説明

呼吸補助装置

【課題】公知の呼吸補助装置が有する難点を解消する。
【解決手段】呼吸ガスの入口および出口とモータにより回転駆動されるように配置されるロータとを備え、加圧呼吸ガスの供給するためのベンチレータであって、出ていく加圧呼吸ガスをロータの回転軸と実質的に平行な方向に排出するように出口は配置されており、出口は、ロータにより発生した流束を該回転軸に対して斜め方向に集束させるように配置される収束部分と、該収束部分の下流に配置されベンチレータから出る流束をロータの回転軸に実質的に平行な方向に向かわせる整流部分とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には呼吸補助装置に関する。
より正確には、本発明は下記を備える患者用の呼吸補助装置に関する:
・加圧呼吸ガスの供給源、
・患者が該ガスを受け取るのを可能にする呼吸用接続部材、
・本装置の動作を表示するパラメータを獲得するための少なくとも一つのセンサ。
【背景技術】
【0002】
上記種類の装置は既に知られている。
ここに、図1は、公知の装置の1例10を模式的に示す。
装置10は、固定コンソール(操作卓)100を備える。
【0003】
この固定コンソール100は、とりわけ、加圧ガスの供給源105を備える。
実際には、このガス供給源はベンチレータ(換気器)またはファン(本書において以下では便宜上ベンチレータの用語を使用する)の形態をとりうる。
【0004】
ベンチレータはコンソールの内部に固定されて装着される。
固定コンソール100はまた、装置の動作を制御するための中央ユニットも一般に備える。
【0005】
そのような中央ユニットは、装置の動作を表示するパラメータ(典型的にはガス流量およびガス圧力)の1または2以上のセンサに接続されていて、この/これらのパラメータの関数として装置の動作を制御する。
【0006】
コンソールはユーザー(患者自身である場合もある)が調整するための手段も備える。
そのような手段は、図示例では、スクリーン101および制御/調節ボタン102の形態で模式的に示されている。
【0007】
呼吸ガスは、供給源105から、その第1端部が該供給源に接続されている導管110を経て患者に送られる。
導管110の第2端部は本書では一般に「呼吸用接続部材」なる用語で呼ばれよう。
【0008】
より一層一般的には、「呼吸用接続部材」は、装置と患者との間のインターフェース(接続手段)を意味する。
このような「呼吸用接続部材」は、図1の図に示すように、呼吸マスクに対応することができる。
【0009】
患者に後からこの第2端部を挿管する、いわゆる「侵襲」モードでこの種の装置を利用することも想定されることを明記しておく。
この後者の場合には、「呼吸用接続部材」は患者に挿管される単なる導管の端部に対応する。
【0010】
図1に示した例では、マスク120は呼吸ガスの漏れ口となるベント121を備える。これらの漏れ口は、特に患者が受け付けなかったCO2の一部を呼気相中に排気するのを可能にする。
【0011】
図1に関して上に述べた要素は多数の公知装置に見られる。
このような装置は実質的な補助を与える。
それにもかかわらず、それらはいくつかの難点といくつかの制限を伴う。これらの難点/制限の一部を次に説明する。
【0012】
まず、このような装置の全体的形状は一般にかなり大きなスペースを必要とする(固定コンソールと、このコンソールと患者とをつなぐ導管、場合によっては呼気導管のような他の導管、の存在のため)。
【0013】
このスペースの要件はそれ自体が難点となりうるものである。
さらに、この全体的形状は患者に対する制約も生ずる。
特に、患者は固定コンソールに導管によってつながれたままとならなければならない。
【0014】
これは当然患者の動きを制限し、不都合を生ずることがある(特に夜間、例えば、睡眠時無呼吸症治療の分野で)。
さらに、このような全体的形状では、患者が吐き出したCO2のある割合はマスクのベントを通って逃げることができるとしても、CO2の残りの割合は導管内に「捕捉」され、呼気時に押し戻される。
【0015】
こうして導管内にCO2の「栓(プラグ)」が形成される。そして、例えば患者が吐き出した菌のような汚染物がこの「栓」の中に見出されることがある。
そのため、このCO2の栓は患者に対する汚染源となり、患者はそれまでに吐き出したCO2と菌の一部を吸い込むように誘導されることが起こりうる。
【0016】
このCO2の栓はまた装置の汚染を生ずることもある。その場合、導管110の末端に位置するガス供給源のような装置の要素に向かって汚染が移行または押し出されることが起こり得る。
【0017】
装置のかかる要素におけるCO2とその汚染源となりうる物質の存在は、患者にとって危険となることすらある。
実際、CO2および/または汚染物質が装置のこのような要素に存在するかもしれない場合には、装置はこのCO2および/またはこれらの汚染物質を患者に送り込む危険性がある。
【0018】
これは患者にとって危険となりうる(特に過炭酸症の患者にとって)。
従って、この場合はこれらの要素を分解して洗浄する処理を行う必要がある。これは煩雑な作業となり、その間は装置を利用できなくなる。
【0019】
導管内に捕捉されたCO2に関してすぐ上に述べた汚染という特定の問題を差し引いても、患者は上記の洗浄作業に伴う難点にさらされることになることに留意されたい。
従って、公知の装置は、汚染(導管に関連するか関連しない)の特定の原因と考えられるものがあるかどうかという、これらの難点にさらされる。
【0020】
そのため、ベンチレータを時々分解して洗浄する作業が必要となり、これは前述したように煩雑な作業となり、さらにその間は装置を利用できないという難点もある。
特にコンソールと導管とを含む全体形状に関連する態様に関しては、導管の存在はガス装填と気体慣性の低下を生ずるということも触れておかねばならない。それにより、
・装置のエネルギー歩留まりが低下し、
・装置の制御の複雑さが増す。このような装填と慣性の低下は、装置の制御プログラムに組み込む必要があるからである。
【0021】
この難点は当然、導管が長いほどますますより顕著となる。
さらに、制限と難点は特にマスクのベントの存在にも関連する。
そして、用途によっては(特にBPAPまたはCPAPモードで機能する装置の場合)、これまで一般に利用されてきた公知の装置は図1に示した形態をとり、それはベント付きマスクを含んでいる。
【0022】
CPAP型(英語のContinuous Positive Airway Pressure[連続気道陽圧]の略号)
は単一の圧力レベルでの装置を意味することを述べておく。
この種の装置では、ベンチレータの回転速度は装置の単一導管(図1の導管110)に加わる圧力を測定することにより調節される。
【0023】
この唯一の制御圧力は、一般に20mbarより低い或る値に固定され(この値は大気圧に対する過剰圧(差圧)で示される)、それにより、この装置は軽度の症状の治療への使用は制限される。
【0024】
BPAP型(英語のBilevel Positive Airway Pressure[2レベル気道陽圧]の略号、この略号は登録商標でもある)の装置は、全般的には同じ構造を有しているが、2つの制御圧力(吸気圧の値と呼気圧の値)で機能する。
【0025】
図1に関して上述した装置(特にBPAPまたはCPAPモードで動作するもの)は、従ってベント付きマスクを備えることが多い。
このようなベント付きマスクは副作用の原因となることがある。
【0026】
特に、ベントに伴うガス出口は患者の身体の部分の方に向けられることがあり、身体のその部分の乾燥といった現象を引き起こす。
これは特にそのような結果が患者の眼に見られる時には欠点となる。
【0027】
また、装置の動作を管理するために漏れ口を考慮しなければならない(例えば、この動作を管理する中央ユニットのプログラムにおけるこれらの漏れ口の考慮)。
これは当然装置の複雑さを増す傾向がある。
【0028】
従って、上述した公知の装置にはいくつかの難点や制限が結びついているようである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】FR2784587
【特許文献2】WO03/49793
【特許文献3】DE10116361
【特許文献4】EP164946
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明の目的は、上述した難点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
この目的を達成するため、本発明は、
・ベンチレータである加圧呼吸ガスの供給源、
・患者が該ガスを受け取るのを可能にする呼吸用接続部材、
・装置の動作を表示するパラメータを獲得するための少なくとも一つのセンサ、および
・少なくとも一つのセンサからの情報に基づき少なくとも一つの気道陽圧の動作モードで装置を動作させるための中央制御ユニット
を備える、患者の呼吸補助装置であって、
ベンチレータが、呼吸用接続部材に取り外し可能に固定された取り外し可能なモジュールに組み込まれ、当該モジュールは装置の動作を表示するパラメータを獲得するための少なくとも一つのセンサを備え、呼吸用接続部材はベントのような漏れを可能にする手段を持たないマスクであって、ベンチレータはマスクに直接接続され、患者がベンチレータを通って直接息を吐き出すことができるように中央制御ユニットはベンチレータを制御することを特徴とする装置を提案する。
【0032】
かかる装置の好ましいが制限的ではない態様は次の通りである:
・該モジュールが呼吸ガスの圧力センサと流量センサとを備える、
・モジュールが、取り外し可能な締結手段によりマスクに取り外し可能に固定されている、
・該取り外し可能な締結手段がねじピッチを含むものである、
・該取り外し可能な締結手段がモジュールをつかむクリップ手段を含む、
・中央制御ユニットモジュールから離間して設置される制御コンソールに組み込まれ、モジュールが制御コンソールにリンクされている、
・該リンクがデータを該モジュールと該コンソールとの間で伝達可能にするものである、
・該リンクがワイヤレス・リンクである、
・該リンクがモジュールの構成要素を動作させるのに必要なエネルギーを該コンソールから該モジュールに送給するのを可能にする、
・該リンクがワイヤ・リンクである、
・ベンチレータが軸方向(アクシアル)ベンチレータである、
・ベンチレータ軸のロータが一段ロータである、
・ベンチレータにおいて呼吸ガスの流入方向と流出方向が互いに実質的に平行である
・ベンチレータが下記を備える:
*ベンチレータのロータの回転軸と実質的に整列している中心入口部分、
*該ロータにより発生した流束を該回転軸に対して斜め方向に集束させる出口部分、および
*発生し、集束された流束が、ベンチレータのロータの該回転軸に実質的に平行な全般的方向にベンチレータから流出するように、この流束を整流する手段、
・装置がBPAP型のものである、
・装置がCPAP型のものである。
【0033】
患者が呼吸するのを助けるための多くの装置またはシステムがこれまでに提案されてきた。例として、FR2784587、WO03/49793およびDE10116361を挙げることができる。しかし、かかる装置は本発明の具体的特徴(まず、ベンチレータが取り外し可能なモジュール内に配置されていることなど)を開示も示唆もしていない。
【0034】
本発明の他の態様、目的および利点は、添付図面を参照した以下の本発明の説明を読むとより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】公知の装置の1例を模式的に示す
【図2】本発明に係る装置に使用するために用意されたモジュールの概要図である。
【図3a】本発明に係るモジュールに使用することができるベンチレータの長手方向断面を示す説明図である。
【図3b】本発明に係るモジュールに使用することができる別のベンチレータの長手方向断面を示す説明図である。
【図4a】本発明の利用例を示す説明図である。
【図4b】本発明の別の利用例を示す説明図である。
【図5】本発明の別の変更例に利用することができるコンソールの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図2はモジュール20を模式的に示す。
このモジュールは、全体的には、底が円形のシリンダ(円筒)形状を有する。
この円筒の直径は、例えば、25〜35mm程度とすることができる。
モジュール20は次の2つの主要部分を含んでいる:
・ベンチレータを収容する第1部分21、
・ベンチレータの動作ならびにこのベンチレータにより発生した呼吸ガスの流束を表示するパラメータを得るための1もしくは2以上のセンサを収容する第2部分22。
【0037】
モジュール20は、装置の相補的な他の手段と共働するために、取り外し可能な固定手段を備えている。
モジュール20は実際本発明に係る装置に取り外し可能で簡単な方法により装着され、かつ取り外すことができるように意図される。
【0038】
そして、後からわかるように、このモジュール20は、本発明の態様に従って装置内のいくつかの異なる場所に嵌め込むことができる。
かくして、部分21は加圧呼吸ガスの流束を発生することができるベンチレータを収容している。
【0039】
モジュール20のコンパクトさを高めて、上述したオーダーのサイズ(直径25〜35mm)を可能にするために、ベンチレータはある特定の形態をとる必要がある。
より正確には、このベンチレータは軸方向ベンチレータ(これは、空気がベンチレータの回転要素の回転軸に実質的に平行な方向でこのベンチレータから出ることを意味する)である。
【0040】
本出願人は、実際、この種のベンチレータが、ガスがベンチレータのロータの回転ディスクに対して接線方向に出る遠心ベンチレータ型のベンチレータよりスペース要件が小さくてすむことを確かめた。
【0041】
特に、後者のようなベンチレータの態様では、流束の集束および整流チャネルをロータの周囲に設ける必要があり、それはモジュールの直径を実質的に増大させるであろう。
図3aは、モジュールの部分21に収容された軸方向ベンチレータの1態様を示す。
【0042】
この図は回転軸2110を中心として回転することができるロータ211を備えたベンチレータ210を模式的に示す。
ロータはベンチレータに組み込まれたモータにより駆動される(モータは図を明快にするために示さない)。
【0043】
ロータは、一段ロータ(すなわち、1系列の羽根しか含まない)または二段ロータ(すなわち、回転軸上に前後して装着された2系列の羽根を含む)とすることができることを明らかにしておく。
【0044】
空気入口212がロータ211の中心の向かい側に配置される。この空気入口は軸方向である(空気入口は、ロータの回転により吸い込まれた空気を回転軸2110に平行な方向に導入する)。
【0045】
空気は、出口213を通ってベンチレータから排出される(この出口は断面では2つの導管の形態で示されているが、これは回転軸2110を取り巻く回転体の幾何学形状を取りうる)。
【0046】
出口213の断面は下記の2つの主要部分を含むことが認められよう:
・ロータにすぐ隣接している第1部分2131。この部分2131は、ロータにより押し出されたガスの流束を最大効率で集束するように軸2110に対して斜めに向いているので、この流束の速度は、軸方向成分(軸2110に平行)だけでなく、接線成分も有している。
【0047】
・第1部分2131の下流側に位置し、ベンチレータから発する流束をこのベンチレータの軸方向に整流するように軸2110に実質的に平行に向いている第2部分2132。
2つの部分2131および2132の配置は、ベンチレータのスペースの要件を最小限にし、特にこのベンチレータの小型化された直径を保持するようになされている。
【0048】
モジュール20の第2部分22は、装置の動作を表示するパラメータを得るための少なくとも1つのセンサを含んでいる。
より正確には、本発明の好適態様において、この部分22は少なくとも1つの圧力センサおよび1つの流量センサを含んでいる。
【0049】
図3bは、モジュールの部分21に収容された軸方向ベンチレータ210’の可能な形態を示す。
このベンチレータはモータMにより回転運動する入口ロータ2110’を備える。
【0050】
モータMはベンチレータの出口に位置する別のロータ2111’も回転運動させることができる。
入口ロータのすぐ下流側に矯正手段213’を設けることができる。
【0051】
装置の動作を表示するパラメータを得るための少なくとも1つのセンサが、入口ロータの下流側(および矯正手段を設ける場合にはその下流側)のベンチレータの部分に配置される。
【0052】
より正確には、本発明の好適態様においては、この部分は少なくとも1つの圧力センサと1つの流量センサを含んでいる。
モジュール22はまた、部分22の(または部分21の、センサがこの部分に配置されている場合)センサから発する信号を増幅およびディジタル化するための手段、ならびにこれらの信号を装置のオフラインコンソールと交換する手段も備える。
【0053】
このオフラインコンソールは従来技術におけるような固定コンソールであってもよい。
このコンソールはまた、サイズが小型化された装置の形態の取り外し可能なコンソールとすることもできる。
【0054】
図4aは、本発明の第1の変更例の態様を示す。
この図では、患者Pはマスク420を介して呼吸するように示されている。
このマスク420は、本書の最初の方で触れた、患者が加圧ガス供給源から来るガスを呼吸するのを可能にする「呼吸用接続部材」に対応する。
【0055】
本発明のこの別の変更例では、実際、マスク(より正確には、図から見られるように、ベントを持たないマスク)の形態に作製された呼吸用接続部材を有することが一般に好ましい。
【0056】
ただし、本書において前述した本発明の多様な態様の全てを、マスクに対応させずに、導管の先端または患者に挿管することができる導管の一部に対応する呼吸用接続部材を持つように実現することもできることを明記しておく。
【0057】
図4aに関して、マスク420はベントのような漏出を可能にする開口を全く備えていないことが認められる。
マスク420は、従って実質的にガスの漏出を不可能にするようになっている。
【0058】
さらに、呼吸用接続部材は呼気バルブ(「呼息バルブ」と呼ばれることもある)に連結されていないも認められる。
マスク内のベントや呼気バルブのような漏出手段を持たない形態により、下記が可能となる:
・装置の設計、構築および動作が単純になる、
・ベンチレータがマスク近傍に配置されたことに伴う近接効果から最大限に利益が得られ、CO2の栓の生成が防止される。
【0059】
これに関して、次に述べるように、本発明はEP164946に開示されているような装置とは全く異なる:
・まず述べるべきであるのは、EP164946の装置は全く異なるカテゴリの装置に属するものであって、ユーザが吸い込む空気を濾過するために設計されているにすぎない装置であって、異なるモードに従って患者を換気するための配置を持たない(特に、当然のことながら、EP164946の装置の場合には、気圧モードまたは体積モードにおいて選択的に動作を制御することは不可能である)、
・EP164946の装置のまさにこの性質とのこの差異は、さらに、この装置のコンプレッサが、洗浄する価値すらない(むしろ、必要な時には単に交換する)要素と考えられていることによっても示される、
・EP164946の装置は呼気バルブ8と共に配置され、このことは、この濾過装置ではフィルターを通る息の吐き出し避けることが望ましいことから完全に納得がいく。これに関して、本発明は、タービンを通って直接息を吐き出すことができる装置を提供する(本発明の場合、タービンはマスクにすぐ隣接しているので、吸い込みダクトはない)。
【0060】
図2に関して述べた種類のモジュール20はマスク420に接続される。
より正確には、モジュール20は、例えば、ねじピッチを含む手段またはクリップ手段のような取り外し可能な締結手段によりマスクに取り外し可能に固定される。
【0061】
モジュールをマスク420に(より一般的にはモジュールを受け入れるための装置の任意の部分に)固定するには、一般に任意の取り外し可能な締結手段を採用することができることを明記しておく。
【0062】
モジュール20は、このモジュールのベンチレータがマスクの内部空間に呼吸ガスを供給するようにマスク420に固定される。
図4aはまたオフラインコンソール400を示す。
【0063】
このコンソールは図1のコンソール100と同様に、スクリーンおよび制御ボタンといったインターフェース手段を備える。
図4aの装置の場合、ベンチレータも加圧ガス供給源もコンソールには接続されていないことが認められよう。
【0064】
実際、この場合には、ベンチレータはマスク420に直接接続されている。
コンソール400には装置を動作させるための中央制御ユニットが組み込まれていてもよい。
【0065】
この場合、この制御ユニットはモジュール20のセンサから発する信号を受け取る。
このために、前述した手段によって、信号をモジュール内で予め増幅およびディジタル化しておく。
【0066】
モジュール20とコンソール400の中央ユニットとの間の信号の伝達は、図4aの装置の場合にはワイヤ型のリンクによりなされる。
この場合、データ伝送ケーブル430がモジュールから中央ユニットへの信号の伝達を担う。
【0067】
これらの信号の値に基づいて、中央ユニットはベンチレータに割当てられる回転速度の制御値を算出する。
この制御値は特にベンチレータのロータの回転速度の値とすることができる。
【0068】
この命令はコンソールとモジュールとの間の同じリンク(図4aの装置の場合はケーブル430)を介してベンチレータに伝達される。
図4aの装置が多くの利点を与えることは理解されよう。
【0069】
特に、コンソール400と患者とをつないで呼吸ガスを該患者に送り出す導管がないことが挙げられる。
これは、使用時にかなりの快適さと大きな自由度とを与える。
【0070】
また、導管がないために、公知の装置の導管内で起こりうるCO2の栓に関して本書の
初めの方で述べた難点が効果的に解消される。
これは重要な利点であり、これを「近接効果」と呼ぶことができる。
【0071】
より一般的には(そして導管の有無に関連する観点を別にしても)、モジュールが取り外し可能であるため、必要に応じて洗浄作業するためにベンチレータを迅速かつ簡単に分解することができる。
【0072】
さらに、マスクがベントを作らずに設けられるので、本発明の場合には、そのようなベントの存在に伴う難点にさらされることがない。
ベンチレータとその関連するセンサが患者のより近くに配置されるため、患者の近傍でのガスの状態を実際に表示するパラメータを、装置の動作を制御する中央ユニットに伝達することができることも認められよう。
【0073】
これに関して、マスク内のモジュールの埋め込みはマスク内の小さな体積しか占めないようになされる。
こうして、この装置の動作は、装置の状態変化に対して極めて短い応答時間で、中央ユニットにより「真に」リアルタイムで追跡することができる。
【0074】
特に、従来は患者にガスを搬送していた導管の長さがなくなるために、装置の動作を近くで追跡することができるようになり、ベンチレータに伝達された命令の効果が患者に瞬時に反映されるようになる
別の利点は、ベンチレータのモータが、モジュール20の部分22のセンサのすぐ近くにあることである。
【0075】
このモータが放出する熱は、実際、これらのセンサに流入する呼吸ガスを再加熱し、これらのセンサ付近でのガスの凝縮を効果的に防止する。
患者はコンソール400の動作を遠くから制御するために遠隔制御(リモコン)を使用することができることは認められよう。
【0076】
さらに、コンソール400は、それ自体を小型化して、装置の動作の制御を可能にする簡単なリモコンにすることもできる。
図4bは、本発明の別の変更態様を示す。
【0077】
この変更例では、オフラインコンソール400とモジュール20との間のリンクはワイヤレス(無線)リンクによりなされる。
図4bの装置のこのワイヤレスリンクは無線送信によって上述したデータおよび信号を効果的に伝送することができる。
【0078】
このような手段は、例えば、無線周波数送信機および受信機を含むことができる。これは例えばブルートゥース(BlueTooth)(登録商標)型のリンクとすることができる。
図4bに示した変更例の場合、モジュール20のベンチレータは、やはりモジュールに組み込まれた小型蓄電池を伴う。
【0079】
図4bの装置の残りの特徴は図4aの装置のそれらと同様である。
図5は、別の態様に対応する本発明の別の実現方式を示す。
この別の態様では、モジュール20は患者のマスク420に直接固定されるのではなく、モジュール20はコンソール400上に、またはこのコンソール内に装着される。
【0080】
この場合、導管110’がなおコンソールを患者のマスクに接続していて、患者に必要とする呼吸ガスを供給している。
この変更態様は、モジュール20が患者のマスクに直接埋め込まれる図4aおよび4bの装置に関して上述した利点の全てを与えるものではない。
【0081】
しかし、図5の変更態様は、それでも、例えば洗浄目的のため、ベンチレータの単純、迅速かつ簡単な分解を可能にする。
そして、この場合にも、ベンチレータは図3aに示した種類の軸方向ベンチレータである。
【0082】
この種の軸方向ベンチレータは、モジュール20に関連するスペース要件を効果的に縮小することとは別に、操作に関する利点も与える。
これに関して、まず、呼吸補助装置が流量または圧力下で追跡できることを想起されたい。
【0083】
流量追跡では、ベンチレータの動作は本質的に呼吸ガスの流量センサから来る信号の関数として制御される。
この種の追跡は装置のいわゆる体積モードに対応する。
【0084】
装置を気圧モードで追跡することも可能である。
この場合、ベンチレータ用に定められた制御信号は本質的に呼吸ガスの圧力センサから来る信号の関数として算出される。
【0085】
このような気圧追跡は、症状の軽い患者(特に睡眠時無呼吸症に罹患している患者)の換気によく採用される。
本出願人は、軸方向型のベンチレータの方が、遠心型のベンチレータより、圧力下での装置の追跡の保持により有能であること確認した。
【0086】
実際、このような軸方向ベンチレータは特に次のような呼吸ガスの流束を発生させるのによく適合している:
・比較的低圧(圧力値が約25mb以下)、
・流量が高い(典型的には約150l/min以上の流量値)。
【0087】
そして、この種の圧力および流量の値は、BPAPまたはCPAPの動作のモードと現在関連しており、それらの動作モードが本発明の動作モードに対応する。
加圧ガスの供給源として軸方向ベンチレータを使用すると装置の安全性を押し上げるのを助けることができることも記しておく。
【0088】
実際、加圧ガスの供給源から電力を奪ってしまう停電の場合、患者にとって、他のどの種類の加圧ガス供給源を「通して」より、軸方向ベンチレータを「通して」呼吸し続けることがずっと容易であるだろう。
【0089】
軸方向ベンチレータの形態の加圧ガスの供給源のさらに別の利点は、この種の供給源の動作に伴う雑音が小さいことである。特に睡眠時無呼吸症の治療の分野において、装置の使用の快適さが増す。
【0090】
適切な全ての場合において、本発明に係る装置はBPAPまたはCPAP型の装置とすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸ガスの入口および出口とモータにより回転駆動されるように配置されるロータとを備え、加圧呼吸ガスを供給するためのベンチレータであって、
出ていく加圧呼吸ガスをロータの回転軸と実質的に平行な方向に排出するように出口は配置されており、
出口は、ロータにより発生した流束を該回転軸に対して斜め方向に集束させるように配置される収束部分と、該収束部分の下流に配置されベンチレータから出る流束をロータの回転軸に実質的に平行な方向に向かわせる整流部分とを備えることを特徴とするベンチレータ。
【請求項2】
入ってくる呼吸ガスをロータの回転軸に実質的に平行な方向に導入するように入口は配置される請求項1記載のベンチレータ。
【請求項3】
入口が個別の2つの導管を備える請求項1または2記載のベンチレータ。
【請求項4】
収束部分はロータにすぐ隣接するように配置される請求項1から3のいずれかに記載のベンチレータ。
【請求項5】
ロータは少なくとも1系列の羽を備える請求項1から4のいずれかに記載のベンチレータ。
【請求項6】
ロータはその回転軸上に前後して装着された2系列の羽根を備える二段ロータである請求項5記載のベンチレータ。
【請求項7】
圧力センサおよび流量センサの少なくとも一つを備える請求項1から6のいずれかに記載のベンチレータ。
【請求項8】
ベンチレータはモジュール内に収容され、該モジュールは二つの部分を有し、第1の部分はベンチレータを含み、第2の部分は前記圧力センサおよび流量センサの少なくとも一つを含む請求項7記載のベンチレータ。
【請求項9】
・加圧呼吸ガスの供給源、および
・患者が該ガスを受け取るのを可能にする呼吸用接続部材、
を備える、患者の呼吸補助装置であって、
前記加圧呼吸ガスの供給源が請求項1から8のいずれか一つに記載されるベンチレータであることを特徴とする呼吸補助装置。
【請求項10】
呼吸用接続部材がマスクである請求項9記載の装置。
【請求項11】
マスクは漏れを可能にする手段を持たないマスクである請求項10記載の装置。
【請求項12】
ベンチレータは呼吸用接続部材に直接接続される請求項9から11記載の装置。
【請求項13】
装置がBPAP型のものであることを特徴とする、請求項9記載の装置。
【請求項14】
装置がCPAP型のものであることを特徴とする、請求項9記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−101824(P2011−101824A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28776(P2011−28776)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【分割の表示】特願2006−518403(P2006−518403)の分割
【原出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(505356022)レスメ・パリ (3)
【氏名又は名称原語表記】RESMED PARIS
【Fターム(参考)】