説明

喉頭鏡及び喉頭鏡システム

【課題】特定部位に注目した細部観察を実現可能な喉頭鏡を得る。
【解決手段】例えば、対物光学系18の光軸Aが45度のカメラ部41と90度のカメラ部53のなかから、特定部位の観察用途に適したカメラ部を適宜選択的に交換可能であり、こうした選択したカメラ部を取り付けるに当たり、その対物光学系18の光軸Aが特定部位近辺に向くことを考慮して、軸X周りに位置決め調整可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喉頭内を撮像する喉頭鏡、及び喉頭鏡によって撮像された画像又は映像を処理するための喉頭鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
喉頭鏡は、喉頭部位の疾患治療、疾患状態記録、気管への管挿入の際などに、口腔から舌圧子を挿入して舌を抑えながらその奥の喉頭内、特に、食道と気管の分岐部や声帯などを観察するために汎用されている。
【0003】
このうち、例えば、気管挿管は、全身麻酔の実施時に必要な手技であるが、患者の症例によって困難を伴う場合がある。そうした困難を除去してその処置を適切に行うために、従来、マッキントッシュ型、マッコイ型喉頭鏡や気管支鏡、スタイレットファイバースコープなど、種々の機器が開発されてきた。
【0004】
最近では、喉頭鏡のブレードに、撮像カメラとその照明光源を装着することにより、喉頭内を鮮明に映し出すことができるようにした技術が知られている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、上述した従来の喉頭鏡では、操作者において特に観察したい特定部位が、喉頭鏡を介して臨める視野のうち、ブレードの指向方向とは異なる周辺部に存在する場合には、その特定部位に注目した細部観察を行うことは難しかった。
【0006】
【特許文献1】特開2000−175867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、従来の喉頭鏡及び喉頭鏡システムでは、特定部位に注目した細部観察を行うことは難しかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、特定部位に注目した細部観察の実現を企図してなされたものであり、グリップと、このグリップに設けられるブレードと、を備えた喉頭鏡であって、被写体の光学像を結ぶ対物光学系と、この対物光学系の結像位置に受光面が配置され、この受光面に結像された光学像を光電変換する固体撮像素子とを、外装ケースに収容してなるカメラ部をさらに備え、前記対物光学系の光軸が、前記ブレードとは異なる方向を指向するように、前記カメラ部を前記ブレードに設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被写体の光学像を結ぶ対物光学系と、この対物光学系の結像位置に受光面が配置され、この受光面に結像された光学像を光電変換する固体撮像素子とを、外装ケースに収容してなるカメラ部をブレードに設けるに際して、対物光学系の光軸が、ブレードとは異なる方向を指向するようにしたので、従って、所要の特定部位に注目した細部観察を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
特定部位に注目した細部観察を行うという目的を、被写体の光学像を結ぶ対物光学系と、この対物光学系の結像位置に受光面が配置され、この受光面に結像された光学像を光電変換する固体撮像素子とを、外装ケースに収容してなるカメラ部を、対物光学系の光軸が、ブレードとは異なる方向を指向するように、ブレードに設けることによって実現した。
【実施例】
【0011】
以下に、本発明に係る喉頭鏡及び喉頭鏡システムの好ましい実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施例を示す喉頭鏡の外観斜視図、図2は本発明に係る喉頭鏡システムの機能ブロック図、図3(a),(b)は本発明の第1実施例に係る喉頭鏡における中心視野説明図、図4(a),(b)は本発明の第2実施例に係る喉頭鏡における中心視野説明図、図5は本発明の第1実施例に係る喉頭鏡における光軸の説明図、図6は本発明の第2実施例に係る喉頭鏡における光軸の説明図、図7は本発明の第1実施例に係る喉頭鏡の使用状態を示す図である。なお、本発明に係る第1及び第2実施例の説明において、両者間で共通する部材には共通の符号を付すとともにその重複する説明を省略し、その差異に注目して説明を進める。
【0013】
[喉頭鏡システムの基本構成]
本発明に係る喉頭鏡11は、図1に示すように、グリップ13と、このグリップ13に設けられたブレード15と、を備えて構成されている。
【0014】
グリップ13は、操作者が手で握ったときにブレード15を操作しやすいように、握りやすい太さの略円筒状に形成されるとともに、その表面には縦や横や斜めのローレットが形成されている。
【0015】
ブレード15は、ヒトの口腔を介して喉頭内に挿入されるものであり、その挿入方向後端がグリップ13の上端に取り付けられている。ブレード15は、金属や合成樹脂などの剛性のある素材からなる。その形状は、下向きに湾曲して略円弧状に形成された舌圧部15aと、舌圧部15aの片端縁に沿って立設形成された側壁部15bと、側壁部15bの上端縁に沿って略水平に設けられた上壁部15cとを備え、縦断面がクランク状に形成されている。こうしてクランク状に形成されることでブレード15自身の占有空間が拡張される。本実施例では、この占有空間内に、後述するカメラ部やチューブ部材等の一部乃至全部を配することにより、これらの部材が患者の咽頭部に直接接触することに起因する障害の発生を未然に抑制している。ブレード15における側壁部15bの高さは、挿入側端部側に向かって徐々に低くなるように形成されると共に、喉頭内への挿入を容易にするために、その表面が平滑に形成されている。また、ブレード15の長手方向における略中央付近の側壁部15bには、長孔とされる貫通孔17が穿設されている。この貫通孔17を介して、舌圧部15aの先端側へ指向するように、次述するカメラ部21を臨ませて配置する。この貫通孔17は、その孔の内寸がカメラ部21の外径よりも僅かに大きく形成されている。なお、図1に示すように、カメラ部21を、その先端部が舌圧部15aの先端部に到達する位置まで突出させて配することもできる。
【0016】
かかる構成を備えたブレード15には、特定部位に注目した細部観察を行うことを狙って、図1及び2等に示すように、被写体の光学像を結ぶ対物光学系18と、この対物光学系18の結像位置に受光面が配置され、この受光面に結像された光学像を光電変換する固体撮像素子19とを、外装ケース20に収容してなるカメラ部21を、対物光学系18の光軸Aが、ブレード15における舌圧部15aとは異なる方向を指向するように設けてある。また、外装ケース20における対物光学系18と対応する位置には、ほぼ円形状の通孔が設けてあり、この通孔に透明な樹脂又は硝子製の透過窓22をはめ込むことで、透過窓22を介して外装ケース20内に被写体の光学像を取り込み得るように構成されている。なお、カメラ部21における対物光学系18の光軸については別途後述する。
【0017】
カメラ部21は、図3乃至図4に示すように、その外装ケース20の角部に丸みを付与して形成されており、カメラ部21が患者の咽頭部などに万一接触したとしても、それに起因する障害の発生を未然に抑制するようにしている。外装ケース20の素材としては、例えば樹脂などの、可撓性を有するものを用いるのが好ましい。なお、固体撮像素子19としては、例えば41万画素等の適宜の画素数を備えたカラーCCDを好適に使用することができる。なお、カメラ部21の内部に、例えば高輝度の白色LEDなどの照明光源(不図示)を適宜の数だけ設けるように構成してもよいし、又は、別途の照明光源を用いてもよい。
【0018】
カメラ部21をブレード15に対して支持させるとともに、カメラ部21に接続される電線24をハンドル13内へと導くために、カメラ部21は、次述のカプラ24を介して、電線24を被覆するためのチューブ部材25が設けられている。すなわち、カプラ24は、カメラ部21の一端に設けられたカメラ側カプラ24aと、チューブ部材25の一端に設けられ、このカプラ24aと結合するチューブ側カプラ24bとから構成されている。カプラ24は、カメラ側とチューブ側の電線24を電気的に結合するとともに、カメラ側の外装ケース20とチューブ部材25のシースを水密下で機械的に結合する機能を併有している。なお、カプラ24の構成としては、公知の結合手段のなかから、適宜のものを採用すればよい。
【0019】
チューブ部材25の好ましい態様に言及すると、チューブ部材25は、可撓性を有するように構成すればよい。チューブ部材25の機能は、電線24が相互に絡み合ったりして断線等を生じるのを防止するために、例えば、可撓性のある筒体(例えばステンレス鋼製)、テープ、銅線、又はこれらの組み合わせに係るシースで覆うなど、可撓性部材内に電線24を収容させて拘束状態とすることにある。チューブ部材25が備える性質として、可撓性に加えて、形状保持性、さらには弾発性を有するように構成しても良い。具体的には、チューブ部材25に、可撓性、形状保持性、並びに弾発性を付与するに当たっては、例えばチューブ部材25の内部に、その長手方向に沿って金属ワイヤ等の部材をらせん状に巻き回して収容させるように構成すればよい。
【0020】
チューブ部材25におけるカメラ部21への結合端とは異なる端部は、グリップ13の孔13aを介してグリップ内に導かれている。グリップ13の孔13aの内径は、チューブ部材25の外径よりも僅かに小さく形成される。したがって、チューブ部材25は、グリップ13の孔13aにおける径方向の締め付けにより生じる摩擦力をもって、孔13aを支点として支持されている。そして、カメラ部21からチューブ部材25を介して孔13aに至る部分は、全体として水密構造とされている。
【0021】
カメラ部21を、ブレード15の長手方向に沿って位置調整可能に設けるに当たっては、まず、ブレード15の側壁部15bと上壁部15cとで区画される空間内にチューブ部材25を収容させるようにする。これにより、患者の咽頭部へチューブ部材25が接触することに起因する障害の発生を未然に抑制している。次に、カメラ部21の先端側を、側壁部15bに穿設された貫通孔17に挿通させる。なお、カメラ部21の外径を構成する周囲壁は、貫通孔17の周囲枠との接触により生じる摩擦力をもって、貫通孔17の周囲枠を支点として支持される。かかる態様に代えて、チューブ部材25の外周を、貫通孔17の周囲枠との接触により生じる摩擦力をもって、貫通孔17の周囲枠を支点として支持するように構成してもよい。この場合、カメラ部21及びチューブ部材25は、少なくとも、グリップ13の孔13a、及び貫通孔17の周囲枠を支点として二点支持されている。カメラ部21を、ブレード15の舌圧部15aにおける上側壁に対して、接触するように配置してもよいし、わずかな隙間を隔てて配置しても良い。そして、カメラ部21を、ブレード15の長手方向に沿う適宜の位置に調整する。かかる位置調整を可能にするために、図1に示すように、チューブ部材25におけるカメラ部21の接続端とは異なる端部側には、余裕長部分26が設けてある。なお、こうした余裕長部分26の設定に代えて、又は同設定とともに、チューブ部材25を、グリップ13の孔13aに対して、繰り出し又は収容可能に接続する構成を採用することもできる。
【0022】
カメラ部21で撮像された画像信号を処理するために、図2に示すように、グリップ13内には、画像信号を増幅して外部機器に対して有線又は無線にて信号出力する機能を有するカメラコントロールユニット(以下、「CCU」と省略する。)27が設けられている。また、グリップ13には、固体撮像素子19、及びCCU27などの電源となる乾電池又は充電池等のバッテリ29が内蔵されると共に、その下端に、電源スイッチ31が配設されている。なお、バッテリ29をグリップ3に内蔵しない場合には、喉頭鏡11に駆動用電力を供給する電力供給線(不図示)を接続すればよい。そして、固体撮像素子19とCCU27間は、個体撮像素子を駆動する制御用信号線と、画像信号を伝送する画像伝送用信号線を含む信号ケーブル24を介して接続されている。
【0023】
CCU27から例えば無線にて信号出力された画像信号を受信するために、図2に示すように、グリップ13の近傍には、アンテナ33を備える可搬型の表示記録装置35が配設されている。本発明において画像処理手段として機能する表示記録装置35は、無線データ受信機能、受信データの表示及び記録機能を有しており、CCU27から送信されてきた画像信号を受信し、受信した画像信号から元の画像を再現して表示するとともに、受信した画像信号を例えばハードディスク等へ記録することができるようになっている。そして、喉頭鏡11と、表示記録装置35とで、喉頭鏡システム37が構成されている。
【0024】
[交換可能なカメラ部のバリエーションに係る実施例と変形例]
次に、交換可能なカメラ部のバリエーションに係る実施例と変形例について説明する。
【0025】
第1実施例に係るカメラ部21では、図3(a)に示すように、外装ケース20の筒状部における軸X方向に対し、対物光学系18の光軸Aが、45度の角度を隔てるように構成されている。図3(a)に示すカメラ部21では、外装ケース20の筒状部における径方向サイズを可及的に小さく形成したために、外装ケース20における先端側に突出した部分40が形成されている。これに対し、かかる第1実施例の変形例として、図3(b)に示すように、外装ケース20の筒状部における径方向サイズを比較的大きく形成することでカメラ部41を構成してもよい。このカメラ部41では、前述のカメラ部21における外装ケース20の先端側における突出した部分40は、外装ケース20の形状に吸収される。従って、このような凹凸の少ない簡素な外観形状を呈するカメラ部41を採用すれば、かかるカメラ部41が患者の咽頭部に直接接触することに起因する障害の発生を未然に抑制することができる。さらには、その使用後に滅菌処理を施す際においても、凹凸の少ない簡素な外観形状に起因して毒素や細菌等の潜む部位がほとんど存在しないため、滅菌処理が容易に行えるという副次的な効果も得られる。
【0026】
このカメラ部41を、ブレード15に沿って配設すると、例えば図5に示すように、対物光学系18の光軸Aが、ブレード15の指向方向に対して一定値以上の角度を隔てるようになる。ここで、カメラ部41をブレード15に沿って取り付けるに当たり、カメラ部41の軸Xに対する周方向の位置決めを変更し得るように構成すれば、例えば、対物光学系18の光軸をA1若しくはA2に調整することができる。このようにすれば、ブレード15に対する周辺視野領域のうち、特定部位に着目した細部観察を行う際において、当該特定部位付近に向けて対物光学系18の光軸を合わせることが容易に可能となる結果として、かかる細部観察時における画像の解像度を向上することができる。
【0027】
一方、第2実施例に係るカメラ部51では、図4(a)に示すように、外装ケース20の筒状部における軸X方向に対し、対物光学系18の光軸Aが、90度の角度を隔てるように構成されている。図4(a)に示すカメラ部51では、外装ケース20の筒状部における径方向サイズを可及的に小さく形成したために、外装ケース20における先端側に突出した部分50が形成されている。これに対し、かかる第2実施例の変形例として、図4(b)に示すように、外装ケース20の筒状部における径方向サイズを比較的大きく形成することでカメラ部53を構成してもよい。このカメラ部53では、前述のカメラ部51における外装ケース20の先端側における突出した部分50は、外装ケース20の形状に吸収される。従って、このような凹凸の少ない簡素な外観形状を呈するカメラ部53を採用すれば、かかるカメラ部53が患者の咽頭部に直接接触することに起因する障害の発生を未然に抑制することができる。さらには、その使用後に滅菌処理を施す際においても、凹凸の少ない簡素な外観形状に起因して毒素や細菌等の潜む部位がほとんど存在しないため、滅菌処理が容易に行えるという副次的な効果も得られる。
【0028】
このカメラ部53を、ブレード15に沿って配設すると、例えば図6に示すように、対物光学系18の光軸Aが、ブレード15の指向方向に対して一定値以上の角度を隔てるようになる。ここで、カメラ部41をブレード15に沿って取り付けるに当たり、カメラ部41の軸Xに対する周方向の位置決めを変更し得るように構成すれば、例えば、対物光学系18の光軸をA3若しくはA4に調整することができる。このようにすれば、ブレード15に対する周辺視野領域のうち、特定部位に着目した細部観察を行う際において、当該特定部位付近に向けて対物光学系18の光軸を合わせることが容易に可能となる結果として、かかる細部観察時における画像の解像度を向上することができる。
【0029】
[実施例の作用効果]
次に、上述のように構成された本発明に係る喉頭鏡システム37の作用効果を説明する。まず、喉頭内における特定部位、具体的には、例えば喉頭内の奥部を特定部位として細部観察したい場合、対物光学系18の光軸Aが45度のカメラ部41と90度のカメラ部53のなかから、今回の特定部位の観察用途に適したカメラ部を選択する。ここでは、カメラ部として第1実施例の変形例に係るカメラ部41を採用したとして説明を進める。こうして選択したカメラ部41を、その対物光学系18の光軸Aが特定部位近辺に向くことを考慮して軸X周りの位置決めをした後、カプラ23においてカメラ部とチューブ部材25とを連結する。
【0030】
こうした準備段階を経て、喉頭鏡システム37の電源スイッチ31をオンするとともに、表示記録装置35の電源をオンした状態で、ブレード15を患者の口腔から喉頭内へと挿入し、その先端で舌を下方へ押さえる(図7参照)。
【0031】
このとき、対物光学系18の光軸Aが、操作者が細部観察を行いたい特定部位に向くことを考慮したカメラ部41の位置調整が、予めなされているので、ブレード15で患者の舌を押さえたときに、喉頭内の特定部位(奥部)を中心とした好ましい視野範囲で撮像することができる。
【0032】
この観察の際に、照明光源から照射された光は喉頭内に照射されて、喉頭内は明るく照らされる。次いで、喉頭内の画像が、固体撮像素子19で撮像されるとともに光電変換され、その画像信号が信号ケーブル24を介してCCU27に伝送される。
【0033】
CCU27では、画像信号が増幅されるとともに、増幅された画像信号が外部機器に対して無線伝送される。こうして無線伝送されてきた画像信号が、アンテナ33を介して表示記録装置35で受信されると、表示記録装置35は、受信した画像信号から元の画像を再現して表示するとともに、受信した画像信号を記録する。
【0034】
以上述べたように、本実施例によれば、被写体の光学像を結ぶ対物光学系18と、この対物光学系18の結像位置に受光面が配置され、この受光面に結像された光学像を光電変換する固体撮像素子19とを、外装ケース20に収容してなるカメラ部21を、対物光学系18の光軸Aが、ブレード15の指向方向に対して一定値以上の角度を隔てるように、ブレード15に設けたので、従って、所要の特定部位に注目した細部観察を実現することができる。
【0035】
また、本実施例では、例えば、対物光学系18の光軸Aが45度のカメラ部41と90度のカメラ部53のなかから、特定部位の観察用途に適したカメラ部を適宜選択的に交換可能であり、こうした選択したカメラ部を取り付けるに当たり、その対物光学系18の光軸Aが特定部位近辺に向くことを考慮して、軸X周りに位置決め調整可能としたので、従って、ブレード15に対する周辺視野領域のうち、特定部位に着目した細部観察を行う際において、当該特定部位付近に向けて対物光学系18の光軸を合わせることが容易に可能となる結果として、かかる細部観察時における画像の解像度を向上することができる。
【0036】
さらに、本発明によれば、固体撮像素子19で得られた画像は画像信号に変換され、その画像信号が咽頭鏡11の外部に配された表示記録装置35に電気信号として無線伝送されるので、良好な使い勝手を備えた喉頭鏡11を得ることができる。
【0037】
なお、本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う喉頭鏡及び喉頭鏡システムもまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【0038】
すなわち、例えば、本実施例では、カメラ部21を、ブレード15の長手方向に沿って位置調整可能に設ける例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、カメラ部21を、ブレード15の長手方向に対して直交する任意の方向に振るように位置調整を行ってもよい。
【0039】
また、本実施例の説明において、対物光学系18の光軸Aが45度のカメラ部41と90度のカメラ部53のなかから、特定部位の観察用途に適したカメラ部を適宜選択的に交換可能である旨を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されることなく、例えば、対物光学系18の光軸Aが30度のカメラ部や60度のカメラ部など、特定部位の位置に合わせて適宜の角度に設定されたカメラ部を用意しておき、これら選択肢のなかから、観察用途に適したカメラ部を適宜選択するようにしてもよい。
【0040】
最後に、本実施例では、マッキントッシュ型喉頭鏡を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、あらゆるタイプの喉頭鏡に適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例を示す喉頭鏡の外観斜視図である。
【図2】本発明に係る喉頭鏡システムの機能ブロック図である。
【図3】図3(a),(b)は本発明の第1実施例に係る喉頭鏡の断面図である。
【図4】図4(a),(b)は本発明の第2実施例に係る喉頭鏡の断面図である。
【図5】図5は本発明の第1実施例に係る喉頭鏡における対物光学系の光軸説明図である。
【図6】図6は本発明の第2実施例に係る喉頭鏡における対物光学系の光軸説明図である。
【図7】本発明に係る喉頭鏡の使用状態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
11 喉頭鏡
13 グリップ
15 ブレード
17 貫通孔
18 対物光学系
19 固体撮像素子
20 外装ケース
21 カメラ部
22 透過窓
23 カプラ(結合手段)
24 信号ケーブル(電線)
25 チューブ部材
26 余裕長部分
27 カメラコントロールユニット(CCU)
29 バッテリ
31 電源スイッチ
33 アンテナ
35 表示記録装置(画像処理手段)
37 喉頭鏡システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップと、このグリップに設けられるブレードと、を備えた喉頭鏡であって、
被写体の光学像を結ぶ対物光学系と、この対物光学系の結像位置に受光面が配置され、この受光面に結像された光学像を光電変換する固体撮像素子とを、外装ケースに収容してなるカメラ部をさらに備え、
前記対物光学系の光軸が、前記ブレードとは異なる方向を指向するように、前記カメラ部を前記ブレードに設けた
ことを特徴とする喉頭鏡。
【請求項2】
請求項1記載の喉頭鏡であって、
グリップ側から延設され、電線を被覆するためのチューブ部材をさらに備え、
前記カメラ部と前記チューブ部材間を、結合手段を介して着脱可能に構成した
ことを特徴とする喉頭鏡。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の喉頭鏡であって、
前記カメラ部は、前記対物光学系の光軸が、前記舌圧部の指向方向に対して相互に異なる角度に設定されたものが複数用意される
ことを特徴とする喉頭鏡。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の喉頭鏡であって、
前記ブレードは、湾曲した舌圧部と、この舌圧部に沿って立ち上がる側壁部と、この側壁部に設けられた貫通孔と、をさらに備え、
前記チューブ部材は前記貫通孔を介して支持されるとともに、このチューブ部材の他端は前記グリップに接続され、
前記電線及びチューブ部材は前記位置調整を可能とする余裕長及び可撓性を有する
ことを特徴とする喉頭鏡。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の喉頭鏡であって、
前記チューブ部材及び電線は、前記位置調整のために前記グリップに対して、繰り出し又は収容可能に接続される
ことを特徴とする喉頭鏡。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の喉頭鏡であって、
前記撮像カメラにより得られる画像信号は、無線通信又は有線通信を介して外部機器に出力される
ことを特徴とする喉頭鏡。
【請求項7】
請求項1〜7のいずれかに記載の喉頭鏡と、
前記撮像カメラにより得られる画像信号を受けて、当該受信した画像を処理する画像処理手段と、を備えて構成される
ことを特徴とする喉頭鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−289669(P2008−289669A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138362(P2007−138362)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(506381681)
【Fターム(参考)】