説明

商品販売データ処理装置

【課題】顧客が会員カードを忘れた場合にも、特典の付与が無効とならないようにする。
【解決手段】商品販売データ処理の実行に際して顧客コードが入力されなかった場合、取引情報を二次元コードシンボル化してレシートプリンタに印刷発行させる。そして、顧客コードが入力され(ステップS101のY)、レシートに印刷された取引情報を記述した二次元コードシンボルが読み取られた場合(ステップS114のY)、デコードされる取引情報に応じた特典情報を取得する(ステップS117)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばPOS端末等の商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやドラッグストア等の店舗では、様々な販売促進がなされている。
【0003】
販売促進の一例としては、決済金額等に応じて発生する特典ポイントを磁気カードに記憶させ、この特典ポイントの累積に応じて所定の特典を顧客に与える運用がある(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、販売促進の別の一例として、店舗の会員顧客がある特定の商品を購入した場合に、その商品に対応付けられている値引等の特典を与える運用が考えられる。
【0005】
このような運用を実現するために、会員である顧客に対しては顧客を特定する顧客コードが記憶された会員カードが予め渡される。そして、顧客は取引に際して会員カードをPOS端末のオペレータに提示する。会員カードに記憶されている顧客コードは、所定の装置によって読み取られてPOS端末に入力され、このPOS端末では、特典付与対象の商品コードが入力された場合に特典を与える処理が実行される。
【0006】
しかしながら、会員である顧客が来店に際して会員カードを忘れた場合にはPOS端末に顧客コードが入力されない。そのため、会員顧客が特典付与対象の商品を購入し、その商品コードがPOS端末に入力された場合にも特典を与える処理が実行されず、会員特典は無効となってしまうという問題が生ずる。その結果、会員カードを忘れて会員特典が与えられないと考えた顧客は、他の店で特典付与対象の商品を購入してしまうことがある。これは、店舗にとって不利益である。
【0007】
なお、特許文献1に記載された技術は、会員顧客が特定の商品を購入した場合に特典を与えるという販売促進の運用の下で顧客が会員カードを忘れた場合の問題を解決するようにしたものではない。
【0008】
本発明の目的は、会員である顧客が特定の商品を購入した場合に特典を与える販売促進の運用において顧客が会員カードを忘れた場合にも、特典の付与が無効とならないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の商品販売データ処理装置は、読取部と、顧客コード入力部と、レシートプリントと、実行手段と、第1取得手段と、発行手段と、第2取得手段と、を備える。前記読取部は、コードシンボルを読み取る。前記顧客コード入力部は、顧客を特定する顧客コードを入力する。前記レシートプリンタは、レシートを発行する。前記実行手段は、前記読取部により読み取った商品コードを含むコードシンボルをデコードして商品コードを含む取引情報を記憶部に記憶させ、当該デコードした商品コードに基づいて決済金額を算出し、前記算出した決済金額を含むレシートを前記レシートプリンタに発行させる商品販売データ処理を実行する。前記第1取得手段は、前記商品販売データ処理の実行に際して前記顧客コード入力部に顧客コードが入力された場合、特典情報を商品コードに対応付けて記憶する特典ファイルから前記デコードした商品コードと対応付けて記憶される特典情報を取得する特典取得処理を実行する。前記発行手段は、前記商品販売データ処理の実行に際して前記顧客コード入力部に顧客コードが入力されなかった場合、前記記憶部に記憶される取引情報を含む二次元コードシンボルが印字されたレシートを前記レシートプリンタに発行させる。前記第2取得手段は、前記顧客コード入力部に顧客コードが入力され、前記読取部によってレシートに含まれる前記二次元コードシンボルを読み取ることによって前記取引情報がデコードされた場合、当該デコードされた取引情報に含まれる商品コードと対応付けて記憶された特典情報を前記特典ファイルから取得する過去分特典取得処理を実行する。前記実行手段は、前記商品販売データ処理の実行に際して、前記特典取得処理および前記過去分特典取得処理により取得された特典情報に基づいて顧客に特典を付与する救済処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】POSシステムのシステム構成を概略的に示す模式図である。
【図2】POS端末を示す外観斜視図である。
【図3】POS端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】商品データファイルのデータ構成の一例を示す模式図である。
【図5】サービスポイントファイルのデータ構成の一例を示す模式図である。
【図6】特典ファイルのデータ構成の一例を示す模式図である。
【図7】取引コードファイルのデータ構成の一例を示す模式図である。
【図8】商品販売データ処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9】顧客が会員カードを忘れたと判定された場合に実行される商品販売データ処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】取引情報を記述する二次元コードシンボルが印刷されたレシートを示す正面図である。
【図11】値引情報が印刷されたレシートを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図1ないし図11に基づいて説明する。本実施の形態の商品販売データ処理装置は、店舗に導入されたPOSシステム11を構成するPOS端末101への適用例である。
【0012】
図1は、POSシステム11のシステム構成を概略的に示す模式図である。POSシステム11は、店舗の出口付近に設けられるレジカウンタ(図示せず)に設置される複数台のPOS端末101と、店舗の商品販売スペースとは異なるバックヤードに配置される上位機としての一台のストアコントローラ51とがネットワーク回線61を介してデータ通信自在に接続されて構築されている。ネットワーク回線61は、有線LANや無線LANであり、インターネットやCAFIS等の広域ネットワーク網21を介して、本部サーバ31に接続されている。したがって、ストアコントローラ51は、ネットワーク回線61および広域ネットワーク網21を介して、本部サーバ31と接続する。
【0013】
ストアコントローラ51は、一般的なサーバコンピュータの形態を有しており、CD−ROMトレイ56が設けられた筐体52にディスプレイ53とキーボード54とポインティングデバイス55とが接続されて構成されている。筐体52には、ストレージデバイスとしてHDD(図示せず)が内蔵され、このHDDには後述するサービスポイントファイルF2と取引コードファイルF4とが記憶されている。
【0014】
次に、POS端末101について説明する。
【0015】
図2は、POS端末101を示す外観斜視図である。POS端末101は、店舗のレジカウンタに載置されたドロワ102の上に載置されており、ドロワ102の引出し103の開放動作を制御することができる。
【0016】
POS端末101の上面には、情報を表示する表示部としてオペレータ用表示器105と客用表示器107とが立設されている。オペレータ用表示器105の画面上には、タッチパネル108が積層配置されている。タッチパネル108は、オペレータ用表示器105の表示内容に従った情報入力をPOS端末101のオペレータに行わせるための入力部として機能する。
【0017】
図2中、オペレータ用表示器105の左側には、レシートプリンタ106が配列されている。レシートプリンタ106からは、キャッシャから顧客に手渡されるレシートRTが印刷発行される。
【0018】
図2中、オペレータ用表示器105の手前側(下側)には、POS端末101に情報を入力するためのキーボード104が設けられている。キーボード104は、例えば、上面に数字が印字された数字を入力するためのテンキー、上面に「小計」と印字された仮締めキー、上面に「預/現計」と印字された締めキー等を含んでいる。
【0019】
図2中、キーボード104の右側には、クレジットカード等の磁気カードから情報を読み取るためのカード読取溝110が設けられている。つまり、カード読取溝110に沿って磁気カードをスライドさせることにより、POS端末101に内蔵されているカードリーダライタ109(図3参照)によって磁気カードの磁気ストライプに記憶されている情報が読取される。
【0020】
また、図2に示すように、POS端末101には、コードシンボルを読み取る読取部としてのコードリーダ111が接続されている。本実施の形態のコードリーダ111は、バーコードのみならず二次元コードの読み取りにも対応するものである。コードリーダ111は、読取口111aを有し、この読取口111aの前面に形成される読取空間に所定パターンの可視光半導体レーザを照射する。コードリーダ111は、読取空間に物品が位置付けられてその物品に付されたコードシンボルが読取口111aに向けられると、コードシンボルからの反射光を受光素子(例えばCCD)が受光する。そして、コードリーダ111は、受光素子の出力信号に基づくコードシンボルの受光信号をデコードし、そのコードシンボルが表現している情報(例えば、商品を特定する商品コード)を取得し、POS端末101のCPU201(図3参照)に出力する。商品コードは、例えばJAN等の1次元バーコードの形態で商品の包装等に印刷されている。
【0021】
さらに、図2に示すように、POS端末101には、RFIDタグと通信するためのRFIDリーダライタ112も接続されている。RFIDタグは、一例として、店舗に訪れる顧客が任意に所有する樹脂製の会員カード301である。会員カード301には、図2中破線で図示するように、ICチップ302と所定規格のタグアンテナ303とが互いに接続されて埋設されている。そして、ICチップ302には、顧客を特定する顧客コードが記憶されている。RFIDタグである会員カード301には、例えば、13.56MHzの周波数帯を利用する電磁誘導方式により電力が供給される。つまり、RFIDリーダライタ112の上方領域に所定の範囲内でかざされた会員カード301では、タグアンテナ303がRFIDリーダライタ112のアンテナ(図示せず)から出力される電波を受信して電力が発生し、ICチップ302が起動する。そして、起動したICチップ302は、RFIDリーダライタ112との間で通信が可能となる。このような通信可能状態となって、RFIDリーダライタ112はICチップ302に記憶されている顧客コードのデータを取得し、POS端末101のCPU201(図3参照)に出力する。したがって、RFIDリーダライタ112は、顧客コードの入力を許容する顧客コード入力部として機能する。
【0022】
また、このようなPOS端末101には、ネットワーク回線61を介して外部機器とデータ通信を実行するための通信インターフェース113(図3参照)も内蔵されている。
【0023】
図3は、POS端末101のハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末101は、各種演算処理を実行し各部を制御する情報処理部としてのCPU201を備えている。CPU201には、固定データを固定的に記憶保存するROM202と、可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとして使用されるRAM203と、HDD204と、CD−ROMドライブ205とがバス接続されている。CPU201とROM202とRAM203とは、マイクロコンピュータ206を構成する。
【0024】
CPU201には、前述したドロワ102、キーボード104、オペレータ用表示器105、レシートプリンタ106、客用表示器107、タッチパネル108、カードリーダライタ109、コードリーダ111、RFIDリーダライタ112、通信インターフェース113が、いずれも各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続され、CPU201によって動作制御される。
【0025】
HDD204には、商品販売データ処理用のコンピュータプログラム252の他、各種ファイル(図4及び図6参照)が記憶されている。このようなHDD204に記憶されているコンピュータプログラム252や各種ファイルは、POS端末101の起動時、その全部又は一部がRAM203にコピーされて使用される。
【0026】
本実施の形態のPOS端末101のCPU201は、コンピュータプログラム252に従い、取引において商品販売データ処理を実行する。
【0027】
ここで、商品販売データ処理は、その詳細については図8に基づいて説明するが、概略的には、コードリーダ111から出力される商品コードに基づいて単価を含む商品情報を取得して決済金額を算出する処理である。さらに、本実施の形態の商品販売データ処理は、算出した決済金額に基づいて金銭と等価なサービスポイントを算出し、算出されたサービスポイントは顧客コードと対応付けて記憶される。そのため、商品販売データ処理の開始に際しては、RFIDリーダライタ112によって、会員カード301のICチップ302に記憶された顧客コードが取得される。
【0028】
また、POS端末101のCPU201は、商品販売データ処理の実行に伴って、取引中に取得等される情報を、取引情報としてRAM203に記憶させる。取引情報は、商品コード、単価、商品名、決済金額等を含み、さらに、取引が行われた日時である取引日時、取引を特定するコードである取引コードをも含む。このような取引情報は、文字化されて、レシートプリンタ106によってレシート用紙に印刷されて、レシートRTとして発行される。
【0029】
そして、商品販売データ処理の実行中、POS端末101のCPU201は、各種ファイルを参照する。参照するファイルは、以下に説明する商品データファイルF1、特典ファイルF3、サービスポイントファイルF2、及び、取引コードファイルF4である。商品データファイルF1と特典ファイルF3とは、POS端末101がそのHDD204に記憶させて保持するファイルである。また、サービスポイントファイルF2と取引コードファイルF4とは、ストアコントローラ51がその記憶部としてのHDD(図示せず)に記憶させて保持するデータベースファイルである。ストアコントローラ51は、ネットワーク回線61を介してPOS端末101と接続されているため、これらのファイルは、POS端末101のCPU201によってデータアクセス可能となっている。
【0030】
図4は、商品データファイルF1のデータ構成の一例を示す模式図である。商品データファイルF1は、商品コードに対応付けてその商品コードによって特定される商品の商品情報を書き換え自在に記憶するファイルである。商品情報は、一例として、商品名及び単価である。商品データファイルF1は、商品情報としてさらに別の情報(例えば、商品の部門や商品の製造年月日等)を記憶していても良い。商品データファイルF1は、一取引中、コードリーダ111から出力される商品コードに基づいてPOS端末101のCPU201によって検索されて、その商品コードに対応する商品情報がCPU201によって取得される。
【0031】
図5は、サービスポイントファイルF2のデータ構成の一例を示す模式図である。サービスポイントファイルF2は、顧客コードに対応付けてサービスポイントを書き換え自在に記憶するファイルである。サービスポイントファイルF2が記憶するサービスポイントは、決済金額に基づいてPOS端末101のCPU201によって算出されるサービスポイントの累積である。
【0032】
図6は、特典ファイルF3のデータ構成の一例を示す模式図である。特典ファイルF3は、商品コードに対応付けて会員である顧客(顧客コードが割り当てられている顧客)に対して付与する特典情報を書き換え自在に記憶するファイルである。本実施の形態の特典ファイルF3が記憶する特典情報は、値引金額である。つまり、POSシステム11が導入されている本店舗では、決済金額に基づくサービスポイントの付与とは別に、会員である顧客が特定の商品を購入した場合に所定の値引をする運用を行っている。そのため、特典ファイルF3は、所定の商品の商品コードに対応付けて所定の値引金額を特典情報として記憶している。
【0033】
ところで、本実施の形態では、顧客が会員カード301を忘れた場合にも、その顧客の次回買物時に特典ファイルF3に記憶されている特典情報の付与を可能としている。そのために、POS端末101のCPU201は、一取引中に顧客コードがRFIDリーダライタ112によって取得されない場合には、RAM203に記憶される取引情報を二次元コードシンボル化して、レシートプリンタ106にレシートRTの一部に印刷させる(図10参照)。この処理の詳細については後述する(図9参照)。そして、このような処理を行ったPOS端末101のCPU201は、取引を特定する取引コードを取引コードファイルF4に記憶させる。
【0034】
図7は、取引コードファイルF4のデータ構成の一例を示す模式図である。取引コードファイルF4は、前述したように取引情報を二次元コードシンボル化して印刷したレシートRTを発行した取引の取引コードを順次記憶するファイルである。そして、取引コードファイルF4は、取引コードに対応付けて取得済フラグを記憶する。この取得済フラグについては後述する。
【0035】
次に、これらの各種ファイルを参照してPOS端末101のCPU201がコンピュータプログラム252に従って実行する商品販売データ処理について説明する。
【0036】
図8は、商品販売データ処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、POS端末101のCPU201は、顧客コードの入力を待機している(ステップS101)。顧客コードは、RFIDタグである会員カード301のICチップ302に記憶されている。そして、RFIDリーダライタ112は、会員カード301との間でRFID通信を実行し、ICチップ302に記憶されている顧客コードを取得して出力する。取得された顧客コードは、RAM203に記憶される。
【0037】
顧客コードの入力を判定したならば(ステップS101のY)、CPU201は、ストアコントローラ51が保持するサービスポイントファイルF2にデータアクセスし、入力された顧客コードに対応付けて記憶されているサービスポイントを読み出して、RAM203に一時記憶させる。
【0038】
なお、顧客コードの入力がなされない場合には(ステップS101のN)、POS端末101のCPU201は、顧客が会員カード301を忘れたものと判定し、図9に基づいて説明する別の商品販売データ処理を実行することになる。
【0039】
次に、POS端末101のCPU201は、コードシンボルを読み取ったコードリーダ111から出力される情報の入力に待機する(ステップS103、ステップS114)。ここで、RAM203に記憶される情報は、商品コード(ステップS103)又は取引情報(ステップS114)である。
【0040】
商品コードの入力を判定したならば(ステップS103のY)、CPU201は、入力された商品コードをRAM203に一時記憶させる。そして、入力された商品コードに対応する商品情報を商品データファイルF1から取得して、RAM203に一時記憶させる(ステップS104)。
【0041】
そして、本実施の形態では、CPU201は次にステップS105として、取得した商品コードに基づいて特典ファイルF3を検索し、その商品コードが特典ファイルF3に記憶されていれば、対応する特典情報(つまり、値引金額)を取得してRAM203に一時記憶させる。
【0042】
ステップS103〜S105の処理は、キーボード104が有する「小計」と表示された仮締めキーが押下されるまで(ステップS106のY)繰り返し実行される。そして、CPU201は、仮締めキーの押下を判定したならば(ステップS106のY)、RAM203に一時記憶されている単価に基づいて決済金額を算出してこれをRAM203に一時記憶させる(ステップS107)。決済金額は、基本的には単価の合計金額と同値であるが、ステップS105で特典ファイルF3から特典情報として値引金額を取得している場合には、これを反映した値となる。
【0043】
次に、CPU201は、ステップS102で読み出してRAM203に一時記憶させたサービスポイントについての使用命令の入力を待機する(ステップS108)。このとき、POS端末101のオペレータは、顧客に対してサービスポイントを使用するか否かについての意思を確認する。サービスポイントの使用命令は、キーボード104又はタッチパネル108で所定の操作がなされることによりRAM203に記憶される。サービスポイントの使用命令が入力されなければ(ステップS108のN)、CPU201は、締めキーの押下判定を待機するが(ステップS110)、サービスポイントの使用命令が入力されたならば(ステップS108のY)、CPU201は、既に算出している決済金額からサービスポイント分の金額を減じた額を新たな決済金額として算出し、これをRAM203に一時記憶させる(ステップS109)。このとき、キーボード104又はタッチパネル108で所定の操作によって、使用するサービスポイント数を指定できるようにしてもよい。
【0044】
そして、キーボード104の「預/現計」と表示された締めキーが押下されたならば(ステップS110のY)、ステップS111として、CPU201は、RAM203に一時記憶されている最終的な決済金額に基づいてサービスポイントを算出し、これをRAM203に一時記憶させる。本実施の形態では、サービスポイントは、決済金額に対する所定のパーセンテージとして算出される。例えば、パーセンテージを1%として規定している場合、決済金額が¥2,000であるならばサービスポイントは20ポイントとして算出される。
【0045】
なお、ステップS109で使用されたサービスポイントとステップS111で算出されたサービスポイントとが反映されて、サービスポイントファイルF2の更新がPOS端末101のCPU201からの指示によって任意のタイミングで実行される。
【0046】
そして、POS端末101のCPU201は、ドロワ102を駆動制御して、引出し103を開放させ(ステップS112)、この取引において商品販売データ処理の実行中にRAM203に記憶させた取引情報を文字化する。そして、レシートプリンタ106を駆動制御してレシート用紙にこの取引情報を印刷させ、レシートRTとして発行ささせる(ステップS113)。その後、RAM203に記憶された取引情報は、HDD204に設けられている図示しないジャーナルファイル内に格納される。
【0047】
次に、顧客が会員カード301を忘れた場合に実行される商品販売データ処理について説明する。前述したように、POS端末101のCPU201は、取引の開始に伴ってRFIDリーダライタ112からの顧客コードの出力を待機しており、これがなされない場合には顧客が会員カード301を忘れたものと判定する(図8のフローチャートのステップS101を参照)。
【0048】
図9は、顧客が会員カード301を忘れたと判定された場合に実行される商品販売データ処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0049】
本処理が図8に基づいて説明した処理と異なる点は、サービスポイントの取扱がなされない点である。つまり、本処理では、サービスポイントファイルF2から顧客コードに基づいてサービスポイントを読み出したり(図8のフローチャートのステップS102)、読み出したサービスポイントを決済金額から減じたり(図8のフローチャートのステップS109)、サービスポイントを新たに獲得したり(図8のフローチャートのステップS111)することはない。また、本処理では、コードリーダ111での読み取りによって入力された商品コードに基づいて特典ファイルF3を検索して特典情報を取得する(図8のフローチャートのステップS105)ことはない。一方で、それ以外の基本的な処理の流れについては、図8に基づいて説明した処理と同様である。つまり、POS端末101のCPU201は、キーボード104が有する仮締めキーの押下を判定するまで(ステップS203のY)、コードリーダ111から出力された商品コードに基づいて商品データファイルF1から単価を含む商品情報を取得する(ステップS201、ステップS202)。そして、仮締めキーの押下に応じて(ステップS203のY)、決済金額を算出して(ステップS204)、キーボード104が有する締めキーの押下判定に待機する(ステップS205)。このときまでに、POS端末101のCPU201は、図8に基づいて説明した処理と同様に、取引情報をRAM203に記憶させているはずである。
【0050】
ここで、締めキーの押下を判定したならば(ステップS205のY)、POS端末101のCPU201は、ドロワ102に引出し103を開放させ(ステップS206)、RAM203に記憶されている取引情報を文字化すると共に、この取引情報を二次元コードシンボル化する。そして、レシートプリンタ106を駆動制御して、これらを印刷したレシートRTを発行させる(ステップS207)。つまり、ここで発行されるレシートRTには、文字としての取引情報と共に、この取引情報を記述した二次元コードシンボルも印刷されている(図10参照)。
【0051】
そして、CPU201は、取引コードファイルF4にこの取引を特定する取引コードを記憶させる(ステップS208)。この取引コードは、文字化及び二次元コードシンボル化された取引情報が含むものである。
【0052】
図10は、取引情報を記述する二次元コードシンボルTDCが印刷されたレシートRTを示す正面図である。レシートRTの上方領域には、店舗の住所及び電話番号を含む店舗ロゴRTa、及び、販促メッセージRTbが印刷されている。
【0053】
また、レシートRTには、文字化された取引情報が印刷されている。つまり、レシートRTの中央領域には、取引日時RTc、商品名RTe、単価RTf、決済金額RTg、預り金額RTh、釣銭金額RTiが印刷されている。なお、レシートRTの中央領域には、顧客コードRTdが印刷されているが、図10に示すレシートRTは、顧客コードが取得されない場合に発行されたものであるため、「会員No.」という文字のみ印刷され、顧客コードに相当する文字列は印刷されていない。さらに、レシートRTの下方領域には、店舗を特定する店舗コードRTk、POS端末101を特定するレジコードRTl、取引を特定する取引コードRTmが印刷されている。
【0054】
そして、レシートRTには、このレシートRTに印刷されている取引情報を記述する二次元コードシンボルTDCが印刷されている。二次元コードシンボルTDCの上方位置には、顧客に対して次回の来店時にこのレシートRTを持ち寄ることを促す旨を示すメッセージRTjが印刷されている。このメッセージRTjを見ることにより、顧客は次回このレシートRTを持ち寄ることにより、会員カード301を忘れたために今回行われなかった値引がなされることを認識することができる。
【0055】
図10に示すような二次元コードシンボルTDCが印刷されたレシートRTを受け取った顧客は、次に店舗に買物に訪れる際に会員カード301と共にこのレシートRTを持ち寄り、取引中にPOS端末101のオペレータに手渡す。オペレータは、手渡されたレシートRTに印刷された二次元コードシンボルTDCをコードリーダ111に読み取らせる。この読み取りによって、コードリーダ111は、二次元コードシンボルTDCを取引情報にデコードして出力し、出力された取引情報は、POS端末101のRAM203に記憶される。
【0056】
ここで、再び図8のフローチャートの説明に戻る。仮締めキーの押下があるまでに(ステップS106のY)、コードリーダ111から出力された取引情報がRAM203に記憶されたならば(ステップS114のY)、CPU201は、この取引情報に含まれる取引コードに基づいて取引コードファイルF4を検索し、対応する取引コードについて取得済フラグが記憶されているか否かを判定する(ステップS115)。図7に示す取引コードファイルF4では、取得済フラグは、「0」又は「1」によって示されている。つまり、「1」が記憶されていれば特典情報が取得済である旨の取得済フラグが記憶されていることになり、「0」が記憶されていれば取得済フラグが記憶されていないことになる。取引コードファイルF4に取得済フラグが記憶されていれば(ステップS115のN)、再び商品コードの入力に待機するが(ステップS103)、取得済フラグが記憶されていなければ(ステップS115のY)、次に、CPU201は、取引情報に含まれる取引日時と現在日時とを比較して、これらが所定期間内であるか否かを判定する(ステップS116)。この期間は、一例として一週間である。これにより、一定期間を過ぎた後の二次元コードシンボルTDCが印刷されたレシートRTの持ち寄りは無効となる。そして、取引情報に含まれる取引日時と現在日時とが所定期間内であると判定したならば(ステップS116のY)、取引情報に含まれる商品コードに基づいて特典ファイルF3を検索し、その商品コードが特典ファイルF3に記憶されていれば、対応する特典情報(つまり、値引金額)を取得してRAM203に一時記憶させる(ステップS117)。次いで、CPU201は、取得した特典情報に基づきその特典内容をオペレータ用表示器105に表示させる。そして、取引コードファイルF4の対応する取引コードについて取得済フラグを記憶させ(ステップS118)、再び、商品コードの入力に待機する(ステップS103)。このようなステップS114〜S118の処理は、過去分特典取得処理を構成する。
【0057】
そして、このようにして特典情報として取得された値引金額は、ステップS107で決済金額を算出する際に反映される。例えば、取得された特典情報が「−¥30」という値引金額であれば、POS端末101のCPU201は、仮締めキーの押下に応じて決済金額を算出した後、その決済金額から30円を減額し、これにより得られた金額を最終的な決済金額とする。ここに救済処理が実現されている。そして、この場合、ステップS113で発行されるレシートRTには、前回の取引でされるべき値引が今回された旨を示す値引情報RTqが付加的に印刷される。
【0058】
図11は、値引情報RTqが印刷されたレシートRTを示す正面図である。なお、図11中では、一部の印刷を省略して示している。図11に示すレシートRTには、取引において顧客コードが取得されているため(図8のフローチャートのステップS101)、この顧客コードに相当する文字列「1234」が顧客コードRTdとして「会員No.」という文字の右側に印刷されている。また、図11に示すレシートRTには、取引においてサービスポイントが算出されているため(図8のフローチャートのステップS111)、算出されたサービスポイントRTnが印刷されている。なお、サービスポイントの累計RToについても印刷されている。これは、図8のフローチャートのステップS102で読み出し、ステップS109で使用されたサービスポイントを反映したものである。そして、図11に示すレシートRTには、特典情報として取得された値引金額RTpが決済金額RTgの上方位置に印刷されている。このとき、レシートRTには、前回の取引でされるべき値引が今回された旨を示す値引情報RTqが印刷されている。これにより、顧客は、その旨を知ることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、過去分特典取得処理において特典ファイルF3から取得される特典情報を値引金額(例えば、−¥30)とし、救済処理ではこの値引金額が決済金額から値引される例を示したが、特典情報の態様は、これに限定されない。例えば、特典ファイルF3には、特典情報として、クーポン券や所定のサービス商品を顧客に対しての贈呈する旨が記憶されていても良い。この場合、POS端末101のCPU201は、図8のフローチャートのステップS117で特典ファイルF3から特典情報を取得したならば、クーポン券贈呈の場合には、予めHDD204に記憶させているクーポン券データに基づきレシートプリンタ106を駆動制御してレシート用紙に所定の情報が印刷されたクーポン券を発行させる。そして、POS端末101のオペレータは、発行されたクーポン券を顧客に手渡す。このとき、レシートプリンタ106によるクーポン券の発行に際しては、CPU201は、クーポン券が発行される旨と共にこのクーポン券の内容、つまり、取得した特典情報の内容をオペレータ用表示器105に表示させる。また、サービス商品の贈呈の場合には、図8のフローチャートのステップS117で特典ファイルF3から特典情報を取得したならば、オペレータ用表示器105に特典情報の内容(例えば、「お客様にサービス商品<タマゴ1個>を贈呈してください」というメッセージ表示)を表示させる。そして、これを見たPOS端末101のオペレータは、レジカウンタに予め用意されているサービス商品を顧客に手渡す。いずれの場合であっても、クーポン券又はサービス商品の贈呈後、POS端末101のCPU201は、オペレータによるキーボード104又はタッチパネル108の所定の操作に応じて、取引コードファイルF4に取得済フラグを記憶させる。このとき、オペレータ用表示器105への特典情報の内容の表示から所定時間経過後に、取得済フラグを記憶させるようにしても良い。
【0060】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、顧客が会員カードを忘れた場合に取引情報を記述した二次元コードシンボルが印刷されたレシートが発行される。そして、次回の来店時にこのレシートに印刷された二次元コードシンボルが読み取られてデコードされ、デコードされた取引情報に基づき特典が付与されるので、会員に対する特典の付与が無効とならないようにすることができる。
【符号の説明】
【0061】
101 POS端末(商品販売データ処理装置)
106 レシートプリンタ
111 コードリーダ(読取部)
112 RFIDリーダライタ(顧客コード入力部)
201 CPU(情報処理部)
203 RAM(記憶部)
RT レシート
TDC 二次元コードシンボル
F3 特典ファイル
F4 取引コードファイル(記憶部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開平7−37161号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードシンボルを読み取る読取部と、
顧客を特定する顧客コードを入力する顧客コード入力部と、
レシートを発行するレシートプリンタと、
前記読取部により読み取った商品コードを含むコードシンボルをデコードして商品コードを含む取引情報を記憶部に記憶させ、当該デコードした商品コードに基づいて決済金額を算出し、前記算出した決済金額を含むレシートを前記レシートプリンタに発行させる商品販売データ処理を実行する実行手段と、
前記商品販売データ処理の実行に際して前記顧客コード入力部に顧客コードが入力された場合、特典情報を商品コードに対応付けて記憶する特典ファイルから前記デコードした商品コードと対応付けて記憶される特典情報を取得する特典取得処理を実行する第1取得手段と、
前記商品販売データ処理の実行に際して前記顧客コード入力部に顧客コードが入力されなかった場合、前記記憶部に記憶される取引情報を含む二次元コードシンボルが印字されたレシートを前記レシートプリンタに発行させる発行手段と、
前記顧客コード入力部に顧客コードが入力され、前記読取部によってレシートに含まれる前記二次元コードシンボルを読み取ることによって前記取引情報がデコードされた場合、当該デコードされた取引情報に含まれる商品コードと対応付けて記憶された特典情報を前記特典ファイルから取得する過去分特典取得処理を実行する第2取得手段と、を備え、
前記実行手段は、前記商品販売データ処理の実行に際して、前記特典取得処理および前記過去分特典取得処理により取得された特典情報に基づいて顧客に特典を付与する救済処理を実行する商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記取引情報は、取引を特定する取引コードを含み、
前記第2取得手段は、
前記過去分特典取得処理によりデコードした取引情報に含まれる商品コードと対応付けて記憶された特典情報を前記特典ファイルから取得する際には、前記過去分特典取得処理によりデコードした取引情報が含む取引コードによって特定される取引について、前記特典ファイルからの特典情報の取得が済んでいる旨の取得済情報を記憶部に記憶させ、
前記過去分特典取得処理の実行に際して前記記憶されている取得済情報を参照して、前記読取部がデコードした取引情報に含まれる取引コードによって特定される取引についてまだ特典情報の取得が済んでいないと判定した場合のみ、前記特典ファイルから特典情報を取得する、
を備える請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記取引情報は、取引日時を含み、
前記第2取得手段は、前記過去分特典取得処理の実行に際して、前記読取部によってレシートに含まれる前記二次元コードシンボルを読み取ることによってデコードした前記取引情報が含む取引日時と現在日時との間が所定期間内である場合のみ、前記特典ファイルから特典情報を取得する、
請求項1又は2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記実行手段は、前記商品販売データ処理により決済金額を算出する際、前記特典取得処理および前記過去分特典取得処理により特典情報として取得した値引金額を反映させた決済金額を算出する前記救済処理を実行する、
請求項1ないし3のいずれかの一記載の商品販売データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−212442(P2012−212442A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−121155(P2012−121155)
【出願日】平成24年5月28日(2012.5.28)
【分割の表示】特願2007−332517(P2007−332517)の分割
【原出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】