説明

商品販売データ処理装置

【課題】決済を終えた他人の商品が電子タグリーダから所定距離離れなくても既に決済を終えた他人の商品が誤って再登録されないようにする。
【解決手段】電子タグデータバッファと商品アイテムバッファを設ける。電子タグリーダで読取った電子タグデータと同一のデータが電子タグデータバッファに記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合には電子タグから読取った電子タグデータを破棄する。同一データが記憶されていない場合には電子タグから読取った電子タグデータを電子タグデータバッファに追加するとともに、この電子タグデータを基に商品販売データを取得し商品アイテムバッファに追加する。1商取引の登録締めが宣言されると、商品アイテムバッファに記憶された商品販売データに基づいて当該1商取引を決済させ、その後、商品アイテムバッファをクリアする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タグに記憶されたデータを非接触で読取る電子タグリーダを有し、この電子タグリーダで電子タグから読取った電子タグデータに基づいて当該電子タグが付された商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、流通業界においては、電子タグを利用したチェックアウトシステムの開発が進められている。このシステムは、各商品に電子タグをそれぞれ付し、その電子タグのメモリに、当該電子タグが付されている商品を特定するための商品コードなどの商品データを記憶させる。また、POS(Point Of Sales)端末等の商品販売データ処理装置に電子タグリーダを接続し、この電子タグリーダのアンテナをチェックアウトカウンタの近傍に設ける。かくして、客が買上商品を会計のためにチェックアウトカウンタに載せると、各商品にそれぞれ付されている電子タグのデータが電子タグリーダによって読取られ、商品販売データ処理装置に送られるので、商品販売データ処理装置は、電子タグリーダから受信した電子タグデータに基づいて、当該電子タグが付された商品の販売データを処理するというものである。
【0003】
この種のチェックアウトシステムに用いられる商品販売データ処理装置において、従来、電子タグデータから得られる商品コードとシリアルナンバーとを対にして記憶可能なメモリエリアを有した二重読取防止機能を備えたものはあった。この手段は、電子タグリーダから電子タグデータを受信する毎に、その電子タグデータ中の商品コードとシリアルナンバーが上記メモリエリアに記憶されているか否かをチェックする。そして、商品コードとシリアルナンバーの両方が上記メモリエリアに記憶されている場合には、既に読取った電子タグのデータであるのでそれを破棄し、いずれか一方が異なる場合には、新たな商品に付された電子タグのデータであるので、そのデータ中の商品コードとシリアルナンバーとをメモリエリアに追加する。ここで、メモリエリアに記憶されたデータは、1商取引の登録締めを宣言する締め操作によってクリアされるが、既に決済を終えた他人の商品を誤って再登録することを防止するため、決済を終えた他人の商品が電子タグリーダから所定距離離れるまで記憶状態を維持するようにしてもよい(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3373860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子タグデータの二重読取防止機能を備えた従来の商品販売データ処理装置においては、既に決済を終えた他人の商品を誤って再登録することを防止するには、決済を終えた他人の商品が電子タグリーダから所定距離離れるまで記憶状態を維持することが必要であった。このため、決済を終えた他人の商品が電子タグリーダから所定距離離れるまでは、次の客の会計作業ができないという問題があった。また、決済を終えた他人の商品が電子タグリーダから所定距離離れたか否かを認識するための格別な技術手段が必要となり、システムのコストアップが懸念されていた。
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、電子タグデータの二重読取防止機能を備えたものにおいて、決済を終えた他人の商品が電子タグリーダから所定距離離れなくても既に決済を終えた他人の商品が誤って再登録されてしまうおそれがなく、次の客の会計作業をスムーズに行える上、低コスト化を図り得る商品販売データ処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電子タグに記憶されたデータを読取る電子タグリーダを有し、この電子タグリーダで電子タグから読取った電子タグデータに基づいて当該電子タグが付された商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置において、複数の電子タグデータを記憶保持可能な電子タグデータバッファと、複数の商品販売データを記憶保持可能な商品アイテムバッファと、電子タグリーダで電子タグから読取った電子タグデータと同一のデータが電子タグデータバッファに記憶されているか否かを判断するデータ有無判断手段と、このデータ有無判断手段により同一データが記憶されていないと判断されると、電子タグから読取った電子タグデータを電子タグデータバッファに追加し、同一データが記憶されていると判断されると、電子タグから読取った電子タグデータを電子タグデータバッファに追加しない電子タグデータ処理手段と、この電子タグデータ処理手段により電子タグデータバッファに追加された電子タグデータを基に商品販売データを取得し商品アイテムバッファに追加する商品販売データ追加手段と、1商取引の締めを宣言する締め宣言手段と、この締め宣言手段により1商取引の締めが宣言されると、商品アイテムバッファに記憶された商品販売データに基づいて当該1商取引を決済させる締め処理手段と、この締め処理手段により商取引が決済されたことを条件に商品アイテムバッファをクリアする商品アイテムバッファクリア手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
かかる手段を講じた本発明によれば、電子タグデータの二重読取防止機能を備えたものにおいて、決済を終えた他人の商品が電子タグリーダから所定距離離れなくても既に決済を終えた他人の商品が誤って再登録されてしまうおそれがなく、次の客の会計作業をスムーズに行える上、低コスト化を図り得る商品販売データ処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明に係る商品販売データ処理装置の一実施形態を示す模式図である。同図において、符号1はPOS(Point Of Sales)端末、2は電子タグリーダ、3はタグアンテナ板を示す。タグアンテナ板3には、電子タグリーダ2の一部として、電子タグとの間で電磁界あるいは電波の送受信を行うアンテナ4が取り付けられている。
【0009】
電子タグリーダ2は、アンテナ4の交信領域内に存在する電子タグと非接触で交信し、当該電子タグのメモリに記憶されている電子タグデータを読取るもので、アンチコリジョン方式という衝突防止機能を有している。この機能により、タグアンテナ板3の上に買い物籠等の収容体5に収容された1商取引分の客買上商品6A,6B,6C,…が置かれると、これら商品6A,6B,6C,…にそれぞれ付されている電子タグ7A,7B,7C,…のデータが電子タグリーダ2によって一括して読取られる。そして、電子タグリーダ2で読取られた電子タグデータは、POS端末1に順次送信される。POS端末1では、電子タグリーダ2で電子タグ7A,7B,7C,…から読取った電子タグデータに基づいて、当該電子タグが付された商品6A,6B,6C,…の販売データを処理するものとなっている。なお、必ずしも各商品6A,6B,6C,…は、収容体5に収容されていなくてもよい。
【0010】
電子タグ7A,7B,7C,…は、無線タグ,RFID(Radio Frequency Identification),ICタグ等とも称され、既に実用化されているものである。そして、本実施の形態では、商品6A,6B,6C,…にそれぞれ付されている電子タグ7A,7B,7C,…を商品タグと称する。商品タグのメモリには、例えばタグ製造時に設定されるシリアルナンバー等のタグ固有のIDコードと、当該商品タグが付されている商品を特定するための商品コードが少なくとも格納されている。
【0011】
図2はPOS端末1の要部構成を示すブロック図である。このPOS端末1は、商品販売データ処理装置の一態様であり、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)11を搭載している。また、プログラム等の固定的データが予め格納されたROM(Read Only Memory)12、入力データ,演算処理データ等の可変的データを記憶するための種々のメモリエリアが形成されるRAM(Random Access Memory)13、現在の日時を計時する時計部14、オンライン接続されたストアサーバとの間で行うデータ通信を制御する通信コントローラ15、前記電子タグリーダ2が電気的に接続される電子タグリーダインターフェイス16、キーボード17の操作キーに対応したキー信号を取り込むキーボードコントローラ18、オペレータ用ディスプレイ19の画面表示を制御する第1の表示コントローラ20、客用ディスプレイ21の画面表示を制御する第2の表示コントローラ22、レシート印字等を行うプリンタ23の印字動作を制御するプリンタコントローラ24、現金等を収容するためのドロワ25と、データ読取音などを発するブザー26とにそれぞれ駆動信号を出力するI/O(Input/Output)ポート27等を備えている。そしてCPU11と、ROM12,RAM13,時計部14,通信コントローラ15,電子タグリーダインターフェイス16,I/Oポート27及び各種入出力機器のコントローラ18,20,22,24とを、アドレスバス,データバス等のバスライン28で接続している。
【0012】
キーボード17には、1商取引の締めを宣言する締め宣言手段としての締めキー31と、1商取引として売買する全ての商品にそれぞれ付された電子タグのデータ再読取を指令するクリア指示手段としての再読取キー32とを少なくとも設けている。
【0013】
RAM13には、複数の商品販売データを記憶保持可能な商品アイテムバッファ41と、複数の電子タグデータを記憶保持可能な電子タグデータバッファ42とを少なくとも形成している。
【0014】
商品アイテムバッファ41は、図3に示すように、商品コード,商品名,単価,売上点数及び売上金額の各項目からなる商品販売データを複数記憶するためのエリアと、売上点数及び売上金額の合計データを記憶するためのエリアを有している。
【0015】
電子タグデータバッファ42は、図4に示すように、一定数N(N>1)のエリア番号に対応して電子タグデータを記憶するためのエリアを有している。この電子タグデータバッファ42は、エリア番号1のエリアから順に電子タグデータを記憶保持し、エリア番号Nのエリアまで電子タグデータが記憶保持されると、それ以後の電子タグデータをエリア番号1のエリアから順に上書きするようになっている。
【0016】
かかる構成のPOS端末1は、電源投入によりシステムが立ち上がると、CPU11が図5に流れ図に示す手順の制御処理を実行する。すなわちCPU11は、ST(ステップ)1として電子タグリーダインターフェイス16を介して接続された電子タグリーダ2に起動を指令する。これにより、電子タグリーダ2は、電子タグを読取るための読取信号を変調し、この変調電波をアンテナ4から連続して発信する。そして、電子タグからの応答電波をアンテナ4で受信するのを待機している。応答電波を受信すると、その電波を復調し、応答データつまりは電子タグのメモリに記憶されている電子タグデータをPOS端末1に送信する。
【0017】
そこでCPU11は、ST2として電子タグデータを受信するのを待機している。電子タグリーダ2から電子タグデータを受信すると(ST2のYES)、ST3として電子タグデータバッファ42を検索する。そして、受信した電子タグデータと同一のデータが電子タグデータバッファ42に記憶されているか否かを判断する(データ有無判断手段)。この判断処理は、受信した電子タグデータに含まれるタグ固有のIDコードで電子タグデータバッファ42を検索し、同一のIDコードを含む電子タグデータの有無を判断するものであり、記憶されている場合には同一データ有りと判断し、記憶されていない場合には同一データ無しと判断する。その結果、同一データ有りと判断した場合には(ST4のYES)、ST5として受信した電子タグデータを電子タグデータバッファ42に追加せず、破棄する。しかる後、ST2の処理に戻り、次の電子タグデータを受信するのを待機する。これに対し、同一データ無しと判断した場合には(ST4のNO)、ST6として受信した電子タグデータを電子タグデータバッファ42に追加する(電子タグデータ処理手段)。
【0018】
次に、CPU11は、ST7として電子タグデータバッファ42に追加された電子タグデータが、各商品にそれぞれ付されている商品タグのデータか否かを判断する。ここで、商品タグから読取った電子タグデータでない場合には、ST2の処理に戻り、次の電子タグデータを受信するのを待機する。
【0019】
一方、受信した電子タグデータが商品タグから読取った電子タグデータ、つまりIDコードとともに商品コードを含むデータであった場合には、CPU11は、ST8としてその電子タグデータに含まれる商品コードに基づいて商品名,単価等の商品データを取得する。すなわちPOS端末1は、各商品の商品コードに対応して商品名,単価等の商品データがプリセットされた商品データファイルを備えており、CPU11は、電子タグデータから取得した商品コードで商品データファイルを検索して、当該商品コードに対応して設定されている商品名及び単価の商品データを取得する。なお、商品タグのメモリに商品コードと共に商品名,単価等の商品データも記憶するようにして、商品データファイルを省略することも可能である。
【0020】
CPU11は、商品コード,商品名,単価等の商品データを取得すると、次に、ST9として売上点数を“1”とし、売上金額を単価として、商品コード,商品名,単価,売上点数及び売上金額からなる商品販売データを生成する。そして、この商品販売データを商品アイテムバッファ41に追加する(商品販売データ追加手段)。また、ST10として商品アイテムバッファ41に記憶された各商品販売データの売上点数及び売上金額をそれぞれ加算し、合計点数及び合計金額(小計額)を算出して、商品アイテムバッファ41の合計エリアを更新する。そして、ST11としてオペレータ用ディスプレイ19及び客用ディスプレイ21に商品名,単価,小計額等を表示させる。また、ST12としてブザー26に駆動信号を送出して、商品読取確定音を鳴動させる。
【0021】
その後、CPU11は、ST13として再読取キー32が操作入力されたか否かを判断する。再読取キー32が操作入力されていない場合には、ST14として締めキー31が操作入力されたか否かを判断する。締めキー31も操作入力されていない場合には、ST2の処理に戻り、次の電子タグデータを受信するのを待機する。
【0022】
再読取キー32が操作入力された場合には、CPU11は、ST15として電子タグデータバッファ42及び商品アイテムバッファ41とを共にクリアする(両バッファクリア手段)。その後、ST2の処理に戻り、次の電子タグデータを受信するのを待機する。
【0023】
一方、締めキー31が操作入力された場合には、CPU11は、ST16として商品アイテムバッファ41に記憶された商品販売データに基づいて1商取引を決済させる締め処理を行う(締め処理手段)。この締め処理は、商取引の合計金額に対して代金が支払われると、釣銭額を算出し、オペレータ用ディスプレイ19,客用ディスプレイ21に表示させるとともに、ドロワ25を開放動作させる処理を含む。また、プリンタ23を駆動して、商品アイテムバッファ41に記憶された商品名,売上点数,売上金額や合計点数,合計金額等の商取引明細データが印字されたレシートを発行する処理を含む。
【0024】
かかる締め処理が終了すると、CPU11は、ST17として商品アイテムバッファ41をクリアする(商品アイテムバッファクリア手段)。このとき、電子タグデータバッファ42はクリアしない。その後、ST2の処理に戻り、次の電子タグデータを受信するのを待機する。
【0025】
このように本実施の形態においては、POS端末1の電源投入により、電子タグリーダ2のアンテナ4からは、電子タグを読取るための読取電波が連続して発信されている。ここで、アンテナ4の交信領域内に電子タグが入ると、この電子タグのメモリに記憶されている電子タグデータが電子タグリーダ2によって非接触で読取られ、POS端末1に送信される。
【0026】
今、客が商品6A,商品6B,商品6Cの3品目を購入するために、POS端末1が設置された会計場所に来たとする。この場合、会計担当の店員いわゆるキャッシャは、各商品6A,6B,6Cをタグアンテナ板3の上に載置する。そうすると、各商品6A,6B,6Cにそれぞれ付されている電子タグ7A,7B,7Cは、アンテナ4からの読取電波に応答して、それぞれIDコードと商品コードとを含む電子タグデータの応答電波を発信する。
【0027】
例えば、商品6Aに付された電子タグ7Aからの応答電波をアンテナ4で受信すると、この電子タグ7Aに記憶されているIDコードと商品コードを含む電子タグデータが電子タグリーダで読取られ、POS端末1に送り込まれる。これにより、POS端末1においては、当該電子タグデータ中のIDコードを含む電子タグデータが電子タグデータバッファ42に記憶されているか否かが判断される。そして、記憶されていない場合には、当該電子タグデータが電子タグデータバッファ42に追加される。また、この電子タグデータ中の商品コードに基づいて当該商品Aの商品名,単価が取得され、商品販売データが生成される。そして、この商品販売データが商品アイテムバッファ41に格納される。なお、商品アイテムバッファ41は、直前の客の締め処理後にクリアされている。
【0028】
次に、商品6Bに付された電子タグ7Bからの応答電波をアンテナ4で受信すると、この電子タグ7Bに記憶されているIDコードと商品コードを含む電子タグデータが電子タグリーダで読取られ、POS端末1に送り込まれる。これにより、POS端末1においては、当該電子タグデータ中のIDコードを含む電子タグデータが電子タグデータバッファ42に記憶されているか否かが判断される。そして、記憶されていない場合には、当該電子タグデータが電子タグデータバッファ42に追加される。また、この電子タグデータ中の商品コードに基づいて当該商品Bの商品名,単価が取得され、商品販売データが生成される。そして、この商品販売データが商品アイテムバッファ41に格納される。
【0029】
商品6Cに付された電子タグ7Bからの応答電波をアンテナ4で受信した場合も同様である。その後、キャッシャが締めキー31を操作入力すると、商品アイテムバッファ41に記憶された各商品6A,6B,6Cの各商品販売データに基づいて締め処理が行われる。そして締め処理後、商品アイテムバッファ41がクリアされる。これにより、次の客の会計処理が可能となる。
【0030】
一方、電子タグデータバッファ42はクリアされず、商品6A,6B,6Cにそれぞれ付された電子タグ7A,7B,7Cの電子タグデータは、電子タグデータバッファ42で記憶保持される。このため、決済を終えた直前の客の買上商品が電子タグリーダ2の近くにあっても、この決済を終えた直前の客の買上商品が再登録されるのは、電子タグデータバッファ42のデータを利用した二重読取防止機能により禁止される。したがって、次の客の会計処理をスムーズに実行することができる。この場合において、決済を終えた他人の商品が電子タグリーダから所定距離離れたか否かを認識するための格別な技術手段等を必要としないので、低コストで実現することができる。
【0031】
ところで、本実施の形態では、キーボード17に再読取キー32を設けており、この再読取キー32が操作入力された場合に、商品アイテムバッファ41とともに電子タグデータバッファ42をクリアするものとなっている。
【0032】
そこで、例えば商品6A,商品6B,商品6Cの3品目の商品販売データが商品アイテムバッファ41に記憶され、キャッシャが締めキー31を操作する直前に、客が一部の商品、例えば商品6Cの購入取り止めを申し出た場合、キャッシャは、タグアンテナ板3から商品6Cを取り除く。そして、再読取キー32を操作入力する。
【0033】
そうすると、商品アイテムバッファ41と電子タグデータバッファ42の両バッファがいずれもクリアされる。その後、タグアンテナ板3に残っている商品6Aと商品6Bにそれぞれ付されている電子タグ7A,7Bの電子タグデータが電子タグリーダ2によって読取られる。このとき、電子タグ7A,7Bの電子タグデータは、いずれも電子タグデータバッファ42からクリアされているので、電子タグ7A及び7Bの電子タグデータは、新たに電子タグデータバッファ42に追加される。これにより、この追加された電子タグデータに基づいて、商品6A及び商品6Bの商品販売データが商品アイテムバッファ41に記憶される。しかる後、締めキー31が操作入力されると、商品アイテムバッファ41に記憶された商品6A及び商品6Bの各商品販売データに基づいて締め処理が行われる。
【0034】
このように、電子タグデータが既に読取られた電子タグ付商品の販売を取消す場合、本実施の形態では、販売を取消す商品をタグアンテナ板3から取り除いた後、再読取キー32を操作入力するだけでよい。
【0035】
一般に、バーコードの読取操作等により商品コードを1品ずつ入力する形式の既存の商品販売データ処理装置においては、直前に入力した商品を取消す際には直前取消キーを操作入力すればよいが、直前に入力した商品以外の商品を取消す指定取消の場合には、指定取消キーの操作入力とともに取消す商品を指定するバーコード等の入力を行う必要があり、手間のかかるものであった。これに対して本実施の形態では、前述した操作を行えばよいので、操作が単純で効率的であり、また覚えやすく、アルバイト等の経験の少ないキャッシャでもミスなく操作できる利点がある。
【0036】
なお、前記実施の形態では、受信した電子タグデータと同一のデータが電子タグデータバッファ42に記憶されているか否かを判断する処理として、受信した電子タグデータに含まれるタグ固有のIDコードで電子タグデータバッファ42を検索し、同一のIDコードを含む電子タグデータの有無を判断するものとしたが、電子タグリーダ2で読取られる電子タグが商品タグに限定される運用である場合においては、受信した電子タグデータに含まれるIDコードと商品コードで電子タグデータバッファ42を検索し、同一のIDコード及び商品コードを含む電子タグデータの有無を判断するものとしてもよい。
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態を示すシステム構成図。
【図2】同実施の形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図3】同POS端末のRAMに形成される商品アイテムバッファのエリア構造を示す模式図。
【図4】同POS端末のRAMに形成される電子タグデータバッファのエリア構造を示す模式図。
【図5】同POS端末のCPUが実行する制御処理の要部手順を示す流れ図。
【符号の説明】
【0038】
1…POS端末、2…電子タグリーダ、3…タグアンテナ板、4…アンテナ、6A,6B,6C…商品、7A,7B,7C…電子タグ、11…CPU、31…締めキー、32…再読取キー、41…商品アイテムバッファ、42…電子タグデータバッファ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子タグに記憶されたデータを読取る電子タグリーダを有し、この電子タグリーダで前記電子タグから読取った電子タグデータに基づいて当該電子タグが付された商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置において、
複数の電子タグデータを記憶保持可能な電子タグデータバッファと、
複数の商品販売データを記憶保持可能な商品アイテムバッファと、
前記電子タグリーダで前記電子タグから読取った電子タグデータと同一のデータが前記電子タグデータバッファに記憶されているか否かを判断するデータ有無判断手段と、
このデータ有無判断手段により同一データが記憶されていないと判断されると、前記電子タグから読取った前記電子タグデータを前記電子タグデータバッファに追加し、同一データが記憶されていると判断されると、前記電子タグから読取った前記電子タグデータを前記電子タグデータバッファに追加しない電子タグデータ処理手段と、
この電子タグデータ処理手段により前記電子タグデータバッファに追加された電子タグデータを基に商品販売データを取得し前記商品アイテムバッファに追加する商品販売データ追加手段と、
1商取引の締めを宣言する締め宣言手段と、
この締め宣言手段により1商取引の締めが宣言されると、前記商品アイテムバッファに記憶された商品販売データに基づいて当該1商取引を決済させる締め処理手段と、
この締め処理手段により前記商取引が決済されたことを条件に前記商品アイテムバッファをクリアする商品アイテムバッファクリア手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記電子タグデータバッファのクリアを指令するクリア指令手段と、
このクリア指令手段によりクリアが指令されたことを条件に前記電子タグデータバッファと前記商品アイテムバッファとを共にクリアする両バッファクリア手段と、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記クリア指令手段は、1商取引として売買する全ての商品にそれぞれ付された電子タグのデータ再読取を指令する再読取キーであることを特徴とする請求項2記載の商品販売データ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−172064(P2007−172064A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365147(P2005−365147)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、経済産業省、「エネルギー使用合理化電子タグシステム開発調査事業 (未来型店舗サービスの実現に向けた電子タグ実証実験)」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【出願人】(000000147)伊藤忠商事株式会社 (43)
【出願人】(597096286)株式会社ファミリーマート (3)
【Fターム(参考)】