説明

呼気分析システム

【課題】非常に正確で、唇又は口を接触させる必要が無く、目立たず、小さな専用の手持ち式ユニット、又は携帯電話器、iPod(登録商標)、PDA、GPSユニット、警棒、方向指示器、及びこの他全ての手持ち式装置の様な手持ち式製品に組み込むことのできる、呼気分析システムを提供すること。
【解決手段】呼気分析システムは、吐き出された呼気の圧力及び/又は乱流を安定化させながら周囲の空気をパージすることのできる、2つの入口を有する点灯表示付呼気採集管を含んでいる。採集管の何れかの端部の円形の点灯表示は、視覚的に適切な使用を促し、試験結果を報告する役目を果たす。採集管は、ハンドピースの幅又は長さに沿って、ハンドピースに寸法又は嵩を追加すること無く配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には、呼気アルコール測定装置及びその他の呼気測定装置に関しており、携帯型手持ち式装置の形状因子を利用した呼気採集及び測定用の新しい方法と新しい装置を開示し、或る実施形態では、携帯式の2つの入口を有するセルフ・パージ気流安定式点灯表示付呼気採集管を備えている呼気分析システムを提供している。
【背景技術】
【0002】
呼気採集と呼気分析は、例えば、酔っぱらい運転及びその他の酔っている人が呈する不適切な挙動に対抗して戦う際には、非常に重要な道具である。呼気を効率的なやり方で試験する能力は、過剰なアルコールの使用を削減するのに最優先のものである。最も効率的であるためには、呼気アルコール測定装置は、携帯式で、入手性に優れ、正確で、衛生的で、使用及び保管に際しあまり目立たないものでなければならない。
【0003】
最新式の呼気アルコール測定装置は、2つの範疇に分けられ、その第1は「開流式」で、唇又は口が接触することなく呼気が呼気試験ユニットに吹き込まれるものであり、その第2は「閉流式」で、使用者の口又は唇が呼気試験ユニットに接続されているストロー又はマウスピースに接触するものである。
【0004】
一方で、開流式装置の利点は、後続の使用者がマウスピースを洗浄するか交換するかのジレンマに直面することのないことである。しかしながら、代表的な開流式装置では、センサーが保護グリルの後方に配置されており、センサーは周囲の空気に曝されたままで、センサーは体積の変動する乱流の呼気を受けることになる。不都合なことに、これらの代表的な開流式装置は、センサーで呼気のアルコールを分析する前に、呼気の気流を巧く安定化させることはできない。センサーが体積の変動する呼気に曝されている場合は、センサーの細かな較正を行うことはできず、従って測定精度も悪くなる。
【0005】
一方、閉流式装置は、通常、呼気の流れを安定させ及び/又は監視するために、ストロー又は長いマウスピースを使用しており、例えば装置の衛生状態を保つために、使い捨てのマウスピース又はマウスピースに被せる使い捨ての保護カバーを有している。Lifeloc Technologies 社から市販されている閉流式装置は、取り外し可能なストローを有しており、予備的な検診スクリーニングに関する専門家の法の執行によって使用される。閉流式装置は、センサーで試験する前に呼気を安定化し監視することができるので、通常は開流式装置よりも遙かに精度が優れている。不都合なことに、閉流式装置は、常に洗浄又は部品の交換を必要とするので、実用性の面で劣っている。
【0006】
当技術で既知の他の呼気採集装置は、呼気採集オリフィスが1つしか無く、周囲の空気及び/又は古い呼気をパージする効率的な手段となり得ていない。本発明は、唇又は口を管に接触させること無く呼気を吹き込むための独特なセルフ・パージ呼気採集管を備えた様々な実施形態を開示することによって関係する技術から出立する。様々な実施形態は、更に、2つの入口を有する採集管を備えており、使用者が便利に採集管のどちらの端部にでも呼気を吹き込めるようになっている。開示している採集管には2つの入口が設けられているので、このユニットは、使用者が管の一方の端部に呼気を吹き込めば、周囲の空気及び/又は古い呼気が押し出されてセルフ・パージが容易にできるようになっている。
【0007】
開示している呼気分析システムは、開流方式で使用しても、呼気が、呼気採集管を通って流れる際に内部センサーに達する前に安定化するので、結果的に非常に正確な測定値が得られる。
【0008】
開示している呼気分析システムは、手持ち式装置の長さ又は幅に沿って装着することができ、大部分の手持ち式装置に見られる既存の形状因子を利用することができる。例えば、開示している呼気分析法及び装置は、専用の手持ち式アルコール検出装置に、又は例えば、携帯電話(例えば、セルフォン)、音楽演奏器(例えば、iPod(登録商標))、携帯情報端末(PDA)、全地球位置発見システム(GPS)ユニット、車のキーホルダ、警棒、懐中電灯、及び他の携帯機器の様な無数の手持ち式装置に組み込むことができる。開示している呼気採集管は、電話器の様な手持ち式装置の長さ又は幅に沿って配置して、より正確な呼気試験に必要なパージ機構と呼気安定化機構を、目立たないように追加することができる。
【0009】
Brookeによって発行された米国特許出願第20050053523号は、組み合わせ式アルコール試験機/セルフォン・ユニットを示しているが、ユニットのセンサーに達する吐き出された呼気の流れを安定化させ又は監視する手段を提供できていない。Brookeの出願は、周囲の空気と古い呼気をユニットの呼気試験部分からパージする方法を教示してもいない。
【0010】
Brookeの出願は、グリルの後のアルコールセンサーを示しているに過ぎない。Brookeのセンサーは、変動する呼気の圧力と周囲の空気、及び/又は前の使用者からの古い呼気に曝されるので、その様な設計は不正確な試験に繋がる。
【0011】
Murnickによる特許第5,361,772号は、周囲の空気を呼気採集装置からパージする利点について議論し、1つの入口と1回使用の呼気採集管を開示している。Murnickの呼気採集管は、2つの開いた端部を有しており、使用者が管の一方の指定された端部に息を吐き出すと、空気がパージされて、周囲の空気が管の反対側の端部から押し出されるようになっている。不都合なことに、Murnickの採集管は、吐出された呼気の流れを捕捉するだけで、使用者の呼気を分析するには、別の試験機械を使用する必要がある。Murnickの採集管は、呼気の試料を密封しているに過ぎず、各呼気の試料を捕捉して保管するには別の採集管が必要なので、現場で使用するのには適していない。
【0012】
Wolfによる米国特許第4、744,953号は、呼気の流れを監視するための笛として働くマウスピースを備えた携帯式呼気アルコール検出器を開示している。Wolfの笛を使えば、使用者は、笛の音を聴いて呼気入力を調整することができる。
【特許文献1】米国特許第5,361,772号明細書
【特許文献2】米国特許第4、744,953号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
Wolfの笛は閉流式装置であり、使用者は唇を管状のマウスピースに当てる必要があるので、装置の衛生の点で問題がある。Wolfの笛で作り出される音は、目立たない使用、騒音の高い環境下での使用、又は聴覚障害者の使用には問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、非常に正確で、唇又は口を接触させる必要が無く、目立たず、小さな専用の手持ち式ユニット、又は携帯電話器、iPod(登録商標)、PDA、GPSユニット、警棒、方向指示器、及びこの他全ての手持ち式装置の様な手持ち式製品に組み込むことのできる、呼気アルコール又は他の呼気含有物を検出するための方法と装置を提供することである。本発明は、周囲の空気及び古い呼気をパージし吐き出された呼気を安定化させるための新しい方法と新しい装置を開示することによって関係技術における幾つかの問題を解決する、再使用可能な手持ち式装置を提示する。開示する呼気採集管は、携帯電話器の様な手持ち式装置の長さ又は幅に沿わせて配置し、より正確な呼気試験に必要なパージ機構と呼気安定化機構を目立たせずに追加することができる。
【0015】
或る実施形態では、2つの入口を有するセルフ・パージ気流安定式点灯表示付の呼気採集法及び装置が、唇又は口を接触させる必要無しに正確なアルコールの検出を行う。関係技術は、定常的な空気の流れを作り出すためにマウスピースの使用を必要としている。マウスピースを使えば、使用する度に洗浄又は交換する必要があり、しばしばアルコールの消費が生じる集会の様な社会的環境内の一群の人々に使用するには役立たない。唇又は口を接触させる必要の無い関係技術では、使用者が直接センサー又はグリルの後ろに置かれたセンサーに息を吹き付けるだけで、センサーは量の変動する呼気を受けることになるので、正確な結果は得られない。
【0016】
或る実施形態では、ハンドピースの一端から他端に亘る、2つの入口を有する呼気採集管が組み込まれている。ハンドピースの本来の寸法を利用して、開示する2つの入口を有する呼気採集管は、ハンドピースに嵩又は寸法を追加すること無く使用される。
【0017】
2つの入口を有する呼気採集管は、両端が開いており、使用時には周囲の空気と古い呼気をパージして、周囲の空気と前の使用者の呼気が採集管から確実に排気されるようになっている。採集管は、吐出された呼気を安定化させ、内部センサーへ一定の呼気圧力及び量を供給し、呼気試料の試験が非常に精度良く正確に行えるようにしている。内部センサーは、呼気アルコールレベル、口臭、又は呼気内の他の成分を検出するのに使用することができる。
【0018】
呼気採集管の2つの入口を有する構造は、先行技術では知られておらず、複数の使用者に対するアルコールの検出を容易にしている。呼気分析システムは、1人の使用者から他の使用者へ、洗浄又はマウスピースの交換に必要な遅延を来すことなく手渡すことができる。後続の使用者は、前の使用者が使用したのとは反対側の採集管の端部に呼気を吐き出してもよいし、必要なら、前の使用者が使用したのと同じ側の採集管の端部に呼気を吐き出してもよい。採集管のどちら側の端部からでも吹き込むことができ、呼気分析システムは、通常の手渡し交換の後で回転させる必要が無いので、複数の使用者が迅速に使用することができる。
【0019】
或る実施形態では、呼気分析システムを手渡す新しい方法が提供されている。呼気分析システムは、回転させること無く後続の使用者に手渡される。従って、後続の使用者は、前の使用者が吹き込んでいない採集管の端部を渡される。呼気採集システムを手渡すこの新しい方法は、一群の人々の呼気試験を迅速に行えるようにしている。
【0020】
或る実施形態では、点灯表示源が組み込まれている。採集管のどちらかの側に点灯表示を行えば、使用者は、呼気分析システムに入る吐き出した呼気の流れと体積を視覚的に監視することができる。点灯表示は、即時視認支援具として機能し、使用者が選択した、又は製造業者が設定した性能基準に合うように使用者が自分の呼気の吐出を調節できるようにする。呼気試験の精度を上げたい使用者は、呼気分析システムを、もっと大量の吐き出された呼気を必要とするように調節することができ好都合である。当業者には理解頂けるように、呼気の量が増えるほど、肺胞の空気がより大量に作り出され、その結果、例えばアルコール酩酊度をより正確に測定できるようになる。
【0021】
開示する呼気分析システムは、単数又は複数のセンサーを、呼気採集管の中央に、又は採集管に接続されているセンサー風道管内に配置している。センサーを内部に配置することによって、Brookeの出願に開示されている様に単にグリルの後にセンサーを配置したことによる、関係技術における問題を解決することができる。
【0022】
開示する呼気分析システムは、Murnickの採集管では実現できない機能である、呼気含有物の即時現場測定という追加の利点を備えた、2つの入口を有する呼気採集及びパージ管を好適に組み込んでいる。Murnickの採集管とは異なり、開示する呼気分析システムは、採集管を使用して、空気をパージし、呼気試料を安定化させ、呼気含有物の正確且つ即時の分析を実現する。開示する呼気分析システムは、使用者から使用者へと手渡すことができ、唇又は口を接触させる必要がない。Murnickの採集管とは異なり、開示する呼気分析システムは、採集管を空にするための別の装置を必要とすること無く、即時の呼気分析を行うことができる。Murnickの採集管とは異なり、管は、どちら側の端部からでも呼気を吹き込むことができる。
【0023】
開示する呼気分析システムは、使用者が、唇又は口を接触させる必要無しに、目立たないやり方で呼気の流れを監視できるようにすることによって、Wolfの笛の欠点を克服している。開示する呼気分析システムの使用者は、呼気採集管の何れかの端部の周辺に配置された光を見る。光は、使用者に、適切な呼気圧力及び/又は量であるかを知らせ、試験結果を報告する。点灯表示機構は、使用者に視認目標も与える。Wolfの笛とは異なり、開示するシステムは、洗浄すること無く、暗い中でも、そして騒音の多い環境と静かな環境の両方で、使用することができる。
【0024】
本発明のこの他の目標は、当業者には、以下の記述と開示する図面に照らして明らかになるであろう。
【実施例】
【0025】
本発明の多くの例証的実施形態の1つに関する図を参照してゆくが、図1は、呼気採集管2を含んでいる、2つの入口を有するセルフ・パージ気流安定化呼気分析システム1の或る好適な実施形態を示している。採集管2の全長は、約5cmである。採集管2の2つの端部6は、共に呼気の入口に適している。従って、使用者は、採集管2の何れの端部6にでも、或る距離から、採集管に唇又は口を接触させること無く、図1の様に呼気を吹き込むことができ、周囲の空気及び/又は古い呼気は、反対側の端部からパージされることになる。
【0026】
図1は、センサー風道5を備えた感知装置4に接続されている、2つの入口を有する呼気採集管2を示している。センサー風道5の中には、センサー3が、呼気の含有物を分析するために配置されている。例えば、センサー3は、FIS社から市販されているアルコール検出用のモデル番号SB−EN2ガスセンサーでもよい。これは、二酸化錫半導体ガスセンサーである。或いは、センサー3は、追加的に又は代わりに、FIS社から市販されている、タバコの煙を検出するためのモデル番号SB−AQ4センサー、又は、FIS社から市販されているモデル番号SB−EN3の様な、口臭に伴うガスを試験するためのセンサーでもよい。FIS社のセンサーの全製品リストは、http://www.fisinc.co.jp/04_prod.htmで見ることができる。
【0027】
好適に、図1に示すように、領域15は直径が約1.5mmの空気の通路である。感知装置4のセンサー風道5の残りは、直径が約5mmである。センサー風道5の絞り領域15は、採集管2に接続する「ピンホール」風道と呼ばれる。
【0028】
吐き出された呼気は、採集管2を通って行く際に、取り付けられている感知装置4に到達する前に安定化される。センサー風道5の領域15は、センサー風道5の残りの部分よりも小さな断面を有している。接続されたセンサー風道5は、吐き出された呼気を、内部センサー3と接触する前に更に安定化させる。
【0029】
図1に示す本発明の実施形態の、様々な想定される修正例によれば、様々なセンサーを呼気採集管2及び/又は取り付けられているセンサー風道5の中に含ませてもよい。センサー3は、複数のセンサーと置き換えることもできる。
【0030】
取り付けられているセンサー風道5の内部には、呼気の圧力及び/又は呼気の温度を測定及び/又は変えるための手段が入っていてもよい。
或る実施形態によれば、採集管2の端部の周囲の点灯表示器は、図2に7で示す様に設けられている。採集管2の何れかの端部の点灯表示器7の領域は、図2に示す様に円形でもよいし、採集管の外周の回りに形成された他のどの様な形状でもよい。点灯表示器7のリングは、内部回路板に取り付けられ本当のLED電球を備えたプラスチックの半透明の部片を光導管でリング状にしただけのものでもよい。
【0031】
好都合に、採集管2の何れかの端部の点灯表示器のリング7は、吐き出した空気を採集管の端部6に向ける標的の役を果たす。試験前に、通常、使用者が採集管2の中に呼気を吹き込む前に、センサーを加熱して呼気分析システムを準備するためのカウントダウンがある。点灯表示器のリング7は、点滅、点灯又は消灯して、システムが異なるモードになり、試験開始の準備が整った時を表示してもよい。使用者は、何時吹き込みを開始し、どれだけ長く吹き込むかを知らせる点灯表示器7の視覚的督促に従うだけでよい。視覚的督促の合図は、スピーカーからの可聴ビープ/チャイム音と協調連結していてもよいし、図3に示す平板パネルディスプレイ9が、使用者を誘導してもよい。様々な考えられる実施形態によれば、点灯表示器7は、適切な呼気圧力、呼気量を表示し、試験結果を報告するために変動してもよい。その様な情報は、例えば、平板パネルディスプレイ9の様なハンドピース上の別の視認ディスプレイで送信してもよい。図3に示す視認ディスプレイパネル9は、色を使って試験結果に強調を追加してもよい。例えば、緑は、安全なレベルの呼気アルコールを示すのに使用され、赤は、危険な酩酊状態を警告するのに使用される。
【0032】
図4は、別の実施形態の呼気採集管11を示している。採集管11の2つの大きな端部12の内径は、約7mmである。採集管11の中央領域の内径は、約5mmである。
図4に示す先細の又は弓状の呼気採集管11は、センサー風道17を備えた感知装置13に取り付けられている。センサー風道17の採集管11に接続されている領域16は、センサー14が入っている下側部分よりも小さな断面になっている。
【0033】
呼気採集管2又は11は、丸くてもよいし、方形管の様な他の形状としてもよい。
本発明の様々な実施形態による装置と方法は、図3に8で示す様な専用の手持ち式装置に組み込んでもよいし、警棒、交通指揮棒、携帯電話器、iPod(登録商標)、携帯式音楽演奏器、携帯式ディクタフォン、コンピュータ、計算機、車のキーホルダ、カラオケのマイク、及び他の全ての有形物品の様な、無数の自己出力型手持ち式装置に組み込むこともできる。本発明による装置と方法は、どの様な手持ち式の消費者の装置に組み込んでもよい。
【0034】
本発明は、個々人及び一群の人々が、例えば、迅速に、目立たず、効率的なやり方でアルコール消費のレベルをチェックし、現在及び将来の行動に関する判断をタイムリーに下すことができる様にする。
【0035】
図2に示す点灯表示領域7は、呼気吐出の際の使用者の追従を調整する役を果たす。使用者は、点灯表示を見て、それに従って、試験の間、呼吸を最適なレベルに調整する。関連技術とは異なり、本発明の様々な実施形態による呼気分析システムは、使用者が、試験期間中に呼吸を調整できるようにし、使用者に、不適切な吐き出しによる試行の中断を要求することはない。この呼気分析システムは、点灯表示システムが現在の呼気圧力データを好適に連絡するので、使用者に、適切な吐き出し入力を推定するよう要求することはない。図2に示す点灯表示領域7は、呼気分析システムに準備が整ったことを表示する働きをするが、これは、図3に示す開始ボタン10を押してから、センサー3又は13が最適な試験温度に加熱されるまでの時間遅れがあるからである。
【0036】
本発明の様々な実施形態は、呼気を呼気採集管2又は11の何れの端部にでも吹き込めるようにする。従って、使用者は、システムを回転させて正しい入力オリフィスを見つけ出す負担無しに、呼気分析システムを手渡すことができる。
【0037】
呼気採集管2又は11の2つの入口という構造は、呼気を採集管のどちらの端部からでも吹き込めるので、固有の利点を提供している。採集管2又は11の使用者とは反対側の端部は、周囲の空気及び/又は古い呼気を採集管からパージできるようにしている。
【0038】
採集管2又は11の何れかの端部の点灯表示器7は、使用者に、試験の全ステージに亘って情報を提供する。点灯表示器の異なる色又は異なるパターンを使って、使用の準備が整ったこと、現在の吐き出し期間の残り時間、試験期間中に使用者に要求される吐き出しの調整、吐き出しの妥当性、及び試験結果が表示される。この様な情報は、呼気分析システムの外側の他の視認ディスプレイ上にも表示される。考えられる変形例によれば、この様な情報は、追加的又は代替的に、音声メッセージで使用者に知らせることもできる。
【0039】
呼気アルコール試験の際の呼気分析システムの好適な操作順序は、以下の通りである。
1)使用者は、電源ボタン10を押してシステムをオンにする。
2)可聴「ビープ音」と点灯表示器のリング7がオンになる。
3)システムは約10秒カウントダウンする。この間に、センサー3又は13が加熱される。
4)呼気試料に対するシステムの準備が整うと、点灯表示器のリング7が2回点滅し、可聴ビープ音が鳴り、LCDスクリーンが「blow(吹き込み)」を表示する。
5)使用者は、呼気採集管2又は11に吹き込みを開始する。
6)システムが、十分な肺の空気の試料を使用者が吹き込んだと判断すると、点灯表示器のリング7が3回点滅し、もう一度可聴ビープ音が鳴り、使用者に吹き込みを止めるように指示する。
7)使用者の呼気のアルコールレベルがLCDスクリーン9上に表示される。
8)使用者は、電源ボタン10を押してシステムをオフにしてもよいし、電源ボタン10を2度押して別の試験を開始してもよい。最初の試験の後、何の動作も行われなかった場合は、例えば20秒後、システムは自動的にオフになる。
9)システムが、十分な空気が吹き込まれなかったと判断した場合、点灯表示器のリング7は点滅せず、LCDスクリーン9は、「ERR(エラー)」を表示し、使用者は、電源ボタン10を押して、システムを一旦オフにした後、再度リセットしなければならない。
【0040】
呼気分析システムは、使用者が十分な肺の空気の試料を吹き込まなかった場合に光導管を通して送られる赤色光と、試験が適切に行われた場合の緑色光とを含む2つの別々のLED光を有していてもよいと考えられる。光は、更に、使用者のアルコールレベルが不安全なレベル、例えば0.08%を超えている、と判定された場合には、赤色が点滅してもよい。
【0041】
本発明の他の考えられる実施形態によれば、呼気分析システムは、呼気測定の精度と正確さを更に上げるために、吐き出し圧力と温度を測定する手段も含んでいる。コンピュータ制御ユニットに接続されているセンサーが、呼気採集管2又は11、及び/又は取り付けられているセンサー風道4又は13に配置され、空気の圧力、温度、及び試験期間中の合計空気体積を測定している。コンピュータ制御ユニットは、次に、弁又は加熱要素、又はシステム中に配置されている単数又は複数のセンサーによって試験される呼気を調節するための他の手段を作動させる。センサー3又は13は、アルコール含有量又は他の成分を測定する。
【0042】
以上、本発明を、特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、当業者には理解頂けるように、これらの実施形態には、本発明の原理と精神から逸脱すること無く、変更を加えることができる。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲の内容によってのみ規定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の或る実施形態による、2つの入口を有するセルフ・パージ気流安定化呼気採集管と、これに取り付けられている、センサーに至る風道とを示す正面断面図である。
【図2】図1に示す呼気採集管の外周に位置する点灯表示リングを示している。
【図3】呼気採集管、開始ボタン、及びユニット正面上の平坦な視認ディスプレイを含んでいる手持ち式ユニットの正面図である。
【図4】端部領域で大きな内径を有し中央領域で小さな内径を有している、弓形の採集管を示す正面断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気分析システムにおいて、
少なくとも第1端部と第2端部を有する呼気採集管であって、使用者は、前記第1端部の中へ、前記第1端部に唇又は口を接触させること無く呼気を吐き出し、前記第2端部から空気が吐き出されて前記システムをセルフ・パージするようになっている、吐き出された呼気を安定化させるための呼気採集管と、
センサー風道及び少なくとも1つのセンサーを備えている感知装置とを備えている、呼気分析システム。
【請求項2】
前記呼気採集管は、前記第1端部から、前記第1端部と前記第2端部の中間の位置まで先細になっている、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項3】
前記呼気採集管は、2つの入口を有する呼気採集管で、使用者は、前記第1端部又は前記第2端部の何れかの中に、前記第1端部又は前記第2端部に唇又は口を接触させること無く呼気を吐き出し、前記第2端部又は前記第1端部から空気が排気されるようになっている、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項4】
前記呼気採集管は、前記第1端部及び前記第2端部から、前記第1端部と前記第2端部の中間の位置まで先細になっている、請求項3に記載の呼気分析システム。
【請求項5】
前記感知装置は、前記呼気採集管の実質的に中央に配置されており、呼気は、前記採集管の中心位置で、呼気の含有物を測定することのできる単数又は複数のセンサーによって測定される、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項6】
前記呼気採集管の前記中央は、呼気を、呼気の含有物を測定することのできる単数又は複数のセンサーに導く前記センサー風道に接続されている、請求項5に記載の呼気分析システム。
【請求項7】
前記センサー風道は、前記呼気採集管に接続されているピンホールを形成する第1領域と、これに隣接する比較的大きな断面を有する残りの部分とを備えており、呼気は、前記ピンホールを通過し、次に前記センサー風道の残りの大きな部分を通過するようになっている、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項8】
呼気の温度が測定される、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項9】
呼気の体積が測定される、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項10】
呼気の温度は、前記センサーに到達する前に調節される、請求項8に記載の呼気分析システム。
【請求項11】
呼気の体積は、前記センサーに到達する前に調節される、請求項9に記載の呼気分析システム。
【請求項12】
使用者を支援するために、前記呼気採集管の前記第1端部に点灯表示器を更に備えている、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項13】
前記点灯表示器は、試験結果を報告する、請求項12に記載の呼気分析システム。
【請求項14】
使用者を支援するために、前記呼気採集管の前記第1及び第2端部に点灯表示器を更に備えている、請求項3に記載の呼気分析システム。
【請求項15】
前記点灯表示器は、試験結果を報告する、請求項14に記載の呼気分析システム。
【請求項16】
前記呼気採集管は、手持ち式装置の長さに沿って内部に配置されている、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項17】
前記呼気採集管は、手持ち式装置の幅に沿って内部に配置されている、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項18】
前記呼気採集管は、携帯電話器、GPSユニット、携帯式音楽演奏器、又は他の手持ち式装置の中に配置されている、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項19】
前記センサーは、アルコール酩酊度を測定することができる、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項20】
前記センサーは、呼気の含有物を測定することができる、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項21】
前記センサーは、不快な呼気の1つ又は複数の指標を測定することができる、請求項1に記載の呼気分析システム。
【請求項22】
呼気分析を実行するための方法において、
少なくとも第1端部と第2端部を有する呼気採集管を提供する段階と、
吐き出された呼気の特性を測定するためのセンサーと、
前記呼気採集管の前記第1端部の中に、唇又は口を前記第1端部に接触させること無く呼気を吐き出す段階と、
前記呼気採集管の前記第2端部から空気を排気して、周囲の空気又は古い呼気の少なくとも一方をパージする段階と、
前記呼気採集管内の吐き出された空気の流れを安定化させる段階と、
前記吐き出された空気の少なくとも一部を前記センサーに流す段階と、から成る方法。
【請求項23】
前記呼気採集管は、2つの入口を有する呼気採集管で、前記第1端部又は前記第2端部の何れかの中に、前記第1端部又は前記第2端部に唇又は口を接触させること無く呼気が吐き出され、前記第2端部又は前記第1端部から空気が排気されるようになっている、請求項22に記載の呼気分析法。
【請求項24】
前記センサーは、前記呼気採集管の中央部分に配置されている、請求項22に記載の呼気分析法。
【請求項25】
前記呼気採集管に接続され、前記センサーが入っているセンサー風道を有する感知装置を提供する段階を更に含んでいる、請求項22に記載の呼気分析法。
【請求項26】
前記センサー風道は、前記呼気採集管に接続されている端部が狭く、その反対側の端部に向かって幅広になっている、請求項25に記載の呼気分析法。
【請求項27】
前記呼気採集管の前記第1端部に点灯表示する段階を更に含んでいる、請求項22に記載の呼気分析法。
【請求項28】
呼気入力を報告するために前記点灯表示を調整する段階を更に含んでいる、請求項27に記載の呼気分析法。
【請求項29】
試験結果を報告するために前記点灯表示を調整する段階を更に含んでいる、請求項27に記載の呼気分析法。
【請求項30】
前記点灯表示は、試験期間中、呼気入力を報告する、請求項28に記載の呼気分析法。
【請求項31】
試験試料に要求される呼気の体積を調整する段階を更に含んでいる、請求項22に記載の呼気分析法。
【請求項32】
前記センサーに達する前記呼気の体積は調整される、請求項31に記載の呼気分析法。
【請求項33】
吐き出された呼気の温度を測定する段階を更に含んでいる、請求項22に記載の呼気分析法。
【請求項34】
吐き出された呼気の温度を調整する段階を更に含んでいる、請求項33に記載の呼気分析法。
【請求項35】
請求項3に記載の呼気分析システムが入っているハンドピースを取り扱う方法において、前の使用者は、前記ハンドピースを直接後続の使用者に、前記後続の使用者が、前記前の使用者が呼気を吹き込んでいない前記呼気採集管の端部を提示されるように、前記ハンドピースの向きを維持して手渡す、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−170156(P2008−170156A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−722(P2007−722)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【出願人】(506014181)ケイ・エイチ・エヌ・ソリューションズ・リミテッド・ライアビリティー・カンパニー (1)
【Fターム(参考)】