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呼息を用いて健康をモニタリングするためのシステムおよび方法
説明

呼息を用いて健康をモニタリングするためのシステムおよび方法

本発明は、内因性化合物そのものであるマーカーまたは内因性化合物から生じるマーカー、たとえば臭気を、患者が呼息したときに検出することによって内因性化合物の血中濃度をモニタリングするためのシステムおよび方法を含む。嗅覚マーカーの場合、本発明は、好ましくは、電子的センサー技術、たとえば「人工」または「電子」のノーズまたはタングと呼ばれる市販の装置を使用して、内因性化合物の血中レベルを非侵襲的にモニタリングする。本発明はさらに、内因性化合物の血中濃度を追跡し(遠隔または近接場所)、患者における緊急または有害な状態に関して必要な警報を提供することができる報告システムを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、物質/化合物の血中濃度の非侵襲的モニタリングに関し、より具体的には、息検出システムを使用して薬物および内因性化合物の血中濃度を決定するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
関連出願の交互参照
本出願は、2005年12月13日出願の同時係属中の米国特許出願第11/301,911号の一部継続出願であり、同出願は、2005年2月28日出願の同時係属中の国際出願PCT/US2005/006355の一部継続出願であり、同出願は、2004年2月26日出願の同時係属中の米国特許出願第10/788,501の一部継続出願であり、同出願は、2002年6月24日出願の同時係属中の米国特許出願第10/178,877号の一部継続出願であり、同出願は、2002年1月22日出願の同時係属中の米国特許第10/054,619号の一部継続出願である。前述の出願すべては、図、表、または図面を含め、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
背景情報
息は特有の体液である。血液、尿、糞便、唾液、汗、および他の体液とは違い、息は、呼吸のたびに、ひいては連続的に入手可能である。息は、非侵襲的にサンプリングすることが容易であり、肺が心臓の右側からの血流のすべてを受けるため、息中の分析対象物/化合物の計測値は、血中濃度と強力かつ高い再現精度で相関する。他の体液に比べて深刻な感染症を移す可能性が低く、試料の捕集は簡単であり、痛みを伴わない。
【0004】
さらには、呼息は、37℃(体温)で100%の湿度を含み、したがって、エアロゾルとみなすことができる。捕集した試料の温度が37℃またはそれ以上に維持されるならば、試料はこの状態にとどまり、水に不溶性であるか、または容易に水から拡散する化合物に関してはガスとして処理することができる。この場合、気体媒体とで働くように設計されたセンサーが好ましいであろう。非常に水溶性であり、溶液中にとどまる可能性が高い化合物の場合、呼息試料は、冷却して凝縮物として捕集することができる。その場合、この液体は、液体ベースの分析のために設計されているセンサーで分析することができる。気相で検出可能である可能性が高い化合物、たとえば静脈麻酔剤であるプロポフォールは典型的には親油性(疎水性)であるが、液相で検出される可能性が高い化合物、たとえばグルコース、乳酸、およびおそらくは電解質は親水性である。したがって、呼息試料は、特定の化合物およびセンサーの場合には気体マトリックスを生成し、他の化合物およびセンサーの場合には液体マトリックスを生成するように扱うことができる。一つより多い化合物を検出すること(たとえば、息中の親水性分子および疎水性分子の検出)が望ましい場合、試料を分割し、一部をガスとして維持し、一部を液体として凝縮させることができる。
【0005】
息に特有の特性の一例は、薬物(合法および違法)の血中濃度とその薬物の息中濃度との相関である。患者体内の薬物の濃度は一般に、所与の期間にわたって患者によって摂取される薬の量、すなわち投与計画、および薬物が身体によって代謝され排除される速度の両方によって規制される。
【0006】
旧来、薬学的組成物は、患者の体重に基づく標準用量にしたがって患者に投与されていた。1970年代初期、てんかん患者に関して、薬物の血中濃度にしたがって調節される投薬量を用いる薬学的処置が、患者の体重にしたがって調節される投薬量を用いる処置よりもはるかに効果的であり、より良好な発作制御およびより少ない副作用を示すということが見いだされた。
【0007】
今や、多くの薬剤に関して、最適な治療薬効果を保証するために血流中の濃度をモニタリングすること(治療薬モニタリング[TDM])が必要であることが一般に認められている。薬剤は、血中濃度レベルが低すぎると効果を発揮しない。そのうえ、特定の薬剤は、血中濃度レベルが高すぎると、身体に対して毒性である。また、コンスタントなモニタリングを要しない薬剤に関して血中薬物濃度をモニタリングするための手段を有することは貴重であろう。薬物の血清中レベルをモニタリングすることにより、薬剤の投薬量を治療有効範囲内で個人ごとに決定することができる。
【0008】
たとえば、三環系(または四環系)抗うつ剤(TCA)を処方された患者は、血中レベルの頻繁なモニタリングを要する。TCAは、シナプス間隙へのセロトニンおよびノルエピネフリン再取り込みを阻害することによって作用する。このグループは、そのメンバーとして、三環系としてはアミトリプチリン、イミプラミン、ノルトリプチリン、およびクロミプラミンならびに四環系としてはマプロチリンおよびアモキサピンを含む。TCAは、うつ病の処置には非常に有効であるが、特に血中濃度が高すぎる場合、副作用の発生率が高く、そのいくつかは生命を脅かすこともある。したがって、TCAは、うつ病の処置に関しては、セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)によって概ね取って代わられるようになった。TCAはまた、主に心臓および脳で起こるナトリウムおよびカリウムチャネルの阻害によるTCAの有毒効果に加え、ノルエピネフリン再取り込みの阻害およびノルエピネフリンレベルの上昇による副作用を生じさせるおそれもある。後者は、鎮静、躁状態の発症、多量の発汗、動悸、血圧上昇、頻脈、舌、および上肢のれん縮および震えならびに体重増を生じさせることがある。
【0009】
SSRIは、せいぜいTCA程度の効果であるか、実際にはTCAよりもわずかに効果が劣る可能性があるが、TCAは、SSRIよりも毒性であり、過量の脅威がより大きいため、SSRIほど魅力的ではない。TCAの過量は、中枢神経系および心臓欠陥の毒性を招き、過量による相対的な致死率を市販のSSRIフルオキセチンに比べて2.5〜8.5倍の高さにする。TCAに伴うより大きな危険は、副作用およびコンスタントな血液サンプリングが患者をして処置を打ち切らせてしまうことである。研究は、従来の抗うつ剤(TCAまたはMAOI)を服用する患者の場合、SSRIを服用する患者に比べ、副作用およびコンスタントなモニタリングのせいで、処置を断念する確率が3倍であることを示している。興味深いことに、最近の研究は、一部のSSRI(および類似した薬物のグループ - 選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤[SNRI])には「カットオフ値」があり、このカットオフ値未満では、「カットオフ値」を超える用量よりもはるかに効果が劣り、このカットオフ値は、患者間の大きなばらつきのせいで、服用量によって決めることはできず、血中濃度によってのみ決めることができるということを示した。このように、製薬業者は、「一つの用量が万人に合う」ような薬剤を開発しようと試みてきたが、簡単で効力のある血中濃度決定法が利用可能になるならば、TDMが、より容易に適用され、副作用および過量を減らしながらも薬物の有効性を改良する可能性がある。呼息薬物モニタリングにはそのような見込みがある。
【0010】
このように、TDMを要する多くの治療的に有効な薬剤が、コンスタントな血液サンプリングの不便さおよび患者コンプライアンスの欠如を考慮して、医師によって処方されない可能性が高い。さらには、費用効果的な健康管理の現代では、実験的運用のすべての局面に関して処方費用の考慮が第一の問題になった。薬物治療の個別化は、薬物副作用の検出および排除、個人の代謝に基づく異常な代謝の検出および投薬量の調節ならびに疾病に対する効果に基づく異常な代謝の検出および投薬量の調節により、費用効果的な患者管理に貢献する。
【0011】
治療有効性と毒性との間の安全性マージンが狭い(治療指数が低い)場合、薬物レベル試験は、薬剤を投与される患者において特に重要である。TCAに加えて、他の薬物、たとえば不整脈および心不全を処置するために使用されるプロカインアミドまたはジゴキシン;発作を処置するために使用されるジランチン(dilantin)またはバルプロ酸;感染症を治療するために使用される抗生物質であるゲンタマイシンまたはアミカシン;および二極性疾患の処置のための主力であるリチウムが、安全性と投与による治療効果とのマージンが狭い薬剤の例である。
【0012】
現在TDMに利用可能な試験は侵襲的であり、管理しにくく、多くの場合、患者が健康管理施設(自宅ではなく)にいることを要する、および/または分析のための長い期間を要する。このような試験は一般に複雑であり、研究施設で分析を実施することを要する。健康管理提供者のオフィスは、血液試料を分析するのに適切な試験技術を所有することはめったになく、したがって、試料を外部研究施設に送るか、またはその患者を研究施設に紹介して血液を採取してもらうかしなければならず、それが分析のための長い期間を生じさせる。研究施設との間で移送する過程で、試料を紛失したり取り扱いを過ったり、誤った結果が健康管理提供者に提供されたりする危険性がより高く、それが患者の健康および安全にとって害になるおそれもある。さらには、薬物の血中濃度レベルを評価するために現在利用可能である現場用試験装置は高額である。ガスクロマトグラフィー質量分析法のような洗練された技術を使用する紹介先研究施設は典型的には、複雑で高額な毒物学的分析を実施して薬剤の量を決定する。
【0013】
現在のTDM法のさらなる問題は、血中濃度が「作用部位」における濃度と相関しないおそれがあるということである。薬物の血中濃度が、薬物がその生物学的効果を及ぼすところの細胞またはレセプタレベルでの濃度を直接的には反映しないおそれがあるということがわかった。多くの薬物の薬力学および薬物動態(PD/PK)はまた、個体間および個体内で広いばらつきを示す。作用の部位における薬物濃度は臨床応答と非常に良好に相関するが、典型的に、それを計測することは困難または不可能である。多くの場合、血漿薬物濃度が、薬剤の薬力学を決定するための有益かつ実施可能な計測を提供するが、患者における薬物処分の正確な報告を一貫して提供するわけではない。
【0014】
息に現れる薬剤の場合、息に現れる濃度が体内の「遊離」薬物、すなわち、治療効果に利用可能である薬物と良好に相関すると思われ、したがって、呼息中の濃度は、健康管理提供者が投与計画に関するインフォームドディシジョンを下すために知るべきもっとも重要な薬物画分の優れた測度である。大部分の対象者の場合、タンパク質および全血に結合した薬物の画分は本質的に広い範囲の血漿および血中濃度にわたって一定である(すなわち、通常の状況で血漿および全血濃度から遊離薬物濃度を演繹することができる)が、患者におけるこの相関を問題あるものにする様々な病的状況が生じるおそれがある(たとえば、薬物-薬物相互作用、大量失血および輸血、タンパク質喪失症候群等)。
【0015】
薬物処分が起こるプロセスは一般に四つある。すなわち、吸収、分散、代謝、および排出である。薬物の吸収は一般に薬物投与経路(すなわち、静脈内(IV)、筋内(IM)、皮下(SC)、局所、吸入、経口、直腸、舌下等)、薬物因子(すなわち、脂溶性)およびホスト因子(すなわち、胃内容物排出時間)によって指図される。薬物吸収における変化が薬物の治療有効性に影響を及ぼすおそれがある。
【0016】
薬物分散に関する因子としては、体脂肪、タンパク質結合および膜が挙げられる。脂溶性薬物は脂肪に溶解する傾向があるため、薬物は、体脂肪率が高い患者においては非常に高い潜在的に毒性のレベルまで蓄積するおそれがある。血清タンパク質に対して高い親和力を有する薬物がいくつかある。タンパク質結合は薬物の治療有効性を制限する。血液脳関門(BBB)のような膜が、薬物が正しく分散することを困難にすることもある。
【0017】
体内のすべての組織が薬物の代謝に影響しうる。たとえば、肝臓、腎臓、肺、皮膚、脳、および胃腸はすべて薬物の代謝に関与しうるが、大部分の場合、肝臓における代謝が支配的である。生理学的に、代謝は、薬物の活性を高めることもあるし、下げることもあるし、影響を全く及ぼさないこともある。薬物の代謝は患者ごとに異なるため、ある薬物に必要な投薬量は患者ごとに異なりうる。
【0018】
薬物排除の経路としては、腎臓、肝臓、消化管、肺、汗、涙液、および母乳が挙げられる。投薬後に異なるタイミングで起こりうるこれらのプロセス(吸収、分散、代謝、および排出)すべてが患者における薬理学的に有効な薬物のレベルに影響する。したがって、血漿薬物濃度を評価するために血液試料を分析するための現在の方法は、薬物の薬力学を決定するための情報の断片を提供するに過ぎず、患者における薬物処分の正確な報告を一貫して提供するものではない。
【0019】
薬物濃度を連続的または頻繁に息モニタリングすることの価値の一例は麻酔中である。麻酔科医は、数多くの洗練された高価な機器を使用して、外科的処置を受ける患者の生命徴候をモニタリングし、その患者に呼吸および心血管的支援を提供する。このようなモニタリングは、患者の生理的状態に関する情報を麻酔科医に提供し、送達されるガスが適切な濃度で投与されていることを立証する。
【0020】
麻酔は、吸入麻酔もしくは静脈(IV)麻酔または両方の組み合わせのいずれかを使用することによって達成することができる。吸入麻酔とは、肺を経由して体内に入れられ、血液とともに様々な組織中に分散する物質である。吸入麻酔(またはいわゆる揮発性麻酔)の主な標的は脳である。いくつか一般的に使用される吸入麻酔としては、エンフルラン、ハロタン、イソフラン、セボフルラン、デスフルラン、および亜酸化窒素が挙げられる。旧来の揮発性麻酔としては、エーテル、クロロホルム、およびメトキシフルランが挙げられる。臨床的によく使用される静脈(IV)麻酔は、バルビツレート、オピオイド、ベンゾジアゼピン、ケタミン、エトミデート、およびプロポフォールである。しかし、現在では、揮発性麻酔は単独で使用されることはめったにない。代わりに、「バランス麻酔」として知られるプロセスで、吸入麻酔と静脈麻酔薬との組み合わせが投与される。バランス麻酔の投与中、たとえば鎮痛ためのオピオイドが、弛緩のための神経筋遮断薬、意識喪失のための麻酔蒸気および記憶消失のためのベンゾジアゼピンとともに投与される。
【0021】
吸入麻酔
吸入剤を用いる場合、送達される薬物の濃度は計測され、薬の既知の吸入濃度から生じる麻酔の深さにおける患者間のばらつきは比較的狭く、麻酔科医が、送達される麻酔薬の濃度に基づいて特定のレベルの麻酔を確信的に推測することを可能にする。
【0022】
吸入麻酔の投与の間に使用されるモニタ装置は一般に吸気(inspired gas)および呼息ガス(exhaled gas)の濃度を表示する。大部分は、ガス試料が呼吸回路から長い管路を経て吸引される側流モニタリングを使用する。水抜き装置、乾燥剤、および/またはフィルタを使用して水蒸気および凝縮物を試料から除去してもよい。ガス試料が、呼吸回路から除去されるガスの量、ひいては患者の1回換気量を最小限にするために低速でモニタ装置に吸引される。これらのガスモニタ装置は呼吸気の吸息濃度および呼息(呼吸終期(end-tidal))濃度を連続的にサンプリングし、計測する。モニタリングされるガスは、患者の呼息中に見いだされる生理的ガス(酸素、二酸化炭素および窒素)ならびに鎮痛および麻酔を誘導し、維持するために麻酔科医によって患者に投与されるガスの両方である。
【0023】
呼吸気をモニタリングするための技術は、質量分析法、ラマン分光法、赤外分光法、赤外光音響分光法、圧電法(Kindlundに対する米国特許第4,399,686号(特許文献1))、共鳴法、ポーラログラフィー、燃料電池、常磁性分析法、および磁気音響法をはじめとして数多くある。
【0024】
従来のガスモニタ装置の大きな欠点は、特定のタイプのガスまたは限られた数のガスの濃度しか決定できず、大部分が、N2または他の経路によって(すなわち静脈から)送り込まれる薬剤を計測しないということである。これらのモニタ装置はまた、脆く、高額であり、頻繁な較正およびメンテナンスを要する。この理由のため、麻酔機の購入者のすべてが麻酔ガスモニタ装置を購入するわけではなく、したがって、麻酔ガス気化器に頼って麻酔ガス濃度を制御する。残念ながら、これらの気化器は頻繁に較正を逸し、麻酔科医が多すぎるまたは少なすぎる麻酔を投与するおそれがある。
【0025】
静脈(IV)麻酔
麻酔を提供するもう一つの方法としてIV麻酔が挙げられる。現在、吸入麻酔ではなくIV麻酔のより広範な使用に対する大きな障害は、過剰な量を蓄積させることなく十分な「麻酔の深さ」を提供するのに要する薬の量を、正確に決定することができないことであった。
【0026】
たとえばプロポフォールは、短時間作用性のIV麻酔として広く使用されている薬である。その物理化学的性質は疎水性および揮発性である。通常、特定の血漿濃度を送達し、維持するためにコンスタントなIV輸液として投与される。代謝は主として肝性であり、急速であるが、公知の用量で達成される血漿濃度において有意な患者間ばらつきがある。しかし、公知の血漿濃度の場合の麻酔の深さはばらつきがずっと小さく、したがって、麻酔効力を正確に維持するためには血漿(または理想的には遊離状態の非結合薬物)濃度をリアルタイムで評価できることが非常に望ましい ["A Simple Method for Detecting Plasma Propofol," Akihiko Fujita, MD, et al., Feb. 25, 2000, International Anesthesia Research Society(非特許文献1)]。著者らは、ヘッドスペースGCを固相微量抽出とともに使用して、全プロポフォールではなく血漿(遊離)プロポフォールを計測するための手段を記載している。血漿(遊離)プロポフォールが麻酔効果の役割を担うものであるため、これは好ましい。血中プロポフォール濃度をモニタリングする従来方法としては、高速液クロマトグラフィー(HPLC)およびガスクロマトグラフィー(GC)が挙げられる。IV注入後、プロポフォールの97%〜99%がアルブミンおよび赤血球と結合し、残りが遊離タイプとして血中に存在するということが報告されている。HPLCおよびGCは、血漿プロポフォールレベルほどは麻酔効果と良好に相関しない全プロポフォール濃度を検出する。呼息プロポフォール濃度の研究は、血漿(遊離)濃度との優れた相関を示し、したがって、薬物の効果をより正しく予測する可能性が高い。
【0027】
プロポフォールはまた、尿中でもモニタリングすることができる。代謝プロセスが身体からのプロポフォールのクリアランスを制御し、その場合、肝臓が主要な排出臓器である ["First-pass Uptake and Pulmonary Clearance of Propofol," Jette Kuipers, et al., Anesthesiology, V91, No.6, Dec. 1999(非特許文献2)]。ある研究では、プロポフォールの用量の88%が尿中でヒドロキシル化共役代謝産物として回収された。
【0028】
麻酔における任意の投与計画の目的は、望まれない毒性の副作用を最小限にしながらもいかなる個々の患者のためにも所望の薬理効果を達成するように薬物の送達速度を滴定することである。プロポフォール、アルフェンタニル、およびレミフェンタニルのような特定の薬物は、遊離血中濃度と効果との間に密接な関係を有している。したがって、投薬は、投与計画を薬剤の薬物動態に基づかせることによって改善することができる [Kenny, Gavin, Target-Controlled Infusions - Pharmacokinetics and Pharmacodynamic Variations, http://www.anaesthesiologie.med. unierlangen.de/esctaic97/a_Kenny.htm]。標的制御輸液(TCI)が、コンピュータを使用して輸液ポンプを制御しながらIV麻酔剤を投与するための一つの手段である。コンピュータを薬物動態学的プログラムとともに使用すると、プロポフォールのような薬の所望の血漿濃度を制御することができる。システムは、血液をリアルタイムでサンプリングするのではなく、事前に取得された個体群PD/PKパラメータを使用して、予測血中濃度の最良推定値を提供する。しかし、TCIシステムが血中濃度の正確な標的濃度を出したとしても、その濃度が、個々の患者各人にとって満足なものであるのか、また、外科的処置中の異なる時点で満足なものであるのかを知ることは不可能であろう。
【0029】
電気的脳シグナルを処理し、モニタリングするために使用される技術として、EEGのBIS(バイスペクトル指数モニタ)モニタリングがある。これは麻酔の深さの間接的なモニタリングである。BISモニタリングは、EEG波を、麻酔の深さを1〜100のスケールで示す一つの数字に変換する。加えて、EEGシグナルのパワースペクトルからの鎮静濃度を分類するために神経ネットワークが使用されている。しかし、これらの技術は高価であり、完全に予測的とはいえない。
【0030】
また、患者の年齢、体重、心拍数、呼吸数、および血圧を使用して麻酔の深さを予測する人工神経ネットワークが開発されている。ネットワークは、生理学的シグナルを積分し、意味ある情報を抽出する。特定のシステムは中潜時聴覚誘発電位(MLAEP)を使用し、これを、麻酔深さの決定における分類のためにウェーブレット変換し、人工神経ネットワークに供給する [Depth of Anesthesia Estimating & Propofol Delivery System, by Johnnie W. Huang, et al., August 1, 1996, http://www.rpi.edu/〜royr/roy_descpt.html]。
【0031】
また、全静脈内麻酔送達のための装置および方法が、Andrewsに対する米国特許第6,186,977号(特許文献2)に開示されている。この特許は、心電図(EKG)、血中酸素モニタ装置、血中二酸化炭素モニタ装置、吸息/呼息酸素、吸息/呼息二酸化炭素、血圧モニタ装置、心拍数モニタ装置、呼吸数モニタ装置、および患者体温モニタ装置を使用して患者をモニタリングする方法を記載している。
【0032】
吸入および静脈(IV)併用麻酔
すでに述べたように、麻酔は、吸入麻酔もしくはIV麻酔またはそれらの組み合わせ(バランス麻酔)のいずれかを使用することによって達成することができる。吸入麻酔のためのモニタリング技術と、IV麻酔のためのモニタリング技術とは、薬物送達の性質のせいで異なる。吸入麻酔送達のモニタ装置は一般に、呼吸回路をモニタリングするシステムを含む。IV麻酔のモニタ装置は一般に、薬物の血中濃度のモニタリングではなく、患者の生理的モニタリングするシステムを含む。モニタリングシステムのこの二分化のせいで、麻酔科医は、薬物送達法を切り換える際または方法を組み合わせて使用する際、別々のシステムを使用しなければならない。
【0033】
したがって、当技術分野において、治療薬モニタリング(たとえばIVおよび/または吸入送達麻酔)および健康状態に関連する内因性化合物のモニタリングを改善するための、非侵襲的であり、速やかであり、管理が廉価である方法が要望されている。また、薬物濃度レベルを連続的にモニタリングし(薬物処分を評価するため)、内因性化合物レベル(たとえば呼息中のグルコースレベル)を連続的にモニタリングすることができるモニタリングシステムが要望されている。さらには、呼息中に存在する内因性化合物をモニタリングすることによって薬物の治療効力をモニタリングする、または患者の健康を評価するために離れた場所および/または非研究室的状況で使用することができる、非侵襲的モニタリングシステムが要望されている。
【0034】
間欠的または連続的息モニタリングの他の用途
呼息を使用して合法的な薬剤の血中濃度を間欠的または連続的にモニタリングすることに加えて、呼息計測は、広い範囲の他の化合物をモニタリングし、それらを血中濃度と相関させるために使用することができる。たとえば、息を使用して、個人が非合法な薬物を使用したことがあるかどうかを決定することができる。同様に、息を使用して血中グルコース濃度を決定することができ、糖尿病患者を、グルコース濃度を決定するために頻繁な穿刺採血の実行から解放する。また、綿密なグルコース制御が創傷治癒を改善し、術後感染症の発症率を下げることが示されているため、手術中に手術室で、および/または集中治療室中で息中のグルコースを連続的に計測することもできる。
【0035】
息はまた、様々な状況で起こりうる人間における急性および/または慢性の「ストレス」(たとえば、疾病、事故、または軍事行動等によるストレスを受けた負傷した人間、または極度/過度の運動もしくはきわめて高レベルの覚醒状態を要する環境、たとえば交戦状態での軍用航空機の長期間の操縦によるストレスを受けた非負傷人間)を診断するのに優れた媒体でありうる。炎症を示唆するものをはじめとする、息中に現れうる様々なストレスマーカーとしては、非限定的に、乳酸、ケトン、コルチゾル、テストステロン、ATP、ADP、AMP、アデノシン、プロスタグランジン(たとえばPGF2a)、ロイコトリエン、サイトカイン、インターロイキン、メラトニン、6-スルファトキシメラトニン(6-sulfatoxymelatonin)、HIF-1α、HSP70、および筋性制御因子の濃度が挙げられる。
【0036】
たとえば、血中の乳酸は、ショック(低かん流)および数多くの疾病状態の重篤さの指標である。通常、血液試料を採取することによって間欠的に計測される。乳酸の間欠的または連続的な息計測は、手術室または集中治療室で危険な状態にある患者のケアを革命的に変える可能性がある。数多くの他の化合物もまた、息中に現れる疾病状態を示すことができる。標本を研究施設に送らなければならないことによる遅れをこうむることなくそれらの化合物をリアルタイムで間欠的または連続的のいずれかにモニタリングする能力は、入院患者または在宅ケア患者または外来患者のケアを劇的に改善することができるであろう。
【0037】
【特許文献1】米国特許第4,399,686号
【特許文献2】米国特許第6,186,977号
【非特許文献1】"A Simple Method for Detecting Plasma Propofol," Akihiko Fujita, MD, et al., Feb. 25, 2000, International Anesthesia Research Society
【非特許文献2】"First-pass Uptake and Pulmonary Clearance of Propofol," Jette Kuipers, et al., Anesthesiology, V91, No.6, Dec. 1999
【発明の開示】
【0038】
発明の概要
本発明は、物質/化合物の血中濃度の非侵襲的モニタリングの方法および装置、より詳細には、内因性化合物および/または治療薬の血中濃度の非侵襲的モニタリングのためのシステムおよび方法を提供することにより、従来技術の必要性を解決する。本発明のシステムおよび方法は、患者の呼息成分を分析して、患者の身体、特に血液中の内因性化合物の濃度に相関する、呼息中の内因性化合物マーカーの濃度を検出、定量、および/またはトレンディングする(trend)ことができるセンサーを使用する。呼息中で検出可能な内因性化合物マーカーは、内因性化合物そのものまたは内因性化合物から誘導される物質(たとえば内因性化合物の代謝産物)でありうる。
【0039】
他の態様では、患者の呼息成分を分析することができるセンサーを使用して送達治療薬濃度を検出、定量、およびトレンディングするためのシステムおよび方法が提供される。このようなシステムおよび方法は、患者に送達するための少なくとも一つの治療薬の少なくとも一つの供給源、および患者の血流中の治療薬を示す少なくとも一つの薬物またはマーカーの濃度に関して患者の息を分析するための呼気(expired gas)センサーを含み、センサーが、患者の血流中の治療薬濃度に対応するマーカー濃度を示すシグナルを発する。本発明の方法は、患者の呼息中の一つまたは複数の治療マーカーの濃度を計測する段階を含む。そして、これら計測されたマーカーを使用して、患者における治療薬の血中濃度を定量し、送達薬物をトレンディングし、最終的に薬物のPD/PKを決定することができる。
【0040】
一つの態様では、本発明は、患者に治療薬を投与することを企図し、その治療薬は、本発明のセンサーによって呼息中で検出可能である治療薬マーカーを含有する。本発明の特定の態様では、治療薬マーカーは、呼息中で検出可能である治療薬そのものまたは治療薬の代謝産物である。本明細書で企図されるように、治療薬の血中濃度と治療薬マーカーの呼息中濃度とは実質的に比例する。本発明のセンサーを使用して、治療薬の血中濃度に実質的に対応する呼息中の治療薬マーカーの濃度を分析することにより、本発明は、治療薬血中濃度の非侵襲的な連続的モニタリングを可能にする。
【0041】
本発明の一つの特定の用途は、息検出システムを使用して麻酔の深さを予測するための用途である。麻酔剤(たとえばプロポフォール)の血中濃度と麻酔の深さとの間には良好な相関関係があることが示されている。関連する態様において、本発明は、息検出システムを使用する、静脈(IV)および/または吸入送達された薬物の濃度の検出、定量、およびトレンディングのための方法および装置を提供する。
【0042】
薬の血中濃度を連続的にモニタリングするための直接的なオンライン方法がないため、本発明の方法は、血中濃度と呼息中濃度とが比較的比例するという点で、血液ではなく息をモニタリングすることによって麻酔の深さをモニタリングするための、予測精度がより高い方法を提供する。
【0043】
一つの態様において、本発明の方法は、IVおよび吸入麻酔の呼息中濃度ならびに吸入麻酔ガスの回路濃度の両方を計測することを含む。方法は、回路濃度を計測する段階および患者の呼息中の一つまたは複数の成分の濃度を計測する段階を含む。そして、これらの計測された成分を使用して回路中の麻酔(たとえばハロタン、イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン、およびエフルラン)の濃度を定量し、送達薬物を検出、定量、およびトレンディングし、最終的に麻酔の深さを決定することができる。
【0044】
本発明の方法はまた、ペルフルブロン濃度をモニタリングするために使用することもできる。乳化ペルフルブロンは、貧血患者に酸素を送達するためにヘモグロビンの代替として使用される種類の化合物の一つである。
【0045】
本発明の好ましい実施態様では、呼吸サイクルの特定のフェーズ、すなわち呼吸終期部分をサンプリングして、薬物の血中濃度レベルの測度として治療薬マーカーの濃度を検出する。
【0046】
本発明にしたがって、センサーは、呼息成分、特に特定のガスを捕集し、モニタリングする用途のために開発された多様なシステムから選択することができる。たとえば、本発明のセンサーは、米国特許第6,010,459号、同第5,081,871号、同第5,042,501号、同第4,202,352号、同第5,971,937号、および同第4,734,777号に記載されているものから選択することができる。さらに、コンピュータ化データ解析コンポーネントを有するセンサーシステムを本発明で使用することもできる(すなわち、米国特許第4,796,639号)。
【0047】
本発明のセンサーはまた、治療薬血中濃度を非侵襲的にモニタリングするための「人工」または「電子」ノーズまたはタングとして一般に知られる市販の装置を含みうる。本発明のセンサーは、金属-絶縁体-金属アンサンブル(MIME)センサー、交差反応性光学マイクロセンサーアレイ、蛍光ポリマーフィルム、コロナ装置、表面増感ラマン分光法(SERS)、半導体ガスセンサー技術、導電性ポリマーガスセンサー技術、表面音響波ガスセンサー技術、機能化マイクロカンチレバー、およびイムノアッセイ法を含みうるが、これらに限定はされない。
【0048】
特定の態様では、本発明のシステムは、マーカー濃度を追跡し(遠隔または近接)、必要な出力、制御、および警報を提供することができる報告システムを含む。
【0049】
一例では、本発明のセンサーは、患者呼息中の治療薬マーカー濃度を計測することによって、薬物の血液濃度をモニタリングするために、治療薬の送達の間に臨床的状況または患者に立脚した場所のいずれかで使用される。そのうえ、本発明のシステムおよび方法を使用する呼息検出は、薬物研究のための、および/または個々の患者における、PD/PKの正確な評価を可能にしうる。
【0050】
本発明の好ましい装置は、二つの部品、すなわち1)呼吸回路センサー、および2)呼出息(expired breath)センサーを含む。呼吸回路センサーは、ガス流に暴露される表面を有するセンサーを含み、化学蒸気または蒸気の群を選択的に吸収する材料を含む。呼出息センサーは、患者の息および/または気道に暴露される表面を有するセンサーを含み、同じく、化学薬品蒸気または蒸気の群を選択的に吸収する材料を含む。これらのセンサーは、蒸気の存在を示す電気シグナルを発するための分析装置に結合されている。分析装置はさらに、蒸気のおおよその濃度を決定し、結果を表示し、アラームを発する等を行うように作動する。
【0051】
一つの態様において、装置は、以下の部品を使用して、呼吸回路および呼出された息(expired breath)中の標的物質(麻酔ガスおよび/または生理的ガス)を検出する:(a) 標的物質の存在を検出することができる、共鳴周波数のシフトによって標的物質に応答する表面音響波センサー;(b) アクティブフィードバック要素としてセンサーを有するオシレータ回路;(c) センサーの共鳴周波数に対応する振動周波数を計測するための、オシレータ回路と連絡している周波数カウンタ;および(d)振動周波数を事前に計測されている標的物質の振動周波数と比較し、そこから標的物質の存在および濃度を決定するためのプロセッサ。
【0052】
もう一つの態様では、装置は、以下の部品を使用して、呼吸回路および呼出された息中の標的マーカー(麻酔ガスおよび/または生理的ガス)を検出する:(a) 標的物質の存在を検出することができるポリマーのアレイを有し、各ポリマー中の抵抗を変化させてセンサーアレイのパターン変化を生じさせることによって標的物質に応答するセンサー;(b) 抵抗の変化を受け、抵抗の変化を事前に計測されている抵抗の変化と比較し、パターン変化から標的物質の存在を識別し、振幅から物質の濃度を識別するためのプロセッサ。プロセッサは、抵抗の変化を事前に計測されている抵抗の変化と比較して最良のマッチを見いだすための神経ネットワークを含みうる。
【0053】
もう一つの態様において、本発明は、患者が呼吸回路に接続される、麻酔投与中に患者をモニタリングする方法を含む。この方法では、第一のセンサーが吸気に暴露され、少なくとも一つの吸気が麻酔剤であり、第二のセンサーが呼気に暴露され、一つまたは複数の標的物質がセンサーで検出され、標的物質の濃度が決定される。
【0054】
もう一つの態様において、本発明は、以下を含む、バランス麻酔を呼吸回路およびIVを介して患者に送達するための麻酔剤送達システムを含む:(1) 供給により呼吸回路に提供される揮発性麻酔剤の量を制御するための制御装置を有する麻酔ガス供給源;(2) 患者に静脈投与されるIV麻酔剤の量を制御するための制御装置を有するIV麻酔剤供給源;(3) 呼吸回路中の麻酔ガスの濃度を分析するための吸気分析装置;(4) 患者に送達される麻酔剤濃度を示すための少なくとも一つのシグナルを提供する、患者の血流中の麻酔剤濃度を示す少なくとも一つの物質の濃度に関して患者の息を分析するための呼気分析装置;および(5) シグナルを受け、そのシグナルに基づいて麻酔剤投与量を制御する、麻酔供給源それぞれに接続されたシステム制御装置。
【0055】
さらなる態様において、本発明は、以下を含む、バランス麻酔を患者に投与するための装置を含む:(1) 少なくとも一つの静脈麻酔剤の少なくとも一つの供給源;(2) 静脈麻酔剤を患者に制御可能に送達するための静脈内投与手段;(3) 少なくとも一つの吸入麻酔剤の少なくとも一つの供給源;(4) 該吸入麻酔剤を送達するための呼吸回路;(5) 呼吸回路中のガスを吸入剤に関して分析するための吸気分析装置;(6) 患者に送達される麻酔剤濃度を示すためのシグナルを提供する、患者の血流中の麻酔剤を示す少なくとも一つの物質の濃度に関して患者の息を分析するための呼気分析装置;(7) シグナルを受け、そのシグナルに基づいて麻酔剤投与量を制御する、静脈内送達手段に接続されたシステム制御装置;および(8) シグナルを受け、そのシグナルに基づいて麻酔剤の量を制御する、呼吸回路に接続されたシステム制御装置。
【0056】
もう一つの態様は、以下を含む、呼吸回路中の標的物質を検出するための装置を含む:(1) 吸気および/または呼気中の標的物質の存在を検出することができる、共鳴周波数のシフトによって標的物質に応答する少なくとも一つの表面音響波センサー;(2) アクティブフィードバック要素としてセンサーを有するオシレータ回路;(3) センサーの共鳴周波数に対応する振動周波数を計測するための、オシレータ回路と連絡している周波数カウンタ;および(4) 振動周波数を事前に計測されている標的物質の振動周波数と比較し、そこから標的物質の存在および濃度を決定するためのプロセッサ。
【0057】
もう一つの態様は、以下を含む、呼吸回路中の標的物質を検出するための装置を含む:(1) 吸気および/または呼気中の標的物質の存在を検出することができるポリマーのアレイを有し、各ポリマー中の抵抗を変化させてセンサーアレイのパターン変化を生じさせることによって標的物質に応答する、センサー;(2) 抵抗の変化を受け、抵抗の変化を事前に計測されている抵抗の変化と比較し、パターン変化から標的物質の存在を識別し、振幅から物質の濃度を識別するための、プロセッサ。
【0058】
そのうえ、本発明の呼息検出法で抗生物質を感知することは、本方法を血中抗生物質濃度の代替として使用することを可能にすると考えられる。これはまた、血中濃度が有用である広い範囲の薬剤に関して当てはまると考えられる。本発明の方法を使用する呼息検出はまた、薬物研究のための、および個々の患者における、PD/PKを評価することができる。そのうえ、血液中に通常に見られる内因性化合物、たとえばグルコース、ケトン、乳酸、および電解質を感知するために使用することもできる。
【0059】
本発明はまた、標的物質(たとえば麻酔ガスまたは他の薬物)の浄化の速度を決定する、以下よる方法を含む:(a) 呼出された息の試料を第一のインターバルで取得する段階;(b) 試料をセンサー技術で分析して物質の濃度を決定する段階;(c) 呼出された息の少なくとも一つのさらなる試料をその後のインターバルで取得する段階;(d) 該さらなる試料をセンサー技術で分析して該物質の濃度を決定する段階;および(e) 第一の試料の濃度をさらなる試料の濃度と比較して標的物質の浄化の速度を決定する段階。
【0060】
したがって、本発明の目的は、呼息中のマーカーを分析するセンサーを使用して呼息中にそれぞれ存在する治療薬マーカーまたは内因性化合物マーカーの濃度をモニタリングすることにより、治療薬血中濃度または内因性化合物濃度を非侵襲的にモニタリングすることである。
【0061】
本発明の一つの態様において、治療薬マーカーおよび/または内因性化合物マーカー濃度のモニタリングは、本発明のシステムを使用して連続的に実施される。本発明のもう一つの態様において、治療薬マーカーおよび/または内因性化合物マーカー濃度のモニタリングは、本発明のシステムを使用して断続的に実施される。
【0062】
本発明のもう一つの目的は、呼息成分を分析するセンサーを使用して呼息中の物質または物質マーカー濃度をモニタリングすることにより、物質濃度(たとえば内因性化合物血中濃度)を非侵襲的にモニタリングすることである。本発明の方法を使用する呼息検出は、血液中に通常に見られる内因性化合物、たとえばグルコース、ケトン、乳酸、および電解質を感知するために使用することができる。これらの化合物を広い範囲の環境で断続的または連続的にモニタリングすることができる。小さな手持ち携帯式装備は、患者が家で、職場で、養護施設で、または外来受診中に使用することができ、他の装置は、病院の手術室、集中治療室および他の区域またはこの能力が有用になるであろう他の健康管理施設、たとえば診療所、医院での連続的モニタリングのために設計されていてもよい。
【0063】
本発明の結果的な利点は、そのような物質および/または治療薬濃度を、血液試料を採取し、その血液試料を分析のために研究施設に移送することを要する現在の方法よりも費用効果的で頻繁にモニタリングする能力である。加えて、本発明は、ユーザーが、臨床的状況にあるのか、患者が離れた場所にいる場合に公知の形態の通信を介するのかにかかわらず、患者の血流中の治療薬および/または内因性化合物濃度レベルを速やかかつ連続的にモニタリングして患者の健康状態をモニタリングすることを可能にする。本発明のシステムおよび方法は、濃度を計測するために血液を採取する侵襲的実施法に代えて使用することができる。
【0064】
以下、図面を参照しながら本発明を例として非限定的に説明する。以下の詳細な開示および請求の範囲から本発明の他の目的、特徴および利点が明らかになるであろう。
【0065】
発明の詳細な説明
本発明は、患者の呼息成分を分析することによって血液中の物質を非侵襲的にモニタリングするためのシステムおよび方法を提供する。呼息成分を分析することによってモニタリングすることができる血中の物質には、非限定的に、内因性化合物、たとえばグルコース、ケトン、乳酸、プロスタグランジン、ロイコトリエン、コルチゾル、および電解質、ならびに麻酔の深さを検出する場合のIVおよび/または吸入麻酔をはじめとする治療薬、ならびに広い範囲の合法および非合法薬物が含まれる。
【0066】
特定の態様では、センサー技術を使用して少なくとも一つの内因性化合物マーカーの息中濃度を分析する。内因性化合物マーカーは、内因性化合物そのものであってもよく、内因性化合物から誘導されるもの、たとえば内因性化合物の代謝産物であってもよい。本発明にしたがって、内因性化合物マーカーの息中濃度は、対応する内因性化合物の血中濃度に比例する。したがって、内因性化合物マーカーの息中濃度に基づいて、患者における対応する内因性化合物の濃度を非侵襲的かつ効率的に評価することができる。
【0067】
定義
本明細書で使用する「治療薬」または「薬物」とは、疾病または状態の診断、処置または予防に使用される物質をいい、治療薬レベルが臨床的有効範囲内にあることを保証するためには患者の血流中の治療薬の濃度がモニタリングされなければならない。本発明の治療薬は麻酔剤を含む。
【0068】
本開示全体を通して、「マーカー」とは、本発明のセンサーを使用してその物理的または化学的性質によって検出される物質と定義される。本発明にしたがって、内因性化合物マーカーとは、内因性化合物そのものまたは内因性化合物から直接誘導される化合物(たとえば内因性化合物の代謝産物)のいずれかである。治療薬マーカーとは、治療薬そのものであるか、あるいは治療薬から直接誘導される(たとえば代謝産物)かまたは投与前に治療薬と組み合わせた添加物から誘導されるかのいずれかである。このような治療薬マーカーには、好ましくは、本発明のセンサーによって検出可能である、嗅覚マーカー(匂い)ならびに他の物質および化合物が含まれる。
【0069】
ハロゲン化化合物(すなわちフッ素化された薬物またはマーカー)は、揮発性が高く、人間にとって所要量での消費が安全であり、いくつかのタイプの携帯式フレオン漏れ検出器によって呼息中で容易に検出されるため、特に有望である。これらの化合物のいくつかは、肺を介する経路、たとえば計量吸入器での薬物送達のための噴射剤として使用され、したがって、安全であることが知られ、FDA認可されている。フレオン漏れを検出するために非常によく使用される技術には、負イオンキャプチャ、加熱センサー/セラミック半導体、赤外吸収、およびTIF TIFXP-1A負コロナ漏れ検出器が含まれる。多くの薬物はフッ素化されており、代謝産物は、多くの場合、きわめて揮発性であり、呼息中で検出可能である。マーカーとして使用することができ、薬の製造中に賦形剤として加えることができるような化合物が数多く利用可能である。
【0070】
本明細書で使用する「患者」とは、本発明にしたがって呼息試料が捕集される、哺乳動物をはじめとする生物を指す。開示される治療薬モニタリングシステムおよび方法の恩恵を受ける哺乳動物種には、非限定的に、類人猿、チンパンジー、オランウータン、ヒト、サルならびに飼育動物(たとえばペット)、たとえばイヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、およびハムスターが含まれる。
【0071】
本発明にしたがって、本発明のシステムおよび方法を使用して呼息中に検出可能である物質には、呼吸気、息凝縮物(液相)、呼吸飛沫、息蒸発物、水蒸気、および/または気管支もしくは肺胞エアロゾル中に見いだすことができる物質が含まれる。
【0072】
本明細書で使用する「薬力学」とは、治療薬と患者身体の構成成分との相互作用(生化学的および生理学的)および患者身体に対する薬物作用の機序(すなわち身体に対する薬物効果)をいう。
【0073】
本明細書で使用する「薬物動態」とは、正常な生理学的プロセスと治療薬との経時的相互作用(すなわち薬物に対する身体の効果)の数学的特徴付けをいう。特定の生理学的プロセス(吸収、分散、代謝および排除)が、薬物が患者において所望の治療効果を提供する能力に影響を及ぼす。薬物の薬物動態の知見は、薬物血流濃度を解釈するのに役立ち、薬理的に有効な投薬量を決定するのに有用である。
【0074】
本明細書で使用する「同時」投与とは、血流中の治療薬レベルをモニタリングするための、本発明のシステムおよび方法とともに使用するのに適した治療薬マーカーの投与(治療薬の投与)をいう。一例として、治療薬マーカーを治療薬と混合して、たとえば薬学的組成物として提供してもよく、またはマーカーおよび治療薬を別々の化合物として、たとえば別々の薬学的組成物として順次に、同時に、または異なるタイミングで患者に投与してもよい。好ましくは、マーカーおよび治療薬が別々に投与されるならば、それらは、呼息中のマーカーの濃度が血流中の治療薬の濃度の正確な指標になるよう、互いから十分な時間内で投与される。
【0075】
本明細書で使用する「アプタマー」とは、治療薬マーカーに対して特異的な作用を有する非天然のオリゴヌクレオチド鎖をいう。アプタマーは、核酸の候補物質混合物から同定される核酸を含む。好ましい態様では、アプタマーは、SELEX法によって単離される核酸リガンドと実質的に相同である核酸配列を含む。実質的に相同とは、70%を超える、もっとも好ましくは80%を超える一次配列相同性の程度を意味する。
【0076】
本明細書で使用する「SELEX(商標)」法は、選択された核酸を増幅しながら所望の作用で標的マーカーと相互作用する、たとえば嗅覚マーカーに結合する、選択された核酸リガンドの組み合わせを含む。選択/増幅段階の随意の反復サイクリングが、非常に多数の核酸を含むプールから標的マーカーともっとも強く相互作用する一つまたは少数の核酸を選択することを可能にする。選択/増幅手順のサイクリングは、選択された目標が達成されるまで継続される。SELEX法は、以下の米国特許および米国出願に記載されている:米国特許出願第07/536,428号ならびに米国特許第5,475,096号および同第5,270,163号。
【0077】
本明細書で使用する「薬学的に許容される担体」とは、組成の他の成分とで一般に適合性であり、患者に対して害ではなく、生物学的にも他の点でも望ましくないものではない、薬学的組成物を調製するのに有用である担体をいい、人間の薬学的用途だけでなく獣医学的用途にも許容される担体を含む。明細書および請求の範囲で使用される「薬学的に許容される担体」は、そのような担体の一つおよび一つ以上の両方を含む。
【0078】
息サンプリング
一般に、呼息ガス流(exhalation gas stream)は順序またはステージを含む。呼気のはじめに初期ステージがあり、それを表すガスが、呼吸系の解剖学的に不活性の(デッドスペース)部分、換言するならば、口および上気道から出る。これにプラトーステージが続く。プラトーステージの前では、ガスは、デッドスペースと代謝的に活性なガスとの混合物である。呼息の最後の部分を含むプラトーフェーズ中は、深い肺ガス、いわゆる肺胞ガスしか存在しない。肺胞から来るこのガスが呼吸終期ガスと呼ばれる。
【0079】
本発明にしたがって、呼吸サイクルの任意の特定のフェーズからの呼息ガスをサンプリングして、患者における治療薬および/または内因性化合物濃度の指標として標的マーカーの存在を検出することができる。たとえば、本明細書に記載するセンサー技術は、初期フェーズまたは呼吸終期(プラトー後期)フェーズから採取された呼息試料に適用することができる。
【0080】
呼吸終期成分モニタリングに使用される技術(たとえばCO2センサー、O2センサーおよびNOセンサー)を使用して、いつまたはどのステージで試料が捕集されるのかを決定することができる。気道内圧計測のための、またはガス流をモニタリングするための公知の方法は、呼吸サイクルの適切なフェーズで試料を捕集する他の手段を与える。好ましい態様では、呼息試料は呼吸終期で捕集される。
【0081】
公知のインライン(またはメインストリーム)サンプリング法によって捕集された単一または多数の試料が好ましいが、センサー捕捉時間が減るならば、側流サンプリングを使用してもよい。インラインサンプリングの場合、本発明のセンサーは、直接的に気流中でET管に近接するところに配置される。後者の場合、試料は、気管内(ET)管の近位端にあるアダプタを介して捕集され、小口径の管を通って本発明のセンサーまで採取される。インラインサンプリングを使用する特定の態様では、センサーは、患者の気流内に位置するサンプリングチャンバ中に配置される。呼吸終期ガスをサンプリングする代わりに、呼吸の呼息フェーズで試料を採取し、平均値を決定し、血中濃度と相関させることもできる。試料サイズおよびセンサー応答時間に依存して、呼息ガスは、連続サイクルで捕集することもできる。
【0082】
ここで図1を参照すると、上の枠は、一つの呼吸サイクルのカプノグラムを示す。正確な血中レベル相関のために、試料は、肺の中のCO2濃度を反映する「呼吸終期PCO2」と標識されたポイントで採取される。下の枠は、閉塞性肺疾患の患者からのいくつかの息のカプノグラムを示す。ここでもまた、呼吸終期試料は血中濃度と良好に相関している。
【0083】
一つの態様では、VaporLab(商標)ブランド機器を使用して呼息試料を捕集し、分析する。VaporLab(商標)機器は、本発明にしたがって呼息試料中の成分を検出するのに適した手持ち式バッテリ給電SAWベースの化学蒸気識別機器である。この機器は、より高い精度および判別のための直交蒸気応答を提供する高安定性SAWセンサーアレイを使用して、揮発性および半揮発性化合物を感受する。関連する態様では、この機器は、コンピュータと通信して機能強化されたパターン解析を提供し、発生を報告する。好ましい態様では、この機器は、「訓練」目的のための、すなわち高速の「オンザフライ」解析のための化学蒸気サイン(signature)パターンを記憶するための神経ネットワークを含む。
【0084】
もう一つの態様では、試料は、ET管の先端で、別個のサンプリング口を備えた管を介して捕集される。これは、各呼吸サイクル中に「よりクリーンな(デッドスペースが少ない)」試料を可能にすることにより、サンプリングを改善することができる。
【0085】
特定の場合、患者体内の治療薬の濃度は、所与の期間にわたって投与される薬物の量および薬剤が身体から排除(代謝)される速度によって規制される。本発明は、治療薬を患者に投与する段階、および適当な期間ののち、治療薬に関連する治療薬マーカー、たとえば非結合物質、活性代謝産物または不活性代謝産物の濃度に関して患者の呼息を分析する段階を提供する。本発明の特定の態様では、マーカー濃度は、患者中の薬物の代謝の特性を示す。
【0086】
本発明の方法はさらに、呼息の開始および完了を検出するための流量センサーの使用を含みうる。方法はさらに、分析の結果を提供すること、および治療薬の血中濃度をユーザーまたは患者に伝達することを含む。好ましい態様では、分析の結果は、呼息ガスをサンプリングするとただちに伝達することができる。
【0087】
特定の態様では、本発明は、患者の血流中の治療薬レベルの即時モニタリングを可能にする。本明細書で考えられる即時モニタリングとは、治療薬投与ののち短い期間(すなわち、一般には数分から約24時間)内で実質的に完全に患者から呼息ガスをサンプリングし、標的マーカーに関して分析することをいう。
【0088】
または、特定の例では、血流中の治療薬濃度レベルを検出することができるまでに特定の期間を経過させなければならない。したがって、本発明のシステムおよび/または方法は、血流中の治療薬濃度(または内因性化合物マーカー)の断続的または連続的モニタリングのために治療薬を摂取する患者に提供することができる。特定の態様では、本発明のモニタリングシステムおよび方法は、治療薬を摂取する患者に対して毎時、毎日、毎週、毎月、またさらには年間ベースで投与することができる。さらには、さらなる治療薬が処方されたとき、さらなるモニタリングを患者に投与することができる。
【0089】
そのうえ、呼息のサンプリングを制御するために流量センサーからのシグナルを自動的に検出するためのデータ処理/制御ユニットとしてCPUを提供することもできる。CPUはさらに、治療薬血中濃度のトレンドの解析に基づいて送達されるべき適切な投薬量の治療薬をユーザー/患者に提供することができる。麻酔の深さをモニタリングし、制御する特定の態様では、CPUはさらに、輸液ポンプまたは他の麻酔剤投与手段の分析および制御を提供することができる。
【0090】
治療薬投与の形態に依存して、本発明は、血中濃度レベルに基づいて治療薬の適切な投薬量を自動的に調節し、患者に投与するための手段を提供する。特定の態様では、投薬量調節および投与手段の分析および制御のためにCPUが提供される。治療薬が静脈内送達される一つの態様では、輸液ポンプが使用され、CPUがその輸液ポンプの分析および制御を提供する。
【0091】
本発明にしたがって息分析によって計測される治療薬マーカーの血中濃度は、患者が治療薬の高い用量(すなわち毒性用量)、低い用量(すなわち無効用量)または有効用量(すなわち適量)を受けている場合、それを指示することができる。治療薬に対する代謝または応答における広いばらつきがある場合でさえ、呼息中濃度の知見によって、ユーザーは、薬物が血液中に蓄積して、おそらくは薬物の危険な毒性レベルに達しようとしているかどうか、または、濃度が低下し、おそらくは薬物の不十分な用量に達しようとしていることを知ることが可能になる。したがって、本発明にしたがって治療薬血中濃度の変化をモニタリングすることは有用である。
【0092】
もう一つの態様において、マーカー(たとえば内因性化合物、治療薬、遊離薬剤および/または代謝産物)濃度に関して呼息空気(exhalation air)が連続的または断続的/周期的のいずれかに計測される。呼息空気から、少なくとも一つの計測されたマーカー濃度値が抽出される。数多くのタイプの息サンプリング装置を使用して本発明の方法を実施することができる。
【0093】
一つの態様において、息サンプリング装置は、呼息空気が通過して流れる従来の流路を含む。流路は、マーカー濃度を計測するために本発明のセンサーを備えている。さらには、必要ならば、少なくとも一つの計測濃度結果をユーザーに送るために必要な出力要素を息サンプリング装置に含めてもよい。
【0094】
また、アラーム機構を設けてもよい。同様なタイプの機器が、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,971,937号の図1および2に示されている。
【0095】
もう一つの態様において、ひとたび濃度レベルが計測されると、それは数値を与えられる(たとえば1〜100のスケールで50)。濃度がその数値未満に低下するならば、新たな数値が濃度の低下を示す。濃度がその数値を超えるならば、新たな数値が濃度の増大を示す。この数値スケールは、濃度変化のより容易なモニタリングを可能にすると考えられる。数値スケールはまた、アラーム、出力、病歴記録、および外部装置(たとえば輸液ポンプ)の制御のための制御シグナルへのより容易な変換を可能にするであろう。上限および下限は、治療薬無効レベルから治療薬危険レベルまでのようなしきい値を示すようにセットすることもできる。
【0096】
センサー技術
本発明は、好ましくは、ガスセンサー技術、たとえば「人工」または「電子」タングまたはノーズとして知られる市販の装置を使用して呼息中のマーカー濃度を非侵襲的にモニタリングする(図2)。電子ノーズは、食品、ワインおよび香水産業で主に使用され、その感度は臭気性化合物を区別することを可能にする。たとえば、電子ノーズは、香水産業ではグレープフルーツ油とオレンジ油とを区別するのに有用であり、人の鼻が臭気を知覚する前に、腐敗しやすい食品の腐敗を識別する。
【0097】
過去、これら人工/電子タングおよびノーズの医療ベースの研究および応用はほとんどなかった。しかし、最近の使用が、この非侵襲的技術の能力を実証した。たとえば、電子ノーズは、患者の呼息ガスを特定の細菌の固有の匂いに関して分析することにより、肺の細菌感染の存在を決定するために使用されている(Hanson CW, Steinberger HA, "The use of a novel electronic nose to diagnose the presence of intrapulmonary infection," Anesthesiology, 87(3A):Abstract A269, (1997))。また、ある泌尿生殖器クリニックが電子ノーズを使用して、細菌性膣疾患を訓練後94%の成功率でスクリーニングし、検出している(Chandiok S, et al., "Screening for bacterial vaginosis: a novel application of artificial nose technology," Journal of Clinical Pathology, 50(9):790-1 (1997))。また、特定の細菌種を、その生物によって発される特殊な匂いに基づき、電子ノーズで識別することができる(Parry AD et al., "Leg ulcer odor detection identifies beta-haemolytic streptococcal infection," Journal of Wound Care, 4:404-406 (1995))。
【0098】
本発明で使用することができるガスセンサー技術を記載する多数の特許には、非限定的に、米国特許第5,945,069号、同第5,918,257号、同第4,938,928号、同第4,992,244号、同第5,034,192号、同第5,071,770号、同第5,145,645号、同第5,252,292号、同第5,605,612号、同第5,756,879号、同第5,783,154号、および同第5,830,412号が含まれる。本発明に適した他のセンサーには、非限定的に、金属-絶縁体-金属アンサンブル(MIME)センサー、交差反応性光学マイクロセンサーアレイ、蛍光ポリマーフィルム、表面増感ラマン分光法(SERS)、ダイオードレーザー、選択イオン流量管(selected ion flow tube)、金属酸化物センサー(MOS)、非分散赤外分光計、バルク音響波センサー、比色管、機能化マイクロカンチレバー、および赤外分光法が含まれる。
【0099】
同じく本発明のためのセンサーとして使用することができる検出分野における最近の開発には、非限定的に、ガスクロマトグラフィー、半導体ガスセンサー、質量分光計(プロトン移動反応質量分光法を含む)、および赤外線(IR)または紫外線(UV)または可視光線または蛍光分光光度計(すなわち、非分散赤外分光計)が含まれる。たとえば、半導体ガスセンサーを用いると、マーカーは、電気抵抗を変化させることによって半導体の電気的性質に変化を生じさせ、これらの変化の計測がマーカーの濃度を決定することを可能にする。もう一つの例では、ガス組成物の分子を分離することによる選択的検出の方法からなるガスクロマトグラフィーを、呼息試料中のマーカーを分析するための手段として使用してもよい。
【0100】
本発明にしたがって、マーカーを検出/定量するためのセンサーは、およそ数秒の比較的短い検出時間を使用する。本発明によって企図される他の最近のガスセンサー技術には、導電性ポリマーガスセンサー(「ポリマー性」)、アプタマーバイオセンサー、増幅蛍光ポリマー(AFP)センサーを有する装置、および表面音響波(SAW)ガスセンサーを有する装置が含まれる。
【0101】
導電性ポリマーガスセンサー(「化学抵抗器」とも呼ばれる)は、臭気性物質の分子に対して感度を有する導電性ポリマーでできたフィルムを有する。標的マーカー分子と接触すると、センサーの電気抵抗が変化し、この抵抗の変化の計測がマーカーの濃度を決定することを可能にする。このタイプのセンサーの利点は、それが室温に近い温度で機能するということである。代替の導電性ポリマーを変更または選択することにより、様々なマーカーを検出するための様々な感度を得ることができる。
【0102】
ポリマーガスセンサーは、各センサーが異なるマーカーに対して異なる応答を示し、治療薬マーカーの感度を増強するように設計されているセンサーのアレイに組み込むことができる。たとえば、本発明のセンサーは、それぞれがマーカーに露出されるポリマー(すなわち、32種の異なるポリマー)のアレイを含みうる。個々のポリマーそれぞれはマーカーの存在に対して異なって膨潤し、その膜の抵抗の変化を生じさせ、その特定のマーカー(「サイン」)に応答してアナログ電圧を発生させる。そして、正規化された抵抗の変化をプロセッサに転送すると、センサーアレイのパターン変化に基づいてマーカーのタイプ、量および質を識別することができる。この独特な応答が、マーカーを特徴付けるために使用される明確な電気的フィンガープリントを生じさせる。アレイの抵抗変化のパターンは試料中のマーカーを診断するものであり、パターンの振幅は試料中のマーカーの濃度を示す。
【0103】
標的マーカーに対するポリマーガスセンサーの応答は、従来のガスセンサー特徴付け技術の組み合わせを使用して完全に特徴付けることができる。たとえば、センサーは、コンピュータに取り付けることができる。結果は、コンピュータ画面に表示し、記憶し、転送することなどができる。データ解析装置は、応答のパターンを、公知の物質から事前に計測され特徴付けられている応答と比較させることができる。これらのパターンの照合は、神経ネットワークをはじめとする多数の技術を使用して実行することができる。たとえば、32種のポリマーそれぞれからのアナログ出力を「ブランク」または対照と比較することにより、神経ネットワークは、その物質に特有であるパターンを確立することができ、その後は、その物質を認識することを学習する。感知される特定の物質に合わせて所望の応答を最適化するために特定の抵抗器形状が選択される。一つの態様では、本発明のセンサーは、多様な標的マーカーを同時に検出するための液相または気相の生物学的溶解物に適した自己較正性ポリマー系である。
【0104】
本発明のもう一つのセンサーは、アプタマーの形態で提供することができる。一つの態様では、SELEX(商標) (Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)法を使用して、治療薬マーカーを高い親和力および特異性で認識するアプタマーを製造する。SELEX法によって製造されたアプタマーは、固有の配列および所望のマーカーに特異的に結合する性質を有する。SELEX法は、核酸が、多様な二次元および三次元構造を形成するのに十分な能力を有し、かつ実質的にいかなる化合物(モノマーまたはポリマーを問わない)とでもリガンドとして作用する(特異的結合対を形成する)のに十分な、それらのモノマー内で利用可能な化学的融通性を有するという洞察に基づく。このように、本発明にしたがって、任意のサイズまたは組成の治療薬マーカーがアプタマーの標的として働くことができる。同じく、Jayasena, S., "Aptamers: An Emerging Class of Molecules That Rival Antibodies for Diagnostics," Clinical Chemistry, 45:9, 1628-1650 (1999)を参照のこと。
【0105】
アプタマーバイオセンサーは、呼息試料中のマーカーの存在を検出するために本発明で使用することができる。一つの態様では、アプタマーセンサーは、結合または解離事象(すなわち、標的治療薬マーカーとの結合)の結果として生じる振動系の質量の変化による共鳴周波数の微細な変化を検出することができる共鳴動水晶センサーで構成されている。
【0106】
同様に、分子ビーコン(MB)および分子ビーコンアプタマー(MBA)は、蛍光共鳴エネルギー移動に基づく方法を使用して、特定の標的配列の存在における蛍光シグナル増大を提供する。同じく、Stojanovic, Milan N., de Prada, Paloma, and Landry, Donald W., "Aptamer-Based Folding Fluorescent Sensor for Cocaine" J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 4928-4931 (2001); Jayasena, Sumedha D., "Aptamers: An Emerging Class of Molecules That Rival Antibodies of Diagnostics, Clinical Chemistry 45:9, 1628-1650 (1999)を参照のこと。
【0107】
増幅性蛍光ポリマー(AFP)センサーは、呼息試料中の治療薬マーカーおよび/または内因性化合物マーカーの存在を検出するために本発明で使用することができる。AFPセンサーは、増幅性蛍光ポリマーを使用するきわめて高感度できわめて選択的な化学センサーである。標的マーカーがポリマーの薄フィルムに結合すると、そのフィルムの蛍光は減少する。単一の分子結合事象が多くのポリマー反復単位の蛍光を消光して、消光の増幅を生じさせる。フィルムへのマーカーの結合は可逆性であり、したがって、フィルムは再使用することができる。
【0108】
表面音響波(SAW)センサーは、高周波数で振動し、一般に、化学選択性材料で覆われている基材を有する。SAWセンサーでは、基材は、交互かん合した電極(すなわちトランスデューサを形成する)の間で表面音響波を伝搬させるために使用される。化学選択性材料はトランスデューサにコートされている。マーカーが、基材にコートされている化学選択性材料と相互作用すると、その相互作用が、SAW性質、たとえば伝搬波の速度の振幅の変化を生じさせる。特徴的な波における検出可能な変化は、一般にマーカーの質量負荷(すなわち、血流中の治療薬および/または内因性化合物の濃度に対応する、呼息中のマーカーの濃度)に比例する。
【0109】
本発明の特定の態様は、公知のSAW装置、たとえば米国特許第4,312,228号および同第4,895,017号ならびにGroves W.A.ら、"Analyzing organic vapors in exhaled breath using surface acoustic wave sensor array with preconcentration: Selection and characterization of the preconcentrator adsorbent," Analytica Chimica Acta, 371:131-143 (1988)に記載されている装置を使用する。本発明の実施に適用可能な化学選択性コーティングを使用する当技術分野で公知の他のタイプの化学センサーには、バルク音響波(BAW)装置、プレート音響波装置、交互かん合マイクロ電極(IME)装置、光学導波(OW)装置、電気化学的センサー、および導電性センサーが含まれる。
【0110】
一つの態様では、本発明のセンサーは表面音響波(SAW)センサーに基づく。SAWセンサーは、好ましくは、標的マーカーを選択的に吸収することができるポリマーコーティングによって覆われた圧電特性を有する基材を含む。SAWセンサーは、高周波数で振動し、特定の分子の質量負荷に比例する摂動(perturbation)に応答する。これは、センサー表面上の蒸気相で起こる。
【0111】
関連の態様では、本発明のセンサーはStubbs, D.らのSAWセンサーに基づく(Stubbs, D. et al., "Investigation of cocaine plumes using surface acoustic wave immunoassay sensors," Anal Chem., 75(22):6231-5 (Nov. 2003)およびStubbs, D. et al., "Gas phase activity of anti-FITC antibodies immobilized on a surface acoustic wave resonator device," Biosens Bioelectron, 17(6-7):471-7 (2002)を参照のこと)。たとえば、本発明のセンサーは、250MHzの中心周波数を有するST-X石英上の2ポート共鳴器を含みうる。カットされた石英上、温度補正された表面音響波(SAW)が、交互かん合トランスデューサを介して生成される。そして、標的マーカーに特異的な抗体がタンパク質架橋剤を介してセンサー装置表面上の電極(すなわち、幅1.5ミクロン)に取り付けられる。センサー表面の蒸気相で、標的マーカーが存在する場合、周波数の変化が起こって、標的マーカーが認識されたということをユーザーに警報する。
【0112】
関連の態様では、SAWセンサーはコンピュータに接続され、周波数における任意の検出可能な変化がコンピュータによって検出され、計測されうる。好ましい態様では、SAWセンサー(4〜6個)のアレイが使用され、各センサーは、特定のクラスの分子の蒸気を選択的に結合および/または吸収する異なる化学選択性ポリマーでコートされている。得られるアレイまたは「サイン」が特定の化合物を識別する。
【0113】
化学選択性フィルムコーティングを使用する大部分の化学センサーの作動性能は、コーティングの厚さ、均一さおよび組成によって大きく影響を受ける。これらのセンサーの場合、コーティング厚さの増大は感度に悪影響を及ぼす。トランスデューサは、コーティングのうち、トランスデューサ/基材に隣接する部分だけを感知する。
【0114】
たとえば、ポリマーコーティングが厚すぎるならば、周波数の変化を記録するSAW装置の感度が低下する。コーティング材料のこれらの外層は、感知されるコーティングの層とでマーカーを求めて競合し、したがって、センサーの感度を低下させる。平均表面積の変化がSAW装置の局所振動サインに大きく影響するため、コーティングの均一さもまた、化学選択性コーティングを使用するセンサーの性能における決定的な要因である。したがって、厚さ15〜25nmで1nmの範囲内で平坦なフィルムが被着されるべきである。これに関して、装置のセットがすべて同じ感度で作動するよう、コーティングは均一であるだけでなく、装置間で再現精度が高いこと、また、一つの装置のコーティングが基材の作用面積の全域で均一であることが重要である。
【0115】
コーティングが不均一であるならば、マーカー暴露に対する応答時間およびマーカー暴露後の回復時間が増し、センサーの動作性能が損なわれる。コーティングの薄い区域が厚い区域よりも急速に標的マーカーに対して応答する。その結果、センサー応答シグナルは、平衡値に達するのにより長い時間を要し、結果は、均一なコーティングの場合よりも不正確である。
【0116】
ポリマーおよび生体材料の大面積フィルムを製造するための大部分の現在技術は、スピニング、吹き付け、または高分子および揮発性溶媒の溶液への基材の浸漬を含む。これらの方法は、選択性なしで基材全体をコートし、ときには、溶媒の汚染および不均一な溶媒蒸発のせいであるフィルムの形態的不均一性につながる。また、生体分子およびポリマー単層の小さな区域をパターン付けすることを可能にするマイクロコンタクトプリントおよびヒドロゲルスタンピングのような技術があるが、これらのフィルムをマイクロ装置に変形するためにフォトリソグラフィーまたは化学蒸着のような別個の技術が必要である。
【0117】
熱蒸発およびパルスレーザーアブレーションのような他の技術は、激しい加熱プロセスによって変性しない安定なポリマーに限られる。フィルムコーティングの厚さおよび均一さのより正確な制御は、基材上にセラミックコーティングを形成するための最近開発された物理蒸着技術であるパルスレーザー付着(PLD)を使用して達成することができる。この方法により、コーティングに使用される材料の化学量論的化学組成物を含む標的は、パルスレーザーによって切除されて切除材料のプルームを形成し、それが基材に付着する。
【0118】
最近、Naval Research Laboratoryの研究者によって開発されたマトリックス支援パルスレーザー蒸発(Matrix Assisted Pulsed Laser Evaporation;MAPLE)と呼ばれる技術に基づく新たなレーザーを使用するポリマー薄フィルムが、化学選択性の表面音響波蒸気センサーの感度および特異性を高めるということが示された。溶媒蒸発によって誘発されるフィルム欠陥を除くことによって改善されたSAWバイオセンサー応答を提供し、特異的標的マーカーへの分子結合を検出することにより、高い感度および特異性が可能である。
【0119】
特定のきわめて高感度な市販品(COTS)電子ノーズ、たとえばCyrano Sciences, Inc.(「CSI」)によって提供されるもの(すなわち、匂い感知のためのCSIの携帯式電子ノーズおよびCSIのノーズチップ集積回路、米国特許第5,945,069号の図1を参照のこと)を本発明のシステムおよび方法で使用して患者からの呼息をモニタリングすることができる。これらの装置は、きわめて短いサイクル時間を提供し、多種のマーカーを検出することができ、ほぼいかなる環境においても特別な試料下準備または単離条件なしで作動することができ、先進のセンサー設計または試験の合間のクレンジングを要しない。
【0120】
他の態様では、競合結合イムノアッセイを使用して体液試料をシグナル伝達剤の存在に関して試験することができる。イムノアッセイ試験は一般に、一つまたは複数の試薬が特定の区域に組み込まれている吸収性の繊維質ストリップを含む。体液試料がストリップに付着されると、毛管作用により、ストリップに沿って移動して、化学反応が起こりうるところの特定の試薬ゾーンに入る。ごくわずかな量の対象のシグナル伝達剤の存在で検出可能な応答、たとえば変色を顕在化させる少なくとも一つの試薬が含まれる。イムノアッセイ技術を記載する特許には、いずれも参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,262,333号および同第5,573,955号が含まれる。
【0121】
一つの態様では、本発明の装置は、息サンプリング装置を要することなく、患者が口または鼻から本発明のセンサーに直接息を出すことができるように設計されうる。たとえば、患者を装置とインタフェースさせて呼息をセンサーに容易に移すためのマウスピースまたはノーズピースが提供される(すなわち、米国特許第5,042,501号を参照のこと)。センサーが神経ネットワークに接続されている関連の態様では、神経ネットワークからの出力は、同じ患者が装置に直接息を吹き込む場合と、センサーが呼気をサンプリングする前に呼気を乾燥させる場合とで類似している。
【0122】
もう一つの態様では、患者の息試料をコンテナ(容器)に捕獲して、本発明のセンサー(すなわち質量分光計)を使用する後の分析に備えてもよい。
【0123】
呼気の湿度は、「乾いた」ガスとでしか働かない特定の電子ノーズ装置(SAWセンサーではないとしても)にとって問題を提示する。そのような水分感知性装置を使用する場合、本発明は、試料を脱湿させるための手段を用いて患者が装置に直接息を吹き込むことができるようにそのような電子ノーズ技術を適合させることができる。これは、市販の脱湿装置または熱水分交換装置(HME)、乾燥したガスでの通気中に気道の乾燥を防ぐように設計された装置を含めることによって達成される。
【0124】
または、患者は、通常の呼吸中に脱水を防ぐための解剖学的で生理学的な脱湿装置である鼻から息を出すこともできる。または、センサー装置は、GCカラムの性質のいくつかを有するプレコンセントレータを備えることもできる。ガス試料は、プレコンセントレータを経由したのち、センサーアレイに通される。ガスを加熱し、揮発させることにより、湿分が除去され、計測されるマーカーを潜在的な干渉物質から分離することができる。
【0125】
体液試料のセンサー技術分析の結果は、場合によっては、報告手段を介してユーザー(または患者)に提供される。一つの態様では、センサー技術は報告手段を含む。考えられる報告手段としては、電子的結果または印刷された結果を提供することができる、センサー技術にリンクされたコンピュータプロセッサが挙げられる。または、報告手段には、デジタル表示パネル、運搬可能な読み/書き磁気媒体、たとえば、別の機械に運び、その機械で読むことができるコンピュータディスクおよびテープ、ならびに印刷された報告書を作成するための熱、レーザー、またはインクジェットプリンタが含まれる。
【0126】
報告手段は、ファクシミリ、電子メール、郵便もしくは宅配サービスまたは報告を安全かつ確実に患者に送るための他の手段によって結果をユーザー(または患者)に提供することができる。また、対話式報告手段、たとえば対話式音声応答システム、対話式コンピュータベースの報告システム、対話式電話タッチトーンシステムまたは他の類似システムが本発明によって意図される。ユーザー(または患者)に提供される報告は、特定の期間にわたって実施された分析の概要または特定の体液試料分析に関する詳細な情報を含む多くの形態をとることができる。結果はまた、患者に料金請求するための財務データベースを構築するために、または実験データベースもしくは統計データベースにデータを投入するために使用することもできる。
【0127】
データモニタ/アナライザは、応答のパターンを、公知のマーカーから事前に計測され特徴付けられた応答と比較させることができる。これらのパターンの照合は、神経ネットワークを含む多数の技術を使用して実施することができる。たとえば、32種のポリマーそれぞれからのアナログ出力を「ブランク」または対照と比較することにより、神経ネットワークは、そのマーカーに特有であるパターンを確立することができ、その後は、そのマーカーを認識することを学習する。感知される標的マーカーに対する所望の応答を最適化するために特定の抵抗器形状が選択される。本発明のセンサーは、好ましくは、多様な治療薬マーカーを同時に評価および/またはモニタリングするための、気相生物学的溶解物中のマーカーを検出し、定量するのに適した自己較正性ポリマー系である。
【0128】
本発明にしたがって、センサーは、いかなる投与の不規則性、危険な薬物相互作用等に関しても医療スタッフおよび/または患者に通知することができる、センサーと通信するコンピュータを含みうる。このシステムは、患者が薬理学的有効量の治療薬を投与されたかどうかに関する判定を可能にする。装置はまた、投与される治療薬の時間インターバルおよび/または投薬量に関して患者(またはユーザー)に警報することもできる。したがって、本明細書では、本発明のセンサーは携帯の効くものでありうると意図される。
【0129】
好ましくは、動作中、センサーは、必要ならば、投薬の前に患者に関するベースラインスペクトルを識別するために使用される。これは、患者が一度に一つより多い薬物ならびに胃、口、食道および肺の中の様々な食物および匂いから生じうる干渉を受ける場合、一つより多い治療薬の検出にとって有益であることがわかる。
【0130】
遠隔通信システム
本発明のさらなる態様は、センサーとインタフェースする家庭(または他の離れた場所)における通信装置を含む。家庭通信装置は、データモニタ/アナライザ装置によって捕集されたデータを直接または標準の電話回線(または他の通信伝送手段)を介して即座にまたは所定のインターバルで送信することができる。データの通信は、適切な投薬量の治療薬が患者に投与されているかどうかをユーザー(すなわち医師)が離れたところで立証することを可能にする。家庭から送信されるデータはまた、コンピュータにダウンロードすることができ、そのコンピュータにおいて、薬物血中レベルがデータベースに記憶され、薬理学的効能からの逸脱があるならば自動的にフラグが立てられて(すなわちアラーム)、ユーザー(すなわち患者、医師、ナース)が、センサーに接続されたコンピュータ処理ユニットによって提供される指示にしたがってまたは健康管理者(すなわち医師)によって提供される用量指示にしたがって、投薬量を適切に調節することができるようにする。
【0131】
内因性化合物
本発明にしたがって、内因性化合物の血中濃度は、息センサー技術を使用して呼息中に存在する内因性化合物マーカーを検出および/または定量することによってモニタリングすることができる。特定の治療剤(たとえばプロポフォール)の血中濃度と呼息中濃度とが比例するということは示されている。しかし、内因性化合物マーカーが呼息中に存在するということ、ましてや人体、特に患者血液中の内因性化合物の濃度が呼息中に存在するものと比例するという指摘は今日まで存在しなかった。
【0132】
本発明者らは、驚くことに、内因性化合物および/またはそれらのマーカーが呼息中に存在し、本明細書に記載するセンサー技術を使用してそれらを検出することができるということを見いだした。特に、親水性である内因性化合物は、息の液(呼息凝縮物)相で計測される可能性が高く、疎水性(親油性)である内因性化合物は、息の気相で計測される可能性が高い。さらには、本発明者らは、グルコースのような特定の内因性化合物が呼息中に存在し、内因性化合物の呼息中濃度が患者の血中濃度に比例するということを見いだした。
【0133】
たとえば、ある研究者は、100gのグルコース溶液を摂取し、摂取の40分前および20分前および摂取後120分の間に複数回、息中グルコースレベルおよび血中グルコースレベルをサンプリングした。グルコースは、凝縮させて液体にした呼息中で容易に検出可能であった。息中グルコース濃度と血中グルコース濃度の両方は同じ割合で増減した。呼吸終期の試料のみを捕集するならば、相関関係はさらに密接になるであろう。
【0134】
この実験および他いくつか実験は、呼息中グルコース濃度と血中グルコース濃度との比が1:10,000であること、およびこの比が予測可能であり、再現精度が高いことを示唆する。本発明にしたがって、血液ではなく息をモニタリングすることによって患者における内因性化合物濃度をモニタリングするための、より予測精度の高い方法が提供される。本発明のシステムおよび方法を使用して、非限定的に、以下を含む内因性化合物をモニタリングすることができる:グルコース;タンパク質(たとえば熱ショックタンパク質HSP70);ウロビリノーゲン;ウロビリルビン;ビリルビン;コルチゾル、テストステロン、エストロゲン、および妊娠マーカー(たとえばhCGおよびそのサブユニット)をはじめとするホルモン;オリゴヌクレオチド(たとえば DNA、RNA);アデノシン;アデノシン三リン酸(ATP);アデノシン二リン酸(ADP);アデノシン一リン酸(AMP);プロスタグランジン(たとえば PGF2α);ロイコトリエン;サイトカイン;インターロイキン;メラトニン;6-スルホキシメラトニン(6-sulfoxymelatonin);低酸素誘導因子1α(HIF-1α);筋原性制御因子;2,3-ジホスホグリセレート(2,3-DPG);ケトン;ナイトレート;電解質(たとえばナトリウム、塩素、カリウム、マグネシウム、カルシウム、炭酸水素、硫酸、リン酸);尿素(血中尿素窒素);尿酸;アンモニア;乳酸;コレステロール;トリグリセリド(および他の「脂肪」、たとえば高密度および低密度リポタンパク質);乳酸デヒドゲナーゼ(LDH);癌「マーカー」、たとえばPSA(前立腺特異抗原);ならびに肝臓(SGOT、SGPT)および心臓(および他の筋肉)酵素;クレアチニンホスホキナーゼ(CPK)、トロポニン。
【0135】
上記を参照して、本発明は、呼息を代替として使用して多様な内因性化合物の血中濃度を非侵襲的かつ場合によっては連続的に計測する能力を提供して、息捕集を介して多様な疾病、たとえば腎臓、肝臓、膵臓、胃腸、および心臓血管の問題をモニタリングし、診断する能力を医師に提供する。
【0136】
内因性化合物レベルが連続的にモニタリングされる場合、本明細書に記載されるセンサー技術が、異常な内因性化合物濃度レベルが所与の期間にわたって所定の限界値を超えるならば起動されるアラームシステムの形態で中継されうる医学的問題が存在することを示す場合だけ、健康管理者が介入すればよい。本発明のセンサー装置によって発生されうる電気出力シグナルは、患者における内因性化合物濃度の遠隔コンピュータモニタリングを可能にして、糖尿病および身体障害患者にとって特に重要であり、長期的健康管理のコストを大幅に減らすことができる疾病の早期指標を提供することができる。
【0137】
一つの態様では、本発明のシステムは、センサー装置、コンピューティング/プロセッサ装置、システム制御装置、および治療薬の自動送達のための制御供給手段を含む。センサー装置は、好ましくは、内因性化合物マーカーの息中濃度を検出し、結果を伝達するためにコンピューティング/プロセッサ装置に接続されている。
【0138】
コンピューティング/プロセッサ装置は、コンピューティング/プロセッサ装置のメモリに記憶されたプログラム制御の下で作動し、センサーによって提供される結果に応答して、所望の治療薬および/または治療薬の投薬量を決定する。好ましくは、コンピューティング/プロセッサ装置は、センサー装置から送られる結果のパターンを、事前に計測され特徴付けられた患者の状態を示す結果と比較することができるデータモニタ/アナライザを含む。コンピューティング/プロセッサ装置は、好ましくは、訓練可能な神経ネットワークを使用して、患者に投与すべき治療薬および/または治療薬の投薬量を患者の状態に基づいて決定し、応答シグナルを発する。一つの態様では、コンピューティング/プロセッサ装置の応答シグナルに応答して、システム制御装置は制御供給手段に指示を出し、治療薬の投薬量を定量供給(dispense)させるか、または投薬量を調節させる。
【0139】
作動中、標的マーカーを検出すると、内因性化合物の血中濃度をコンピューティング/プロセッサ装置によって決定して、患者の状態に関する臨床的に適切なデータを確立し、適宜、患者の状態に対処するために患者に投与される治療薬の適切なタイプおよび投薬量を導出するように使用することができる。特定の態様では、適切な薬物および投薬量に関するそのような情報はユーザーに送られる。
【0140】
好ましい態様では、息中に存在するグルコースの濃度をモニタリングするための自動化システムであって、グルコースの濃度が血中グルコース濃度を示し、それを使用して糖尿病患者の状態を導出することができる自動化システムが提供される。具体的には、患者の呼息がセンサー(たとえば電子ノーズ)に適用され、このセンサーが結果を連続的または断続的にコンピューティング/プロセッサ装置に伝達して息中に存在するグルコースの濃度(および対応する血中グルコースレベル)を導出する。モニタリングされたグルコースの息中濃度に基づいて、コンピューティング/プロセッサ装置が本発明のシステム制御装置と通信し、システム制御装置が、制御供給手段(たとえばIVバッグ)に指示を出して、適切な投薬量の治療薬、たとえばインスリンを定量供給させて(または定量供給を止めさせて)患者の状態に対処する。たとえば、コンピューティング/プロセッサ装置が患者の血中グルコースレベルが高すぎると評価するならば、本発明のシステムは、自動的にインスリンを患者に送達して血中グルコースレベルを下げさせる。
【0141】
治療薬の薬力学および薬物動態
本発明にしたがって治療薬が患者に投与される場合、薬物薬力学および薬物動態に影響を与える要因が数多くある。たとえば、薬物親和力(すなわち、患者体内での薬物と標的レセプタとの間の誘引の程度)、薬物分散(すなわち、血液中を循環するタンパク質への薬物の結合、脂肪への薬物の吸収)、薬物代謝および排除(すなわち腎クリアランス)、または「遊離」形態における薬物の存在が、患者における薬物薬力学および薬物動態(PD/PK)に影響を与えうる。
【0142】
タンパク質に結合または脂肪中に吸収された薬物は、所望の薬理効果をもたらさず、非結合の薬物との平衡した状態で存在する。タンパク質上の結合部位を求めての他の薬物との競合、体脂肪の量、および産生されるタンパク質の量を含む数多くの要因が、結合薬物と非結合薬物との間の平衡状態を決定する。
【0143】
非結合薬物は、薬理効果に直接的に関与することがあり、または所望の効果を生じさせる薬物へと代謝されることがある。活性薬物の代謝は、多くの場合、血流からのその除去およびその効果の停止につながる。薬物効果はまた、遊離薬物の排出によって停止されうる。遊離薬物または代謝産物は、尿もしくは消化管または呼息中に排出されうる。そのような治療薬の血液(または血漿もしくは血清)中の濃度は薬剤の臨床効果に関連する。
【0144】
上記のように、血中濃度の計測値は、タンパク質または膜に結合した薬物の量または薬物間の相互作用および競合を考慮に入れていないため、治療薬の血中濃度試験は、患者に対する治療薬の効果の正確な指標を提供する可能性もあり、提供しない可能性もある。この理由のため、血漿中の遊離薬物だけを計測することが有利であろう。血漿中の遊離薬物の濃度は通常は低く、計測するためには洗練された高価な分析技術を要する。対照的に、本発明にしたがって息中に現れるマーカーは、遊離薬物の血中濃度の指標である。したがって、本発明のシステムおよび方法を使用してマーカー濃度に関して呼息を計測すると、PK効果を担う遊離薬物の実濃度の効果的な指標を提供することができる。
【0145】
さらには、血液を直接的に試験する(すなわち試料分析のための血液を採取する)ことは侵襲的であり、時間を要し、費用を要し、誤差をこうむりやすい。対照的に、本発明のシステムおよび方法は、患者呼息中の治療薬マーカーを分析することにより、非侵襲的であり、速く、正確であり、断続的または連続的に実施することができる。治療薬マーカー(たとえば治療薬またはその代謝産物)が息中に排出される場合、呼出された息中の濃度は、遊離治療薬(または代謝産物)の血中濃度に比例し、ひいては、薬物吸収、分散、代謝、および/または排除の速度を示す。
【0146】
特定の態様では、呼息中で計測される代謝産物は、活性代謝産物であってもよく、または活性治療薬の分解産物であってもよい。活性薬物と息中に排出される代謝産物(たとえば不活性代謝産物)との間に平衡がある限り、活性薬物の活性を本発明にしたがって分析することができる。
【0147】
本発明の方法は、そのような比例する濃度を考慮に入れ、患者の息中の薬物に関連する非結合物質、マーカーおよび/または活性代謝産物の濃度を計測することにより、治療薬の吸収、分散、代謝、および排除の速度の決定を可能にする。したがって、適切な投与計画をそこから決定することができる。
【0148】
治療薬マーカー
本発明にしたがって、治療薬血中濃度の指標として有用な治療薬マーカーとしては、非限定的に、以下の嗅覚マーカーを含む:ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトアルデヒド、アセトフェノン、トランスアネトール(1-メトキシ-4-プロペニルベンゼン)(アニス)、ベンズアルデヒド(安息香酸アルデヒド)、ベンジルアルコール、桂皮酸ベンジル、カジネン、カンフェン、ショウノウ、桂皮アルデヒド(3-フェニルプロペナール)、ガーリック、シトロネラール、クレゾール、シクロヘキサン、オイカリプトール、およびオイゲノール、オイゲノールメチルエーテル;イソ酪酸ブチル(n-ブチル2, メチルプロパノエート)(パイナップル);シトラール(2-トランス-3,7-ジメチル-2,6-アクタジエン-1-アール);メントール(1-メチル-4-イソプロピルシクロヘキサン-3-オール);ならびにα-ピネン(2,6,6-トリメチルビシクロ-(3,1,1)-2-ヘプテン)。これらのマーカーは、食品産業で香料成分として使用されており、食品医薬品局によって許可されているため、好ましい。上記のように、本発明で使用するための嗅覚マーカーは、膨大な数の利用可能な化合物から選択することができ(Fenaroli's Handbook of Flavor Ingredients, 4th edition, CRC Press, 2001を参照のこと)、そのような他の適用可能なマーカーの使用もまた本明細書で意図される。
【0149】
本発明のマーカーはまた、米国食品医薬品局食品安全応用栄養センターによって維持されるデータベースで利用可能である、連邦政府によって認可され、GRAS(「一般に安全と認められる」)と分類された添加物を含む。呼息中で容易に検出可能である、GRASとして分類されるマーカーとしては、非限定的に、以下を含む:硫酸水素ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリグリセロールポリルシノール酸、カルシウムカゼインペプトン-リン酸カルシウム、植物性物質(すなわちキク;甘草;仙草、スイカズラ;ササクサ、クワの葉;プルメリア;ウツボグサ;エンジュの芽)、ビスグリシン第一鉄キレート、海藻誘導カルシウム、DHASCO(ドコサヘキサンエン酸に富む単細胞油)およびARASCO(アラキドン酸に富む単細胞油)、フルクトオリゴ糖、トレハロース、γ-シクロデキストリン、フィトステロールエステル、アラビアガム、硫酸水素カリウム、ステアリルアルコール、エリスリトール、D-タガトース、ならびにマイコプロテイン。
【0150】
ハロゲン化化合物(すなわちフッ素化薬物またはマーカー)は、非常に揮発しやすく、人間が消費するのに安全であり、携帯式フレオン漏れ検出器を使用して呼息中で検出しやすいため、特に有望である。これらの化合物のいくつかは、肺を介する経路、たとえば計量吸入器での薬物送達の噴射剤として使用され、したがって、安全であることが知られ、FDA認可されており、いくつかはGRAS化合物でもある。フレオン漏れを検出するために非常によく使用される技術には、負イオンキャプチャ、加熱センサー/セラミック半導体、赤外吸収、およびTIF TIFXP-1A負コロナ漏れ検出器が含まれる。多くの薬物はフッ素化されており、代謝産物は、多くの場合、きわめて揮発性であり、呼息中で検出可能である。マーカーとして使用することができ、薬の製造中に賦形剤として加えることができるような化合物が数多く利用可能である。
【0151】
上記のように、治療薬マーカーは、その物理的および/または化学的性質によって検出され、そのことは、所望の治療薬そのものをそれ自体のマーカーとして使用することを排除しない。本明細書で意図される治療薬マーカーはまた、本発明のセンサーを使用する検出を増強するために投与される生成物および化合物を含む。そのうえ、治療薬マーカーは、検出/定量における分別を増強するために所望の治療薬投与計画に加えられる多様な生成物または化合物を含みうる。一般に、本発明にしたがって、治療薬マーカーは水に難溶性であり、それが、息中での揮発性および検出を増強する。
【0152】
本発明にしたがって、治療薬を投与すると(治療薬がマーカーである)、または治療薬と検出可能な添加物とを同時に投与すると、マーカー(たとえば治療薬、治療薬の代謝産物または添加物)の検出がいくつかの状況の下で起こりうる。薬物が経口投与される一例では、マーカーは、摂取されたとき、口、食道および/または胃の中で「コート」または持続し、呼息で検出されうる(臭い消しミントを食べた後、味または香が口の中に残るのと同じ)。
【0153】
薬物(および、存在する場合、検出可能な添加物)が経口投与される第二の例では、薬物が口または胃の中で酸または酵素と反応してマーカーを生成または放出したのち、そのマーカーを呼息と同時に検出されうる。第三に、薬物および/またはマーカーは、胃腸管に吸収され、肺に排出されうる(すなわち、アルコールは急速に吸収され、ブレスアナライザによって検出される)。一般に、本発明の治療薬マーカーは、薬物の薬力学および薬物動態を決定する手段を提供する。
【0154】
一つの態様では、検出可能な添加物(マーカー)は治療薬と同時に投与される(すなわち、検出可能な添加物は薬学的に許容される担体中に提供され、検出可能な添加物は、速やかに溶解するグルコースおよび/またはスクロースで構成された医薬コーティング中に提供される)。好ましい態様では、治療薬は丸剤の形態で提供され、そのコーティングが少なくとも一つのマーカーを空気凝集糖結晶中に含む。これは、唾液分泌を促進し、マーカーを口腔中に広がらせるように作用して、口腔中で寿命を延ばす。薬剤が摂取されると喉および食道もまたマーカーでコートされるため、マーカーの検出はさらに促進される。
【0155】
したがって、薬物が患者に投与されると、本発明の好ましい態様は、センサー(すなわち電子ノーズ)を使用して、患者の呼息中でほぼ即座に(またはおそらくは意図的にげっぷをするよう患者にお願いすることにより)治療薬マーカーを検出し、定量する。特定の薬物組成物は呼息中で検出可能ではない可能性がある。他の薬物組成物は、薬剤が胃で溶けることを防ぐためのコーティングを有する可能性がある。いずれの場合でも、代替態様として、非毒性の嗅覚マーカー(すなわち揮発性有機蒸気)を薬学的に許容される担体(すなわち、丸剤のコーティング、丸剤中の別個の高速溶解コンパートメント中または、薬物が液体または懸濁液形態で投与されるならば、溶液)に加えて、呼息中のマーカーを識別/定量するための手段を提供し、それにより、薬物血中濃度を決定することができる。
【0156】
好ましくは、マーカーは、口腔または食道または胃を短時間だけコートし、息(またはげっぷ)中に呼息される。丸剤、カプセル剤および高速溶解錠剤の形態で投与される薬物の場合、マーカーは、コーティングとして適用してもよく、または治療薬に物理的に組み合わせても、もしくは加えてもよい。マーカーはまた、液体形態で投与される治療薬に含めてもよい(すなわち、シロップ、吸入器、または他の投薬手段を介して)。
【0157】
本発明の治療薬マーカーは、特定の薬物または薬物のクラスを示すために使用することもできる。たとえば、患者は、抗うつ剤(三環系、たとえばノルトリプチリン)、抗生物質、抗高血圧剤(すなわちクロニジン)、鎮痛剤および抗逆流(anti-reflux)薬を摂取している可能性がある。一つのマーカーを、クラスとしての抗生物質または抗生物質のサブクラス、たとえばエリスロマイシンに対して使用することもできる。もう一つのマーカーを、クラスとしての抗高血圧剤または抗高血圧剤の特定のサブクラス、たとえばカルシウムチャネル遮断剤に対して使用することもできる。同じことが抗逆流薬にも当てはまるであろう。さらには、マーカー物質の組み合わせを使用して、少ない数のマーカーで多数の薬剤を特異的に識別することも可能にしうる。
【0158】
治療薬
本明細書で意図されるように、本発明にしたがってモニタされる治療薬は、非限定的に、以下を含む:麻酔剤、精神科薬(psychiatric drug)(すなわち抗うつ剤、抗精神病剤、抗不安剤、抑制剤)、鎮痛剤、刺激剤、生体応答調整物質、NSAID、コルチコステロイド、疾患修飾性抗リウマチ剤(DMARD)、アナボリックステロイド、制酸剤、抗不整脈剤、抗菌剤、抗生物質、抗凝血剤および血栓溶解剤、抗けいれん剤、止瀉剤、抗嘔吐剤、抗ヒスタミン剤、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗悪性腫瘍剤、解熱剤、抗ウイルス剤、バルビツレート、β遮断剤、気管支拡張剤、咳止め剤、細胞毒剤、うっ血除去剤、利尿剤、去痰剤、ホルモン、免疫抑制剤、血糖降下剤、瀉下剤、筋弛緩剤、鎮静剤、精神安定剤、およびビタミン。
【0159】
たとえば、本発明は、以下の非限定的リストの治療薬の血中濃度を効果的にモニタリングすることができる:関節リウマチまたはその症状、全身性エリテマトーデスまたはその症状、変性性関節炎、血管炎、炎症性疾患、アンギナ、冠動脈疾患、末梢血管疾患;潰瘍性大腸炎およびクローン病;臓器拒絶反応抑制薬;抗てんかん薬、ならびに抗不安薬。
【0160】
本発明にしたがって、血中濃度レベルをモニタリングすることができる治療薬は、非限定的に、以下を含む:α-ヒドロキシ-アルプラゾラム;アセカイニド(NAPA);アセトアミノフェン(タイレノール(Tylenol));アセチルモルヒネ;アセチルサリチル酸(サリチレートとして);α-ヒドロキシ-アルプラゾラム;アルプラゾラム(ザナックス(Xanax));アマンタジン(シンメトレル(Symmetrel));アンビエン(Ambien)(ゾルピデム);アミカシン(アミキン(Amikin));アミオダロン(コルダロン(Cordarone));アミトリプチリン(エラヴィル(Elavil))およびノルトリプチリン;アモバルビタール(アミタール);アナフラニール(Anafranil)(クロミプラミン)およびデスメチルクロミプラミン(Desmethylclomipramine);アチバン(Ativan)(ロラゼパム);アベンチル(Aventyl)(ノルトリプチリン);ベナドリル(Benadryl)(ジフェンヒドラミン);ベンゾジアゼピン;ベンゾイルエクゴニン(Benzoylecgonine);ベンズトロピン(コゲンチン(Cogentin));ブピバカイン(マーカイン(Marcaine));ブプロピオン(ウェルブトリン(Wellbutrin))およびヒドロキシブプロピオン;ブタバルビタール(ブチソール(Butisol));ブタルビタール(フィオリナール(Fiorinal))カルバマゼピン(テグレトール(Tegretol));カルジゼム(Cardizem)(ジルチアゼム);カリソプロドール(ソーマ(Soma))およびメプロバメート;およびセレクサ(Celexa)(シタロプラムおよびデスメチルシタロプラム(Desmethylcitalopram))。
【0161】
本発明にしたがって血中濃度レベルをモニタリングすることができるさらなる治療薬は、以下を含む:セロンチン(Celontin)(メトスクシミド)(デスメチルメトスクシミドとして);セントラックス(Centrax)(プラゼパム)(デスメチルジアゼパムとして);クロラムフェニコール(クロロマイセチン(Chloromycetin));クロルジアゼポキシド;クロルプロマジン(ソラジン(Thorazine));クロルプロパミド(ジアビネース(Diabinese));クロナゼパム(クロノピン(Klonopin));クロラゼペート(トランキセン(Tranxene));クロザピン;コカエチレン;コデイン;コゲンチン(Cogentin)(ベンズトロピン);コンパジン(Compazine)(プロクロルペラジン);コルダロン(Cordarone)(アミオダロン);クマジン(Coumadin)(ワルファリン);シクロベンザプリン(フレクセリル(Flexeril));シクロスポリン(サンディミュン(Sandimmune));サイラート(Cylert)(ペモリン);ダルメーン(Dalmane)(フルラゼパム)およびデスアルキルフルラゼパム(Desalkylflurazepam);ダルボセット(Darvocet);ダルボン(Darvon)(プロポキシフェン)およびノルプロポキシフェン;デメロール(Demerol)(メペリジン)およびノルメペリジン;デパケン(Depakene)(バルプロ酸);デパコート(Depakote)(ジバルプロエクス)(バルプロ酸として計測);デシプラミン(ノルプラミン(Norpramin));デスメチルジアゼパム;デシレル(Desyrel)(トラゾドン);ジアゼパムおよびデスメチルジアゼパム;ジアゼパム(バリウム(Valium))デスメチルジアゼパム;ジエルドリン;ジゴキシン(ラノキシン(Lanoxin));ジランチン(Dilantin)(フェニトイン);ジソピラミド(ノルペース(Norpace));ドロフィン(Dolophine)(メタドン);ドリデン(Doriden)(グルテチミド);ドキセピン(セネクアン(Sinequan))およびデスメチルドキセピン;エフェクサー(Effexor)(ベンラファキシン);エフェドリン;エクワニル(Equanil)(メプロバメート)エタノール;エトスクシミド(ザロンチン(Zarontin));エトトイン(ペガノン(Peganone));フェルバメート(フェルバトール(Felbatol));フェンタニル(イノバー(Innovar));フィオリセット(Fioricet);フィプロニル;フルニトラゼパム(ロヒプノール(Rohypnol));フルオキセチン(プロザック(Prozac))およびノルフルオキセチン;フルフェナジン(プロリキシン(Prolixin));フルボキサミン(ルボックス(Luvox));ガバペンチン(ニューロンティン(Neurontin));γ-ヒドロキシ酪酸(GHB);ガラマイシン(Garamycin)(ゲンタマイシン);ゲンタマイシン(ガラマイシン(Garamycin));ハラゼパム(パキシパム(Paxipam));ハルシオン(Halcion)(トリアゾラム);ハルドール(Haldol)(ハロペリドール);ヒドロコドン(ハイコダン(Hycodan));ヒドロキシジン(ビスタリル(Vistaril));イブプロフェン(アドヴィル(Advil)、モートリン(Motrin)、ニュープリン(Nuprin)、ルーフェン(Rufen));イミプラミン(トフラニール(Tofranil))およびデシプラミン;インデラル(Inderal)(プロプラノロール);ケプラ(Keppra)(レベチラセタム);ケタミン;ラモトリジン(ラミクタル(Lamictal));ラノキシン(Lanoxin)(ジゴキシン);リドカイン(キシロカイン(Xylocaine));リンデン(γ-BHC);リチウム;ロプレッサー(Lopressor)(メトプロロール);ロラゼパム(アチバン(Ativan));およびルジオミール。
【0162】
本発明にしたがって血中濃度レベルをモニタリングすることができる治療薬は、非限定的に、以下を含む:マプロチリン;メバレル(Mebaral)(メホバルビタール)およびフェノバルビタール;メラリル(Mellaril)(チオリダジン)およびメソリダジン;メフェニトイン(メサントイン(Mesantoin));メプロバメート(ミルタウン(Miltown)、エクワニル(Equanil));メサントイン(Mesantoin)(メフェニトイン);メソリダジン(セレンチル(Serentil));メタドン;メトトレキサート(メキサート(Mexate));メトスクシミド(セロンチン(Celontin))(デスメトスクシミドとして);メキシレチン(メキシチール(Mexitil));ミダゾラム(ベルセド(Versed));ミルタザピン(レメロン(Remeron));モガドン(Mogadone)(ニトラゼパム);モリンドン(モーバン(Moban));モルヒネ;マイソリン(Mysoline)(プリミドン)およびフェノバルビタール;NAPAおよびプロカインアミド(プロネスチール(Pronestyl));NAPA(N-アセチルプロカインアミド);ナーベン(Navane)(チオチキセン);ネブシン(Nebcin)(トブラマイシン);ネファゾドン(セルゾン(Serzone));ネンブタール(Nembutal)(ペントバルビタール);ノルジアゼパム;オランザピン(ジプレキサ(Zyprexa));アヘン製剤;オリナーゼ(Orinase)(トルブタミド);オキサゼパム(セラックス(Serax));10-ヒドロキシオクスカルバゼピンとしてのオクスカルバゼピン(トリレプタル(Trileptal));オキシコドン(ペルコダン(Percodan));オキシモルホン(ヌモルファン(Numorphan));パメロール(Pamelor)(ノルトリプチリン);パロキセチン(パキシル(Paxil));パキシル(Paxil)(パロキセチン);パキシパム(Paxipam)(ハラゼパム);ペガノン(Peganone)(エトトイン);PEMA(フェニルエチルマロンアミド);ペントサル(Pentothal)(チオペンタール);ペルフェナジン(トリラホン(Trilafon));フェネルガン(Phenergan)(プロメタジン);フェノチアジン;フェンテルミン;フェニルグリオキシル酸;プロカインアミド(プロネスチール(Pronestyl))およびNAPA;プロマジン(スパリーン(Sparine));プロパフェノン(リスモル(Rythmol));プロトリプチリン(ビバクチル(Vivactyl));プソイドエフェドリン;クエチアピン(セロクエル(Seroquel));レストリル(Restoril)(テマゼパム);リスパダール(Risperdal)(リスペリドン);およびヒドロキシリスペリドン;セコバルビタール(セコナール(Seconal));セルトラリン(ゾロフト(Zoloft))およびデスメチルセルトラリン;ステラジン(Stelazine)(トリフロペラジン);スルモンチール(Surmontil)(トリミプラミン);トカイニド(トノカード(Tonocard));およびトパマックス(Topamax)(トピラメート)。
【0163】
本発明の治療薬は、薬学的に有用な組成物を調製するための公知の方法にしたがって調合することができる。製剤は、当業者には容易に入手可能である周知の数多くの情報源に記載されている。たとえば、Remington's Pharmaceutical Science(Martin EW [1995] Easton Pennsylvania, Mack Publishing Company, 19th ed.)は、本発明に関連して使用することができる製剤を記載している。非経口投与に適した製剤には、たとえば、製剤を所期のレシピエントの血液とで等張性にする、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含有することができる無菌注射用水溶液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含むことができる水性および無水の無菌懸濁液が含まれる。
【0164】
製剤は、単位用量または多用量容器、たとえば封止されたアンプルおよびバイアルで提示することができ、使用前に無菌液体担体、たとえば注射用水の条件を要するだけであるフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵することができる。即時調合注射溶液および懸濁液を無菌粉末、顆粒、錠剤等から調製することもできる。本発明の製剤は、特に上述した成分に加えて、本製剤のタイプを考慮して当技術分野で通常である他の薬を含むことができるということが理解されよう。
【0165】
本発明にしたがって、治療薬の投与は、現在または将来的に当業者に公知である適当な方法および技術によって達成することができる。好ましい態様では、治療薬は、特許性のある消費しやすい経口製剤、たとえば丸剤、ロゼンジ剤、錠剤、ガム、飲料等に調合される。
【0166】
本発明にしたがって、治療薬は、制御供給手段(すなわち丸剤ディスペンサ、IVバッグ等)から送達することができる。治療薬が患者に送達されると、本発明のセンサーが患者の呼気を分析して、治療薬の少なくとも一つの標的マーカーを検出する。標的マーカーが検出されると、治療薬の血中濃度を決定して、次に患者に送達すべき治療薬の適切な投薬量を導出するために使用することができる。一つの態様では、システム制御装置は、呼息分析に基づいて導出された適切な投薬量を使用して、適切な投薬量を供給手段から患者に定量供給する。
【0167】
また、本明細書ではさらなる態様が考えられる。特にぜん息および慢性閉塞性肺疾患のような状態の場合、薬剤の経肺送達は周知である。これらの場合、薬剤(すなわちコルチコステロイド、気管支拡張剤、抗コリン作動薬等)がしばしば噴霧化またはエアゾール化され、口から直接肺に吸入される。これは、罹患した器官(肺)への直接的な送達を可能にし、経腸(経口)送達の場合に一般的な副作用を減らす。この経路で薬剤を送達するためには計量吸入器(MDI)またはネブライザーが一般に使用される。最近、乾燥粉末吸入器が、CFCなどの噴射剤の使用を要しないという理由で、ますます一般的になった。噴射剤は、オゾン層を破壊するだけでなく、ぜん息発作を悪化させるということが暗示されている。乾燥粉末吸入器はまた、以前には他の経路でしか投与されなかった薬物、たとえばインスリン、ペプチド、およびホルモンなどにも使用されている。
【0168】
嗅覚マーカーをこれらの送達システムに加えることもできる。装置は肺経路によって薬剤を送達するように設計されているため、センサーアレイを装置に組み込むことができ、ドキュメンテーションを起こすためには、患者は、装置を介して逆に呼息するだけでよい。
【0169】
最後に、装置は、鼻腔内経路によって薬剤を送達するのにも利用可能である。この経路は、多くの場合、ウイルス感染またはアレルギー性鼻炎の患者に対して使用されるが、ペプチドおよびホルモンを送達するためにもますます使用されている。その場合もまた、そのような装置にセンサーアレイを組み込むことが簡単であるか、または、患者が、マーカー感知システムによる検出のために鼻から呼息することができる。
【0170】
以下、本発明を実施する手順を説明する実施例を記す。これらの実施例は、限定的であるとみなすべきではない。断りがない限り、すべてのパーセント値は重量基準であり、すべての溶媒混合比は容量基準である。
【0171】
実施例1 - 静脈内IV麻酔送達
静脈麻酔中、麻酔剤は、呼吸回路を介してガスとして投与されるのではなく、患者の血流に直接投与される。投与された薬物は、血液中を循環するタンパク質に結合することも、脂肪に吸収されることも、または「遊離」形態で存在することもある。タンパク質に結合するまたは脂肪に吸収される薬物は、薬理効果をもたらさず、非結合の薬物との平衡した状態で存在する。タンパク質上の結合部位を求めての他の薬物との競合、体脂肪の量、および産生されるタンパク質の量を含む数多くの要因が、結合薬物と非結合薬物との間の平衡状態を決定する。非結合薬物は、薬理効果に直接的に関与することがあり、または効果を生じさせる薬物へと代謝されることがある。活性薬物の代謝は、多くの場合、血流からのその除去およびその効果の停止につながる。薬物の効果はまた、遊離薬物の排出によって停止されうる。遊離薬物または代謝産物は、尿もしくは消化管または呼息中に排出されうる。そのような薬(たとえばプロポフォール、アルフェンタニルおよびレミフェンタニル)の血液(または血漿もしくは血清)中の濃度は、薬の臨床効果に関連する。
【0172】
図3は、プロポフォール(2,6-ジイソプロピルフェノール)のFT-IRシグナルを表す。麻酔剤(たとえばプロポフォール)の血中濃度と麻酔の深さとの間に良好な相関関係があることは具体的に証明されている。したがって、血中濃度を試験することは、薬の効果(麻酔の深さ)の良好な指標である。残念ながら、血液を直接的に試験することは侵襲的であり、時間を要する。薬物またはその代謝産物が息中に排出される場合、呼出された息中の濃度は、遊離薬物または代謝産物の血液濃度に比例し、ひいては、麻酔の深さおよび/または薬物代謝の速度を示す。呼息中で計測される代謝産物は、活性代謝産物であってもよく、活性薬物の分解産物であってもよい。活性薬物と息中に排出される不活性代謝産物との間に平衡がある限り、活性薬物の活性がわかる。本発明の方法は、そのような比例する濃度を考慮に入れ、患者の息中の非結合物質、薬および/または活性代謝産物の濃度を計測することにより、麻酔の深さおよび/または薬物の代謝速度の決定を可能にする。図4を参照のこと。したがって、適切な投与計画をそこから決定することができる。
【0173】
一般に、呼息ガス流は順序またはステージを含む。呼息のはじめに初期ステージがあり、それを表すガスが呼吸系の解剖学的に不活性の(デッドスペース)部分、換言するならば、口および上気道から出る。これにプラトーステージが続く。プラトーステージの早期では、ガスは、デッドスペースと代謝的に活性のガスとの混合物である。呼息の最後の部分は、深い肺ガス、いわゆる肺胞ガスしか含まない。肺胞から来るこのガスは呼吸終期ガスと呼ばれる。一つの態様では、呼息試料は呼吸終期の息で捕集される。呼吸終期二酸化炭素モニタリングに使用される技術と類似した技術を使用して、いつ試料が捕集されるのかを決定することができる。気道内圧計測が、呼吸サイクルの適切なフェーズで試料を捕集するもう一つの手段を与える。側流法によって捕集された単一または多数の試料が好ましいが、センサー取得時間が減るならば、インラインサンプリングを使用してもよい。前者では、試料は、気管内管の近位端にあるアダプタを介して捕集され、小口径の管を通ってセンサーチャンバまで採取される。試料サイズおよび検出器応答時間に依存して、ガスは、連続サイクルで捕集することができる。インラインサンプリングでは、センサーは、直接的に気流中でET管に近接するところに配置される。呼吸終期ガスをサンプリングする代わりに、呼吸の呼息フェーズを通して試料を採取し、平均値を決定し、血中濃度と相関させることもできる。
【0174】
次に図5aを参照すると、4センサーポリマーコートSAWアレイからのプロポフォールの特徴的なサインが示されている。この例では、プロポフォール1ccを「ヘッドスペース」ガスクロマトグラフィーバイアルに入れた。センサーアレイを含むVaporLab(商標)ガス検出器に取り付けた19ゲージ皮下針をバイアルに挿入し、そのバイアルを37℃に加熱し、「サイン」を記録した。VaporLab(商標)ブランドの機器は、本発明にしたがって蒸気を検出するのに適した手持ち式バッテリ給電SAWベースの化学蒸気識別機器である。この機器は、揮発性および半揮発性化合物に対して高感度であり、かつより高い精度および判別のための直交蒸気応答を提供する高安定性SAWセンサーアレイを有する。該装置は、コンピュータと通信して機能強化されたパターン解析を提供し、発生を報告する。該装置は、高速の「オンザフライ」解析のために化学蒸気サインパターンを記憶するように容易に「訓練」することができる。「サイン」は振幅および時間的分解能を有することに注目すること。本発明では、蒸気の蒸気濃度計測は、ポリマー薄フィルムでコートされたSAWセンサーの表面への分子の吸着を検出することによって実施される。この薄フィルムは、特定の蒸気に対して選択性および感度を提供するように特異的にコートされている。SAWは、アクティブフィードバック要素としてオシレータ回路に挿入される。周波数カウンタが、SAWセンサーの共鳴周波数に対応する振動周波数を計測する。蒸気に対するSAWセンサーの応答は、SAWセンサーの共鳴周波数のシフトとして計測される。この構成は、すべて小さなプリント回路基板上に収容することができる、オシレータ回路、コートされたSAWセンサーおよび周波数カウンタを要する。
【0175】
図5bは、患者におけるプロポフォール相対息中濃度プロファイルの例を示す。
【0176】
もう一つの態様では、試料は、気管内管(ETT)の先端で、別個のサンプリング口を備えた管を介して捕集される。これは、各呼吸サイクル中により大きな試料を可能にすることにより、サンプリングを改善することができる。
【0177】
体内の麻酔剤の濃度は、所与の期間にわたって投与される薬の量および薬が身体から排除(代謝)される速 度の両方によって規制される。本発明は、薬を対象に投与する段階および適当な期間ののち非結合物質、活性代謝産物または不活性代謝産物の濃度に関して対象の呼息を分析する段階を提供する。濃度は、対象における薬の代謝の特性を示す。方法はさらに、呼息の開始および完了を検出するための流量センサーの使用を含みうる。方法はさらに、分析の結果を提供すること、および結果に基づいて静脈麻酔剤を送達するための輸液ポンプを制御することを含む。そのうえ、呼息のサンプリングを制御するために流量センサーからのシグナルを自動的に検出するためのデータ処理/制御ユニットとしてCPUを設けることもできる。CPUはさらに、輸液ポンプまたは他の投与手段の分析および制御を提供することができる。
【0178】
薬を投与する方法は当業者によって容易に理解される。たとえば、輸液ポンプを使用することができる。化合物はまた、ivボーラスおよび連続輸液により、非経口的、舌下的、経皮的に投与することもできる。同じく当業者には公知であるような多数の適当な薬が投与に利用可能である(レミフェンタニル - Glaxo Wellcome、プロポフォール - Zeneca)。薬はまた、記憶消失剤、鎮痛剤、筋弛緩剤および鎮静剤またはそれらの組み合わせであってもよい。薬は、当技術分野で公知であるように、鎮痛、意識鎮静または意識消失のための量で投与することができる。薬投与中に患者の特性をモニタリングしてもよい。
【0179】
本発明の息分析によって計測される、遊離薬または代謝産物の血中濃度は、患者が麻酔濃度(高い用量)、鎮痛濃度(低い用量)を受けている場合または完全な回復を可能にするレベルの結果として麻酔から覚醒しつつある場合、それを示すことができる。麻酔剤に対する代謝または応答における広いばらつきがある場合でさえ、呼息濃度の知見によって、麻酔科医は、薬物が血液中に蓄積して、おそらくは危険な深さの麻酔レベルおよび/または長引く回復時間をもたらそうとしているかどうか、あるいは、濃度が低下し、おそらくは不十分な麻酔および早期覚醒をもたらそうとしていることを知ることが可能になる。したがって、濃度の変化をモニタリングすることは有用である。
【0180】
もう一つの態様において、遊離薬および/または代謝産物濃度に関して呼息空気が、連続的または周期的のいずれかに計測される。呼息空気から、少なくとも一つの計測された遊離薬または代謝産物濃度値が抽出される。数多くのタイプの装置を使用して本発明の方法を実施することができる。一つの態様において、装置は、呼息空気が通過して流れる従来の流路を含む。流路は、遊離薬薬または代謝産物濃度を計測するためのセンサー要素を備えている。さらには、装置は、必要ならば、少なくとも一つの計測濃度結果をオペレータに送るために必要な出力要素を含む。また、アラーム機構を設けてもよい。同様なタイプの機器が、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,971,937号の図1および2に示されている。
【0181】
もう一つの態様において、本発明の装置は、患者が口または鼻を介して直接装置の中に呼息することができるように設計されうる。図4。
【0182】
好ましくは、動作中、センサーは、必要ならば、送達の前に患者に関するベースラインスペクトルを識別するために使用される。これは、患者が一度に一つより多い薬物ならびに胃、口、食道および肺の中の様々な食物および匂いから生じうる干渉を受ける場合、一つより多い薬物の検出にとって有益であることがわかる。
【0183】
実施例2 - 吸入麻酔
吸入剤は一般に呼吸システムを介して投与される。呼吸システムとは、患者の気道を麻酔機械に接続する、そこからおよびそこを通して患者が息をする部品のアセンブリである。当技術分野で公知であるように、このようなシステムは一般に、ガスが機械から送達されるときに通過する新鮮なガス導入口/送達管;それを患者の気道(口腔気道、マスク、気管内管)に接続するためのポート;ガスの貯留所;呼気が大気に通されるときに通過する呼気口/弁;二酸化炭素吸収装置(再呼吸のため);およびこれらの部品を接続するための管を含む。流れ指向弁を使用しても使用しなくてもよい。
【0184】
本発明のセンサーは、標的物質を適切にモニタリングするため、呼吸回路の送達(吸)気および/または呼気と連絡している。好ましくは、センサーは、回路の適切な管、弁等と流通的に連絡している。図6aおよび6bは、呼吸回路からサンプリングされた吸入麻酔イソフルランおよびセボフルランそれぞれに特有のサインを示す。センサーは、標的物質の読みを得るために呼吸回路の至るところに配置されてもよい。吸気は、本発明のセンサーを呼吸回路中の適切な場所に接続することによってモニタリングされる。同様に、呼気も、本発明のセンサーを呼吸回路中の適切な場所に接続することによってモニタリングされる。ある態様では、試料は、気管内管(ETT)の先端で、別個のサンプリング口を備えた管を介して捕集される。これは、各呼吸サイクル中により大きな試料を可能にすることにより、サンプリングを改善することができる。モニタリングされる呼気には、たとえば、生理的ガスおよび麻酔ガスが含まれる。また、「バランス麻酔」の場合のようにIV麻酔が同時に投与されるならば、呼気のモニタリングはまた、本発明の息分析によって血中濃度を計測することを含む。
【0185】
ある態様では、側流モニタリングが使用される。そのうえ、水抜き装置、乾燥剤および/またはフィルタを使用して水蒸気および凝縮物を試料から除去してもよい。本発明の装置は、呼吸気の吸息および呼息(呼吸終期)濃度を連続的にサンプリングし、計測する。モニタリングされるガスは、患者の呼息中に見いだされる生理的ガス(酸素、二酸化炭素および窒素)ならびに鎮痛および麻酔を誘導し、維持するために麻酔科医によって患者に投与されるガスの両方である。
【0186】
本発明のセンサーはまた、入口(新鮮なガス入口)におけるガスおよび/またはキャリヤガスの純度をモニタリングすることもできる。多数の揮発性麻酔剤が回路に接続されるならば、そのような薬それぞれを検出するのに適切な数のセンサーを各入口点および吸息の前で含めてもよい。
【0187】
所望のモニタリングを達成するために、いかなる数のセンサーを回路中の様々な地点で使用してもよい。センサーはすべて、分析のために一つのプロセッサに接続してもよく、または多数のプロセッサを使用してもよい。同様に、モニタリングの結果は、所望により、一つの表示装置で表示してもよく、または多数の表示装置で表示してもよい。本発明の方法および装置は、標的物質の濃度を検出し、定量する。
【0188】
実施例3 - センサーの選択
以下、本発明の方法を実施する際に使用することができる種々のセンサー技術の例を示す。
【0189】
マイクロ重量(microgravimetric)センサー
マイクロ重量センサーは、特定の物質または構造的類似体のグループに対して選択的に予め決定される、ポリマーまたは生体分子ベースの吸収剤の調製に基づく。吸収剤と標的マーカーとの結合によって誘発される質量変化の直接計測を、センサーの基材中の音響剪断波の伝搬によって観測することができる。音響波の位相および速度が、センサー表面への標的マーカーの特異的吸着によって影響を受ける。圧電材料、たとえば石英(SiO2)または酸化亜鉛(ZnO)は、振動場で励起されると、特定の超音波周波数で機械的に共鳴する。電磁エネルギーが音響エネルギーに変換され、それにより、圧電気が、異方性結晶構造を有する材料の電気分極と対応する。一般に、振動法は、音響波作動をモニタリングするために使用される。具体的には、振動法は、共鳴センサーの直列共鳴周波数を計測する。マイクロ重量センサーから誘導されるセンサーのタイプには、厚さ-剪断モード(TSM)を応用する水晶板微量てんびん(QCM)装置および表面音響波(SAW)検出原理を応用する装置が含まれる。マイクロ重量センサーから誘導されるさらなる装置としては、曲げ板波(FPW)、剪断水平音響板(SH-APM)、表面横波(STW)および細線音響波(TRAW)が挙げられる。
【0190】
導電性ポリマー
導電性ポリマーセンサーは、速い応答時間、低いコストならびに良好な感度および選択性を約束する。この技術は概念としては比較的簡単である。炭素などの導電性材料が、特定の非導電性ポリマー中に均質にブレンドされ、薄フィルムとして酸化アルミニウム基材に被着される。フィルムは、二つの電気リードを掛け渡して化学抵抗器を形成する。ポリマーは、種々の化学蒸気に付されると、膨張して、炭素粒子間の距離を増し、それにより、抵抗を増す。分析対象蒸気が、分析対象物の分配係数によって決定される程度までフィルムに吸収されるため、ポリマーマトリックスは膨潤する。分配係数は、指定の温度での蒸気相と凝縮相との間での分析対象物の平衡分布を決定する。個々の検出器要素それぞれは、ベースラインノイズを超える顕著な応答を生じさせるのにごくわずかな分析対象物吸収量しか要しない。種々の蒸気に対する選択性は、ポリマーの化学組成を変化させることによって達成される。これは、各センサーを特定の化学蒸気に対して特化させることを可能にする。したがって、大部分の用途の場合、選択性を改善するために直交応答センサーのアレイが必要である。アレイ中のセンサーの数にかかわらず、対象の化学蒸気を正しく識別するために、センサーからの情報はパターン認識ソフトウェアによって処理されなければならない。感度濃度は良好であるといわれている(数十ppm)。該技術は非常に携帯の効くものであり(小さく、消費電力が少ない)、応答時間が比較的速く(1分未満)、低コストであり、エラーに強く、信頼性が高いはずである。
【0191】
電気化学的センサー
電気化学的センサーは、感知要素に対する標的マーカーの化学的相互作用によって生じる感知要素の出力電圧の変化を計測する。特定の電気化学的センサーはトランスデューサ原理に基づく。たとえば、特定の電気化学的センサーは、イオン選択性膜を含むイオン選択性電極を使用し、このイオン選択性膜が試料とセンサー表面との間で電荷分離を発生させる。他の電気化学的センサーは電極そのものを錯化剤として表面として使用し、その場合、電極電位の変化が標的マーカーの濃度に相関する。電気化学的センサーのさらなる例は、いわゆるソース電極とドレイン電極との間の金属ゲート上で増大した電極表面の電荷をモニタリングするための半導体技術に基づく。表面電位は標的濃度とともに変化する。
【0192】
さらなる電気化学的センサー装置は、電流滴定的、伝導測定的および容量性イムノセンサーを含む。電流滴定的イムノセンサーは、一定の電圧で電気化学的反応によって発生する電流を計測するように設計されている。一般に、感知電極における標的マーカーの電気化学的反応には、電気化学的に活性な標識が直接的にまたは酵素的反応の産物として必要である。酸素およびH2O2電極をはじめとするいかなる数の一般に利用可能な電極を電流滴定的イムノセンサーに使用することもできる。
【0193】
容量性イムノセンサーは、一定の電圧で溶液中の電気伝導率の変化を計測するセンサーベースのトランスデューサであり、電気伝導率の変化は、特異的にイオンを生成または消費する生化学的酵素反応によって生じる。容量変化は、生体活性要素が1対の金属電極、たとえば金または白金電極に対して固定化されている、電気化学的システムを使用して計測される。
【0194】
伝導測定的イムノセンサーもまた、表面電気伝導率の変化を計測するセンサーベースのトランスデューサである。容量性イムノセンサーと同様に、生体活性要素が電極の表面に固定化される。生体活性要素が標的マーカーと相互作用すると、それが電極間の電気伝導率の低下を生じさせる。
【0195】
電気化学的センサーは、低ppm濃度を検出する場合に優れている。これらのセンサーはまた、エラーに強く、わずかな電力しか要さず、線形であり、有意な支持電子部品または蒸気取り扱い(ポンプ、弁等)を要しない。これらは価格が手ごろであり(低容量のもので$50〜$200)、サイズが小さい。
【0196】
ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)
ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)は、実際には、二つの技術の組み合わせである。一方の技術が化学成分を分離させ(GC)、他方の技術がそれらを検出する(MS)。技術的には、ガスクロマトグラフィーは、二つの相、すなわち移動相および固定相の間の示差的な分布に基づく二つまたはそれ以上の化合物の物理的分離である。移動相は、固定相でコートされたカラムに気化試料を通して移動させるキャリヤガスであり、このカラムの中で分離が起こる。分離した試料成分がカラムから溶離すると、検出器がカラム溶離液を電気シグナルに変換し、そのシグナルが計測され、記録される。シグナルは、クロマトグラムプロット中でピークとして記録される。クロマトグラフピークは、その対応する保持時間から識別することができる。保持時間は、試料注入の時点からピーク最大値の時点までで計測され、他の試料成分の存在によって影響を受けない。保持時間は、選択されるカラムおよび成分に依存して、数秒から数時間にまで及んでもよい。ピークの高さが試料混合物中の成分の濃度に相関する。
【0197】
分離後、化学成分を検出しなければならない。質量分析法はそのような検出法の一つであり、分離した試料成分分子がカラムから溶離するときそれに電子ビームを衝突させる。これによって分子は電子を失い、正電荷とでイオンを形成する。その過程で、分子をいっしょに保持する結合のいくつかが破断し、得られた断片が再配列するか、さらに分裂するかして、より安定な断片を形成する。所与の化合物は、所与の条件のセットの下で再現可能にイオン化し、断片化し、再配列する。これが分子の識別を可能にする。質量スペクトルは、試料分子およびその断片からのイオンに関する質量/電荷比対存在度データを示すプロットである。この比は通常、その断片の質量に等しい。スペクトルの最大ピークはベースピークである。GC/MSは正確であり、選択性であり、高感度である。
【0198】
赤外分光法(FTIR、NDIR)
赤外(IR)分光法は、有機および無機化学者によって使用されるもっとも一般的な分光技術の一つである。簡単にいうと、これは、IRビームの光路中に配置された試料による様々なIR周波数の吸収計測である。IR線は、0.78〜1000マイクロメートル(ミクロン)の波長を有する電磁スペクトルの広い部分に及ぶ。一般に、IR吸収はその波数によって表され、波数はその波長の逆数×10,000である。IR分光法を使用して検出される所与の試料の場合、試料分子はIR領域で活性でなければならない、すなわち、分子は、IR線に暴露されたとき、振動しなければならない。CRC PressからのHandbook of Chemistry and Physicsをはじめとして、このデータを含むいくつかの参考書が入手可能である。
【0199】
二つの一般的なクラスのIR分光計 - 分散型および非分散型がある。典型的な分散型IR分光計では、広帯域ソースからの放射線が試料を透過し、モノクロメータによって成分周波数へと分散される。そして、ビームは、分析のための電気シグナルを発する検出器、一般には熱または光子検出器に当たる。フーリエ変換IR分光計(FTIR)が、その優れた速度および感度のせいで、分散型IR分光計に取って代わるようになった。FTIRは、可動ミラー型マイケルソン干渉計を使用し、シグナルのフーリエ変換を実施することにより、光学成分周波数の物理的分離を省く。
【0200】
逆に、非分散型IR(NDIR)分光計では、一定範囲の試料ガスを分析するための広いIRスペクトルをソーシングする代わり、NDIRは、標的試料の吸収波長に対応する特定の波長をソーシングする。これは、比較的広いIRソースを使用し、スペクトルフィルタを使用して発光を対象の波長だけに限定することによって達成される。たとえば、NDIRは、4.67ミクロンの波長のIRエネルギーを吸収する一酸化炭素(CO)を計測するためによく使用される。設計の際にIRソースおよび検出器を入念にチューニングすることにより、量産COセンサーが製造される。二酸化炭素は一般的な干渉物質であり、COのそれに非常に近い4.26ミクロンのIR吸収波長を有するため、これは特に魅力的である。
【0201】
NDIRセンサーは、頻繁に生じるコストなしでの低いコスト($200未満)、較正の必要なしでの良好な感度および選択性ならびに高い信頼性を約束する。また、小さく、電力をわずかしか要さず、速やかに応答する(1分未満)。ウォームアップ時間はごくわずか(5分未満)である。残念ながら、一つの標的ガスしか検出しない。より多くのガスを検出するためには、さらなるスペクトルフィルタおよび検出器ならびに広帯域IRソースを指向させるためのさらなる光学部品が必要である。
【0202】
イオン移動度分光法(IMS)
イオン移動度分光法(IMS)は、管の中で電場に付されたときの遷移時間に基づいてイオン化分子試料を分離する。試料が機器に引き込まれると、試料は、弱い放射性ソースによってイオン化される。イオン化した分子は、電場の影響の下、セルを通過してドリフトする。電子シャッタグリッドがドリフト管へのイオンの周期的導入を許し、イオンは、ドリフト管の中で、電荷、質量および形状に基づいて分離する。小さなイオンが大きなイオンよりも速くドリフト管を通過し、より早く検出器センサーに到達する。検出器からの増幅電流が時間の関数として計測され、スペクトルが生成される。マイクロプロセッサが標的化合物のスペクトルを評価し、ピーク高さに基づいて濃度を決定する。
【0203】
IMSは、きわめて速い方法であり、リアルタイムに近い分析を可能にする。また、非常に高感度であり、分析対象物すべてを計測することができるはずである。IMSは、価格が手ごろであり(数千ドル)、サイズおよび電力消費が大きい。
【0204】
金属酸化物半導体(MOS)センサー
金属酸化物半導体(MOS)センサーは、半導体金属酸化物結晶、典型的には酸化スズを感知材料として使用する。金属酸化物結晶は約400℃まで加熱され、その温度で表面が酸素を吸着する。結晶中のドナー電子が吸着された酸素に移動して、空間電荷領域中に正電荷を残す。したがって、表面電位が形成され、それがセンサーの抵抗を増す。センサーを脱酸素性、すなわち還元性ガスに暴露すると、表面電位が除去され、それが抵抗を減らす。最終的な結果は、脱酸素性ガスへの暴露によってその電気抵抗を変化させるセンサーである。抵抗の変化はほぼ対数的である。
【0205】
MOSセンサーは、きわめて低い価格(低容量のもので$8未満)を高速の分析時間(ミリ秒単位〜秒単位)と併せもつ利点を有する。作動寿命は長く(5年を超える)、貯蔵寿命の問題は報告されていない。
【0206】
厚さ-剪断モードセンサー(TSM)
TSMセンサーは、ATカットされた圧電結晶ディスク、非常に一般的には水晶ディスク(理由は、生物学的流体中でのその化学的安定性および極端な温度に対する耐性である)およびそのディスクの両側に取り付けられた2個の電極(好ましくは金属)からなる。電極は振動電場を印加する。一般に、TSMセンサー装置は5〜20MHzの範囲で作動する。利点は、化学的不活性の他に、装置の低いコストおよび量産水晶ディスクの信頼しうる品質である。
【0207】
光イオン化検出器(PID)
光イオン化検出器は、すべての元素および化学物質をイオン化することができるという事実に依存する。電子を押し退け、ガスを「イオン化」するのに要するエネルギーはそのイオン化電位(IP)と呼ばれ、電子ボルト(eV)で計測される。PIDは、紫外線(UV)光源を使用してガスをイオン化する。UV光源のエネルギーは、少なくとも、試料ガスのIPと同じ大きさでなければならない。たとえば、ベンゼンは、9.24eVのIPを有し、一酸化炭素は14.01eVのIPを有する。PIDがベンゼンを検出するためには、UV灯は、少なくとも9.24eVのエネルギーを有しなければならない。UV灯が15eVのエネルギーを有するならば、ベンゼンおよび一酸化炭素の両方がイオン化されるであろう。ひとたびイオン化されると、検出器は、電荷を計測し、シグナル情報を表示濃度に変換する。残念ながら、表示は二つのガスを区別せず、両方を合わせた合計濃度を読むだけである。
【0208】
一般に、三つのUV灯エネルギーが利用可能である:9.8、10.6、および11.7eV。対象のガスをイオン化するのに十分なエネルギーを有しながらも最低エネルギーの灯具を選択することにより、いくらかの選択性を達成することができる。PIDによって計測される化合物の最大のグループは有機化合物(炭素を含む化合物)であり、典型的に、ppm濃度まで計測することができる。PIDは、11.7eVを超えるIPを有する任意のガス、たとえば窒素、酸素、二酸化炭素、および水蒸気を計測しない。CRC Press Handbook of Chemistry and Physicsは、種々のガスのIPを一覧する表を含む。
【0209】
PIDは高感度であり(低ppm)、低コストであり、応答が速く、携帯の効く検出器である。また、電力をわずかしか消費しない。
【0210】
表面音響波センサー(SAW)
表面音響波センサー(SAW)センサーは、表面音響波の発生かつ検出の両方をするように圧電基材の上に製作された交互かん合した金属電極で構成されている。表面音響波は、そのエネルギーがほぼすべて表面の15〜20の波長内に含まれる、最大振幅を表面に有する波である。振幅は表面で最大であるため、そのような装置は非常に表面感度が高い。通常、SAW装置は、携帯電話で電子的帯域フィルタとして使用されている。SAW装置は、SAWの表面と接触する物質によって性能が変化しないことを保証するため、密封される。
【0211】
SAW化学センサーは、その表面感度を利用してセンサーとして機能する。特定の化合物に対する特異性を高めるために、SAW装置は、装置の周波数および挿入損失に予測可能かつ再現可能なかたちで影響する薄いポリマーフィルムでコートされることが多い。センサーアレイ中の各センサーは異なるポリマーでコートされ、ポリマーコーティングの数およびタイプは、検出される化学物質に基づいて選択される。そして、ポリマーコーティングを有する装置が、ポリマー材料に吸収する化学蒸気に付されると、装置の周波数および挿入損失はさらに変化する。この最終的な変化こそが、装置が化学センサーとして機能することを可能にする。
【0212】
いくつかのSAW装置がそれぞれ異なるポリマー材料でコートされるならば、所与の化学蒸気に対する応答は装置ごとに異なる。ポリマーフィルムは通常、多様な有機化学物質のクラス、すなわち炭化水素、アルコール、ケトン、酸素化物、塩素化物および窒素化物に対してそれぞれが異なる化学的親和力を有するように選択される。ポリマーフィルムが不適切に選択されるならば、対象の化学蒸気それぞれは、装置のセットに対して特有の全体的効果を及ぼす。SAW化学センサーは、軽い揮発性の限界としてのヘキサンから重い低揮発性の限界としての半揮発性化合物までの有機化合物の範囲で有用である。
【0213】
試料をアレイに入れ、通すためにモータ、ポンプおよび弁が使用される。低い蒸気濃度の場合、アレイの前に化学的プレコンセントレータを使用することによってシステムの感度を高めることができる。動作中、プレコンセントレータは、一定の期間、試験蒸気を吸収したのち、加熱されて、ずっと短い時間スパンでその蒸気を放出し、それによってアレイにおける蒸気の有効濃度を高める。システムは、アレイのために何らかのタイプの駆動および検出電子部品を使用する。オンボードマイクロプロセッサがシステムのシーケンス制御のために使用され、アレイからのデータを解釈しおよび解析するための計算力を提供する。
【0214】
SAWセンサーは、価格が手ごろ($200未満)であり、良好な感度(数十ppm)を非常に良好な選択性とともに有する。携帯の効くものであり、ロバストであり、わずかな電力しか消費しない。2分未満でウォームアップし、大部分の分析に1分未満しか要しない。典型的には、高精度定量用途には使用されず、したがって、較正を要しない。SAWセンサーは、時間とともにドリフトを起こさず、長い作動寿命を有し(5年を超える)、貯蔵寿命の問題は知られていない。湿分の影響を受けやすいが、それには熱脱離コンセントレータおよび処理アルゴリズムの使用によって対処できる。
【0215】
増幅蛍光ポリマー技術
センサーは、揮発性化学物質と反応する蛍光ポリマーを高感度標的マーカー検出器として使用することができる。従来の蛍光検出は、通常、標的マーカーの単一分子が単離発色団と相互作用するとき、標的マーカーと相互作用する発色団が消光される(残りの発色団は蛍光を発し続ける)場合に起こる蛍光強度の増減または発光波長のシフトを計測する。
【0216】
この手法の変形が、いずれも参照により本明細書に組み入れられる、Yang and Swager, J. Am. Chem. Soc., 120:5321-5322 (1998)および Cumming et al., IEEE Trans Geoscience and Remote Sensing, 39:1119-1128 (2001)によって記載されている「分子ワイヤ」構成である。分子ワイヤ構成では、任意の発色団による光の1個の光子の吸収が連鎖反応を生じさせて、多くの発色団の蛍光を消光し、感覚応答を何桁か増幅させる。分子ワイヤ構成に基づくセンサーは、爆発物を検出するためにアセンブリされている(参照により本明細書に組み入れられるSwager and Wosnick, MRS Bull, 27:446-450 (2002)を参照のこと)。
【0217】
光ファイバー微小球技術
光ファイバー微小球技術は、複数の微小球センサー(ビーズ)のアレイに基づき、各微小球が、マイクロメートルスケールの複数の穴を含む光学基材上に配置される標的マーカーと対応する別個のクラスに属する(たとえば、いずれも参照により本明細書に組み入れられる、Michael et al., Anal Chem, 71:2192-2198 (1998);Dickinson et al., Anal Chem., 71:2192-2198 (1999);Albert and Walt, Anal Chem, 72:1947-1955 (2000);およびStitzel et al., Anal Chem, 73:5266-5271 (1001)を参照のこと)。各ビーズタイプは、ビーズおよびその場所を識別するために特有のサインでコード化されている。ビーズは、標的マーカーに暴露されると、標的マーカーに応答し、その強さおよび波長シフトが蛍光応答パターンを生成するために使用され、そのパターンが他方で既知のパターンと比較されて標的マーカーを識別する。
【0218】
相互かん合マイクロ電極アレイ(IME)
相互かん合マイクロ電極アレイは、有機単分子層シェルによってそれぞれがコートされたナノメートルサイズの金属粒子のアンサンブルを組み込むトランスデューサフィルムの使用に基づく(たとえば、いずれも参照により本明細書に組み入れられる、Wohltjen and Snow, Anal Chem, 70:2856-2859 (1998);およびJarvis et al., Proceedings of the 3rd Intl Aviation Security Tech Symposium, Atlantic City, NJ, 639-647 (2001)を参照のこと)。このようなセンサー装置はまた、薄い絶縁層によって分けられたコロイドサイズの導電性金属コアの大きなグループの組み合わせのせいで、金属-絶縁体-金属アンサンブル(MIME)とも知られている。
【0219】
マイクロ電気機械システム(MEMS)
MEMSに基づくセンサー技術は、機械的要素、センサー、アクチュエータおよび電子部品を共通のケイ素基材上に集積したものを標的マーカーの検出に使用する(たとえば、いずれも参照により本明細書に組み入れられる、Pinnaduwage et al., Proceedings of 3rd Intl Aviation Security Tech Symposium, Atlantic City, NJ, 602-615 (2001);およびLareau et al., Proceedings of 3rd Intl Aviation Security Tech Symposium, Atlantic City, NJ, 332-339 (2001)を参照のこと)。
【0220】
MEMSに基づくセンサー技術の一例は、マイクロカンチレバーセンサーである。マイクロカンチレバーセンサーは、現在使用されているセンサーの少なくとも1,000倍の感度を有し、現在使用されているセンサーよりも小さい、髪の毛ほどのケイ素ベースの装置である。大部分のマイクロカンチレバーセンサーの作動原理は変位の計測に基づく。具体的には、バイオセンサー用途では、カンチレバープローブの変位は、カンチレバービームの(活性化)面への分子の結合に関連し、これらの結合の強さおよび考慮される溶液中の特定の試薬の存在を計算するために使用される(いずれも参照により本明細書に組み入れられる、Fritz, J. et al., "Translating biomolecular recognition into nanomechanics," Science, 288:316-318 (2000); Raiteri, R. et al., "Sensing of biological substances based on the bending of microfabricated cantilevers," Sensors and Actuators B, 61:213-217 (1999)を参照のこと)。これらの装置の感度が検出可能な最小の動きに強く依存し、それが、実際に達成可能な性能vs理論的に達成可能な性能に制約を課すということは明らかである。
【0221】
マイクロカンチレバー技術の一例は、異なるセンサー/検出器層(たとえば抗体またはアプタマー)でコートされているケイ素カンチレバービーム(好ましくは長さ数百マイクロメートル、厚さ1μm)を使用する。カンチレバー面は、標的マーカーに暴露されると、標的マーカーを吸収し、それが、センサーと吸収層との間に界面応力を生じさせ、その応力がカンチレバーを曲げる。各カンチレバーは、標的マーカーごとに典型的である、特徴的な曲がり方で曲がる。時間の関数としてのカンチレバーの曲げ応答の大きさから、標的マーカーごとのフィンガープリントパターンを得ることができる。
【0222】
マイクロカンチレバーセンサーは、相対湿度、温度、圧力、流量、粘度、音、紫外線および赤外線、化学物質ならびに生体分子、たとえばDNA、タンパク質および酵素を検出し、計測することができるという点で非常に有利である。マイクロカンチレバーセンサーは、エラーに強く、再使用可能であり、きわめて高感度であるにもかかわらず、コストが低く、わずかな電力しか消費しない。このセンサーを使用するもう一つの利点は、空気中でも真空中でも液体環境下でも作動するということである。
【0223】
分子インプリントされたポリマーフィルム
分子インプリント法は、鋳型が自己集合機構によってポリマー材料の構造成分の位置決めおよび配向を指図する、ポリマー材料中の特定の分子認識部位(結合または接触)の鋳型誘発形成の方法である(たとえば、いずれも参照により本明細書に組み入れられる、Olivier et al., Anal Bioanal Chem, 382:947-956 (2005);およびErsoz et al., Biosensors & Bioelectronics, 20:2197-2202 (2005)を参照のこと)。ポリマー材料は有機ポリマーおよび無機シリカゲルを含みうる。分子インプリントされたポリマー(MIP)は、非限定的に、以下を含む多様なセンサープラットフォームで使用することができる:蛍光分光法;UV/Vis分光法;赤外分光法;表面プラズモン共鳴;化学発光吸着アッセイ;および反射測定干渉分光法。このような手法は、効率が高く高感度な標的マーカー認識の実現を可能にする。
【0224】
実施例4 - 呼息中のグルコースの検出
糖尿病患者は現在、1日に1および6〜8回の間、血中グルコースレベルをチェックする。血中グルコースレベルの知見は、高血糖を抑制するために使用されるインスリンおよび他の薬剤の適切な投与および服用を指導するための絶対的要件である。現在、通常はランセット装置を使用して指から血液試料を採取し、その試料を「試験ストリップ」に載せなければならず、この試験ストリップがグルコースモニタ装置に挿入されて、そのモニタ装置が血中グルコース濃度を出す。このプロセスは相当な熟練、時間を要し、糖尿病患者をただちに糖尿病と識別し、ひいては、気まずさならびに求職の際の偏見および/または差別を招く危険がある。
【0225】
魅力的な代替は、呼息の試料を捕集するセンサーシステムであって、きわめて親水性であるグルコースのような化合物の場合には、試料を「凝縮物」へと凝縮させのち、その凝縮物をポンプまたはマイクロ流体システムによってセンサーと接触させて配置するセンサーシステムを使用することである。したがって、糖尿病患者は、特に公の場所では、人目に付かないよう呼息試料から血中グルコース濃度を提供する小さな手持ち装置に息を吹き込んだのち、血液試料に求められる多数の段階を実行する可能性がはるか高い。この技術は、頻繁な血中グルコースモニタリングの容認を増し、指から血液試料を採取しなければならないとき多くの糖尿病患者が感じる気まずさを減らす可能性が高い。
【0226】
実施例5 - 呼息を使用する外科的処置中の手術室における血中グルコースおよび乳酸濃度の計測
インスリン依存性糖尿病(タイプI)の病歴をもつ高齢患者は、有意な失血が予想される重篤な手術を要する。患者のルーチンモニタリングの一部として、麻酔科医は、呼息のグルコースおよび乳酸を連続的にモニタリングする。いくつかの最近の医療研究が、正常範囲へのグルコースの綿密な制御が、糖尿病患者における転帰、創傷治癒および術後感染率を改善するということを示している。現在、麻酔科医は、血液試料を採取することによって断続的にしか血中グルコースをモニタリングすることができない。これらの結果はインスリンの投与を誘導する。過度な投与量は低血糖を招いて悲惨な結果を伴い、不十分な投与量は高血糖を招き、それが術中および術後合併症を生じさせるおそれがある。呼息は、高血糖または低血糖いずれの危険性もなしに連続的で綿密なグルコース制御の可能性を与える。事実、呼息グルコース濃度を使用してインスリン輸液を制御し、それにより、麻酔科医を、インスリンのボーラスを投与する必要性から解放する「閉ループ」システムが可能である。
【0227】
麻酔科医は、グルコースを連続的にモニタリングすることに加えて、呼息乳酸をモニタリングして、過度な失血または重要な臓器のかん流が低下する他の理由があるかどうかを判断する。現在、失血ならびにその結果としての血液量減少およびかん流減少に関して患者をモニタリングするのには、血圧、心拍数および場合によっては中心静脈圧が使用されている。これは他方で、険悪な合併症である乳酸アシドーシスにつながるが、現在、乳酸は、血液試料からでは断続的にしか計測することができない。呼息凝縮物中の乳酸レベルを連続的にモニタリングすることにより、麻酔科医は、重要な臓器の低かん流があるかどうかを決定するためのはるかに良好な手段を有するであろう。したがって、連続的に呼息中でガスまたは凝縮状態にある化合物の計測は、手術室および集中治療室における患者のモニタリング、ひいては処置における顕著な改善につながりうる。
【0228】
本明細書に記載する例および態様は説明のためのものであり、それを鑑みると様々な改変または変形が当業者に示唆され、それらが本出願の本質および範囲ならびに請求の範囲に含まれるということが理解されよう。具体的には、本発明のマーカー検出法は、電子ノーズ技術を利用する装置によって患者による呼息を介して検出することだけでなく、他の適当な技術、たとえばガスクロマトグラフィー、経皮的/経皮性検出、半導体ガスセンサー、質量分光法、IRもしくはUVまたは可視もしくは蛍光分光光度計を利用する検出をも包含することを意図する。
【0229】
本明細書で参照もしくは引用した、または優先権恩典の主張が基づくところのすべての特許、特許出願、仮出願および刊行物は、本明細書の明示的な教示と矛盾しない程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0230】
【図1】閉塞性肺疾患患者の、1回の呼吸サイクルのカプノグラムおよび何回かの息のカプノグラムを示す。
【図2】本発明のセンサーとして使用することができるガスセンサーチップを示す。
【図3】プロポフォールのFT-IRシグナルを示す。
【図4】センサーを使用して患者の呼出した息を計測する例を示す。
【図5a】プロポフォールの特徴的サインを示す。
【図5b】患者のプロポフォール相対息中濃度プロファイルを示す。
【図6a】SAWセンサーから導出したイソフルラン特有のサインを示す。
【図6b】SAWセンサーから導出したセボフルラン特有のサインを示す。
【図7】図7aおよび7bは、グルコース溶液100g摂取後のグルコース血中(8a)および息中(8b)濃度を時間とともに示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の呼出した息(expired breath)をサンプリングする段階、
患者における少なくとも一つの内因性化合物の対応する濃度に比例する少なくとも一つの内因性化合物マーカーの息中濃度を、センサー技術を使用して分析する段階、
患者の息中の内因性化合物マーカーの濃度を計算する段階、および
患者の息中の内因性化合物マーカーの計算された濃度に基づいて、患者における内因性化合物の対応する濃度を計算する段階
を含む、患者における内因性化合物をモニタリングするための方法。
【請求項2】
息試料が液状凝縮物および気相を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
内因性化合物マーカーが親水性であり、液状凝縮物中で計測される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
内因性化合物マーカーが疎水性であり、気相中で計測される、請求項2記載の方法。
【請求項5】
内因性化合物マーカーが内因性化合物であり、グルコース;タンパク質;ウロビリノーゲン;ウロビリルビン;ビリルビン;ホルモン;オリゴヌクレオチド;アデノシン;アデノシン三リン酸(ATP);アデノシン二リン酸(ADP);アデノシン一リン酸(AMP);プロスタグランジン;ロイコトリエン;サイトカイン;インターロイキン;メラトニン;6-スルホキシメラトニン(6-sulfoxymelatonin);低酸素誘導因子1α(HIF-1α);筋原性制御因子;2,3-ジホスホグリセレート(2,3-DPG);ケトン;ナイトレート;電解質;尿素;尿酸;アンモニア;乳酸;コレステロール;トリグリセリド;乳酸デヒドゲナーゼ(LDH);および癌マーカーからなる群より選択される物質のいずれか一つまたは組み合わせである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
内因性化合物マーカーが、内因性化合物から直接誘導される化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
内因性化合物マーカーが、グルコース;タンパク質;ウロビリノーゲン;ウロビリルビン;ビリルビン;ホルモン;オリゴヌクレオチド;アデノシン;アデノシン三リン酸(ATP);アデノシン二リン酸(ADP);アデノシン一リン酸(AMP);プロスタグランジン;ロイコトリエン;サイトカイン;インターロイキン;メラトニン;6-スルホキシメラトニン;低酸素誘導因子1α(HIF-1α);筋原性制御因子;2,3-ジホスホグリセレート(2,3-DPG);ケトン;ナイトレート;電解質;尿素;尿酸;アンモニア;乳酸;コレステロール;トリグリセリド;乳酸デヒドゲナーゼ(LDH);および癌マーカーからなる群より選択される内因性化合物のいずれか一つから誘導される代謝産物である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
センサー技術が、金属-絶縁体-金属アンサンブル(MIME)センサー、交差反応性光学マイクロセンサーアレイ、蛍光ポリマーフィルム、表面増感ラマン分光法(SERS)、ダイオードレーザー、選択イオン流量管(selected ion flow tube)、金属酸化物センサー(MOS)、バルク音響波(BAW)センサー、比色管、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー、半導体ガスセンサー技術;質量分光計、蛍光分光光度計、導電性ポリマーガスセンサー技術;アプタマーセンサー技術;増幅蛍光ポリマー(AFP)センサー技術;マイクロカンチレバー技術;分子的ポリマーフィルム技術(molecularly polymeric film technology);表面共鳴アレイ;マイクロ重量測定(microgravimetric)センサー;厚さ剪断モードセンサー;または表面音響波ガスセンサー技術からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
センサー技術が、少なくとも一つの標的マーカーの検出および濃度を特徴付けるための特有の電子フィンガープリントを生成する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
センサーからのデータを記録する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
センサーからのデータを転送する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一つの内因性化合物マーカーの濃度を所定のサイン(signature)プロファイルと比較する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
センサーを呼気(expired gas)に暴露する前に息の試料を捕獲する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
センサーを息試料に暴露する前に息試料を脱湿する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
患者の呼息中にセンサーを息試料に暴露する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
息の試料が呼吸終期(end-tidal)ガスである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
センサーが携帯式である、請求項1記載の方法。
【請求項18】
患者における内因性化合物の計算された濃度に応答して治療薬の投与を自動的に制御する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
内因性化合物がグルコースであり、治療薬がインスリンである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
患者の息試料を捕集するための手段、
患者における少なくとも一つの内因性化合物の対応する濃度に比例する少なくとも一つの内因性化合物マーカーの息中濃度を分析し、分析された濃度に関するシグナルを発するためのセンサー技術、および
センサーからのシグナルを受けかつ分析して、患者の息中の内因性化合物マーカーの濃度に基づいて患者における内因性化合物の対応する濃度を計算し、伝達する、センサー技術に接続されたプロセッサ
を含む、内因性化合物モニタリングシステム。
【請求項21】
息試料が液状凝縮物および気相を含む、請求項20記載のシステム。
【請求項22】
内因性化合物マーカーが親水性であり、液状凝縮物中で計測される、請求項21記載のシステム。
【請求項23】
内因性化合物マーカーが疎水性であり、気相中で計測される、請求項21記載の方法。
【請求項24】
内因性化合物マーカーが内因性化合物であり、グルコース;タンパク質;ウロビリノーゲン;ウロビリルビン;ビリルビン;ホルモン;オリゴヌクレオチド;アデノシン;アデノシン三リン酸(ATP);アデノシン二リン酸(ADP);アデノシン一リン酸(AMP);プロスタグランジン;ロイコトリエン;サイトカイン;インターロイキン;メラトニン;6-スルホキシメラトニン;低酸素誘導因子1α(HIF-1α);筋原性制御因子;2,3-ジホスホグリセレート(2,3-DPG);ケトン;ナイトレート;電解質;尿素;尿酸;アンモニア;乳酸;コレステロール;トリグリセリド;、乳酸デヒドゲナーゼ(LDH);および癌マーカーからなる群より選択される、請求項20記載のシステム。
【請求項25】
内因性化合物がグルコースである、請求項24記載のシステム。
【請求項26】
内因性化合物マーカーが、内因性化合物から直接誘導される化合物である、請求項20記載のシステム。
【請求項27】
内因性化合物マーカーがグルコースである、請求項26記載のシステム。
【請求項28】
内因性化合物マーカーが、グルコース;タンパク質;ウロビリノーゲン;ウロビリルビン;ビリルビン;ホルモン;オリゴヌクレオチド;アデノシン;アデノシン三リン酸(ATP);アデノシン二リン酸(ADP);アデノシン一リン酸(AMP);プロスタグランジン;ロイコトリエン;サイトカイン;インターロイキン;メラトニン;6-スルホキシメラトニン;低酸素誘導因子1α(HIF-1α);筋原性制御因子;2,3-ジホスホグリセレート(2,3-DPG);ケトン;ナイトレート;電解質;尿素;尿酸;アンモニア;乳酸;コレステロール;トリグリセリド;乳酸デヒドゲナーゼ(LDH);および癌マーカーからなる群より選択される内因性化合物のいずれか一つから誘導される代謝産物である、請求項26記載のシステム。
【請求項29】
マーカー濃度を追跡することができる報告システムをさらに含む、請求項20記載のシステム。
【請求項30】
出力、制御、および警報を提供するための手段をさらに含む、請求項29記載のシステム。
【請求項31】
患者の息試料を捕集するための手段が呼吸終期息試料をセンサーに提供する、請求項20記載のシステム。
【請求項32】
携帯式である、請求項20記載のシステム。
【請求項33】
息中のマーカーを断続的または連続的に検出する、請求項20記載のシステム。
【請求項34】
システム制御装置および制御供給手段をさらに含み、システム制御装置がプロセッサに接続され、制御供給手段がシステム制御装置に接続され、患者における内因性化合物の濃度に依存して、システムが制御供給手段から治療薬を自動的に定量供給(dispense)する、請求項20記載のシステム。
【請求項35】
センサー技術がグルコースを検出し、制御供給手段が、インスリンを含むIVバッグからなる、請求項34記載のシステム。
【請求項36】
供給により提供される麻酔剤の量を制御するための制御装置を有する麻酔供給源、
患者の血流中の麻酔剤濃度を示す少なくとも一つの物質の濃度に関して患者の息を分析し、患者に送達される麻酔剤濃度を示すシグナルを提供するための息分析装置、および
シグナルを受け、シグナルに基づいて麻酔剤の量を制御する、麻酔供給源に接続されたシステム制御装置
を含む、所望の用量の麻酔剤を患者に送達するための麻酔剤送達システム。
【請求項37】
息分析装置が、患者の呼出した息をサンプリングするための捕集装置、麻酔剤濃度を示す少なくとも一つの物質の濃度に関して息を分析するためのセンサー、濃度に基づいて薬剤の効果を計算し、麻酔の深さを決定するためのプロセッサを含む、請求項36記載のシステム。
【請求項38】
センサーが、半導体ガスセンサー技術または導電性ポリマーガスセンサー技術から選択される、請求項37記載のシステム。
【請求項39】
供給により呼吸回路に提供される揮発性麻酔剤の量を制御するための制御装置を有する麻酔ガス供給源、
患者に静脈投与されるIV麻酔剤の量を制御するための制御装置を有する静脈麻酔剤供給源、
呼吸回路中の麻酔ガスの濃度を分析するための吸気(inspired gas)分析装置、
患者の血流中の麻酔剤濃度を示す少なくとも一つの物質の濃度に関して患者の息を分析し、患者に送達される麻酔剤濃度を示す少なくとも一つのシグナルを提供するための呼気分析装置、および
シグナルを受け、シグナルに基づいて麻酔剤投与量を制御する、各麻酔供給源に接続されたシステム制御装置
を含む、呼吸回路およびIVを介してバランス麻酔を患者に送達するための麻酔剤送達およびモニタリングシステム。
【請求項40】
吸気分析装置および呼気分析装置が、麻酔剤濃度を示す少なくとも一つの物質の濃度に関してガスを分析するためのセンサー、および濃度に基づいて薬の効果を計算し、麻酔の深さを決定するためのプロセッサを含む、請求項39記載のシステム。
【請求項41】
センサーが、半導体ガスセンサー技術または導電性ポリマーガスセンサー技術から選択される、請求項40記載のシステム。
【請求項42】
少なくとも一つの静脈麻酔剤の少なくとも一つの供給源、
該少なくとも一つの静脈麻酔剤を患者に制御可能に静脈内に送達するための静脈内送達手段、
少なくとも一つの吸入麻酔剤の少なくとも一つの供給源、
該吸入麻酔剤の送達のための呼吸回路、
該吸入麻酔剤に関して該呼吸回路中のガスを分析するための吸気分析装置、
患者の血流中の麻酔剤を示す少なくとも一つの物質の濃度に関して患者の息を分析し、患者に送達される麻酔剤濃度を示すためのシグナルを提供するための呼気分析装置、
シグナルを受け、シグナルに基づいて麻酔剤の量を制御する、静脈内送達手段に接続されたシステム制御装置、および
シグナルを受け、シグナルに基づいて麻酔剤の量を制御する、呼吸回路に接続されたシステム制御装置
を含む、バランス麻酔を患者に投与するための装置。
【請求項43】
少なくとも一つの治療薬を患者に投与する段階、
少なくとも一つのセンサーを患者からの呼気に暴露する段階、
治療薬からの一つまたは複数の標的マーカーを該センサーで検出する段階
を含む、少なくとも一つの治療薬の投与中に患者をモニタリングする方法。
【請求項44】
標的マーカーが治療薬である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
標的マーカーが、治療薬を示す治療薬の代謝産物である、請求項43記載の方法。
【請求項46】
標的マーカーが、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトアルデヒド、アセトフェノン、トランス-アネトール(1-メトキシ-4-プロペニルベンゼン)(アニス)、ベンズアルデヒド(安息香酸アルデヒド)、ベンジルアルコール、桂皮酸ベンジル、カジネン、カンフェン、ショウノウ、桂皮アルデヒド(3-フェニルプロペナール)、ガーリック、シトロネラール、クレゾール、シクロヘキサン、オイカリプトール、およびオイゲノール、オイゲニルメチルエーテル;イソ酪酸ブチル(n-ブチル2, メチルプロパノエート)(パイナップル);シトラール(2-トランス-3,7-ジメチル-2,6-アクタジエン-1-アール);メントール(1-メチル-4-イソプロピルシクロヘキサン-3-オール);ならびにα-ピネン(2,6,6-トリメチルビシクロ-(3,1,1)-2-ヘプテン)からなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項47】
少なくとも一つの治療薬が患者に経口投与される、請求項43記載の方法。
【請求項48】
少なくとも一つの治療薬が静脈内に送達される、請求項43記載の方法。
【請求項49】
検出段階が、標的マーカーの存在および濃度の両方を検出して少なくとも一つの治療薬の血中濃度を決定する段階を含む、請求項43記載の方法。
【請求項50】
患者における治療薬の治療効果のレベルに達したときに分析された濃度に数値を割り当てたのち、その相対的変化に基づいて、より高いまたはより低い値を濃度に割り当てる段階をさらに含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
値の変化をモニタリングすることによって濃度をモニタリングし、治療薬の投与を調節して所望の治療効果を維持する段階をさらに含む、請求項50記載の方法。
【請求項52】
呼気中に検出された少なくとも一つの標的マーカーの濃度に基づいて少なくとも一つの治療薬の適切な投薬量を決定する段階をさらに含む、請求項49記載の方法。
【請求項53】
段階を周期的に繰り返して少なくとも一つの治療薬の薬力学および薬物動態を時間とともにモニタリングする、請求項43記載の方法。
【請求項54】
少なくとも一つの治療薬がうつ病治療薬である、請求項43記載の方法。
【請求項55】
少なくとも一つの治療薬が鎮痛薬である、請求項43記載の方法。
【請求項56】
少なくとも一つの治療薬が、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、アンギナ、冠動脈疾患、末梢血管疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、臓器拒絶反応、てんかん、不安、変性性関節炎、血管炎および炎症からなる群より選択される状態の処置のために選択される、請求項43記載の方法。
【請求項57】
検出が連続的である、請求項43記載の方法。
【請求項58】
検出が周期的である、請求項43記載の方法。
【請求項59】
少なくとも一つの治療薬が、α-ヒドロキシ-アルプラゾラム;アセカイニド(NAPA);アセトアミノフェン(タイレノール(Tylenol));アセチルモルヒネ;アセチルサリチル酸(サリチレートとして);α-ヒドロキシ-アルプラゾラム;アルプラゾラム(ザナックス(Xanax));アマンタジン(シンメトレル(Symmetrel));アンビエン(Ambien)(ゾルピデム);アミカシン(アミキン(Amikin));アミオダロン(コルダロン(Cordarone));アミトリプチリン(エラヴィル(Elavil))およびノルトリプチリン;アモバルビタール(アミタール);アナフラニール(Anafranil)(クロミプラミン)およびデスメチルクロミプラミン(Desmethylclomipramine);アチバン(Ativan)(ロラゼパム);アベンチル(Aventyl)(ノルトリプチリン);ベナドリル(Benadryl)(ジフェンヒドラミン);ベンゾジアゼピン;ベンゾイルエクゴニン(Benzoylecgonine);ベンズトロピン(コゲンチン(Cogentin));ブピバカイン(マーカイン(Marcaine));ブプロピオン(ウェルブトリン(Wellbutrin))およびヒドロキシブプロピオン;ブタバルビタール(ブチソール(Butisol));ブタルビタール(フィオリナール(Fiorinal))カルバマゼピン(テグレトール(Tegretol));カルジゼム(Cardizem)(ジルチアゼム);カリソプロドール(ソーマ(Soma))およびメプロバメート;およびセレクサ(Celexa)(シタロプラムおよびデスメチルシタロプラム(Desmethylcitalopram))からなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項60】
少なくとも一つの治療薬が、セロンチン(Celontin)(メトスクシミド)(デスメチルメトスクシミドとして);セントラックス(Centrax)(プラゼパム)(デスメチルジアゼパムとして);クロラムフェニコール(クロロマイセチン(Chloromycetin));クロルジアゼポキシド;クロルプロマジン(ソラジン(Thorazine));クロルプロパミド(ジアビネース(Diabinese));クロナゼパム(クロノピン(Klonopin));クロラゼペート(トランキセン(Tranxene));クロザピン;コカエチレン;コデイン;コゲンチン(Cogentin)(ベンズトロピン);コンパジン(Compazine)(プロクロルペラジン);コルダロン(Cordarone)(アミオダロン);クマジン(Coumadin)(ワルファリン);シクロベンザプリン(フレクセリル(Flexeril));シクロスポリン(サンディミュン(Sandimmune)));サイラート(Cylert)(ペモリン);ダルメーン(Dalmane)(フルラゼパム)およびデスアルキルフルラゼパム(Desalkylflurazepam);ダルボセット(Darvocet);ダルボン(Darvon)(プロポキシフェン)およびノルプロポキシフェン;デメロール(Demerol)(メペリジン)およびノルメペリジン;デパケン(Depakene)(バルプロ酸);デパコート(Depakote)(ジバルプロエクス)(バルプロ酸として計測);デシプラミン(ノルプラミン(Norpramin));デスメチルジアゼパム;デシレル(Desyrel)(トラゾドン);ジアゼパムおよびデスメチルジアゼパム;ジアゼパム(バリウム(Valium))デスメチルジアゼパム;ジエルドリン;ジゴキシン(ラノキシン(Lanoxin));ジランチン(Dilantin)(フェニトイン);ジソピラミド(ノルペース(Norpace));ドロフィン(Dolophine)(メタドン);ドリデン(Doriden)(グルテチミド);ドキセピン(セネクアン(Sinequan))およびデスメチルドキセピン;エフェクサー(Effexor)(ベンラファキシン);エフェドリン;エクワニル(Equanil)(メプロバメート)エタノール;エトスクシミド(ザロンチン(Zarontin));エトトイン(ペガノン(Peganone));フェルバメート(フェルバトール(Felbatol));フェンタニル(イノバー(Innovar));フィオリセット(Fioricet);フィプロニル;フルニトラゼパム(ロヒプノール(Rohypnol));フルオキセチン(プロザック(Prozac))およびノルフルオキセチン;フルフェナジン(プロリキシン(Prolixin));フルボキサミン(ルボックス(Luvox));ガバペンチン(ニューロンティン(Neurontin));γ-ヒドロキシ酪酸(GHB);ガラマイシン(Garamycin)(ゲンタマイシン);ゲンタマイシン(ガラマイシン(Garamycin));ハラゼパム(パキシパム(Paxipam));ハルシオン(Halcion)(トリアゾラム);ハルドール(Haldol)(ハロペリドール);ヒドロコドン(ハイコダン(Hycodan));ヒドロキシジン(ビスタリル(Vistaril));イブプロフェン(アドヴィル(Advil)、モートリン(Motrin)、ニュープリン(Nuprin)、ルーフェン(Rufen));イミプラミン(トフラニール(Tofranil))およびデシプラミン;インデラル(Inderal)(プロプラノロール);ケプラ(Keppra)(レベチラセタム);ケタミン;ラモトリジン(ラミクタル(Lamictal));ラノキシン(Lanoxin)(ジゴキシン);リドカイン(キシロカイン(Xylocaine));リンデン(γ-BHC);リチウム;ロプレッサー(Lopressor)(メトプロロール);ロラゼパム(アチバン(Ativan));およびルジオミールからなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項61】
少なくとも一つの治療薬が、マプロチリン;メバレル(Mebaral)(メホバルビタール)およびフェノバルビタール;メラリル(Mellaril)(チオリダジン)およびメソリダジン;メフェニトイン(メサントイン(Mesantoin));メプロバメート(ミルタウン(Miltown)、エクワニル(Equanil));メサントイン(Mesantoin)(メフェニトイン);メソリダジン(セレンチル(Serentil));メタドン;メトトレキサート(メキサート(Mexate));メトスクシミド(セロンチン(Celontin))(デスメトスクシミドとして);メキシレチン(メキシチール(Mexitil));ミダゾラム(ベルセド(Versed));ミルタザピン(レメロン(Remeron));モガドン(Mogadone)(ニトラゼパム);モリンドン(モーバン(Moban));モルヒネ;マイソリン(Mysoline)(プリミドン)およびフェノバルビタール;NAPAおよびプロカインアミド(プロネスチール(Pronestyl));NAPA(N-アセチルプロカインアミド);ナーベン(Navane)(チオチキセン);ネブシン(Nebcin)(トブラマイシン);ネファゾドン(セルゾン(Serzone));ネンブタール(Nembutal)(ペントバルビタール);ノルジアゼパム;オランザピン(ジプレキサ(Zyprexa));アヘン製剤;オリナーゼ(Orinase)(トルブタミド);オキサゼパム(セラックス(Serax));10-ヒドロキシオクスカルバゼピンとしてのオクスカルバゼピン(トリレプタル(Trileptal));オキシコドン(ペルコダン(Percodan));オキシモルホン(ヌモルファン(Numorphan));パメロール(Pamelor)(ノルトリプチリン);パロキセチン(パキシル(Paxil));パキシル(Paxil)(パロキセチン);パキシパム(Paxipam)(ハラゼパム);ペガノン(Peganone)(エトトイン);PEMA(フェニルエチルマロンアミド);ペントサル(Pentothal)(チオペンタール);ペルフェナジン(トリラホン(Trilafon));フェネルガン(Phenergan)(プロメタジン);フェノチアジン;フェンテルミン;フェニルグリオキシル酸;プロカインアミド(プロネスチール(Pronestyl))およびNAPA;プロマジン(スパリーン(Sparine));プロパフェノン(リスモル(Rythmol));プロトリプチリン(ビバクチル(Vivactyl));プソイドエフェドリン;クエチアピン(セロクエル(Seroquel));レストリル(Restoril)(テマゼパム);リスパダール(Risperdal)(リスペリドン);およびヒドロキシリスペリドン;セコバルビタール(セコナール(Seconal));セルトラリン(ゾロフト(Zoloft))およびデスメチルセルトラリン;ステラジン(Stelazine)(トリフロペラジン);スルモンチール(Surmontil)(トリミプラミン);トカイニド(トノカード(Tonocard));およびトパマックス(Topamax)(トピラメート)からなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項62】
センサーが、金属-絶縁体-金属アンサンブル(MIME)センサー、交差反応性光学マイクロセンサーアレイ、蛍光ポリマーフィルム、表面増感ラマン分光法(SERS)、ダイオードレーザー、選択イオン流量管、金属酸化物センサー(MOS)、バルク音響波(BAW)センサー、比色管、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー、半導体ガスセンサー技術;質量分光計、蛍光分光光度計、導電性ポリマーガスセンサー技術;アプタマーセンサー技術;または増幅蛍光ポリマー(AFP)センサー技術からなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項63】
センサー技術が、少なくとも一つの標的マーカーの検出および濃度を特徴付けるための特有の電子フィンガープリントを生成する、請求項62記載の方法。
【請求項64】
センサーからのデータを記録する段階をさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項65】
センサーからのデータを転送する段階をさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項66】
検出された少なくとも一つの標的マーカーを所定のサインプロファイルと比較する段階をさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項67】
センサーを呼気に暴露する前に呼気の試料を捕獲する段階をさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項68】
センサーを呼気に暴露する前に呼気を脱湿する段階をさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項69】
患者の呼息中にセンサーを呼気に暴露する段階をさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項70】
患者における麻酔効果のレベルに達したときに分析された濃度に数値を割り当てたのち、その相対的変化に基づいて、より高いまたはより低い値を濃度に割り当てる段階をさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項71】
センサーが携帯式である、請求項43記載の方法。
【請求項72】
供給により患者に提供される治療薬の量を制御するための制御装置を有する少なくとも一つの治療薬供給源、
患者の血流中の治療薬濃度を示す少なくとも一つの標的マーカーの存在および濃度に関して患者の息を分析し、患者の血流中の治療薬の濃度に関するシグナルを送信するための呼気センサー、および
センサーからのシグナルを受けかつ分析し、シグナルに基づいて患者への治療薬投与量を制御する、治療薬供給源に接続されたシステム制御装置
を含む、適切な投薬量の治療薬を患者に送達するための治療薬送達およびモニタリングシステム。
【請求項73】
呼気センサーが、患者の血流中の治療薬濃度を示す少なくとも一つの標的マーカーの濃度に関してガスを分析するためのセンサー、および治療薬の濃度に基づいて治療薬の薬力学的および薬物動態学的効果を計算するためのプロセッサを含む、請求項72記載のシステム。
【請求項74】
センサーが、金属-絶縁体-金属アンサンブル(MIME)センサー、交差反応性光学マイクロセンサーアレイ、蛍光ポリマーフィルム、表面増感ラマン分光法(SERS)、ダイオードレーザー、選択イオン流量管、金属酸化物センサー(MOS)、バルク音響波(BAW)センサー、比色管、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー、半導体ガスセンサー技術;質量分光計、蛍光分光光度計、導電性ポリマーガスセンサー技術;アプタマーセンサー技術;または増幅蛍光ポリマー(AFP)センサー技術からなる群より選択される、請求項73記載のシステム。
【請求項75】
少なくとも一つの治療薬が精神科薬(psychiatric drug)である、請求項43記載の方法。
【請求項76】
少なくとも一つの治療薬が、抗うつ剤、抗精神病薬、抗不安薬、および抑制剤からなる群より選択される、請求項75記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【公表番号】特表2009−519467(P2009−519467A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545656(P2008−545656)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/046660
【国際公開番号】WO2007/089328
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(507371168)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド (38)
【Fターム(参考)】