説明

品質測定装置

【課題】連続して搬送されてくる測定対象物を停止させずに、該測定対象物の内部に局所的な品質異常がある場合においても該品質異常の見逃しを少なくすることができるとともに、信頼性の低下及びコストが増大を抑制することができる品質測定装置を提供する。
【解決手段】フレネルレンズ12,12を上下方向に長く搬送方向に短い形状とし、これらを個別の基体11,11内に保持して上下方向に2個設け、基体11,11に個別に接続された、フレネルレンズ12,12により集光された光を伝送する2本の受光側光ファイバケーブル14,15の素線を合わせて1本の分光側光ファイバケーブル16とし、上下2個のフレネルレンズ12,12により集光した光を受光側光ファイバケーブル14,15及び分光側光ファイバケーブル16を通して伝送することにより、単一の分光光度計により分光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアで搬送される測定対象物の品質をオンラインで測定して選別するための品質測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の内部品質を測定して選別するための品質測定装置として、コンベアで搬送される測定対象物に対して、その搬送幅方向両側に対向するように単一の投光器(投光部)及び受光器(受光部)を配置し、投光器から照射した光の透過光を回折格子で分光し、必要とする波長の分光をラインセンサにより測定し、該測定値を信号処理及び制御装置により演算処理及び波形分析するとともに、内部品質を評価するための演算式を用いて演算処理することにより、前記測定対象物の内部品質をオンラインで測定するものがあり(例えば、特許文献1参照。)、複数の投光器(光源)を一定間隔離間させて縦方向に配置するものもある(例えば、特許文献2参照。)。
また、測定対象物の内部欠陥の検出装置として、光源から得た光を光分配器により分配することにより、測定対象物(検査試料)の少なくとも二以上の測定点に対して測定対象物が正常品のときに各測定点における検出光量が等しくなるだけの光を照射し、かつ、二以上の測定点における実際の光透過量を受光器により測定し、各測定点における光透過量と予め定めた判別閾値とを比較することによって、測定対象物の内部欠陥を検出するものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】特許第3056037号公報
【特許文献2】特開2004−20493号公報
【特許文献3】特許第3758250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような、搬送される測定対象物に対して、その搬送幅方向両側に対向するように単一の投光器及び受光器を配置する構成では、受光器の集光レンズとして円形レンズを使用していることから、前記集光レンズの外径を大きくすると測定対象物の前後での迷光が多くなって品質測定精度が低下し、前記集光レンズの外径を小さくすると、測定対象物を搬送しながら品質測定を行うことから搬送方向には測定対象物に対して広範囲の受光を行っているが、高さ方向には測定対象物に対して広範囲の受光を行っていないため、測定対象物の内部に局所的な品質異常がある場合に、この品質異常が存在する場所によっては該品質異常を検出することができない場合がある。
また、特許文献2のような複数の投光器(光源)を設ける構成では、光源自体が1個あたり直径30mm〜50mm程度の大きさがあることから、これを複数並設すると測定対象物の大きさに対して広過ぎる範囲からの投光となる場合が多く、よって、測定対象物表面及び筐体内面からの反射により迷光を多く受ける可能性が高くなるため品質測定精度が低下する場合がある。
【0005】
さらに、特許文献3のような複数の投光及び受光を行う構成では、頭部から尾部に向かう中心線に沿って内部褐変が広がる大根のように、検出する測定対象物の内部欠陥が生じる位置が明確なものに対しては有効であるが、測定対象物の内部欠陥が局所的であり、かつ、その位置が変動する測定対象物に対しては、内部欠陥を検出できない場合がある。
その上、光透過量(光電流量)の測定を行う際には、測定対象物の外形に合わせて形成され、受光器の後方側から覆い被せるようにして取り付けられた遮光器を大根表面に突き当てる必要があることから、チェーンコンベア等による搬送機構を備えてはいるが、測定位置では搬送機構を停止させて測定対象物を位置決めする必要があるため、定速度でコンベア上を連続して搬送されてくる測定対象物の内部欠陥を検出することはできない。
その上さらに、受光のための光センサを複数個設けていること並びに経時変化等による性能劣化の監視及び保護機能を複数個の光センサにそれぞれ備える必要があることから、信頼性が低下しやすいとともにコストが増大する。
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、連続して搬送されてくる測定対象物を停止させずに、該測定対象物の内部に局所的な品質異常がある場合においても該品質異常の見逃しを少なくすることができるとともに、信頼性の低下及びコストが増大を抑制することができる品質測定装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る品質測定装置は、前記課題解決のために、測定対象物を搬送する搬送部と、該搬送部により搬送されてきた測定対象物に光を照射する投光器、前記測定対象物からの透過光又は反射光を集光する集光レンズ、該集光レンズにより集光された光を分光する分光光度計、並びに、前記分光光度計の検出値を演算処理及び波形分析するとともに、前記測定対象物の品質を評価するための演算式を用いて演算処理する信号処理及び制御装置からなる品質測定部とを備えた、前記測定対象物の内部品質をオンラインで測定して選別するための品質測定装置であって、前記集光レンズを、上下方向に長く搬送方向に短い形状としてなるものである。
【0008】
ここで、前記上下方向に長く搬送方向に短い形状の集光レンズを基体内に保持して上下方向に複数設け、前記基体に接続された、前記集光レンズにより集光された光を伝送する複数の受光側光ファイバケーブルの素線を合わせて1本の分光側光ファイバケーブルとし、前記複数の集光レンズにより集光した光を前記受光側光ファイバケーブル及び分光側光ファイバケーブルを通して伝送することにより、単一の前記分光光度計により分光してなると好ましい。
【0009】
また、前記受光側光ファイバケーブルの前記集光レンズ側に平凹レンズを取り付け、該平凹レンズにより前記集光レンズにより集光した光を平行光に近づけた後に前記受光側光ファイバケーブルへ入射させてなると好ましい。
【0010】
さらに、前記集光レンズがフレネルレンズであると好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る品質測定装置によれば、測定対象物を搬送する搬送部と、該搬送部により搬送されてきた測定対象物に光を照射する投光器、前記測定対象物からの透過光又は反射光を集光する集光レンズ、該集光レンズにより集光された光を分光する分光光度計、並びに、前記分光光度計の検出値を演算処理及び波形分析するとともに、前記測定対象物の品質を評価するための演算式を用いて演算処理する信号処理及び制御装置からなる品質測定部とを備えた、前記測定対象物の内部品質をオンラインで測定して選別するための品質測定装置であって、前記集光レンズを、上下方向に長く搬送方向に短い形状としてなるので、上下方向に長く搬送方向に短い集光レンズにより透過光又は反射光を集光することにより、搬送部により定速で連続して搬送されてくる測定対象物を停止させずに、搬送方向には狭く上下方向には広く集光することができる。
よって、連続して搬送されてくる測定対象物に対して広範囲の受光をすることができるため、測定対象物の内部に局所的な品質異常がある場合においても該品質異常の見逃しを少なくすることができるとともに、測定対象物の搬送方向前後部分での迷光が少なくなるため、品質測定精度が低下することがない。
その上、投光器(光源)並びに分光光度計を複数設けていないことから、信頼性の低下及びコストの増大を抑制することができる。
【0012】
また、前記上下方向に長く搬送方向に短い形状の集光レンズを基体内に保持して上下方向に複数設け、前記基体に接続された、前記集光レンズにより集光された光を伝送する複数の受光側光ファイバケーブルの素線を合わせて1本の分光側光ファイバケーブルとし、前記複数の集光レンズにより集光した光を前記受光側光ファイバケーブル及び分光側光ファイバケーブルを通して伝送することにより、単一の前記分光光度計により分光してなると、前記効果に加え、上下複数の前記形状の集光レンズにより透過光又は反射光を集光することにより、さらに広範囲の受光をすることができるため、測定対象物の内部の局所的な品質異常の見逃しをさらに少なくすることができる。
その上、複数の受光側光ファイバケーブルの素線を合わせて1本の分光側光ファイバケーブルとして透過光又は反射光を伝送し、単一の分光光度計により分光する構成であるため、より広範囲の受光を可能としながら、分光光度計の個数増加による信頼性の低下及びコストの増大を抑制することができる。
【0013】
さらに、前記受光側光ファイバケーブルの前記集光レンズ側に平凹レンズを取り付け、該平凹レンズにより前記集光レンズにより集光した光を平行光に近づけた後に前記受光側光ファイバケーブルへ入射させてなると、前記効果に加え、受光側光ファイバケーブルへ平行光に近づけた光が入射することにより、分光側光ファイバケーブルから出射する光も平行光に近くなることから、受光器のスリットでのロスを少なくすることができるため、透過光又は反射光を効率的に回折格子へ当てることができる。
【0014】
さらにまた、前記集光レンズがフレネルレンズであると、前記効果に加え、前記集光レンズを明るく効率の良い単焦点レンズにすることができるとともに、受光器の省スペース化及び軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、本明細書においては、本発明の品質測定装置によりオンラインで内部品質が測定される測定対象物の例として示す玉ねぎVの搬送方向(図中矢印A参照。)を前、その反対側を後とし、左右は前方に向かっていうものとし、左方から見た図を正面図とする。
【0016】
図1〜図9は、本発明の実施の形態に係る品質測定装置の構成説明図であり、図1は斜視図、図2は図1においてカバー7を取り外した状態を示す斜視図、図3は拡大正面図、図4は図3の矢視X−X断面図、図5は投光器21Eを右方から見た拡大図、図6は図5の矢視Y−Y断面図、図7はサイズ測定部2及び品質測定部3の構成を示す概略部分断面平面図、図8は品質測定部3の構成を示す後方から見た概略部分断面図、図9はフレネルレンズ12及び平凹レンズ13を保持するとともに受光側光ファイバケーブル14,15が接続された基体11を示す図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は後方から見た図、図9(c)は後方から見た縦断面図である。
【0017】
なお、図1及び図2において、搬送部1を構成する搬送ベルト6の前後を切断して示しているが、搬送ベルト6は無端状のものであり、基台5に対して、その前後に位置し、左右方向軸まわりに回転可能に支持された図示しない駆動プーリと従動プーリとに掛け渡されており、駆動プーリに連結されたモータを一定速度で回転することにより、駆動プーリ及び従動プーリが一定速度で回転することから、無端状の搬送ベルト6の上側部分が一定速度で搬送方向(図中矢印A参照。)へ移動するため、該搬送ベルト6上に載置された玉ねぎV,…が搬送方向へ一定速度で搬送される。
ここで、図2に示す詳細は後述するサイズ計測部2及び品質測定部3に対し、これらを被うように、基台5上に固定された支持枠20A,20Bにカバー7を取り付けた図1に示す状態では、カバー7の前後の開口8,8に短冊状の遮光カーテン9,9が取り付けられているため、カバー7の内部への外光の侵入が抑制される。
【0018】
図2に示すように、本発明の実施の形態に係る品質測定装置は、前記のとおりの玉ねぎV,…を搬送する搬送部1と、搬送部1により搬送されてきた玉ねぎVのサイズをオンラインで計測するサイズ計測部2と、サイズ計測部2の下流側に配置された、玉ねぎVに所定波長の光(例えば近赤外光)を照射する投光器21E、玉ねぎVからの透過光(反射光であってもよい。)を分光処理する受光器21R、並びに、後述する分光光量検出器であるラインセンサ32(図7参照。)の蓄積時間をサイズ計測部2による玉ねぎVのサイズ計測値に合わせて調節し、ラインセンサ32の測定値を演算処理及び波形分析し、玉ねぎVの内部品質を評価するための演算式(判別式)を用いて演算処理する、筐体10に内装された信号処理及び制御装置4からなる品質測定部3とを備えている。
【0019】
次に、図3〜図9を参照して品質測定部3を構成する投光器21E及び受光器21R並びにサイズ計測部2について説明する。
投光器21Eは、玉ねぎV,…の搬送経路に沿って、搬送ベルト6の例えば左側に設置されており、図6及び図7に示す遮光性の光源ケース22、光源ケース22の側面に取り付けられた光源であるハロゲンランプ23、ハロゲンランプ23からの光を反射する、光源ケース22内に固定された反射鏡24、光源ケース22の右側(玉ねぎV側)に形成された投光口22Aの内側(左側)に設置された集光レンズ25、及び、図5に示すソレノイド26Bにより開閉操作されリミットスイッチ26Aにより開閉動作が確認される、測定休止時等に不必要な光が照射されるのを防止するための光源用シャッタ26等からなる。
ここで、図6に示すように、反射鏡24の背面(左面)には冷却用の放熱フィン24Aが取り付けられるとともに、集光レンズ25の右側には保護用のカバーガラス25Aが取り付けられる。
【0020】
また、受光器21Rは、図4及び図8に示すように、玉ねぎV,…の搬送経路に沿って、搬送ベルト6の例えば右側に、前記投光器21Eに略対向するように設置された上下の基体11,11の左側(玉ねぎV側)に取り付けられた集光レンズであるフレネルレンズ12,12、フレネルレンズ12,12により集光した光を平行光に近づける平凹レンズ13,13、平凹レンズ13,13を通った光をそれぞれ伝送する、例えば多数の光ファイバの素線を撚り合わせてなる受光側光ファイバケーブル14,15、受光側光ファイバケーブル14,15の素線を合流部17で合わせて1本のケーブルとしてなる分光側光ファイバケーブル16、図7に示すように、分光側光ファイバケーブル16から光が投射される、遮光ケース27の左側に形成された光通過口27Aの内側(右側)に設置された可視光カットフィルタ28、可視光カットフィルタ28から順次右側へ設置された、スリット29、並びに、測定光を受光する状態(図7に示す開状態)、オフセット取得用シャッタ(黒色シャッタ)30Aによりラインセンサ32の暗電流を測定する状態、及び、NDフィルタ(ニュートラルデンシティフィルタ)30Bによりリファレンス光を受光する状態を切り替えるシャッタ駆動用アクチュエータ30、分光器であるフラットフィールド凹面型の回折格子31、回折格子31により分光されライン上に焦点を結んだ各分光の光量を一括して読み取る、マルチチャンネル分光光量検出器である電荷蓄積方式のラインセンサ32等からなる。
【0021】
ここで、図8及び図9(c)に示すように、フレネルレンズ12の左側には保護用のカバーガラス12Aが取り付けられるとともに、平凹レンズ13はレンズホルダ13Aに保持された状態で受光側光ファイバケーブル14,15の端面に添うように取り付けられる。
そして、玉ねぎVの品質測定時において、光源用シャッタ26の開放時には、図7に示すように、投光器21Eの集光レンズ25により集光された光が、光源ケース22の投光口22Aから、搬送部1により搬送されてきた玉ねぎVへ照射され、玉ねぎVからの透過光が、図8に示す上下のフレネルレンズ12,12に入射して集光され、平凹レンズ13,13を通った後、受光側光ファイバケーブル14,15及び分光側光ファイバケーブル16を通って図7に示す遮光ケース27の光通過口27Aから内部へ達し、回折格子31により分光され、ラインセンサ32により必要とする波長の分光が測定される。
このように測定された測定値は、信号処理及び制御装置4(図1及び図2参照。)により演算処理及び波形分析され、玉ねぎVの内部品質を評価するための演算式を用いて演算処理され、玉ねぎVの内部品質が測定される。
【0022】
ここで、図7に示す品質測定部3の投光器21E及び受光器21Rの上流側に設置されるサイズ計測部2に用いられるセンサは、例えば発光素子19A及び受光素子19Bからなる透過型フォトセンサであり、該センサが検出状態になった時から非検出状態になった時までの時間及び玉ねぎVの搬送速度から、信号処理及び制御装置4により玉ねぎVのサイズを演算により求め、この演算値に基づいて、受光器21R内のシャッタを開くタイミング(測定開始のタイミング)を搬送されてくる玉ねぎVの到着に合わせるように、信号処理及び制御装置4がシャッタ駆動用アクチュエータ30の動作を制御する。
【0023】
図3に示すように、支持部材20Cにより支持された支持板33を長孔33A,…を利用して上下に移動させることにより、支持板33に取り付けられた投光器21Eの上下方向の位置調整を容易に行うことができ、図4に示すように、投光器21Eを前後方向軸まわりに揺動させて玉ねぎVに向かう角度調整を容易に行うことができる。
また、図4に示すように、支持部材20Cにより支持されたスライドレール36により支持アーム34,35を左右方向に移動させることにより、支持アーム34,35に取付片18,18(図9(b)も参照。)を利用して取り付けられた、集光レンズであるフレネルレンズ12,12を保持する基体11,11の左右方向の位置調整を容易に行うことができる。
さらに、長孔34A,…を利用して支持アーム34,35に対して基体11,11を上下方向に移動させることにより、フレネルレンズ12,12の上下方向の位置調整を容易に行うことができ、取付片18,18の円弧状長孔18A,18A(図9(b)参照。)を利用して基体11,11を前後方向軸まわりに揺動させることにより、フレネルレンズ12,12の玉ねぎVに向かう角度調整を容易に行うことができる。
よって、搬送部1により搬送される測定対象物の種類や大きさの範囲等に応じて、投光器21E及びフレネルレンズ12,12を、適切な位置及び角度とするように容易に調整した後、その状態を保持するように固定することができる。
【0024】
図7〜図9に示すように、上下の基体11,11内に保持されたフレネルレンズ12,12の形状を、上下方向に長く搬送方向に短い形状である、例えば上下方向へ延びる辺が長く左右方向へ延びる辺が短い矩形状としているため、該矩形状のフレネルレンズ12,12により測定対象物である玉ねぎVを透過した光を集光することにより、搬送部1により定速で連続して搬送されてくる玉ねぎVを停止させずに、搬送方向(前後方向)には狭く上下方向には広く集光することができる。
よって、連続して搬送されてくる測定対象物に対して広範囲の受光をすることができるため、測定対象物の内部に局所的な品質異常がある場合においても該品質異常の見逃しを少なくすることができるとともに、測定対象物の搬送方向前後部分での迷光が少なくなるため、品質測定精度が低下することがない。
その上、投光器21E(ハロゲンランプ23)並びに回折格子31及びラインセンサ32は1個のみであり、これらを複数設けていないことから、信頼性の低下及びコストの増大を抑制することができる。
【0025】
また、受光器21Rの集光レンズをフレネルレンズ12としているため、前記集光レンズを明るく効率の良い単焦点レンズにすることができるとともに、受光器21Rの省スペース化及び軽量化を図ることができる。
さらに、フレネルレンズ12,12を個別の基体内に保持して上下方向に2個設け、基体11,11に個別に接続された、フレネルレンズ12,12により集光された光を伝送する受光側光ファイバケーブル14,15の素線を合わせて1本の分光側光ファイバケーブル16とし、上下2個のフレネルレンズ12,12により集光した光を受光側光ファイバケーブル14,15及び分光側光ファイバケーブル16を通して伝送することにより、単一の回折格子31により分光していることから、上下2個のフレネルレンズ12,12により、さらに広範囲の受光をすることができるため、測定対象物の内部の局所的な品質異常の見逃しをさらに少なくすることができる。
なお、フレネルレンズ12,12は、個別の基体内ではなく、単一の基体内に保持するようにしてもよい。
その上、2個の受光側光ファイバケーブル14,15の素線を合わせて1本の分光側光ファイバケーブル16として透過光を伝送し、単一の回折格子31により分光する構成であるため、より広範囲の受光を可能としながら、回折格子31及びラインセンサ32の個数増加による信頼性の低下及びコストの増大を抑制することができる。
【0026】
さらに、受光側光ファイバケーブル14,15のフレネルレンズ12,12側に平凹レンズ13,13を取り付け、平凹レンズ13,13によりフレネルレンズ12,12により集光した光を平行光に近づけた後に受光側光ファイバケーブル14,15へ入射させていることにより、フレネルレンズにより焦点距離を短くしてコンパクトに構成することができるとともに、受光側光ファイバケーブル14,15へ平行光に近づけた光が入射することにより、分光側光ファイバケーブル16から出射する光も平行光に近くなることから、受光器21Rのスリット29でのロスを少なくすることができるため、透過光を効率的に回折格子31へ当てることができる。
【0027】
以上の説明においては、上下方向に長く搬送方向に短い形状のフレネルレンズ12を上下に複数設置する構成について説明したが、測定対象物の大きさ等に応じて、前記形状のフレネルレンズ12を1個のみ又は3個以上設置する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る品質測定装置の斜視図である。
【図2】図1においてカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】同じく拡大正面図である。
【図4】図3の矢視X−X断面図である。
【図5】投光器を右方から見た拡大図である。
【図6】図5の矢視Y−Y断面図である。
【図7】サイズ測定部及び品質測定部の構成を示す概略部分断面平面図である。
【図8】品質測定部の構成を示す後方から見た概略部分断面図である。
【図9】フレネルレンズ及び平凹レンズを保持するとともに受光側光ファイバケーブルが接続された基体を示す図であり、(a)は平面図、(b)は後方から見た図、(c)は後方から見た縦断面図である。
【符号の説明】
【0029】
A 搬送方向
V 玉ねぎ(測定対象物)
1 搬送部
2 サイズ計測部
3 品質測定部
4 信号処理及び制御装置
6 搬送ベルト
10 筐体
11 基体
12 フレネルレンズ(集光レンズ)
13 平凹レンズ
14,15 受光側光ファイバケーブル
16 分光側光ファイバケーブル
17 合流部
21E 投光器
21R 受光器
22 光源ケース
22A 投光口
23 ハロゲンランプ(光源)
24 反射鏡
25 集光レンズ
26 光源用シャッタ
27 遮光ケース
27A 開口
28 可視光カットフィルタ
29 スリット
30 シャッタ駆動用アクチュエータ
30A オフセット取得用シャッタ(黒色シャッタ)
30B NDフィルタ
31 回折格子(分光器)
32 ラインセンサ(分光光量検出器)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物を搬送する搬送部と、該搬送部により搬送されてきた測定対象物に光を照射する投光器、前記測定対象物からの透過光又は反射光を集光する集光レンズ、該集光レンズにより集光された光を分光する分光光度計、並びに、前記分光光度計の検出値を演算処理及び波形分析するとともに、前記測定対象物の品質を評価するための演算式を用いて演算処理する信号処理及び制御装置からなる品質測定部とを備えた、前記測定対象物の内部品質をオンラインで測定して選別するための品質測定装置であって、
前記集光レンズを、上下方向に長く搬送方向に短い形状としてなることを特徴とする品質測定装置。
【請求項2】
前記上下方向に長く搬送方向に短い形状の集光レンズを基体内に保持して上下方向に複数設け、前記基体に接続された、前記集光レンズにより集光された光を伝送する複数の受光側光ファイバケーブルの素線を合わせて1本の分光側光ファイバケーブルとし、前記複数の集光レンズにより集光した光を前記受光側光ファイバケーブル及び分光側光ファイバケーブルを通して伝送することにより、単一の前記分光光度計により分光してなる請求項1記載の品質測定装置。
【請求項3】
前記受光側光ファイバケーブルの前記集光レンズ側に平凹レンズを取り付け、該平凹レンズにより前記集光レンズにより集光した光を平行光に近づけた後に前記受光側光ファイバケーブルへ入射させてなる請求項2記載の品質測定装置。
【請求項4】
前記集光レンズがフレネルレンズである請求項1〜3の何れかに記載の品質測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−203781(P2010−203781A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46415(P2009−46415)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000173706)財団法人雑賀技術研究所 (11)
【Fターム(参考)】