説明

商品表示用具及び商品陳列用具

【課題】 運搬や保管時に嵩張らず、様々な形状の陳列棚周縁の柵等に取り付け可能で、仕切り板等を備える陳列棚にも適用することができ、既に商品が陳列された陳列棚に使用する際に陳列された商品を取り除かなくとも使用できる、広告面積の広い商品表示用具及び当該商品表示用具を備える商品陳列用具を提供すること。
【解決手段】 背板と、背板の上端部を基端部として前方へ下向きに傾斜する表示部と、表示部の裏側にて背板に対向する保持部を備え、保持部と背板の間に陳列棚周縁の柵等を挟持する商品表示用具であって、保持部が、表示部の裏面に着脱可能に設けられていることを特徴とする商品表示用具とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の特徴や情報を表示する商品表示用具及び該商品表示用具を備える商品陳列用具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンビニエンスストアやドラッグストア等の店内では、多段式の陳列棚に多種多様の商品が商品毎に適宜区分され1列乃至数列に整列されて陳列されている。
このような商品陳列においては、各商品列の陳列棚前面に、陳列されている商品の特徴や情報を記載したポップ広告を表示することが広くなされている。
【0003】
近年、種々のポップ広告の中でも、毛髪用染色剤や脱色剤等の毛髪化粧料の販売では、実際に毛髪化粧料を用いた場合の仕上がり具合を示すために毛束見本がポップ広告に取り付けられて表示されているものもある。
【0004】
こうした商品表示を効果的に行うため、陳列棚にトレイ部を載置して陳列棚前面に商品を遮らない範囲で広い面積の表示部を確保する商品陳列用具(例えば特許文献1、2)や陳列棚前面の柵等に取着し陳列棚前面に表示部を確保する商品表示用具が提案されている(例えば特許文献3、4)。
【0005】
特許文献1、2に記載の商品陳列用具は、トレイ部に仕切りを備えており、商品を整列させ易く、特に特許文献1に記載の商品陳列用具は、トレイ部にて商品陳列用具同士を連結できるので、陳列棚に人がぶつかったりしても列が乱れ難く安定して陳列できる。
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載の商品陳列用具は、トレイ部と表示部(特許文献2では表示体を取り付ける部分)が一体に成形されているため、運搬や保管の際に嵩張り大きなスペースを要するので一度に大量の運搬ができないといった問題がある。
また、何れの商品陳列用具も所定の大きさのトレイ部を有することで安定し、前傾して落下することがないのであって、表示部のみを切り離して使用することはできず、仕切り板等を備える陳列棚に表示部のみを使用したい場合には適さないといった問題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の商品陳列用具は、多くの樹脂材料で形成されるので製作コストが高い或いは廃棄処理時に環境へ悪影響を及ぼす等といった問題もある。
【0008】
一方、特許文献3、4に記載の商品表示用具は、背板と抜け止め用突出部(保持部)の間に陳列棚前面の柵等を挟んで保持されるものであるが、保持部が表示部と一体に成形されているため、運搬や保管の際に重ねることができず、大きなスペースを要するので一度に大量の運搬ができないといった問題がある。
また、保持部の背板に対向する位置の形状が円弧状で、陳列棚前面の柵等の様々な形状に対応していないので、ぐらつきやズレ上がりといった不具合を生じる虞がある。
【0009】
さらに、特許文献1、2に記載の商品陳列用具及び特許文献3、4に記載の商品表示用具の何れもトレイ部又はこれに相当する底部を有しているので、すでに商品が陳列されている陳列棚に使用する場合には、陳列されている商品を一旦取り除かなければ使用できず作業性が悪いといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−33340号公報
【特許文献2】特開2001−61619号公報
【特許文献3】実用新案登録第3097772号公報
【特許文献4】実用新案登録第3117531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の問題を鑑み、運搬や保管時に嵩張らず、様々な形状の陳列棚周縁の柵等に取り付け可能で、仕切り板等を備える陳列棚にも適用することができ、既に商品が陳列された陳列棚に使用する際に陳列された商品を取り除かなくとも使用できる、広告面積の広い商品表示用具及び当該商品表示用具を備える商品陳列用具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、背板と、該背板の上端部を基端部として前方へ下向きに傾斜する表示部と、該表示部の裏側にて前記背板に対向する保持部を備え、該保持部と前記背板の間に陳列棚周縁の柵等を挟持する商品表示用具であって、前記保持部が、前記表示部の裏面に着脱可能に設けられていることを特徴とする商品表示用具に関する。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記保持部が、湾曲した板状部材であり、前記背板との最近接部分に該背板に平行な平面部分を有することを特徴とする請求項1に記載の商品表示用具に関する。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記平面部分の前記背板と対向する側の面に滑り止め部を有することを特徴とする請求項2に記載の商品表示用具に関する。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記保持部は、側面視略S字状をなすことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の商品表示用具に関する。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記基端部の側端部の一方に係合部を、他方に被係合部を夫々備え、これら係合部と被係合部とを互いに係合することにより複数個連結可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の商品表示用具に関する。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記表示部が、側面視前方に凸の凸曲面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の商品表示用具に関する。
【0018】
請求項7に係る発明は、前記凸曲面が、側面視において曲率の異なる複数の円弧で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の商品表示用具に関する。
【0019】
請求項8に係る発明は、前記表示部の下端部は、前記背板の下端部より下方に位置することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の商品表示用具に関する。
【0020】
請求項9に係る発明は、前記表示部の表面を覆う透明部材を備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の商品表示用具に関する。
【0021】
請求項10に係る発明は、前記表示部に毛束見本が着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の商品表示用具に関する。
【0022】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至10の何れかに記載の商品表示用具と、前記背板の少なくとも一方の側端部において、前記背板と直角を成し前記背板の後方へ延伸するように立設された仕切り板からなり、該仕切り板は前記背板に着脱可能に設けられていることを特徴とする商品陳列用具に関する。
【0023】
請求項12に係る発明は、前記仕切り板は、後方部分の高さが、前方部分の高さより高いことを特徴とする請求項11に記載の商品陳列用具に関する。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に係る発明によれば、背板と、背板の上端部を基端部として前方へ下向きに傾斜する表示部と、表示部の裏側にて背板に対向する保持部を備え、保持部と背板の間に陳列棚周縁の柵等を挟持する商品表示用具であることにより、背板の後方にトレイ部等を有していないので、既に商品が陳列された陳列棚に使用する際に陳列された商品を取り除かなくとも使用することができるとともに、仕切り板等を備える陳列棚にも適用することができる。また、トレイ部がないので少ない樹脂材料で形成でき、製作コストや廃棄処理時の環境への影響を低減できる。
さらに、保持部が、表示部の裏面に着脱可能に設けられていることにより、運搬や保管時に保持部を取り外すことができるので重ねることができて嵩張らず、一度に大量に運搬することも可能である。また、狭持する柵等に応じて保持部を取り替えることも可能であるので極端に厚い板状の柵や特殊な形状の柵の陳列棚であっても取り付けることができる。
【0025】
請求項2に係る発明によれば、保持部が、湾曲した板状部材であり、背板との最近接部分に背板に平行な平面部分を有することにより、陳列棚周縁の柵等を線接触ではなく面接触で狭持できるので、ぐらつきやズレ上がりといった不具合が生じ難い。
【0026】
請求項3に係る発明によれば、平面部分の背板と対向する側の面に滑り止め部を有することにより、陳列棚周縁の柵等と平面部分の摩擦が大きくなり、ぐらつきやズレ上がりといった不具合がより生じ難い。
【0027】
請求項4に係る発明によれば、保持部は、側面視略S字状をなすことにより、陳列棚周縁の柵等の形状が、板状だけでなくパイプ状等であっても、ぐらつきなく安定して取り付けることができる。
【0028】
請求項5に係る発明によれば、基端部の側端部の一方に係合部を、他方に被係合部を夫々備え、これら係合部と被係合部とを互いに係合することにより複数個連結可能であることにより、複数個の商品表示用具夫々の保持部で陳列棚周縁の柵等を狭持できるので、より強固に保持することができ、ぐらつきやズレ上がりを防止できるとともに、陳列棚からの落下をも防止できる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、表示部が、側面視前方に凸の凸曲面に形成されていることにより、視認性が良く表示部前方からは何れの角度からでも見ることができ、陳列棚の最上段から最下段の何れの段にも使用することができる。
【0030】
請求項7に係る発明によれば、凸曲面が、側面視において曲率の異なる複数の円弧で形成されていることにより、より視認性が良く表示部前方からは何れの角度からでも見易いので、陳列棚の最上段から最下段の何れの段にも使用することができる。
【0031】
請求項8に係る発明によれば、表示部の下端部は、背板の下端部より下方に位置することにより、表示部が下方に拡がるので、商品を遮ることなく広告面積を大きくすることができる。
【0032】
請求項9に係る発明によれば、表示部の表面を覆う透明部材を備えることにより、表示部と透明部材の間にポップ広告を挟んで表示できるので、広告の差し替えが容易に行える。また、透明部材がカバーとなるのでポップ広告の汚れを防止できる。
【0033】
請求項10に係る発明によれば、表示部に毛束見本が着脱可能に取り付けられていることにより、ポップ広告と合わせて毛束見本を展示でき、宣伝効果を向上できる。
【0034】
請求項11に係る発明によれば、請求項1乃至10の何れかに記載の商品表示用具と、背板の少なくとも一方の側端部において、背板と直角を成し背板の後方へ延伸するように立設された仕切り板からなることから、商品を載置するトレイ部(底板)がないので少ない樹脂材料で形成でき、製作コストや廃棄処理時の環境への影響を低減できる。また、既に商品が陳列された陳列棚から商品を一旦取り除くことなく使用できるとともに、商品の陳列が乱れ難く安定に陳列展示することができる。
さらに、仕切り板は背板に着脱可能に設けられていることにより、運搬や保管時に仕切り板を取り外すことができるので嵩張らず、一度に大量に運搬することも可能である。
【0035】
請求項12に係る発明によれば、仕切り板は、後方部分の高さが、前方部分の高さより高いことにより、重心位置を仕切り板の後方とすることができるので、保持部を用いなくとも商品陳列用具が前傾して落下することがない。そのため周縁部に柵等を備えていない陳列棚にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る商品表示用具の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る商品表示用具の保持具を取り外した状態を示す下方斜視図である。
【図3】本発明に係る商品表示用具の側方中央断面図である。
【図4】本発明に係る商品表示用具の保持具を示す側面図及び斜視図である。
【図5】本発明に係る商品表示用具の使用状態を示す側面図である。
【図6】本発明に係る商品表示用具の部分拡大斜視図である。
【図7】本発明に係る商品表示用具の連結状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る商品表示用具の保持具を取り外した状態を示す側面図である。
【図9】毛束見本の一例を示す図である。
【図10】本発明に係る商品表示用具を備える商品陳列用具を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る商品陳列用具の仕切り板を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る商品表示用具及び商品陳列用具の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る商品表示用具の実施形態を示す斜視図である。
図1に示すように、本発明に係る商品表示用具(1)は、背板(2)と表示部(3)と保持部(4)を主要な構成としている。
なお、本明細書において前後方向とは、背板(2)に垂直な方向を意味し、背板(2)に対して表示部(3)側を前方、反対側を後方とする。
また左右方向は、表示部(3)の前方から見た左右を夫々左方向、右方向とする。
【0038】
商品表示用具(1)は、背板(2)と保持部(4)の間に陳列棚周縁の柵等を狭持して設置され、表示部(3)に陳列商品の特徴や情報を記載したポップ広告を貼り付け等して表示するものである。
【0039】
背板(2)と表示部(3)と保持部(4)とからなる商品表示用具(1)は、合成樹脂により成型されたものである。使用可能な合成樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。商品表示用具(1)の色彩は、特に限定されず、通常、白色であるが、意匠性を考慮して、青色、黒色等で着色されていても良く、透明であっても良い。
【0040】
表示部(3)は、背板(2)の上端部を基端部(21)として前方へ下向きに傾斜している。表示部(3)および背板(2)の左右方向の長さは、陳列展示する商品、若しくは商品を梱包した箱の大きさによって適宜選択される。表示部(3)および背板(2)の厚みは、特に限定されないが、外力により容易に変形しない強度を保持させる観点から、0.5〜3mmの範囲で成型されることが好ましい。
また、表示部(3)および背板(2)には、製作コストや廃棄処理時の環境への影響を低減させる観点から、切り抜き穴(22)、(31)が設けられていても良い。切り抜き穴(22)、(31)の形状や個数は、強度に影響を及ぼさない範囲内であれば特に限定されるものではない。
【0041】
保持部(4)は、表示部(3)に着脱可能に設けられている。保持部(4)は湾曲した板状部材で、表示部(3)の裏面に取り付けられ、背板(2)の前面に対向して配置されている。保持部(4)の取り付け位置は、表示部(3)の裏面に取り付けることができれば特に限定されないが、背板(2)と保持部(4)の間に陳列棚周縁の柵等を狭持して設置する観点から、表示部(3)の上端部側に取り付けられることが好ましい。
また、保持部(4)の厚みは、特に限定されないが、陳列棚に安定して設置できる強度を保持させる観点から、0.5〜3mmの範囲で成型されることが好ましい。保持部(4)の左右方向の長さは、着脱の観点、並びに製作コストや廃棄処理時の環境への影響を低減させる観点から、表示部(3)および背板(2)の左右方向の長さよりも短く成型されることが好ましい。
【0042】
図2は、商品表示用具(1)の保持部(4)を取り外した状態を示す下方斜視図である。図3は、商品表示用具(1)の側方中央断面図である。図4は保持部(4)を示す図で、図4(a)は側面図、図4(b)は後方斜視図である。
【0043】
図4(a)に示すように、保持部(4)の先端部(41)前方には係止突起(411)が形成されている。
図2,3に示すように表示部(3)裏面に形成された取付部(32)に先端部(41)を挿入することで、係止突起(411)を係止させて保持部(4)を取り付けることができる。一方、先端部(41)を後方に押すと、係止突起(411)の係止が外れ、保持部(4)を抜脱することができる。
なお、係止突起(411)の形状は、保持部(4)を取付部(32)に係止することができれば特に限定されるものではない。
【0044】
保持部(4)は着脱可能であるので、運搬や保管時に保持部(4)を取り外せば重ねることができて嵩張らず、一度に大量に運搬することが可能である。また、狭持する柵等に応じて保持部(4)を取り替えることも可能であるので極端に厚い板状の柵や特殊な形状の柵の陳列棚であっても取り付けることができる。
【0045】
保持部(4)は、図3に示すように背板(2)との最近接部分に背板(2)と平行な平面部分(42)を有していることが好ましい。
このような平面部分(42)を有することで、図5(a)に示す使用状態のように、陳列棚周縁の柵(F)が板状のものである場合に、背板(2)と保持部(4)との間に面接触で狭持させることができるので、接触面積が大きく摩擦が大きくなり、商品表示用具(1)のぐらつきやズレ上がりを発生させ難くすることができる。
【0046】
さらに、図4(b)に示すように、平面部分(42)には滑り止め部(421)を備えていることが好ましい。滑り止め部(421)を設けることにより、より面接触での摩擦が大きくなり商品表示用具(1)のぐらつきやズレ上がりをより発生させ難くすることができる。
なお、本実施形態では滑り止め部(421)は、平面部分(42)に設けられた左右方向に延びる平行な複数の突条としているが、これに限定されるものではなく、例えばゴム等の樹脂を平面部分に貼付して形成しても良い。
【0047】
また、保持部(4)は図4(a)に示すように側面視略S字状であることが好ましく、保持部(4)が先端部(41)から背板(2)と平行に立設する平面部分(412)を有し、更に側面視略S字状であることがより好ましい。
これにより、図5(b)に示す使用状態のように、陳列棚周縁の柵(F)がパイプ等のように断面円形状のものである場合にも、保持部(4)の湾曲部分と背板(2)で狭持できるので、安定して保持でき、商品表示用具(1)のぐらつきやズレ上がりを発生させ難くすることができる。
【0048】
図6に基端部(21)の左右側端部を示す部分拡大斜視図を示す。図6(a)は基端部(21)の右側端部、図6(b)は基端部(21)の左側端部を示す図である。
基端部(21)の右側端部には、図6(a)に示すように凸条の係合部(23)が形成されており、左側端部には、図6(b)に示すように係合部(23)と対になる凹条の被係合部(24)が形成されていることが好ましい。
【0049】
複数の商品表示用具(1)を並べて使用する場合において、商品表示用具(1)の係合部(23)と、これに隣接する商品表示用具(1)の被係合部(24)を係合させることで複数の商品表示用具(1)を連結することができる。
【0050】
図7は、隣接する2つの商品表示用具(1)を連結させた状態を示す図である。
このように複数の商品表示用具(1)を連結させた商品表示用具(1)は、複数個の商品表示用具(1)夫々の保持部(4)で陳列棚周縁の柵等を狭持できるので、より強固に保持することができ、ぐらつきやズレ上がりを防止できるとともに、陳列棚からの落下をも防止できる。
【0051】
なお、本実施形態において係合部(23)及び被係合部(24)は、図6に示すように基端部(21)の左右側端部夫々に形成された凸条及び凹条で、被係合部(24)の上方から係合部(23)を挿入することで連結するものであるが、特にこれに限定されるものではない。
【0052】
図8は、保持部(4)を取り外した状態の商品表示用具(1)を示す側面図である。
図8に示すように表示部(3)は、側面視前方に凸の凸曲面を形成していることが好ましい。より詳しくは、側面視において曲率の異なる複数の円弧によって形成される凸曲面であることが好ましい。
【0053】
このような凸曲面とすることにより、視認性が良く、表示部(3)前方からは何れの角度からでも見易くなるので、陳列棚の最上段から最下段の何れの段に設置しても宣伝効果を得ることができる。
【0054】
図8においては、側面視の形状は曲率半径が基端部(21)側から順にr、r(r<r)である2つの円弧で形成される曲線である。図中一点鎖線は変曲点を示している。
【0055】
曲率半径は、本実施形態では、r=80mm、r=200mmとしているが、r<rの条件を満たせば特に限定されず、表示部(3)の幅が30〜100mm程度の場合、rは60〜100mm程度、rは150〜250mm程度と例示することができる。
このように基端部(21)から表示部(3)の先端部(33)に向けて徐々に緩やかな曲面となるように構成すれば、表示部(3)前方において、何れの角度からも表示部(3)を見易く、陳列棚の最上段から最下段の何れの段に設置しても宣伝効果を得ることができる。特に、下方寄りからも見易いので買い物客の視線より高い位置に設置した場合であっても表示部(3)が買い物客の視線に入りより高い宣伝効果を得ることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、凸曲面の側面視形状を基端部(21)から先端部(33)に向けて徐々に緩やかな曲面となるよう曲率半径の異なる2つの円弧からなる曲線としたが、これに限定されず、3つや4つ或いは多数の円弧からなる曲線としても良いし、先端部(33)から基端部(21)に向けて徐々に緩やかになるようにしても良い。
【0057】
表示部(3)の下端部即ち先端部(33)は、図8に示すように背板(2)の下端部(25)より下方に位置することが好ましい。これにより、表示部(3)が下方に拡がるので、陳列される商品が買い物客から見え難くなることなく広告面積を大きくすることができる。
【0058】
表示部(3)の表面は、図1及び図3に示すように、基端部(21)と表示部(3)の先端部(33)に係止され、可撓性を有する樹脂板等の透明部材(5)によって覆われていることが好ましい。
【0059】
表示部(3)と透明部材(5)の間にポップ広告を挟んで表示させることができるので、粘着テープや接着剤等による貼付を要さず、広告の差し替えが容易に行うことができるからである。また、透明部材(5)がカバーとなるのでポップ広告の汚れも防止することができる。
【0060】
透明部材(5)に用いられる樹脂は、透明素材であれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネイト(PC)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂を例示することができる。
また、意匠性、広告性の観点から、青色や赤色等の有色透明であっても良い。透明部材(5)の厚みは、曲面を形成するための弾性変形を行う程度の厚みであれば特に限定されないが、通常、0.2〜0.6mmである。
【0061】
表示部(3)には、図1及び図7に示すように、毛束見本を設置する着脱可能な開口(34)を設けていても良い。このように毛束見本をポップ広告に設けて展示することで、毛髪用染色剤や脱色剤等の毛髪化粧料の販売において、より具体的な宣伝効果をもたらすことができる。
【0062】
図9に毛束見本の一例を示す。
毛束見本(6)は、例えば図9に示すように固定具(61)に紐体(62)で毛束(63)を吊下げた構成をとる。具体的には、図1及び図7に示すT字状の開口(34)に固定具(61)を挿入して係止することでポップ広告と合わせて毛束見本(6)を展示することができる。
なお、毛束見本(6)の構成、開口(34)の位置や形状は特に限定されるものではない。
また、開口(34)には毛束見本の他に、染料や塗料等の販売において染色した布地や塗装した小片等を色見本として展示しても良い。
【0063】
図10は、本発明に係る商品表示用具(1)を備える商品陳列用具を示す斜視図である。
本発明に係る商品表示用具(1)を備える商品陳列用具(10)は、図10に示すように、商品表示用具(1)と、背板(2)の左側端部において、背板(2)と直角を成して背板(2)の後方へ延伸するように立設された仕切り板(7)で構成されている。
【0064】
仕切り板(7)は、商品表示用具(1)と同様に合成樹脂により成型されたものである。使用可能な合成樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。仕切り板(7)の色彩は、特に限定されず、通常、白色であるが、意匠性を考慮して、青色、黒色等で着色されていても良く、透明であっても良い。また、仕切り板(7)の前後方向の長さは、陳列棚の奥行きによって適宜選択される。仕切り板(7)の厚みは、特に限定されないが、強度の観点から、0.5〜3mmの範囲で成型されることが好ましい。
【0065】
商品陳列用具(10)は、図10に示す構成とすることで、従来の商品陳列用具と異なり、商品を載置するトレイ部(底板)を有さないので、既に商品が陳列された陳列棚から商品を一旦取り出すことなく商品陳列用具(10)を設置することができるとともに、商品の陳列が乱れ難く安定に陳列展示することができる。また、少ない樹脂材料で形成することができ、製作コストや廃棄処理時の環境への影響を低減することができる。
なお、本実施形態では仕切り板(7)は、背板(2)の左側端部に位置しているが、これに限定されず、右側端部に位置しても良く、又は両側端部に位置しても良い。
【0066】
図11は仕切り板(7)を示す斜視図である。
仕切り板(7)は、図11に示すように前方端部に被嵌合部(71)を備えている。商品表示用具(1)は、図2に示すように背板(2)の下端部(25)に嵌合部(26)を備えている。
【0067】
商品陳列用具(10)は、被嵌合部(71)に嵌合部(26)を嵌合させることによって、商品表示用具(1)と仕切り板(7)とを取り付けている。
従って、仕切り板(7)は、商品表示用具(1)と容易に着脱することができる。そのため、商品陳列用具(10)は、運搬や保管時に商品表示用具(1)と仕切り板(7)とを分けることができ嵩張らないので、一度に大量に運搬することが可能である。
【0068】
仕切り板(7)は、図11に示すように前方部分(72)の高さより、後方部分(73)の高さが高く成型されている。より詳しくは、前方部分(72)の高さに比べ後方部分(73)の高さが2〜4倍程度になっている。このように、後方部分(73)の高さを高くすることで重心位置を仕切り板(7)の後方とすることができるので、保持部(4)を用いなくとも商品陳列用具(10)が前傾して落下することがない。そのため、商品陳列用具(10)は、周縁部に柵等を備えていない陳列棚にも利用することができる。
【0069】
なお、仕切り板(7)の前方部分(72)及び後方部分(73)の高さは、被嵌合部(71)にて取り付けた商品表示用具(1)の重さによって商品陳列用具(10)が前傾しない程度に重心が後方になれば良く、仕切り板(7)の形状、高さ等、特には限定されることはない。例えば、前方部分(72)と後方部分(73)の区別が無く前方から後方に亘って徐々に高くなる様な形状であっても良い。
また、仕切り板(7)には、製作コストや廃棄処理時の環境への影響を低減させる観点から、重心に影響を及ぼさない範囲内で、板の高さが高くなるにつれて厚みが薄くするようにテーパー(傾斜)を施しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、化粧料等の商品を陳列するための陳列棚周縁の柵等に取り付けて、陳列商品のポップ広告を表示する商品表示用具、及び該商品表示用具を備え、商品を整列させて陳列する商品陳列用具に利用できる。
【符号の説明】
【0071】
1 商品表示用具
10 商品陳列用具
2 背板
21 基端部
23 係合部
24 被係合部
3 表示部
4 保持部
42 平面部分
421 滑り止め部
5 透明部材
6 毛束見本
7 仕切り板
F 柵

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背板と、該背板の上端部を基端部として前方へ下向きに傾斜する表示部と、該表示部の裏側にて前記背板に対向する保持部を備え、該保持部と前記背板の間に陳列棚周縁の柵等を挟持する商品表示用具であって、
前記保持部が、前記表示部の裏面に着脱可能に設けられていることを特徴とする商品表示用具。
【請求項2】
前記保持部が、湾曲した板状部材であり、前記背板との最近接部分に該背板に平行な平面部分を有することを特徴とする請求項1に記載の商品表示用具。
【請求項3】
前記平面部分の前記背板と対向する側の面に滑り止め部を有することを特徴とする請求項2に記載の商品表示用具。
【請求項4】
前記保持部は、側面視略S字状をなすことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の商品表示用具。
【請求項5】
前記基端部の側端部の一方に係合部を、他方に被係合部を夫々備え、これら係合部と被係合部とを互いに係合することにより複数個連結可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の商品表示用具。
【請求項6】
前記表示部が、側面視前方に凸の凸曲面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の商品表示用具。
【請求項7】
前記凸曲面が、側面視において曲率の異なる複数の円弧で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の商品表示用具。
【請求項8】
前記表示部の下端部は、前記背板の下端部より下方に位置することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の商品表示用具。
【請求項9】
前記表示部の表面を覆う透明部材を備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の商品表示用具。
【請求項10】
前記表示部に毛束見本が着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の商品表示用具。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の商品表示用具と、
前記背板の少なくとも一方の側端部において、前記背板と直角を成し前記背板の後方へ延伸するように立設された仕切り板からなり、
該仕切り板は前記背板に着脱可能に設けられていることを特徴とする商品陳列用具。
【請求項12】
前記仕切り板は、後方部分の高さが、前方部分の高さより高いことを特徴とする請求項11に記載の商品陳列用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−172507(P2010−172507A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18765(P2009−18765)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【出願人】(000111133)ニッポー株式会社 (24)
【Fターム(参考)】