説明

咀嚼用医薬品および咀嚼用医薬品の製造方法

【課題】 一般家庭に長期間保存放置しても薬効成分の変質劣化等が生じなく優れた保存・貯蔵等の薬効安定性を有し、咀嚼により薬効成分が口内に徐々に放出され、口内に長時間滞留して患部に長時間接触し、特に、口内患部の消炎効能を有する咀嚼用医薬品を提供する。また、製造過程において、薬効成分の変質劣化が生じることなく、使用成分の互いの反応による成分変化が生じない常に安定した品質の咀嚼用医薬品の製造法を提供する。
【解決手段】 固形の弾性形態を有する樹脂成分と柔軟性を付与する軟化成分と薬効成分と賦形剤を含有し、薬効成分は、樹脂成分・柔軟性混合物の中に均一に分散して存在し、例えば、主として咽喉の疾患患部に直接に接触して炎症を消炎する消炎剤を含有する。薬効成分と賦形剤との混合粉末を調製した後、樹脂成分と軟化成分の混合物と混練する方法により、薬効成分が均一に分散された咀嚼用医薬品を製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品に関し、更に詳しくは、本発明は咀嚼により薬効成分が徐々に口内に放出される咀嚼用医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品においては、医薬品の使用方法の観点から分類して数種類の医薬品が知られている。例えば、薬効成分を経口投与により消化器を経て血管吸収させる経口投与型医薬品、薬効成分を筋肉注射により血管吸収させる注射型医薬品、点滴注射のように時間をかけて薬効成分を血管内に注入する点滴型医薬品、薬効成分を含有する錠剤を口内の粘膜に貼り付けて粘膜を介して血流内に薬効成分を吸収させる舌下型医薬品、疾患患部に薬効成分を直接に接触させて使用する直接接触型医薬品などが知られている。
【0003】
また、人体の咽喉に関係する医薬品として、効能の観点から分類して、咽喉の炎症を低減し治癒するための消炎等の効能を有する医薬品と、風邪症候群の予防のための咽喉の消毒作用を有する医薬品が知られている。
【0004】
特に、咽喉の炎症を低減し治癒するための消炎等の効能を有する医薬品においては、医薬品の使用方法の観点から分類して、前述の経口投与型医薬品、注射型医薬品、点滴型医薬品、直接接触型医薬品などが知られている。
口内の疾患患部に薬効成分を直接に接触させて使用する直接接触型医薬品としては、粘着液状またはクリーム状等の軟膏タイプ医薬品、うがい薬のような液体を口に含んで患部に接触させてから吐き出すうがいタイプ医薬品、のどスプレー薬などのような液状医薬品を口中に噴霧またはスプレーして患部に接触するスプレータイプ医薬品、及び、トローチ薬のような薬効成分を含有する塊状固形物を口の中で溶かしながら患部に接触させるトローチタイプ医薬品が公知である。
【0005】
咽喉の消炎等の効能を有するうがいタイプ医薬品やスプレータイプ医薬品としては、目的に対応した多種類の医薬品が知られている。例えば、特開2001−39844には、安全性が高く咽喉の炎症の消去改善に優れた効果を有するプロアントシアニジンを含有するうがい剤が開示されている。また、特開平8−3074には、抗炎症剤・血流促進剤・殺菌剤などの薬効成分を含有し、その薬効成分の口腔内滞留性を向上する効果を有するジェランガムを含有する口腔用液体組成物が開示されている。また、特開2002−255852には、消炎鎮痛剤・局所麻酔剤・増粘剤を含有する口内炎用スプレー剤が開示されている。また、特開2009−62285には、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムと殺菌剤として作用する塩化セチルピリジニウムとを含有し、その薬効成分の濃度、溶液のPH、添加する界面活性剤の種類、溶剤の種類、などの種々の成分要素を限定した口腔・咽喉疾患用液剤が提案されている。
【0006】
なお、ある一つの薬効成分は、医薬品における含有量、含有割合、又は、他の薬効成分との組合せ使用によって、主として消炎剤として作用し、又は、主として鎮痛剤として作用し、又は、主として殺菌作用として作用し、このように、その薬効成分の主な効能が異なって使用される医薬品が一般的である。例えば、アズレンスルホン酸ナトリウムは、抗炎症剤(特開平8−3074、特開2009−62285、特開平11−302196)、殺菌剤(特開2005−278428)、粘膜修復剤(特開2002−255852)として作用することが開示されている。また、塩化セチルピリジニウムは、殺菌剤(特開平8−3074、特開2005−278428)として作用することが開示されている。
ここで、消炎剤と抗炎症剤の語句の定義について説明する。厳密には、消炎剤は炎症を治し治癒することを目的として使用され、抗炎症剤は炎症の発生を抑制することを目的として使用される。特に、抗炎症剤という語句は、本来は、炎症の発生を抑制することを目的として使用されるものであるが、しかしながら、炎症を治し治癒することを目的として使用されることもあり、その記載されている全体の文脈により判断されるべきである。このように、消炎剤と抗炎症剤は同じ意味として使用される場合と、異なった意味として使用される場合があるので留意する必要がある。
【0007】
他方、風邪症候群の予防のための咽喉の消毒作用を有する医薬品としては、うがいタイプ医薬品やトローチタイプ医薬品が公知である。例えば、塩化セチルピリジニウムなどのような消毒剤を含有する多種類のうがいタイプ医薬品やトローチタイプ医薬品が知られている。
【0008】
近年、医薬品の使用方法の観点において、上記のような経口タイプ医薬品、注射タイプ医薬品、うがいタイプ医薬品、スプレータイプ医薬品、トローチタイプ医薬品の他に、チューインガムタイプ医薬品が提案されている。
チューインガムタイプ医薬品は、ガム基剤の中に薬効成分が含有されたものであり、そのチューインガムタイプ医薬品を繰り返して咀嚼することにより、薬効成分が唾液の中に含まれるとともに、その薬効成分が、口内の粘膜を介して体内に取り入れられたり、または、歯茎の粘膜を介して体内の血流に取り入れられた、また、薬効成分の一部が胃腸に流れてその胃腸から吸収されて体内に取り入れられたり、また、口腔内の知覚・臭覚・嗅覚等の神経に作用を及ぼすことにより、効能を発揮するものである。
【0009】
このようなチューインガムタイプ医薬品としては、ニコチン成分含有チューインガムが公知である。ニコチン成分含有チューインガムは、煙草の喫煙によるニコチン依存症にある人が突然禁煙したときに発生するイライラ感・集中力低下・意気消沈、体重増加等の禁断症状を緩和する効能を有する。ニコチン成分を含有するチューインガムの用法は、例えば、1回1個をゆっくりと間を置きながら噛む状態と歯茎に貼付けた状態を繰り返して、30分間から60分間かけて咀嚼するという方法であり、このニコチン成分含有チューインガムを口中で噛み、さらに歯茎に貼り付けることにより、口内の粘膜を通じて、すなわち、経皮吸収により体内または血流にニコチン成分を取り込み、上記の禁断症状を緩和する効能を奏するものである。
例えば、ニコチンを含有するチューインガムとして、特表2002−539236には、ニコチン成分を含んでなる薬用チューインガムの組成物およびその錠剤を得るための製造方法が開示されている。ガム基剤に分散したニコチン成分等の活性因子を有し、そして、水溶性成分及び非水溶性成分から成る混合物によってコーティングされた薬用チューインガム組成物、及び、更に香味料・甘味料・脱水剤・PH安定剤・封入剤などの添加物を含有する薬用チューインガム組成物が開示されている。また、上記の薬用チューインガム組成物を製造する製造方法として、完全な溶液が得られるまで不溶性成分(硬化性ヒマシ油など)を加熱し、可溶性成分(炭水化物又は他価アルコールなど)と活性因子(ニコチン成分)とを混合し、その活性因子を含む混合物を不溶性成分の溶液に注ぎ、このように得られた混合物を冷却し、そして、ガム基剤と添加物とを混合し、そして、室温を超えない温度で圧縮することにより、薬用チューインガム組成物を製造する製造方法が開示されている。このようなチューインガム錠剤は禁煙のための処置において使用されることも開示されている。
【0010】
また、薬効成分を含有するチューインガムとして、例えば、特開2005−278428には、口の内、喉を消毒、殺菌する作用を有する薬効成分を含有するチューインガムが提案されている。その口の内、喉を消毒、殺菌する作用を有する薬効成分としては、ポピドンヨード、アズレンスルホン酸ナトリウム、塩化デカリニウム、臭化ドミファン、グルコン酸クロルヘキシジン、サリチル酸メチル、塩化セチルピリジニウムなどが選択的に含有されることが開示されている。そして、その作用効果として、このチューインガムを噛むことによって、日常的に口の中、喉を消毒、殺菌することができ、また唾液の分泌が促されて口腔内が常に潤い、乾燥が防止されて風邪症候群に感染する恐れを低減することができるという作用メカニズムが記載されている。
【0011】
他方、慣用技術、周知技術として、菓子の一種である種々のチューインガムおよびその製造方法が知られている。例えば、特開平5−199842には、チューインガム製造用原料に、少なくとも1種類以上の薬草を添加して混合し、この混合物を成形するチューインガムの製造方法が開示されている。すなわち、ガムベース・粉糖・グルコース・水飴等をミキサーに投入して混合し、その混合物に、ローズピンクの花・ラベンダーの花・ペパーミントの葉などの所定の大きさ形状の薬草を投入して均一に混合し、その後、得られた混合物を押し出し成形ノズルを通し、圧延ロールで圧延した後、所定形状の板状のチューインガムを製造する製造方法が開示されている。
また、特開昭54−101469には、種々のガム成分を含むガムベース、エステルガム、人口甘味料などから構成された風味保持性チューインガムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】 特開2001−39844号公報
【特許文献2】 特開平8−3074号公報
【特許文献3】 特開2002−255852号公報
【特許文献4】 特開平5−199842号公報
【特許文献5】 特表2002−539236号公報
【特許文献6】 特開2005−278428号公報
【特許文献7】 特開2009−62285号公報
【特許文献8】 特開平11−302196号公報
【特許文献9】 特開昭54−101469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
時間をかけて薬効成分を体内に取り入れる医薬品としては、前述の時間をかけて薬効成分を血管内に注入する点滴型医薬品と、薬効成分を含有する錠剤を口内の粘膜に貼り付けて粘膜を介して血流内に薬効成分を吸収させる前述の舌下型医薬品がある。
この点滴型医薬品は、幅広い病気や疾患の治療において使用され、例えば、30分から数時間を要して薬効成分を点滴により血管内に徐々に点滴注入して使用され、この点滴型医薬品の使用時には点滴針を血管に刺し続けておく必要があり、また、この間の患者の身体の動作の自由度が制約される。
また、舌下型医薬品も、幅広い病気や疾患の治療において使用され、例えば、10分から60分を要して薬効成分を含む錠剤を舌下に保持して粘膜を介して血管内に徐々に吸収させて使用され、この舌下型医薬品の使用時には舌により錠剤を押さえ込む状態を維持し続ける必要があり、また、この間の患者の口の動きの自由度が制約される。
【0014】
医薬品が口内に滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に接触することにより効能を発揮する医薬品において、前記うがいタイプ医薬品の用法は、例えば、1日4回から5回、薬効成分を含有するうがい液を水で所定の濃度に希釈して口内に含んで、咽喉の患部に数秒間接触させてから吐き出す方法である。また、前記スプレータイプ医薬品の用法は、例えば、1日4回から5回、薬効成分を含有するスプレー液を直接に口中にスプレー噴霧して、のどの患部に接触させる方法である。このようなうがいタイプ医薬品又はスプレータイプ医薬品においては、薬効成分が咽喉の患部に接触している時間は約1分間から3分間程度であって、その後は、薬効成分は唾液などとともに胃腸に流れ去ることになり、口内の滞留時間が短いという性質がある。薬効成分が口内により長く滞在して、咽喉の患部にさらに長時間接触する医薬品が望まれている。
【0015】
前記トローチタイプ医薬品の用法は、例えば、1日4回から5回、1個ずつを噛まずに口内でゆっくり溶解して薬効成分を咽喉の患部に接触させる方法である。この場合、口内で1個のトローチが溶解するまでに要する時間は約3分間から約7分間程度であり、すなわち、薬効成分が咽喉の患部に接触している時間は長くとも約10分間程度までであって、その後は、薬効成分は唾液などとともに胃腸に流れ去ることになる。すなわち、薬効成分が咽喉の患部に接触している時間が短く、そのために、充分な効能を発揮できない場合がある。また、薬効成分が咽喉の患部に接触している時間を長くするために、薬効成分濃度が同じで1個のトローチの量を多くした場合、服用する薬効成分の総量が多くなるため身体に悪影響を与える副作用が生じる恐れがあり、望ましくない。また、服用する薬効成分の総量を同じにするために、薬効成分濃度を少なくして1個のトローチの量を多くした場合、患部に接触する薬効成分濃度が少なくなり、その結果、効能が劣る傾向があり、望ましくない。
【0016】
うがいタイプ医薬品やスプレータイプ医薬品のような、溶剤の中に複数種類の薬効成分を溶解して含有する液状状態の医薬品においては、温度や湿度の影響により混濁や析出物が発生し、そのために薬効成分の含有量が変化したり、また、経年放置における温度、湿度、光等より、薬効成分が劣化・変質し、そのために薬効効能が低下する傾向がある。例えば、消炎剤として作用するアズレンスルホン酸ナトリウムと殺菌剤として作用する塩化セチルピリジニウムとの複数種類の薬効成分を含有するうがい薬やスプレー薬のような、溶剤の中に複数種類の薬効成分を溶解して含有する液状状態の医薬品においては、保管中に、温度、湿度、光による経年劣化、変質が生じやすい傾向があるために、使用期限が限定される。
【0017】
前記ニコチン成分を含有するチューインガム医薬品は、前述したように、このチューインガムを口内で噛み、さらに歯茎に貼り付けることの繰り返しにより、口内の粘膜を通してニコチン成分が体内や血流内に吸収され、これにより、効能が発揮されるという作用を奏するものである。すなわち、このニコチン含有チューインガムは、前記トローチタイプ医薬品のように、薬効成分が患部に直接に接触することにより効能・効果を発揮するものではない。
【0018】
また、前述の特開2005−278428のように、風邪症候群の予防のための咽喉の消毒・殺菌作用を有するチューインガムが提案されているが、しかしながら、この特開2005−278428に提案されているチューインガムは咽喉の消毒・殺菌作用により課風邪症候群予防することを目的とするものであり、さらに、このチューインガムを噛むことによって、日常的に口の中、喉を消毒、殺菌することができ、また唾液の分泌が促されて口腔内が常に潤い、乾燥が防止されて風邪症候群に感染する恐れを低減することができるという作用効果が記載されているだけである。すなわち、咽喉の炎症による咽喉の消炎等の効能・効果を発揮する作用については全く記載なく示唆されていなく、消炎効能を目的としていない。
【0019】
他方、医薬品の製造方法において、一般に、薬効成分は、熱・湿度・酸素の影響を受けて劣化して、薬効成分の効能・効果を低減し、また、副作用を起こす成分に変化しやすい性質があるため、その薬効成分を劣化させることがない製造方法が望まれる。例えば、特開平11−302196に開示されているように、消炎剤として使用されるアズレンスルホン酸ナトリウムは、酸素、水分、光、熱等で分解しやすく不安定な物質であるために、通常の製剤では長期保存が困難であり、その対応策が要求されている。さらに、製造過程中に、使用した薬効成分、ゴム基剤、及びその他の成分などの複数種類の成分が互いに反応しあって、副作用を起こす成分に変化しやすい傾向があるため、それぞれの成分を変化させることがない製造方法が望まれる。
【0020】
本発明は上記課題を解決するものであり、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵安定性を有し、咀嚼可能な弾性形態を有する咀嚼用医薬品であって、咀嚼により、柔軟性を発揮し、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、さらに、薬効成分が咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する機能を有する咀嚼用医薬品を提供することを目的とする。特に、これらの作用効果を有する咽喉の主として消炎効能と殺菌効能の少なくともひとつを有する咀嚼用医薬品を提供することを目的とする。
さらに、製造過程において、熱などの影響により、薬効成分の劣化が生じることなく、さらに、使用成分の互いの反応により成分変化が生じることのない、製造上において常に安定した品質の医薬品を製造できる咀嚼用医薬品の製造方法を提供することを目的とする。特に、これらの作用効果を有する咽喉の消炎効能および/または殺菌効能を奏する咀嚼用医薬品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の咀嚼用医薬品は、少なくとも、樹脂成分と軟化成分と薬効成分とを含有し、前記樹脂成分と前記軟化成分は互いに混合された形態で存在し、前記薬効成分は前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物に覆われた形態で存在し、前記樹脂成分と前記軟化成分のそれぞれの成分は、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な性質を有するとともに、前記薬効成分と化学的に反応して前記薬効成分を変質させない性質を有し、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物は、咀嚼可能な弾性形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮するとともに、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、前記薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する機能を有することを特徴とする。
【0022】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分は常温保存状態において互いに均一に混合された咀嚼可能な固形形態を有し、前記薬効成分は常温保存状態において前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物の中に均一に分散して存在し、前記樹脂成分は常温保存状態において固形の弾性形態を有し、前記軟化成分は常温保存状態において前記樹脂成分の有する固形の弾性形態に柔軟性を付与する機能を有するとともに、咀嚼時において、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能を有し、前記樹脂成分と前記軟化成分は常温保存状態において前記薬効成分を均一に分散含有保持して前記薬効成分を空気中の酸素と湿度から遮断して薬効成分の変質劣化を防止する機能を有するとともに、咀嚼時において、ばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能を有し、咀嚼後において、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物は口外に吐き出される機能を有することを特徴とする。
【0023】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記樹脂成分は、熱可塑性樹脂、合成ゴム、エステルガム、ゴム含有樹脂、多糖類含有樹脂、エステル含有樹脂、精油含有樹脂、グアヤク樹脂、ダンマル樹脂、サンダラック樹脂、ロジン、マスチック、カウリガム、コーパル樹脂、シェラックおよびワックスからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、
前記軟化成分は、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステル、グリセリド類、脂肪酸グリセロール類、脂肪酸グリコール類、グリセロールエステル類、レシチンおよび水からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、前記熱可塑性樹脂は、酢酸ビニル樹脂、ポリビニールアルコール、ポリエチレンのうちの少なくともひとつであり、前記合成ゴムは、ポリイソブチレン、ポリブテン、ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリイソプレンのうちの少なくともひとつであり、前記ゴム含有樹脂は、チクル、ニスペロ、クラウンガム、チクブル、ベミズエラチクル、マツサランドバチュコレート、マツサランドババラタ、グッタカチュウ、グッタハンカン、グッタペルカ、パラタ、ロジデインハ、ジェルトン、ソルバ、ペリージョ、ソルビンハ、グアユーレ、レッチェデバカ、ツヌー、ニガークグッタ、チルテ、ゴム、低分子ゴム、ゴム分解樹脂のうちの少なくともひとつであり、多糖類含有樹脂は、ニュウコウ、ミルラ、ナポパナックス樹脂のうちの少なくともひとつであり、前記エステル含有樹脂は、コパイババルサムとベンゾインガムのうちの少なくともひとつであり、
前記精油含有樹脂は、エレミ樹脂とファーバルサムのうちの少なくともひとつであり、前記ワックスは、オウリキュウリワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ケーンワックス、カンデリラワックス、ホホバワックス、モクロウ、ヒマワリロウ、ゲイロウ、ラノリン、ビースワックス、シェラックロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、モンタンワックスのうちの少なくともひとつであり、前記樹脂成分と前記軟化成分は互いに均一に混合されて存在することが可能であることを特徴とする。
【0024】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記軟化成分は、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステル、グリセリド類、脂肪酸グリセロール類、脂肪酸グリコール類、グリセロールエステル類、レシチン、水からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、前記樹脂成分と前記軟化成分は互いに均一に混合されて存在することが可能であることを特徴とする。
【0025】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は約35℃から約37℃の温度において粉末状粒子形状を有し、前記薬効成分は50μm以下の粒子径の形態で、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物の中に均一に分散されて含有されていることを特徴とする。
【0026】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は約35℃から約37℃の温度において液体形状を有し、前記薬効成分は50μm以下の粒子径を有する無機粉末に担持された形態で、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物の中に均一に分散されて含有されて含有されていることを特徴とする。
【0027】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として、口内の炎症を消炎する消炎効能を有する消炎剤を含有し、前記消炎剤は、咀嚼により徐々に口内に放出されて、口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して消炎効能を発揮することを特徴とする。
【0028】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として口内の炎症を消炎する消炎効能を有する消炎剤と、主として口内を殺菌する作用を有する殺菌剤の双方の薬効成分を含有し、前記消炎剤は、咀嚼により徐々に口内に放出されて、口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して消炎効能を発揮する機能を有するとともに、前記殺菌剤は、咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して、口内を殺菌する殺菌効能を発揮する機能を有することを特徴とする。
【0029】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として、口内を殺菌する殺菌効能を有する殺菌剤を含有し、前記殺菌剤は、咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して、口内を殺菌する殺菌効能を発揮することを特徴とする。
【0030】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分としての前記消炎剤は、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸メチル、塩化リゾチウム、グリチルリチン酸ジカリウム、マレイン酸クロルフェニラミンからなる群から選ばれる少なくともひとつであることを特徴とする。
【0031】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分としての前記殺菌剤は、主として殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゾトリウム、塩酸クロルヘキシン、グルコン酸クロルヘキシジン、ポピドンヨード、ヨード化合物からなる群から選ばれる少なくともひとつであることを特徴とする。
【0032】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムの消炎剤を含有することを特徴とする。
【0033】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとの双方の消炎剤を含有することを特徴とする。
【0034】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとの双方の消炎剤と、主として殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウムの殺菌剤を含有することを特徴とする。
【0035】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%であり、前記樹脂成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、前記軟化成分の含有割合が10重量%から80重量%であることを特徴とする。
【0036】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、さらに、賦形剤を含有し、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分と前記賦形剤は互いに均一に混合された咀嚼可能な固形形態を有し、前記賦形剤は、甘味料、清涼剤、矯味剤、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤および香料からなる群から選ばれる少なくともひとつであり、前記賦形剤は含有された前記賦形剤の有する性能を発揮することを特徴とする。
【0037】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%であり、前記樹脂成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、前記軟化成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、前記賦形剤の含有割合が1重量%から80重量%であることを特徴とする。
【0038】
本発明の咀嚼用医薬品の製造方法は、上記したそれぞれの咀嚼用医薬品を製造するための咀嚼用医薬品の製造方法であって、(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分混合物を調製する工程と、(b)前記樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を調製する工程と、(c)前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用医薬品を得る工程と、からなり、前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化した状態であり、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態であるとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分と相溶可能な温度範囲で、前記樹脂成分と前記軟化成分を混練し、前記(b)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練し、前記(c)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型することを特徴とする。
【0039】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品の製造方法において、前記(c)工程において、前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型し、さらに、その後、所定の形状に成型された成型物の表面にコーティング剤を被覆して、咀嚼用医薬品を得る工程を有することを特徴とする。
【0040】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品の製造方法において、前記(b)工程において、粒子径が50μm以下の粉末状粒子形状を有する前記薬効成分を使用することを特徴とする。
【0041】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品の製造方法において、(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分混合物を調製する工程と、(d)薬効成分と賦形剤とを均一に混合して、薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程と、(e)前記樹脂成分・軟化成分混合物と前記薬効成分・賦形剤混合物を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分と前記賦形剤が均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程と、(f)前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用医薬品を得る工程と、からなり、前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化した状態であり、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態であるとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分と相溶可能な温度範囲で、前記樹脂成分と前記軟化成分を混練し、前記(d)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混合し、前記(e)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練し、前記(f)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型することを特徴とする。
【0042】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品の製造方法において、前記(d)工程は、前記薬効成分と前記賦形剤とを混合しながら、前記薬効成分を、粒子径が50μm以下の大きさに粉砕して、均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製し、その後、得られた前記薬効成分・賦形剤混合物と前記樹脂成分・軟化成分混合物とを均一に混練して、樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程を有し、これにより、前記賦形剤と粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して、前記薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記樹脂成分・軟化成分混合物に覆われるように含有させることを特徴とする。
【0043】
望ましくは、前記咀嚼用医薬品の製造方法において、前記賦形剤は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、前記(d)工程において、前記薬効成分を粒子径が50μm以下の大きさに粉砕するとともに、前記賦形剤も粒子径が50μm以下の大きさに粉砕し、これにより、粒子径が50μm以下の大きさの前記賦形剤と粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して、前記薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記樹脂成分・軟化成分混合物に覆われるように含有させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
本発明の咀嚼用医薬品は、本発明の咀嚼用医薬品は、少なくとも、樹脂成分と軟化成分と薬効成分とを含有し、前記樹脂成分と前記軟化成分は互いに混合された形態で存在し、前記薬効成分は前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物に覆われた形態で存在し、前記樹脂成分と前記軟化成分のそれぞれの成分は、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な性質を有するとともに、前記薬効成分と化学的に反応して前記薬効成分を変質させない性質を有し、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物は、咀嚼可能な弾性形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮するとともに、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、前記薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する機能を有することを特徴とする。
この構成により、次のような作用効果が得られる。
(A)咀嚼により、薬効成分が徐々に口内に放出されて、構成される薬効成分が有する効能を発揮できるとともに、その医薬品が咀嚼している間の長時間、口内に滞留して、薬効を発揮することが可能である。
(B)薬効成分が口内や胃腸の炎症患部に直接に接触して薬効を発揮する成分である場合、咀嚼を続けて、薬効成分が口内に徐々に放出されて、その後、胃腸に徐々に流れていくため、薬効成分が口内や胃腸に滞留している長時間、薬効成分を口内や胃腸の炎症患部に直接に接触させることができるために、炎症患部を治癒する作用効果が向上する。
(C)薬効成分が口内や胃腸の炎症患部に直接に接触して薬効を発揮する作用と、胃腸の粘膜を介して血流の中に取り込まれることにより薬効を発揮する作用との双方の作用を有する成分である場合、口内や胃腸の炎症患部に直接に接触して薬効を発揮するとともに、胃腸に流れた薬効成分は胃腸の粘膜を介して血流の中に吸収されて薬効を発揮する双方の薬効を発揮できるために、限られた薬効成分の含有量を最大限に利用して、薬効効能の利用効率を高めることが出来る。
(D)薬効成分が樹脂成分と軟化成分との混合物の中に覆われた形態で存在するために、薬効成分が空気中の酸素や水分、および、光などから遮断されて存在するために、酸素、水分、湿度、光、等による薬効成分の変質劣化が防止され、従って、薬効成分が一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有する咀嚼用医薬品が得られる。
【0045】
前記咀嚼用医薬品において、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分は、常温保存状態において、互いに均一に混合された咀嚼可能な固形形態を有し、前記薬効成分は常温保存状態において前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物の中に均一に分散して存在し、前記樹脂成分は常温保存状態において固形の弾性形態を有し、前記軟化成分は常温保存状態において前記樹脂成分の有する固形の弾性形態に柔軟性を付与する機能を有するとともに、咀嚼時において、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能を有し、前記樹脂成分と前記軟化成分は常温保存状態において前記薬効成分を均一に分散含有保持して前記薬効成分を空気中の酸素と湿度から遮断して薬効成分の変質劣化を防止する機能を有するとともに、咀嚼時において、ばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能を有し、咀嚼後において、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物は、口外に吐き出される機能を有する。
この構成において、前述の(A)、(B)、(C)、(D)の作用効果が得られると共に、特に、前述の(D)薬効成分が樹脂成分と軟化成分との混合物の中に覆われた形態で存在するために、薬効成分が空気中の酸素や水分、および、光などから遮断されて存在するために、酸素、水分、湿度、光、等による薬効成分の変質劣化が防止され、従って、薬効成分が一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有する咀嚼用医薬品が得られるという作用効果が著しく向上した医薬品が得られる。さらに、下記の作用効果が得られる。
(E)前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分が互いに均一に混合された咀嚼可能な固形形態を有する構成により、咀嚼時における噛み感触が向上し、また、咀嚼時に噛み感触の良い柔軟な弾性形態を連続的に維持する作用効果も向上した咀嚼用医薬品が得られる。
(F)薬効成分が樹脂成分と軟化成分との混合物の中に均一に分散して存在する構成により、咀嚼時に、薬効成分のすべての成分が短時間に口内に放出されることなく、噛む速度に比例して徐々に構内に放出されるために、前述の(A)の医薬品が咀嚼している間の長時間、口内に滞留して、薬効を発揮することが可能であるという効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られる。
(G)薬効成分が樹脂成分と軟化成分との混合物の中に均一に分散して存在する構成により、薬効成分の個々の粒子が樹脂成分・軟化成分混合物に覆われた状態となり、そのために、前述の(D)の薬効成分が空気中の酸素や水分、および、光などから遮断されて、酸素、水分、湿度、光、等による薬効成分の変質劣化が防止され、従って、薬効成分が一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有するという作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるという効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られる。
(H)特に、軟化成分が樹脂成分の有する固形の弾性形態に柔軟性を付与する機能を有し、咀嚼時にその柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能を有する構成により、前述の(E)の咀嚼時における噛み感触が向上し、咀嚼時に噛み感触の良い柔軟な弾性形態を連続的に維持する作用効果がさらに向上するという効果がさらに向上する。また、咀嚼した後においても、ばらばらの小塊状に分離することなくその柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持するために、咀嚼された後の軟化成分と樹脂成分との混合物を口内から口外に排出しやすくなる作用効果が得られる。
【0046】
前記咀嚼用医薬品において、前記樹脂成分は、熱可塑性樹脂、合成ゴム、エステルガム、ゴム含有樹脂、多糖類含有樹脂、エステル含有樹脂、精油含有樹脂、グアヤク樹脂、ダンマル樹脂、サンダラック樹脂、ロジン、マスチック、カウリガム、コーパル樹脂、シェラックおよびワックスからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、前記軟化成分は、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステル、グリセリド類、脂肪酸グリセロール類、脂肪酸グリコール類、グリセロールエステル類、レシチンおよび水からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、前記熱可塑性樹脂は、酢酸ビニル樹脂、ポリビニールアルコール、ポリエチレンのうちの少なくともひとつであり、前記合成ゴムは、ポリイソブチレン、ポリブテン、ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリイソプレンのうちの少なくともひとつであり、前記ゴム含有樹脂は、チクル、ニスペロ、クラウンガム、チクブル、ベミズエラチクル、マツサランドバチュコレート、マツサランドババラタ、グッタカチュウ、グッタハンカン、グッタペルカ、パラタ、ロジデインハ、ジェルトン、ソルバ、ペリージョ、ソルビンハ、グアユーレ、レッチェデバカ、ツヌー、ニガークグッタ、チルテ、ゴム、低分子ゴム、ゴム分解樹脂のうちの少なくともひとつであり、多糖類含有樹脂は、ニュウコウ、ミルラ、ナポパナックス樹脂のうちの少なくともひとつであり、前記エステル含有樹脂は、コパイババルサムとベンゾインガムのうちの少なくともひとつであり、前記精油含有樹脂は、エレミ樹脂とファーバルサムのうちの少なくともひとつであり、前記ワックスは、オウリキュウリワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ケーンワックス、カンデリラワックス、ホホバワックス、モクロウ、ヒマワリロウ、ゲイロウ、ラノリン、ビースワックス、シェラックロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、モンタンワックスのうちの少なくともひとつであり、これらの樹脂成分と軟化成分は互いに均一に混合されて存在することが可能である構成が望ましい。
この構成により、前述の、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(I)人体の口中において、長時間、噛んでいても、健康に害を与えることなく、人体にとって安全な樹脂成分を提供できる。また、常温保存状態において固形の弾性形態を維持する性質が良好であり、薬効成分と化学的に反応することなく薬効成分の変質劣化することが防止される。また、この樹脂成分が軟化成分と混合して使用された場合に、これらの樹脂成分と軟化成分との混合混練性が良好であり、咀嚼時における噛み感触が向上し、また、咀嚼時に噛み感触の良い柔軟な弾性形態を連続的に維持する作用効果がさらに向上する。また、咀嚼した後においても、ばらばらの小塊状に分離することなくその柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持するために、咀嚼された後の軟化成分と樹脂成分との混合物を口内から口外に排出しやすくなる作用効果が更に向上する。
【0047】
前記咀嚼用医薬品において、前記軟化成分は、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステル、グリセリド類、脂肪酸グリセロール類、脂肪酸グリコール類、グリセロールエステル類、レシチン、水からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、前記樹脂成分と前記軟化成分は互いに均一に混合されて存在することが可能である構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(J)人体の口中において、長時間、噛んでいても、健康に害を与えることなく、人体にとって安全な軟化成分を提供できる。また、軟化成分が薬効成分と化学的に反応することなく薬効成分の変質劣化することが防止される。また、軟化成分と前述の樹脂成分と薬効成分とが混合され混練された医薬品において、常温保存状態において、前記樹脂成分の有する固形の弾性形態に柔軟性を付与する機能が向上するとともに、咀嚼時において、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能を有する機能も向上する。また、樹脂成分と軟化成分は、常温保存状態において、薬効成分を均一に分散含有保持して薬効成分を空気中の酸素と湿度から遮断して薬効成分の変質劣化を防止する機能も更に向上する。また、咀嚼時において、ばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能も向上し、さらに、咀嚼後において、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物は、口外に吐き出される機能も更に向上する。
【0048】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は約35℃から約37℃の温度において粉末状粒子形状を有し、前記薬効成分は50μm以下の粒子径の形態で、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物中に均一に分散されて含有される構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに、次の作用効果が得られる。
(K)前述の薬効成分が咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する効果がさらに向上する。また、薬効成分が50μm以下の粒子径の形態で樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散されて含有された状態である構成により、50μm以下の個々の薬効成分粒子が樹脂成分・軟化成分混合物に覆われた状態で存在するために、薬効成分が大気中の空気や湿度に対して遮断された状態が完璧となり、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果が更に著しく向上し、保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する効果が得られる。また、薬効成分が50μm以下の粒子径の形態で樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散されて含有された状態である構成により、さらに、咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い粉末固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用医薬品が得られる。
【0049】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は約35℃から約37℃の温度において液体形状を有し、前記薬効成分は50μm以下の粒子径を有する無機粉末に担持された形態で、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物中に均一に分散されて含有されて含有されている構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(L)薬効成分が無機粉末に担持された形態で樹脂成分・軟化成分混合物に覆われた形態で存在するために、前述の薬効成分が咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する効果がさらに著しく向上する。また、薬効成分が50μm以下の粒子径の形態で樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散されて含有された状態である為に、薬効成分が大気中の空気や湿度に対して遮断された状態となり、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果が著しく向上し、保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する効果が得られる。また、その咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い粉末固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用医薬品が得られる。
【0050】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として、口内の炎症を消炎する消炎効能を有する消炎剤を含有し、前記消炎剤は、咀嚼により徐々に口内に放出されて、口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して消炎効能を発揮する構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(M)前述したように、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有する作用効果が得られる。また、薬効成分が口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して消炎効能を発揮する機能を有している為に、充分な消炎効能を発揮でき、副作用のない薬効成分濃度であって、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能となる。また、この間、薬効成分を炎症患部に直接に接触させることができるために、限られた薬効成分の含有量を最大限に利用して、薬効効能の利用効率を高めることが出来る。
【0051】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として口内の炎症を消炎する消炎効能を有する消炎剤と、主として口内を殺菌する作用を有する殺菌剤の双方の薬効成分を含有し、前記消炎剤は咀嚼により徐々に口内に放出されて、口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して消炎効能を発揮する機能を有するとともに、前記殺菌剤は、咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して、口内を殺菌する殺菌効能を発揮する機能を有する構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(N)前段落の(M)で説明したような作用効果が得られると共に、充分な消炎効能と殺菌作用の双方の効果を発揮できる医薬品が得られる。また、副作用のない薬効成分濃度であって、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能で、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有し、咽喉の炎症に対して、主として消炎効能を発揮するとともに、口内を殺菌する殺菌作用を発揮し、この消炎効能と殺菌作用の相乗効果により、患部の炎症を治癒する効果が著しく向上する。
【0052】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として、口内を殺菌する殺菌効能を有する殺菌剤を含有し、前記殺菌剤は、咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して、口内を殺菌する殺菌効能を発揮する構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(O)前述したような、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有する作用効果が得られると共に、薬効成分が口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して殺菌効能を発揮する機能を有している為に、充分な殺菌効能を発揮でき、副作用のない薬効成分濃度であって、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能となる。また、この間、薬効成分を炎症患部に直接に接触させることができるために、限られた薬効成分の含有量を最大限に利用して、薬効効能の利用効率を高めることが出来る。
【0053】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分としての前記消炎剤は、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸メチル、塩化リゾチウム、グリチルリチン酸ジカリウム、マレイン酸クロルフェニラミンからなる群から選ばれる少なくともひとつである構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(P)前述の消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果、などの効果がさらに著しく向上した咀嚼用医薬品が得られる。
【0054】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分としての前記殺菌剤は、主として殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゾトリウム、塩酸クロルヘキシン、グルコン酸クロルヘキシジン、ポピドンヨード、ヨード化合物からなる群から選ばれる少なくともひとつである構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(Q)前述の薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果が向上すると共に、薬効成分が殺菌剤である為に口内を殺菌する作用効果が長時間発揮される。また、前述の長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果もさらに著しく向上した咀嚼用医薬品が得られる。
【0055】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムの消炎剤を含有する構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(R)特に、光、湿度、酸素などにより劣化しやすいアズレンスルホン酸ナトリウムを使用した構成においても、前述の消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果などが得られる。また、そのアズレンスルホン酸ナトリウムが粉末状粒子の形状を有し、その粒子径が50μm以下であり、その薬効成分は樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散して含有されている構成においては、このような効果がさらに著しく向上するとともに、その咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用医薬品が得られる。その咀嚼用医薬品を噛んで咀嚼したときに、菓子用のチューインガムを噛んでいるような違和感のない噛み味を有する効果が得られる。これらのすべての効果を発揮する咀嚼用医薬品が得られる。
【0056】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとの双方の消炎剤を含有する。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(S)充分な消炎効能と殺菌作用を発揮できるとともに、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能で、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有し、咽喉の炎症に対して、主として消炎効能を発揮するとともに、口内を殺菌する殺菌作用を発揮し、これらの消炎効能と殺菌作用との相乗効果により、咽喉の炎症を招宴する作用効果がさらに著しく向上する。さらに、前述の効果と同じように、これらの薬効成分が粉末状粒子の形状を有し、その粒子径が50μm以下であり、その薬効成分が樹脂成分と軟化成分との混合物の中に均一に分散して含有されている構成においては、このような効果がさらに著しく向上するとともに、その咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用医薬品が得られる。その咀嚼用医薬品を噛んで咀嚼したときに、菓子用のチューインガムを噛んでいるような違和感のない噛み味を有する効果が得られる。これらのすべての効果を発揮する咀嚼用医薬品が得られる。
【0057】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとの双方の消炎剤と、主として殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウムの殺菌剤を含有する構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(T)充分な消炎効能と殺菌作用を発揮できるとともに、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能で、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有し、咽喉の炎症に対して、主として消炎効能を発揮するとともに、口内を殺菌する殺菌作用を発揮し、これらの消炎効能と殺菌作用との相乗効果により、咽喉の炎症を招宴する作用効果がさらに著しく向上する。さらに、前述の効果と同じように、これらの薬効成分が粉末状粒子の形状を有し、その粒子径が50μm以下であり、その薬効成分は樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散して含有されている構成においては、このような効果がさらに著しく向上するとともに、その咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用医薬品が得られる。さらに、その咀嚼用医薬品を噛んで咀嚼したときに、菓子用のチューインガムを噛んでいるような違和感のない噛み味を有する効果が得られる。これらのすべての効果を発揮する咀嚼用医薬品が得られる。
【0058】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分の含有割合が0.1重量%から10重量%であり、前記樹脂成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、前記軟化成分の含有割合が10重量%から80重量%である構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに、前述で説明した作用効果が更に向上した用医薬品が得られる。
【0059】
前記咀嚼用医薬品において、さらに、賦形剤を含有し、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分と前記賦形剤は、互いに均一に混合された咀嚼可能な固形形態を有し、前記賦形剤は、甘味料、清涼剤、矯味剤、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤および香料からなる群から選ばれる少なくともひとつであり、前記賦形剤は、含有された前記賦形剤の有する性能を発揮する。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(U)前述の消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果、などの効果がさらに向上する。また、含有された賦形剤が有する甘味、清涼、着色、保存、増粘安定、酸化防止、苦味、酵素、光沢、酸味、調味、乳化、強化および香りなどの特性が付与された咀嚼用医薬品が得られる。さらに、賦形剤を含有する事により、樹脂成分と軟化成分との混合物の中における薬効成分の分散性が著しく向上する効果も得られる。また、薬効成分の物性上の欠点を補い、あるいは賦形剤の物性を有効活用し、秤量上の取扱や製剤を成形する際の取扱を向上させることが出来る。このような賦形剤が、樹脂成分と軟化成分の混合物中に分散して含有された構成においては、この賦形剤と含有されている薬効成分とが接する割合が少なくなるために、薬効成分と賦形剤との相互の化学反応による劣化等が生じることなく、含有するそれぞれの成分の劣化を防止できる保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する。
【0060】
前記咀嚼用医薬品において、前記薬効成分の含有割合が0.1重量%から10重量%であり、前記樹脂成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、前記軟化成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、前記賦形剤の含有割合が10重量%から80重量%である。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに、前述で説明した作用効果が更に向上した用医薬品が得られる。
【0061】
本発明の咀嚼用医薬品の製造方法は、上記したそれぞれの咀嚼用医薬品を製造するための咀嚼用医薬品の製造方法であって、(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分混合物を調製する工程と、(b)前記樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を調製する工程と、
(c)前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用医薬品を得る工程と、からなり、前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化した状態であり、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態であるとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分と相溶可能な温度範囲で、前記樹脂成分と前記軟化成分を混練し、前記(b)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練し、前記(c)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型することを特徴とする。
この製造方法により、次の作用効果が得られる。
(W1)製造過程において、熱などの影響により、薬効成分の変質や劣化が生じることなく、さらに、使用成分の互いの反応により変質変化が生じることのない、製造上において常に安定した品質を有する医薬品を製造できる。
(W2)さらに、含有されている薬効成分に対応した薬効を充分に発揮できるとともに、副作用のない薬効成分濃度であって、その薬効成分が咀嚼により唾液と共に口内に徐々に放出され、その放出された薬効成分が口内に長時間滞留して、その薬効成分が口内の疾患患部に更に長時間接触することが可能である。
(W3)さらに、咀嚼している間の長時間、薬効成分が徐々に咽喉を通過して、胃、腸を通って、血流の中に吸収されることが可能となり、薬効成分を長時間に渡って徐々に血流に取り入れることが可能となる。
(W4)薬効成分が樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散されて存在する状態である為に、薬効成分は樹脂成分・軟化成分混合物に覆われた形態で存在するために、薬効成分は大気中の空気や水分、湿気と隔離され、そのために、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有する咀嚼用医薬品が得られる。
【0062】
前記咀嚼用医薬品の製造方法において、前記(c)工程において、前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型し、さらに、その後、所定の形状に成型された成型物の表面にコーティング剤を被覆して、咀嚼用医薬品を得る工程を有する。
(W5)この製造方法により、コーティング剤が粉末や粘着性を持たない固体である場合には、製造された医薬品の表面の粘着性が改良されて、粘着性を防止でき、そのために、製造された医薬品を箱詰めして包装する際に発生する医薬品同士の引っ付き現象の発生を防止できる。
(W6)また、コーティング剤が空気や湿度の透過を防止できる性質を有する材料である場合には、酸素や湿度に起因する薬効成分の変質劣化が著しく防止され、その結果、製造された医薬品の保存保管安定性が著しく向上する。
【0063】
前記咀嚼用医薬品の製造方法において、前記(b)工程において、粒子径が50μm以下の粉末状粒子形状を有する前記薬効成分を使用する製造方法が望ましい。
(W7)この製造方法により、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果に加えて、保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する効果が得られる。
(W8)特に、粒子径が50μm以下の粉末状粒子形状を有する薬効成分を使用することにより、その咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用医薬品が得られる。
(W9)さらに、粒子径が50μm以下の粉末状粒子形状を有する薬効成分を使用することにより、薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して含有される作用効果が向上する。
【0064】
本発明の咀嚼用医薬品の他の製造方法は、上記した樹脂成分と軟化成分と薬効成分に加えて賦形剤を含有する咀嚼用医薬品を製造するための咀嚼用医薬品の製造方法であって、(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分混合物を調製する工程と、(d)薬効成分と賦形剤とを均一に混合して、薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程と、(e)前記樹脂成分・軟化成分混合物と前記薬効成分・賦形剤混合物を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分と前記賦形剤が均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程と、(f)前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用医薬品を得る工程と、からなり、前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化した状態であり、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態であるとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分と相溶可能な温度範囲で、前記樹脂成分と前記軟化成分を混練し、前記(d)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混合し、前記(e)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練し、前記(f)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型することを特徴とする。
(W10)この製造方法により、特に、薬効成分と賦形剤とを均一に混合して、薬効成分・賦形剤混合物を調製し、その後、得られた前記薬効成分・賦形剤混合物と前記樹脂成分・軟化成分混合物とを均一に混合することにより、薬効成分が凝集することなく、薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して含有された咀嚼用医薬品を製造できる。
(W11)薬効成分と賦形剤とを混合したときに、賦形剤が滑剤としての役割を発揮して、薬効成分の凝集が防止されるために、薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散できる。
(W12)また、賦形剤も樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散できる。
(W13)さらに、前述の薬効成分が口内や咽喉に更に長時間接触する作用効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する作用効果、などの作用効果がさらに著しく向上するとともに、保存・貯蔵における薬効成分の変質劣化を防止する効果がさらに向上する。
【0065】
前記咀嚼用医薬品の製造方法において、前記(d)工程は、前記薬効成分と前記賦形剤とを混合しながら、前記薬効成分を、粒子径が50μm以下の大きさに粉砕して、均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製し、その後、得られた前記薬効成分・賦形剤混合物と前記樹脂成分・軟化成分混合物とを均一に混練して、樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程を有し、これにより、前記賦形剤と粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して、前記薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記樹脂成分・軟化成分混合物に覆われるように含有させることを特徴とする。
(W14)この製造方法により、前述したように、得られた医薬品を咀嚼している間の長時間、薬効成分が口内に徐々に放出される効果、口内の咽喉の患部に更に長時間接触する作用効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する作用効果、などの作用効果がさらに著しく向上するとともに、保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する作用効果などを有する咀嚼用医薬品が得られる。また、薬効成分の粒子径が50μm以下の大きさであるため、その咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用医薬品が得られる。
(W15)さらに、特に、薬効成分と賦形剤とを均一に混合して、薬効成分・賦形剤混合物を調製することにより、薬効成分を粒子径が50μm以下の大きさに効率よく粉砕することができる。薬効成分と賦形剤とを混合したときに、賦形剤が滑剤としての役割を発揮して、薬効成分の凝集が防止されるために、薬効成分を粒子径50μm以下の大きさに効率よく粉砕することができる。また、その後、得られた前記薬効成分・賦形剤混合物と前記樹脂成分・軟化成分混合物とを均一に混合することにより、それぞれの薬効成分と賦形剤が凝集することなく、薬効成分と賦形剤の双方が前記樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して含有された咀嚼用医薬品を製造できる。
(W16)さらに、前記薬効成分が咽喉の疾患患部に直接に接触することにより消炎効能を発揮する消炎剤を含有する構成に於いて、充分な消炎効能を発揮できるとともに、副作用のない薬効成分濃度であって、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能となり、口内の疾患を治癒する薬効が著しく向上する。
(W17)特に、薬効成分が少なくともアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する医薬品は、これらの作用効果が更に著しく向上して発揮される。
(W18)また、前記薬効成分が咽喉の疾患患部に直接に接触することにより消炎効能を発揮する消炎剤と、口内を殺菌する殺菌作用を発揮する殺菌剤を含有する構成に於いて、充分な消炎効能と殺菌作用を発揮できるとともに、副作用のない薬効成分濃度であって、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能で、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有し、咽喉の炎症に対して、主として消炎効能を発揮するとともに、口内を殺菌する殺菌作用を発揮し、この消炎効能と殺菌作用の相乗効果により、患部の炎症を治癒する効果が著しく向上した咀嚼用医薬品が得られる。特に、これらの作用効果に優れた咀嚼用医薬品が得られる。
【0066】
前記咀嚼用医薬品の製造方法において、前記賦形剤は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、前記(d)工程において、前記薬効成分を粒子径が50μm以下の大きさに粉砕するとともに、前記賦形剤も粒子径が50μm以下の大きさに粉砕し、これにより、粒子径が50μm以下の大きさの前記賦形剤と粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して、前記薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記樹脂成分・軟化成分混合物に覆われるように含有させる。
(W19)この製造方法により、薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散する効果が向上し、薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記樹脂成分・軟化成分混合物に覆われるように含有される効果も向上する。また、薬効成分が消炎剤や殺菌剤を含有する医薬品の場合、消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果がさらに向上するとともに、薬効成分の患部への付着持続性が増す。
(W20)さらに、賦形剤として、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有するために、咀嚼したときの甘味または清涼感などが発揮され、また、薬効成分の分散性が向上するなどの効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、本発明の咀嚼用医薬品および咀嚼用医薬品の製造方法について、詳細に説明する。
【0068】
本発明の咀嚼用医薬品は、少なくとも、樹脂成分と軟化成分と薬効成分とを含有し、薬効成分は樹脂成分と軟化成分の混合物に覆われた形態で存在し、咀嚼可能な弾性形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮するとともに、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、樹脂成分と軟化成分のそれぞれの成分は、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な性質を有するとともに、薬効成分と化学的に反応して薬効成分を変質させない性質を有し、樹脂成分と軟化成分の混合物は咀嚼可能な弾性形態であって、咀嚼により柔軟性を付与するとともに、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する機能を有することを特徴とする医薬品である。
薬効成分としては、特に限定されないが、例えば、消炎剤、鎮痛剤、抗生物質、殺菌剤、その他の医薬品、などの通常の薬効を発揮する医薬品が使用される。薬効成分として、特に望ましくは、口内の炎症している疾患患部に直接に接触することにより効能を発揮する医薬品が特に望ましい。
また、樹脂成分としては、使用する薬効成分と化学反応して変質することなく、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な成分であれば、特に限定されなく、軟化成分と混合可能な成分が望ましい。また、軟化成分としては、使用する薬効成分と化学反応して変質することなく、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な成分であれば、特に限定されなく、樹脂成分と混合可能な成分が望ましい。さらに、樹脂成分と軟化成分の混合物は、咀嚼可能な弾性形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮するとともに、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、咀嚼により、薬効成分を唾液と一緒に徐々に口内に放出する機能を有する成分が望ましい。
薬効成分は樹脂成分と軟化成分の混合物に覆われた状態で存在するが、樹脂成分と軟化成分の混合物における薬効成分の存在形態としては、例えば、薬効成分の凝集物や塊が樹脂成分と軟化成分の混合物に覆われた形態、薬効成分が樹脂成分と軟化成分の混合物中に不均一に分散して含有された状態、薬効成分が樹脂成分と軟化成分の混合物中に均一に分散して含有された状態、等、特に限定されないが、薬効成分が樹脂成分と軟化成分の混合物中に均一に分散して含有された状態が特に望ましい。
なお、本初名の咀嚼用医薬品において、樹脂成分と軟化成分と薬効成分のみから構成された咀嚼用医薬品に限定されることなく、樹脂成分と軟化成分と薬効成分に加えて、さらに、甘味料、清涼剤、矯味剤、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、香料、等の賦形剤や充填材などを含有させた咀嚼用医薬品も構成することが可能である。この場合、使用する賦形剤や充填材によって、硬さ、柔軟性、粘性、機械的強さ、などの種々の力学的性質を有する咀嚼用医薬品を得ることができるとともに、また、甘味性、清涼性などの種々の噛み味を有する咀嚼用医薬品を得ることができる。
【0069】
本発明の咀嚼用医薬品において、樹脂成分と軟化成分と薬効成分が常温保存状態において、互いに均一に混合された咀嚼可能な固形形態を有するとともに、薬効成分が常温保存状態において樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散して存在する構成が特に望ましい。樹脂成分は常温保存状態において固形の弾性形態を有する。軟化成分は常温保存状態において、樹脂成分の有する固形の弾性形態に柔軟性を付与する機能を有するとともに、咀嚼時において、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能を有する。樹脂成分と軟化成分は、常温保存状態において、薬効成分を均一に分散含有保持して薬効成分を空気中の酸素と湿度から遮断して薬効成分の変質劣化を防止する機能を有するとともに、咀嚼時において、ばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能を有する。咀嚼後において、樹脂成分と軟化成分の混合物は口外に吐き出される。樹脂成分と軟化成分と薬効成分のそれぞれの成分はこのような機能を有する。
すなわち、薬効成分が樹脂成分と軟化成分の混合物中に均一に分散して含有された状態であり、これにより、薬効成分が樹脂成分と軟化成分の混合物に覆われた状態で存在する構成が特に望ましい。この構成により、特に、前述の発明の効果で説明したような(E)噛み感触を向上する効果、(F)薬効成分を口内に徐々に放出して長期間薬効を発揮する効果、(G)薬効成分を空気・光から守って薬効成分の変質劣化を防止して貯蔵安定性が向上する効果、(H)ばらばらの小塊状に分離することなく柔軟弾性形態を連続的に維持する噛み感触を向上する効果、などの作用効果が得られる。
これに対して、薬効成分が常温保存状態において樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散することなく、凝集したり、塊状に固まって偏在したり、薬効成分濃度が部分によって不均一にして存在する構成の場合、前述の(E)において噛んだ時にガリガリ感が発生して噛み感触が劣る、(F)において薬効成分が口内に不連続に放出されて薬効にバラツキが発生する、(G)において一部の薬効成分が空気に暴露する場合があり薬効成分が空気や光により変質劣化することがある、などの点において、十分な作用効果が得られないことがある。
【0070】
本発明の咀嚼用医薬品に含有される樹脂成分としては、熱可塑性樹脂、合成ゴム、エステルガム、ゴム含有樹脂、多糖類含有樹脂、エステル含有樹脂、精油含有樹脂、グアヤク樹脂、ダンマル樹脂、サンダラック樹脂、ロジン、マスチック、カウリガム、コーパル樹脂、シェラックおよびワックスからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有する。
本発明の咀嚼用医薬品に含有される軟化成分としては、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステル、グリセリド類、脂肪酸グリセロール類、脂肪酸グリコール類、グリセロールエステル類、レシチンおよび水からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有する。
前記熱可塑性樹脂は、酢酸ビニル樹脂、ポリビニールアルコール、ポリエチレンのうちの少なくともひとつである。
前記合成ゴムは、ポリイソブチレン、ポリブテン、ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリイソプレンのうちの少なくともひとつである。
前記ゴム含有樹脂は、チクル、ニスペロ、クラウンガム、チクブル、ベミズエラチクル、マツサランドバチュコレート、マツサランドババラタ、グッタカチュウ、グッタハンカン、グッタペルカ、パラタ、ロジデインハ、ジェルトン、ソルバ、ペリージョ、ソルビンハ、グアユーレ、レッチェデバカ、ツヌー、ニガークグッタ、チルテ、ゴム、低分子ゴム、ゴム分解樹脂のうちの少なくともひとつである。
多糖類含有樹脂は、ニュウコウ、ミルラ、ナポパナックス樹脂のうちの少なくともひとつである。
前記エステル含有樹脂は、コパイババルサムとベンゾインガムのうちの少なくともひとつである。
前記精油含有樹脂は、エレミ樹脂とファーバルサムのうちの少なくともひとつである。
前記ワックスは、オウリキュウリワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ケーンワックス、カンデリラワックス、ホホバワックス、モクロウ、ヒマワリロウ、ゲイロウ、ラノリン、ビースワックス、シェラックロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、モンタンワックスのうちの少なくともひとつである。
このような樹脂成分としては、使用される軟化成分と互いに均一に混合されて存在することが可能である成分が使用される。
また、使用する樹脂成分としては、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な成分を使用する必要がある。
このような樹脂成分は噛んだときにやや硬いが容易に噛むことができるとともに、軟化成分と互いに容易に混ざり合って混合可能であり、これらの樹脂成分と軟化成分の含有割合を調整することにより、所望の柔軟な弾性形態を有する樹脂成分・軟化成分混合物を得ることができる。
【0071】
本発明の咀嚼用医薬品に含有される軟化成分としては、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステル、グリセリド類、脂肪酸グリセロール類、脂肪酸グリコール類、グリセロールエステル類、レシチン、水からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有する。
使用する軟化成分としては、前述の樹脂成分と互いに均一に混合されて存在することが可能な成分が使用される。
また、使用する軟化成分としては人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な成分を使用しなければならない。
このような軟化成分は樹脂成分と互いに容易に混ざり合って混合可能であり、容易に樹脂成分に柔軟性を付与することが可能であり、これらの樹脂成分と軟化成分の含有割合を調整することにより、所望の柔軟な弾性形態を有する樹脂成分・軟化成分混合物を得ることができる。
【0072】
このような樹脂成分と軟化成分のうちから、所定の成分を選んで組み合わせて使用することにより、常温保存状態における弾性形態、噛み始めた時の硬さ・柔らかさ・粘着性などの弾性状態、出てくる唾液と混ざったときの状態、噛み感触・噛み味、噛み続けている時の弾性状態や噛み感触・噛み味の変化、噛み終わった時の樹脂成分・軟化成分混合物の弾性状態、などの点において、いろいろな性質を有する医薬品が得られる。
また、このような樹脂成分と軟化成分のうちから、所定の成分を選んで組み合わせて使用することにより、常温保存状態において、薬効成分を空気中の酸素と湿度から遮断して薬効成分の変質劣化を防止する機能が発揮できる効果の度合い、および、噛んでいる時に薬効成分が口内に放出される放出速度や放出状態、などの点において、いろいろな性質を有する医薬品が得られる。
【0073】
本発明の咀嚼用医薬品に含有される薬効成分としては、約35℃から約37℃の温度において、粉末状粒子形状の薬効成分が使用される。薬効成分は50μm以下の粒子径の形態で、樹脂成分と軟化成分との混合物中に均一に分散されて含有されることが望ましい。
この場合、前述の、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果に加えて、保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する効果が得られるとともに、また、その咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い粉末固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み味を有する咀嚼用医薬品が得られる。
この構成においては、薬効成分の粒子径が50μm以下の粉末状粒子形状のものが使用され、その粒子径50μm以下の粉末状粒子を有する薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物中に混練されて、均一に分散される。通常には、この混練工程中においては、薬効成分は樹脂成分・軟化成分混合物に溶けることはなく、その薬効成分の粉末状粒子径の大きさが維持された状態で樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して存在する。また、この混練工程中において、薬効成分の粉末状粒子径の大きさが粉砕されたとしても、その粒子径は50μm以下となり、大きくなることはない。
薬効成分の粒子径が50μmを超える場合、咀嚼用医薬品を噛んだ時に、ガリガリ感などの硬い粉末固体を噛んでいるような不快な感触が発生し、また、薬効成分の粒子径が大きくなるに従って、薬効成分の分散性がやや劣る傾向にある。
【0074】
また、本発明の咀嚼用医薬品に含有される薬効成分としては、約35℃から約37℃の温度において、液体形状の薬効成分が使用されることも可能である。薬効成分は50μm以下の粒子径を有する無機粉末に担持された形態で、樹脂成分と軟化成分との混合物中に均一に分散されて含有されて含有されていることが望ましい。
薬効成分自身が液体形状である場合には、その液状薬効成分をタルク粉末やシリカ粉末などの担持機能を有する粒子径50μm以下の無機粉末に吸着または含浸させて担持させた粉末状粒子形状として構成し、その薬効成分を担持した粒子径50μm以下の無機粉末を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して含有することができる。
【0075】
本発明の咀嚼用医薬品に含有される薬効成分としては、少なくとも、主として、咽喉の炎症を消炎する消炎効能を有する消炎剤を含有する構成が望ましい。消炎剤は、咀嚼により、唾液とともに口内に放出され、その口内に放出された薬効成分が口内の炎症している患部に直接に接触して、炎症を低減するとともに治癒するという消炎効能を発揮する機能を有する。
【0076】
また、炎症疾患患部に直接に接触することにより消炎効能を発揮する消炎剤のうち、種類によっては、炎症疾患患部に直接に接触することにより消炎効能を発揮するとともに、胃腸から吸収されて血管内に入ってさらに消炎効能を発揮する消炎剤も使用することができる。
なお、この消炎剤は、主として、咽喉の炎症を消炎する消炎効能を有するものであり、風邪症候群の予防を主目的として使用するものでなく、また、口腔の殺菌作用や消毒作用の効能を主目的として使用するものでもない。このように、本発明において含有する薬効成分としての消炎剤は、主として、咽喉の炎症を消炎する消炎効能を有する消炎剤を含有するものである。
咀嚼用医薬品が長時間咀嚼されて、薬効成分が十分に放出されて利用された後、残った樹脂成分と軟化成分との混合物は、飲み込まれることなく、口外に吐き出される。
【0077】
また、薬効成分として、上記のような主として消炎効能を発揮する消炎剤と、主として殺菌作用を発揮する殺菌剤との双方の薬効成分を含有する咀嚼用医薬品も可能である。消炎剤は咀嚼により唾液とともに口内の患部に直接に接触して、前記消炎効能を発揮する機能を有し、殺菌剤は、咀嚼により、唾液とともに口内の患部に直接に接触して、前記殺菌作用を発揮する機能を有する。特に、消炎剤に加えて、殺菌剤を併用することにより、これらの薬効成分の相乗作用により、消炎効能がさらに向上する効果が得られる。なお、殺菌剤は、口内を消毒する効能を発揮する機能を有する薬効成分として使用されることもある。
【0078】
薬効成分として、主として殺菌作用を発揮する殺菌剤を含有する咀嚼用医薬品も可能である。殺菌剤は、咀嚼により、唾液とともに口内に放出され、口内全体を殺菌するとともに、口内の疾患患部に直接に接触して、殺菌作用を発揮する機能を有する。なお、殺菌剤は、口内を消毒する効能を発揮する機能を有する薬効成分として使用されることもある。
【0079】
薬効成分が樹脂成分と軟化成分との混合物中に含有された咀嚼用医薬品を、長時間、繰り返して噛むことにより、薬効成分が唾液と共に口内に放出され、その薬効成分が、咽喉の炎症している患部に直接に接触し、これにより、患部の炎症が緩和され、低減され、治癒される。
特に、口腔の炎症を低減し治癒する消炎剤のような、炎症患部に直接に接触して作用する医薬品においては、その薬効成分が出来る限り長時間、口内に滞留して炎症患部に接触することにより、その消炎作用が長時間、持続し、消炎効能が向上する効果が得られる。例えば、この咀嚼用医薬品を約30分から60分の間、咀嚼することが可能であり、この間、薬効成分を徐々に口内に放出し、順次、口内に滞留させて、長時間、薬効成分を炎症患部に直接に接触させることができ、限られた薬効成分の含有量を最大限に利用して、薬効効能の利用効率を高めることが出来る。
【0080】
さらに、薬効成分が樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散されて含有されているため、薬効成分は樹脂成分と軟化成分の混合物に覆われた状態で存在することになり、薬効成分が空気や湿気を含む雰囲気中に暴露されることが無いために、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有する作用効果が得られる。
【0081】
本咀嚼用医薬品に含有される各成分の含有割合として、薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%であり、樹脂成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、軟化成分の含有割合が10重量%から80重量%であるような構成が望ましく、特に、薬効成分の含有割合が0.1重量%から5重量%であり、樹脂成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、軟化成分の含有割合が10重量%から80重量%であるような構成が望ましい。この構成により、前述で説明した作用効果が更に向上した用医薬品が得られる。薬効成分の含有割合が0.05重量%未満の場合には、前述したような薬効が充分に発揮されない場合がある。薬効成分の含有割合が5重量%を超える場合には、使用する薬効成分の種類によっては、人体の健康に悪影響を及ぼす場合がある。樹脂成分の含有割合が10重量%未満の場合には、咀嚼用医薬品に弾性を付与する効果に劣る傾向があり、噛んだ時に粘着性も劣る傾向があり、充分な噛み感触が得られない場合がある。樹脂成分の含有割合が80重量%を超える場合には、咀嚼用医薬品の硬さが硬くなり、容易に咀嚼出来ない場合がある。軟化成分の含有割合が10重量%未満の場合には、咀嚼用医薬品に弾性とともに柔軟性を付与する効果に劣る傾向があり、噛んだ時に粘着性も劣るるとともに柔軟性もおとり、充分な噛み感触が得られない場合がある。軟化成分の含有割合が80重量%を超える場合には、咀嚼用医薬品が柔らかくなり過ぎて、柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能が充分に発揮されない場合がある。
【0082】
上記のような樹脂成分と軟化成分と薬効成分に加えて、さらに、賦形剤を含有した咀嚼用医薬品も使用可能である。樹脂成分と軟化成分と薬効成分と賦形剤は、互いに均一に混合された咀嚼可能な固形形態を有する。賦形剤としては、甘味料、清涼剤、矯味剤、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤および香料からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有する。賦形剤は、含有されたその賦形剤の有する性能を発揮する。例えば、甘味剤は甘味を付与し、清涼剤は口内の感覚を良好にし、矯味剤は薬効成分特有の味を緩和する。これにより、所望の噛み味を付加できるなどの服用の利便性を向上し調整することができる。また、薬効成分の物性上の欠点を補い、あるいは賦形剤の物性を有効活用し、秤量上の取扱や製剤を成形する際の取扱を向上させることが出来る。このような賦形剤が、樹脂成分と軟化成分と薬効成分の混合物の中に分散して含有された構成においては、この賦形剤と含有されている薬効成分とが接する割合が少なくなるために、薬効成分と賦形剤との相互の化学反応による劣化等が生じることなく、含有するそれぞれの成分の劣化を防止できる保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する。
なお、賦形剤としての、甘味料、清涼剤、矯味剤、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、香料などにおいては、同じ賦形剤成分がこれら甘味料、その他の複数種の作用を発揮することもある。
また、本発明においては、賦形剤という語句は、充填剤または充填材と同じ意味で使用しており、賦形剤を、充填剤または充填材という語句に置き換えて使用することもできる。
【0083】
本咀嚼用医薬品に含有される各成分の含有割合として、薬効成分の含有割合が0.1重量%から10重量%であり、樹脂成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、軟化成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、賦形剤の含有割合が1重量%から80重量%であるような構成が望ましく、特に、薬効成分の含有割合が0.1重量%から5重量%であり、樹脂成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、軟化成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、賦形剤の含有割合が1重量%から80重量%であるような構成が望ましい。この構成により、前述で説明した作用効果が更に向上した用医薬品が得られる。薬効成分の含有割合が0.05重量%未満の場合には、前述したような薬効が充分に発揮されない場合がある。薬効成分の含有割合が5重量%を超える場合には、使用する薬効成分の種類によっては、人体の健康に悪影響を及ぼす場合がある。
樹脂成分の含有割合が10重量%未満の場合には、咀嚼用医薬品に弾性を付与する効果に劣る傾向があり、噛んだ時に粘着性も劣る傾向があり、充分な噛み感触が得られない場合がある。樹脂成分の含有割合が80重量%を超える場合には、咀嚼用医薬品の硬さが硬くなり、容易に咀嚼出来ない場合がある。軟化成分の含有割合が10重量%未満の場合には、咀嚼用医薬品に弾性とともに柔軟性を付与する効果に劣る傾向があり、噛んだ時に粘着性も劣るるとともに柔軟性もおとり、充分な噛み感触が得られない場合がある。軟化成分の含有割合が80重量%を超える場合には、咀嚼用医薬品が柔らかくなり過ぎて、柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能が充分に発揮されない場合がある。さらに、賦形剤の含有割合が1重量%未満の場合には、含有される賦形剤の目的とする作用効果が充分に得られない場合があり、賦形剤の含有割合が80重量%を超える場合には、弾性形態、柔軟性、噛んだ時に柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能が充分に発揮されない場合がある。
【0084】
薬効成分と併用して賦形剤が使用される構成においては、その賦形剤も粉末状粒子形状であって、その粉末状粒子形状の薬効成分と賦形剤とが樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散して含有されている咀嚼用医薬品が使用できる。この構成においても、上記と同じ効果が得られる。
また、賦形剤自身が液体形状である場合にも、その液状賦形剤をタルク粉末やシリカ粉末などの担持機能を有する無機粉末に吸着または含浸させて担持させた粉末状粒子形状として構成し、その賦形剤を担持した無機粉末を樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散して含有することができる。
【0085】
薬効成分と併用して賦形剤が使用される構成においては、その賦形剤も粒子径は50μm以下の粉末状粒子形状であって、その粉末状粒子形状の薬効成分が樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散して含有されている咀嚼用医薬品が使用できる。この構成においても、上記と同じ効果が得られる。
【0086】
また、賦形剤自身が液体形状である場合にも、その液状賦形剤をタルク粉末やシリカ粉末などの担持機能を有する粒子径50μm以下の無機粉末に吸着または含浸させて担持させた粉末状粒子形状として構成し、その賦形剤を担持した無機粉末を樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散して含有することができる。
【0087】
薬効成分としての消炎剤としては、主として消炎効能を発揮する消炎剤が使用可能である。消炎剤としては、アズレンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸メチル、塩化リゾチウム、グリチルリチン酸ジカリウム、マレイン酸クロルフェニラミンのうちの少なくともひとつが使用される。グリチル酸ジカリウムはグリチル酸二カリウムとも称せられる。これらの消炎剤のうちの一種類のみ消炎剤の使用、または、2種類の消炎剤の併用、3種類以上の消炎剤の併用も可能である。例えば、消炎剤として、アズレンスルホン酸ナトリウムのみを使用することが可能であり、この場合、アズレンスルホン酸ナトリウムは、主として、咽喉の疾患患部に直接に接触することにより、患部の炎症を治癒する効能を発揮する。グリチルリチン酸ジカリウムは、咽喉の疾患患部に直接に接触することによる患部の炎症を治癒する効能と、そのグリチルリチン酸ジカリウムが胃腸に流れていったときに、胃腸内の血管に吸収されて血流の中に入り、それにより、咽喉の患部の炎症を治癒する効能をも発揮する作用効果をも有する。このように、消炎剤としては、主として、咽喉の疾患患部に直接に接触することにより患部の炎症を治癒する効能を発揮する消炎剤が使用可能であるが、これに限定されることなく、主として咽喉の疾患患部に直接に接触することにより患部の炎症を治癒する効能と、胃腸に流れていったときに胃腸内の血管に吸収されて血流の中に入ることにより咽喉の患部の炎症を治癒する効能をも発揮する作用効果を有する消炎剤も使用できる。
【0088】
また、消炎剤として、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとを併用した咀嚼用医薬品も適用可能である。この場合、アズレンスルホン酸ナトリウムは、主として、咽喉の疾患患部に直接に接触することにより、患部の炎症を治癒する効能を発揮し、他方、グリチルリチン酸ジカリウムは、咽喉の疾患患部に直接に接触することによる患部の炎症を治癒する効能と、そのグリチルリチン酸ジカリウムが胃腸に流れていったときに、胃腸内の血管に吸収されて血流の中に入り、それにより、咽喉の患部の炎症を治癒する効能をも発揮する作用効果を有する。これらの患部への直接接触と血流中への含有との双方の作用により、さらに、強力な消炎効能を発揮するものである。
【0089】
薬効成分として、主として殺菌作用を発揮する殺菌剤を含有する構成の咀嚼用医薬品も適用可能である。主として殺菌作用を発揮する殺菌剤としては、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゾトリウム、塩酸クロルヘキシン、グルコン酸クロルヘキシジン、ポピドンヨード、ヨード化合物などのうちの少なくともひとつの殺菌剤が使用できる。
このような殺菌剤を含有する咀嚼用医薬品は、咀嚼により、唾液とともに口内に放出され、口内全体を殺菌するとともに、口内の疾患患部に直接に接触して殺菌作用を発揮する機能が著しく向上する。
【0090】
薬効成分として、主として消炎効能を発揮する消炎剤に加えて、主として殺菌作用を発揮する殺菌剤との双方の薬効成分を含有する構成の咀嚼用医薬品も適用可能である。この構成において、主として殺菌作用を発揮する殺菌剤としては、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゾトリウム、塩酸クロルヘキシン、グルコン酸クロルヘキシジン、ポピドンヨード、ヨード化合物などのうちの少なくともひとつの殺菌剤が使用できる。これにより、前述の消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果、などの効果がさらに著しく向上した咀嚼用医薬品が得られる。
【0091】
特に、消炎剤として少なくともアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとを含有し、殺菌剤として少なくとも塩化セチルピリジニウムを含有し、これらの消炎剤と殺菌剤とを併用した咀嚼用医薬品も有効である。このような構成においては、アズレンスルホン酸ナトリウムによる咽喉疾患患部への直接接触による消炎効能と、グリチルリチン酸ジカリウムによる咽喉の疾患患部に直接に接触することによる患部の炎症を治癒する効能と胃腸内の血管に吸収されて血流の中に入って咽喉の患部の炎症を治癒する消炎効能と、塩化セチルピリジニウムによる口内の殺菌作用、などの消炎効能と殺菌作用との相乗効果により、さらに、強力な消炎効能を発揮する咀嚼用医薬品が得られる。
【0092】
本発明の咀嚼用医薬品において、前記賦形剤としては、例えば、エリスリトール、L−メントール、キシリトール、還元水飴、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチノース、アステルパームから選ばれる少なくともひとつの賦形剤が使用される。特に、エリスリトール、L−メントール、キシリトールのうちの少なくともひとつが望ましい。ここで、L−メントールはl−メントール(エル−メントール)とも称せられる。
例えば、エリスリトールとL−メントールは矯味剤として作用する。L−メントールは口内の感覚を良好にする清涼剤としての作用をも発揮する。キシリトールや還元水飴は甘味を付与する作用を有する甘味剤としての作用を発揮する。還元水飴は薬効成分の口内の疾患患部への付着性能を向上させる作用を有する付着性向上剤としての作用をも発揮する。
このように、賦形剤としてのひとつの成分は、複数の機能を発揮する場合が多い。
これらの賦形剤のうちの少なくとも1種類を添加含有することにより、前述のように、消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果が得られるとともに、薬効成分の患部への付着持続性が増し、咀嚼したときの甘味または清涼感などが発揮され、また、薬効成分の分散性が向上するなどの効果が得られる。特に、咀嚼用医薬品を噛んだとき、薬効成分と一緒に付着向上剤が口内に放出されて、口内に放出された薬効成分と付着性向上剤は混合物となって、疾患患部に付着し接触して、接触時間を長くする作用を発揮する。
【0093】
本発明の咀嚼用医薬品において、樹脂成分、軟化成分、薬効成分、賦形剤などに加えて、さらに、目的に応じた他の成分を含有することも可能である。
例えば、無機粉末充填剤、滑剤、増量剤、充填剤、などが使用される。例えば、乳化剤としては、レシチン、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、ステアリン酸グリセロール、ステアリン酸プロピレングリコールなどが使用される。その他、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、グリセリントリアセテート、グリセリン、ロジンのアルコールエステル、ロジンのセルロースエステル、ロジンのグリセロールエステルなどが使用される。無機粉末充填剤としては、タルク粉末、シリカ粉末、水酸化アルミニウム粉末、珪酸アルミニウム粉末、珪酸カルシウム粉末、珪藻土粉末、酸化マグネシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、炭酸マグネシウム、燐酸2カルシウム粉末、アルミナ粉末などの人体に悪影響を及ぼさない粉末が使用される。なお、上記のうち、無機粉末充填剤、補強剤、滑剤、増量剤、充填剤は同じ目的で使用されることもある。また、これらの成分のうち、前述の軟化成分と同じ目的で使用される成分もある。これらのガム成分のうちの数種類の成分を選択して、組み合わせて使用することにより、口の中で噛んだときの、薬効成分の口内放出性、硬さ、柔軟性、粘着性、粘弾性、および、長時間噛んだときのこれらの特性の経時変化性、等の種々の噛み味を有する咀嚼用医薬品を得ることができる。
【0094】
本発明の咀嚼用医薬品の製造方法は、前述の咀嚼用医薬品を製造するための咀嚼用医薬品の製造方法であって、(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分混合物を調製する工程と、(b)前記樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を調製する工程と、(c)前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用医薬品を得る工程と、からなり、前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化した状態であり、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態であるとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分と相溶可能な温度に加熱した状態で、前記樹脂成分と前記軟化成分を混練し、
前記(b)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練し、
前記(c)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型することを特徴とする。
【0095】
また、前記(c)工程において、前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型し、さらに、その後、所定の形状に成型された成型物の表面にコーティング剤を被覆して、咀嚼用医薬品を得る工程を有することも可能である。
【0096】
一般に、薬効成分は、熱、湿度、空気などの影響により、薬効成分が変性したり、劣化したりする恐れがある。また、複数の薬効成分が含有されている場合には、熱、湿度、空気などの影響により、それらの薬効成分が化学反応して成分変化を生じる恐れもある。
上記の製造方法により、製造過程において、熱、湿度、空気などの影響により、薬効成分の劣化が生じることなく、さらに、使用成分の互いの反応により成分変化が生じることのない、製造上において常に安定した品質の咀嚼用医薬品を製造できる。
【0097】
上記の製造方法において、薬効成分が主として消炎効能を発揮する消炎剤を含有する構成においては、充分な消炎効能を発揮できるとともに、副作用のない薬効成分濃度であって、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能で、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有し、咽喉の炎症に対して、主として消炎効能を有する咀嚼用医薬品が得られる。
【0098】
また、上記の製造方法において、薬効成分が消炎剤と殺菌剤とを含有する構成においても、製造過程中に、熱、湿度、空気などの影響により、消炎剤と殺菌剤とが互いに反応することがなく、製造上において常に安定した品質の咀嚼用医薬品を製造できる。さらに、上記の作用効果に加えて、充分な消炎効能と殺菌作用を発揮できるとともに、咽喉の炎症に対して、主として消炎効能を発揮するとともに、口内を殺菌する殺菌作用を発揮し、この消炎効能と殺菌作用の相乗効果により、患部の炎症を治癒する効果が著しく向上した咀嚼用医薬品が得られる。
【0099】
前記(a)工程の樹脂成分と軟化成分を混練して、樹脂成分と軟化成分が互いに均一に混合された樹脂成分・軟化成分混合物を調製する工程としては、菓子用チューインガムの製造に使用されている公知の製造工程が使用できる。
【0100】
前記(b)工程の樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分とを混練して、樹脂成分と軟化成分と薬効成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を調製する工程としては、特に限定しないが、例えば、バッチ式のスクリュー式混練機、バッチ式の羽根式混練機、バッチ式のロール式混練機、または、このような混練機に気圧や重しを加えた状態で混練するバッチ式の加圧式混練機、等の混練機を使用して、特に、使用する薬効成分が劣化しない温度範囲であって、樹脂成分・軟化成分混合物が粘性を有して、その樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分とが互いに混練可能な温度範囲で混練する。薬効成分の劣化を防止するために、望ましい温度範囲としては、使用する樹脂成分、軟化成分、薬効成分などの種類によって異なるが、40℃以下の温度下で混練することが必要である。さらに望ましくは、20℃から40℃の温度範囲が望ましい。40℃以上においては、薬効成分が混練中に高温の温度、空気、水分などによって変質し、劣化する恐れがある。20℃以下の温度においては、樹脂成分・軟化成分混合物の粘性が低くなり、混練ができないような粘性状態となる傾向がある。また、窒素などの不活性気体の雰囲気中で混練することが望ましく、混練中における薬効成分が空気中の酸素や水分と反応して変質することが防止できる。また、加圧式混練機を使用して加圧しながら混練することにより混練時間を短縮できる作用効果が得られる。また、加圧式混練機は空気を遮断しながら混練する作用効果も得られる。これにより、薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物が得られる。
【0101】
前記(c)前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用医薬品を得る工程としては、特に限定しないが、例えば、一般に薄板状の菓子チューインガムの製造に使用されている公知の押出方式の押出成形機を使用して、薄板状、円盤形状、その他の任意の形状のガム製医用成型材を得ることができる。ただし、菓子チューインガムの製造方式と比較して、使用している薬効成分が劣化しない温度範囲であって、使用するガム基剤が粘性を有して所定形状に加工できる温度範囲で成形することが必要である。望ましい温度範囲としては、使用する樹脂成分、軟化成分、薬効成分などの種類によって異なるが、薬効成分の劣化を防止するために40℃以下の温度が望ましい。さらに望ましくは、20℃から40℃の温度範囲が望ましい。40℃以上においては、薬効成分が混練中に高温の温度、空気、水分などによって変質し、劣化する恐れがある。20℃以下の温度においては、樹脂成分・軟化成分混合物の粘性が低くなり、混練ができないような粘性状態となる傾向がある。また、窒素などの不活性気体の雰囲気中で混練することが望ましく、混練中における薬効成分が空気中の酸素や水分と反応して変質することが防止できる。また、加圧式混練機を使用して加圧しながら混練することにより混練時間を短縮できる作用効果が得られる。また、加圧式混練機は空気を遮断しながら混練する作用効果も得られる。これにより、薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物が得られる。
【0102】
また、前記(c)工程において、前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型し、さらに、その後、所定の形状に成型された成型物の表面にコーティング剤を被覆して、咀嚼用医薬品を得る工程を有する工程において、コーティング剤を被覆して咀嚼用医薬品を得る工程としては、特に限定しないが、咀嚼用医薬品の保存中における湿度による薬効成分の劣化を防止するための防湿効果を有するコーティング剤、咀嚼用医薬品に甘味を付与するコーティング材、または、製造した医薬品同士の粘着を防止するための粘着防止材や粘着防止粉末が使用できる。コーティング剤としては、例えば、粉末マルチトール、水飴、アラビアガムを含有する蜜糖、着色剤、ワックス剤、薬効成分特有の味を緩和するために甘味・果物などの味に類似する果物味、清涼感を奏するための清涼味などを発揮する成分を含むコーティング剤が使用できる。
【0103】
前記の(b)工程において、粒子径が50μm以下の粉末状粒子形状を有する薬効成分を使用することが望ましい。これにより、その粒子径50μm以下の粉末状粒子を有する薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に混練されて、均一に分散される。通常には、この混練工程中においては、薬効成分は樹脂成分・軟化成分混合物に溶けることはなく、その薬効成分の粉末状粒子径の大きさが維持された状態で樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して存在する。また、この混練工程中において、薬効成分の粉末状粒子径の大きさが粉砕されたとしても、その粒子径は50μm以下となり、大きくなることはない。
【0104】
本発明の他の咀嚼用医薬品の製造方法は、前述の咀嚼用医薬品を製造するための咀嚼用医薬品の製造方法であって、少なくとも、樹脂成分と軟化成分と薬効成分と賦形剤とを含有する咀嚼用医薬品の製造方法である。すなわち、樹脂成分と軟化成分と薬効成分に加えて、賦形剤が含有された咀嚼用医薬品の製造方法である。
この樹脂成分と軟化成分と薬効成分と賦形剤とを含有する咀嚼用医薬品の製造方法は、(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分混合物を調製する工程と、(d)薬効成分と賦形剤とを均一に混合して、薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程と、(e)前記樹脂成分・軟化成分混合物と前記薬効成分・賦形剤混合物を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分と前記賦形剤が均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程と、(f)前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用医薬品を得る工程と、からなる。
そして、前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化した状態であり、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態であるとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分と相溶可能な温度範囲で、前記樹脂成分と前記軟化成分を混練する。
前記(e)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練し、さらに望ましくは、20℃から40℃の温度範囲が望ましい。40℃以上においては、薬効成分が混練中に高温の温度、空気、水分などによって変質し、劣化する恐れがある。20℃以下の温度においては、樹脂成分・軟化成分混合物の粘性が低くなり、混練ができないような粘性状態となる傾向がある。
前記(f)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型し、さらに望ましくは、20℃から40℃の温度範囲が望ましい。40℃以上においては、薬効成分が混練中に高温の温度、空気、水分などによって変質し、劣化する恐れがある。20℃以下の温度においては、樹脂成分・軟化成分混合物の粘性が低くなり、所定の形状に成型できないような高粘度の粘性状態となる傾向がある。
【0105】
前記の(d)工程が、薬効成分と賦形剤とを均一に混合して、薬効成分・賦形剤混合物を調製し、その後、得られた薬効成分・賦形剤混合物と樹脂成分・軟化成分混合物とを均一に混練して、樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程を有することが望ましい。このように、あらかじめ、薬効成分と賦形剤とを均一に混合することにより、薬効成分の凝集が防止されて、薬効成分が賦形剤とともに均一に分散された薬効成分・賦形剤混合物が得られる。この工程において、賦形剤が滑剤としての機能を発揮するために、薬効成分が賦形剤とともに均一に分散されるものと思われる。その後、その薬効成分が賦形剤とともに均一に分散された薬効成分・賦形剤混合物と樹脂成分・軟化成分混合物とを混練することにより、薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散されるとともに、賦形剤も樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散された咀嚼用医薬品が得られる。
薬効成分と賦形剤とを均一に混合して薬効成分・賦形剤混合物を調製する方法としては、例えば、一般家庭で使用される果物・野菜用回転羽根を備えたミキサーを使用してこれらの成分を混合する方法、または、このような家庭用回転羽根式ミキサーに類似する機構を持った工業用回転羽根式ミキサーを使用して、薬効成分と賦形剤とを均一に混合することができる。また、回転する円筒容器の中に薬効成分と賦形剤を投入して、薬効成分と賦形剤とを均一に混合する方法が使用できる。また、乳鉢の中に薬効成分と賦形剤を投入して棒ですりつぶす方法がある。また、密閉容器の中に薬効成分と賦形剤を投入して、空気または窒素等の不活性気体を流して、気流により薬効成分と賦形剤とを均一に混合する方法が使用できる。
【0106】
また、前記(d)工程は、前記薬効成分と前記賦形剤とを混合しながら、前記薬効成分を、粒子径が50μm以下の大きさに粉砕して、均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製し、その後、得られた前記薬効成分・賦形剤混合物と前記樹脂成分・軟化成分混合物とを均一に混練して、樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程を有し、これらの工程により、前記賦形剤と、粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分を、樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して、前記薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記樹脂成分・軟化成分混合物に覆われるように含有させることを特徴とする咀嚼用医薬品が製造される。
薬効成分として粉末状粒子形状を有する薬効成分を使用し、薬効成分と賦形剤とを混合しながら薬効成分を粒子径が50μm以下の大きさに粉砕して、均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製する方法としては、例えば、前述した混合装置が使用できる。すなわち、一般家庭で使用される果物・野菜用回転羽根を備えたミキサーを使用してこれらの成分を混合する方法、または、このような家庭用回転羽根式ミキサーに類似する機構を持った工業用回転羽根式ミキサーを使用して、薬効成分と賦形剤とを均一に混合することができる。また、回転する円筒容器の中に薬効成分と賦形剤を投入して、薬効成分と賦形剤とを均一に混合する方法が使用できる。また、乳鉢の中で棒により薬効成分と賦形剤とを均一に混合する方法が使用できる。また、密閉容器の中に薬効成分と賦形剤を投入して、空気または窒素等の不活性気体を流して、気流により薬効成分と賦形剤とを均一に混合する方法が使用できる。これらの混合装置を使用して混合動作条件を選択使用することにより、薬効成分と賦形剤とを粒子径50μm以下の大きさに粉砕するとともに、粒子径50μm以下の大きさの薬効成分と賦形剤とが均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製することができる。
【0107】
薬効成分と併用して賦形剤が使用される構成においては、その賦形剤も粒子径は50μm以下の粉末状粒子形状であって、その粉末状粒子形状の薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して含有されている咀嚼用医薬品が使用できる。
【0108】
また、薬効成分自身が液体形状である場合には、その液状薬効成分をタルク粉末やシリカ粉末などの担持機能を有する粒子径50μm以下の無機粉末に吸着または含浸させて担持させた粉末状粒子形状として構成し、その薬効成分を担持した粒子径50μm以下の無機粉末を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して含有することができる。
【0109】
さらに、賦形剤自身が液体形状である場合にも、その液状賦形剤をタルク粉末やシリカ粉末などの担持機能を有する粒子径50μm以下の無機粉末に吸着または含浸させて担持させた粉末状粒子形状として構成し、その賦形剤を担持した無機粉末を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して含有することができる。
【0110】
上記の咀嚼用医薬品の製造方法において、前記賦形剤は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、前記(d)工程において、前記薬効成分を粒子径が50μm以下の大きさに粉砕するとともに、前記賦形剤も粒子径が50μm以下の大きさに粉砕し、この工程により、粒子径が50μm以下の大きさの前記賦形剤と粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して、前記薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記樹脂成分・軟化成分混合物に覆われるように含有させる製造方法も使用できる。
キシリトール、エリスリトール、およびL−メントールは常温では固形状粉末であり、例えば、清涼剤としても使用されている。このようなキシリトール、エリスリトール、L−メントーのうちの少なくとも1種類と薬効成分とを均一に混合するとともに、粒子径が50μm以下の薬効成分・賦形剤混合物が得られる。その後、この薬効成分・賦形剤混合物と(a)工程で調整した樹脂成分・軟化成分混合物とを混練することにより、薬効成分や賦形剤が凝集することなく、薬効成分や賦形剤が樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物が調製される。
この製造方法により、薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散する効果が向上し、薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記樹脂成分・軟化成分混合物に覆われるように含有される効果も向上する。
【0111】
この製造方法により製造される咀嚼用医薬品において、特に、薬効成分が前述の消炎剤や殺菌剤を含有する医薬品の場合、消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果がさらに向上するとともに、薬効成分の患部への付着持続性が向上する。
【0112】
また、特に、薬効成分が、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸メチル、塩化リゾチウム、グリチルリチン酸ジカリウム、マレイン酸クロルフェニラミンからなる群から選ばれる少なくともひとつの、主として消炎効能を発揮する消炎剤を使用した場合に、このような著しく優れた作用効果を発揮する咀嚼用医薬品が製造できる。
【0113】
これらの消炎剤のうち、特に、アズレンスルホン酸ナトリウムは、温度、空気中の酸素や水分、光等により変質し劣化しやすい性質を持っているために、少なくともアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する咀嚼用医薬品は、このような製造方法により製造されることにより、特に優れた作用効果が得られる。
一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵安定性を有し、咀嚼可能な弾性形態を有する咀嚼用医薬品が得られる。また、咀嚼により、柔軟性を発揮し、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、さらに、薬効成分が咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する機能を有する咀嚼用医薬品が得られる。
さらに、製造過程において、熱などの影響により、薬効成分の劣化が生じることなく、さらに、使用成分の互いの反応により成分変化が生じることのない、製造上において常に安定した品質の医薬品を製造できる咀嚼用医薬品が製造できる。特に、これらの作用効果を有する咽喉の消炎効能を奏する咀嚼用医薬品が製造方法できる。
【0114】
薬効成分として、少なくとも、消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとの双方の消炎剤と、殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウムの殺菌剤とを含有した咀嚼用医薬品の製造方法も、前述の優れた消炎効能がさらに向上するとともに、その消炎効能に加えて、優れた殺菌作用を奏する咀嚼用医薬品が製造方法できる。
すなわち、前述したように、クリチルリチン酸ジカリウムは、口内の疾患患部に直接に接触して消炎効能を発揮するとともに、胃腸などの消化器官に流れて血流内に取り込まれることにより消炎効能を発揮する双方の効能を有している。
従って、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとの双方の消炎剤を含有することにより、効果的に消炎効能を発揮した咀嚼用医薬品が得られる。
さらに、殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウムを併用することにより、口内の疾患患部の炎症を消炎し治癒する効果がさらに著しく向上する。
【0115】
なお、本発明においては、医薬品または食品添加物に関する条令・法令などの法規において許容される範囲内で、その含有成分の種類、含有成分の組み合わせ、含有成分の含有濃度、等を選択して含有させることができる。さらに、厚生労働省より出されている「医薬品製造販売指針」を参酌して製造することができる。
【実施例】
【0116】
以下に、本発明の咀嚼用医薬品および咀嚼用医薬品の製造方法について、典型的実施例を説明する。
【0117】
(典型的実施例1)
本実施例では、樹脂成分と軟化成分を含有し、薬効成分として、主として、咽喉の疾患患部に直接に接触して患部の炎症を低減し、治癒する効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウム(約90℃以下の低温では固体形状、高温で分解、正確な融点・分解温度は不明)を使用した咀嚼用医薬品について説明する。アズレンスルホン酸ナトリウムは、90℃以下の低温では固体形状であり、高温で分解しやすい性質を有する。また、空気中の酸素や湿度、水分、及び光などにより、変質劣化しやすい性質を持つ。
まず、樹脂成分と軟化成分を混練して樹脂成分・軟化成分混合物を調製する工程を説明する。樹脂成分として、酢酸ビニル樹脂とポリイソブチレンを使用し、軟化成分としては、ジェルトン、エステルガム、マイクロクリスタリンワックス及びグリセリン脂肪酸エステルを使用する。これらのそれぞれの成分の所定量を秤量し、混練機の中に投入して、使用したそれぞれの成分が互いに溶融可能な温度で、均一になるまで混練する。このようにして、樹脂成分と軟化成分が互いに混練された樹脂成分・軟化成分混合物が得られる。得られた樹脂成分・軟化成分混合物は公知の菓子用チューインガムに類似する粘弾性固形を有する。
次に、樹脂成分・軟化成分混合物と、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混練して樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を調製する工程を説明する。上記のようにして得られる所定量の樹脂成分・軟化成分混合物を加圧式混練機に投入し予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを加えて、これらの樹脂成分と軟化成分と薬効成分を混練して、均一に混合されたを調製する。この工程において、薬効成分は、樹脂成分・軟化成分混合物の中に分散されるように、充分に混合されて混練される。この混練工程においては、使用した薬効成分が変質劣化しない温度範囲で混練する必要があり、本実施例では、40℃を超えることなく、約35℃の雰囲気温度で混練する。このようにして、樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物が調製される。
次に、得られる樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を、押出し成型機と圧縮成型機を使用して、気泡が在留しない円盤状の咀嚼用医薬品を調製する。この成型工程においても、使用した薬効成分が変質劣化しない温度範囲の40℃を超えることなく、約35℃の雰囲気温度で混練する。このようにして、咀嚼用医薬品が調製される。
【0118】
本実施例において使用される咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.4重量部)、酢酸ビニル樹脂(19重量部)、ポリイソブチレン(26重量部)、ジェルトン(9重量部)、エステルガム(10重量部)、マイクロクリスタリンワックス(28重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(7.6重量部)である。
【0119】
次に、コーティング工程について説明する。上記のようにして得られる円盤状咀嚼用医薬品をコーティング装置の中に入れ、ここに糖蜜(マルチトール、水飴、アラビアガム、水よりなる混合物)を混入して後、送風乾燥して第一糖蜜層を形成し、その後、着色料を溶かした糖蜜をコーティング装置に投入して着色コーティング層を形成し、その後、さらに、糖蜜を投入・送風乾燥して第二糖蜜層を形成し、その後、ワックス含有艶出し液を投入して混合・送風乾燥して艶出し層を形成し、その後、特殊ワックスを含有する防湿コーティング液を投入・送風乾燥して、複数のコーティング層より被覆された咀嚼用医薬品を製造する。なお、このコーティング工程においても、使用する薬効成分が変質劣化しない範囲の温度範囲で処理される。本実施例においては、約35℃の雰囲気温度で処理する。このようにして、コーティングされた咀嚼用医薬品が製造される。このようにして製造される咀嚼用医薬品は、直径約17mm・厚さ約10mmの円盤形状を有する。また、約36℃で機械的圧力を加えることにより、容易に粘弾性変形出来るような硬さ・粘弾性を有する。さらに、噛んだ時に、ばらばらの小塊状に分離することなく、柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持している。
【0120】
(典型的実施例2)
本実施例では、薬効成分として、主として、殺菌効能を発揮する塩化セチルピリジニウム(常温で固体形状、融点:約80−84℃)を使用する。樹脂成分と軟化成分などのその他の成分は、典型的実施例1で説明した成分と同じである。
薬効成分として塩化セチルピリジニウムを使用して、典型的実施例1で説明した方法と同じ方法により、咀嚼用医薬品を製造する。塩化セチルピリジニウムは、常温で固体形状を有し、融点は約80℃から約84℃である。
本実施例において使用される咀嚼用医薬品の成分は、塩化セチルピリジニウム(0.4重量部)、酢酸ビニル樹脂(19重量部)、ポリイソブチレン(26重量部)、ジェルトン(9重量部)、エステルガム(10重量部)、マイクロクリスタリンワックス(28重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(7.6重量部)である。
製造された咀嚼用医薬品は典型的実施例1と比べて薬効が異なるが、その他の性能は典型的実施例1で説明した内容と同じ性能を有する。
【0121】
(典型的実施例3)
本実施例では、薬効成分として、主として、消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムと、殺菌効能を発揮する塩化セチルピリジニウムを使用する。樹脂成分と軟化成分などのその他の成分は、典型的実施例1で説明した成分と同じである。
薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムと塩化セチルピリジニウムを使用して、典型的実施例1で説明した方法と同じ方法により、咀嚼用医薬品を製造する。
本実施例において使用される咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.3重量部)、塩化セチルピリジニウム(0.1重量部)、酢酸ビニル樹脂(19重量部)、ポリイソブチレン(26重量部)、ジェルトン(9重量部)、エステルガム(10重量部)、マイクロクリスタリンワックス(28重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(7.6重量部)である。
製造された咀嚼用医薬品は典型的実施例1と比べて薬効が異なるが、その他の性能は典型的実施例1で説明した内容と同じ性能を有する。
【0122】
(典型的実施例4)
本実施例では、薬効成分として、主として、消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウム(約90℃以下の低温では固体形状、高温で分解、正確な融点・分解温度は不明)とグリチルリチン酸ジカリウム(常温で固体形状、融点:60℃以上)と、殺菌効能を発揮する塩化セチルピリジニウム(常温で固体形状、融点:約80−84℃)を使用する。樹脂成分と軟化成分などのその他の成分は、典型的実施例1で説明した成分と同じである。
薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムを使用して、典型的実施例1で説明した方法と同じ方法により、咀嚼用医薬品を製造する。グリチルリチン酸ジカリウムは、常温で固体形状であり、融点は60℃以上である。
本実施例において使用される咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.1重量部)、グリチルリチン酸ジカリウム(0.2重量部)、塩化セチルピリジニウム(0.1重量部)、酢酸ビニル樹脂(19重量部)、ポリイソブチレン(26重量部)、ジェルトン(9重量部)、エステルガム(10重量部)、マイクロクリスタリンワックス(28重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(7.6重量部)である。
製造された咀嚼用医薬品は典型的実施例1と比べて薬効が異なるが、その他の性能は典型的実施例1で説明した内容と同じ性能を有する。
【0123】
(典型的実施例5)
本実施例では、薬効成分として、主として、消炎効能を発揮するグリチルリチン酸ジカリウムを使用する。樹脂成分と軟化成分などのその他の成分は、典型的実施例1で説明した成分と同じである。
薬効成分としてグリチルリチン酸ジカリウムを使用して、典型的実施例1で説明した方法と同じ方法により、咀嚼用医薬品を製造する。
本実施例において使用される咀嚼用医薬品の成分は、グリチルリチン酸ジカリウム(0.4重量部)、酢酸ビニル樹脂(19重量部)、ポリイソブチレン(26重量部)、ジェルトン(9重量部)、エステルガム(10重量部)、マイクロクリスタリンワックス(28重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(7.6重量部)である。
製造された咀嚼用医薬品は典型的実施例1と比べて薬効が異なるが、その他の性能は典型的実施例1で説明した内容と同じ性能を有する。
【0124】
(典型的実施例6)
本実施例では、薬効成分として、主として、消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムを使用する。樹脂成分と軟化成分などのその他の成分は、典型的実施例1で説明した成分と同じである。
薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムを使用して、典型的実施例1で説明した方法と同じ方法により、咀嚼用医薬品を製造する。
本実施例において使用される咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.1重量部)、グリチルリチン酸ジカリウム(0.3重量部)、酢酸ビニル樹脂(19重量部)、ポリイソブチレン(26重量部)、ジェルトン(9重量部)、エステルガム(10重量部)、マイクロクリスタリンワックス(28重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(7.6重量部)である。
製造された咀嚼用医薬品は典型的実施例1と比べて薬効が異なるが、その他の性能は典型的実施例1で説明した内容と同じ性能を有する。
【0125】
(典型的実施例7)
本実施例では、樹脂成分と軟化成分と薬効成分を含有し、さらに、賦形剤を含有する咀嚼用医薬品について説明する。薬効成分として、消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと、殺菌効能を発揮する塩化セチルピリジニウムを使用する。樹脂成分としては、酢酸ビニル樹脂とポリイソブチレンを使用する。軟化成分としては、ジェルトン、エステルガム、マイクロクリスタリンワックス及びグリセリン脂肪酸エステルを使用する。賦形剤としては、キシリトール(常温で固体形状、融点:約92−96℃)、エリスリトール(常温で固体形状、融点:約121℃)、L−メントール(常温で固体形状、融点:約42−45℃)、水飴、タルク粉末を使用する。
まず、樹脂成分と軟化成分を混練して樹脂成分・軟化成分混合物を調製する工程を説明する。樹脂成分として、酢酸ビニル樹脂とポリイソブチレンを使用し、軟化成分としては、ジェルトン、エステルガム、マイクロクリスタリンワックス及びグリセリン脂肪酸エステルを使用する。これらのそれぞれの成分の所定量を秤量し、混練機の中に投入して、使用したそれぞれの成分が互いに溶融可能な温度で、均一になるまで混練する。このようにして、樹脂成分と軟化成分が互いに混練された樹脂成分・軟化成分混合物が得られる。得られた樹脂成分・軟化成分混合物は公知の菓子用チューインガムに類似する粘弾性固形を有する。
【0126】
次に、薬効成分と賦形剤とを混合して薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程を説明する。別途、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウム(約90℃以下の低温では固体形状、高温で分解、正確な融点・分解温度は不明)、グリチルリチン酸ジカリウム(常温で固体形状、融点:60℃以上)、塩化セチルピリジニウム(常温で固体形状、融点:約80−84℃)と、賦形剤としてのキシリトール(常温で固体形状、融点:約92−96℃)、エリスリトール(常温で固体形状、融点:約121℃)、L−メントール(常温で固体形状、融点:約42−45℃)のそれぞれの粉末状成分の所定量を秤量し、家庭用ミキサーに類似する混合器の中に投入して、破砕するとともに、均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製する。混合した後においても、これらの薬効成分と賦形剤は、いずれも、粉末粒子形状であり、それぞれの成分の粒子径は50μm以下である。この破砕混合工程において、使用したそれぞれの成分が融解しない範囲の温度範囲の雰囲気中で混合される。本実施例においては、25℃の雰囲気温度の中で破砕混合する。
【0127】
次に、樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分・賦形剤混合物とを混練して樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程を説明する。上記のようにして得られた所定量の樹脂成分・軟化成分混合物を加圧式混練機に投入し、さらに、所定量のタルク粉末と水飴を加えて予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、上記のようにして得られた薬効成分・賦形剤混合物を加えて、これらの樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分・賦形剤混合物を混練して、均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する。この工程において、薬効成分と賦形剤は樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散されるように、充分に混合されて混練される。この混練工程においては、使用した薬効成分や賦形剤が変質劣化しない範囲の温度範囲で混練される。本実施例においては、40℃以下の約35℃の雰囲気温度で混練する。特に、薬効成分は凝集することなく、樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して存在する。
【0128】
次に、上記のようにして得られた樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を、押出し成型機と圧縮成型機を使用して、気泡が在留しない円盤状の咀嚼用医用成型材を調製する。この成型工程においても、使用した薬効成分や賦形剤が変質劣化しない範囲の温度範囲の40℃以下の35℃で成型される。
【0129】
得られた咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.1重量部)、グリチルリチン酸ジカリウム(0.3重量部)、塩化セチルピリジニウム(0.1重量部)と、賦形剤としてのキシリトール(38重量部)、エリスリトール(19重量部)、L−メントール(1.5重量部)、水飴(2重量部)、タルク粉末(4重量部)、酢酸ビニル樹脂(8重量部)、ポリイソブチレン(10重量部)、ジェルトン(3重量部)、エステルガム(4重量部)、マイクロクリスタリンワックス(10重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(2重量部)である。である。
【0130】
次に、コーティング工程について説明する。上記のようにして得られる円盤状咀嚼用医薬品をコーティング装置の中に入れ、ここに糖蜜(マルチトール、水飴、アラビアガム、水よりなる混合物)を混入してのち送風乾燥して第一糖蜜層を形成し、その後、着色料を溶かした糖蜜をコーティング装置に投入して着色コーティング層を形成し、その後、さらに、糖蜜を投入・送風乾燥して第二糖蜜層を形成し、その後、ワックス含有艶出し液を投入して混合・送風乾燥して艶出し層を形成し、その後、特殊ワックスを含有する防湿コーティング液を投入・送風乾燥して、複数のコーティング層より被覆された咀嚼用医薬品を製造する。なお、このコーティング工程においても、使用する薬効成分が変質劣化しない範囲の温度範囲で処理される。本実施例においては、約35℃の雰囲気温度で処理する。このようにして、コーティングされた咀嚼用医薬品が製造される。このようにして製造される咀嚼用医薬品は、直径約17mm・厚さ約10mmの円盤形状を有する。また、約36℃で機械的圧力を加えることにより、容易に粘弾性変形出来るような硬さ・粘弾性を有する。さらに、噛んだ時に、ばらばらの小塊状に分離することなく、柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持している。
【0131】
(比較例1)
上述の典型的実施例7においては、あらかじめ、薬効成分とキシリトールなどの賦形剤とを混合して薬効成分・賦形剤混合物を調製し、その薬効成分・賦形剤混合物と樹脂成分・軟化成分混合物とを混練する方法であるが、これに対して、本比較例では、まず、薬効成分のみと樹脂成分・軟化成分混合物とを混練し、その混練中に、さらにキシリトールなどの賦形剤を添加して混練を続ける方法である。すなわち、典型的実施例7と同じように、複数種類の樹脂成分と軟化成分を混練して調製された樹脂成分・軟化成分混合物に薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを添加して混練を続けた。この場合、アズレンスルホン酸ナトリウムの一部は凝集して樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散されなかった。また、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとを同時に添加して混練を続けたが、この場合においても、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムの一部は凝集して樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散されなかった。また、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムとを同時に添加して混練を続けたが、この場合においても、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムの一部は凝集して樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散されなかった。その後、さらに、混練しているこれらの薬効成分と樹脂成分・軟化成分混合物との中に、賦形剤としてのキシリトール、エリスリトール、L−メントール、水飴を添加して加えて混練を続けたが、この場合においても、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムの一部は凝集した状態でガム基剤の中に存在していた。
【0132】
また、複数種類の樹脂成分と軟化成分を混練して調製された樹脂成分・軟化成分混合物に、賦形剤としての水飴を添加して混練し、その後、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを添加して混練を続けた。次に、グリチルリチン酸ジカリウムを添加して混練を続け、さらに、塩化セチルピリジニウムを添加して混練を続けた。この場合においても、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムの一部は凝集した状態でガム基剤の中に存在していた。これらの混練工程においても、典型的実施例7と同じように、使用した薬効成分や賦形剤が融解しない範囲の温度範囲の約35℃の雰囲気温度で混練した。
【0133】
すなわち、典型的実施例7のように、あらかじめ、薬効成分と賦形剤とを混合して薬効成分・賦形剤混合物を調製し、その薬効成分・賦形剤混合物とガム基剤とを混練する方法の場合には、薬効成分と賦形剤は樹脂成分・軟化成分混合物の中に凝集することなく均一に分散して存在するが、これに対して、本比較例1のように、樹脂成分・軟化成分混合物の中に、薬効成分と賦形剤とを別々に添加して混練する方法の場合には、薬効成分の一部が凝集して均一に分散されなかった。このことから、キシリトール、エリスリトール、L−メントールなどの賦形剤が、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、塩化セチルピリジニウムなどの薬効成分を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散させる滑剤としての機能をも有しているためであると思われる。
【0134】
(典型的実施例8)
上記の典型的実施例7で説明した薬効成分と賦形剤とを混合して薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程において、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムのみを使用し、賦形剤としてキシリトールとL−メントールを使用し、それぞれの粉末状成分の所定量を秤量し、乳鉢の中で乳棒により破砕するとともに均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製する。混合した後においても、これらの薬効成分と賦形剤は、いずれも、粉末粒子形状であり、それぞれの成分の粒子径は50μm以下である。この破砕混合工程において、使用したそれぞれの成分が融解しない範囲の温度範囲の雰囲気中の25℃の雰囲気温度の中で破砕混合する。次に、上記の典型的実施例7と同じ樹脂成分・軟化成分混合物を使用して、所定量の樹脂成分・軟化成分混合物を窒素気体を充満した混練機に投入し、さらに、所定量の水飴とタルク粉末を加えて予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、上記のようにして得られた薬効成分・賦形剤混合物を加えて、これらの樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分・賦形剤混合物を混練して、均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する。次に、上記のようにして得られた樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を、押出し成型機と圧縮成型機を使用して、円盤状の咀嚼用医薬品を調製する。この成型工程においても、使用した薬効成分や賦形剤が変質劣化しない範囲の温度範囲で成型され、40℃以下の35℃で処理される。これにより、薬効成分は凝集することなく、樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して存在する。
【0135】
得られた咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.5重量部)、賦形剤としてのキシリトール(38重量部)、エリスリトール(19重量部)、L−メントール(1.5重量部)、水飴(2重量部)、タルク粉末(4重量部)、酢酸ビニル樹脂(8重量部)、ポリイソブチレン(10重量部)、ジェルトン(3重量部)、エステルガム(4重量部)、マイクロクリスタリンワックス(10重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(2重量部)である。である。
【0136】
上記のようにして得られた咀嚼用医薬品の表面に、典型的実施例1と同じようにコーティング層を形成することが可能である。
このようにして製造された咀嚼用医薬品は、約36℃で機械的圧力を加えることにより、容易に粘弾性変形出来るような硬さ・粘弾性を有する。さらに、噛んだ時に、ばらばらの小塊状に分離することなく、柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持している。
【0137】
(典型的実施例9)
上記の典型的実施例7で説明した薬効成分と賦形剤とを混合して薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程において、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムを使用し、賦形剤としてキシリトールとエリスリトールとL−メントールを使用し、それぞれの粉末状成分の所定量を秤量し、乳鉢の中で乳棒により破砕するとともに均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製する。混合した後においても、これらの薬効成分と賦形剤は、いずれも、粉末粒子形状であり、それぞれの成分の粒子径は50μm以下である。この破砕混合工程において、使用したそれぞれの成分が融解しない範囲の温度範囲の雰囲気中の25℃の雰囲気温度の中で破砕混合する。次に、上記の典型的実施例7と同じ樹脂成分と軟化成分を使用して、所定量の樹脂成分・軟化成分混合物を窒素気体を充満した混練機に投入し、さらに、所定量の水飴とタルク粉末を加えて予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、上記のようにして得られた薬効成分・賦形剤混合物を加えて、これらの樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分・賦形剤混合物を混練して、均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製した。次に、上記のようにして得られた樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を、押出し成型機を使用して、薄板状の形状に調製した。この成型工程においても、使用した薬効成分や賦形剤が変質劣化しない40℃以下の温度範囲で成型される。このようにして製造された咀嚼用医薬品において、薬効成分は凝集することなく、その咀嚼用医薬品の中に均一に分散して存在する。
【0138】
得られた咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.2重量部)、グリチルリチン酸ジカリウム(0.3重量部)、賦形剤としてのキシリトール(38重量部)、エリスリトール(19重量部)、L−メントール(1.5重量部)、水飴(2重量部)、タルク粉末(4重量部)、酢酸ビニル樹脂(8重量部)、ポリイソブチレン(10重量部)、ジェルトン(3重量部)、エステルガム(4重量部)、マイクロクリスタリンワックス(10重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(2重量部)である。
【0139】
(典型的実施例10)
上記の典型的実施例7で説明した薬効成分と賦形剤とを混合して、薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程において、薬効成分として、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムの消炎剤と、主として殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウムとを使用し、賦形剤としてキシリトールとエリスリトールを使用し、それぞれの粉末状成分の所定量を秤量し、乳鉢の中で乳棒により破砕するとともに均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製する。混合した後においても、これらの薬効成分と賦形剤は、いずれも、粉末粒子形状であり、それぞれの成分の粒子径は50μm以下である。この破砕混合工程において、使用したそれぞれの成分が変質劣化しない範囲の温度範囲の雰囲気中の25℃の雰囲気温度の中で破砕混合する。次に、上記の典型的実施例7と同じ樹脂成分・軟化成分混合物を使用して混練機に投入し、さらに、所定量の水飴とタルク粉末を加えて予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、上記のようにして得られた薬効成分・賦形剤混合物を加えて、これらの樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分・賦形剤混合物を混練して、均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する。次に、上記のようにして得られた樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を、押出し成型機と圧縮成型機を使用して、板状の咀嚼用医薬品を調製する。この成型工程においても、使用した薬効成分や賦形剤が変質劣化しない範囲の温度範囲で成型される。
【0140】
得られた咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.2重量部)、塩化セチルピリジニウム(0.3重量部)、賦形剤としてのキシリトール(38重量部)、エリスリトール(20.5重量部)、水飴(2重量部)、タルク粉末(4重量部)、酢酸ビニル樹脂(8重量部)、ポリイソブチレン(10重量部)、ジェルトン(3重量部)、エステルガム(4重量部)、マイクロクリスタリンワックス(10重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(2重量部)である。
【0141】
(典型的実施例11)
上記の典型的実施例7で説明した薬効成分と賦形剤とを混合して、薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程において、薬効成分として、主として消炎効能を発揮するグリチルリチン酸ジカリウムの消炎剤を使用し、賦形剤としてエリスリトールとL−メントールを使用し、それぞれの粉末状成分の所定量を秤量し、乳鉢の中で乳棒により破砕するとともに均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製する。混合した後においても、これらの薬効成分と賦形剤は、いずれも、粉末粒子形状であり、それぞれの成分の粒子径は50μm以下である。この破砕混合工程において、使用したそれぞれの成分が変質劣化しない範囲の温度範囲の雰囲気中の25℃の雰囲気温度の中で破砕混合する。次に、上記の典型的実施例7と同じ樹脂成分と軟化成分を使用して、混練機に投入し、さらに、所定量の水飴とタルク粉末を加えて予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、上記のようにして得られた薬効成分・賦形剤混合物を加えて、これらの全ての成分を混練して、均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する。次に、上記のようにしてられた樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を、押出し成型機と圧縮成型機を使用して、円盤状の咀嚼用医薬品を調製する。この成型工程においても、使用した薬効成分や賦形剤が変質劣化しない範囲の温度範囲で成型される。得られた咀嚼用医薬品は、直径約17mm・厚さ約10mmの円盤形状を有する。
【0142】
得られた咀嚼用医薬品の成分は、グリチルリチン酸(0.5重量部)、賦形剤としてのエリスリトール(45重量部)、L−メントール(3.5重量部)、水飴(2重量部)、タルク粉末(4重量部)、酢酸ビニル樹脂(8重量部)、ポリイソブチレン(10重量部)、ジェルトン(3重量部)、エステルガム(4重量部)、マイクロクリスタリンワックス(10重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(2重量部)である。
【0143】
(典型的実施例12)
上記の典型的実施例7で説明した薬効成分と賦形剤とを混合して、薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程において、薬効成分として、主として消炎効能を発揮するグリチルリチン酸ジカリウムの消炎剤と、主として殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウムを使用し、賦形剤としてキシリトールとエリスリトールとL−メントールを使用し、それぞれの粉末状成分の所定量を秤量し、家庭用ミキサーに類似する粉砕混合機により破砕するとともに均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製する。混合した後においても、これらの薬効成分と賦形剤は、いずれも、粉末粒子形状であり、それぞれの成分の粒子径は50μm以下である。この破砕混合工程において、使用したそれぞれの成分が変質劣化しない範囲の温度範囲の雰囲気中の25℃の雰囲気温度の中で破砕混合する。次に、上記の典型的実施例7と同じ樹脂成分と軟化成分を使用して、混練機に投入し、さらに、所定量の水飴とタルク粉末を加えて予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、上記のようにして得られた薬効成分・賦形剤混合物を加えて、これらの全成分を混練して、均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する。次に、上記のようにして得られた樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を、押出し成型機と圧縮成型機を使用して、薄板状の咀嚼用医薬品を調製する。この成型工程においても、使用した薬効成分や賦形剤が変質劣化しない範囲の温度範囲で成型される。
【0144】
得られた咀嚼用医薬品の成分は、グリチルリチン酸(0.3重量部)、塩化セチルピリジニウム(0.2重量部)、賦形剤としてのキシリトール(39重量部)、エリスリトール(18重量部)、L−メントール(1.5重量部)、水飴(2重量部)、タルク粉末(4重量部)、酢酸ビニル樹脂(8重量部)、ポリイソブチレン(10重量部)、ジェルトン(3重量部)、エステルガム(4重量部)、マイクロクリスタリンワックス(10重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(2重量部)である。
【産業上の利用可能性】
【0145】
少なくとも、樹脂成分と軟化成分と薬効成分とを含有し、咀嚼可能な弾性形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮するとともに、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する機能を有することを特徴とする咀嚼用医薬品である。
これにより、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵安定性を有し、咀嚼可能な弾性形態を有する咀嚼用医薬品であって、咀嚼により、柔軟性を発揮し、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、さらに、薬効成分が咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する機能を有する咀嚼用医薬品が得られる。特に、これらの作用効果を有する咽喉の主として消炎効能と殺菌効能の少なくともひとつを有する咀嚼用医薬品が得られる。
また、樹脂成分と軟化成分と薬効成分に加えて、賦形剤を含有し、咀嚼可能な弾性形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮するとともに、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、薬効成分が、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する機能を有することを特徴とする咀嚼用医薬品である。この構成により、前述の作用効果が著しく向上した咀嚼用医薬品が得られる。
さらに、製造過程において、熱などの影響により、薬効成分の劣化が生じることなく、さらに、使用成分の互いの反応により成分変化が生じることのない、製造上において常に安定した品質の医薬品を製造できる咀嚼用医薬品の製造方法が提供される。特に、これらの作用効果を有する咽喉の消炎効能および/または殺菌効能を奏する咀嚼用医薬品の製造方法が提供される。
薬効成分としては、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する構成が特に望ましく、この構成により、空気中の酸素や水分及び光などによって変質劣化しやすい性質を有するアズレンスルホン酸ナトリウムの変質劣化が防止されるために、このアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する咀嚼用医薬品を一般家庭の室内に長期間保管しても優れた貯蔵安定性が得られ、さらに、アズレンスルホン酸ナトリウムが咀嚼により徐々に口内に放出されて、口内の咽喉などの疾患患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して患部の炎症を招宴する薬効を発揮することが可能となる咀嚼用医薬品が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、樹脂成分と軟化成分と薬効成分とを含有し、
前記樹脂成分と前記軟化成分は互いに混合された形態で存在し、
前記薬効成分は前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物に覆われた形態で存在し、
前記樹脂成分と前記軟化成分のそれぞれの成分は、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な性質を有するとともに、前記薬効成分と化学的に反応して前記薬効成分を変質させない性質を有し、
前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物は、咀嚼可能な弾性形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮するとともに、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する性質を有し、
前記薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する機能を有することを特徴とする咀嚼用医薬品。
【請求項2】
前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分は、常温保存状態において、互いに均一に混合された咀嚼可能な固形形態を有し、
前記薬効成分は、常温保存状態において、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物の中に均一に分散して存在し、
前記樹脂成分は、常温保存状態において固形の弾性形態を有し、
前記軟化成分は、常温保存状態において、前記樹脂成分の有する固形の弾性形態に柔軟性を付与する機能を有するとともに、咀嚼時において、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能を有し、
前記樹脂成分と前記軟化成分は、常温保存状態において、前記薬効成分を均一に分散含有保持して前記薬効成分を空気中の酸素と湿度から遮断して薬効成分の変質劣化を防止する機能を有するとともに、咀嚼時において、ばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能を有し、
咀嚼後において、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物は、口外に吐き出される機能を有することを特徴とする請求項1に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項3】
前記樹脂成分は、熱可塑性樹脂、合成ゴム、エステルガム、ゴム含有樹脂、多糖類含有樹脂、エステル含有樹脂、精油含有樹脂、グアヤク樹脂、ダンマル樹脂、サンダラック樹脂、ロジン、マスチック、カウリガム、コーパル樹脂、シェラックおよびワックスからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、
前記軟化成分は、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステル、グリセリド類、脂肪酸グリセロール類、脂肪酸グリコール類、グリセロールエステル類、レシチンおよび水からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、
前記熱可塑性樹脂は、酢酸ビニル樹脂、ポリビニールアルコール、ポリエチレンのうちの少なくともひとつであり、
前記合成ゴムは、ポリイソブチレン、ポリブテン、ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリイソプレンのうちの少なくともひとつであり、
前記ゴム含有樹脂は、チクル、ニスペロ、クラウンガム、チクブル、ベミズエラチクル、マツサランドバチュコレート、マツサランドババラタ、グッタカチュウ、グッタハンカン、グッタペルカ、パラタ、ロジデインハ、ジェルトン、ソルバ、ペリージョ、ソルビンハ、グアユーレ、レッチェデバカ、ツヌー、ニガークグッタ、チルテ、ゴム、低分子ゴム、ゴム分解樹脂のうちの少なくともひとつであり、
多糖類含有樹脂は、ニュウコウ、ミルラ、ナポパナックス樹脂のうちの少なくともひとつであり、
前記エステル含有樹脂は、コパイババルサムとベンゾインガムのうちの少なくともひとつであり、
前記精油含有樹脂は、エレミ樹脂とファーバルサムのうちの少なくともひとつであり、
前記ワックスは、オウリキュウリワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ケーンワックス、カンデリラワックス、ホホバワックス、モクロウ、ヒマワリロウ、ゲイロウ、ラノリン、ビースワックス、シェラックロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、モンタンワックスのうちの少なくともひとつであり、
前記樹脂成分と前記軟化成分は互いに均一に混合されて存在することが可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項4】
前記軟化成分は、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステル、グリセリド類、脂肪酸グリセロール類、脂肪酸グリコール類、グリセロールエステル類、レシチン、水からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、
前記樹脂成分と前記軟化成分は互いに均一に混合されて存在することが可能であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項5】
前記薬効成分は約35℃から約37℃の温度において粉末状粒子形状を有し、
前記薬効成分は、50μm以下の粒子径の形態で、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物の中に均一に分散されて含有されていることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項6】
前記薬効成分は約35℃から約37℃の温度において液体形状を有し、
前記薬効成分は、50μm以下の粒子径を有する無機粉末に担持された形態で、前記樹脂成分と前記軟化成分の混合物の中に均一に分散されて含有されて含有されていることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項7】
前記薬効成分は、少なくとも、主として、口内の炎症を消炎する消炎効能を有する消炎剤を含有し、
前記消炎剤は、咀嚼により徐々に口内に放出されて、口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して消炎効能を発揮することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項8】
前記薬効成分は、少なくとも、主として口内の炎症を消炎する消炎効能を有する消炎剤と、主として口内を殺菌する作用を有する殺菌剤の双方の薬効成分を含有し、
前記消炎剤は、咀嚼により徐々に口内に放出されて、口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して消炎効能を発揮する機能を有するとともに、
前記殺菌剤は、咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して、口内を殺菌する殺菌効能を発揮する機能を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項9】
前記薬効成分は、少なくとも、主として、口内を殺菌する殺菌効能を有する殺菌剤を含有し、
前記殺菌剤は、咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して、口内を殺菌する殺菌効能を発揮することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項10】
前記薬効成分としての前記消炎剤は、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸メチル、塩化リゾチウム、グリチルリチン酸ジカリウム、マレイン酸クロルフェニラミンからなる群から選ばれる少なくともひとつであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項11】
前記薬効成分としての前記殺菌剤は、主として殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゾトリウム、塩酸クロルヘキシン、グルコン酸クロルヘキシジン、ポピドンヨード、ヨード化合物からなる群から選ばれる少なくともひとつであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、8または9に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項12】
前記薬効成分は、少なくとも、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムの消炎剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項13】
前記薬効成分は、少なくとも、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとの双方の消炎剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項14】
前記薬効成分は、少なくとも、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとの双方の消炎剤と、主として殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウムの殺菌剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または8に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項15】
前記薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%であり、
前記樹脂成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、
前記軟化成分の含有割合が10重量%から80重量%であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項16】
さらに、賦形剤を含有し、
前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分と前記賦形剤は、互いに均一に混合された咀嚼可能な固形形態を有し、
前記賦形剤は、甘味料、清涼剤、矯味剤、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤および香料からなる群から選ばれる少なくともひとつであり、
前記賦形剤は、含有された前記賦形剤の有する性能を発揮することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項17】
前記薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%であり、
前記樹脂成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、
前記軟化成分の含有割合が10重量%から80重量%であり、
前記賦形剤の含有割合が1重量%から80重量%であることを特徴とする請求項16に記載の咀嚼用医薬品。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の咀嚼用医薬品を製造するための咀嚼用医薬品の製造方法であって、
(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分混合物を調製する工程と、
(b)前記樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を調製する工程と、
(c)前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用医薬品を得る工程と、からなり、
前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化した状態であり、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態であるとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分と相溶可能な温度範囲で、前記樹脂成分と前記軟化成分を混練し、
前記(b)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練し、
前記(c)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型することを特徴とする咀嚼用医薬品の製造方法。
【請求項19】
前記(c)工程において、前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型し、さらに、その後、所定の形状に成型された成型物の表面にコーティング剤を被覆して、咀嚼用医薬品を得る工程を有することを特徴とする請求項18に記載の咀嚼用医薬品の製造方法。
【請求項20】
前記(b)工程において、粒子径が50μm以下の粉末状粒子形状を有する前記薬効成分を使用することを特徴とする請求項18または19に記載の咀嚼用医薬品の製造方法。
【請求項21】
請求項16に記載の咀嚼用医薬品を製造するための咀嚼用医薬品の製造方法であって、
(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分が均一に混合された樹脂成分・軟化成分混合物を調製する工程と、
(d)薬効成分と賦形剤とを均一に混合して、薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程と、
(e)前記樹脂成分・軟化成分混合物と前記薬効成分・賦形剤混合物を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記薬効成分と前記賦形剤が均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程と、
(f)前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用医薬品を得る工程と、からなり、
前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化した状態であり、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態であるとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分と相溶可能な温度範囲で、前記樹脂成分と前記軟化成分を混練し、
前記(d)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混合し、
前記(e)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練し、
前記(f)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型することを特徴とする咀嚼用医薬品の製造方法。
【請求項22】
前記(d)工程は、前記薬効成分と前記賦形剤とを混合しながら、前記薬効成分を、粒子径が50μm以下の大きさに粉砕して、均一に混合された薬効成分・賦形剤混合物を調製し、その後、
得られた前記薬効成分・賦形剤混合物と前記樹脂成分・軟化成分混合物とを均一に混練して、樹脂成分・軟化成分・薬効成分・賦形剤混合物を調製する工程を有し、
これにより、前記賦形剤と粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して、前記薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記樹脂成分・軟化成分混合物に覆われるように含有させることを特徴とする請求項21に記載の咀嚼用医薬品の製造方法。
【請求項23】
前記賦形剤は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、
前記(d)工程において、前記薬効成分を粒子径が50μm以下の大きさに粉砕するとともに、前記賦形剤も粒子径が50μm以下の大きさに粉砕し、
これにより、粒子径が50μm以下の大きさの前記賦形剤と粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して、前記薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記樹脂成分・軟化成分混合物に覆われるように含有させることを特徴とする請求項22に記載の咀嚼用医薬品の製造方法。

【公開番号】特開2011−162529(P2011−162529A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40988(P2010−40988)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(390011017)ダイヤ製薬株式会社 (20)
【Fターム(参考)】