説明

唾液体積測定のためのインビトロの診断薬

本発明は、被分析物の検出のために口腔から唾液を捕集する方法であって、(a)口腔を清浄化し、(b)唾液捕集溶液で唾液分泌を刺激し、(c)唾液-唾液捕集溶液混合物を口腔から取り除いて容器(1)内に捕集し、(d)唾液-唾液捕集溶液混合物を、閉鎖可能な捕集器内に移す、ステップを含む、唾液を捕集する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被分析物の検出のために口腔から唾液を捕集する方法、唾液を獲得するための唾液捕集溶液、体液のための容器であって、それぞれが外側と内側とを有する底部と蓋部とから成っており、該蓋部内には、凹部として形成された切欠きが配置されており、該切欠き内には、該蓋部の外側に位置する捕集器透過装置から成る移送装置と、該蓋部の内側に位置する、2つの端部を備えた突起とが配置されている形式の、体液のための容器、生物学的検体に向いた内側を有する、例えば血液のような体液を収容するための閉鎖可能な捕集器、生理学的唾液の組成を模倣する唾液模造溶液、唾液体積を定量化するための較正溶液、唾液を獲得するための試験キット、及びこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床化学的パラメータを測定して分析するために、ヒトの医療においても獣医学においても、主として血液が使用される。しかしながら、被験者の状態を反映する他の体液も存在する。これらの体液は入手し易さが異なる。
【0003】
血液の検査材料としての欠点は、マトリックスが複雑なこと、利用可能性が制限されていること、検体獲得のために専門家が必要であり、ひいては時間が多くかかること、そして患者に痛みやストレスの負担がかかること、である。
【0004】
唾液は専ら、3つの大唾液腺及び数多くの小唾液腺によって生成され、そして主として口腔内に放出される。検体獲得時には、腺によってのみ形成され、そして一般に対応導管から取り出される腺唾液と、口腔に由来する混合唾液とを区別しなければならない。腺唾液は先ず第一に、所定の種類の腺及び輸送現象の生理学及び病理学にかかわる学術研究のために必要なものであるのに対して、混合唾液は主として、血液成分の逆推論を可能にする診断上の日常的な検査の際に使用することができる。
【0005】
唾液は、一連の被分析物測定のための、容易に且つストレスなしに獲得される検体材料である。唾液検査は特に、数多くの病気を診断及び治療コントロールするための価値の高い手段である。視野にあるのは、タンパク質、ホルモン、物質交換代謝物、電解質、及び種々の薬剤である。
【0006】
唾液の使用は、臨床化学的な診断のための一連の利点を提供する。被験者には、血液の代わりに唾液を使用すると、数多くの種々異なる利点がもたらされる。
【0007】
被験者の負担がより少ないことは、ストレスがほとんどない検体採取が可能であることを意味する。従って、唾液診断は特に、視床下部-下垂体-副腎軸が所定の役割を演じる全ての研究にとって興味深いものである。静脈穿刺を繰り返し行うと、多くの動態機能試験の応答を隠ぺいするおそれがあることが一般に知られている。
【0008】
さらに唾液診断は、頻繁な検体採取と結びつく全ての研究、例えばバイオリズムの把握、排卵モニタリング及び治療モニタリングにとって魅力的である。
【0009】
さらに、被験者にとっては、人為的な貧血、感染及び血栓のおそれが血液採取時よりも少ない。
【0010】
唾液の使用の更なる利点は、検体採取時の費用が安い一方、人員の面から見ても、費用が全体として比較的安くてすむことである。それというのも、熟練した医師又は看護師を投入する必要がないからである。唾液はそれどころか、被験者自身によって獲得し、続いて適宜の専門検査室に送付することができる。
【0011】
診断に関しても、唾液の使用のいくつかの利点、例えばタンパク質結合されていない血漿画分を反映すること、細胞の濃度比を反映すること、脂質による容積押退け効果がないこと、及び、いくつかの薬剤において唾液濃度と薬理効果との相関関係がより良好であること、がもたらされる。
【0012】
覚醒状態では24時間のあいだに約1000 mlの量で常に唾液が生成され、また口腔全体にわたって唾液を容易に放出することができるにもかかわらず、実際には、特に高齢の患者の場合、唾液を獲得する際に問題が生じるおそれもある。
【0013】
従来技術において、唾液を獲得するいくつかの方法もしくは装置がすでに知られている。
【0014】
唾液流は最も簡単な場合、咀嚼運動によって引き起こされる。しかしながら多くの条件下、例えば、特に朝の覚醒後における透析患者、高齢の被験者という条件下において、この刺激では十分ではない。
【0015】
さらに別の方法は、Salivette(登録商標)を用いた唾液捕集である。この方法では、唾液の獲得はコットンロールを噛むことにより行われる。唾液獲得のためには、完全吸収済のコットンロールをSalivette吊り下げ容器内に差し込み、そして遠心分離する。この無色透明の唾液は、分析のために利用される。固形担体、例えば綿が唾液獲得時に使用される場合、被検出物質が、使用される材料によって吸着されるか否かを試験しなければならない。このことは特に薬剤の検出時に極めて重要である。
【0016】
唾液流は、機械的な刺激、例えば咀嚼運動によって引き起こすこともできる。標準化された大きさのゴム又はパラフィンワックスが投与され、被験者は所定の時間にわたって、1分当たり例えば70回の咀嚼運動という速度でこれを噛まなくてはならず、咀嚼運動のリズムはメトロノームによって監視することができ、また1〜2分後に、口腔内で豊富になった唾液が捕集される。
【0017】
混合唾液を獲得するために、唾液吐出法を使用することもできる。このような方法の場合、口腔内に集められた唾液が容易に吐出される。この動作は所定の時間インターバルを置いて複数回にわたって繰り返すことができる。
【0018】
別の唾液獲得方法は、口腔からの吸取り法である。この方法の場合、吸引装置を介して、口腔内に集められた唾液が、予め規定された時間にわたって吸取られる。
【0019】
さらに、口腔内に集められた唾液は、液滴として外に出すことにより容易に検体容器内に捕集することができる。
【0020】
しかし、前に挙げた全ての唾液獲得方法に共通して欠点がある。すなわち、唾液流が少ない患者もしくは人物の場合、極めてわずかな唾液量しか捕集することができず、獲得したものを再現することができず、体積はほとんど定量化することができず、ひいては診断における使用には問題をはらむ。
【発明の開示】
【0021】
本発明の課題は、唾液を再現可能に取り出して定量化するための個々の構成部分もしくは方法を、さらなる分析目的のために利用可能にすることである。
【0022】
本発明の課題は、被分析物の検出のために口腔から唾液を捕集する方法であって、(a)口腔を清浄化し、(b)唾液捕集溶液で唾液分泌を刺激し、(c)唾液-唾液捕集溶液混合物を口腔から取り除いて容器内に捕集し、(d)唾液-唾液捕集溶液混合物を閉鎖可能な捕集器内に移すステップを含む方法、唾液捕集溶液であって、味覚刺激特性を有する薬剤、指示薬及び/又は試薬、及び水から成る唾液捕集溶液、容器であって、容器の組み合わされた状態で、移送装置の突起の底部寄り端部が、底部から最大3 mmの間隔を有している容器、閉鎖可能な捕集器であって、安定化もしくは保存のための試剤と、体液もしくはその成分を脱溶媒和するための試剤とを含む溶液が含有されている閉鎖可能な捕集器、唾液模造溶液であって、ナトリウム、カリウム、もしくはカルシウムの化合物、ヒト血清アルブミン、尿素、及び水が含有されている唾液模造溶液、較正溶液であって、唾液捕集溶液及び/又は唾液模造溶液、及びアジ化ナトリウム、安息香酸カリウム、及び/又はチメロサール(Thimerosal)(登録商標)から成る較正溶液、試験キットであって、唾液捕集溶液と容器とから成る試験キット、及びこれらの使用、によってそれぞれ独立して解決される。この場合、標準化可能な方法及び標準化可能な構成部分によって、獲得された唾液の分析の再現可能性及び信頼性が高められるという利点を有することが明らかである。分析ステップの1つにおいて、もしくは、使用される構成部分の1つにおいて固相担体が省かれることにより、被検出物質が吸着されることがないという利点を有することがさらに明らかである。良好な再現特性により、本発明は経過のコントロールのためにも使用することができる。この場合複数の唾液検体が必要である。また、被験者間の変動は、よりわずかである。
【0023】
味覚刺激特性を有する唾液捕集溶液によって、唾液の分泌が高められ、これにより、より多量の唾液を分析のために利用することができ、また、複数の採取唾液の変動が低く保たれる。
【0024】
唾液-唾液捕集溶液混合物が、容器内に又は容器に一体に組み入れられた移送装置を介して、閉鎖可能な捕集器内に移され、検体と、分析実施者との間の接触が必要でなく、これにより感染リスクが著しく低減されると有利であることが明らかである。
【0025】
唾液-唾液捕集溶液混合物から容器内の濾過装置を介して粒子状成分を除去することにより、被分析物に影響を与えるおそれのある粒子も、分析自体を妨害するおそれのある粒子も、早期に排除される。
【0026】
保存特性及び還元特性を有する溶液を備えた、閉鎖可能な捕集器を使用することにより、一方では唾液-唾液捕集溶液混合物の安定性が改善され、他方では、引き続き行われる分析に不都合な影響を及ぼすおそれのある種々様々なタンパク質、例えば糖タンパク質の、例えば遠心分離による排除が改善される。
【0027】
較正溶液が使用されると有利であり、これにより、唾液体積の定量化も、唾液体積から測定される被分析物の定量化も可能になる。
【0028】
唾液-唾液捕集溶液混合物の指示薬及び/又は試薬の濃度及び/又は吸光度と、取り出し前の該唾液中に存在する指示薬及び/又は試薬の濃度及び/又は吸光度とを比較することにより、被験者が例えば食事などによって唾液獲得直前に摂取した不都合な成分による分析結果の誤りを有利に阻止することができる。
【0029】
排気された捕集器内に存在する唾液-唾液捕集溶液混合物を遠心分離し、場合によっては予め混合することにより、不都合な成分が沈殿物中に移動し、そして透明な上澄みを、再現可能な結果を得るために使用することができる。
【0030】
唾液-唾液捕集溶液混合物が分析のために使用されると有利であることが明らかであり、これにより、入手し易い検体材料を分析することができる。
【0031】
分析は標準化された検査室用測定装置内で実施することができ、これにより、多くの手間のかかる装置も、装置の操作のための特殊技能を有する人物も必要でなくなる。
【0032】
味覚刺激特性を有する薬剤が、リン酸、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸を含む、無機及び/又は有機の食品用酸及び/又はこれらの塩又はこれらの混合物から成る群から選択されており、これにより、被験者は、場合によっては誤飲されるおそれのある唾液捕集溶液によって危険に曝されることはない。
【0033】
味覚刺激特性を有する薬剤が、作用物質、例えばピロカルピンであり、これによって、適合性がすでに千回も試験され評価されている、既に市販の医薬品を使用することができる。
【0034】
味覚刺激特性を有する薬剤の濃度が、0.0005 %、特に0.01 %、好ましくは1 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは2%の上限とを有する範囲から選択されている。選択された濃度によって、唾液流が最適に引き起こされ、しかも被験者に対して危険が及ぼされることはない。
【0035】
また、指示薬として色素が含有されていると有利であることが明らかであり、これにより、唾液-唾液捕集溶液混合物の簡単な視覚的検出が可能である。
【0036】
色素は水溶性であり、これにより、唾液捕集溶液を容易に、ひいては低廉に製造することができる。
【0037】
色素は好ましくは黄色をもたらし、そしてタルトラジン、クルクミン、サフラン、キノリンイエロー、サンセットイエローFCF、イエローオレンジS、コチニル、カルミン酸、カルミン、カロチン、もしくはこれらの混合物を含む群から選択されており、これにより、獲得された唾液-唾液捕集溶液混合物は、検査室もしくは診療所で既に利用可能な装置を用いて測定することができる。
【0038】
リボフラビン、リボフラビン-5'-ホスフェート、クロロフィル及びクロロフィリン、クロロフィル及びクロロフィリンの銅含有複合体、カラメル、単純カラメル、亜硫酸塩浸出液-カラメル、アンモニア-カラメル、亜硫酸アンモニウム-カラメル、木炭、トウガラシ抽出物、カプサイシン、カプソルビン、ビートレッド、ベタニン、アントシアン、酸化鉄及び水酸化鉄、アゾルビン、カルモイシン、ポンソー4R、コチニルレッドA、アルラレッドAC、パテントブルーV、インディゴチン、インディゴカルミン、ブリリアントブルーFCF、グリーンS、ブリリアントブラックBN、ブラックPN、ブラウンHT、リコピン、ベータ-アポ-8'-カロチナール(C30)、ベータ-アポ-8'-カロチン酸(C30)-エチルエステル、ルテイン、メイラード結合から生じる物質、及び/又はこれらの混合物を含む群から、色素を選択することもできる。これにより、多数の種々異なる色を得ることができ、これにより色コード化が可能になる。
【0039】
色素の濃度が、0.0001 %、特に0.005 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5 %の上限とを有する範囲から選択されている。これにより、唾液捕集溶液の製造時における色素のコストを極めて低く保つことができる。
【0040】
医療品、及び/又はインビトロの診断薬、もしくは薬学的物質として試薬を使用する場合、支障がないことが臨床試験で既に評価された物質、もしくは、生理学的状態及び病理的状態に関する情報を提供するのに役立つ物質が使用されると有利であることが明らかである。
【0041】
日常的に使用される検査室用測定装置で検出することができる試薬が添加されると有利であり、これにより、いずれの通常の検査室でも分析を行うことができる。
試薬として、ビリルビン、アセトアミノフェン、酸ホスファターゼ、アルブミン、クレアチニン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アンモニア、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、非抱合型及び抱合型ビリルビン、尿素、カルシウム、重炭酸塩、コリンエステラーゼ、LDLもしくはHDLコレステリン、リゾチーム、アミラーゼ、クレアチンキナーゼ、クレアチンキナーゼ-MB、塩化物、カルバマゼピン、クレアチニン、C-反応性タンパク質、直接ビリルビン、ジゴキシン、二酸化炭素、鉄、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ、グルコース、磁性HDL-コレステリン試剤、カリウム、乳酸塩、乳酸デヒドロゲナーゼ、リチウム、リパーゼ、無機化合物、例えば微量元素、鉱物物質、例えばマグネシウム、ナトリウム、新生児ビリルビン、フェノバルビタール、燐光体、フェニトイン、プリミドン、液タンパク質、サリチル酸塩、総ビリルビン、テオフィリン、総鉄結合能用試剤、総タンパク質、トリグリセリド、尿中タンパク、尿酸、β-ミクログロブリン、コルチコステロイド結合グロブリンもしくは性ホルモン結合グロブリン、チオシアン酸塩、トランスフェリン、種々の脂質、リポタンパク質、タンパク質、炭水化物、特に水溶性炭水化物、ビタミン、特に水溶性ビタミン、例えばB、C及びF群のビタミン、無機化合物、例えば微量元素、鉱物物質、ホルモン、例えばアルドステロン、アンドロステンジオン、コルチゾール、ジヒドロエピアンドロステロン、もしくはジヒドロエピアンドロステロン-スルフェート、エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、テストステロン、もしくはこれらの混合物を含む群から選択された1つ以上の代表が添加されており、これにより、食品法によって認可を受けた薬剤、ひいてはその作用が支障ないものとして既に格付けされた薬剤が、唾液捕集溶液の製造のために使用される。
【0042】
試薬の濃度が、0.0000000001 %、特に0.00005 %、好ましくは0.001 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは2%の上限とを有する範囲から選択されている。これにより生理学的に支障のない濃度が使用される。
【0043】
別の構成において、芳香剤及び/又は味強化剤を添加することができる。これにより、唾液捕集溶液の味を改善することができ、ひいては、唾液流を付加的に引き起こすことができ、また分泌された唾液の容積が高められる。
【0044】
芳香剤が、糖類もしくは砂糖代用物質、例えばサッカロース、マルトース、フルクトース、及び/又は甘味料、例えばサッカリン、アスパルテーム、及び/又はこれらの混合物から成る群から選択されている。これにより、一方では、糖尿病でない者は慣れた味を放棄せずに済み、他方では糖尿病患者も、この唾液捕集溶液で支障なくうがいすることができ、のみ込んだ場合にインスリン・ショックをおそれなくても済む。
【0045】
天然及び/又は合成起源の芳香剤及び/又は味強化剤が、果実、例えばリンゴ、ラズベリー、サクランボ、イチゴ、シトロン、レモン、オレンジ、カンゾウ、薬草、キニーネ、カフェイン、テイン、もしくはこれらの混合物を含む群から選択されている。これにより、人が既にそれに対して条件付けされており、ひいては好ましい感覚もしくは味覚経験と結び付けるような物質が使用される。
【0046】
芳香剤及び/又は味強化剤の濃度が、0.001 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは1%の上限とを有する範囲から選択されている。これにより、最適な味調和を行うことができ、ひいては、唾液捕集溶液に対する容認度が高まる。
【0047】
pH値が、3、好ましくは3.5、特に4の下限と、6、好ましくは5、特に4.5の上限とを有する範囲から選択されている。これにより、唾液分泌が最適に引き起こされ、加えてpH値が下がり、すなわち、血漿中のpH値に近付き、ひいては示される変動が小さくなる。
【0048】
底部に向いた端部の間隔が、0.1 mm、特に0.5 mm、好ましくは1 mmの下限と、3 mm、特に2 mm、好ましくは1.5 mmの上限とを有する範囲から選択されている。これにより、極めてわずかな体積をなおも移すことができ、ひいては、わずかな唾液-唾液捕集溶液混合物でも、高価値の分析をなおも実施することができる。
【0049】
容器の別の構成の場合、移送装置の手前又は移送装置内に、濾過装置が配置されるようになっている。これにより分析を妨げる粒子が除去される。
【0050】
濾過装置は、グラスウール、綿、濾紙、フォームラバー、再生セルロース、セルローストリアセテート、ナイロン、ニトロセルロース、ポリビニルジフルオリド(PVDF)、PVP、ポリエーテルスルホネートを含む群から選択された材料から形成されている。これらの材料は、生物学的検体のための極めて良好な濾過特性を有している。
【0051】
別の実施態様の場合、濾過装置は膜の形態で配置されている。これにより、膜は直接的に移送装置内に一体に組み込むことができ、また膜の配置のための付加的な空間は全く、もしくは最小限にしか必要とならない。
【0052】
濾過装置の孔サイズが、1 μm、特に10 μm、好ましくは20 μmの下限と、100 μm、特に60 μm、好ましくは50 μmの上限とを有する範囲から選択されていると有利である。これにより一方では、唾液-唾液捕集溶液混合物の汚染性粒子の大部分が排除され、他方では、目詰まりのおそれのない貫流が保証される。
【0053】
安定化もしくは保存のための試剤は、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、アジ化ナトリウム、及び/又はチメロサール(登録商標)であってよい。これにより、唾液-唾液捕集溶液混合物を長時間にわたって保管することができ、しかもこの場合、細菌又は酵素の作用によって被分析物の耐久性が脅かされることはない。
【0054】
安息香酸カリウムもしくはソルビン酸カリウムの濃度は、0.05 %、特に0.1 %、好ましくは1 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは2 %の上限とを有する範囲から選択されており、そしてアジ化ナトリウムもしくはチメロサール(登録商標)の濃度は、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、1 %、特に0.5 %、好ましくは0.2%の上限とを有する範囲から選択されている。これにより、所望の効果、つまり安定化もしくは保存のための最良の作用が達成される。
【0055】
脱溶媒和のための試剤が、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び/又は塩化カルシウムである。これにより、例えばタンパク質、特に糖タンパク質及びプロテオグリカンの表面特性を変化させ、これらのタンパク質はこれにより、遠心分離によって排除することができ、続いて行われる分析を妨害することはない。
【0056】
脱溶媒和のための試剤の濃度は、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5%の上限とを有する範囲から選択されている。これにより、なるほど還元効果が発生するものの、分析を誤るおそれのあるような被分析物の変化が生じることはない。
【0057】
溶液の体積は、5 μl、特に20 μl、好ましくは30 μlの下限と、500 μl、特に100 μl、好ましくは50 μlの上限とを有する範囲から選択されている。9.5 ml捕集器の内側の最適な被膜を得ることができる。
【0058】
別の構成において、捕集器の内側に溶液が噴霧されており、場合によっては、内側が乾燥させられている。これにより、総体積が変化することはなく、ひいては唾液量の誤差のない定量化が可能になる。
【0059】
また、捕集器が排気されていると有利であることも明らかである。なぜならば、唾液-唾液捕集溶液混合物が容器から捕集器内へ自動的に移され、ひいては、検体獲得又は分析を実施する人が危険に曝されることがないからである。
【0060】
唾液模造溶液のナトリウム、カリウム、もしくはカルシウムの化合物の濃度は、0.001 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、20 %、特に10 %、好ましくは5 %の上限とを有する範囲から選択されており、ヒト血清アルブミンの濃度は、0.001 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に2.5 %、好ましくは1 %の上限とを有する範囲から選択されており、尿素の濃度は、0.0005 %、特に0.001 %、好ましくは0.01 %の下限と、2 %、特に1 %、好ましくは0.5 %の上限とを有する範囲から選択されている。これにより唾液の生理学的濃度が模倣され、そしてこれにより天然の唾液との比較が可能になる。
【0061】
別の構成において、0.000001 %、特に0.00001 %、好ましくは0.0001 %の下限と、0.1 %、特に0.01 %、好ましくは0.005 %の上限とを有する範囲の濃度でラクトフェリンが選択されている。これにより、天然の唾液中で検出することができる別の成分が含有され、これにより再現可能性が高められる。
【0062】
加えて、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5 %の上限とを有する範囲から選択された濃度のゼラチンが含有されていてよい。これにより、やはり唾液の天然組成が模倣される。
【0063】
唾液模造溶液のpH値が、5、好ましくは5.5、特に6の下限と、7.5、好ましくは7、特に6.5の上限とを有する範囲から選択されている。このようにすると、定量化の最適化を達成することができる。
【0064】
較正溶液において、唾液捕集溶液と、唾液模造溶液とが、ほぼ反比例する比を成して含有されている。これにより定量化が可能である。
【0065】
唾液捕集溶液及び唾液模造溶液の体積が、それぞれ所定の勾配を成して含有されていてよい。これにより、定量化が可能になる。
【0066】
アジ化ナトリウム、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、及び/又はチメロサール(登録商標)の濃度が、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5%の上限とを有する範囲から選択されている。このようにすると、溶液の耐久性を長くすることができる。
【0067】
試験キットは有利には唾液捕集溶液と容器とを含有する。これにより、被験者は医療専門家なしで、唾液検体を獲得することができる。
【0068】
試験キット内の閉鎖可能な捕集器によって、検体を発送することが可能になる。
【0069】
試験キット内の唾液模造溶液及び/又は1種以上の較正溶液が、唾液体積の定量化を可能にする。
【0070】
試験キットの別の構成において、1つ以上のマイクロタイター・プレート、キュベット及び/又は使用説明書が含まれている。これにより、一方では、標準化された検査室用測定装置を評価のために使用することができ、他方では、専門家でなくても定量化を実施することができる。
【0071】
始めに念のために述べておくが、記載の種々異なる実施態様において、同一の部分は、同じ符号もしくは同じ構成部分記号を有する。説明全体の中に含まれる開示内容は、同じ符号もしくは同じ構成部分記号を有する同じ部分に、意味に即して適用することができる。また、説明中に言及された位置の記述、例えば上、下、側方などは、図面に直接に記載され示されたものに関連しており、位置が変わったときには新しい位置に意味に即して適用される。さらに、図示され説明された種々異なる実施例の個々の特徴又は特徴の組み合わせは、それら自体で独立した、又は本発明の、又は本発明による解決手段となることも可能である。
【0072】
本発明は唾液もしくは体積の捕集・定量化方法を記述する。さらに、そのために必要となる個々の構成部分についても記述する。
【0073】
以下に、唾液捕集システムの個々の構成部分について説明する。なお、いずれの構成部分もそれ自体、すでに1つの発明である。
【0074】
唾液捕集溶液は、1種以上の味覚刺激剤、指示薬及び/又は試薬、及び水から成っている。唾液捕集溶液は、唾液分泌を引き起こすために役立つ。味覚刺激剤は、無機及び/又は有機の食品用酸及び/又はこれらの塩又はこれらの混合物から形成される。有機食品用酸として、リン酸、乳酸などを使用することができる。有利にはクエン酸が使用される。無機及び/又は有機の食品用酸、例えばリン酸の代わりに、又はこれに加えて、唾液分泌を引き起こすための作用物質、例えばピロカルピンを使用することもできる。既に述べた無機及び/又は有機の食品用酸から、その塩、例えばナトリウム塩もしくはカリウム塩を使用することもできる。
【0075】
味覚刺激特性を有する薬剤の濃度が、0.0005 %、特に0.01 %、好ましくは1 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは2%の上限とを有する範囲から選択されていてよい。
【0076】
さらに唾液捕集溶液は、有利には色素から形成された指示薬及び/又は試薬を含有する。色素全体は、要綱94/36/EGに基づいてそれぞれ有効な解釈において考えられる。有利な実施態様の場合、水溶性で黄色をもたらす色素が使用される。黄色をもたらす色素として、タルトラジン、クルクミン、サフラン、キノリンイエロー、サンセットイエローFCF、イエローオレンジS、コチニル、カルミン酸、カルミン、カロチン、もしくはこれらの混合物が利用される。
【0077】
もちろん、唾液捕集溶液の他の色を生じさせる色素、例えばリボフラビン、リボフラビン-5'-ホスフェート、クロロフィル及びクロロフィリン、クロロフィル及びクロロフィリンの銅含有複合体、カラメル、単純カラメル、亜硫酸塩浸出液-カラメル、アンモニア-カラメル、亜硫酸アンモニウム-カラメル、木炭、トウガラシ抽出物、カプサイシン、カプソルビン、ビートレッド、ベタニン、アントシアン、酸化鉄及び水酸化鉄、アゾルビン、カルモイシン、ポンソー4R、コチニルレッドA、アルラレッドAC、パテントブルーV、インディゴチン、インディゴカルミン、ブリリアントブルーFCF、グリーンS、ブリリアントブラックBN、ブラックPN、ブラウンHT、リコピン、ベータ-アポ-8'-カロチナール(C30)、ベータ-アポ-8'-カロチン酸(C30)-エチルエステル、ルテイン、メイラード結合から生じる物質、及び/又はこれらの混合物を使用することもできる。
【0078】
色素の濃度は、0.0001 %、特に0.005 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5 %の上限とを有する範囲から選択されている。これにより、例えば光度測定により検出できる唾液捕集溶液色が確実にもたらされる。
【0079】
唾液捕集溶液中に使用される色素の濃度とは無関係に、さらに、予め定義された波長における唾液捕集溶液の吸光度が測定される。
【0080】
指示薬とは別に、もしくは指示薬に加えて、唾液捕集溶液の試薬を添加することもできる。
【0081】
試薬として使用するために、医療品(それぞれ有効な解釈において要綱93/42/EWGに基づく)、インビトロの診断薬(それぞれ有効な解釈において要綱98/79/EGに基づく)、及び/又は、医薬品、特に支障のないことが臨床試験で既に評価されている物質が考えられる。試薬としては、要綱95/2/EGに基づいて、色素もしくは甘味料としてではなく、食品として定義された物質が使用されてもよい。
【0082】
試薬としては、ビリルビン、アセトアミノフェン、酸ホスファターゼ、アルブミン、クレアチニン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アンモニア、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、非抱合型及び抱合型ビリルビン、尿素、カルシウム、重炭酸塩、コリンエステラーゼ、LDLもしくはHDLコレステリン、リゾチーム、アミラーゼ、クレアチンキナーゼ、クレアチンキナーゼ-MB、塩化物、カルバマゼピン、クレアチニン、C-反応性タンパク質、直接ビリルビン、ジゴキシン、二酸化炭素、鉄、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ、グルコース、磁性HDL-コレステリン試剤、カリウム、乳酸塩、乳酸デヒドロゲナーゼ、リチウム、リパーゼ、無機化合物、例えば微量元素、鉱物物質、例えばマグネシウム、ナトリウム、新生児ビリルビン、フェノバルビタール、燐光体、フェニトイン、プリミドン、液タンパク質、サリチル酸塩、総ビリルビン、テオフィリン、総鉄結合能用試剤、総タンパク質、トリグリセリド、尿中タンパク、尿酸、β-ミクログロブリン、コルチコステロイド結合グロブリンもしくは性ホルモン結合グロブリン、チオシアン酸塩、トランスフェリン、種々の脂質、リポタンパク質、タンパク質、炭水化物、特に水溶性炭水化物、ビタミン、特に水溶性ビタミン、例えばB、C及びF群のビタミン、無機化合物、例えば微量元素、鉱物物質、ホルモン、例えばアルドステロン、アンドロステンジオン、コルチゾール、ジヒドロエピアンドロステロン、もしくはジヒドロエピアンドロステロン-スルフェート、エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、テストステロン、もしくはこれらの混合物が利用可能である。
【0083】
試薬の濃度は、0.0000000001 %、特に0.00005 %、好ましくは0.001 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは2%の上限とを有する範囲から選択されている、
【0084】
唾液捕集溶液の別の構成において、例えばクエン酸の味を強くするか又は唾液捕集溶液に甘みを提供する芳香剤及び/又は味強化剤を添加することもできる。このことは例えば、糖類もしくは砂糖代用物質、例えばサッカロース、マルトース、フルクトース、及び/又は甘味料、例えばサッカリン、アスパルテーム、及び/又はこれらの混合物によって達成することができる。甘味料としては、要綱94/35/EGに基づいてそれぞれ有効な解釈において物質全体を使用することができる。
【0085】
唾液捕集溶液の味を改善するために、リンゴ、ラズベリー、サクランボ、イチゴ、シトロン、レモン、オレンジ、カンゾウ、薬草、キニーネ、カフェイン、テイン、もしくはこれらの混合物の味を模倣する、天然起源及び合成起源の芳香剤及び/又は味強化剤を添加することもできる。
【0086】
芳香剤及び/又は味強化剤の濃度は、0.001 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは1%の上限とを有する範囲から選択されている。
【0087】
唾液捕集溶液のpH値は、3、好ましくは3.5、特に4の下限と、6、好ましくは5、特に4.5の上限とを有する範囲から選択されている。
【0088】
汚染を回避するために、唾液捕集溶液は従来技術においてよく知られた方法、例えば滅菌濾過又はオートクレーブ処理によって滅菌され、場合によっては続いてアリコートされる。唾液捕集溶液は耐破損性容器内に満たされ、そして気密に閉鎖される。有利には、唾液捕集溶液はさらに遮光された状態で保管される。
【0089】
口腔をすすぐための唾液捕集溶液の体積は、0.5 ml、好ましくは1 ml、特に2 mlの下限と、10 ml、好ましくは7 ml、特に5 mlの上限とを有する範囲から選択される。特に好ましい、口腔をすすぐための唾液捕集溶液の容積は、4 mlであることが判った。唾液捕集溶液による口腔のすすぎは、もちろん複数回繰り返すことができる。唾液捕集溶液による口腔のすすぎの前に、例えば水でうがいすることにより、口腔の粘膜を清浄化することができる。場合によっては生じる分析の誤りを回避するために、唾液捕集溶液による口腔のすすぎの前に、約30〜60分の時間にわたって食物も飲物も摂取しないことが有利であることも明らかである。このような誤りをも排除可能にするために、唾液の取り出し前に被験者の口腔内に存在する指示薬もしくは試薬の濃度を測定することが可能であり、このことは更なる分析において、例えば補正ファクターによって考慮することができる。
【0090】
唾液捕集溶液は、20秒、好ましくは30秒、特に45秒の下限と、10分、好ましくは4分、特に3分の上限とを有する範囲から選択された時間にわたって、口腔内にそのままにしておく。口腔内の唾液捕集溶液の保持時間は、1〜2分が特に有利であることが判っている。
【0091】
唾液と唾液捕集溶液とからこうして得られた混合物、又はそのアリコートは今や分析のために直接に使用するか、又は遠心分離し、そして従来技術において知られている計器分析、湿式化学分析又は免疫分析の方法によって上澄みを測定することができる。
【0092】
有利には、唾液-唾液捕集溶液混合物は容器1内に捕集され、そしてさらに処理され、そして容積の定量化もしくは分析が後で初めて実施される。
【0093】
唾液捕集溶液の組成のいくつかの例を以下に挙げる。ここで念のため述べておくが、本発明による唾液捕集溶液が下記例に限定されることはない。
【0094】
【表1】

【0095】
クエン酸二水素ナトリウムもしくはクエン酸ナトリウム三塩基性モノクエン酸塩の代わりにそれぞれ、そのカリウムもしくはカルシウムの化合物を使用することもできる。
【0096】
別の実施態様の場合、添加された色素の量は、唾液捕集溶液の光学濃度(吸光度)を測定することにより検出される。例えば吸光度2が目標値とされ、相応量の所望の色素、例えばタルトラジンを添加することにより、この目標値が達成される。唾液捕集溶液の光学濃度の目標値は、1.0、好ましくは1.2、特に1.5の下限と、2.8、好ましくは2.6、特に2.4の上限とを有する範囲から選択されている。
【0097】
唾液捕集溶液中のタルトラジンの濃度は、1 mg/l、好ましくは10 mg/l、特に50 mg/lの下限と、500 mg/l、特に250 mg/l、好ましくは100 mg/lの上限とを有する範囲から選択される。タルトラジンの濃度は、50 mg/lであると特に有利であることが明らかである。
光学濃度(OD)、その同義語である吸光度を測定するために、380 nm、好ましくは400 nm、特に420 nmの下限と、800 nm、680 nm、特に560 nmの上限とを有する範囲から選択された波長を使用することができる。タルトラジンを有する唾液捕集溶液の光学濃度は有利には波長450 nmで測定される。
【0098】
上に挙げた例において既に示したように、唾液捕集溶液の別の実施態様において、色素の代わりに、又は色素に加えて、試薬、例えばグルコースを添加することができる。唾液捕集溶液中のグルコースの濃度は、1 g/l、好ましくは2 g/l、特に3 g/lの下限と、12 g/l、好ましくは10 g/l、特に8 g/lの上限とを有する範囲から選択される。唾液捕集溶液中のグルコースの濃度は、4 g/lであると特に有利であることが明らかである。
【0099】
唾液捕集溶液の組成物中に使用された指示薬及び/又は試薬に応じて、この溶液は従って、医療品もしくは医薬品のカテゴリーにも、食品のカテゴリーにも入れることができる。
【0100】
図1に示した図面によって、容器1の発明を以下に説明する。
【0101】
図1の容器1は、それぞれが内側4と外側5とを有する底部2と蓋部3とから成っており、底部2は、ほぼ円筒形の鉢状部分を形成する。
【0102】
底部2は有利にはプラスチック、特にポリプロピレンから形成されている。もちろん底部2は他の材料、例えばポリスチロール、ポリエチレンから形成することもできる。
【0103】
蓋部3もやはり、プラスチック、有利にはポリエチレンから成っており、そして着色されていてよく、もしくは有色プラスチックから製造することができる。
【0104】
さらに、蓋部3内には、凹部を形成する切欠き6が位置しており、切欠き内には、蓋部3の外側5に位置する捕集器透過装置8から成る移送装置7と、蓋部3の内側4に位置する、2つの端部、すなわち上端部10及び下端部11を備えた概ねホース状の突起9とが配置されている。透過装置8、例えばニードルは、移送装置7の、蓋部3の外側5に向いた側に配置されている。容器1の内側4に向いた側には、概ねホース状の突起9が円筒形の管の形態で形成されている。有利にはやはりプラスチック、特にポリプロピレンから形成されたホース状突起9と、透過装置8との間には、ねじ山又は差込み結合部が位置しており、これにより、蓋部3の切欠き6に固定することができる。底部と蓋部とから成る上述の容器1は、従来技術、例えばGreiner Bio-One社のVacuette(登録商標)-尿容器において知られている。
【0105】
容器1の本発明による実施態様の場合、ホース状の突起9の下端部11と、底部2の内側4の底との間隔12は、0.1 mm、特に0.5 mm、好ましくは1 mmの下限と、3 mm、特に2 mm、好ましくは1.5 mmの上限とを有する範囲から選択されている。間隔12が1 mmであると特に有利であることが明らかである。ホース状の突起9の下端部11と、容器1の底部2の底との間の間隔12が小さいと、これは特に、体液、例えば尿、唾液-唾液捕集溶液混合物などのわずかな容積もしくは残留容積をも、容器1からホース状突起9を介して取り出すのに役立つ。唾液の分析において部分的には、感染性の被分析物も検出されるので、人によって容器1からの取り出しを行うことなしに、検体を新しい器内に直接に移すことができることも有利である。
【0106】
容器1の別の構成において、濾過装置13が配置されている。濾過装置13は、一体に組み込まれた移送装置7の領域内に配置され、また、例えば透過装置8と移送装置7のホース状突起9との間に位置決めすることができる。別の実施態様の場合、濾過装置13は、ホース状突起9に前置されており、もしくは、ホース状突起9の途中に配置されている。濾過装置13を通って、唾液-唾液捕集溶液混合物の粒子状構成部分が濾過により除去される。
【0107】
濾過装置13は、種々異なる材料、例えばグラスウール、綿、濾紙、フォームラバー、再生セルロース、セルローストリアセテート、ナイロン、ニトロセルロース、ポリビニルジフルオリド(PVDF)、PVP、ポリエーテルスルホネートから成ることが可能である。好ましい実施態様の場合、濾過装置13はセルローストリアセテートから形成される。
【0108】
濾過装置13の別の構成の場合、濾過装置13は移行装置7の領域内に、特に透過装置8とホース状突起9との間に、膜の形態で配置されている。
【0109】
濾過装置13の孔サイズが、1 μm、特に10 μm、好ましくは20 μmの下限と、100 μm、特に60 μm、好ましくは50 μmの上限とを有する範囲から選択されている。孔サイズは30 μm〜40 μmであると特に有利であることが明らかである。
【0110】
透過装置を介して、唾液-唾液捕集溶液混合物を新しい器に移すことができる。これには、従来技術において知られている、排気された捕集器が適している。排気された捕集器は例えば、Greiner Bio-One社によってVacuette(登録商標)の商品名で、又はBecton Dickinson社によってVacutainer(登録商標)の商品名で市販されている。排気された捕集器を使用することによって、唾液-唾液捕集溶液混合物は容器1から自動的に捕集器内に移される。
【0111】
本発明による捕集器は溶液を含有し、この溶液は、例えば安息香酸カリウム、アジ化ナトリウム、及び/又はチメロサール(登録商標)によって保存特性及び安定化特性を溶液に付与し、しかも例えば硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、及び/又は塩化カルシウムによって脱溶媒和を可能にする試薬から成る。この場合、水和膜の還元、ひいてはタンパク質、特に糖タンパク質もしくはプロテオグリカンの表面特性の変化が生じる。不都合なタンパク質は、これにより、遠心分離過程中に排除することができるのに対して、続いて行われる分析において測定されるようになっている他の物質は上澄み中に留まる。
【0112】
安息香酸カリウムの濃度は、0.05 %、特に0.1 %、好ましくは1 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは2 %の上限とを有する範囲から選択され、アジ化ナトリウムもしくはThimerosal(登録商標)の濃度は、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、1 %、特に0.5 %、好ましくは0.2%の上限とを有する範囲から選択され、脱溶媒和のための試剤の濃度は、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5%の上限とを有する範囲から選択されている。
【0113】
捕集器内に位置する溶液の考えられ得る組成を以下に挙げる。このような列挙は本発明にとって限定的ではないものとする。
【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
好ましくは、上記成分の選択を維持する溶液を、排気された捕集器の内側に噴霧することにより、一方では捕集器の内側の均一な被膜を達成し、他方では捕集器内に含有された試薬の体積、ひいては濃度を変化させることはない。
【0117】
好ましい実施態様の場合、排気型捕集器に噴霧するために、0.5 g/lの濃度のアジ化ナトリウムと、1.5 g/lの濃度の硫酸アンモニウムとを含む溶液から成る混合物が使用される。
【0118】
約10 mlの収容能力を有する排気型捕集器の内側に噴霧するために、5 μl、好ましくは10 μl、特に20 μlの下限と、100 μl、好ましくは80 μl、特に50 μlの上限とを有する範囲から選択された溶液の体積が使用される。もちろん、収容容積がより小さい又は大きい捕集器が使用される場合には、溶液の量もそれに対応して増減される。
【0119】
別の構成において、溶液が噴霧された捕集器の内側は、乾燥させることもできる。
【0120】
さらに、溶液は乾燥状態でも捕集器内に充填され、これにより、捕集器内に含有された液体の体積に影響が及ぼされることはない。
【0121】
もちろん、この分野の当業者にとって、他の試薬、すなわち表面の性質を変化させることにより細胞成分、特に糖タンパク質の遠心分離を容易にし、そして保存もしくは安定化を達成することができる試薬を使用することが可能である。
【0122】
本発明によるこのような排気型捕集器は、好ましくは、容器1から唾液-唾液捕集溶液混合物を移すために使用される。
【0123】
唾液-唾液捕集溶液混合物を有する排気型捕集器は、遠心分離前に傾倒、震盪、及び/又は渦流形成させることにより、唾液-唾液捕集溶液混合物と、排気型捕集器の内側に位置する試薬とを混合させる。唾液-唾液捕集溶液混合物は、排気型捕集器内で、約1,800 gで約10分間にわたって遠心分離される。遠心分離は、粒子状構成部分が遠心分離中に沈殿物内に移動するように選択される。上澄みは、更なる分析のために利用される。上澄みからは、種々様々な多数の被分析物を測定することができる。
【0124】
排気型捕集器の上澄みは遠心分離後に、一方では直ちに捕集器内でなおも光度測定することができ、或いは他方において、上澄みを新しい器に、例えばキュベット又はマイクロタイター・プレート内に移すことができる。
【0125】
こうして得られた上澄みは今や、例えば臨床化学におけるさらに続く分析のために、又は側方流免疫アッセイのために使用することができる。
【0126】
唾液体積の定量測定のために、本発明による唾液模造溶液が使用される。唾液模造溶液は、タンパク質含有溶液である。タンパク質含有溶液は、同義語として合成唾液又は人工唾液と呼ぶこともできる。唾液模造溶液は少なくとも、ナトリウム、カリウム、もしくはカルシウムの化合物、ヒト血清アルブミン、尿素、及び水から成っている。
【0127】
ナトリウム、カリウム、もしくはカルシウムの化合物の濃度は、0.001 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、20 %、特に10 %、好ましくは5 %の上限とを有する範囲から選択され、ヒト血清アルブミンの濃度は、0.001 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に2.5 %、好ましくは1 %の上限とを有する範囲から選択され、そして尿素の濃度は、0.0005 %、特に0.001 %、好ましくは0.01 %の下限と、2 %、特に1 %、好ましくは0.5 %の上限とを有する範囲から選択されている。
【0128】
唾液模造溶液の別の構成において、ラクトフェリン及び/又はゼラチンを含有することにより、天然唾液をできる限り正確に模倣することができる。ゼラチンを溶解するために、唾液模造溶液が例えば40℃まで加熱される。
【0129】
ラクトフェリンの濃度は、0.000001 %、特に0.00001 %、好ましくは0.0001 %の下限と、0.1 %、特に0.01 %、好ましくは0.005 %の上限とを有する範囲から選択され、そしてゼラチンの濃度は、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5 %の上限とを有する範囲から選択されている。
【0130】
唾液模造溶液のpH値は、5、好ましくは5.5、特に6の下限と、7.5、好ましくは7、特に6.5の上限とを有する値である。
【0131】
溶液は、従来技術において知られている方法、例えば滅菌濾過によって滅菌され、そしてアリコートされる。
【0132】
唾液模造溶液の可能な組成は下記実施例から明らかである。なお、このような列挙は、本発明の唾液模造溶液にとって限定的ではないものとする。
【0133】
【表4】

【0134】
【表5】

【0135】
本発明の別の構成の場合、1種以上の較正溶液を製造するために、唾液模造溶液を使用することができる。
【0136】
較正溶液は少なくとも、唾液捕集溶液及び/又は唾液模造溶液、及びアジ化ナトリウム、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、及び/又はチメロサール(登録商標)から成る。
【0137】
好ましくは、較正溶液は、唾液模造溶液もしくは唾液捕集溶液の連続希釈体から成る。両方の溶液は、ほぼ反比例する比を成して存在する。連続希釈体は、x(n+1)の濃度勾配を成して提供することができる。xは、その都度使用された溶液のml数であり、そしてnは自然整数である。
【0138】
可能な1実施態様において、連続希釈体は、唾液模造溶液もしくは唾液捕集溶液の5種の異なる濃度を有する。
【0139】
アジ化ナトリウム、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、及び/又はチメロサール(登録商標)の濃度が、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5%の上限とを有する範囲から選択されている。
【0140】
この分野における当業者にとって、唾液体積の定量測定を実施可能にするために、6種以上又は4種以下の較正溶液を使用すること、もしくは連続希釈体において、唾液模造溶液と唾液捕集溶液との比を互いに変化させることももちろん可能である。
【0141】
記載された較正溶液を明らかにするために、数種の組成物を以下に例示する。これらはやはり本発明にとって限定的ではないものとする。
【0142】
【表6】

【0143】
【表7】

【0144】
獲得された唾液の正確な体積データは極めて重要である。なぜならば、これにより、続いて測定される被分析物のどのような量が、最初に取り出された生物学的検体中に存在するかを計算することができるからである。
【0145】
種々異なる指示薬、特に色素もしくは試薬を使用することにより、較正溶液は対応して異なる組成を有することも可能である。例えば、色素を有する唾液捕集溶液の他に、較正溶液としてグルコースを有する唾液捕集溶液を使用することもできる。
【0146】
記載された唾液模造溶液の代わりに、較正溶液もしくはその連続希釈体を製造するために、蒸留水を使用することもできる。しかしながら、唾液体積の定量化可能性を改善するためには、唾液模造溶液が好ましい。
【0147】
汚染を回避するために、従来技術においてよく知られている方法を用いて較正溶液が滅菌される。
【0148】
別の構成の場合、前記成分のうちの少なくともいくつかが、1つの試験キットにまとめられる。試験キットは少なくとも、唾液捕集溶液と、唾液-唾液捕集溶液混合物を収容するための容器1とを含む。試験キットには、閉鎖可能な捕集器、唾液模造溶液、較正溶液及び/又は対照溶液を補足することができる。任意には、試験キットには、標準化された検査室測定装置において評価されるマイクロタイター・プレートもしくはキュベット、及び/又は使用説明書を添付することができる。
【0149】
試験キット内に含有されるゼロ対照溶液中には、水又は唾液模造溶液が含有されている。ゼロ対照溶液は吸光度0を生じさせなければならない。正対照は水、又は、色素を有する唾液模造溶液、又は唾液捕集溶液によって形成される。正対照は、0を上回る吸光度を生じさせなければならない。
【0150】
図2には、較正溶液1〜5の、分光光度計の標準直線が示されている。1 cmキュベット内の較正溶液1〜5のそれぞれ1 mlをピペットで提供し、そして波長450 nmで標準分光光度計内で測定する。X軸には、唾液-唾液捕集溶液混合物1 ml当たりの色素単位数に相当する、検体1ミリリットル当たりの唾液体積がパーセントで示されており、Y軸には、波長450 nmにおける吸光度が示されている。
【0151】
排気型捕集器の唾液-唾液捕集溶液混合物の波長450 nmにおける光学濃度と、較正溶液1〜5とを比較して測定することによって、検体1 ml当たりの唾液の体積を今や測定することができる。
【0152】
従って、排気型捕集器の上澄みから唾液をさらに使用する場合、被分析物の測定時、特に定量測定時に、最初に獲得された唾液の量を考慮することができる。
【0153】
もちろん、本発明は人間の医療においてだけではなく、わずかな変化を加えて、例えば動物に対応する、唾液模造溶液のアルブミンを使用することにより、獣医学において適用することもできる。
【0154】
唾液の捕集方法及び試験キット、もしくは試験キットを形成する構成部分は、家庭医療分野において用いることもできる。
【実施例】
【0155】
実施例1
被験者が表に示す組成を有する2 mlの唾液捕集溶液でうがいする前に、口を蒸留水ですすぐことにより、口腔内に場合によっては存在する食べかす、又は他の不都合な成分を除去する。
【0156】
唾液捕集溶液:
【表8】

【0157】
その都度2 mlの唾液捕集溶液を用いて1分間のうがいを4回行ったあと、唾液-唾液捕集溶液混合物全体を容器1内に集める。ホース状突起9と容器1の底部2の底との間隔は、2 mmである。さらに容器1内には、ホース状突起9の領域に、グラスウールから成る濾過装置13が配置されている。濾過装置13の孔サイズは50 μmである。
【0158】
唾液-唾液捕集溶液混合物は、表に記載された溶液で被覆された排気型捕集器内に移される。
【0159】
試剤を有する溶液:
【表9】

【0160】
唾液-唾液捕集溶液混合物が含有された捕集器を渦流形成し、そして2,000 gで30分間にわたって4℃で遠心分離する。沈殿物を廃棄し、そして上澄みの光学濃度を、プレート光度計において波長480 nmで測定する。唾液-唾液捕集溶液混合物250 μlを、マイクロタイター・プレートのそれぞれ1つのウェル内にピペットで入れる。
【0161】
定量化を可能にするために、次の表に記載された組成を有する較正溶液1〜3の光学濃度を、やはり波長480 nmで並行して測定する。
【0162】
較正溶液:
【表10】

【0163】
較正溶液の製造のために使用された唾液捕集溶液は、実施例1において挙げられた組成を有し、そして唾液模造溶液は、次の表に挙げられた組成を有する。
【0164】
唾液模造溶液:
【表11】

【0165】
光度測定のために、正対照としては、濃度10 %、すなわち検体1 ml当たり0.1 mlの唾液に相当する10 U/mlの濃度を有する溶液1と、濃度90 %、すなわち検体1 ml当たり0.9 mlの唾液に相当する90 U/mlの濃度を有する溶液2とを使用する。測定された唾液体積は10 mlである。
【0166】
実施例2
被験者は、表に示す組成を有する6 mlの唾液捕集溶液でうがいする。
【0167】
唾液捕集溶液:
【表12】

【0168】
唾液捕集溶液を用いて5分間のうがいを行ったあと、唾液-唾液捕集溶液混合物を容器1内に集める。ホース状突起9と容器1の底部2の底との間隔は、0.9 mmである。さらに容器1内には、ホース状突起9の領域に、透過装置8とホース状突起9との間のニトロセルロース膜の形態で、濾過装置13が配置されている。濾過装置13の孔サイズは10 μmである。
【0169】
唾液-唾液捕集溶液混合物は、表に記載された溶液で被覆された排気型捕集器内に移される。
【0170】
試剤を有する溶液:
【表13】

【0171】
唾液-唾液捕集溶液混合物が含有された捕集器を震盪させ、そして1,500 gで1時間にわたって室温で遠心分離する。沈殿物を廃棄し、そして上澄みの光学濃度を、光度計において波長400 nmで測定する。
定量化を可能にするために、次の表に記載された組成を有する較正溶液1〜11の光学濃度を、同様に波長400 nmで並行して測定する。
【0172】
較正溶液:
【表14】

【0173】
較正溶液の製造のために使用された唾液捕集溶液は、実施例2において挙げられた組成を有し、そして唾液模造溶液は、次の表に挙げられた組成を有する。
【0174】
唾液模造溶液:
【表15】

【0175】
光度測定のために、正対照としては、検体1 ml当たりの唾液濃度50 %、すなわち検体1 ml当たり0.5 mlの唾液に相当する50 U/mlの溶液を使用する。この実施試験の、取り出された唾液体積は2 mlである。
【0176】
実施例3
被験者が表に示す組成を有する5 mlの唾液捕集溶液でうがいする前に、口を蒸留水ですすぐことにより、口腔内に場合によっては存在する食べかす、又は他の不都合な成分を除去する。
【0177】
唾液捕集溶液:
【表16】

【0178】
唾液捕集溶液を用いて3分間のうがいを行ったあと、唾液-唾液捕集溶液混合物全体を容器1内に集める。ホース状突起9と容器1の底部2の底との間隔は、3 mmである。
【0179】
唾液-唾液捕集溶液混合物は、表に記載された溶液で被覆された排気型捕集器内に移される。
【0180】
試剤を有する溶液:
【表17】

【0181】
唾液-唾液捕集溶液混合物が含有された捕集器を傾倒させ、そして2,500 gで3分間にわたって室温で遠心分離する。沈殿物を廃棄し、そして上澄みの光学濃度を、分光光度計において波長380 nmで測定する。
【0182】
定量化を可能にするために、次の表に記載された組成を有する較正溶液1〜5の光学濃度を、同様に波長450 nmで並行して測定する。
【0183】
較正溶液:
【表18】

【0184】
較正溶液の製造のために使用された唾液捕集溶液は、実施例3において挙げられた組成を有し、そして唾液模造溶液は、次の表に挙げられた組成を有する。
【0185】
唾液模造溶液:
【表19】

【0186】
酵素的光度測定のために、正対照としては、較正溶液2及び4を使用する。測定された唾液容積は6 mlである。
【0187】
実施例4
被験者が表に示す組成を有する3 mlの唾液捕集溶液でうがいする前に、口を蒸留水ですすぐことにより、口腔内に場合によっては存在する食べかす、又は他の不都合な成分を除去する。
【0188】
唾液捕集溶液:
【表20】

【0189】
唾液捕集溶液を用いて1分間のうがいを行ったあと、唾液-唾液捕集溶液混合物を容器1内に集める。ホース状突起9と容器1の底部2の底との間隔は、1 mmである。さらに容器1内には、ホース状突起9の領域に、セルローストリアセテートから成る濾過装置13が配置されている。濾過装置13の孔サイズは30 μmである。
【0190】
唾液-唾液捕集溶液混合物は、表に記載された溶液で被覆された排気型捕集器内に移される。
【0191】
試剤を有する溶液:
【表21】

【0192】
唾液-唾液捕集溶液混合物が含有された捕集器を傾倒させ、そして1,800 gで10分間にわたって室温で遠心分離する。沈殿物を廃棄し、そして上澄みの吸光度を、分光光度計において波長450 nmで測定する。
【0193】
定量化を可能にするために、次の表に記載された組成を有する較正溶液1〜5の吸光度を、同様に波長450 nmで並行して測定する。
【0194】
較正溶液:
【表22】

【0195】
較正溶液の製造のために使用された唾液捕集溶液は、実施例4において挙げられた組成を有し、そして唾液模造溶液は、次の表に挙げられた組成を有する。
【0196】
唾液模造溶液:
【表23】

【0197】
光度測定のために、2つの対照を使用する。対照1の濃度は、20 U/ml(%)であり、対照2の濃度は、60 U/ml(%)である。1 U/ml(%)は、唾液-唾液捕集溶液中0.01 mlの唾液に相当する。取り出された唾液溶液は3 mlである。
【0198】
実施例5
被験者が表に示す組成を有するその都度1.5 mlの唾液捕集溶液で4回以上うがいする前に、口を蒸留水ですすぐことにより、口腔内に場合によっては存在する食べかす、又は他の不都合な成分を除去する。
【0199】
唾液捕集溶液:
【表24】

【0200】
唾液捕集溶液を用いてその都度1分間のうがいを行ったあと、唾液-唾液捕集溶液混合物を容器1内に集める。ホース状突起9と容器1の底部2の底との間隔は、2 mmである。さらに容器1内には、ホース状突起9の領域に、綿から成る濾過装置13が配置されている。濾過装置13の孔サイズは70 μmである。
【0201】
唾液-唾液捕集溶液混合物は、表に記載された溶液で被覆された排気型捕集器内に移される。
【0202】
試剤を有する溶液:
【表25】

【0203】
唾液-唾液捕集溶液混合物が含有された捕集器を傾倒させ、そして1,500 gで20分間にわたって4℃で遠心分離する。沈殿物を廃棄し、そして上澄みの光学濃度を、分光光度計において波長420 nmで測定する。
【0204】
定量化を可能にするために、次の表に記載された組成を有する較正溶液1〜5の光学濃度を、同様に波長420 nmで並行して測定する。
【0205】
較正溶液:
【表26】

【0206】
較正溶液の製造のために使用された唾液捕集溶液は、実施例5において挙げられた組成を有し、そして唾液模造溶液は、次の表に挙げられた組成を有する。
【0207】
唾液模造溶液:
【表27】

【0208】
光度測定のために、負対照としては、前記の表に挙げられた組成の唾液模造溶液を使用し、正対照としては、較正溶液1を使用する。得られた唾液溶液は7 mlである。
【0209】
実施例6
被験者が表に示す組成を有する2 mlの唾液捕集溶液でうがいする前に、口を蒸留水ですすぐことにより、口腔内に場合によっては存在する食べかす、又は他の不都合な成分を除去する。
【0210】
唾液捕集溶液:
【表28】

【0211】
唾液捕集溶液を用いてそれぞれ1分間のうがいを行ったあと、唾液-唾液捕集溶液混合物を容器1内に集める。ホース状突起9と容器1の底部2の底との間隔は、2 mmである。さらに容器1内には、ホース状突起9の領域に、ニトロセルロースから成る濾過装置13が配置されている。濾過装置13の孔サイズは40 μmである。
【0212】
唾液-唾液捕集溶液混合物は、表に記載された溶液で被覆された排気型捕集器内に移される。
【0213】
試剤を有する溶液:
【表29】

【0214】
唾液-唾液捕集溶液混合物が含有された捕集器を傾倒させ、そして1,600 gで8分間にわたって室温で遠心分離する。沈殿物を廃棄し、そして上澄み中のテストステロンをElisaによって免疫学的に測定する。さらに、口腔を唾液捕集溶液ですすぐ前に唾液からテストステロンの濃度を測定することにより、生理学的に存在するテストステロンを考慮する。唾液中で、本発明による方法の開始前には、テストステロンを検出することはできない。
【0215】
定量化を可能にするために、次の表に記載された組成を有する較正溶液1〜5のテストステロン濃度を、Elisaによって並行して測定する。
【0216】
較正溶液:
【表30】

【0217】
較正溶液の製造のために使用された唾液捕集溶液は、実施例6において挙げられた組成を有し、そして唾液模造溶液は、次の表に挙げられた組成を有する。
【0218】
唾液模造溶液:
【表31】

【0219】
免疫学的検出のために、2つの対照が使用される。対照1の濃度は20 ng/mlであり、そして対照2の濃度は、60 ng/mlである。取り出された唾液溶液は3 mlである。
【0220】
実施例7
被験者が表に示す組成を有する3 mlの唾液捕集溶液でうがいする前に、口を蒸留水ですすぐことにより、口腔内に場合によっては存在する食べかす、又は他の不都合な成分を除去する。
【0221】
唾液捕集溶液:
【表32】

【0222】
唾液捕集溶液を用いて1分間のうがいを行ったあと、唾液-唾液捕集溶液混合物を容器1内に集める。ホース状突起9と容器1の底部2の底との間隔は、1 mmである。さらに容器1内には、ホース状突起9の領域に、セルローストリアセテートから成る濾過装置13が配置されている。濾過装置13の孔サイズは80 μmである。
【0223】
唾液-唾液捕集溶液混合物は、表に記載された溶液で被覆された排気型捕集器内に移される。
【0224】
試剤を有する溶液:
【表33】

【0225】
唾液-唾液捕集溶液混合物が含有された捕集器を傾倒させ、そして1,500 gで15分間にわたって室温で遠心分離する。沈殿物を廃棄し、そして上澄みをHPLCに供給し、装置内に組み込まれたソフトウェアによって濃度を測定する。
【0226】
定量化を可能にするために、次の表に記載された組成を有する較正溶液1〜5を、同様にHPLC内で測定する。
【0227】
較正溶液:
【表34】

【0228】
較正溶液の製造のために使用された唾液捕集溶液は、実施例7において挙げられた組成を有し、そして唾液模造溶液は、次の表に挙げられた組成を有する。
【0229】
唾液模造溶液:
【表35】

【0230】
HPLC測定のために、同様に装置の規定に基づいて、正対照を測定する。
【0231】
これらの実施例は、唾液捕集方法、唾液捕集溶液、容器、閉鎖可能な捕集器、唾液模造溶液、較正溶液、及び試験キットの考えられ得る実施変更形を示す。ここで念のため述べておくが、本発明は、具体的に示したその実施変更形に限定されるものではなく、そればかりか、個々の実施変更形の互いの種々の組み合わせも可能であり、また、この変更は、本発明の方法による技術的な取り扱いに関する教示内容に基づいて、この技術分野の当業者の能力範囲内で実現することができる。本明細書中に示した、そして説明した実施変更形の個々の詳細を組み合わせることによって可能になる、考えられ得る実施変更形全体もまた、権利保護範囲内に一緒に含まれる。
【0232】
秩序付けるために最後に指摘しておくが、容器の構造をより良く理解するために、その構成部分は部分的に寸法通りでなく、且つ/又は拡大して、且つ/又は縮小して図示されている。
【0233】
独立した本発明による手段の根底を成す課題は、明細書から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】図1は、容器を示す断面図である。
【図2】図2は、分光光度計で測定した標準直線を用いて、唾液体積の定量化結果を示す図である。
【符号の説明】
【0235】
符号のリスト
1 容器
2 底部
3 蓋部
4 内側
5 外側
6 切欠き
7 移送装置
8 透過装置
9 突起
10 端部
11 端部
12 間隔
13 濾過装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被分析物の検出のために口腔から唾液を捕集する方法であって、以下のステップ:
(a)口腔を清浄化し、
(b)唾液捕集溶液で唾液分泌を刺激し、
(c)唾液-唾液捕集溶液混合物を該口腔から取り除いて容器(1)内に捕集し、
(d)該唾液-唾液捕集溶液混合物を、閉鎖可能な捕集器内に移す、を含む、前記方法。
【請求項2】
味覚刺激特性を有する前記唾液捕集溶液によって、唾液の分泌が高められる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記唾液-唾液捕集溶液混合物が、前記容器(1)内に又は前記容器(1)に一体に組み入れられた移送装置(7)を介して、前記閉鎖可能な捕集器内に移される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記唾液-唾液捕集溶液混合物から、前記容器(1)内の濾過装置(13)を介して、粒子状成分が除去される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
保存特性及び還元特性を有する溶液を備えた、閉鎖可能な捕集器が使用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記唾液の量が定量される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記唾液の定量化が、1種以上の較正溶液を使用しながら実施される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
定量測定のために、前記唾液-唾液捕集溶液混合物の指示薬及び/又は試薬の濃度及び/又は吸光度と、取り出し前の該唾液中に存在する指示薬及び/又は試薬の濃度及び/又は吸光度とが比較される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
排気された前記捕集器内に存在する前記唾液-唾液捕集溶液混合物が遠心分離され、場合によっては予め混合される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記唾液-唾液捕集溶液混合物が分析のために使用される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
分析が、標準化された検査室用測定装置内で実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
唾液を獲得するための唾液捕集溶液であって、味覚刺激特性を有する薬剤、指示薬及び/又は試薬、及び水が添加されている、前記唾液捕集溶液。
【請求項13】
味覚刺激特性を有する前記薬剤が、無機及び/又は有機の食品用酸及び/又はこれらの塩又はこれらの混合物から成る群から選択されている、請求項12に記載の唾液捕集溶液。
【請求項14】
前記食品用酸が、リン酸、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸を含む群から選択されている、請求項13に記載の唾液捕集溶液。
【請求項15】
味覚刺激特性を有する前記薬剤が、作用物質、例えばピロカルピンである、請求項12に記載の唾液捕集溶液。
【請求項16】
味覚刺激特性を有する前記薬剤の濃度が、0.0005 %、特に0.01 %、好ましくは1 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは2%の上限とを有する範囲から選択されている、請求項12〜15のいずれか1項に記載の唾液捕集溶液。
【請求項17】
前記指示薬として色素が含有されている、請求項12〜16のいずれか1項に記載の唾液捕集溶液。
【請求項18】
前記色素が水溶性である、請求項17に記載の唾液捕集溶液。
【請求項19】
前記色素が、黄色をもたらし、そしてタルトラジン、クルクミン、サフラン、キノリンイエロー、サンセットイエローFCF、イエローオレンジS、コチニル、カルミン酸、カルミン、カロチン、もしくはこれらの混合物を含む群から選択されている、請求項17又は18に記載の唾液捕集溶液。
【請求項20】
リボフラビン、リボフラビン-5'-ホスフェート、クロロフィル及びクロロフィリン、クロロフィル及びクロロフィリンの銅含有複合体、カラメル、単純カラメル、亜硫酸塩浸出液-カラメル、アンモニア-カラメル、亜硫酸アンモニウム-カラメル、木炭、トウガラシ抽出物、カプサイシン、カプソルビン、ビートレッド、ベタニン、アントシアン、酸化鉄及び水酸化鉄、アゾルビン、カルモイシン、ポンソー4R、コチニルレッドA、アルラレッドAC、パテントブルーV、インディゴチン、インディゴカルミン、ブリリアントブルーFCF、グリーンS、ブリリアントブラックBN、ブラックPN、ブラウンHT、リコピン、ベータ-アポ-8'-カロチナール(C30)、ベータ-アポ-8'-カロチン酸(C30)-エチルエステル、ルテイン、メイラード結合から生じる物質、及び/又はこれらの混合物を含む群から、色素が選択されている、請求項17〜19でのいずれか1項に記載の唾液捕集溶液。
【請求項21】
前記色素の濃度が、0.0001 %、特に0.005 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5 %の上限とを有する範囲から選択されている、請求項17〜20のいずれか1項に記載の唾液捕集溶液。
【請求項22】
医療品、インビトロの診断薬、及び/又は医薬品として試薬が添加されている、請求項12〜16のいずれか1項に記載の唾液捕集溶液。
【請求項23】
日常的に使用される検査室用測定装置で検出することができる試薬が添加されている、請求項12〜16のいずれか1項に記載の唾液捕集溶液。
【請求項24】
試薬として、ビリルビン、アセトアミノフェン、酸ホスファターゼ、アルブミン、クレアチニン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アンモニア、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、非抱合型及び抱合型ビリルビン、尿素、カルシウム、重炭酸塩、コリンエステラーゼ、LDLもしくはHDLコレステリン、リゾチーム、アミラーゼ、クレアチンキナーゼ、クレアチンキナーゼ-MB、塩化物、カルバマゼピン、クレアチニン、C-反応性タンパク質、直接ビリルビン、ジゴキシン、二酸化炭素、鉄、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ、グルコース、磁性HDL-コレステリン試剤、カリウム、乳酸塩、乳酸デヒドロゲナーゼ、リチウム、リパーゼ、無機化合物、例えば微量元素、鉱物物質、例えばマグネシウム、ナトリウム、新生児ビリルビン、フェノバルビタール、燐光体、フェニトイン、プリミドン、液タンパク質、サリチル酸塩、総ビリルビン、テオフィリン、総鉄結合能用試剤、総タンパク質、トリグリセリド、尿中タンパク、尿酸、β-ミクログロブリン、コルチコステロイド結合グロブリンもしくは性ホルモン結合グロブリン、チオシアン酸塩、トランスフェリン、種々の脂質、リポタンパク質、タンパク質、炭水化物、特に水溶性炭水化物、ビタミン、特に水溶性ビタミン、例えばB、C及びF群のビタミン、無機化合物、例えば微量元素、鉱物物質、ホルモン、例えばアルドステロン、アンドロステンジオン、コルチゾール、ジヒドロエピアンドロステロン、もしくはジヒドロエピアンドロステロン-スルフェート、エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、テストステロン、もしくはこれらの混合物を含む群から選択された1つ以上の代表が添加されている、請求項23に記載の唾液捕集溶液。
【請求項25】
前記試薬の濃度が、0.0000000001 %、特に0.00005 %、好ましくは0.001 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは2%の上限とを有する範囲から選択されている、請求項23又は24に記載の唾液捕集溶液。
【請求項26】
芳香剤及び/又は味強化剤が添加されている、請求項12〜25のいずれか1項に記載の唾液捕集溶液。
【請求項27】
前記芳香剤が、糖類もしくは砂糖代用物質、例えばサッカロース、マルトース、フルクトース、及び/又は甘味料、例えばサッカリン、アスパルテーム、及び/又はこれらの混合物から成る群から選択されている、請求項26に記載の唾液捕集溶液。
【請求項28】
天然及び/又は合成起源の該芳香剤及び/又は味強化剤が、果実、例えばリンゴ、ラズベリー、サクランボ、イチゴ、シトロン、レモン、オレンジ、カンゾウ、薬草、キニーネ、カフェイン、テイン、もしくはこれらの混合物を含む群から選択されている、請求項26又は27に記載の唾液捕集溶液。
【請求項29】
前記芳香剤及び/又は味強化剤の濃度が、0.001 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは1%の上限とを有する範囲から選択されている、請求項26〜28のいずれか1項に記載の唾液捕集溶液。
【請求項30】
pH値が、3、好ましくは3.5、特に4の下限と、6、好ましくは5、特に4.5の上限とを有する範囲から選択されている、請求項12〜29のいずれか1項に記載の唾液捕集溶液。
【請求項31】
体液のための容器(1)であって、それぞれが外側(5)と内側(4)とを有する底部(2)と蓋部(3)とから成っており、該蓋部(3)内には、凹部として形成された切欠き(6)が配置されており、該切欠き内には、該蓋部(3)の外側(5)に位置する捕集器透過装置(8)から成る移送装置(7)と、該蓋部(3)の内側(4)に位置する、2つの端部(10,11)を備えた突起(9)とが配置されている形式のものにおいて、該容器(1)の組み合わされた状態で該底部(2)寄りの該端部(11)が、底部(2)から最大3 mmの間隔(12)を有していることを特徴とする、前記容器。
【請求項32】
前記底部(2)からの前記間隔(12)が、0.1 mm、特に0.5 mm、好ましくは1 mmの下限と、3 mm、特に2 mm、好ましくは1.5 mmの上限とを有する範囲から選択されている、請求項31に記載の容器(1)。
【請求項33】
前記移送装置(7)の手前又は該移送装置(7)内に、濾過装置(13)が配置されている、請求項31又は32に記載の容器(1)。
【請求項34】
前記濾過装置(13)が、グラスウール、綿、濾紙、フォームラバー、再生セルロース、セルローストリアセテート、ナイロン、ニトロセルロース、ポリビニルジフルオリド(PVDF)、PVP、ポリエーテルスルホネートを含む群から選択された材料から形成されている、請求項33に記載の容器(1)。
【請求項35】
前記濾過装置(13)が膜の形態で配置されている、請求項33又は34に記載の容器(1)。
【請求項36】
前記濾過装置(13)の孔サイズが、1 μm、特に10 μm、好ましくは20 μmの下限と、100 μm、特に60 μm、好ましくは50 μmの上限とを有する範囲から選択されている、請求項33〜35のいずれか1項に記載の容器(1)。
【請求項37】
生物学的検体に向いた内側を有する、例えば血液のような体液を収容するための閉鎖可能な捕集器において、安定化もしくは保存のための試剤と、体液又はその成分を脱溶媒和するための試剤とを含む溶液が含有されている、閉鎖可能な捕集器。
【請求項38】
安定化もしくは保存のための前記試剤が、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、アジ化ナトリウム、及び/又はチメロサール(Thimerosal)(登録商標)である、請求項37に記載の捕集器。
【請求項39】
安息香酸カリウムもしくはソルビン酸カリウムの濃度が、0.05 %、特に0.1 %、好ましくは1 %の下限と、10 %、特に5 %、好ましくは2 %の上限とを有する範囲から選択されている、請求項38に記載の捕集器。
【請求項40】
アジ化ナトリウムもしくはチメロサール(登録商標)の濃度が、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、1 %、特に0.5 %、好ましくは0.2%の上限とを有する範囲から選択されている、請求項38に記載の捕集器。
【請求項41】
脱溶媒和のための前記試剤が、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、及び/又は塩化カルシウムである、請求項37に記載の捕集器。
【請求項42】
脱溶媒和のための前記試剤の濃度が、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5%の上限とを有する範囲から選択されている、請求項41に記載の捕集器。
【請求項43】
前記溶液の体積が、5 μl、特に20 μl、好ましくは30 μlの下限と、500 μl、特に100 μl、好ましくは50 μlの上限とを有する範囲から選択されている、請求項37〜42のいずれか1項に記載の捕集器。
【請求項44】
前記捕集器の内側に前記溶液が噴霧されており、場合によっては、前記内側が乾燥させられている、請求項37〜43のいずれか1項に記載の捕集器。
【請求項45】
前記捕集器が排気されている、請求項37〜44のいずれか1項に記載の捕集器。
【請求項46】
生理学的唾液の組成を模倣する唾液模造溶液において、ナトリウム、カリウム、もしくはカルシウムの化合物、ヒト血清アルブミン、尿素、及び水が含有されている、前記唾液模造溶液。
【請求項47】
ナトリウム、カリウム、もしくはカルシウムの化合物の濃度が、0.001 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、20 %、特に10 %、好ましくは5 %の上限とを有する範囲から選択されている、請求項46に記載の唾液模造溶液。
【請求項48】
ヒト血清アルブミンの濃度が、0.001 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に2.5 %、好ましくは1 %の上限とを有する範囲から選択されている、請求項46に記載の唾液模造溶液。
【請求項49】
尿素の濃度が、0.0005 %、特に0.001 %、好ましくは0.01 %の下限と、2 %、特に1 %、好ましくは0.5 %の上限とを有する範囲から選択されている、請求項46に記載の唾液模造溶液。
【請求項50】
ラクトフェリンが含有されている、請求項46〜49のいずれか1項に記載の唾液模造溶液。
【請求項51】
ラクトフェリンの濃度が、0.000001 %、特に0.00001 %、好ましくは0.0001 %の下限と、0.1 %、特に0.01 %、好ましくは0.005 %の上限とを有する範囲から選択されている、請求項50に記載の唾液模造溶液。
【請求項52】
ゼラチンが含有されている、請求項46〜51のいずれか1項に記載の唾液模造溶液。
【請求項53】
ゼラチンの濃度が、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5 %の上限とを有する範囲から選択されている、請求項52に記載の唾液模造溶液。
【請求項54】
pH値が、5、好ましくは5.5、特に6の下限と、7.5、好ましくは7、特に6.5の上限とを有する範囲から選択されている、請求項46〜53のいずれか1項に記載の唾液模造溶液。
【請求項55】
唾液体積を定量化するための較正溶液であって、唾液捕集溶液及び/又は唾液模造溶液、及びアジ化ナトリウム、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、及び/又はチメロサール(登録商標)が含有されている、前記較正溶液。
【請求項56】
前記唾液捕集溶液と、前記唾液模造溶液とが、ほぼ反比例する比を成して含有されている、請求項55に記載の較正溶液。
【請求項57】
前記唾液捕集溶液及び前記唾液模造溶液の体積が、それぞれ所定の勾配を成して含有されている、請求項55又は56に記載の較正溶液。
【請求項58】
アジ化ナトリウム、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、及び/又はチメロサール(登録商標)の濃度が、0.005 %、特に0.01 %、好ましくは0.1 %の下限と、5 %、特に1 %、好ましくは0.5%の上限とを有する範囲から選択されている、請求項55〜57のいずれか1項に記載の較正溶液。
【請求項59】
唾液を獲得するための試験キットであって、請求項12〜30のいずれか1項に記載の唾液捕集溶液と、請求項31〜36のいずれか1項に記載の容器(1)とが含有されていることを特徴とする、前記試験キット。
【請求項60】
請求項37〜45のいずれか1項に記載の1つ以上の閉鎖可能な捕集器が含有されている、請求項59に記載の試験キット。
【請求項61】
請求項46〜54のいずれか1項に記載の唾液模造溶液、及び/又は請求項55〜58のいずれか1項に記載の1種以上の較正溶液が含有されている、請求項59又は60に記載の試験キット。
【請求項62】
1つ以上のマイクロタイター・プレート、キュベット及び/又は使用説明書が含まれている、請求項59〜61のいずれか1項に記載の試験キット。
【請求項63】
唾液流を刺激し、そして唾液体積を定量化するための、請求項12〜30のいずれか1項に記載の唾液捕集溶液の使用。
【請求項64】
体液、特に唾液もしくは唾液-唾液捕集溶液混合物を捕集し、そしてこれを閉鎖可能な捕集器内に移すための、請求項31〜36のいずれか1項に記載の容器(1)の使用。
【請求項65】
前記捕集器内に含有された検体、特に上澄みを遠心分離して分析するための、請求項37〜45のいずれか1項に記載の閉鎖可能な捕集器の使用。
【請求項66】
対照溶液及び/又は較正溶液を製造するための、請求項46〜54のいずれか1項に記載の唾液模造溶液の使用。
【請求項67】
唾液体積を定量化するための、請求項55〜58のいずれか1項に記載の較正溶液の使用。
【請求項68】
唾液体積を定量化するための、請求項59〜62のいずれか1項に記載の試験キットの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−516201(P2008−516201A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534961(P2007−534961)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【国際出願番号】PCT/AT2005/000389
【国際公開番号】WO2006/037140
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(500559134)グライナー バイオ−ワン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】