説明

哺乳類由来の非生理活性添加剤を含まないタンパク質安定化製剤

本発明は、(a)親水性ポリマー、(b)多価アルコールと糖類化合物との、重量比が2:1〜5:1(wt-%)の混合物、及び(c)界面活性剤からなり、安定化タンパク質を含まない製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類由来の非生理活性添加剤を含まない、タンパク質を安定させるための製剤(配合組成物)に関する。特には、親水性ポリマーと、多価アルコールと糖との混合物であって、多価アルコールと糖類化合物との重量比が2:1〜5:1であるものとからなり、哺乳類由来の非生理活性添加剤を含まないものに関する。一実施形態において、本発明は、前記の製剤または組成物を含む、一つまたは複数の包装容器と、使用説明書とからなり、場合によっては、薬剤学的に許容可能な滅菌済み溶媒を追加で備えるキットに関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質を安定させることがないタンパク質製剤が従来技術により知られている。WO 2006/020208は、ボツリヌス毒素と、非タンパク性の非生理活性添加剤とからなる医薬製剤であって、水溶液中のボツリヌス毒素の活性を保持するものに関する。
【0003】
WO 2006/005910は、ボツリヌス毒素複合体または高純度ボツリヌス毒素と、界面活性剤とからなる、固形または液体の医薬品組成物と界面活性剤にする。最大で、23〜27℃における6ヵ月の安定性が報告されている。
【0004】
WO 2007/041664は、ボツリヌス毒素と、ポリビニルピロリドン(PVP)と、場合により追加される二糖類とからなる医薬製剤組成物に関する。
【0005】
WO 2004/006954は、ボツリヌス毒素と、ヒトの患者への、ボツリヌス毒素の経皮的な送り込みを助ける少なくとも1種の薬物とからなる医薬品組成物に関する。
【0006】
WO 01/58472は、ボツリヌス毒素と多糖類とからなる、人間の患者への注射に適した医薬品組成物を開示する。また、神経毒と、ヒドロキシエチル化澱粉とからなる医薬製剤成物をも開示する。
【0007】
WO 2006/079722は、タンパク質を凍結乾燥して、該タンパク質を安定させる方法を実施するための液体組成物の使用に関する。該液体組成物は、崩壊温度が-18℃〜0℃である充填剤と、緩衝液と、場合により含まれ得る非イオン界面活性剤とからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開US2007/122476A
【特許文献2】国際公開WO2007/041664A
【特許文献3】フランス特許出願公開FR2881139A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、安定化タンパク質を含まずに、タンパク質を安定させる新しい製剤を提供することにある。この製剤は、従来技術の製剤に比べてタンパク質に対する、より優れた安定性を付するものであり得る。
【0010】
この目的、及び、その他の目的は、本出願の対象である製剤によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、本願の対象である製剤組成物によって実現される。本願は、親水性ポリマーと、多価アルコールと糖類混合物との混合物と、界面活性剤とからなり、安定化タンパク質を含まない組成物に関する。ここで、多価アルコールと糖類混合物との重量比は、[2:1]〜[5:1]、例えば[2:1]、[2.5:1]、[3:1]、[3.5:1]、[4:1]、[4.5:1]または[5:1]である。さらなる一の実施形態によると、本発明は、前記製剤組成物と天然に存在するか、または人工的に得られたペプチド、タンパク質またはこれらの混合物とからなる組成物に関する。
【0012】
さらなる一の実施形態によると、本発明の組成物は、凍結乾燥される。
【0013】
本発明のさらなる態様によると、薬物、化粧用の製品、化粧及び医薬用の製品または診断用製品に用いるための、ペプチド、タンパク質またはこれらの混合物からなるものに関する。
【0014】
本発明の一のさらなる態様は、患者に、機能亢進性の、筋肉のコリン作動性神経支配または外分泌腺によって引き起こされるか、または、関連した病気または状態の治療に用いるための前記組成物の使用に関する。
【0015】
本発明の一のさらなる態様は、前記製剤ないしは組成物を含む一つまたは複数の容器と、前記製剤の使用説明書と、場合により追加される薬剤学的に許容可能な滅菌済み溶媒とからなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
願発明は、親水性ポリマーと、多価アルコールと糖類化合物の混合物と、界面活性剤とからなり、安定化タンパク質を含まない製剤に関する。ここで、多価アルコールと糖類混合物との重量比は、[2:1]〜[5:1]、例えば[2:1]、[2.5:1]、[3:1]、[3.5:1]、[4:1]、[4.5:1]または[5:1]である。
【0017】
本願で用いられる「製剤」(配合組成物)との語は、薬剤学的に許容される非生理活性添加剤からなる混合物に関するものであり、本技術分野の技能を有する者に知られている、液体、固体、半固体、コロイド、及び、全ての他の形態を包含する。この製剤(配合組成物)は、安定化タンパク質を含まない。
【0018】
本発明で用いられる「組成物」の語は、請求の範囲に記載のとおりに、ペプチド、タンパク質、またはこれらの混合物をさらに含む製剤組成物に関する。
【0019】
本発明の製剤組成物は、親水性ポリマーからなる。
【0020】
本願で用いられる「ポリマー」との語は、繰り返し単位から成る構造体に関するものである。本発明の範囲内において、「ポリマー」との用語は、ホモポリマーと共重合体との両方に用いられる。
【0021】
本願で用いられる「親水性」との語は、水に対する「ぬれ性」を有する物質、材料、賦形剤その他の生理学的に非活性な添加剤、または、製剤学的に活性な配合成分に関する。
【0022】
本発明の一の実施形態において、親水性ポリマーは、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、N-ビニルピロリドンの共重合体、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG/PPGブロック共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸のホモポリマー及び共重合体、ポリウレタン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、無水マレイン酸系共重合体、ポリエステル類、ビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリカルボン酸、ポリアミド類、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン、及び、これらの混合物よりなるグループから選択される。
【0023】
上記のセルロース誘導体は、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒドロキシエチル・セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチル・セルロース、デキストラン及び、これらの混合物よりなるグループから選択できる。
【0024】
本願で用いられる「ポリビニルピロリドン」との語は、N-ビニルピロリドンモノマーから作られる水溶性ポリマーのことをいう。この用語と、「PVP、ポビドン、ポリビドン、クロスポビドン、コリドン」という略称は、同義に用いられる。
【0025】
上記のポリビニルピロリドン(PVP)は、コリドン12PF、コリドン17PF、コリドン25、コリドン30、コリドン90F、ポビドン、クロスポビドン、コリドンVA64、及び、コポビドン、または、これらの混合物であり得る。
【0026】
本発明の意味における「ヒアルロン酸」との用語は、非硫酸化グリコサミノグリカンのことをいう。一実施形態において、ヒアルロン酸は、0.8〜1.2×106Daの分子量を有する。また、本発明の範囲内において、架橋されたヒアルロン酸を用いることができる。「ヒアルロン酸」との用語は、「ヒアルロナン」との用語と、同義に用いられる。本発明の範囲内において、「ヒアルロン酸」との用語は、ヒアルロン酸塩といった誘導体を包含し、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩をも包含する。また、「ヒアルロン酸」との語は、天然に存在するか、または合成された全ての遊惰応対を包含する。「ヒアルロン酸」の分子は、典型的には、10kDa、及び、4.5×106Daの分子量を有する。
【0027】
本発明の医薬組成物は、多価アルコールと糖類化合物との混合物を[2:1]〜[5:1](重量%)の重量比で含む。
【0028】
本願で用いる「多価アルコール」との用語は、一群の炭水化物由来の配合成分であって、タンパク質を不安定性から保護するために用いられるものに関する。該「多価アルコール」の語と、「糖アルコール類」が、同義に用いられる。
【0029】
本願で用いる「糖類化合物」との用語は、いずれかの単糖類、二糖類及び多糖類にも関連している。本願で用いる「単糖類」との用語は、炭水化物の基本ユニットに関するものである。本発明の範囲内において「二糖類」との用語は、2つの単糖からなる炭水化物に関するものである。本願で用いる「多糖類」との用語は、単糖類同士がグルコシド結合により結合した、単糖類の繰り返し単位に関するものである。
【0030】
本願で用いる「混合物」との用語は、当該技術分野の技能を有する者に知られた方法及び装置を用いて、同一または相異なる複合体または構造体の少なくとも2つの物質が混ぜ合わされた、均質または不均質のものに関する。本発明の範囲内において「混合物」との用語は、固体、液体及び半固体の形態のものを包含する。
【0031】
本願で用いる「混合」との用語は、少なくとも2つの活性または非活性の配合成分を、種々の比率で組み合わせることに関する。「混合」は、同一または相異なるグループの、少なくとも2つの活性または非活性の物質を、いかなる順序でも、いかなる方法・工程または操作によって行うことにも関連している。「混合」の用語は、また、いずれかの活性配合成分と、生理的に非活性のいずれかの添加剤とを組み合わせる、いかなる方法・工程または操作とも関連している。
【0032】
本発明の一実施形態において、多価アルコールは、マンニトール、イノシトール、ラクチトール、イソマルト、キシリトール、エリスリトール及びソルビトールよりなるグループから選択される。
【0033】
本発明の他の一実施形態において、糖類化合物は、単糖類化合物よりなるグループから選択される。ここで、単糖類化合物は、グルコース、チオグルコース、チオマンノース、チオフルクトース、フルクトース、及び、ガラクトースであり得る。他の一つの実施形態において、糖類化合物は、二糖類化合物よりなるグループから選択される。ここで、二糖類化合物は、トレハロース、スクロース(スクロース)、オクタ-O-アセチル-チオトレハロース、チオスクロース、チオマルトース、マルトース及びマルチトールであり得る。さらなる一の実施形態において、糖類化合物は、多糖類化合物よりなるグループから選択される。ここで、多糖類化合物は、アルギン酸塩、ヒドロキシエチル化澱粉、及びヒドロキシプロピル化澱粉であり得る。
【0034】
本発明の請求の対象である製剤は、多価アルコールと糖類化合物とが混ぜ合わされて得られる、多価アルコールと糖類化合物との、[2:1]〜[5:1]との重量比の混合物である。さらなる一の実施形態において、前記の多価アルコールと糖類化合物との混合物は、重量比が[2:1]〜[3:1]、例えば[2:1]、[3:1]、[2.5:1]である。もう一つの実施形態では、多価アルコールと糖類化合物との混合物の重量比が[3:1]である。
【0035】
本発明の一の実施形態において、多価アルコールと糖類化合物との混合物は、マンニトールとスクロースとの、重量比[2:1]〜[5:1]の混合物であり、例えば、[2: 重量比1]、[2.5:1]、[3:1]、[3.5:1]、[4:1]、[4.5:1]または[5:1]の混合物である。一のさらなる実施形態において、多価アルコールと糖類化合物との混合物は、マンニトールとスクロースとを重量比[3:1]で含む。
【0036】
前記多価アルコールと前記糖類化合物は、Vブレンダー(V型混合器;ツイン・シェル・ブレンダー)、回転ドラム・ミキサー、二重リボン・ブレンダー、パドル・ミキサー、スキ型ショベル羽根式ミキサー(プラウミキサー)または二重円錐型混合器を用いて混合したものであり得る。当業者ならば、ベンチトップ・スケール、または、大きなスケールに応じて、適正なミキサーを選ぶことができる。混合時間は、バッチのサイズと、生理非活性添加剤の品質とに依存し、例えば、粉の粒径とミキサーのタイプに依存する。
【0037】
本発明の製剤組成物は、界面活性剤をも含む。
【0038】
本願における「界面活性剤」との用語は、他の物質を可溶化するか、または安定化させるために用いられるいかなる物質にも関連しており、製剤中にあって、製剤学的に活性の配合成分、または、さらなる、生理非活性の添加剤であり得る。前記界面活性剤は、立体配置的に、または、静電的に、前記タンパク質またはペプチドを安定させるものであり得る。「界面活性剤」との用語は、「表面活性剤」または「界面活性物質」の用語と同義に用いられる。
【0039】
本発明の一実施形態において、界面活性剤は、非イオン界面活性剤よりなるグループから選択される。
【0040】
本発明の意味において「非イオン界面活性剤」との用語は、正または負の電荷を有しない界面活性剤のことをいう。
【0041】
一の態様において、前記非イオン界面活性剤は、ソルビタンエステル(ソルビタン・モノラウレート、ソルビタン・モノパルミテート、ソルビタン・モノステアレート、ソルビタン・トリステアレート、ソルビタン・モノオレエート、ソルビタン・トリオレエート)、ポリソルベート(ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・モノラウレート(ポリソルベート20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・モノパルミテート、ポリオキシエチレン(20) ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20) ソルビタン・トリステアレート、ポリオキシエチレン(20) ソルビタン・トリオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・モノオレエート(トゥイーン80/ポリソルベート 80))、ポロキサマー(poloxamer 407、poloxamer 188)、ポリオキシエチレン・ヒマシ油(クレモホール)、または、これらの混合物であり得る。
【0042】
他の一実施形態において、前記界面活性剤は、陰イオン界面活性剤である。
【0043】
本発明の意味における「陰イオン界面活性剤」との用語は、陰イオン性の親水基からなる界面活性剤をいう。
【0044】
一の態様において、陰イオン界面活性剤が、テトラデシルトリメチルアンモニウム・ブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウム・ブロミド、ラウレス硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セトリミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム・ブロミド、または、その混合物であり得る。
【0045】
さらなる一の実施形態において、前記界面活性剤は、陽イオン界面活性剤である。
【0046】
本発明の意味において「陽イオン界面活性剤」との用語は、陽イオン性の親水基からなる界面活性剤を包含する。
【0047】
一の態様において、前記陽イオン界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニウム臭化物(CTAB)、セチルピリジニウム塩化物(CPC)、ベンゼトニウム塩化物(BZT)、または、これらの混合物である。
【0048】
本発明の一実施形態において、界面活性剤の濃度は、製品バルク組成物の総重量、(すなわち、本発明の製剤組成物と、安定化されるペプチドまたはタンパク質と、注射投与のための滅菌済み溶媒との総重量に基づき0.5mg/g以下である。この滅菌済み溶媒は、典型的には、水または等張食塩液である。本発明のさらなる一実施形態において、界面活性剤の濃度は、製品バルク組成物の総重量に基づき0.1mg/gと0.3mg/gとの間である。本発明のさらなる一実施形態において、用いられる界面活性剤は、ポリソルベート80であり、その濃度は製品バルク組成物の総重量に基づき0.2mg/gである。
【0049】
本願における「製品バルク組成物」との語は、個々の投与ユニットに組成物を充填する前に存在している組成物をいう。
【0050】
本発明の一実施形態において、用いられる親水性ポリマーはヒアルロン酸であり、用いられる界面活性剤はポリソルベート80である。
【0051】
本発明のさらなる一実施形態において、用いられる親水性ポリマーはヒアルロン酸であり、用いられる界面活性剤はポリソルベート20である。
【0052】
本発明のさらなる一実施形態において、用いられる親水性ポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)であり、用いられる界面活性剤はポリソルベート80である。
【0053】
本発明の製剤は、安定化タンパク質を含まない。
【0054】
本発明の意味における「安定化タンパク質を含まない」との用語は、活性ペプチドまたはタンパク質を安定させるペプチドまたはタンパク質を含まない製剤のことをいう。 そのような生理非活性添加剤についての、非限定的な例は、ヒト血清アルブミン(HSA)、ゼラチン、または、ヒスチジン、リジン、メチオニンといったアミノ酸、または、免疫グロブリンである。
【0055】
タンパク質、ペプチドまたはこれらの混合物を安定させるために、本発明の製剤が用いられる。
【0056】
本発明は、また、前記の製剤と、活性薬物とからなる組成物に関し、この活性薬物は、タンパク質またはペプチドであって、天然に存在するものであるか、または、改変もしくは合成されたもの、または、これらの混合物であり得る。
【0057】
本願で用いる「安定な組成物」との用語は、室温で相対湿度60%にて4週間保存した際に、タンパク質またはペプチドが、凍結乾燥後の計測値、すなわち保存前の計測値と比べて、物理的及び化学的な安定性、及び、完全性を、50%まで、60%まで、70%まで、80%まで、そして90%まで保持する組成物について用いる。
【0058】
他の実施形態において、本発明における該組成物は、室温で相対湿度60%にて少なくとも6ヵ月間保存した際に、タンパク質またはペプチドが、凍結乾燥後の計測値、すなわち保存前の計測値と比べて、物理的及び化学的な安定性、及び、完全性を、50%まで、60%まで、70%まで、80%まで、そして90%まで保持するように構成された組成物である。
【0059】
さらに他の実施形態において、本発明における該組成物は、室温で相対湿度60%にて少なくとも12ヵ月間保存した際に、タンパク質またはペプチドが、凍結乾燥後の計測値、すなわち保存前の計測値と比べて、物理的及び化学的な安定性、及び、完全性を、50%まで、60%まで、70%まで、80%まで、そして90%まで保持するように構成された組成物である。
【0060】
生物活性に関して、「安定な組成物」は、次のような組成物をいう。すなわち、生物的に活性な神経毒成分が医薬組成物中に組み込まれる前に有していた生物学的活性の、約20%より大きい、約30%より大きい、約40%より大きい、約50%より大きい、約60%より大きい、約70%より大きい、約80%より大きい、約90%より大きい、そして、約100%までの毒性を、水に溶かして戻された医薬組成物中、または、医薬組成物の水溶液が有する組成物をいう。
【0061】
「室温」の語は、米国薬局方に定義された20〜25℃(68〜77oF)を指す。
【0062】
本発明において、「相対湿度」もまた、特定の温度にて、空気が保持できる最大量の水蒸気に対する、空気中の水蒸気量の比率を百分率で表したものを意味する。
【0063】
本発明の一態様において、前記組成物は、凍結乾燥された形態にて、25℃で相対湿度60%の条件で7ヵ月の間安定である。本発明の他の一態様において、前記組成物は、凍結乾燥された形にて、25℃で相対湿度60%の条件で3ヵ月の間安定である。本発明のさらなる他の一態様において、前記組成物は、凍結乾燥された形にて、25℃で相対湿度60%の条件で2ヵ月の間安定である。本発明の別の一態様において、前記組成物は、凍結乾燥された形にて、25℃で相対湿度60%の条件で1ヵ月の間安定である。
【0064】
本発明の他の一態様において、前記組成物は、凍結乾燥された形態にて、40℃で相対湿度60%の条件で7ヵ月の間安定である。本発明の他の一態様において、前記組成物は、凍結乾燥された形にて、40℃で相対湿度60%の条件で3ヵ月の間安定である。本発明のさらなる他の一態様において、前記組成物は、凍結乾燥された形にて、40℃で相対湿度60%の条件で2ヵ月の間安定である。本発明の別の一態様において、前記組成物は、凍結乾燥された形にて、40℃で相対湿度60%の条件で1ヵ月の間安定である。
【0065】
本発明の一実施形態において、該安定性は、タンパク質安定性の指標として、時間の関数としての、凝集の度合いを測定することによって、測定される。他の一実施形態において、タンパク質組成物の安定性は、当業者に知られた分析方法を用い、無傷のタンパク質を計測することにより測定することができる。例えばタンパク質切断により、細胞ベースの分析を行うことができる。別の一実施形態において、マウス半横隔膜アッセイ(HDAアッセイ)を用いて測定された。本発明の一実施形態において、HDAアッセイが本願請求の対象の組成物についての安定性を決定するのに用いられる。結果は、HDAアッセイにて測定された力価として表示される。
【0066】
ゲシェルら(Goeschel et al)により規定されたように、HDAアッセイが行われる。("Botulinum Toxin Therapy: Neutralizing and Nonneutralizing Antibodies - Therapeutic Consequences"(「ボツリヌス毒素療法:中和及び非中和抗体−治療結果」) Experimental Neurology, 1997; 147: 96-102)。
【0067】
本発明は、さらには、前記製剤と、ペプチド、タンパク質、またはこれらの混合物とからなる組成物に関する。ここで、ペプチド、タンパク質、またはこれらの混合物は、天然に存在するものか、改変されたものか、または人工合成のものである。改変は、化学修飾を含む。例えば、グリコシル化、アセチル化、アシル化などである。このような化学修飾は、例えば、タンパク質の取り込みまたは安定化に有益であり得る。しかしながら、タンパク質のポリペプチド鎖については、上記に代えて、または、上記に加えて、1つ以上のアミノ酸残基の付加、置換または欠失により、改変を行い得る。
【0068】
「ペプチド」の語は、本発明の意味において、アルファアミノ酸が規定された順に繋ぎ合わされることにより形成された短いポリマーのことをいう。
【0069】
本願で用いられる「タンパク質」の語は、隣接するアミノ酸残基のカルボキシル基とアミノ基との間のペプチド結合によって繋ぎ合わされて、直鎖に配列されたアミノ酸の化合物に関する。「タンパク質」の語は、「ポリペプチド」の語と同義に用いられる。本発明によるタンパク質は、人工的な合成物であって良く、天然に存在するものであっても良い。
【0070】
本願の請求の範囲の対象であるところの配合組成における、活性のタンパク質またはペプチドは、天然に存在するものか、改変されたものか、または人工合成のものである。
【0071】
「人工タンパク質」の語は、本発明の意味において、改変されたタンパク質のことをいう。「改変されたタンパク質」の語は、例えば化学修飾、欠失などの、当業者に知られている全ての行い得る改変を包含する。
【0072】
「天然に存在する」との語は、本発明の意味において、哺乳類生物の生体中に天然に存在するタンパク質をまたはペプチドのことをいう。
【0073】
本発明の一実施形態において、前記タンパク質は、以下からなるグループより選ばれる。すなわち、毒素、コンドロイチン、エラスチン、アクチン、ミオシン、アプロチニン、成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質(LDL、IDL、VLDL、VHDL、HDL)、アポリポタンパク質(ApoA-1、ApoA-ll、ApoAIV、ApoC-l、ApoC-ll、ApoC-lll、ApoD、ApoE)、α-1アンチトリプシン、インスリン、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、オキシトシン、バソプレシン、リュープロリド酢酸塩、ソマトスタチン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、凝固因子、反凝固因子、プラスミノーゲン活性化因子、ヒトマクロファージ炎症性タンパク、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、リウマチ因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子-β(NGF-β)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、TGF-β5)、エリスロポエチン、インターロイキン(IL-10、IL-1)、骨形成タンパク質(BMP)、副甲状腺ホルモン、DNAse、カチオン性フェリチン、インターフェロン(α、β、γ)、及び、これらの混合物からなるグループより選ばれる。
【0074】
本発明の他の実施形態において、上記タンパク質は毒素である。本発明のさらなる実施形態において、前記毒素は、ボツリヌス毒素、ジフテリア毒素または破傷風毒素、または、これらのうちの2つ以上についての混合物である。
【0075】
本発明の一実施形態において、上記組成物中のタンパク質はボツリヌス毒素である。
【0076】
本発明のさらなる一実施形態において、前記ボツリヌス毒素は、タイプA、タイプB、タイプC、タイプC1、タイプD、タイプ E、タイプFおよびタイプGからなるグループより選ばれる。本発明の他の実施形態において、前記ボツリヌス毒素はタイプAである。本発明のさらなる一実施形態において、前記タンパク質は、ボツリヌス毒素タイプAの神経毒成分である。
【0077】
本願の全体にわたって用いられる「ボツリヌス毒素」の語は、他のクロストリジウム属のタンパク質を欠いた神経毒成分のことをいうが、「ボツリヌス毒素複合体」のこともいう。「ボツリヌス毒素」の語は、毒素複合体と神経毒成分との区別が必要でないか望まない場合に用いられる。「BoNT」または「NT」は、一般に用いられる略語である。
【0078】
ボツリヌス毒素複合体の「神経毒成分」は、当初は、セロタイプAの場合に約150 kDaの分子量を有する単一のポリペプチド鎖として形成される。他のセロタイプでは、神経毒成分が、細菌源によって約145kDaと約170kDaの間で変化することが認められた。セロタイプAの場合には、例えば、ポリペプチドにタンパク質切断の処理を施すことで、重鎖と軽鎖からなりジスルフィド結合によって繋ぎ合わされた二鎖ポリペプチドの形態の活性化されたポリペプチドとなる。ヒトでは、重鎖が、前シナプスのコリン作動性神経末端への結合、及び細胞内部への毒素の移行を行わせる作用を行う。「神経毒成分」の語は、さらにボツリヌス菌(Clostridium botulinum)の他のセロタイプで見られる機能相同体をも含む。本発明の一実施形態において、神経毒成分は、他のボツリヌス菌タンパク質を欠いており、例えば、RNAをも欠いている。これは、潜在的に神経毒成分に関係しているかも知れないものである。神経毒成分は、約150kDaの単一鎖の前駆タンパク質か、または、タンパク質分解処理を受けた神経毒性分であって、一つ以上のジスルフィド結合で繋ぎ合わされた約50kDaの軽鎖(Lc)及び約100kDaの重鎖(Hc)からなるものであり得る。総説としては、Simpson LL, Ann Rev Pharmacol Toxicol. 2004; 44:167-93を参照されたい。ヒトでは、重鎖が、前シナプスのコリン作動性神経末端への結合、及び細胞内部への毒素の移行を行わせる作用を行う。軽鎖は、毒作用の原因をなすものと考えられており、亜鉛エンドペプチターゼとして働き、膜融合の原因となる特定のタンパク質(SNAREタンパク質複合体)を切断すると考えられている。例えばMontecucco C, Shiavo G., Rosetto O: The mechanism of action of tetanus and Botulinum neurotoxins. Arch Toxicol. 1996; 18 (Suppl.): 342-354。
【0079】
本出願書類において、ボツリヌス毒素複合体の神経毒性のサブユニットは、「神経毒成分」または「複合体をなすタンパク質を有しない神経毒成分」と呼ばれる。ボツリヌス毒素タイプA及びBの神経毒成分の生産については、例えば国際特許出願のWO 00/74703に記載されている。
【0080】
さらなる実施形態において、ボツリヌス毒素はボツリヌス毒素タイプAである。一実施形態において、前記ボツリヌス毒素は、複合体をなすいかなるタンパク質をも含まないもの(神経毒成分)である。別の一実施形態において、純粋な神経毒成分のセロタイプAである。変位及び欠失を含む、改変ないしは組み換えにより生産された、ボツリヌス毒素の神経毒成分も、本発明の範囲内である。また、適した変異体に関して、WO 2006/027207A1、WO 2009/015840A1、WO 2006/114308A1及びEP 08015287.9が引用される。これら文献は、引用によって本願に組み込まれる。また、本発明内の範囲内において、神経毒成分の形態または組み換え型の形態、または両方の形態の、種々のセロタイプの混合物を用い得る。例えばタイプA及びBのボツリヌス神経毒素の混合物を用い得る。本発明は、さらに、化学修飾された毒素(例えばボツリヌス毒素)にも関連している。この化学修飾は、例えば、PEG(ポリエチレングリコール)化、グリコシル化、サルフェート化、またはその他の改変であり、特には、表面に露出するか、または溶媒にさらされる一つ以上のアミノ酸についてのものである。このようなボツリヌス毒素は、例えばEP 08015288.7、及び、本願に記載された先行技術文献中に示されている。
【0081】
本発明が教示するところによると、薬物が、神経毒成分以外にはボツリヌス毒素複合体に存在するタンパク質を含まないというものも包含する。
【0082】
ボツリヌス毒素(好ましくは、ここで述べた神経毒成分)は、唯一の有効成分であっても良く、また、他の医薬有効成分を含んでいても良い。
【0083】
一実施形態において、上記組成物が凍結乾燥される。
【0084】
本発明の一実施形態において、液体組成物は、凍結乾燥用バイアルびんに注ぎ込んでから、凍結乾燥することができる。サンプルの凍結乾燥は、サンプルを−350℃から−65℃の温度にて、1〜10時間、例えば5〜10時間凍結することにより行われる。このステップに引き続いて、第1段階の乾燥を、−300℃から100℃の棚温度(例えば−20℃から10℃、または5℃から10℃)にて、100mTorrから200mTorrの圧力で、10時間から25時間行う。最後に、サンプルについて、凍結乾燥の最後のステップである第2段階の乾燥を行う。例えば、150℃から250℃の棚温度で5時間から15時間の間行う。凍結乾燥用バイアルびん中のサンプルの容量は、0.1mLから5mLの間で変化し、例えば、0.2mLから1mLの間、または0.4mLから0.6mLの間、または0.5mLである。一実施形態において、サンプルの容量は、2 mlから4mLの間である。
【0085】
本発明のさらなる一実施形態において、凍結乾燥プロセスは、−250℃の棚温度にて約2時間サンプルを凍結し、この後、第1段階の乾燥を、−250℃の温度にて90mTorrで12時間行う。そして、第2段階の乾燥を、250℃の棚温度で、12.5時間行う。
【0086】
一実施形態において、注射投与可能な溶液(注射剤)が、特許請求の範囲の対象である上記の組成物を含む。
【0087】
ここでの、特許請求の範囲の対象である注射剤は、2〜8℃の温度で24時間安定している。
【0088】
一実施形態において、前記注射剤は、前記の凍結乾燥された組成物を、哺乳類生物に投与する前に、製剤学的に許容可能な滅菌溶剤に溶かして戻すことにより得られる。
【0089】
さらなる一実施形態において、本発明は、静脈内、皮下、筋肉内、関節内、腹腔内、脳脊髄内、心臓内、髄こう内、膀胱内、骨内、硝子体内、硬膜外、滑膜嚢内への投与のための仕様を有する、前記の注射投与可能な溶液を製造する方法に関する。前記の方法は、本件の請求の範囲の対象である前記の凍結乾燥された組成物を、投与の前に、製剤学的に許容可能な滅菌溶剤に溶解するステップを含む。
【0090】
本発明の他の実施形態において、前記の注射投与可能な溶液は、他の投与ルートによっても投与される。そのような投与ルートは、吸入投与、経口投与及び{ HYPERLINK "http://ejje.weblio.jp/content/%E9%BC%BB%E5%99%B4%E6%8A%95%E4%B8%8E" \o "鼻噴投与の英語" ,鼻噴投与}であるが、これらに限定されるわけでない。このような用法の例は、本件の請求の範囲に記載されたような注射投与可能な溶液の形態で、α-1アンチトリプシンをCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者に吸入させることであるが、これに限定されるわけでない。
【0091】
本件請求の範囲に記載の前記組成物は、薬物、化粧品、薬用化粧品または診断薬として用いられる。
【0092】
本件出願で用いられる「薬物」の語は、哺乳類生物に投与されて、治療及び/または診断(これらの少なくとも一方)の結果をもたらし、投与前に混合されるか、または、順次に用いられるかもしれない、製品、または製品の混合物のことをいう。
【0093】
本件出願で用いられる「化粧品」の語は、化粧の目的に用いられる製品に関連する。本件出願で用いられる「化粧品」の語は、米国の連邦食品医薬品化粧品法(Food, Drug, and Cosmetic Act)のセクション201(i)にて、「洗浄、美化、魅力の向上または容姿の変更のために、人体の表面に、塗布するか、浴びせるか、散布するか、スプレーするか、または、人体中に取り入れられるか、または、他の方法にて用いられることを意図する」製品のことをいう。
【0094】
本件出願で用いられる「診断薬」の語は、診断テストまたは患者に対する試験を行うために患者に与えられる、いずれかの化合物を含むいずれかの製品に関連している。
【0095】
本件出願で用いられる「薬用化粧品」(cosmeceutical product)の語は、処方箋なしで買える化粧品であって、医薬としての、または、薬のような便益をも有するものに関連している。
【0096】
本発明の一実施形態において、請求の範囲の対象である製剤は、バッファーを含んでも良い。
【0097】
本件出願で用いられる「バッファー」の語は、弱酸とその共役塩基との混合物、または弱塩基とその共役酸との混合物からなる水溶液に関連している。
【0098】
本発明のさらなる一実施形態において、バッファーは、以下からなるグループより選ばれる。すなわち、リン酸緩衝液(リン酸塩バッファー)、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ギ酸塩緩衝液、安息香酸塩緩衝液、TRISバッファー(トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン)、及び、マレイン酸緩衝液からからなるグループより選ばれる。前記バッファーは、USP(米国薬局方)、EP(ヨーロッパ薬局方)およびJP(日本薬局方)の仕様に即して、薬局方に適合する非生理活性添加物を用いて調製される。バッファー液は、最終製品のpHとの関連で決定される。
【0099】
本件の製剤で用いられる非生理活性添加物、及び、活性物質は、薬剤学的に許容可能なものである。
【0100】
本件出願で用いられる「薬剤学的に許容可能」の語は、いずれかの非生理活性添加物や医薬活性配合成分であって、哺乳類生物が、前記組成物を治療効果のある濃度で取り込むことができ、何らかの副作用を防止することを可能にするものに関連している。
【0101】
一態様において、本発明は、上記の製剤または組成物を含む一つまたは複数の容器と、上記の製剤または組成物の使用説明書とからなるキットに関連する。このキットは、薬剤学的に許容可能な滅菌溶剤を、オプションとして含むことができる。
【0102】
本件出願で用いられる「溶剤」の語は、他の物質もしくは物質の混合物または製品を、溶解または希釈するのに寄与するいずれの液体にも関連する。「溶剤」の語は、本発明の意味において、溶媒の混合物をも包含する。
【0103】
前記方法で用いられる、薬剤学的に許容可能な滅菌溶剤は、注射用蒸留水(WFI)、等張の食塩水、リンゲル液、pH緩衝液、5%グルコース水溶液であるが、これらに限定されるのでない。
【0104】
本発明のさらなる態様は、滅菌組成物に関連している。
【0105】
本件出願で用いられる「滅菌」の語は、不所望の微生物が存在しないことに関連しており、USP(米国薬局方)、EP(ヨーロッパ薬局方)およびJP(日本薬局方)に規定された規準に関連している。
【0106】
一実施形態において、上記組成物は非発熱性であり、例えば、一回の投与量あたり、1エンドトキシン・ユニット(標準測定法)より少ない量(<1EU)、好ましくは、0.1エンドトキシン・ユニット(標準測定法)より少ない量(<0.1EU)を含む。さらなる一の実施系形態において、注射剤(注射液)も、滅菌状態であって、非発熱性のものである。
【0107】
本発明の一実施形態において、前記組成物が、哺乳類生物といった脊椎動物に用いられるものである。
【0108】
本件にて規定される「脊椎動物」の語は、脊椎動物亜門に属するいずれかの生物、背骨または脊柱を備えた脊索動物と定義される。したがって、「脊椎動物」の語は、ヒト、哺乳類生物、有袋類、爬虫類、鳥類、両生類および魚類を包含する。
【0109】
本件出願にて規定される「哺乳類生物」の語は、温血性の脊椎動物であって、乳腺を含む汗腺の存在により、また、毛と、聴覚に用いられる3つの中耳骨格と、脳中の新皮質領域との存在により特徴付けられるものとして定義される。したがって、男女のヒト、犬、猫、ブタ、雌牛、馬、ロバ、羊、ヤギおよび鹿は、哺乳動物のこの定義に包含される。
【0110】
本件出願にて定義される「有袋動物」の語は、メスが、典型的には、子供をその幼少期の初期の期間中にわたって育てるための袋を有している哺乳動物として定義される。有袋動物は、繁殖特性において有胎盤哺乳類と異なる。
【0111】
本件において、「爬虫類」の語は、毛または羽毛ではなく、うろこにより覆われた皮膚を有し、空気呼吸する外温性脊椎動物として定義される。
【0112】
本件において、「鳥」の語は、卵を生む二足の温血性の脊椎動物として定義される。
【0113】
本件において、「両生類」の語は、四本足の生き物(四本足のの脊椎動物)であって、羊水性の卵を有さず、外温性で、一般に陸上で生涯の一部の時間を過ごすものとして定義される。
【0114】
本件において、「魚」の語は、水中脊椎動物であって、典型的には、外温性で、うろこで覆われており、2対の対をなすヒレと、対をなさないいくつかのヒレとを有するものとしてここに定義される。
【0115】
本件出願において、濃度値は「およそ(約)」の値で表現される。
【0116】
「およそ(約)」との語は、該数値の20%の変動幅が、該数値に付随していることを表そうとするものである。
【0117】
本発明は、さらには、前記組成物が水性組成物として調製されてから凍結乾燥されることを特徴とする前記組成物の調製方法に関する。
【0118】
凍結乾燥の前に、タンパク質またはペプチドが溶解されて水溶液となり、この水溶液が、親水性ポリマーや、多価アルコールと糖類化合物との混合物や、界面活性剤によって安定化される。溶液中でのタンパク質の安定化とは、タンパク質が、親水性ポリマー、界面活性剤、及び、多価アルコールと糖類化合物との混合物によって構成される構造によって包み込まれることを意味する。
【0119】
界面活性剤を使用することによって、親水性ポリマーの量を減らすことが可能である。トウィーン80(Tween 80;ポリソルベート80)を用いる一実施形態において、ポリビニルピロリドン(PVP)の濃度は、製品バルク組成物の総重量ベースで、150mg/gから80mg/gに低減された。このような効果により、前記組成物の工業的生産性が改善された。
【0120】
本発明の一実施形態において、前記組成物は、ボツリヌス毒素の神経毒成分を、1gの製品バルク組成物あたり約2pg(ピコグラム)から約50ng(ナノグラム)の量だけ含む。好ましい量の範囲は、1gの水当たり、それぞれ1gの製品バルク組成物あたり、2〜200 pg、200〜400pg、400〜600pg、600〜800pg、800〜1ng、1〜1.5ng、1.5〜2ng、2〜2.5ng、2.5〜3ng、3〜3.5ng、3.5〜4ng、4〜4.5ng及び4.5〜5ngである。本発明の一実施形態において、上記神経毒成分は、1ナノグラムの神経毒成分あたり、マウスLD50アッセイで決定されるところの、50〜250のLD50ユニットの生物学的活性を有する。さらなる一実施形態において、上記神経毒成分は、1ナノグラムの神経毒成分あたり、約150のLD50ユニットの生物活性を有する。
【0121】
下記には、本件出願の請求の範囲の対象である安定した組成物のいくつかの実施形態を示す。これらの実施形態において、構成成分の量は、いずれも、1gの製品バルク組成物に対する量として記載されている。
【0122】
本発明のさらなる一の実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約0.5mgのヒアルロン酸と、約15.0mgのマンニトールと、約5.0mgのスクロースと、約0.1mgのポリソルベート80とを含む。
【0123】
本発明の他の実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約1.0mgのヒアルロン酸と、約30.0mgのマンニトールと、約10.0mgのスクロースと、約0.2mgのポリソルベート80とを含む。
【0124】
本発明の他の実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約2.0mgのヒアルロン酸と、約40.0mgのマンニトールと、約10.0mgのスクロースと、約0.5mgのポリソルベート80とを含む。
【0125】
本発明の他の実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約2.0mgのヒアルロン酸と、約40.0mgのマンニトールと、約10.0mgのスクロースと、約0.2mgのポリソルベート80とを含む。
【0126】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約1.0mgのヒアルロン酸と、約40.0mgのマンニトールと、約10.0mgのスクロースと、約0.5mgのポリソルベート80とを含む。
【0127】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約1.0mgのヒアルロン酸と、約10.0mgのスクロースと、約0.2mgのポリソルベート80とを含む。
【0128】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約80.0mgのポリビニルピロリドン(PVP)と、約50mgのマンニトールと、約0.2mgのポリソルベート80とを含む。
【0129】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約80.0mgのポリビニルピロリドン(PVP)と、約50mgのマンニトールと、約0.5mgのポリソルベート80とを含む。
【0130】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約100.0mgのポリビニルピロリドン(PVP)と、約30.0mgのマンニトールと、約10.0mgのスクロースと、約0.2mgのポリソルベート80とを含む。
【0131】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約80.0mgのポリビニルピロリドン(PVP)と、約30.0mgのマンニトールと、約10.0mgのスクロースと、約0.2mgのポリソルベート80とを含む。
【0132】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約80.0mgのポリビニルピロリドン(PVP)と、約30.0mgのマンニトールと、約10.0mgのスクロースと、約0.2mgのポリソルベート80と、約10mMのリン酸塩バッファー(pH 7.4)とを含む。
【0133】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約50.0mgのポリビニルピロリドン(PVP)と、約30.0mgのマンニトールと、約10.0mgのスクロースと、約0.2mgのポリソルベート80と、約10mMのリン酸塩バッファー(pH 7.4)とを含む。
【0134】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約100.0mgのポリビニルピロリドン(PVP)と、約30.0mgのマンニトールと、約10.0mgのスクロースと、約0.5mgのポリソルベート80ととを含む。
【0135】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約100.0mgのポリビニルピロリドン(PVP)と、約50.0mgのマンニトールと、約0.2mgのポリソルベート80ととを含む。
【0136】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約100.0mgのポリビニルピロリドン(PVP)と、約50.0mgのマンニトールと、約0.5mgのポリソルベート80ととを含む。
【0137】
本発明のさらなる一実施形態において、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)のボツリヌス毒素の神経毒成分と、約150.0mgのポリビニルピロリドン(PVP)と、約30.0mgのマンニトールと、約10.0mgのスクロースと、約0.2mgのポリソルベート80ととを含む。
【0138】
本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、患者の筋肉の過活動コリン作動性神経支配または外分泌腺に関連して引き起こされる疾患または状態の処置のためのものであり、ここで、該神経毒成分は、アセチルコリンがシナプス間隙へと分泌されるのを阻害する。したがって、本件出願の請求の範囲の対象である組成物は、下記に示すもののいずれかに対して行い得る。これらのほとんどは、Dressier D (2000) (Botulinum Toxin Therapy. Thieme Verlag, Stuttgart, New York)に詳述されている。;
◇ジストニア、
・頭蓋ジストニア、
−眼瞼けいれん、
−顎口腔ジストニア
−−あご開放型、
−−あご閉鎖型、
−歯ぎしり、
−メージュ症候グループ、
−舌ジストニア、
−開眼失行、
・頸部ジストニア、
−前頸部ジストニア(antecollis)
−後頸部ジストニア(retrocollis)
−側頸部ジストニア(laterocollis)
−斜頸、
・咽頭ジストニア、
・喉頭ジストニア、
−痙攣性発声障害/内転型、
−痙攣性発声障害/外転型、
−痙攣性呼吸困難、
・四肢ジストニア、
−腕ジストニア、
−−作業課題特異性ジストニア、
−−−書痙、
−−−ミュージシャンのけいれん、
−−−ゴルファーのけいれん、
−脚ジストニア、
−−太ももの内転及び外転、
−−膝の屈曲及び伸展、
−−足首の屈曲及び伸展、
−−内反尖足変形、
−足のジストニア、
−−線条体つま先、
−−つま先の屈曲、
−−つま先の伸展、
−軸性ジストニア、
−−ピサ症候グループ、
−−ベリーダンサージストニア、
−分節性ジストニア、
−片側ジストニア、
−全身性ジストニア、
・Lubag型ジストニア、
・大脳基底核変性症のジストニア、
・Lubag型ジストニア、
・遅発性ジストニア、
・脊髄小脳失調症ジストニア、
・パーキンソン病ジストニア、
・ハンチントン病ジストニア、
・ハレルフォルデン‐スパッツ症ジストニア、
・ドーパ誘発性ジスキネジア/ドーパ誘発性ジストニア、
・遅発性ジスキネジア/遅発性ジストニア、
・発作性ジスキネジア/ジストニア、
−運動起源性、
−非運動起源性、
−動作誘発性、
◇口蓋ミオクローヌス、
◇ミオクローヌス、
◇ミオキミア、
◇硬直、
◇良性筋肉けいれん、
◇遺伝性あごけいれん、
◇奇異性筋肉痙攣
◇片側咀嚼痙攣、
◇肥大性鰓ミオパチー、
◇Maseteric肥大症、
◇脛骨前部肥大症、
◇眼振、
◇動揺視、
◇多汗症、
◇核上性注視麻痺、
◇持続性部分てんかん、
◇痙性斜頸動作、
◇予定痙性斜頸動作、
◇転声帯麻痺、
◇不応性突然変異発声、
◇上部食道括約筋機能不全、
◇声帯肉芽腫、
◇吃音、
◇ジルドイアトゥレット症候グループ、
◇中耳ミオクローヌス、
◇保護喉頭閉鎖、
◇喉頭摘出後の音声障害、
◇保護眼瞼下垂、
◇眼瞼内反症、
◇オッディ括約筋障害、
◇疑似アカラシア、
◇非アカラシア食道運動障害、
◇膣痙、
◇術後不動、
◇振戦、
◇膀胱機能障害、
−排尿筋括約筋協調不全、
−膀胱括約筋のけいれん、
◇片側顔面けいれん、
◇神経再支配ジスキネジア、
◇化粧用、
−カラスの足、
−しかめっ面、
−顔面非対称、
−オトガイえくぼ、
◇スティッフパーソン症候グループ、
◇破傷風、
◇前立腺肥大症、
◇肥満症治療、
◇小児脳性麻痺、
◇斜視、
−混合、
−麻痺性、
−随伴性、
−網膜剥離手術後、
−白内障手術後、
−網膜剥離手術後、
−無水晶体、
−筋炎性斜視、
−筋性斜視、
−交代性上斜位、
−斜視手術の補助として、
−内斜視、
−外斜視、
◇アカラシア、
◇肛門亀裂、
◇外分泌腺の亢進、
−フレイ症候グループ、
−ワニの涙症候グループ、
−多汗症、
−−腋窩、
−−掌、
−−足裏、
◇鼻漏、
◇比較的唾液分泌過多、
−発作中、
−パーキンソン病中、
−筋萎縮性側索硬化症中、
◇けいれん症、
−脳炎及び脊髄炎で、
−−自己免疫性プロセス、
−−−多発性硬化症、
−−−横断性脊髄炎、
−−−Devic症候グループ、
−−ウイルス感染、
−−細菌感染、
−−寄生虫感染、
−−真菌感染、
−遺伝性痙攣不全対麻痺で、
−脳卒中後症候グループ、
−−片側梗塞、
−−脳幹梗塞、
−−脊髄梗塞、
−中枢神経系外傷で、
−−片側梗塞、
−−脳幹梗塞、
−−脊髄梗塞、
−中枢神経系出血で、
−−脳内出血、
−−くも膜下出血、
−−硬膜下出血、
−腫瘍で、
−−片側腫瘍、
−−脳幹腫瘍、
−−脊髄腫瘍。
【0139】
他の実施形態において、本発明は、以下よりなるキットに関する。すなわち、前記の製剤または組成物を含む一つまたは2つ以上の容器と、上記の製剤または組成物の使用説明書とからなるキットに関連する。このキットは、場合によっては、薬剤学的に許容可能な滅菌溶剤さらに含む。適した容器は、単一のバイアルびん、二室バイアルびん、一回使用用の注射器または二室注射器であるが、これらに限定されない。容器は、医薬製剤、診断薬、化粧品または薬用化粧品の投与に適した、ガラスまたはプラスチックといった種々の材料から形成することができるが、これらに限定するものでない。前記キットは、一回のみの使用、または、多数回の使用に適したものであり得る。
【0140】
以下において、本発明の説明を、下記の実施例に関連して行う。これら実施例は実例を示す目的でのみ与えられるものであり、本発明がこれらの実施例に限定されると解すべきでなく、ここで与えられた開示の結果として明らかとなった、あらゆる変形、全ての変形を包含すると解釈すべきである。以下の材料及び方法が、下記の実施例との関連で与えられるが、本発明によって包含される材料と方法論の多様性を制限するものでない。
【実施例】
【0141】
ボツリヌス毒素タイプAの安定な組成物を見つけるべく研究が行われた。各組成物は、ボツリヌス毒素タイプAの神経毒成分を1.6ナノグラム以下(≦1.6ng)含む。選別用製剤の組成は、下記の表にまとめられており、ここで、量は、1gの製品バルク組成物あたりのmgとして与えられている。
【表1】

【表2】

【表3】

【0142】
製剤の安定性は、ゲシェルら(Goeschel et al)によって規定されたHDAアッセイを用いて決定された。("Botulinum Toxin Therapy: Neutralizing and Nonneutralizing Antibodies - Therapeutic Consequences"(「ボツリヌス毒素療法:中和及び非中和抗体−治療結果」) Experimental Neurology, 1997; 147: 96-102)。スタート値は凍結乾燥の後に測定された。4つの実験の全部の平均を算出し、参照材料によって得られたデータと比較する。貯蔵期間にわたる麻痺時間の変化は、神経毒製剤の安定性について示している。すなわち、サンプルの麻痺時間が、当初の値と比較して増加することは、神経毒の活性の損失を示すものである。
【0143】
結果は、最初の筋肉収縮力の半分に達するのに必要な時間を分で表わす。半分にする時間が、より短いことは、活性な毒素の量が、より多いことを表す。結果は以下のように解釈することができる。基本的に、本発明にしたがう製剤は、必要な成分の一つが欠けている比較例の製剤に比べて、より安定である。
【0144】
このことは、比較製剤1から明らかとなっている。スクロースなしに、活性の毒素を有する製剤を調製することができる。しかしながら、急速に活性が緩まって行き、解ける、その活動、そのようなもの、40℃で相対湿度75%にて3か月以内に、毒素の活性は著しく低減される。比較製剤2は次のことを示す。凍結乾燥後に直ちに測定した138という高いスタート値から知られるように、界面活性剤がないと、既に製剤の調製中にも、毒素は、活性が顕著に緩まる。比較製剤3は次のことを示す。96の高いスタート値から明らかになっているように、親水性ポリマーがないと、製剤の調製中にも、毒素は、活性が顕著に緩まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 親水性ポリマー、
(b) 多価アルコールと糖類化合物との、重量比が2:1〜5:1(wt-%)の混合物、及び
(c) 界面活性剤
からなり、安定化タンパク質を含まないことを特徴とする製剤。
【請求項2】
親水性ポリマーは、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、N-ビニルピロリドンの共重合体、セルロース誘導体、デキストラン、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG/PPGブロック共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸のホモポリマー及び共重合体、ポリウレタン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、無水マレイン酸系共重合体、ポリエステル類、ビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリカルボン酸、ポリアミド類、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン、及び、これらの混合物よりなるグループから選択され、セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒドロキシエチル・セルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチル・セルロースからなるグループより選択されることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記多価アルコールが、マンニトール、イノシトール、ラクチトール、イソマルト、キシリトール、エリスリトール及びソルビトールよりなるグループから選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
前記糖類化合物が、単糖類化合物、二糖類化合物、多糖類化合物、及びその混合物からなるグループより選ばれる請求項1〜3のいずれかに記載の製剤。
【請求項5】
前記界面活性剤が、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤及び陽イオン界面活性剤からなるグループより選ばれる請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
タンパク質、ペプチドまたはその混合物を安定させるための、請求項1〜5のいずれかに記載の製剤からなる安定化剤。
【請求項7】
タンパク質、ペプチドまたはその混合物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製剤。
【請求項8】
凍結乾燥されたことを特徴とする請求項1〜5及び7のいずれかに記載の製剤。
【請求項9】
毒素、コンドロイチン、エラスチン、アクチン、ミオシン、アプロチニン、成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質(LDL、IDL、VLDL、VHDL、HDL)、アポリポタンパク質(ApoA-1、ApoA-ll、ApoAIV、ApoC-l、ApoC-ll、ApoC-lll、ApoD、ApoE)、α-1アンチトリプシン、インスリン、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、オキシトシン、バソプレシン、リュープロリド酢酸塩、ソマトスタチン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、凝固因子、反凝固因子、プラスミノーゲン活性化因子、ヒトマクロファージ炎症性タンパク、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、リウマチ因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子-β(NGF-β)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、TGF-β5)、エリスロポエチン、インターロイキン(IL-10、IL-1)、骨形成タンパク質(BMP)、副甲状腺ホルモン、DNAse、カチオン性フェリチン、インターフェロン(α、β、γ)、及び、これらの混合物からなるグループより選ばれるタンパク質を含むことを特徴とする請求項1〜5及び8のいずれかに記載の製剤。
【請求項10】
ボツリヌス毒素、ジフテリア毒素、破傷風毒素及びその混合物からなるグループより選ばれるタンパク質を含むことを特徴とする請求項1〜5及び8のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
ボツリヌス毒素、ヒアルロン酸、マンニトール、スクロース及びポリソルベート80を含んでおり、これらに加えて注射用蒸留水を含み得る請求項1〜5及び8のいずれかに記載の製剤。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれかの製剤からなる注射剤。
【請求項13】
請求項7〜11のいずれかの製剤からなる薬物、化粧品、薬用化粧品または診断薬。
【請求項14】
機能亢進性の、筋肉のコリン作動性神経支配または外分泌腺によって引き起こされるか、または、関連した病気または状態の治療に用いるための、請求項7〜11のいずれかの製剤からなる治療剤。
【請求項15】
(a) 請求項1〜14のいずれかの製剤を含む一つまたは2つ以上の容器、及び、
(b) 前記製剤についての使用説明書、並びに、場合により追加される、
(c) 薬剤学的に許容可能な滅菌溶剤
からなるキット。

【公表番号】特表2012−524035(P2012−524035A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505092(P2012−505092)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002360
【国際公開番号】WO2010/118888
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(509295413)メルツ・ファルマ・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲーアーアー (14)
【Fターム(参考)】