
前記ガス送出装置は、前記ガスを加湿する加湿器を含む、
請求項1または2に記載の呼吸補助装置。
【請求項4】
前記所定の機能は、前記ガスの積極的な加湿である、
請求項1ないし3の1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項5】
前記呼吸補助装置の一部は、前記第1の形体では使用状態から外され、前記呼吸補助装置への前記一部の組込み使用状態は、前記第2の形体に対応している、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項6】
前記第2の形体は、ソフトウェア又はハードウェアアップグレードキーを前記呼吸補助装置に結合することにより使用可能になる、
請求項4に記載の呼吸補助装置。
【請求項7】
前記アップグレードキーは、受け取った所定の要求データストリームに対して所定の応答データストリームを出すよう構成された電子回路又はコントローラを含む、
請求項6に記載の呼吸補助装置。
【請求項8】
前記電子回路又はコントローラは、前記電子回路又はコントローラが使用されたかどうか、及びもし使用されていれば前記電子回路又はコントローラがその後に前記第2の形体を動作状態にするために不作動状態になっているかどうかを指示する少なくとも1つのレジスタを含む、
請求項7に記載の呼吸補助装置。
【請求項9】
前記レジスタは、前記電子回路又はコントローラが用いられた前記呼吸補助装置のシリアルナンバーを含む、
請求項8に記載の呼吸補助装置。
【請求項10】
前記呼吸補助装置は、前記ガス送出装置と患者との間の導管を更に有し、
前記所定の機能は、積極的な加湿及びヒータを前記導管内に設けること又はヒータを前記導管と一体化することである、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項11】
前記所定の機能は、前記ガスを加熱することに関連し、
前記第2の形体は、前記導管を加熱すると共に(或いは)前記ガスを直接加熱するために前記ヒータに通電することに関する、
請求項9に記載の呼吸補助装置。
【請求項12】
前記所定の機能は、前記呼吸補助装置の使用状態に関するデータのストレージ又は表示に関し、
前記第2の形体は、前記使用状態を指示するためにディスプレイに通電することに関する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項13】
前記所定の機能は、前記患者に送出される前記ガスの圧力レベルに関し、
前記第2の形体は、前記圧力レベルの連続的修正又は段階的修正をもたらすことに関する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項14】
呼吸ガスを患者に送出する方法であって、
ガス供給装置からガスを実質的に正の平均圧力で提供するステップを有し、
前記ガス供給装置は、少なくとも2つの形体相互間での前記ガス供給装置の切り換えを可能にする外部装置と通信し、
前記少なくとも2つの形体は、第1の状態で所定の機能を有する第1の形体及び第2の状態で前記所定の機能を有し、前記外部装置によって使用可能状態になることができる第2の形体である、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記方法は、前記第2の形体が使用可能状態になった場合、前記外部装置を不作動状態にするステップを有する、
請求項14に記載の患者への呼吸ガスの送出方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−297116(P2006−297116A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−143340(P2006−143340)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(504298349)フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド (41)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143340(P2006−143340)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(504298349)フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド (41)
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