呼気サンプリング装置
開口部(34、36;44、46)を有し、互いに嵌合する少なくとも二つの部分(30、40)から、サンプルチャンバーを画定する空洞の容器が形成される。一方の部分(40)は、他方の部分(30)に対して、相対的に動かすことができ、容器内を空気が通過する流路が設けられるように開口部が開放される各部分の第一相対配置と、空気が通過する流路が存在せず、チャンバー内に一定量の空気が閉じ込められるように開口部が閉鎖される、各部分の第二相対配置とに動かされる。ある変形例においては、当該部分(40)は他方の部分(30)に対して相対的に軸方向に可動である。他の変形例では、各部分は管状であり、一方の部分が他方の部分に対して相対的に回転可能である。他の変形例では開口部は端部閉鎖部にあり、端部蓋がその上に位置し、端部蓋は回転可能であり、開口部を合致させ、チャンバーを開放して、空気が通過するようにする。他の変形例では、一方の部分は他方の部分に対して相対的に枢動可能又は屈曲可能であり、それぞれの開口部を開放又は閉鎖する。他の変形例では、一方の部分は他方の部分の軸に対して横断方向の軸について回転可能であり、それぞれの開口部を開放又は閉鎖する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人が吐き出した気体のサンプルからある物質の存在を検査するために用いられる装置に関する。ある実施形態では、本発明はヘリコバクターピロリ感染に苦しむ患者の呼気に含まれるアンモニアを検出するのに用いられうる。
【背景技術】
【0002】
呼気サンプル採取は、非侵襲診断手段として頻繁に臨床において実施される。ある人により吐き出された気体のサンプルで、特定の基礎症状を示すとして知られている物質の存在を検査する。
【0003】
約20年前に発見されたヘリコバクターピロリの細菌感染によって、約十人に一人が一生のうちのいずれかの時期に侵される消化性潰瘍にいたり、さらに多くの人が胃炎を患うことは現在広く受け入れられている。これらの細菌の非侵襲スクリーニングは呼気サンプルを用いて行うことができ、これらのサンプルは多くの場合医師による処置で集められ、外部の研究所に送られて分析される。一般に、患者は呼気サンプルを提供して、特定の食物の摂取により吐き出された呼気に存在する13C−二酸化炭素又は14C−二酸化炭素(13CO2又は14CO2)の基準値を測定する。次に、患者は活性化物質である、13C又は14Cで標識付けられた尿素を投与され、摂取された尿素が胃腸内にあるヘリコバクターピロリと接触する時間として、一定期間が経過した後に第二の呼気サンプルが採取され、13CO2又は14CO2の存在の検査が行われる。ヘリコバクターピロリは、ウレアーゼという尿素のアンモニア(NH3)と二酸化炭素への分解を触媒する酵素を分泌するが、これは本来ならば人体に存在しないものである。ある患者がヘリコバクターピロリ菌に感染していれば、尿素摂取後に取得された第二サンプルの方が患者の体内の13CO2又は14CO2の基準値を確定するために採取された、第一サンプル又は「管理された」サンプルより多量の13CO2又は14CO2を示すことが予想される。
【0004】
ヘリコバクターピロリ感染の新しい検査は患者から提供された呼気サンプル内の13CO2又は14CO2ではなくアンモニアの検出に基づいている。CO2テストと同様に、患者はまず、管理された呼気サンプルを提供して、「通常」の理由、例えば特定の食物の摂取又はヘリコバクターピロリ感染と無関係であるその他の条件、例えば腎不全又は特定の口腔のもしくは歯の状態などの、アンモニア生成の結果を招く原因により、吐き出された呼気に存在するアンモニアの基準値を測定する。
【0005】
欧州特許出願第1149557A2号において、呼気サンプルを採取するための装置が開示されており、膨らむことができる袋の形状であり、患者は当該袋に呼気を吐き出して、呼気サンプルを提供する。当該装置には指標が含まれており、袋に採取された呼気サンプルと接触するように配置されている。この指標は特定の検出すべき物質がサンプルに存在する場合に色が変化し、その物質が存在することの目に見える表示を示す。
【0006】
呼気サンプル内のアンモニアを検出する既知のシステムでは、特定の実用面での欠点が問題となる。具体的には、これは呼気サンプル中のアンモニアの値は通常わずか数ppmであるという事実に由来する。このような低い濃度では指標の色の変化は目で検出することができるほど十分に大きいものではないので、欧州特許第1149557A2号で説明されるような装置は、このような用途で使用することができない。外部装置(例えば分光光度計)を用いて当該目的で気体サンプル採取装置に用いられる指標の色の変化定量化が必要であり、指標を気体サンプル採取装置から取り外して、色を計る装置に供する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は総合システムにおいて専門家ではない作業者に使用される、呼気サンプル内のある物質(具体的にはアンモニアであるが、これに限定されない)の存在をこれまでより容易で正確に検出することが可能となるサンプル採取装置を提供することにある。
【0008】
他の目的としては、呼気サンプル内のある物質の量の違いをこれまでより容易で正確に判別することが可能となるサンプル採取装置を提供することにある。
【0009】
検査の目的上、口、気管及び気管支から出たに過ぎない患者の呼気の前半部分よりも肺の肺胞領域から出た呼気の後半部分が採取されることが望ましい。よって、呼気の最終部分のみをサンプル採取装置で閉じ込めることが好ましい。
【0010】
本発明のより具体的な目的として患者が採取装置に吐き出すと、患者の呼気の前半部分は妨げられることなく通り抜けることができるのに対し、後半部分は装置内に保持されるという点で既知の採取装置よりも信頼性の高いサンプル採取装置を設計することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的から、本発明は開口部を有し、互いに嵌合する少なくとも二つの部分から形成され、サンプルチャンバーを画定する空洞の容器を備え、前記部分の少なくとも一つは、前記容器内を空気が流れる流路が設けられるように前記開口部が開放される前記部分の第一相対配置と、空気が通過する流路が存在せず空気の一定量が前記チャンバーに閉じ込められるように前記開口部が閉鎖される前記部分の第二相対配置とに、他の部分に対して相対的に動かすことができる、呼気サンプル採取装置を提供する。
【0012】
本発明の呼気サンプル装置の好ましい実施形態として、二つの空洞で管状の部分が互いに嵌合して、一方の少なくとも一部が他方の中に伸びるものを含む。これらの部分には開口部が形成され、その位置はある相対配置で嵌合する場合には当該組立品内を空気が通過する流路が存在し、他の相対配置にある場合には、空気が通過する流路は存在せず、当該組立品内に一定量の空気が閉じ込められる。ある相対配置から第二の相対配置への移行は、二つの空洞部分がそれぞれに対して相対的に動くことで達成され、例えば、一方の他方に対する回転、相対的な線状の動き、又は屈曲、によって行う。
【0013】
しかし、他の実施形態では、端部閉鎖部に開口部及び各端部に回転可能な端部蓋を有する単独の管を備えることができる。
【0014】
本発明の装置には、好ましくは、サンプルチャンバー内に含まれる気体のサンプル内に特定の物質が存在することを検出できる表示で示すことができる指標をサンプルチャンバー内に含む。
【0015】
サンプル採取装置のチャンバー内の指標は、チャンバー内に含まれる気体のサンプル内に特定の物質が存在することを、検出できる表示で示す物質を担持するあらゆる基材を適切に備えることができる。
【0016】
検出できる表示とは一般に色及び/又は濃度の変化であり、その変化は電磁スペクトルの人間の裸眼で可視部分で起こるか、又は不可視部分で起こり、その場合指標はその他の光学機器もしくは電気光学機器の使用、又は特定の照明条件下でしか検出することができない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、図面を参照の上、実施例を用いて、本発明について詳細に説明する。
【0018】
図1から図4に示されるように、本発明の呼気サンプル採取装置の好ましい実施形態は、二本の円筒10、20を備える。第一円筒10は、一端は開いており、他端は端部閉鎖部12を有し、その偏心した位置に開口部14が設けられる。第二円筒20は、一端に同様の端部閉鎖部22を有し、同様にその偏心した位置に開口部24が設けられるが、他端も閉じられており、ここでは取り外し可能な蓋28で閉じられている。第二円筒20の直径は第一円筒10内に嵌合し、その長さは第一円筒10よりも長くなるようになっている。第二円筒20は、端部閉鎖部12と22が同じ側の端部で互いに隣接するように、第一円筒10に嵌入する。
【0019】
また、各円筒10、20は側壁に同様の大きさの開口部16、26をそれぞれ有する。これらの開口部16、26はそれぞれ、円筒10、20を互いに相対的に回転させ、図1及び図3に示されるように端部閉鎖部12、22の開口部14、24が合致した場合に(開放状態)、合致するように配置される。円筒がこの配置にある場合、空気が第一円筒10の端部閉鎖部12と第二円筒20の端部閉鎖部22を通過し、第二円筒20の内部に流入し、円筒10、20の側面にある他の開口部16、26を通過して再び放出される流路が存在する。
【0020】
次に、円筒10、20を互いに相対的に回転させ、例えば内側の円筒20を外側の10に対して相対的に約180°回転させて、図2及び図4に示されるような配置にした場合、空気が端部12、22の開口部14、24を通過する流路は存在しなくなり、側面の他の開口部16、26も合致しない。よって、第二円筒20の内部から空気が通過する流路が存在せず、空気のサンプルが第二円筒20の内部に閉じ込められる。
【0021】
開口部14を含む、外側の円筒10の端部閉鎖部12は、現在肺活量測定のための医療器具で用いられる使い捨てマウスピースに適合するように設計される。
【0022】
可視的な印及び/又は例えば互いに噛み合う凸部と凹部などの各部に形成される構造物を円筒10、20に設けて、図1及び図2にそれぞれ示される開放状態、閉鎖状態にするのに必要な相対配置を示すことができる。
【0023】
図5から図7に示されるように、本発明による呼気サンプル採取装置の代替実施形態も二本の円筒部分30、40で構成されており、第二円筒部分(40)は第一円筒部分(30)の中に緊密に滑合する。各円筒30、40はそれぞれ、偏心して配置された開口部34、44を有する端部閉鎖部32、42を有し、それぞれの側壁にそれぞれさらに開口部36、46をも有する。しかし、図6に示される配置(閉鎖)から図5に示される配置(開放)に円筒30、40を互いに対して軸方向に動かすことによって、空気が装置を通過する流路が得られるように、これら側壁の開口部36、46は配置される。よって、当該装置は内部の円筒40が外部の円筒30に対して相対的に入れ子状に外側に滑らせて動かした場合に開放され、これにより端部閉鎖部42と32は離されて、合致しない開口部44と34を通じて空気が通過することができる。同時に、開口部46は開口部36に合致する。また、第一の実施形態の蓋(28)に類似する、取り外し可能な端部蓋48が、内部の円筒40の他端に設けられる。
【0024】
この場合も、円筒30、40にそれぞれ印や構造物を設けて、少なくとも開口部36、46を合致するのに必要な円筒の互いの相対配置を示すことができる。
【0025】
図8から図11は本発明の呼気装置の他の可能な実施形態を示すものであり、一本の円筒形の容器50を備え、それぞれの端部に回転不能な留められた閉鎖部52、54がそれぞれ嵌合する。これらの閉鎖部52、54は取り外し可能なものでも、構造と一体化したものであってもよい。それぞれの閉鎖部52、54にはそれぞれ偏心した位置に開口部53、55を有する。他の二つの蓋56、58は、偏心した位置にそれぞれ合致する開口部57、59を有し、それぞれ端部閉鎖部52、54を覆うが、これらの蓋は留められた閉鎖部52、54に対して自由に相対的に回転し、その結果、図8及び図10に示される配置では、それぞれの端部の開口部53、57、及び55、59がそれぞれ合致し、他の配置ではこれらは合致することはない。よって、両端にある外側の蓋56、58を回転させることによって、開放状態では空気が円筒を通過する流路が存在するように開口部53、57及び55、59を合致させることができ(図8)、又図9及び図11に示されるように、外側の蓋56、58を例えば約180°回転させ、閉鎖状態にすることによって、このような空気の通過が確実に妨げられるようにすることができる。後者の場合、結果として円筒の中に空気のサンプルが閉じ込められる。端部蓋の一つである蓋56は現在肺活量測定のための医療器具で用いられる使い捨てマウスピースに適合するように設計される。
【0026】
前述のように、印や構造物を設けることによって、装置の開放状態及び閉鎖状態のために必要な蓋の位置を示す手助けとすることができる。この場合、このような印や構造物は円筒50及びそれぞれの蓋56、58に形成される。
【0027】
本発明の呼気採取装置の他の実施形態が図12及び図13に図示される。これもまた二つの円筒70、80を備え、これらは互いに係合して留められる。第一円筒70は開放された入り口である端部71を有し、患者はここに息を吹き込む。その他端は円筒の軸に対して斜めに切断されており、偏心した開口部74を有する端部閉鎖部72が斜めの端部73の短い側の部分のすぐ内側に設けられる。第二円筒80は一端において偏心した開口部84を有する端部閉鎖部82を有し、他端において取り外し可能な端部蓋88を有する。第二円筒80は第一円筒70よりも若干小さな直径を有し、端部閉鎖部72より先で斜めの端部73に隣接して第一円筒70の一端に嵌入し、図12に示されるようにそれぞれの端部閉鎖部72と82が互いに隣接する。この配置では開口部74、84は合致しない。第二円筒80の側壁には開口部86が存在するが、この配置では、第一円筒70の斜めに切断された壁の長い側の部分に覆われる。よって、この状態、つまり閉鎖状態では、二本の円筒70、80で形成された容器の中を空気が通過する流路は存在しない。
【0028】
第二円筒80は、ヒンジ機構76によって、斜めの端部73の短い側の部分において、確実に第一円筒70に取り付けられる。よって、第二円筒80はこのヒンジ76を支点として図13に示されるような位置になるように下に垂らすことができ、この場合端部閉鎖部72、82は離されるので、開口部74、84を通じて流路が存在し、また開口部86から円筒70の長い側の部分の壁が除かれる。よって、この開放状態では、空気が第一円筒から第二円筒へ、そしてさらにそこから外部へ自由に流れることができる。
【0029】
本発明の呼気採取装置の他の実施形態が図14から図18に図示される。これは二つの部分90、100を備え、第二部分が第一部分内に緊密に滑合する、第二部分が第一部分に対して相対的に回転可能であり、順番にまず第一配置では、各部分に設けられた開口部が合致し、装置が開放されて空気が通過し、第二配置では、開口部を閉じ、装置内に空気が閉じ込められる。しかし、この実施形態においては、前述の実施形態と比較して、各部分90、100は少し異なる形状を有し、少し異なる状態で嵌合する。
【0030】
第一部分90は、細長い空洞の本体であり、平面図(図15及び図17)では矩形であり、端面図では実質的に正方形である。第一部分90は長手方向の軸99を有する。
【0031】
図14〜図17の右側で示されるように、一端91では本体90は開放されている。この端部91は、肺活量測定に用いられる標準的なマウスピース(図示せず)が取り付けられるように、構成されている。本体90の他端は、開放されている一端91と連通する軸方向の貫通孔94が設けられたブロック92となっている。また、図14及び図16でもっともよく示されているように、このブロック92には、幅広い盲孔95が軸99に対して垂直に設けられており、事実上第二部分100を受け入れる受け入れ口が設けられる。第二部分100は回転可能な挿入部で、図18に示されるように、それ自体空洞な円筒形をしている。側壁には対向するスロット102を有し、また、盲孔95の入り口より先に突出し、挿入部100の手動の回転を可能とする端部壁104を有する。よって、挿入部100は、スロット102が貫通孔94と並んで、空気が端部91から通過する、図14及び図15に示される開放配置とスロット102が孔94に対して垂直で、装置の間を空気が通過しない、図16及び図17に示されている閉鎖状態とに回転可能である。この閉鎖状態では、空気、具体的に呼気サンプルは、挿入部100の内部に閉じ込められる。
【0032】
前述のように、印や構造物を挿入部100の端部壁104や本体90に設けることによって、挿入部100の開放配置及び閉鎖配置を示すことができる。
【0033】
当然のことながら、本体や挿入部の形状や構成についての具体的な細部は他の実施形態において変形することができる。本体の外形の形状は例えば、正方形の代わりに円筒形とすることが可能である。また、挿入部は回転可能とする代わりに本体の軸に実質的に垂直に中と外に動かすことを可能とすることで、本体の開口部もしくは流路をそれぞれの開口部もしくは貫通孔と合致させ、又はこれらを閉鎖することができる。
【0034】
すべての上述の実施形態において、閉鎖状態にある場合は、呼気サンプルが周囲の外気から隔離されるように呼気採取装置を構成することが好ましい。呼気採取装置の閉鎖状態では、外部に流れる気体の量が十分に少なく、ここで失われた気体の量が一旦サンプルが採取された後の結果に影響するほど大きいものではない限り、その内部と外部の間の気体の流れを完全に防ぐ必要はない。
【0035】
図示された各実施形態において、それぞれの容器(10、20;30、40;50;80;90、100)の中には、指標60が取り付けられる。指標60は例えば紙等の適切な基材から形成され、これにクルクミンを浸透させるが、クルクミンはアンモニアに暴露された場合に色が変化するが、健康な人間の呼気に含まれるその他の気体の構成物質による影響を受けないことが知られている物質である。
【0036】
クルクミンの化学名は1,7ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオンである。ターメリックの色の主要な原因となる化合物であり、アンモニアに暴露されると、黄色から赤茶色への色の変化を経る。水に不溶であるので、空気又は呼気サンプル中の水分量に大きく影響されない。エタノール及び酢酸に可溶であるので、このような状態で紙基材に塗付される。アンモニアによって色が変化する指標として用いられる他の物質と比較して、一般に空気や呼気に検出される他の物質に大きく影響されない。また、植物に由来するので、比較的安全であり、廃棄の際に環境に有害ではない。これらの理由により、本発明の目的上、特に適切な指標物質である。
【0037】
図1〜図7並びに図12及び図13に示される好ましい実施形態では、指標60は、上述の呼気サンプル装置の内部円筒20、40、80の開いている端部に配置される、取り外し可能な端部蓋28、48、88の内側にそれぞれ取り付けられる。蓋28、48、88は、円筒20、40、80に置かれた場合、指標60の中央部分のみが呼気サンプルに暴露され、周辺領域、つまり周囲の縁の周りがあまり暴露されないように構成されている。よって、もし十分検出できる量のアンモニアが存在した場合、サンプル採取手順の最後で、指標60の暴露されていた部分と暴露されていない部分の間に明確に区切られた境界が存在する。
【0038】
人間の目は、たとえある種の色見本と比較する場合でも絶対的な状態を判断するより、例えば色や色の濃度等の見た目の違いの見極めに対しての方が敏感である。よって、上述の構成によれば、指標の一部のみが呼気サンプルに暴露され、暴露されていない部分との色又は濃度の対比によって、たとえ訓練されていないもしくは未熟な作業者又は患者本人であっても、いかなる医学的に有意な量のアンモニアも視覚的に明白となる。指標の気体に暴露されずに異なる色をした境界によって、視覚的検出がより容易になる。
【0039】
前述のような、指標60がアンモニアを含む呼気サンプルに暴露された結果の色の変化が、裸眼で観察できるほど十分である場合には、光学式読取装置は色の変化定量化が求められている場合のみ必要である。その他の、裸眼で明白に判断できるほど色の変化が大きいものではないような場合には、常に読取装置を用いることが必要である。暴露された指標、又は指標の暴露された領域は次に読取装置の入力部に供され、特定の波長の光が照射される。散乱光及び反射光の量は好適な光検出器によって検出され、電気信号に変換される。そして、この信号の大きさが、採取された呼気サンプルに暴露される前に指標を検査したときに得られた信号と比較される。
【0040】
本発明のサンプル採取装置がその一部を構成する、好ましいシステムにおいては、指標60が取り付けられる蓋28、48、80は、前述のように測定の際に指標60が置かれる必要がある光学読取装置の開口部に緊密に嵌入する設計がされる。よって、指標60を蓋28、48、80から離す必要は無い。指標60の扱いや、手での接触によって、傷が付くおそれや誤りが生じるおそれがあるが、これらを避けることができる。測定が行われる間、指標60は蓋28、48、80内に保持される。
【0041】
図8〜図11に示される実施形態においては、指標60と端部閉鎖部54を容器50から慎重に離して、視覚的検査及び/又は読取装置入力部に供することが必要となる可能性がある。
【0042】
図14〜図18に示される実施形態においては、指標60は挿入部100の端部壁104の内側に取り付けられる。指標は慎重に取り外して読取装置の入力部に供することができ、又は挿入部全体を入力部にぴったり合うようにすることができ又は読取装置に供する目的で指標60が取り付けられたままの状態で、端部壁を分離可能とすることもできる。また、この実施形態においては、指標の周辺領域に印が付けられ、この部分が挿入部100の内部に保持された呼気サンプルに暴露されないままであるように指標を取り付けることができる。
【0043】
当然上述の実施形態を含む、本発明の呼気サンプル装置は、採取されたサンプルまたは用いられる指標に対して結果に反映されるおそれのあるような影響を及ぼさない、あらゆる好適な素材又は複数の素材から形成することができる。例えば、当該素材には、指標を使用できない状態にするか、「偽陽性」の結果をもたらすか、又は気体のサンプルが指標と接触することを妨げるおそれがあるような添加剤が含まれるべきではない。
【0044】
好ましくは、本発明の呼気サンプル装置は、紙及び/又は厚紙及び/又はプラスチック素材から形成される。このような素材を用いることによって、一回の使用後に廃棄するのに適する経済的な装置が提供される。当該装置は単独の素材によって構成されるか、又はたとえば積層もしくは一を超える層の同じもしくは異なる素材の組合せによって構成することができる。
【0045】
当然のことながら、例えば厚さ、基本重量等の素材の特性は、装置が使用の際に耐えなければならない環境条件に応じて好適なものを選ぶべきである。例えば直面する可能性が高い温度及び圧力の範囲、サンプル採取から結果の分析までの時間、及び装置がその後保管される時間の間は、装置の完全性が保たれるべきである。
【0046】
呼気サンプル装置内のサンプルチャンバーの容積は、好ましくは10〜500cm3の範囲内であり、最も好ましくは、100〜200cm3の範囲内である。
【0047】
本発明の呼気サンプル装置は、好ましくは焼却処分や埋設処分等の通常の手順によって、一回の使用後に、環境に害とならずに廃棄することができる有益な構成となっている。
【0048】
本発明の呼気サンプル装置は、好ましくは生分解性である。
【0049】
使用においては、本発明の上述のいずれの実施形態による、一体となって指標60を有する呼気サンプル装置は、はじめに開放状態で配置される(図1、5、8、13、又は図14及び15)。使い捨てのマウスピース(図示せず)は呼気サンプル装置の適切な端部、つまり図14〜図17を除く添付された図面では左側に示されている端部に取り付けられる。患者は使い捨てマウスピース及び呼気サンプル装置を通して息を吐き出す。患者の息の吐き出しの最後に、使い捨てマウスピースは廃棄され、呼気サンプル装置はすぐに閉鎖配置となるように動かされる。(図2、6、9、12、又は図16及び17)。
【0050】
必要がある場合には、当該手順を繰り返して、複数の「管理された」サンプルが得られる。
【0051】
呼気サンプル内に存在する可能性のあるアンモニアが指標の視覚的特性に変化を生じさせるのに十分に長い時間が経過した後(最低限の時間として約2分間でおそらく十分と思われる)、指標(図8〜11及び図14〜18の場合)又は指標を含む蓋(図1〜7並びに図12及び13の場合)は取り外され、読取装置(図示せず)に供される。このように得られた読取結果は基準読取結果として参照される。当然のことながら、前述のステップは複数の基準読取結果が必要である場合には繰り返される。
【0052】
患者は次に、飲料に含まれた例えば通常の非標識尿素等の活性化物質を投与され、摂取された尿素が胃腸管内のヘリコバクターピロリに接触する時間を取り、適切な時間が経過した後に、第二の呼気サンプルが採取される。これに対しても同じ方法でアンモニアの存在の検査が行われ、サンプルから得られた読取結果は基準読取結果と比較される。もし患者がヘリコバクターピロリ菌に感染していれば、活性化物質を摂取した後に得られた第二の「検査」サンプルは、患者の体内に存在するアンモニアの基準値を確かめるために得られた「管理された」サンプルよりも多い量のアンモニアを示すことが予測される。
【0053】
また、前述の方法は、状況によっては読取装置を用いずに実行することができ、例えば医師の処置の際に読取装置が無いが、潜在的問題があるか初期検査を実行する場合に、管理されたサンプルと検査サンプルからの指標を単純に視覚的に比較することによって実行することができる。いったんこのように陽性又は陰性の結果が得られた後に、必要があれば、後に光学読取装置を用いて量の検査を実行することができる。
【0054】
前述の内容は本発明の範囲を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。当業者には理解されるであろうが、本発明の範囲内で形状及び詳細に関する様々な変形例が可能であり、すでに説明されているあらゆる実施形態のあらゆる部分は他の実施形態のあらゆる部分と組み合わせて用いるか又は何らかの方法で変形することができる。
【0055】
指標に関しては、他の実施形態においてこれは、内部円筒又は一本の円筒の本体又は容器内のサンプルチャンバーの端部を画定するあらゆる端部の閉鎖部もしくは端部蓋の構造に組み込むことができる。または、前述のチャンバーに分離可能に置かれ、そこで閉じ込められた患者の呼気のサンプルに暴露され、その後視覚的検査又は装置における読取のために取り外すことができる。他の可能性としては、指標の一部をチャンバーの外部に置かれたままにすることにより、暴露されない部分が存在するので、前述のようにより早い視覚的対比を行うことができる。
【0056】
当然のことながら、他の指標となる物質(クルクミン以外のもの)を用いて、アンモニアの存在を色の変化又はその他の方法によって検出することができ、これらの物質は既に知られているので、ここでは詳細に説明する必要はない。本発明の装置を用いて他の物質(アンモニア以外のもの)の検査を行うことができ、このような場合には適切に指標が選ばれる。また、もちろん、本発明の装置はより広く呼気サンプルの採取や適切な指標や関連する手法の選択によってヘリコバクターピロリ感染だけでなくそれ以外の状態の検査をするのに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明による呼気サンプル採取装置の第一の実施形態の第一の開放配置を示す長手方向の断面図である。
【図2】第一の実施形態の第二の閉鎖配置の同様の図である。
【図3】第一の実施形態の図1に示される開放配置の矢印Aの方向での拡大端面図である。
【図4】図2に示される閉鎖配置の同様の図である。
【図5】本発明による呼気サンプル採取装置の第二の実施形態の第一の開放配置を示す長手方向の断面図である。
【図6】第二の実施形態の第二の閉鎖配置の同様の図である。
【図7】第二の実施形態の図5及び図6の矢印Bの方向での拡大端面図である。
【図8】本発明による呼気サンプル採取装置の第三の実施形態の第一の開放配置を示す長手方向の断面図である。
【図9】第三の実施形態の第二の閉鎖配置の同様の図である。
【図10】第三の実施形態の図8の開放配置の両側の拡大端面図である。
【図11】第三の実施形態の図9の閉鎖配置の両側の拡大端面図である。
【図12】本発明による呼気サンプル採取装置の第四の実施形態の閉鎖配置を示す長手方向の断面図である。
【図13】第四の実施形態の開放配置の同様の図である。
【図14】本発明による呼気サンプル採取装置の第五の実施形態の開放配置を示す長手方向の断面図である。
【図15】同様のものの平面図である。
【図16】図14と同様であるが装置の第五の実施形態の閉鎖配置を示す図である。
【図17】同様のものの平面図である。
【図18】図14から図17に示される本実施形態の挿入部を反転した斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は人が吐き出した気体のサンプルからある物質の存在を検査するために用いられる装置に関する。ある実施形態では、本発明はヘリコバクターピロリ感染に苦しむ患者の呼気に含まれるアンモニアを検出するのに用いられうる。
【背景技術】
【0002】
呼気サンプル採取は、非侵襲診断手段として頻繁に臨床において実施される。ある人により吐き出された気体のサンプルで、特定の基礎症状を示すとして知られている物質の存在を検査する。
【0003】
約20年前に発見されたヘリコバクターピロリの細菌感染によって、約十人に一人が一生のうちのいずれかの時期に侵される消化性潰瘍にいたり、さらに多くの人が胃炎を患うことは現在広く受け入れられている。これらの細菌の非侵襲スクリーニングは呼気サンプルを用いて行うことができ、これらのサンプルは多くの場合医師による処置で集められ、外部の研究所に送られて分析される。一般に、患者は呼気サンプルを提供して、特定の食物の摂取により吐き出された呼気に存在する13C−二酸化炭素又は14C−二酸化炭素(13CO2又は14CO2)の基準値を測定する。次に、患者は活性化物質である、13C又は14Cで標識付けられた尿素を投与され、摂取された尿素が胃腸内にあるヘリコバクターピロリと接触する時間として、一定期間が経過した後に第二の呼気サンプルが採取され、13CO2又は14CO2の存在の検査が行われる。ヘリコバクターピロリは、ウレアーゼという尿素のアンモニア(NH3)と二酸化炭素への分解を触媒する酵素を分泌するが、これは本来ならば人体に存在しないものである。ある患者がヘリコバクターピロリ菌に感染していれば、尿素摂取後に取得された第二サンプルの方が患者の体内の13CO2又は14CO2の基準値を確定するために採取された、第一サンプル又は「管理された」サンプルより多量の13CO2又は14CO2を示すことが予想される。
【0004】
ヘリコバクターピロリ感染の新しい検査は患者から提供された呼気サンプル内の13CO2又は14CO2ではなくアンモニアの検出に基づいている。CO2テストと同様に、患者はまず、管理された呼気サンプルを提供して、「通常」の理由、例えば特定の食物の摂取又はヘリコバクターピロリ感染と無関係であるその他の条件、例えば腎不全又は特定の口腔のもしくは歯の状態などの、アンモニア生成の結果を招く原因により、吐き出された呼気に存在するアンモニアの基準値を測定する。
【0005】
欧州特許出願第1149557A2号において、呼気サンプルを採取するための装置が開示されており、膨らむことができる袋の形状であり、患者は当該袋に呼気を吐き出して、呼気サンプルを提供する。当該装置には指標が含まれており、袋に採取された呼気サンプルと接触するように配置されている。この指標は特定の検出すべき物質がサンプルに存在する場合に色が変化し、その物質が存在することの目に見える表示を示す。
【0006】
呼気サンプル内のアンモニアを検出する既知のシステムでは、特定の実用面での欠点が問題となる。具体的には、これは呼気サンプル中のアンモニアの値は通常わずか数ppmであるという事実に由来する。このような低い濃度では指標の色の変化は目で検出することができるほど十分に大きいものではないので、欧州特許第1149557A2号で説明されるような装置は、このような用途で使用することができない。外部装置(例えば分光光度計)を用いて当該目的で気体サンプル採取装置に用いられる指標の色の変化定量化が必要であり、指標を気体サンプル採取装置から取り外して、色を計る装置に供する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は総合システムにおいて専門家ではない作業者に使用される、呼気サンプル内のある物質(具体的にはアンモニアであるが、これに限定されない)の存在をこれまでより容易で正確に検出することが可能となるサンプル採取装置を提供することにある。
【0008】
他の目的としては、呼気サンプル内のある物質の量の違いをこれまでより容易で正確に判別することが可能となるサンプル採取装置を提供することにある。
【0009】
検査の目的上、口、気管及び気管支から出たに過ぎない患者の呼気の前半部分よりも肺の肺胞領域から出た呼気の後半部分が採取されることが望ましい。よって、呼気の最終部分のみをサンプル採取装置で閉じ込めることが好ましい。
【0010】
本発明のより具体的な目的として患者が採取装置に吐き出すと、患者の呼気の前半部分は妨げられることなく通り抜けることができるのに対し、後半部分は装置内に保持されるという点で既知の採取装置よりも信頼性の高いサンプル採取装置を設計することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的から、本発明は開口部を有し、互いに嵌合する少なくとも二つの部分から形成され、サンプルチャンバーを画定する空洞の容器を備え、前記部分の少なくとも一つは、前記容器内を空気が流れる流路が設けられるように前記開口部が開放される前記部分の第一相対配置と、空気が通過する流路が存在せず空気の一定量が前記チャンバーに閉じ込められるように前記開口部が閉鎖される前記部分の第二相対配置とに、他の部分に対して相対的に動かすことができる、呼気サンプル採取装置を提供する。
【0012】
本発明の呼気サンプル装置の好ましい実施形態として、二つの空洞で管状の部分が互いに嵌合して、一方の少なくとも一部が他方の中に伸びるものを含む。これらの部分には開口部が形成され、その位置はある相対配置で嵌合する場合には当該組立品内を空気が通過する流路が存在し、他の相対配置にある場合には、空気が通過する流路は存在せず、当該組立品内に一定量の空気が閉じ込められる。ある相対配置から第二の相対配置への移行は、二つの空洞部分がそれぞれに対して相対的に動くことで達成され、例えば、一方の他方に対する回転、相対的な線状の動き、又は屈曲、によって行う。
【0013】
しかし、他の実施形態では、端部閉鎖部に開口部及び各端部に回転可能な端部蓋を有する単独の管を備えることができる。
【0014】
本発明の装置には、好ましくは、サンプルチャンバー内に含まれる気体のサンプル内に特定の物質が存在することを検出できる表示で示すことができる指標をサンプルチャンバー内に含む。
【0015】
サンプル採取装置のチャンバー内の指標は、チャンバー内に含まれる気体のサンプル内に特定の物質が存在することを、検出できる表示で示す物質を担持するあらゆる基材を適切に備えることができる。
【0016】
検出できる表示とは一般に色及び/又は濃度の変化であり、その変化は電磁スペクトルの人間の裸眼で可視部分で起こるか、又は不可視部分で起こり、その場合指標はその他の光学機器もしくは電気光学機器の使用、又は特定の照明条件下でしか検出することができない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、図面を参照の上、実施例を用いて、本発明について詳細に説明する。
【0018】
図1から図4に示されるように、本発明の呼気サンプル採取装置の好ましい実施形態は、二本の円筒10、20を備える。第一円筒10は、一端は開いており、他端は端部閉鎖部12を有し、その偏心した位置に開口部14が設けられる。第二円筒20は、一端に同様の端部閉鎖部22を有し、同様にその偏心した位置に開口部24が設けられるが、他端も閉じられており、ここでは取り外し可能な蓋28で閉じられている。第二円筒20の直径は第一円筒10内に嵌合し、その長さは第一円筒10よりも長くなるようになっている。第二円筒20は、端部閉鎖部12と22が同じ側の端部で互いに隣接するように、第一円筒10に嵌入する。
【0019】
また、各円筒10、20は側壁に同様の大きさの開口部16、26をそれぞれ有する。これらの開口部16、26はそれぞれ、円筒10、20を互いに相対的に回転させ、図1及び図3に示されるように端部閉鎖部12、22の開口部14、24が合致した場合に(開放状態)、合致するように配置される。円筒がこの配置にある場合、空気が第一円筒10の端部閉鎖部12と第二円筒20の端部閉鎖部22を通過し、第二円筒20の内部に流入し、円筒10、20の側面にある他の開口部16、26を通過して再び放出される流路が存在する。
【0020】
次に、円筒10、20を互いに相対的に回転させ、例えば内側の円筒20を外側の10に対して相対的に約180°回転させて、図2及び図4に示されるような配置にした場合、空気が端部12、22の開口部14、24を通過する流路は存在しなくなり、側面の他の開口部16、26も合致しない。よって、第二円筒20の内部から空気が通過する流路が存在せず、空気のサンプルが第二円筒20の内部に閉じ込められる。
【0021】
開口部14を含む、外側の円筒10の端部閉鎖部12は、現在肺活量測定のための医療器具で用いられる使い捨てマウスピースに適合するように設計される。
【0022】
可視的な印及び/又は例えば互いに噛み合う凸部と凹部などの各部に形成される構造物を円筒10、20に設けて、図1及び図2にそれぞれ示される開放状態、閉鎖状態にするのに必要な相対配置を示すことができる。
【0023】
図5から図7に示されるように、本発明による呼気サンプル採取装置の代替実施形態も二本の円筒部分30、40で構成されており、第二円筒部分(40)は第一円筒部分(30)の中に緊密に滑合する。各円筒30、40はそれぞれ、偏心して配置された開口部34、44を有する端部閉鎖部32、42を有し、それぞれの側壁にそれぞれさらに開口部36、46をも有する。しかし、図6に示される配置(閉鎖)から図5に示される配置(開放)に円筒30、40を互いに対して軸方向に動かすことによって、空気が装置を通過する流路が得られるように、これら側壁の開口部36、46は配置される。よって、当該装置は内部の円筒40が外部の円筒30に対して相対的に入れ子状に外側に滑らせて動かした場合に開放され、これにより端部閉鎖部42と32は離されて、合致しない開口部44と34を通じて空気が通過することができる。同時に、開口部46は開口部36に合致する。また、第一の実施形態の蓋(28)に類似する、取り外し可能な端部蓋48が、内部の円筒40の他端に設けられる。
【0024】
この場合も、円筒30、40にそれぞれ印や構造物を設けて、少なくとも開口部36、46を合致するのに必要な円筒の互いの相対配置を示すことができる。
【0025】
図8から図11は本発明の呼気装置の他の可能な実施形態を示すものであり、一本の円筒形の容器50を備え、それぞれの端部に回転不能な留められた閉鎖部52、54がそれぞれ嵌合する。これらの閉鎖部52、54は取り外し可能なものでも、構造と一体化したものであってもよい。それぞれの閉鎖部52、54にはそれぞれ偏心した位置に開口部53、55を有する。他の二つの蓋56、58は、偏心した位置にそれぞれ合致する開口部57、59を有し、それぞれ端部閉鎖部52、54を覆うが、これらの蓋は留められた閉鎖部52、54に対して自由に相対的に回転し、その結果、図8及び図10に示される配置では、それぞれの端部の開口部53、57、及び55、59がそれぞれ合致し、他の配置ではこれらは合致することはない。よって、両端にある外側の蓋56、58を回転させることによって、開放状態では空気が円筒を通過する流路が存在するように開口部53、57及び55、59を合致させることができ(図8)、又図9及び図11に示されるように、外側の蓋56、58を例えば約180°回転させ、閉鎖状態にすることによって、このような空気の通過が確実に妨げられるようにすることができる。後者の場合、結果として円筒の中に空気のサンプルが閉じ込められる。端部蓋の一つである蓋56は現在肺活量測定のための医療器具で用いられる使い捨てマウスピースに適合するように設計される。
【0026】
前述のように、印や構造物を設けることによって、装置の開放状態及び閉鎖状態のために必要な蓋の位置を示す手助けとすることができる。この場合、このような印や構造物は円筒50及びそれぞれの蓋56、58に形成される。
【0027】
本発明の呼気採取装置の他の実施形態が図12及び図13に図示される。これもまた二つの円筒70、80を備え、これらは互いに係合して留められる。第一円筒70は開放された入り口である端部71を有し、患者はここに息を吹き込む。その他端は円筒の軸に対して斜めに切断されており、偏心した開口部74を有する端部閉鎖部72が斜めの端部73の短い側の部分のすぐ内側に設けられる。第二円筒80は一端において偏心した開口部84を有する端部閉鎖部82を有し、他端において取り外し可能な端部蓋88を有する。第二円筒80は第一円筒70よりも若干小さな直径を有し、端部閉鎖部72より先で斜めの端部73に隣接して第一円筒70の一端に嵌入し、図12に示されるようにそれぞれの端部閉鎖部72と82が互いに隣接する。この配置では開口部74、84は合致しない。第二円筒80の側壁には開口部86が存在するが、この配置では、第一円筒70の斜めに切断された壁の長い側の部分に覆われる。よって、この状態、つまり閉鎖状態では、二本の円筒70、80で形成された容器の中を空気が通過する流路は存在しない。
【0028】
第二円筒80は、ヒンジ機構76によって、斜めの端部73の短い側の部分において、確実に第一円筒70に取り付けられる。よって、第二円筒80はこのヒンジ76を支点として図13に示されるような位置になるように下に垂らすことができ、この場合端部閉鎖部72、82は離されるので、開口部74、84を通じて流路が存在し、また開口部86から円筒70の長い側の部分の壁が除かれる。よって、この開放状態では、空気が第一円筒から第二円筒へ、そしてさらにそこから外部へ自由に流れることができる。
【0029】
本発明の呼気採取装置の他の実施形態が図14から図18に図示される。これは二つの部分90、100を備え、第二部分が第一部分内に緊密に滑合する、第二部分が第一部分に対して相対的に回転可能であり、順番にまず第一配置では、各部分に設けられた開口部が合致し、装置が開放されて空気が通過し、第二配置では、開口部を閉じ、装置内に空気が閉じ込められる。しかし、この実施形態においては、前述の実施形態と比較して、各部分90、100は少し異なる形状を有し、少し異なる状態で嵌合する。
【0030】
第一部分90は、細長い空洞の本体であり、平面図(図15及び図17)では矩形であり、端面図では実質的に正方形である。第一部分90は長手方向の軸99を有する。
【0031】
図14〜図17の右側で示されるように、一端91では本体90は開放されている。この端部91は、肺活量測定に用いられる標準的なマウスピース(図示せず)が取り付けられるように、構成されている。本体90の他端は、開放されている一端91と連通する軸方向の貫通孔94が設けられたブロック92となっている。また、図14及び図16でもっともよく示されているように、このブロック92には、幅広い盲孔95が軸99に対して垂直に設けられており、事実上第二部分100を受け入れる受け入れ口が設けられる。第二部分100は回転可能な挿入部で、図18に示されるように、それ自体空洞な円筒形をしている。側壁には対向するスロット102を有し、また、盲孔95の入り口より先に突出し、挿入部100の手動の回転を可能とする端部壁104を有する。よって、挿入部100は、スロット102が貫通孔94と並んで、空気が端部91から通過する、図14及び図15に示される開放配置とスロット102が孔94に対して垂直で、装置の間を空気が通過しない、図16及び図17に示されている閉鎖状態とに回転可能である。この閉鎖状態では、空気、具体的に呼気サンプルは、挿入部100の内部に閉じ込められる。
【0032】
前述のように、印や構造物を挿入部100の端部壁104や本体90に設けることによって、挿入部100の開放配置及び閉鎖配置を示すことができる。
【0033】
当然のことながら、本体や挿入部の形状や構成についての具体的な細部は他の実施形態において変形することができる。本体の外形の形状は例えば、正方形の代わりに円筒形とすることが可能である。また、挿入部は回転可能とする代わりに本体の軸に実質的に垂直に中と外に動かすことを可能とすることで、本体の開口部もしくは流路をそれぞれの開口部もしくは貫通孔と合致させ、又はこれらを閉鎖することができる。
【0034】
すべての上述の実施形態において、閉鎖状態にある場合は、呼気サンプルが周囲の外気から隔離されるように呼気採取装置を構成することが好ましい。呼気採取装置の閉鎖状態では、外部に流れる気体の量が十分に少なく、ここで失われた気体の量が一旦サンプルが採取された後の結果に影響するほど大きいものではない限り、その内部と外部の間の気体の流れを完全に防ぐ必要はない。
【0035】
図示された各実施形態において、それぞれの容器(10、20;30、40;50;80;90、100)の中には、指標60が取り付けられる。指標60は例えば紙等の適切な基材から形成され、これにクルクミンを浸透させるが、クルクミンはアンモニアに暴露された場合に色が変化するが、健康な人間の呼気に含まれるその他の気体の構成物質による影響を受けないことが知られている物質である。
【0036】
クルクミンの化学名は1,7ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオンである。ターメリックの色の主要な原因となる化合物であり、アンモニアに暴露されると、黄色から赤茶色への色の変化を経る。水に不溶であるので、空気又は呼気サンプル中の水分量に大きく影響されない。エタノール及び酢酸に可溶であるので、このような状態で紙基材に塗付される。アンモニアによって色が変化する指標として用いられる他の物質と比較して、一般に空気や呼気に検出される他の物質に大きく影響されない。また、植物に由来するので、比較的安全であり、廃棄の際に環境に有害ではない。これらの理由により、本発明の目的上、特に適切な指標物質である。
【0037】
図1〜図7並びに図12及び図13に示される好ましい実施形態では、指標60は、上述の呼気サンプル装置の内部円筒20、40、80の開いている端部に配置される、取り外し可能な端部蓋28、48、88の内側にそれぞれ取り付けられる。蓋28、48、88は、円筒20、40、80に置かれた場合、指標60の中央部分のみが呼気サンプルに暴露され、周辺領域、つまり周囲の縁の周りがあまり暴露されないように構成されている。よって、もし十分検出できる量のアンモニアが存在した場合、サンプル採取手順の最後で、指標60の暴露されていた部分と暴露されていない部分の間に明確に区切られた境界が存在する。
【0038】
人間の目は、たとえある種の色見本と比較する場合でも絶対的な状態を判断するより、例えば色や色の濃度等の見た目の違いの見極めに対しての方が敏感である。よって、上述の構成によれば、指標の一部のみが呼気サンプルに暴露され、暴露されていない部分との色又は濃度の対比によって、たとえ訓練されていないもしくは未熟な作業者又は患者本人であっても、いかなる医学的に有意な量のアンモニアも視覚的に明白となる。指標の気体に暴露されずに異なる色をした境界によって、視覚的検出がより容易になる。
【0039】
前述のような、指標60がアンモニアを含む呼気サンプルに暴露された結果の色の変化が、裸眼で観察できるほど十分である場合には、光学式読取装置は色の変化定量化が求められている場合のみ必要である。その他の、裸眼で明白に判断できるほど色の変化が大きいものではないような場合には、常に読取装置を用いることが必要である。暴露された指標、又は指標の暴露された領域は次に読取装置の入力部に供され、特定の波長の光が照射される。散乱光及び反射光の量は好適な光検出器によって検出され、電気信号に変換される。そして、この信号の大きさが、採取された呼気サンプルに暴露される前に指標を検査したときに得られた信号と比較される。
【0040】
本発明のサンプル採取装置がその一部を構成する、好ましいシステムにおいては、指標60が取り付けられる蓋28、48、80は、前述のように測定の際に指標60が置かれる必要がある光学読取装置の開口部に緊密に嵌入する設計がされる。よって、指標60を蓋28、48、80から離す必要は無い。指標60の扱いや、手での接触によって、傷が付くおそれや誤りが生じるおそれがあるが、これらを避けることができる。測定が行われる間、指標60は蓋28、48、80内に保持される。
【0041】
図8〜図11に示される実施形態においては、指標60と端部閉鎖部54を容器50から慎重に離して、視覚的検査及び/又は読取装置入力部に供することが必要となる可能性がある。
【0042】
図14〜図18に示される実施形態においては、指標60は挿入部100の端部壁104の内側に取り付けられる。指標は慎重に取り外して読取装置の入力部に供することができ、又は挿入部全体を入力部にぴったり合うようにすることができ又は読取装置に供する目的で指標60が取り付けられたままの状態で、端部壁を分離可能とすることもできる。また、この実施形態においては、指標の周辺領域に印が付けられ、この部分が挿入部100の内部に保持された呼気サンプルに暴露されないままであるように指標を取り付けることができる。
【0043】
当然上述の実施形態を含む、本発明の呼気サンプル装置は、採取されたサンプルまたは用いられる指標に対して結果に反映されるおそれのあるような影響を及ぼさない、あらゆる好適な素材又は複数の素材から形成することができる。例えば、当該素材には、指標を使用できない状態にするか、「偽陽性」の結果をもたらすか、又は気体のサンプルが指標と接触することを妨げるおそれがあるような添加剤が含まれるべきではない。
【0044】
好ましくは、本発明の呼気サンプル装置は、紙及び/又は厚紙及び/又はプラスチック素材から形成される。このような素材を用いることによって、一回の使用後に廃棄するのに適する経済的な装置が提供される。当該装置は単独の素材によって構成されるか、又はたとえば積層もしくは一を超える層の同じもしくは異なる素材の組合せによって構成することができる。
【0045】
当然のことながら、例えば厚さ、基本重量等の素材の特性は、装置が使用の際に耐えなければならない環境条件に応じて好適なものを選ぶべきである。例えば直面する可能性が高い温度及び圧力の範囲、サンプル採取から結果の分析までの時間、及び装置がその後保管される時間の間は、装置の完全性が保たれるべきである。
【0046】
呼気サンプル装置内のサンプルチャンバーの容積は、好ましくは10〜500cm3の範囲内であり、最も好ましくは、100〜200cm3の範囲内である。
【0047】
本発明の呼気サンプル装置は、好ましくは焼却処分や埋設処分等の通常の手順によって、一回の使用後に、環境に害とならずに廃棄することができる有益な構成となっている。
【0048】
本発明の呼気サンプル装置は、好ましくは生分解性である。
【0049】
使用においては、本発明の上述のいずれの実施形態による、一体となって指標60を有する呼気サンプル装置は、はじめに開放状態で配置される(図1、5、8、13、又は図14及び15)。使い捨てのマウスピース(図示せず)は呼気サンプル装置の適切な端部、つまり図14〜図17を除く添付された図面では左側に示されている端部に取り付けられる。患者は使い捨てマウスピース及び呼気サンプル装置を通して息を吐き出す。患者の息の吐き出しの最後に、使い捨てマウスピースは廃棄され、呼気サンプル装置はすぐに閉鎖配置となるように動かされる。(図2、6、9、12、又は図16及び17)。
【0050】
必要がある場合には、当該手順を繰り返して、複数の「管理された」サンプルが得られる。
【0051】
呼気サンプル内に存在する可能性のあるアンモニアが指標の視覚的特性に変化を生じさせるのに十分に長い時間が経過した後(最低限の時間として約2分間でおそらく十分と思われる)、指標(図8〜11及び図14〜18の場合)又は指標を含む蓋(図1〜7並びに図12及び13の場合)は取り外され、読取装置(図示せず)に供される。このように得られた読取結果は基準読取結果として参照される。当然のことながら、前述のステップは複数の基準読取結果が必要である場合には繰り返される。
【0052】
患者は次に、飲料に含まれた例えば通常の非標識尿素等の活性化物質を投与され、摂取された尿素が胃腸管内のヘリコバクターピロリに接触する時間を取り、適切な時間が経過した後に、第二の呼気サンプルが採取される。これに対しても同じ方法でアンモニアの存在の検査が行われ、サンプルから得られた読取結果は基準読取結果と比較される。もし患者がヘリコバクターピロリ菌に感染していれば、活性化物質を摂取した後に得られた第二の「検査」サンプルは、患者の体内に存在するアンモニアの基準値を確かめるために得られた「管理された」サンプルよりも多い量のアンモニアを示すことが予測される。
【0053】
また、前述の方法は、状況によっては読取装置を用いずに実行することができ、例えば医師の処置の際に読取装置が無いが、潜在的問題があるか初期検査を実行する場合に、管理されたサンプルと検査サンプルからの指標を単純に視覚的に比較することによって実行することができる。いったんこのように陽性又は陰性の結果が得られた後に、必要があれば、後に光学読取装置を用いて量の検査を実行することができる。
【0054】
前述の内容は本発明の範囲を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。当業者には理解されるであろうが、本発明の範囲内で形状及び詳細に関する様々な変形例が可能であり、すでに説明されているあらゆる実施形態のあらゆる部分は他の実施形態のあらゆる部分と組み合わせて用いるか又は何らかの方法で変形することができる。
【0055】
指標に関しては、他の実施形態においてこれは、内部円筒又は一本の円筒の本体又は容器内のサンプルチャンバーの端部を画定するあらゆる端部の閉鎖部もしくは端部蓋の構造に組み込むことができる。または、前述のチャンバーに分離可能に置かれ、そこで閉じ込められた患者の呼気のサンプルに暴露され、その後視覚的検査又は装置における読取のために取り外すことができる。他の可能性としては、指標の一部をチャンバーの外部に置かれたままにすることにより、暴露されない部分が存在するので、前述のようにより早い視覚的対比を行うことができる。
【0056】
当然のことながら、他の指標となる物質(クルクミン以外のもの)を用いて、アンモニアの存在を色の変化又はその他の方法によって検出することができ、これらの物質は既に知られているので、ここでは詳細に説明する必要はない。本発明の装置を用いて他の物質(アンモニア以外のもの)の検査を行うことができ、このような場合には適切に指標が選ばれる。また、もちろん、本発明の装置はより広く呼気サンプルの採取や適切な指標や関連する手法の選択によってヘリコバクターピロリ感染だけでなくそれ以外の状態の検査をするのに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明による呼気サンプル採取装置の第一の実施形態の第一の開放配置を示す長手方向の断面図である。
【図2】第一の実施形態の第二の閉鎖配置の同様の図である。
【図3】第一の実施形態の図1に示される開放配置の矢印Aの方向での拡大端面図である。
【図4】図2に示される閉鎖配置の同様の図である。
【図5】本発明による呼気サンプル採取装置の第二の実施形態の第一の開放配置を示す長手方向の断面図である。
【図6】第二の実施形態の第二の閉鎖配置の同様の図である。
【図7】第二の実施形態の図5及び図6の矢印Bの方向での拡大端面図である。
【図8】本発明による呼気サンプル採取装置の第三の実施形態の第一の開放配置を示す長手方向の断面図である。
【図9】第三の実施形態の第二の閉鎖配置の同様の図である。
【図10】第三の実施形態の図8の開放配置の両側の拡大端面図である。
【図11】第三の実施形態の図9の閉鎖配置の両側の拡大端面図である。
【図12】本発明による呼気サンプル採取装置の第四の実施形態の閉鎖配置を示す長手方向の断面図である。
【図13】第四の実施形態の開放配置の同様の図である。
【図14】本発明による呼気サンプル採取装置の第五の実施形態の開放配置を示す長手方向の断面図である。
【図15】同様のものの平面図である。
【図16】図14と同様であるが装置の第五の実施形態の閉鎖配置を示す図である。
【図17】同様のものの平面図である。
【図18】図14から図17に示される本実施形態の挿入部を反転した斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し、互いに嵌合する少なくとも二つの部分から形成され、サンプルチャンバーを画定する空洞の容器
を備え、
前記部分の少なくとも一つは、前記容器内を空気が流れる流路が設けられるように前記開口部が開放される前記部分の第一相対配置と、空気が通過する流路が存在せず空気の一定量が前記チャンバーに閉じ込められるように前記開口部が閉鎖される前記部分の第二相対配置とに、他の部分に対して相対的に動かすことができる、
呼気サンプル採取装置。
【請求項2】
前記部分の少なくとも一つが他の部分に対して相対的に回転可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記部分の少なくとも一つが他の部分に対して相対的に軸方向に可動である請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記容器が二つの管状部分を備え、一方が他方の中に緊密に滑合する、請求項1、2、又は3に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも一つの開口部が前記管状部分の各々の側壁に設けられ、これらの開口部は、前記部分が第一相対配置と第二相対配置とに動かされるのに合わせて、合致及びずらされる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
各管状部分が前記容器の同一側の端部にそれぞれ端部閉鎖部を有し、少なくとも一つの開口部が各管状部分の前記端部閉鎖部に設けられ、これらの開口部が前記各部分が第一相対配置と第二相対配置とに動かされるのに合わせて、それぞれ開放及び閉鎖される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記各部分は第一相対配置と第二相対配置とに回転され、前記部分の回転に合わせて、前記容器の同一側の各端部にある前記端部閉鎖部の前記開口部が合致及びずらされる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記部分の少なくとも一つが他の部分に対して相対的に枢動可能又は屈曲可能であり、第一相対配置と第二相対配置とに動かされてこれらの開口部が開放及び閉鎖される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記容器は、単独の円筒形の本体を備え、その両端にそれぞれ端部閉鎖部及び回転可能な端部蓋を有し、各端部閉鎖部及び各端部蓋には開口部が設けられ、各端部蓋が第一相対配置と第二相対配置とに回転されるのに合わせて、前記端部蓋の前記開口部が前記端部閉鎖部の前記開口部と合致及びずらされる、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記容器は、長手方向の軸を有する本体と、前記軸に対して横断方向に前記本体に嵌入される挿入部とを有し、前記本体と前記挿入部は、互いに嵌合し、開口部を有する容器の部分のそれぞれである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記容器は、管状で端部閉鎖部及び/又は端部蓋を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも一部の前記開口部が前記端部閉鎖部及び/又は端部蓋に設けられる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記容器は円筒形である、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記サンプルチャンバー内に含まれる気体のサンプル内に、特定の物質が存在することを検出できる表示で示すことができる指標を、前記サンプルチャンバー内にさらに備える、請求項1〜13いずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記指標によって示される前記検出できる表示は、色又は色の濃度の変化である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記指標は、指標物質を担持する基材を備える、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
前記基材は紙であり、そこに前記指標物質が浸透している、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記基材は指標物質に覆われる、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記指標は、前記容器の前記挿入部分の内側に取り付けられる、請求項10に従属する場合の請求項14〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記指標は、前記容器の端部閉鎖部及び/又は端部蓋の内側に取り付けられる、請求項11に従属する場合の請求項14〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記指標は、前記指標の一部のみが前記サンプルチャンバー内の気体に暴露され、その他の部分が暴露されないような態様で前記サンプルチャンバー内に取り付けられ、気体に暴露される部分が前記チャンバー内に閉じ込められた気体に接触した後に、気体に暴露された部分と暴露されない部分との間に境界が存在する、請求項14〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記指標は、その中央部分のみが前記サンプルチャンバー内の気体に暴露され、それを囲む周辺領域は暴露されないような態様で前記サンプルチャンバー内に取り付けられる、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
添付された図面の図1〜図4、図5〜図7、図8〜図11、図12及び図13、又は図14〜18を参照して前述のように説明され、図示されるものと実質的に同様の呼気サンプル採取装置。
【請求項1】
開口部を有し、互いに嵌合する少なくとも二つの部分から形成され、サンプルチャンバーを画定する空洞の容器
を備え、
前記部分の少なくとも一つは、前記容器内を空気が流れる流路が設けられるように前記開口部が開放される前記部分の第一相対配置と、空気が通過する流路が存在せず空気の一定量が前記チャンバーに閉じ込められるように前記開口部が閉鎖される前記部分の第二相対配置とに、他の部分に対して相対的に動かすことができる、
呼気サンプル採取装置。
【請求項2】
前記部分の少なくとも一つが他の部分に対して相対的に回転可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記部分の少なくとも一つが他の部分に対して相対的に軸方向に可動である請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記容器が二つの管状部分を備え、一方が他方の中に緊密に滑合する、請求項1、2、又は3に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも一つの開口部が前記管状部分の各々の側壁に設けられ、これらの開口部は、前記部分が第一相対配置と第二相対配置とに動かされるのに合わせて、合致及びずらされる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
各管状部分が前記容器の同一側の端部にそれぞれ端部閉鎖部を有し、少なくとも一つの開口部が各管状部分の前記端部閉鎖部に設けられ、これらの開口部が前記各部分が第一相対配置と第二相対配置とに動かされるのに合わせて、それぞれ開放及び閉鎖される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記各部分は第一相対配置と第二相対配置とに回転され、前記部分の回転に合わせて、前記容器の同一側の各端部にある前記端部閉鎖部の前記開口部が合致及びずらされる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記部分の少なくとも一つが他の部分に対して相対的に枢動可能又は屈曲可能であり、第一相対配置と第二相対配置とに動かされてこれらの開口部が開放及び閉鎖される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記容器は、単独の円筒形の本体を備え、その両端にそれぞれ端部閉鎖部及び回転可能な端部蓋を有し、各端部閉鎖部及び各端部蓋には開口部が設けられ、各端部蓋が第一相対配置と第二相対配置とに回転されるのに合わせて、前記端部蓋の前記開口部が前記端部閉鎖部の前記開口部と合致及びずらされる、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記容器は、長手方向の軸を有する本体と、前記軸に対して横断方向に前記本体に嵌入される挿入部とを有し、前記本体と前記挿入部は、互いに嵌合し、開口部を有する容器の部分のそれぞれである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記容器は、管状で端部閉鎖部及び/又は端部蓋を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも一部の前記開口部が前記端部閉鎖部及び/又は端部蓋に設けられる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記容器は円筒形である、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記サンプルチャンバー内に含まれる気体のサンプル内に、特定の物質が存在することを検出できる表示で示すことができる指標を、前記サンプルチャンバー内にさらに備える、請求項1〜13いずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記指標によって示される前記検出できる表示は、色又は色の濃度の変化である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記指標は、指標物質を担持する基材を備える、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
前記基材は紙であり、そこに前記指標物質が浸透している、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記基材は指標物質に覆われる、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記指標は、前記容器の前記挿入部分の内側に取り付けられる、請求項10に従属する場合の請求項14〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記指標は、前記容器の端部閉鎖部及び/又は端部蓋の内側に取り付けられる、請求項11に従属する場合の請求項14〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記指標は、前記指標の一部のみが前記サンプルチャンバー内の気体に暴露され、その他の部分が暴露されないような態様で前記サンプルチャンバー内に取り付けられ、気体に暴露される部分が前記チャンバー内に閉じ込められた気体に接触した後に、気体に暴露された部分と暴露されない部分との間に境界が存在する、請求項14〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記指標は、その中央部分のみが前記サンプルチャンバー内の気体に暴露され、それを囲む周辺領域は暴露されないような態様で前記サンプルチャンバー内に取り付けられる、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
添付された図面の図1〜図4、図5〜図7、図8〜図11、図12及び図13、又は図14〜18を参照して前述のように説明され、図示されるものと実質的に同様の呼気サンプル採取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2008−547013(P2008−547013A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517574(P2008−517574)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002133
【国際公開番号】WO2007/000568
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507418315)センサム リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002133
【国際公開番号】WO2007/000568
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507418315)センサム リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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