説明

商品販売データ処理システムと、このシステムで利用される商品販売データ処理端末およびカードライタ

【課題】熱記録デバイスについてのクリーニング時期を使用者に認識させる。
【解決手段】実施形態の商品販売データ処理システムは、商品販売データ処理端末とカードライタとを含み、カードライタは、熱記録デバイス、検出器および出力手段をさらに含み、商品販売データ処理端末は、警告デバイス、算出手段および制御手段を含む。熱記録デバイスは、記録ヘッドの発熱を利用してカードに情報を記録する。検出器は、記録ヘッドの温度を検出する。出力手段は、検出器が検出した温度に関する温度情報を商品販売データ処理端末へと出力する。警告デバイスは、記録ヘッドのクリーニングを実施するよう促す警告動作を行う。算出手段は、温度情報に基づいて記録ヘッドが高温状態である高温期間の累積時間を算出する。制御手段は、累積時間が規定時間を超えたことに応じて警告動作を行うように警告デバイスを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品販売データ処理システムと、このシステムで利用される商品販売データ処理端末およびカードライタに関する。
【背景技術】
【0002】
ポイントカードなどのカードに情報を記録するカードライタの中には、記録ヘッドの発熱を利用してカードに情報を記録する熱記録デバイスを搭載したものがある。
【0003】
この種のカードライタは、記録ヘッドが汚れると情報の記録に支障が生じる恐れがあるために、使用マニュアルなどにおいて定期的に記録ヘッドをクリーニングするよう使用者に要求している。
【0004】
また、カードの処理回数をカウントし、この処理回数に応じてクリーニング時期であることを外部に知らせる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−251659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録ヘッドのクリーニング時期の管理を使用者に任せていると、適正なタイミングでクリーニングが行われない恐れがある。また、発熱するタイプの記録ヘッドの場合には、熱による炭化などのために汚れが取れにくくなるために、処理回数に基づいてクリーニング時期を適正に管理することが困難であった。
【0007】
このような事情から、熱記録デバイスについてのクリーニング時期を使用者に認識させることを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の商品販売データ処理システムは、商品販売データ処理端末とカードライタとを含み、前記カードライタは、熱記録デバイス、検出器および出力手段をさらに含み、前記商品販売データ処理端末は、警告デバイス、算出手段および制御手段を含む。前記熱記録デバイスは、記録ヘッドの発熱を利用してカードに情報を記録する。前記検出器は、前記記録ヘッドの温度を検出する。前記出力手段は、前記検出器が検出した温度に関する温度情報を前記商品販売データ処理端末へと出力する。前記警告デバイスは、前記記録ヘッドのクリーニングを実施するよう促す警告動作を行う。前記算出手段は、前記温度情報に基づいて前記記録ヘッドが高温状態である高温期間の累積時間を算出する。前記制御手段は、前記累積時間が規定時間を超えたことに応じて前記警告動作を行うように前記警告デバイスを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】POSシステムの一部の要素の外観の斜視図。
【図2】POSシステムの一部の要素のブロック図。
【図3】POS端末が備えるRAMの記憶領域の一部のメモリマップを模式的に示す図。
【図4】POS端末が備えるCPUのフローチャート。
【図5】リーダ/ライタが備えるCPUのフローチャート。
【図6】警告画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下実施の形態の一例を図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、商品販売データ処理端末および商品販売データ処理システムとしてPOS(point-of-sale)端末およびPOSシステム100を例に説明する。
【0011】
図1はPOSシステム100の一部の要素の外観の斜視図である。図2はPOSシステム100の一部の要素のブロック図である。なお、図1および図2において同一の要素には同一の符号を付している。
【0012】
POSシステム100は、POS端末101、リーダ/ライタ102およびサーバ103を含む。
【0013】
POS端末101は、買い上げ商品の登録、買上金額の算出、決済、あるいはポイント処理などのような商品販売に係わる各種のデータ処理を行う。リーダ/ライタ102は、リライト式のカードに記録された情報の読み取りと、当該カードへの情報の書き込みとを行う。すなわち、リーダ/ライタ102はカードライタとしての機能を備える。POS端末101が設置されているのと同じ店舗に備えられたいわゆる店舗サーバや、POS端末101が設置されているのと同じ店舗を含んだ複数の店舗を総括する本部に備えられたいわゆる本部サーバである。サーバ103は、POS端末101およびその他のPOS端末装置(図示せず)でそれぞれ生成された商品販売データを集計したり、各POS端末装置で使用するデータを管理する。POS端末101とリーダ/ライタ102とは、通信ケーブルによって接続される。POS端末101とサーバ103とは、通信ネットワーク200によって接続される。通信ネットワークとしては、例えばLAN(local area network)またはインターネットが単独で、あるいはLANおよびインターネットを組み合わせて利用される。
【0014】
POS端末101は、CPU(central processing unit)1、ROM(read-only memory)2、RAM(random-access memory)3、補助記憶ユニット4、時計ユニット5、モードスイッチ6、ドロワ開放ユニット7、入出力ポート(I/O)8、通信インタフェース(通信I/F)9,10,11,12,13,14、スキャナ15、キーボード16、オペレータ用表示器17、客面表示器18、リーダ/ライタ102、プリンタ19、通信インタフェース13および通信デバイス20を含む。そして、CPU1、ROM2、RAM3、補助記憶ユニット4、時計ユニット5、入出力ポート8および通信インタフェース9〜14は、バス21にそれぞれ接続されている。
【0015】
CPU1は、ROM2およびRAM3に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、POS端末101としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0016】
ROM2は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM2は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM2は、CPU1が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。
【0017】
RAM3は、CPU1が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM3は、CPU1が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。RAM3の記憶領域の一部は、商品リストエリアとして使用される。RAM3の記憶領域の一部はさらに、図3に示すように書き込み回数メモリ3a、温度カウントメモリ3bおよび温度累積メモリ3cとして使用される。書き込み回数メモリ3aは、カードへの書き込み回数のカウント値を記憶する。温度カウントメモリ3bは、1枚のカードへの情報書き込みに際しての後述する高温期間の長さを算出するために利用される。温度累積メモリ3cは、カードへの複数回の情報書き込みのそれぞれに関する高温期間の長さの累積時間を算出するために利用される。またRAM3は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合も有る。商品リストエリアは、決済の対象となる商品に関する情報のリストを表した情報を記憶する。
【0018】
補助記憶ユニット4は、例えばハードディスクドライブやSSD(solid state drive)などであり、CPU1が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU1での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット4に記憶されるデータには、PLU(price look up)ファイルを含む。PLUファイルは、POS端末101が使用される店舗で販売または提供される商品(物品またはサービス)についての情報が記述されている。
【0019】
ROM2、RAM3または補助記憶ユニット4に記憶されるアプリケーションプログラムには、後述する処理に関して記述したプログラムを含む。このプログラムがRAM3または補助記憶ユニット4に記憶される場合、POS端末101の譲渡は、一般的に上記のプログラムがRAM3または補助記憶ユニット4に記憶された状態にて行われる。しかし、POS端末101を上記のプログラムがRAM3または補助記憶ユニット4に記憶されない状態で譲渡されるとともに、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して上記のプログラムを譲渡され、このプログラムが上記の別途に譲渡されたPOS端末101のRAM3または補助記憶ユニット4に書き込まれても良い。
【0020】
時計ユニット5は、定常的に計時動作を行い、日付および時刻を表した日時情報を生成する。時計ユニット5には、例えばTOD時計が利用できる。
【0021】
モードスイッチ6は、特定の鍵によって回転可能な鍵穴の向きを検出し、その検出結果をモード信号として出力する。鍵穴の向きには業務モードがそれぞれ割り付けられており、モード信号はこれらの動作モードのいずれが選択されているかを示す信号となる。業務モードは、登録、点検および精算などの各モードを含む。ちなみに登録モードは、スキャナ15またはキーボード16によりPLUコードが入力されされると、このPLUコードで識別される商品の販売または提供に係るデータ処理を行う。点検モードは、登録モードでの処理により生成された商品販売データから得られた売上集計データをレポート出力する。精算モードは、点検モードと同様に売上集計データをレポート出力した後に、この売上集計データをクリアする。
【0022】
ドロワ開放ユニット7は、ドロワを自動的に開放する。
【0023】
入出力ポート8は、モードスイッチ6が出力するモード信号をモードデータに変換してRAM3に書き込んだり、CPU1からドロワ開放が指示されたことに応じてドロワ開放ユニット7を駆動するための駆動信号をドロワ開放ユニット7に対して出力する。
【0024】
通信インタフェース9〜14には、スキャナ15、キーボード16、オペレータ用表示器17、客面表示器18、プリンタ19およびリーダ/ライタ102がそれぞれ接続される。通信インタフェース9〜14は、これら接続されたデバイスとCPU1との通信をインタフェースする。通信インタフェースとしては、例えばRS(recommended standard)−232C、PS/2、USB(universal serial bus)、LVDS(low voltage differential signaling)、IEEE(institute of electrical and electronic engineers)1284(いわゆるセントロニクス仕様)などの周知の規格に準拠したデバイスを適宜に利用できる。典型的には、通信インタフェース9にはUSBが、通信インタフェース10にはPS/2またはUSBが、通信インタフェース11にはLVDSが、通信インタフェース12にはRS−232CまたはUSBが、通信インタフェース13にはIEEE1284またはUSBが、通信インタフェース14にはRS−232CまたはUSBが適用される。
【0025】
スキャナ15は、商品や伝票に印刷されたバーコードを読み取る。スキャナ15には、固定タイプおよびハンディタイプのいずれか、またはその双方を含み得る。
【0026】
キーボード16は、操作者による操作の内容を表したコマンドを出力する。
【0027】
オペレータ用表示器17は、例えばLCD(liquid crystal display)であり、CPU1の制御の下に任意の画像を表示可能である。オペレータ用表示器17は、オペレータに対して提示するべき各種の情報を表した画像を表示するために利用される。
【0028】
客面表示器18は、例えばLCDや蛍光表示装置であり、CPU1の制御の下に任意の画像を表示可能である。客面表示器18は、客に対して提示するべき各種の情報を表した画像を表示するために利用される。
【0029】
プリンタ19は、例えばサーマルプリンタやドットインパクトプリンタなどであり、レシートおよび預かり票などの伝票を印刷する。
【0030】
通信デバイス20は、通信ネットワーク200を介してサーバ103と通信する。通信デバイス20としては、例えば既存のLAN通信デバイスを適用できる。
【0031】
リーダ/ライタ102は、CPU31、ROM32、RAM33、通信インタフェース34、磁気記録デバイス35、熱記録デバイス36およびカード搬送機構37を含む。これらCPU31、ROM32、RAM33、通信インタフェース34、磁気記録デバイス35、熱記録デバイス36およびカード搬送機構37は、それぞれバス38に接続されている。
【0032】
CPU31は、ROM32およびRAM33に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、リーダ/ライタ102としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0033】
ROM32は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM32は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM32は、CPU31が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。
【0034】
RAM33は、CPU31が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM33は、CPU31が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0035】
通信インタフェース34は、POS端末101に接続される。具体的には通信インタフェース34は、通信インタフェース14に接続される。通信インタフェース34は、CPU31とPOS端末101との通信をインタフェースする。典型的には、通信インタフェース14にはRS−232CまたはUSBが適用される。
【0036】
磁気記録デバイス35は、カードに磁気記録されているデータを読み取る。また磁気記録デバイス35は、カードへとデータを磁気記録する。
【0037】
熱記録デバイス36は、記録ヘッド36aおよび温度センサ36bを含む。記録ヘッド36aは、発熱し、その熱によって、カードの表面に印字したり、カードの表面の文字を消去する。温度センサ36bは、記録ヘッド36aの温度を検出する。温度センサ36bは、典型的にはサーミスタである。温度センサ36bは、記録ヘッド36aの発熱温度を制御するために設けられている。
【0038】
カード搬送機構37は、挿入排出口102aへと操作者によって挿入されたカードをリーダ/ライタ102の内部へと引き込む。カード搬送機構37は、カードを挿入排出口102aからリーダ/ライタ102の外部へとカードを排出する。
【0039】
次に以上のように構成されたPOSシステム100の動作について説明する。
【0040】
図4はCPU1のフローチャートである。
【0041】
ステップSa1乃至ステップSa3においてCPU1は、買い上げ商品の登録処理を開始すべき状態となるか、リーダ/ライタ102から送信されたカード情報が到来するか、あるいはリーダ/ライタ102から送信された温度低下情報が到来するのを待ち受ける。
【0042】
商品のバーコードがスキャナ15で読み取られたり、キーボード16にて商品を指定する操作がなされるなどの予め定められたイベントが発生しているならば、CPU1はステップSa1においてYESと判定し、ステップSa1からステップSa4へ進む。
【0043】
ステップSa4においてCPU1は、周知の手順によって買い上げ商品の登録処理を実行する。そして登録処理を完了したならば、CPU1は図4に示す処理を終了する。なお、CPU1は、図4に示す処理を終了した後、図4に示す処理を再度開始する。ただし、その間に別の処理を実行しても良い。
【0044】
図5はCPU31のフローチャートである。
【0045】
ステップSb1においてCPU31は、操作者によって挿入排出口102aへとカードが挿入されたか否かを確認する。そしてカードが挿入された場合にCPU31は、ステップSb1からステップSb2へ進む。
【0046】
ステップSb2においてCPU31は、挿入排出口102aへとカードを引き込むようにカード搬送機構37を制御する。
【0047】
ステップSb3においてCPU31は、カードの磁気データを読み取るように磁気記録デバイス35を制御する。磁気記録デバイス35がカードの磁気データを読み取って得られるデータ(以下、カードデータと称する)は、CPU31の制御の下に、あるいは磁気記録デバイス35によって直接にRAM33へと保存される。
【0048】
ステップSb4においてCPU31は、カードデータをPOS端末101へと通信インタフェース34から送信する。
【0049】
こののちにCPU31は、ステップSb5の待ち受け状態に移行する。ステップSb5においてCPU31は、POS端末101から送信されたカードデータが到来するのを待ち受ける。
【0050】
通信インタフェース34から送信されたカードデータは、通信インタフェース14により受信される。そしてこのことが通信インタフェース14からCPU1に通知されたならば、CPU1はステップSa2でYESと判定し、ステップSa2からステップSa5へ進む。
【0051】
ステップSa5においてCPU1は、カードデータをRAM3に保存する。カードデータの保存先は、補助記憶ユニット4としても良い。
【0052】
ステップSa6においてCPU1は、周知の手順によって買い上げ商品の登録処理を実行する。
【0053】
ステップSa7においてCPU1は、ステップSa5において保存したカードデータと、ステップSa6での登録処理の内容とを考慮して新たなカードデータを生成し、これを通信インタフェース14から送信する。具体的には例えば、ステップSa6での登録処理の内容に基づいて今回の買い物に対して付与するポイント数を決定し、ステップSa5において保存したカードデータが表すポイント残高に上記のポイント数を加算することで新たなポイント残高を算出し、この新たなポイント残高を表す情報として新たなカードデータを生成する。
【0054】
こののちにCPU1は、ステップSa8の待ち受け状態に移行する。ステップSa8においてCPU1は、排出通知情報が到来するのを待ち受ける。
【0055】
通信インタフェース14から送信されたカードデータは、通信インタフェース34により受信される。そしてカードデータは、CPU31の制御の下に、あるいは磁気記録デバイス35によって直接にRAM33へと保存される。これに応じてCPU31は、ステップSb5でYESと判定し、ステップSb5からステップSb6へ進む。
【0056】
ステップSb6においてCPU31は、上記の受信されたカードデータを表す磁気データをカードへと書き込むように磁気記録デバイス35を制御する。
【0057】
ステップSb7においてCPU31は、カードデータに含まれるデータのうちの少なくとも一部の内容を目視可能とする印字をカードに対して行うように熱記録デバイス36を制御する。
【0058】
ステップSb8においてCPU31は、カードをリーダ/ライタ102から排出するようにカード搬送機構37を制御する。
【0059】
ステップSb9においてCPU31は、カードを排出したことを通知するための排出通知情報をPOS端末101へと通信インタフェース34から送信する。
【0060】
ステップSb9を終えたならばCPU31は、図5に示す処理を終了する。なお、CPU31は、図5に示す処理を終了した後、図5に示す処理を再度開始する。ただし、その間に別の処理を実行しても良い。
【0061】
通信インタフェース34から送信された排出通知情報は、通信インタフェース14により受信される。そしてこのことが通信インタフェース14からCPU1に通知されたならば、CPU1はステップSa8でYESと判定し、ステップSa8からステップSa9へ進む。
【0062】
ステップSa9においてCPU1は、温度カウントメモリ3bの値が0であるか否かを確認する。そして温度カウントメモリ3bの値が0であるならば、CPU1はステップSa9からステップSa10へ進む。
【0063】
ステップSa10においてCPU1は、時計ユニット5が出力する時刻情報を取得し、温度カウントメモリ3bに保存する。なお、温度カウントメモリ3bの値が0ではなかった場合には、CPU1はこのステップSa10をパスしてステップSa11へ進む。
【0064】
ステップSa11においてCPU1は、書き込み回数メモリ3aの値Vaを1つ増加する。このようにCPU1は、カードへの印字を一度行う毎に値Vaを増加する。かくして値Vaは、書き込み回数を表す。かくしてこの処理によりCPU1は、カウント手段として機能する。
【0065】
ステップSa12においてCPU1は、値Vaが規定回数Paと一致するか否かを確認する。つまりCPU1は、書き込み回数が規定回数に到達したか否かを確認する。そしてCPU1は、書き込み回数が規定回数に到達しているならばステップSa12からステップSa17に進み、そうではないならばそのまま図4に示す処理を終了する。
【0066】
ところでCPU31は、カードが挿入されていないためにステップSb1にてNOと判定した場合には、ステップSb1からステップSb10へ進む。
【0067】
ステップSb10においてCPU31は、温度センサ36bにより検出されたヘッド温度が規定温度未満であるか否かを確認する。そしてここでNOと判定したならばCPU31は、ステップSb10からステップSb11へ進む。
【0068】
ステップSb11においてCPU31は、高温フラグがオフになっているか否かを確認する。高温フラグは、記録ヘッド36aの温度が規定温度である高温状態であるか否かを表すものであり、例えばRAM33に記憶したデータとして実現される。高温フラグがオフであるならばCPU31は、ステップSb11からステップSb12へ進む。
【0069】
ステップSb12においてCPU31は、高温フラグをオンする。かくして、記録ヘッド36aの温度が規定温度である高温状態において高温フラグがオンとなる。
【0070】
一方、ステップSb10でYESと判定したならばCPU31は、ステップSb10からステップSb13へ進む。
【0071】
ステップSb13においてCPU31は、高温フラグがオンになっているか否かを確認する。そして高温フラグがオンになっているならば、すなわち高温状態にあるならば、CPU31はステップSb13からステップSb14に進む。すなわち、高温状態にあるときにヘッド温度が規定温度未満となったのならば、つまりヘッド温度が規定温度未満に低下したならば、CPU31はステップSb14へ進む。
【0072】
ステップSb14においてCPU31は、高温フラグをオフする。
【0073】
ステップSb15においてCPU31は、ヘッド温度が低下したことを通知するための温度低下情報をPOS端末101へと通信インタフェース34から送信する。そしてこれをもってCPU31は、図5に示す処理を終了する。
【0074】
通信インタフェース34から送信された温度低下情報は、通信インタフェース14により受信される。そしてこのことが通信インタフェース14からCPU1に通知されたならば、CPU1はステップSa3でYESと判定し、ステップSa3からステップSa13へ進む。
【0075】
ステップSa13においてCPU1は、高温状態の継続時間を算出する。具体的には例えば、CPU1は時計ユニット5が出力する時刻情報と温度カウントメモリ3bに保存された時刻情報とを取得し、これらの時刻情報がそれぞれ表す時刻の間の時間差として継続時間を算出する。つまり本実施形態においてCPU1は、リーダ/ライタ102がカードを排出したときから、温度低下情報を取得した時までを高温状態と認識し、その継続時間を上記のようにして算出する。つまり本実施形態では、温度低下情報を温度情報の一例として使用する。このため、前述のように温度低下情報を送信する処理を行うことによってCPU31は、出力手段として機能している。
【0076】
ステップSa14においてCPU1は、温度累積メモリ3cの値Vbに上記の算出した継続時間を加算する。かくして温度累積メモリ3cの値Vbは、継続時間の累積時間となる。かくしてCPU1は、この処理により算出手段として機能する。
【0077】
ステップSa15においてCPU1は、温度カウントメモリを0にクリアする。
【0078】
ステップSa16においてCPU1は、値Vbが規定時間Pb以上であるか否かを確認する。つまりCPU1は、累積時間が規定時間以上となったか否かを確認する。そしてCPU1は、累積時間が規定時間以上であるならばステップSa16からステップSa17へ進み、そうではないならばそのまま図4に示す処理を終了する。
【0079】
このように、書き込み回数が規定回数に到達しているか、あるいは累積時間が規定時間以上になっているならば、ステップSa17へ進む。
【0080】
ステップSa17においてCPU1は、クリーニングの実施を使用者に促すための例えば図6に示すような警告画像を表示するようにオペレータ用表示器17を制御する。かくしてこのときにオペレータ用表示器17は、警告デバイスとして機能し、CPU1は制御手段として機能する。
【0081】
ステップSa18においてCPU1は、書き込み回数メモリ3aおよび温度累積メモリ3cを0にクリアし、これをもって図4に示す処理を終了する。つまり、書き込み回数および累積時間は、警告画像の表示を行ったタイミングを始点としてそれぞれ求められる。
【0082】
以上のようにPOSシステム100によれば、記録ヘッド36aが高温状態である期間の累積時間が規定時間以上となったならば、クリーニングの実施を使用者に促すための警告画像が表示される。高温状態では、記録ヘッド36aやその熱が影響する部位に付着した汚れの炭化が進み、熱記録デバイス36の記録性能への影響が大きい恐れがあるが、そのような炭化の進み具合を考慮して上記の警告表示が行われることによって、適正なタイミングでクリーニングの実施を使用者に促すことができる。
【0083】
またPOSシステム100によれば、書き込み回数が規定回数に到達した場合にも、クリーニングの実施を使用者に促すための警告画像が表示する。書き込み回数が増加するほど、カードなどからの汚れの付着量が増加する傾向があるので、このような傾向を考慮した適正なタイミングでクリーニングの実施を使用者に促すことができる。
【0084】
記録ヘッド36aの発熱温度を制御するために設けられている温度センサ36bを、クリーニングの警告表示のための温度監視のための検出器として流用しているので、当該温度監視のためにヘッド温度を検出する検出器を別途設けなくて良い。
【0085】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0086】
累積時間を巡回式のカウンタを用いて計時し、そのカウンタのカウント値が一定値になる毎に警告動作を行っても良い。
【0087】
累積時間や書き込み回数のクリアは、予め定められた操作(例えば、キーボード16に含まれるクリーニングクリアキーの押下)が操作者に行われた場合、警告動作を開始してから一定時間が経過した場合、あるいは熱記録デバイス36のクリーニングのために開閉されるカバーが開けられるか、または閉じられた場合などに行っても良い。
【0088】
高温フラグをオンするタイミングで高温状態となったことをリーダ/ライタ102からPOS端末101へ通知し、CPU1は高温状態となったことが通知されてから温度低下情報が得られるまでの時間を高温状態の継続時間としても良い。
【0089】
高温状態であるか否かを表す情報をリーダ/ライタ102からPOS端末101へと繰り返し与え、CPU1はその情報の変化にも基づいて高温状態になったタイミングと高温状態ではなくなったタイミングとを判定し、それらのタイミングの時間差として継続時間を算出しても良い。
【0090】
温度センサ36bとは別に温度センサを追加し、当該追加した温度センサによる検出温度を参照しながら図5に示す処理が行われても良い。
【0091】
温度センサ36bで検出された温度値をそのまま表す情報として生成した温度情報をリーダ/ライタ102からPOS端末101へ通知し、この温度情報を監視することによって高温状態であるか否かの判断をCPU1が行っても良い。つまり温度情報は、温度センサ36bが検出した温度が規定温度以上であるか否かをCPU1にて判断可能な情報であれば、どのような情報であっても良い。
【0092】
警告動作は、図示しない鳴動デバイスから警報音を発したり、図示しない音声出力デバイスにより上記報知のための音声メッセージを出力する処理でも良い。あるいは警告動作は、図示しない発光デバイスを発光させる処理でも良い。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、3a…回数メモリ、3b…温度カウントメモリ、3c…温度累積メモリ、4…補助記憶ユニット、5…時計ユニット、6…モードスイッチ、7…ドロワ開放ユニット、8…入出力ポート、9…通信インタフェース、10〜14…通信インタフェース、15…スキャナ、16…キーボード、17…オペレータ用表示器、18…客面表示器、19…プリンタ、20…通信デバイス、21…バス、31…CPU、32…ROM、33…RAM、34…通信インタフェース、35…磁気記録デバイス、36…熱記録デバイス、36a…記録ヘッド、36b…温度センサ、37…カード搬送機構、38…バス、100…POSシステム、101…POS端末、102…リーダ/ライタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品販売データ処理端末とカードライタとを含んだ商品販売データ処理システムであって、
前記カードライタは、
記録ヘッドの発熱を利用してカードに情報を記録する熱記録デバイスと、
前記記録ヘッドの温度を検出する検出器と、
前記検出器が検出した温度に関する温度情報を前記商品販売データ処理端末へと出力する出力手段とを具備し、
前記商品販売データ処理端末は、
前記記録ヘッドのクリーニングを実施するよう促す警告動作を行う警告デバイスと、
前記温度情報に基づいて前記記録ヘッドが高温状態である高温期間の累積時間を算出する算出手段と、
前記累積時間が規定時間を超えたことに応じて前記警告動作を行うように前記警告デバイスを制御する制御手段とを具備する商品販売データ処理システム。
【請求項2】
前記商品販売データ処理端末が、前記熱記録デバイスが情報を記録した記録回数をカウントするカウント手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記記録回数が規定回数以上となったことに応じても前記警告動作を行うように前記警告デバイスを制御する請求項1に記載の商品販売データ処理システム。
【請求項3】
前記商品販売データ処理端末が、前記制御手段が前記警告動作を行うように前記警告デバイスを制御したことに応じて前記累積時間をクリアするクリア手段をさらに備える請求項1に記載の商品販売データ処理システム。
【請求項4】
前記出力手段は、前記カードが前記カードライタから排出されたことに応じて第1の情報を前記温度情報として出力し、前記検出器により検出された温度が前記規定温度未満に低下したことに応じて第2の情報を前記温度情報として出力し、
前記算出手段は、前記第1の情報を取得してから前記第2の情報を取得するまでを前記高温期間とする請求項1に記載の商品販売データ処理システム。
【請求項5】
商品販売データ処理端末とともに商品販売データ処理システムを構成するカードライタであって、
記録ヘッドの発熱を利用してカードに情報を記録する熱記録デバイスと、
前記記録ヘッドの温度を検出する検出器と、
前記検出器が検出した温度に関する温度情報を前記商品販売データ処理端末へと出力する出力手段とを具備するカードライタ。
【請求項6】
カードライタとともに商品販売データ処理システムを構成する商品販売データ処理端末であって、
前記カードライタに含まれた記録ヘッドのクリーニングを実施するよう促す警告動作を行う警告デバイスと、
記録ヘッドに関する検出温度が規定温度以上であるか否かを判断可能な情報として前記カードライタから出力された温度情報に基づいて前記記録ヘッドが高温状態である高温期間の累積時間を算出する算出手段と、
前記累積時間が規定時間を超えたことに応じて前記警告動作を行うように前記警告デバイスを制御する制御手段とを具備する商品販売データ処理端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−25518(P2013−25518A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158864(P2011−158864)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】