説明

喘息診断装置、喘息診断方法、および、喘息診断プログラム

【課題】 診断対象者が上述の軽症の喘息を患っている場合に、その軽症の喘息を容易に発見することを可能とした喘息診断装置を提供することである。
【解決手段】 本発明の喘息診断装置は、基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を記憶する基準笑い声記憶部12と、診断対象者の笑い声を入力する入力部11と、前記基準データとしての笑い声と前記入力された笑い声との類似度を判定する類似度判定部13と、該類似度の判定結果を出力する出力部14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喘息診断装置、喘息診断方法、および、喘息診断プログラムに関し、特に、軽症の喘息患者に対する喘息診断を可能とした喘息診断装置、喘息診断方法、および、喘息診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業の発達は、様々な技術を生み出し、人々の生活を向上するのに貢献してきた。その半面、多くの新技術が、空気汚染を引き起こす一因となっている。汚染された空気が回りにある環境に住むと、喘息になる確率が一層高まる、とも言われている。
【0003】
日本国厚生労働省の2002年の推計によれば、喘息患者は100万人を超えてなお増加傾向にあり、発作死は2001年が約4000人、2002年及び2003年が3700人台となっている。
【0004】
喘息発作時は、症状に応じた薬に吸入や服用が欠かせず、発作の程度や気管支の状態を的確に判断し、必要により救急搬送することが重要である。厚生労働省は、こうした措置を専門医でなくても迅速に正しくとれるよう、厚生労働省研究班などが作成した診療指針を患者、家族、開業医らに徹底し、救急医療機関と診療所などとの連携体制を作り、初期対応を強化する方針を打ち出している。
【0005】
また、厚生労働省は、日ごろの対策も重要し、専用の測定機器で気管支の状態を日常的に把握することや、発作を防ぐ長期管理薬の使用の重要性を理解していない患者も多いとみられることから、継続的な受診を促す方針を打ち出している。
【0006】
軽症の喘息患者は、聴診器で喘息音が僅かに聞こえる状態にある。このため、患者によっては、症状が自覚しづらい患者もいる。診断する医者によっては、その喘息音が聞き取りにくく、その結果、医者によるその喘息音の聞き逃しが高頻度で発生し、この時期を通院することなく過ごす患者が多い。
【0007】
他の疾患と同様に喘息でも、なるべく初期の段階で適切な処置をとるべきであることは言うまでもない。このため、従来、様々な喘息診断器具が考えられている。
例えば、下記特許文献1に開示される呼吸状態診断器具では、強制呼気を行った際に発生する、肺疾患を示す音を聞き取ることで、喘息等の肺疾患を診断することが行われている。
【特許文献1】特表平03−503498号公報 「呼吸状態診断とそのための装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1に開示される呼吸状態診断器具において、喘息等の肺疾患を示す音(喘息音等)が聞き取れるような場合、例えば、聴診器でも、同様な肺疾患を示す音を聞き取ることができるので、そのような呼吸状態診断器具がなければ、診断自体が不可能になるという性質のものではない。
【0009】
本発明の課題は、診断対象者が上述の軽症の喘息を患っている場合に、その軽症の喘息を容易に発見することを可能とした喘息診断装置、喘息診断方法、および、喘息診断プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様の喘息診断装置は、基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を記憶する基準笑い声記憶部と、診断対象者の笑い声を入力する入力部と、前記基準データとしての笑い声と前記入力された笑い声との類似度を判定する類似度判定部と、該類似度の判定結果を出力する出力部と、を備えることを特徴とする喘息診断装置である。
【0011】
ここで、「喘息においては、軽度の時点から肺内部の状態が笑い声に反映される」という、出願人によって見出された事実により、基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声と、診断対象者の笑い声とを比較して、その類似度を判定することで、診断対象者が軽症の喘息患者であるか否かを判断することができる。
【0012】
本発明の第2態様の喘息診断装置は、基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を記憶する基準笑い声記憶部と、診断対象者の笑い声を入力する入力部と、入力された笑い声、または、基準データとしての笑い声の特徴値を算出する笑い声特徴値算出部と、前記算出された基準データとしての笑い声の特徴値と前記入力された笑い声の特徴値との類似度を判定する特徴値類似度判定部と、該特徴値の類似度の判定結果を出力する出力部と、を備えることを特徴とする喘息診断装置である。
【0013】
ここで、「喘息においては、軽度の時点から肺内部の状態が笑い声に反映される」という、出願人によって見出された事実により、入力された診断対象者の笑い声の特徴値を抽出して、その抽出された診断対象者の笑い声の特徴値を、基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声の特徴値とを比較して、その類似度を判定することで、診断対象者が軽症の喘息患者であるか否かを判断することができる。
【0014】
本発明の第3態様の喘息診断サーバ装置は、基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を記憶する基準笑い声データベースと、診断対象者の笑い声を送信する端末から受信した該診断対象者の笑い声と、前記基準データとしての笑い声との類似度を判定する類似度判定部と、該類似度の判定結果を診断対象者の笑い声の送信元の端末に返信する送信部と、を備える喘息診断サーバ装置である。
【0015】
上記第3態様において、類似度の判定において、その受信した診断対象者の笑い声が軽症の喘息患者の笑い声と判定された場合に、その受信した診断対象者の笑い声を前記基準笑い声データベースに追加する基準笑い声データ追加部、をさらに備えるようにしてもよい。このようにすれば、基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を効率よく収集することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、「喘息においては、軽度の時点から肺内部の状態が笑い声に反映される」という、出願人によって見出された事実により、診断対象者が軽症の喘息患者であるか否かを判断することができる。
【0017】
また、喘息が収まったように思われる場合に、再度、本発明の喘息診断装置を用いて、軽症の喘息かどうかを判断することで、本来治るはずの喘息が必要以上に早期に薬をやめたことで再発するのを防ぐことができる。
【0018】
また、本発明によれば、特に、軽症の喘息患者の診断を容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、詳細に説明する。
本発明は、軽症の喘息を診断する技術に関するものであるが、多分に課題発見的な要素がある。以下に、出願人がこのような着想をいかに思いついたかにつき、簡単に述べる。
【0020】
長年に渡る音声研究を通じて、肺内部に炎症が生じると、その肺内部の炎症によって生じた痰が振動して、健康者と肺に何らかの疾患を持つ者との間で声帯を通じて発声される音声に違いが生じるものと考えた。
【0021】
そして、その肺疾患のあるものについては、例えば喘息については、発生される音声、特に笑い声によって、肺内部の変化を軽度の段階から検出できると考えた。
出願人の場合、長期間に渡り、そのような肺に疾患を持つ患者に接していた関係から、その患者の発する音声の健康者との違いについての敏感に自覚できるようになり、特に、対象者の笑い声から、その対象者が軽度の喘息患者であるか否かを聞き分けることができるようになってしまっていた。
【0022】
図1Aは、軽症の喘息患者の笑い声の音声波形を示す図であり、図1Bは、健康者の笑い声の音声波形を示す図である。なお、図1Aおよび図1Bのいずれの波形も、おおよその傾向を示すための概念的な波形である。
【0023】
図1Aには、軽症の喘息患者の音声波形101が示される。このグラフでは、ある周波数に対して、時間に対する音声信号の振幅が描かれている。この音声波形101は、笑い声の開始直後からサンプルされているが、その笑い声の開始直後に大きい振幅(強度)を有する部分aと、それに続く、振幅(強度)が一定の部分bとから構成されている。
【0024】
図1Bには、健康者の音声波形102が示される。このグラフでは、ある周波数に対して、時間に対する音声信号の振幅が描かれている。この音声波形102は、笑い声の開始直後からサンプルされているが、振幅(強度)が一定の部分cのみから構成されている。
【0025】
本発明の第1実施形態の喘息診断装置では、診断対象者の波形を、基準データとしてサンプル済みの軽症の喘息患者の波形と比較し、その類似度を判定している。また、第2実施形態の喘息診断装置では、軽症の喘息患者の音声波形を例えば複数サンプル分分析して得た、その軽症の喘息患者の音声波形の特徴値を、診断対象者の音声波形から得られる特徴値と比較し、その類似度を判定している。
【0026】
図2は、本発明の第1実施形態の喘息診断装置の構成を示すブロック図である。
図2において、喘息診断装置10は、基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を記憶する基準笑い声記憶部12と、診断対象者の笑い声を入力する入力部11と、前記基準値データとしての笑い声と前記入力された笑い声との類似度を判定する類似度判定部13と、該類似度の判定結果を出力する出力部14と、を備える。なお、類似度判定部13においては、音声認識の分野における各種アルゴリズムを判定用のアルゴリズムとして用いることができる。
【0027】
図3は、音声認識のアルゴリズムとして、DPマッチングを用いる場合の、図2の喘息診断装置10のより詳細な構成を示すブロック図である。
図3において、増幅部(アンプ)22は、入力部21を介して入力された音声信号を増幅し、A/D変換部23は、増幅された音声信号をアナログ値からディジタル値に変換する。
【0028】
図3において、データ生成部25は、ディジタル値に変換された診断対象者の笑い声データ(笑い声発声開始からの所定区間の笑い声データ)を入力し、その入力された笑い声データに対応する、周波数、強度(振幅)、時間の3次元データを生成する。データ処理部26は、生成された3次元データを、笑い声記憶部としてのバッファ27に格納する。
【0029】
ピッチ算出部31は、バッファ27に保持される診断対象者の笑い声や、基準笑い声記憶部28に記憶されている基準となる笑い声を入力し、その入力された笑い声の基本周波数(ピッチ)を算出する。なお、ピッチとは、例えば、肺からの空気圧によって定まる声帯の開閉周期(振動周期)の逆数である基本周波数に対応するものである。また、ピッチ調整部33は、2つの笑い声が類似するかどうかを類似度判定部32において判定する際に、ピッチ算出部31によって算出された各笑い声データのピッチを用いて、それら2つの笑い声データのピッチ間に比較可能なように対応関係をつける。
【0030】
なお、軽症の喘息患者からサンプルされた基準となる笑い声については、すでに、データ生成部25、データ処理部26による処理が行われて、その処理結果の3次元のデータが、(二次記憶の)基準笑い声記憶部28に格納されているものとする。
【0031】
類似度判定部32は、笑い声データの強度を所定の周波数範囲で時間ごとに和をとる。ここで、「所定の周波数範囲」とは、ピッチ調整部33によって、比較対象となる2つの笑い声間で予め定められた周波数範囲である。すなわち、ピッチ調整部33は、「基準笑い声データに対する第1の周波数範囲が、診断対象者の笑い声データに対する第2の周波数範囲に対応する」、という情報を定める。
【0032】
そして、類似度判定部32は、このようにして得られた強度(振幅)和対時間の関係を、基準となる笑い声データと診断対象者の笑い声データとで比較することで、基準となる笑い声データと診断対象者の笑い声データとの類似度判定を行っている。すなわち、図1に示したような軽症の喘息患者の笑い声の出だし部分に見られるような特徴的な強度変化が診断対象者の笑い声でも検出された場合に、診断対象者の笑い声が軽症の喘息患者の笑い声に類似すると判定される。出力部34は類似度判定部32の判定結果に基づいて、診断対象者が軽症の喘息患者であるかどうかを判定する。
【0033】
なお、笑い声データに対するデータ種別を決める機能をデータ処理部26に持たせるようにしてもよい。すなわち、笑い声データは、入力時点では、データ種別=「不明」に初期化されているが、このデータ種別=「不明」の笑い声については、データ処理部26は、生成された3次元データをバッファ27に格納するようにする。一方、このデータ種別=「不明」の笑い声データが後述の類似度判定によって基準笑い声と類似すると判定された場合、すなわち、診断対象者の笑い声が軽症の喘息患者の笑い声と類似すると判定された場合は、データ処理部26によって、データ種別=「基準データ」に変更されるようにするとともに、喘息診断装置のメッセージ表示用領域に、二次記憶(基準笑い声記憶部)に格納するかどうかを確認するメッセージが表示されるようにし、格納する回答がなされた場合にその診断対象者の笑い声データを基準笑い声記憶部に格納するようにしてもよい。また、類似度判定において類似しないと判定された場合は、喘息診断装置のメッセージ表示用領域に、その診断対象者の笑い声データを破棄するかどうかを確認するメッセージが表示されるようにし、破棄する回答がなされた場合に、その診断対象者の笑い声データが破棄されるようにしてもよい。いずれの場合でも確認メッセージを表示せず、自動的に格納・破棄を行うようにしてもよい。
【0034】
なお、軽症の喘息患者からサンプルされた基準となる笑い声について、さらに、ピッチ算出部31によるピッチの算出もあらかじめ行われるようにし、その算出されたピッチを、データ生成部25の処理結果の3次元データとともに、(二次記憶の)基準笑い声記憶部28に予め格納されるようにしてもよい。
【0035】
また、上述のように、強度(振幅)和対時間の関係を基準となる笑い声データと診断対象者の笑い声データとで求めておき、それら強度(振幅)和対時間の関係同士で類似度を判定する替わりに、ピッチ調整部によって対応付けられた個々の周波数ペアで類似度を求め、類似度判定の結果が所定値以上のペアが所定数以上存在した場合、基準となる笑い声データと診断対象者の笑い声データとが類似であると判定するようにしてもよい。
【0036】
なお、基準笑い声記憶部12は、複数の基準となる軽症の喘息患者の笑い声を記憶していることが好ましい。この場合、類似度判定部13は、それら複数の軽症の喘息患者の笑い声と診断対象者の笑い声との類似度、例えば、その診断対象者の笑い声が、それら複数の軽症の喘息患者の笑い声の少なくとも1つに近いかを判定する。この場合、それら複数の軽症の喘息患者の笑い声の少なくとも1つに類似すると判定されれば、その診断対象者は、軽症の喘息患者であると判定される。
【0037】
喘息診断装置10は、専用のハードウェアとして構成することができる。この場合、例えば、出力部14は、ブザーによって判定結果を音声出力したり、照明を点灯することによって判定結果を出力したりする。
【0038】
また、喘息診断装置10は、図4に示すように、パーソナル・コンピュータ40に一部の機能(類似度判定部13、出力部14)をインストールし、残りの機能(マイク(入力部)41、アンプ42、A/D変換部43)をそのパーソナル・コンピュータ40に外部から接続して、または、そのパーソナル・コンピュータ40の機能(基準笑い声記憶部12)を用いてして構成することもできる。この場合、例えば、出力部14は、パーソナル・コンピュータ40の表示部44上のメッセージ表示用領域に、判定結果を出力して表示する。
【0039】
図5は、本発明の第2実施形態の喘息診断装置の構成を示すブロック図である。
図5において、喘息診断装置50は、基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を記憶する基準笑い声記憶部52と、診断対象者の笑い声を入力する入力部51と、入力された笑い声、または、基準データとしての笑い声の特徴値を算出する笑い声特徴値算出部53と、前記算出された基準データとしての笑い声の特徴値と前記入力された笑い声の特徴値との類似度を判定する特徴値類似度判定部54と、該特徴値の類似度の判定結果を出力する出力部55と、を備える。
【0040】
図6は、音声認識のアルゴリズムとして、DPマッチングを用いる場合の、図5の喘息診断装置50のより詳細な構成を示すブロック図である。
図6において、強度(振幅)和対時間の関係を得るまでのプロセスは図3と同様であるので省略する。本実施形態においては、基準笑い声特徴値記憶部28に記憶される特徴値とは、例えば、笑い声を発した直後の大きな振幅と、後続の平坦な部分の振幅との比(比の範囲)、である。
【0041】
笑い声特徴値算出部62は、笑い声データについて、笑い声を発した直後の振幅と、その時点から所定期間経過した時点での振幅の比を算出する。特徴値類似度判定部61は、基準となる笑い声データについて算出された特徴値と入力された笑い声データについて算出された特徴値とを比較し、入力された笑い声データから得られる特徴値(比)が、基準となる笑い声データから得られる特徴値を含む所定区間内に含まれる場合に、基準となる笑い声データと入力された笑い声データとが類似すると判定する。この場合、診断対象者は軽症の喘息患者と判定されたことになる。
【0042】
本実施形態の喘息診断装置は、笑い声特徴値算出部62の替わりに、図示しない振幅調整部(規格化部)を有することができる。この場合、振幅調整部は、比較対象の2つの笑い声データに対して得られる強度(振幅)和対時間のグラフ中の最大値について、一方を他方の最大値に合わせるように例えば縦軸の尺度を調整する。比較対象のいずれかの縦軸が尺度調整された場合において、特徴値類似度判定部61は、笑い声を発した直後から所定期間経過した時点での振幅を、基準となる笑い声データと、入力された笑い声データとで比較し、入力された笑い声データのその時点での振幅が、基準となる笑い声データのその時点での振幅を含む所定区間内に含まれる場合に、基準となる笑い声データと入力された笑い声データとが類似すると判定する。
【0043】
必要に応じて、基準笑い声記憶部28に記憶される笑い声データにその基準となる笑い声データの発声者に対する属性(性別、年齢、等)が付加されていてもよい。この場合、診断対象者の笑い声を入力する際に、その診断対象者の属性を不図示の診断対象者属性入力部を介して入力するようにしてもよい。このようにすれば、診断対象者の性別、年齢、等に応じたより適確な喘息診断が可能となる。
【0044】
なお、軽症の喘息患者からサンプルされた基準となる笑い声について、さらに、ピッチ算出部31によるピッチの算出、笑い声特徴値算出部62による特徴値の算出もあらかじめ行われるようにし、その算出されたピッチ、特徴値を、データ生成部25の処理結果の3次元データとともに、(二次記憶の)基準笑い声記憶部28に予め格納されるようにしてもよい。
【0045】
図5の喘息診断装置50は、専用のハードウェアとして構成することができる。また、喘息診断装置50は、図7に示すように、パーソナル・コンピュータ70に一部の機能(笑い声特徴値算出部53、特徴値類似度判定部54、出力部55)をインストールし、残りの機能(マイク(入力部)71、アンプ72、A/D変換器73)をそのパーソナル・コンピュータに外部から接続して、または、そのパーソナル・コンピュータの機能(基準笑い声特徴値記憶部52)を用いて構成することもできる。
【0046】
図8は、本発明の第3実施形態の喘息診断システムの構成を示す図である。
図8において、喘息診断システムは、喘息診断サーバ装置90が1台以上の端末81とネットワーク82を介して接続されることで構成される。
【0047】
第3実施形態においては、図8に示されるように、診断対象者に対して軽症の喘息であるか否かを診断するユーザは、端末81から喘息診断サーバ装置90にネットワーク82を介して診断対象者の笑い声を送信する。
【0048】
この診断対象者の笑い声を受信部91を介して受信した喘息診断サーバ装置90側では、類似度判定部95において、その診断対象者の笑い声と基準笑い声データベース92内に格納された1以上の基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声とを比較し、類似度を判定する。その類似度の判定結果は、送信部94を介して、診断対象者の笑い声の送信元の端末81に返信される。類似度の判定において、その受信した診断対象者の笑い声が軽症の喘息患者の笑い声と判定された場合に、基準笑い声データ追加部93は、その受信した診断対象者の笑い声を基準笑い声データベース92に追加する。
【0049】
第3実施形態の構成においては、基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を効率よく収集することが可能となる。
なお、本発明の喘息診断処理を行う機能をソフトウェアとして実現することもできる。その場合、そのソフトウェアは、記憶媒体内に格納されて情報処理装置内のメモリにロードされ実行される。
【0050】
上記記憶媒体には、図9に示すように、CD−ROM、フレキシブルディスク(MO、DVD、リムーバブルハードディスク等であってもよい)等の媒体駆動装置116に脱着可能な可搬記憶媒体111、ネットワーク113回線経由でプログラムが送信される外部記憶装置112、情報処理装置の本体114内の記憶部(ハードディスク等)115、が含まれる。本実施形態の各処理を行うプログラムは、上記記憶媒体から本体114内のメモリにロードされ実行される。
【0051】
なお、本発明では、軽症の喘息患者の笑い声をどのように集めるかが1つの焦点となるが、例えば、第3実施形態のシステム構成を用いたり、または、喘息が治りかけている患者が、本発明の喘息診断装置またはシステムを用いる場合にデータ収集の許可を得ておいたりすることで、軽症の喘息患者の笑い声を効率よく収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1A】軽症の喘息患者の笑い声の音声波形を示す図である。
【図1B】健康者の笑い声の音声波形を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態の喘息診断装置の構成を示すブロック図である。
【図3】音声認識のアルゴリズムとして、DPマッチングを用いる場合の、図2の喘息診断装置のより詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態の喘息診断装置の一構成例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態の喘息診断装置の構成を示すブロック図である。
【図6】音声認識のアルゴリズムとして、DPマッチングを用いる場合の、図5の喘息診断装置のより詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態の喘息診断装置の一構成例を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態の喘息診断システムの構成を示す図である。
【図9】記憶媒体例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10、50 喘息診断装置
11、21、51 入力部
12、28、52 基準笑い声記憶部
13、32、95 類似度判定部
14、34、55 出力部
22 増幅部
23 A/D変換部
25 データ生成部
26 データ処理部
27 バッファ
31 ピッチ算出部
33 ピッチ調整部
40、70 PC
41、71 マイク
42、72 アンプ
43、73 A/D変換器
44 表示部
53、62 笑い声特徴値算出部
54、61 特徴値類似度判定部
81 端末
82 ネットワーク
90 喘息診断サーバ装置
91 受信部
92 基準笑い声DB
93 基準笑い声データ追加部
94 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象者が軽症の喘息患者であるかどうかを診断する喘息診断装置において、
基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を記憶する基準笑い声記憶部と、
診断対象者の笑い声を入力する入力部と、
前記基準データとしての笑い声と前記入力された笑い声との類似度を判定する類似度判定部と、
該類似度の判定結果を出力する出力部と、を備えることを特徴とする喘息診断装置。
【請求項2】
前記基準笑い声記憶部は、複数の喘息患者の笑い声を記憶し、前記類似度判定部は、前記診断対象者の笑い声が、前記複数の喘息患者の笑い声の少なくとも1つに類似すると判定された場合に、前記診断対象者を軽症の喘息患者と判定することを特徴とする請求項1記載の喘息診断装置。
【請求項3】
入力された笑い声を記憶する笑い声記憶部、をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の喘息診断装置。
【請求項4】
前記出力部は、ブザーによって判定結果を音声出力することを特徴とする請求項1記載の喘息診断装置。
【請求項5】
前記出力部は、照明を点灯することによって判定結果を出力することを特徴とする請求項1記載の喘息診断装置。
【請求項6】
前記出力部は、装置の表示手段上のメッセージ表示用領域に、判定結果を出力して表示することを特徴とする請求項1記載の喘息診断装置。
【請求項7】
診断対象者が軽症の喘息患者であるかどうかを診断する喘息診断装置において、
基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を記憶する基準笑い声記憶部と、
診断対象者の笑い声を入力する入力部と、
入力された笑い声、または、基準データとしての笑い声の特徴値を算出する笑い声特徴値算出部と、
前記算出された基準データとしての笑い声の特徴値と前記入力された笑い声の特徴値との類似度を判定する特徴値類似度判定部と、
該特徴値の類似度の判定結果を出力する出力部と、を備えることを特徴とする喘息診断装置。
【請求項8】
診断対象者が軽症の喘息患者であるかどうかをコンピュータが診断する喘息診断方法において、
コンピュータの記憶手段に格納された基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声と、コンピュータの入力手段を介して入力された診断対象者の笑い声との類似度を判定し、
該類似度の判定結果を出力する、ことを特徴とする喘息診断方法。
【請求項9】
前記類似度の判定結果を、装置の表示手段上のメッセージ表示用領域に出力して表示することを特徴とする請求項8記載の喘息診断方法。
【請求項10】
診断対象者が軽症の喘息患者であるかどうかをコンピュータが診断する喘息診断方法において、
コンピュータの記憶手段に格納された基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声の特徴値を算出し、
入力された笑い声の特徴値を算出し、
算出された基準データとしての笑い声の特徴値と、該入力された笑い声の特徴値との類似度を判定し、
該特徴値の類似度の判定結果を出力する、ことを特徴とする喘息診断方法。
【請求項11】
診断対象者が軽症の喘息患者であるかどうかをコンピュータに診断させる喘息診断プログラムにおいて、
コンピュータの記憶手段に格納された基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声と、コンピュータの入力手段を介して入力された診断対象者の笑い声との類似度を判定するステップと、
該類似度の判定結果を出力するステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする喘息診断プログラム。
【請求項12】
前記類似度の判定結果ステップにおいて、装置の表示手段上のメッセージ表示用領域に該類似度の判定結果を出力して表示することを特徴とする請求項11記載の喘息診断プログラム。
【請求項13】
診断対象者が軽症の喘息患者であるかどうかをコンピュータに診断させる喘息診断プログラムにおいて、
コンピュータの記憶手段に格納された基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声の特徴値を算出するステップと、
入力された笑い声の特徴値を算出するステップと、
算出された基準データとしての笑い声の特徴値と、該入力された笑い声の特徴値との類似度を判定するステップと、
該特徴値の類似度の判定結果を出力するステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする喘息診断プログラム。
【請求項14】
診断対象者が軽症の喘息患者であるかどうかを診断する喘息診断システムにおいて、
基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を記憶する基準笑い声データベースと、
受信された診断対象者の笑い声と、前記基準データとしての笑い声との類似度を判定する類似度判定部と、
該類似度の判定結果を診断対象者の笑い声の送信元の端末に返信する送信部と、を備える喘息診断サーバ装置と、該サーバ装置に対して、診断対象者の笑い声を送信する1台以上の端末とから構成される喘息診断システム。
【請求項15】
診断対象者が軽症の喘息患者であるかどうかを診断する喘息診断システムに用いられるサーバ装置において、
基準データとしての軽症の喘息患者の笑い声を記憶する基準笑い声データベースと、
診断対象者の笑い声を送信する端末から受信した該診断対象者の笑い声と、前記基準データとしての笑い声との類似度を判定する類似度判定部と、
該類似度の判定結果を診断対象者の笑い声の送信元の端末に返信する送信部と、を備える喘息診断サーバ装置。
【請求項16】
前記類似度の判定において、その受信した診断対象者の笑い声が軽症の喘息患者の笑い声と判定された場合に、その受信した診断対象者の笑い声を前記基準笑い声データベースに追加する基準笑い声データ追加部、をさらに備えることを特徴とする請求項15記載の喘息診断サーバ装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−181340(P2006−181340A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243917(P2005−243917)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(504442056)
【Fターム(参考)】