説明

商品検出ユニット

【課題】電磁波タグを用いて商品を管理する商品検出ユニットにおいて、商品の管理を行うために必要な電磁波タグの使用量を抑えて、商品の管理コストを低減できる商品検出ユニットを提供すること。
【解決手段】複数の商品3を上面に陳列する表面板18を有し、表面板18には、複数の電磁波タグ26が設けられるとともに、表面板18の下方には、陳列部アンテナ6が設けられた底面板19が配置され、表面板18と底面板19とが一体的に重なり合っており、表面板18の上面または商品3には、電磁波を妨害する妨害部14が設けられ、商品3が表面板18に配置されたときに、妨害部14が複数の電磁波タグ26のうち少なくとも1つの電磁波タグ26に近接し、妨害部14に近接された電磁波タグ26の電磁波が陳列部アンテナ6を用いて検出できなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等に設置されて商品を陳列する商品検出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ショーケース内の商品棚板(商品陳列部)上に陳列されている商品の在庫管理を行うために、それぞれの商品に貼り付けられたRFIDタグ(電磁波タグ)と、各商品棚板上に設けられてRFIDタグに記憶されている固有番号を読み取るアンテナユニットと、このアンテナユニット(商品検出ユニット)にて読み取った固有番号を管理するコンピュータ(検出情報処理手段)と、を備える在庫管理システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−206696号公報(第3,4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の在庫管理システムにあっては、商品が入荷する毎に、各商品にRFIDタグを貼り付けなければならず、入荷する商品数と同じ数量のRFIDタグ(電磁波タグ)が必要となっており、RFIDタグの使用量が増え、商品の管理コストが嵩んでしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、電磁波タグを用いて商品を管理する商品検出ユニットにおいて、商品の管理を行うために必要な電磁波タグの使用量を抑えて、商品の管理コストを低減できる商品検出ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の商品検出ユニットは、
電磁波タグが発する電磁波を検出する陳列部アンテナが設けられ、該陳列部アンテナによる前記電磁波の検出に基づく検出情報を検出情報処理手段に入力する商品検出ユニットであって、
前記複数の商品を上面に陳列する表面板を有し、該表面板には、複数の前記電磁波タグが設けられるとともに、該表面板の下方には、前記陳列部アンテナが設けられた底面板が配置され、前記表面板と前記底面板とが一体的に重なり合っており、前記表面板の上面または前記商品には、前記電磁波を妨害する妨害部が設けられ、前記商品が前記表面板に配置されたときに、前記妨害部が前記複数の電磁波タグのうち少なくとも1つの電磁波タグに近接し、該妨害部に近接された電磁波タグの電磁波が前記陳列部アンテナを用いて検出できなくなることを特徴としている。
この特徴によれば、商品が表面板における電磁波タグに近接して配置されると、該当する電磁波タグの電磁波が妨害部により妨害されて、該電磁波を陳列部アンテナが検出できなくなり、複数の電磁波タグが発する電磁波の検出状態が変化するとともに、検出情報処理手段は、入力される検出情報の変化を把握することにより、表面板に配置される商品の数量を推定できるようになる。そのため各商品に電磁波タグを取り付けなくても、表面板に配置された商品の管理が行えるようになり、商品の管理を行うために必要な電磁波タグの使用量を抑えて、商品の管理コストを低減できる。また、電磁波タグと陳列部アンテナとが互いに近接した状態で商品検出ユニットに設けられるため、電磁波タグが発する電磁波の未検出や誤検出を防止できる。更に、複数の電磁波タグが設けられた表面板と、陳列部アンテナが設けられた底面板と、が一体的に重なり合ってユニット化されているため、この商品検出ユニットを既存の商品陳列装置の棚板等に配置して使用することができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の商品検出ユニットは、請求項1に記載の商品検出ユニットであって、
前記底面板には、複数の前記陳列部アンテナが左右方向に並設され、該各陳列部アンテナは、平面視において、その側辺が前記底面板の前辺に対する垂線に交差する略角形状をなすことを特徴としている。
この特徴によれば、複数の電磁波タグを表面板の前辺から後辺に向かって直線状に並べたときに、一部の電磁波タグは陳列部アンテナの側辺を跨ぐように配置され、商品検出ユニットにおいて前方側の商品が取られたときの電磁波の検出情報と、それよりも後方側の商品が取られたときの電磁波の検出情報とが異なるようになり、検出情報処理手段は、前方側の商品が取られたか、それよりも後方側の商品が取られたかを識別できるようになる。そのため前方側と後方側の商品が一度に取られるといった多量の商品の万引行為の可能性が高い行動と、前方側の商品だけが取られるといった通常の買い物の可能性が高い行動とを識別することができる商品検出ユニットを提供することができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の商品検出ユニットは、請求項2に記載の商品検出ユニットであって、
前記陳列部アンテナは、その前辺と後辺とが平行で長さが異なる略台形状をなし、前記複数の陳列部アンテナは、その形状の前後の向きが互い違いになるように前記底面板に左右方向に並設されることを特徴としている。
この特徴によれば、陳列部アンテナの形状を略台形状の同一形状にして複数の陳列部アンテナを共通化し、陳列部アンテナの製造コストを低減させるとともに、底面板の前辺に対する垂線に交差する側辺を有する形状となっている陳列部アンテナを、底面板に敷詰めることができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の商品検出ユニットは、請求項1ないし3のいずれかに記載の商品検出ユニットであって、
前記電磁波タグが略矩形状をなし、隣り合う電磁波タグ同士における互いの辺が近接して平行となる範囲が減少するように、前記複数の電磁波タグを前記表面板に配置することを特徴としている。
この特徴によれば、隣り合う電磁波タグ同士の間の距離を離間させたり、隣り合う電磁波タグ同士で異なる向きに配置させたりして、隣り合う電磁波タグ同士における互いの辺が近接して平行となる範囲が減少させることで、隣り合う電磁波タグ同士が互いに発する電磁波が干渉し合う状態を低減させながら、電磁波タグを表面板に敷詰めることができる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の商品検出ユニットは、請求項1ないし4のいずれかに記載の商品検出ユニットであって、
前記底面板の下面には、シート状をなす磁性部材が貼り付けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、商品検出ユニットが配置される商品陳列装置の棚板等が金属製であっても、底面板と棚板との間に磁性部材が配置されて、陳列部アンテナから入力される磁力線が磁性部材により遮蔽されるようになり、棚板に磁力線による渦電流が発生することを防止でき、陳列部アンテナは電磁波タグの電磁波を検出できる。
【0011】
本発明の請求項6に記載の商品検出ユニットは、請求項1ないし5のいずれかに記載の商品検出ユニットであって、
前記陳列部アンテナは、前記電磁波タグが発する電磁波の減衰振動波を検出し、該減衰振動波を前記検出情報として前記検出情報処理手段に入力するようになっており、前記検出情報処理手段は、入力される前記減衰振動波の増大または減少に基づいて、前記表面板に陳列されている前記商品の商品数を推定することを特徴としている。
この特徴によれば、減衰振動波を比較するだけの簡素な構成で検出情報処理手段を設けることができ、かつ電磁波タグとして低コストで製造できる共振タグを使用することが可能になり、商品検出ユニットを用いて商品を管理する商品陳列装置の設置コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における商品陳列棚を示す斜視図である。
【図2】商品陳列棚を示す縦断側面図である。
【図3】アンテナユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図4】アンテナユニットの構成を示す部分拡大図である。
【図5】アンテナユニットを示す一部破断平面図である。
【図6】商品の底面に貼り付けられた共振タグを示す斜視図である。
【図7】共振タグの構成を示す回路図である。
【図8】商品陳列棚の構成を示すブロック図である。
【図9】棚制御回路で行われる大量万引監視処理のフローチャートである。
【図10】棚制御回路で処理される各電磁波の波形を示す図である。
【図11】実施例2における商品のタグIDが記憶されている前回状態テーブルである。
【図12】商品陳列棚の構成を示すブロック図である。
【図13】商品の底面に貼り付けられたRFIDタグを示す斜視図である。
【図14】RFIDタグの構成を示す回路図である。
【図15】(a)は、実施例3における商品が表面板の上面に陳列されている状態を示す斜視図であり、(b)は、商品が表面板の上面から取り上げられた状態を示す斜視図である。
【図16】実施例4における妨害部を示す斜視図である。
【図17】妨害部の上下揺動を示す側面図である。
【図18】(a)は、商品が表面板の上面に陳列されている状態を示す斜視図であり、(b)は、商品が表面板の上面から取り上げられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る商品検出ユニットを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1に係る商品陳列装置につき、図1から図10を参照して説明する。図1の符号1は、本発明の商品陳列装置が適用された商品陳列棚である。この商品陳列棚1は、管理コンピュータ2に接続されている。更に、管理コンピュータ2には、商品陳列棚1の監視を行うための監視カメラ7が接続されている。これら商品陳列棚1と、管理コンピュータ2及び監視カメラ7は、主に、コンビニエンスストアやドラッグストア等の商品販売店舗等に設置されており、商品陳列棚1に陳列された単価の高い化粧品や大衆薬等の商品3が、窃盗グループ等によって多量に万引きされる大量万引きを防止するように、各棚板4に陳列されている商品3毎に監視を行っている。
【0015】
図1に示すように、商品陳列棚1の上下方向には、複数段(本実施例では5段)の棚板4が取り付けられている。この棚板4は、スチールやアルミ等の金属材により構成されている。また、棚板4の左右に取り付けられる側板5もスチールやアルミ等の金属材により構成されている。以下、各棚板4は陳列されている商品3の大きさや個数等が異なるだけの同一構成であるので、本実施例では最上段の棚板4について説明する。
【0016】
図2及び図3に示すように、棚板4は、上面が平坦な平面視で長方形状に形成されている。棚板4の上面には、板状の本実施例における商品検出ユニットとしてのアンテナユニット8が配置されている。このアンテナユニット8は、木材または樹脂材により形成された本実施例における商品陳列部としての表面板18と、表面板18と同様の材質により形成された底面板19と、シート状の本実施例における磁性部材としてのフェライトシート20と、を一体的に重ね合わせることで構成されている。そして、アンテナユニット8は、金属材から構成されている棚板4の上面にフェライトシート20の下面を当接させた状態で配置される。
【0017】
この底面板19の上面には、表面板18の上面に陳列された商品3を管理するための本実施例における陳列部アンテナとしての複数の棚アンテナ6が左右方向に並設されている。尚、底面板19の後端部には、後述する接続ケーブル12を接続するための端子部19aが設けられている。
【0018】
また、図1及び図2に示すように、背板11の上端部には、警告モニタ9が設けられている。後述するように、大量万引きが発生した際には、この警告モニタ9に商品陳列棚1を監視カメラ7で「監視カメラ作動中」等のメッセージや監視カメラ7で撮影した映像等を表示することで、窃盗犯に監視している旨を表示するようになっている。このように、監視カメラ7と警告モニタ9は、本実施例における報知手段を構成している。尚、音によって大量万引きが発生したことを報知してもよい。
【0019】
更に、商品陳列棚1の最下段の棚板4内部が中空に形成されており、その内部には、各棚アンテナ6を制御することで大量万引きの監視処理を行う制御部10が設けられている。尚、商品陳列棚1の背板11の内部は中空に形成されている。この背板11の内部には、制御部10に接続された接続ケーブル12が配置されており、この接続ケーブル12は各棚板4上のアンテナユニット8と背板11の上端部の警告モニタ9とに向かって延設されている。
【0020】
そして、接続ケーブル12は、底面板19に設けられた端子部19aに接続されている。制御部10は、これら接続ケーブル12と端子部19aとを介して各棚アンテナ6と個別に接続されているとともに、制御部10は、これら接続ケーブル12と端子部19aとを介して、各棚アンテナ6と電磁波の送受信や、電力の供給を行うことができるようになっている。尚、本実施例における商品陳列装置は、前述したアンテナユニット8と制御部10とから主に構成されている。
【0021】
また、図1に示すように、制御部10は、商品陳列棚1の外部に延設される接続ケーブル13を介して管理コンピュータ2と接続されるとともに、図示しない電源ケーブルを介して屋内のコンセント等の外部電源から電力の供給を受けている。
【0022】
図5に示すように、底面板の上面に設けられる各棚アンテナ6は、ループ状をなすループアンテナとして構成されている。各棚アンテナ6は、平面視で略角形状をなす台形状に形成されている。具体的には、各棚アンテナ6は、前辺L1と後辺L2とが平行となっている。また、各棚アンテナ6の側辺は、棚板4の前辺から後方に向かう垂線Vに対して交差するように傾斜されている。
【0023】
尚、本実施例では、棚アンテナ6の側辺が垂線Vに対して10°〜45°の角度で交差している。この交差角度は、棚アンテナ6の側辺が垂線Vに対して少なくとも直角に交差しなければ、どのような角度で交差してもよい。また、棚板4上に陳列される商品3の寸法に合わせて棚アンテナ6の形状や大きさを適宜変更してもよい。
【0024】
そして、このように形成された棚アンテナ6は、底面板19の上面において側辺同士を隣接させて配置されており、その台形形状の前後の向きが互い違いとなるように配置されている。つまり各棚アンテナ6における各前辺L1の長さと各後辺L2の長さとが互い違いとなるように配置されている。尚、底面板19の上面の左右端に配置された2つの棚アンテナ6は、棚板4の左右側辺に対して平行な側辺を有している。
【0025】
また、図1に示すように、表面板18の上面には、商品3が表面板18の上面の全ての領域に陳列されるようになっている。図4及び図5に示すように、表面板18の下面には、本実施例における電磁波タグとしての平面視で正方形状(矩形状)に形成された棚板用共振タグ26が設けられている。この棚板用共振タグ26は、表面板18の左右方向の全域に並設されている。棚板用共振タグ26は、表面板18と底面板19とフェライトシート20とが重合することにより、底面板19の上面に設けられた棚アンテナ6と対向して配置されるようになっている。
【0026】
また、これらの棚板用共振タグ26は、表面板18の下面に前後方向に向かって複数列(本実施例では4列)並設されている。加えて、表面板18の下面に貼り付けられている前後方向の1列目及び3列目と、前後方向の2列目及び4列目との棚板用共振タグ26との配列は、2列目及び4列目が1列目及び3列目に対して左右方向にずれた配置となるように表面板18の下面に貼り付けられている。
【0027】
尚、1列目及び3列目の棚板用共振タグ26は、側辺26aが表面板18の側辺及び前辺と平行となるように表面板18の下面に貼り付けられている。また、1列目及び3列目の棚板用共振タグ26は、左右方向で隣り合う棚板用共振タグ26と所定間隔Xだけ離間して配置されている。図5に示すように、1列目と3列目の棚板用共振タグ26の前後方向で対向する側辺26a,26a間は、所定間隔Yだけ離間している。
【0028】
更に、2列目及び4列目の棚板用共振タグ26は、1列目及び3列目の棚板用共振タグ26に対して45度回動した状態で表面板18の下面に貼り付けられている。このため、2列目及び4列目の棚板用共振タグ26の側辺26bは、前後方向1列目及び3列目の棚板用共振タグ26の側辺26aに対して平行をなさないようになっている。このように棚板用共振タグ26を表面板18の下面に貼り付けることにより、隣り合う棚板用共振タグ26同士における互いの側辺26a,26bが近接して平行となる範囲が減少するように、複数の棚板用共振タグ26を表面板18に配置することができる。
【0029】
尚、図5に示すように、表面板18の1列目及び3列目の棚板用共振タグ26は、対向する側辺26a,26a同士が平行となっているため、左右の棚板用共振タグ26同士が近接して配置されると、後述するコイルアンテナ16とコンデンサ15の間の共振で発生する電磁誘導によって、隣り合う棚板用共振タグ26のコイルアンテナ16に電磁誘導を引き起こす場合がある。しかしながら本実施例では、隣り合う棚板用共振タグ26同士の対向する側辺26a,26aの間が所定距離Xだけ離間しているので、隣り合う棚板用共振タグ26に及ぼす電磁誘導の影響を抑えることができる。
【0030】
同様に、1列目の棚板用共振タグ26と3列目の棚板用共振タグ26とで対向する側辺26a,26aの間も、所定距離Yだけ離間しているので、1列目の棚板用共振タグ26と3列目の棚板用共振タグ26との間でも、一方の棚板用共振タグ26の他方の棚板用共振タグ26に及ぼす電磁誘導の影響を抑えることができる。
【0031】
また、2列目と4列目の棚板用共振タグ26と、1列目と3列目の棚板用共振タグ26との間には、側辺26a,26b同士が平行となっていないため、一方の棚板用共振タグ26が他方の棚板用共振タグ26に及ぼす電磁誘導の影響を抑えることができる。更に、2列目と4列目の棚板用共振タグ26は、左右で隣り合う棚板用共振タグ26と平面視で正方形状の頂点でのみ対向しているので、左右で隣り合う棚板用共振タグ26に及ぼす電磁誘導の影響を抑えることができる。
【0032】
図6に示すように、商品3の下面には、商品用共振タグ14が貼り付けられている。この商品用共振タグ14は、商品販売店舗等の出入口に設けられた防犯ゲートなどで検出されるようになっており、ブザー等により報知を行う万引き防止装置の一部を構成している。この商品用共振タグ14は、商品3を商品陳列棚1に陳列する際に商品3に貼り付けられ、レジ等で会計する際に商品3から取り外されて再利用されるようになっている。
【0033】
尚、商品用共振タグ14は、表面板18の下面に貼り付けられている棚板用共振タグ26と同一の構成をなしている。更に、これらの共振タグ14,26は、コンデンサ15と、磁束の変化により誘導起電力を得るためのコイルアンテナ16と、が並列に接続された共振回路17を内蔵している。共振回路17のコイルアンテナ16は、共振タグ14,26の側辺に沿って巻回された形状となっており、コイルアンテナ16の大きさや形状は、共振タグ14,26自体の大きさや形状とほぼ同一となっている。
【0034】
尚、特に図示しないが、商品用共振タグ14は、商品3が金属製である場合には、アンテナユニット8を構成するフェライトシート20と同一構成のフェライトシートを介して商品3の下面に貼り付けるようにすれば、金属製の商品3にコイルアンテナ16が発する電磁波が妨害されることがない。
【0035】
商品用共振タグ14を貼り付けられた商品3が表面板18の上面に陳列されると、棚板用共振タグ26と商品用共振タグ14とが互いに近接するようになっている。棚板用共振タグ26と商品用共振タグ14とが近接されると、棚板用共振タグ26と棚アンテナ6との間の減衰振動波の受信が行えなくなるという現象が生じるようになっている。
【0036】
つまり棚板用共振タグ26と棚アンテナ6との間の減衰振動波の受信が商品用共振タグ14によって妨害されるようになる。この商品用共振タグ14が本実施例における妨害部を構成している。尚、本実施例では、商品用共振タグ14は、その金属特性のみを用いて妨害部を構成しており、商品用共振タグ14自体が有する共振機能は特に必要ではない。
【0037】
また、図2及び図4に示すように、商品3が表面板18の上面から取り上げられることで、棚板用共振タグ26と商品3の下面に貼り付けられた商品用共振タグ14とが離間するようになっている。棚板用共振タグ26と商品用共振タグ14とを離間させると、棚板用共振タグ26と棚アンテナ6との間で減衰振動波の受信ができるようになる。
【0038】
そして、制御部10は、これら棚板用共振タグ26を、各棚アンテナ6によって検出することで、商品陳列棚1に陳列されている商品3を間接的に監視している。具体的には、図10に示すように、棚アンテナ6は、制御部10の送信イネーブルに応じて高周波の電磁波(電波)である送信電磁波を断続的に出力するようになっている。この送信電磁波は、共振回路17内のコイルアンテナ16が共振する共振周波数を有している。このとき、共振回路17では、棚アンテナ6から送信された送信電磁波によりコイルアンテナ16とコンデンサ15が共振されることで、電磁誘導により結合される。
【0039】
更に、送信電磁波の送信が停止されると、コイルアンテナ16とコンデンサ15の共振現象により、商品用共振タグ14内で本実施例における検出情報としての減衰振動波が誘起される。棚アンテナ6は、このタグの減衰振動波を制御部10の受信イネーブルに応じて受信可能となっており、タグ検出波形の大きさと、それまでの状態とは異なるタグ検出波形を受信した棚アンテナ6の個数に基づいて、後述する監視処理を行うことで大量万引きの監視を行う。
【0040】
尚、制御部10の送信イネーブルと受信イネーブルは交互に繰り返されるようになっており、棚アンテナ6による送信と受信が一定間隔毎に交互に繰り返されている。尚、棚アンテナ6による送信と受信の間隔は、店舗の形態や営業時間帯、商品3の種別等で適宜変更することができる。
【0041】
尚、棚アンテナ6の検出距離は、本実施例では、送信電磁波を微弱出力で用いるため、棚アンテナ6の上方3cm前後となっている。この棚アンテナ6の検出距離は、送信電磁波の出力を調整することで適宜変更することができる。
【0042】
次に、本実施例における商品陳列装置のシステム構成を説明する。図8に示すように、制御部10は、棚アンテナ6を用いて受信したタグ検出波形をデジタル信号として記憶する記憶部22と、商品陳列棚1の各装置類の制御と各種処理を行うための本実施例における検出情報処理手段としての棚制御回路23と、を有している。
【0043】
また、制御部10には、店舗の事務所等に設置された管理コンピュータ2と、各棚板4の上面に配置され、棚アンテナ6を有するアンテナユニット8と、警告モニタ9と、が接続されている。アンテナユニット8の各棚アンテナ6は、個別に表面板18の下面に貼り付けられた棚板用共振タグ26に送信電磁波を送信するとともに、棚板用共振タグ26からの減衰振動波を受信して、棚板4上に陳列されている商品3を監視するようになっている。
【0044】
尚、制御部10には、特に図示しないが、D.D.S(ダイレクト・ディジタル・シンセサイザー)と、送信電磁波が所定の送出電力を得るための電力増幅器と、が設けられている。
【0045】
加えて、制御部10は、特に図示しないが、棚アンテナ6で受信した複数種類の電磁波から棚板用共振タグ26の減衰振動波のみを抽出する同調回路と、同調回路で抽出された棚板用共振タグ26の減衰振動波を増幅する高周波増幅器と、高周波増幅器で増幅された棚板用共振タグ26の減衰振動波を周波数に関係なく一定の低い周波数に変換する周波数変換器と、周波数変換器で周波数変換された棚板用共振タグ26の減衰振動波を復調可能なレベルまで増幅する中間周波数増幅器と、が設けられている。
【0046】
更に、棚制御回路23には、特に図示しないが、中間周波数増幅器で復調された棚板用共振タグ26の減衰振動波を絶対値変換する絶対値変換器と、絶対値変換された棚板用共振タグ26の減衰振動波をAD変換(アナログ/デジタル変換)するAD変換器と、AD変換によりデジタル信号に変換された棚板用共振タグ26の減衰振動波のタグ検出波形を演算処理するデジタルシグナルプロセッサと、が設けられている。そのため、棚制御回路23では、商品用共振タグ14の減衰振動波のタグ検出波形をデジタル信号として取り扱うことができるようになっている。尚、棚制御回路23は、タグ検出波形の後半部(ad1,ad2)のみをAD変換するようになっている(図10参照)。
【0047】
棚アンテナ6による商品3の離間の検出の一例を説明する。図2に示すように、表面板18の上面において、買物客が商品3を取り上げると、棚制御回路23は、商品3を取り上げたときに、棚板用共振タグ26のタグ検出波形を複数または1つの棚アンテナ6で受信することによって商品3の離間を検出する(図8参照)。
【0048】
また、例えば、3つの棚アンテナ6が商品3の離間を検出すると、棚制御回路23は、商品3の離間を検出した棚アンテナ6の数を合計して、表面板18の上面から商品が3個取り上げられたと推定することもできる。このように、棚制御回路23では、表面板18の上面に陳列された商品3の離間を様々な形態で検出することによって、各アンテナユニット8上からいくつの商品3が客に取り上げられたかを推定するようになっている。
【0049】
次に、本実施例における制御部10の棚制御回路23が実行する本実施例における商品3の管理としての大量万引きの監視処理について詳述する。
【0050】
本実施例では、各棚アンテナ6毎に、送信電磁波を棚板用共振タグ26に送信し、棚板用共振タグ26から送信される減衰振動波を受信する。各棚アンテナ6は、送信電磁波の送信と減衰振動波の受信とを一定間隔で繰り返すようになっている。そして、棚板用共振タグ26から今回受信した減衰振動波のタグ検出波形を、前回受信した減衰振動波のタグ検出波形と比較し、各棚アンテナ6での2つのタグ検出波形に差分があるか否かによって表面板18の上面に陳列された商品3の存在の検出を行うようになっている。
【0051】
具体的には、先ず、棚制御回路23は各棚アンテナ6から各棚板用共振タグ26に対して送信電磁波を送信することで減衰振動波を受信し、デジタル信号として処理したタグ検出波形を前回状態として記憶部22に記憶させる。
【0052】
そして、一定間隔後に再び各棚アンテナ6から送信電磁波を棚板用共振タグ26に送信し、受信した減衰振動波のタグ検出波形のデジタル信号を今回状態として、記憶部22に記憶されている前回状態のタグ検出波形のデジタル信号との大きさを比較することで、棚制御回路23は、表面板18の上面から商品3が取り上げられたか否かを判定する。
【0053】
このとき、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも小さい場合には、今回状態で各表面板18の上面に陳列されている商品3の推定数が前回状態で表面板18の上面に陳列されていた商品3の推定数よりも多いと棚制御回路23が判定する。
【0054】
尚、今回状態のタグ検出波形の大きさが前回状態のタグ検出波形の大きさよりも大きい場合には、今回状態で各表面板18の上面に陳列されている商品3の推定数が前回状態で表面板18の上面に陳列されていた商品3の推定数よりも少ないと棚制御回路23が判定する。つまり、棚制御回路23は、本実施例における減少判定手段を構成している。
【0055】
そして、本実施例では、棚制御回路23が今回状態で各表面板18の上面に陳列されている商品3の推定数が前回状態で表面板18の上面に陳列されていた商品3の推定数よりも所定数(所定の閾値)少ないと判定することを条件として、棚制御回路23が監視カメラ7の作動と警告モニタ9の表示を行う報知を行うようになっている。
【0056】
次に、本実施例における制御部10の棚制御回路23が実行する大量万引監視処理について、図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0057】
先ず、Sa01のステップにおいて、棚制御回路23は、各棚アンテナ6を用いて送信電磁波を所定の棚アンテナ6から各棚板用共振タグ26に向けて送信する。そして、各棚アンテナ6が各棚板用共振タグ26から減衰振動波を受信すると、棚制御回路23は、減衰振動波を復調した後、減衰振動波の波形であるタグ波形をデジタル信号に変換して、今回(棚アンテナ6による検出時)のタグ波形として、タグ波形と減衰振動波を受信した棚アンテナ6とを対応づけて記憶部22に記憶する。尚、各棚アンテナ6での送信電磁波の送信及び棚板用共振タグ26からの減衰振動波の受信は、約10ミリ秒程度の時間で行なわれ、1秒未満で全ての棚板4の棚アンテナ6の送受信が完了する。
【0058】
Sa02のステップにおいて、棚制御回路23は、記憶部22に記憶された今回受信しタグ波形のデジタル信号と、前回(1秒前)に受信して既に記憶部22に記憶されている前回受信したタグ波形のデジタル信号と、を比較する。そして、それぞれの棚アンテナ6において、今回受信したタグ波形が前回受信したタグ波形よりも減少したものがあるか否かを判定する。
【0059】
今回受信したタグ波形が前回受信したタグ波形よりも所定量増加した棚アンテナ6が1つでもあれば、棚板4に陳列された商品3が、買物客により取られたものと判断されるため、Sa03のステップに進む。また、今回受信したタグ波形が前回受信したタグ波形よりも増加した棚アンテナ6が無ければ、棚板4に陳列された商品3は、買物客により1つも取られていないものと判断されるため、Sa06のステップに進む。
【0060】
尚、店員が商品3を棚板4に陳列するときなど、商品3が棚板4に近接(当接)された際には、今回受信したタグ波形が前回受信したタグ波形よりも減少されるため、棚板4に陳列される商品3が増えたもの判断されるため、Sa06のステップに進む。
【0061】
Sa03のステップにおいて、棚制御回路23は、それぞれの棚アンテナ6毎に今回受信したタグ波形(ベース波形)のデジタル信号から前回受信したタグ波形のデジタル信号を減算処理し、本実施例における差分波形としてのタグ差分波形を生成する(図10参照)。尚、タグ差分波形はデジタル信号として生成される。
【0062】
Sa04のステップにおいて、棚制御回路23は、それぞれの棚アンテナ6毎にタグ差分波形の大きさを測定し、タグ差分波形の大きさが所定量よりも大きくなった棚アンテナ6があるか否かを判定する。尚、複数個の商品3が表面板18の上面から買物客により取られた場合のタグ差分波形の大きさを所定の閾値として設定している。その所定の閾値の設定は商品3の大きさや種類、商品3が取られた個数等を予めにテストしておき、適宜設定変更することができる。また、1個の商品3が棚板4から買物客により取られた場合には、通常の買物行為であると判断されるため、そのとき検出されるタグ差分波形の大きさよりも、所定の閾値は大きくなるように設定されている。
【0063】
そして、タグ差分波形の大きさが所定の閾値よりも大きくなった棚アンテナ6がある場合は、表面板18の上面の複数の商品3が多量に取られる大量万引きと判断されるため、Sa05のステップに進む。タグ差分波形の大きさが所定の閾値よりも大きくなった棚アンテナ6が無い場合には、大量万引きであるとは判断されないため、Sa06のステップに進む。
【0064】
Sa05のステップにおいて、棚制御回路23は、商品陳列棚1から多数の商品3が離間した異常事態、すなわち大量万引きであると判断し、監視カメラ7の作動及び警告モニタ9の表示を行う。尚、監視カメラ7の作動及び警告モニタ9の表示は所定時間が経過することで自動的に終了して待機状態に戻る。また、店舗の店員等が管理コンピュータ2から監視カメラ7及び警告モニタ9を操作して待機状態に戻るようにしてもよい。
【0065】
Sa06のステップにおいて、棚制御回路23は、記憶部22から前回受信したタグ波形を消去するとともに、今回受信した減衰振動波のタグ波形を各棚アンテナ6に対応させた状態で、記憶部22に記憶させて処理を終了してSa01のステップに戻る。
【0066】
以上、本実施例における商品検出ユニットでは、商品3が表面板18における棚板用共振タグ26に近接して配置されると、該当する棚板用共振タグ26の電磁波が商品用共振タグ14により妨害されて、電磁波を棚アンテナ6が検出できなくなり、複数の棚板用共振タグ26が発する電磁波の検出状態が変化するとともに、棚制御回路23は、入力される減衰振動波の変化を把握することにより、表面板18に配置される商品3の数量を推定できるようになる。そのため表面板18に配置された商品3の管理が行えるようになり、商品3の管理を行うために必要な電磁波タグを商品側につけて使い捨てにするよりも、同じ電磁波タグを繰り返し利用することができ、電磁波タグの使用量を抑えて、商品3の管理コストを低減できる。また、棚板用共振タグ26と棚アンテナ6とが互いに近接した状態でアンテナユニット8に設けられるため、棚アンテナ6が発する電磁波(電波)が強過ぎたり弱過ぎたりすることで生じる棚板用共振タグ26の電磁波の未検出や誤検出を防止できる。更に、複数の棚板用共振タグ26が設けられた表面板18と、棚アンテナ6が設けられた底面板19と、が一体的に重なり合ってユニット化されているため、このアンテナユニット8を既存の商品陳列装置の棚板4等に配置して使用することができる。
【0067】
また、底面板19には、複数の棚アンテナ6が左右方向に並設され、各棚アンテナ6は、平面視において、その側辺が底面板19の前辺に対する垂線Vに交差する略角形状をなすことによって、複数の棚板用共振タグ26を表面板19の前辺L1から後辺L2に向かって直線状に並べたときに、一部の棚板用共振タグ26は棚アンテナ6の側辺を跨ぐように配置され、アンテナユニット8において前方側の商品3が取られたときの減衰振動波と、それよりも後方側の商品3が取られたときの減衰振動波とが異なるようになり、棚制御回路23は、前方側の商品3が取られたか、それよりも後方側の商品3が取られたかを識別できるようになる。そのため前方側と後方側の商品3が一度に取られるといった多量の商品3の万引行為の可能性が高い行動と、前方側の商品3だけが取られるといった通常の買い物の可能性が高い行動とを識別することができるアンテナユニット8を提供することができる。
【0068】
また、棚アンテナ6は、その前辺L1と後辺L2とが平行で長さが異なる略台形状をなし、複数の棚アンテナ6は、その形状の前後の向きが互い違いになるように底面板19に左右方向に並設されることで、棚アンテナ6の形状を略台形状の同一形状にして複数の棚アンテナ6を共通化し、棚アンテナ6の製造コストを低減させるとともに、底面板19の前辺に対する垂線Vに交差する側辺を有する形状となっている棚アンテナ6を、底面板19に敷詰めることができる。
【0069】
また、隣り合う棚板用共振タグ26同士の間の距離を離間させたり、隣り合う棚板用共振タグ26同士で異なる向きに配置させたりして、隣り合う棚板用共振タグ26同士における互いの辺が近接して平行となる範囲が減少させることで、隣り合う棚板用共振タグ26同士が互いに発する電磁波が干渉し合う状態を低減させながら、棚板用共振タグ26を表面板に敷詰めることができる。
【0070】
また、底面板19の下面には、シート状をなすフェライトシート20が貼り付けられているので、アンテナユニット8が配置される商品陳列装置の棚板4が金属製であっても、底面板19と棚板4との間にフェライトシート20が配置され、棚アンテナ6から入力される磁力線がフェライトシート20により遮蔽されるようになり、棚板4に磁力線による渦電流が発生することを防止でき、棚アンテナ6は棚板用共振タグ26の電磁波を検出できる。
【0071】
また、棚アンテナ6は、棚板用共振タグ26が発する電磁波の減衰振動波を検出し、減衰振動波を検出情報として棚制御回路23に入力するようになっており、棚制御回路23は、入力される減衰振動波の増大または減少に基づいて、表面板18に陳列されている商品3の商品数を推定するので、減衰振動波を比較するだけの簡素な構成で棚制御回路23を設けることができ、かつ電磁波タグとして低コストで製造できる棚板用共振タグ26を使用することが可能になり、アンテナユニット8を用いて商品を管理する商品陳列装置の設置コストを低減することができる。
【実施例2】
【0072】
次に、実施例2に係る商品陳列装置につき、図11から図14を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0073】
図13に示すように、商品3の下面には、実施例2における妨害部としての商品用RFIDタグ27が個別に貼り付けられている。この商品用RFIDタグ27は、商品販売店舗において、商品3を商品陳列棚1に陳列する際に商品3に貼り付けられる。また、表面板18の下面には、商品用RFIDタグ27と同一構成をなす実施例2における電磁波タグとしての棚板用RFIDタグ28が、実施例1の棚板用共振タグ26と同様に複数貼り付けられている。
【0074】
図12に示すように、実施例2における商品陳列装置のシステム構成は、実施例1の棚板用共振タグ26を、棚板用RFIDタグ28に置き換えるとともに、実施例1の商品用共振タグ14を、商品用RFIDタグ27に置き換えた構成となっており、その他のシステム構成は実施例1と同様なものとなっている(図8参照)。
【0075】
尚、商品用RFIDタグ27は、表面板18の下面に貼り付けられている棚板用RFIDタグ28と同一の構成をなしている。図14に示すように、RFIDタグ27,28は、情報が記憶されたICチップ29と、このICチップ29に記憶された情報を電磁波を用いて送受信するためのコイルアンテナ30と、を備えている。このコイルアンテナ30と棚アンテナ6との間で電磁波を用いて通信可能となっている。尚、RFIDタグ27,28のICチップ29には、RFIDタグ27,28に固有に付与された本実施例における検出情報及び識別情報としてのタグIDが記憶されている。
【0076】
具体的に説明すると、棚板用RFIDタグ28は、棚アンテナ6から送信された送信電磁波によりコイルアンテナ30が電磁誘導により発電を行い、ICチップ29を稼動させるとともに、コイルアンテナ30を用いて返信電磁波を棚アンテナ6に向けて送信できるようになっており、ICチップ29の情報を非接触方式(無線方式)で棚アンテナ6によって読み取るパッシブ型のRFIDタグである。そして、制御部10はこれら棚板用RFIDタグ28から各棚アンテナ6によってタグIDを検出することで、商品陳列棚1に陳列されている商品3を監視している。
【0077】
一方、商品3の下面に貼り付けられる商品用RFIDタグ27のICチップ29には、各商品の価格や製造年月日、製造業者等の商品情報が記憶されており、店舗のレジにてICチップ29からPOS端末等によって商品情報を読み込むことにより会計処理が可能となっている。また、商品用RFIDタグ27は、商品3を商品陳列棚1に陳列する際に商品3に貼り付けられ、レジ等で会計する際に商品用RFIDタグ27のタグIDを読み取って会計処理をするとともに、会計後に商品3から取り外されて再利用されるようになっている。
【0078】
商品用RFIDタグ27を貼り付けられた商品3が表面板18の上面に陳列されると、棚板用RFIDタグ28と商品用RFIDタグ27とが互いに近接するようになっている。棚板用RFIDタグ28と商品用RFIDタグ27とが近接されると、棚板用RFIDタグ28と棚アンテナ6との間の電磁波の送受信が行えなくなるという現象が生じるようになっている。
【0079】
つまり棚板用RFIDタグ28と棚アンテナ6との間の電磁波の送受信が商品用RFIDタグ27によって妨害されるようになる。この商品用RFIDタグ27が本実施例における妨害部を構成している。実施例2では、商品用RFIDタグ27は、その金属特性のみを用いて妨害部を構成しており、商品用RFIDタグ27自体が有するタグIDは特に必要ではない。
【0080】
また、商品3が表面板18の上面から取り上げられることで、棚板用RFIDタグ28と商品3の下面に貼り付けられた商品用RFIDタグ27とが離間するようになっている。棚板用RFIDタグ28と商品用RFIDタグ27とを離間させると、棚板用RFIDタグ28と棚アンテナ6との間で電磁波の送受信ができるようになる。
【0081】
そして、制御部10は、これら棚板用RFIDタグ28を、各棚アンテナ6によって検出することで、商品陳列棚1に陳列されている商品3を間接的に監視している。図11に示すように、実施例2における記憶部22には、前回状態のタグIDが記憶された前回状態テーブルが記憶されている。また、各アンテナユニット8には、固有のIDであるアンテナユニットIDが付与されており、アンテナユニットIDは、配置されている棚板4の位置とともに、前回状態で検出したタグIDに関連付けられて前回状態テーブルに記憶されている。
【0082】
実施例2では、今回状態として、タグIDを棚アンテナ6が検出すると、検出したタグIDを今回状態として、前回状態テーブルに記憶されているタグIDと比較する比較処理を行う。このとき、前回状態と今回状態のタグIDを比較することによって、棚板4の上面に陳列されている商品3の個数を推定することができる。
【0083】
また、例えば、棚板用RFIDタグ28の配置を商品3の配置に合わせるようにして、商品3の商品用RFIDタグ27と棚板用RFIDタグ28とを1対1で対応させるようにすれば、前回状態と今回状態のタグIDを比較することによって、棚板4の上面に陳列されている商品3の個数を正確に把握することもできる。
【実施例3】
【0084】
次に、実施例3に係る商品陳列装置につき、図15を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0085】
図15(a)に示すように、実施例3おける商品3’は、実施例1及び2と異なり、商品3’自体が、電磁波を遮蔽する金属部材により構成された本実施例における妨害部としての缶入飲料(缶詰)で形成されている。
【0086】
図15(a)に示すように、商品3’が表面板18の上面に陳列されることで、商品3’と、表面板18の下面に取り付けられた棚板用共振タグ26とが、互いに近接するようになっている。棚板用共振タグ26と商品3’とを近接させると、商品3’により電磁波が遮蔽されるようになり、棚アンテナ6は棚板用共振タグ26の電磁波の検出ができなくなる。
【0087】
図15(b)に示すように、商品3’表面板18の上面から取り除かれた状態では、商品3’が棚板用共振タグ26から離間されており、棚アンテナ6は棚板用共振タグ26の電磁波の検出ができるようになる。
【実施例4】
【0088】
次に、実施例4に係る商品陳列装置につき、図16から図18を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0089】
図16及び図17に示すように、実施例4における表面板18の上面には、棚板用共振タグ26が配置された位置に対応して、妨害部31が取り付けられている。この妨害部31は、合成樹脂等の材質で形成されたシート基材32と、このシート基材32の上面に貼り付けられて電磁波を妨害する金属製の電磁波遮蔽シート33と、下面が表面板18の上面に貼り付けられる基台34と、から構成されている。
【0090】
また、シート基材32は、その一部が折曲されて折曲部35が形成され、この折曲部35を基台34に貼り付けることで、シート基材32が基台34と連結されている。尚、この折曲部35を軸としてシート基材32は、上下方向に揺動移動されるようになっている。尚、妨害部31上に商品3’’が載置されていない状態において、シート基材32と基台34とのなす角度θは、シート基材32が有する復元力によって、直角以下の角度を維持するようになっている。
【0091】
図18(a)に示すように、商品3’’が妨害部31上に載置されることで、妨害部31が下方に揺動移動されるようになっている。このとき電磁波遮蔽シート33が板用共振タグ26に近接し、電磁波遮蔽シート33により電磁波が遮蔽されるようになり、棚アンテナ6は棚板用共振タグ26の電磁波の検出ができなくなる。
【0092】
図18(b)に示すように、商品3’’が表面板18の上面から取り除かれた状態では、妨害部31の電磁波遮蔽シート33が棚板用共振タグ26から離間される方向に角度θをなして揺動され、電磁波遮蔽シート33と棚板用共振タグ26とが離間されるようになり、棚アンテナ6は棚板用共振タグ26の電磁波の検出ができるようになる。
【0093】
このように、実施例4では、商品3’’に、商品用共振タグ14や商品用RFIDタグ27を取り付けたり、商品3’’自体を金属部材により構成したりする必要がなくなり、使用する商品用共振タグ14や商品用RFIDタグ27の使用量を低減させることができる。
【0094】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0095】
例えば、前記実施例では、棚板用共振タグ26が発する電磁波を棚アンテナ6で検出することで、商品3の大量万引きの監視を行ったが、大量万引きの監視に限らず、各棚板4上の推定される商品数を管理コンピュータ2に表示させることによって、店舗の従業員等が商品陳列棚1に陳列されている商品3の在庫等を確認できる管理装置として使用してもよい。
【0096】
また、前記実施例では、電磁波タグを棚板用共振タグ26にするとともに、妨害部を商品3に貼り付けられた商品用共振タグ14とし、前記実施例2では、電磁波タグを棚板用RFIDタグ28とするとともに、妨害部を商品3に貼り付けられた商品用RFIDタグ27としているが、妨害部の構成は、棚アンテナ6が電磁波タグの電磁波を検出することを妨害することができればよく、例えば、棚板用の電磁波タグを棚板用共振タグ26とするとともに、妨害部を商品用RFIDタグ27として、異なる種類のタグによって棚板用電磁波タグと妨害部とを構成してもよい。更に、妨害部は棚アンテナ6が検出する電磁波を妨害するものならいかなるものでもよく、例えば、電磁誘導効果により磁界を打ち消すコイル部材や、商品3に貼り付ける金属製のシールのようなものでもよい。
【0097】
また、前記実施例では、棚制御回路23は、商品陳列棚1から多数の商品3が離間したと判断すると、監視カメラ7の作動及び警告モニタ9の表示を行ったが、棚制御回路23が商品陳列棚1から多数の商品3が離間したと判断した際に、管理コンピュータ2上で、その管理者のみに報知を行うようにしてもよい。
【0098】
また、前記実施例では、棚アンテナ6の形状が平面視で略角形状に形成されているが、棚アンテナ6の形状は、略三角形状や略平行四辺形状であってもよく、少なくとも棚アンテナ6の側辺が垂線Vに対して交差する側辺を有す形状であればよい。
【0099】
また、前記実施例では、各棚アンテナ6の台形状の前後の向きが互い違いとなるように配置されているが、前辺L1が後辺L2よりも長い複数の棚アンテナ6のみを並べるようにしてもよし、前辺L1が後辺L2よりも短い複数の棚アンテナ6のみを並べるようにしてもよい。
【0100】
また、前記実施例3では、妨害部として缶入飲料(缶詰)をなす商品3’を用いているが、例えば、商品3’を一般販売用の薬商品とし、この薬商品を、アルミ等の金属が蒸着された内袋(アルミパック)と、この内袋を収納するボール紙製の外箱と、で構成して、内袋を妨害部として用いてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 商品陳列棚
2 管理コンピュータ
3 商品
3’ 商品(妨害部)
3’’ 商品
4 棚板
6 棚アンテナ(陳列部アンテナ)
7 監視カメラ(報知手段)
8 アンテナユニット(商品検出ユニット,商品陳列装置)
9 警告モニタ(報知手段)
10 制御部(商品陳列装置)
14 商品用共振タグ(妨害部)
18 表面板(商品陳列部)
19 底面板
20 フェライトシート(磁性部材)
23 棚制御回路(検出情報処理手段,減少判定手段)
26 棚板用共振タグ(電磁波タグ)
27 商品用RFIDタグ(妨害部)
28 棚板用RFIDタグ(電磁波タグ)
31 妨害部
33 電磁波遮蔽シート(妨害部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波タグが発する電磁波を検出する陳列部アンテナが設けられ、該陳列部アンテナによる前記電磁波の検出に基づく検出情報を検出情報処理手段に入力する商品検出ユニットであって、
前記複数の商品を上面に陳列する表面板を有し、該表面板には、複数の前記電磁波タグが設けられるとともに、該表面板の下方には、前記陳列部アンテナが設けられた底面板が配置され、前記表面板と前記底面板とが一体的に重なり合っており、前記表面板の上面または前記商品には、前記電磁波を妨害する妨害部が設けられ、前記商品が前記表面板に配置されたときに、前記妨害部が前記複数の電磁波タグのうち少なくとも1つの電磁波タグに近接し、該妨害部に近接された電磁波タグの電磁波が前記陳列部アンテナを用いて検出できなくなることを特徴とする商品検出ユニット。
【請求項2】
前記底面板には、複数の前記陳列部アンテナが左右方向に並設され、該各陳列部アンテナは、平面視において、その側辺が前記底面板の前辺に対する垂線に交差する略角形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の商品検出ユニット。
【請求項3】
前記陳列部アンテナは、その前辺と後辺とが平行で長さが異なる略台形状をなし、前記複数の陳列部アンテナは、その形状の前後の向きが互い違いになるように前記底面板に左右方向に並設されることを特徴とする請求項2に記載の商品検出ユニット。
【請求項4】
前記電磁波タグが略矩形状をなし、隣り合う電磁波タグ同士における互いの辺が近接して平行となる範囲が減少するように、前記複数の電磁波タグを前記表面板に配置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の商品検出ユニット。
【請求項5】
前記底面板の下面には、シート状をなす磁性部材が貼り付けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の商品検出ユニット。
【請求項6】
前記陳列部アンテナは、前記電磁波タグが発する電磁波の減衰振動波を検出し、該減衰振動波を前記検出情報として前記検出情報処理手段に入力するようになっており、前記検出情報処理手段は、入力される前記減衰振動波の増大または減少に基づいて、前記表面板に陳列されている前記商品の商品数を推定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の商品検出ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−211451(P2010−211451A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56138(P2009−56138)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【出願人】(000108649)タカヤ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】