説明

商品籠移送装置

【課題】ショッピングカートの下段に載せた商品籠を簡単にレジ台へ移すことができ、コストも低廉で済む商品籠移送装置を提供すること。
【解決手段】レジ台1と、レジ台1の端部に設置されたカウンター2と、商品籠Aを載せる上段棚4及び下段棚5を有するショッピングカート3を備え、カウンター2は、その上面の高さが、ショッピングカート3の下段棚5以下となる下降位置と、レジ台1の上面と同じになる上昇位置との間を昇降可能であり、カウンター2又はショッピングカート3の下段棚5に、下降位置におけるカウンター2の上面とショッピングカート3の下段棚5との間に架設可能な移送板11を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等において、商品籠をショッピングカートとレジ台との間で移送する商品籠移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等で大量の商品を購入すると、商品を二つの商品籠に収納し、ショッピングカートの上下段の棚にそれぞれ商品籠を載せて搬送しなければならないことがある。
ところが、料金清算が行われるレジ台は、ショッピングカートの上段棚とほぼ同じ高さなので、下段棚に載せた商品籠は商品を収納したまま持ち上げて、レジ台の上に載せなければならない。このような重い商品籠を持ち上げる作業は、非力な女性や高齢者にとって大変な負担となる。
【0003】
従来、ベースフレーム部とサイドフレーム部とからなる略L字型の台車本体と、サイドフレーム部に片持支持され上下に移動可能な荷物搭載用の板状リフト部を備え、リフト部に荷物を載せて店舗内を搬送し、リフト部を昇降させて荷物を自動車やカウンターに上げ下ろしすることができる店舗用搬送車が知られている(特許文献1参照)。
しかし、このものは、荷物を搬送する搬送車そのものに高価なリフト部を設置してあるので、スーパーマーケット等で多数準備されているショッピングカートの全てにこのような装置を設置すると、非常にコストが高くついて実際的ではない。
【0004】
【特許文献1】特開2001−63584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ショッピングカートの下段棚に載せた商品籠を簡単にレジ台へ移すことができ、コストも低廉で済む商品籠移送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の商品籠移送装置は、レジ台の端部に設置されたカウンターと、商品籠を載せる上段棚及び下段棚を有するショッピングカートとを備え、前記カウンターは、その上面の高さが、ショッピングカートの下段棚以下となる下降位置と、前記レジ台の上面と同じになる上昇位置との間を昇降可能であり、前記カウンター又はショッピングカートの下段棚に、下降位置における前記カウンターの上面とショッピングカートの下段棚との間に架設可能な移送板を設けてある。
【0007】
以下の構成を採用しても良い。
カウンター設置箇所の、前記レジ台側及び移送板設置側を除く側面を透明で開閉可能な側壁により閉鎖した構成。
前記下段棚の上面にベアリングを設置した構成。
前記下段棚を移送板設置側が低くなるよう傾斜させた構成。
前記移送板を起倒可能とした構成。
前記移送板を前記カウンターの上面に摺動して出没するよう設けた構成。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、商品が収納された商品籠をカウンターに載せて昇降させることにより、重い商品籠を簡単にショッピングカートの下段棚からレジ台の高さへ上げたり、レジ台から下段棚の高さへ下ろすことができ、非力な女性や高齢者であっても楽に料金清算を行うことが可能となる。
また、カウンターとショッピングカートの下段棚とに移送板を架け渡すことにより、商品籠を簡単にカウンターと下段棚との間で移動させることができる。
さらに、各レジ台に昇降可能なカウンターを設置するだけなので、設置に要するコストが低廉で済む。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、カウンターが昇降する際に手や物品を挟む心配が無く、カウンターの状態を見ることもできる。
請求項3,4及び6に係る発明によれば、商品籠をショッピングカートの下段棚の上を滑らせて移動させるのが容易となる。
請求項5に係る発明によれば、使用しない場合には移送板が外方へ突出しないので邪魔にならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の商品籠移送装置は、レジ台の端部に設置されたカウンターと、商品籠を載せる上段棚及び下段棚を有するショッピングカートとを備える。カウンターは、上面の高さが、ショッピングカートの下段棚以下となる下降位置と、レジ台の上面と同じになる上昇位置との間を昇降する。カウンター又はショッピングカートの下段棚に、下降位置におけるカウンターの上面とショッピングカートの下段棚との間に架設可能な移送板を設ける。ショッピングカートの下段棚に載せた商品籠を、移送板によって下降したカウンターの上面に移動させてから、カウンターを上昇させ、さらにカウンターに載せた商品籠をレジ台に移す。
【実施例1】
【0011】
図1〜図5は、本発明の実施例1を示す。
商品籠移送装置は、図1に示すように、レジ台1の前端部(店内側の端部)に設置されたカウンター2と、商品籠Aを載せるための上段棚4及び下段棚5を有するショッピングカート3とを備える。
レジ台1は、スーパーマーケット等において料金清算を行う通常のレジ台と代わるところはない。
【0012】
カウンター2は、レジ台1の奥行きとほぼ同じ奥行きで、商品籠Aの平面よりやや広い矩形板より成り、昇降装置6で支持されている。本実施例では、昇降装置6として、多数のリンク部材より成るパンタグラフタイプのものを用いているが、エアシリンダや、電動モータで巻き取り・巻き戻しされるワイヤ等が考えられる。
そして、昇降装置6を作動させると、カウンター2は、その上面がショッピングカート3の下段棚5以下となる下降位置と、レジ台1の上面と同じ高さとなる上昇位置との間を昇降する。また、カウンター2が下降位置及び上昇位置に達すると、リミットスイッチが働いて昇降装置6が停止するようになっている。
【0013】
カウンター2及び昇降装置6は、レジ台1の端部に設けられたフレーム7内に設置されている。フレーム7は、レジ台1の前端部に、レジ台1と同じ高さ及び幅で連続して設けられ、その後面はレジ台1で閉鎖されると共に、両側面は透明な側壁8で囲まれている。昇降装置6のメインテナンス等のために、側壁8は開閉自在としてある。
また、フレーム7の上端前縁には蓋板10が開閉自在に取り付けられ、フレーム7の上面を蓋板10で閉鎖できるようになっている。蓋板10を閉じると、蓋板10の上面とレジ台1の上面とは面一となる。
さらに、フレーム7の外面には、昇降装置6を作動させる操作スイッチ9が設置されている。
【0014】
ショッピングカート3は、スーパーマーケット等で使用されている一般的なものとほぼ同じ構造を有するが、下段棚5の上面の先端縁に沿って移送板11が起倒可能に設けられ、移送板11を垂直に起立させたり、外方へ倒したりできるようになっている。そして、商品籠Aを下段棚5に載せて搬送する際には、移送板11を起立させておく。
なお、ショッピングカート3の上段棚4の上面先端縁にも、起倒可能な移送板11を設けてある。
また、下段棚5は、その上面に載せた商品籠Aを容易に滑らせることができるように、滑り易い材質で形成するか、上面にベアリングを設置すると良い。
【0015】
この商品籠移送装置は次のように使用する。
通常は、ショッピングカート3の上段棚4に商品籠Aを載せて搬送するので、図2に示すように、蓋板10及び側壁8を閉じ、カウンター2は下降位置にまで下げておく。
この場合、ショッピングカート3をフレーム7の前方へ、その先端をフレーム7に向けて停止させ、上段棚4の移送板11を倒してその先端を蓋板10の上面に係止する。そして、上段棚4と蓋板10に架け渡した移送板11の上を滑らせて商品籠Aを移動させ、さらにこの商品籠Aをレジ台1の上に移動させて料金清算を行う。
【0016】
ショッピングカート3の下段棚5にも商品籠Aを載せてある時は、上段棚4上の商品籠Aをレジ台1まで移動させた後、図3に示すように、蓋板10を開いてフレーム7の上面を開口させる。
次に、ショッピングカート3の下段棚5の移送板11を倒し、その先端を下降位置にあるカウンター2の上面に係止させる。そして、下段棚5とカウンター2に架け渡した移送板11の上を滑らせて、下段棚5に載せた商品籠Aをカウンター2上に移動させる。この時、図4に示すように、側壁8を開けてフレーム7の側面を開放すると、商品籠Aを移動させやすい。
商品籠Aを移動させたら、下段棚5の移送板11は再び起立させる。
次いで、操作スイッチ9を操作してカウンター2を上昇させる。カウンター2は、上昇位置に達すると停止して、図5に示すように、その上面がレジ台1の上面と面一になるので、カウンター2の上面からレジ台1の上面へ商品籠Aを移動させる。
【実施例2】
【0017】
図6は、本発明の実施例2を示す。
ショッピングカート3の下段棚5を、移送板11が設置された先端側が低くなるようやや傾斜させてある。従って、下段棚5の上に載せた商品籠Aを簡単に移送板11に向けて滑らせることができる。
その他の構成及び使用方法は、実施例1と変わるところはない。
【実施例3】
【0018】
図7及び図8は、本発明の実施例3を示す。
本実施例では、図7に示すように、カウンター2の上面に移送板11を、前後方向へ摺動して前端から出没するよう設置してある。
また、図8に示すように、カウンター2は下降位置にある時、その上面とショッピングカート3の下段棚5の上面とが面一になる。
移送板11の先端部は先細の断面テーパー状に形成されているので、下段棚5に商品籠Aが載せられたショッピングカート3を下降位置にあるカウンター2の前端に臨んで停止させ、移送板11を前方へ突出させると、移送板11は商品籠Aと下段棚5との間に差し込まれ、下段棚5とカウンター2との間に架設された移送板11の上に商品籠Aが載る。
この状態で移送板11を後方へ摺動させると、移送板11に載置された商品籠Aは移送板11と共にカウンター2の上面に移動する。
なお、移送板11は、電動で摺動させても、手動で摺動させても良い。
その他の構成及び使用方法は実施例とほぼ同じである。
【0019】
なお、実施例1において、移送板11をカウンター2の上面後縁に起倒可能に設け、移送板11を倒してその先端を下段棚5の上面に係止するようにしても良い。
また、蓋板10を設けず、上昇位置にあるカウンター2でフレーム7の上面を閉鎖しても良い。
さらに、レジ台1の後端部にもカウンター2を設置し、料金清算が終了した商品をレジ台1からショッピングカート3の下段棚5へ移送することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1を示す商品籠移送装置の側面図。
【図2】実施例1を示す通常状態における商品籠移送装置の側面図。
【図3】実施例1を示す下段棚からカウンターへ商品籠を移送する際の商品籠移送装置の側面図。
【図4】実施例1に係る商品籠移送装置の要部斜視図。
【図5】実施例1を示すカウンターを上昇させた時の商品籠移送装置の側面図。
【図6】実施例2に係るショッピングカートの側面図。
【図7】実施例3に係るカウンターの平面図。
【図8】実施例3を示す商品籠移送装置の側面図。
【符号の説明】
【0021】
A 商品籠
1 レジ台
2 カウンター
3 ショッピングカート
4 上段棚
5 下段棚
6 昇降装置
7 フレーム
8 側壁
9 操作スイッチ
10 蓋板
11 移送板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジ台の端部に設置されたカウンターと、商品籠を載せる上段棚及び下段棚を有するショッピングカートとを備え、前記カウンターは、その上面の高さが、ショッピングカートの下段棚以下となる下降位置と、前記レジ台の上面と同じになる上昇位置との間を昇降可能であり、前記カウンター又はショッピングカートの下段棚に、下降位置における前記カウンターの上面とショッピングカートの下段棚との間に架設可能な移送板を設けてあることを特徴とした商品籠移送装置。
【請求項2】
カウンター設置箇所の、前記レジ台側及び移送板設置側を除く側面を透明で開閉可能な側壁により閉鎖した請求項1に記載の商品籠移送装置。
【請求項3】
前記下段棚の上面にベアリングを設置してある請求項1又は2に記載の商品籠移送装置。
【請求項4】
前記下段棚を移送板設置側が低くなるよう傾斜させてある請求項1又は2に記載の商品籠移送装置。
【請求項5】
前記移送板を起倒可能とした請求項1〜4のいずれかに記載の商品籠移送装置。
【請求項6】
前記移送板を前記カウンターの上面に摺動して出没するよう設けた請求項1又は2に記載の商品籠移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−254836(P2008−254836A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96477(P2007−96477)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【特許番号】特許第3985971号(P3985971)
【特許公報発行日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(507106869)
【Fターム(参考)】