説明

商品陳列用トレー

【課題】
容易に成型できてかつコスト的にも優れる従来の樹脂成型方法で形成でき、しかも安定よく商品陳列棚に置くことができる商品陳列用トレーを提供できるようにする。
【解決手段】
商品載置部1とカード収容部2を備える商品陳列用トレーにおける商品載置部1たる薄厚プレート体を複数に分割してそれぞれが適当に動けるようにヒンジ4で連結し、かつ分割したそれぞれの商品載置部1たる薄厚プレート体の下面5における同商品陳列用トレーを商品陳列棚3に置いたときに少なくとも棚の奥行き方向に略直交する辺縁7に、滑り止め用のリブ体6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗における商品陳列棚の棚上に置かれ、棚上に位置して商品を載せ置く商品載置部と、商品の名称や価格などの商品情報を表示したカードを収容するカード収容部を備える商品陳列用トレーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品陳列用トレーの本体たる商品載置部は、容易に成型できてかつコスト的にも優れる樹脂成型により形成している。
【0003】
また商品載置部は、商品陳列用トレーを棚上に置いた際の商品陳列棚に掛かる重量的負担などを軽減するため、薄いプレート状に形成している。
【0004】
しかしながら、商品載置部は相当に広い範囲を薄くしなければならないことから、広い範囲の薄肉形成を行うのが非常に難しいタイプの樹脂成型、例えば押出成型では商品載置部面に歪が生じてしまい、商品陳列用トレーを安定よく商品陳列棚に置くことができない場合があった。
【0005】
このため、商品陳列棚の棚面と接する商品陳列用トレーにおける商品載置部の下面に滑り止めテープなどの滑り止め用部材を貼り(例えば、特許文献1参照)、特に棚から落下する恐れもある棚の奥行き方向への滑りを抑制して商品陳列棚の棚上に置いた商品陳列用トレーの安定を確保したものもあるが、滑り止め効果は期待するほど得られるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−167372号公報(第1〜6頁、第1〜6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的とするところは、容易に成型できてかつコスト的にも優れる従来の樹脂成型方法で形成でき、しかも安定よく商品陳列棚に置くことができる商品陳列用トレーを提供できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係る商品陳列用トレーは、商品陳列棚の棚上に置かれる薄厚プレート体よりなる商品載置部と、商品情報などを表示しているカードの表示面を商品陳列棚の前方に向けて収容できるカード収容部を備える商品陳列用トレーであって、前記薄厚プレート体は複数に分割されてそれぞれが適当に動けるように連結されてなり、かつ分割されたそれぞれの薄厚プレート体における下面の同商品陳列用トレーを商品陳列棚に置いたときに少なくとも棚の奥行き方向に略直交する所定の辺部に、必要に応じて滑り止め用部材を設けたものとしてある。
【0009】
また、前記薄厚プレート体を、前記商品陳列用トレーを商品陳列棚に置いたときに棚の奥行き方向と同じ方向に分割したものとしてある。
【0010】
また、前記滑り止め用部材をリブ体とし、同リブ体を、前記商品陳列用トレーを商品陳列棚に置いたときに棚の奥行き方向と同じ方向に複数並設したものとしてある。
【0011】
また、前記リブ体を、柔軟性を有する素材から形成したものとしてある。
【0012】
また、前記薄厚プレート体の連結部を、カッターナイフなど普通の切断具によって切断できるように構成したものとしてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る商品陳列用トレーによれば、同トレーの商品載置部は、表面積を小にする薄厚プレート体を複数連結して構成しているので、広い範囲の薄厚形成を行うのが難しいとされる樹脂成型たる例えば押出成型により薄厚プレート体を形成しても、それぞれ形成する薄厚プレート体の表面積が小であるため成型の際に薄厚プレート体の表面に生じる歪を小にできて、しかもそれぞれの薄厚プレート体が連結部を境に折曲できるので、商品陳列用トレーを商品陳列棚に置いたときに同トレーの商品載置部下面と商品陳列棚面とに生じる隙間を低減できて設置安定度を向上できる。
【0014】
また、薄厚プレート体における商品陳列棚の奥行き方向に直交する辺部の下面に、同トレーを商品陳列棚に置いたときに棚の上面方向に突出する滑り止め用のリブを前記辺方向に設けているので、商品陳列用トレーが商品陳列棚から落下する恐れのある同棚の奥行き方向への滑りを前記リブによって抑制できて商品陳列用トレーを安定よろしく商品陳列棚に設置できる。
【0015】
そして、商品陳列用トレーにおける商品載置部を構成する薄厚プレートを分割しているので、薄厚プレート体どうしを連結している連結部より折り畳むことにより商品載置部をコンパクトな状態にしておくことができ、かつ商品載置部の前面側に設けられる商品の名称や価格などの商品情報を表示したカードを収容するカード収容部も商品載置部上に折り畳めるので、梱包コストを低減することができ、また保管性や運搬性に優れる商品陳列用トレーにできる。
【0016】
さらには、商品陳列用トレーにおける商品載置部を構成する薄厚プレートどうしを連結している所定の連結部を切断して棚の奥行き寄りの薄厚プレート体を除去することにより、通常の商品陳列用トレーを置くことができない棚の奥行き方向が短い商品陳列棚にも置くことができるので、商品陳列用トレーを使用する際の自由度を大に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る商品陳列用トレーを前方から示す斜視図。
【図2】図1中の2点鎖線で囲む部分の拡大斜視図。
【図3】図1中の2点鎖線で囲む部分を矢印A方向より見た図。
【図4】滑り止めリブの作用を示した図。
【図5】商品陳列棚に設置した状態の商品陳列用トレーを前方から見た斜視図。
【図6】折り畳んだ状態の商品陳列用トレーを前方から見た斜視図。
【図7】商品陳列棚に設置した状態の商品陳列用トレーを前方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る商品陳列用トレーの実施例を、添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
【0019】
商品陳列用トレーは、例えば押出成型で形成され、図1に示すように、商品陳列棚の棚上に置かれる薄厚プレート体よりなる商品載置部1と、商品情報などを表示しているカードの表示面を商品陳列棚の前方に向けて収容できるカード収容部2より構成している。
【0020】
そして、前記商品載置部1は、商品陳列用トレーを商品陳列棚3(図5を参照)に置いたときこの商品陳列棚3の奥行き方向と同じ方向に分割(実施例は2つに分割)していて、かつそれぞれを連結具たるヒンジ4によって連結している。
【0021】
実施例に示したヒンジ4は、必要に応じてカッターナイフなどの切断具によって切断できるように薄厚に形成している。
【0022】
また、前記商品載置部1の薄厚プレート体におけるそれぞれの下面5には滑り止め用のリブ体6を設けていて、このリブ体6は、少なくとも商品陳列用トレーを商品陳列棚3(図5を参照)に置いたときこの商品陳列棚3の奥行き方向に略直交する前記下面5の辺縁7に、かつ辺縁7の方向に直交する方向に複数並設している。
なお、図2乃至4ではリブ体6の突出量を説明のために便宜上長く描いてあるが、実際にはわずかな突出量で事が足りる。
【0023】
実施例に示したリブ体6は、柔軟性を有する素材、例えばポリウレタン(ウレタン結合をもった重合体)より形成している。
【0024】
そして、カード収容部2は、商品載置部1における所定の端部寄りに起立する前壁8の上部よりこの前壁8を境に商品載置部1を後側とした場合に前壁8の前方斜め下方に張り出すように設けていて、またカード収容部2は、商品情報などを表示しているカードを上下方向の2カ所に表示(第1収容部2a、第2収容部2b)できるようにしている。
【0025】
以下、上述のように構成した本発明に係る商品陳列用トレーの作用について説明する。
【0026】
本発明の商品陳列用トレーは、商品載置部1の形態を、薄厚プレート体をヒンジ4により複数連結して商品載置部1を構成しているので、広い範囲の薄厚形成を行うのが難しいとされる樹脂成型たる例えば押出成型により薄厚プレート体を形成しても、それぞれ形成する薄厚プレート体の表面積が小であるため成型の際に薄厚プレート体の表面に生じる歪を小にでき、しかもそれぞれの薄厚プレート体がヒンジ4を境に折曲するので、商品陳列用トレーを商品陳列棚3に置いたときに同トレーにおける商品載置部1の下面5と商品陳列棚3の棚面9とに生じる隙間を低減できて設置安定度が向上する。
【0027】
また、商品陳列用トレーの本体たる商品載置部1に、商品陳列棚3における前方(図5に示した矢印B方向)に滑ろうとする力が作用した際は、図4中の(a)に示すように、通常は商品陳列棚3の棚面9と略直交状態に先端部10を接触させているリブ体6が、図4中の(b)に示すように、商品載置部1が図中の矢印方向に滑ろうとすると、リブ体6の先端部10における棚面9との摩擦抵抗によりこの先端部10に当初の位置を保持しようとする保持力が生じ、かつこの保持力とともにリブ体6の変形によって摩擦抵抗がより増大し、商品載置部1の滑りを確実に止められる。
【0028】
さらに商品陳列用トレーは、図6に示すように、商品載置部1を構成する薄厚プレート体の一方をヒンジ4より他方の薄厚プレート体の上に折り畳むことができ、かつ商品情報を表示したカードを収容するカード収容部2も商品載置部1上に折り畳めるので、保管や運搬する際の商品陳列用トレーがコンパクトな状態になる。
【0029】
また、商品載置部1の下面5に設けるリブ体6を、商品載置部1と同じ素材で構成する場合もある。
【0030】
また、リブ体6は、図6に示す辺縁7の全長に亘って設ける他にも、断続して設ける場合もあり、さらには、辺縁7部分にリブ体を設けるのに加えて、商品載置部1の下面5に例えばX字状に設ける場合もある。
【0031】
また、図5に示したように、例えばカード収容部2における第2収容部2bの係合溝14に係合して同第2収容部2b上をスライド移動できる外部の表示台11、また、商品載置部1の係合溝15に係合して同商品載置部1上をスライド移動できる外部の仕切りプレート12を設ける場合がある。
【0032】
また、ヒンジ4は、必要に応じてカッターナイフなどの切断具によって切断できるように形成する場合があり、すなわち、商品陳列用トレーにおける商品載置部1を構成する薄厚プレートどうしを連結しているヒンジ4を切断して商品陳列棚3の奥行き寄りの薄厚プレート体を除去することで、通常の商品陳列用トレーを置くことができない棚の奥行き方向が短い商品陳列棚13にも置くことができるようにする場合がある(図7を参照)。
【0033】
また、商品載置部1、カード収容部2、リブ体6、表示台11、仕切りプレート12は、所望に応じで透明乃至不透明に形成する。
【0034】
また、商品陳列用トレーの構成部材は、それぞれの部材を接着材などによって取り付けたり、あるいは、押出成型によって各部材を同時に一体に形成する場合がある。
【符号の説明】
【0035】
1 商品載置部
2 カード収容部
2a 第1収容部
2b 第2収容部
3 商品陳列棚
4 ヒンジ
5 下面
6 リブ体
7 辺縁
8 前壁
9 棚面
10 先端部
11 表示台
12 仕切りプレート
13 商品陳列棚
14 係合溝
15 係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列棚の棚上に置かれる薄厚プレート体よりなる商品載置部と、商品情報などを表示しているカードの表示面を商品陳列棚の前方に向けて収容できるカード収容部を備える商品陳列用トレーであって、前記薄厚プレート体は複数に分割されてそれぞれが適当に動けるように連結されてなり、かつ分割されたそれぞれの薄厚プレート体における下面の同商品陳列用トレーを商品陳列棚に置いたときに少なくとも棚の奥行き方向に略直交する所定の辺部に、必要に応じて滑り止め用部材を設けてなる商品陳列用トレー。
【請求項2】
前記薄厚プレート体を、前記商品陳列用トレーを商品陳列棚に置いたときに棚の奥行き方向と同じ方向に分割してなる請求項1に記載の商品陳列用トレー。
【請求項3】
前記滑り止め用部材をリブ体とし、同リブ体を、前記商品陳列用トレーを商品陳列棚に置いたときに棚の奥行き方向と同じ方向に複数並設してなる請求項1に記載の商品陳列用トレー。
【請求項4】
前記リブ体を、柔軟性を有する素材から形成してなる請求項3に記載の商品陳列用トレー。
【請求項5】
前記薄厚プレート体の連結部を、カッターナイフなど普通の切断具によって切断できるように構成してなる請求項1に記載の商品陳列用トレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−75735(P2012−75735A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224759(P2010−224759)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(592178071)弘進化工株式会社 (5)
【Fターム(参考)】