説明

商品販売処理装置、プログラム、および商品販売システム

【課題】商品外部門に属する物品やサービスへの値割引きやポイント付与の実行可否を容易に変更可能とすること。
【解決手段】一実施形態における商品販売処理装置は、商品外部門の部門コードに対して値割引き実行の可否を設定する設定手段と、この設定手段による設定結果を記憶する設定結果記憶手段と、購入される取引対象を指定する指定手段と、この指定手段によって指定された取引対象に対する値割引きを指示する指示手段と、この指示手段によって値割引きが指示され、かつ前記設定結果記憶手段に記憶された前記取引対象が属する部門の部門コードに対する設定結果が値割引き実行可を示す場合に、予め定められた前記取引対象の売価を値割引きして得られる売価にて前記取引対象を販売処理する販売処理手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、各種の商品等を販売処理する商品販売処理装置、プログラム、および商品販売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の包装代、箱代、送料など商品の売上として計上しない項目を商品外部門として販売処理する機能を備えたPOS(Point Of Sales)端末等の商品販売処理装置が知られている。
【0003】
スーパーマーケット等の大型のメイン店舗内に小規模なテナント店を設けた商業施設で稼働するPOSシステムにおいては、メイン店舗にて販売処理されたテナント店の商品の売上を、メイン店舗の売上から除外する運用を採ることが一般的である。この運用を実現するために上記商品外部門に関する機能が代用されることがある。すなわち、テナント店の商品を商品外部門に設定しておけば、POSシステムにて販売処理されたテナント店の商品の売上がメイン店舗の売上から自動的に除外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−265580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように商品外部門に設定された商品等の代金は、その店舗の売上として計上されないため、通常は値割引きやポイント付与の対象から除外されるように、会計に使用されるPOS(Point Of Sales)端末等の商品販売処理装置がプログラム構成されている。
【0006】
しかしながら、商品外部門に属する商品等への値割引きの実施やポイント付与の可否は、店舗の運用方針によっては変更される可能性がある。このように値割引きの実施等に関する運用が変更されると、商品販売処理装置のプログラムを変更するなどの作業が必要になり、多くの手間とコストを要してしまう。
【0007】
このような事情から、商品外部門に属する商品等への値割引きやポイント付与の実行可否を容易に変更可能とすべく、何らかの手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、一実施形態における商品販売処理装置は、商品外部門の部門コードに対して値割引き実行の可否を設定する設定手段と、この設定手段による設定結果を記憶する設定結果記憶手段と、購入される取引対象を指定する指定手段と、この指定手段によって指定された取引対象に対する値割引きを指示する指示手段と、この指示手段によって値割引きが指示され、かつ上記設定結果記憶手段に記憶された上記取引対象が属する部門の部門コードに対する設定結果が値割引き実行可を示す場合に、予め定められた上記取引対象の売価を値割引きして得られる売価にて上記取引対象を販売処理する販売処理手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態における商品販売システムの構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態における部門マスタの構成を示す図。
【図4】同実施形態における部門ファイルのデータ構造例を示す模式図。
【図5】同実施形態における設定ファイルのデータ構造例を示す模式図。
【図6】同実施形態における取引バッファのデータ構造例を示す模式図。
【図7】同実施形態における設定処理のフローチャート。
【図8】同実施形態における設定画面を示す模式図。
【図9】同実施形態における商品販売処理のフローチャート。
【図10】同実施形態における値割引き処理のフローチャート。
【図11】同実施形態におけるポイント処理のフローチャート。
【図12】変形例における商品販売システムの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
[システム構成]
図1は、本実施形態における商業施設で稼働する商品販売システムの構成を示すブロック図である。
この商業施設は、メイン店舗Mと、このメイン店舗M内に設置された複数のテナント店Tとを有する。メイン店舗Mおよび各テナント店Tには、その店舗で扱われる商品等を販売処理するPOS端末1が少なくとも1台設置されている。また、各POS端末1は、商業施設内に設置されたLAN(Local Area Network)回線2を介して統括サーバ3に接続されている。
【0011】
統括サーバ3は、メイン店舗Mおよびテナント店Tの業務を統括管理するものであり、本実施形態においては特にメイン店舗の売上を保存する役割を担う。なお、各テナント店Tにおける売上は、例えば各テナント店Tに設置されたストアサーバや、各テナント店Tに設置されたPOS端末1に保存される。
【0012】
[POS端末]
次に、POS端末1について説明する。
図2は、メイン店舗Mに設置されたPOS端末1の要部構成を示すブロック図である。
POS端末1は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)10を備えている。このCPU10には、メモリ11、通信I/F(Interface)12、スキャナI/F13、キーボードコントローラ14、ディスプレイコントローラ15,16、カードR/Wコントローラ17、およびプリンタコントローラ18等が、アドレスバスやデータバス等で構成されるバスライン19を介して接続されている。さらに、通信I/F12に上記LAN回線2等の通信回線21が接続され、スキャナI/F13にバーコードスキャナ22が接続され、キーボードコントローラ14にキーボード23が接続され、ディスプレイコントローラ15に店員側ディスプレイ24が接続され、ディスプレイコントローラ16に客側ディスプレイ25が接続され、カードR/Wコントローラ17にカードR/W26が接続され、プリンタコントローラ18にレシートプリンタ27が接続されている。
【0013】
メモリ11は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)で構成され、CPU10が実行するコンピュータプログラムや各種固定値等の固定的データ、部門マスタ30、設定ファイル31、および取引バッファ32等を記憶している。
【0014】
通信I/F12は、通信回線21を介して上記統括サーバ3やインターネットに接続されたサーバ等と各種データを送受信する。
【0015】
バーコードスキャナ22は、例えば店員が手持ちで操作するハンディタイプのスキャナであり、商品等に付されたバーコードを光学的に読み取り、個々の商品等の識別情報であるPLU(Price Look Up)コードにデコードする。スキャナI/F13は、バーコードスキャナ22がデコードしたPLUコードを取り込んでCPU10に出力する。
【0016】
キーボード23は、取引開始の指示を入力するPLUキー、小計指示を入力する小計キー、特定の商品等の値引きを指示する値引キー、特定の商品等の割引きを指示する割引キー、および数値入力用のテンキー等で構成されており、押下されたキーに応じた信号を出力する。キーボードコントローラ14は、キーボード23から出力される信号を取り込んでCPU10に出力する。
【0017】
店員側ディスプレイ24は、例えば表示面が店員の立ち位置側に向けられたLCD(Liquid Crystal Display)と、このLCDの表示面上に設けられたタッチパネルとで構成される。ディスプレイコントローラ15は、CPU10からの指令に応じて店員側ディスプレイ24を制御し、商品の販売処理用の画面や後述の設定画面40(図8参照)等を表示させる。また、ディスプレイコントローラ15は、タッチパネルが接触操作された際に出力する信号に基づき、LCDに表示されたボタン等の画面部品の操作を検知し、CPU10に通知する。
【0018】
客側ディスプレイ25は、例えば表示面が会計を受ける客の立ち位置側に向けられたLEDディスプレイである。ディスプレイコントローラ16は、客側ディスプレイ25を制御し、商品の合計代金や釣銭額等を表示させる。
【0019】
カードR/W26は、例えば顧客が所持するポイントカードに対してポイント数等の情報を読み書きする磁気タイプあるいはICタイプのカードリーダライタである。カードR/Wコントローラ17は、カードR/W26によるカードへの情報書き込みを制御するとともに、カードR/W26がカードから読み取った情報をCPU10に出力する。
【0020】
レシートプリンタ27は、例えば感熱紙であるレシート用紙に各種の情報を印刷するサーマルプリンタである。プリンタコントローラ18は、レシートプリンタ27の動作を制御して客が購入した商品等の名称や売価、合計代金、釣銭額等が印刷されたレシートを発行させる。
【0021】
なお、各テナント店Tに設置されたPOS端末1も、メイン店舗Mに設置されたPOS端末1と略同様の構成を備える。
【0022】
[データ構成]
続いて、部門マスタ30、設定ファイル31、および取引バッファ32について説明する。
各店舗で販売される商品等は、その商品等の種別に応じて複数の部門に分類されている。部門マスタ30は、このような部門毎に設けられた部門ファイルFによって構成されている。各部門ファイルFには、その部門に属する商品等に関する情報が記述される。
【0023】
特に、本実施形態においては、図3に示すように部門コードD01〜D99で示される部門ファイルF01〜F99によって部門マスタ30が構成され、このうち部門コードD01〜D96で示される部門ファイルF01〜F96が通常商品に関する部門に予め設定され、部門コードD97〜D99で示される部門ファイルF97〜F99が商品外部門(商品外A,B,C)に予め設定されているものとする。通常商品の部門ファイルF01〜F96には、メイン店舗Mにて販売される商品に関する情報が記述され、商品外部門の部門ファイルF97〜F99には、各テナント店Tにて販売される商品に関する情報が記述される。
【0024】
図4は、部門ファイルFのデータ構造例を示す模式図である。図示したのは、部門コード「コードD99」、部門名「商品外C」の部門ファイルF99であり、「コードP101」「商品A1」「¥100」のようにテナント店Tで販売される商品のPLUコード、名称、売価等からなる複数のレコードが記述されている。なお、他の部門ファイルF1〜F98に関しても、図4に示したものと同様のデータ構造を有する。
【0025】
設定ファイル31は、商品外部門に属する物品やサービスに対する値割引き実施の可否およびポイント付与の可否を記憶するファイルであり、例えば図5に示すようなデータ構造を有する。図示したように、設定ファイル31は、商品外部門を示す部門コードD97〜99のそれぞれに対して、値割引き実施の可否を示すフラグF1を記述するエリアと、ポイント付与の可否を示すフラグF2を記述するエリアとを設けて構成されている。各フラグF1,F2は、不可を示す「0」,可を示す「1」のいずれかに設定される。
【0026】
図6は、取引バッファ32のデータ構造例を示す模式図である。取引バッファ32は、客が購入しようとする商品等に関する情報を記述するための複数のレコードによって構成されている。各レコードには、「コードP012」「商品A6」「¥2000」のように、バーコードスキャナ22や店員側ディスプレイ24の操作によって入力されたPLUコード、このPLUコードにて部門マスタ30から特定される商品等の名称、および売価等が記述される。
【0027】
なお、部門コードD01〜D99で示される部門のうちどの部門を商品外部門とするかは、例えばメイン店舗Mに設置されたPOS端末1や統括サーバ3(マスタ側)にて実行される部門設定によって設定される。また、各部門ファイルF01〜F99に含まれるデータに関しても、上記部門設定によって設定される。
【0028】
[設定処理]
次に、上記設定ファイル31の各フラグF1,F2を設定する設定処理について説明する。この処理は、メイン店舗Mに設置されたPOS端末1によって実行される。
メイン店舗Mに設置されたPOS端末1のキーボード23の操作や店員側ディスプレイ24への接触操作により、設定ファイル31の設定が指示されると、同POS端末1のCPU10がメモリ11に記憶された設定処理用のプログラムを実行し、図7のフローチャートに沿って動作する。
【0029】
この処理において、先ずCPU10は、ディスプレイコントローラ15に店員側ディスプレイ24を制御させ、図8に示すような設定画面40を表示させる(ステップS101)。この設定画面40は、商品外部門の部門コードの入力エリア41、部門名称の表示エリア42、対象ボタン43,44、非対象ボタン45,46、および終了ボタン47等を有している。
【0030】
対象ボタン43および非対象ボタン45は、商品外部門に属する商品等に対する値割引き実施の可否を選択するためのボタンであり、対象ボタン44および非対象ボタン46は、商品外部門に属する商品等に対するポイント付与の可否を設定するためのボタンである。また、終了ボタン47は、設定処理の終了を指示するためのボタンである。
【0031】
このような設定画面40を店員側ディスプレイ24に表示させた後、CPU10は、入力エリア41への商品外部門の部門コードの入力を受け付ける状態で(ステップS102)、その入力完了を待つ(ステップS103のNo)。このとき操作者がキーボード23を操作して商品外部門の部門コードを入力すると(ステップS103のYes)、CPU10は、部門マスタ30から当該部門コードに対応する部門ファイルFを特定し、その部門ファイルFに記述された部門名称を表示エリア42に表示させる。
【0032】
入力エリア41に部門コードが入力された後、CPU10は、設定画面40に対する操作を受け付けて操作に応じた処理を実行するとともに(ステップS104)、終了の指示を待つ(ステップS105のNo)。このとき操作者は、設定画面40への接触操作により、各ボタン43〜47を操作可能である。なお、対象ボタン43,非対象ボタン45のいずれか一方が操作されると、CPU10は、当該操作された一方を当該他方よりも明るい色で表示するなどして、当該操作された一方を選択状態に移行させる。対象ボタン43,非対象ボタン46に関しても同様の処理が行われる。
【0033】
やがて終了ボタン47が操作されると(ステップS105のYes)、CPU10は、入力エリア41に入力された部門コードに対応付けて設定ファイル31に記述されたフラグF1,F2に各ボタン43〜46で示される設定結果を反映する(ステップS106)。すなわち、対象ボタン43が選択されているならば当該フラグF1を「1」とし、非対象ボタン45が選択されているならば当該フラグF1を「0」とし、対象ボタン44が選択されているならば当該フラグF2を「1」とし、非対象ボタン46が選択されているならば当該フラグF2を「0」とする。このようにして設定結果を反映した後、CPU10は、当該設定処理を終了する。
【0034】
[商品販売処理]
次に、商品を販売する際にメイン店舗Mに設置されたPOS端末1が実行する商品販売処理について説明する。
キーボード23に設けられたPLUキーが操作され、商品販売処理の開始が指示されると、CPU10がメモリ11に記憶された商品販売処理用のプログラムを実行し、図9のフローチャートに沿って動作する。
【0035】
この処理において、先ずCPU10は、バーコードスキャナ22、キーボード23、店員側ディスプレイ24等の各デバイスからの入力を受け付ける状態で(ステップS201)、これらデバイスからの入力を待つ(ステップS202のNo)。
【0036】
いずれかのデバイスから何らかの入力がなされると(ステップS202のYes)、CPU10は、当該入力が客によって購入される商品等のPLUコードの入力であるかを判定する(ステップS203)。商品等のPLUコードは、例えばバーコードスキャナ22によるバーコードのスキャニングや、店員側ディスプレイ24に表示されたプリセットキーの操作により入力される。このプリセットキーは、商品等が予め割り付けられた画面部品であり、操作者がこのプリセットキーを接触操作して客によって購入される商品等を指定すると、そのキーに割当てられたPLUコードが入力される。
【0037】
ステップS201にて受け付けた入力がPLUコードの入力である場合(ステップS203のYes)、CPU10は、当該PLUコードを部門マスタ30から検索し、発見したPLUコードに対応付けられた名称や売価、および当該PLUコードが記述された部門ファイルFの部門コード等を読み出し、これらを1レコードとして取引バッファ32に書き込む(ステップS204)。その後、ステップS201に戻り、次の入力を待つ。
【0038】
一方、ステップS201にて受け付けた入力が商品コードの入力でない場合(ステップS203のNo)、CPU10は、当該入力が値引指示や割引指示であるかを判定する(ステップS205)。これらの指示は、例えばキーボード23に設けられた上記値引キーや割引キーを操作し、取引バッファ32にPLUコードが記述された商品等の中から値割引き対象を指定して値引額や割引率を入力することで行われる。
【0039】
ステップS201にて受け付けた入力がこのような値引指示や割引指示である場合(ステップS205のYes)、CPU10は、値割引き処理を実行する(ステップS206)。
【0040】
値割引き処理において、CPU10は、図10のフローチャートに沿って動作する。
すなわち、先ずCPU10は、取引バッファ32から上記値割引き対象の商品等のレコードを読み出し、そのレコードに含まれる部門コードを参照する(ステップS301)。そして、CPU10は、参照した部門コードで示される部門が商品外部門であるかを判定する(ステップS302)。
【0041】
参照した部門コードがコードD97〜D99のいずれでもないならば、CPU10は、当該部門が商品外部門でないと判定する(ステップS302のNo)。この場合、CPU10は、取引バッファ32中の当該値割引き対象の商品等のレコードに含まれる売価を、当該値割引きの指示とともに入力された値引額または割引率で値割引きし(ステップS303)、当該値割引き処理を終了する。
【0042】
一方、ステップS301にて参照した部門コードがコードD97〜D99のいずれかであるならば、CPU10は、当該部門コードで示される部門が商品外部門であると判定する(ステップS302のYes)。この場合、CPU10は、設定ファイル31を参照し、当該部門コードに対して設けられたフラグF1の値が「0」,「1」のいずれであるかを判定する(ステップS304)。そして、フラグF1の値が「1」であるならば(ステップS304の「F1=1」)、CPU10は、取引バッファ32中の当該値割引きの対象である商品等のレコードに含まれる売価を、当該値割引きの指示とともに入力された値引額または割引率で値割引きし(ステップS303)、当該値割引き処理を終了する。
【0043】
これに対し、フラグF1の値が「0」であるならば(ステップS304の「F1=0」)、CPU10は、値割引きの対象として指定された商品等は値割引きできない旨のエラーメッセージを店員側ディスプレイ24に表示させ(ステップS305)、値割引きを実施せずに当該値割引き処理を終了する。
【0044】
ここで図9のフローチャートの説明に戻る。上記のような流れの値割引き処理を実行した後、CPU10は、ステップS201に戻り、次の入力を待つ。
【0045】
ステップS201にて受け付けた入力がPLUコード、値引指示、あるいは割引指示の入力でない場合(ステップS205のNo)、CPU10は、当該入力が小計指示の入力であるかを判定する(ステップS207)。小計指示は、キーボード23に設けられた小計キーを押下することで入力される。
【0046】
当該入力が小計指示でないならば(ステップS207のNo)、CPU10は、当該入力に応じた各種の処理を実行する(ステップS208)。その後、ステップS201に戻り、次の入力を待つ。
【0047】
一方、ステップS201にて受け付けた入力が小計指示である場合(ステップS207のYes)、CPU10は、取引バッファ32の各レコードに含まれる売価を合計し、合計売価(小計額)を算出して店員側ディスプレイ24および客側ディスプレイ25に表示させる(ステップS209)。
【0048】
その後、CPU10は、代金の支払方法の指定を受け付ける状態に移行し(ステップS210)、その指定の完了を待つ(ステップS211のNo)。支払方法は、キーボード23や店員側ディスプレイ24の操作により、現金、クレジットカード、電子マネー等の中から指定される。
【0049】
いずれかの支払方法が指定されると(ステップS211のYes)、CPU10は、指定された支払方法による締め処理を実行する(ステップS212)。この締め処理において、CPU10は、支払方法として現金が指定されているならば客からの預り金額の入力を受け付け、キーボード23の操作により入力された預り金額とステップS209にて算出した合計売価との差額を算出し、算出した差額を釣銭額として店員側ディスプレイ24および客側ディスプレイ25に表示させる。また、支払方法としてクレジットカードや電子マネーが選択されているならば、カードR/W26や外付けの非接触式R/W等により客のクレジットカードや電子マネー媒体を読み取り、周知の手順にてクレジットカードや電子マネーによる決済を実行する。
【0050】
このような締め処理を実行した後、CPU10は、ポイント処理を実行する(ステップS213)。
このポイント処理において、CPU10は、図11のフローチャートに沿って動作する。
すなわち、先ずCPU10は、カードR/W26に客のポイントカードが挿入されているかを判定する(ステップS401)。このときカードR/W26にポイントカードが挿入されていないならば(ステップS401のNo)、CPU10は、当該ポイント処理を終了する。
【0051】
一方、カードR/W26にポイントカードが挿入されているならば(ステップS401のYes)、CPU10は、メモリ11にポイント付与の対象金額を示す変数Sを生成し、その値を0にリセットする(ステップS402)。
【0052】
変数Sを生成した後、CPU10は、取引バッファ32中のレコードを一つ読み出してその部門コードを参照する(ステップS403)。そして、CPU10は、参照した部門コードで示される部門が商品外部門であるかを判定する(ステップS404)。
【0053】
参照した部門コードがコードD97〜D99のいずれでもないならば、CPU10は、当該商品等が商品外部門に属していないと判定する(ステップS404のNo)。この場合、CPU10は、ステップS403にて読み出したレコードに含まれる売価を変数Sに加算する(ステップS405)。
【0054】
一方、ステップS403にて参照した部門コードがコードD97〜D99のいずれかであるならば、CPU10は、当該部門コードで示される部門が商品外部門であると判定する(ステップS404のYes)。この場合、CPU10は、設定ファイル31を参照し、当該部門コードに対して設けられたフラグF2の値が「0」,「1」のいずれであるかを判定する(ステップS406)。そして、フラグF2の値が「1」であるならば(ステップS406の「F2=1」)、CPU10は、ステップS403にて読み出したレコードに含まれる売価を変数Sに加算する(ステップS405)。
【0055】
これに対し、フラグF2の値が「0」であるならば(ステップS406の「F2=0」)、CPU10は、ステップS403にて読み出したレコードに含まれる売価を変数Sに加算しない。
【0056】
ステップS405の後、あるいはステップS406にてフラグF2の値が「0」であると判定した場合、CPU10は、取引バッファ32中のデータが書き込まれている全てのレコードを当該ポイント処理において読み出し終えたかを判定する(ステップS407)。未だデータが書き込まれた全てのレコードを読み出し終えていない場合(ステップS407のNo)、CPU10は、ステップS403に戻り、未読み出しのレコードを1つ読み出してステップS404〜S406の処理を実行する。
【0057】
やがて、データが書き込まれた全てのレコードを読み出し終えると(ステップS407のYes)、CPU10は、ポイント付与の対象金額である変数Sの値にポイント付与率を乗じ、本取引において客に付与すべきポイントを算出する(ステップS408)。なお、上記ポイント付与率は、例えばメモリ11に予め記憶されていてもよいし、対象金額に応じて動的に決定されるものであってもよい。
【0058】
このようにしてポイントを算出した後、CPU10は、カードR/Wコントローラ17にカードR/W26を駆動させ、当該算出したポイントをカードR/W26に挿入されたポイントカードに記録させる(ステップS409)。このとき、ポイントカードに既にポイントが記録されているならば、そのポイントにステップS408にて算出したポイントを加算した値をポイントカードに記録させる。以上で当該ポイント処理が終了する。
【0059】
客は、このようにしてポイントカードに記録されるポイントを用いて、次回の商品購入時に代金の値割引き等の特典を受けることができる。この特典の提供方法については種々の態様を採用し得るが、例えばステップS201にてキーボード23の操作により特典提供の指示を受け付けるようにし、この指示がなされたならばカードR/W26にポイントカードを読み取らせ、ステップS208にて読み取ったポイントに応じて取引の合計代金を値割引きするように商品販売処理用のプログラムを構成しておけばよい。
【0060】
ここで図9のフローチャートの説明に戻る。上記のような流れのポイント処理を実行した後、CPU10は、プリンタコントローラ18にレシートプリンタ27を駆動させ、本取引のレシートを発行させる(ステップS214)。このレシートには、ステップS206にて値割引き処理が実行されているならば、その値割引きの額や対象等が印刷される。このように印刷される情報に関しては、値割引きの対象が商品外部門に属する商品等である場合と、通常の商品である場合とで差を設けない。
【0061】
さらに、取引バッファ32の各レコードに記述されたデータ等を、本取引の取引履歴として売上ファイルに保存し(ステップS215)、当該商品販売処理を終了する。
【0062】
なお、取引履歴に含まれる商品外部門に属する商品等に関するデータは、それらの商品を取り扱うテナント店Tの売上ファイルに保存され、取引履歴に含まれる通常商品に関するデータは、メイン店舗Mの売上ファイルに保存される。
【0063】
POS端末1は、上記のように売上ファイルに保存される取引履歴に基づき、例えば1日の商品売上を集計するレポート機能を備えている。このレポート機能による処理において、各POS端末1は、自身が設置された店舗の売上ファイルに保存されたデータを参照し、商品売上を集計する。
【0064】
すなわち、商品外部門に属する商品等の売上は、それらを販売した店舗がメイン店舗Mであったとしても、メイン店舗Mの商品売上に計上されずにテナント店Tの商品売上として計上される。
【0065】
以上説明したように、本実施形態におけるPOS端末1は、商品外部門の部門コードに対し、値割引き実行の可否を操作者に設定させ、その設定結果を設定ファイル31に記憶する。そして、商品販売処理時において、商品外部門に属する商品等に対する値割引きが指示され、かつ設定ファイル31に記憶された当該商品等が属する部門の部門コードに対する設定結果が値割引き実行可を示すならば、部門マスタ30に予め定められた当該商品等の売価を値割引きして得られる売価にて当該商品等を販売処理する。このような構成であれば、商品外部門に属する商品等に対する値割引き実施の可否を、手間やコストをかけることなく簡単に変更できる。
【0066】
また、商品外部門に属する商品等に対する値割引きが指示され、かつ設定ファイル31に記憶された当該商品等が属する部門の部門コードに対する設定結果が値割引き実行不可を示すならば、値割引きを実行できない旨のエラーが報知される。このような構成であれば、商品外部門に属する商品等に対する値割引きが禁止されていることを操作者に認識させることができる。
【0067】
また、本実施形態におけるPOS端末1は、商品外部門の部門コードに対し、ポイント付与の可否を操作者に設定させ、その設定結果を設定ファイル31に記憶する。そして、商品販売処理時において、販売処理された商品等が属する部門の部門コードに対する設定ファイル31に記憶された設定結果がポイント付与可を示すとき、当該販売処理された商品等の売価に基づいて付与ポイントを算出する。このような構成であれば、商品外部門に属する商品等に対するポイント付与の可否を、手間やコストをかけることなく簡単に変更できる。
【0068】
また、商品外部門に属する商品等に対する値割引きの実施およびポイント付与の可否は、設定画面40に表示されたボタン43〜46に対する接触操作によって変更されるので、変更に要する操作が非常に簡単である。
【0069】
[変形例]
上記実施形態にて開示した構成は、種々変形実施可能である。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0070】
(1)上記実施形態では、商品販売処理装置の一例としてPOS端末1を例示した。しかしながら、商品外部門に属する商品等に対する値割引きの実施およびポイント付与の可否を変更するための構成を、カード決済に特化したカード決済端末や、客の操作によって販売処理が完結されるセルフチェックアウト端末等の他の商品販売処理装置に適用してもよい。
【0071】
(2)上記実施形態では、店員側ディスプレイ24に表示される設定画面40を介して商品外部門に属する商品等に対する値割引きの実施およびポイント付与の可否が変更されるとした。しかしながら、これらの変更がキーボード23の操作やストアサーバ等の上位機器からの指令に応じてなされてもよい。
【0072】
(3)上記実施形態では、CPU10がメモリ11に記憶されたプログラムを実行することにより、POS端末1の動作が実現されるとした。しかしながら、これに限らずプログラムを所定のネットワークからPOS端末1にダウンロードしてもよいし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものをPOS端末1にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等を利用でき、かつPOS端末1が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であってもよい。また、このように予めインストールやダウンロードにより得る機能はPOS端末1内部のOS等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0073】
(4)また、POS端末1で実行されるとした処理の一部を、統括サーバ3やPOS端末1に通信接続された他のサーバ装置に実行させてもよい。
このようにしてシステムを構築する場合、例えばクラウドコンピューティングを利用できる。より具体的には、SaaS(software as a service)と称されるソフトウェア提供形態が適する。
【0074】
図12はクラウドシステムを利用する商品販売システムの構成図である。
この商品販売システム100は、クラウド101、複数の端末装置102および複数の通信ネットワーク103、および互いに通信接続された複数のサーバ装置104を有する。なお、端末装置102、通信ネットワーク103、およびサーバ装置104は、それぞれ1つのみでもよい。
【0075】
端末装置102は、通信ネットワーク103を介してクラウド101と通信可能である。端末装置102としては、上記実施形態にて説明したPOS端末1や、デスクトップタイプやノートブックタイプなどの種々のコンピュータ、携帯電話装置、携帯情報端末(PDA)、あるいはスマートフォンなどを適宜に利用できる。
【0076】
通信ネットワーク103としては、インターネット、プライベートネットワーク、次世代ネットワーク(NGN)、あるいはモバイルネットワークなどを適宜に利用できる。
【0077】
このような構成の商品販売システム100において、上記実施形態でPOS端末1が実行するとした処理やPOS端末1が備えるとした構成の少なくとも一部をサーバ装置104に実現させ、残りの処理や構成を端末装置102に実現させる。なお、複数のサーバ装置104にて処理を分担させてもよい。
【0078】
例えば、上記実施形態においてPOS端末1が備えるとした設定ファイル31に相当する構成と、POS端末1が実行するとした値割引き処理(ステップS206等)の少なくとも一方をサーバ装置104に実現させる。あるいは、設定ファイル31に相当する構成と、POS端末1が実行するとしたポイント処理(ステップS213等)の少なくとも一方をサーバ装置104に実現させる。そして、端末装置102には、上記実施形態にて開示した構成のうち、サーバ装置104に実現させる構成を除いたものを実現させる。
【0079】
なお、設定ファイル31に相当する構成をサーバ装置104に実現させるならば、上記実施形態中の設定ファイル31を利用する処理(ステップS106、S304、S406等)において、端末装置102とサーバ装置104の間で適宜必要なデータを送受信させ、その処理を実現させればよい。
【0080】
また、値割引き処理やポイント処理をサーバ装置104に実現させるならば、これらの処理に必要なデータを端末装置102からサーバ装置104に適宜送信させ、端末装置102がサーバ装置104から適当なタイミングで処理結果を得られるようにすればよい。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1…POS端末、10…CPU、11…メモリ、30…部門マスタ、31…設定ファイル、32…取引バッファ、40…設定画面、41…入力エリア、42…表示エリア、43,44…対象ボタン、45,46…非対象ボタン、47…終了ボタン、F1,F2…フラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品外部門の部門コードに対して値割引き実行の可否を設定する設定手段と、
この設定手段による設定結果を記憶する設定結果記憶手段と、
購入される取引対象を指定する指定手段と、
この指定手段によって指定された取引対象に対する値割引きを指示する指示手段と、
この指示手段によって値割引きが指示され、かつ前記設定結果記憶手段に記憶された前記取引対象が属する部門の部門コードに対する設定結果が値割引き実行可を示す場合に、予め定められた前記取引対象の売価を値割引きして得られる売価にて前記取引対象を販売処理する販売処理手段と、
を備えていることを特徴とする商品販売処理装置。
【請求項2】
前記指示手段によって値割引きが指示され、かつ前記設定結果記憶手段に記憶された前記指定手段によって指定された取引対象が属する部門の部門コードに対する設定結果が値割引き実行不可を示す場合にエラーを報知する報知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の商品販売処理装置。
【請求項3】
商品外部門の部門コードに対してポイント付与の可否を設定する設定手段と、
この設定手段による設定結果を記憶する設定結果記憶手段と、
購入される取引対象を指定する指定手段と、
この指定手段によって指定された取引対象を所定の売価にて販売処理する販売処理手段と、
前記設定結果記憶手段に記憶された前記販売処理された取引対象が属する部門の部門コードに対する設定結果がポイント付与可を示すとき、当該取引対象の売価に基づいて付与ポイントを算出するポイント算出手段と、
このポイント算出手段によって算出されたポイントを所定の記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
を備えていることを特徴とする商品販売処理装置。
【請求項4】
タッチパネルが表示面上に設けられた表示手段を備え、
前記設定手段は、前記表示手段に商品外部門の部門コードに対しポイント付与の可否を指定するための画面部品を表示させ、この画面部品への接触操作による前記部門コードに対するポイント付与の可否の選択を受け付けることを特徴とする請求項3に記載の商品販売処理装置。
【請求項5】
コンピュータに、
商品外部門の部門コードに対して値割引き実行の可否を設定する設定機能と、
この設定機能による設定結果を記憶する設定結果記憶機能と、
購入される取引対象を指定する指定機能と、
この指定機能によって指定された取引対象に対する値割引きを指示する指示機能と、
この指示機能によって値割引きが指示され、かつ前記設定結果記憶機能によって記憶された前記取引対象が属する部門の部門コードに対する設定結果が値割引き実行可を示す場合に、予め定められた前記取引対象の売価を値割引きして得られる売価にて前記取引対象を販売処理する販売処理機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
商品外部門の部門コードに対してポイント付与の可否を設定する設定機能と、
この設定機能による設定結果を記憶する設定結果記憶機能と、
購入される取引対象を指定する指定機能と、
この指定機能によって指定された前記取引対象を所定の売価にて販売処理する販売処理機能と、
前記設定結果記憶機能に記憶された前記販売処理された取引対象が属する部門の部門コードに対する設定結果がポイント付与可を示すとき、当該取引対象の売価に基づいて付与ポイントを算出するポイント算出機能と、
このポイント算出機能によって算出されたポイントを所定の記憶手段に記憶させる記憶制御機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項7】
商品販売処理装置と、少なくとも1つのサーバ装置とを有する商品販売システムであって、
商品外部門の部門コードに対して値割引き実行の可否を設定する設定手段と、
この設定手段による設定結果を記憶する設定結果記憶手段と、
購入される取引対象を指定する指定手段と、
この指定手段によって指定された取引対象に対する値割引きを指示する指示手段と、
この指示手段によって値割引きが指示され、かつ前記設定結果記憶手段に記憶された前記取引対象が属する部門の部門コードに対する設定結果が値割引き実行可を示す場合に、予め定められた前記取引対象の売価に対する値割引きを実施する値割引き手段と、
この値割引き手段によって値割引きされた後の売価にて前記取引対象を販売処理する販売処理手段と、を備え、
かつ前記サーバ装置は、前記設定結果記憶手段及び前記値割引き手段の少なくとも一方を備え、
前記商品販売処理装置は、前記設定結果記憶手段及び前記値割引き手段のうちの前記サーバ装置が備えないものと、前記設定手段、前記指定手段、前記指示手段、及び前記販売処理手段とを備えていることを特徴とする商品販売システム。
【請求項8】
商品販売処理装置と、少なくとも1つのサーバ装置とを有する商品販売システムであって、
商品外部門の部門コードに対してポイント付与の可否を設定する設定手段と、
この設定手段による設定結果を記憶する設定結果記憶手段と、
購入される取引対象を指定する指定手段と、
この指定手段によって指定された取引対象を所定の売価にて販売処理する販売処理手段と、
前記設定結果記憶手段に記憶された前記販売処理された取引対象が属する部門の部門コードに対する設定結果がポイント付与可を示すとき、当該取引対象の売価に基づいて付与ポイントを算出するポイント算出手段と、
このポイント算出手段によって算出されたポイントを所定の記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、を備え、
かつ前記サーバ装置は、前記設定結果記憶手段及び前記ポイント算出手段の少なくとも一方を備え、
前記商品販売処理装置は、前記設定結果記憶手段及び前記ポイント算出手段のうちの前記サーバ装置が備えないものと、前記設定手段、前記指定手段、及び前記販売処理手段とを備えていることを特徴とする商品販売システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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