説明

呼気凝縮液採取分析装置及び方法

本発明は、電気化学センサ及び/又はバイオセンサの助けを借りて、呼気中の成分を分析する方法に関する。前記成分は、物質又は、該物質から得た反応生成物と接触している間に、1以上のセンサが生成した信号を測定し、評価することにより前記成分を測定する。呼気ガス中に含有する水分が凝縮表面で凝縮される際、分析対象物質も凝縮する。凝縮工程中に、凝縮液及び/又は分析対象物質と相互作用又は化学反応を起こすように、凝縮表面を機能化し、又は活性化させると共に、取得した呼気凝縮液を直接センサに送ることにより、センサに発生した信号に影響が出る。更に、本発明は、呼気凝縮液を回収する装置に関する。この装置は、複数のセンサ及び、ベースエレメント(固定治具又は支持具)上に配置され、適宜機能化し、又は活性化した凝縮表面が設けられた少なくとも1つのセンサ装置から構成されている。本発明による装置は、また、少なくとも1つのペルティエ素子及び熱伝導ブリッジから構成されている。好ましい実施例では、ベースエレメントは、頭部固定治具に接続させることが出来ると共に、該装置を装着した人の口前面の、呼気流内に直接配置することが出来、かつ、携帯型の電源装置及び必要に応じて電子評価装置に連結することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学センサ及び/又はバイオセンサを用いて、呼気中に含まれる成分を分析する方法に関する。これらの物質、又は、これらの物資から生成された反応生成物を1以上のセンサに接触させることにより、該センサが発した信号を測定、分析することにより判断を下す。この分析対象物質は、凝縮表面上で、呼気ガス中に含有される水が凝縮された中においてでも凝縮される。結果として生成された呼気凝縮液を直接センサに送る。この凝縮工程中に、該凝縮液及び/又は分析対象物質と相互作用、即ち化学的な反応を起こすように、凝縮表面を機能化させ、及び/又は活性化させることにより、センサが発する信号に影響を与える。本発明はまた、呼気凝縮液採取装置に関し、該装置は、複数のセンサ及び、ベースエレメント(ホルダ及び/又はキャリア)上に設けられた少なくとも1つのセンサ装置から構成されており、該センサ装置は、適宜に機能化した、又は活性化した凝縮表面を有している。この装置はまた、少なくとも1つのペルティエ素子及び熱伝導ブリッジから構成されている。本発明の好ましい実施例においては、ベースエレメントは、ヘッドセットに接続することが出来るため、ヘッドセット装着者の口の前面に直接、呼気流の中に直接配置させることが可能であり、該ベースエレメントは、必要に応じて携帯型の電源及び電子分析装置に接続させることも可能である。
【背景技術】
【0002】
呼気凝縮液を採取し、該呼気凝縮液中の物質の濃度を測定する各種の装置及びその変形装置が知られている。DE 199 51 204 C2は、呼気中の成分を分析する方法に関するものであり、該方法では、呼気のエアゾール成分及び蒸気成分を凝縮して、所定量のサンプルを得るまで呼気を冷却する。収納装置又はフィルタを完全に充填させ、又は、飽和させることにより、所定量のサンプルを測定する。その後、凝縮液中に存在する物質を、呼気凝縮液がフィルタ又は収納層を介してセンサに拡散する形で、収納層又はフィルタの下流に設けられた1以上の電気化学センサで測定する。この方法及びこれに類似した方法の欠点は、呼気凝縮液は、最初にフィルタ又は収納層内に集められ、サンプルの大部分は、分析工程では使用されず、フィルタや収納層が呼気凝縮液で完全に充填された後でしか、残りが拡散により下流にあるセンサに届かないので、短命物質(例えば、基)は、部分的にのみ存在するか、又は既に全く存在しなくなっていることである。サンプルの感染及び汚染、各分析後に必要とされる殺菌のリスクも欠点のうちである。DE 101 375 65 A1は、閉鎖型カセットを使用した、呼気凝縮液のパラメータの測定に関するものであり、該閉鎖型カセットにおいては、収納容器内に、又は交換可能なカートリッジ内に、複数のセンサや、サンプルの導電率を変える目的で、緩衝液、キャリブレーション液、或いは希釈液が収納されている。測定、センサ調整又はセンサキャリブレーションの為に、収納コンテナに作用し、前記カセットの一部ではない、特殊装置の助けを借りて、前記溶液を収納コンテナからセンサに分配する。サンプル液、即ち凝縮液は、測定前、センサに分配される前には、サンプル収納器或いはサンプル採取装置からカセット内に吸い込まれ、或いは、該カセット内に注入され、希釈の為、及び/又はイオン濃度及び/又は導電率を変える為に、カセット内に又はカセット外に収納された物質又は溶液と混合される。測定後は、カセットは捨てる。この文献の1つの欠点としては、別の装置で適量のサンプルを採取するのに、採取後、まだ必要に応じて該サンプルを希釈しなければならないという、専門技術的なサンプル採取装置という点に関して際立った複雑さが有ることである。その他の欠点としては、サンプルの分析操作前に、カセットの前処理操作が必要とされる専門技術的な装置という意味における際立った複雑さと共に、カセット自体の材料費が高く、製造コストが高いこと挙げられる。これらの欠点は、被験者が何時でも分析装置を携帯することが出来、素早く、かつ連続して診断テストを行うことが出来るという利点に対峙する形で検討する必要がある。
【0003】
気相中に存在する有機物質を測定する他の方法が、EP 0634 488A2に記載されており、これには、気相中で測定する物質と反応するエンザイムを含有する水分吸収層が貼られた、電極が印刷された薄いフィルム基板からなるバイオセンサが開示されている。分析に際してバイオセンサを使用した場合、分析する気相中にセンサを導入すると、サンプル採集の開始点が吸収により決まってしまい、吸収率は、第1にセンサの起動状態により、第2にガス中の環境(水分及びセンサ表面上に新たに現れる流動状態等)に応じて変動してしまう欠点がある。この為、周囲状況を適宜複雑に制御し、及び/又はこれを監視して、測定の開始をはっきりさせる必要があり、これにより、気相からサンプルの吸収が未だ完了しない内に生成される人工産物の為に測定が不正確になってしまうのを防止することが出来る。この方法は、例えば呼気中に起こる、互いに異質成分からなるガス流内で、物質の濃度を測定する際には不向きである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、呼気凝縮液に基づいて、また、実際の測定値を確実に生むセンサを使用して、呼気中の物質を測定する方法を提供することである。また、本発明の目的は、被験者に負担のかからない安価な装置を開発することであり、また選択的には、呼気凝縮液中に存在し、呼吸器の生理的な経過に関連する物質の濃度を測定することにより、物質を実際分析することが出来、最も素早く、かつ連続して診断テストを確実に行い、呼吸器の病気や、呼吸器の生理的な経過を監視することが出来る可動装置としても使用可能であることである。
【0005】
本発明の目的は、方法クレーム1及び装置クレーム10の特徴により達成することが出来る。方法及び装置に関する効果的な実施例は、従属クレームに記載されている。
【0006】
呼気中の物質を、呼気凝縮液に基づいて測定する本発明の方法においては、電気化学センサ及び/又はバイオセンサを、電源装置及び電子測定制御分析装置と組み合わせて使用する。呼気凝縮液を、センサに接続され、冷却された機能化凝縮表面上に析出させる。本発明によると、凝縮表面を、呼気凝縮液内の物質と相互作用、又は化学反応を起こす物質、及び/又は該凝縮液の組成を換えてしまう物質を使用して、機能化させる。冷却により形成された凝縮液の液滴が、凝縮表面の幾何学的な大きさに基づいて、重力、毛細管力、及び/又は表面効果によりセンサに到達する。これにより、前記物質及び/又は前記反応により生成された信号を、測定制御分析装置により測定することが出来る。凝縮表面を、機能化させた又は活性化させた有機ポリマ又はその混合物で被覆すると特に好ましい。また、これらは、ポリビニル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリウレタン、セルロース誘導体、及び/又はシリコンポリマ化合物の層から構成されていると好ましい。本発明における機能化した、又は活性化した凝縮表面とは、それらが呼気中の物質と相互作用を起こす、及び/又はこれにより化学反応を引き起こす物質を含有したポリマを有していることを意味している。例えば、ポリマが、呼気凝縮液中で溶解する塩化物である塩化カリウムや塩化ナトリウム等の無機塩を含有しており、このため、導電率に変化(増加)をもたらし、電気化学センサで測定することが出来る。ポリウレタンやポリウレタン混合物、セルロース誘導体及び/又はシリコンポリマ混合物でできたポリマ層を使用すると好ましい。
【0007】
ポリマを架橋する前に、塩又は他の添加物を、ポリマ懸濁液又はポリマ懸濁液の混合物に加えることにより、適宜に機能化した、又は活性化した有機ポリマを製造する。塩又は他の添加物は、ポリマの架橋により、ポリマ層の中に混ざるようになる。ポリマを機能化させる別の方法は、例えば、ポリマ中の、又はその表面上で検出すべきエンザイム又は物質等の、化学反応物を不動化することである。加えて、有る特定のポリマを使うことにより、また、化学的に、又は物理的に表面を処理することにより、これらポリマの湿潤特性に影響を及ぼすことが出来る。これは、液滴の大きさ、凝縮液の液滴の凝集力に関して効果があり、これと共に、サンプル採集の全工程に関して効果がある。
【0008】
凝縮表面の表面は、結果として生成される凝縮液の複数の液滴がますます大きくなって一体化するように設計されている。例えば、この比較的短時間の内に、液滴は、驚くほどに、ポリマ中に存在する物質を吸収しきってしまう。これにより、前述したように、例えば、凝縮液の導電率に影響を与えることが出来る。更に、測定する物質は、ポリマ層内で不動化したエンザイムと反応して、例えば、簡単に検知可能な反応物を形成させることも出来る。例えば、呼気凝縮液中に存在する乳酸塩が、乳酸塩オキシダーゼにより触媒作用を及ぼした反応内で反応して、電気化学的に簡単に検出可能なピルビン塩酸や過酸化水素を生成する。しかしながら、凝縮表面を機能化する別の方法としては、呼気中の凝縮液内の物質と相互作用又は化学反応を起こす物質を、該凝縮液に共有結合させることである。例えば、グルタルジアルデヒドの助けを借りて、機能化した重合表面に、直接エンザイムを結合させるか、又は、チオールを介して金表面に、又は、有機シリコン化合物を介してガラス又はセラミックに直接エンザイムを結合させる。
【0009】
呼気凝縮液を採取し、直ちに呼気中に存在する物質を測定する本発明の装置には、少なくとも1つのセンサ装置、少なくとも1つの冷却用ペルティエ素子、及び、キャリア又はホルダの形状を有するベースエレメント上に、適当な接触を有する形で配置された、該ペルティエ素子と冷却用凝縮表面間に設けられた少なくとも1つの熱伝導ブリッジが設けられている。センサ装置は、少なくとも機能化した、又は活性化した凝縮表面を有している。加えて、センサ装置は、少なくとも1つのセンサを有しており、凝縮表面(単数又は複数)とセンサ(単数又は複数)は、凝縮液がセンサに直接到達し得るように連結されている。電源装置及び電子測定制御分析装置に接続することが出来る電気化学センサ及び/又はバイオセンサを使用する。該装置は、臨床領域や研究領域において使用する一般的、標準的な装置であることに加えて、ポイントオブケア使用に適した携帯型装置としても使用出来る点において大きな利点がある。
【0010】
冷却した機能化表面の温度やその特性、その幾何学的寸法に応じたある特定の時間の後、採取した凝縮液は、冷却表面のすぐ近くにあるセンサに直接移動する。呼気凝縮液中に存在する成分を、対応する電子測定分析装置と組み合わせて、これらセンサにより測定することが出来る。呼気凝縮液のパラメータ、即ち、過酸化水素濃度、乳酸塩の濃度、又はアンモニウム濃度を、対応するセンサで測定することが可能である。
【0011】
他の好ましい実施例では、冷却表面の温度、凝縮液採取時点、及び凝縮液採取時間を、周囲温度と冷却表面の温度を測定する温度センサと組み合わせて、ペルティエ素子の助けにより、簡単に制御することが出来る。
【0012】
別の好ましい実施例では、凝縮表面を、複数の凝縮表面に細分化し、1以上のペルティエ素子と組み合わせて、細分化に対応する形で断熱することにより、カスケードや凝縮配列を制御することが出来る。機能化層を用いて、凝縮表面をデザインすることにより流体工学を確立することが出来る。即ち、狙い通りに、相互作用効果や化学工程が引き起こされる。後者は、例えば、凝縮液が狙い通りに、取り入れた物質を吸収することにより達成される。
【0013】
呼気凝縮液を採取し、分析する装置のセンサ装置は、ポリマ、金属材又はセラミック材、又はこれら材料の組み合わせに基づいて構成された、機能化凝縮表面、及び複数のセンサが配置された表面を有している。センサを保持している表面は、セラミックやプラスチック、特に熱可塑性物質により形成されていると好ましい。凝縮表面(単数又は複数)には、1以上のセンサを支持している要素が、ある一定の間隔をあけて結合して、センサ装置を形成しており、これにより所定量の凝縮液が形成されると、例えば、重力、毛細管力及び/又は表面効果により該凝縮液が直接それぞれのセンサに流動し、呼気凝縮液の成分を測定する。凝縮層の形状及び大きさは、カバーによって決まり、かつこれにより制限される。このカバーは、1以上のセンサ上の僅かな距離に、壁を更に設けることにより、1以上のセンサの表面に、毛細管力により充填することが出来る空間を形成するように設計することが出来る。センサ装置は、中にセンサ装置を挿入することが出来る、キャリア又はホルダとなる、ベースエレメント上に配置される。ベースエレメントは、対応する接触通路を有しており、好ましくは、センサ用、及びベースエレメントにも収容された少なくとも1つのペルティエ素子からの熱移動用に、ターミナル接触子を有している。また、ベースエレメントは、測定分析電源装置に接続させることが出来る。
【0014】
本発明による装置は、凝縮液をセンサに運び、及び/又はこれを助ける為に、本発明の装置の設計において、重力、毛細管力及び/又は表面効果を用いることが出来るばかりか、センサに適用するサンプル量を限定することができるという利点がある。本装置のターミナル接触子を好ましいものに選択することにより、センサ装置をすばやく、また、簡単に交換することが出来る。このため、それぞれ相違するセンサを有するセンサ装置は、各種の形態のものを使用することが可能であり、また、用途に応じたポリマ被覆のものを使用することが出来る。本装置の好ましい実施例では、センサ装置及びペルティエ素子を有するホルダを、被験者が身につけることが出来るホルダ(ヘッドセット)内に収納したことにより、凝縮液をすばやく、かつ連続して採取する合理的な方法を確実にしている。センサとしては、パラメータや測定対象物質の要求に応じて、個別のセンサや、電気化学的原理又は光学原理に基づいた使い捨てや再利用可能なセンサを組み合わせて、又はバイオセンサを使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実例:乳酸塩の測定
厚層技術おいて2電極構造が設けられたセラミック製の基板は、 乳酸オキシダーゼエンザイムにより機能化したヒドロキシエチルセルロース層で被覆された凝縮表面を有している。セラミック上の凝縮表面及び2電極構造は共に、ペルティエ素子、熱伝導ブリッジ及び電気バネ接触子が設けられたホルダ内に挿入されたセンサ装置を形成して おり、これは測定制御調整装置に接続されている。2電極構造の2つの電極間に、+450mVの電圧を印可する。乳酸塩オキシダーゼエンザイムによる触媒作用により、呼気凝縮液中に存在する乳酸塩が反応して副産物として生成された過酸化水素が、この電圧で電気化学的に酸化される。凝縮表面をまず最初に、室温から14°Cに冷却する。続いて、被験者は、ある一定の量の凝縮液が採取され、これが電極構造に到達するまで、息をセンサ装置の凝縮表面に吹きかける。乳酸塩濃度に応じて、センサ電流が急激に増加したり減少したりすることで、呼気凝縮液によりセンサ構造が湿気を帯びたのが明らかになる。電極構造が湿気を帯びてから30秒後、乳酸塩を含まない、比較用サンプルでは5nAの電流しか測定されないが、呼気凝縮液中の乳酸塩量50μmol/Lに対して12nAの電流が測定された(図5参照)。
【0016】
また、図1乃至図4には、好ましい実施例における装置を示したが、本発明は、これらの実施例に限定されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、被験者の口元前面に配置された本発明による装置を有するヘッドセット(1.1)を示す概略図である。本発明による装置は、ヘッドセット(1.2)の形状を有しており、中に挿入されたセンサユニット(1.3)、ペルティエ素子、及び熱伝導ブリッジを有している。ヘッドセット内に収容されたセンサ接触子、ペルティエ素子、及び/又は複数個のペルティエ素子は、適宜なライン(1.4)により、体に装着することが出来る測定制御装置及び電源装置(図示せず)に連結させることが可能である。
【図2】図2は、周囲との熱交換及び質量交換用に設けられた孔(2.4)を有するハウジング(2.1)に包囲されたヘッドセット(2.2)を示す図である。該ヘッドセットは、このホルダ内に挿入されたセンサ装置(2.3)、ペルティエ素子、及び熱伝導ブリッジを有している。
【図3】図3は、ハンドル片(3.1)及びカバー(ハッチング部分)を有するセンサ装置の概略図である。カバーには、切欠き(3.3)が設けられており、該切欠きから、均一の凝縮表面(3.2)及び、概略的に図示した個別バイオセンサ構造(3.5)の反応表面が露出している。バイオセンサは、電極構造、即ち、熱断熱層上に印刷された作用電極(3.4a)、対向電極/基準電極(3.4b)、放電構造(3.6)及び、接触構造(3.7)から構成されている。電極構造は、例えば、エンザイムポリマ層で被覆されている。
【図4】図4は、ペルティエ素子(4.1)、バイオセンサ構造用接触ブロック(4.3)、熱伝導ブリッジ(4.2)、及びセンサ素子用挿入溝(4.4)を有するホルダを示す概略図である。
【図5】図5は、例示実施例における呼気凝縮液における乳酸塩濃度の関数としての電流信号を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能化物質又は活性化物質として、凝縮液の導電率を変えることが可能な物質及び/又は分析すべき物質と化学的に反応する物質を使用して機能化させた、又は、活性化させた、少なくとも1の表面上で、呼気を冷却により凝縮させ、これにより生成された凝縮液の液滴を、前記表面の幾何学的配置及び寸法に基づいて、重力、毛細管力及び/又は表面効果により電気化学センサ及び/又はバイオセンサに直接送り、ここで生成された信号及び/又は発生した反応を、前記センサに接続された電源装置及び測定制御分析装置により検出すると共に、前記凝縮液の成分を測定することを特徴とした、呼気凝縮液を採取し、即時に該呼気凝縮液の成分を測定する方法。
【請求項2】
前記凝縮表面は、前記凝縮液及び/又は該凝縮液に含有されて、分析されるべき成分と相互作用及び/又は化学反応を起こす物質を使用して機能化又は活性化されたポリマ層から構成されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記機能化表面又は活性化表面は、好ましくは、ポリビニル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリウレタン、セルロース誘導体及び/又はシリコンポリマ化合物の混合物からなる有機又は無機ポリマ層から構成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
機能化するためにアルカリ塩及び/又はエンザイムを使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記凝縮表面はエンザイムの共有結合により機能化されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項6】
凝縮液の量を、時間及び/又は冷却温度の関数として制御することを特徴とする、請求項1乃至5項の内、何れか1項記載の方法。
【請求項7】
それぞれ同様に、及び/又はそれぞれ相違する形で機能化した多数の凝縮表面を使用し、前記凝縮液成分を、測定すべき物質の作用として、カスケードにより、又は、それぞれ類似する又はそれぞれ相違する複数のセンサにより測定することを特徴とする、請求項1乃至6の内何れか1項記載の方法。
【請求項8】
前記機能化凝縮表面及び/又は前記センサをそれぞれ相違する形で設けることにより、それぞれ相違する複数の物質を平行して測定することを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
凝縮液を採取する際、冷却温度、凝縮液採取時点、凝縮液採取時間を、周囲温度を測定することにより制御することを特徴とする、請求項1乃至8の内何れか1項記載の方法。
【請求項10】
センサ装置、少なくとも1つの冷却用ペルティエ素子及び、熱伝導接続ブリッジから構成される、キャリア又はホルダの形状を有するベースエレメントを有し、前記センサ装置は、凝縮液の導電率を変えることが出来る物質及び/又は分析対象の物質と化学的に反応を起こす物質を使って機能化又は活性化した少なくとも1の凝縮表面を有していると共に、該センサ装置は、少なくとも1の電気化学センサ及び/又はバイオセンサから構成されており、前記機能化した及び/又は活性化した凝縮表面と1以上のセンサとは、該凝縮表面の幾何学的配置及び寸法に基づいて、凝縮液が、重力、毛細管力、及び/又は表面効果により直接センサに流動し得るように接続されており、かつ、電源装置及び電子測定制御分析装置が設けられていることを特徴とする、呼気凝縮液を採取し、直ちにその成分を測定することが出来る装置。
【請求項11】
前記凝縮表面は、エンザイムの共有結合により機能化されていることを特徴とする、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記凝縮表面を、前記呼気中の分析対象成分と相互作用及び/又は化学反応を起こす物質で機能化又は活性化された有機及び/又は無機ポリマで被覆したことを特徴とする、請求項11記載の装置。
【請求項13】
周囲温度を測定する温度センサを有して構成された、請求項10乃至12の内何れか1項記載の装置。
【請求項14】
熱伝導ブリッジを介して1以上のペルティエ素子と接続している数個の凝縮表面と、前記各センサとは、これらが互いに絶縁されるように配置される形で存在し、前記凝縮表面は、互いに同様に機能化され、及び/又は互いに相違する形で機能化されており、前記センサは互いに同様のセンサ及び/又は互いに相違するセンサであることを特徴とする、請求項10乃至13記載の内、何れか1項記載の装置。
【請求項15】
前記機能化した凝縮表面は、ポリマ、セラミックス、金属又はこれら材料を組み合わせたものに基づいて構成されていることを特徴とする、請求項10乃至14記載の内、何れか1項記載の装置。
【請求項16】
前記凝縮表面は、ポリマ、好ましくは、ポリビニルポリマ、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリウレタン、セルロース誘導体、及び/又はシリコンポリマ化合物及び/又は、アルカリ塩及び/又はエンザイムで機能化したポリマ混合物で被覆されていることを特徴とする、請求項10乃至15記載の内、何れか1項記載の装置。
【請求項17】
ポリマ被覆をアルカリクロライドで機能化したことを特徴とする、請求項16記載の装置。
【請求項18】
ポリマ被覆をエンザイムで機能化したことを特徴とする、請求項17記載の装置。
【請求項19】
ポリマ被覆を無機塩で機能化したことを特徴とする、請求項17記載の装置。
【請求項20】
エンザイムを前記凝縮表面に共有結合することにより、前記凝縮表面の機能化を達成させることを特徴とする、請求項10乃至19の内何れか1項記載の装置。
【請求項21】
前記センサを支持する表面は、セラミック又はプラスチック、好ましくは、熱可塑性物質により形成させていることを特徴とする、請求項10乃至20記載の内、何れか1項記載の装置。
【請求項22】
前記各凝縮表面は、明確な幾何学的な大きさを有していることを特徴とする、請求項10乃至21記載の内、何れか1項記載の装置。
【請求項23】
前記センサにはカバーが設けられており、該カバーには空隙が形成され、該空隙を介して前記凝縮液が毛細管力によりセンサに流動するように構成されていることを特徴とする、請求項10乃至22記載の内、何れか1項記載の装置。
【請求項24】
前記センサ装置、ペルティエ素子及び熱伝導接続ブリッジを有するベースエレメントは、溝又は格子を備えたハウジング内に設けられていることを特徴とする、請求項10乃至23記載の内、何れか1項記載の装置。
【請求項25】
ヘッドセットを設けると共に、該ヘッドセットは前記凝縮表面を、被験者の口の前面に直接配置することができるように設計されたことを特徴とする請求項10乃至24記載の内、何れか1項記載の装置。
【請求項26】
携帯型電源装置及び分析装置に接続したことを特徴とする、請求項10乃至25記載の内、何れか1項記載の装置。
【請求項27】
呼気から得た凝縮液を析出させ、基本的に公知の電気化学分析装置を使用して直ちに、該凝縮液の成分を直接測定するための、機能化した、又は活性化した複数の凝縮表面の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−538816(P2008−538816A)
【公表日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508168(P2008−508168)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004227
【国際公開番号】WO2006/114335
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(506094563)ウニベルジテート ポツダム (4)
【Fターム(参考)】