説明

商品包装体

【課題】商品を運搬したり、店頭等で陳列したりするときに、その商品をガタつかせることなく保持しておくことができ、また包装作業も簡単であり、店頭等での陳列効果に優れ、しかも自動製函機で作製することのできる商品包装体を提供する。
【解決手段】保持板9を折り目から裏面側に折り返して、第二糊代部10を底板4の裏面に接着させ、底板4および後板5を折り目から裏面側に巻き折りして、第一糊代部6を延長部1の裏面に接着させて筒状体Pを形成し、この筒状体Pの開放側部Paから容器Bを差し込んだ状態にして、折返し板8を折込み片12と共に折り目から底板4の裏面側に折り返し、保持板9を立ち上がらせて、この保持板9で容器Bの側面下部を保持するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、化粧品等のボトル容器入りの商品を包装するのに適した商品包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の商品包装体としては、例えば、図9、10に示したような簡易ホルダー(特許文献1)が存在する。
【0003】
前記簡易ホルダーは、後板21、底板22、前板23、天板24、糊代部25の順に折線を介してこれらを連接したものとしている。そして前記前板23の四隅、前記後板21の前記底板22側の二隅、前記糊代部25の前記天板24側のニ隅にそれぞれ斜めの折線m、m’を設けている。さらに、前記底板22と前記天板24の両端部26、26’に前記斜めの折線m、m’に連結する前記折線と直行方向の折線n、n’を設けている。
【0004】
このようにした前記簡易ホルダーは、前記糊代部25を内側にして巻き折りして、前記天板24と前記底板22、前記前板23と前記後板21がそれぞれ対向する角柱状の筒状体30を形成し、前記天板24と前記底板22の前記両端部26,26’を略90°の角度で前記筒状体30の内側にそれぞれ折り込んで係止させるようにした商品保持手段を構成したものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−7130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に示された商品包装体では、保持する商品Cの四隅が図10に示されたように直角であれば、その商品Cを運搬したり、店頭等で陳列したりするときにも、前記したような商品保持手段で、その商品Cをガタつかせることなく保持しておくことができる。
【0007】
しかしながら、保持する商品Cがボトルなどの容器入りで有る場合には、その容器の四隅が直角でない場合や、その容器の側面上部や側面下部が内側に入り込んでいる場合がある。このような場合、前記従来の商品包装体では、その商品Cの側面下部をしっかりと保持しておくことができず、商品Cを運搬したり、店頭等で陳列したりするときに、その商品Cがガタついてしまうという課題を有していた。
【0008】
そこで、この発明は、保持する商品の四隅が直角でない場合や、保持する商品の側面下部が内側に入り込んでいる場合であっても、その商品を運搬したり、店頭等で陳列したりするときに、その商品をガタつかせることなく保持しておくことができ、また包装作業も簡単であり、店頭等での陳列効果に優れ、しかも自動製函機(サックマシン)で作製することのできる商品包装体を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の商品包装体は、延長部1、天板2、前板3、底板4、後板5、第一糊代部6の順に連接し、延長部1と天板2の間、前板3と底板4の間、底板4と後板5の間にそれぞれ折り目を介し、後板5と糊代部6の間に切り目を介し、さらに底板4の両側部にそれぞれ、折返し板8、保持板9、第二糊代部10の順にそれぞれ折り目を介して連接し、前板3と折返し板8により形成される二個所の角部、および後板5と折返し板8により形成される二個所の角部にそれぞれ折込み片12を連接したものとし、前記保持板9を折り目から裏面側に折り返して、第二糊代部10を底板4の裏面に接着させ、前記底板4および後板5を折り目から裏面側に巻き折りして、第一糊代部6を延長部1の裏面に接着させて筒状体Pを形成し、この筒状体Pの開放側部Paから容器Bを差し込んだ状態にして、前記折返し板8を折込み片12と共に折り目から底板4の裏面側に折り返し、前記保持板9を立ち上がらせて、この保持板9で前記容器Bの側面下部を保持するようにしたものとしている。
【0010】
さらに、この発明の商品包装体は、前記天板2に、容器Bのネック部Bnの保持孔Hを設けたものとしている。
【0011】
また、この発明の商品包装体は、前記底板4の両側端寄りに、持上げ片11を形成し、この持上げ片11を底板4の下方から押し上げることにより、保持板9を立ち上がらせ易くしたものとしている。
【0012】
さらに、この発明の商品包装体は、前記保持板9を外保持部9aと内保持部9bを折り目を介して連接したものとし、この保持板9を立ち上がらせたときに、三角山形状になるようにしたものとしている。
【0013】
また、この発明の商品包装体は、前記保持板9の外保持部9aと内保持部9bの間の折り目に、飛出し片13を形成し、この飛出し片13が保持板9を立ち上がらせたときに飛び出すようにしたものとしている。
【0014】
さらに、この発明の商品包装体は、前記保持板9の外保持部9aの前後部に、それぞれ折り目を介して補強片14を設けたものとしている。
【発明の効果】
【0015】
この発明の商品包装体は、保持する商品の四隅が直角でない場合や、保持する商品の側面下部が内側に入り込んでいる場合であっても、その商品を運搬したり、店頭等で陳列したりするときに、その商品をガタつかせることなく保持しておくことができるものとなり、商品の包装が外れてしまったり、商品を破損したりすることがないものとなる。
【0016】
さらに、この発明の商品包装体は、開放側部から差し込んだ商品を保持板で保持するだけでよいので、商品の包装作業が簡単なものとなる。
【0017】
また、この発明の商品包装体は、延長部を各種の形状にデザインしたり、延長部に各種の印刷を施したりしておけるので、店頭等での陳列効果に優れたものとなる。
【0018】
しかも、この発明の商品包装体は、一枚の合成樹脂シートなどからなるものとし、折り目を折り返したり、折り曲げたりすればよいので、自動製函機(サックマシン)で作製でき、量産化がし易いものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の商品包装体の一実施形態を表面側から見た状態の展開図である。
【図2】図1に示すこの発明の商品包装体を裏面側から見た状態の展開図である。
【図3】この発明の商品包装体を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図4】この発明の商品包装体の開放側部から容器を差し込む状態を示す説明図である。
【図5】この発明の商品包装体の開放側部から差し込んだ容器の下部を保持する順序を示す説明図である。
【図6】この発明の商品包装体で容器を包装し終わった状態を示す斜視図である。
【図7】この発明の商品包装体で容器を包装し終わった状態(容器は仮想線で示している)を示す断面図である。
【図8】この発明の商品包装体で包装した容器を取り出す状態を示す斜視図である。
【図9】従来の包装体の一例を示す展開図である。
【図10】図9に示す従来の商品包装体の組み立て説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の商品包装体を実施するための一形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
この発明の商品包装体は、図1、2に示すように、延長部1、天板2、前板3、底板4、後板5、第一糊代部6の順に連接してなる一枚の長尺状の合成樹脂製シートとしている。
【0022】
前記延長部1と天板2の間、前板3と底板4の間、底板4と後板5の間には、それぞれ折り目a〜cを介し、前記後板5と糊代部6の間には切り目xを介している。この切り目xは、薄膜状の弱め線としたり、ミシン目などとして、手の指で引き裂けるようにしている。なお、前記天板2と前板3の間にも、必要に応じ、折り目を介したものとしてもよい。
【0023】
前記延長部1は、図示したような略半円形とするなど、各種の形状にデザインしたり、各種の印刷を施したりしたものとすることができる。
【0024】
前記天板2には、包装する商品が、ボトルなどの容器Bでネック部Bnを有しているときには、そのネック部Bnの保持孔Hを設けたものとしておける。
【0025】
前記前板3および後板5の両側端の略中央部3a、5aは、包装する容器Bが横幅の広いものである場合などには、その形状に応じて、図示したように湾曲状に飛び出させておくことができる。
【0026】
前記底板4の両側部には、それぞれ、折返し板8、保持板9、第二糊代部10の順にそれぞれ折り目d〜fを介して連接している。
【0027】
さらに、前記底板4の両側端寄りには、それぞれ略コ字状の切込みpによって、持上げ片11を形成し、後に述べるように保持板9を立ち上がらせるときに、この持上げ片11を底板4の下方から手の指で押し上げることにより、保持板9を立ち上がらせ易くしている。
【0028】
前記前板3と折返し板8により形成される二個所の角部、および前記後板5と折返し板8により形成される二個所の角部には、それぞれ折込み片12を連接したものとしている。
【0029】
前記保持板9は、図示したものでは、外保持部9aと内保持部9bを折り目gを介して連接したものとしているが、この折り目gがないものとして外保持部9aと内保持部9bを連接したものとしてもよい。なお、前記折り目gには、切込みqを入れることによって飛出し片13を形成し、この飛出し片13が保持板9を立ち上がらせたとき、自動的に飛び出すようにしている。
【0030】
さらに、前記保持板9の外保持部9aの前後部には、それぞれ折り目hを介して補強片14を設けたものとしている。
【0031】
そして、この発明の商品包装体は、前記保持板9を折り目eから裏面側に折り返して、第二糊代部10を底板4の裏面に接着させ、前記底板4および後板5を折り目b、cから裏面側に巻き折りして、第一糊代部6を延長部1の裏面に接着させて、図3に示したような、延長部1を上方に突出した筒状体Pを形成する。なお、この場合、前記補強片14も折り目hから折り曲げ、この補強片14を前板3および後板5に接触するようにしている。
【0032】
そこで、この発明の商品包装体は、包装する商品Cがボトルなどの容器で、その側面下部が内側に入り込んでいる容器では、図4〜7に示したようにして、その容器Bを包装するようにしている。
【0033】
先ず、前記筒状体Pの開放側部Paから、容器Bの上端を天板2に接触するようにし、容器Bの下端を底板4に接触するようにして、その容器Bを筒状体P内に差し込んだ状態にする。この場合、前記容器Bがネック部Bnを有しているときには、図4に示したように容器Bを斜めにして、ネック部Bnを天板2に設けた保持孔Hに差し込みながら、その容器Bを筒状体P内に差し込んだ状態にする。
【0034】
次に、前記折返し片8を折込み片12と共に折り目eから底板4の裏面側に折り曲げ、さらに前記保持板9を立ち上がらせる。この場合、図5(a)に示した状態から、持上げ片11を底板4の下方から手の指で押し上げて保持板9を起こしつつ、折り目eを指で押さえて、図5(b)に示したように、折返し片8を起こすと共に折込み片12を曲げる。そして、折返し片8を折り目eから底板4の裏面側に折り返すと、図5(c)に示したように、保持板9を立ち上がらせることができる。図示したものでは、前記保持板9は、外保持部9aと内保持板9bとが折り目gにより折り曲げられることにより、三角山状に立ち上がったものとなるが、前記保持板9を折り目gがないものとして外保持部9aと内保持部9bを連接したものとしている場合には、円形山状に立ち上がったものとなる。
【0035】
このようにすると、図5(c)に示した状態では、前記保持板9によって、前記容器Bの側面下部が保持されることになる。この場合、前記容器Bの側面下部が、内側に入り込んでいても、この入り込んだ部分に保持板9が入り込んで、この保持板9によって、前記容器Bの側面下部が保持されることになる。なお、前記保持板9は、外保持部9aと内保持部9bとの寸法比を変えることにより、三角山状に立ち上がる角度を変えることができるので、その立ち上がる角度を前記容器Bの側面下部の内側への入り具合に合わせたものとすれば、その側面下部を効果的に保持できるようになる。
【0036】
また、この発明の商品包装体は、前記容器Bの側面下部が曲面である場合には、この側面下部の曲面に内保持部9bが接触し、商品包装体に使用する合成樹脂製シートの可撓性によっては、その内保持部9bが容器Bの側面下部の曲面に沿って曲げられるので、接触面積が広くなり、その側面下部をより効果的に保持できるようになる。
【0037】
さらに、前記保持板9が、飛出し片13を形成したものである場合には、前記容器Bの側面下部にこの飛出し片13も接触することにより、接触面積が広くなり、この容器Bの側面下部をよりいっそう効果的に保持することができるようになる。
【0038】
また、前記保持板9の外保持部9aに設けた補強片14は、保持板9が容器Bの側面下部を保持しているときに、この容器Bの側面下部によって押し返されても、外保持部9aが曲げられないように補強しており、前記容器Bの側面下部の保持力を維持できるようにしている。
【0039】
そして、この発明の商品包装体は、包装した容器Bを取り出すには、延長部1と後板5を手の指で摘んで、図8に示したように、切り目xを引き裂き、容器Bのネック部Bnを天板2の保持孔Hから引き抜けば、簡単に取り出すことができる。
【0040】
なお、この発明の商品包装体は、保持する容器Bがネック部Bnを有していないときは、前記底板4の両側部に実施した構造を、天板2の両側部にも実施することができ、この場合は、前記容器Bの側面上部も同時に保持しておくことができ、前記容器Bの側面下部を保持するのと同様の効果を得ることができる。
【0041】
したがって、以上のように構成されたこの発明の商品包装体は、保持する商品の四隅が直角でない場合や、保持する商品の側面下部が内側に入り込んでいる場合であっても、その商品を運搬したり、店頭等で陳列したりするときに、その商品をガタつかせることなく保持しておくことができ、また包装作業も簡単であり、店頭等での陳列効果に優れ、しかも自動製函機(サックマシン)で作製することのできるものとなる。
【符号の説明】
【0042】
1 延長部
2 天板
3 前板
4 底板
5 後板
6 第一糊代部
8 折返し板
9 保持板
9a 外保持部
9b 内保持部
10 第ニ糊代部
11 持上げ片
12 折込み片
13 飛出し片
14 補強片
B 容器
Ba ネック部
H 保持孔
P 筒状体
Pa 開放側部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
延長部(1)、天板(2)、前板(3)、底板(4)、後板(5)、第一糊代部(6)の順に連接し、延長部(1)と天板(2)の間、前板(3)と底板(4)の間、底板(4)と後板(5)の間にそれぞれ折り目を介し、後板(5)と糊代部(6)の間に切り目を介し、さらに底板(4)の両側部にそれぞれ、折返し板(8)、保持板(9)、第二糊代部(10)の順にそれぞれ折り目を介して連接し、前板(3)と折返し板(8)により形成される二個所の角部、および後板(5)と折返し板(8)により形成される二個所の角部にそれぞれ折込み片(12)を連接したものとし、前記保持板(9)を折り目から裏面側に折り返して、第二糊代部(10)を底板(4)の裏面に接着させ、前記底板(4)および後板(5)を折り目から裏面側に巻き折りして、第一糊代部(6)を延長部(1)の裏面に接着させて筒状体(P)を形成し、この筒状体(P)の開放側部(Pa)から容器(B)を差し込んだ状態にして、前記折返し板(8)を折込み片(12)と共に折り目から底板(4)の裏面側に折り返し、前記保持板(9)を立ち上がらせて、この保持板(9)で前記容器(B)の側面下部を保持するようにしたことを特徴とする商品包装体。
【請求項2】
前記天板(2)に、容器(B)のネック部(Bn)の保持孔(H)を設けたことを特徴とする請求項1記載の商品包装体。
【請求項3】
前記底板(4)の両側端寄りに、持上げ片(11)を形成し、この持上げ片(11)を底板(4)の下方から押し上げることにより、保持板(9)を立ち上がらせ易くしたことを特徴とする請求項1または2記載の商品包装体。
【請求項4】
前記保持板(9)を外保持部(9a)と内保持部(9b)を折り目を介して連接したものとし、この保持板(9)を立ち上がらせたときに、三角山形状になるようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の商品包装体。
【請求項5】
前記保持板(9)の外保持部(9a)と内保持部(9b)の間の折り目に、飛出し片(13)を形成し、この飛出し片(13)が保持板(9)を立ち上がらせたときに飛び出すようにしたことを特徴とする請求項4記載の商品包装体。
【請求項6】
前記保持板(9)の外保持部(9a)の前後部に、それぞれ折り目を介して補強片(14)を設けたことを特徴とする請求項4または5記載の商品包装体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−171638(P2012−171638A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33865(P2011−33865)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】