説明

噛み込み防止機能を備えた横ピロー包装機

【課題】不透明の包装フィルムを使用する横ピロー包装においても、エンドシール位置における内容物の噛み込みを防止する。
【解決手段】横ピロー包装機は、「内容物がライン上の所定位置にきたことを検知する位置センサ10」と「予め記憶した上記所定位置からエンドシール機構までの距離を含むパラメータに基づいて、内容物がエンドシール機構を通過する際に当該エンドシール機構に噛み込まれないように、エンドシール機構の動作制御を行う制御装置」とを備えている。位置センサ10は、センターシールされて筒状となった包装材の内側へ延在するよう搬送ラインに沿って配置されている。内容物の位置を検知する位置センサ10が包装材21の内側に入り込んでいるので、たとえ包装材が不透明であっても、位置検出精度が高く、したがって、この検出信号を利用した噛み込み防止制御も精度の高いものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噛み込み防止機能を備えた横ピロー包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子や乾メン等を個別の袋体に包装する手段として、横ピロー包装機は、従来から知られた技術である。図1を参照して簡単に説明すると、次の通りである。
包装すべき内容物をベルトコンベア等の搬送装置上に流すとともに、ロールから包装フィルムを引き出して内容物を包み込みながら、センターシールを行う。そして、包装機の下流側において、エンドシールおよび分断を行うことで、内容物を個々に包装する。
【0003】
横ピロー包装機において、エンドシール時における内容物の噛み込みを防止するためには、ベルトコンベア上を流れる内容物のエンドシール機構部に対する相対位置を正確に把握する必要がある。
【0004】
特許文献1には、エンドシール予定位置に対する内容物の位置ズレをセンサで検知することが開示されている。しかし、当該特許文献1の図8からも分かるように、センサは透明の包装フィルムに対してのみ有効であると考えられる。
不透明フィルムを使用するピロー包装の場合、ベルトコンベア上を流れる内容物の位置を正確に知る手段はこれまで提案されておらず、位置の把握は予想に頼るしかなかった。
【0005】
激しく噛み込んだ場合には、機械停止および復帰作業が必要であり、時間的、資材的ロスとともに機械的損傷が起きる場合もある。また、噛み込みが発生しない状態でも余裕を持ってシールを行わざるを得ない為、必要以上の包材が使われ、資源の無駄が発生している。
【0006】
なお、特許文献2には、噛み込みが発生した場合に、それを確実に検知する装置が開示されている。しかし、この技術は、噛み込みが生じること自体を未然に防ぐもの(予防)ではないので、上記の問題が依然として残る。
【0007】
【特許文献1】実公平5−20651号
【特許文献2】特開2007−39047号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の問題に鑑み、本発明の目的は、不透明の包装フィルムを使用する横ピロー包装においても、エンドシール位置における内容物の噛み込みを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を有効に解決するために草案されたものであって、次の特徴を備えた横ピロー包装機を提供する。
【0010】
本発明の横ピロー包装機は、一定間隔をおいてライン上を流れる複数の内容物を、ロールから引き出した包装材で包み込んでセンターシールするとともに、当該ラインの下流側でエンドシールおよび分断することで、上記複数の内容物を個別に包装する。
この横ピロー包装機は、「内容物がライン上の所定位置にきたことを検知する位置センサ」と「予め記憶した上記所定位置からエンドシール機構のシールヘッドの最前面までの距離を含むパラメータに基づいて、内容物がエンドシール機構を通過する際にシールヘッドに噛み込まれないように、エンドシール機構の動作制御を行う制御装置」とを備えている。
そして、上記位置センサは、センターシールされて筒状となった包装材の内側へ延在するよう上記ラインに沿って配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を備えた本発明の横ピロー包装機においては、内容物を搬送するラインに沿って位置センサが包装材の内部にまで入り込んでいるので、包装材が不透明であったとしても、内容物の位置を確実に検出できる。したがって、当該検出値を利用した噛み込み防止制御も精度の高いものとなる。
またこれにより、噛み込みを防止すべくライン上での内容物間の間隔を不必要に大きく確保する必要も無くなり、資源の有効利用が可能となる。
【0012】
なお、包装材の内部に配置した位置センサにより得られた検出値をどのように処理して噛み込み防止制御を行うかは任意であって、適宜の制御フローを採用することが可能である。
【0013】
本発明においては、位置センサとして、光ファイバセンサ、超音波センサ、接触式センサ等、位置を検出できる適宜のセンサを使用可能である。センサの種類とは関係なく、当該センサが包装材の内側に位置するので、高い検出精度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して、以下に詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る横ピロー包装機の概略構成を示している。
基本的な構成は、図1の従来例と同じであるが、内容物が流れるラインに沿って位置検出センサ10を配置し、これを用いて包装フィルム21の内側にて内容物の位置を検知する点が異なる。詳細は後述するが、この検出値を利用して、エンドシール機構部における内容物の噛み込みを未然に防止するよう制御を行う。
【0015】
図2において、包装されるべき内容物は、ベルトコンベア等の適当な搬送機構(不図示)により、所定ライン上をエンドシール機構部へ向かって、図2中矢印T方向へ流れる。包装フィルム21は、ライン上方に配置されたロールから引き出されて、ライン上を流れる内容物を筒状に覆うようセンターシールが施される。
図2中、参照数字22は、センターシールを行うシール機構を概略的に示している。
【0016】
図2中に部分的に拡大して示すように、位置センサ10は、先端に投受光部12を備えていて、光ファイバ11を介して制御装置に接続されている。投受光部12は、光を横方向(図2中上下方向)に投受光して、ライン上を流れる内容物の有無を示す信号を制御装置に送る。
【0017】
図示の例では、位置センサ10および光ファイバ11は、チューブ状の固定治具18を利用して、ラインに沿って包装フィルム内へ延在するよう配置している。しかし、具体的な固定方法は図示したものに限定されるものではなく、適宜の構成を採用することが可能である。
【0018】
本発明においては、内容物の位置を検知する位置センサ10は、センターシールされて筒状となった包装材の内側に入り込んでいる。すなわち、包装材の内側において内容物の位置を検出する。
したがって、位置センサとして光センサを用いる場合に、たとえ包装材が不透明であっても、内容物の位置を正確に検出できる。したがって、この検出信号を利用した噛み込み防止制御も精度の高いものとなる。
【0019】
図示の例では、位置センサ10として光ファイバセンサを使用している。光ファイバセンサは、非接触式であるため、ライン上を流れる内容物の姿勢に影響を与えることがなく、また検出部分が小型化可能であるので、位置センサ10として好ましい。特に、図示したような、センサーヘッドから横方向に光を投受光するものが小型化に有利である。
しかし、本発明においては、位置センサ10として、光ファイバセンサ以外にも、超音波式や接触式のセンサを使用してもよい。どのようなタイプのセンサを使用しても、当該センサが包装材の内側に位置するので、高い検出精度を得ることができる。
【0020】
≪制御方法≫
本発明においては、包装材の内側に入り込んだ位置センサ10を用いて、内容物の位置を検出していることが重要であって、検出した信号をどのように処理して噛み込み防止制御を行うかは任意である。
位置センサ10を使用するため、当該センサによる検出位置Xからシールヘッド前面位置Aまでの距離L2(図3参照)は、制御パラメータとして必ず含まれることとなるが、それ以外は、どのようなアルゴリズムに従って噛み込み防止制御を行うか、適宜定めることができる。
【0021】
以下に、例示としての制御フローを説明する(図5、図6)。制御フローにおいては、次の4つの値「L1」「L2」「L3」「V」を予め測定して制御装置に記憶させておく(図3参照)。
L1:ライン上での流れ方向に沿った内容物の長さ
L2:位置センサによる検出位置Xから、シールヘッドの最前面Aまでの距離
L3:シールヘッド幅
V :ライン上における包装材および内容物の搬送速度
【0022】
なお、シールヘッドは、予め定めたサイクルに従って作動・非作動を繰り返していて、これによりエンドシールを断続的に行うよう制御されている。この制御と平行して、噛み込み防止制御を目的としたシールヘッドの矯正退避を行う。
図5、図6の各制御フローにおいては、次の考え方に基づいて、シールヘッドの進退を制御する。すなわち、図3を参照して説明すると、「内容物の先端1が、シールヘッドの最前面位置Aに到達した時」から「内容物の後端2が、シールヘッドの出口位置Bを通過した時」まで、シールヘッドを退避させておけば、噛み込みが発生することはない。
【0023】
≪制御例1:到着検知(図4a、図5)≫
到着検知は、図4(a)に示したように、内容物の先端1が位置センサ10による検出位置Xに到着した時刻を基準(T=0)として制御を開始する方法である。
【0024】
内容物の先端1が検出位置Xに未だ到達しない間、センサからの信号はOFFである。検出位置Xに、内容物の先端1が到達すると、センサからの信号がONとなる(♯11)。ここから時間カウントを開始する(T=0)。そして、T=L2/Vとなるのを待つ(♯12)。
L2/Vは、ライン上での搬送速度をVとしたときに、T=0からカウントして、内容物の先端1がA位置まで移動するのに要する時間である。
【0025】
噛み込みを防止するには、T=L2/Vを過ぎた後において、シールヘッドが後退している必要がある。
したがって、時間L2/V経過後に、エンドシール機構が動作中であるか否かを検出して、動作中であれば、強制的にシールヘッドを退避させる(♯13→♯14)。つまり、シールヘッドは、基本的には予め定めた一定のサイクルに従って作動・非作動を繰り返しているが、時間L2/V経過後に作動している場合には、強制的に退避させられることとなる。
【0026】
この矯正退避制御は、T=0からカウントして、時間(L1+L2+L3)/Vが経過するまで行われる(♯13→♯15)。
(L1+L2+L3)/Vは、T=0からカウントして、内容物の後端2がシールヘッドの出口位置Bを通過するまでに要する時間である。
【0027】
以上の制御により、T=0からカウントした時刻がL2/V〜(L1+L2+L3)/Vの間にあるときは、シールヘッドは強制的に退避させられるので、噛み込みが発生することはない。
位置センサ10は、ライン上を流れる全ての内容物に対して♯11に説明した位置信号を発し、制御装置(図2)がこれに基づいて、全ての内容物に対して図5のフローに示した制御を行う。
【0028】
≪制御例2:通過検知(図4b、図6)≫
通過検知は、図4(b)に示したように、内容物の後端2がセンサによる検出位置Xに到着した時刻を基準(T=0)として制御を開始する方法である。
【0029】
内容物の後端2が検出位置Xに未だ到達しない間、センサからの信号はONである。内容物の後端2が検出位置Xを通過すると、センサからの信号がOFFとなる(♯21)。ここから時間カウントを開始する(T=0)。そして、T=(L2−L1)/Vとなるのを待つ(♯22)。
(L2−L1)/Vは、ライン上での搬送速度をVとしたときに、T=0からカウントして、内容物の先端1がA位置まで移動するのに要する時間である。
【0030】
噛み込みを防止するには、T=(L2−L1)/Vを過ぎた後において、シールヘッドが後退している必要がある。
したがって、時間(L2−L1)/V経過後に、エンドシール機構が動作中であるか否かを検出して、動作中であれば、強制的にシールヘッドを退避させる(♯23→♯24)。つまり、シールヘッドは、基本的には予め定めた一定のサイクルに従って作動・非作動を繰り返しているが、時間(L2−L1)/V経過後に作動している場合には、強制的に退避させられることとなる。
【0031】
この矯正退避制御は、T=0からカウントして、時間(L2+L3)/Vが経過するまで行われる(♯23→♯25)。
(L2+L3)/Vは、T=0からカウントして、内容物の後端2がシールヘッドの出口位置Bを通過するまでに要する時間である。
【0032】
以上の制御により、T=0からカウントした時刻が(L2−L1)/V〜(L2+L3)/Vの間にあるときは、シールヘッドは強制的に退避させられるので、噛み込みが発生することはない。
位置センサ10は、ライン上を流れる全ての内容物に対して♯21に説明した位置信号を発し、制御装置(図2)がこれに基づいて、全ての内容物に対して図6のフローに示した制御を行う。
【0033】
以上説明したように、本発明は、ライン上を流れる内容物に対してシールヘッドが噛み込むことを未然に防止するものであるが、万一、噛み込みが生じた場合には、制御装置から警報器、その他の機器に警報信号や排出信号を送り、ライン停止等の適切な処置を施すことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】従来の横ピロー包装機を説明する概略図。
【図2】本発明の一実施形態に係る横ピロー包装機を説明する概略図。
【図3】本発明における制御例で使用するパラメータを説明する概略図。
【図4】到着検知および通過検知の概要を説明する説明図。
【図5】図4(a)の到着検知における制御フローチャート。
【図6】図4(b)の通過検知における制御フローチャート。
【符号の説明】
【0035】
1 内容物の先端
2 内容物の後端
10 位置センサ
11 光ファイバ
12 投受光部
18 固定治具
21 包装フィルム
22 シール機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定間隔をおいてライン上を流れる複数の内容物を、ロールから引き出した包装材で包み込んでセンターシールするとともに、当該ラインの下流側でエンドシールおよび分断することで、上記複数の内容物を個別に包装する横ピロー包装機であって、
当該横ピロー包装機は、内容物がライン上の所定位置(X)にきたことを検知する位置センサ(10)と、
予め記憶した上記所定位置(X)からエンドシール機構のシールヘッドの最前面(A)までの距離(L2)を含むパラメータに基づいて、内容物がエンドシール機構を通過する際にシールヘッドに噛み込まれないように、エンドシール機構の動作制御を行う制御装置と、を備えており、
上記位置センサ(10)は、センターシールされて筒状となった包装材(21)の内側へ延在するよう上記ラインに沿って配置されていることを特徴とする、横ピロー包装機。
【請求項2】
上記エンドシール機構は、予め定めたサイクルで作動・非作動を繰り返しており、
上記制御装置は、下記制御パラメータに基づいて、各内容物の先端(1)が上記所定位置(X)に到達した時刻をT=0として時間をカウントするとともに、
時刻T=L2/Vから時刻T=(L1+L2+L3)/Vまでの間にエンドシール機構のシールヘッドが作動している場合には、当該シールヘッドを強制的に退避させ、これにより、内容物に対するシールヘッドの噛み込みを防止することを特徴とする、請求項1記載の横ピロー包装機。
L1:ライン上での流れ方向に沿った内容物の長さ
L2:位置センサ(10)による検出位置(X)から、シールヘッドの最前面(A)までの距離
L3:シールヘッド幅
V :ライン上における包装材(21)および内容物の搬送速度
【請求項3】
上記エンドシール機構は、予め定めたサイクルで作動・非作動を繰り返しており、
上記制御装置は、下記制御パラメータに基づいて、各内容物の後端(2)が上記所定位置(X)を通過した時刻をT=0として時間をカウントするとともに、
時刻T=(L2−L1)/Vから時刻T=(L2+L3)/Vまでの間にエンドシール機構のシールヘッドが作動している場合には、当該シールヘッドを強制的に退避させ、これにより、内容物に対するシールヘッドの噛み込みを防止することを特徴とする、請求項1記載の横ピロー包装機。
L1:ライン上での流れ方向に沿った内容物の長さ
L2:位置センサ(10)による検出位置(X)から、シールヘッドの最前面(A)までの距離
L3:シールヘッド幅
V :ライン上における包装材(21)および内容物の搬送速度

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−58829(P2010−58829A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228493(P2008−228493)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】