説明

品質検査システム

【課題】 多数の商品について複数の検査を簡単にかつ確実に行うことのできる品質検査システムを提供する止することができる包装装置を提供する。
【解決手段】 商品の搬送中に該商品について複数種類の品質検査を行う品質検査システムに関する。商品を搬送する搬送部5と、搬送部5に設けられ搬送される商品についての所定の検出を行い、検出結果を出力する複数種類の検出部1と、商品の種類に応じて検査条件を記憶する記憶部12と、検出部1による検出結果と記憶部12の検査条件に基づき、商品の種類に応じた検査の検定を行う判定部11aとを備え、記憶部12の検査条件には商品ごとに複数種類の検出部1についての検査条件が含まれ、かつ、当該検査条件には検出部1による検査を行うか否かが含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品質検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、1つの商品について複数種類の検出部を通過させて品質検査を行い、品質の管理が行われている。
ここで、実開平3−059083号(特許文献1)にあっては、1つの商品の品質検査をする場合に、各装置の同一の予約番号にて異なる品質検査を行っている。
【特許文献1】実開平3−059083号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、商品の特性によっては、金属検出は可能であるが、X線検査では誤検知が生じるものや、逆に、金属検出では誤検知が生じるがX線検査は可能なものもある。
かかる場合に、金属検出やX線検出を行うか否かを、各商品を生産する都度、商品ごとに設定操作することは、極めて面倒である上、操作ミスも生じ易い。
【0004】
したがって、本発明の目的は、多数の商品について複数の検査を簡単にかつ確実に行うことのできる品質検査システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明の品質検査システムは、商品について複数種類の品質検査を行う品質検査システムであって、前記商品を搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ搬送される商品についての所定の検出を行い、検出結果を出力する複数種類の検出部と、商品の種類に応じて検査条件を記憶する記憶部と、前記検出部による検出結果と前記記憶部の検査条件に基づき、商品の種類に応じた検査の検定を行う判定部とを備え、前記記憶部の検査条件には商品ごとに前記複数種類の前記検出部についての検査条件が含まれ、かつ、当該検査条件には前記検出部による前記検査を実質的に行うか否かが含まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、検査対象となる商品が指定されると、記憶部から当該商品について複数種類の検出部についての検査条件が読み出され、搬送部を搬送される商品について前記検査条件に基づいた検出および判定が行われる。ここで、前記検査条件には商品について検査を行うか否かの情報が含まれているので、誤検知を生じるおそれの高い検査方法については判定を行わないようにすることができる。したがって、面倒な操作を行わなくても、誤検知を生じることなく、複数の検査を多数の商品について行うことができる。
【実施例1】
【0007】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、本品質検査システムは、制御装置10と、該制御装置10にインタフェイスを介して接続された金属検出部(検出部の一例)1、X線検査部(検出部の一例)2、振分部3および計量値付部4を備えている。前記金属検出部1、X線検査部2、振分部3および計量値付部4は、それぞれ、商品を所定の搬送方向に沿って搬送するコンベヤのような搬送部5を備えている。
【0008】
前記金属検出部1は、たとえば、送信コイルと一対の受信コイルとを備えた周知の金属検出機からなり、商品に金属が混入しているか否かの検査を行うための機器であり、商品中に含まれている金属成分の物理量や金属の形状・大きさに応じた検出結果を前記制御装置10に出力する。
【0009】
前記X線検査部2は、たとえば、商品を透過するX線を出射するX線源と検出器とを備えた周知のX線検出機からなり、商品に異物が混入しているか否かの検査を行うための機器であり、商品中に含まれている異物の物理量や異物の形状・大きさに応じた検出結果を前記制御装置10に出力する。
【0010】
前記制御装置10は、CPU11および記憶部(記憶装置)12を備えており、該制御装置10には表示部13および操作部14が接続されている。前記CPU11は前記金属検出部1やX線検査部2による検出結果と、後述する記憶部12の検査条件に基づき、商品の種類に応じた検査の判定、つまり、合否の判定を行う判定部11aを備えている。
【0011】
前記振分部3は、前記判定部11aの判定結果に応じて商品を振り分ける周知の振分装置で、たとえば不良品をラインアウトさせる。
【0012】
前記記憶部12には、図1(b)に示すように、商品の種類ごとに、商品番号、商品名、検査条件、動作パターンおよび図示しない単価や副材の種類などが互いに関連付けて記憶されている。これらの情報は、前記操作部14を操作することなどにより予め商品の種類ごとに登録(記憶)される。
【0013】
前記検査条件としては、金属検出部1およびX線検査部2についての条件が各商品の種類ごとに記憶されている。前記金属検出部1の検査条件としては、金属検出部1からの検出結果が制御装置10に出力されても判定部11aが判定を行わない(検出結果を無視する)場合としてのフラグ「0」や、金属検出部1からの検出結果に従って合否の判定を行う金検パターンA(フラグ「1」)が記憶されている。なお、金検パターンとしては、位相角や閾値などが異なる金検パターンが記憶されていてもよい。
【0014】
X線検査部2の検査条件としては、X線検査部2からの検出結果が制御装置10に出力されても判定部11aが判定を行わない(検出結果を無視する)場合としてのフラグ「0」や、X線検査部2からの検出結果に従って合否の判定を行うX線パターンB,C(フラグ「1」,「2」)が記憶されている。
前記X線パターンBとX線パターンCとの相違としては、たとえば、商品についての検査領域(画像処理のフィルタの種類)や閾値等が異なる場合がある。
【0015】
つぎに、前記検査条件と商品の特性との関係について具体例を上げて説明する。
たとえば、生肉の場合、血液が鉄分を含むため、金属検出部1では誤検知の可能性がある一方で、X線検出部2では前記血液が異物として検出されない。そのため、“たれ無”のステーキ肉(商品番号001)などでは、金属検出部1からの検出出力について判定を行わず、X線検査部2からの検出出力についての判定を行う。
【0016】
また、かかるステーキ肉の場合において、アルミ蒸着された包材に“たれ”が充填された副材が添付されている商品(商品番号002)については、副材の存在場所の特定が難しいので、X線検査の対象とするのが困難である。したがって、金属検出部1およびX線検査部2からの検出出力についての判定を行わない。
【0017】
商品番号003の“パン”のような商品において、針金のような細長い異物がX線照射方向に沿って混入している場合、X線では面積で判断するため検出できず、一方、金属検出部1では体積で検出するため検出可能である。したがって、かかる商品では、金属検出部1からの検出出力を所定の閾値(所定の位相角のポイントで)と比較して合否判定が行われ、一方、X線検査部2からの検出出力についての判定を行わない。
【0018】
たとえば、商品番号004の“幕の内弁当”にアルミ製の仕切用小容器(小皿)が含まれている場合、当該小容器の場所は一定であるから、X線検査部2の検出出力から当該小容器の置かれているエリアを除外して、当該エリア以外の部分について、所定の閾値と比較するX線パターンCで判定を行う。一方、アルミ製の小容器は金属として検出されるから、金属検出部1からの検出出力についての判定は行わない。
【0019】
また、商品番号005の惣菜などについては、金属検出部1およびX線検査部2からの検出出力と所定の閾値とを比較した判定が可能であり、金検パターンAおよびX線パターンBが記憶部12に記憶されている。
【0020】
前記記憶部12に記憶された動作パターンとしては、計量を行うか否かと、値付ラベルの貼付を行うか否かとが記憶されている。計量値付部4は、前記記憶部12の動作パターンに従って計量および/または値付を制御装置10からの指令に従って実行する。
なお、いわゆる定額商品の場合は、計量が不要であり、一方、100g当たりの単価に基づいて売価の決まる商品については計量要となる。
【0021】
つぎに、本システムの動作について簡単に説明する。
処理される商品の種類が指定されると、制御装置10は記憶部12から当該商品についての検査条件、動作パターン等の情報を読み出す。一方、搬送部5により商品が搬送されてくると、金属検出部1が所定の金属検出を行い検出結果を制御装置10に出力し、更に、X線検査部2が所定のX線検査を行い検出結果を制御装置10に出力する。判定部11aは、前記読み出した検査条件に従い、前記検出結果についての必要な判定を行い、かつ、不要な判定を行わずに、合否の信号を振分部3に出力する。振分部3は不良品をラインアウトし、一方、良品を通過させる。計量値付部4では前記動作パターンに従って必要な計量を行った後、前記計量による計量値と商品ごとの単価(商品ごとに記憶部に記憶されている(図示せず))に基づき売価を算出し、当該売価を印字したラベルを発行して、そのラベルを商品に貼り付ける。
【0022】
このように、本システムでは、商品ごとに複数種類の検出部1,2についての検査条件を予め記憶しているので、各検査を商品ごとに行うか否かを、その都度、設定したり操作する必要がない。したがって、多数の商品について複数の検査を簡単に、かつ、確実に行うことができる。
【0023】
ところで、前記実施例では、金属検出機やX線検出機を例にとって説明したが、検出部の種類はこれらの機器に限定されない。検出部としては、たとえば、包装状態の良否を検出するシールチェッカ、商品の割れや欠けなどをカメラ(CCD)で検出する形状選別機、包材表面の模様の合否を判定するための検出を行うカメラ、ラベルの賞味期限が適正か否かを判定するための検出を行うカメラなどがある。また、前記実施例の計量値付部の計量手段を利用して重量を測定する重量チェッカを検出部としてもよい。なお、この場合、振分部は計量値付部の下流に設ける。
【0024】
また、前記実施例では、説明を分かり易くするために各検出部とは別に1つの判定部を設けたが、前記判定部を各検出部ごとに設けてもよい。
【0025】
また、前記実施例では、記憶部12の検査条件にフラグを記憶させたが、記憶部12に判定のための閾値を記憶させてもよい。
【0026】
また、前記実施例では検出部からの検出結果にかかわらず合否の判定を行わない検査条件を設けたが、合否の判定を行わない場合に代えて、前記記憶部12に極めて大きな閾値(または小さな閾値)を記憶させて、合格の判定がなされるようにして、金属製の包材や容器が商品に含まれている場合は合格とみなして、実質的に合否の判定が行われないようにしてもよい。
【0027】
また、検査条件のうち、最もポピュラーな検査条件については設定入力も記憶もせずに、特殊な閾値と比較する場合についてのみ検査条件を記憶させるようにしてもよい。
【0028】
また、複数種類の検出部を1つの筐体内に設けてもよいし、コンベヤを検出部ごとに分割する必要もない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の品質検査システムは、商品について合否の検査を行うための機器を複数種類備えた品質検査システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)は本発明の一実施例にかかる品質検査システムを示す概略構成図、(b)は記憶部の記憶内容を示す図表である。
【符号の説明】
【0031】
1:金属検出部
2:X線検査部
5:搬送部
11a:判定部
12:記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品について複数種類の品質検査を行う品質検査システムであって、
前記商品を搬送する搬送部と、
前記搬送部に設けられ搬送される商品についての所定の検出を行い、検出結果を出力する複数種類の検出部と、
商品の種類に応じて検査条件を記憶する記憶部と、
前記検出部による検出結果と前記記憶部の検査条件に基づき、商品の種類に応じた検査の判定を行う判定部とを備え、
前記記憶部の検査条件には商品ごとに前記複数種類の前記検出部についての検査条件が含まれ、かつ、当該検査条件には前記検出部による前記検査を実質的に行うか否かが含まれていることを特徴とする品質検査システム。

【図1】
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