説明

商品陳列用フック

【課題】横からの衝突に対する安全性を高める。
【解決手段】棒状の商品支持アーム3に商品を吊り下げて陳列する商品陳列用フック1において、商品支持アーム3は、硬質で曲げ弾性に富む材料から成る芯部材8と、芯部材8の軸線方向の全体を被覆する軟質で弾性変形可能な材料から成る被覆部材9と、から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品陳列用棚などの被係止部に係止され、商品を吊り下げて陳列する商品陳列用フックに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の商品陳列用フックとしては、金属製または硬質樹脂製で略棒状を成すと共に、ネット形陳列棚などの構造体に基体部を連結し、商品支持アームを略水平に突出させた状態にして商品を吊り下げるものがある。このような商品陳列用フックには、様々な店舗などで使用されており、例えば構造体に多数本を所定間隔で設けることで、多くの商品の陳列に役立っていることが周知である(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記したような従来の商品陳列用フックは、安全性を確保するために、先端部に丸みを設定するなどの工夫が施されているが、商品支持アームが略棒状を成して突出した状態にあり、また、商品などによって見え難い状態になることもあって、例えば顔を近づけた際に不安感を与えるおそれがあった。
【0004】
そこで、商品支持アームの先端部に軟質材料からなるキャップ様の保護部材を設けて安全性を高める改善策が提案されている(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−60698号公報(図1)
【特許文献2】特開2004−236975号公報(図1〜14、請求項1)
【特許文献3】特開2006−122103号公報(図1〜5、請求項1〜2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような安全対策では、商品支持アームの先端部しか保護されていないため、分別のない子供が店舗スペースを走り回ったときなどに、突き出した商品支持アームの保護部材で保護されていない柄の部分に横から顔などの人体をぶつけたりする事故への配慮がなされていなかった。すなわち、商品支持アームが金属製の場合は曲げ弾性が乏しく衝撃の反動がそのまま人体に返ってきて打ち身をしたり、硬質樹脂製の場合は衝撃が大きいと折れやすく、商品支持アームの亀裂箇所のささくれだった部分が人体に刺さって外傷を負うおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、横からの衝突に対する安全性を高めた商品陳列用フックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、棒状の商品支持アームに商品を吊り下げて陳列する商品陳列用フックにおいて、前記商品支持アームは、硬質で曲げ弾性を有する材料から成る芯部材と、前記芯部材の軸線方向の全体を被覆する軟質で弾性変形可能な材料から成る被覆部材と、から構成されたことを特徴とする。
【0009】
この構成によると、商品支持アームは、軸線方向の全体が軟質な材料で被覆されることとなるため、商品支持アームの横からの衝突に対する安全性が向上する。この際、曲げ弾性を有する芯部材が撓んで衝撃を緩和するので、衝突の反動で人体に返ってくる衝撃が軽減される。また、衝撃が大きくて芯部材が折れた場合であっても、弾性変形可能な被覆部材が芯部材の亀裂箇所を覆っており、ささくれだった芯部材の先が人体に直接当たらないので、安全性が高い。
【0010】
また、前記商品支持アームは、柄の部分となる本体部の先端に、上方へ傾斜する商品抜け止め用の傾斜部を有し、前記本体部を前記芯部材および前記被覆部材で形成するとともに、前記傾斜部を前記被覆部材と同一材料で前記被覆部材と一体に形成したことを特徴とする。これによると、本体部の先端部を支点として傾斜部は弾性変形が可能であり、商品支持アーム3の先端側からの衝突に対する安全性も確保される。
【0011】
前記被覆部材は、前記芯部材に対して一体的に二色成形することで容易に形成できる。これによると、被覆部材の成形と同時に被覆部材が芯部材に固着されるため、商品支持アームに吊り下げられた商品を取り出す際などに被覆部材に軸線方向の力が作用しても、被覆部材が芯部材から抜けることを防ぐことができる。
【0012】
この場合、前記芯部材を、軸線方向の途中が根元部および先端部に比べて小径に形成すると、被覆部材は成形時に段差を有する小径部の周囲にも隙間なく充填されることになり、被覆部材の抜け防止をより確実にすることができる。また、芯部材の先端部に作用する曲げの応力は小径部で強くなり、芯部材は小径部を支点にして撓みやすく或いは折れやすくなる。よって、商品支持アームの先端部に近い箇所に横から顔などの人体が衝突したときに、反動で人体に返ってくる衝撃を効率よく緩和することができ、衝突に対する安全性が向上する。
【0013】
さらに、前記芯部材の先端部に、軸線方向に延びる線状リブを一体で形成してもよい。これによれば、商品陳列用フックの廃棄時あるいはリサイクル時に、線状リブを目印に被覆部材の外側からカッターナイフの刃先を差し込み、該線状リブをガイドにして切り裂けば、被覆部材を芯部材から容易に剥離することができる。
【0014】
そして、前記芯部材の先端面の周囲を面取りされた形状とすると、軟質の材料から成る被覆部材が内側から裂けるおそれがなくてよい。
【0015】
また、前記芯部材は、生分解性の材料から成るものとすることができる。これによると、芯部材の数回程度のリサイクルが可能となるとともに、廃棄時には土壌中へ廃棄できるため、環境保護の面から望ましい。
【0016】
また、前記商品支持アームの軸線方向は、水平に対して上方へ傾斜させると、商品支持アームに比較的重量のある商品を数多く吊り下げても、荷重で商品支持アームが垂れ下がることがないので、商品が落下したり、陳列状態の見栄えが損なわれたりすることを防げる。また、商品支持アームの先端に近い箇所に正面から或いは下から顔などの人体が衝突した場合に、商品支持アームの先端部を上方向に撓みやすくして衝撃を緩和できるため、横からだけでなく、正面や下からの衝突に対する安全性も向上する。
【0017】
また、前記芯部材の断面形状を縦長の楕円形状とすると、同じ断面積で比較すると円形の場合に比べて強度が商品支持アームの強度が約50%増す。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、商品支持アームは、軸線方向の全体が軟質な材料で被覆されることとなるため、横からの衝突に対する安全性が向上する。この際、曲げ弾性を有する芯部材が撓んで衝撃を緩和するので、衝突の反動で人体に返ってくる衝撃が軽減される。また、衝撃が大きくて芯部材が折れた場合であっても、弾性変形可能な被覆部材が芯部材の亀裂箇所を覆っており、ささくれだった芯部材の先が人体に直接当たらないので、安全性が高い。
【0019】
また、被覆部材をなす軟質の材料はグリップも強いため、配置や間隔などの体裁を整えて吊り下げられた商品が、陳列状態で商品支持アームの軸線方向へずれて見栄えが悪くなることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態の商品陳列用フックを示す斜視図
【図2】第1実施形態の商品陳列用フックの使用状態を示す斜視図
【図3】第1の実施形態の商品陳列用フックの商品支持アームの軸線方向に沿った垂直断面図(a)、図3(a)の商品支持アームの本体部の先端周辺の拡大図(b)、および図3(a)の商品支持アームの本体部の根本周辺の拡大図(c)
【図4】図3(b)のx−x線断面図
【図5】図3(c)のy−y線断面図
【図6】図3(c)のz−z線断面図
【図7】第1の実施形態の商品陳列用フックの商品支持アームを二色成形する際の最終工程を示す一部省略垂直断面図
【図8】商品陳列用フックの商品支持アームの他の例を示す断面図
【図9】商品支持アームの芯部材が途中で折れた状態を示す断面図
【図10】本発明の第2実施形態の商品陳列用フックを示す斜視図
【図11】第2実施形態の商品陳列用フックの使用状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態を図1〜図3を参照して説明する。図1は第1実施形態の商品陳列用フックを示す斜視図である。図2は、第1実施形態の商品陳列用フックの使用状態を示す斜視図である。図3は、第1の実施形態の商品陳列用フックの商品支持アームの軸線方向に沿った垂直断面図(a)、図3(a)の商品支持アームの本体部の先端周辺の拡大図(b)、および図3(a)の商品支持アームの本体部の根本周辺の拡大図(c)である。
【0022】
図において、符号1は商品陳列用フックを示し、この商品陳列用フック1は、板状の基体部2と、この基体部2の正面に設けられる所定長さの商品支持アーム3とから構成される。
【0023】
図1および図2に示すように、基体部2は、この商品陳列用フック1が係止されるネット形陳列棚30の、上下に隣接する横線材31、31の間隔よりも長く形成され、上端部には、被係止部である横線材31に係止可能な、下向き略U字形の係止片4が設けられている。係止片4の内側には、ネット形陳列棚30の横線材31の下側に係止可能な突起部4aを設けて、横線材31からの係止片4の不用意な脱落を防止するようにしている。また、基体部2の背面側には、上下方向のU字形溝5が、ネット形陳列30の縦線材32に外嵌可能に形成されている。
【0024】
商品支持アーム3は、基体部2の前面側の略中央部から前方へ、略水平方向に棒状に延出して形成されている。図中、符号6で示すのは、商品支持アーム3の柄の部分となる本体部であり、符号7で示すのは、本体部6の先端に設けられ、上方へ傾斜して商品の抜け止めの働きをする傾斜部である。
【0025】
図3(a)に示すように、商品支持アーム3の軸線方向は、水平に対して若干上方へ傾斜して形成されている。傾斜角度αは、水平に対して例えば0〜10°の間で設定される値である。これにより、商品支持アーム3に比較的重量のある商品を数多く吊り下げても、荷重で商品支持アーム3が垂れ下がることがないので、商品が落下したり、陳列状態の見栄えが損なわれたりすることを防げる。また、商品支持アームの先端に近い箇所に正面から或いは下から顔などの人体が衝突した場合に、商品支持アームの先端部を上方向に撓みやすくして衝撃を緩和できるため、横からだけでなく、正面や下からの衝突に対する安全性も向上する。もちろん、上記の傾斜角度は一例であり、想定される商品の種類などによって適宜変更される。したがって、ごく軽い商品を少数吊り下げるような用途が想定される場合は、商品支持アーム3の軸線方向は水平でも構わない。
【0026】
商品支持アーム3は、硬質で曲げ弾性を有する材料から成る芯部材8と、芯部材8の軸線方向の全体を被覆する軟質で弾性変形可能な材料から成る被覆部材9と、で構成されている。本実施形態では、芯部材8は、基体部2と共に一体に成形されている。芯部材8の外径φ1(根本部10および先端部12)は例えば約4mmで、被覆部材9の外径φ3は例えば約6mmである。符号21は、芯部材8の根本の下側を補強する三角リブであり、基体部2と共に一体に成形されている。図5に示すように、芯部材8は三角リブ21を避けた形で被覆部材9に被覆されることになるが、芯部材8は軸線方向の全体が被覆されていることに変わりはない。三角リブ21は省略することも可能である。
【0027】
ここで、芯部材8の材料としては、ABS樹脂などの一般的な熱可塑性樹脂の他、環境保護の観点からトウモロコシなどを原料とする生分解性樹脂を使用することができる。他方、被覆部材9の材料としては、シリコンやポリウレタンなどのエラストマー系樹脂若しくは軟質樹脂を使用することができる。芯部材8と被覆部材9は共に、回収した廃材にバージン材を所定の割合で添加して3回程度リサイクルすることができる。
【0028】
なお、芯部材8と被覆部材9は異質な材料で形成されていることが、店舗のスタッフや消費者が視認できるようにすることが望ましい。例えば、芯部材8は樹脂に白色顔料などを混入して成形することで不透明色を呈するものとし、被覆部材9は樹脂に顔料を混入しないか若しくは薄い顔料を混入して成形することで透明若しくは半透明色を呈するものとすれば、色彩によって両者を一目で識別することができる。
【0029】
図3(a)に示すように、商品支持アーム3は、柄の部分となる本体部6が、上記の芯部材8および被覆部材9による異質の材料の二重構造にて形成されている。他方、商品抜け止め用の傾斜部7は、被覆部材9と同一材料で被覆部材9と一体に形成されている。なお、傾斜部7の先端は尖っていると危険なので、図示のごとく丸みを帯びた形状とすることが望ましい。
【0030】
これにより、商品支持アーム3は、軸線方向の全体が軟質な材料で被覆されることとなるため、横からの衝突に対する安全性が向上する。この際、曲げ弾性を有する芯部材8が撓んで衝撃を緩和するので、衝突の反動で人体に返ってくる衝撃が軽減される。また、衝撃が大きくて芯部材8が折れた場合であっても、図9に示すように、弾性変形可能な被覆部材9が芯部材8の亀裂箇所を覆っており、ささくれだった芯部材の先が人体に直接当たらないので、安全性が高い。なお、芯部材8が根本で折れ取れた場合でも被覆部材9の末端部が収縮して芯部材8の折れた先を包むように保護するため安全である。
【0031】
また、被覆部材9をなす軟質の材料はグリップも強いため、配置や間隔などの体裁を整えて吊り下げられた商品が、陳列状態で商品支持アーム3の軸線方向へずれて見栄えが悪くなることを防ぐことができる。
【0032】
上記のような商品支持アーム3は、図7に示すように、芯部材8を基体部2と一体に射出成形した後、別の金型41,42内で被覆部材9を芯部材8に対して一体的に射出成形(二色成形)することで容易に形成できる(図中の矢印は材料の流れ方向を示す)。これによると、被覆部材9の成形と同時に被覆部材9が芯部材8に固着されるため、商品支持アーム3に吊り下げられた商品を取り出す際などに被覆部材9に軸線方向の力が作用しても、被覆部材9が芯部材8から抜けることを容易に防ぐことができる。ここで、図3(c)および図6に示すように、芯部材8の根本部10に横方向に貫通孔23を設けておくと、被覆部材9の成形時にこの貫通孔23にも材料が流入し、貫通孔23を通して被覆部材9が芯部材8の内部で繋がるので、被覆部材9の抜け防止をより確実にすることができる。なお、貫通孔23は先端部11や小径部12に設けてもよく、貫通孔23の数は2つ以上でもよい。
【0033】
芯部材8は、図3(a)に示すように、芯部材8は、軸線方向の途中に、根元部10および先端部11に比べて小径に形成された小径部12を有する。例えば、根本部10および先端部11の外径φ1は約4mmに対し、小径部12の外径φ2は約3mmに設定される。
【0034】
これにより、被覆部材9は成形時に段差を有する小径部12の周囲にも隙間なく充填されることになり、被覆部材9の抜け防止をより確実にすることができる。また、芯部材8の先端部11に作用する曲げの応力は小径部12で強くなり、芯部材8は小径部12を支点にして撓みやすくなる。よって、商品支持アーム3の先端に近い箇所に横から顔などの人体が衝突したときに、反動で人体に返ってくる衝撃を効率よく緩和することができ、衝突に対する安全性が向上する。
【0035】
ここで、芯部材8の根本部10、小径部12、先端部11の長さの比率は、衝突などの瞬発的な力は小径部12で受け、商品の荷重は根本部10でしっかり受けられるようにするため、約6:2:2の比率となっている。なお、本体部6の全長Lは、吊り下げる商品の数に応じて約20mm〜370mmの間で適宜変更されるが、芯部材8の各部の長さの比率は上記の比率を維持するのが望ましい。
【0036】
さらに、芯部材8の先端部11の底部および上部に、図3(b)および図4に示すように、軸線方向に延びる線状リブ13および22をそれぞれ一体で形成している。これによれば、商品陳列用フック1の廃棄時あるいはリサイクル時に、線状リブ13、23のいずれかを目印に被覆部材9の外側からカッターナイフの刃先を差し込み、該線状リブ13をガイドにして切り裂けば、被覆部材9を芯部材8から容易に剥離することができる。また、芯部材8の先端部11に線状リブ13および22を設けたことで、被覆部材9の成形時に、線状リブ13および24が金型の内壁に当接し、被覆部材9となる材料の流れが速くても芯部材8は金型内の中心に安定して位置決めされるので、被覆部材9の成形不良を防ぐことができる。なお、上記の目的が達成されさえすれば、線状リブ13および22はいずれか一方だけでも構わない。
【0037】
硬質の材料から成る芯部材8の先端面のエッジが尖っていと、軟質の材料から成る被覆部材9が傷つき内側から破損するおそれがあるため、芯部材8の先端面の周囲は面取りされた形状とすることが望ましい。
【0038】
なお、図8に示すように、芯部材8の断面形状を縦長の楕円形状としてもよい。これによると、同じ断面積で比較すると円形の場合に比べて商品支持アーム3の強度が約50%増す。この効果を得るには、少なくとも根本部10の断面形状が楕円となっていればよい。この場合、被覆部材9の断面形状は芯部材8の断面形状と相似の楕円形状としても良いが、被覆部材9は商品支持アーム3の外観部となるため見栄えを考慮して図8のように円形としてもよい。
【0039】
このように構成された商品陳列用フック1は、図2に示すように、基体部2でネット形陳列棚30に係止される。このとき、係止片4,4は所望位置の横線材31に係止され、基体部11の背面下部は、下方に隣接する横線材31に当接し、縦方向に延びる縦線材32がU形溝5内に嵌入して基体部2が略垂直状となり、商品支持アーム3は、略水平に前方へ延出している。そして、商品支持アーム3には、多数の商品35aが吊り下げられる。
【0040】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について説明する。図10は第2の実施形態の商品陳列用フックを示す斜視図である。図11は第2の実施形態の商品陳列用フックの使用状態を示す斜視図である。これらの図において第1の実施形態の商品陳列用フックと同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
本実施形態の商品陳列用フック1’では、図10に示すように、基体部2の前面側に中央部から前方へ延出する商品支持アーム3に加えて、その商品支持アーム3の上方位置であって基体部2の前面側の上部から前方へ、略水平方向に棒状に延出するカード表示体14を係合保持可能なカードアーム15を備え、商品支持アーム3およびカードアーム15が基体部2と一体に形成されている。
【0042】
第1の実施形態と同様に、商品支持アーム3は本体部6および傾斜部7から構成され、本体部6が硬質で曲げ弾性を有する材料から成る芯部材8と軟質で弾性変形可能な材料から成る被覆部材9との異質材料の二重構造で形成され、傾斜部7が被覆部材9と同一材料で被覆部材9と一体に形成されている。
【0043】
カードアーム15の先端には、上向きに屈曲された係合部16が形成されている。係合部16に係合保持されるカード表示体14は、公知のカード表示体であり、例えば、図10に示すように、商品内容などを表示する方形板状の表示部17と、表示部17の背面に後方向きに突出形成された連結部18とを有し、連結部18には、係合部16が嵌入可能な係合孔19が穿設されている。
【0044】
この商品陳列用フック1は、図11に示すように、第1の実施形態と同様にして基体部2でネット形陳列棚30に係止される。この係止状態で、カードアーム15が商品支持アーム3の上部において略平行して延出した状態にある。
【0045】
そして、カードアーム15の係合部16に、商品内容などを表示した表示部17を有するカード表示体14を、その係合孔19を嵌め合わせて係合保持し、商品支持アーム3に多数の商品35bを吊り下げる。
【0046】
なお、この発明は上述の説明および図例に限定されることなく、この発明の技術的思想から逸脱しない範囲において、その実施態様を変更することができる。例えば、商品支持アームは棒状部分を備えていればよく、2本の平行する棒状部分を先端で連結したU字形のものや、棒状部分の上面に沿って複数の突起を等間隔で設けたものでも構わない。また、商品支持アームやカードアームは基体部と一体でなくても、別々に形成して基体部に対して商品支持アームやカードアームを装着するようにしてもよい。
【0047】
また、軟質で弾性変形可能な材料から成る被覆部材を芯部材とは別体でサック状に成形し、該被覆部材を芯部材の先端から手作業或いは機械的に被せて商品支持アームを作成してもよい。
【0048】
さらに、カードアーム先端に、商品内容表示用の表示部を一体に備えたカード支持体を形成してもよい。また、基体部の形状は、被係止部の形状に合わせて適宜形成されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、商品陳列用棚などの被係止部に係止され、商品を吊り下げて陳列する商品陳列用フックに利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1、1’ 商品陳列用フック
2 基体部
3 商品支持アーム
6 本体部
7 傾斜部
8 芯部材
9 被覆部材
12 小径部
14 カード表示体
15 カードアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の商品支持アームに商品を吊り下げて陳列する商品陳列用フックにおいて、
前記商品支持アームは、硬質で曲げ弾性に富む材料から成る芯部材と、前記芯部材の軸線方向の全体を被覆する軟質で弾性変形可能な材料から成る被覆部材と、から構成されたことを特徴とする商品陳列用フック。
【請求項2】
前記商品支持アームは、柄の部分となる本体部の先端に、上方へ傾斜する商品抜け止め用の傾斜部を有し、前記本体部を前記芯部材および前記被覆部材で形成するとともに、前記傾斜部を前記被覆部材と同一材料で前記被覆部材と一体に形成したことを特徴とする請求項1に記載の商品陳列用フック。
【請求項3】
前記芯部材に対して前記被覆部材が一体的に二色成形してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の商品陳列用フック。
【請求項4】
前記芯部材は、軸線方向の途中が根元部および先端部に比べて小径に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の商品陳列用フック。
【請求項5】
前記芯部材の先端部に、軸線方向に延びる線状リブを一体で形成したことを特徴とする請求項3又は4に記載の商品陳列用フック。
【請求項6】
前記芯部材の先端面の周囲が面取りされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の商品陳列用フック。
【請求項7】
前記芯部材および前記被覆部材は共に、生分解性の材料から成ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の商品陳列用フック。
【請求項8】
前記商品支持アームの軸線方向は、水平に対して上方へ傾斜していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の商品陳列用フック。
【請求項9】
前記芯部材の断面形状を縦長の楕円形状としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の商品陳列用フック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−213881(P2010−213881A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63818(P2009−63818)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(509077048)有限会社イタダキ (1)
【出願人】(509077037)
【Fターム(参考)】