説明

商品販売データ処理装置及びコンピュータプログラム

【課題】会計作業の迅速化を図るとともに、店員が見る画面で、現在取引中の内容を確認しやすくする。
【解決手段】POS端末の決済作業用ディスプレイ124には最先取引を示す取引番号304aと最先取引の商品情報およびその取引の合計金額、預かり金額、釣り金額とを表示する決済用領域302と、二番目の取引を示す取引番号305aおよび決済金額とを表示する次客用ウィンドウ305と、三番目の取引を示す取引番号306aおよび決済金額とを表示する次々客用ウィンドウ306とを有し、決済用領域302が決済作業用ディスプレイ124のエリア全体の領域の半分より多い領域を占め、残りの領域に次客用ウィンドウ305と、次々客用ウィンドウ306を設けた。これにより、店員が現在取引中の情報を見やすいものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードスキャナを用いてコードシンボルを読み取り、読み取ったコードシンボルに基づいて商品販売の各種処理を行う商品販売データ処理装置及びこれに用いられるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品販売データ処理装置(POS装置)がスーパーマーケット等の店舗のレジエリアに導入され、店舗での商品の販売情報の記録や集計、在庫管理の効率化が図られている。このような店舗で販売される各商品には、バーコード等のコードシンボルの態様にシンボル化された商品コードが付されている。そして、店舗では、店員がコードスキャナを用いてコードシンボルを光学的に読み取ることで商品コードを入力し、POS端末を操作して入力された商品コードに基づく決済作業とを連続して行うことで効率良く会計作業を進めることができる。
【0003】
しかし、商品販売データ処理装置を用いて店員が会計作業を進めたとしても、顧客が商品代金の支払いに手間取ってしまうとそこで会計作業が中断してしまう。この点、特許文献1には、先頭の顧客に対する操作を一時的に保留して、スキャナを用いて次に続く顧客の購入予定商品のバーコードを読み取る機能を備えた電子式キャッシュレジスタの発明が開示されている。特許文献1に記載の電子式キャッシュレジスタは、表示器の表示画面を上下又は左右に等分割して先頭の顧客及び次に続く顧客それぞれについてスキャナを用いて入力された商品コードを含む購入予定商品の情報を表示し、分割された一方の領域を白黒反転させて表示する機能も備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、先頭の顧客に対して行う最先取引についての決済作業が滞っている間に二人目以降の顧客と取引する商品に付されたコードシンボルの読取作業を進めると、表示器の表示画面に二人分の顧客の取引データが同等に表示されるため、店員が画面を見る際に、どの顧客の取引データを参照すべきかわかりにくいものであった。また、商品代金未払いの顧客が三人以上待機する場合に対応できないという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、会計作業の迅速化を図るとともに、店員が見る画面で、現在取引中の内容を確認しやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の商品販売データ処理装置は、商品コードを入力する入力部と、前記入力部で第1の取引に関する商品コードが入力された場合に第1の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、前記入力部で第2の取引に関する商品コードが入力された場合に第2の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、さらに前記入力部で第3の取引に関する商品コードが入力された場合に第3の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、前記第1の取引に関する商品情報、第2の取引に関する商品情報および第3の取引に関する商品情報をそれぞれ記憶部に記憶する記憶手段と、第1の取引であることを示す第1の取引番号並びに当該取引にかかる商品の名称、単価、数量及び税種並びに当該取引にかかる商品販売点数及び合計金額を表示する第1の表示領域と第2の取引であることを示す第2の取引番号と第2の取引に関する合計金額とをタグの形式で表示する第2の表示領域と第3の取引であることを示す第3の取引番号と第3の取引に関する合計金額をタグの形式で表示する第3の表示領域とを有し、前記第1の表示領域を前記第2の表示領域及び前記第3の表示領域よりも広い表示領域として設けた表示部と、前記記憶手段が前記第1の取引に関する商品情報と前記第2の取引に関する商品情報と前記第3の取引に関する商品情報とを同時期に前記記憶部に記憶した場合に、前記表示部のそれぞれのエリアに当該取引の表示を行う表示制御手段と、を備える。
【0007】
本発明のコンピュータプログラムは、商品コードを入力する入力部と、第1の取引にかかる商品情報、第2の取引にかかる商品情報および第3の取引にかかる商品情報をそれぞれ記憶する記憶部と、表示部とを備えた商品販売データ処理装置のコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、前記入力部で第1の取引に関する商品コードが入力された場合に第1の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、前記入力部で第2の取引に関する商品コードが入力された場合に第2の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、さらに前記入力部で第3の取引に関する商品コードが入力された場合に第3の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、前記第1の取引にかかる商品情報、第2の取引にかかる商品情報および第3の取引にかかる商品情報をそれぞれ前記記憶部に記憶する機能と、前記記憶手段が前記第1の取引にかかる商品情報と前記第2の取引にかかる商品情報と前記第3の取引にかかる商品情報とを同時期に前記記憶部に記憶した場合に、前記表示部を制御して、第1の取引であることを示す第1の取引番号並びに当該取引にかかる商品の名称、単価、数量及び税種並びに当該取引にかかる商品販売点数及び合計金額を第1の表示領域に表示し、第2の取引であることを示す第2の取引番号と第2の取引に関する合計金額とをタグの形式で第2の表示領域に表示し、第3の取引であることを示す第3の取引番号と第3の取引に関する合計金額をタグの形式で第3の表示領域に表示し、第1の表示領域を前記第2の表示領域及び前記第3の表示領域よりも広い表示領域として表示する機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コードシンボルの読取作業を次々と進めたとしても、第1の取引に関する情報の表示エリアを広く表示し、第2の取引に関する情報と第3の取引に関する情報の表示エリアを第1の取引に関する表示エリアよりも狭く表示するので、店員が取引の情報を見やすいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第一の実施の形態において、商品販売データ処理装置の全体を示す斜視図である。
【図2】商品販売データ処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】商品コード入力装置のマイクロコンピュータが実行する商品コード入力処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】商品コード入力処理中に商品コード入力装置の読取作業用ディスプレイに表示される表示内容の一例を示す模式図である。
【図5】商品コード入力処理中に商品コード入力装置の客用ディスプレイに表示される表示内容の一例を示す模式図である。
【図6】決済処理実行中にPOS端末の決済作業用ディスプレイに表示される表示内容の一例を示す模式図である。
【図7】タッチパネルを操作して取引の順番を入れ替える操作手順を示す説明図である。
【図8】決済処理実行中におけるPOS端末の決済作業用ディスプレイの表示内容の遷移の一例を示す模式図である。
【図9】第二の実施の形態において、決済処理実行中にPOS端末の決済作業用ディスプレイに表示される表示内容の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の一形態(第一の実施の形態)について、図1ないし図8に基づいて説明する。本実施の形態は、スーパーマーケットのレジエリアに導入され、顧客と顧客の持ち寄った商品とを一方向に流す中で商品コード入力部による商品コードの入力と、決済部による決済とを行うように構成されている商品販売データ処理装置101への適用例である。
【0011】
図1は、商品販売データ処理装置101の全体を示す斜視図である。スーパーマーケットのレジエリアには、カウンタ110が設置されている。カウンタ110は、細長い矩形形状をなしており、店員側空間102aと顧客側空間102bとの区分けを行っている。店員側空間102aには、商品コード入力装置111を用いたコードシンボル108の読取作業を担当するチェッカ105aと、POS端末112を用いた決済作業を担当するキャッシャ105bとが待機する。顧客側空間102bには、顧客103がカウンタ110の側部に沿って移動する顧客移動通路104が規定される。顧客103は、購入予定の商品106を買物カゴ107に入れた状態でレジエリアに持ち寄り、その買物カゴ107をカウンタ110の上に載置する。そして、顧客は、図1の右下から左上に向かう方向に買物カゴ107をスライドさせて顧客移動通路104に沿って進みながら、店員(チェッカ105a及びキャッシャ105b)と購入予定の商品106についての会計取引を行う。
【0012】
商品販売データ処理装置101は、カウンタ110と商品コード入力装置111と決済部としてのPOS端末112とにより構成されている。商品コード入力装置111は、顧客移動通路104に沿うカウンタ110の長辺方向の略中央であって、その上面の顧客側空間102b寄りの位置に立設する。商品コード入力装置111は、コードスキャナ114(図2参照)を内蔵し、スーパーマーケットで販売される各商品に付されているコードシンボル108を、店員側空間102aの方向に向けて設けられた読取窓114aを介して光学的に読み取る装置である。コードスキャナ114は、読取窓114aを介してコードシンボル108を光学的に読み取って商品コードにデコードしPOS端末112に入力する機器であり、商品コード入力部として機能する。顧客移動通路104の流れに沿う商品106の流れ方向下流側で店員側空間102a内のカウンタ110の近傍にはPOS端末設置台113が設置されており、POS端末112は、ドロワ127aとともにその上に位置づけられている。商品コード入力装置111及びPOS端末112は、接続コード159によってデータ通信自在に接続されている。
【0013】
店員側空間102aで商品コード入力装置111に対面する位置には、チェッカ105aが立つ。チェッカ105aは、コードシンボル108の読取作業として、まず、カウンタ110の上面で商品コード入力装置111に対し商品106の流れ方向の上流側に位置付けられた買物カゴ107から商品106を取り出し、読取窓114aにコードシンボル108をかざす。その後、チェッカ105aは、カウンタ110の上面で商品の流れ方向の下流側に予め位置付けておいた空の第2買物カゴ109にその商品106を投入する。
【0014】
店員側空間102aでPOS端末112に対面する位置には、キャッシャ105bが立つ。キャッシャ105bは、POS端末112を操作して、チェッカ105aが商品コード入力装置111を用いてPOS端末112に入力した商品コードに基づく決済作業を行う。
【0015】
ここで、商品コード入力装置111及びPOS端末112の構造について、図1に基づいて説明する。商品コード入力装置111は、コードスキャナ114と、読取作業用ディスプレイ115と、読取作業用タッチパネル116と、操作部としてのキーボード116aと、客用表示部としての客用ディスプレイ117と、客用タッチパネル118とを備えて一体的に構成されている。読取作業用ディスプレイ115は、表示面をチェッカ105aに対面する向きに向けて商品コード入力装置111の上端に取り付けられている。読取作業用タッチパネル116は、読取作業用ディスプレイ115の表示面に積層配置されている。キーボード116aは、読取作業用ディスプレイ115の表示面の右側に位置付けられている。客用ディスプレイ117は、読取作業用ディスプレイ115の背面で顧客側空間102bに向けて取り付けられている。客用タッチパネル118は、客用ディスプレイ117の表示面に積層配置されている。
【0016】
POS端末112は、POS端末設置台113の上に載置されるドロワ127aの上面に配置される。このPOS端末112は、レシート発行口120と磁気カード読取溝121とを上面に設けたハウジング122を有し、このハウジング122の上面にキーボード123と表示部としての決済作業用ディスプレイ124と備えて構成されている。表示部である決済作業用ディスプレイ124の表示面には、タッチパネル125が積層配置されている。また、POS端末112のハウジング122には、レシートプリンタ126(図2参照)と、磁気カードリーダ127(図2参照)とが内蔵されている。レシートプリンタ126から印刷発行されたレシート(図示せず)は、POS端末112のハウジング122に設けられたレシート発行口120から発行される。磁気カードリーダ127は、磁気カード読取溝121から挿通された磁気カード(図示せず)に記憶されている情報を読み取り、マイクロコンピュータ150(図2参照)にその情報を入力する。また、POS端末112には、ICカード(図示せず)に対し近距離無線通信によってデータの読み取り及び書き込みを行うICカードリーダライタ128が接続されている。ICカードリーダライタ128は、カウンタ110の上面で商品の流れ方向の下流側の端部近傍に取り付けられている。
【0017】
図2は、商品販売データ処理装置101の電気的構成を示すブロック図である。POS端末112は、CPU151と、ROM152と、記憶部としてのRAM153とを備えた情報処理部としてのマイクロコンピュータ150が格納されている。マイクロコンピュータ150は、キーボード123、タッチパネル125、決済作業用ディスプレイ124、レシートプリンタ126、磁気カードリーダ127、ドロワ127a、ハードディスク154、外部機器インタフェイス155、LANインタフェイス156のそれぞれに接続されており、これら各部の駆動制御を司る。ハードディスク154には、商品コードに対応付けて商品名や商品単価等の商品情報を格納する商品情報記憶部としての商品データファイルF1や、売上情報を格納する売上データファイルF2、決済作業用ディスプレイ124に表示する各種のアイコン等の画像データを格納する表示データファイルF3をはじめとする各種データファイルが格納されている。また、ハードディスク154には、OS、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等の各種のプログラムPG1も記憶されている。外部機器インタフェイス155は、POS端末112と商品コード入力装置111との間のデータ通信、及び、POS端末112とICカードリーダライタ128との間のデータ通信を実現する。LANインタフェイス156は、スーパーマーケット内に配設されている店舗内LAN157を介して接続されているストアコントローラ158とPOS端末112との間のデータ通信を実現する。マイクロコンピュータ150は、POS端末112の起動時にハードディスク154内に記憶されている各種のプログラムPG1の全部又は一部をRAM153に読み込んで、そのプログラムPG1の記述に従った処理を実行する。マイクロコンピュータ150は、ハードディスク154内に記憶されているプログラムPG1の記述に従って、決済処理(後述)や、売上データファイルF2に格納された売上情報をストアコントローラ158に送信する処理も実行する。また、マイクロコンピュータ150は、このプログラムPG1の記述に従って、ストアコントローラ158から配信された商品情報や画像データを商品データファイルF1や表示データファイルF3に格納する処理も実行する。さらに、マイクロコンピュータ150は、このプログラムPG1の記述に従って、商品情報や画像データを商品コード入力装置111に向けて送信し商品コード入力装置111とPOS端末112との間で、商品データファイルF1と商品データファイルF4(後述)との同期、及び、表示データファイルF3と表示データファイルF5(後述)との同期を図る処理も実行する。
【0018】
商品コード入力装置111は、情報処理を実行する情報処理部としてのマイクロコンピュータ160を備える。マイクロコンピュータ160は、コードスキャナ114、読取作業用ディスプレイ115、読取作業用タッチパネル116、キーボード116a、客用ディスプレイ117、客用タッチパネル118、外部機器インタフェイス161及びハードディスク162のそれぞれに接続されており、これら各部の駆動制御を司る。ハードディスク162には、商品情報記憶部としての商品データファイルF4及び表示データファイルF5が格納されている。また、ハードディスク162には、OS、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等の各種のプログラムPG2も記憶されている。マイクロコンピュータ160は、プログラムPG2を商品コード入力装置111の起動時に読み込んでこのプログラムPG2の記述に従って、商品コード入力処理(図3参照)を含む各種の処理を実現する。
【0019】
図3は、商品コード入力装置111のマイクロコンピュータ160が実行する商品コード入力処理の流れを示すフローチャートである。商品コード入力装置111のマイクロコンピュータ160は、機器の起動中、プログラムPG2の記述に従って商品コード入力処理を実行し、コードスキャナ114からの商品コードの入力を待機している(ステップS101)。
【0020】
商品コードの入力を判定した場合(ステップS101のY)、マイクロコンピュータ160は、商品データファイルF4にアクセスしてコードスキャナ114から入力された商品コードに対応する商品情報を検索し取得する検索処理を実行する(ステップS102)。
【0021】
続く処理として、マイクロコンピュータ160は、検索処理によって今回取得した商品情報に含まれる商品名及び商品単価等の情報を読取作業用ディスプレイ115や客用ディスプレイ117に表示するカレント商品情報表示処理を実行する(ステップS103)。
【0022】
続く処理として、マイクロコンピュータ160は、検索処理によって今回取得した商品情報をPOS端末112に送信する商品情報送信処理を実行する(ステップS104)。
【0023】
続く処理として、マイクロコンピュータ160は、キーボード116aからの締め操作の入力及びコードスキャナ114からの新たな商品コードの入力のいずれかを待機する(ステップS105及びステップS106)。
【0024】
新たな商品コードの入力を判定した場合(ステップS106のY)、マイクロコンピュータ160は、処理をステップS102に戻し、新たに入力された商品コードに対応する商品情報を検索すべく検索処理(ステップS102)を実行する。
【0025】
これに対し、キーボード116aからの締め操作の入力を判定した場合(ステップS105のY)、マイクロコンピュータ160は、それまでにPOS端末112に送信した商品情報を一取引分の商品情報として確定すべく、POS端末112に対し締め情報を送信し(ステップS107)、一連の商品コード入力処理を終了する。
【0026】
図4は、商品コード入力処理中に商品コード入力装置111の読取作業用ディスプレイ115に表示される表示内容の一例を示す模式図である。マイクロコンピュータ160は、商品コード入力処理(図3参照)を実行中、読取作業用ディスプレイ115に図4に示す画面表示を表示させる制御を行う。この画面表示は、図4に示すように、上から順に、カテゴリボタン部202、商品ボタン部203、検索ボタン部204、商品情報表示部201が、いずれも画面幅一杯に配置されている。
【0027】
商品情報表示部201には、検索処理(図3のステップS102)によって取得された商品情報に含まれる商品名205、商品単価206及び個別商品点数207が表示される。これらの商品名205、商品単価206及び個別商品点数207は、カレント商品情報表示処理(図3のステップS103)によって表示が更新される。個別商品点数207は、同じ商品コードが連続して入力された場合に増加していく。また、商品情報表示部201には、合計金額208、合計商品点数209及び要望内容アイコン210も表示される。合計金額208及び合計商品点数209は、商品コードの入力開始後に取得された商品情報に基づいて算出される値であり、カレント商品情報表示処理(図3のステップS103)によって表示が更新される。要望内容アイコン210については、図5に基づいて後述する。
【0028】
カテゴリボタン部202、商品ボタン部203及び検索ボタン部204には、チェッカ105aが読取作業用タッチパネル116を介して商品コードをPOS端末112に入力する作業を支援する画像が表示される。この表示される画像のデータは、表示データファイルF5に記憶されているものである。カテゴリボタン部202には、スーパーマーケットで販売されている商品のカテゴリを示すカテゴリボタン202aが複数含まれており、この中の一のカテゴリボタン202aを読取作業用タッチパネル116からタッチ指定することで、そのカテゴリボタン202aによるカテゴリに属する予め定められた商品ボタン部203に商品ボタン203aが展開される。図4に示す例では、カテゴリボタン202aとして「野菜」がタッチ指定され、その結果、商品ボタン部203に「アボカド」、「ほうれんそう」等の各種の商品ボタン203aが展開されている。商品ボタン部203への商品ボタン203aの展開は、検索ボタン部204に含まれる検索ボタン204aを読取作業用タッチパネル116からタッチ指定することによっても実現される。例えば、検索ボタン204aとして「あ」がタッチしてされた場合、商品ボタン部203には、「あ」ないし「お」で始まる商品名の商品コードを入力するための各種の商品ボタン203aが展開される。
【0029】
このように表示される読取作業用ディスプレイ115の表示内容を見て、チェッカ105aは、コードスキャナ114からコードシンボル108を読み取ることでPOS端末112に入力された商品情報の詳細を知ることができる。また、チェッカ105aは、コードスキャナ114を用いずとも、カテゴリボタン部202や検索ボタン部204を読取作業用タッチパネル116からタッチ指定して商品ボタン部203に商品ボタン203aを展開させ、その商品ボタン203aの中から所望のものを読取作業用タッチパネル116からタッチ指定することで商品コードを入力することもできる。
【0030】
図5は、商品コード入力処理中に商品コード入力装置111の客用ディスプレイ117に表示される表示内容の一例を示す模式図である。マイクロコンピュータ160は、商品コード入力処理(図3参照)を実行中、客用ディスプレイ117に図5に示す画面表示を表示させる制御を行う。この画面表示は、図5に示すように、上半分に商品情報表示部201を、下半分に要望ボタン表示部211を有して構成される。商品情報表示部201に含まれる各要素は、読取作業用ディスプレイ115に表示されているものと同じものであり、このため、説明を省略する。要望ボタン表示部211には、小レジ袋要望ボタン211aと、大レジ袋要望ボタン211bと、紙袋要望ボタン211cと、割ばし要望ボタン211dと、クレジットカード決済宣言ボタン211eと、ポイント利用宣言ボタン211fとが表示される。これらの画像データは、表示データファイルF5に記憶されているものである。
【0031】
このように表示される客用ディスプレイ117の表示内容を見て、顧客103は、チェッカ105aがコードシンボル108の読取作業を行っている間に、客用タッチパネル118から要望ボタン表示部211内の各ボタン211a〜211fをタッチ指定することができる。この各ボタン211a〜211fのタッチ指定操作は、チェッカ105aが商品コード入力装置111のキーボード116aから締め操作を入力した後でも、次の顧客103についての取引を開始するために新たにコードシンボル108をコードスキャナ114に読み取らせるまでに行うことができる。これらのボタン211a〜211fのタッチ指定を判定した場合、商品コード入力装置111のマイクロコンピュータ160は、読取作業用ディスプレイ115を制御してタッチ指定されたボタン211a〜211fに対応する要望内容アイコン210を表示する処理を実行する。また、この処理とともに、マイクロコンピュータ160は、ボタン211a〜211fがタッチ指定されたことを示す要望情報をPOS端末112に対して送信出力する処理も実行する。
【0032】
POS端末112のマイクロコンピュータ150は、機器の起動中、プログラムPG1の記述に従って商品コード入力装置111から送信される情報の受信を待機する。商品コード入力装置111から送信される商品情報(商品名称、単価など)を受信した場合、マイクロコンピュータ150は、受信した商品情報をRAM153に記憶する。また、マイクロコンピュータ150は、商品コード入力装置111から送信される締め情報を受信した場合、それまでにRAM153に記憶した商品情報を一取引分の商品情報として確定する処理を実行する。以上の処理により、RAM153内には、確定された取引別の商品情報と、まだ一取引分の商品情報として確定されていない商品情報とが記憶されることになる。
つまり、RAM153は、以下に説明する最も早く決済されるべき取引に関する第1の商品情報、二番目の取引に関する第2の商品情報、三番目の取引に関する第3の商品情報がそれぞれ所定のエリアに記憶されるものである。そしてRAM153へそれぞれの取引の商品情報を記憶させる処理が記憶手段の一つの例である。
【0033】
また、POS端末112のマイクロコンピュータ150は、機器の起動中、プログラムPG1の記述に従って、決済処理を実行する。決済処理は、RAM153に記憶されている商品情報のうち第1の取引である最も早く決済されるべき取引(以下、最先取引という)分の商品情報として確定された商品情報に基づいて顧客が支払うべき取引金額を算出し、その取引金額分の決済を行う処理である。決済処理において、POS端末112のキーボード123から入力される顧客103からの預り金額が入力された場合には現金による決済が行われる。また、決済処理において、磁気カード読取溝121からクレジットカード(図示せず)が挿通されそのクレジットカードの磁気情報が磁気カードリーダ127によって読み取られた場合にはクレジット決済が行われる。また、決済処理において、ICカードリーダライタ128に顧客103が所持している電子マネー情報が記憶されたICカード(図示せず)がかざされた場合には電子マネー決済が行われる。マイクロコンピュータ150は、このような決済を行った後に、取引金額や預り金額、釣り金額、この取引に関する商品情報等の各種の情報をハードディスク154内の売上データファイルF2に記憶し、さらにレシートプリンタ126を駆動制御してレシート(図示せず)をレシート発行口120から印刷発行する。
【0034】
POS端末112では、マイクロコンピュータ150がこのような決済処理を行っている間にも、商品コード入力装置111から商品情報や締め情報が送信され、RAM153に蓄積されていく。その中で、POS端末112のマイクロコンピュータ150は、図6ないし図8に示す画面表示を決済作業用ディスプレイ124に表示させる処理を行って、キャッシャの決済作業を支援する。
【0035】
図6は、決済処理実行中にPOS端末112の決済作業用ディスプレイ124に表示される表示内容の一例を示す模式図である。マイクロコンピュータ150は、決済作業用ディスプレイ124の表示領域301内に、予め、決済用領域302と、この決済用領域302よりも小さい二つの決済待ち領域303とを定義している。決済用領域302は、表示領域301内で左端に寄せて設けられ、表示領域301の幅の半分以上を占め、表示領域301内の上方及び下方のそれぞれに隣接させて余白を設ける程度の高さを有している。二つの決済待ち領域303は、表示領域301の右端辺と決済用領域302の右端辺との間に、上下に隣接させて設けられている。そして、マイクロコンピュータ150は、決済処理を行っている間に決済作業用ディスプレイ124を制御し、決済用領域302に第1のエリアである決済用ウィンドウ304を、上側の決済待ち領域303に第2のエリアである次客用ウィンドウ305を、下側の決済待ち領域303に第3のエリアである次々客用ウィンドウ306を、それぞれ表示させている。これが表示制御手段の一つの例である。
決済用ウィンドウの領域は決済作業用ディスプレイ124の全体の約3/4を占めている。残りの領域の所定の領域を次客用ウィンドウ305と次々客用ウィンドウ306が占めている。
【0036】
まず、図6(a)に基づいて説明する。決済用ウィンドウ304には、最先取引に関する取引金額情報307が表示され、また、決済用ウィンドウ304の左上には最先取引に関する情報が表示されることを示す「1」という番号表示304aが表示される。取引金額情報307には、第1のエリアに表示した合計金額としての取引金額308と、商品販売点数309と、預り金額310と、釣り金額311とが含まれている。取引金額308は、RAM153に記憶されている商品情報のうち、最先取引分の商品情報の商品単価に基づいて算出される金額であり、チェッカ105aにより商品コード入力装置111のキーボード116aの締めキー(図示せず)の押下によって最先取引分の商品情報として確定されているか否かにかかわらず表示される。この取引金額308には、必要に応じて適宜課税金額が加えられたり、割引金額が減じられたりする。商品販売点数309は、RAM153に記憶されている商品情報のうち、最先取引分の商品情報に基づいて算出される。預り金額310は、チェッカ105aによる商品コード入力装置111のキーボード116aの締めキーの押下によって最先取引分の商品情報が確定された状態で、キャッシャ105bがPOS端末112を操作することでPOS端末112に入力される金額である。図6(a)に示す例では、預り金額310として、「現金 10,200円」及び「ご利用ポイント 9pt」が入力されている。「現金 10,200円」は、キャッシャ105bがPOS端末112のキーボード123から入力した金額である。「ご利用ポイント 9pt」は、キャッシャ105bが顧客103から預かった会員カード(図示せず)を磁気カード読取溝121に通すことによって取得されたポイントであり、この例では1ポイントを1円として換算して決済に用いられている。会員カードには会員コードが記憶されている磁気テープが付されており、磁気カード読取溝121に通されることで磁気カードリーダ127を介してPOS端末112に会員コードが入力される。POS端末112のマイクロコンピュータ150は、入力された会員コードをストアコントローラ158に送信して、ストアコントローラ158内のポイントデータベース(図示せず)に記憶されている各顧客のポイント情報を問い合わせて、決済に用いる会員のポイント情報を取得する。釣り金額311は、預り金額310から取引金額308を減じた金額である。釣り金額311は、預り金額310が入力された状態でキーボード123に備わる決済キー(図示せず)を押下することにより表示される。なお、決済キーの押下は、マイクロコンピュータ150が行う売上データファイルF2に売上データを記憶する処理やレシートプリンタ126を駆動してレシート(図示せず)を印刷発行させる処理、ドロワ127aに開放信号を送信する処理のトリガにもなる。
【0037】
決済用ウィンドウ304の右上には、登録明細画面切替ボタン312が配置されている。登録明細画面切替ボタン312は、最先取引分の商品情報が確定される前はグレーアウトされており、最先取引分の商品情報が確定されることによってハイライトされる(図8(a)及び(b)参照)。登録明細画面切替ボタン312がハイライトされている間にタッチパネル125を介してタッチ指定されたと判定した場合、マイクロコンピュータ150は、RAM153に記憶されている商品名や商品単価等の最先取引分の商品情報の詳細を示す詳細画面(図示せず)を表示領域301の全体に表示する。詳細画面には復帰ボタン(図示せず)が配置されており、この復帰ボタンをタッチパネル125を介してタッチ指定することにより、表示領域301の表示内容を図6(a)に示す表示内容に復帰することができる。
【0038】
次客用ウィンドウ305及び次々客用ウィンドウ306は、最先取引より後の各取引に対応して設けられており、各取引について商品情報が確定状況を示す表示がなされる。より詳細には、次客用ウィンドウ305は第2の取引である二番目の取引と対応しており、次々客用ウィンドウ306は第3の取引である三番目の取引と対応して設けられている。また、次客用ウィンドウ305の左上には、二番目の取引に関する情報が表示されることを示す「2」という番号表示305aが表示される。また、次々客用ウィンドウ306の左上には、三番目の取引に関する情報が表示されることを示す「3」という番号表示306aが表示される。そして、次客用ウィンドウ305及び次々客用ウィンドウ306のそれぞれには、一取引分の商品情報が確定され顧客が決済作業を待っていることを示す第1状態、チェッカ105aがコードシンボル108の読取作業中で商品コードが入力途中であり商品情報が確定されていない第2状態、及び、商品コードの入力が開始されていない第3状態のいずれの状態にあることを示す表示がなされる。
【0039】
図6(a)は、二番目の取引については商品情報が確定されている第1状態にあり、三番目の取引についてはチェッカ105aがコードスキャナ114を用いてコードシンボル108の読取作業を行っている最中で商品情報が確定されていない第2状態にある場合の表示領域301の表示内容を示している。この場合、次客用ウィンドウ305には、第2のエリアの合計金額としての取引金額313と商品販売点数314とが表示される。取引金額313及び商品販売点数314は、RAM153に記憶されている二番目の取引分の商品情報に基づいて算出される。また、次客用ウィンドウ305の右上には登録明細画面切替ボタン315が配置されており、これをタッチパネル125を介してタッチ指定することで表示領域301の全体に二番目の取引分の商品情報の詳細を示す詳細画面(図示せず)にすることもできる。一方、次々客用ウィンドウ306には、商品情報が確定されておらずチェッカ105aによるコードシンボル108の読取作業が行われている最中であることを示す「登録中…」というメッセージ316が表示されているのみで、取引金額313や商品販売点数314、登録明細画面切替ボタン315が一切表示されない。
【0040】
ここで、二番目の取引状態や三番目の取引状態が示される決済待ち領域303に、チェッカ105aがコードシンボル108の読取作業すら行っていない第3状態を示す場合、マイクロコンピュータ150は、そもそも次客用ウィンドウ305や次々客用ウィンドウ306を表示せず、決済待ち領域303を背景色と同じ色で描画する(図8(a)〜(d)参照)。
【0041】
図6(a)中、決済用ウィンドウ304の下方には、要望アイコン317が表示されている。これは、顧客103が、客用ディスプレイ117に表示されている要望ボタン表示部211の各ボタン211a〜211fを、客用タッチパネル118をタッチ指定することにより表示されるものである(図5も参照)。なお、これらの画像データは、表示データファイルF3に記憶されているものである。図6(a)に示す例では、最先取引を行う顧客103が、チェッカ105aがコードシンボル108の読取作業を開始し二番目の取引を行う顧客についてのコードシンボル108の読取作業を開始するまでに、客用タッチパネル118を介して客用ディスプレイ117に表示された大レジ袋要望ボタン211b及びポイント利用宣言ボタン211fを押下したことが、決済用ウィンドウ304内の要望アイコン317によって示されている。同様に、次客用ウィンドウ305の下方にも、要望アイコン318が表示されている。これは、二番目の取引を行う顧客が、三番目の取引が開始されるまでに客用タッチパネル118を介してタッチ指定した要望ボタン表示部211の各ボタン211a〜211fを示すものである。
【0042】
次いで、図6(b)に基づいて説明する。RAM153も三取引以上の商品情報が記憶されキャッシャ105bに支払を行う顧客を含めて四人以上顧客が支払待ち状態になった場合、マイクロコンピュータ150は、図6(b)に示すように、次々客用ウィンドウ306において要望アイコン318が表示されるべき箇所に、ポップアップウィンドウ325を表示させ、その中に四番目以降の取引の件数を表示する。次々客用ウィンドウ306の合計金額9,000円が第3のエリアの合計金額としての取引金額である。
【0043】
図7は、タッチパネル125を操作して取引の順番を入れ替える操作手順を示す説明図である。決済作業用ディスプレイ124に表示されている決済用ウィンドウ304や次客用ウィンドウ305、次々客用ウィンドウ306の表示内容は、タッチパネル125でのドラッグ操作によって入れ替えることが可能である。さらに、この入れ替えに伴って、取引の順番も入れ替わる。より詳細には、マイクロコンピュータ150は、タッチパネル125からドラッグ操作があったことを判定した場合、そのドラッグ操作の始点の座標と終点の座標とを検出する。そして、マイクロコンピュータ150は、これらの始点座標と終点座標とが、決済用領域302及び二つの決済待ち領域303のうち異なる二つの領域内に含まれていると判定した場合、RAM153に記憶されている商品情報のうち、始点座標を含む領域に対応する取引と、終点座標を含む領域に対応する取引との順番を入れ替えて記憶し直し、決済作業用ディスプレイ124の表示内容も更新する。
【0044】
図7(a)は、キャッシャ105bがタッチパネル125をなぞって、次客用ウィンドウ305から決済用ウィンドウ304までのドラッグ操作を行った例を示している。この場合、ドラッグ操作の始点座標は上側の決済待ち領域303に含まれており、ドラッグ座標の終点座標は決済用領域302に含まれている。そこで、マイクロコンピュータ150は、RAM153に記憶されている商品情報のうち、最先取引分の商品情報を二番目の取引分の商品情報として記憶し直し、二番目の取引分の商品情報を最先取引分の商品情報として記憶し直す。さらに、マイクロコンピュータ150は、決済作業用ディスプレイ124に表示している決済用ウィンドウ304及び次客用ウィンドウ305の表示内容をRAM153に記憶し直した内容に基づいて表示し直す。その結果、図7(b)に示すように、最先取引の内容と二番目の取引の内容とが入れ替わって表示され、キャッシャ105bは、二番目の取引についての決済作業を先に行うことができるようになる。
【0045】
図8は、決済処理実行中におけるPOS端末112の決済作業用ディスプレイ124の表示内容の遷移の一例を示す模式図である。以上のような画面表示が行われる本実施の形態の商品販売データ処理装置101を用いて、チェッカ105aが商品コード入力装置111の前に立ってコードシンボル108の読取作業を行い、キャッシャ105bがPOS端末112の前に立って決済作業を行うという二人制体制で会計作業を進める場合について、以下に述べる。
【0046】
まず、チェッカ105aが、顧客103がカウンタ110上に載置した買物カゴ107から商品106を取り出しコードスキャナ114にコードシンボル108を読み取らせた場合、決済作業用ディスプレイ124では、コードシンボル108の読み取りが終了した分の取引金額308及び商品販売点数309が決済用ウィンドウ304に表示される(図8(a))。このとき、最先取引の商品情報は確定されていないため、登録明細画面切替ボタン312はグレーアウトされている。
【0047】
続いて、チェッカ105aが、商品コード入力装置111のキーボード116aの締めキー(図示せず)を押下して最先取引の商品情報を確定した場合、登録明細画面切替ボタン312はハイライトされ、キャッシャ105bは顧客103との間で決済作業を進めることができるようになる(図8(b))。図8(b)では、キャッシャ105bは顧客103から現金や会員カードを預かって預り金額310の情報をPOS端末112に入力し、その結果、釣り金額311も表示された状態を示している。また、この段階では、最先取引より後の取引が開始されていないため、決済待ち領域303には、背景色319のみが表示されている。
【0048】
図8(b)に示す状態のままでキャッシャ105bが決済作業を進めず、チェッカ105aが二番目の取引を行う顧客103から商品106を預かってコードシンボル108の読取作業を進めた場合、上側の決済待ち領域303には次客用ウィンドウ305が表示される(図8(c))。この段階では、チェッカ105aは、二番目の取引について商品情報を確定していないため、二番目の取引が第2状態であることを示すために、次客用ウィンドウ305には「登録中…」というメッセージ316が表示される。
【0049】
さらにチェッカ105aがコードシンボル108の読取作業を進めてキーボード116aの締めキー(図示せず)を押下し二番目の取引について商品情報を確定した場合、次客用ウィンドウ305から「登録中…」というメッセージ316が消え、取引金額313、商品販売点数314、登録明細画面切替ボタン315及び要望アイコン318が表示される(図8(d))。
【0050】
さらに続けて、チェッカ105aが三番目の取引を行う顧客103についてコードシンボル108の読取作業を開始した場合、下側の決済待ち領域303には「登録中…」というメッセージ316を含む次々客用ウィンドウ306が表示される(図8(e))。そして、チェッカ105aがキーボード116aの締めキー(図示せず)を押下し三番目の取引について商品情報を確定した場合、次々客用ウィンドウ306から「登録中…」というメッセージ316が消え、取引金額313、商品販売点数314、登録明細画面切替ボタン315及び要望アイコン318が表示される(図8(f))。
【0051】
このように、本実施の形態の商品販売データ処理装置101では、チェッカ105aがコードシンボル108の読取作業を次々と進めた場合、決済作業用ディスプレイ124の表示領域301内に表示される次客用ウィンドウ305や次々客用ウィンドウ306には、最先取引より後の各取引において、商品情報が確定されている第1状態、商品コードの入力途中で商品情報が確定されていない第2状態、及び、商品コードの入力が開始されていない第3状態のうちどの状態にあるのかが表示される。次客用ウィンドウ305や次々客用ウィンドウ306に表示される第1状態、第2状態、第3状態の表示の違いは、図6ないし図8に示したように大きく見え方が異なる。このため、キャッシャ105bは、決済作業用ディスプレイ124を見て最先取引について決済作業を行いながら、二番目以降の各取引についての商品情報の入力状況を確認することができ、従って、決済作業に専念することができる。また、本実施の形態の商品販売データ処理装置101によれば、最先取引について取引金額情報307が表示領域301内に大きく表示され、さらには、商品名や商品単価等の詳細な情報は登録明細画面切替ボタン312をタッチ指定しない限り表示されないため、キャッシャ105bは、最先取引と二番目以降の取引とでの取引金額を取り違えることなくなる。そのため、キャッシャ105bは、素早く決済作業を進めて決済作業による顧客の流れのボトルネックを解消することができ、キャッシャ105b及びチェッカ105aに各自の作業を専念させて会計作業の迅速化を図り、顧客の商品代金の支払い待ち状態を解消することができる。
【0052】
さらに、本実施の形態の商品販売データ処理装置101では、最先取引より後の二番目以降の取引について商品情報が確定されている場合には、次客用ウィンドウ305や次々客用ウィンドウ306に取引金額313や商品販売点数314が表示される。このため、キャッシャ105bは、決済作業用ディスプレイ124を見るだけで最先取引が滞っている間に二番目以降の取引内容を推測することができ、決済作業をさらに効率良く進めることができる。また、キャッシャ105bは、二番目以降の取引内容の詳細を知りたい場合、登録明細画面切替ボタン315をタッチ指定して詳細画面を表示させて知ることもできる。
【0053】
さらに、本実施の形態の商品販売データ処理装置101では、顧客103が客用タッチパネル118からキャッシャ105bやチェッカ105aに対する要望を入力し、その要望が読取作業用ディスプレイ115や決済作業用ディスプレイ124にアイコン表示されるため、キャッシャ105bやチェッカ105aは、決済作業が滞っている間にレジ袋を用意したりクレジットカードによる決済を行うことを予め把握したりすることができ、会計作業をさらに効率良く進めることができる。
【0054】
さらに、本実施の形態の商品販売データ処理装置101では、決済作業用ディスプレイ124に積層配置されているタッチパネル125をドラッグすることによって、取引の順番を入れ替えることができ、従って、例えば、先頭の顧客103についての決済作業が滞っている場合に二番目の顧客103についての決済作業を進めることができるようになり、会計作業をさらに効率良く進めることができる。
【0055】
次いで、本発明の別の実施の一形態(第二の実施の形態)について、図9に基づいて説明する。この場合、第一の実施の形態と同一の部分は同じ符号を用い、説明を省略する。本実施の形態の商品販売データ処理装置101では、決済作業用ディスプレイ124の表示領域301に定義されている決済用領域302と決済待ち領域303の形状及びそれらの中に表示される表示内容が、第一の実施の形態と異なる。
【0056】
図9は、決済処理実行中にPOS端末112の決済作業用ディスプレイ124に表示される表示内容の一例を示す模式図である。本実施の形態において、決済作業用ディスプレイ124の表示領域301内で上側に寄せて、決済用領域302を幅一杯に設けられている。そして、表示領域301内で、この決済用領域302の下側に隣接させて、決済待ち人数表示領域320及び四つの決済待ち領域303を横並びに設けている。
【0057】
本実施の形態の決済用領域302には、最先取引の商品情報の詳細を表形式で示す商品情報リスト321が表示される。商品情報リスト321の列方向には「商品名」、「単価」、「数量」、「割引」、「金額」及び「税」を示す各フィールドが設けられ、行方向にはRAM153に記憶されている最先取引分の商品情報を示すレコードが設けられている。この商品情報リスト321は、決済用領域302の右端に表示されているスクロールボタン322をタッチパネル125からタッチ指定することにより行方向にスクロール表示することが可能である。商品情報リスト321の「数量」、「割引」、「金額」及び「税」の各フィールドの下方には、取引金額308及び商品販売点数309が表示される。
【0058】
本実施の形態の決済待ち人数表示領域320には、最先取引を除く決済待ちの取引の件数が表示される。キャッシャ105bは、この決済待ち人数表示領域320に表示される数字を見て、商品代金の支払を待っている顧客が何人いるかを把握することができる。
【0059】
本実施の形態の決済待ち領域303は、最先取引を含む商品コードの入力状況がアイコンとして表示される。図9中、決済待ち領域303は横並びに四箇所設けられており、それらの左から順に、最先取引、二番目の取引、三番目の取引、四番目の取引に対応している。各決済待ち領域303の内側には、顧客103を表現したイラスト画像323と、顧客103が購入しようとする商品の点数を表現したグラフ324とが表示される。さらに、これらの各決済待ち領域303の内側には、第一の実施の形態と同様に、要望アイコン318も表示される。イラスト画像323は、チェッカ105aが行うコードシンボル108の読取作業が開始されて取引が開始された場合に表示される。グラフ324は、各取引における商品販売点数に比例して増加する棒グラフであり、第1の実施の形態で決済用ウィンドウ304や次客用ウィンドウ305等に表示される商品販売点数309,314をアイコン化したものである。なお、これらの画像データは、表示データファイルF3に記憶されているものである。
【0060】
本実施の形態の商品販売データ処理装置101によっても、キャッシャ105bは、表示領域301内に大きく表示される最先取引の取引金額308を見て決済作業を行いながら、それより後の各取引についての商品情報の入力状況を確認することができ、従って、キャッシャ105b及びチェッカ105aに各自の作業を専念させて会計作業の迅速化を図り、顧客の商品代金の支払い待ち状態を解消することができる。さらに、本実施の形態の商品販売データ処理装置101によれば、各取引での商品販売点数309を当該取引に対応する前記決済待ち領域にアイコン化してグラフ324として表示されるため、キャッシャ105bは、決済待ちをしている顧客103が購入しようとする商品の点数を一見しただけで把握することができ、会計作業のさらなる効率化を図ることができる。
なお、本実施の形態の記載に限定されるものではなく、例えば、図6に示す次客用ウィンドウ305に表示する内容は、二番目の取引であることを示す「2」という番号表示305aと取引金額313との2つが表示されるだけでもよい。次々客用ウィンドウ306に表示する内容も同様である。
【0061】
さらに、図6に示す二番目の取引であることを示す「2」という番号表示305aの表示を図9に示すような顧客を表現したイラスト画像としてもよい。304aや306aの表示についても同様である。イラスト画像も、図9では、人を示すようなイラストとしているが、例えば、車や動物などのイラストとして、図6や図9に適用してもよい。車や動物の異なるイラストを最先取引、二番目の取引、三番目の取引のそれぞれで異なるイラストしてもよい(例えば、最先取引が熊のイラスト、二番目の取引が犬のイラスト、三番目の取引が猫のイラスト)。こうすると取引が視覚的に区別しやすくなる。
また商品コード入力装置とPOS端末とをそれぞれ別の人間が操作することを例に説明したが、一人の人間が操作する場合であってもよい。また。商品コード入力装置の代わりにPOS端末装置にハンディススキャナを備えたタイプの装置でもよい。
【0062】
また図6では登録明細へ切り替えることを例として説明したが、図9の明細表示エリアを図6の第1のエリアである決済用ウィンドウ304に表示してもよい。その場合は、図6では画面を分割して表示するようにしたが、第2のエリアである次客用ウィンドウ305、第3のエリアである次々客用ウィンドウ306の表示領域を狭くするためにタグの形式で画面表示するようにしてもよい。そして、そのタグに二番目の取引、三番目の取引のそれぞれで異なるイラストを表示するとともに、取引金額313のような取引の合計金額をタグに表示するようにしてもよい。そのタグが選択指示されることで、画面をその取引の明細を画面のほぼ全てに表示するように切り替えることにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
101…商品販売データ処理装置、108…コードシンボル(商品コード)、112…POS端末(決済部)、116a…キーボード(操作部)、117…客用ディスプレイ(客用表示部)、118…客用タッチパネル、124…決済作業用ディスプレイ(表示部)、125…タッチパネル、150…マイクロコンピュータ(コンピュータ)、153…RAM(記憶部)、160…マイクロコンピュータ(コンピュータ)、211a〜211f…ボタン、317…要望アイコン、318…要望アイコン、301…表示領域、302…決済用領域、303…決済待ち領域、307…取引金額情報、308…取引金額、313…取引金額、324…グラフ、F1,F4…商品データファイル、PG1,PG2…プログラム、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開平5−54258号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品コードを入力する入力部と、
前記入力部で第1の取引に関する商品コードが入力された場合に第1の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、前記入力部で第2の取引に関する商品コードが入力された場合に第2の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、さらに前記入力部で第3の取引に関する商品コードが入力された場合に第3の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、前記第1の取引に関する商品情報、第2の取引に関する商品情報および第3の取引に関する商品情報をそれぞれ記憶部に記憶する記憶手段と、
第1の取引であることを示す第1の取引番号並びに当該取引にかかる商品の名称、単価、数量及び税種並びに当該取引にかかる商品販売点数及び合計金額を表示する第1の表示領域と第2の取引であることを示す第2の取引番号と第2の取引に関する合計金額とをタグの形式で表示する第2の表示領域と第3の取引であることを示す第3の取引番号と第3の取引に関する合計金額をタグの形式で表示する第3の表示領域とを有し、前記第1の表示領域を前記第2の表示領域及び前記第3の表示領域よりも広い表示領域として設けた表示部と、
前記記憶手段が前記第1の取引に関する商品情報と前記第2の取引に関する商品情報と前記第3の取引に関する商品情報とを同時期に前記記憶部に記憶した場合に、前記表示部のそれぞれのエリアに当該取引の表示を行う表示制御手段と、
を備える商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記表示部の表示領域に積層配置されるタッチパネルを備え、第2の表示領域または第3の表示領域に触れることで、当該第2の表示領域または第3の表示領域のいずれかが第1の表示領域と同じ大きさに拡大し、前記第1の表示領域は前記第2の表示領域または第3の表示領域のいずれかと同じ大きさに縮小する請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
画像データを格納する表示データ記憶部を有し、取引番号を表示する部分に前記表示データ記憶部の画像データに基づくイラストを表示する請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記入力部で第2の取引に関する商品コードが入力されていない場合、前記表示部の前記第2の表示領域には背景色のみ表示させる請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
商品コードを入力する入力部と、第1の取引にかかる商品情報、第2の取引にかかる商品情報および第3の取引にかかる商品情報をそれぞれ記憶する記憶部と、表示部とを備えた商品販売データ処理装置のコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、
前記入力部で第1の取引に関する商品コードが入力された場合に第1の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、前記入力部で第2の取引に関する商品コードが入力された場合に第2の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、さらに前記入力部で第3の取引に関する商品コードが入力された場合に第3の取引にかかる商品名や商品単価などの商品情報を所定のエリアから読み出し、前記第1の取引にかかる商品情報、第2の取引にかかる商品情報および第3の取引にかかる商品情報をそれぞれ前記記憶部に記憶する機能と、
前記記憶手段が前記第1の取引にかかる商品情報と前記第2の取引にかかる商品情報と前記第3の取引にかかる商品情報とを同時期に前記記憶部に記憶した場合に、前記表示部を制御して、第1の取引であることを示す第1の取引番号並びに当該取引にかかる商品の名称、単価、数量及び税種並びに当該取引にかかる商品販売点数及び合計金額を第1の表示領域に表示し、第2の取引であることを示す第2の取引番号と第2の取引に関する合計金額とをタグの形式で第2の表示領域に表示し、第3の取引であることを示す第3の取引番号と第3の取引に関する合計金額をタグの形式で第3の表示領域に表示し、第1の表示領域を前記第2の表示領域及び前記第3の表示領域よりも広い表示領域として表示する機能と、
を実現させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−168974(P2012−168974A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99391(P2012−99391)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【分割の表示】特願2009−220539(P2009−220539)の分割
【原出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】