説明

営業店端末装置

【課題】
利用者の操作慣れにより、実行される操作によっては、注意メッセージを表示するだけでは誤操作を防ぐという目的を達成する上で不十分な場合がある。すなわち、利用者毎にその実施する操作に応じた注意喚起を行う必要がある。
【解決手段】
利用者が操作端末にて操作を実行する際に、記憶装置より操作情報を読み込み、操作に対する誤操作の情報を取得し、その情報を利用して、利用者が操作を実施する前に注意喚起を行う。ここで、注意喚起とは、利用者の誤操作を防ぐための手段であり、利用者が実施する操作に応じて異なる注意喚起を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関などの営業店に設置され、係員等が操作して所定の処理を行う営業店端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術として、従来、ユーザの操作履歴情報から想定される誤動作を特定し、ユーザに注意を促すシステムが知られている。例えば、特開平10―124220号公報(特許文献1)には、入力された情報を履歴情報として計測・集計・記憶することのできる端末について、今入力された情報から誤操作を防止するための所定のメッセージを出力する手段を備えたシステムが記載されている。また、特開2011−14046号公報(特許文献2)には、ユーザの一連の操作からなる誤操作と当該誤操作に基づいて実行される誤動作を表す失敗動作情報を格納できる手段を持ち、当該受け付けたユーザの操作に関連する誤動作を特定し、特定した誤動作に対応付けられた失敗動作説明をユーザに提示するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10―124220号公報
【特許文献2】特開2011−14046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献に記載された発明においては、注意喚起メッセージを表示してユーザの誤操作を未然に防ぐようにしている。しかし、ユーザの操作慣れにより、実行される操作によっては、注意メッセージを表示するだけでは誤操作を防ぐという目的を達成する上で不十分な場合がある。例えば、ユーザが素早く操作を実行する場合は注意メッセージに気づかずに操作を終了する可能性があるため、注意メッセージに気づかないまま誤操作をしてしまうことも考えられる。すなわち、ユーザ毎にその実施する操作に応じた注意喚起を行う必要がある。また、個別の履歴情報を持たない初めてシステムを利用するユーザに対しても注意喚起する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る営業店端末装置は、主としてユーザがデータ入力等の操作を行う操作端末と、ユーザの操作情報を記憶する記憶装置(データベース)からなり、ユーザの誤操作を防止するための注意喚起手段を有する。
【0006】
操作端末はユーザが銀行の窓口業務などの業務を行う際に使用され、その端末のディスプレイ上に業務を行う上で必要な情報を提供し、入金・出金・振替を行うために必要な文字情報を入力することができ、ユーザが必要な文字情報を入力することで、窓口業務を遂行することができる。
【0007】
記憶装置は、ユーザが操作端末で操作した際の入力情報やユーザの操作により端末内で実行された処理の情報を操作情報としてそのユーザ毎に記憶することができ、また、その記憶された操作情報を操作端末から読み出すことが可能となっている。
【0008】
上述の構成により、本発明の営業店端末装置はユーザが操作端末にて操作を実行する際に、記憶装置より操作情報を読み込み、操作に対する誤操作の情報を取得し、その情報を利用して、ユーザが操作を実施する前に注意喚起を行う。ここで、注意喚起とは、ユーザの誤操作を防ぐための手段であり、ユーザが実施する操作に応じて注意喚起の手段が異なる。
【0009】
実施する操作とは、ユーザが行う操作であり、テキスト入力、画面上のボタン押下がある。テキスト入力は、入力部分で入力可能な文字条件が違い、この条件を満たさない文字を入力すると、誤操作となる。例えば、数字のみ入力可能である入力部分に対し、ひらがなを入力すると、誤操作となる。ボタン押下は、ユーザが画面に表示されているボタンを押下することで、操作端末内部で処理が実行される。ボタン押下による処理の内容はユーザがテキスト入力で入力した情報を参照し、操作端末内部でその情報に応じた処理を実行し、ユーザ操作起因による誤操作は、参照できる情報が入力されていない状態でボタン押下した場合である。
【0010】
注意喚起手段は、テキスト入力による誤操作に対しては、操作履歴情報に基づき注意メッセージを表示し、入力可能な文字条件を満たさない文字を入力した場合は無効とし、注意メッセージを表示する。そして、所定の条件を満足する入力が行われていない限り、ボタン押下が実施できなくする。ただし、全ての操作に対して上述の操作制限を行うのではなく、利用者の操作履歴情報を基に、誤操作の実行頻度が高いものに対して行う。
【0011】
また、このような注意喚起システムでは、ユーザ個人の操作履歴情報だけでなく、全てのユーザの操作履歴情報を利用した注意メッセージを表示することもできる。全てのユーザの操作情報を利用した注意喚起メッセージと、ユーザ個人の操作履歴情報を利用した注意喚起メッセージは、場所を分けて表示し、2つの注意喚起メッセージの種類が認識できるものとする。
【発明の効果】
【0012】
ユーザが誤操作を行う可能性の高い操作をする際に注意喚起をすることで、その誤操作を未然に防ぐことができる。ユーザ個人の操作情報を利用することで、ユーザ個人に適合した注意喚起を行うことができ、ユーザ個人の作業の効率化につながる。また、全ユーザの操作情報から注意喚起を行うことで、システムを初めて利用するユーザにも誤操作の防止の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の営業店端末装置のハードウエア構成図である。
【図2】本発明の営業店端末装置のプログラムの構成図である。
【図3】本発明における操作履歴情報を記憶する処理フロー図である。
【図4】本発明におけるユーザ個人の操作履歴情報に基づく注意喚起メッセージ表示処理フロー図である。
【図5】本発明における全ユーザの操作履歴情報に基づく注意喚起メッセージ表示処理フロー図である。
【図6】本発明におけるテキスト入力の入力制限判定処理フロー図である。
【図7】本発明におけるテキスト入力の入力制限処理フロー図である。
【図8】本発明におけるボタン押下制限判定処理フロー図である。
【図9】本発明におけるボタン押下制限処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例に係る注意喚起機能を有する営業店端末装置の構成図であり、ユーザがデータ入力等の操作をする入力装置1と、操作した結果を表示する表示装置2と、主制御部10と、操作情報を格納するデータベース6とから構成されている。 また、主制御部10は、演算装置であるCPU3と、主記憶装置であるメモリ4と、ソフトウェアの情報を格納する補助記憶装置であるハードディスク5とから構成され、ハードディスク5はシステムを構成する基本ソフトゥエアであるOS7と、ユーザが実際に操作するソフトウェアであるプログラム8から構成される。
【0016】
なお、表示装置2は、入力装置1によりシステムに送信された情報をOS7やプログラム8が加工し、ユーザに理解できる表示形式・内容で出力することができる。また、データベース6は、入力装置1により入力された情報およびプログラム8により実行された処理および処理結果の情報を格納することができる。
【0017】
次に、図2を参照して、プログラム8の構成について説明する。
プログラム8は、ユーザを識別するユーザ認証部101と、表示装置2に出力する情報を格納する画面情報部102と、入力装置1からの情報を受け付ける入力受付部103と、プログラムの処理を実行する操作処理部104と、操作処理部104により処理された情報をデータベース6に出力するためのログ出力部105と、操作処理部104により処理された情報を表示装置2に出力する表示出力部106と、データベース6の情報を解析し注意喚起を実施する解析部107からなる。
【0018】
ログ出力部105は、入力受付部103で入力された情報および、操作処理部104で実行された処理の情報を記録するものであればいかなる実現手段でもよい。例えば、入力受付部103に情報Aが入力され、操作処理部104で処理Bが実行されたとき、ログ出力部105では、情報Aおよび、処理Bの実行情報が出力される。処理Bの実行情報とは、処理Bが開始された情報、処理Bが終了した情報、エラーが発生した場合はエラーが発生した情報を示す。
【0019】
表示出力部106は、ユーザの操作に応じて画像情報部102から探した情報と、ユーザの操作を操作処理部104で処理してユーザに処理結果として認知することのできる情報を表示装置2に表示する。例えば、ユーザが操作Cを実行しようとするとき、画像情報部から操作Cに対応する情報Dを取り出し、表示出力部106から表示装置2に情報Dを表示し、ユーザが操作Cを実行できる状態にする。ユーザが操作Cを実行すると、操作処理部104で操作Cが処理され、ユーザに通知する情報Eを表示出力部106に渡し、表示装置2に表示する。
【0020】
解析部107は、データベース6の情報を読み込み、ユーザの誤操作を収集・解析する機能を有し、ユーザに注意喚起を実施する。例えば、解析部107がユーザの操作Fに対する誤操作情報をデータベース6から読み込み、ユーザが操作Fを実施する際に誤操作を行わないように操作を制限する。
【0021】
次に、図3を参照して、本営業店端末装置での処理情報をデータベース6に格納する処理の流れを説明する。
ユーザが入力装置1等で操作を実行すると(ステップ301)、操作処理部104で操作処理を実施し、ログ出力部105で実行情報をデータベース6に出力し(ステップ302)、解析部107にて誤操作情報を検索し(ステップ303)、検索した誤操作情報に対して、誤操作を引き起こしたユーザ操作を解析し(ステップ304)、ステップ304で解析したユーザ操作と誤操作が行われた回数をデータベース6に格納する(ステップ305)。エラー実行情報とは、操作処理部104で実行された処理が開始された情報、終了された情報、エラーが発生した場合はエラーが発生した誤操作情報を含む。このようにしてデータベース6には、各ユーザの操作による操作情報・誤操作情報が蓄積されていく。
【0022】
次に、図4を参照して、ユーザ個人の注意喚起メッセージを表示する処理の流れを説明する。
ユーザが入力装置1等にて操作を行う際、解析部107がデータベース5よりその操作しているユーザ個人の誤操作情報を取得し(ステップ401)、誤操作情報が予め設定された注意喚起条件を満たしているか判定し(ステップ402)、注意喚起条件を満たしている場合、データベースよりその操作に対応する注意喚起メッセージを取得し(ステップ403)、表示装置2でユーザが操作を行う箇所に注意喚起メッセージを表示出力部106を通じて表示する。注意喚起条件は、操作に対して注意喚起するかどうかを判定する情報であり、予め設定された値である。
【0023】
次に、図5を参照して、全ユーザの注意喚起メッセージを表示する処理の流れを説明する。
全ユーザの注意喚起メッセージ表示処理の基本的な流れは、ユーザ個人の注意喚起メッセージ表示処理とほぼ同一であり、データベースより誤操作情報を取得する際にそのユーザ固有の誤操作情報を取得する代わりに、登録されている全ユーザに対する誤操作情報を取得する(ステップ501)。全ユーザに対する誤操作情報は、データベースに格納されている全てのユーザの誤操作情報を集計し、誤操作の回数を一人当たりに換算した値を使用する。
【0024】
次に、図6を参照して、テキスト入力の入力制限判定処理の流れを説明する。
ユーザが入力装置1等にて操作を行う際、データベース5よりユーザ個人の誤操作情報を取得し(ステップ601)、誤操作情報が予め設定された注意喚起条件を満たしているか判定し(ステップ602)、注意喚起条件を満たしている場合、画面情報部102よりテキスト入力時に入力可能な文字条件を取得し(ステップ603)、テキスト入力を行う指定の箇所に入力制限を実施する。
【0025】
次に、図7を参照して、図6で入力制限を実施した際の処理内容の流れを説明する。
ユーザがテキスト入力をしている際に(ステップ701)、そのテキスト入力に対して入力制限を実施しているかの判定を行い(ステップ702)、入力制限していない場合はそのまま入力を実施し(ステップ703)、入力制限している場合は入力している文字が入力可能な文字条件を満たしているか判定を行い(ステップ704)、入力可能な文字である場合はそのまま入力を実施し(ステップ705)、入力可能な文字でない場合は、入力された文字を削除する(ステップ706)。
【0026】
次に、図8、図9を参照して、ユーザのボタン押下に対する押下制限判定処理の流れを説明する。
ユーザが入力装置1等にて操作を行う際、データベース5よりユーザ個人の誤操作情報を取得し(ステップ801)、誤操作情報が予め設定された注意喚起条件を満たしているか判定し(ステップ802)、注意喚起条件を満たしている場合、データベースからその操作時においてボタン押下に必要な参照されるべき情報を取得し(ステップ803)、図9で説明するボタン押下制限を実行する(ステップ804)。
【0027】
ユーザがボタン押下する操作を実行する際、ボタン押下制限を実施しているか判定を行い(ステップ901)、ボタン押下制限をしていない場合、ボタン押下をユーザが実行できるようにし(ステップ902)、ボタン押下制限をしている場合、参照されるべき入力情報が入力されているか判定し(ステップ903)、参照されるべき入力情報が入力されていない場合はボタン押下をユーザが実行できないようにし(ステップ904)、参照されるべき入力情報が入力されている場合はボタン押下をユーザが実行できるようにする(ステップ905)。
【0028】
以上説明したように、ユーザが誤操作を行う可能性の高い操作をする際に注意喚起をすることで、その誤操作を未然に防ぐことができる。ユーザ個人の操作情報を利用することで、ユーザ個人に適合した注意喚起を行うことができ、ユーザ個人の作業の効率化につながる。また、全ユーザの操作情報から注意喚起を行うことで、システムを初めて利用するユーザにも誤操作の防止の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0029】
1:入力装置、2:表示装置、3:CPU、4:メモリ、5:ハードディスク、6:データベース、 7:プログラム、8:OS、101:ユーザ認証部、102:画面情報部、103:入力制御部、104:操作処理部、105:ログ出力部、106:表示出力部、107:解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関に設置され複数の利用者が操作して所定の処理を行う営業店窓口装置であって、
利用者が操作して所定の情報を入力する入力部と、
利用者に情報を表示する表示部と、
前記入力部からの情報に基づいて所定の処理を行う主制御部と、
利用者の操作履歴を含む操作情報を格納するデータベース部と、
からなり、
前記主制御部は、利用者が所定の処理を行う際に前記データベースに記憶された前記利用者の操作情報を検索し、前記操作情報に当該装置が誤操作された履歴情報が含まれる場合、前記利用者に注意喚起を行うメッセージを前記表示部へ表示させることを特徴とする営業店窓口端末。
【請求項2】
請求項1に記載の営業店窓口端末であって、
前記制御部は、前記データベースから誤操作に関する操作情報を検索し、利用者がその誤操作の頻度の高い処理を行う際に、当該処理において予め定めた入力されるべき文字以外の入力を制限することを特徴とする営業店端末装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の営業店端末装置であって、
押下することによって、利用者が入力した文字情報を参照するボタン機能を有し、
前記制御部は、前記データベースから誤操作に関する操作情報を検索し、利用者がその誤操作の頻度の高い処理を行う際に、所定の文字情報が入力されるまで前記ボタンの押下を禁止することを特徴とする営業店端末装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の営業店端末装置であって、
前記利用者の操作情報を検索する際に、前記データベースに登録されている全ての利用者の操作情報についても検索対象とすることを特徴とする営業店端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−238251(P2012−238251A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107836(P2011−107836)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)