説明

商品販売装置および商品販売システム

【課題】会計処理において店員および顧客双方の労力を大幅に軽減でき、取引内容を印字したレシートを発行せずとも顧客が商品価格の他店との比較、商品の購入履歴の管理および返品処理を行うことができる商品販売方法および商品販売装置を提供すること。
【解決手段】ゲート9を顧客が通過するに際して、第1の無線通信ユニット10により商品に付された無線タグ7から商品コードと固有の識別子とを取得する。次に、取得した無線タグ7の識別子に基づいて当該商品が販売される商品か返品される商品かを判別する。そして、販売される商品であると判別されたとき、商品の代金を第2の無線通信ユニット20により当該顧客が所持する電子マネー記憶媒体3から引き落とす。一方、返品される商品であると判別されたとき、商品の代金を第2の無線通信ユニット20により当該顧客が所持する電子マネー記憶媒体3に返金する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が所持する電子マネー記憶媒体と無線通信して商品販売処理を行う商品販売方法および商品販売装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の販売に際しては、POS(Point Of Sales)などの商品販売装置が使用されている。このような商品販売装置では、商品に付されたバーコードをキャッシャが専用のスキャナで読み込むなどして顧客が購入しようとしている商品コードを入力する方式が一般的である。
【0003】
また、商品販売装置は、一般的に商品の会計処理が完了したときに取引内容を印字したレシートを発行する。顧客は、このレシートにより商品の購入履歴の管理を行っており、商品の返品処理を実行するときには、その商品に係るレシートと商品とを店舗に持参してキャッシャに提示する。このときキャッシャは、レシートに印字された取引番号などに基づいて該当する取引履歴をストアサーバなどに記憶されたデータベースから検索し、所定の返品処理を行っている。
【0004】
近年、上記のような商品販売装置に代えて、RFID(Radio Frequency Identification)システムを利用した商品の販売方法も提案されている。RFIDシステムを用いた商品販売方法では、各商品にICを内蔵した無線タグを貼付し、該ICに記憶されたデータを商品の販売時に無線通信により読み取って商品販売装置に送信する。そして、読み取ったデータから商品コードを取得し、商品の販売処理を実行する。
【0005】
また、RFIDシステムを利用した商品販売方法では、上記無線タグと無線通信を行う第1の無線通信手段に加えて顧客が所持する電子マネー記憶媒体と無線通信を行う第2の無線通信手段をさらに備え、第1の無線通信手段により取得した商品データに基づいて算出される取引金額を第2の無線通信手段により電子マネー記憶媒体から自動的に引き落として会計処理を行うことでキャッシャの配置を不要としたものも提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−47907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
レシートに印字された情報に基づいて返品処理を実行する方法では、顧客はレシートを紛失すると取引番号が特定できないために商品を返品することができなくなくなってしまう。その他にも、レシートを紛失すると購入した商品の他店との価格比較や商品の購入履歴管理ができなくなるなどの不都合も生じる。
【0008】
また、上記特許文献1に記載の商品販売方法ではレシートを発行しないが、販売処理した商品を返品する方法については提案されていない。この商品販売方法ではキャッシャを配置していないため、通常の返品方法をそのまま適用することは難しい。
【0009】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、会計処理において店員および顧客双方の労力を大幅に軽減でき、取引内容を印字したレシートを発行せずとも顧客が商品価格の他店との比較、商品の購入履歴の管理および返品処理を行うことができる商品販売方法および商品販売装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、顧客の出入りを許容するゲートを商品コードと固有の識別子とを記憶した無線タグが付された商品を持った顧客が通過するに際して、前記無線タグとの間で無線通信可能な第1の無線通信手段により該無線タグから商品コードと固有の識別子とを取得し、取得した無線タグの識別子に基づいて当該商品が販売される商品か返品される商品かを判別する。当該商品が販売される商品であると判別されたとき、この商品コードに基づいて特定される当該商品の代金を、電子マネー情報を記憶した無線通信可能な電子マネー記憶媒体との間で無線通信可能な第2の無線通信手段により、前記電子マネー記憶媒体から引き落とす。返品される商品であると判別されたとき、当該商品の代金を前記第2の無線通信手段により前記電子マネー記憶媒体に返金する。
【発明の効果】
【0011】
かかる手段を講じた本発明によれば、会計処理において店員および顧客双方の労力を大幅に軽減でき、取引内容を印字したレシートを発行せずとも顧客が商品価格の他店との比較、商品の購入履歴の管理および返品処理を行うことができる商品販売方法および商品販売装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態におけるシステム全体の構成を示す模式図。
【図2】同実施形態におけるPOS端末の制御回路の要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態における無線式決済装置の制御回路の要部構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態における電子マネー記憶媒体の制御回路の要部構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態における販売済商品データベースのデータ構造の一例を示す模式図。
【図6】同実施形態における取引履歴データベースのデータ構造の一例を示す模式図。
【図7】同実施形態において商品の販売時にPOS端末のCPUが実行する処理の流れ図。
【図8】同実施形態における商品販売処理においてPOS端末のCPUが実行する処理の流れ図。
【図9】同実施形態において取引の決済指令を受けたときに電子マネー記憶媒体のCPUが実行する処理の流れ図。
【図10】同実施形態における商品返品処理においてPOS端末のCPUが実行する処理の流れ図。
【図11】同実施形態において返品取引の決済指令を受けたときに電子マネー記憶媒体のCPUが実行する処理の流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態におけるシステム全体の構成を示す模式図である。店舗内には本発明に係る商品販売装置を構成するPOS端末1と無線式決済装置2とが有線又は無線で相互通信可能に設置されている。また、POS端末1は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク4を介して顧客情報を記憶した顧客マスタ60および商品情報を記憶した商品マスタ61など業務にかかる各種情報を統括管理する管理サーバ5と相互通信可能に接続されている。当該店舗で販売される各商品には、無線タグ7が貼付されている。無線タグ7には、商品ごとに一意に割当てられた識別子である商品コードと無線タグ7ごとに一意に割当てられた識別子であるタグIDとが記憶されている。また、当該店舗内には、顧客の出入りを許容するゲート9が少なくとも1箇所設けられている。
【0014】
POS端末1は、商品に貼付された無線タグ7と電波を介して無線通信可能な第1の無線通信ユニット10を備えており、無線式決済装置2は、顧客が所持する電子マネー記憶媒体3と電波を介して無線通信可能な第2の無線通信ユニット20を備えている。
【0015】
顧客は、当該店舗にて商品を購入する際には、商品を持ってゲート9を通過する。その際、POS端末1は、第1の無線通信ユニット10により商品に貼付された無線タグ7から商品コードとタグIDとを無線で読み取って商品を販売処理する。このとき、無線式決済装置2は、第2の無線通信ユニット20により顧客が所持する電子マネー記憶媒体3と無線通信して取引の決済処理を実行する。
【0016】
図2は、POS端末1の制御回路の要部構成を示すブロック図である。POS端末1の制御回路は、制御主体としてのCPU(Central Processing Unit)11を備え、このCPU11に、各種制御プログラムなどの固定的データを記憶したROM(Read Only Memory)12、処理に応じて種々の作業用記憶領域を形成するRAM(Random Access Memory)13、無線式決済装置2やネットワーク4との接続を司る通信インターフェイス(I/F)14、販売処理した商品に貼付された無線タグ7のタグIDを記憶する販売済商品データベース(DB)50(識別子記憶手段)を有する記憶部15、店員や顧客に対する各種表示を行う表示デバイス16、店員や顧客による各種入力を受付ける入力デバイス17、および第1の無線通信ユニット10をアドレスバスまたはデータバスなどのバスラインで接続して構成されている。
【0017】
図3は、無線式決済装置2の制御回路の要部構成を示すブロック図である。無線式決済装置2の制御回路は、制御主体としてのCPU21を備え、このCPU21に、各種制御プログラムなどの固定的データを記憶したROM22、処理に応じて種々の作業用記憶領域を形成するRAM23、POS端末1との接続を司る通信インターフェイス24、店員や顧客に対する各種表示を行う表示デバイス25、店員や顧客による各種入力を受付ける入力デバイス26、および第2の無線通信ユニット20をアドレスバスまたはデータバスなどのバスラインで接続して構成されている。
【0018】
図4は、電子マネー記憶媒体3の制御回路の要部構成を示すブロック図である。電子マネー記憶媒体3の制御回路は、制御主体としてのCPU31を備え、このCPU31に、各種制御プログラムなどの固定的データを記憶したROM32、処理に応じて種々の作業用記憶領域を形成するRAM33、当該電子マネー記憶媒体3を用いて決済をした取引の履歴を記憶した取引履歴データベースを有する記憶部34、顧客に対する各種表示を行う表示デバイス35、顧客による各種入力を受付ける入力デバイス36、および第2の無線通信ユニット20と無線通信可能な無線通信ユニット37をアドレスバスまたはデータバスなどのバスラインで接続して構成されている。
【0019】
図5は、販売済商品データベース50に記憶させるデータ構造の一例を示す模式図である。販売済商品データベース50には、少なくとも販売済みの商品に貼付された無線タグ7のタグIDが蓄積保持されている。販売済商品データベース50には、その他に商品名などの情報を付随させて構成してもかまわない。
【0020】
図6は、取引履歴データベース51に記憶さるデータ構造の一例を示す模式図である。取引履歴データベース51には、該データベース51が記憶された電子マネー記憶媒体3の所有者である顧客の顧客ID、該顧客が保有する電子マネーの残高、該顧客が保有する累積ポイント数、および該顧客の過去の取引履歴が記憶されている。上記顧客IDは、顧客ごとに一意に割当てられた識別子である。上記累積ポイント数は、取引の度に取引金額などに基づいて付与されるポイント数を累積的に加算して算出される。上記取引履歴は、取引が行われた店舗の店舗ID、顧客が退店する際に通過したゲート9のゲートID、該取引に対して付与された取引ポイント数、該取引の合計金額および取引された商品の商品情報などから構成される。上記商品情報は、商品名、商品の価格および商品に貼付された無線タグ7のタグIDなどから構成される。
【0021】
次に、上記のような構成による作用について説明する。
図7は、商品の販売時にPOS端末1のCPU11が実行する処理の流れ図である。顧客が購入しようとする商品を持ってゲート9を通過しようとすると、先ず、CPU11は、ST101として第1の無線通信ユニット10により交信領域内にある無線タグ7から商品コードとタグIDとを読み取る。このとき読み取った商品コードとタグIDとは、RAM13に記憶する。なお、交信領域内には顧客が購入しようとする商品以外の商品は進入しないように店舗内は設計されているものとする。
【0022】
しかる後、CPU11は、ST102として第1の無線通信ユニット10の交信領域内にある無線タグ7を全て読み取ったか否かを判断する。この判断は、たとえば重複したタグIDしか読み取れなくなったことなどから判断することができる。そして、通過する無線タグ7を全て読み取っていないと判断したときには(ST102のNo)、再びST101の処理を実行する。
【0023】
一方、全ての無線タグ7を読み取ったと判断したときには(ST102のYes)、CPU11は、ST103として読み取った無線タグ7のタグIDに基づいて当該無線タグ7が貼付された商品が販売される商品か返品される商品かを判別する(判別手段)。具体的には、記憶部15に格納した販売済商品データベース50にST101の処理にてRAM13に記憶したタグIDと同一のタグIDが記憶されているか否かを判断して、同一のタグIDが記憶されていない場合に当該無線タグ7が貼付された商品が販売される商品であると判断し、同一のタグIDが記憶されている場合に当該無線タグ7が貼付された商品が返品される商品であると判別する。
【0024】
ST103の処理にて読み取った無線タグ7が貼付された商品が販売される商品であると判別したときには(ST103のYes)、CPU11は、図8に示した商品販売処理を実行し、販売される商品でないと判別したときには(ST103のNo)、図10に示した商品返品処理を実行する。
【0025】
次に、上記商品販売処理について説明する。図8は、商品販売処理においてPOS端末1のCPU11が実行する処理の流れ図である。先ず、CPU11は、ST201として顧客が所持する電子マネー記憶媒体3から顧客ID、電子マネー残高および累計ポイント数などの顧客情報を読み取る。具体的には、通信インターフェイス14を介して無線式決済装置2に電子マネー記憶媒体3から顧客情報を読み取るように指令し、この命令を受けた無線式決済装置2は、第2の無線通信ユニット20を介して電子マネー記憶媒体3から顧客情報を読み取ってPOS端末1に送信する。そして、通信インターフェイス14を介して顧客情報を受信したとき、CPU11は、それらをRAM13に記憶する。
【0026】
次に、CPU11は、ST202としてST101の処理にてRAM13に記憶した商品コードに基づいて記憶部15に記憶された商品マスタ61から商品名や商品価格などからなる商品情報を取得する。しかる後、CPU11は、ST203として取引の合計金額を算出し、ST204として取引の合計金額に基づいて顧客に付与すべきポイント数を算出する。そして、CPU11は、ST205として無線式決済装置2を介して当該取引の決済指令とともに当該店舗の店舗ID、顧客が通過したゲート9のゲートID、商品情報、取引合計金額、取引ポイント数を電子マネー記憶媒体3に送信する。上記決済指令を受けた電子マネー記憶媒体3は、取引合計金額すなわち販売される商品の代金を電子マネー残高から減算し、当該販売取引の履歴を記憶するなどの決済処理を実行した後に取引の決済情報を返信する。すなわち、CPU11が実行するST205の処理は、販売決済手段を構成する。
【0027】
ST205の処理にて当該取引の決済指令を送信した後、CPU11は、ST206として決済情報の受信の有無を判断する。この処理は、電子マネー記憶媒体3から無線式決済装置2を介して決済情報を受信したと判断するまで繰り返され(ST206のNo)、決済情報を受信したと判断したときには(ST206のYes)、CPU11は、ST207として商品販売データ処理を実行して当該商品販売処理を終了する。この商品販売データ処理において、販売処理した商品に貼付された無線タグ7のタグIDが販売済商品データベース50に追加される(識別子追加手段)。
【0028】
図9は、上記取引の決済指令を受けたときに電子マネー記憶媒体3のCPU31が実行する処理の流れ図である。先ず、CPU31は、ST301としてPOS端末1から受信した店舗ID、ゲートID、取引ポイント数、取引合計金額および商品情報に基づいて取引履歴を作成し取引履歴データベース51に追加する。次に、CPU31は、ST302としてPOS端末1から受信した取引合計金額を電子マネー残高から引き落とし、取引ポイント数を累計ポイント数に加算して更新する。そして、CPU31は、ST303として当該取引の決済情報をPOS端末1に送信して当該処理を終了する。
【0029】
このように、POS端末1を用いた商品販売システムでは、第1の無線通信ユニット10および第2の無線通信ユニット20を使用することでレジにキャッシャを配置することなく商品の販売処理および代金の決済処理が行える。
【0030】
次に、POS端末1を用いた商品販売システムでの商品の返品処理について説明する。
商品を返品する際には、顧客は、無線タグ7が貼付されたままの買い上げ商品と電子マネー記憶媒体3とを店舗に持参する。来店した顧客がゲート9を通過する際には、POS端末1のCPU11は、図7に示した処理を実行する。このときST101およびST102の処理においては、顧客が返品しようとする商品に貼付された無線タグ7から商品コードおよびタグIDが読み取られてRAM13に記憶される。そして、ST103の処理においては、読み取ったタグIDが既に当該商品の販売時に販売済商品データベース50に記憶されているため、販売される商品でないと判別される(ST103のNo)。しかる後、CPU11は、商品返品処理を実行する。
【0031】
図10は、商品返品処理においてPOS端末1のCPU11が実行する処理の流れ図である。まず、CPU11は、ST401として無線式決済装置2を介して顧客が所持する電子マネー記憶媒体3から顧客ID、電子マネー残高、累計ポイント数および取引履歴などの顧客情報を読み取ってRAM13に記憶する。しかる後、CPU11は、ST402としてRAM13に記憶した取引履歴の中から返品商品に貼付された無線タグ7のタグIDを検索して返品商品の商品情報および取引履歴を特定する。
【0032】
次に、CPU11は、ST403としてST402の処理にて特定した返品商品の商品情報が有する価格に基づいて返金額を算出する。さらに、ST404としてST402の処理にて特定した取引履歴に記録された取引ポイント数などから返品取引ポイント数を算出する。そして、CPU11は、ST405として無線式決済装置2を介して当該返品取引の決済指令とともに当該店舗の店舗ID、顧客が通過したゲート9のゲートID、商品情報、返金額、返品取引ポイント数を電子マネー記憶媒体3に送信する。上記返品取引の決済指令を受けた電子マネー記憶媒体3は、返金額すなわち返品される商品の代金を電子マネー残高に加算し、当該返品取引の履歴を記憶するなどの返品決済処理を実行した後に決済情報を返信する。すなわち、CPU11が実行するST405の処理は、返品決済手段を構成する。
【0033】
ST405の処理にて当該返品取引の決済指令を送信した後、CPU11は、ST406として決済情報の受信の有無を判断する。この処理は、電子マネー記憶媒体3から無線式決済装置2を介して決済情報を受信したと判断するまで繰り返され(ST406のNo)、決済情報を受信したと判断したときには(ST406のYes)、CPU11は、ST407として商品返品データ処理を実行した後、当該商品販売処理を終了する。この商品返品データ処理において、返品処理した商品に貼付された無線タグ7のタグIDが販売済商品データベース50から削除される(識別子削除手段)。
【0034】
図11は、上記返品取引の決済指令を受けたときに電子マネー記憶媒体3のCPU31が実行する処理の流れ図である。先ず、CPU31は、ST501としてPOS端末1から受信した店舗ID、ゲートID、商品情報、返金額および返品取引ポイント数に基づいて返品取引履歴を作成し取引履歴データベース51に追加する。次に、CPU31は、ST502としてPOS端末1から受信した返品金額すなわち返品商品の販売時の価格を電子マネー残高に加算して返金し、返品取引ポイント数を累計ポイント数から減算して更新する。そして、CPU31は、ST503として当該返品取引の決済情報をPOS端末1に送信して当該処理を終了する。
【0035】
このように、POS端末1を用いた商品販売システムでは、キャッシャを配置することなく第1の無線通信ユニット10と第2の無線通信ユニット20とを用いてゲート9を通過する顧客が所持する商品の販売処理および返品処理を行うことができる。そのため、会計処理における店員および顧客双方の労力を大幅に軽減できる。
【0036】
また、返品処理においてレシートを必要としないので、顧客がレシートを紛失したために商品が返品できなくなるという事態が生じない。
【0037】
また、顧客が購入した商品の情報が電子マネー記憶媒体3の取引履歴データベース51に記憶管理されるので、顧客は、レシートを用いることなく商品価格の他店との比較や商品の購入履歴の管理および電子マネー残高,累計ポイント数の照会などが容易に行えるようになる。
【0038】
なお、この発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0039】
例えば、販売済商品データベース50は、単にタグIDを記憶するだけの構成ではなく、商品名や価格などの商品情報を併せて記憶するようなデータ構造としてもよい。
【0040】
また、POS端末1の記憶部15ではなく管理サーバ5に販売済商品データベース50を記憶しておいてもよいし、顧客マスタ60に販売済商品データベース50と同様のデータを記憶しておいてもよい。そして、ST103の処理において管理サーバ5に記憶した販売済商品データベース50若しくは顧客マスタ60から販売済みの商品に貼付された無線タグ7のタグIDを検索するようにすれば、同様の作用を得ることができる。
【0041】
また、ST103の処理を実行する前に無線式決済装置2を介して電子マネー記憶媒体3から取引履歴データベース51を取得してPOS端末1の記憶部15に記憶しておき、そこからST103の処理にて販売済みの商品に貼付された無線タグ7のタグIDを検索するようにしてもよい。
【0042】
この他、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0043】
1…POS端末、2…無線式決済装置、3…電子マネー記憶媒体、4…ネットワーク、5…管理サーバ、7…無線タグ、9…ゲート、10…第1の無線通信ユニット、14…通信インターフェイス、15…記憶部、20…第2の無線通信ユニット、34…記憶部、37…無線通信ユニット、50…販売済商品データベース、51…取引履歴データベース、60…顧客マスタ、61…商品マスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の出入りを許容するゲートを商品コードと固有の識別子とを記憶した無線タグが付された商品を持った顧客が通過するに際して、前記無線タグとの間で無線通信可能な第1の無線通信手段により該無線タグから商品コードと固有の識別子とを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて取得した無線タグの識別子に基づいて当該商品が販売される商品か返品される商品かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにて当該商品が販売される商品であると判別されたとき、前記取得ステップにて取得した商品コードに基づいて特定される当該商品の代金を、電子マネー情報を記憶し無線通信可能な電子マネー記憶媒体との間で無線通信可能な第2の無線通信手段により、前記電子マネー記憶媒体から引き落とす販売決済ステップと、
前記判別ステップにて返品される商品であると判別されたとき、当該商品の代金を前記第2の無線通信手段により前記電子マネー記憶媒体に返金する返品決済ステップと、
を具備してなることを特徴とする商品販売方法。
【請求項2】
前記販売決済ステップでは、販売される商品の代金を前記第2の無線通信手段により前記電子マネー記憶媒体から引き落とすとともに、前記電子マネー記憶媒体に当該販売取引の履歴を記憶させることを特徴とする請求項1に記載の商品販売方法。
【請求項3】
前記返品決済ステップでは、返品される商品の代金を前記第2の無線通信手段により前記電子マネー記憶媒体に返金するとともに、前記電子マネー記憶媒体に当該返品取引の履歴を記憶させることを特徴とする請求項2に記載の商品販売方法。
【請求項4】
前記販売決済ステップにて代金を前記電子マネー記憶媒体から引き落とした商品に付された無線タグの識別子を所定の記憶手段に追加する識別子追加ステップと、
代金を前記電子マネー記憶媒体に返金した商品に付された無線タグの識別子を前記所定の記憶手段から削除する識別子削除ステップと、
をさらに具備し、
前記判別ステップでは、前記取得ステップにて取得した無線タグの識別子が前記所定の記憶手段に記憶されていない場合に当該商品が販売される商品であると判別し、記憶されている場合に当該商品が返品される商品であると判別することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載の商品販売方法。
【請求項5】
顧客の出入りを許容するゲートを商品コードと固有の識別子とを記憶した無線タグが付された商品を持った顧客が通過するに際して、該無線タグとの間で無線通信を実行して該無線タグから商品コードと固有の識別子とを取得する第1の無線通信手段と、
電子マネー情報を記憶し無線通信可能な電子マネー記憶媒体との間で無線通信を実行する第2の無線通信手段と、
前記第1の無線通信手段により取得した無線タグの識別子に基づいて当該商品が販売される商品か返品される商品かを判別する判別手段と、
この判別手段が販売される商品であると判別したとき、前記第1の無線通信手段により取得した商品コードに基づいて特定される当該商品の代金を前記第2の無線通信手段により前記電子マネー記憶媒体から引き落とす販売決済手段と、
前記判別手段が返品される商品であると判別したとき、当該商品の代金を前記第2の無線通信手段により前記電子マネー記憶媒体に返金する返品決済手段と、
を具備してなることを特徴とする商品販売装置。
【請求項6】
前記販売決済手段は、販売される商品の代金を前記第2の無線通信手段により前記電子マネー記憶媒体から引き落とすとともに、前記電子マネー記憶媒体に当該販売取引の履歴を記憶させることを特徴とする請求項5に記載の商品販売装置。
【請求項7】
前記返品決済手段は、返品される商品の代金を前記第2の無線通信手段により前記電子マネー記憶媒体に返金するとともに、前記電子マネー記憶媒体に当該返品取引の履歴を記憶させることを特徴とする請求項6に記載の商品販売装置。
【請求項8】
無線タグの識別子を記憶する識別子記憶手段と、
前記販売決済手段が代金を前記電子マネー記憶媒体から引き落とした商品に付された無線タグの識別子を前記識別子記憶手段に追加する識別子追加手段と、
前記返品決済手段が代金を前記電子マネー記憶媒体に返金した商品に付された無線タグの識別子を前記識別子記憶手段から削除する識別子削除手段と、
をさらに具備し、
前記判別手段は、前記第1の無線通信手段により読み取った無線タグの識別子が前記識別子記憶手段に記憶されていない場合に当該商品が販売される商品であると判別し、記憶されている場合に当該商品が返品される商品であると判別することを特徴とする請求項5乃至7のうちいずれか1に記載の商品販売装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−181872(P2012−181872A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−126297(P2012−126297)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【分割の表示】特願2008−56908(P2008−56908)の分割
【原出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】