説明

哺乳類のカリエス病変の進行を減速させ、後退を促進する治療剤

【課題】齲食を抑制するための新規な治療剤を提供する。
【解決手段】治療剤は、(a)チューインガム製品を含み、当該製品は、(i)製品に対して5%〜99重量%の量で存在するガムベースと、(ii)製品に対して0.001%〜95重量%の量で存在する少なくとも1つの甘味料と、(iii)製品に対して0.5%〜5重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムとを有し、(b)上記製品は、1日につき3回、1セッションあたり10分間咀嚼され、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含まないシュガーレスのチューインガム製品を咀嚼した場合と比較し、16.9%高いレベルで、カリエス病変の進行を減速させ、後退を促進するのに十分な時間消費される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は哺乳類のカリエス病変の進行を減速させ、後退を促進する治療剤に関する。上記治療剤は、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含むチューインガムを適用することにより構成される。
【背景技術】
【0002】
歯における齲食の形成に関する研究が、これまで多くなされている。フッ化物の使用により、齲食の罹患率が低下したものの、当該疾患は未だ公の健康問題の1つとして存在し続けている。プラーク中の微生物が食品中の糖及び澱粉を代謝する際に、歯上にプラークを蓄積させ、有機酸(プラーク酸)を産生することにより、カリエスが生じると一般に理解されている。唾液により流される前に、上記の酸は一定時間プラーク中に蓄積することによりpHが低下し、それが原因となって、エナメル、ヒドロキシアパタイトとして公知のカルシウム分(特に3価のリンを含むミネラル)の幾つかが溶解(すなわち脱石灰化)し、齲食(虫歯)及び神経過敏に至る。
【0003】
更なる、多くのチューインガム及び菓子製品(特にフルーツ風味の製品)は、例えば風味又は味覚システムの一部として酸を含有する。現在では多くの消費者(特に児童)がフルーツ味のチューインガム及び菓子製品を消費している。しかしながら、上記の酸によって歯表面のミネラル物質の消失が生じ、齲食を生じさせやすくなる。
【0004】
長年にわたり、歯エナメルの溶解又は脱石灰化、及びその結果として生じる齲食の課題に対処するため、多くの努力が注ぎ込まれてきた。例えば、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウム錯体を歯磨剤として用いることにより、歯の耐齲食性を強化する効果が得られることが公知である。上記錯体(別名CPP−ACP錯体又はカルシウムカゼインペプトン−リン酸カルシウム)は、カゼインリンペプチドによって安定化しているリン酸カルシウムである。CPP−ACPは、プラーク酸を緩衝しつつ、再石灰化を促進することによって、脱石灰化とは反対の作用をする。すなわち、歯表面において、歯垢中のカルシウム及びリン酸イオンを局所化する作用を発揮する。この歯垢中のカルシウム及びリン酸の濃度上昇により、プラーク酸が緩衝され、それにより、溶液(唾液)中のカルシウム及びリン酸の過飽和状態の維持が助長される。
【0005】
特許文献1及び2は、齲食予防用のカゼインリンペプチドを教示している。特許文献3は、抗カリエス効果を示すリンペプチド−リン酸カルシウム錯体を教示している。特許文献4及び5は、重炭酸ナトリウムとカゼインリンペプチドアモルファスリン酸カルシウムの組合せを含有するチューインガム及び菓子製品を開示している。
【0006】
しかしながら、齲食は、未だ公の健康問題の1つとして存在し続けている。患者及び公衆にとり、齲食を治療する際のコストは少なくなく、新規なカリエス予防製品の開発に対するニーズが存在する。
【特許文献1】米国特許第5130123号
【特許文献2】米国特許第5227154号
【特許文献3】国際公開第98/40406号
【特許文献4】米国特許第6846500号
【特許文献5】米国特許第6733818号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、齲食を抑制するための新規な治療剤に対するニーズが存在する。すなわち、多くの消費者がチューインガム及び菓子製品を消費するため、かかる製品(特にシュガーレスの製品)を使用して齲食を抑制することに対するニーズが存在する。カリエス病変の進行を遅延させるのみならず、その後退を促進する、チューインガム及び菓子製品に対するニーズが存在する。更に、哺乳類の歯表面の再石灰化を促進し、酸耐性を付与しうる、酸含有チューインガム及び菓子組成物に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
幾つかの実施形態では、チューインガム組成物の提供に関し、当該組成物は、ガムベースと、少なくとも1つの甘味料と、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウム(当該組成物に対して少なくとも約3重量%の量で存在する)を含んでなり、当該組成物は重炭酸ナトリウムを含まない。
【0009】
幾つかの実施形態では、チューインガム組成物の提供に関し、当該組成物は、ガムベースと、少なくとも1つの甘味料と、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウム(当該組成物に対して少なくとも約3重量%の量で存在する)を含んでなり、当該組成物はミネラル質充填剤を含まない。
【0010】
幾つかの実施形態では、チューインガム組成物の提供に関し、当該組成物は、ガムベースと、少なくとも1つの甘味料と、当該組成物に対して少なくとも約3重量%の量で存在する、実質的にカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムからなる齲歯防止剤を含んでなる。
【0011】
幾つかの実施形態では、チューインガム組成物の提供に関し、当該組成物は、実質的に、ガムベースと、少なくとも1つの甘味料と、当該組成物に対して少なくとも約3重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムと、少なくとも1つの風味剤と、少なくとも1つの着色剤と、少なくとも1つの界面活性剤を含んでなる。
【0012】
幾つかの実施形態では、菓子組成物の提供に関し、当該組成物は、製菓用担体と、少なくとも1つの甘味料と、当該組成物に対して少なくとも約3重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含んでなり、当該組成物は重炭酸ナトリウムを含まない。
【0013】
幾つかの実施形態では、菓子組成物の提供に関し、当該組成物は、製菓用担体と、少なくとも1つの甘味料と、当該組成物に対して少なくとも約3重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含んでなり、当該組成物はミネラル質充填剤を含まない。
【0014】
幾つかの実施形態では、菓子組成物の提供に関し、当該組成物は、製菓用担体と、少なくとも1つの甘味料と、組成物に対して少なくとも約3重量%の量で存在する、実質的にカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムからなる齲歯防止剤を含んでなる。
【0015】
幾つかの実施形態では、菓子組成物の提供に関し、当該組成物は、実質的に、製菓用担体と、少なくとも1つの甘味料と、当該組成物に対して少なくとも約3重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムと、少なくとも1つの風味剤と、及び少なくとも1つの着色剤を含んでなる。
【0016】
幾つかの実施形態では、哺乳類の齲食の抑制方法の提供に関し、当該方法は、
(a)哺乳類の口腔にチューインガム製品を投与するステップであって、当該チューインガム製品が、当該製品に対して約5%〜約95重量%の量で存在するガムベースと、当該製品に対して約0.001%〜約95重量%の量で存在する少なくとも1つの甘味料と、当該製品に対して約0.5%〜約5重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含んでなるステップと、
(b)カリエス形成を抑制するのに十分な時間、当該チューインガム製品を咀嚼するステップを含んでなる。
【0017】
幾つかの実施形態では、哺乳類のカリエス病変の進行を減速させ、後退を促進する方法の提供に関し、当該方法は、
(a)哺乳類の口腔にチューインガム製品を投与するステップであって、当該チューインガム製品が、当該製品に対して約5%〜約95重量%の量で存在するガムベースと、当該製品に対して約0.001%〜約95重量%の量で存在する少なくとも1つの甘味料と、当該製品に対して約0.5%〜約5重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含んでなるステップと、
(b)カゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含まないシュガーレスのチューインガム製品を咀嚼する場合と比較し、約16.9%高いレベルでカリエス病変の進行を減速させ、後退を促進するのに十分な時間、当該チューインガム製品を咀嚼するステップを含んでなる。
【0018】
幾つかの実施形態では、哺乳類の齲食を抑制する方法の提供に関し、当該方法は、
(a)哺乳類の口腔に菓子製品を投与するステップであって、当該菓子製品が、当該製品に対して約5%〜約99重量%の量で存在する製菓用担体と、当該製品に対して約0.001%〜約95重量%の量で存在する少なくとも1つの甘味料と、当該製品に対して約0.5%〜約5重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含んでなるステップと、
(b)カリエス形成を抑制するのに十分な時間、口腔内に当該菓子製品を保持するステップを含んでなる。
【0019】
幾つかの実施形態では、哺乳類のカリエス病変の進行を減速させ、後退を促進する方法の提供に関し、当該方法は、
(a)哺乳類の口腔に菓子製品を投与するステップであって、当該菓子製品が、当該製品に対して約5%〜約99重量%の量で存在する製菓用担体と、当該製品に対して約0.001%〜約95重量%の量で存在する少なくとも1つの甘味料と、当該製品に対して約0.5%〜約5重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含んでなるステップと、
(b)カゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含まないシュガーレスのチューインガム製品を咀嚼する場合と比較し、約16.9%高いレベルでカリエス病変の進行を減速させ、後退を促進するのに十分な時間、当該チューインガム製品を咀嚼するステップを含んでなる。
【0020】
幾つかの実施形態では、哺乳類の齲食の予防方法の提供に関し、当該方法は、
(a)哺乳類の口腔にチューインガム製品を投与するステップであって、当該チューインガム製品が、当該製品に対して約5%〜約95重量%の量で存在するガムベースと、当該製品に対して約0.001%〜約95重量%の量で存在する少なくとも1つの甘味料と、当該製品に対して約0.5%〜約5重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含んでなるステップと、
(b)カリエス形成を抑制するのに十分な時間、当該チューインガム製品を咀嚼するステップを含んでなる。
【0021】
幾つかの実施形態では、哺乳類の齲食の予防方法の提供に関し、当該方法は、
(a)哺乳類の口腔に菓子製品を投与するステップであって、当該菓子製品が、当該製品に対して約5%〜約99重量%の量で存在する製菓用担体と、当該製品に対して約0.001%〜約95重量%の量で存在する少なくとも1つの甘味料と、当該製品に対して約0.5%〜約5重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含んでなるステップと、
(b)カリエス形成を抑制するのに十分な時間、口腔内に当該菓子製品を保持するステップを含んでなる。
【0022】
幾つかの実施形態では、哺乳類の齲食を抑制するためのキットの提供に関し、当該キットは、
(a)ガムベース、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウム及び少なくとも1つの甘味料を含んでなるチューインガム製品と、
(b)当該チューインガム製品を使用するための一組の取扱説明書と、
(c)当該チューインガム製品と当該一組の取扱説明書を収納するためのパッケージを含んでなる。
【0023】
幾つかの実施形態では、哺乳類の齲食を抑制するためのキットの提供に関し、当該キットは、
(a)製菓用担体、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウム及び少なくとも1つの甘味料を含んでなる菓子製品と、
(b)当該菓子製品を使用するための一組の取扱説明書と、
(c)当該菓子製品と当該一組の取扱説明書を収納するためのパッケージを含んでなる。
【0024】
幾つかの実施形態では、哺乳類の齲食を予防するためのキットの提供に関し、当該キットは、
(a)ガムベース、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウム及び少なくとも1つの甘味料を含んでなるチューインガム製品と、
(b)当該チューインガム製品を使用するための一組の取扱説明書と、
(c)当該チューインガム製品と当該一組の取扱説明書を収納するためのパッケージを含んでなる。
【0025】
幾つかの実施形態では、哺乳類の齲食を予防するためのキットの提供に関し、当該キットは、
(a)製菓用担体、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウム及び少なくとも1つの甘味料を含んでなる菓子製品と、
(b)当該菓子製品を使用するための一組の取扱説明書と、
(c)当該菓子製品と当該一組の取扱説明書を収納するためのパッケージを含んでなる。
【0026】
若干の実施例は哺乳類のカリエス病変の進行を減速させ、後退を促進するためのキットの提供に関し、当該キットは、
(a)ガムベース、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウム及び少なくとも1つの甘味料を含んでなるチューインガム製品と、
(b)当該チューインガム製品を使用するための一組の取扱説明書と、
(c)当該チューインガム製品と当該一組の取扱説明書を収納するためのパッケージを含んでなる。
【0027】
若干の実施例は哺乳類のカリエス病変の進行を減速させ、後退を促進するためのキットの提供に関し、当該キットは、
(a)製菓用担体、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウム及び少なくとも1つの甘味料を含んでなる菓子製品と、
(b)当該菓子製品を使用するための一組の取扱説明書と、
(c)当該菓子製品と当該一組の取扱説明書を収納するためのパッケージを含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願明細書に記載の実施形態は、カゼインリンペプチド−リン酸カルシウム(CPP−ACP)(齲歯予防剤)を含有するチューインガム及び菓子製品、並びに、哺乳類の歯科衛生を増進するためのかかる組成物の使用方法の提供に関する。
【0029】
本願明細書に記載の幾つかの実施形態では、哺乳類の齲食を抑制するための、チューインガム又は菓子組成物(特にシュガーレス組成物)の提供に関する。上記チューインガム又は菓子組成物は、それぞれガムベース又は製菓用担体、少なくとも1つの甘味料及びCPP−ACPを含んでなる。高濃度のCPP−ACPを組成物中に用いて、齲食を抑制することができる。CPP−ACPを、他の口腔ケア用の活性物質と共に、多機能性の口腔ケア用品の一部として用いてもよい。これらの他の口腔ケア用の活性物質としては、漂白剤、抗菌剤、口臭清涼剤、知覚過敏抑制剤及び他の再石灰化促進剤などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明はまた、本願明細書に記載のチューインガム又は菓子組成物を使用することを特徴とする、齲食の抑制方法の提供に関する。かかる方法により、CPP−ACPを含有しない類似の製品と比較し、顕著なレベルでカリエス病変の進行を遅延させ、その後退を促進することが可能となる。
【0030】
本願明細書に記載の若干の他の実施形態では、哺乳類の歯表面を再石灰化し、及び/又は酸耐性を付与する、酸含有チューインガム又は菓子組成物(特にシュガーレスの組成物)の提供に関する。上記チューインガム又は菓子組成物は、それぞれガムベース又は製菓用担体、少なくとも1つの甘味料、CPP−ACP及び食品グレードの酸を含有する。本発明はまた、本願明細書に記載のチューインガム及び菓子組成物を使用することを特徴とする、哺乳類の歯表面を再石灰化し、及び/又は酸耐性を付与する方法の提供に関する。
【0031】
本願明細書において使用される用語「含んでなる」とは、「含む」、「含有する」又は「〜を特徴とする」と同義的に用いられるが、それらは非排他的若しくはオープンエンドの意味で用いられるものであり、クレーム中で、前文での使用か又は主文での使用かに関係なく、実際に記載されていない他の要素又はステップを排除するものではない。
【0032】
本発明では、用語「バブルガム」及び「チューインガム」はいずれも同義的に用いられ、あらゆるガム組成物が包含される。
【0033】
本明細書で用いられる用語「食品グレードの酸」とは、食用組成物への使用が許可されているあらゆる酸のことを指す。
【0034】
本発明の「中心充填」という用語は、中心充填ガム又は菓子製品の最奥の領域を指す。用語「中心充填」は、ガム又は菓子製品が左右対称であることを必ずしも意味しないが、少なくとも「中心充填」は製品の他の領域の内部に存在する。幾つかの実施形態では、複数の中心充填が存在してもよい。
【0035】
本発明では、用語「ガム領域」又は「菓子領域」とはそれぞれ、中心充填ガム又は菓子製品の領域であって、中心充填又は最奥領域に隣接するか、又は少なくとも部分的に囲む領域のことを指す。幾つかの実施形態では、当該ガム領域又は菓子領域は中間領域である。
【0036】
本発明の用語「コーティング」又は「コーティング領域」とは、中心充填ガム又は菓子製品の最外領域のことを指す。
【0037】
本発明では、用語「囲む」、「包囲する」などは、囲むことに限定されない。これらの用語は、あらゆる側面を囲む又は画定すること、包囲すること又は包むことを指し、中心充填ガム又は菓子製品中の領域において左右対称若しくは同一の厚みを有する態様に限定されるものではない。
【0038】
齲食を抑制するための組成物及び方法:
上記したように、本願明細書に記載の実施形態は、齲食を抑制するための組成物及び方法の提供に関する。組成物はチューインガム又は菓子組成物でもよく、それらはCPP−ACP(齲歯予防剤)を含有することを特徴とする。かかる組成物を使用することにより、CPP−ACPを含有しない類似の組成物と比較し、齲食が顕著に抑制される。
【0039】
チューインガム組成物は、ガムベース、少なくとも1つの甘味料及びCPP−ACPを含有する。チューインガム組成物は、様々な形状(例えばスラブ状、ペレット状、スティック状、中心充填ガム、沈澱ガム及び圧縮ガム)で調製できる。菓子組成物は、製菓用担体、少なくとも1つの甘味料及びCPP−ACPを含有する。菓子組成物は、様々な形状(例えばハードキャンディ、ソフトキャンディ、綿飴、プレスされたタブレット、ロゼンジ、ヌガー、キャラメル、フラッペ及びタフィー)で調製できる。少なくとも1つの風味剤及び任意に様々な添加物をチューインガム及び菓子組成物中に含有させてもよい。
【0040】
上記したように、チューインガム組成物はガムベースを含有する。ガムベースは、チューインガムの製造技術において公知のあらゆる成分を含有してもよい。かかる成分は、水溶性でも非水溶性でもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。例えば、ガムベースは、エラストマー、増量剤、ワックス、エラストマー溶媒、乳化剤、可塑剤、充填材及びそれらの混合物を含有してもよい。
【0041】
ガムベースにおいて使用されるエラストマー(ガム)は、様々な要因(例えば所望するガムベースのタイプ、所望のガム組成物の密度、及び最終チューインガム製品を製造する際の、上記組成物で使用する他の成分)に応じて適宜変更してもよい。エラストマーは、公知技術のいかなる水不溶性ポリマーでもあってもよく、チューインガム及びバブルガムの製造に利用されるガムポリマーなどが挙げられる。ガムベース中の適切なポリマーの例としては、天然及び合成エラストマーが挙げられる。例えば、ガムベースへの使用にとり適切はポリマーとしては、限定されないが、天然物質(植物由来)(例えばチクル、天然ゴム、クラウンガム、ニスペロ、ロシジンハ、ジェルトン、ペリロ、ニガーグッタ、トゥーヌ、バラタ、グッタペルカ、レチ カプシ、ソーバ、グッタ カイなど、並びにその混合物が挙げられる。合成エラストマーの例としては、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレンコポリマー、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニルなど、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
ガムベースに使用されるエラストマーの量は、様々な要因(例えば所望するガムベースのタイプ、所望のガム組成物の密度、及び最終チューインガム製品を製造する際の、上記組成物で使用する他の成分)によって変化させてもよい。エラストマーは通常、約10%〜約60重量%の量、望ましくは約35%〜約40重量%の量でガムベース中に存在する。
【0043】
幾つかの実施形態では、ガムベース中にワックスを含有させてもよい。それにより、ポリマー性エラストマー混合物を軟化し、ガムベースの弾力性を向上させる。存在させる場合、使用する上記ワックスは60℃未満の融点、好ましくは45℃〜55℃の融点を有する。低融点ワックスとして、固形パラフィンを用いてもよい。当該ワックスは、ガムベースの重量に対して約6%〜約10%、好ましくは約7%〜約9.5%の量でガムベースに存在させてもよい。
【0044】
上記低融点ワックス類に加えて、高融点ワックスを、ガムベースの重量に対して最高約5%の量でガムベースに用いてもよい。かかる高溶点ワックスとしては、蜜蝋、木蝋、カンデリラ蝋、カルヌバワックス、大部分の石油ワックスなど、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0045】
ガムベースは、上記の成分以外にも、他の様々な成分(例えばエラストマー溶媒、乳化剤、可塑剤、充填材及びそれらの混合物から選択される成分)を含有してもよい。
【0046】
エラストマー成分を軟化する際の補助として、エラストマー溶媒をガムベース中に含有させてもよい。かかるエラストマー溶媒としては、従来技術において公知のエラストマー溶媒、例えばα−ピネン又はβピネンポリマーなどのテルピネン樹脂、ロジンのメチル、グリセロール及びペンタエリスリトールエステル、修飾ロジン及びガム(例えば水素化、二量体化及び重合ロジンなど)、並びにそれらの混合物が挙げられる。本発明への使用に適するエラストマー溶媒の例としては、部分的に水素化されたウッドロジン及びガムロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドロジン及びガムロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドロジンのグリセロールエステル、部分的に二量体化されたウッドロジン及びガムロジンのグリセロールエステル、重合したウッドロジン及びガムロジンのグリセロールエステル、トール油ロジンのグリセロールエステル、ウッドロジン及びガムロジンのグリセロールエステル、及び部分的に水素化されたウッドロジン及びガムロジン、及びウッドロジン及びガムロジンの部分的に水素化されたメチルエステルなど、並びにそれらの混合物などが挙げられる。エラストマー溶媒は、ガムベースの重量に対して約2%〜約15%、好ましくは約7%〜約11%の量でガムベースに使用できる。
【0047】
ガムベースには、単一の安定な系として混合できない成分の分散を補助するための乳化剤を含有させてもよい。本発明において有用な乳化剤としては、モノステアリン酸グリセリル、レシチン、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、モノステアリン酸プロピレングリコールなど、並びにそれらの混合物などが挙げられる。上記乳化剤は、ガムベースの重量に対して約2%〜約15%、より具体的には約7%〜約11%の量で使用できる。
【0048】
様々な望ましいテクスチャ及び均一性を得るために、可塑剤又は軟化剤をガムベース中に含有させてもよい。これらの可塑剤及び軟化剤成分は、低分子量であるため、ガムベースの基本骨格中を透過でき、それにより可塑性の及び低い粘稠性が得られる。有用な可塑剤及び軟化剤としては、ラノリン、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、グリセリルトリアセテート、グリセリルレシチン、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸プロピレングリコール、アセチル化モノグリセリド、グリセリンなど、並びにそれらの混合物が挙げられる。ワックスをガムベース中に添加してもよく、例えば天然及び合成ワックス、水素化植物油、石油ワックス(例えばポリウレタンワックス)、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、微結晶ワックス、脂肪ワックス、ソルビタンモノステアレート、獣脂、プロピレングリコールなど、並びにそれらの混合物などが使用できる。可塑剤及び軟化剤は通常、ガムベース中に、ガムベースの重量に対して約20重量%まで、より具体的にはガムベースの重量に対して約9%〜約17%の量で使用される。
【0049】
また、可塑剤としては、水素化植物油(例えば大豆油及び綿実油)などが挙げられ、それは単独で使用してもよく、又は組み合わせて使用してもよい。これらの可塑剤の使用により良好なテクスチャを有するガムベースが得られ、噛んだときの食感がソフトになる。これらの可塑剤及び軟化剤は通常、ガムベースの重量に対して約5%〜約14%の量、より具体的には約5%〜約13.5%の量で使用される。
【0050】
また、無水グリセリンを、軟化剤(例えば市販の米国薬局方(USP)グレード)として使用してもよい。グリセリンは、ほのかに甘い味覚を有するシロップ状の液体であって、スクロースの約60%の甘味度を有する。グリセリンは吸湿性であるため、チューインガム組成物の調製工程全体を無水条件に維持した状態で、無水グリセリンを使用するのが好ましい。
【0051】
幾つかの実施形態では、有効量の増量剤(例えば充填材及びテクスチャ改良剤有用なミネラル補助剤)をガムベース中に含有させてもよい。有用なミネラル補助剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、リン酸三カルシウム、リン酸ジカルシウム、硫酸カルシウムなど、並びにそれらの混合物が挙げられる。これらの充填材又は補助剤は、任意の量でガムベース組成物中に添加してもよい。充填材を使用する場合には、ガムベースの重量に対して約15%〜約40%、望ましくは約20%〜約30%の量で使用する。
【0052】
また、任意に従来公知の様々な成分(例えば風味剤及び着色剤、酸化防止剤、防腐剤など)を、ガムベース中に有効量で含有させてもよい。例えば、食品、医薬及び化粧品用途に適している二酸化チタン及び他の色素(F.D.&C.用色素として公知)を利用してもよい。ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE及びそれらの混合物などの酸化防止剤を含有させてもよい。チューインガムの分野の当業者に公知の他のチューインガム添加物をガムベースに用いてもよい。
【0053】
一般に、ガムベースは、チューインガム組成物中に約5%〜約95重量%の量で存在する。より具体的には、ガムベースは、チューインガム組成物中に約20%〜約60重量%の量で存在してもよい。
【0054】
チューインガム製品は、当業者に公知の標準的な技術及び器材を使用して調製できる。本願明細書に記載の実施形態にとり有用な装置には、チューインガムの製造技術において公知の混合・加熱装置が包含され、ゆえに、具体的な装置の選択は当業者にとって自明である。一般的なチューインガム調製プロセスは、米国特許第4271197号(Hopkinsら)、第4352822号(Cherukuriら)及び第4497832号(Cherukuriら)に記載されており、それらの全開示内容を本願明細書に援用する。
【0055】
圧縮ガムフォーマットの場合、当該ガムベースは、溶融若しくは熱可塑性ガムベースとは対照的に、粒状形態(例えばパウダー状若しくは顆粒状のガムベース)であってもよい。粒子状のガムベースは実質的に無水状態であるのが好ましく、また例えば圧縮によって任意の所望の形状に形成することができる。
【0056】
粒子状のガムベースは、公知の標準的な研磨技術を使用して形成できる。出発原料は、いかなる従来公知のガムベース(例えば熱溶融ガムベースの調製に用いるもの)でもあってもよい。粒子状のガムベースは、例えば、米国特許第3262784号、第4405647号、第4753805号及び第6290985号、及び米国特許出願公開第2003/00276871号(それらの全開示内容を本願明細書に援用する)に記載のように、ガムベースを裁断、研磨若しくは圧壊するか、又はその他の方法により形成することができる。
【0057】
望ましくは、粒子状のガムベースを、研磨などの工程を経て粒子状の形状とし、それにより、タブレット調製用の粉末と同様のサイズとなる。同様の粒径の粒子を用いることにより、ガムベースとタブレット調製用の粉末の均一な混合が可能となり、それにより、調製されるガムタブレットの形状が均一なものとなる。ガムベース及びタブレット調製用の粉末は、約4〜約100メッシュの粒径であってもよく、望ましくは8〜約25メッシュ、より望ましくは12〜約20メッシュの粒径を有する。
【0058】
上記粒子状のガムベースは、チューインガム組成物又はタブレット中に約10%〜約80重量%の量で存在させてもよく、望ましくは20%〜約50重量%、より望ましくは30%〜約40重量%の量で存在させる。
【0059】
上記粒子状のガムベースをタブレット調製用の粉末と混合してプレスし、ガムタブレットを形成してもよい。上記タブレット調製用の粉末は、乾燥した微粉末の状態であってもよい。望ましい粒径は上記のとおりである。タブレット調製用の粉末はスクロースベース、デキストロースベース又はポリオールベースの粉末、又はそれらの組み合わせであってもよい。例えば、上記ポリオールベースの粉末はソルビトール又はマンニトールの粉末であってもよい。タブレット調製用の粉末は、他の任意の成分、例えば風味剤、着色剤、糖及び/又はシュガーレス甘味料など、並びにそれらの組み合わせを含有してもよい。
【0060】
幾つかの実施形態では、食品グレードの潤滑剤を粒子状のガムベース及びタブレット調製用の粉末と混合するのが好ましい。食品グレードの潤滑剤は、ガム組成物をプレスしてタブレットを形成する際の補助となりうる。より具体的には、潤滑剤を用いることにより、タブレット製造における鋳型及びパンチの過度の磨耗が防止される。潤滑剤は、鋳型内部におけるタブレットの圧縮直後においても有用であり、すなわちそれにより、タブレットと鋳型内壁との間の摩擦が減少する。
【0061】
食品グレードの潤滑剤は別個に添加してもよく、又は、タブレット調製用の粉末(幾つかの市販のタブレット調製用粉末など)中に含有させてもよい。適切な食品グレードの潤滑剤の例としては、ステアリン酸金属塩、脂肪酸、水素化植物油、部分的に水素化された植物油、動物性脂肪、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、タルク、シリカ、及びそれらの組み合わせが挙げられる。食品グレードの潤滑剤は、ガム組成物中に約0〜6重量%の量で存在してもよい。
【0062】
あるいは、幾つかの実施形態では、チューインガム組成物を調製し、更にその混合物を研磨することにより、圧縮可能なチューインガム組成物を形成することができる。上記チューインガム組成物は、溶融ガムベース、バルク甘味料、軟化剤、可塑剤、他の甘味料、着色剤を、適切な公知の混合技術(例えば生地混合技術)によって混合することにより調製できる。粒子状のガムベースの調製と同様に、公知の標準的な研磨技術を使用して、チューインガム混合物から微粒子状のチューインガム組成物を調製することが可能である。微粒子状のチューインガムは、例えば、米国特許第3262784号、第4405647号、第4753805号及び第6290985号、及び米国特許出願公開第2003/00276871号(それらの全開示内容を本願明細書に援用する)に記載のように、チューインガムを裁断、研磨若しくは圧壊するか、又は他の方法により形成することができる。
【0063】
上記の通り、圧縮可能なチューインガム組成物は、プレスされたガムタブレットの形状であってもよい。幾つかの実施形態では、粒子状のガムベース及び修飾された放出成分を、タブレット形状にプレスする。それを咀嚼することにより、上記プレスされたガムタブレットが柔らかい噛み応えのある(chewy:チューイーな)物質に変化する。
【0064】
幾つかの実施形態では、上記圧縮可能なチューインガム組成物は、プレスされた単層タブレットである。幾つかの実施形態では、上記圧縮可能なチューインガム組成物は、プレスされた多層タブレットである。多層タブレットの実施形態としては、任意の数の層を有するタブレットであってもよい。それぞれの層は、同じ若しくは異なる厚みを有してもよい。更に、それぞれの層は、同じ若しくは異なる成分を含有してもよい。
【0065】
プレスされたガムタブレットはまた、タブレットを囲むコーティング層を有してもよい。上記コーティング層は、従来からチューインガム技術で使用されているあらゆる成分を含有してもよい。例えば、上記コーティングは、糖、ポリオール又は高強度甘味料等、着色剤、風味剤及び加温及び/又は冷却剤などを含有してもよい。
【0066】
上記圧縮可能なチューインガム組成物又はプレスされたタブレットは、含水量が極めて低いのが望ましくい。幾つかの実施形態では、上記タブレットは実質的に水を含有しない。したがって、幾つかの実施形態では、上記組成物の約0%超〜約5重量%の総含水量である。上記組成物又はタブレットの密度は約0.2〜約0.8g/ccであってもよい。更に、上記圧縮可能なチューインガム組成物又はタブレットは、約1〜約20分の溶解速度であってもよい。プレスされたタブレット形状である場合、上記チューインガムは約30〜約200のShore硬度を有する。
【0067】
ガムの混合が35℃〜60℃の温度で実施可能となる生地混合チューインガムとは対照的に、圧縮チューインガムでは、工程温度は常温(23℃〜25℃)付近のままでよい。幾つかの実施形態では、圧縮可能なチューインガム組成物の調製を低い温度で実施することにより、熱感受性成分を熱分解から保護することが可能となる。同様に、上記の常温以上の温度におけるシビアな混合を行わないことにより、熱感受性成分、又はガム成分から遊離させるための成分(例えば風味剤、可塑剤など)を含有する輸送システムが保護されうる。すなわち、従来の生地混合において、熱分解若しくは化学的分解を受けやすかった成分は、圧縮チューインガムシステムの採用により、分解を受けにくくなる。
【0068】
菓子組成物には、チューインガム組成物以外に、キャンディが包含される。菓子組成物は、ガムベースの代わりに製菓用担体を含有することができる。上記製菓用担体は、従来技術において公知の様々な担体から選択できる。適切な担体の選択は、調製しようとする菓子のタイプに依存する。
【0069】
一般に、ハードキャンディは、糖又はシュガーレス甘味料と、非結晶若しくはガラス質の状態が維持された他の炭水化物増量剤との混合物を含んでなるベースを有する。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの甘味料自体が菓子組成物のための担体として機能してもよく、又は更なる担体成分を使用してもよい。下記の甘味料のいずれを用いてもよい。ハードキャンディの組成及びの調製に関する総説が、E.B.Jackson,Ed.“Sugar Confectionery Manufacture”,2nd edition,Blackic Academic & Professional Press,Glasgow UK,(1990),p129−169、及び、H.A.Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Volume 1(1980),Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.p339−469に記載されている。
【0070】
かかる菓子組成物は、燃焼調理器具、真空調理器具、及び表面かき取り式調理器具(また高速空気式調理器具(high speed atmospheric cooker)と呼ばれる)などの従来の方法によって通常どおりに調製できる。
【0071】
燃焼調理器具は、従来のキャンディベースの調製方法において用いられる。この方法では、増量剤が溶融するまで、所望の量の炭水化物増量剤をケトル中で加熱することによって、水中に溶解させる。更なる増量剤を添加し、最終的な温度が145℃〜156℃となるまで調理を継続してもよい。その後、バッチを冷却し、プラスチック状の塊とし、芳香剤及び着色剤などの添加剤を混合する。
【0072】
高速空気式調理器具では、熱交換表面を使用し、キャンディをフィルム状に熱交換表面上に拡散させ、キャンディを数分以内に165℃〜170℃に加熱する。更にキャンディを100℃〜120℃に急冷し、プラスチック状の塊とし、芳香剤及び着色剤などの添加剤を混合する。
【0073】
真空調理器具では、炭水化物増量剤を125℃〜132℃に加熱し、その後真空を適用し、更なる加熱を行わずに余分な水を蒸発除去する。料理終了時には上記の塊は半固体状となり、プラスチック様のコンシステンシーを有する。この時点で、通常の機械的混合を行い、風味剤、着色剤及び他の添加物を上記の塊に添加して混合する。
【0074】
従来のハードキャンディの製造において、風味剤、着色剤及び他の添加物を均一に混合するために必要となる最適な混合方法は、材料が均一に分配されるのに必要な時間により決定される。通常、4〜10分間の混合時間が許容範囲であることがわかっている。
【0075】
適切なキャンディの塊を調製した後、それを適切なサイズにカットするか、又は所望の形状に成形してもよい。様々な成形技術を利用して、最終製品を所望の形状及び寸法にしてもよい。
【0076】
ソフトキャンディ組成物としては、フォンダン、キャラメル、タフィー、ファッジ、マシュマロ及びヌガーなどが挙げられ、またジャム及びゼリーなども包含されうる。ソフトキャンディ組成物(例えばヌガー)の調製は、従来の方法で行ってもよく、例えば以下の2つの主成分を混合することにより行われる:(1)高沸点シロップ、及び(2)比較的軽いきめのあるフラッペ(通常卵アルブミン、ゼラチン、植物タンパク(大豆由来化合物)、牛乳由来化合物(例えば牛乳タンパク質)、及びそれらの混合物)。かかるキャンディの組成及び調製に関する総説は、E.B.Jackson.Ed.“Sugar Confectionery Manufacture”,2nd edition,Blackie Academic & Professional Press.Glasgow UK(1990),p170−235に記載されている。
【0077】
ソフトキャンディ中の高沸点シロップ又は「ボブシロップ」は、比較的粘稠性で、フラッペ成分より高い密度を有し、通常顕著な量の炭水化物増量剤(例えば水素化された澱粉加水分解物)を含有する。従来、最終的なヌガー組成物は、フラッペを撹拌しながら「ボブシロップ」を添加して、ベースとなるヌガー混合物を形成させることにより調製する。更にその後で、調味料、更なる炭水化物増量剤、着色剤、防腐剤、薬剤などの成分、及びそれらの混合物を、撹拌しながら添加することもできる。ヌガーキャンディの組成及び調製に関する総説は、B.W.Minifie,Chocolate,Cocoa and Confectionery:Science and Technology,2nd edition,AVI Publishing Co.,Inc.,Westport,Conn.(1980),p424−425に記載されており、その開示内容を本願明細書に援用する。
【0078】
ソフトキャンディの調製は、周知の手順を用いて行われる。通常、フラッペ成分を最初に調製し、その後、シロップ成分を撹拌しながら少なくとも65℃の温度、好ましくは少なくとも100℃の温度で徐々に添加する。上記の成分の混合を継続し、均一な混合物を調製し、その後、当該混合物を80℃以下の温度に冷却し、その時点で風味剤をすることができる。上記混合物を更に、除去可能な、適切なキャンディ形状の成形が可能となるまで、一定時間混合する。
【0079】
圧縮タブレット菓子組成物は、特定の材料を含有し、加圧下で一定の構造に成形される。これらの菓子は通常糖又は糖代替物(組成物の約95重量%まで)、及び典型的なタブレット賦形剤(例えば結合剤及び潤滑剤)を含有する。
【0080】
通常、製菓用担体を菓子組成物の約5%〜約99重量%の量で存在させる。より具体的には、製菓用担体は、菓子組成物の約80%〜約99重量%の量で存在させてもよい。
【0081】
本願明細書に記載のチューインガム及び菓子組成物は、少なくとも1つの甘味料を含有してもよい。甘味料としては、糖、シュガーレスバルク甘味料、高強度甘味料など、又はそれらの混合物などが挙げられる。
【0082】
好適な糖甘味料としては、単糖類、二糖類及び多糖類(例えば限定されないがショ糖(砂糖)、デキストロース、マルトース、デキストリン、キシロース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース(リブロース)、転化糖、フルクトオリゴ糖シロップ、部分加水分解された澱粉、コーンシロップ固形物及びそれらの混合物)が挙げられる。
【0083】
好適なシュガーレスバルク甘味料としては、糖アルコール(又はポリオール)(例えばソルビトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、マルチトール、水素化イソマルツロース(ISOMALT)、ラクチトール、エリトリトール、水素化澱粉加水分解物及びそれらの混合物)が挙げられる。
【0084】
好適な水素化澱粉加水分解物としては、米国特許第4279931号に記載のもの、及び様々な水素化ブドウ糖シロップら及び/又は粉末(ソルビトール、マルチトール、水素化二糖類、水素化多糖類又はそれらの混合物)などが挙げられる。水素化澱粉加水分解物は、条件制御下での、主にコーンシロップの触媒的な水素化処理により調製される。得られる水素化澱粉加水分解物は、糖のモノマー、二量体及び重合体の混合物である。これらの様々な糖比率により、水素化澱粉加水分解物の特性が様々に変化する。水素化された澱粉加水分解物の混合物としては、例えばLYCASIN(登録商標)(フランスのRoquette Freres社により製造される市販品)、及びHYSTAR(登録商標)(SPI Polyols社(ニューキャッスル、デラウェア)製の市販品)もまた有用である。
【0085】
幾つかの実施形態では、高強度甘味料を用いてもよい。特定の甘味料に限定されないが、代表的なカテゴリー及び例としては、以下のものが挙げられる:(a)水溶性甘味料(例えばジヒドロカルコン、モネリン、ステビオサイド、グリチルリジン、ジヒドロフラベノール、砂糖アルコール(例えばソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリトリトール)、及びL−アミノジカルボキシル酸アミノアルケン酸エステルアミド(例えば米国特許第4619834号に開示され、その開示内容を本願明細書に援用する)、及びそれらの混合物);(b)水溶性人工甘味料(例えば可溶なサッカリン塩(すなわちナトリウム又はカルシウムのサッカリン塩)、チクロ塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム、アンモニウム又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−1−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルフェーム−K)、フリーの酸形態のサッカリン、及びそれらの混合物);(c)ジペプチドベース甘味料(例えばL−アスパラギン酸由来の甘味料、例えばL−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、N−[N−(3,3−ジメチルブチル)−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステル(ネオテーム)、及び米国特許第3492131号に記載の材料である、L−α−アスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物(アリテーム)、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5−ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニン、及びそれらの混合物);(d)天然の水溶性甘味料に由来する水溶性甘味料(例えば通常の糖(スクロース)の塩素化誘導体、例えばクロロデオキシスクロース誘導体(クロロデオキシ糖誘導体又はクロロデオキシガラクトスクロース誘導体(例えばスクラロースの製品名で公知)));クロロデオキシスクロース及びクロロデオキシガラクトスクロース誘導体の例としては、限定されないが、以下のものが挙げられる:1−クロロ−1’−デオキシスクロース、4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−α−D−フルクトフラノシド又は4−クロロ−4−デオキシガラクトスクロース、4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1−クロロ−1−デオキシ−β−D−フルクト−フラノシド又は4,1’−ジクロロ−4,1−ジデオキシガラクトスクロース、1’,6’−ジクロロ−1’,6’−ジデオキシスクロース、4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシド又は4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース、4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−6−クロロ−6−デオキシ−β−D−フルクトフラノシド又は4,6,6’−トリクロロ−4,6,6’−トリデオキシガラクトスクロース、6,1’,6’−トリクロロ−6,1’,6’−トリデオキシスクロース、4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクト−ピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシド又は4,6,1’,6’−テトラクロロ−4,6,1’,6’−テトラデオキシガラクト−スクロース、4,6,1’,6’−テトラデオキシ−スクロース及びそれらの混合物;(e)タンパク質ベースの甘味料(例えばthaumaoccous danielli(タウマチンI及びII))及びタリン;(f)甘味料モンタチン(2−ヒドロキシ−2−(インドール−3−イルメチル)−4−アミノグルタル酸)及びその誘導体;(g)甘味料ロハングオ(Lo han guo)(「ロハンクオ」(Lo han kuo)とも呼ばれる)。
【0086】
高強度甘味料を、周知の様々な物理的形状において用いてもよく、それにより、初期の甘味のバースト効果、及び/又は長期にわたる甘味の持続効果が得られる。限定されないが、かかる物理的形状としては、フリーの形状(例えば噴霧乾燥、粉末状)、ビーズの形状、カプセル形状及びそれらの組合せなどが挙げられる。
【0087】
通常、少なくとも1つの甘味料を、チューインガム又は菓子組成物中に約0.001%〜約95重量%の量で存在させる。より具体的には、バルク甘味料(砂糖及びシュガーレスのバルク甘味料)を、チューインガム又は菓子組成物中に約5%〜約95重量%の量で存在させてもよい。幾つかの実施形態では、バルク甘味料は、チューインガム又は菓子組成物中に約40%〜約90重量%の量で存在させてもよい。使用する甘味料又は甘味料の組合せに応じて、高強度甘味料を、組成物の重量に対して約0.001%〜約3%の量で存在させてもよい。各タイプの甘味料の実際の使用量範囲は、当業者が適宜調節することができる。
【0088】
更に、チューインガム及び菓子組成物はCPP−ACPを含有する。上記したように、CPP−ACPは齲歯予防剤である。通常、CPP−ACPは、チューインガム又は菓子組成物中に約0.5%〜約5重量%の量で存在させるのが好ましい。幾つかの実施形態では、CPP−ACPを高濃度で添加して用いることにより、CPP−ACPを含まないチューインガム又は菓子類と比較し、齲食を例えば約16.9%減少させることができる。例えば、CPP−ACPをチューインガム又は菓子組成物中に少なくとも約3重量%の量で存在させてもよい。
【0089】
本願明細書に記載の幾つかの実施形態では、チューインガム又は菓子組成物は、実質的にCPP−ACPを含んでなる齲歯予防剤の提供に関する。かかる実施形態では、上記齲歯予防剤を、チューインガム又は菓子組成物中に約0.5%〜約5重量%の量で存在させてもよい。幾つかの実施形態では、上記齲歯予防剤を、チューインガム又は菓子組成物中に少なくとも約3重量%の量で存在させてもよい。幾つかの実施形態では、CPP−ACPと共に他の口腔ケア活性物質を、チューインガム又は菓子組成物中に含有させてもよい。
【0090】
幾つかの実施形態では、CPP−ACPを、制御放出型のチューインガム又は菓子組成物中に添加してもよい。例えば、CPP−ACPを封入することにより、当該成分に制御放出を付与することができる。通常、CPP−ACPを部分的又は完全に、封入材で封入することにより、チューインガム又は菓子組成物を消費する間、成分の放出を遅延させることができ、それにより、当該成分が消費者の口、喉及び/若しくは胃内部で利用可能となるタイミング、他の成分と反応若しくは混合されることが可能となるタイミング、並びに/又は、関連する感覚器における知覚、及び/若しくは機能的、治療的利益が得られるタイミングが遅延する。これは、当該成分が水溶性若しくは少なくとも部分的に水溶性である場合に当てはまる。
【0091】
幾つかの実施形態では、CPP−ACPは、カプセル中に封入された形態、及び/又はカプセル中に封入されない(「フリーの」)形態において使用できる。中心充填型のガム又は菓子類の実施形態では、CPP−ACPを、例えば、カプセル中に封入された形態、及び/又はカプセル中に封入されない形態で、当該中心充填型の製品の1つ以上の領域に添加してもよい。例えば、中心充填ガムでは、カプセル封入されたCPP−ACPをガム領域に含有させ、カプセル封入されていないCPP−ACPを中心充填領域に含有させてもよい。あるいは、幾つかの実施形態では、カプセル封入されたCPP−ACPと、カプセル封入されていないCPP−ACPの組合せを、製品中の同じ領域に含有させてもよい。カプセル封入された形状と、カプセル封入されていない形状を、同じ量で用いてもよく、又は異なる量で用いてもよい。
【0092】
CPP−ACPの適切な封入材としては、水不溶性のポリマー、コポリマー又は他の材料であって、当該成分と共に、又は当該成分のために、保護バリアとしての強力なマトリックス、固形コーティング又はフィルムを形成できる材料が挙げられる。幾つかの実施形態では、当該封入材は、CPP−ACPを完全に囲むか、コーティングするか、カバーするか又は封入することができる。他の実施態様において、当該封入材は、CPP−ACPを部分的に囲むか、コーティングするか、カバーするか又は封入することができる。異なる封入材を用いることにより、上記のカプセル封入されたCPP−ACPに、異なる放出速度又は放出プロフィールを提供することができる。幾つかの実施形態では、輸送システムで使用する封入材としては、以下の1つ以上の材料が挙げられる:ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、エチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ポリエチレングリコールエステル、メタクリル酸−コ−メチルメタクリレート、エチレン−ビニルアセテート(EVA)共重合体など、並びにそれらの組み合わせ。
【0093】
適切な封入材及び技術に関するより詳細な説明は、出願人の同時係属中のPCT出願第PCT/US06/19761号(国際公開第2006/127618号として公開)に記載され、その全開示内容を本願明細書に援用する。
【0094】
上記チューインガム及び菓子組成物はまた、出願人による2004年7月29日に出願の同時係属中の米国特許出願第10/901511号(発明の名称「Tooth Whitening Compositions and Delivery Systems Therefor」、全開示内容を本発明に援用する)にて説明されている、可塑剤、軟化剤、乳化剤、ワックス、充填材、増量剤(担体、増量剤、バルク甘味料)、ミネラル補助剤、風味剤及び着色剤、生理的冷却剤、加温剤、清涼剤、酸化防止剤、酸味料、増粘剤、薬剤、口腔ケア活性剤(例えば他の再石灰化薬品、抗菌物質及び歯漂白剤)からなる群から選択され従来公知の添加剤を適当量含有してもよい。これらの添加剤は、複数の効果を奏することもある。例えば、シュガーレスガム組成物においては、甘味料(例えばマルチトール又は他の糖アルコール)は増量剤としても機能しうる。
【0095】
幾つかの実施形態では、例えば、チューインガム又は菓子組成物は、少なくとも1つの風味剤(フレーバー剤、調味料又は香味剤)を含有してもよい。上記の少なくとも1つの風味剤は、当業者に公知の、例えば天然及び人工香味料であってもよい。これらの風味剤は、合成フレーバーオイル及び香味性の芳香族化合物及び/又はオイル、植物、葉、花、果実等に由来するオレオレジン及び抽出物、並びにそれらの組合せから適宜選択できる。非限定的な代表的な香味オイルとしては、スペアミントオイル、シナモンオイル、ウインターグリーンオイル(メチルサリチレート)、ペパーミントオイル、ハッカオイル、クローブオイル、ベイオイル、アニスオイル、ユーカリオイル、タイムオイル、スギの葉オイル、ナツメグオイル、オールスパイス、セージオイル、メイス、ビターアーモンドオイル及びカッシアオイルなどが挙げられる。また、有用な調味料としては、人工、天然及び合成のフルーツフレーバー(バニラ)、シトラスオイル(レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチ)、フルーツエッセンス(リンゴ、西洋ナシ、桃、ブドウ、ブルーベリー、イチゴ、キイチゴ、サクランボ、プラム、パイナップル、スイカ、アプリコット、バナナ、メロン、アプリコット、ウメ、サクランボ、キイチゴ、ブラックベリー、トロピカルフルーツ、マンゴー、マンゴスチン、ザクロ、パパイアその他)などが挙げられる。放出プロフィールを制御できる他の風味剤としては、ミルクフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、クリームフレーバー及びヨーグルトフレーバー、バニラフレーバー、紅茶又はコーヒーフレーバー(例えば緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、紅茶フレーバー、ココアフレーバー、チョコレートフレーバー及びコーヒーフレーバー)、ミントフレーバー(例えばペパーミントフレーバー、スペアミントフレーバー及びハッカフレーバー)、スパイシーフレーバー(例えば阿魏フレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー、アンゼリカフレーバー、ウイキョウフレーバー、オールスパイスフレーバー、シナモンフレーバー、カモミールフレーバー、マスタードフレーバー、カルダモンフレーバー、キャラウェーフレーバー、クミンフレーバー、クローブフレーバー、コショウフレーバー、コリアンダフレーバー、サッサフラスフレーバー、サボリーフレーバー、サンショウフレーバー、シソフレーバー、ビャクシンベリーフレーバー、ジンジャーフレーバー、スターアニスフレーバー、セイヨウワサビフレーバー、タイムフレーバー、タラゴンフレーバー、イノンドフレーバー、トウガラシフレーバー、ナツメグフレーバー、バジルフレーバー、マヨラナフレーバー、ローズマリーフレーバー、ベイリーフフレーバー及びワサビ(日本のセイヨウワサビ)フレーバー)、アルコールフレーバー(例えばワインフレーバー、ウィスキーフレーバー、ブランデーフレーバー、ラムフレーバー、ジンフレーバー及びリキュールフレーバー)、フローラルフレーバー、ベジタブルフレーバー(例えばタマネギフレーバー、ガーリックフレーバー、キャベツフレーバー、ニンジンフレーバー、セロリフレーバー、キノコフレーバー及びトマトフレーバー)などが挙げられる。これらの風味剤は、液体又は固体として用いてもよく、また別個に用いてもよく、あるいは混合物として用いてもよい。通常用いられる風味剤としては、ペパーミント、メントール、スペアミントなどのミントフレーバー、人工バニラ、シナモン誘導体及び様々なフルーツフレーバーなどを個々に使用するか、又は混合物として使用したフレーバーである。風味剤の使用により、息を爽快にする特性を付与することもでき、例えば、特にミントフレーバーを以下に記載する冷却剤と組み合わせて用いてもよい。
【0096】
幾つかの実施形態では、他の風味剤としてはアルデヒド及びエステルが挙げられ、例えば酸酢シナミル、シナミルアルデヒド、シトラールジエチルアセタール、酢酸ジヒドロカルビル、ギ酸オイゲニル、p−メチルアニソールなどが使用できる。一般的な風味剤又は食品添加物として、Chemicals Used in Food Processing,publication 1274,p63−258(National Academy of Sciences)に記載のものを使用してもよい。この刊行物は、本願明細書に援用する。これらには、天然の風味剤及び合成風味剤が含まれる。
【0097】
アルデヒド系の風味剤の更なる例としては、限定されないが、アセトアルデヒド(リンゴ)、ベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、アニスアルデヒド(カンゾウ、アニス)、桂皮アルデヒド(シナモン)、シトラール(α−シトラールなど)(レモン、ライム)、ネラール(β−シトラール)(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、エチルバニリン(バニラ、クリーム)、ヘリオトロープ(すなわちピペロナール)(バニラ、クリーム)、バニリン(バニラ、クリーム)、α−アミル桂皮アルデヒド(スパイシーでフルーティーな風味)、ブチルアルデヒド(バター、チーズ)、バアレルアルデヒド(バター、チーズ)、シトロネラール(調整剤、多数のタイプ)、デカナール(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−8(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−9(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−12(シトラスフルーツ)、2−エチルブチルアルデヒド(ベリーフルーツ)、ヘキセナール(trans−2)(ベリーフルーツ)、トリルアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、ベラトラルデヒド(バニラ)、2,6−ジメチル−5−ヘプタナール(メローナル、メロン)、2,6−ジメチルオクタナール(グリーンフルーツ)及び2−ドデセナール(シトラス、マンダリン)、サクランボ、ブドウ、ブルーベリー、ブラックベリー、イチゴショートケーキ、並びにそれらの混合物などが挙げられる。
【0098】
幾つかの実施形態では、風味剤は、液体状及び/又は乾燥状のものを使用してもよい。後者の形態を使用する場合、液体の噴霧乾燥などの、適切な乾燥手段が使用可能である。あるいは、上記の風味剤を、水溶性材料(例えばセルロース、澱粉、砂糖、マルトデキストリン、アラビアなど)を用いて吸収させるか、又はカプセル封入してもよい。更に他の実施形態では、上記風味剤はシリカ、ゼオライトなどへ吸着させてもよい。
【0099】
幾つかの実施形態では、上記の風味剤は、様々な物理的形状として用いてもよい。限定されないが、かかる物理的形状としては、フリーの形状(例えば噴霧乾燥、粉末状)、ビーズ形状、カプセル封入された形状、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
通常、少なくとも1つの風味剤を、チューインガム又は菓子組成物中に約0.1%〜約15重量%の量で存在させる。より具体的には、風味剤を、チューインガム又は菓子組成物中に約0.5%〜約5.0重量%の量で存在させてもよい。
【0101】
所望の着色効果を生じさせるのに効果的な量の着色剤を用いてもよい。上記着色剤としては色素が挙げられ、チューインガム又は菓子組成物の重量に対して最高約6%の量で添加することが可能である。例えば、二酸化チタンを、組成物の重量に対して〜約2%、好ましくは〜約1%未満までの量で添加することが可能である。着色剤として、食品、薬剤及び化粧品用途に適する天然の食品用着色剤及び色素を使用してもよい。これらの着色剤は、F.D.&C.色素及びレイク(lake)として公知である。上記の用途に使用できる材料は、好ましくは水溶性材料である。非限定的な例としては、F.D.&C.ブルーNo.2として公知のインジゴイド色素(5,5−インジゴチンジスルホン酸の2ナトリウム塩)が挙げられる。同様に、F.D.&C.グリーンNo.1として公知の色素、トリフェニルメタン色素が挙げられ、それは4−[4−(N−エチル−p−スルホニウムベンジルアミノ)ジフェニルメチレン]−[1−(N−エチル−N−p−スルホニウムベンジル)−δ−2,5−シクロヘキサジエンイミン]の1ナトリウム塩である。全てのF.D.&C.着色剤の詳細な説明、及びそれらの対応する化学構造式は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,3rd Edition,in volume 5,p857−884,に記載されており、その開示内容を本発明に援用する。
【0102】
様々な公知の冷却剤を使用してもよい。例えば、有用な冷却剤としては、メントール、キシリトール、エリトリトール、メンタン、メントン、酢酸メンチル、サリチル酸メンチル、N,2,3−トリメチル−2イソプロピルブタンアミド(WS−23)、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3)、琥珀酸メンチル、3,1−メントキシプロパン 1,2−ジオール及びグルタル酸エステルなどが挙げられる。これらの、また他の好適な冷却剤に関しては、米国特許第4230688号及び第4032661号(Rowsellら)、第4459425号(Amanoら)、第4136163号(Watsonら)、及び第5266592号(Grubら)に記載されており、それらの全開示内容を本願明細書に参照により援用する。
【0103】
加温剤を、公知の多様な化合物から選択し、個々のユーザーに温感を与えるように調製してもよい。これらの化合物は、特に口腔において温感を提供し、風味剤、甘味料及び他の感覚刺激成分による感覚を強化する機能を発揮することもある。有用な加温剤としては、少なくとも1つのアリルビニル成分を有するものが挙げられ、それは口腔内の受容体と結合する性質を有する。適切な加温剤の例としては、限定されないが、バニリルアルコールn−ブチルエーテル(TK−1000(高砂香料工業社、東京、日本)、バニリルアルコールn−プロピルエーテル、バニリルアルコールイソプロピルエーテル、バニリルアルコールイソブチルエーテル、バニリルアルコールn−アミノエーテル、バニリルアルコールイソアミルエーテル、バニリルアルコールn−ヘキシルエーテル、バニリルアルコールメチルエーテル、バニリルアルコールエチルエーテル、ジンゲロール、ショーガオール、パラドール、ジンゲロン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、エタノール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコール、ベンジルアルコール、グリセリン、クロロホルム、オイゲノール、シナモンオイル、桂皮アルデヒド、それらのホスフェート誘導体、並びにそれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0104】
清涼剤を使用することにより、ユーザーに清涼感、刺激感又は麻痺感を提供することができる。清涼剤としては、限定されないが、ジャンブーオレオレシン又はパラクレス(スピランテス種)(有効成分スピラントール)、日本トウガラシ抽出物(Zantoxylum peperitum)(サンショール−I、サンショール−II及びサンショウアミドとして公知の成分を含有)、黒コショウ抽出物(piper nigrum)(有効成分カビシン及びピペリン)、エチナセア抽出物、アメリカザンショウ抽出物、赤トウガラシオレオレジン、並びに発泡剤(例えば食用酸及び塩基(カプセル封入できる))などが挙げられる。清涼剤は、Nakatsuらの米国特許第6780443号、McLaughlinらの米国特許第5407665号、Johnsonらの米国特許第6159509号及びNakatsuらの米国特許第5545424号に記載されており、各々の全開示内容を本願明細書に援用する。
【0105】
チューインガム又は菓子分野における当業者にとり公知の、他のガム又は菓子類用添加物を、組成物中に添加して用いてもよい。
【0106】
幾つかの実施形態では、上記チューインガム又は菓子組成物は、重炭酸ナトリウムを含まないのが好ましい。より具体的には、幾つかの公知のチューインガム及び菓子においては、その消費によるプラーク形成を減少させるために、CPP−ACPと共に重炭酸ナトリウムを含有させてもよい。重炭酸ナトリウムはまた、充填材としても使用可能である。しかしながら、本願明細書に記載の実施形態では、重炭酸ナトリウムを含まなくてもよく、CPP−ACP単独でも齲食を抑制できる。特に、チューインガム又は菓子組成物中に、少なくとも約3重量%の量でCPP−ACPを添加することにより、CPP−ACPを含まないチューインガム及び菓子組成物と比較して約16.9%カリエスを抑制できる。同様に、本願明細書に記載の幾つかの実施形態では、いかなるミネラル質充填剤も含まないのが好ましい。
【0107】
幾つかの実施形態では、基本的に上記の成分の幾つかから成るチューインガム又は菓子組成物の提供に関する。より具体的には実施形態では、齲食を抑制するためのチューインガム組成物は、基本的に、ガムベース、少なくとも1つの甘味料、チューインガム組成物に対して少なくとも約3重量%の量で存在するCPP−ACP、少なくとも1つの風味剤、少なくとも1つの着色剤及び少なくとも1つの界面活性剤からなってもよい。同様に、幾つかの実施形態では、菓子組成物は、基本的に、製菓用担体、少なくとも1つの甘味料、菓子組成物に対して少なくとも約3重量%の量で存在するCPP−ACP、少なくとも1つの風味剤及び少なくとも1つの着色剤からなってもよい。
【0108】
上記したように、チューインガム組成物は、様々な製品形態(例えばスラブ、ペレット、スティック、中心充填ガム、沈澱ガム、圧縮ガム)として提供できる。菓子組成物はまた、様々な製品形態(例えばキャンディ、ソフトキャンディ、中心充填キャンディ、綿菓子、プレスタブレット、ロゼンジ、食用フィルム、ヌガー、キャラメル、フラッペ及びタフィー)として提供できる。チューインガム又は菓子製品の上にコーティングを施してもよく、少なくとも部分的に製品を包囲若しくは被覆するのが好ましい。
【0109】
より具体的には、幾つかの実施形態では、チューインガム又は菓子製品は、チューインガム領域又は菓子領域、及びコーティング領域を有してもよい。上記チューインガム領域は、上記のチューインガム組成物のいずれかから形成できる。同様に、上記菓子領域は、上記の菓子組成物のいずれかから形成できる。上記コーティング領域は、チューインガム又は菓子領域を少なくとも部分的に被覆できる。CPP−ACPは、チューインガム領域若しくは菓子領域に、コーティング領域に、又はそれらの両方の領域に存在してもよい。
【0110】
本発明の他の幾つかの実施形態では、中心充填型のチューインガム又は菓子製品の提供に関する。中心充填チューインガムは、中心充填領域と、当該中心充填領域に隣接して、少なくとも部分的に包囲若しくは位置するガム領域を有する。上記ガム領域は、上記のチューインガム組成物のいずれかから形成できる。例えば、中心充填菓子(例えば中心充填キャンディ)は、中心充填領域と、当該中心充填領域に隣接して、少なくとも部分的に包囲若しくは位置する菓子領域(例えばハード若しくはソフトキャンディ領域)を有する。菓子領域は、上記の菓子組成物のいずれかから形成できる。CPP−ACPは、ガム領域又は菓子領域に、中心充填領域に、又はそれらの両方の領域に存在してもよい。
【0111】
ガム又は菓子製品の中心充填領域は、液体状、固体状又は半固体状、ガス状等であってもよい。液体中心充填組成物(並びに半固体中心充填組成物)に係る実施形態では、上記のように、製造及び貯蔵の間における液体中心の保持に関する考慮が必要となる。したがって、チューインガムに係る実施形態では、中心充填ガムに、液体中心の減少若しくは漏出を実質的に妨げるガム領域組成物を使用するのが望ましいと考えられる。適切なガム領域組成物に関しては、出願人の同時係属中の米国特許出願第11/210954号に開示されており、その全開示内容を本願明細書に参照により援用する。
【0112】
幾つかの実施形態では、中心充填製品はコーティング領域を有してもよく、それは少なくとも部分的にガム又は菓子領域を囲むものである。
【0113】
コーティングされたチューインガム及び菓子に係る実施形態では、外側コーティングは、ソフトコーティングでもよく、ハードコーティングでもよく、クランキーなコーティングでもよい。当業者に公知のいかなる適切なコーティング材料を使用してもよい。典型的には、外側コーティングとしてはソルビトール、マルチトール、キシリトール、イソマルト、エリトリトール及び他の結晶化ポリオールなどが挙げられ、あるいはスクロースを用いてもよい。更に、上記コーティングは幾つかの不透明な層を有してもよく、それにより、コーティングを通してチューインガム又は菓子組成物を見ることができなくなり、更に任意に別の透明な層でコーティングし、表面の装飾、模様がけ及び保護を行ってもよい。上記外側コーティング中に、少量の水及びアラビアガムを含有させてもよい。上記コーティングを、更にワックスでコーティングしてもよい。各コーティングの間に乾燥を行いながら、コーティング溶液を連続的に塗布することによって、従来の方法でコーティングできる。コーティングが乾燥すると通常不透明(通常白色)となるが、更に他の着色剤を添加してもよい。ポリオールコーティングに、更にワックスでコーティングしてもよい。当該コーティングは更に、着色フレーク又はスペックルを含有してもよい。当該組成物がコーティングを含む場合、1つ以上の口腔ケア活性物質を、コーティングの全体にわたって分散させることもできる。これは特に、1つ以上の口腔ケア活性物質が、他の活性物質と、単一相組成物中で適合性を有さない場合に好適である。風味剤を添加して、固有の製品特性を付与してもよい。
【0114】
コーティング中に他の材料を添加して、所望の特性を付与してもよい。これらの材料としては、限定されないが、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ゼラチン、キサン及びアラビアガムなどが挙げられる。
【0115】
コーティング組成物は、上記の方法を含む、公知のいかなる方法によっても塗布することができる。コーティング組成物は、全チューインガム又は菓子製品に対して約2%〜約60%までの量で存在させてもよく、より好適には約25%〜約45重量%である。
【0116】
中心充填製品は公知のあらゆる技術によって形成でき、例えば米国特許第6280780号(Degadyら)に記載の方法が挙げられる(全開示内容を本願明細書に援用する)。
【0117】
本願明細書に記載の幾つかの実施形態では、哺乳類の齲食を抑制又は予防する方法の提供に関し、特にカリエス病変の進行を減速し、後退させることによる上記方法の提供に関する。かかる方法は、特にヒトの齲食を抑制又は予防するのに有用でありえる。その際、上記のチューインガム又は菓子製品のいずれかを、哺乳類の口腔内に投与するのが好ましい。本願明細書に記載のように、当該製品は、ガムベース(チューインガムの場合)又は製菓用担体(その他の菓子)、少なくとも1つの甘味料及びCPP−ACPを含有する。また、上記の他の任意の添加物を含有させてもよい。
【0118】
チューインガム製品を口腔内に投与した後、カリエス形成の抑制に十分な時間咀嚼する。同様に、菓子製品を口腔内に投与した後、カリエス形成の抑制に十分な時間、口腔内で保持する。より具体的には、幾つかの実施形態では、かかる時間は、カリエス病変の進行を減速し、後退させるのに十分な時間である。かかる時間は、少なくとも1分、より具体的には、幾つかの実施形態では少なくとも10分である。
【0119】
これらの方法により、CPP−ACPを含まないシュガーレスのチューインガム製品を同じ時間咀嚼する場合よりも、顕著なレベルでカリエス形成を抑制又は防止できる。より具体的には、本願明細書に記載のチューインガム製品のうちの1つを咀嚼することにより、CPP−ACPを含まないシュガーレスのチューインガム製品を咀嚼する場合と比較し、約16.9%高いレベルでカリエス形成を抑制できる。同様に、本願明細書に記載の菓子製品のうちの1つを口腔内に保持することにより、CPP−ACPを含まない菓子製品の場合と比較し、約16.9%カリエス形成を抑制できる。
【0120】
更に、幾つかの実施形態では、上記チューインガム又は菓子製品にブランド又はロゴ(例えばスローガン、商標、文字及び色彩)を表示してもよく、それにより、齲食を抑制若しくは予防するのに十分な量のCPP−ACPの存在が示される。幾つかの実施形態では、チューインガム又は菓子製品自体に、ブランド又はロゴを表示してもよい。他の幾つかの実施形態では、チューインガム又は菓子製品を、ブランド又はロゴを表示する包装内に収納してもよい。
【0121】
更なるCPP−ACPの存在を伝達するブランド又はロゴを、様々な方法によって消費者に対してマーケティングしてもよい。適切なマーケティング戦略としては、例えば印刷物、ラジオ、衛星ラジオ、テレビ、映画館及びオンライン広告キャンペーン、購買時の広告、ビルボード広告、公共輸送機関及び電話ボックス広告、インスタントメッセージング、着信音などが挙げられる。
【0122】
本願明細書に記載の幾つかの実施形態では、哺乳類の齲食に対処するためのキットの提供に関する。特に、幾つかの実施形態では、当該キットは哺乳類の齲食の抑制用のキットである。当該キットは、本願明細書に記載のチューインガム又は菓子製品のいずれかを含む。当該キットは、チューインガム又は菓子製品の一組の取扱説明書、並びにチューインガム又は菓子製品及び上記一組の取扱説明書を収容するためのパッケージを含んでもよい。また、哺乳類の齲食を予防し、又は、哺乳類のカリエス病変の進行を減速し、後退させるためのも強化するための同様のキットの提供に関する。
【0123】
歯表面の再石灰化及び/又は酸耐性付与のための組成物及び方法:
上記したように、多くの消費者(特に児童)は、酸含有チューインガム及びキャンディを消費する。酸は、様々な理由から、チューインガム及びキャンディにおいて頻繁に用いられる。酸は通常、例えばフルーツ風味のガムに酸味を付与するため、又は口内での唾液分泌の促進のために用いられる。しかしながら、上記したように酸含有ガムは歯表面の脱石灰化をもたらしうる。
【0124】
したがって、本願明細書に記載の幾つかの実施形態では、哺乳類の歯表面を再石灰化し、及び/又は酸耐性を付与するための、酸含有組成物の提供に関する。通常、これらの組成物は、食品グレードの酸との組み合わせでCPP−ACPが用いられているチューインガム又は菓子製品であってもよい。かかる製品は、CPP−ACPを含まない同様の組成物よりも顕著に高いレベルで、歯表面を再石灰化させ、及び/又は酸耐性を付与することができる。
【0125】
上記チューインガム組成物は、ガムベース、少なくとも1つの甘味料、CPP−ACP及び少なくとも1つの食品グレードの酸を含んでなる。上記チューインガム組成物は、上記した任意の形態において提供されうる。
【0126】
上記菓子組成物は、製菓用担体、少なくとも1つのシュガーレスの甘味料、CPP−ACP及び少なくとも1つの食品グレードの酸を含んでなる。菓子組成物もまた、上記した任意の形態において提供されうる。
【0127】
上記チューインガム又は菓子組成物に更に、口腔ケア活性物質(例えば漂白剤、抗菌剤、呼気清涼剤、知覚過敏防止剤、及び他の再石灰化剤などを含有させてもよい。
【0128】
上記チューインガム及び菓子組成物に、少なくとも1つの風味剤及び様々な任意の添加物を含有させてもよい。シュガーレスの組成物が望ましく、前述のようにシュガーレスの甘味料が挙げられる。
【0129】
チューインガム及び菓子組成物に用いられるガムベース、製菓用担体、甘味料、風味剤及び任意の添加物(例えば着色剤)に関しては、いずれも、齲食を抑制するための組成物及び方法のセクションに記載されている。これらの成分は、上記と同様の量で用いてもよい。
【0130】
上記チューインガム及び菓子組成物はまた、CPP−ACP及び少なくとも1つの食品グレードの酸を含有する。上記の通り、CPP−ACPは通常、チューインガム又は菓子組成物中に約0.5%〜約5重量%の量で存在させてもよい。より具体的には、歯表面を再石灰化し及び/又は酸耐性を付与するためのチューインガム及び菓子類に係る幾つかの実施形態では、CPP−ACPは組成物中に約0.5%〜約1.5重量%の量で存在させてもよい。
【0131】
チューインガム及び菓子組成物中に含有させる少なくとも1つの食品グレードの酸としては、限定されないが、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、酪酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0132】
食品グレードの酸は、チューインガム又は菓子組成物中に約0.01%〜約20重量%の量で存在させてもよい。より具体的には、幾つかの実施形態では、上記食品グレードの酸は、チューインガム又は菓子組成物中に約0.5%〜約5重量%の量に存在してもよく、より好ましくはチューインガム又は菓子組成物中に2.5%〜約5重量%の量で存在してもよい。
【0133】
チューインガム及び菓子組成物は、上記の他のいかなる添加物を含有してもよい。更に、上記チューインガム及び菓子組成物は、例えば中心充填ガム及び菓子などの、上記のいかなる製品形態として提供してもよい。更に、上記のように、幾つかの実施形態では、CPP−ACPを製品中の様々な領域に存在させてもよい。
【0134】
また、上記のように、CPP−ACPを、カプセル封入された形態、及び/又はカプセル封入されていない形態で使用してもよい。また、少なくとも1つの食品グレードの酸を、カプセル封入された形態、及び/又はカプセル封入されていない形態で使用してもよい。CPP−ACP及び食品グレードの酸を別個にカプセル封入してもよく、又は混合物として共にカプセル封入してもよい。CPP−ACP及び食品グレードの酸を別個にカプセル封入する幾つかの実施形態では、同じ若しくは異なる封入材を用いてもよい。
【0135】
中心充填ガム又は中心充填菓子に係る実施形態では、例えば、CPP−ACP及び少なくとも1つの食品グレードの酸を、カプセル封入された形態、及び/又はカプセル封入されていない形態で、中心充填製品の1つ以上の領域に添加してもよい。例えば、中心充填ガムでは、カプセル封入されたCPP−ACPをガム領域に含有させ、カプセル封入された食品グレードの酸を中心充填領域に含有させてもよい。あるいは、CPP−ACP及び食品グレードの酸の混合物を、共にカプセル封入し、製品中の1つ以上の領域に含有させてもよい。若干の他の実施形態では、少なくとも1つの上記成分を、カプセル封入された形態、及びカプセル封入されていない形態で用いてもよい。例えば、カプセル封入された形態及びカプセル封入されていない形態のCPP−ACPを、カプセル封入された又はカプセル封入されていない食品グレードの酸との組み合わせで含有させてもよい。カプセル封入された形態とカプセル封入されていない形態を、同じ若しくは異なる量で使用できる。
【0136】
幾つかの実施形態では、チューインガム又は菓子製品はまた、上記の通り、ブランド又はロゴが表示されていてもよく、又は当該ブランド又はロゴを表示する包装内に収納されていてもよい。
【0137】
本願明細書に記載の幾つかの実施形態では、哺乳類の歯表面の再石灰化方法、並びに、哺乳類の歯表面に酸耐性を付与する方法の提供に関する。かかる方法は、特にヒトの歯表面を再石灰化し、及び/又は酸耐性を付与するのに有用である。かかる方法では、上記のチューインガム又は菓子製品を、哺乳類の口腔内に投与するのが好ましい。本願明細書に記載のように、当該製品は、ガムベース(チューインガムの場合)又は製菓用担体(その他の菓子の場合)、少なくとも1つの甘味料、CPP−ACP及び少なくとも1つの食品グレードの酸を含有するのが好ましい。また、上記以外の他の任意のあらゆる添加物を含有させてもよい。
【0138】
チューインガム製品を口腔内に投入した後、哺乳類の歯表面の再石灰化に十分な時間咀嚼する。同様に、菓子製品を口腔内に投与した後、カリエス形成の抑制に十分な時間、口腔内で保持する。かかる時間は、少なくとも1分、より具体的には、幾つかの実施形態では少なくとも10分である。
【0139】
これらの方法により、CPP−ACPを含まないチューインガム製品を同じ時間咀嚼する場合よりも、顕著なレベルで歯表面を再石灰化することができる。より具体的には、上記のチューインガム製品のうちの1つを咀嚼することにより、食品グレードの酸を含むが、CPP−ACPを含まないチューインガムと比較し、少なくとも約10%高いレベルで再石灰化することができる。更に、上記のチューインガムのうちの1つを咀嚼することにより、CPP−ACP及び食品グレードの酸を含まないチューインガムと比較し、少なくとも3%高いレベルで再石灰化を生じさせることができる。同様の再石灰化効果を、上記の菓子製品で得ることができる。これらの効果は、特にシュガーレスのガム及び菓子製品で得ることができる。
【0140】
幾つかの実施形態では、上記のチューインガム又は菓子のうちの1つを咀嚼することにより、CPP−ACPを含まないチューインガム製品を同じ時間咀嚼した場合と比較し、高いレベルで酸耐性を歯表面に付与することができる。より具体的には、上記のチューインガム製品は、食品グレードの酸を含有するが、CPP−ACPを含まないチューインガムと比較し、少なくとも約13%高いレベルで、酸耐性を付与することができる。更に、上記のチューインガムは、CPP−ACP及び食品グレードの酸を含まないチューインガムと比較し、少なくとも4%高いレベルで、酸耐性を付与することができる。同じ酸耐性を、上記の菓子製品で得ることができる。これらの効果はまた、特にシュガーレスのガム及び菓子製品で得ることができる。
【0141】
本願明細書に記載の幾つかの実施形態では、哺乳類の歯表面の脱石灰化の課題に対処するためのキットの提供に関する。特に、幾つかの実施形態では、歯表面の再石灰化用キットの提供に関する。当該キットは上記のチューインガム又は菓子製品のいずれかを含んでもよく、それらはCPP−ACP及び1つ以上の食品グレードの酸を含んでもよい。当該キットはまた、チューインガム又は菓子製品を使用するための一組の取扱説明書、並びに、チューインガム又は菓子製品及びそのための一組の取扱説明書を収容するためのパッケージを含んでもよい。また、哺乳類の歯表面に酸耐性を付与するための同様のキットの提供にも関する。
【0142】
本発明の特徴及び効果を説明するため、以下に実施例を記載し、本発明をより完全に示すが、それらによりいかなる形であれ本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0143】
実施例1:
この実施例では、通常の口腔衛生処置を受けている若者の集団における、コントロールのシュガーレスチューインガムの場合と比較した、CPP−ACPを含有するシュガーレスチューインガムにより抗カリエス活性の試験結果を示す。
【0144】
CPP−ACPを含有するシュガーレスチューインガムスラブを、下記の表1の組成に従って調製した。コントロールのシュガーレスチューインガムスラブ(CPP−ACPなし)を、下記の表2の組成に従って調製した。
【0145】
表1:CPP−ACPを含有するシュガーレスチューインガムスラブ
(成分) (重量%)
ガムベース 32
軟化剤 13.03
ポリオール(粉末) 48.345
CPP−ACP 3
着色剤 0.17
風味剤 1.85
メントール 0.17
アスパルテーム 0.09
Ace−K 0.225
カプセル封入したAce−K 0.95
噴霧乾燥したフレーバーエンハンサー 0.17
【0146】
表2:CPP−ACPを含有しないシュガーレスチューインガム(「コントロールガム」)スラブ
(成分) (重量%)
ガムベース 32
軟化剤 13.03
ポリオール(粉末) 51.345
着色剤 0.17
風味剤 1.85
メントール 0.17
アスパルテーム 0.09
Ace−K 0.225
カプセル封入したAce−K 0.95
噴霧乾燥したフレーバーエンハンサー 0.17
【0147】
上記の表1に従い、個々のチューインガムのピース(54.4mgのCPP−ACPを含む)を調製した。CPP−ACPなしで調製した以外は、CPP−ACPを含有するシュガーレスチューインガムと同様にコントロールガムを調製した。
【0148】
CPP−ACPを含有するシュガーレスチューインガム及びコントロールガムを用いて、齲食の減少の比較を測定するように設計された、2年にわたる、二重盲式、ランダム化試験を行った。2,720人の若者(約12歳の)の協力により、2年の期間にわたり、通常の口腔ケア処置を行わせた(通常通りの歯科への訪問及びフッ化物含有飲料水の摂取を含む)。ガムを、1日につき3回、1セッション当たり10分間咀嚼させた。試験群には、CPP−ACPを含有するシュガーレスのガムを咀嚼させ、対照群にはコントロールガムを咀嚼させた。DexisデジタルX線システムを使用して、各被験者の歯を、標準化されたデジタルX線撮影(Bitewingラジオグラフィ)でベースライン及び試験完了時(24ヵ月)に撮影した。X線写真を、エナメル及び象牙質レベルで記録し、隣接面の表層齲食を評価した。カリエス進行又は後退の分析を、移行(transition)マトリックスを使用して実施した。試験の結果、2つの群間で、移行(transition)スコア分布の統計学的が有意差が示された。
【0149】
特に、シュガーレスのガムを含有するCPP−ACPは、コントロールガムと比較してカリエス病変の進行を減速した。CPP−ACPを含有するシュガーレスのガムを咀嚼した被験者では、対照群の932の(5.31%)隣接面と比較して、814(4.41%)の隣接面がカリエス進行を示しており、すなわち対照群と比較し16.9%の減少を示した。試験ではまた、CPP−ACPを含有するシュガーレスのガムは、コントロールガムと比較し、カリエス病変の後退を促進することが示された。特に、コントロールガムの場合の36(0.21%)の隣接面と比較して、CPP−ACPを含有するシュガーレスのガムでは、隣接面のうちの56(0.30%)がカリエス後退を示していた。更に、CPP−ACPを含有するシュガーレスのガムを咀嚼した場合であっても、隣接面の大部分(パーセンテージ)の状態が、コントロールガムと変わらなかった。これらの結果を、下記の表3に更に詳細に示す。
【0150】
表3:デジタルX線撮影の結果
【表1】

【0151】
特に、移行スコアは、ベースライン測定値から試験終了時測定値への移行を表す。移行スコアの減少は齲食の後退を表し、一方移行スコアの増加は齲食の進行を表す。表4から明らかなように、例えば、コントロールガムでは、齲食の0.21%の後退が示されたが、上記のCPP−ACPを含有するガムでは、齲食の0.3%の後退がしめされた。
【0152】
従って、2年間の試験において、54.4mg(3重量%)のCPP−ACPを含有するシュガーレスチューインガムは、通常のシュガーレスチューインガムと比較し、顕著に齲食の進行を減速して、後退を促進した。
【0153】
実施例2:
この実施例では、コントロールのシュガーレスチューインガムと比較した、CPP−ACP及び食品グレードの酸を含有するシュガーレスチューインガムの再石灰化及び酸耐性に与える効果を示す。
【0154】
CPP−ACP及びクエン酸を含有するシュガーレスチューインガムペレットを、下記の表4中の最初の組成に従って調製した。2つのコントロールのシュガーレスチューインガムペレットも同様に調製した。第1のコントロールガムは、下記の表4の第2の組成で示すように、クエン酸を含有するが、CPP−ACPを含まない(「酸含有コントロール」)。第2のコントロールガムは、下記の表4の第3の組成で示すように、クエン酸もCPP−ACPも含まない(「酸不含有コントロール」)。
【0155】
表4:チューインガム組成
【表2】

【0156】
個々のチューインガムペレットを、上記の表4の各々の組成に従い調製した。第1の組成(2ペレット)のシュガーレスガムは、18.8mgのCPP−ACP及び20mgのクエン酸を含有した。第2の組成(2ペレット)のシュガーレスガムは、20mgのクエン酸のみを含有した。第3の組成(2ペレット)のシュガーレスガムは、CPP−ACP又はクエン酸を含有しなかった。
【0157】
3種類のシュガーレスチューインガムを用いて、14日にわたる、二重盲式、ランダム化試験を行い、CPP−ACP及び酸含有ガムの再石灰化及び酸耐性に与える効果を測定した。着脱可能な口蓋器具を着用している10の被験者の協力により上記試験を実施した。上記口蓋機器は各々、脱石灰化された表面病変を有する、ヒトエナメルを含有する4枚のハーフスラブインセットを有していた。ガム(2ペレット)を、1日4回、1セッションあたり20分間咀嚼した。各咀嚼セッションの終了後、エナメル含有ハーフスラブを取り除き、再石灰化された病変の半分を、16時間、カルボポール/乳酸で処理した。その後エナメルスラブを包埋し、切片を調製し、マイクロラジオグラフィに供して再石灰化のレベルを測定した。
【0158】
再石灰化及び酸耐性の結果を、下記の表5に示す。
【0159】
表5:結果
【表3】

【0160】
表5の結果から明らかなように、CPP−ACP及びクエン酸を含有するガムを咀嚼することにより、CPP−ACP及びクエン酸を含有しないガム、又はクエン酸のみを含有しているガム咀嚼をする場合を比較し、顕著に高いレベルでの再石灰化がなされた。更に、再石灰化部位における、16時間にわたる酸耐性試験により、酸性試験後のミネラルの濃度が、2つのコントロールガムと比較して、CPP−ACP及びクエン酸を含有するガムでは顕著に高いことが示された。
【0161】
以上より、CPP−ACP及び酸を含有するシュガーレスチューインガムは、顕著に歯表面の再石灰化を促進した。
【0162】
実施例3−6:
以下に、制御放出(すなわち封入)形態の、CPP−ACP及び幾つかの食品グレードの酸(アジピン酸、クエン酸及びリンゴ酸)の例を示す。実施例3の封入されたCPP−ACPを、齲食抑制用のチューインガム又は菓子組成物に使用してもよい。また、封入されたCPP−ACPを、実施例4から6の1つ以上のカプセル封入された酸と組み合わせて用い、チューインガム又は菓子組成物に、再石灰化効果、及び/又は歯表面への酸耐性の付与効果を提供することができる。
【0163】
更に、実施例3から6のカプセル封入された各々の成分を、カプセル封入されていない形の成分と組み合わせて、チューインガム又は菓子組成物に添加してもよい。例えば、実施例3のCPP−ACPを、カプセル封入されていないCPP−ACPと組み合わせて、齲食抑制用のチューインガム又は菓子組成物としてもよい。カプセル化形態と、非カプセル化形態とを、同じ若しくは異なる量で用いてもよい。
【0164】
同様に、実施例4−6のカプセル封入された酸の各々を、同じ量のフリーの酸と組み合わせ、再石灰化、及び/又は歯表面への酸耐性付与用のチューインガム又は菓子組成物を調製できる。異なる酸の組合せとしてもよい。カプセル封入された形態とカプセル封入されていない形態は、同じ又は異なる量において使用できる。
【0165】
実施例3:CPP−ACPの封入(ポリビニル酢酸マトリックス)
組成:
(成分) (重量%)
ポリビニル酢酸 55.00%
水素化オイル 3.75%
グリセロールモノステアレート 1.25%
CPP−ACP 40.00%
合計 100.00%
【0166】
ポリ酢酸ビニルは、高剪断ミキサー(例えば押出機(1軸若しくは2軸)、又はシグマ若しくはバンブリーミキサー)中で、80℃の温度で溶解させた。更に硬化油及びモノステアリン酸グリセロールを、融解したポリ酢酸ビニルに添加した。更に、得られる混合物にCPP−ACPを添加し、高剪断中で混合して完全に成分を分散させた。得られる充填ポリマー溶融体を冷却し、研磨して420ミクロン未満の粒径の粉末状の材料を調製した。カプセル封入マトリックスを密閉容器に格納し、35℃未満の低湿度条件で保存した。
【0167】
実施例4:アジピン酸の封入(ポリビニル酢酸マトリックス)
組成:
(成分) (重量%)
ポリビニル酢酸 60.00%
水素化オイル 3.75%
グリセロールモノステアレート 1.25%
アジピン酸 35.00%
合計 100.00%
【0168】
ポリ酢酸ビニルは、高剪断ミキサー(例えば押出機(1軸若しくは2軸)、又はシグマ若しくはバンブリーミキサー)中で、110℃の温度で溶解させた。更に硬化油及びモノステアリン酸グリセロールを、融解したポリ酢酸ビニルに添加した。更に、得られる混合物にアジピン酸を添加し、高剪断中で混合して完全に成分を分散させた。得られる充填ポリマー溶融体を冷却し、研磨して420ミクロン未満の粒径の粉末状の材料を調製した。カプセル封入マトリックスを密閉容器に格納し、35℃未満の低湿度条件で保存した。
【0169】
実施例5:クエン酸の封入(ポリビニル酢酸マトリックス)
組成:
(成分) (重量%)
ポリビニル酢酸 55.00%
水素化オイル 3.75%
グリセロールモノステアレート 1.25%
クエン酸 40.00%
合計 100.00%
【0170】
ポリ酢酸ビニルは、高剪断ミキサー(例えば押出機(1軸若しくは2軸)、又はシグマ若しくはバンブリーミキサー)中で、110℃の温度で溶解させた。更に硬化油及びモノステアリン酸グリセロールを、融解したポリ酢酸ビニルに添加した。更に、得られる混合物にクエン酸を添加し、高剪断中で混合して完全に成分を分散させた。得られる充填ポリマー溶融体を冷却し、研磨して420ミクロン未満の粒径の粉末状の材料を調製した。カプセル封入マトリックスを密閉容器に格納し、35℃未満の低湿度条件で保存した。
【0171】
実施例6:マロン酸の封入(ポリビニル酢酸マトリックス)
組成:
(成分) (重量%)
ポリビニル酢酸 55.00%
水素化オイル 3.75%
グリセロールモノステアレート 1.25%
マロン酸 40.00%
合計 100.00%
【0172】
ポリ酢酸ビニルは、高剪断ミキサー(例えば押出機(1軸若しくは2軸)、又はシグマ若しくはバンブリーミキサー)中で、110℃の温度で溶解させた。更に硬化油及びモノステアリン酸グリセロールを、融解したポリ酢酸ビニルに添加した。更に、得られる混合物にクエン酸を添加し、高剪断中で混合して完全に成分を分散させた。得られる充填ポリマー溶融体を冷却し、研磨して420ミクロン未満の粒径の粉末状の材料を調製した。カプセル封入マトリックスを密閉容器に格納し、35℃未満の低湿度条件で保存した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類のカリエス病変の進行を減速させ、後退を促進する治療剤であって、
(a)チューインガム製品を含み、前記チューインガム製品は、
(i)前記チューインガム製品に対して5%〜95重量%の量で存在するガムベースと、
(ii)前記チューインガム製品に対して0.001%〜95重量%の量で存在する少なくとも1つの甘味料と、
(iii)前記チューインガム製品に対して0.5%〜5重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムとを有し、
(b)前記チューインガム製品は、1日につき3回、1セッションあたり10分間咀嚼され、前記カゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含まないシュガーレスのチューインガム製品を咀嚼した場合と比較し、16.9%高いレベルで、カリエス病変の進行を減速させ、後退を促進するのに十分な時間消費される治療剤。
【請求項2】
哺乳類のカリエス病変の進行を減速させ、後退を促進する治療剤であって、
(a)チューインガム製品を含み、前記チューインガム製品は、
(i)前記チューインガム製品に対して5%〜95重量%の量で存在するガムベースと、
(ii)前記チューインガム製品に対して0.001%〜95重量%の量で存在する少なくとも1つの甘味料と、
(iii)前記チューインガム製品に対して54.4mg以上の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムとを有し、
(b)前記チューインガム製品は、1日につき3回、1セッションあたり10分間咀嚼され、前記カゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含まないシュガーレスのチューインガム製品を咀嚼した場合と比較し、16.9%高いレベルで、カリエス病変の進行を減速させ、後退を促進するのに十分な時間消費される治療剤。
【請求項3】
哺乳類のカリエス病変の進行を減速させ、後退を促進する治療剤であって、
(a)チューインガム製品を含み、前記チューインガム製品は、
(i)前記チューインガム製品に対して5%〜95重量%の量で存在するガムベースと、
(ii)前記チューインガム製品に対して0.001%〜95重量%の量で存在する少なくとも1つの甘味料と、
(iii)前記チューインガム製品に対して少なくとも3重量%の量で存在するカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムとを有し、前記カゼインリンペプチド−リン酸カルシウムは、ポリマーマトリックスの内部にカプセル封入されており、
(b)前記チューインガム製品は、1日につき3回、1セッションあたり10分間咀嚼され、前記カゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含まないシュガーレスのチューインガム製品を咀嚼した場合と比較し、16.9%高いレベルで、カリエス病変の進行を減速させ、後退を促進するのに十分な時間消費される治療剤。
【請求項4】
前記カゼインリンペプチド−リン酸カルシウムは、チューインガム領域、中心充填領域及びそれらの組み合わせからなる群から選択される領域に存在する、請求項1から3のいずれか記載の治療剤。
【請求項5】
前記チューインガム製品は、さらにカプセル封入されていない形のカゼインリンペプチド−リン酸カルシウムを含んでなる、請求項1から4のいずれか記載の治療剤。
【請求項6】
前記チューインガム製品は、チューインガム領域及びコーティング領域を含んでなる、請求項1から5のいずれか記載の治療剤。
【請求項7】
前記カゼインリンペプチド−リン酸カルシウムは、前記チューインガム領域、前記コーティング領域及びそれらの組み合わせからなる群から選択される領域に存在する、請求項6記載の治療剤。
【請求項8】
前記チューインガム製品が中心充填ガムを含んでなり、前記中心充填ガムが、中心充填領域及び前記中心充填領域を少なくとも部分的に囲むガム領域を含んでなる、請求項1から7のいずれか記載の治療剤。

【公開番号】特開2011−116778(P2011−116778A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48996(P2011−48996)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【分割の表示】特願2009−504325(P2009−504325)の分割
【原出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(507265133)キャドバリー アダムス ユーエスエー エルエルシー (55)
【Fターム(参考)】