呼吸補助装置
【課題】携帯性に優れ、運動中の使用に適した呼吸補助装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る呼吸補助装置10は、ヘッド部11と、装着部12と、通気管13と、圧力調整ユニット14とを有する。装着部12はユーザの頭部に装着されることで、ヘッド部11がユーザの口元に配置される。圧力調整ユニット14は、ユーザの肩や背、腰などに取り付けられる。通気管13は圧力調整ユニット14に接続されているとともに吸気口111aと連通しており、通気管13の内部は、圧力調整ユニット14の吸気あるいは送気作用によって減圧または加圧される。これにより、吸気口111aの周辺に低圧の空気或いは高圧の空気が形成され、ユーザに対して所望の圧力の空気を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る呼吸補助装置10は、ヘッド部11と、装着部12と、通気管13と、圧力調整ユニット14とを有する。装着部12はユーザの頭部に装着されることで、ヘッド部11がユーザの口元に配置される。圧力調整ユニット14は、ユーザの肩や背、腰などに取り付けられる。通気管13は圧力調整ユニット14に接続されているとともに吸気口111aと連通しており、通気管13の内部は、圧力調整ユニット14の吸気あるいは送気作用によって減圧または加圧される。これにより、吸気口111aの周辺に低圧の空気或いは高圧の空気が形成され、ユーザに対して所望の圧力の空気を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気下において例えば高地環境と同程度の低酸素状態を実現することができる呼吸補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運動機能や心肺機能の向上を目的とする高地でのトレーニングは、通常、平地から高地への移動が必要となるため、時間的および経済的な負担が大きい上、治安、公衆衛生、言語など数多くの不安要素を伴う。このような問題を解消するため、平地で簡単に高地を模した低酸素環境を実現するための種々の提案がなされている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1には、出入口となるドアが設けられている前面パネルと、後面を閉塞する後面パネルと、側面及び天面を閉塞する二枚の側天面パネルと、床面を閉塞する床面パネルとを備え、内部を高地と同じガス組成雰囲気にすることが可能な気圧調整モジュールが記載されている。また、特許文献2、3には、ユーザの呼気から酸素分圧の低い吸気用空気を形成する呼吸装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−44194号公報
【特許文献2】特表2003−515398号公報
【特許文献3】特開2006−312042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の気圧調整モジュールは、設備が大掛かりであるため一般的ではない。また、特許文献2、3に記載の呼吸装置は、ユーザの呼気から吸気用の低酸素空気を形成するための所定以上の容積を必要とするため、携帯性が悪く、運動中の使用には適さない。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、携帯性に優れ、運動中の使用に適した呼吸補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る呼吸補助装置は、ヘッド部と、装着部と、通気管と、圧力調整ユニットとを具備する。
上記ヘッド部は、吸気口を有する。
上記装着部は、上記ヘッド部を支持する。
上記通気管は、上記吸気口に連通する。
上記圧力調整ユニットは、上記通気管に接続され、上記通気管の内部を減圧または加圧する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る呼吸補助装置の概略図である。
【図2】上記呼吸補助装置のヘッド部の正面図である。
【図3】上記ヘッド部を構成するパイプ部材の要部正面図である。
【図4】上記呼吸補助装置の圧力調整ユニットを構成する駆動部の概略斜視図である。
【図5】上記駆動部の分解斜視図である。
【図6】上記駆動部を構成する切替ブロックの平面図である。
【図7】上記呼吸補助装置のセンサ部の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る呼吸補助装置は、ヘッド部と、装着部と、通気管と、圧力調整ユニットとを具備する。
上記ヘッド部は、吸気口を有する。
上記装着部は、上記ヘッド部を支持する。
上記通気管は、上記吸気口に連通する。
上記圧力調整ユニットは、上記通気管に接続され、上記通気管の内部を減圧または加圧する。
【0010】
上記呼吸補助装置においては、装着部がユーザの例えば頭部に装着されることで、ヘッド部がユーザの口元に配置される。圧力調整ユニットは、ユーザの肩や背、腰などに取り付けられる。通気管は圧力調整ユニットに接続されているとともに吸気口と連通しており、通気管の内部は、圧力調整ユニットの吸気あるいは送気作用によって減圧または加圧される。これにより、吸気口周辺に低圧の空気或いは高圧の空気が形成され、ユーザに対して所望の圧力の空気を提供する。
【0011】
上記圧力調整ユニットは、上記呼吸補助装置の使用目的に合わせて吸気機能および送気機能が使い分けられる。例えば運動機能の向上を目的として上記呼吸補助装置が使用される場合、圧力調整ユニットは吸気ユニットとして機能し、ユーザに比較的低圧の空気を提供する。一方、例えば高山病の予防を目的として上記呼吸補助装置が使用される場合、圧力調整ユニットは送気ユニットとして機能し、ユーザに比較的高圧の空気を提供する。なお、圧力調整ユニット、通気管あるいはヘッド部にコンダクタンスバルブ等の気圧調整機構を設けることで、吸気口の酸素量の調整を行うことができる。
【0012】
上記圧力調整ユニットは、ポンプ機構と、切替機構とを有する。上記ポンプ機構は、空気吸込み口と、空気吐出口とを含み、上記空気吸込み口から上記空気吐出口へ空気を送る。上記切替機構は、上記吸気口と上記空気吸込み口とが相互に連通する第1の状態と、上記吸気口と上記空気吐出口とが相互に連通する第2の状態とを選択的に切り替える。
上記構成によれば、吸気口の加圧操作と減圧操作を容易に行うことが可能となる。
【0013】
上記ポンプ機構は、典型的には電動式であるが、手動式でもよい。ポンプ機構として、小型かつ低消費電力のポンプユニットが採用されることで、携帯性が高められる。ポンプ形式は特に限定されず、例えば、ダイヤフラム方式、スクロール方式等が用いられる。
【0014】
上記切替機構は、ユーザによる手指の回転動作で上記第1の状態と上記第2の状態とが切り替え可能に構成することができる。また、これに限られず、電磁弁等を用いて電気的に各状態が切り替えられてもよい。
【0015】
上記呼吸補助装置は、センサ部と、制御部とをさらに具備してもよい。上記センサ部は、ユーザの生体情報を取得する。上記制御部は、上記センサ部の出力に基づいて上記ポンプ機構の運転を制御する。
上記のようにセンサ部によってユーザの簡易的な体調管理を行うことで、一定の場合に制御部によって当該装置の使用を制限することができる。
上記センサ部としては、ユーザの脈拍、体温等の測定する各種センサを用いることができる。
【0016】
上記ヘッド部は、上記装着部に対して回動自在に取り付けられてもよい。この場合、上記装着部に対する上記ヘッド部の回動位置に応じて上記ポンプ機構の運転およびその停止が切り替えられる。
これにより、ユーザによるヘッド部の回動操作によって呼吸補助装置の運転を制御することが可能となる。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る呼吸補助装置の概略図である。本実施形態の呼吸補助装置10は、ヘッド部11と、装着部12と、通気管13と、圧力調整ユニット14とを有する。ヘッド部11は装着部12に支持されており、装着部12はユーザHの頭部に装着される。圧力調整ユニット14は、ユーザHの腰部にベルト15を介して取り付けられる。通気管13は、ヘッド部11と圧力調整ユニット14との間に接続されており、圧力調整ユニット14によって調圧された空気をヘッド部11へ供給する。
【0019】
図2は、ヘッド部11の正面図である。ヘッド部11は、内部が空洞の金属あるいはプラスチックで形成されたパイプ部材110と、パイプ部材110に対して回転自在に取り付けられた筒部材111とを有する。パイプ部材110は、ユーザHの口元(口、鼻の部位)に対向する水平部分110aと、その両端を屈曲させてユーザの両耳あたりに向かって延びる両側部分110bとを有し、両側部分110bが装着部12に支持されている。パイプ部材110は環状に形成されてもよいし、両側部分110bに各々端部が形成されてもよい。一方、筒部材111は、パイプ部材110の水平部分110aに外挿されており、その所定位置には吸気口111aが開口されている。
【0020】
図3は、パイプ部材110の水平部分110aの構成を示す正面図である。水平部分110aには、切欠き110cが形成されており、切欠き110cを介してパイプ部材110の内部が外部と連通している。筒部材111は、切欠き110cを被覆するようにパイプ部材110の水平部分110aに取り付けられており、吸気口111aは、切欠き110cと整列するように筒部材111の回転位置が調整される。
【0021】
本実施形態では、吸気口111aの開口面積よりも切欠き110cの開口面積が大きく形成されている。したがって、吸気口111aは筒部材111の所定の回動角度範囲で切欠き110cと整列することができる。これにより、ユーザHの口あるいは鼻の位置に対応するように、吸気口111aを任意に位置に調整することが可能である。なお、筒部材111の回動はユーザHの手指で操作され、当該操作を容易に行えるように、筒部材111の両端にはローレット111bが形成されている。
【0022】
なお、図1に示すように、ヘッド部11は、ユーザHの口および鼻を被覆可能なマスク112を備えていてもよい。マスク112は、ヘッド部11のパイプ部材110の水平部分110aに対して着脱自在に構成される。
【0023】
装着部12は、ユーザHの頭部に装着される帽体121と、ヘッド部11を支持する支持機構122とを有する。帽体121は、ヘルメットのように比較的強固に形成されたものでもよいし、伸縮自在で比較的柔軟なものでもよい。また、帽体121は、ユーザHの頭部の全体を被覆するものに限られず、例えば、ユーザHの頭部に架け渡されるものであってもよい。支持機構122は、ヘッド部11の両側部分110bを支持し、帽体121に対するヘッド部11の相対位置を安定に保持する。支持機構122は、ヘッド部11を回動自在に保持する回動軸122aを有し、これによりヘッド部11は、使用時にユーザHの口元に配置される第1の位置と、非使用時にユーザHの頭上に配置される第2の位置とを有する。
【0024】
通気管13は、例えばユーザHの背後において、ヘッド部11のパイプ部材110と圧力調整ユニット14との間に接続される。通気管13は、圧力調整ユニット14によって調圧された空気をヘッド部11に供給するための吸気管あるいは送気管としての機能を有する。通気管13の内部は、パイプ部材110の内部と連通しており、例えばユーザHの後頭部あたりにパイプ部材110との連結部13aを有する。連結部13aは、ヘッド部11に対して回動自在に構成される。また、通気管13は例えばベローズパイプのように伸縮自在に構成されている。
【0025】
圧力調整ユニット14は、呼吸補助装置10の使用目的に合わせて吸気機能および送気機能が使い分けられる。例えば運動機能の向上を目的として呼吸補助装置10が使用される場合、圧力調整ユニット14は吸気ユニットとして機能し、ユーザHに比較的低圧の空気を提供する。一方、例えば高山病の予防を目的として呼吸補助装置10が使用される場合、圧力調整ユニット14は送気ユニットとして機能し、ユーザHに比較的高圧の空気を提供する。
【0026】
圧力調整ユニット14は、本体140と、電源ユニット141とを有する。本体140には、電源スイッチや各種情報の表示部等が設けられている。また、本体140は、通気管13の他の一端を固定する固定具142を有する。
【0027】
本体140の内部には、駆動部20が収容されている。図4は駆動部20の概略斜視図、図5は駆動部20の分解斜視図である。駆動部20はポンプ機構21と、切替機構22とを有する。
【0028】
電源ユニット141は、本体140に対して必要な電力を供給する。電源ユニット141は、充電可能な二次電池を含む。また、電源ユニット141は、充電端子141aと、この充電端子141aを外部電源と接続する着脱自在なコンセントケーブル141bとを有する。
【0029】
ポンプ機構21は、空気吸込み口21aと、空気吐出口21bとを含み、空気吸込み口21aから空気吐出口21bへ空気を送る機能を有する。ポンプ機構21は、典型的には電動式であるが、手動式でもよい。ポンプ機構21として、小型かつ低消費電力のポンプユニットが採用されることで、携帯性が高められる。ポンプ形式は特に限定されず、例えば、ダイヤフラム方式、スクロール方式等が用いられる。ポンプ機構21には高性能なポンプ性能は要求されず、例えば高地トレーニング用途に適した所望の圧力の空気を提供できる吸気能力を備えていればよい。本実施形態では、ポンプ機構21は、吸気口111a周辺に966hPa(高度約400m)から569hPa(高度約4600m)までの低圧環境を形成できる吸気能力を有する。
【0030】
切替機構22は、円筒形状のハウジング220と、円柱形状の切替ブロック221とを有する。ハウジング220の上面には第1のポート220aおよび第2のポート220bがそれぞれ形成され、ハウジング220の下面には第3のポート220cおよび第4のポート220dがそれぞれ形成されている。第3のポート220cは空気吐出口21bと連通し、第4のポート220dは空気吸込み口21aと連通している。第1のポート220aは第3のポート220cと同一直線上に整列しており、第2のポート220bは第4のポート220dと同一直線上に整列している。また、第1のポート220aは、通気管13およびパイプ部材110を介して吸気口111aに連通しており、第2のポート220bは、本体140に形成された給排口143に接続されている。
【0031】
切替ブロック221の上面には、同一円周上に90度間隔で形成された4つの孔221a、221b、221cおよび221dが形成され、切替ブロック221の下面には、同一円周上に90度間隔で形成された4つの孔221e、221f、221gおよび221hが形成されている。上面側の孔221a〜221dと下面側の221e〜221hとは、切替ブロック221の軸方向に相互に対向するように各々配置されている。そして、切替ブロック221の内部には4本の通路P1、P2、P3およびP4がそれぞれ形成されており、上面側の孔と下面側の孔とを所定の組み合わせで相互に連通させている。図示の例では、通路P1は、孔221aと孔221gとの間に形成され、通路P2は、孔221bと孔221fとの間に形成される。通路P3は、孔221cと孔221eとの間に形成され、通路P4は、孔221dと孔221hとの間に形成される。図6は、切替ブロック221の平面図である。通路P1および通路P3は、各々切替ブロック221の軸心部を通過しないように屈曲あるいは湾曲しており、相互に交差しないように形成される。
【0032】
切替ブロック221は、ハウジング220の内部に回転自在に収容される。ハウジング220の側周面には窓223が形成されており、本体140にも対応する箇所に同様な窓が形成されている。そして、これらの窓223を介して本体140の外部へ露出する切替ブロック221の側周面が操作されることで、切替ブロック221がハウジング220の内部で回転させられる。窓223の大きさは特に限定されず、ユーザHの手指で切替ブロック221を回動操作できる程度の大きさに形成される。また、切替ブロック221の側周面には、ユーザHの手指による回動操作を補助する目的でローレット加工(溝加工)またはハンドル状の突起が施されている。
【0033】
なお、ハウジング220は、例えば上面側と下面側とで2分割できる構造を有し、上記上面側と上記下面側とで切替ブロック221を挟み込むようにして一体化される。
【0034】
上記構成の切替ブロック221は、ハウジング220内における回転位置に応じて、ポンプ機構21側の空気吸込み口21aおよび空気吐出口21bと、ハウジング220側の第1のポート220aおよび第2のポート220bとの間の接続を切り替える。例えば図5に示すように、切替ブロック221の下面側の孔221gが空気吸込み口21aと対向し、かつ、孔221eが空気吐出口21bと対向する場合、空気吸込み口21aは通路P1を介して第1のポート220aに連通し、空気吐出口21bは通路P3を介して第2のポート220bに連通する。この状態でユーザHが切替ブロック221をその軸回りに時計方向へ90度回転させることで、空気吸込み口21aは通路P4を介して第2のポート220bに連通し、空気吐出口21bは通路P2を介して第1のポート220aに連通する。
【0035】
このように、切替機構22は、吸気口111aと空気吸込み口21aとが相互に連通する第1の状態と、吸気口111aと空気吐出口21bとが相互に連通する第2の状態とを選択的に切り替える。上記の各状態は、切替ブロック221を一方向へ90度ずつ回転させることで順番に切り替えられる。切替ブロック221を逆方向へ回転させた場合も同様である。
【0036】
上記第1の状態においては、圧力調整ユニット14は通気管13の内部を減圧し、吸気口111aへ大気圧より低い圧力の空気を供給する。一方、上記第2の状態においては、圧力調整ユニット14は通気管13の内部を加圧し、吸気口111aへ大気圧よりも高い圧力の空気を供給する。上記各状態は、呼吸補助装置10の使用目的に応じてユーザHによって選択操作される。
【0037】
圧力調整ユニット14は、吸気口111aへ供給される減圧空気あるいは加圧空気の圧力を調整するための調整器144をさらに有する。調整器144は、第1のポート220aと通気管13との間の連絡通路(図示略)を通過するエアのコンダクタンスを調整可能な弁体(コンダクタンスバルブ)を含む。調整器144は、ユーザHによって回転操作が可能なように本体140に取り付けられている。このような調整器144を備えることにより、ポンプ機構21を一定状態で駆動させながら所望の圧力を形成することができる。
【0038】
圧力調整ユニット14は、外部からの指令に応じてポンプ機構21の運転を制御する制御部145をさらに有する。制御部145は、本体140に備え付けの電源スイッチや各種設置スイッチに入力に応じてポンプ機構21を駆動制御する。
【0039】
制御部145は、外部センサからの指令に基づいてポンプ機構21の駆動を制御してもよい。本実施形態では、装着部12の支持機構122にヘッド部11の回転操作を検出するセンサが設けられており、ヘッド部11が上記第1の位置から上記第2の位置へ回動操作されたときにポンプ機構21の駆動を停止させる。また図2に示すように、吸気口111a近傍の圧力を検出するセンサ(例えば連成計)16をヘッド部11に配置し、センサ16の出力が設定された吸気圧あるいは吐出圧となるようにポンプ機構21の駆動を制御してもよい。上記各センサから制御部145への情報の送信は無線で行われるが、有線で行われてもよい。
【0040】
さらに、図7に示すように、ユーザHの生体情報を検出するセンサ部17をユーザHに取り付け、センサ部17の検出信号を制御部145で受信し、センサ部17の検出信号に基づいてポンプ機構21の駆動を制御してもよい。センサ部17が取得する生体情報としては、例えば、血圧、脈拍、体温、発汗量等が含まれる。検出した生体情報は、センサ部17に設けられた表示部17aに表示してユーザHが確認できるようにしてもよい。制御部145は、センサ部17からの信号を受信可能に構成されてもよく、この場合、ユーザHの体調管理を行うことができる。また、ユーザHの異常等を検知した場合にポンプ機構21の駆動を停止させてもよい。センサ部17から制御部145への情報の送信は無線で行われるが、有線で行われてもよい。
【0041】
センサ部17は、図示する腕時計タイプのものに限られず、ユーザHの腹部や胸部等に取り付けられるタイプのものであってもよい。また、センサ部17はユーザHに直接取り付けられるものに限られない。例えば、ヘッド部11の吸気口の近傍にユーザHの呼吸を検出可能にセンサを配置してもよい。
【0042】
本実施形態の呼吸補助装置10は、以上のように構成される。呼吸補助装置10の使用時、装着部12はユーザHの頭部に装着され、圧力調整ユニット14はベルト15を介してユーザHの腰部に取り付けられる。通気管13は圧力調整ユニット14に接続されているとともに吸気口111aと連通しており、通気管13の内部は、圧力調整ユニット14の吸気あるいは送気作用によって減圧または加圧される。これにより、吸気口周辺に低圧あるいは高圧の空気が形成され、ユーザHに対して所望の酸素濃度の空気を提供することが可能となる。
【0043】
圧力調整ユニット14は、呼吸補助装置10の使用目的に合わせて吸気機能および送気機能が使い分けられる。例えば運動機能の向上を目的として呼吸補助装置10が使用される場合、圧力調整ユニット14は吸気ユニットとして機能し、ユーザに低圧の空気を提供する。この場合、圧力調整ユニット14の切替機構22は、ポンプ機構21の空気吸込み口21aと吸気口111aとが相互に連通する第1の状態に切り替えられる。
【0044】
一方、例えば高山病の予防を目的として呼吸補助装置10が使用される場合、圧力調整ユニット14は送気ユニットとして機能し、ユーザHに高圧の空気を提供する。この場合、圧力調整ユニット14の切替機構22は、ポンプ機構21の空気吐出口21bと吸気口111aとが相互に連通する第2の状態に切り替えられる。
【0045】
本実施形態の呼吸補助装置10によれば、装置の主要な各部がユーザHの身体に保持されるため携帯性に優れ、運動しながらの使用が可能である。また、ユーザHの両手がフリーとなることで、器具を使用したトレーニング等にも対応することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、調整器144によって所望の圧力の空気を容易に形成することができる。これにより、高地トレーニング用途において、初級者から上級者に対して所望の呼吸環境を提供することができる。
【0047】
さらに、本実施形態によれば、切替機構22の操作によって使用目的を容易に切り替えることができるため、単独のポンプで実施可能となり、これにより圧力調整ユニット14の小型化、軽量化を図ることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変更が可能である。
【0049】
例えば以上の実施形態では、圧力調整ユニット14をベルト15を介してユーザHの腰部に固定する例を説明したが、ベルトに限られず、圧力調整ユニット14をユーザの肩、背中、胸、腕、腿などに固定するジャケット、ベスト、ズボン、各種バンドなどを用いてもよい。
【0050】
また、以上の実施形態では、切替ブロック221を回動操作することによって圧力調整ユニット14の吸気機能と送気機能とを切り替えるようにしたが、これに代えて、ヘッド部11の吸気口111aに対するポンプ機構21の空気吸込み口21aおよび空気吐出口21bの切り替えを電磁的に行う電磁弁が採用されてもよい。
【0051】
さらに、給排口143に公知の花粉フィルタや埃フィルタを取り付けることもできるようにしてもよい。これにより、フィルタを取り付けることにより送気ユニットとして使用する際に、ユーザに清浄な空気を送気することができる。
【符号の説明】
【0052】
10…呼吸補助装置
11…ヘッド部
12…装着部
13…通気管
14…圧力調整ユニット
17…センサ部
20…駆動部
21…ポンプ機構
21a…空気吸込み口
21b…空気吐出口
22…切替機構
111a…吸気口
145…制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気下において例えば高地環境と同程度の低酸素状態を実現することができる呼吸補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運動機能や心肺機能の向上を目的とする高地でのトレーニングは、通常、平地から高地への移動が必要となるため、時間的および経済的な負担が大きい上、治安、公衆衛生、言語など数多くの不安要素を伴う。このような問題を解消するため、平地で簡単に高地を模した低酸素環境を実現するための種々の提案がなされている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1には、出入口となるドアが設けられている前面パネルと、後面を閉塞する後面パネルと、側面及び天面を閉塞する二枚の側天面パネルと、床面を閉塞する床面パネルとを備え、内部を高地と同じガス組成雰囲気にすることが可能な気圧調整モジュールが記載されている。また、特許文献2、3には、ユーザの呼気から酸素分圧の低い吸気用空気を形成する呼吸装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−44194号公報
【特許文献2】特表2003−515398号公報
【特許文献3】特開2006−312042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の気圧調整モジュールは、設備が大掛かりであるため一般的ではない。また、特許文献2、3に記載の呼吸装置は、ユーザの呼気から吸気用の低酸素空気を形成するための所定以上の容積を必要とするため、携帯性が悪く、運動中の使用には適さない。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、携帯性に優れ、運動中の使用に適した呼吸補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る呼吸補助装置は、ヘッド部と、装着部と、通気管と、圧力調整ユニットとを具備する。
上記ヘッド部は、吸気口を有する。
上記装着部は、上記ヘッド部を支持する。
上記通気管は、上記吸気口に連通する。
上記圧力調整ユニットは、上記通気管に接続され、上記通気管の内部を減圧または加圧する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る呼吸補助装置の概略図である。
【図2】上記呼吸補助装置のヘッド部の正面図である。
【図3】上記ヘッド部を構成するパイプ部材の要部正面図である。
【図4】上記呼吸補助装置の圧力調整ユニットを構成する駆動部の概略斜視図である。
【図5】上記駆動部の分解斜視図である。
【図6】上記駆動部を構成する切替ブロックの平面図である。
【図7】上記呼吸補助装置のセンサ部の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る呼吸補助装置は、ヘッド部と、装着部と、通気管と、圧力調整ユニットとを具備する。
上記ヘッド部は、吸気口を有する。
上記装着部は、上記ヘッド部を支持する。
上記通気管は、上記吸気口に連通する。
上記圧力調整ユニットは、上記通気管に接続され、上記通気管の内部を減圧または加圧する。
【0010】
上記呼吸補助装置においては、装着部がユーザの例えば頭部に装着されることで、ヘッド部がユーザの口元に配置される。圧力調整ユニットは、ユーザの肩や背、腰などに取り付けられる。通気管は圧力調整ユニットに接続されているとともに吸気口と連通しており、通気管の内部は、圧力調整ユニットの吸気あるいは送気作用によって減圧または加圧される。これにより、吸気口周辺に低圧の空気或いは高圧の空気が形成され、ユーザに対して所望の圧力の空気を提供する。
【0011】
上記圧力調整ユニットは、上記呼吸補助装置の使用目的に合わせて吸気機能および送気機能が使い分けられる。例えば運動機能の向上を目的として上記呼吸補助装置が使用される場合、圧力調整ユニットは吸気ユニットとして機能し、ユーザに比較的低圧の空気を提供する。一方、例えば高山病の予防を目的として上記呼吸補助装置が使用される場合、圧力調整ユニットは送気ユニットとして機能し、ユーザに比較的高圧の空気を提供する。なお、圧力調整ユニット、通気管あるいはヘッド部にコンダクタンスバルブ等の気圧調整機構を設けることで、吸気口の酸素量の調整を行うことができる。
【0012】
上記圧力調整ユニットは、ポンプ機構と、切替機構とを有する。上記ポンプ機構は、空気吸込み口と、空気吐出口とを含み、上記空気吸込み口から上記空気吐出口へ空気を送る。上記切替機構は、上記吸気口と上記空気吸込み口とが相互に連通する第1の状態と、上記吸気口と上記空気吐出口とが相互に連通する第2の状態とを選択的に切り替える。
上記構成によれば、吸気口の加圧操作と減圧操作を容易に行うことが可能となる。
【0013】
上記ポンプ機構は、典型的には電動式であるが、手動式でもよい。ポンプ機構として、小型かつ低消費電力のポンプユニットが採用されることで、携帯性が高められる。ポンプ形式は特に限定されず、例えば、ダイヤフラム方式、スクロール方式等が用いられる。
【0014】
上記切替機構は、ユーザによる手指の回転動作で上記第1の状態と上記第2の状態とが切り替え可能に構成することができる。また、これに限られず、電磁弁等を用いて電気的に各状態が切り替えられてもよい。
【0015】
上記呼吸補助装置は、センサ部と、制御部とをさらに具備してもよい。上記センサ部は、ユーザの生体情報を取得する。上記制御部は、上記センサ部の出力に基づいて上記ポンプ機構の運転を制御する。
上記のようにセンサ部によってユーザの簡易的な体調管理を行うことで、一定の場合に制御部によって当該装置の使用を制限することができる。
上記センサ部としては、ユーザの脈拍、体温等の測定する各種センサを用いることができる。
【0016】
上記ヘッド部は、上記装着部に対して回動自在に取り付けられてもよい。この場合、上記装着部に対する上記ヘッド部の回動位置に応じて上記ポンプ機構の運転およびその停止が切り替えられる。
これにより、ユーザによるヘッド部の回動操作によって呼吸補助装置の運転を制御することが可能となる。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る呼吸補助装置の概略図である。本実施形態の呼吸補助装置10は、ヘッド部11と、装着部12と、通気管13と、圧力調整ユニット14とを有する。ヘッド部11は装着部12に支持されており、装着部12はユーザHの頭部に装着される。圧力調整ユニット14は、ユーザHの腰部にベルト15を介して取り付けられる。通気管13は、ヘッド部11と圧力調整ユニット14との間に接続されており、圧力調整ユニット14によって調圧された空気をヘッド部11へ供給する。
【0019】
図2は、ヘッド部11の正面図である。ヘッド部11は、内部が空洞の金属あるいはプラスチックで形成されたパイプ部材110と、パイプ部材110に対して回転自在に取り付けられた筒部材111とを有する。パイプ部材110は、ユーザHの口元(口、鼻の部位)に対向する水平部分110aと、その両端を屈曲させてユーザの両耳あたりに向かって延びる両側部分110bとを有し、両側部分110bが装着部12に支持されている。パイプ部材110は環状に形成されてもよいし、両側部分110bに各々端部が形成されてもよい。一方、筒部材111は、パイプ部材110の水平部分110aに外挿されており、その所定位置には吸気口111aが開口されている。
【0020】
図3は、パイプ部材110の水平部分110aの構成を示す正面図である。水平部分110aには、切欠き110cが形成されており、切欠き110cを介してパイプ部材110の内部が外部と連通している。筒部材111は、切欠き110cを被覆するようにパイプ部材110の水平部分110aに取り付けられており、吸気口111aは、切欠き110cと整列するように筒部材111の回転位置が調整される。
【0021】
本実施形態では、吸気口111aの開口面積よりも切欠き110cの開口面積が大きく形成されている。したがって、吸気口111aは筒部材111の所定の回動角度範囲で切欠き110cと整列することができる。これにより、ユーザHの口あるいは鼻の位置に対応するように、吸気口111aを任意に位置に調整することが可能である。なお、筒部材111の回動はユーザHの手指で操作され、当該操作を容易に行えるように、筒部材111の両端にはローレット111bが形成されている。
【0022】
なお、図1に示すように、ヘッド部11は、ユーザHの口および鼻を被覆可能なマスク112を備えていてもよい。マスク112は、ヘッド部11のパイプ部材110の水平部分110aに対して着脱自在に構成される。
【0023】
装着部12は、ユーザHの頭部に装着される帽体121と、ヘッド部11を支持する支持機構122とを有する。帽体121は、ヘルメットのように比較的強固に形成されたものでもよいし、伸縮自在で比較的柔軟なものでもよい。また、帽体121は、ユーザHの頭部の全体を被覆するものに限られず、例えば、ユーザHの頭部に架け渡されるものであってもよい。支持機構122は、ヘッド部11の両側部分110bを支持し、帽体121に対するヘッド部11の相対位置を安定に保持する。支持機構122は、ヘッド部11を回動自在に保持する回動軸122aを有し、これによりヘッド部11は、使用時にユーザHの口元に配置される第1の位置と、非使用時にユーザHの頭上に配置される第2の位置とを有する。
【0024】
通気管13は、例えばユーザHの背後において、ヘッド部11のパイプ部材110と圧力調整ユニット14との間に接続される。通気管13は、圧力調整ユニット14によって調圧された空気をヘッド部11に供給するための吸気管あるいは送気管としての機能を有する。通気管13の内部は、パイプ部材110の内部と連通しており、例えばユーザHの後頭部あたりにパイプ部材110との連結部13aを有する。連結部13aは、ヘッド部11に対して回動自在に構成される。また、通気管13は例えばベローズパイプのように伸縮自在に構成されている。
【0025】
圧力調整ユニット14は、呼吸補助装置10の使用目的に合わせて吸気機能および送気機能が使い分けられる。例えば運動機能の向上を目的として呼吸補助装置10が使用される場合、圧力調整ユニット14は吸気ユニットとして機能し、ユーザHに比較的低圧の空気を提供する。一方、例えば高山病の予防を目的として呼吸補助装置10が使用される場合、圧力調整ユニット14は送気ユニットとして機能し、ユーザHに比較的高圧の空気を提供する。
【0026】
圧力調整ユニット14は、本体140と、電源ユニット141とを有する。本体140には、電源スイッチや各種情報の表示部等が設けられている。また、本体140は、通気管13の他の一端を固定する固定具142を有する。
【0027】
本体140の内部には、駆動部20が収容されている。図4は駆動部20の概略斜視図、図5は駆動部20の分解斜視図である。駆動部20はポンプ機構21と、切替機構22とを有する。
【0028】
電源ユニット141は、本体140に対して必要な電力を供給する。電源ユニット141は、充電可能な二次電池を含む。また、電源ユニット141は、充電端子141aと、この充電端子141aを外部電源と接続する着脱自在なコンセントケーブル141bとを有する。
【0029】
ポンプ機構21は、空気吸込み口21aと、空気吐出口21bとを含み、空気吸込み口21aから空気吐出口21bへ空気を送る機能を有する。ポンプ機構21は、典型的には電動式であるが、手動式でもよい。ポンプ機構21として、小型かつ低消費電力のポンプユニットが採用されることで、携帯性が高められる。ポンプ形式は特に限定されず、例えば、ダイヤフラム方式、スクロール方式等が用いられる。ポンプ機構21には高性能なポンプ性能は要求されず、例えば高地トレーニング用途に適した所望の圧力の空気を提供できる吸気能力を備えていればよい。本実施形態では、ポンプ機構21は、吸気口111a周辺に966hPa(高度約400m)から569hPa(高度約4600m)までの低圧環境を形成できる吸気能力を有する。
【0030】
切替機構22は、円筒形状のハウジング220と、円柱形状の切替ブロック221とを有する。ハウジング220の上面には第1のポート220aおよび第2のポート220bがそれぞれ形成され、ハウジング220の下面には第3のポート220cおよび第4のポート220dがそれぞれ形成されている。第3のポート220cは空気吐出口21bと連通し、第4のポート220dは空気吸込み口21aと連通している。第1のポート220aは第3のポート220cと同一直線上に整列しており、第2のポート220bは第4のポート220dと同一直線上に整列している。また、第1のポート220aは、通気管13およびパイプ部材110を介して吸気口111aに連通しており、第2のポート220bは、本体140に形成された給排口143に接続されている。
【0031】
切替ブロック221の上面には、同一円周上に90度間隔で形成された4つの孔221a、221b、221cおよび221dが形成され、切替ブロック221の下面には、同一円周上に90度間隔で形成された4つの孔221e、221f、221gおよび221hが形成されている。上面側の孔221a〜221dと下面側の221e〜221hとは、切替ブロック221の軸方向に相互に対向するように各々配置されている。そして、切替ブロック221の内部には4本の通路P1、P2、P3およびP4がそれぞれ形成されており、上面側の孔と下面側の孔とを所定の組み合わせで相互に連通させている。図示の例では、通路P1は、孔221aと孔221gとの間に形成され、通路P2は、孔221bと孔221fとの間に形成される。通路P3は、孔221cと孔221eとの間に形成され、通路P4は、孔221dと孔221hとの間に形成される。図6は、切替ブロック221の平面図である。通路P1および通路P3は、各々切替ブロック221の軸心部を通過しないように屈曲あるいは湾曲しており、相互に交差しないように形成される。
【0032】
切替ブロック221は、ハウジング220の内部に回転自在に収容される。ハウジング220の側周面には窓223が形成されており、本体140にも対応する箇所に同様な窓が形成されている。そして、これらの窓223を介して本体140の外部へ露出する切替ブロック221の側周面が操作されることで、切替ブロック221がハウジング220の内部で回転させられる。窓223の大きさは特に限定されず、ユーザHの手指で切替ブロック221を回動操作できる程度の大きさに形成される。また、切替ブロック221の側周面には、ユーザHの手指による回動操作を補助する目的でローレット加工(溝加工)またはハンドル状の突起が施されている。
【0033】
なお、ハウジング220は、例えば上面側と下面側とで2分割できる構造を有し、上記上面側と上記下面側とで切替ブロック221を挟み込むようにして一体化される。
【0034】
上記構成の切替ブロック221は、ハウジング220内における回転位置に応じて、ポンプ機構21側の空気吸込み口21aおよび空気吐出口21bと、ハウジング220側の第1のポート220aおよび第2のポート220bとの間の接続を切り替える。例えば図5に示すように、切替ブロック221の下面側の孔221gが空気吸込み口21aと対向し、かつ、孔221eが空気吐出口21bと対向する場合、空気吸込み口21aは通路P1を介して第1のポート220aに連通し、空気吐出口21bは通路P3を介して第2のポート220bに連通する。この状態でユーザHが切替ブロック221をその軸回りに時計方向へ90度回転させることで、空気吸込み口21aは通路P4を介して第2のポート220bに連通し、空気吐出口21bは通路P2を介して第1のポート220aに連通する。
【0035】
このように、切替機構22は、吸気口111aと空気吸込み口21aとが相互に連通する第1の状態と、吸気口111aと空気吐出口21bとが相互に連通する第2の状態とを選択的に切り替える。上記の各状態は、切替ブロック221を一方向へ90度ずつ回転させることで順番に切り替えられる。切替ブロック221を逆方向へ回転させた場合も同様である。
【0036】
上記第1の状態においては、圧力調整ユニット14は通気管13の内部を減圧し、吸気口111aへ大気圧より低い圧力の空気を供給する。一方、上記第2の状態においては、圧力調整ユニット14は通気管13の内部を加圧し、吸気口111aへ大気圧よりも高い圧力の空気を供給する。上記各状態は、呼吸補助装置10の使用目的に応じてユーザHによって選択操作される。
【0037】
圧力調整ユニット14は、吸気口111aへ供給される減圧空気あるいは加圧空気の圧力を調整するための調整器144をさらに有する。調整器144は、第1のポート220aと通気管13との間の連絡通路(図示略)を通過するエアのコンダクタンスを調整可能な弁体(コンダクタンスバルブ)を含む。調整器144は、ユーザHによって回転操作が可能なように本体140に取り付けられている。このような調整器144を備えることにより、ポンプ機構21を一定状態で駆動させながら所望の圧力を形成することができる。
【0038】
圧力調整ユニット14は、外部からの指令に応じてポンプ機構21の運転を制御する制御部145をさらに有する。制御部145は、本体140に備え付けの電源スイッチや各種設置スイッチに入力に応じてポンプ機構21を駆動制御する。
【0039】
制御部145は、外部センサからの指令に基づいてポンプ機構21の駆動を制御してもよい。本実施形態では、装着部12の支持機構122にヘッド部11の回転操作を検出するセンサが設けられており、ヘッド部11が上記第1の位置から上記第2の位置へ回動操作されたときにポンプ機構21の駆動を停止させる。また図2に示すように、吸気口111a近傍の圧力を検出するセンサ(例えば連成計)16をヘッド部11に配置し、センサ16の出力が設定された吸気圧あるいは吐出圧となるようにポンプ機構21の駆動を制御してもよい。上記各センサから制御部145への情報の送信は無線で行われるが、有線で行われてもよい。
【0040】
さらに、図7に示すように、ユーザHの生体情報を検出するセンサ部17をユーザHに取り付け、センサ部17の検出信号を制御部145で受信し、センサ部17の検出信号に基づいてポンプ機構21の駆動を制御してもよい。センサ部17が取得する生体情報としては、例えば、血圧、脈拍、体温、発汗量等が含まれる。検出した生体情報は、センサ部17に設けられた表示部17aに表示してユーザHが確認できるようにしてもよい。制御部145は、センサ部17からの信号を受信可能に構成されてもよく、この場合、ユーザHの体調管理を行うことができる。また、ユーザHの異常等を検知した場合にポンプ機構21の駆動を停止させてもよい。センサ部17から制御部145への情報の送信は無線で行われるが、有線で行われてもよい。
【0041】
センサ部17は、図示する腕時計タイプのものに限られず、ユーザHの腹部や胸部等に取り付けられるタイプのものであってもよい。また、センサ部17はユーザHに直接取り付けられるものに限られない。例えば、ヘッド部11の吸気口の近傍にユーザHの呼吸を検出可能にセンサを配置してもよい。
【0042】
本実施形態の呼吸補助装置10は、以上のように構成される。呼吸補助装置10の使用時、装着部12はユーザHの頭部に装着され、圧力調整ユニット14はベルト15を介してユーザHの腰部に取り付けられる。通気管13は圧力調整ユニット14に接続されているとともに吸気口111aと連通しており、通気管13の内部は、圧力調整ユニット14の吸気あるいは送気作用によって減圧または加圧される。これにより、吸気口周辺に低圧あるいは高圧の空気が形成され、ユーザHに対して所望の酸素濃度の空気を提供することが可能となる。
【0043】
圧力調整ユニット14は、呼吸補助装置10の使用目的に合わせて吸気機能および送気機能が使い分けられる。例えば運動機能の向上を目的として呼吸補助装置10が使用される場合、圧力調整ユニット14は吸気ユニットとして機能し、ユーザに低圧の空気を提供する。この場合、圧力調整ユニット14の切替機構22は、ポンプ機構21の空気吸込み口21aと吸気口111aとが相互に連通する第1の状態に切り替えられる。
【0044】
一方、例えば高山病の予防を目的として呼吸補助装置10が使用される場合、圧力調整ユニット14は送気ユニットとして機能し、ユーザHに高圧の空気を提供する。この場合、圧力調整ユニット14の切替機構22は、ポンプ機構21の空気吐出口21bと吸気口111aとが相互に連通する第2の状態に切り替えられる。
【0045】
本実施形態の呼吸補助装置10によれば、装置の主要な各部がユーザHの身体に保持されるため携帯性に優れ、運動しながらの使用が可能である。また、ユーザHの両手がフリーとなることで、器具を使用したトレーニング等にも対応することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、調整器144によって所望の圧力の空気を容易に形成することができる。これにより、高地トレーニング用途において、初級者から上級者に対して所望の呼吸環境を提供することができる。
【0047】
さらに、本実施形態によれば、切替機構22の操作によって使用目的を容易に切り替えることができるため、単独のポンプで実施可能となり、これにより圧力調整ユニット14の小型化、軽量化を図ることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変更が可能である。
【0049】
例えば以上の実施形態では、圧力調整ユニット14をベルト15を介してユーザHの腰部に固定する例を説明したが、ベルトに限られず、圧力調整ユニット14をユーザの肩、背中、胸、腕、腿などに固定するジャケット、ベスト、ズボン、各種バンドなどを用いてもよい。
【0050】
また、以上の実施形態では、切替ブロック221を回動操作することによって圧力調整ユニット14の吸気機能と送気機能とを切り替えるようにしたが、これに代えて、ヘッド部11の吸気口111aに対するポンプ機構21の空気吸込み口21aおよび空気吐出口21bの切り替えを電磁的に行う電磁弁が採用されてもよい。
【0051】
さらに、給排口143に公知の花粉フィルタや埃フィルタを取り付けることもできるようにしてもよい。これにより、フィルタを取り付けることにより送気ユニットとして使用する際に、ユーザに清浄な空気を送気することができる。
【符号の説明】
【0052】
10…呼吸補助装置
11…ヘッド部
12…装着部
13…通気管
14…圧力調整ユニット
17…センサ部
20…駆動部
21…ポンプ機構
21a…空気吸込み口
21b…空気吐出口
22…切替機構
111a…吸気口
145…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口を有するヘッド部と、
前記ヘッド部を支持する装着部と、
前記吸気口に連通する通気管と、
前記通気管に接続され前記通気管の内部を減圧または加圧する圧力調整ユニットと
を具備する呼吸補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の呼吸補助装置であって、
前記圧力調整ユニットは、
空気吸込み口と、空気吐出口とを含み、前記空気吸込み口から前記空気吐出口へ空気を送るポンプ機構と、
前記吸気口と前記空気吸込み口とが相互に連通する第1の状態と、前記吸気口と前記空気吐出口とが相互に連通する第2の状態とを選択的に切り替える切替機構とを有する
呼吸補助装置。
【請求項3】
請求項2に記載の呼吸補助装置であって、
ユーザの生体情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部の出力に基づいて前記ポンプ機構の運転を制御する制御部とをさらに具備する
呼吸補助装置。
【請求項4】
請求項2に記載の呼吸補助装置であって、
前記ヘッド部は、前記装着部に対して回動自在に取り付けられており、
前記装着部に対する前記ヘッド部の回動位置に応じて前記ポンプ機構の運転およびその停止が切り替えられる
呼吸補助装置。
【請求項1】
吸気口を有するヘッド部と、
前記ヘッド部を支持する装着部と、
前記吸気口に連通する通気管と、
前記通気管に接続され前記通気管の内部を減圧または加圧する圧力調整ユニットと
を具備する呼吸補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の呼吸補助装置であって、
前記圧力調整ユニットは、
空気吸込み口と、空気吐出口とを含み、前記空気吸込み口から前記空気吐出口へ空気を送るポンプ機構と、
前記吸気口と前記空気吸込み口とが相互に連通する第1の状態と、前記吸気口と前記空気吐出口とが相互に連通する第2の状態とを選択的に切り替える切替機構とを有する
呼吸補助装置。
【請求項3】
請求項2に記載の呼吸補助装置であって、
ユーザの生体情報を取得するセンサ部と、
前記センサ部の出力に基づいて前記ポンプ機構の運転を制御する制御部とをさらに具備する
呼吸補助装置。
【請求項4】
請求項2に記載の呼吸補助装置であって、
前記ヘッド部は、前記装着部に対して回動自在に取り付けられており、
前記装着部に対する前記ヘッド部の回動位置に応じて前記ポンプ機構の運転およびその停止が切り替えられる
呼吸補助装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−234933(P2011−234933A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109543(P2010−109543)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
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