説明

咀嚼用消炎医薬品および咀嚼用消炎医薬品の製造方法

【課題】薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムは熱、光、空気中の水分・酸素により変質劣化しやすい。一般家庭に長期間保存放置しても薬効成分の変質劣化が生じなく優れた保存貯蔵等の薬効安定性を有し、咀嚼により薬効成分が口内に徐々に放出され、口内に長時間滞留して患部に長時間接触して、特に、主として、口内患部の消炎効能を有する咀嚼用消炎医薬品を提供する。
【解決手段】咀嚼時に小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持し、咀嚼後において口外に吐き出される性質を有するガム基材と、ガム基材の中に均一に分散してガム基材に覆われて、光と空気中の酸素、水分とから遮断された状態で存在するとともに、咀嚼により唾液とともに徐々に口内に放出されて、口内の炎症患部に直接に接触して消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する咀嚼用消炎医薬品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品に関し、更に詳しくは、本発明は咀嚼により薬効成分が徐々に口内に放出される咀嚼用医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品においては、医薬品の使用方法の観点から分類して数種類の医薬品が知られている。例えば、薬効成分を経口投与により消化器を経て血管吸収させる経口投与型医薬品、薬効成分を筋肉注射により血管吸収させる注射型医薬品、点滴注射のように時間をかけて薬効成分を血管内に注入する点滴型医薬品、薬効成分を含有する錠剤を口内の粘膜に貼り付けて粘膜を介して血流内に薬効成分を吸収させる舌下型医薬品、疾患患部に薬効成分を直接に接触させて使用する直接接触型医薬品などが知られている。
【0003】
また、人体の口内に関係する医薬品として、効能の観点から分類して、口内の炎症を低減し治癒するための消炎等の効能を有する医薬品と、風邪症候群の予防のための口内の消毒作用を有する医薬品が知られている。
【0004】
特に、口内の炎症を低減し治癒するための消炎等の効能を有する医薬品においては、医薬品の使用方法の観点から分類して、前述の経口投与型医薬品、注射型医薬品、点滴型医薬品、直接接触型医薬品などが知られている。
口内の疾患患部に薬効成分を直接に接触させて使用する直接接触型医薬品としては、粘着液状またはクリーム状等の軟膏タイプ医薬品、うがい薬のような液体を口に含んで患部に接触させてから吐き出すうがいタイプ医薬品、のどスプレー薬などのような液状医薬品を口中に噴霧またはスプレーして患部に接触するスプレータイプ医薬品、及び、トローチ薬のような薬効成分を含有する塊状固形物を口の中で溶かしながら患部に接触させるトローチタイプ医薬品が公知である。
【0005】
口内の消炎等の効能を有するうがいタイプ医薬品やスプレータイプ医薬品としては、目的に対応した多種類の医薬品が知られている。例えば、特開2001−39844には、安全性が高く咽喉の炎症の改善消炎に優れた効果を有するプロアントシアニジンを含有するうがい剤が開示されている。また、特開平8−3074には、抗炎症剤・血流促進剤・殺菌剤などの薬効成分を含有し、その薬効成分の口腔内滞留性を向上する効果を有するジェランガムを含有する口腔用液体組成物が開示されている。また、特開2002−255852には、消炎鎮痛剤・局所麻酔剤・増粘剤を含有する口内炎用スプレー剤が開示されている。また、特開2009−62285には、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムと殺菌剤として作用する塩化セチルピリジニウムとを含有し、その薬効成分の濃度、溶液のPH、添加する界面活性剤の種類、溶剤の種類、などの種々の成分要素を限定した口腔・咽喉疾患用液剤が提案されている。
【0006】
なお、ある一つの薬効成分は、医薬品における含有量、含有割合、又は、他の薬効成分との組合せ使用によって、主として消炎剤として作用し、又は、主として鎮痛剤として作用し、又は、主として殺菌作用として作用し、このように、その薬効成分の主な効能が異なって使用される医薬品が一般的である。例えば、アズレンスルホン酸ナトリウムは、抗炎症剤(特開平8−3074、特開2009−62285、特開平11−302196)、殺菌剤(特開2005−278428)、粘膜修復剤(特開2002−255852)として作用することが開示されている。また、塩化セチルピリジニウムは、殺菌剤(特開平8−3074、特開2005−278428)として作用することが開示されている。
ここで、消炎剤と抗炎症剤の語句の定義について説明する。厳密には、消炎剤は炎症を治し治癒することを目的として使用され、抗炎症剤は炎症の発生を抑制することを目的として使用される。特に、抗炎症剤という語句は、本来は、炎症の発生を抑制することを目的として使用されるものであるが、しかしながら、炎症を治し治癒することを目的として使用されることもあり、その記載されている全体の文脈により判断されるべきである。このように、消炎剤と抗炎症剤は同じ意味として使用される場合と、異なった意味として使用される場合があるので留意する必要がある。
【0007】
他方、風邪症候群の予防のための咽喉の消毒作用を有する医薬品としては、うがいタイプ医薬品やトローチタイプ医薬品が公知である。例えば、塩化セチルピリジニウムなどのような殺菌剤を含有する多種類のうがいタイプ医薬品やトローチタイプ医薬品が知られている。
【0008】
近年、医薬品の使用方法の観点において、上記のような経口タイプ医薬品、注射タイプ医薬品、うがいタイプ医薬品、スプレータイプ医薬品、トローチタイプ医薬品の他に、チューインガムタイプ医薬品が提案されている。
チューインガムタイプ医薬品は、ガム成分の中に薬効成分が含有されたものであり、そのチューインガムタイプ医薬品を繰り返して咀嚼することにより、薬効成分が唾液の中に含まれるとともに、その薬効成分が、口内の粘膜を介して体内に取り入れられたり、または、歯茎の粘膜を介して体内の血流に取り入れられた、また、薬効成分の一部が胃腸に流れてその胃腸から吸収されて体内に取り入れられたり、また、口腔内の知覚・臭覚・嗅覚等の神経に作用を及ぼすことにより、効能を発揮するものである。
【0009】
このようなチューインガムタイプ医薬品としては、ニコチン成分含有チューインガムが公知である。ニコチン成分含有チューインガムは、煙草の喫煙によるニコチン依存症にある人が突然禁煙したときに発生するイライラ感・集中力低下・意気消沈、体重増加等の禁断症状を緩和する効能を有する。ニコチン成分を含有するチューインガムの用法は、例えば、1回1個をゆっくりと間を置きながら噛む状態と歯茎に貼付けた状態を繰り返して、30分間から60分間かけて咀嚼するという方法であり、このニコチン成分含有チューインガムを口中で噛み、さらに歯茎に貼り付けることにより、口内の粘膜を通じて、すなわち、経皮吸収により体内または血流にニコチン成分を取り込み、上記の禁断症状を緩和する効能を奏するものである。
例えば、ニコチンを含有するチューインガムとして、特表2002−539236には、ニコチン成分を含んでなる薬用チューインガムの組成物およびその錠剤を得るための製造方法が開示されている。ガム成分に分散したニコチン成分等の活性因子を有し、そして、水溶性成分及び非水溶性成分から成る混合物によってコーティングされた薬用チューインガム組成物、及び、更に香味料・甘味料・脱水剤・PH安定剤・封入剤などの添加物を含有する薬用チューインガム組成物が開示されている。また、上記の薬用チューインガム組成物を製造する製造方法として、完全な溶液が得られるまで不溶性成分(硬化性ヒマシ油など)を加熱し、可溶性成分(炭水化物又は他価アルコールなど)と活性因子(ニコチン成分)とを混合し、その活性因子を含む混合物を不溶性成分の溶液に注ぎ、このように得られた混合物を冷却し、そして、ガム基剤と添加物とを混合し、そして、室温を超えない温度で圧縮することにより、薬用チューインガム組成物を製造する製造方法が開示されている。このようなチューインガム錠剤は禁煙のための処置において使用されることも開示されている。
【0010】
また、薬効成分を含有するチューインガムとして、例えば、特開2005−278428には、口の内、喉を消毒、殺菌する作用を有する薬効成分を含有するチューインガムが提案されている。その口の内、喉を消毒、殺菌する作用を有する薬効成分としては、ポピドンヨード、アズレンスルホン酸ナトリウム、塩化デカリニウム、臭化ドミファン、グルコン酸クロルヘキシジン、サリチル酸メチル、塩化セチルピリジニウムなどが選択的に含有されることが開示されている。そして、その作用効果として、このチューインガムを噛むことによって、日常的に口の中、喉を消毒、殺菌することができ、また唾液の分泌が促されて口腔内が常に潤い、乾燥が防止されて風邪症候群に感染する恐れを低減することができるという作用メカニズムが記載されている。
【0011】
他方、慣用技術、周知技術として、菓子の一種である種々のチューインガムおよびその製造方法が知られている。例えば、特開平5−199842には、チューインガム製造用原料に、少なくとも1種類以上の薬草を添加して混合し、この混合物を成形するチューインガムの製造方法が開示されている。すなわち、ガムベース・粉糖・グルコース・水飴等をミキサーに投入して混合し、その混合物に、ローズピンクの花・ラベンダーの花・ペパーミントの葉などの所定の大きさ形状の薬草を投入して均一に混合し、その後、得られた混合物を押し出し成形ノズルを通し、圧延ロールで圧延した後、所定形状の板状のチューインガムを製造する製造方法が開示されている。
また、特開昭54−101469には、種々のガム成分を含むガムベース、エステルガム、人口甘味料などから構成された風味保持性チューインガムが開示されている。
【0012】
上述のように、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する咽喉の炎症を治癒する医薬品として、うがいタイプ医薬品、スプレータイプ医薬品、トローチタイプ医薬品の多種類の医薬品が公知であり、既に、実用化されている。また、口内の殺菌消毒を目的とするチューインガムタイプ医薬品が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】 特開2001−39844号公報
【特許文献2】 特開平8−3074号公報
【特許文献3】 特開2002−255852号公報
【特許文献4】 特開平5−199842号公報
【特許文献5】 特表2002−539236号公報
【特許文献6】 特開2005−278428号公報
【特許文献7】 特開2009−62285号公報
【特許文献8】 特開平11−302196号公報
【特許文献9】 特開昭54−101469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
時間をかけて薬効成分を体内に取り入れる医薬品としては、前述の時間をかけて薬効成分を血管内に注入する点滴型医薬品と、薬効成分を含有する錠剤を口内の粘膜に貼り付けて粘膜を介して血流内に薬効成分を吸収させる前述の舌下型医薬品がある。
この点滴型医薬品は、幅広い病気や疾患の治療において使用され、例えば、30分から数時間を要して薬効成分を点滴により血管内に徐々に点滴注入して使用され、この点滴型医薬品の使用時には点滴針を血管に刺し続けておく必要があり、また、この間の患者の身体の動作の自由度が制約される。
また、舌下型医薬品も、幅広い病気や疾患の治療において使用され、例えば、10分から60分を要して薬効成分を含む錠剤を舌下に保持して粘膜を介して血管内に徐々に吸収させて使用され、この舌下型医薬品の使用時には舌により錠剤を押さえ込む状態を維持し続ける必要があり、また、この間の患者の口の動きの自由度が制約される。
【0015】
医薬品が口内に滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に接触することにより効能を発揮する医薬品において、前記うがいタイプ医薬品の用法は、例えば、1日4回から5回、薬効成分を含有するうがい液を水で所定の濃度に希釈して口内に含んで、咽喉の患部に数秒間接触させてから吐き出す方法である。また、前記スプレータイプ医薬品の用法は、例えば、1日4回から5回、薬効成分を含有するスプレー液を直接に口中にスプレー噴霧して、のどの患部に接触させる方法である。このようなうがいタイプ医薬品又はスプレータイプ医薬品においては、薬効成分が咽喉の患部に接触している時間は約1分間から3分間程度であって、その後は、薬効成分は唾液などとともに胃腸に流れ去ることになり、口内の滞留時間が短いという性質がある。
【0016】
前記トローチタイプ医薬品の用法は、例えば、1日4回から5回、1個ずつを噛まずに口内でゆっくり溶解して薬効成分を咽喉の患部に接触させる方法である。この場合、口内で1個のトローチが溶解するまでに要する時間は約3分間から約7分間程度であり、すなわち、薬効成分が咽喉の患部に接触している時間は長くとも約10分間程度までであって、その後は、薬効成分は唾液などとともに胃腸に流れ去ることになる。すなわち、薬効成分が咽喉の患部に接触している時間が短く、そのために、充分な効能を発揮できない場合がある。また、薬効成分が咽喉の患部に接触している時間を長くするために、薬効成分濃度が同じで1個のトローチの量を多くした場合、服用する薬効成分の総量が多くなるため身体に悪影響を与える副作用が生じる恐れがあり、望ましくない。また、服用する薬効成分の総量を同じにするために、薬効成分濃度を少なくして1個のトローチの量を多くした場合、患部に接触する薬効成分濃度が少なくなり、その結果、効能が劣る傾向があり、望ましくない。
【0017】
うがいタイプ医薬品やスプレータイプ医薬品のような、溶剤の中に複数種類の薬効成分を溶解して含有する液状状態の医薬品においては、温度や湿度の影響により混濁や析出物が発生し、そのために薬効成分の含有量が変化したり、また、経年放置における温度、湿度、光等より、薬効成分が劣化・変質し、そのために薬効効能が低下する傾向がある。例えば、消炎剤として作用するアズレンスルホン酸ナトリウムと殺菌剤として作用する塩化セチルピリジニウムとの複数種類の薬効成分を含有するうがい薬やスプレー薬のような、溶剤の中に複数種類の薬効成分を溶解して含有する液状状態の医薬品においては、保管中に、温度、湿度、光による経年劣化、変質が生じやすい傾向があるために、使用期限が限定される。
【0018】
前記ニコチン成分を含有するチューインガム医薬品は、前述したように、このチューインガムを口内で噛み、さらに歯茎に貼り付けることの繰り返しにより、口内の粘膜を通してニコチン成分が体内や血流内に吸収され、これにより、効能が発揮されるという作用を奏するものである。すなわち、このニコチン含有チューインガムは、前記トローチタイプ医薬品のように、薬効成分が患部に直接に接触することにより効能・効果を発揮するものではない。
【0019】
また、前述の特開2005−278428のように、風邪症候群の予防のための咽喉の消毒・殺菌作用を有するチューインガムが提案されているが、しかしながら、この特開2005−278428に提案されているチューインガムは咽喉の消毒・殺菌作用により風邪症候群予防することを目的とするものであり、さらに、このチューインガムを噛むことによって、日常的に口の中、喉を消毒、殺菌することができ、また唾液の分泌が促されて口腔内が常に潤い、乾燥が防止されて風邪症候群に感染する恐れを低減することができるという作用効果が記載されているだけである。すなわち、咽喉の炎症による咽喉の消炎等の効能・効果を発揮する作用については全く記載なく示唆されていなく、消炎効能を目的としていない。
【0020】
他方、医薬品の製造方法において、一般に、薬効成分は、熱・湿度・酸素の影響を受けて劣化して、薬効成分の効能・効果を低減し、また、副作用を起こす成分に変化しやすい性質があるため、その薬効成分を劣化させることがない製造方法が望まれる。例えば、特開平11−302196に開示されているように、消炎剤として使用されるアズレンスルホン酸ナトリウムは、酸素、水分、光、熱等で分解しやすく不安定な物質であるために、通常の製剤では長期保存が困難であり、その対応策が要求されている。さらに、製造過程中に、使用した薬効成分、ゴム成分、及びその他の成分などの複数種類の成分が互いに反応しあって、副作用を起こす成分に変化しやすい傾向があるため、それぞれの成分を変化させることがない製造方法が望まれる。
【0021】
本発明は上記課題を解決するものであり、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する医薬品であって、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵安定性を有し、咀嚼可能な弾性形態を有する咀嚼用医薬品であり、咀嚼により、柔軟性を発揮し、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、さらに、薬効成分が咀嚼により徐々に口内に放出されて、放出された薬効成分が炎症患部に直接に接触することにより炎症を低減し治癒する薬効を有し、咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する機能を有する咀嚼用医薬品を提供することを目的とする。また、これらの作用効果を有する咽喉の主として消炎効能、および、消炎効能と殺菌効能との双方の効能を奏する咀嚼用医薬品を提供することを目的とする。
さらに、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する医薬品の製造過程において、熱などの影響により、薬効成分の劣化が生じることなく、さらに、使用成分の互いの反応により成分変化が生じることのない、製造上において常に安定した品質の医薬品を製造できる咀嚼用医薬品の製造方法を提供することを目的とする。特に、これらの作用効果を有する咽喉の消炎効能、および、消炎効能と殺菌効能との双方の効能を奏する咀嚼用医薬品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の咀嚼用消炎医薬品は、少なくとも、ガム基材と薬効成分とを含有し、前記薬効成分は前記ガム基材の中に分散して存在し、前記ガム基材は、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な性質と、前記薬効成分と化学的反応することなく前記薬効成分を変質させない性質を有するとともに、咀嚼可能な固形形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮し、咀嚼時にばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能を有し、咀嚼後において口外に吐き出される性質を有し、前記薬効成分は、粉末形状を有し、前記ガム基材の中に分散した状態で前記ガム基材に覆われて、空気中の酸素と水分と光から遮断された状態で存在するとともに、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を有し、前記薬効成分は、少なくとも、口内の炎症している患部に直接に接触することにより炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有することを特徴とする主として口内の炎症患部の消炎効能を発揮する咀嚼用消炎医薬品である。
特に、前記薬効成分は前記ガム基材の中に均一に分散して存在する構成が特に望ましい。
なお、本発明の咀嚼用消炎医薬品において、「口内」と「口中」は同じ意味であり、また、「口内」と「口中」は、「咽喉」、「咽頭」、及び、「のど」、などの部位を含むものである。
【0023】
望ましくは、前記咀嚼用消炎医薬品において、さらに、添加物を含有し、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物は互いに混合された形態であり、前記添加物は前記ガム基材の中に混合された状態で存在し、前記ガム基材は、少なくとも、弾性形態を連続的に維持する性質を有する樹脂成分と、前記樹脂成分に柔軟性を付与する軟化成分を含有し、前記添加物は、甘味を付与する甘味材、苦味を付与する苦味材、味を矯正する矯味材、着色する着色材、保存性を向上する保存材、噛んだときの粘性を安定に維持する粘性安定材、ガム基材の腐食を防止する腐食防止材、酸味を付与する酸味材、味を調整する調味材、ガム基材の樹脂成分と軟化成分との混合性を向上する乳化材、ガム基材の機械的強度を向上するための強化材、臭い香りを付与するための香り付与材、製造時にガム基材の中に分散される薬効成分の分散性を向上させる分散性向上剤、薬効成分を口内に長時間滞留させるための滞留性向上剤、薬効成分の効能を効率よく発揮させる効能効率向上剤、薬効成分が持っている特有の味を矯正して噛んだ時の味を向上するための噛味調整剤、薬効成分の酸化劣化を防止するための酸化防止剤、および、噛んだ時に薬効成分が口内に放出される速度を制御する機能を有する口内放出速度制御剤からなる群から選ばれる少なくともひとつであることを特徴とする。
特に、前記添加物が前記ガム基材の中に均一に混合された状態で存在する構成が特に望ましい。
【0024】
望ましくは、前記ガム基材の含有割合が10重量%から80重量%であり、前記薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%であり、前記添加物の含有割合が0.05重量%から70重量%であることを特徴とする。
また、添加物を含有する咀嚼用消炎医薬品においては、望ましくは、前記咀嚼用医薬品において、前記ガム基材の含有割合が10重量%から80重量%であり、前記薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%であり、前記添加物の含有割合が0.05重量%から70重量%であることを特徴とする。
【0025】
望ましくは、前記咀嚼用消炎医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、グリチルリチン酸ジカリウムを含有し、前記グリチルリチン酸ジカリウムは、口内の炎症している患部に直接に接触することにより該患部の炎症を低減し治癒する消炎効能と、口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能との双方の消炎効能を有し、前記アズレンスルホン酸ナトリウムと前記グリチルリチン酸ジカリウムの双方の薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を発揮するとともに、さらに、前記グリチルリチン酸ジカリウムは口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して口内の炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮する機能を有することを特徴とする。
【0026】
望ましくは、前記咀嚼用消炎医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、グリチルリチン酸ジカリウムと、塩化セチルピリジニウムを含有し、前記グリチルリチン酸ジカリウムは、口内の炎症している炎症患部に直接に接触することにより炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能と、口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して口内の炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能との双方の消炎効能を有し、前記塩化セチルピリジニウムは、口内を殺菌する殺菌効能を有し、前記アズレンスルホン酸ナトリウムと前記グリチルリチン酸ジカリウムの双方の薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を発揮するとともに、さらに、前記グリチルリチン酸ジカリウムは口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して口内の炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮する機能を有し、前記塩化セチルピリジニウムは、咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して、口内を殺菌する殺菌効能を発揮する機能を有することを特徴とする。
【0027】
望ましくは、前記咀嚼用消炎医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、塩化セチルピリジニウムを含有し、前記塩化セチルピリジニウムは、口内を殺菌する殺菌効能を有し、前記アズレンスルホン酸ナトリウムは、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を発揮するとともに、さらに、前記塩化セチルピリジニウムは、咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して、口内を殺菌する殺菌効能を発揮する機能を有することを特徴とする。
【0028】
望ましくは、前記薬効成分は常温において粉末粒子形状を有し、前記薬効成分の粉末粒子は50μm以下の粒子径を有し、50μm以下の粒子径を有する前記薬効成分が、常温保存状態において、前記ガム基材の中に均一に分散するとともに、前記ガム基材に覆われた形態で存在することを特徴とする。
【0029】
望ましくは、前記咀嚼用消炎医薬品において、前記添加物は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、前記添加物は、常温保存状態において、前記ガム基材の中に分散するとともに、前記ガム基材に覆われた形態で存在することを特徴とする。
【0030】
本発明の咀嚼用消炎医薬品の製造方法は、(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分とが均一に混合されたガム基材を調製する工程と、(b)前記ガム基材と薬効成分と添加物を混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加物混合物を調製する工程と、(c)前記ガム基材・薬効成分・添加物混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用消炎医薬品を得る工程と、を備え、前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化状態を有し、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態を有するとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分とが混合可能な温度範囲で、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記添加物を混練し、前記(b)工程において、前記薬効成分は、少なくとも、口内の炎症患部に直接に接触することにより該炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練し、前記(c)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型し、前記薬効成分が前記ガム基材に覆われた形態で存在するように形成することを特徴とする。
【0031】
望ましくは、前記咀嚼用消炎医薬品の製造方法において、前記(c)工程は、前記ガム基材・添加物混合物を所定の形状に成型して、さらに、その後、所定の形状に成型された成型物の表面にコーティング剤を被覆して、咀嚼用消炎医薬品を得る工程を有することを特徴とする。
【0032】
望ましくは、前記咀嚼用消炎医薬品の製造方法において、前記薬効成分は、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、グリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムとのうちの少なくともひとつを含有することを特徴とする。
【0033】
望ましくは、前記咀嚼用消炎医薬品の製造方法において、前記(b)工程において、前記ガム基材・添加物混合物の中に混合された前記薬効成分の粒子径が約50μm以下の大きさであることを特徴とする。
【0034】
望ましくは、前記咀嚼用消炎医薬品の製造方法において、前記添加物は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、前記(b)工程は、前記キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつと、前記薬効成分を、40℃以下の温度下で混合して、添加物混合物を得る工程と、その後、得られた添加物混合物と、前記ガム基材とを、40℃以下の温度下で混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・添加物混合物を調製する工程を有することを特徴とする。
【0035】
望ましくは、前記咀嚼用消炎医薬品の製造方法において、前記(b)工程は、薬効成分と添加物を40℃以下の温度下で混合して、前記薬効成分と前記添加物の双方の粒子径が50μm以下の大きさになるように粉砕して、均一に混合された添加物混合物を調製し、その後、得られた前記添加物混合物と前記ガム基材とを前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加物混合物を調製する工程を有し、粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分と前記添加物のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記ガム基材に覆われるように存在して含有されるように形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明の咀嚼用消炎医薬品は、少なくとも、ガム基材と、薬効成分とを含有し、前記薬効成分は前記ガム基材の中に分散して存在し、前記ガム基材は、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な性質と、前記薬効成分と化学的反応することなく前記薬効成分を変質させない性質を有するとともに、咀嚼可能な固形形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮し、咀嚼時にばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能を有し、咀嚼後において口外に吐き出される性質を有し、前記薬効成分は、粉末形状を有し、前記ガム基材の中に分散した状態で前記ガム基材に覆われて、空気中の酸素と水分と光から遮断された状態で存在するとともに、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を有し、前記薬効成分は、少なくとも、口内の炎症している患部に直接に接触することにより炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有することを特徴とする主として口内の炎症患部の消炎効能を発揮する咀嚼用消炎医薬品である。
【0037】
この構成により、次のような作用効果が得られる。
(A)咀嚼により、アズレンスルホン酸ナトリウムを主成分とする薬効成分が徐々に口内に放出されて、放出された薬効成分が口内の炎症している患部に直接に接触することにより炎症を低減し治癒する効能を発揮するとともに、その医薬品が咀嚼している間の長時間、口内に滞留して、その薬効を発揮することが可能であり、限られた薬効成分の含有量を最大限に利用して、薬効効能の利用効率を高めることが出来る。
(B)薬効成分がガム基材の中に覆われた形態で存在するために、薬効成分が空気中の酸素や水分、および、光などから遮断されて存在するために、酸素、水分、湿度、光、等による薬効成分の変質劣化が防止され、従って、薬効成分が一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有する咀嚼用消炎医薬品が得られる。特に、アズレンスルホン酸ナトリウムは、空気や光によって変質劣化しやすい性質があるために、アズレンスルホン酸ナトリウムがガム基材の中に覆われた形態で存在することにより、このような作用効果が著しく発揮される。
(C)ガム基材と薬効成分が互いに混合された咀嚼可能な固形形態を有する構成により、咀嚼時における噛み感触が向上し、また、咀嚼時に噛み感触の良い柔軟な弾性形態を連続的に維持する作用効果も向上した咀嚼用消炎医薬品が得られる。
(D)薬効成分がガム基材の中に分散して存在する構成により、咀嚼時に、薬効成分のすべての成分が短時間に口内に放出されることなく、噛む速度に比例して徐々に構内に放出されるために、前述の(A)の医薬品が咀嚼している間の長時間、口内に滞留して、薬効を発揮することが可能であるという効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られる。
(E)薬効成分がガム基材の中に分散して存在する構成により、薬効成分の個々の粒子がガム基材に覆われた状態となり、そのために、前述の(B)の薬効成分が空気中の酸素や水分、および、光などから遮断されて、酸素、水分、湿度、光、等による薬効成分の変質劣化が防止され、従って、薬効成分が一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有するという作用効果がさらに向上した咀嚼用消炎医薬品が得られる。
特に、薬効成分がガム基材の中に均一に分散して存在する構成が特に望ましく、この構成により、上記の(D)、(E)の効果がさらに向上する。
【0038】
前記咀嚼用消炎医薬品において、さらに、添加物を含有し、ガム基材と薬効成分と添加物は互いに混合された形態であり、添加物はガム基材の中に混合された状態で存在し、ガム基材は、少なくとも、弾性形態を連続的に維持する性質を有する樹脂成分と、樹脂成分に柔軟性を付与する軟化成分を含有し、添加物は、甘味を付与する甘味材、苦味を付与する苦味材、味を矯正する矯味材、着色する着色材、保存性を向上する保存材、噛んだときの粘性を安定に維持する粘性安定材、ガム基材の腐食を防止する腐食防止材、酸味を付与する酸味材、味を調整する調味材、ガム基材の樹脂成分と軟化成分との混合性を向上する乳化材、ガム基材の機械的強度を向上するための強化材、臭い香りを付与するための香り付与材、製造時にガム基材の中に分散される薬効成分の分散性を向上させる分散性向上剤、薬効成分を口内に長時間滞留させるための滞留性向上剤、薬効成分の効能を効率よく発揮させる効能効率向上剤、薬効成分が持っている特有の味を矯正して噛んだ時の味を向上するための噛味調整剤、薬効成分の酸化劣化を防止するための酸化防止剤、および、噛んだ時に薬効成分が口内に放出される速度を制御する機能を有する口内放出速度制御剤からなる群から選ばれる少なくともひとつである、という構成が望ましい。
【0039】
この構成において、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の作用効果が得られると共に、さらに、下記の効果が得られる。
(F)目的とする所定の添加物を含有することにより、前述の消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果、などの効果がさらに向上する。また、含有された添加物が有する甘味、清涼、着色、保存、増粘安定、酸化防止、苦味、酵素、光沢、酸味、調味、乳化、強化および香りなどの特性が付与された咀嚼用消炎医薬品が得られる。また、薬効成分の物性上の欠点を改良することができる。さらに、ガム基材の中に添加物を含有することにより、ガム基材中における薬効成分の分散性が著しく向上する効果も得られる。また、これらの添加物の物性を有効活用し、秤量上の取扱や製剤を成形する際の取扱を向上させることにより、安定した性能を有する医薬品が得られる。このような添加物がガム基材に分散して含有された構成においては、この添加物と含有されている薬効成分とが接する割合が少なくなるために、薬効成分と添加物との相互の化学反応による劣化等が生じることなく、含有するそれぞれの成分の劣化を防止できる保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する。
(G)特に、ガム基材中の軟化成分が樹脂成分の有する固形の弾性形態に柔軟性を付与する機能を有し、咀嚼時にその柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能を有する構成により、前述の咀嚼時における噛み感触が向上し、咀嚼時に噛み感触の良い柔軟な弾性形態を連続的に維持する作用効果がさらに向上するという効果がさらに向上する。また、咀嚼した後においても、ばらばらの小塊状に分離することなくその柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持するために、咀嚼された後の軟化成分と樹脂成分との混合物を口内から口外に排出しやすくなる作用効果が得られる。
特に、添加物がガム基材の中に均一に分散した状態で存在する構成が特に望ましく、この構成により、上記の効果がさらに向上する。
【0040】
前記咀嚼用消炎医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、グリチルリチン酸ジカリウムを含有し、グリチルリチン酸ジカリウムは、口内の炎症している患部に直接に接触することにより該患部の炎症を低減し治癒する消炎効能と、口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能との双方の消炎効能を有し、前記アズレンスルホン酸ナトリウムと前記グリチルリチン酸ジカリウムの双方の薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を発揮するとともに、さらに、前記グリチルリチン酸ジカリウムは口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して口内の炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮する機能を有する、という構成が望ましい。
【0041】
この構成により、前述の、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)及び(G)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(H)充分な消炎効能と殺菌作用を発揮できるとともに、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能であり、また、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有し、咽喉の炎症に対して、主として消炎効能を発揮することができる。特に、アズレンスルホン酸ナトリウムは口内の炎症患部に直接に接触することにより炎症を低剣士治癒する作用効能を発揮し、また、グリチルリチン酸ジカリウムは口内や胃腸の炎症患部に直接に接触して薬効を発揮する作用と、胃腸の粘膜を介して血流の中に取り込まれることにより薬効を発揮する作用との双方の作用を有するため、口内の炎症患部に直接に接触して薬効を発揮するとともに、胃腸に流れた薬効成分は胃腸の粘膜を介して血流の中に吸収されて薬効を発揮する双方の薬効を発揮できるために、限られた薬効成分の含有量を最大限に利用して、薬効効能の利用効率を高めることが出来る。さらに、これらの薬効成分が粉末状粒子の形状を有し、その粒子径が50μm以下であり、その薬効成分がガム基材と添加物の混合物の中に均一に分散して含有されている構成においては、このような効果がさらに著しく向上するとともに、その咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用消炎医薬品が得られる。さらに、その咀嚼用医薬品を噛んで咀嚼したときに、違和感のない優れた噛み味を有する効果が得られる。これらのすべての効果を発揮する咀嚼用消炎医薬品が得られる。
【0042】
前記咀嚼用消炎医薬品において、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、グリチルリチン酸ジカリウムと、塩化セチルピリジニウムを含有し、グリチルリチン酸ジカリウムは、口内の炎症している炎症患部に直接に接触することにより炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能と、口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して口内の炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能との双方の消炎効能を有し、塩化セチルピリジニウムは、口内を殺菌する殺菌効能を有し、前記アズレンスルホン酸ナトリウムと前記グリチルリチン酸ジカリウムの双方の薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を発揮するとともに、さらに、前記グリチルリチン酸ジカリウムは口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して口内の炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮する機能を有し、塩化セチルピリジニウムは、咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して、口内を殺菌する殺菌効能を発揮する機能を有する、という構成が望ましい。
【0043】
この構成により、前述の、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)及び(G)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
(I)充分な消炎効能と殺菌作用を発揮できるとともに、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能で、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有し、咽喉の炎症に対して、主として消炎効能を発揮するとともに、口内を殺菌する殺菌作用を発揮し、これらの消炎効能と殺菌作用との相乗効果により、咽喉の炎症を消炎する作用効果がさらに著しく向上する。特に、アズレンスルホン酸ナトリウムは口内の炎症患部に直接に接触することにより炎症を低減し治癒する作用効能を発揮し、また、グリチルリチン酸ジカリウムは口内や胃腸の炎症患部に直接に接触して薬効を発揮する作用と、胃腸の粘膜を介して血流の中に取り込まれることにより薬効を発揮する作用との双方の作用を有するため、口内の炎症患部に直接に接触して薬効を発揮するとともに、胃腸に流れた薬効成分は胃腸の粘膜を介して血流の中に吸収されて薬効を発揮する双方の薬効を発揮できるために、限られた薬効成分の含有量を最大限に利用して、薬効効能の利用効率を高めることが出来る。また、塩化セチルピリジニウムは口内を殺菌する優れた殺菌作用を発揮するためにこれらの消炎効能と殺菌作用との相乗効果により、咽喉の炎症を消炎する作用効果がさらに著しく向上する。さらに、これらの薬効成分が粉末状粒子の形状を有し、その粒子径が50μm以下であり、その薬効成分がガム基材の中に分散して含有されている構成においては、このような効果がさらに著しく向上するとともに、その咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用医薬品が得られる。さらに、その咀嚼用医薬品を噛んで咀嚼したときに、違和感のない優れた噛み味を有する効果が得られる。これらのすべての効果を発揮する咀嚼用消炎医薬品が得られる。
【0044】
前記咀嚼用消炎医薬品において、薬効成分は常温において粉末粒子形状を有し、薬効成分の粉末粒子は50μm以下の粒子径を有し、50μm以下の粒子径を有する薬効成分が、常温保存状態において、ガム基材の中に均一に分散するとともに、ガム基材に覆われた形態で存在する構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)及び(I)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに、次の作用効果が得られる。
(J)前述の薬効成分が咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する効果がさらに向上する。また、薬効成分が50μm以下の粒子径の形態でガム基材の中に均一に分散されて含有された状態である構成により、50μm以下の個々の薬効成分粒子がガム基材に覆われた状態で存在するために、薬効成分が大気中の空気や湿度に対して遮断された状態が完璧となり、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果が更に著しく向上し、保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する効果が得られる。また、薬効成分が50μm以下の粒子径の形態でガム基材の中に均一に分散されて含有された状態である構成により、さらに、咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い粉末固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用消炎医薬品が得られる。
【0045】
前記咀嚼用消炎医薬品において、前記ガム基材の含有割合が10重量%から80重量%であり、前記薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%である構成が望ましい。
また、添加物を含有する咀嚼用消炎医薬品においては、ガム基材の含有割合が10重量%から80重量%であり、薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%であり、添加物の含有割合が0.05重量%から70重量%である構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)及び(J)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに、この咀嚼用消炎医薬品を服用した時に、副作用が起きることなく、薬効を最大限に利用できる咀嚼用消炎医薬品が得られる。
【0046】
前記咀嚼用消炎医薬品において、添加物は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、添加物は、常温保存状態において、前記ガム基材の中に分散するとともに、前記ガム基材に覆われた形態で存在する構成が望ましい。
この構成により、前述の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)及び(J)の作用効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られるとともに、さらに、次の作用効果が得られる。
(K)薬効成分がガム基材の中に均一に分散する効果が向上し、薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面がガム基材に覆われるように含有される効果も向上する。また、薬効成分が消炎剤や殺菌剤を含有する医薬品の場合、消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果がさらに向上するとともに、薬効成分の患部への付着持続性が増す。
(L)添加物として、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有することにより、咀嚼したときの甘味または清涼感などが発揮される。特に、薬効成分が、ガム基材の中に凝集することなく、均一に分散されて存在するという、薬効成分の分散性が著しく向上する、などの予期し得ない効果が得られ、これにより、アズレンスルホン酸ナトリウムなどの薬効成分の個々の粉末粒子がガム基材に均一に分散されて覆われた状態が向上し、その結果、薬効成分が空気から遮断されて、空気中の水分や酸素と接触が防止され、また、光からも遮断されるために、咀嚼用消炎医薬品を家庭で保存している時の薬効成分の変質劣化が防止される効果が著しく向上する。
【0047】
本発明の咀嚼用消炎医薬品の製造方法は、(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分とが均一に混合されたガム基材を調製する工程と、(b)前記ガム基材と薬効成分と添加物を混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加物混合物を調製する工程と、(c)前記ガム基材・薬効成分・添加物混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用消炎医薬品を得る工程と、を備え、前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化状態を有し、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態を有するとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分とが混合可能な温度範囲で、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記添加物を混練し、前記(b)工程において、前記薬効成分は、少なくとも、口内の炎症患部に直接に接触することにより該炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練し、前記(c)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型し、前記薬効成分が前記ガム基材に覆われた形態で存在するように形成することを特徴とする。
【0048】
前記咀嚼用消炎医薬品の製造方法において、前記薬効成分は、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、グリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムとのうちの少なくともひとつを含有することを特徴とする構成が望ましい。
【0049】
この製造方法により、次の作用効果が得られる。
(W1)製造過程において、熱などの影響により、薬効成分の変質や劣化が生じることなく、さらに、使用成分の互いの反応により変質変化が生じることのない、製造上において常に安定した品質を有する医薬品を製造できる。特に、アズレンスルホン酸ナトリウムなどのような熱により変質しやすい性質を有する薬効成分を使用する場合にこれらの効果が効果的に発揮される。
(W2)さらに、薬効成分をガム基材の中に均一に含有させることができるために、薬効成分に対応した薬効を充分に発揮できるとともに、副作用のない薬効成分濃度であって、その薬効成分が咀嚼により唾液と共に口内に徐々に放出され、その放出された薬効成分が口内に長時間滞留して、その薬効成分が口内の疾患患部に更に長時間接触することが可能な咀嚼用消炎医薬品を製造できる。
(W3)薬効成分をガム基材の中に均一に分散して存在させることが可能である為に、薬効成分はガム基材に覆われた形態で存在するために、薬効成分は大気中の空気や水分、湿気と隔離されるとともに、光からも遮断されるために、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有する咀嚼用消炎医薬品が得られる。
【0050】
前記咀嚼用消炎医薬品の製造方法において、前記(c)工程は、前記ガム基材・添加物混合物を所定の形状に成型して、さらに、その後、所定の形状に成型された成型物の表面にコーティング剤を被覆して、咀嚼用消炎医薬品を得る工程を有するという構成が望ましい。
この製造方法により、前述の(W1)、(W2)、(W3)の効果に加えて、下記の効果が得られる。
(W4)コーティング剤が粉末や粘着性を持たない固体である場合には、製造された医薬品の表面の粘着性が改良されて、粘着性を防止でき、そのために、製造された医薬品を箱詰めして包装する際に発生する医薬品同士の引っ付き現象の発生を防止できる。
(W5)また、コーティング剤が空気や水分の透過を防止できる性質、または、光を遮断できる性質、などを有する場合には、酸素、水分、湿度、及び、光などに起因する薬効成分の変質劣化が著しく防止され、その結果、製造された医薬品の保存保管安定性が著しく向上する。
【0051】
前記咀嚼用消炎医薬品の製造方法において、前記(b)工程において、前記ガム基材・添加物混合物の中に混合された前記薬効成分の粒子径が約50μm以下の大きさである構成が望ましい。
この製造方法により、前述の(W1)、(W2)、(W3)、(W4)、(W5)の効果に加えて、下記の効果が得られる。
(W6)薬効成分が咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する効果がさらに向上する。また、薬効成分が50μm以下の粒子径の形態でガム基材の中に均一に分散されて含有された状態である構成により、50μm以下の個々の薬効成分粒子がガム基材に覆われた状態で存在するために、薬効成分が大気中の空気や湿度に対して遮断された状態が完璧となり、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果が更に著しく向上し、保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する効果が得られる。また、薬効成分が50μm以下の粒子径の形態でガム基材の中に均一に分散されて含有された状態である構成により、さらに、咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い粉末固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用消炎医薬品が得られる。
【0052】
前記咀嚼用消炎医薬品の製造方法において、前記添加物は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、
前記(b)工程は、前記キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつと、前記薬効成分を、40℃以下の温度下で混合して、添加物混合物を得る工程と、その後、得られた添加物混合物と、前記ガム基材とを、40℃以下の温度下で混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・添加物混合物を調製する工程を有する構成が望ましい。
この製造方法により、前述の(W1)、(W2)、(W3)、(W4)、(W5)、(W6)の効果に加えて、下記の効果が得られる。
(W7)この製造方法により、特に、薬効成分と添加物とを均一に混合して、添加物混合物を調製し、その後、得られた添加物混合物と前記ガム基材とを均一に混合することにより、薬効成分が凝集することなく、薬効成分がガム基材の中に均一に分散して含有された咀嚼用医薬品を製造できる。
(W8)アズレンスルホン酸ナトリウムなどの薬効成分をガム基材の中に凝集することなく均一に分散させることができる。その結果、薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面がガム基材に覆われて、空気中の酸素や水分、光などから遮断される効果も向上し、一般家庭などにおいて長期間の保存・貯蔵された場合にも、薬効成分の変質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果がさらに向上する。
(W9)薬効成分がガム基材の中に凝集することなく均一に分散されるために、咀嚼時において、薬効成分が徐々に行内に放出され、その放出速度が一定であり、常に同じ濃度の薬効成分が放出され、格でいる間の長時間、安定した薬効を持続して発揮することができる。
(W10)さらに、添加物として、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有するために、咀嚼したときの甘味または清涼感などが発揮され、また、薬効成分の分散性を向上させる効果も更に向上する。
【0053】
前記咀嚼用消炎医薬品の製造方法において、前記(b)工程は、薬効成分と添加物を40℃以下の温度下で混合して、前記薬効成分と前記添加物の双方の粒子径が50μm以下の大きさになるように粉砕して、均一に混合された添加物混合物を調製し、その後、得られた前記添加物混合物と前記ガム基材とを前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加材混合物を調製する工程を有し、粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分と前記添加物のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記ガム基材に覆われるように存在して含有されるように形成することを特徴とする構成が望ましい。
【0054】
この製造方法により、前述の(W1)、(W2)、(W3)、(W4)、(W5)、(W6)、(W7)、(W8)、(W9)、(W10)の効果に加えて、下記の効果が得られる。
(W11)薬効成分と添加物とを混合する混合工程、および、添加物混合物と前記ガム基材とを混練する混練工程において、いずれの工程も、40℃以下の温度下で処理するために、使用する薬効成分や添加物の高温の温度による変質劣化が防止され、品質的に安定した薬効成分と添加物とを含有する医薬品を製造できる。
(W12)特に、粒子径が50μm以下の粉末状粒子形状を有する薬効成分を使用することにより、その咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用消炎医薬品が得られる。
(W13)さらに、粒子径を50μm以下に粉砕した粉末状粒子形状を有する薬効成分と添加物を使用して、ガム基材と混練するために、薬効成分と添加物がガム基材の中に均一に分散して含有され、薬効成分がガム基材に覆われて、薬効成分が空気や光から遮断される作用効果が著しく向上し、その結果、前述の室温保存における薬効成分の変質劣化が防止される効果が更に著しく向上し、また、咀嚼中において一定の薬効成分濃度で薬効成分が放出されるために、安定した効能を発揮できる咀嚼用消炎医薬品が製造できる。
(W14)得られた医薬品を咀嚼している間の長時間、薬効成分が口内に徐々に放出される効果、口内の咽喉の患部に更に長時間接触する作用効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する作用効果、などの作用効果がさらに著しく向上するとともに、保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する作用効果などを有する咀嚼用消炎医薬品が得られる。また、薬効成分の粒子径が50μm以下の大きさであるため、その咀嚼用消炎医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み感触を有する咀嚼用消炎医薬品が得られる。
(W15)さらに、特に、薬効成分と添加物とを均一に混合して、添加物混合物を調製することにより、薬効成分を粒子径が50μm以下の大きさに効率よく粉砕することができる。薬効成分と添加物とを混合したときに、添加物が滑剤としての役割を発揮して、薬効成分の凝集が防止されるために、薬効成分を粒子径50μm以下の大きさに効率よく粉砕することができる。また、その後、得られた添加物混合物とガム基材とを均一に混合することにより、それぞれの薬効成分と添加物が凝集することなく、薬効成分と添加物の双方がガム基材の中に均一に分散して含有された咀嚼用医薬品を製造できる。
(W16)さらに、前記薬効成分が咽喉の疾患患部に直接に接触することにより消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する消炎剤を含有する構成に於いて、充分な消炎効能を発揮できるとともに、副作用のない薬効成分濃度であって、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能となり、口内の疾患を治癒する薬効が著しく向上する。
(W17)また、前記薬効成分が咽喉の疾患患部に直接に接触することにより消炎効能を発揮する消炎剤と、口内を殺菌する殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウム殺菌剤を含有する構成に於いて、充分な消炎効能と殺菌作用を発揮できるとともに、副作用のない薬効成分濃度であって、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能で、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有し、咽喉の炎症に対して、主として消炎効能を発揮するとともに、口内を殺菌する殺菌作用を発揮し、この消炎効能と殺菌作用の相乗効果により、患部の炎症を治癒する効果が著しく向上した咀嚼用医薬品が得られる。特に、これらの作用効果に優れた咀嚼用医薬品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の咀嚼用消炎医薬品および咀嚼用消炎医薬品の製造方法について、詳細に説明する。
なお、本発明および本実施例において、「口内」と「口中」は同じ意味であり、また、「口内」と「口中」は、「咽喉」、「喉頭」、「のど」、などを含むものである。
【0056】
本発明の咀嚼用消炎医薬品は、少なくとも、ガム基材と、薬効成分とを含有し、薬効成分はガム基材の中に分散して存在する。ガム基材は、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な性質と、薬効成分と化学的反応することなく薬効成分を変質させない性質を有する。また、ガム基材は、咀嚼可能な固形形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮し、咀嚼時にばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能を有し、咀嚼後において口外に吐き出される性質を有する。薬効成分は、粉末形状を有し、ガム基材の中に分散した状態で前記ガム基材に覆われて、空気中の酸素と水分と光から遮断された状態で存在する。そして、その薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を有する。特に、薬効成分は、少なくとも、口内の炎症している患部に直接に接触することにより炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有することを特徴とする。
特に、薬効成分はガム基材の中に均一に分散した状態で存在する構成が望ましい。
【0057】
本発の明咀嚼用消炎医薬品は、特に、薬効成分としては、口内の炎症している患部に直接に接触することにより炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する構成である。
なお、薬効成分としては、このアズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、サリチル酸メチル、塩化リゾチウム、グリチルリチン酸ジカリウム、マレイン酸クロルフェニラミン、等の他の薬効成分を併用した構成も使用可能である。
特に、薬効成分は、ガム基材の中に均一に分散して含有された状態であって、ガム基材に覆われた状態で存在する状態が特に望ましい。
【0058】
さらに、ガム基材と薬効成分に加えて、添加物を含有し、ガム基材と薬効成分と添加物は互いに混合された形態であり、添加物はガム基材の中に混合された状態で存在する咀嚼用消炎医薬品も適用できる。
【0059】
また、咀嚼用消炎医薬品において、ガム基材は、少なくとも、弾性形態を連続的に維持する性質を有する樹脂成分と、樹脂成分に柔軟性を付与する軟化成分を含有する構成も適用できる。
ガム基材としては、使用する薬効成分と化学反応することなく、変質することなく、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な成分であれば、特に限定されない。さらに、ガム基材としては、咀嚼可能な弾性形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮するとともに、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、咀嚼により、薬効成分を唾液と一緒に徐々に口内に放出する機能を有する成分が望ましい。
ガム基材と、薬効成分と、添加物とが常温保存状態において、互いに均一に混合された咀嚼可能な固形形態を有する。樹脂成分は常温保存状態において固形の弾性形態を有する。軟化成分は常温保存状態において、樹脂成分の有する固形の弾性形態に柔軟性を付与する機能を有するとともに、咀嚼時において、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能を有する。樹脂成分と軟化成分は、常温保存状態において、薬効成分を分散含有保持して薬効成分を空気中の酸素と水分から遮断して薬効成分の変質劣化を防止する機能を有するとともに、咀嚼時において、ばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能を有する。咀嚼後において、樹脂成分と軟化成分の混合物は口外に吐き出される。樹脂成分と軟化成分と薬効成分のそれぞれの成分はこのような機能を有する。
【0060】
薬効成分がガム基材の中に含有された咀嚼用消炎医薬品を、長時間、繰り返して噛むことにより、薬効成分が唾液と共に口内に放出され、その薬効成分が、咽喉の炎症している患部に直接に接触し、これにより、患部の炎症が緩和され、低減され、治癒される。
特に、口腔の炎症を低減し治癒する消炎剤のような、炎症患部に直接に接触して作用する医薬品においては、その薬効成分が出来る限り長時間、口内に滞留して炎症患部に接触することにより、その消炎作用が長時間、持続し、消炎効能が向上する効果が得られる。例えば、この咀嚼用医薬品を約30分から60分の間、咀嚼することが可能であり、この間、薬効成分を徐々に口内に放出し、順次、口内に滞留させて、長時間、薬効成分を炎症患部に直接に接触させることができ、限られた薬効成分の含有量を最大限に利用して、薬効効能の利用効率を高めることが出来る。
【0061】
さらに、薬効成分がガム基材の中に分散されて含有されているため、薬効成分はガム基材に覆われた状態で存在することになり、薬効成分が空気や湿気を含む雰囲気中に暴露されることが無いために、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有する作用効果が得られる。
このように、前述の発明の効果の欄において説明した(A)から(G)の作用効果を有する咀嚼用消炎医薬品が得られる。
特に、薬効成分がガム基材の中に均一に分散されて含有される構成が特に望ましく、この構成により、上記の効果がさらに向上する。
【0062】
このような、薬効成分がガム基材の中に分散して含有され、薬効成分がガム基材に覆われた状態で存在する状態であって、ガム基材が上記のような構成を有することにより、特に、前述の発明の効果で説明したような(A)薬効成分を口内に徐々に放出して長期間薬効を発揮する効果、(B)薬効成分を空気・光から守って薬効成分の変質劣化を防止して貯蔵安定性が向上する効果、(C)噛み感触を向上する効果、(G)ばらばらの小塊状に分離することなく柔軟弾性形態を連続的に維持する噛み感触を向上する効果、などの作用効果が得られる。
これに対して、薬効成分が常温保存状態においてガム基材の中に均一に分散することなく、凝集したり、塊状に固まって偏在したり、薬効成分濃度が部分によって不均一にして存在する構成の場合、(A)において薬効成分が口内に不連続に放出されて薬効にバラツキが発生する、(B)において一部の薬効成分が空気に暴露する場合があり薬効成分が空気や光により変質劣化することがある、前述の(C)において噛んだ時にガリガリ感が発生して噛み感触が劣る、などの点において、十分な作用効果が得られないことがある。
【0063】
また、ガム基材の中に添加される添加物としては、甘味を付与する甘味材、苦味を付与する苦味材、味を矯正する矯味材、着色する着色材、保存性を向上する保存材、噛んだときの粘性を安定に維持する粘性安定材、ガム基材の腐食を防止する腐食防止材、酸味を付与する酸味材、味を調整する調味材、ガム基材の樹脂成分と軟化成分との混合性を向上する乳化材、ガム基材の機械的強度を向上するための強化材、臭い香りを付与するための香り付与材、製造時にガム基材の中に分散される薬効成分の分散性を向上させる分散性向上剤、薬効成分を口内に長時間滞留させるための滞留性向上剤、薬効成分の効能を効率よく発揮させる効能効率向上剤、薬効成分が持っている特有の味を矯正して噛んだ時の味を向上するための噛味調整剤、薬効成分の酸化劣化を防止するための酸化防止剤、および、噛んだ時に薬効成分が口内に放出される速度を制御する機能を有する口内放出速度制御剤などが使用され、所望の性質を発揮するために、これらのうちの少なくとも一つの添加物、または、2種類以上の添加物を組み合わせて使用される。
【0064】
添加物は、服用の利便性を向上し調整するために、添加含有される。添加物としては、人体の健康に安全な物質であれば特に限定されないが、例えば、ガム基材の機械的強度を向上するための強化材としては、例えば、無機粉末が使用され、タルク粉末、シリカ粉末、炭酸マグネシウム粉末、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム粉末、珪酸アルミニウム粉末、珪酸カルシウム粉末、珪藻土粉末、酸化マグネシウム粉末、燐酸2カルシウム粉末、アルミナ粉末などの微粉末であって、人体の健康に安全な材料が使用される。
また、添加物として、例えば、キシリトールとエリスリトールとL−メントールなどを使用することが可能であり、これらの添加物は、得られる咀嚼用消炎医薬品に、咀嚼した時に清涼性付与する清涼剤としての機能と、味を矯正する矯味材と、また、薬品の苦味を低減するための噛味調整剤としての機能など、複数の機能を発揮する。
【0065】
本発明の咀嚼用消炎医薬品に含有されるガム基材に含有される樹脂成分としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂、合成ゴム、エステルガム、ゴム含有樹脂、多糖類含有樹脂、エステル含有樹脂、精油含有樹脂、グアヤク樹脂、ダンマル樹脂、サンダラック樹脂、ロジン、マスチック、カウリガム、コーパル樹脂、シェラックおよびワックスからなる群から選ばれる少なくともひとつが含有される。
熱可塑性樹脂は、酢酸ビニル樹脂、ポリビニールアルコール、ポリエチレンのうちの少なくともひとつである。
合成ゴムは、ポリイソブチレン、ポリブテン、ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリイソプレンのうちの少なくともひとつである。
ゴム含有樹脂は、チクル、ニスペロ、クラウンガム、チクブル、ベミズエラチクル、マツサランドバチュコレート、マツサランドババラタ、グッタカチュウ、グッタハンカン、グッタペルカ、パラタ、ロジデインハ、ジェルトン、ソルバ、ペリージョ、ソルビンハ、グアユーレ、レッチェデバカ、ツヌー、ニガークグッタ、チルテ、ゴム、低分子ゴム、ゴム分解樹脂のうちの少なくともひとつである。
多糖類含有樹脂は、ニュウコウ、ミルラ、ナポパナックス樹脂のうちの少なくともひとつである。
エステル含有樹脂は、コパイババルサムとベンゾインガムのうちの少なくともひとつである。
精油含有樹脂は、エレミ樹脂とファーバルサムのうちの少なくともひとつである。
ワックスは、オウリキュウリワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ケーンワックス、カンデリラワックス、ホホバワックス、モクロウ、ヒマワリロウ、ゲイロウ、ラノリン、ビースワックス、シェラックロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、モンタンワックスのうちの少なくともひとつである。
【0066】
このような樹脂成分としては、使用される軟化成分と互いに均一に混合されて存在することが可能である成分が使用される。
また、使用する樹脂成分としては、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な成分を使用する必要がある。
このような樹脂成分は噛んだときにやや硬いが容易に噛むことができるとともに、軟化成分と互いに容易に混ざり合って混合可能であり、これらの樹脂成分と軟化成分の含有割合を調整することにより、所望の柔軟な弾性形態を有する樹脂成分・軟化成分混合物を得ることができる。
また、人体の口中において、長時間、噛んでいても、健康に害を与えることなく、人体にとって安全な樹脂成分を提供できる。また、常温保存状態において固形の弾性形態を維持する性質が良好であり、薬効成分と化学的に反応することなく薬効成分の変質劣化することが防止される。また、この樹脂成分が軟化成分と混合して使用された場合に、これらの樹脂成分と軟化成分との混合混練性が良好であり、咀嚼時における噛み感触が向上し、また、咀嚼時に噛み感触の良い柔軟な弾性形態を連続的に維持する作用効果がさらに向上する。また、咀嚼した後においても、ばらばらの小塊状に分離することなくその柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持するために、咀嚼された後の軟化成分と樹脂成分との混合物を口内から口外に排出しやすくなる作用効果が更に向上する。
【0067】
本発明の咀嚼用消炎医薬品に含有されるガム基材に含有される軟化成分としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステル、グリセリド類、脂肪酸グリセロール類、脂肪酸グリコール類、グリセロールエステル類、レシチンおよび水からなる群から選ばれる少なくともひとつが含有される。なお、軟化成分は乳化剤として作用して、樹脂成分を軟化する場合もある。
このような軟化成分は、人体の口中において、長時間、噛んでいても、健康に害を与えることなく、人体にとって安全である。また、軟化成分は薬効成分と化学的に反応することなく薬効成分の変質劣化することが防止される。また、軟化成分と前述の樹脂成分と薬効成分とが混合され混練された医薬品において、常温保存状態において、樹脂成分の有する固形の弾性形態に柔軟性を付与する機能が向上するとともに、咀嚼時において、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能を有する機能も向上する。また、樹脂成分と軟化成分は、常温保存状態において、薬効成分を均一に分散含有保持して薬効成分を空気中の酸素と湿度から遮断して薬効成分の変質劣化を防止する機能も更に向上する。また、咀嚼時において、ばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能も向上し、さらに、咀嚼後において、樹脂成分と軟化成分の混合物すなわち、ガム基材は、口外に吐き出される機能も更に向上する。
【0068】
このような、樹脂成分、軟化成分、添加物などのうちから、所定の成分を選んで組み合わせて使用することにより、常温保存状態における弾性形態、噛み始めた時の硬さ・柔らかさ・粘着性などの弾性状態、出てくる唾液と混ざったときの状態、噛み感触・噛み味、噛み続けている時の弾性状態や噛み感触・噛み味の変化、噛み終わった時の樹脂成分・軟化成分混合物の弾性状態、などの点において、いろいろな性質を有するガム基材が得られる。
また、このような樹脂成分と軟化成分のうちから、所定の成分を選んで組み合わせて使用することにより、常温保存状態において、薬効成分を空気中の酸素、水分、光から遮断して薬効成分の変質劣化を防止する機能が発揮できる効果の度合い、および、噛んでいる時に薬効成分が口内に放出される放出速度や放出状態、などの点において、いろいろな性質を有する医薬品が得られる。
【0069】
本発明においては、前述したように、薬効成分としては、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する消炎剤が使用される。アズレンスルホン酸ナトリウムは、主として、咽喉の疾患患部に直接に接触することにより、患部の炎症を治癒する効能を発揮する。
また、本発明において、薬効成分としては、アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、サリチル酸メチル、塩化リゾチウム、グリチルリチン酸ジカリウム、マレイン酸クロルフェニラミンなどの薬効成分を併用して含有する構成も適用できる。
【0070】
薬効成分として、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、グリチルリチン酸ジカリウムを含有する構成も適用できる。グリチルリチン酸ジカリウムは、グリチル酸二カリウムとも称せられ、口内の炎症している患部に直接に接触することにより該患部の炎症を低減し治癒する消炎効能と、口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能との双方の消炎効能を有する。アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムの双方の薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を発揮するとともに、さらに、前記グリチルリチン酸ジカリウムは口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して口内の炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮する。
このように、口内の炎症患部への直接接触と血流中への含有との双方の作用により、さらに、強力な消炎効能を発揮する作用校が得られる。
【0071】
薬効成分として、主として消炎効能を発揮する消炎剤に加えて、主として殺菌作用を発揮する殺菌剤との双方の薬効成分を含有する構成の咀嚼用医薬品も適用可能である。この構成において、主として殺菌作用を発揮する殺菌剤としては、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゾトリウム、塩酸クロルヘキシン、グルコン酸クロルヘキシジン、ポピドンヨード、ヨード化合物などのうちの少なくともひとつの殺菌剤が使用できる。これにより、前述の消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果、などの効果がさらに向上した咀嚼用消炎医薬品が得られる。特に、消炎剤としてのアズレンスルホン酸ナトリウムと、殺菌剤としての塩化セチルピリジニウムとの双方の薬効成分を含有する咀嚼用消炎医薬品が望ましく、これらの効果が更に著しく向上した効果が得られる。
【0072】
特に、消炎剤として少なくともアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとを含有し、殺菌剤として少なくとも塩化セチルピリジニウムを含有し、これらの消炎剤と殺菌剤とを併用した咀嚼用医薬品も有効である。このような構成においては、アズレンスルホン酸ナトリウムによる咽喉疾患患部への直接接触による消炎効能と、グリチルリチン酸ジカリウムによる咽喉の疾患患部に直接に接触することによる患部の炎症を治癒する効能と胃腸内の血管に吸収されて血流の中に入って咽喉の患部の炎症を治癒する消炎効能と、塩化セチルピリジニウムによる口内の殺菌作用、などの消炎効能と殺菌作用との相乗効果により、さらに、強力な消炎効能を発揮する咀嚼用消炎医薬品が得られる。
【0073】
本発明の咀嚼用消炎医薬品に含有される薬効成分としては、薬効成分は常温において粉末粒子形状を有し、薬効成分の粉末粒子は50μm以下の粒子径を有し、50μm以下の粒子径を有する薬効成分が、常温保存状態において、ガム基材の中に均一に分散するとともに、ガム基材に覆われた形態で存在することが望ましい。
この場合、前述の、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果に加えて、保存・貯蔵における薬効安定性がさらに向上する効果が得られるとともに、また、その咀嚼用医薬品を咀嚼して噛んだ時に、硬い粉末固体を噛んでいるような不快な感触が防止され、滑らかな軟らかい噛み味を有する咀嚼用医薬品が得られる。
この構成においては、薬効成分の粒子径が50μm以下の粉末状粒子形状のものが使用され、その粒子径50μm以下の粉末状粒子を有する薬効成分がガム基材に混練されて、均一に分散される。通常には、この混練工程中においては、薬効成分はガム基材に溶けることはなく、その薬効成分の粉末状粒子径の大きさが維持された状態でガム基材の中に均一に分散して存在する。また、この混練工程中において、薬効成分の粉末状粒子径の大きさが粉砕されたとしても、その粒子径は50μm以下となり、大きくなることはない。
薬効成分の粒子径が50μmを超える場合、咀嚼用医薬品を噛んだ時に、ガリガリ感などの硬い粉末固体を噛んでいるような不快な感触が発生し、また、薬効成分の粒子径が大きくなるに従って、薬効成分の分散性がやや劣る傾向にある。
なお、本発明において含有されるアズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、塩化セチルピリジニウム、などの薬効成分は、常温において、粉末粒子形状を有し、約40℃を超える融点を有する。アズレンスルホン酸ナトリウムは、約90℃以下の低温では固体形状であって、高温で分解し、正確な融点・分解温度は不明である。グリチルリチン酸ジカリウムは常温で固体形状であって、融点は60℃以上である。また、塩化セチルピリジニウムは、常温で固体形状であって、融点は約80から約84℃である。
【0074】
咀嚼用消炎医薬品に含有される各成分の含有割合として、ガム基材の含有割合が10重量%から80重量%であり、薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%である構成が望ましい。また、添加物が含有された咀嚼用消炎医薬品においては、ガム基材の含有割合が10重量%から80重量%であり、薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%であり、添加物の含有割合が0.05重量%から70重量%であるような構成が望ましい。
この構成により、前述で説明した作用効果が更に向上した用医薬品が得られる。薬効成分の含有割合が0.05重量%未満の場合には、前述したような薬効が充分に発揮されない場合がある。薬効成分の含有割合が10重量%を超える場合には、使用する薬効成分の種類によっては、人体の健康に悪影響を及ぼす場合がある。ガム基材の含有割合が10重量%未満の場合には、添加物の含有割合の含有割合が多くなる構成となるために、人体の健康に悪影響を及ぼす場合があり、さらに、咀嚼用消炎医薬品に弾性を付与する効果に劣る傾向があり、柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能が充分に発揮されない場合があり、充分な噛み感触が得られない場合がある。ガム基材の含有割合が80重量%を超える場合には、添加物の含有割合の含有割合が少なくなる構成となるために、前述したような薬効が充分に発揮されない場合がある。添加物の含有割合が0.05重量%未満の場合には添加物の作用効果が発揮されなく、添加物の含有割合が70重量%を超える場合には、ガム基材の含有割合が少なくなるため、咀嚼用消炎医薬品に弾性を付与する効果に劣り、柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持する機能が充分に発揮されなく、充分な噛み感触が得られない傾向がある。
【0075】
薬効成分と併用して添加物が使用される構成においては、その添加物も粒子径は50μm以下の粉末状粒子形状であって、その粉末状粒子形状の薬効成分がガム基材の中に均一に分散して含有されている咀嚼用消炎医薬品が使用できる。この構成においても、上記と同じ効果が得られる。
【0076】
また、添加物自身が液体形状である場合にも、その添加物をタルク粉末やシリカ粉末などの担持機能を有する粒子径50μm以下の無機粉末に吸着または含浸させて担持させた粉末状粒子形状として構成し、その添加物を担持した無機粉末を樹脂成分と軟化成分の混合物の中に均一に分散して含有することができる。
【0077】
本発明の咀嚼用消炎医薬品において、添加物としては、例えば、エリスリトール、L−メントール、キシリトール、還元水飴、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチノース、アステルパームなどが使用される。特に、エリスリトール、L−メントール、キシリトールのうちの少なくともひとつが望ましい。ここで、L−メントールはl−メントール(エル−メントール)とも称せられる。
例えば、エリスリトールとL−メントールは噛み味調整剤として作用する。L−メントールは口内の感覚を良好にする清涼剤としての作用をも発揮し、ガム基材に含まれる添加物としても分類される。キシリトールや還元水飴は甘味を付与する作用を有する甘味剤としても作用し、ガム基材に含まれる添加物としても分類される。水飴は薬効成分の口内の疾患患部への付着性能を向上させる作用を有する付着性向上剤としての作用をも発揮し、薬効成分のための添加物としても分類される。
このように、添加物としてのひとつの成分は、複数の機能を発揮する場合があり、また、ガム基材の性質を向上させるための添加物として機能する場合、薬効成分の薬効を有効に発揮させる機能を有する場合、及び、これらの双方の機能を発揮する場合がある。
これらの添加物のうちの少なくとも1種類を添加含有することにより、前述のように、消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果が得られるとともに、薬効成分の患部への付着持続性が増し、咀嚼したときの甘味または清涼感などが発揮され、また、薬効成分の分散性が向上するなどの効果が得られる。特に、咀嚼用医薬品を噛んだとき、薬効成分と一緒に付着向上剤が口内に放出されて、口内に放出された薬効成分と付着性向上剤は混合物となって、疾患患部に付着し接触して、接触時間を長くする作用を発揮する。
【0078】
本発明の咀嚼用医薬品の製造方法は、(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分とが均一に混合されたガム基材を調製する工程と、(b)前記ガム基材と薬効成分と添加物を混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・添加物混合物を調製する工程と、(c)前記ガム基材・添加物混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用消炎医薬品を得る工程と、からなる。前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化状態を有し、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態を有するとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分とが混合可能な温度範囲で、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記添加物を混練する。前記(b)工程において、前記薬効成分は、少なくとも、口内の炎症患部に直接に接触することにより該炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練する。前記(c)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型する。さらに、前記薬効成分が前記ガム基材に覆われた形態で存在するように形成することを特徴とする。
【0079】
また、前記(c)工程は、前記ガム基材・添加物混合物を所定の形状に成型して、さらに、その後、所定の形状に成型された成型物の表面にコーティング剤を被覆して、咀嚼用消炎医薬品を得る工程を有することも可能である。
【0080】
前記薬効成分は、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、グリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムとのうちの少なくともひとつを含有することを可能である。
【0081】
一般に、薬効成分は、熱、空気中の水分や酸素、などの影響により、薬効成分が変性したり、劣化したりする恐れがある。また、複数の薬効成分が含有されている場合には、熱、空気、水分などの影響により、それらの薬効成分が化学反応して成分変化を生じる恐れもある。特に、アズレンスルホン酸ナトリウムはこのような熱や空気暴露により変質劣化しやすい性質を有する。
上記の製造方法により、製造過程において、熱、空気中の水分や酸素などの影響により、アズレンスルホン酸ナトリウムなどの薬効成分の劣化が生じることなく、さらに、使用成分の互いの反応により成分変化が生じることのない、製造上において常に安定した品質の咀嚼用医薬品を製造できる。
また、薬効成分が主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有しているため、充分な消炎効能を発揮できるとともに、副作用のない薬効成分濃度であって、その医薬品が口内に長時間滞留して、その薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触することが可能である。さらに、一般家庭の室内の室温・水分・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有する咀嚼用医薬品が得られる。
【0082】
また、上記の製造方法において、薬効成分が消炎剤と殺菌剤とを含有する構成においては、製造過程中に、熱、水分、湿度、空気などの影響により、消炎剤と殺菌剤とが互いに反応することがなく、製造上において常に安定した品質の咀嚼用医薬品を製造できる。さらに、上記の作用効果に加えて、充分な消炎効能と殺菌作用を発揮できるとともに、咽喉の炎症に対して、主として消炎効能を発揮するとともに、口内を殺菌する殺菌作用を発揮し、この消炎効能と殺菌作用の相乗効果により、患部の炎症を治癒する効果が著しく向上した咀嚼用医薬品が得られる。
【0083】
前記(b)工程のガム基材と薬効成分と添加物を混練する工程としては、特に限定しないが、例えば、バッチ式のスクリュー式混練機、バッチ式の羽根式混練機、バッチ式のロール式混練機、または、このような混練機に気圧や重しを加えた状態で混練するバッチ式の加圧式混練機、等の混練機を使用して、特に、使用する薬効成分が劣化しない温度範囲であって、ガム基材が粘性を有して、そのガム基材と薬効成分と添加物が互いに混練可能な温度範囲で混練する。薬効成分の劣化を防止するために、望ましい温度範囲としては、使用するガム基材や薬効成分などの種類によって異なるが、40℃以下の温度下で混練することが必要である。さらに望ましくは、20℃から40℃の温度範囲が望ましい。40℃以上においては、薬効成分が混練中に高温の温度、空気、水分などによって変質し、劣化する恐れがある。20℃以下の温度においては、ガム基材の粘性が低くなり、混練ができないような粘性状態となる傾向がある。また、窒素などの不活性気体の雰囲気中で混練することが望ましく、混練中における薬効成分が空気中の酸素や水分と反応して変質することが防止できる。また、加圧式混練機を使用して加圧しながら混練することにより混練時間を短縮できる作用効果が得られる。また、加圧式混練機は空気を遮断しながら混練する作用効果も得られる。これにより、薬効成分と添加物がガム基材の中に均一に混合される。
【0084】
前記(c)前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用医薬品を得る工程としては、特に限定しないが、例えば、一般に薄板状の菓子チューインガムの製造に使用されている公知の押出方式の押出成形機を使用して、薄板状、円盤形状、その他の任意の形状のガム製医用成型材を得ることができる。ただし、菓子チューインガムの製造方式と比較して、使用している薬効成分が劣化しない温度範囲であって、使用するガム基剤が粘性を有して所定形状に加工できる温度範囲で成形することが必要である。望ましい温度範囲としては、使用する樹脂成分、軟化成分、薬効成分などの種類によって異なるが、薬効成分の劣化を防止するために40℃以下の温度が望ましい。さらに望ましくは、20℃から40℃の温度範囲が望ましい。40℃以上においては、薬効成分が混練中に高温の温度、空気、水分などによって変質し、劣化する恐れがある。20℃以下の温度においては、樹脂成分・軟化成分混合物の粘性が低くなり、混練ができないような粘性状態となる傾向がある。また、窒素などの不活性気体の雰囲気中で混練することが望ましく、混練中における薬効成分が空気中の酸素や水分と反応して変質することが防止できる。また、加圧式混練機を使用して加圧しながら混練することにより混練時間を短縮できる作用効果が得られる。また、加圧式混練機は空気を遮断しながら混練する作用効果も得られる。これにより、薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物が得られる。
【0085】
また、前記(c)工程において、前記樹脂成分・軟化成分・薬効成分混合物を所定の形状に成型し、さらに、その後、所定の形状に成型された成型物の表面にコーティング剤を被覆して、咀嚼用医薬品を得る工程を有する工程において、コーティング剤を被覆して咀嚼用医薬品を得る工程としては、特に限定しないが、咀嚼用医薬品の保存中における空気中の水分や酸素による薬効成分の劣化を防止するための防湿効果や酸化劣化防止効果を有するコーティング剤、咀嚼用医薬品に甘味を付与するコーティング材、または、製造した医薬品同士の粘着を防止するための粘着防止材や粘着防止粉末が使用できる。コーティング剤としては、例えば、粉末マルチトール、水飴、アラビアガムを含有する蜜糖、着色剤、ワックス剤、薬効成分特有の味を緩和するために甘味・果物などの味に類似する果物味、清涼感を奏するための清涼味などを発揮する成分を含むコーティング剤が使用できる。
【0086】
前記の(b)工程において、粒子径が50μm以下の粉末状粒子形状を有する薬効成分を使用することが望ましい。これにより、その粒子径50μm以下の粉末状粒子を有する薬効成分が樹脂成分・軟化成分混合物の中に混練されて、均一に分散される。通常には、この混練工程中においては、薬効成分は樹脂成分・軟化成分混合物に溶けることはなく、その薬効成分の粉末状粒子径の大きさが維持された状態で樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して存在する。また、この混練工程中において、薬効成分の粉末状粒子径の大きさが粉砕されたとしても、その粒子径は50μm以下となり、大きくなることはない。
【0087】
前記の咀嚼用消炎医薬品の製造方法において、前記添加物は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有する。そして、前記(b)工程は、前記キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつと、前記薬効成分を、40℃以下の温度下で混合して、薬効成分・添加物混合物を得る工程と、その後、得られた薬効成分・添加物混合物と、前記ガム基材とを、40℃以下の温度下で混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加物混合物を調製する工程を有することを特徴とする製造方法が望ましい。
このように、あらかじめ、薬効成分と添加物とを均一に混合することにより、薬効成分の凝集が防止されて、薬効成分が添加物とともに均一に分散された添加物混合物が得られる。この工程において、添加物が滑剤としての機能を発揮するために、薬効成分が添加物とともに均一に分散されるものと思われる。その後、その薬効成分が添加物とともに均一に分散された薬効成分・添加物混合物とガム基材とを混練することにより、薬効成分がガム基材の中に均一に分散されるとともに、添加物もガム基材の中に均一に分散された咀嚼用医薬品が得られる。
薬効成分と添加物とを均一に混合して薬効成分・添加物混合物を調製する方法としては、例えば、一般家庭で使用される果物・野菜用回転羽根を備えたミキサーを使用してこれらの成分を混合する方法、または、このような家庭用回転羽根式ミキサーに類似する機構を持った工業用回転羽根式ミキサーを使用して、薬効成分と添加物とを均一に混合することができる。また、回転する円筒容器の中に薬効成分と添加物を投入して、薬効成分と添加物とを均一に混合する方法が使用できる。また、乳鉢の中に薬効成分と添加物を投入して棒ですりつぶす方法がある。また、密閉容器の中に薬効成分と添加物を投入して、空気又は窒素等の不活性気体を流して、気流により薬効成分と添加物とを均一に混合する方法が使用できる。
【0088】
また、前記(b)工程は、薬効成分と添加物を40℃以下の温度下で混合して、前記薬効成分と前記添加物の双方の粒子径が50μm以下の大きさになるように粉砕して、均一に混合された薬効成分・添加物混合物を調製し、その後、得られた前記薬効成分・添加物混合物と前記ガム基材とを前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加物混合物を調製する工程を有し、粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分と前記添加物のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記ガム基材に覆われるように存在して含有されるように形成することを特徴とする咀嚼用医薬品が製造される。
薬効成分として粉末状粒子形状を有する薬効成分を使用して、薬効成分と添加物とを混合しながら薬効成分を粒子径が50μm以下の大きさに粉砕して、均一に混合された薬効成分・添加物混合物を調製する方法としては、例えば、前述した混合装置が使用できる。すなわち、一般家庭で使用される果物・野菜用回転羽根を備えたミキサーを使用してこれらの成分を混合する方法、または、このような家庭用回転羽根式ミキサーに類似する機構を持った工業用回転羽根式ミキサーを使用して、薬効成分と添加物とを均一に混合することができる。また、回転する円筒容器の中に薬効成分と添加物を投入して、薬効成分と添加物とを均一に混合する方法が使用できる。また、乳鉢の中で棒により薬効成分と添加物とを均一に混合する方法が使用できる。また、密閉容器の中に薬効成分と添加物を投入して、空気または窒素等の不活性気体を流して、気流により薬効成分と添加物とを均一に混合する方法が使用できる。これらの混合装置を使用して混合動作条件を選択使用することにより、薬効成分と添加物とを粒子径50μm以下の大きさに粉砕するとともに、粒子径50μm以下の大きさの薬効成分と添加物とが均一に混合された薬効成分・添加物混合物を調製することができる。
【0089】
薬効成分と併用して添加物が使用される構成においては、その添加物も粒子径は50μm以下の粉末状粒子形状であって、その粉末状粒子形状の薬効成分がガム基材の中に均一に分散して含有されている咀嚼用医薬品が使用できる。
【0090】
さらに、添加物自身が液体形状である場合には、その液状添加物をタルク粉末やシリカ粉末などの担持機能を有する粒子径50μm以下の無機粉末に吸着または含浸させて担持させた粉末状粒子形状として構成し、その添加物を担持した無機粉末をガム基材の中に均一に分散して含有させることができる。
【0091】
上記の咀嚼用医薬品の製造方法において、前記添加物は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、前記(b)工程において、薬効成分を粒子径が50μm以下の大きさに粉砕するとともに、添加物も粒子径が50μm以下の大きさに粉砕し、この工程により、粒子径が50μm以下の大きさの添加物と粒子径が50μm以下の大きさの薬効成分をガム基材の中に均一に分散して、薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面がガム基材に覆われるように含有させる製造方法も使用できる。
キシリトール、エリスリトール、およびL−メントールは常温では固形状粉末であり、例えば、清涼剤としても使用されている。このようなキシリトール、エリスリトール、L−メントーのうちの少なくとも1種類と薬効成分とを均一に混合するとともに、粒子径が50μm以下の薬効成分・添加物混合物が得られる。その後、この薬効成分・添加物混合物と(a)工程で調整したガム基材とを混練することにより、薬効成分や添加物が凝集することなく、薬効成分や添加物がガム基材の中に均一に分散されたガム基材・薬効成分・添加物混合物が調製される。
この製造方法により、薬効成分がガム基材の中に均一に分散する効果が向上し、薬効成分のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記ガム基材に覆われるように含有される効果も向上する。
【0092】
この製造方法により製造される咀嚼用医薬品において、特に、薬効成分が前述の消炎剤や殺菌剤を含有する医薬品の場合、消炎効能や患部の炎症を治癒する効果、薬効成分が咽喉の患部に更に長時間接触する効果、長期の保存・貯蔵における品質劣化を防止できる薬効安定性を有する効果がさらに向上するとともに、薬効成分の患部への付着持続性が向上する。
【0093】
特に、薬効成分として含有されるアズレンスルホン酸ナトリウムは、温度、空気中の酸素や水分、光等により変質し劣化しやすい性質を持っているために、少なくともアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する咀嚼用医薬品は、このような製造方法により製造されることにより、一般家庭の室内の室温・水分・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵安定性を有し、咀嚼可能な弾性形態を有する咀嚼用医薬品が得られる。また、咀嚼により、柔軟性を発揮し、その柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持し、さらに、薬効成分が咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して薬効を発揮する機能を有する咀嚼用医薬品が得られる。
さらに、製造過程において、熱などの影響により、薬効成分の劣化が生じることなく、さらに、使用成分の互いの反応により成分変化が生じることのない、製造上において常に安定した品質の医薬品を製造できる咀嚼用医薬品が製造できる。特に、これらの作用効果を有する咽喉の消炎効能を奏する咀嚼用医薬品が製造できる。
【0094】
薬効成分として、少なくとも、消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとの双方の消炎剤と、殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウムの殺菌剤とを含有した咀嚼用医薬品の製造方法も、前述の優れた消炎効能がさらに向上するとともに、その消炎効能に加えて、優れた殺菌作用を奏する咀嚼用医薬品が製造方法できる。
すなわち、前述したように、グリチルリチン酸ジカリウムは、口内の疾患患部に直接に接触して消炎効能を発揮するとともに、胃腸などの消化器官に流れて血流内に取り込まれることにより消炎効能を発揮する双方の効能を有している。
従って、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとの双方の消炎剤を含有することにより、効果的に消炎効能を発揮した咀嚼用医薬品が得られる。
さらに、殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウムを併用することにより、口内の疾患患部の炎症を消炎し治癒する効果がさらに著しく向上する。
【0095】
なお、本発明においては、医薬品または食品添加物に関する条令・法令などの法規において許容される範囲内で、その含有成分の種類、含有成分の組み合わせ、含有成分の含有濃度、等を選択して含有させることができる。さらに、厚生労働省より出されている「医薬品製造販売指針」を参酌して製造することができる。
【実施例】
【0096】
以下に、本発明の咀嚼用消炎医薬品および咀嚼用消炎医薬品の製造方法について、実施例を説明する。
【実施例1】
【0097】
本実施例では、ガム基材として樹脂成分と軟化成分を含有し、薬効成分として、主として、咽喉の疾患患部に直接に接触して患部の炎症を低減し、治癒する効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウム(約90℃以下の低温では固体形状、高温で分解、正確な融点・分解温度は不明)を使用した咀嚼用消炎医薬品について説明する。アズレンスルホン酸ナトリウムは、90℃以下の低温では固体形状であり、高温で分解しやすい性質を有する。また、空気中の酸素や湿度、水分、及び光などにより、変質劣化しやすい性質を持つ。
まず、樹脂成分と軟化成分を混練してガム基材を調製する工程を説明する。樹脂成分として、酢酸ビニル樹脂とポリイソブチレンを使用し、軟化成分としては、ジェルトン、エステルガム、マイクロクリスタリンワックス及びグリセリン脂肪酸エステルを使用する。これらのそれぞれの成分の所定量を秤量し、混練機の中に投入して、使用したそれぞれの成分が互いに溶融可能な温度で、均一になるまで混練する。このようにして、樹脂成分と軟化成分が互いに混練されたガム基材が得られる。得られたガム基材は粘弾性固形を有する。
次に、得られたガム基材と、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混練してガム基材・薬効成分混合物を調製する工程を説明する。上記のようにして得られる所定量のガム基材を加圧式混練機に投入し予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを加えて、これらの樹脂成分と軟化成分と薬効成分を混練して、均一に混合されたガム基材・薬効成分混合物を調製する。この工程において、薬効成分は、ガム基材の中に分散されるように、充分に混合されて混練される。この混練工程においては、使用した薬効成分が変質劣化しない温度範囲で混練する必要があり、本実施例では、40℃を超えることなく、約35℃の雰囲気温度で混練する。このようにして、ガム基材・薬効成分混合物が調製される。
次に、得られたガム基材・薬効成分混合物を、押出し成型機と圧縮成型機を使用して、気泡が在留しない円盤状の咀嚼用医薬品を調製する。この成型工程においても、使用した薬効成分が変質劣化しない温度範囲の40℃を超えることなく、約35℃の雰囲気温度で混練する。このようにして、咀嚼用医薬品が調製される。
【0098】
本実施例において使用される咀嚼用消炎医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.4重量部)、酢酸ビニル樹脂(19重量部)、ポリイソブチレン(26重量部)、ジェルトン(9重量部)、エステルガム(10重量部)、マイクロクリスタリンワックス(28重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(7.6重量部)である。
【0099】
次に、コーティング工程について説明する。上記のようにして得られる円盤状咀嚼用医薬品をコーティング装置の中に入れ、ここに糖蜜(マルチトール、水飴、アラビアガム、水よりなる混合物)を混入して後、送風乾燥して第一糖蜜層を形成し、その後、着色料を溶かした糖蜜をコーティング装置に投入して着色コーティング層を形成し、その後、さらに、糖蜜を投入・送風乾燥して第二糖蜜層を形成し、その後、ワックス含有艶出し液を投入して混合・送風乾燥して艶出し層を形成し、その後、特殊ワックスを含有する防湿コーティング液を投入・送風乾燥して、複数のコーティング層より被覆された咀嚼用医薬品を製造する。なお、このコーティング工程においても、使用する薬効成分が変質劣化しない範囲の温度範囲で処理される。本実施例においては、約35℃の雰囲気温度で処理する。このようにして、コーティングされた咀嚼用消炎医薬品が製造される。このようにして製造される咀嚼用医薬品は、直径約17mm・厚さ約10mmの円盤形状を有する。また、約36℃で機械的圧力を加えることにより、容易に粘弾性変形出来るような硬さ・粘弾性を有する。さらに、噛んだ時に、ばらばらの小塊状に分離することなく、柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持している。
【実施例2】
【0100】
本実施例では、薬効成分として、主として、消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムと、殺菌効能を発揮する塩化セチルピリジニウムを使用する。樹脂成分と軟化成分などのその他の成分は、実施例1で説明した成分と同じである。
薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムと塩化セチルピリジニウムを使用して、実施例1で説明した方法と同じ方法により、咀嚼用消炎医薬品を製造する。
本実施例において使用される咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.3重量部)、塩化セチルピリジニウム(0.1重量部)、酢酸ビニル樹脂(19重量部)、ポリイソブチレン(26重量部)、ジェルトン(9重量部)、エステルガム(10重量部)、マイクロクリスタリンワックス(28重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(7.6重量部)である。
製造された咀嚼用消炎医薬品は実施例1と比べて薬効が異なるが、その他の性能は実施例1で説明した内容と同じ性能を有する。
【実施例3】
【0101】
本実施例では、薬効成分として、主として、消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウム(約90℃以下の低温では固体形状、高温で分解、正確な融点・分解温度は不明)とグリチルリチン酸ジカリウム(常温で固体形状、融点:60℃以上)と、殺菌効能を発揮する塩化セチルピリジニウム(常温で固体形状、融点:約80−84℃)を使用する。樹脂成分と軟化成分などのその他の成分は、実施例1で説明した成分と同じである。
薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムを使用して、実施例1で説明した方法と同じ方法により、咀嚼用消炎医薬品を製造する。グリチルリチン酸ジカリウムは、常温で固体形状であり、融点は60℃以上である。
本実施例において使用される咀嚼用消炎医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.1重量部)、グリチルリチン酸ジカリウム(0.2重量部)、塩化セチルピリジニウム(0.1重量部)、酢酸ビニル樹脂(19重量部)、ポリイソブチレン(26重量部)、ジェルトン(9重量部)、エステルガム(10重量部)、マイクロクリスタリンワックス(28重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(7.6重量部)である。
製造された咀嚼用医薬品は実施例1と比べて薬効が異なるが、その他の性能は実施例1で説明した内容と同じ性能を有する。
【実施例4】
【0102】
本実施例では、薬効成分として、主として、消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムを使用する。樹脂成分と軟化成分などのその他の成分は、実施例1で説明した成分と同じである。
薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムを使用して、実施例1で説明した方法と同じ方法により、咀嚼用医薬品を製造する。
本実施例において使用される咀嚼用消炎医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.1重量部)、グリチルリチン酸ジカリウム(0.3重量部)、酢酸ビニル樹脂(19重量部)、ポリイソブチレン(26重量部)、ジェルトン(9重量部)、エステルガム(10重量部)、マイクロクリスタリンワックス(28重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(7.6重量部)である。
製造された咀嚼用消炎医薬品は実施例1と比べて薬効が異なるが、その他の性能は実施例1で説明した内容と同じ性能を有する。
【実施例5】
【0103】
本実施例では、樹脂成分と軟化成分と薬効成分を含有し、さらに、添加物を含有する咀嚼用医薬品について説明する。薬効成分として、消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと、殺菌効能を発揮する塩化セチルピリジニウムを使用する。樹脂成分としては、酢酸ビニル樹脂とポリイソブチレンを使用する。軟化成分としては、ジェルトン、エステルガム、マイクロクリスタリンワックス及びグリセリン脂肪酸エステルを使用する。添加物としては、キシリトール(常温で固体形状、融点:約92−96℃)、エリスリトール(常温で固体形状、融点:約121℃)、L−メントール(常温で固体形状、融点:約42−45℃)、水飴、タルク粉末を使用する。
まず、樹脂成分と軟化成分を混練してガム基材を調製する工程を説明する。樹脂成分として、酢酸ビニル樹脂とポリイソブチレンを使用し、軟化成分としては、ジェルトン、エステルガム、マイクロクリスタリンワックス及びグリセリン脂肪酸エステルを使用する。これらのそれぞれの成分の所定量を秤量し、混練機の中に投入して、使用したそれぞれの成分が互いに溶融可能な温度で、均一になるまで混練する。このようにして、樹脂成分と軟化成分が互いに混練された樹脂成分・軟化成分混合物であるガム基材が得られる。得られたガム基材は粘弾性固形を有する。
【0104】
次に、薬効成分と添加物とを混合して薬効成分・添加物混合物を調製する工程を説明する。別途、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウム(約90℃以下の低温では固体形状、高温で分解、正確な融点・分解温度は不明)、グリチルリチン酸ジカリウム(常温で固体形状、融点:60℃以上)、塩化セチルピリジニウム(常温で固体形状、融点:約80−84℃)と、添加物としてのキシリトール(常温で固体形状、融点:約92−96℃)、エリスリトール(常温で固体形状、融点:約121℃)、L−メントール(常温で固体形状、融点:約42−45℃)のそれぞれの粉末状成分の所定量を秤量し、家庭用ミキサーに類似する混合器の中に投入して、破砕するとともに、均一に混合された薬効成分・添加物混合物を調製する。混合した後においても、これらの薬効成分と添加物は、いずれも、粉末粒子形状であり、それぞれの成分の粒子径は50μm以下である。この破砕混合工程において、使用したそれぞれの成分が融解しない範囲の温度範囲の雰囲気中で混合される。本実施例においては、25℃の雰囲気温度の中で破砕混合する。
【0105】
次に、ガム基材と薬効成分・添加物混合物とを混練して樹脂成分・軟化成分・薬効成分・添加物混合物を調製する工程を説明する。上記のようにして得られた所定量のガム基材を加圧式混練機に投入し、さらに、添加物として所定量のタルク粉末と水飴を加えて予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、上記のようにして得られた薬効成分・添加物混合物を加えて、これらの各成分を混練して、均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加物混合物を調製する。この工程において、薬効成分と添加物はガム基材の中に均一に分散されるように、充分に混合されて混練される。この混練工程においては、使用した薬効成分や添加物が変質劣化しない範囲の温度範囲で混練される。本実施例においては、40℃以下の約35℃の雰囲気温度で混練する。特に、薬効成分は凝集することなく、樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して存在する。
なお、本実施例において、添加物として含有するタルク粉末は、増量材としての機能と、製造される咀嚼用消炎医薬品の機械的強度を強化するとともに、咀嚼時における噛み味を向上する効果を発揮する効果を有する。また、添加物として含有する水飴は、甘味を付与する効果とともに、咀嚼時における粘性を増加する効果と、咀嚼により口内に放出された薬効成分を口内の炎症患部に付着し易くする付着性向上剤としての作用効果を発揮する。
【0106】
次に、上記のようにして得られたガム基材・薬効成分・添加物混合物を、押出し成型機と圧縮成型機を使用して、気泡が在留しない円盤状の咀嚼用消炎医薬品を調製する。この成型工程においても、使用した薬効成分や添加物が変質劣化しない範囲の温度範囲の40℃以下の35℃で成型される。
【0107】
得られた咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.1重量部)、グリチルリチン酸ジカリウム(0.3重量部)、塩化セチルピリジニウム(0.1重量部)と、添加物としてのキシリトール(38重量部)、エリスリトール(19重量部)、L−メントール(1.5重量部)、水飴(2重量部)、タルク粉末(4重量部)、酢酸ビニル樹脂(8重量部)、ポリイソブチレン(10重量部)、ジェルトン(3重量部)、エステルガム(4重量部)、マイクロクリスタリンワックス(10重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(2重量部)である。である。
【0108】
次に、コーティング工程について説明する。上記のようにして得られる円盤状咀嚼用医薬品をコーティング装置の中に入れ、ここに糖蜜(マルチトール、水飴、アラビアガム、水よりなる混合物)を混入してのち送風乾燥して第一糖蜜層を形成し、その後、着色料を溶かした糖蜜をコーティング装置に投入して着色コーティング層を形成し、その後、さらに、糖蜜を投入・送風乾燥して第二糖蜜層を形成し、その後、ワックス含有艶出し液を投入して混合・送風乾燥して艶出し層を形成し、その後、特殊ワックスを含有する防湿コーティング液を投入・送風乾燥して、複数のコーティング層より被覆された咀嚼用医薬品を製造する。なお、このコーティング工程においても、使用する薬効成分が変質劣化しない範囲の温度範囲で処理される。本実施例においては、約35℃の雰囲気温度で処理する。このようにして、コーティングされた咀嚼用消炎医薬品が製造される。このようにして製造される咀嚼用医薬品は、直径約17mm・厚さ約10mmの円盤形状を有する。また、約36℃で機械的圧力を加えることにより、容易に粘弾性変形出来るような硬さ・粘弾性を有する。さらに、噛んだ時に、ばらばらの小塊状に分離することなく、柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持している。
【0109】
(比較例1)
上述の実施例5においては、あらかじめ、薬効成分とキシリトールなどの添加物とを混合して薬効成分・添加物混合物を調製し、その薬効成分・添加物混合物と樹脂成分・軟化成分混合物とを混練する方法であるが、これに対して、本比較例では、まず、薬効成分のみとガム基材とを混練し、その混練中に、さらにキシリトールなどの添加物を添加して混練を続ける方法である。すなわち、実施例5と同じように、複数種類の樹脂成分と軟化成分を混練して調製された樹脂成分・軟化成分混合物に、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを添加して混練を続けた。この場合、アズレンスルホン酸ナトリウムは樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散されなく、アズレンスルホン酸ナトリウムの一部はガム基材の中に凝集して存在する状態が認められた。また、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムとを同時に添加して混練を続けたが、この場合においても、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムの一部は凝集して樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散されなかった。また、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムとを同時に添加して混練を続けたが、この場合においても、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムの一部は凝集して樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散されなかった。その後、さらに、混練しているこれらの薬効成分と樹脂成分・軟化成分混合物との中に、添加物としてのキシリトール、エリスリトール、L−メントール、水飴を添加して加えて混練を続けたが、この場合においても、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムの一部は凝集した状態でガム基剤の中に存在していた。
【0110】
また、複数種類の樹脂成分と軟化成分を混練して調製された樹脂成分・軟化成分混合物に、添加物としての水飴を添加して混練し、その後、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを添加して混練を続けた。次に、グリチルリチン酸ジカリウムを添加して混練を続け、さらに、塩化セチルピリジニウムを添加して混練を続けた。この場合においても、アズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムの一部は凝集した状態でガム基剤の中に存在していた。これらの混練工程においても、実施例5と同じように、使用した薬効成分や添加物が融解しない範囲の温度範囲の約35℃の雰囲気温度で混練した。
【0111】
すなわち、実施例5のように、あらかじめ、薬効成分と添加物とを混合して薬効成分・添加物混合物を調製し、その薬効成分・添加物混合物とガム基剤とを混練する方法の場合には、薬効成分と添加物は樹脂成分・軟化成分混合物の中に凝集することなく均一に分散して存在するが、これに対して、本比較例1のように、樹脂成分・軟化成分混合物の中に、薬効成分と添加物とを別々に添加して混練する方法の場合には、薬効成分の一部が凝集して均一に分散されなかった。このことから、キシリトール、エリスリトール、L−メントールなどの添加物が、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、塩化セチルピリジニウムなどの薬効成分を樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散させる滑剤としての機能をも有しているためであると思われる。
【実施例6】
【0112】
上記の実施例5で説明した薬効成分と添加物とを混合して薬効成分・添加物混合物を調製する工程において、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムのみを使用し、添加物としてキシリトールとL−メントールを使用し、それぞれの粉末状成分の所定量を秤量し、乳鉢の中で乳棒により破砕するとともに均一に混合された薬効成分・添加物混合物を調製する。混合した後においても、これらの薬効成分と添加物は、いずれも、粉末粒子形状であり、それぞれの成分の粒子径は50μm以下である。この破砕混合工程において、使用したそれぞれの成分が融解しない範囲の温度範囲の雰囲気中の25℃の雰囲気温度の中で破砕混合する。次に、上記の実施例5と同じ樹脂成分・軟化成分混合物を使用して、所定量の樹脂成分・軟化成分混合物を窒素気体を充満した混練機に投入し、さらに、所定量の水飴とタルク粉末を加えて予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、上記のようにして得られた薬効成分・添加物混合物を加えて、これらの樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分・添加物混合物を混練して、均一に混合された樹脂成分・軟化成分・薬効成分・添加物混合物を調製する。次に、上記のようにして得られたガム基材・薬効成分・添加物混合物を、押出し成型機と圧縮成型機を使用して、円盤状の咀嚼用医薬品を調製する。この成型工程においても、使用した薬効成分や添加物が変質劣化しない範囲の温度範囲で成型され、40℃以下の35℃で処理される。これにより、薬効成分は凝集することなく、樹脂成分・軟化成分混合物の中に均一に分散して存在する。
【0113】
得られた咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(1.0重量部)、添加物としてのキシリトール(38重量部)、L−メントール(6重量部)、水飴(3重量部)、タルク粉末(5重量部)、酢酸ビニル樹脂(12重量部)、ポリイソブチレン(12重量部)、ジェルトン(4重量部)、エステルガム(5重量部)、マイクロクリスタリンワックス(11重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(3重量部)である。である。
【0114】
上記のようにして得られた咀嚼用消炎医薬品の表面に、実施例1と同じようにコーティング層を形成することが可能である。
このようにして製造された咀嚼用消炎医薬品は、約36℃で機械的圧力を加えることにより、容易に粘弾性変形出来るような硬さ・粘弾性を有する。さらに、噛んだ時に、ばらばらの小塊状に分離することなく、柔軟性を有する弾性形態を連続的に維持している。
【実施例7】
【0115】
上記の実施例5で説明した薬効成分と添加物とを混合して薬効成分・添加物混合物を調製する工程において、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムとグリチルリチン酸ジカリウムを使用し、添加物としてキシリトールとエリスリトールとL−メントールを使用し、それぞれの粉末状成分の所定量を秤量し、乳鉢の中で乳棒により破砕するとともに均一に混合された薬効成分・添加物混合物を調製する。混合した後においても、これらの薬効成分と添加物は、いずれも、粉末粒子形状であり、それぞれの成分の粒子径は50μm以下である。この破砕混合工程において、使用したそれぞれの成分が融解しない範囲の温度範囲の雰囲気中の25℃の雰囲気温度の中で破砕混合する。次に、上記の実施例7と同じ樹脂成分と軟化成分を使用して、所定量の樹脂成分・軟化成分混合物を窒素気体を充満した混練機に投入し、さらに、所定量の水飴とタルク粉末を加えて予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、上記のようにして得られた薬効成分・添加物混合物を加えて、これらの樹脂成分・軟化成分混合物と薬効成分・添加物混合物を混練して、均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加物混合物を調製した。次に、上記のようにして得られたガム基材・薬効成分・添加物混合物を、押出し成型機を使用して、薄板状の形状に調製した。この成型工程においても、使用した薬効成分や添加物が変質劣化しない40℃以下の温度範囲で成型される。このようにして製造された咀嚼用消炎医薬品において、薬効成分は凝集することなく、その咀嚼用医薬品の中に均一に分散して存在する。
【0116】
得られた咀嚼用消炎医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.5重量部)、グリチルリチン酸ジカリウム(0.3重量部)、添加物としてのキシリトール(36重量部)、エリスリトール(18重量部)、L−メントール(2.2重量部)、水飴(2重量部)、タルク粉末(4重量部)、酢酸ビニル樹脂(8重量部)、ポリイソブチレン(10重量部)、ジェルトン(3重量部)、エステルガム(4重量部)、マイクロクリスタリンワックス(10重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(2重量部)である。
【実施例8】
【0117】
上記の実施例5で説明した薬効成分と添加物とを混合して、薬効成分・添加物混合物を調製する工程において、薬効成分として、主として消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムの消炎剤と、主として殺菌作用を発揮する塩化セチルピリジニウムとを使用し、添加物としてキシリトールとエリスリトールを使用し、それぞれの粉末状成分の所定量を秤量し、乳鉢の中で乳棒により破砕するとともに均一に混合された薬効成分・添加物混合物を調製する。混合した後においても、これらの薬効成分と添加物は、いずれも、粉末粒子形状であり、それぞれの成分の粒子径は50μm以下である。この破砕混合工程において、使用したそれぞれの成分が変質劣化しない範囲の温度範囲の雰囲気中の25℃の雰囲気温度の中で破砕混合する。次に、上記の実施例5と同じガム基材を使用して混練機に投入し、さらに、所定量の水飴とタルク粉末を加えて予備混練し、その予備混練されている混練機の中に、上記のようにして得られた薬効成分・添加物混合物を加えて、これらのガム基材と薬効成分・添加物混合物を混練して、均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加物混合物を調製する。次に、上記のようにして得られたガム基材・薬効成分・添加物混合物を、押出し成型機と圧縮成型機を使用して、板状の咀嚼用消炎医薬品を調製する。この成型工程においても、使用した薬効成分や添加物が変質劣化しない範囲の温度範囲で成型される。
【0118】
得られた咀嚼用医薬品の成分は、アズレンスルホン酸ナトリウム(0.2重量部)、塩化セチルピリジニウム(0.3重量部)、添加物としてのキシリトール(38重量部)、エリスリトール(20.5重量部)、水飴(2重量部)、タルク粉末(4重量部)、酢酸ビニル樹脂(8重量部)、ポリイソブチレン(10重量部)、ジェルトン(3重量部)、エステルガム(4重量部)、マイクロクリスタリンワックス(10重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(2重量部)である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
少なくとも、ガム基材と、薬効成分とを含有し、薬効成分はガム基材の中に分散して存在し、ガム基材は、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な性質と、薬効成分と化学的反応することなく前記薬効成分を変質させない性質を有するとともに、咀嚼可能な固形形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮し、咀嚼時にばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能を有し、咀嚼後において口外に吐き出される性質を有し、薬効成分は、粉末形状を有し、前記ガム基材の中に分散した状態で前記ガム基材に覆われて、空気中の酸素と水分と光から遮断された状態で存在するとともに、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を有し、薬効成分は、少なくとも、口内の炎症している患部に直接に接触することにより炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有することを特徴とする主として口内の炎症患部の消炎効能を発揮する咀嚼用消炎医薬品である。
【0120】
この構成により、次のような作用効果が得られる。
(A)咀嚼により、アズレンスルホン酸ナトリウムを主成分とする薬効成分が徐々に口内に放出されて、放出された薬効成分が口内の炎症している患部に直接に接触することにより炎症を低減し治癒する効能を発揮するとともに、その医薬品が咀嚼している間の長時間、口内に滞留して、その薬効を発揮することが可能であり、限られた薬効成分の含有量を最大限に利用して、薬効効能の利用効率を高めることが出来る、などの作用効果を発揮する咀嚼用消炎医薬品が得られる。
(B)薬効成分がガム基材の中に覆われた形態で存在するために、薬効成分が空気中の酸素や水分、および、光などから遮断されて存在するために、酸素、水分、湿度、光、等による薬効成分の変質劣化が防止され、従って、薬効成分が一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有する咀嚼用消炎医薬品が得られる。アズレンスルホン酸ナトリウムは、特に、空気や光によって変質劣化しやすい性質があるために、アズレンスルホン酸ナトリウムがガム基材の中に覆われた形態で存在することにより、このような作用効果が著しく発揮される。
(C)ガム基材と薬効成分が互いに混合された咀嚼可能な固形形態を有する構成により、咀嚼時における噛み感触が向上し、また、咀嚼時に噛み感触の良い柔軟な弾性形態を連続的に維持する作用効果も向上した咀嚼用消炎医薬品が得られる。
(D)薬効成分がガム基材の中に分散して存在する構成により、咀嚼時に、薬効成分のすべての成分が短時間に口内に放出されることなく、噛む速度に比例して徐々に構内に放出されるために、前述の(A)の医薬品が咀嚼している間の長時間、口内に滞留して、薬効を発揮することが可能であるという効果がさらに向上した咀嚼用医薬品が得られる。
(E)薬効成分がガム基材の中に分散して存在する構成により、薬効成分の個々の粒子がガム基材に覆われた状態となり、そのために、前述の(B)の薬効成分が空気中の酸素や水分、および、光などから遮断されて、酸素、水分、湿度、光、等による薬効成分の変質劣化が防止され、従って、薬効成分が一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保存放置しても、薬効成分の変質劣化等が生じることなく優れた保存・貯蔵における薬効安定性を有するという作用効果がさらに向上した咀嚼用消炎医薬品が得られる。
【0121】
さらに、製造過程において、熱などの影響により、薬効成分の劣化が生じることなく、さらに、使用成分の互いの反応により成分変化が生じることのない、製造上において常に安定した品質の医薬品を製造できる咀嚼用医薬品の製造方法が提供される。特に、これらの作用効果を有する咽喉の消炎効能を奏する咀嚼用医薬品の製造方法が提供される。
薬効成分としては、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する構成が特に望ましく、この構成により、空気中の酸素や水分及び光などによって変質劣化しやすい性質を有するアズレンスルホン酸ナトリウムの変質劣化が防止されるために、このアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する咀嚼用医薬品を一般家庭の室内に長期間保管しても優れた貯蔵安定性が得られ、さらに、アズレンスルホン酸ナトリウムが咀嚼により徐々に口内に放出されて、口内の咽喉などの疾患患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して患部の炎症を招宴する薬効を発揮することが可能となる咀嚼用医薬品が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ガム基材と薬効成分とを含有し、
前記薬効成分は前記ガム基材の中に分散して存在し、
前記ガム基材は、人体の口中に用いて人体の健康を害しない安全な性質と、前記薬効成分と化学的反応することなく前記薬効成分を変質させない性質を有するとともに、咀嚼可能な固形形態であって、咀嚼により柔軟性を発揮し、咀嚼時にばらばらの小塊状に分離することなく柔軟な弾性形態を連続的に維持する機能を有し、咀嚼後において口外に吐き出される性質を有し、
前記薬効成分は、粉末形状を有し、前記ガム基材の中に分散した状態で前記ガム基材に覆われて、空気中の酸素と水分と光から遮断された状態で存在するとともに、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症している患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、口内の炎症している患部に直接に接触することにより炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有することを特徴とする主として口内の炎症患部の消炎効能を発揮する咀嚼用消炎医薬品。
【請求項2】
前記ガム基材の含有割合が10重量%から80重量%であり、
前記薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%であることを特徴とする請求項1に記載の咀嚼用消炎医薬品。
【請求項3】
さらに、添加物を含有し、
前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物は互いに混合された形態であり、
前記添加物は前記ガム基材の中に混合された状態で存在し、
前記ガム基材は、少なくとも、弾性形態を連続的に維持する性質を有する樹脂成分と、前記樹脂成分に柔軟性を付与する軟化成分を含有し、
前記添加物は、甘味を付与する甘味材、苦味を付与する苦味材、味を矯正する矯味材、着色する着色材、保存性を向上する保存材、噛んだときの粘性を安定に維持する粘性安定材、ガム基材の腐食を防止する腐食防止材、酸味を付与する酸味材、味を調整する調味材、ガム基材の樹脂成分と軟化成分との混合性を向上する乳化材、ガム基材の機械的強度を向上するための強化材、臭い香りを付与するための香り付与材、製造時にガム基材の中に分散される薬効成分の分散性を向上させる分散性向上剤、薬効成分を口内に長時間滞留させるための滞留性向上剤、薬効成分の効能を効率よく発揮させる効能効率向上剤、薬効成分が持っている特有の味を矯正して噛んだ時の味を向上するための噛味調整剤、薬効成分の酸化劣化を防止するための酸化防止剤、および、噛んだ時に薬効成分が口内に放出される速度を制御する機能を有する口内放出速度制御剤からなる群から選ばれる少なくともひとつであることを特徴とする請求項1に記載の咀嚼用消炎医薬品。
【請求項4】
前記ガム基材の含有割合が10重量%から80重量%であり、
前記薬効成分の含有割合が0.05重量%から10重量%であり、
前記添加物の含有割合が0.05重量%から70重量%であることを特徴とする請求項3に記載の咀嚼用消炎医薬品。
【請求項5】
前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、グリチルリチン酸ジカリウムを含有し、
前記グリチルリチン酸ジカリウムは、口内の炎症している患部に直接に接触することにより該患部の炎症を低減し治癒する消炎効能と、口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能との双方の消炎効能を有し、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムと前記グリチルリチン酸ジカリウムの双方の薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を発揮するとともに、さらに、前記グリチルリチン酸ジカリウムは口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して口内の炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮する機能を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の咀嚼用消炎医薬品。
【請求項6】
前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、グリチルリチン酸ジカリウムと、塩化セチルピリジニウムを含有し、
前記グリチルリチン酸ジカリウムは、口内の炎症している炎症患部に直接に接触することにより炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能と、口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して口内の炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能との双方の消炎効能を有し、
前記塩化セチルピリジニウムは、口内を殺菌する殺菌効能を有し、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムと前記グリチルリチン酸ジカリウムの双方の薬効成分は、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を発揮するとともに、さらに、前記グリチルリチン酸ジカリウムは口内から胃腸に流れて胃腸の血管内に吸収されて血流を介して口内の炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮する機能を有し、
前記塩化セチルピリジニウムは、咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して、口内を殺菌する殺菌効能を発揮する機能を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の咀嚼用消炎医薬品。
【請求項7】
前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、塩化セチルピリジニウムを含有し、
前記塩化セチルピリジニウムは、口内を殺菌する殺菌効能を有し、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムは、咀嚼により、唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、口内の炎症患部に直接に接触して、咀嚼している間の長時間、持続して炎症患部の炎症を低減し消炎して治癒する消炎効能を発揮するとともに、さらに、前記塩化セチルピリジニウムは、咀嚼により徐々に口内に放出されて、咀嚼している間の長時間、持続して、口内を殺菌する殺菌効能を発揮する機能を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の咀嚼用消炎医薬品。
【請求項8】
前記薬効成分は常温において粉末粒子形状を有し、
前記薬効成分の粉末粒子は50μm以下の粒子径を有し、
50μm以下の粒子径を有する前記薬効成分が、常温保存状態において、前記ガム基材の中に均一に分散するとともに、前記ガム基材に覆われた形態で存在することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の咀嚼用消炎医薬品。
【請求項9】
前記添加物は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、
前記添加物は、常温保存状態において、前記ガム基材の中に分散するとともに、前記ガム基材に覆われた形態で存在することを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載の咀嚼用消炎医薬品。
【請求項10】
(a)樹脂成分と軟化成分を混練して、前記樹脂成分と前記軟化成分とが均一に混合されたガム基材を調製する工程と、
(b)前記ガム基材と薬効成分と添加物を混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加物混合物を調製する工程と、
(c)前記ガム基材・薬効成分・添加物混合物を所定の形状に成型して、咀嚼用消炎医薬品を得る工程と、を備え、
前記(a)工程において、前記樹脂成分が混練可能な軟化状態を有し、前記軟化成分が前記樹脂成分よりも低い粘性状態を有するとともに、前記樹脂成分と前記軟化成分とが混合可能な温度範囲で、前記樹脂成分と前記軟化成分と前記添加物を混練し、
前記(b)工程において、前記薬効成分は、少なくとも、口内の炎症患部に直接に接触することにより該炎症患部の炎症を低減し治癒する消炎効能を発揮するアズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練し、
前記(c)工程において、前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で成型し、
前記薬効成分が前記ガム基材に覆われた形態で存在するように形成することを特徴とする咀嚼用消炎医薬品の製造方法。
【請求項11】
前記(c)工程は、前記ガム基材・薬効成分・添加物混合物を所定の形状に成型して、さらに、その後、所定の形状に成型された成型物の表面にコーティング剤を被覆して、咀嚼用消炎医薬品を得る工程を有することを特徴とする請求項10に記載の咀嚼用消炎医薬品の製造方法。
【請求項12】
前記薬効成分は、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、グリチルリチン酸ジカリウムと塩化セチルピリジニウムとのうちの少なくともひとつを含有することを特徴とする請求項10または11に記載の咀嚼用消炎医薬品の製造方法。
【請求項13】
前記(b)工程において、前記ガム基材・薬効成分・添加物混合物の中に混合された前記薬効成分の粒子径が約50μm以下の大きさであることを特徴とする請求項10、11または12に記載の咀嚼用消炎医薬品の製造方法。
【請求項14】
前記添加物は、少なくとも、キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつを含有し、
前記(b)工程は、前記キシリトールとエリスリトールとL−メントールとからなる群から選ばれる少なくともひとつと、前記薬効成分とを、40℃以下の温度下で混合して、薬効成分・添加物混合物を得る工程と、その後、
得られた薬効成分・添加物混合物と、前記ガム基材とを、40℃以下の温度下で混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加物混合物を調製する工程を有することを特徴とする請求項10、11、12または13に記載の咀嚼用消炎医薬品の製造方法。
【請求項15】
前記(b)工程は、前記薬効成分と前記添加物を40℃以下の温度下で混合して、前記薬効成分と前記添加物の双方の粒子径が50μm以下の大きさになるように粉砕して、均一に混合された薬効成分・添加物混合物を調製し、その後、
得られた前記薬効成分・添加物混合物と前記ガム基材とを前記薬効成分が変質劣化しない40℃以下の温度下で混練して、前記ガム基材と前記薬効成分と前記添加物が均一に混合されたガム基材・薬効成分・添加物混合物を調製する工程を有し、
粒子径が50μm以下の大きさの前記薬効成分と前記添加物のそれぞれの粉末状粒子の表面が前記ガム基材に覆われるように存在して含有されるように形成することを特徴とする請求項14に記載の咀嚼用消炎医薬品の製造方法。

【公開番号】特開2011−184422(P2011−184422A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68853(P2010−68853)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(390011017)ダイヤ製薬株式会社 (20)
【Fターム(参考)】