説明

商品販売データ処理装置

【課題】RFIDリーダにより一括読み取されなかった商品についてバーコード読み取りする際、客側のディスプレイに、商品がRFIDリーダで読み取られたのかバーコードリーダで読み取られたのかを表示し、顧客の二重読み取りしているのではという不信感を払拭することができる商品販売データ処理装置を提供する。
【解決手段】店側ディスプレイと、客側ディスプレイと、を備え、RFIDリーダ又はバーコードリーダにより読み取られた商品についての商品情報(24、25、27)と、読み取られた商品がRFIDリーダによって読み取られたのか(18)、バーコードリーダによって読み取られたのか(26)、を店側ディスプレイと客側ディスプレイとに表示する表示手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各商品に付されたRFIDチップから商品情報を読み出し、読み出した商品情報に基づいて商品販売データ処理を実行する商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFIDチップを利用した商品販売データ処理システムが知られている。RFIDチップには商品固有の商品識別コード等の商品情報が記憶されており、RFIDチップ読取装置により一顧客が購入する商品それぞれに付されたRFIDチップに記憶された情報を一括して読み取り、読み取ったRFIDチップに記憶された情報に対応する商品情報に基づいて当該一顧客の購入商品をPOS(Point Of Sales)端末で商品販売データ処理する。
【0003】
現在、RFIDチップを利用した商品販売データ処理システムはその適用の過渡期にあり、すべての商品にRFIDチップを付するには至っていない。そのため当座は、RFIDチップを付した商品と、例えば、従来からのバーコード等のコードシンボルを付した商品とが混合して販売されるような状況が想定される。そのような場合の商品販売データ処理への対策として、RFIDチップ読取装置によるRFIDチップの一括読み取りにより商品情報が処理された商品と未処理の商品とを判別する商品販売データ処理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の発明は、RFIDチップ読取装置により客が購入したい商品すべてのRFID情報を一括して読み取った後、読み取り商品の一覧をキャッシャ側の表示装置に表示する。そこで、この表示装置に表示されないRFIDチップ読取装置により読み取られなかった商品についての商品情報をバーコード読取装置で読み取って商品販売データ処理を行なう。
【0004】
【特許文献1】特開2005−141648
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、前記RFIDチップ読取装置又はバーコード読取装置で読み取った商品情報は、キャッシャ側の表示装置に一覧表示される(図8〜図10参照)のみで、客側の表示装置には表示されないため、客は自分の購入する商品がRFIDチップ読取装置で読み取られたのかバーコード読取装置で読み取られたのかを知ることができず、客に対して重複読取りされているのではとの誤解を生じさせる虞がある。
【0006】
本発明は、RFIDチップの読み取り後にバーコード読み取りされる商品が二重読み取りされているのでは、という顧客の不信感を払拭することができる商品販売データ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の商品販売データ処理装置は、操作者に対する店側ディスプレイと、客に対する客側ディスプレイと、情報処理を実行する情報処理部と、商品に付されたRFIDチップからRFIDチップに記憶されている情報を読み取るRFIDリーダと、前記RFIDリーダにより読み取られた前記RFIDチップに記憶されている情報から商品を識別する情報を取得し前記情報処理部に商品販売データ処理を実行させる第一の手段と、商品に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダと、前記バーコードリーダにより読み取られた前記バーコードから商品を識別する情報を取得し前記情報処理部に商品販売データ処理を実行させる第二の手段と、前記RFIDリーダ又はバーコードリーダにより読み取られた商品についての商品情報と、前記読み取られた商品が前記RFIDリーダによって読み取られたのか、バーコードリーダによって読み取られたのか、を前記店側ディスプレイと客側ディスプレイとに表示する表示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、顧客に商品のRFIDチップが読み取られたのかバーコードが読み取られたのかを報知することができ、従って、RFIDチップの読み取り後にバーコード読み取りされる商品が二重読み取りされているのではという顧客の不信感を払拭することができる商品販売データ処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の一形態を図1から図11に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明の第一の実施の形態におけるPOS端末1を示す模式図である。
【0011】
図1に基づいて、本実施の形態におけるPOS端末1の構成について説明する。POS端末1は、POS本体2と、当該POS本体2に通信ケーブルを介してそれぞれ接続されたRFIDリーダ3、バーコードリーダ4、キャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6とから構成されている。
【0012】
POS本体2は、チェックアウトカウンタ7の内側にキャッシャの方を向けて設置されており、その筐体には、一顧客が購入する商品の商品販売データ処理の終了を宣言する締めキー等が配設されたキーボード8と、後に詳述する読取処理された商品の名称等が表示されるキャッシャ側ディスプレイ5と客側ディスプレイ6とが設けられている。更に、POS本体2には後述するバーコードリーダ4が接続されている。また、詳細は図示しないが、POS本体2は商品データベースを保有するストアコントローラに接続し、POS本体2が受領した各商品の商品コードに対応する商品名、商品画像、商品単価等の商品情報を取得できるよう構成されている。
【0013】
RFIDリーダ3は、詳細は図示しないが本実施の形態においては平板状に形成したアンテナを有し、当該平板状アンテナをチェックアウトカウンタ7に埋設したものであり、当該アンテナの電波到達領域をRFIDチップの読取領域とする。そして、この読取領域内に載置された各商品に付されたRFIDチップからRFIDチップに記憶されている情報を一括して読み取る。顧客が購入する商品は、図1に示すように当該RFIDリーダ3の平板状アンテナ上に直接載置して読み取りを行なってもよく、または、特に図示しないが商品を収容した買い物籠ごと平板状アンテナの上面に載置して読取処理を実行してもよい。尚、各商品に付されたRFIDチップのメモリには、そのタグ固有の識別情報(以下、RFIDチップID)と共に、そのRFIDチップが付された商品の商品コードが予め記憶されている。
【0014】
バーコードリーダ4は、各商品にそれぞれ付されたバーコードを光学的に読み取るもので、チェックアウトカウンタ7中央部で使用できるよう配置されている。バーコードには各商品の種類を識別する商品毎に予め割り当てられた商品コードが含まれている。
【0015】
キャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6は、詳しくは後述するが読取処理された商品の名称等を表示するためのもので、キャッシャ側ディスプレイ5はPOS本体2の上部にチェックアウトカウンタ7の内側に向けて取り付けられており、客側ディスプレイ6は当該キャッシャ側ディスプレイ5に背面対向して、チェックアウトカウンタ7の外側に向けて取り付けられている。
【0016】
また、POS端末1には図示しない報知音出力部が設けられており、RFIDリーダ3又はバーコードリーダ4による読み取りの際、報知音が出力されるよう構成されている。この報知音出力部にはブザーが用いられ、例えば、「ピコ」または「ピッ」等の異なる複数のビープ報知音がRFIDリーダ3とバーコードリーダ4のそれぞれの読み取りに対応して出力される。
【0017】
図2は、本実施の形態におけるPOS本体2の主要構成を示すブロック図である。
【0018】
POS本体2は、各部を集中的に制御するCPU9(Central Processing Unit)、CPU9が実行するプログラム等の固定データが書き込まれているROM10(Read Only Memory)、ワークデータ等の可変データを更新自在に書き込むRAM11(Random Access Memory)とがバスライン12を介して接続され、情報処理部を構成している。また、RFIDリーダ3、バーコードリーダ4、キーボード8、キャッシャ側ディスプレイ5、客側ディスプレイ6、プリンタ13等がバスライン12を介してCPU9に接続している。また、POS本体2には、通信インターフェース14を介して前述したストアコントローラが接続している。
【0019】
尚、RAM11には各種データメモリエリアが形成されており、読み取られた商品コードやRFIDチップID及び前述した商品コードに対応する商品画像や商品単価等の商品情報を一時的に記憶するエリアを有し、更に、後述するキャッシャ側ディスプレイ5や客側ディスプレイ6に表示される、商品ごとであってRFIDリーダ3によるかバーコードリーダ4によるかの読取点数やその小計額等が算出、記憶されるエリアを有する。
【0020】
図3は、POS本体2のCPU9が実行する商品販売データ処理の処理手順を示したフローチャートであり、図4は、取得されたRFID情報に基づき実行されるRFID読取情報表示処理の処理手順を抜き出して示したフローチャートであり、図5は、取得されたバーコード情報に基づくバーコード読取情報表示処理の処理手順を抜き出して示したフローチャートである。
【0021】
図3から図5により、一顧客が購入する全商品の商品販売データ処理の締め処理までの処理手順について説明する。
【0022】
まず、RFIDリーダ3の読取領域内に商品または商品が収容された買い物籠が載置されると、RFIDリーダ3が読取処理を実行する。RFIDリーダ3は、読取領域内に載置された各商品に付されたRFIDチップに記憶されている情報を一括取得し(ステップS1)、情報処理部に送信する。そして、CPU9は受領した読取情報をキャッシャ側ディスプレイ5と客側ディスプレイ6に表示するためのRFID読取情報表示処理を開始する(ステップS2)。
【0023】
続いて、図4に基づき、RFID読取情報表示処理(図3のステップS2の詳細)について説明する。
【0024】
CPU9は、取得したRFIDチップに記憶されている情報が読取処理済みかを確認し、読取処理済みでない場合(ステップS20のN)、各RFIDチップに記憶されている情報から商品コードを取得し、各商品コードに対応する商品名、商品単価、商品画像等の商品情報をPOSサーバから取得しRAM11に記憶させる(ステップS21)。そして、読取済みのRFIDチップに、読取処理済みであることを記憶させる(ステップS22)。次に、読取済みの商品の中に、同一商品が複数あるかどうかを検索する(S23)。そして、読取済みの商品の中に同一商品が存在する場合(ステップS23のY)、当該同一商品の読取点数が合計され、RAM11に記憶される(ステップS24)。また、当該同一商品の小計額が、当該商品の商品単価に前記合計読取点数を乗じて計算され、RAM11に記憶される(ステップS25)。また、読取済みの商品の中に、同一商品が他に存在せず、単独で存在する場合(ステップS23のN)は、当該単独商品の読取点数は“1”としてRAM11に記憶される(ステップS26)。
【0025】
そして、CPU9は、RFIDリーダ3によって読み取った商品コードに基づいて取得し、算出した商品名、商品画像、商品単価、及び上記ステップS24〜S26によって得られた同一商品合計読取点数、同一商品小計額、単独商品読取点数をキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6に表示させる(ステップS27)。更にこの際、本発明の実施の形態においては、RFIDリーダ3により商品情報が読み取られたことを示す“RF”表示が上記商品名等の商品表示と共に表示される(ステップS27)。これにより、キャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6には、RFIDリーダ3により読み取られたものであって、各々何点ずつ読み取られ、その小計額がいくらか、についての商品情報が表示され、それらの情報を一見して把握することができる。
【0026】
続いて、キャッシャは、上記RFIDリーダ3により読み取られた商品の表示及びチェックアウトカウンタ7上に実際に載置されている商品を見ることで、どの商品が読み取られなかったかを容易に識別することができる。そこで、キャッシャは、当該読み取られなかった商品を取り上げ、商品に付されたバーコードをバーコードリーダ4で読み取る。それにより、バーコードリーダ4が商品に付されたバーコードを読み取り(図3のステップS3)、読み取ったバーコード情報をCPU9に送信する。そして、CPU9は受領したバーコード情報に基づき、バーコード読取情報表示処理を開始する(ステップS4)。
【0027】
次に、図5に基づきバーコードリーダ4により読み取られたバーコード情報のバーコード読取情報表示処理(図3のステップS4の詳細)について説明する。
【0028】
CPU9は、バーコードリーダ4から受領したバーコード読み取りされた商品の商品コードに対応する商品名、商品単価、商品画像等の商品情報をPOSサーバから取得し、RAM11に記憶させる(ステップS40)。
【0029】
その後、CPU9は、当該読取処理された商品について、既にバーコード読み取りされている商品の中に同一の商品が存在するかどうかを検索する(ステップS41)。そして同一商品がある場合(ステップS41のY)、当該同一商品の読取点数が合計されRAM11に記憶される(ステップS42)。更に、当該商品の小計額を算出するため、商品単価に上述の合計読取点数を乗じて小計額を算出し、RAM11に記憶させる(ステップS43)。
【0030】
一方、バーコード読取済みの商品の中に、同一商品が他に存在せず、単独で存在する場合(ステップS41のN)は、当該単独商品の読取点数は“1”としてRAM11に記憶される(ステップS44)。
【0031】
そして、CPU9は、バーコードリーダ4によって読み取った商品コードに基づいて取得し、算出した商品名、商品画像、商品単価、及び上記ステップS42〜S44によって得られた同一商品合計読取点数、同一商品小計額、単独商品読取点数をキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6に表示させる(ステップS45)。更にこの際、本発明の実施の形態においては、バーコードリーダ4により商品情報が読み取られたことを示す“BAR”表示も各商品の表示と共に表示させる(ステップS45)。これにより、キャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6には、バーコードリーダ4により読み取られたものであって、各々何点ずつ読み取られ、その小計額がいくらか、についての商品情報が表示され、それらの情報を一見して把握することができる。
【0032】
図3のステップS1ないしS4の処理は、キーボード8の締めキーが押下されて締めが宣言されたと判断されるまで繰り返される。
【0033】
続いて、CPU9は、キーボード8からのキー入力を検知すると、そのキー入力に応じた処理を実行する。ここで、キャッシャが読取処理の終了を宣言する締めキーを押下すると(図3のステップS5のY)、CPU9は、精算処理やレシートの発行等、通常の決済処理を実行する(ステップS6)。これにより、当該一顧客の購入商品の商品販売データ処理が終了する。
【0034】
図6は、RFIDリーダ3で商品が一括読み取りされた直後のキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6の表示の一部を示す平面図である。
【0035】
今、一例として、RFIDチップが付されているAドリンク2本、Bドリンク1本及びC弁当2つと、RFIDチップが付されておらずバーコードのみが付されているDドリンク1本がRFIDリーダ3上に載置されたとする(図1参照)。そして、C弁当のうちの一つのRFIDチップが何らかの不具合により読み取りされなかったとする。そのような場合においては、図6に示すように読み取りが正常になされたAドリンクについては、“Aドリンク”という商品名15、Aドリンクの商品画像16及び商品単価17が表示される。更に、本実施の形態においては、当該商品画像16の表示の横にRFIDリーダ3によってRFID情報が読み取られたことを示す“RF”表示18が表示される。尚、後に説明するが、もし商品のバーコードが読み取られた場合は、“BAR”という表示がなされる。つまり、RFIDリーダ3で読み取られたのか、バーコードリーダ4で読み取られたのか、どちらの読取手段によって読み取られたのかが判別できるように表示がなされる。更に、RFIDリーダ3によって読み取られたAドリンクの読取点数である“2点”という読取点数表示19、及びRFIDリーダ3によって読み取られたAドリンクに関する小計額20が一行に表示される。Bドリンクについても同様に表示される。C弁当については、二つのうちの1点のみが読取処理されるため、読取点数19が“1点”と表示され、小計額20も1点分の金額が表示される。DドリンクについてのRFID情報は読み取りがなされないためディスプレイには表示されない。そして、読取処理された商品一覧21の最下段に、読み取られた商品全体の合計読取点数22及び合計金額23が表示される。
【0036】
図7は、一括読み取りされなかった商品をバーコードリーダ4で読み取った後のキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6への表示の一例を示す平面図である。
【0037】
図7により、バーコードリーダ4によって読み取られる商品についての商品情報が商品一覧21へ表示される様子を説明する。
【0038】
キャッシャは、RFIDチップに記憶された情報が読み取られた直後にキャッシャ側ディスプレイ5に表示される商品一覧21を参照し、RFIDリーダ3上に載置されている商品を見渡せば、Dドリンクが読み取られなかったことが容易に判断でき、更に、C弁当の読取点数19が“1点”であることからC弁当のうちのどちらか一つのRFIDチップが読取処理されなかったことも容易に判断できる。そこでキャッシャは、RFIDリーダ3上に載置されているDドリンクを取り上げ、Dドリンクに付されているバーコードをバーコードリーダ4により読み取る。それにより、バーコード情報が読み取られたDドリンクの商品名、商品画像、商品単価等の商品情報24が、前述したRFIDリーダ3による読み取り時に最後に表示されたC弁当の表示25の下に表示される。そして、バーコード情報が読み取られたことを示す“BAR”表示26が左端に表示される。
【0039】
次に、キャッシャは、RFIDリーダ3による情報の一括読み取りがされなかったC弁当を取り上げ当該商品に付されているバーコードを読み取る。このとき、C弁当は二つあるのでキャッシャはどちらのRFIDチップが正常に読み取られたのかは判別できないが、該当する2つのC弁当のうちから任意の一つのバーコードをバーコードリーダ4で読み取れば、顧客が購入したい2つめのC弁当を読取処理することができる。それにより、Dドリンクの表示24の下にC弁当の商品情報27が表示される。そして、バーコード読み取りされたことを示す“BAR”表示26が最左端に表示される。それにより、当該バーコード読み取りされたC弁当の表示27が、上段に表示されているRFIDリーダ3により読み取られた、もう一方のC弁当の表示25とは別の行で表示され、左端を参照するとそれぞれRFIDチップ読み取りされたか(“RF”表示か)、バーコード読み取りされたか(“BAR”表示か)が一見して確認できるように表示される。
【0040】
尚、前述したが、POS端末1には図示しない報知音出力部が設けられているため、上記RFIDリーダ3又はバーコードリーダ4による読み取りの際、報知音が出力され、この異なる報知音により、キャッシャは、商品がRFIDリーダ3で読み取られたのか、バーコードリーダ4で読み取られたのか、を聴別することができるため、ディスプレイ5の表示の変更と共に報知音によっても読み取りを確認することができる。
【0041】
このように本実施の形態によれば、一顧客が購入する全商品をRFIDリーダ3により一括読取し、読取処理された商品情報を同一商品毎に読取点数、小計額及び“RF”表示と共にキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6に表示する。更に、RFIDリーダ3により一括読取処理されなかった商品についてはバーコードリーダ4によりバーコード読取処理を実行し、読取処理された商品情報を同一商品毎に読取点数、小計額及び“BAR”表示と共にキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6に表示する。これにより、顧客はRFIDリーダ3による一括読取後にバーコードリーダ4により読み取られる商品が二重読取されたのでは、という疑念を持つことなく安心して買い物をすることができる。
【0042】
図8は、本発明の第二の実施の形態におけるPOS端末1を示す模式図である。第一の実施の形態において示した部分と同じ機能を奏する部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0043】
本実施の形態が第一の実施の形態と異なる点は、チェックアウトカウンタ7上に埋設されたRFIDリーダ3とPOS本体2に接続したバーコードリーダ4との間に当該RFIDリーダ3とは異なる第二のRFIDリーダ28を配置したところである。この第二のRFIDリーダ28の構造は基本的にはRFIDリーダ3と同じでよい。この第二のRFIDリーダ28の配置位置は、RFIDリーダ3とPOS本体2に接続したバーコードリーダ4との間であって、RFIDリーダ3上に載置されている商品をキャッシャが取り上げてバーコードリーダ4にかざすまでの動線上に設置される。
【0044】
図9は、CPU9が実行する第二の実施の形態における商品販売データ処理の処理手順を示したフローチャートであり、図10は、CPU9が実行する第二のRFIDリーダ28により読み取られたRFID情報に基づくRFID読取情報表示処理の処理手順を抜き出して示したフローチャートである。
【0045】
図9及び図10に基づき、一顧客が購入する商品の販売データ処理の締め処理までの手順について、第一の実施の形態と異なる部分について説明する。先に触れたとおり、第一の実施の形態との相違点は、RFIDリーダ3とPOS本体2に接続したバーコードリーダ4との間に第二のRFIDリーダ28が備えられているところである。従って、一顧客が購入する商品または商品が収容された買い物籠がRFIDリーダ3上に載置され、商品に付されたRFIDチップが一括読み取りされた後、読取られたRFID情報の表示処理が実行される手順は前述したとおりである(ステップS1〜S2)。その後、キャッシャが、キャッシャ側ディスプレイ5に表示された商品情報一覧21とRFIDリーダ3上の実際の商品とを見比べて、バーコード読み取りが必要な商品を取り上げ、バーコードリーダ4にかざす行程で、第二のRFIDリーダ28の読取領域を通過する。それにより、第二のRFIDリーダ28は当該商品に付されたRFIDチップに記憶された情報を読み取り(図9のステップS7)、第二のRFIDチップに記憶された情報に基づくRFID読取情報表示処理が実行される(ステップS8)。
【0046】
以下、図10に基づき、図9のステップS8の詳細を説明する。CPU9は、読み取ったRFIDチップのIDが既に処理済みのIDか否かを検索する(ステップS80)。このとき、読み取ったRFIDチップIDが読取処理済みであった場合は(ステップS81のN)、当該RFID情報は、続く読取処理が実行されず、キャッシャ側ディスプレイ5には、例えば、“既にRFID情報が読取処理済みです”等の報知がされる(ステップS82)。しかしながら、第二のRFIDリーダ28により読み取られたRFIDチップIDが読取処理済みでない場合は(ステップS81のY)、CPU9は、当該RFIDチップに記憶された情報に対応する商品情報をPOSサーバより取得しRAM11に記憶する(ステップS83)。更に、RFID情報が読み取り処理済であることが、RFIDチップに記憶される(ステップS84)。続けて、当該第二のRFIDリーダ28により読み取った商品と同一の商品が既にRFIDリーダ3または第二のRFIDリーダ28により読み取られているか否かを検索する(ステップS85)。そして、既に読取済みの商品の中に同一商品が存在すれば(ステップS85のY)、当該同一商品のRFIDリーダ3又は第二のRFIDリーダ28による合計読取点数に今回の読取点数である“1”を加算して、RAM11に記憶する(ステップS86)。更に、当該同一商品の商品単価に加算後の合計読取点数を乗じて算出する当該商品の小計額についてもRAM11に記憶する(ステップS87)。一方、第二のRFIDリーダ28で読み取った商品と同一の商品が既処理の商品の中に無く、単独で存在する場合は(ステップS85のN)、第二のRFIDリーダ28による当該商品の読取点数を“1”としてRAM11に記憶する(ステップS88)。以上の処理により、第二のRFIDリーダ28によって読み取られた商品と同一の商品が既に存在していた場合には、商品一覧21の“RF”表示がされた当該同一商品の合計読取点数及び小計額が更新され、新規の商品に関しては、新たに当該商品情報及び“RF”表示がキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6に追加表示される(ステップS89)。
【0047】
一方、キャッシャが取り上げた商品が第二のRFIDリーダ28の読取領域を通過したにも関わらず、ディスプレイ(5,6)への表示に変更がない場合は、当該商品に付されたRFIDチップがなんらかの不具合により読み取りが不可能であるか、RFIDチップ自体が付されていない商品であるため、第二のRFIDリーダ28により読み取りが実行されない。その場合は、キャッシャがバーコードリーダ4によるバーコード読み取りを行い、CPU9により前述したバーコード読取情報の表示処理が実行される(図9のステップS3〜S4)。
【0048】
図11は、本実施の形態における、一顧客のすべての商品読み取りが完了した時点でのキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6への表示の一部を示した平面図である。
【0049】
一例として、図6において説明した状況と同様に、RFIDチップが付されているAドリンク2本、Bドリンク1本及びC弁当2つ、及びRFIDチップが付されておらずバーコードのみが付されているDドリンク1本が第一のRFIDリーダ3上に載置されたとする。そして、C弁当のうちの一つのRFIDチップが何らかの不具合により読み取りが不可能であったとする。そのような場合においては、RFIDチップの読み取りが正常になされたAドリンク、Bドリンク及びC弁当のうち正常に読取られた一つについての商品情報がディスプレイ(5,6)に表示される(図6参照)。その後、キャッシャがDドリンクを取り上げてバーコードリーダ4で読み取り処理する。それにより、バーコードリーダ4により読み取られた商品の中に同一商品が無いことから、ディスプレイ(5,6)のC弁当の表示29の下に新たにDドリンクの商品情報30が“BAR”表示31とともに表示される。それにより、キャッシャ及び顧客は、Dドリンクのバーコード読取処理が実行されたことが分かる。尚、前述したが、POS端末1には図示しない報知音出力部が設けられているため、バーコードリーダ4によりDドリンクが読み取られた際、バーコードリーダ4による読み取りに対応する報知音が出力される。従って、キャッシャは、キャッシャ側ディスプレイ5の表示の変化によってのみならず、この報知音によってもDドリンクがバーコードリーダ4で読み取られたことを認識することができる。
【0050】
次に、C弁当のうちの任意の一つがキャッシャにより取り上げられ第二のRFIDリーダ28の読取領域を通過すると、既に読取処理済である場合には、その旨の報知がキャッシャ側ディスプレイ5に表示されるため、キャッシャは、当該C弁当が読取処理済であることが分かる。そこで、残ったもう一方のC弁当を取り上げると、本来RFIDチップが正常に働くものであった場合は、RFIDリーダ3によって読取処理されるか、または当該C弁当がバーコードリーダ4まで移動される行程で第二のRFIDリーダ28により読取処理される。そして、RFIDリーダ3による読取処理済みのC弁当の表示29の合計読取点数19が“2点”に更新され、更に小計額20が“1000円”に更新される。尚、RFIDリーダ3又は第二のRFIDリーダ28による読み取りの際、図示しない報知音出力部により、RFIDリーダ3又は第二のRFIDリーダ28による読み取りに対応する報知音が出力される。従って、キャッシャは、キャッシャ側ディスプレイ5の表示の変化によってのみならず、この報知音によってもC弁当がRFIDリーダ3又は第二のRFIDリーダ28で読み取られたことが聴別できるため、当該C弁当をバーコードリーダ4によって読み取る必要がないことを容易に判断することができる。
【0051】
一方、もしRFIDチップに不具合があることにより読取処理がなされない場合は、ディスプレイ(5,6)の表示に変化が生じず、RFIDリーダ3又は第二のRFIDリーダ27による読み取り時の報知音もしないことから、キャッシャは当該C弁当をバーコード読取処理すればよいことが容易に判断できる。このとき、詳細は図示しないが、バーコード読取後のC弁当に関する商品情報が、Dドリンクの商品表示30の下に“BAR”表示31と共に追加表示される。
【0052】
このように本実施の形態によれば、一顧客が購入する全商品をRFIDリーダ3により一括読取し、読取処理された商品情報を同一商品毎に読取点数、小計額及び“RF”表示と共にキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6に表示する。更に、RFIDリーダ3により一括読取処理されなかった、例えば、他の商品と重なっていることによりRFIDチップがRFIDリーダ3によって読み取られなかった商品については、キャッシャが当該商品を取り上げてバーコードリーダ4に移動させる行程で第二のRFIDリーダ28により読取処理が実行される。これにより、RFIDチップの読取洩れを防止することができる。また、RFIDチップが付されていない商品については、第一の実施の形態と同様、バーコードリーダ4によりバーコードが読み取られ、当該読み取られた商品情報が“BAR”表示とともにディスプレイ(5,6)に表示される。これにより、顧客はRFIDリーダ3による一括読取後にバーコードリーダ4により読み取られる商品が二重読取されたのでは、という疑念を持つことなく安心して買い物をすることができる。
【0053】
以上のように、本実施の形態によれば、POS端末1がキャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6を備え、キャッシャ側ディスプレイ5のみならず客側ディスプレイ6にも、読取処理済の商品情報とともにRFIDリーダで読み取られたのか(“RF”表示)、バーコードリーダ4で読み取られたのか(“BAR”表示)が表示され、更に、商品毎に合計読取点数が表示されるため、客は、自分の購入する商品がRFIDリーダ3又は第二のRFIDリーダ28、又はバーコードリーダ4により何点ずつ読み取られたかを容易に把握することができる。それにより、RFIDチップの読み取り後にバーコード読み取りされる商品が二重読み取りされているのではという顧客の不信感を払拭することができる。
【0054】
更に、キャッシャは、上記表示により商品がRFIDリーダ3又は第二のRFIDリーダ28により読み取られたのか、又はバーコードリーダ4により読み取られたのか、またそれぞれ何点ずつ読み取られたのかが容易に把握できるため、読取処理が済んでいない商品を容易に判別することができる。これにより、当該読取り処理が済んでいない商品のみをバーコードリーダ4で読取処理すればよく、商品販売データ処理を効率的に進めることができる。
【0055】
更に、第二の実施の形態によれば、第二のRFIDリーダ28を備えたため、RFIDリーダ3で読み取り漏れがあっても第二のRFIDリーダ28で読み取ることが出来るため、商品のRFIDリーダによる読み取り漏れを防ぐことができる。
【0056】
本発明に係る商品販売データ処理装置は、本実施の形態で示したPOS端末1やキャッシャ側ディスプレイ5、客側ディスプレイ6等の構成・配置に限るものでなく、他の構成・配置に拠ってもよい。
【0057】
また、キャッシャ側ディスプレイ5及び客側ディスプレイ6に表示する商品一覧21は、本実施の形態で示した例に限るものでなく、他の表示やデザインであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第一の実施の形態におけるPOS端末を示す模式図である。
【図2】本実施の形態におけるPOS本体の主要構成を示すブロック図である。
【図3】CPUが実行する商品販売データ処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図4】取得されたRFID情報に基づくRFID読取情報表示処理手順を示したフローチャートである。
【図5】取得されたバーコード情報に基づくバーコード読取情報表示処理手順を示したフローチャートである。
【図6】RFIDリーダで商品が一括読み取りされた直後のキャッシャ側ディスプレイ及び客側ディスプレイの表示の一部を示す平面図である。
【図7】RFIDリーダで一括読み取りされなかった商品をバーコードリーダで読み取った後のキャッシャ側ディスプレイ及び客側ディスプレイへの表示の一例を示す平面図である。
【図8】第二の実施の形態におけるPOS端末を示す模式図である。
【図9】CPUが実行する第二の実施の形態における商品販売データ処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図10】第二のRFIDリーダにより読み取られたRFID情報に基づくRFID読取情報表示処理の処理手順を示したフローチャートである
【図11】一顧客のすべての商品読み取りが完了した時点でのキャッシャ側ディスプレイ及び客側ディスプレイへの表示の一部を示した平面図である。
【符号の説明】
【0059】
1…POS端末、2…POS本体、3…RFIDリーダ、4…バーコードリーダ、5…キャッシャ側ディスプレイ(店側ディスプレイ)、6…客側ディスプレイ、27…第二のRFIDリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者に対する店側ディスプレイと、
客に対する客側ディスプレイと、
情報処理を実行する情報処理部と、
商品に付されたRFIDチップからRFIDチップに記憶されている情報を読み取るRFIDリーダと、
前記RFIDリーダにより読み取られた前記RFIDチップに記憶されている情報から商品を識別する情報を取得し前記情報処理部に商品販売データ処理を実行させる第一の手段と、
商品に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダと、
前記バーコードリーダにより読み取られた前記バーコードから商品を識別する情報を取得し前記情報処理部に商品販売データ処理を実行させる第二の手段と、
前記RFIDリーダ又はバーコードリーダにより読み取られた商品についての商品情報と、前記読み取られた商品が前記RFIDリーダによって読み取られたのか、バーコードリーダによって読み取られたのか、を前記店側ディスプレイと客側ディスプレイとに表示する表示手段と、
を備える商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、同一商品ごとに前記RFIDリーダまたはバーコードリーダによって読み取られた点数を集計した読取点数を表示させる、請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記RFIDリーダの読み取り領域に載置された商品を前記バーコードリーダによる商品の読み取り位置へ移動させる間に第二のRFIDリーダを更に備え、前記第一の手段は、前記第二のRFIDリーダにより読み取られた情報から商品を識別する情報を取得し前記情報処理部に商品販売データ処理を実行させる、請求項1記載の商品販売データ処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−264918(P2007−264918A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87532(P2006−87532)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】